(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091011
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207259
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】外山 洋
(72)【発明者】
【氏名】片上 悟
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 裕一
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 和利
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼梨 航
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB13
2C056EB45
2C056EC14
2C056EC29
2C056EC31
2C056FA10
2C056FA13
2C056HA46
2C056HA47
(57)【要約】
【課題】印刷媒体の加熱に伴う形状の変化を低減する。
【解決手段】セット部2と巻取部5と印刷ヘッド3と乾燥炉10とを備え、乾燥炉10は吹き付け加熱部12と接触加熱部11とを有し、印刷モードとして第1モードと第2モードとを有し、第2モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの温度が第1モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの温度よりも低い、及び、第2モードにおける接触加熱部11の加熱温度が第1モードにおける接触加熱部11の加熱温度よりも低い、の少なくとも一方であり、第2モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの風速は、第1モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの風速よりも速い印刷装置1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、
前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、
搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、
前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、
を備え、
前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、
前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、
前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有し、
前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度が前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低い、及び、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度が前記第1モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低い、の少なくとも一方であり、
前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速いことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載された印刷装置において、
前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度が前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、かつ、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度が前記第1モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低いことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低いことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
使用する前記印刷媒体の種類に関する情報を入力する入力部と、
前記入力部から入力された情報に従って、前記印刷モードを設定する印刷モード設定部と、
を備え、
前記印刷モード設定部は、使用する前記印刷媒体の前記画像形成面の材質がフィルムであって前記画像形成面とは反対の面の材質が紙の場合は前記第2モードに前記印刷モードを設定することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、
前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、
搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、
前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、
を備え、
前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、
前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、
前記接触加熱部は、第1接触加熱部と、前記第1接触加熱部よりも前記搬送方向において下流に配置された第2接触加熱部と、を有し、
前記吹き付け加熱部は、第1吹き付け加熱部と、前記第1吹き付け加熱部よりも前記搬送方向において下流に配置された第2吹き付け加熱部と、を有し、
前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有し、
前記第2モードにおける前記第1接触加熱部の加熱温度は、前記第1モードにおける前記第1接触加熱部の加熱温度よりも低く、
前記第2モードにおける前記第2接触加熱部の加熱温度は、前記第1モードにおける前記第2接触加熱部の加熱温度よりも低く、
前記第2モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は、前記第1モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、
前記第2モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は、前記第1モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、
前記第2モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、前記第1モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速く、
前記第2モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、前記第1モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速いことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、
前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、
搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、
前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、
を備え、
前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、
前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、
前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有する印刷装置の印刷方法であって、
前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度を前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低くするか、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度を前記第1モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低くするか、の少なくとも一方とし、
前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速を、前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速くすることを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷媒体にインクを吐出して印刷する様々な印刷装置が使用されている。このうち、印刷媒体を加熱する加熱部を備え、印刷媒体に吐出されたインクを乾燥させることが可能な印刷装置がある。例えば、特許文献1には、印刷媒体の背面から加熱する加熱部を備える印刷装置が開示されている。また、例えば、特許文献2には、媒体(印刷媒体)の表面に熱風を吹き付けて加熱する乾燥部(加熱部)を備える印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-199660号公報
【特許文献2】特開2018-130900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷媒体としては、様々なものが使用されている。例えば、印刷媒体として、印刷媒体の画像形成面がフィルムで形成されるとともに画像形成面とは反対の反対面が紙で形成されるラベル用紙などが使用される場合がある。例えば、ラベル用紙などの画像形成面と反対面とが異なる材料で形成される印刷媒体においては、加熱部による加熱方法によっては、例えば、画像形成面の一部が反対面を構成する部材から浮き上がるなど、印刷媒体の状態が変化してしまう場合がある。特に、印刷媒体の画像形成面がフィルムで形成されるとともに画像形成面とは反対の反対面が紙で形成されるラベル用紙においては、例えば印刷媒体の加熱温度が高すぎると、フィルムが伸びるとともに紙が縮み、画像形成面の一部が反対面に対して浮き上がる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の印刷装置は、ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、を備え、前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有し、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度が前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低い、及び、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度が前記第1モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低い、の少なくとも一方であり、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速いことを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の別の印刷装置は、ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、を備え、前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、前記接触加熱部は、第1接触加熱部と、前記第1接触加熱部よりも前記搬送方向において下流に配置された第2接触加熱部と、を有し、前記吹き付け加熱部は、第1吹き付け加熱部と、前記第1吹き付け加熱部よりも前記搬送方向において下流に配置された第2吹き付け加熱部と、を有し、前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有し、前記第2モードにおける前記第1接触加熱部の加熱温度は、前記第1モードにおける前記第1接触加熱部の加熱温度よりも低く、前記第2モードにおける前記第2接触加熱部の加熱温度は、前記第1モードにおける前記第2接触加熱部の加熱温度よりも低く、前記第2モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は、前記第1モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、前記第2モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は、前記第1モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、前記第2モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、前記第1モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速く、前記第2モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、前記第1モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速いことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するための本発明の印刷方法は、ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、を備え、前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有する印刷装置の印刷方法であって、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度を前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低くするか、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度を前記第1モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低くするか、の少なくとも一方とし、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速を、前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速くすることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例1に係る印刷装置の概略側面図。
【
図3】
図1の印刷装置を使用して行う印刷方法の一例を表すフローチャート。
【
図4】本発明の実施例2に係る印刷装置の乾燥炉の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の印刷装置は、ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、を備え、前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有し、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度が前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低い、及び、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度が前記第1モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低い、の少なくとも一方であり、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速いことを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、第2モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度が第1モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低い、及び、第2モードにおける接触加熱部の加熱温度が第1モードにおける接触加熱部の加熱温度よりも低い、の少なくとも一方であり、第2モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、第1モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速い。すなわち、第2モードでは、印刷媒体を加熱する加熱温度を上げすぎないようにしつつ強い風速で印刷媒体を加熱させる。このため、例えば、形状が変化しやすい印刷媒体を使用した場合に、第2モードを選択することで、加熱温度を上げすぎることで印刷媒体の形状が変化してしまうことを抑制することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に従属する態様であって、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度が前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、かつ、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度が前記第1モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低いことを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、第2モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度が第1モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、かつ、第2モードにおける接触加熱部の加熱温度が第1モードにおける接触加熱部の加熱温度よりも低い。このため、例えば、形状が変化しやすい印刷媒体を使用した場合に、第2モードを選択することで、加熱温度を上げすぎることを特に効果的に抑制でき、印刷媒体の形状が変化してしまうことを特に効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部は、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低いことを特徴とする。
【0014】
例えば、形状が変化しやすい印刷媒体を使用した場合においては、画像形成面の加熱温度が上がりすぎた場合に特に形状が変化しやすい。しかしながら、本態様によれば、第2モードにおける接触加熱部の加熱温度は、第2モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも高い。このため、形状が変化しやすい印刷媒体を使用した場合に、画像形成面の加熱温度が上がりすぎることを特に効果的に抑制でき、印刷媒体の形状が変化してしまうことを特に効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、前記第1または第2の態様に従属する態様であって、使用する前記印刷媒体の種類に関する情報を入力する入力部と、前記入力部から入力された情報に従って、前記印刷モードを設定する印刷モード設定部と、を備え、前記印刷モード設定部は、使用する前記印刷媒体の前記画像形成面の材質がフィルムであって前記画像形成面とは反対の面の材質が紙の場合は前記第2モードに前記印刷モードを設定することを特徴とする。
【0016】
画像形成面の材質がフィルムであって画像形成面とは反対の面の材質が紙の印刷媒体は特に形状が変化しやすいが、本態様によれば、使用する印刷媒体の画像形成面の材質がフィルムであって画像形成面とは反対の面の材質が紙の場合に、入力部に入力される情報にしたがって自動的に第2モードに印刷モードを設定することができる。このため、画像形成面の材質がフィルムであって画像形成面とは反対の面の材質が紙の印刷媒体を使用する場合に、印刷モードの選択のミスの虞を低減できるとともに簡単に、印刷媒体の形状が変化してしまうことを抑制することができる。
【0017】
本発明の第5の態様の印刷装置は、ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、を備え、前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、前記接触加熱部は、第1接触加熱部と、前記第1接触加熱部よりも前記搬送方向において下流に配置された第2接触加熱部と、を有し、前記吹き付け加熱部は、第1吹き付け加熱部と、前記第1吹き付け加熱部よりも前記搬送方向において下流に配置された第2吹き付け加熱部と、を有し、前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有し、前記第2モードにおける前記第1接触加熱部の加熱温度は、前記第1モードにおける前記第1接触加熱部の加熱温度よりも低く、前記第2モードにおける前記第2接触加熱部の加熱温度は、前記第1モードにおける前記第2接触加熱部の加熱温度よりも低く、前記第2モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は、前記第1モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、前記第2モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は、前記第1モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、前記第2モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、前記第1モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速く、前記第2モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、前記第1モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速いことを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、第2モードにおける第1接触加熱部の加熱温度は第1モードにおける第1接触加熱部の加熱温度よりも低く、第2モードにおける第2接触加熱部の加熱温度は第1モードにおける第2接触加熱部の加熱温度よりも低く、第2モードにおける第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は第1モードにおける第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、第2モードにおける第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は第1モードにおける第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、第2モードにおける第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は第1モードにおける第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速く、第2モードにおける第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は第1モードにおける第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速い。すなわち、第2モードでは、印刷媒体を加熱する加熱温度を上げすぎないようにしつつ強い風速で印刷媒体を加熱させる。このため、例えば、形状が変化しやすい印刷媒体を使用した場合に、第2モードを選択することで、加熱温度を上げすぎることで印刷媒体の形状が変化してしまうことを抑制することができる。
【0019】
本発明の第6の態様の印刷方法は、ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、を備え、前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有する印刷装置の印刷方法であって、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度を前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低くするか、前記第2モードにおける前記接触加熱部の加熱温度を前記第1モードにおける前記接触加熱部の加熱温度よりも低くするか、の少なくとも一方とし、前記第2モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速を、前記第1モードにおける前記吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速くすることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、第2モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度が第1モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低い、及び、第2モードにおける接触加熱部の加熱温度が第1モードにおける接触加熱部の加熱温度よりも低い、の少なくとも一方であり、第2モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は、第1モードにおける吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速い。すなわち、第2モードでは、印刷媒体を加熱する加熱温度を上げすぎないようにしつつ強い風速で印刷媒体を加熱させる。このため、例えば、形状が変化しやすい印刷媒体を使用した場合に、第2モードを選択することで、加熱温度を上げすぎることで印刷媒体の形状が変化してしまうことを抑制することができる。
【0021】
本発明の第7の態様の印刷方法は、ロール状の印刷媒体をセットするセット部と、前記セット部から搬送される前記印刷媒体を巻き取る巻取部と、搬送される前記印刷媒体の画像形成面にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッドと、前記印刷媒体の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも前記印刷媒体の搬送方向の下流に配置され、前記印刷媒体に吐出された前記インクを乾燥させる乾燥炉と、を備え、前記乾燥炉は、前記印刷媒体を加熱する加熱部を有し、前記加熱部は、前記画像形成面に加熱した気体を吹き付ける吹き付け加熱部と、前記印刷媒体の前記画像形成面とは反対の面に接触して前記印刷媒体を加熱する接触加熱部と、を有し、前記接触加熱部は、第1接触加熱部と、前記第1接触加熱部よりも前記搬送方向において下流に配置された第2接触加熱部と、を有し、前記吹き付け加熱部は、第1吹き付け加熱部と、前記第1吹き付け加熱部よりも前記搬送方向において下流に配置された第2吹き付け加熱部と、を有し、前記印刷媒体に前記画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有する印刷装置の印刷方法であって、前記第2モードにおける前記第1接触加熱部の加熱温度を、前記第1モードにおける前記第1接触加熱部の加熱温度よりも低くし、前記第2モードにおける前記第2接触加熱部の加熱温度を、前記第1モードにおける前記第2接触加熱部の加熱温度よりも低くし、前記第2モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度を、前記第1モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低くし、前記第2モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度を、前記第1モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低くし、前記第2モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速を、前記第1モードにおける前記第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速くし、前記第2モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速を、前記第1モードにおける前記第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速くすることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、第2モードにおける第1接触加熱部の加熱温度は第1モードにおける第1接触加熱部の加熱温度よりも低く、第2モードにおける第2接触加熱部の加熱温度は第1モードにおける第2接触加熱部の加熱温度よりも低く、第2モードにおける第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は第1モードにおける第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、第2モードにおける第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度は第1モードにおける第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の温度よりも低く、第2モードにおける第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は第1モードにおける第1吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速く、第2モードにおける第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速は第1モードにおける第2吹き付け加熱部が吹き付ける気体の風速よりも速い。すなわち、第2モードでは、印刷媒体を加熱する加熱温度を上げすぎないようにしつつ強い風速で印刷媒体を加熱させる。このため、例えば、形状が変化しやすい印刷媒体を使用した場合に、第2モードを選択することで、加熱温度を上げすぎることで印刷媒体の形状が変化してしまうことを抑制することができる。
【0023】
[実施例1]
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を具体的に説明する。最初に、本発明の印刷装置1の一例としての実施例1の印刷装置1Aの概要について
図1を参照して説明する。
図1で表されるように、本実施例の印刷装置1Aは、ロール状の印刷媒体Pをセットするセット部2と、セット部2から搬送される印刷媒体Pを巻き取る巻取部5と、セット部2から巻取部5までの搬送経路において搬送方向Aに搬送される印刷媒体Pの画像形成面P1にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッド3と、を備えている。また、印刷ヘッド3によって画像が形成される画像形成領域において印刷媒体Pを支持するプラテン4と、印刷媒体Pの搬送経路に複数設けられた印刷媒体Pの搬送部としての搬送ローラー6と、を備えている。さらに、本実施例の印刷装置1AはCPUや記憶部などを有する制御部7を備えており、本実施例の印刷装置1Aの各構成部材は制御部7による制御により駆動する。
【0024】
印刷ヘッド3は、搬送方向Aに搬送される印刷媒体Pの画像形成面P1と対向する側に設けられ、印刷媒体Pの画像形成面P1とは反対側の反対面P2がプラテン4で支持された状態で、画像形成面P1にインクを吐出して画像を形成する。詳細には、本実施例の印刷装置1Aは、印刷ヘッド3を搬送方向Aに沿う走査方向Cに往復移動させて印刷する。さらに詳細には、本実施例の印刷装置1Aは、印刷媒体Pを搬送方向Aに間欠駆動(間欠搬送)させるとともに、走査方向Cに印刷ヘッド3を往復移動させ、印刷ヘッド3からインクを吐出して印刷する。
【0025】
なお、本実施例の印刷ヘッド3は、1回の走査(1パス)で画像形成面P1におけるプラテン4に支持された画像形成領域全体の画像形成を完了させることができるとともに、画像形成領域全体を複数回の走査(複数パス)を行うことにより画像形成を完了させることもできる。1パスで画像形成を完了させる場合に比べ、複数パスで画像形成を完了させる場合は、当然のことながら間欠搬送に伴う印刷媒体Pの搬送停止時間は長くなる。
【0026】
上記のように、本実施例の印刷ヘッド3は、搬送方向Aに沿う走査方向Cに往復移動させて印刷する構成である。ただし、印刷ヘッド3の構成に特に限定は無い。搬送方向Aに沿う走査方向Cに往復移動させて印刷する印刷ヘッド3の代わりに、搬送方向Aと交差する幅方向Bに往復移動させて印刷する印刷ヘッド3を備えていてもよいし、印刷媒体Pの幅方向Bの全体に亘ってインクを吐出するノズルが幅方向Bに沿って並べて設けられ印刷ヘッドが停止した状態で印刷する所謂ラインヘッドを備えていてもよい。
【0027】
また、
図1で表されるように、印刷媒体Pの搬送経路において印刷ヘッド3よりも搬送方向Aの下流には、印刷媒体Pに吐出されたインクを乾燥させる乾燥炉10としての乾燥炉10Aを備えている。そこで、以下に、本実施例の印刷装置1Aの乾燥炉10Aの詳細について、
図2を参照して説明する。
【0028】
図2で表されるように、本実施例の印刷装置1Aの乾燥炉10Aは、印刷媒体Pを加熱する加熱部として、印刷媒体Pの反対面P2に接触して印刷媒体Pを加熱する接触式のヒーターである接触加熱部11と、画像形成面P1に加熱した気体Gを吹き付ける吹き付け加熱部12と、を有している。このため、本実施例の印刷装置1Aは、2種類の加熱部により効率的に印刷媒体Pに吐出されたインクを乾燥させることが可能な構成となっている。
【0029】
ここで、本実施例の印刷装置1Aは、様々な種類の印刷媒体Pを使用可能に構成されている。そして、使用する印刷媒体Pの種類に応じて、印刷媒体Pに画像を形成する際の印刷モードを変更可能に構成されている。具体的には、本実施例の印刷装置1Aは、印刷モードとして第1モードと第2モードとを有しており、ユーザーがPC9のユーザーインターフェースや印刷装置1Aに設けられた操作パネル8などを介して使用する印刷媒体Pの種類を選択することに伴い、その情報が制御部7に入力され、制御部7は印刷モードを第1モードまたは第2モードのいずれか一方に設定する。
【0030】
以下に、印刷モードの設定の具体的な実施例を含む本実施例の印刷装置1Aを用いて行う印刷方法の一例について、
図3のフローチャートを用いて説明する。なお、上記のように、本実施例の印刷装置1Aは、ロール状の印刷媒体Pをセットするセット部2と、セット部2から搬送される印刷媒体Pを巻き取る巻取部5と、搬送される印刷媒体Pの画像形成面P1にインクを吐出して画像を形成する印刷ヘッド3と、印刷媒体Pの搬送経路において印刷ヘッド3よりも搬送方向Aの下流に配置され印刷媒体Pに吐出されたインクを乾燥させる乾燥炉10と、を備えている。また、本実施例の印刷装置1Aの乾燥炉10は、印刷媒体Pを加熱する加熱部として、画像形成面P1に加熱した気体Gを吹き付ける吹き付け加熱部12と、印刷媒体Pの反対面P2に接触して印刷媒体Pを加熱する接触加熱部11と、を有している。吹き付け加熱部12としては例えば熱風を吹き付け可能なファン、接触加熱部11としては例えばニクロム線などが配置された金属板などを使用することができる。そして、本実施例の印刷装置1Aは、印刷媒体Pに画像を形成する印刷モードとして、第1モードと第2モードとを有している。以下の印刷方法はこのような構成の印刷装置で実行可能な印刷方法である。
【0031】
印刷を開始するに伴い、ユーザーは、最初に、ステップS110の印刷モード設定工程で、PC9や印刷装置1Aに設けられた操作パネル8などを介して、使用する印刷媒体Pを選択する。なお、本実施例の印刷装置1Aは、例えば、画像形成面P1及び反対面P2が共に紙の印刷媒体P、画像形成面P1及び反対面P2が共にフィルムの印刷媒体P、画像形成面P1がフィルムであり反対面P2が紙の印刷媒体P、画像形成面P1が紙であり反対面P2がフィルムの印刷媒体P、など様々な印刷媒体Pを使用可能である。ユーザーによる印刷媒体Pの選択に従って、制御部7は印刷モードを第1モードと第2モードとのいずれかに設定する。ここで、本実施例の印刷方法においては、画像形成面P1及び反対面P2が共に紙の印刷媒体P、或いは、画像形成面P1及び反対面P2が共にフィルムの印刷媒体P、がユーザーにより選択された場合は、制御部7により第1モードに印刷モードが設定される。一方、画像形成面P1がフィルムであり反対面P2が紙の印刷媒体P、或いは、画像形成面P1が紙であり反対面P2がフィルムの印刷媒体P、がユーザーにより選択された場合は、制御部7により第2モードに印刷モードが設定される。
【0032】
次に、ステップS120の気体温度設定工程で、吹き付け加熱部12で吹き付ける気体Gの温度を設定する。ここで、本実施例の印刷方法においては、ステップS110の印刷モード設定工程で第1モードに印刷モードが設定された場合は、吹き付け加熱部12で吹き付ける気体Gの温度が75℃に設定される。一方、ステップS110の印刷モード設定工程で第2モードに印刷モードが設定された場合は、吹き付け加熱部12で吹き付ける気体Gの温度が55℃に設定される。
【0033】
次に、ステップS130のヒーター温度設定工程で、接触加熱部11に設けられるヒーターの温度を設定する。ここで、本実施例の印刷方法においては、ステップS110の印刷モード設定工程で第1モードに印刷モードが設定された場合は、ヒーターの温度が75℃に設定される。一方、ステップS110の印刷モード設定工程で第2モードに印刷モードが設定された場合は、ヒーターの温度が70℃に設定される。
【0034】
次に、ステップS140の風速設定工程で、吹き付け加熱部12で吹き付ける気体Gの風速を設定する。ここで、本実施例の印刷方法においては、ステップS110の印刷モード設定工程で第1モードに印刷モードが設定された場合は、吹き付け加熱部12で吹き付ける気体Gの風速が10m/sに設定される。一方、ステップS110の印刷モード設定工程で第2モードに印刷モードが設定された場合は、吹き付け加熱部12で吹き付ける気体Gの温度が20m/sに設定される。
【0035】
ここで、ステップS120の気体温度設定工程、ステップS130のヒーター温度設定工程、ステップS140の風速設定工程は、
図3のフローチャートの順番通りに行う必要はなく、異なる順番で行ってもよいし、これらの少なくとも2つを同時に行ってもよい。なお、本実施例において、ステップS120の気体温度設定工程、ステップS130のヒーター温度設定工程、ステップS140の風速設定工程、で設定した各項目をまとめると、下記表1のようになる。
【0036】
【0037】
次に、ステップS150の印刷実行工程で、印刷媒体Pを搬送方向Aに搬送するとともに、印刷ヘッド3からインクを吐出して画像形成面P1に所望の画像を形成する。そして、画像形成面P1に所望の画像を形成し終えるとともに、本実施例の印刷方法を終了する。
【0038】
本実施例の印刷方法のように、第2モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの温度が第1モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの温度よりも低い、及び、第2モードにおける接触加熱部11の加熱温度が第1モードにおける接触加熱部11の加熱温度よりも低い、の少なくとも一方とし、第2モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの風速は、第1モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの風速よりも速くすることが好ましい。このような印刷媒体Pの乾燥条件とすることで、第2モードでは、印刷媒体Pを加熱する加熱温度を上げすぎないようにしつつ強い風速で印刷媒体Pを加熱させることができるためである。そして、例えば、形状が変化しやすい印刷媒体Pを使用した場合に、第2モードを選択することで、加熱温度を上げすぎることで印刷媒体Pの形状が変化してしまうことを抑制することができる。
【0039】
なかでも、本実施例の印刷方法のように、第2モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの温度が第1モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの温度よりも低く、かつ、第2モードにおける接触加熱部11の加熱温度が第1モードにおける接触加熱部11の加熱温度よりも低いことが好ましい。例えば、形状が変化しやすい印刷媒体Pを使用した場合に、第2モードを選択することで、加熱温度を上げすぎることを特に効果的に抑制でき、印刷媒体Pの形状が変化してしまうことを特に効果的に抑制することができるためである。ただし、このような構成に限定されず、例えば、表1において第2モードにおける接触加熱部11の加熱温度(ヒーター温度)を75℃とする、或いは、第2モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの温度(気体温度)を75℃とする、のいずれか一方のみを変更して採用してもよい。
【0040】
例えば、形状が変化しやすい印刷媒体Pを使用した場合においては、画像形成面P1の加熱温度が上がりすぎた場合に特に形状が変化しやすい。しかしながら、表1で表されるように、本実施例の印刷方法においては、第2モードにおける接触加熱部11の加熱温度は70℃であり、第2モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの温度は55℃であり、第2モードにおける吹き付け加熱部12が吹き付ける気体Gの温度は、第2モードにおける接触加熱部11の加熱温度よりも低い。このようにすることで、本実施例の印刷方法においては、形状が変化しやすい印刷媒体Pを使用した場合に、画像形成面P1の加熱温度が上がりすぎることを特に効果的に抑制でき、印刷媒体Pの形状が変化してしまうことを特に効果的に抑制することができる。
【0041】
また、上記のように、本実施例の印刷装置1Aは、制御部7を備え、制御部7は、入力部としてのPC9や操作パネル8を介して使用する印刷媒体Pの種類に関する情報を入力し、該入力部から入力された情報に従って、印刷モードを設定する印刷モード設定部の役割をしている。そして、上記のように、印刷モード設定部としての制御部7は、ステップS110の印刷モード設定工程で、使用する印刷媒体Pの画像形成面P1の材質がフィルムであって反対面P2の材質が紙の場合は第2モードに印刷モードを設定する。
【0042】
画像形成面P1の材質がフィルムであって反対面P2の材質が紙の印刷媒体Pは特に形状が変化しやすいが、本実施例の印刷装置1Aは、使用する印刷媒体Pの画像形成面P1の材質がフィルムであって反対面P2の材質が紙の場合に、入力部から入力されるその印刷媒体Pの材質の情報にしたがって、自動的に第2モードに印刷モードを設定することができる。このため、本実施例の印刷装置1Aは、画像形成面P1の材質がフィルムであって反対面P2の材質が紙の印刷媒体Pを使用する場合に、印刷モードの選択のミスの虞を低減できるとともに簡単に、印刷媒体Pの形状が変化してしまうことを抑制することができる。
【0043】
なお、画像形成面P1及び反対面P2の材質がフィルム同士である場合や紙同士である場合など同系種の場合は、印刷媒体Pは形状が変化しにくい。このため、上記のように、本実施例の印刷装置1Aは、画像形成面P1及び反対面P2の材質が同系種の場合は、入力部から入力されるその印刷媒体Pの材質の情報にしたがって、自動的に第1モードに印刷モードを設定することができる。
【0044】
[実施例2]
次に、実施例2の印刷装置1Bについて、
図4を用いて説明する。なお、
図4は実施例1の印刷装置1における
図2に対応する図であり。
図4において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Bは、乾燥炉10の構成以外は実施例1の印刷装置1Aと同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Bは、実施例1の印刷装置1Aと同様の特徴を有している。
【0045】
図4で表されるように、本実施例の印刷装置1Bは、乾燥炉10として、第1領域101、第2領域102、第3領域103、第4領域104、に区分け可能な乾燥炉10Bを備えている。そして、接触加熱部11は第1領域101と第2領域102とに跨って配置され、吹き付け加熱部12は第3領域103と第4領域104とに跨って配置されている。ここで、接触加熱部11は第1領域101と第2領域102とで異なる加熱温度で印刷媒体Pを加熱することが可能であり、吹き付け加熱部12は第3領域103と第4領域104とで異なる温度及び異なる風速で気体Gを印刷媒体Pに吹き付け可能である。
【0046】
別の表現をすると、接触加熱部11は、第1領域101において印刷媒体Pを加熱する第1接触加熱部11Aと、第1接触加熱部11Aが配置された第1領域101よりも搬送方向Aにおいて下流に配置された第2領域102において印刷媒体Pを加熱する第2接触加熱部11Bと、を有している。そして、吹き付け加熱部12は、第3領域103において印刷媒体Pに気体Gを吹き付ける第1吹き付け加熱部12Aと、第1吹き付け加熱部が配置された第3領域103よりも搬送方向Aにおいて下流に配置された第4領域104において印刷媒体Pに気体Gを吹き付ける第2吹き付け加熱部12Bと、を有している。
【0047】
また、本実施例の印刷装置1Bは、印刷モードとして、実施例1の印刷装置1と同様に第1モードと第2モードとを有し、
図3のフローチャートで表されるフローに従って下記の条件で印刷方法を実行することができる。そのフローにおいて、第2モードにおける第1接触加熱部11Aの加熱温度を第1モードにおける第1接触加熱部11Aの加熱温度よりも低くし、第2モードにおける第2接触加熱部11Bの加熱温度を第1モードにおける第2接触加熱部11Bの加熱温度よりも低くする。そして、第2モードにおける第1吹き付け加熱部12Aが吹き付ける気体Gの温度を第1モードにおける第1吹き付け加熱部12Aが吹き付ける気体Gの温度よりも低くし、第2モードにおける第2吹き付け加熱部12Bが吹き付ける気体の温度を第1モードにおける第2吹き付け加熱部12Bが吹き付ける気体Gの温度よりも低くする。さらに、第2モードにおける第1吹き付け加熱部12Aが吹き付ける気体Gの風速を第1モードにおける第1吹き付け加熱部12Aが吹き付ける気体Gの風速よりも速くし、第2モードにおける第2吹き付け加熱部12Bが吹き付ける気体Gの風速を第1モードにおける第2吹き付け加熱部12Bが吹き付ける気体Gの風速よりも速くする。
【0048】
すなわち、本実施例の印刷装置1Bは、実施例1の印刷装置1Aと同様、第2モードでは、印刷媒体Pを加熱する加熱温度を上げすぎないようにしつつ強い風速で印刷媒体Pを加熱させることができる。このため、本実施例の印刷装置1Bは、実施例1の印刷装置1Aと同様、例えば、形状が変化しやすい印刷媒体Pを使用した場合に、第2モードを選択することで、加熱温度を上げすぎることで印刷媒体Pの形状が変化してしまうことを抑制することができる。なお、本実施例の印刷装置1Bを使用した印刷方法において、
図3のフローチャートにおける、ステップS120の気体温度設定工程、ステップS130のヒーター温度設定工程、ステップS140の風速設定工程、で設定可能な、好ましい一例としての各項目の条件をまとめると、下記表2のようになる。印刷媒体Pの種類により第1モード及び第2モードのどちらを設定するかについての条件については、例えば、実施例1の印刷装置1Aと同様とすることができる。
【0049】
【0050】
なお、表2からわかるように、本実施例の印刷装置1Bは、第2モードにおいては、搬送方向Aにおける上流の第1領域101及び第3領域103で、搬送方向Aにおける下流の第2領域102及び第4領域104よりも気体温度及びヒーター温度を低くしている。これは、乾燥炉10に入った直後に高温で印刷媒体Pを加熱すると、乾燥炉10の外部の温度と乾燥炉10の内部の温度差が大きく、印刷媒体Pの変形が大きくなってしまうので、乾燥炉10の上流では低温で加熱することで、乾燥炉10の外部との温度差を小さくして印刷媒体Pの変形量を小さく抑え、乾燥炉10の下流では上流で低温加熱することによって不足する熱量を補うように高温で加熱することにより、乾燥速度も担保しているためである。
【0051】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…印刷装置、1A…印刷装置、1B…印刷装置、2…セット部、3…印刷ヘッド、4…プラテン、5…巻取部、6…搬送ローラー、7…制御部、8…操作パネル(入力部)、9…PC(入力部)、10…乾燥炉、10A…乾燥炉、10B…乾燥炉、11…接触加熱部、11A…第1接触加熱部、11B…第2接触加熱部、12…吹き付け加熱部、12A…第1吹き付け加熱部、12B…第2吹き付け加熱部、101…第1領域、102…第2領域、103…第3領域、104…第4領域、G…気体、P…印刷媒体、P1…画像形成面、P2…反対面