IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

特開2024-91042監視装置、駆動システム、電力変換装置、監視方法、プログラム
<>
  • 特開-監視装置、駆動システム、電力変換装置、監視方法、プログラム 図1
  • 特開-監視装置、駆動システム、電力変換装置、監視方法、プログラム 図2
  • 特開-監視装置、駆動システム、電力変換装置、監視方法、プログラム 図3
  • 特開-監視装置、駆動システム、電力変換装置、監視方法、プログラム 図4
  • 特開-監視装置、駆動システム、電力変換装置、監視方法、プログラム 図5
  • 特開-監視装置、駆動システム、電力変換装置、監視方法、プログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091042
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】監視装置、駆動システム、電力変換装置、監視方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240627BHJP
   H02P 21/00 20160101ALI20240627BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02P21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207320
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 修平
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H505BB06
5H505CC05
5H505DD03
5H505DD05
5H505DD08
5H505EE41
5H505EE49
5H505HA06
5H505HA09
5H505HA10
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ22
5H505JJ26
5H505LL01
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL28
5H505MM06
5H505MM12
5H770AA17
5H770BA01
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770HA02W
5H770HA03W
5H770HA04W
5H770JA10X
5H770JA17W
5H770JA17Y
5H770LA00Y
5H770LB09
(57)【要約】
【課題】駆動装置と交流電動機との間の開閉装置のアークの発生に対して適切に対処することが可能な技術を提供する
【解決手段】本開示の一実施形態に係る監視装置350は、開閉装置500が設けられる出力経路OLを通じて交流電動機100と接続される電力変換装置300に交流電源200から供給される電力の変化に基づき、開閉装置500のアークの発生の有無を監視し、交流電動機100の直流励磁の運転状態において、開閉装置500のアークの発生があると判定すると、アークの発生に関する信号を出力する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視し、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力する、
監視装置。
【請求項2】
前記駆動装置に前記所定の電源から供給される電力が所定基準に対して相対的に大きくなっている場合に、前記アークの発生があると判定する、
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記交流電動機の一次角周波数に基づき、前記交流電動機が直流励磁の運転状態であるか否かを判定する、
請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記所定の電源と前記駆動装置との間の第2の電力経路の電流を検出する電流検出部と、
前記第2の電力経路の電圧を検出する電圧検出部と、
前記電流検出部及び前記電圧検出部の検出結果に基づき、前記所定の電源から前記駆動装置に供給される電力を演算する電力演算部と、
前記電力演算部の演算結果に基づき、前記アークの発生の有無を判定する判定部と、を備える、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記アークの発生に関する信号の出力に応じて、前記交流電動機への電力供給を停止させる停止制御部を備える、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の監視装置。
【請求項6】
前記停止制御部は、前記駆動装置を稼働停止させること、及び前記所定の電源と前記駆動装置との間の第2の電力経路に設けられる第2の開閉装置を閉状態から開状態に切り換えることの少なくとも一方を行うことにより、前記交流電動機への電力供給を停止させる、
請求項5に記載の監視装置。
【請求項7】
前記アークの発生に関する信号の出力に応じて、前記アークの発生をユーザに通知する通知部を備える、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の監視装置。
【請求項8】
前記駆動装置を用いて、前記交流電動機の駆動制御を行う駆動制御部を備え、
前記駆動制御部により前記駆動制御の過程で生成される情報に基づき、前記交流電動機が直流励磁の運転状態であるか否かを判定する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の監視装置。
【請求項9】
第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置を用いて、前記交流電動機の駆動制御を行う制御装置と、
前記駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視し、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力する監視装置と、を備える、
駆動システム。
【請求項10】
第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動部と、
前記駆動部を用いて、前記交流電動機の駆動制御を行う制御部と、
前記駆動部に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視し、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力する監視部と、を備える、
電力変換装置。
【請求項11】
監視装置が、第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視し、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力する、
監視方法。
【請求項12】
情報処理装置に、
第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視させ、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インバータ装置等の駆動装置と交流電動機との間に開閉装置が設けられる駆動システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-251867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、駆動装置から交流電動機に駆動電力が出力されている状態で、誤動作等によって開閉装置が閉状態から開状態に移行されると、開閉装置の電極間にアークが発生し、アークが発生する限り、駆動装置と交流電動機との間に電流が流れる。そのため、例えば、交流電動機が直流励磁の運転状態にある場合のように、アークの継続時間が相対的に長くなると、開閉装置の寿命が短くなったり、アークによる発熱で開閉装置の温度が上昇し開閉装置が故障に至ったりする可能性がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、駆動装置と交流電動機との間の開閉装置のアークの発生に対して適切に対処することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視し、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力する、
監視装置が提供される。
【0007】
また、本開示の他の実施形態では、
第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置を用いて、前記交流電動機の駆動制御を行う制御装置と、
前記駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視し、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力する監視装置と、を備える、
駆動システムが提供される。
【0008】
また、本開示の更に他の実施形態では、
第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動部と、
前記駆動部を用いて、前記交流電動機の駆動制御を行う制御部と、
前記駆動部に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視し、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力する監視部と、を備える、
電力変換装置が提供される。
【0009】
また、本開示の更に他の実施形態では、
第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視し、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力する、
監視方法が提供される。
【0010】
また、本開示の更に他の実施形態では、
情報処理装置に、
第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、前記第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視させ、前記交流電動機の直流励磁の運転状態において、前記アークの発生があると判定すると、前記アークの発生に関する信号を出力させる、
プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
上述の実施形態によれば、駆動装置と交流電動機との間の開閉装置のアークの発生に対して適切に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】駆動システムの構成の一例を示す図である。
図2】制御回路の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3】監視装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】交流電動機の直流励磁の運転状態において、開閉装置が閉状態から開状態に移行した際の電力変換装置の出力電圧及び出力電流の時間変化の一例を示す図である。
図5】交流電動機の直流励磁の運転状態において、開閉装置が閉状態から開状態に移行した際の入力電力の時間変化の一例を示す図である。
図6】監視装置による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0014】
[駆動システムの概要]
図1を参照して、本実施形態に係る駆動システム1の概要について説明する。
【0015】
図1は、駆動システム1の第1例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、駆動システム1は、交流電動機100と、交流電源200と、電力変換装置300と、開閉装置400と、開閉装置500と、電流センサ600と、電圧センサ700とを含む。
【0017】
駆動システム1は、交流電源200から供給される交流電力を用いて、電力変換装置300から交流電動機100の駆動電力を出力し、交流電動機100を駆動する。
【0018】
交流電動機100は、駆動システム1の駆動対象の機器である。交流電動機100は、例えば、同期電動機や誘導電動機である。
【0019】
交流電源200は、入力経路ILを通じて、電力変換装置300と接続され、電力変換装置300に交流電力を供給する。例えば、入力経路ILは、R相の入力経路IL1と、S相の入力経路IL2と、T相の入力経路IL3とを含み、交流電源200は、入力経路IL1~IL3を通じて、R相、S相、及びT相の三相交流電力を電力変換装置300に供給する。
【0020】
電力変換装置300は、交流電源200から供給される交流電力を交流電動機100の駆動電力に変換し出力する。電力変換装置300は、主回路302と、制御回路340と、監視装置350とを含む。
【0021】
主回路302は、整流回路310と、平滑回路320と、インバータ回路330とを含む。
【0022】
整流回路310は、交流電源200から入力される三相交流電力を整流し、直流電力を出力可能に構成される。整流回路310は、正側及び負側の出力端のそれぞれが正ライン及び負ラインの一端に接続され、正ライン及び負ラインを通じて、直流電力を平滑回路320に出力することができる。例えば、整流回路310は、6つの半導体ダイオードを含み、上下アームを構成する2つの半導体ダイオードの直列接続体が3組並列接続されるブリッジ型全波整流回路である。この場合、R相、S相、及びT相の入力線(入力経路IL1~IL3)は、それぞれ、3組の上下アームの中間点に接続される。
【0023】
平滑回路320は、整流回路310から出力される直流電力やインバータ回路330から回生される直流電力の脈動を抑制し、平滑化する。
【0024】
例えば、図1に示すように、平滑回路320は、平滑コンデンサを含む。
【0025】
平滑コンデンサは、整流回路310やインバータ回路330と並列に、正ライン及び負ラインを繋ぐ経路に設けられてよい。
【0026】
平滑コンデンサは、適宜、充放電を繰り返しながら、整流回路310から出力される直流電力やインバータ回路330から出力(回生)される直流電力を平滑化する。
【0027】
平滑コンデンサは、一つであってよい。また、平滑コンデンサは、複数配置されてもよく、複数の平滑コンデンサが正ライン及び負ラインの間に並列接続されてもよいし、直列接続されてもよい。また、複数の平滑コンデンサは、2以上の平滑コンデンサの直列接続体が正ライン及び負ラインの間に複数並列接続される形で構成されてもよい。
【0028】
また、平滑回路320は、リアクトルを含んでもよい。
【0029】
リアクトルは、整流回路310と平滑コンデンサとの間の正ラインに設けられてよい。
【0030】
リアクトルは、適宜、電流の変化を妨げるように電圧を発生させながら、整流回路310から出力される直流電力やインバータ回路330から出力(回生)される直流電力を平滑化する。
【0031】
インバータ回路330は、平滑回路320から入力される直流電力を、所望の電圧や周波数のU相、V相、及びW相の三相交流の電力に変換し、出力経路OLを通じて、交流電動機100に出力する。
【0032】
インバータ回路330は、半導体スイッチと、還流ダイオードとを含む。半導体スイッチは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やHEMT(High Electron Mobility Transistor)等である。また、半導体スイッチは、例えば、ケイ素(シリコン:Si)を主材料として構成される。また、半導体スイッチは、ワイドバンドギャップ半導体材料を主材料として構成されてもよい。ワイドバンドギャップ半導体材料は、例えば、炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)、窒化ガリウム(ガリウムナイトライド:GaN)、酸化ガリウム(ガリウムオキサイド:Ga)、炭素(ダイヤモンド:C)等である。具体的には、上下アームに相当する2つの半導体スイッチの直列接続体(スイッチレグ)が3組設けられ、3組のスイッチレグが正ライン及び負ラインの間に並列接続される。そして、3組のスイッチレグの上下アームの中間点からU相、V相、及びW相の端子が引き出され、交流電動機100のU相、V相、及びW相の端子に繋がる出力経路OLに接続される。出力経路OLは、U相の出力経路OL1と、V相の出力経路OL2と、W相の出力経路OL3とを含む。還流ダイオードは、順方向が負ライン側から正ライン側に向かう形で、それぞれの半導体スイッチに並列接続される。
【0033】
制御回路340は、インバータ回路330を用いて、交流電動機100を駆動制御する。具体的には、制御回路340は、インバータ回路330の半導体スイッチに制御指令を出力することにより、インバータ回路330から所望の電圧及び周波数を有する駆動電力を出力させ、交流電動機100を駆動制御する。
【0034】
制御回路340の機能は、任意のハードウェアや任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。例えば、制御回路340は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置を含むコンピュータや半導体スイッチのゲート端子を駆動する駆動回路等によって構成される。メモリ装置は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等を含む。補助記憶装置は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリ等を含む。インタフェース装置は、例えば、外部の記録媒体と接続する外部インタフェースや他の機器と通信を行うための通信インタフェース等を含む。制御回路340は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能を実現することができる。また、制御回路340は、外部インタフェースを通じて、記録媒体からプログラムを取り込みインストールしたり、通信インタフェースを通じて、他の機器からプログラムを取り込みインストールしたりすることができる。
【0035】
監視装置350は、開閉装置500の異常の有無を監視する。監視対象の異常は、例えば、電力変換装置300から出力経路OLに電力が出力されている状態で、開閉装置500が誤作動や誤操作等によって閉状態から開状態に移行した場合に開放された電極間に生じるアークである。
【0036】
監視装置350の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現される。例えば、監視装置350は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置を含むコンピュータを中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAMやDRAM等を含む。補助記憶装置は、例えば、EEPROMやフラッシュメモリ等を含む。インタフェース装置は、例えば、外部の記録媒体と接続する外部インタフェースや他の機器と通信を行うための通信インタフェース等を含む。監視装置350は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能を実現することができる。また、監視装置350は、外部インタフェースを通じて、記録媒体からプログラムを取り込みインストールしたり、通信インタフェースを通じて、他の機器からプログラムを取り込みインストールしたりすることができる。
【0037】
開閉装置400は、交流電源200と電力変換装置300との間の入力経路ILに設けられる。
【0038】
開閉装置400は、入力経路ILが電気的に繋がる閉状態と入力経路ILが遮断される開状態とを切り換える。開閉装置400は、例えば、電磁接触器(コンタクタ)や電磁開閉器である。開閉装置400は、入力経路IL1~IL3のそれぞれの開閉状態を切り換える開閉装置410,420,430を含み、開閉装置410,420,430は、連動して開状態及び閉状態が切り換えられる。
【0039】
開閉装置500は、電力変換装置300と交流電動機100との間の出力経路OLに設けられる。
【0040】
開閉装置500は、出力経路OLが電気的に繋がる閉状態と出力経路OLが遮断される開状態とを切り換える。開閉装置500は、例えば、電磁接触器や電磁開閉器である。開閉装置500は、出力経路OL1~OL3のそれぞれの開閉状態を切り換える開閉装置510,520,530を含み、開閉装置510,520,530は、連動して閉状態及び開状態が切り換えられる。
【0041】
電流センサ600は、入力経路ILの電流を表す信号を出力する。例えば、電流センサ600は、入力経路IL1,IL2,IL3のそれぞれの相電流を表す信号を出力する電流センサ610,620,630を含む。電流センサ600の出力信号は、電力変換装置300に取り込まれ、監視装置350に入力される。
【0042】
電圧センサ700は、入力経路ILの電圧を表す信号を出力する。例えば、電圧センサ700は、入力経路IL1,IL2,IL3のそれぞれの相電圧を表す信号を出力する電圧センサ710,720,730を含む。電圧センサ700の出力信号は、電力変換装置300に取り込まれ、監視装置350に入力される。
【0043】
[インバータ制御回路の機能構成]
次に、図2を参照して、制御回路340の機能構成について説明する。
【0044】
図2は、制御回路340の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0045】
図2に示すように、制御回路340は、機能部として、速度調節器341と、滑り周波数演算部342と、位相角演算部343と、ベクトル変換器344と、電流調節器345と、ベクトル逆変換器346とを含む。
【0046】
速度調節器341は、交流電動機100の回転速度の指令値ωrefと、検出値ωdetとの偏差に基づき、その偏差をゼロに近づけるための交流電動機100のd軸電流及びq軸電流に関する制御指令(以下、「電流指令値」)Id*,Iq*を出力する。検出値ωdetは、例えば、交流電動機100の回転状態を表す信号を出力する回転状態センサの出力に基づき取得される。回転状態センサは、例えば、エンコーダである。速度調節器341は、例えば、PI(Proportional Integral)制御器である。
【0047】
尚、例えば、センサレス制御が採用される場合、交流電動機100の回転速度の検出値ωdetに代えて、交流電動機100の回転速度の推定値ωestが用いられる。また、速度制御が採用されない場合、速度調節器341は省略される。例えば、トルク制御や電流制御が採用される場合、速度調節器341は省略される。この場合、電流指令値Id*,Iq*は、トルク制御におけるトルク指令値に基づき生成されたり、電流制御におけるU相、V相、及びW相の電流指令値に基づき生成されたりする。
【0048】
滑り周波数演算部342は、交流電動機100の滑り周波数ωsを演算し出力する。
【0049】
位相角演算部343は、交流電動機100の電気位相角θを演算し出力する。具体的には、位相角演算部343は、交流電動機100の回転速度の検出値ωdet及び滑り周波数ωsに基づき、交流電動機100の一次角周波数ω1を算出する。そして、位相角演算部343は、一次角周波数ω1を時間積分することによって、電気位相角θを算出する。
【0050】
ベクトル変換器344は、交流電動機100の電気位相角θ、及び磁極位置の情報等に基づき、交流電動機100の相電流の検出値Im(U相、V相、及びW相の相電流の検出値Iu,Iv,Iw)を、dq座標系の電流検出値Id,Iqに変換し出力する。U相、V相、及びW相の相電流の検出値Iu,Iv,Iwは、例えば、インバータ回路330のU相、V相、及びW相の出力線のうちの少なくとも2相分に設けられる電流センサの出力に基づき取得される。
【0051】
電流調節器345は、電流指令値Id*,Iq*と、電流検出値Id,Iqとの偏差に基づき、その偏差をゼロに近づけるための交流電動機100のd軸電圧及びq軸電圧に関する制御指令(以下、「電圧指令値」)Vd*,Vq*を出力する。電流調節器345は、例えば、PI制御器である。
【0052】
ベクトル逆変換器346は、交流電動機100の電気位相角θ、及び磁極位置の情報等に基づき、電圧指令値Vd*,Vq*を、U相、V相、及びW相の電圧指令値Vm(U相、V相、及びW相の電圧指令値Vu,Vv,Vw)に変換し出力する。
【0053】
PWM信号出力部347は、インバータ回路330の制御指令、即ち、PWM(Pulse Width Modulation)信号を生成しインバータ回路330に出力する。例えば、PWM信号出力部347は、U相、V相、及びW相のそれぞれに対応するコンパレータを含み、コンパレータが、電圧指令値Vu,Vv,Vwのそれぞれとキャリア波と比較することによって、U相、V相、及びW相のPWM信号を出力する。これにより、制御回路340は、PWM信号をインバータ回路330に出力することにより、交流電動機100を駆動制御することができる。
【0054】
[監視装置の機能構成]
次に、図1に加えて、図3図5を参照して、監視装置350の機能構成について説明する。
【0055】
図3は、監視装置350の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図4は、交流電動機100の直流励磁の運転状態において、開閉装置500が閉状態から開状態に移行した際の電力変換装置300の出力電圧及び出力電流の時間変化の一例を示す図である。図5は、交流電動機100の直流励磁の運転状態において、開閉装置500が閉状態から開状態に移行した際の入力電力Wの時間変化の一例を示す図である。
【0056】
監視装置350は、機能構成として、電流検出部351と、電圧検出部352と、電力演算部353と、運転状態判定部354と、アーク判定部355と、信号出力部356とを含む。
【0057】
電流検出部351は、電流センサ600の出力信号に基づき、入力経路ILの電流を検出する。例えば、電流検出部351は、入力経路IL1,IL2,IL3のそれぞれの相電流を検出する。
【0058】
電圧検出部352は、電圧センサ700の出力信号に基づき、入力経路ILの電圧を検出する。例えば、電圧検出部352は、入力経路IL1,IL2,IL3のそれぞれの相電圧を検出する。
【0059】
電力演算部353は、電流検出部351及び電圧検出部352の検出結果に基づき、入力経路ILを通じて交流電源200から電力変換装置300に供給される電力(以下、「入力電力」)Wを演算する。
【0060】
運転状態判定部354は、交流電動機100の運転状態を判定する。運転状態判定部354は、例えば、交流電動機100が直流励磁の運転状態であるか否かを判定する。交流電動機100に直流電流が供給される、交流電動機100の直流励磁は、例えば、交流電動機100の停止状態からの応答性向上のために実施される場合がある。
【0061】
例えば、運転状態判定部354は、制御回路340から入力される、最新の一次角周波数ω1に基づき、交流電動機100が直流励磁の運転状態であるか否かを判定する。具体的には、運転状態判定部354は、一次角周波数ω1が0Hz(ヘルツ)であるか否かに基づき、交流電動機100の運転状態が通常の運転状態であるか、直流励磁の運転状態であるかを判定する。交流電動機100が直流励磁の運転状態である場合、交流電動機100は回転しておらず、一次角周波数ω1が0Hzになるからである。
【0062】
アーク判定部355は、開閉装置500のアークの発生の有無を判定する。開閉装置500のアークは、電力変換装置300から交流電動機100に通電されている状態で、誤作動や誤操作等によって開閉装置500が閉状態から開放された場合に生じうる。
【0063】
例えば、アーク判定部355は、運転状態判定部354により交流電動機100が直流励磁の運転状態であると判定されている場合に、電力演算部353による入力電力Wの演算結果に基づき、アークの発生の有無を判定する。
【0064】
例えば、図4に示すように、時刻t0にて、開閉装置500が閉状態から開状態に移行すると、開閉装置510,520,530のうちの直流電流が流れている相の開閉装置(以下、便宜的に「対象の開閉装置」)の開放された電極間にアークが発生する。対象の開閉装置は、3相の出力経路OL1,OL2,OL3のうちの直流の往路及び復路に相当する2つの相の出力経路のそれぞれに設けられる開閉装置である。以下、この2つの相のうちの特定の1つの相における電力変換装置300の出力電流及び出力電圧の時間変化を考える。
【0065】
対象の開閉装置にアークが発生すると、対象の開閉装置において、アークによる電圧降下(以下、「アーク電圧」)が生じ、その結果、交流電動機100の対象の相のコイルに印加される電圧が低下する。そのため、図4に示すように、時刻t0を起点として、電力変換装置300の対象の相の出力電流(即ち、交流電動機100の電流)が低下する。
【0066】
一方、電力変換装置300は、上述の如く、制御回路340の制御下で、電流指令値Id*,Iq*に応じた電流を維持しようとする。そのため、電力変換装置300は、アーク電圧の分だけ出力電圧を上昇させようとする。その結果、図4に示すように、時刻t0を起点として、電力変換装置300の対象の相の出力電圧が上昇する。よって、電力変換装置300の対象の相の出力電流は、時刻t1を境界にして低下から上昇に転じる。
【0067】
電力変換装置300の対象の相の出力電流の上昇は、直流励磁の運転状態に相当する、交流電動機100の対象の相の印加電流の大きさ、即ち、アーク発生前の対象の相の出力電流の大きさになる時刻t2まで継続する。そして、時刻t2以降で、電力変換装置300の対象の相の出力電流は、略一定の状態に維持される。
【0068】
同様に、電力変換装置300の対象の相の出力電圧の上昇は、電力変換装置300の対象の相の出力電流がアーク発生前の電流の大きさになる時刻t2まで継続する。そして、時刻t2以降で、電力変換装置300の対象の相の出力電圧は、略一定の状態に維持される。
【0069】
尚、時刻t2以降の電力変換装置300の対象の相の出力電圧は、アーク発生前の出力電圧と、開閉装置500でのアーク電圧との加算値に相当する。開閉装置500でのアーク電圧は、3相の出力経路OL1,OL2,OL3のうちの直流の往路及び復路に対応する2つの相の出力経路に設けられる開閉装置のそれぞれのアーク電圧の合計値に相当する。
【0070】
よって、電力変換装置300の出力電力は、電力変換装置300の出力電圧の上昇分だけ増加し、その結果、交流電源200から電力変換装置300への入力電力Wが増加することになる。
【0071】
例えば、図5に示すように、入力電力Wは、電力変換装置300の出力電流が低下から増加に転じる時刻t1を起点として大きく増加する。そのため、アーク判定部355は、入力電力Wの変化の状況を監視することによって、交流電動機100の直流励磁の運転状態における開閉装置500のアークの発生の有無を監視(判定)することができる。
【0072】
例えば、アーク判定部355は、交流電動機100の直流励磁の運転状態において、入力電力Wが所定の閾値Wthに対して相対的に大きい場合に、開閉装置500にアークの発生があると判定する。入力電力Wが閾値Wthに対して相対的に大きいとは、入力電力Wが閾値Wth以上であることであってもよいし、入力電力Wが閾値Wthを超えていることであってもよい。閾値Wthは、交流電動機100の直流励磁の運転状態での正常時の入力電力Wに相当する正常値Wdより大きく、且つ、交流電動機100の直流励磁の運転状態での異常時(開閉装置500のアークの発生時)の入力電力Wに相当する異常値Waより小さい値に設定される。
【0073】
信号出力部356は、アーク判定部355により、交流電動機100の直流励磁の運転状態での開閉装置500のアークの発生があると判定されると、開閉装置500のアークの発生を表す信号を出力する。開閉装置500のアークの発生を表す信号は、単にアークの発生の事実を表す信号であってもよいし、アークの発生に伴う送信先への指示を含む信号であってもよい。
【0074】
例えば、信号出力部356は、電力変換装置300(主回路302)の稼働停止を指示する停止信号を制御回路340に出力する。制御回路340は、停止信号の入力に応じて、電力変換装置300(主回路302)を稼働停止させる。これにより、監視装置350は、制御回路340を通じて、電力変換装置300(主回路302)を稼働停止させ、電力変換装置300(主回路302)から交流電動機100への電力供給を停止させることができる。そのため、監視装置350は、電力変換装置300から交流電動機100に供給される直流によって開閉装置500のアークが長く継続しうる状況において、自動的に、開閉装置500のアークを消弧させることができる。よって、監視装置350は、アークの継続による開閉装置500の寿命の低下やアーク継続による発熱に起因する開閉装置500の故障の発生を抑制することができる。
【0075】
また、信号出力部356は、停止信号の出力に代えて、或いは、加えて、開閉装置400に交流電源200から電力変換装置300への電力供給の遮断、即ち、閉状態から開状態への移行を指示する遮断信号を出力してもよい。開閉装置400は、遮断信号の入力に応じて、閉状態から開状態に移行する。これにより、監視装置350は、開閉装置400を通じて、交流電源200から電力変換装置300への電力供給を遮断し、その結果、電力変換装置300から交流電動機100への電力供給を停止させることができる。そのため、監視装置350は、自動的に、開閉装置500のアークを消弧させることができる。よって、監視装置350は、アークの継続による開閉装置500の寿命の低下やアーク継続による発熱に起因する開閉装置500の故障の発生を抑制することができる。
【0076】
[監視装置による処理の具体例]
次に、図6を参照して、監視装置350による処理の具体例について説明する。
【0077】
図6は、監視装置350による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【0078】
本フローチャートは、例えば、電力変換装置300の稼働中において、所定の処理周期ごとに繰り返し実行される。
【0079】
図6に示すように、ステップS102にて、運転状態判定部354は、制御回路340から取り込まれた、交流電動機100の最新の一次角周波数ω1を読み出して確認する。
【0080】
ステップS102の処理が完了すると、監視装置350は、ステップS104に進む。
【0081】
ステップS104にて、運転状態判定部354は、ステップS102で読み出した、交流電動機100の最新の一次角周波数ω1に基づき、交流電動機100が直流励磁の運転状態であるか否かを判定する。運転状態判定部354は、交流電動機100が直流励磁の運転状態である場合、ステップS106に進み、それ以外の場合、今回のフローチャートを終了する。
【0082】
ステップS106にて、アーク判定部355は、電力演算部353の最新の演算結果の入力電力Wを読み出して確認する。
【0083】
ステップS106の処理が完了すると、監視装置350は、ステップS108に進む。
【0084】
ステップS108にて、アーク判定部355は、ステップS106で読み出した入力電力Wが閾値Wthより大きいか否かを判定する。アーク判定部355は、入力電力Wが閾値Wthより大きい場合、開閉装置500にアークが発生していると判断し、ステップS110に進み、それ以外の場合、今回のフローチャートを終了する。
【0085】
ステップS110にて、信号出力部356は、停止信号を制御回路340に出力する。また、信号出力部356は、制御回路340への停止信号の出力に加えて、開閉装置400への遮断信号の出力を行ってもよい。
【0086】
ステップS110の処理が完了すると、監視装置350は、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0087】
このように、本例では、監視装置350は、交流電動機100の直流励磁の運転状態での開閉装置500のアークの発生がある場合、電力変換装置300から交流電動機100への電力供給を停止させることができる。そのため、開閉装置500の寿命の低下や開閉装置500の故障の発生を抑制することができる。
【0088】
[他の実施形態]
次に、他の実施形態について説明する。
【0089】
上述の実施形態には、適宜変形や変更が加えられてもよい。
【0090】
例えば、上述の実施形態では、信号出力部356は、制御回路340への停止信号や開閉装置400への遮断信号に代えて、駆動システム1のユーザに対するアークの発生を通知するための通知信号を出力してもよい。駆動システム1のユーザは、例えば、駆動システム1が設置される工場の作業員、駆動システム1の保守員、駆動システムの管理者等である。これにより、監視装置350は、ユーザに開閉装置500のアークの発生を認識させて、電力変換装置300から交流電動機100への電力供給の遮断の操作を促すことができる。そのため、監視装置350は、ユーザの手を借りて、開閉装置500のアークを手動で消弧させることができる。
【0091】
例えば、通知信号は、電力変換装置300に搭載されるインジケータランプやモニタ等に出力され、インジケータランプやモニタ等を通じて、ユーザに開閉装置500でのアークの発生が通知される。この際、通知信号は、インジケータランプやモニタ等に直接出力されてもよいし、他の機器(例えば、制御回路340)を介して間接的にインジケータランプやモニタ等に出力されてもよい。また、通知信号は、電力変換装置300に搭載される通信装置に出力され、通信装置から外部のユーザ端末に送信されることによって、外部のユーザ端末を通じて、ユーザに開閉装置500でのアークの発生が通知されてもよい。この際、通知信号は、通信装置に直接出力されてもよいし、他の機器(例えば、制御回路340)を介して間接的に通信装置に出力されてもよい。
【0092】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、アーク判定部355は、交流電動機100の通常の運転状態、即ち、交流電流が供給されることで交流電動機100が回転している運転状態での開閉装置500のアークの発生の有無を判定してもよい。例えば、アーク判定部355は、電力変換装置300から交流電動機100に供給される駆動電力の周波数が非常に小さい運転領域において、入力電力Wの変化に基づき、開閉装置500のアークの発生の有無を判定する。この場合、信号出力部356は、上記の運転領域での開閉装置500のアークの発生があると判定されると、上記の場合と同様、停止信号や遮断信号や通知信号を出力する。
【0093】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、制御回路340は、交流電動機100の運転状態そのものを直接的に表す情報を生成し、その情報が監視装置350に取り込まれてもよい。この場合、運転状態判定部354は、この情報に基づき、交流電動機100の運転状態を判定する。
【0094】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、制御回路340の機能の一部又は全部は、電力変換装置300の外部に設けられてもよい。例えば、制御回路340の機能の一部又は全部は、交流電動機100で駆動される機械設備や生産設備が設置される工場の内部や同じ敷地内に設置される端末装置、PLC(Programmable Logic Controller)、エッジコントローラ、エッジサーバ等に設けられる。また、制御回路340の機能の一部又は全部は、交流電動機100で駆動される機械設備や生産設備が設置される工場の遠隔に設置されるオンプレミスサーバやクラウドサーバに設けられてもよい。
【0095】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、制御回路340の機能は、複数の制御装置により分散して実現されてもよい。
【0096】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、監視装置350の機能の一部又は全部は、電力変換装置300の外部に設けられてもよい。例えば、監視装置350の機能の一部又は全部は、交流電動機100で駆動される機械設備や生産設備が設置される工場の内部や同じ敷地内に設置される端末装置、PLC、エッジコントローラ、エッジサーバ等に設けられる。また、監視装置350の機能の一部又は全部は、交流電動機100で駆動される機械設備や生産設備が設置される工場の遠隔に設置されるオンプレミスサーバやクラウドサーバに設けられてもよい。
【0097】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、監視装置350の機能は、複数の監視装置により分散して実現されてもよい。
【0098】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例では、監視装置350の機能の一部又は全部は、制御回路340に統合されてもよい。
【0099】
また、上述の実施形態やその変形例では、電力変換装置300は、交流電源200に代えて、或いは、加えて、直流電源から入力される直流電力に基づき、交流電動機100の駆動電力を生成し出力することが可能に構成されてもよい。この場合、直流電源からの正側の入力線及び負側の入力線は、それぞれ、整流回路310とインバータ回路330との間の直流リンク部の正ライン及び負ラインに接続される。また、この場合、整流回路310が省略されることによって、交流電源からの給電を省略してもよい。また、この場合、電流センサ600及び電圧センサ700は、それぞれ、直流電源からの入力線の電流及び電圧を表す信号を出力する。
【0100】
[作用]
次に、本実施形態に係る監視装置、駆動システム、電力変換装置、監視方法、及びプログラムの作用について説明する。
【0101】
本実施形態では、監視装置は、第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視してよい。監視装置は、例えば、上述の監視装置350である。第1の開閉装置は、例えば、上述の開閉装置500である。第1の電力経路は、例えば、上述の出力経路OLである。交流電動機は、例えば、上述の交流電動機100である。駆動装置は、例えば、上述の電力変換装置300である。所定の電源は、例えば、上述の交流電源200である。そして、監視装置は、交流電動機の直流励磁の運転状態において、アークの発生があると判定すると、アークの発生に関する信号を出力してもよい。
【0102】
また、本実施形態では、監視システムは、制御装置と、監視装置と、を備えてもよい。具体的には、制御装置は、第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置を用いて、交流電動機の駆動制御を行ってもよい。また、監視装置は、駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視してもよい。そして、監視装置は、交流電動機の直流励磁の運転状態において、アークの発生があると判定すると、アークの発生に関する信号を出力してもよい。
【0103】
また、本実施形態では、電力変換装置は、駆動部と、制御部と、監視部とを備えてもよい。駆動部は、例えば、上述の主回路302である。制御部は、例えば、上述の制御回路340である。監視部は、例えば、上述の監視装置350である。具体的には、駆動部は、第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される。また、制御部は、駆動部を用いて、交流電動機の駆動制御を行う。また、監視部は、駆動部に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視してもよい。そして、監視部は、交流電動機の直流励磁の運転状態において、アークの発生があると判定すると、アークの発生に関する信号を出力してもよい。
【0104】
また、本実施形態では、監視装置は、監視方法を実行してもよい。具体的には、監視方法では、監視装置が、第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視してもよい。そして、監視方法では、監視装置が、交流電動機の直流励磁の運転状態において、アークの発生があると判定すると、アークの発生に関する信号を出力してもよい。
【0105】
また、本実施形態では、情報処理装置にプログラムを実行させてもよい。情報処理装置は、例えば、上述の監視装置350である。具体的には、プログラムは、情報処理装置に、第1の開閉装置が設けられる第1の電力経路を通じて交流電動機と接続される駆動装置に所定の電源から供給される電力の変化に基づき、第1の開閉装置のアークの発生の有無を監視させてもよい。そして、プログラムは、情報処理装置に、交流電動機の直流励磁の運転状態において、アークの発生があると判定すると、アークの発生に関する信号を出力させてもよい。
【0106】
これにより、監視装置や監視システムや情報処理装置等(以下、便宜的に「監視装置等」)は、所定の電源から供給される電力の変化から、交流電動機の直流励磁の運転状態での第1の開閉装置のアークの発生を認識し、アークの発生に関する信号を出力することができる。そのため、例えば、その信号に応じて、駆動装置から交流電動機への電力の供給を自動で停止させることができる。また、例えば、その信号に応じて、ユーザにアームの発生が通知されることによって、ユーザが駆動装置から交流電動機への電力の供給を手動で停止させることができる。その結果、第1の開閉装置のアークを消弧させることができる。よって、監視装置等は、駆動装置と交流電動機との間の第1の開閉装置のアークの発生に対して適切に対処することができる。
【0107】
また、本実施形態では、監視装置等は、駆動装置に所定の電源から供給される電力が所定基準に対して相対的に大きくなっている場合に、アークの発生があると判定してもよい。駆動装置に所定の電源から供給される電力は、例えば、上述の入力電力Wである。所定基準は、例えば、上述の閾値Wthである。
【0108】
これにより、監視装置等は、アークの発生に伴う第1の開閉装置の開放電極間に生じる電圧(アーク電圧)の分を補償する形で交流電動機が制御されることによる所定の電源からの電力供給の上昇を以て、アークの発生を判定することができる。
【0109】
また、本実施形態では、交流電動機の一次角周波数に基づき、交流電動機が直流励磁の運転状態であるか否かを判定してもよい。
【0110】
これにより、監視装置等は、例えば、交流電動機の制御の過程で演算される一次角周波数を用いて、交流電動機の直流励磁の運転状態であるか否かを判定することができる。
【0111】
また、本実施形態では、監視装置等は、電流検出部と、電圧検出部と、電力演算部と、判定部と、を備えてもよい。電流検出部は、例えば、上述の電流検出部351である。電圧検出部は、例えば、上述の電圧検出部352である。電力演算部は、例えば、上述の電力演算部353である。判定部は、例えば、上述のアーク判定部355である。具体的には、電流検出部は、所定の電源と駆動装置との間の第2の電力経路の電流を検出してもよい。第2の電力経路は、例えば、上述の入力経路ILである。また、電圧検出部は、第2の電力経路の電圧を検出してもよい。また、電力演算部は、電流検出部及び電圧検出部の検出結果に基づき、所定の電源から駆動装置に供給される電力を演算してもよい。そして、判定部は、電力演算部の演算結果に基づき、第1の開閉装置のアークの発生の有無を判定してもよい。
【0112】
これにより、監視装置等は、第2の電力経路の電流及び電圧から駆動装置に供給される電力を演算し、その電力の演算結果を用いて、第1の開閉装置のアークの発生の有無を判定することができる。
【0113】
また、本実施形態では、監視装置等は、停止制御部を備えてもよい。停止制御部は、例えば、上述の信号出力部356である。具体的には、停止制御部は、アークの発生に関する信号の出力に応じて、交流電動機への電力供給を停止させてもよい。
【0114】
これにより、監視装置等は、交流電動機の直流励磁の運転状態での第1の開閉装置の発生に応じて、交流電動機への電力供給を自動で停止させることができる。
【0115】
また、本実施形態では、停止制御部は、駆動装置を稼働停止させること、及び所定の電源と駆動装置との間の第2の電力経路に設けられる第2の開閉装置を閉状態から開状態に切り換えることの少なくとも一方を行うことにより、交流電動機への電力供給を停止させてもよい。第2の開閉装置は、例えば、上述の開閉装置400である。
【0116】
これにより、監視装置等は、駆動装置を稼働停止させたり、駆動装置への電力供給の経路(第2の電力経路)を遮断させたりすることで、交流電動機への電力供給を停止させることができる。
【0117】
また、本実施形態では、アークの発生に関する信号の出力に応じて、アークの発生をユーザに通知する通知部を備えてもよい。通知部は、例えば、上述の信号出力部356である。
【0118】
これにより、監視装置等は、交流電動機の直流励磁の運転状態でのアークの発生をユーザに通知することにより、駆動装置から交流電動機への電力供給の停止するようにユーザを仕向けることができる。そのため、監視装置等は、交流電動機への電力供給をユーザによる手動で停止させることができる。
【0119】
また、本実施形態では、監視装置等は、駆動制御部を備えてもよい。具体的には、駆動制御部は、駆動装置を用いて、交流電動機の駆動制御を行ってもよい。そして、監視装置等は、駆動制御部により駆動制御の過程で生成される情報に基づき、交流電動機が直流励磁の運転状態であるか否かを判定してもよい。駆動制御の過程で生成される情報は、例えば、上述の一次角周波数ω1である。
【0120】
これにより、監視装置等は、交流電動機の運転状態の把握のために、交流電動機の駆動制御に関する既存のハードウェアによる処理結果(演算結果)を利用することができる。そのため、監視装置等の構成の簡素化や処理負荷の軽減を図ることができる。
【0121】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 駆動システム
100 交流電動機
200 交流電源
300 電力変換装置
302 主回路
310 整流回路
320 平滑回路
330 インバータ回路
340 制御回路
341 速度調節器
342 周波数演算部
343 位相角演算部
344 ベクトル変換器
345 電流調節器
346 ベクトル逆変換器
347 PWM信号出力部
350 監視装置
351 電流検出部
352 電圧検出部
353 電力演算部
354 運転状態判定部
355 アーク判定部
356 信号出力部
400 開閉装置
410,420,430 開閉装置
500 開閉装置
510,520,530 開閉装置
600 電流センサ
610,620,630 電流センサ
700 電圧センサ
710,720,730 電圧センサ
IL 入力経路
IL1 入力経路
IL2 入力経路
IL3 入力経路
OL 出力経路
OL1,OL2,OL3 出力経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6