(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091005
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/89 20060101AFI20240627BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20240627BHJP
B07C 5/10 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G01N21/89 T
G01N21/84 C
B07C5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207252
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】猪股 勇貴
【テーマコード(参考)】
2G051
3F079
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB02
2G051AC21
2G051BB01
2G051CA04
2G051CA06
2G051DA13
3F079AD01
3F079CA18
3F079CA21
3F079CA26
3F079CA41
3F079CB29
3F079CC03
3F079CC11
3F079DA06
3F079DA12
3F079EA09
3F079EA19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、ねじの個数を正確に測定可能な検査装置の提供をする。
【解決手段】並列配置された一対の無端ベルト31,31を回転駆動源の駆動で回転させることにより、無端ベルト31に吊下された有頭部品Sを前方に搬送する搬送ユニット30と、前記搬送ユニット30が搬送途中の有頭部品Sを良否判別する検査ユニットと、前記検査ユニットの検査結果に基づき有頭部品Sを分別排出する分別ユニット50とを備え、前記分別ユニット50が前記搬送ユニット30の前方に配置された良品シュート54と、前記搬送ユニット30の直下に配置される不良品シュート58と、良品と判別された有頭部品Sを良品シュート54に向かい吹き飛ばすエアガン51を有するとともに前記良品シュート54には、内部に進入した有頭部品Sを検知し、計数するカウントセンサ57を備えていることを特徴とする検査装置10による。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列配置された一対の無端ベルトを回転駆動源の駆動で回転させることにより、無端ベルトに吊下された有頭部品を前方に搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットが搬送途中の有頭部品の良否を判別する検査ユニットと、
前記搬送ユニットの前端部に達したねじを前記検査ユニットの検査結果に基づき排出する分別ユニットと、
前記分別ユニットの駆動を制御する制御ユニットを備えた検査装置において、
前記分別ユニットが前記搬送ユニットの前方に配置された良品シュートと、前記搬送ユニットの前端部の直下に配置される不良品シュートと、検査ユニットにより良品と判別された有頭部品を良品シュートに向かい吹き飛ばすエアガンと、前記良品シュートの内部に進入した有頭部品を検知可能なカウントセンサを備えていることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記カウントセンサは、所定の検出範囲内を有頭部品が通過したことを検出する非接触式のセンサであり、当該カウントセンサの検出範囲が前記良品シュートの開口部より若干前方に位置し、なおかつ前記開口部以上の広さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
カウントセンサは、その検出光が良品シュートの側壁に貫通形成されたスリットを通過して当該良品シュートの内部に侵入するよう配置された光学センサであることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記カウントセンサは、受光量の瞬間的な変化から有頭部品の通過を検知することを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記良品シュートは、その内部に進入した有頭部品と衝突する緩衝部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記エアガンは、有頭部品の頭部に空気を噴出する頭部エアガンおよび脚部に空気を噴出する脚部エアガンからなることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項7】
前記搬送ユニット30は、無端ベルトに吊下された有頭部品を挟むように配置された一対の姿勢保持部材を備え、
当該姿勢保持部材は、その対向面に前記脚部エアガンを収容可能な収容溝が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有頭部品を搬送する無端ベルトを備えた有頭部品の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ねじ等の有頭部品を搬送検査する検査装置として、特許文献1に示された検査装置が知られている。この検査装置は、一対の無端ベルトを回転させることでねじを前方に搬送する搬送ユニットと、この搬送ユニットにより搬送途中のねじを撮像する検査ユニットと、この検査ユニットの撮像結果を基にねじが良品か不良品かを検査する検査ユニットと、この検査ユニットの検査結果を基にねじを良品あるいは不良品に分別する分別ユニットとを備えている。なお、前記分別ユニットは、前記搬送ユニットの前端部の下方に位置する良品側の容器および良品側の容器と横並びに配置された不良品側の容器と、前記搬送ユニットの前端部まで到達したねじを圧縮空気により良品側の容器あるいは不良品側の容器まで吹き飛ばすエアガンを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記検査装置は、無端ベルトの搬送経路の延長線上に良品側の容器が位置するよう構成されており、何らかの不具合でエアガンによる空気の噴射が停止したり、弱くなったりすると、不良品のねじを含めた全てのねじが良品側の容器に落下するという問題があった。
【0005】
また、上記検査装置は、エアガンが噴出する圧縮空気によって横並びに配置された良品側の容器または不良品側の容器のどちらかにねじを吹き飛ばすよう構成されている。このため、ねじ同士の間隔が短く、良品のねじを排出した直後に不良品のねじが到達した場合、前段の良品のねじを吹き飛ばした際の残圧により良品側のエアガンから空気が排出されていることがある。その際、不良品のねじは、良品側のエアガンが排出した空気と不良品側のエアガンが排出した空気とが拮抗して前方に飛び、良品側の容器に落ちることがあった。このように、従来の検査装置は、ねじ同士の間隔やエアガンから噴出される空気の強さによってねじがどちらの容器に落下するか不明確であったため、検査ユニットが計数した良品のねじの個数と実際に良品側の容器に入っているねじの個数が乖離する。このため、ねじの良否判別後に別途計数機等でねじの個数を計数する必要があり、作業効率が悪いという問題もあった。
【0006】
そのため、本発明は、ねじの個数を正確に測定可能な検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、並列配置された一対の無端ベルトを回転駆動源の駆動で回転させることにより、無端ベルトに吊下された有頭部品を前方に搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットが搬送途中の有頭部品の良否を判別する検査ユニットと、前記搬送ユニットの前端部に達したねじを前記検査ユニットの検査結果に基づき排出する分別ユニットと、前記分別ユニットの駆動を制御する制御ユニットを備えた検査装置において、前記分別ユニットが前記搬送ユニットの前方に配置された良品シュートと、前記搬送ユニットの前端部の直下に配置される不良品シュートと、検査ユニットにより良品と判別された有頭部品を良品シュートに向かい吹き飛ばすエアガンを有し、前記良品シュートには、有頭部品が内部に進入したことを検知するカウントセンサを備えていることを特徴とする。なお、前記カウントセンサは、所定の検出範囲内を有頭部品が通過したことを検出する非接触式のセンサであり、当該カウントセンサの検出範囲が前記良品シュートの開口部より若干前方に位置し、なおかつ前記開口部以上の広さに設定されていることが好ましい。また、カウントセンサは、その検出光が良品シュートの側壁に貫通形成されたスリットを通過して当該良品シュートの内部に侵入するよう配置された光学センサであることが好ましい。さらに、前記カウントセンサは、受光量の瞬間的な変化から有頭部品の通過を検知することが好ましい。しかも、前記良品シュートは、その内部に進入した有頭部品と衝突する緩衝部材を備えていることが好ましい。また、前記エアガンは、有頭部品の頭部に空気を噴出する頭部エアガンおよび脚部に空気を噴出する脚部エアガンからなることが好ましい。さらに、前記搬送ユニット30は、無端ベルトに吊下された有頭部品を挟むように配置された一対の姿勢保持部材を備え、当該姿勢保持部材は、その対向面に前記脚部エアガンを収容可能な収容溝が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の検査装置は、エアガンが前方に位置する良品シュートまで有頭部品を前方に吹き飛ばす構成であるため、エアガンによる空気の噴射が停止したり、弱くなったりしても不良品の有頭部品が良品シュートに混入することがない等の利点を有する。また、良品シュートに進入した有頭部品の個数を計数するカウントセンサを備えているため、下流工程で再度計数する必要が無く作業効率が向上する等の利点も有する。なお、前記カウントセンサの検出範囲が前記良品シュートの開口部より若干前方に位置し、なおかつ前記開口部以上の広さに設定されているため、良品シュートの開口部から進入した有頭部品は、検出範囲を通過する。このため、正確に計数可能となる等の利点も有する。また、カウントセンサは、その検出光が良品シュートの側壁に貫通形成されたスリットを通過して当該良品シュートの内部に侵入するよう配置された光学センサであり、カウントセンサに有頭部品が接触することがないため、カウントセンサの破損を防止する等の利点もある。さらに、前記カウントセンサが受光量の瞬間的な変化から有頭部品の通過を検知するように構成されているため、誤検知等が低下する等の利点がある。しかも、前記良品シュートが緩衝部材を備えており、有頭部品の勢いが吸収されるため、良品シュートや有頭部品の破損を防止する等の利点も有する。また、前記エアガンが有頭部品の頭部に空気を噴出する頭部エアガンおよび脚部に空気を噴出する脚部エアガンからなるため、有頭部品を均一に付勢することが可能になり、有頭部品の回転を防止可能等の利点も有する。さらに、前記脚部エアガンが姿勢保持部材の収容溝に収容されているため、脚部エアガンの位置決めが容易になるとともに、脚部エアガンがずれにくくなる等の利点も有する。しかも、脚部エアガンが姿勢保持部材の収容溝に収容されているため、脚部エアガンの設置が容易になるとともに位置ずれし難くなる等の利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る検査装置の構造を示す右面図である。
【
図2】本発明に係る検査装置の構造を示す平面図である。
【
図6】本発明に係る検査装置のプーリの構造を示す要部拡大側面図であり、(a)はスナブプーリの構造を示す要部拡大側面図であり、(b)はテールプーリの構造を示す要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1ないし
図5において10は、有頭部品の一例であるねじSの外観検査を行う検査装置である。この検査装置10は、
図1に示すように貯留ボウル(図示せず)と、この貯留ボウルに接続された直進レール20と、この直進レール20からねじSを受け取り前方に搬送する搬送ユニット30と、この搬送ユニット30により搬送途中のねじSの外観を検査する検査ユニット40と、この検査ユニット40の結果を基にねじSを良品と不良品とで分別する分別ユニット50と、各種ユニットの駆動を制御する制御ユニットを備えている。
【0011】
前記貯留ボウルおよび前記直進レール20は、前記搬送ユニット30にねじSを供給する供給装置の一例である。この貯留ボウルは、振動装置(図示せず)を備えており、その内部に貯留した多数のねじSを振動装置の振動により直進レール20に順次整列搬送して供給するように構成されている。また、直進レール20は、ねじSの首部径より僅かに幅広の隙間を空けて配設された一対の板状部品から構成されており、この直進レール20も前記振動装置の振動によりねじSを搬送ユニット30に向けて搬送可能に構成されている。さらに、前記直進レール20の上方には、
図1に示すように直進レール20と平行に延びる押さえ部材21が設けられている。この押さえ部材21は、前記直進レール20上のねじSの頭部上面と若干の隙間を空けて配置されており、その終端部が前記搬送ユニット30によるねじSの搬送経路上まで伸びるように構成されている。これら構造により、直進レール20上は、ねじSの姿勢を崩すことなく搬送ユニット30に受け渡し可能となる。
【0012】
前記搬送ユニット30は、
図2に示すように前記直進レール20と同様にねじSを吊下可能な幅を開けて左右に配される一対の無端ベルト31,31を備えた有頭部品の搬送機構であり、これら無端ベルト31,31の後端部が前記直進レール20の前端部の下方に位置するよう配置されている。この無端ベルト31,31と直進レール20との隙間はねじSの脚部寸法より小さく構成されており、直進レール20に吊下されたねじSの脚部が無端ベルト31,31の間に届くよう配置されている。このため、直進レール20から落下したねじSは、無端ベルト31,31上に落下して吊下される、また、前記無端ベルト31は、それぞれ複数個のプーリ321,322,323,324,325,326およびこれらプーリ321,322,323,324,325,326の間に位置するガイドレール37によってガイドされている。前記プーリ321,322,323,324,325,326には、その外周面の同じ高さに環状溝32aが形成されており、当該環状溝32aに無端ベルト31が係止されている。一方、ガイドレール37には、ねじSの搬送経路に沿って伸びる長尺部材であり、無端ベルト31,31を下方から支持する支持部が形成されている。これらプーリ321,322,323,324,325,326およびガイドレール37によって無端ベルト31,31が自重や直進レール20から受け取ったねじSの重さ等により弛むことが防止される。
【0013】
また、前記プーリ321,322,323,324,325,326は、回転駆動源321aの連続回転駆動を受けて回転する駆動プーリ321と、前記無端ベルト31,31に対して適度な張力を常時付与するテンションプーリ322と、ねじSの搬送経路を形成するヘッドプーリ323およびテールプーリ324と、テールプーリ324より前方に位置するスナブプーリ325およびスナブプーリ325と駆動プーリ321の間に配置されるベントプーリ326から構成されている。これら構造により、無端ベルト31は、前記回転駆動源321aの駆動を受けて回転可能かつテンションプーリ322により常時一定の張力を有するように構成される。さらに、前記テンションプーリ322は、その回転軸が固定された台座33が支軸を中心に揺動可能に構成されているとともに前記台座33が引張りばね34によって常時、無端ベルト31を張る方向に付勢されている。このため、前記無端ベルト31,31を常時ほぼ一定の張力で張ることが可能であるとともに無端ベルト31,31の揺れを吸収することが可能となる。しかも、テンションプーリ322の下面には、径方向外側に突き出すドグ35が装着されており、前記台座33には、ドグ35を検知可能な検知センサ36が設けられている。この検知センサ36は、投光側から受光側に光を投光する光学センサであり、その光が前記テンションプーリ322の回転によるドグ35の移動経路上に位置するよう配置されている。このため、テンションプーリ322が一回転する度にドグ35が当該検知センサ36の光を遮断する。
【0014】
なお、回転駆動源321aは、無端ベルト31,31によるねじSの搬送速度が前記直進レール20による搬送速度より早くなるよう駆動プーリ321を回転させており、直進レール20から無端ベルト31,31に移載されたねじSが前段および後段のねじSと所定の隙間を空けた状態で前方に搬送されるよう構成されている。また、駆動プーリ321、テンションプーリ322,ベントプーリ326,スナブプーリ325の外周に形成された環状溝32aは、
図6の(a)に示すように上下対称な略半円形状に構成されている一方、ヘッドプーリ323およびテールプーリ324の環状溝32a′は、無端ベルト31,31に吊下されたねじSと干渉しないよう、
図6の(b)に示すように壁部が短く比較的小さい略半円形状に構成されている。さらに、前記スナブプーリ325は、当該スナブプーリ325に無端ベルト31,31が接触する角度が90度以上なおかつ前記テールプーリ324と無端ベルト31とが15度以上接触するように位置設定されている。
【0015】
また、前記搬送ユニット30によるねじSの搬送経路上には、後述する検査ユニット40による撮像エリアが設定されており、前記ガイドレール37の下方には、撮像エリアの後方に揺動防止部材38が設けられている。この揺動防止部材38は、前記ねじSの脚部より若干広い隙間を空けて配置された板材であり、無端ベルト31,31に吊下されたねじSが横方向(ねじSの搬送方向に対して直行する方向)に揺れた際、その脚部が当接するよう配置されている。このため、直進レール20から無端ベルト31,31に受け渡し時や無端ベルト31,31による移動時の振動によるねじSの揺れが抑制される。さらに、撮像エリアの前方には、姿勢保持部材39が設けられている。この姿勢保持部材39も揺動防止部材38と同様にねじSの脚部が通過可能な隙間を空けて配置された板材であり、撮像エリア通過後のねじSが揺れた際、その脚部に当接することでねじSの姿勢を保持している。さらに、前記一対の無端ベルト31,31およびこの無端ベルト31,31を支持するガイドレール37およびプーリ321,322,323,324,325,326は、片方は検査装置10の基台11に配設されている一方、他方が前記基台11に対して横方向に摺動可能に構成された摺動台12に設置されている。このため、摺動台12を横方向に摺動させることで無端ベルト31,31同士の隙間を調節でき、ねじSの脚部の太さに適した隙間に設定可能に構成される。
【0016】
前記検査ユニット40は、前記搬送ユニット30によるねじSの搬送経路の中流付近に設けられており、ねじSが所定の撮像エリアに達したことを検出する到達センサ41と、撮像エリアに達したねじSを撮像する撮像手段の一例として42を有している。前記到達センサ41は、撮像エリアを通過するようにレーザを投光する一対の光学センサで有り、前記レーザがねじSの頭部により遮断されると、前記撮像手段42を駆動させるように構成されている。前記撮像手段42は、前記撮像エリアを上方から撮像するよう配置されたカメラであり、ねじSを上方から照射する環状照明43を備えている。また、検査ユニット40には、前記撮像手段42による撮像結果を基に良否判別する良否判別部(図示せず)が設けられている。この良否判別部は、前記撮像結果が画像処理した後に、被検体の面積、重心、長さ、位置等の各部寸法データと、予め設定される基準寸法データとを比較して、そのねじSが良品であるか不良品であるかを判別可能に構成されており、判別結果を制御ユニットに出力するよう構成されている。
【0017】
前記分別ユニット50は、前記無端ベルト31,31の前端部まで達した良品のねじSを前方に吹き飛ばすエアガン51と、前記無端ベルト31,31の前方に配置された良品シュート54と、前記無端ベルト31,31の前端部の直下に配置される不良品シュート58とを備えている。この分別ユニット50のエアガン51は、前記無端ベルト31,31吊下されたねじSの頭部に対してエアを噴出する頭部エアガン52と、脚部に対してエアを噴出する脚部エアガン53とを有しており、これらエアガン51は、それぞれコンプレッサ等の排気手段(図示せず)に接続されている。また、頭部エアガン52は、その先端部が前記無端ベルト31,31に吊下されたねじSの直上に位置しており、前方に空気を噴出するよう配置されている。一方、前記脚部エアガン53は、前記姿勢保持部材39に形成された収容溝391内に収容されている。この収容溝391は、姿勢保持部材39の対向面にそれぞれ設けられており、
図3および
図5に示すように脚部エアガン53がねじSの脚部と接触せず、なおかつ脚部エアガン53の先端が無端ベルト31,31に吊下されたねじSの脚部と同じ高さとなるように構成されている。また、収容溝391は、その先端部が前方に向かうにつれて徐々に溝が浅くなる平面視くさび形状をしており、脚部エアガン53から噴出された空気が当該くさび形状の斜面に沿って前方に流動するよう構成されている。これら構造により、無端ベルト31,31に吊下されたねじSは、頭部エアガン52から噴出された空気および脚部エアガン53から噴出された空気によって前方に吹き飛ばされる。また、頭部エアガン52および脚部エアガン53と前記排気手段との間には、エアガン51から排出される空気量を調節するスピードコントローラ(図示せず)が設けられており、前方に吹き飛ばされるねじSが極力回転しないように頭部エアガン52および脚部エアガン53それぞれから排出される空気量を調節可能に構成されている。
【0018】
前記良品シュート54は、
図1に示すように、無端ベルト31,31側に開口した開口部541を有する中空形状の殻部材であり、開口部541から良品側の容器(図示せず)まで徐々に下降するように傾斜している。この良品シュート54の開口部541には、上下方向摺動可能に構成された仕切り板55が配置されており、仕切り板55には、前記開口部541と連通するとともに開口部541より上下方向に短く構成された通過口551が貫通形成されている。また、前記良品シュート54の内部には、前記開口部541から前方に所定の距離離れた位置に緩衝部材56が吊下されている。この緩衝部材56は、ゴム、布、ウレタン、金属製のメッシュ等の可撓性を有する材料からなる平坦物であり、ねじSが衝突した際に揺動可能な質量で構成されている。さらに、良品シュート54は、進入したねじSの個数を計数可能なカウントセンサ57を備えている。このカウントセンサ57は、良品シュートの外部に設置された光学式センサであり、その検出光571が良品シュート54の側壁に貫通形成されたスリット542を通過して良品シュート54に内部に侵入するよう配置されている。このスリット542は、前記開口部541と緩衝部材56との間に設けられており、カウントセンサ57から放射状に広がる検出光571が前記仕切り板55の通過口551より広くなるよう上下方向所定の長さにて設計されている。しかも、前記良品シュート54の内部には、前記スリット542と対向する位置にカウントセンサ57の検出光571を反射する反射部材572が固定されており、当該反射部材572によって前記検出光571が反射するよう構成されている。このため、スリット542と反射部材572との間(以下、検出範囲という)をねじSが通過した際、カウントセンサ57側では、当該ねじSによって反射部材572の一部が隠されて受光量が一瞬減少し、その直後、ねじSが検出範囲を通過しきると反射部材572が再度出現して受光量が初期値に戻る。このように受光量が瞬間的に変化することにより、カウントセンサ57は、ねじSが検出範囲を通過したこと、つまり良品シュート54内にねじSが進入したことを検知している。このように受光量の瞬間的な変化を検出する構成により、検査装置10の近傍を通過した作業者の影による装置周辺の光度の低下や、カウントセンサ57の表面に埃が付着したことによる検出光571の出力が低下等、比較的穏やかに受光量が変化した際、これをねじSの通過と誤検知することが防止される。
【0019】
一方、前記不良品シュート58は、
図1に示すように、上方に開口する中空形状の殻部材である。この不良品シュート58は、平面視において、前記無端ベルト31,31の前端部および良品シュート54の開口部541を覆うように構成されており、その下端には、不良品側の容器(図示せず)が連続している。
【0020】
前記制御ユニットは、搬送ユニット30と、検査ユニット40と、前記分別ユニット50に接続されており、これらユニットの各種センサから受信した信号を処理可能に構成されている。この制御ユニットは、前記ドグ35が単位時間当たりに検知センサ36の光を遮った回数から無端ベルト31,31の回転速度および、当該回転速度から前記撮像範囲を通過したねじSがテールプーリ324の間に到達する時間を算出可能に構成されている。このため、制御ユニットは、前記到達センサ41からねじSが撮像範囲に到達したタイミングを取得後、前記良否判別部から取得した良否結果を基に排気手段の駆動を制御可能となる。結果、当該ねじSは、テールプーリ324の間に到達後、良品シュート54あるいは不良品シュート58の何れか一方に排出されることとなる。
【0021】
次に上記のように構成された検査装置10の作用を説明する。
前記貯留ボウル内に多数貯留されたねじSは、前記振動装置の振動によって、貯留ボウルから直進レール20に順次供給される。この直進レール20に供給されたねじSは、振動装置の振動および貯留ボウルから供給される後段のねじSに押されることにより、直進レール20上を前進する。この時、ねじSは、前記押さえ板により上方から規制され、姿勢を崩すことが防止されている。このように直進レール20上を前進したねじSは、直進レール20の前端部から落下して、前記無端ベルト31,31に移載される。この時、前述のように無端ベルト31,31が直進レール20上でのねじSの進行速度より速く回転するよう構成されているため、無端ベルト31,31上に移載されたねじSは、前後のねじSと所定の間隔を開けて前進することとなる。このように前進するねじSは、前記揺動防止部材38の間を通過することにより、揺れが抑制されて安定した状態で前方の撮像エリアに向かい搬送される。
【0022】
上述のように無端ベルト31,31に吊下されたねじSが撮像エリアに到達し、前記到達センサ41のレーザを遮断すると、到達センサ41は、前記撮像手段42および前記制御ユニットに到達信号を出力する。この到達センサ41からの到達信号を受信した撮像手段42がねじSを上方および側方から撮像する。この撮像手段42による撮像結果は、前記良否判別部によって画像処理されるとともに、当該画像処理結果から得られたねじSの各部寸法データと予め設定された基準寸法データとを比較してねじSの良否が判別される。この撮像時、ねじSが前記環状照明43に照射されており、撮像結果が明るく鮮明となる。また、前述のように揺動防止部材38によってねじSの揺れが抑制されるため、ブレがなく鮮明に撮像可能となる。これらにより、良否判別部が高精度な良否判別が可能となる。このように良否検査後、検査ユニット40は、その判別結果を前記制御ユニットに送信する。
【0023】
また、上述のように撮像されたねじSは、無端ベルト31,31の回転に従い、前記テールプーリ324に向かって前進する。この時、撮像エリアの前方の前側揺動防止部材が配置されているため、ねじSの姿勢が保持される。また、前記制御ユニットは、前記検査ユニット40によるねじSの良否判別に基づき、前記排気手段を駆動させる。まず、前記ねじSが良品と判別された場合、制御ユニットは、当該ねじSがテールプーリ324の間に到達するまでに排気手段を駆動させて、前記エアガン51の先端から空気を噴出させる。このため、テールプーリ324の間まで到達したねじSは、エアガン51から噴出される空気によって前方に吹き飛ばされて、前記良品シュート54内に進入する。このように良品シュート54内に進入したねじSは、緩衝部材56に衝突する。この時、良品シュート54の開口部541と緩衝部材56との間に前記カウントセンサ57の検出範囲が配設されており、ねじSが当該検出範囲を通過するため、カウントセンサ57は、制御ユニットに計数信号を出力する。このように良品シュート54内に進入したねじSのみを計数するように構成されており、計数されたねじSの個数と、良品側の容器に貯留されたねじSの個数が同一となるため、後工程でねじSの個数を計数する必要がなくなり、作業効率が向上する。また、前記緩衝部材56が可撓性を有し、なおかつ揺動可能であるため、ねじSの運動エネルギが緩衝部材56の揺動等に使用される。このように、効率的にねじSの勢いが緩和されるため、良品シュート54に進入したねじSが良品シュート54の壁部に跳ね返って外部に飛び出たり、再度カウントセンサ57の検出範囲を通過して2回計数されたりすることが防止され、精度良く計数可能となる。同時に勢いよく衝突したねじSや良品シュート54の破損も防止できる。このように緩衝部材56と当接して勢いが緩和されたねじSは、良品シュート54の下面を滑落して良品側の容器に貯留される。
【0024】
上述の排気手段の駆動時、前記エアガン51がねじSの頭部に空気を噴出する頭部エアガン52およびねじSの脚部に空気を噴出する脚部エアガン53を備えており、ねじSの頭部および軸部への付勢が均等となるため、ねじSは、ほとんど回転することなく前方に吹き飛ばされる。このため、当該ねじSが前記カウントセンサ57の検出範囲を通過する際、回転によって頭部が当該検出範囲に複数回通過すること等が防止され、1個のねじSに対して、複数回計数信号が出力されること等が防止される。また、頭部エアガン52および脚部エアガン53から噴出される空気の量をそれぞれスピードコントローラによって調整可能であるため、頭部が極端に小さく軽いねじSや、脚部が長く重たいねじS等であってもそれぞれの空気量を調節して回転させずに吹き飛ばすことが可能となる。しかも、脚部エアガン53から噴出された空気が先端の傾斜面に沿って前方に流動する構成であるため、脚部エアガン53の角度調節が必要ないとともに、長期間の使用で脚部エアガン53の角度がずれることもない。よって、安定してねじSを良品シュート54まで吹き飛ばすことが可能となる。
【0025】
一方、前記ねじSが不良品と判別された場合、制御ユニットは、当該ねじSがテールプーリ324の間に到達するまでに前記排気手段を停止させる。このため、テールプーリ324の間を通過したねじSは、テールプーリ324の前方で無端ベルト31,31の間が広がっているため、無端ベルト31,31から外れて可能に落下する。これにより、下方に設けられた不良品シュート58を通過して不良品側の容器に貯留される。このように排気手段が停止している場合、ねじSが不良品シュート58に入るよう構成されているため、何らかの不具合で排気手段が停止しても、不良品のねじSが良品シュート54に混入することがない。また、前記良品シュート54の開口部541に昇降可能構成された仕切り板55が設けられており、当該仕切り板55に貫通形成された通過口551を通過しないと良品シュート54に進入できないよう構成されていることにより、エアガン51から噴出された空気が弱い場合、ねじSは、仕切り板55に衝突して不良品シュート58に落下する。このため、万一前段のねじSに対して噴出した際の残圧がエアガン51の内部に残っており、不良品のねじSに対して少量の空気が噴出された場合であっても、当該ねじSは、仕切り板55に衝突して良品シュート54に進入することが防止される。これらのように、不良品のねじSが良品シュート54の進入しないため、不良品のねじSが出荷されることを防止できる。なお、仕切り板55の通過口551が前記カウントセンサ57の検出範囲のより小さく構成されているため、当該通過口551を通過したねじSは、確実にカウントセンサ57の検出範囲を通過することになる。
【0026】
上述のようなねじSの搬送動作において、前記無端ベルト31,31は、前記ガイドレール37および各種プーリ321,322,323,324,325,326の環状溝32aに支持されているため、自重や吊下したねじSの重さで弛むことが防止される。また、搬送ユニット30にテンションプーリ322が設けられており、常時張力が負荷されているため、無端ベルト31,31が伸びても弛むことが防止される。このように、無端ベルト31,31の弛みが防止されていることにより、無端ベルト31,31がプーリ321,322,323,324,325,326から外れることがない。また、本実施形態の搬送ユニット30は、テールプーリ324より前方側に環状溝32aが上下対称な略半円形状に構成されたスナブプーリ325が配置されている。このため、
図4の二点鎖線に示すように従来既知のテールプーリ324からベントプーリ326に向かう無端ベルト31′と比して、無端ベルト31がテールプーリ324に接触する角度が小さくなる。これにより、ねじSと干渉しないよう、環状溝32aが比較的小さく形成され、無端ベルト31,31が外れ易く、なおかつテンションプーリ322から遠く振動や弛みが大きいテールプーリ324に対する無端ベルト31が接触する角度が減少する。同時に環状溝32aが大きく無端ベルト31を強固に保持可能なスナブプーリ325に接触する角度が大きくなる。このため無端ベルト31が上下に位置ずれし難くなる。また、テールプーリ324より前方にスナブプーリ325が配置されているため、無端ベルト31の上下方向の揺れが解消した瞬間、無端ベルト31が若干前方へ滑ることによる撓みがテールプーリ324ではなく、スナブプーリ325付近で発生することとなる。この時、前述のようにスナブプーリ325の環状溝23aが深く上下対称に構成されているため、無端ベルト31がスナブプーリ325から離れることがない。結果、無端ベルト31の脱落が防止される。
【0027】
また、無端ベルト31がテールプーリ324と15度以上接触するよう構成されているため、テールプーリ324を脱落したねじSは、無端ベルト31がテールプーリ324から離反するより前に無端ベルト31から脱落可能となる。このため、不良品のねじSの落下位置が安定する。
【0028】
また、前述のように対となる無端ベルト31の一方基台11に対して横方向に摺動可能に構成された摺動台12に支持されているため、当該摺動台12を移動させて、無端ベルト31,31の間隔を調節すること、異なる大きさのねじ(図示せず、以下、第二のねじという)を検査することが可能となる。この時、前記頭部エアガンの高さを上下に移動させることで、エアガンと第二のねじとが干渉することを防止できる。また、前記仕切り板55が昇降自在に構成されているため、第二のねじの重さに合わせて通過口551の位置を調節可能となる。これにより、ねじの長さや重さを考慮して、エアガンによる前方への付勢を受けた良品のねじは良品シュートに進入可能かつ搬送ユニット30による前進で生じた慣性で不良品のねじが良品シュートに入ることがない適度な高さに通過口551を設定することが可能となる。しかも、エアガンの排気量がスピードコントローラによって設定可能であるため、ねじの頭部および脚部の寸法や重さを考慮して、ねじが回転せず、なおかつ良品シュートに到達可能な排気量を適宜設定可能となる。これにより、一台の検査装置10で複数種類のねじを検査することが可能となる。
【0029】
なお、本発明に係る検査装置10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施形態において、検査対象はねじであったが、これに限定されず、無端ベルト31により吊下可能な頭部を有する有頭部品であれば、リベットや、頭部を挟み、その上下両方におねじが形成されたスタッドボルト等、その他構成であっても何ら問題ない。また、前記脚部エアガン53は、
図5に二点鎖線で示すように示すように下段の脚部エアガン53′を備えた上下二段構成となっていても良い。これにより、脚部側により強く空気を噴出可能となるため、脚部が極端に長く、重心が脚部側に寄っているねじSであっても回転させることなく吹き飛ばし可能となる。また、前記エアガンは、その先端から常時空気を噴出しており、前記検査ユニット40によって不良品と判明したねじSが前記テールプーリ324の間に達した際に一時的に空気の噴出を停止する構成であっても何ら問題ない。さらに、検査ユニット40がねじを上方から撮像する撮像手段42だけでなく側方から撮像する構成やねじの搬送経路上で複数回異なる検査を行う構成であっても何ら問題無い。
【0030】
また、前記分別ユニット50は、
図3および
図4に二点鎖線で示すように前記搬送ユニット30と良品シュート54との間に下方に空気を噴出するエアカーテン59を備えても良い。このエアカーテン59は、テールプーリ324に達したねじSが不良品であった際に空気を噴出するよう構成されており、無端ベルト31から落下したねじSを確実に不良品シュート58まで吹き落とすことが可能となる。よって、前述したようにエアガン51から残圧等により若干空気が噴出されていた場合であっても不良品のねじSが良品シュート54に混入することを防止される。さらに、前記良品シュート54には、良品側の容器までの途中に前記カウントセンサ57が所定の個数計数した際に良品シュート54を途中で一旦封鎖する封鎖弁やねじSを投入する良品側の容器を新規の良品側の容器へ切替える切替手段等を備えていても良い。これにより、検査装置10自体を停止させることなく所定の個数ずつねじSを小分けすることも可能となる。しかも、前記分別ユニット50は、前記到達センサ41に検知されたねじSが規定時間内にテールプーリ324の間に到達したか確認するための第二の到達センサ(図示せず)を備えていても良い。これにより、頭部が異常に大きい不良品のねじSが供給され、当該不良品のねじSが頭部エアガン52に引っ掛かった場合等、搬送経路上で万一ねじSが詰まっても即座に関知して、検査装置10を停止することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
10 … 検査装置
30 … 搬送ユニット
31 … 無端ベルト
321 … 駆動プーリ
321a… 回転駆動源
322 … テンションプーリ
323 … ヘッドプーリ
324 … テールプーリ
325 … スナブプーリ
326 … ベントプーリ
32a … 環状溝
39 … 姿勢保持部材
391 … 収容溝
40 … 検査ユニット
41 … 到達センサ
42 … 第一の撮像手段
50 … 分別ユニット
51 … エアガン
52 … 頭部エアガン
53 … 脚部エアガン
54 … 良品シュート
541 … 開口部
542 … スリット
55 … 仕切り板
551 … 通過口
56 … 緩衝部材
57 … カウントセンサ
571 … 反射部材
58 … 不良品シュート
S … ねじ