(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091049
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/64 20180101AFI20240627BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20240627BHJP
F24F 11/62 20180101ALI20240627BHJP
F24F 11/61 20180101ALI20240627BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240627BHJP
F24F 120/14 20180101ALN20240627BHJP
F24F 120/00 20180101ALN20240627BHJP
【FI】
F24F11/64
F24F11/70
F24F11/62
F24F11/61
G06T7/00 350B
F24F120:14
F24F120:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207330
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中満 達也
(72)【発明者】
【氏名】福光 超
(72)【発明者】
【氏名】河野 千怜
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 康佑
【テーマコード(参考)】
3L260
5L096
【Fターム(参考)】
3L260BA02
3L260BA41
3L260BA73
3L260CA07
3L260DA11
3L260EA02
3L260EA07
3L260EA22
3L260FA01
3L260FB01
3L260HA06
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA02
5L096DA02
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】 設定器までの移動および操作の煩わしさを抑制し、意図しない設定調整を抑制する制御装置を提供する。
【解決手段】 在館者900を含む画像情報を取得する取得部101と、在館者900の温冷感に起因する動作Aに基づいて温冷感を推定するために機械学習を行った学習済の第1学習モデルに、画像情報を入力することで温冷感を推定する第1推定部109と、在館者900が行う温冷感を示すイベントBには基づいて温冷感を推定するために機械学習を行った学習済の第2学習モデルに、画像情報を入力することで温冷感を推定する第2推定部107と、第1推定部109および第2推定部107により温冷感が推定され、かつ、同じ温冷感である場合に、空調装置500の制御に用いられる第1設定値を求める際に用いられる第2設定値であって温冷感に基づく第2設定値を変更する算出部と、が設けられたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置を制御する制御装置であって、
在館者を含む画像を撮影するカメラ部から画像情報を取得する取得部と、
前記在館者の温冷感に起因する動作に基づいて前記在館者の温冷感を推定するために機械学習を行った学習済の第1学習モデルに、前記取得部が取得した前記画像情報を入力することで前記在館者の温冷感を推定する第1推定部と、
前記在館者が行う温冷感を示すイベントには基づいて前記在館者の温冷感を推定するために機械学習を行った学習済の第2学習モデルに、前記取得部が取得した前記画像情報を入力することで前記在館者の温冷感を推定する第2推定部と、
前記第1推定部および前記第2推定部により前記在館者の温冷感が推定され、かつ、前記第1推定部により推定された温冷感および前記第2推定部により推定された温冷感が同じ場合に、前記空調装置の制御に用いられる第1設定値を求める際に用いられる第2設定値であって前記在館者の温冷感に基づく前記第2設定値を変更する算出部と、
が設けられたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第1推定部が前記温冷感を推定するタイミングおよび前記第2推定部が前記温冷感を推定するタイミングの間隔であって予め定められた長さの時間間隔である時間制限を記憶する記憶部が更に設けられ、
前記算出部は、前記第1推定部が前記温冷感を推定するタイミングおよび前記第2推定部が前記温冷感を推定するタイミングの間隔が前記時間制限以内である場合に、前記算出部は前記第2設定値を変更することをと特徴とする請求項1に記載された制御装置。
【請求項3】
前記時間制限の長さを変更する時間設定部が更に設けられ、
前記記憶部は前記時間設定部により変更された前記時間制限を記憶することを特徴とする請求項2に記載された制御装置。
【請求項4】
前記第1学習モデルは前記在館者の温冷感に起因する動作の種類に基づいて重み付け係数が付された前記在館者の温冷感を推定するための機械学習が行われ、
前記算出部は、更に、推定された前記在館者の温冷感に付された前記重み付け係数に基づいて前記第2設定値を変更することを特徴とする請求項1に記載された制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスに設けられた空調装置を設定調整する方法として、共用部である壁面に取り付けられた設定器を用いて設定調整する方法が知られている。共用部である壁面に設定器を取り付けることで、在館者の誰でも設定調整できるようにすることができる。
【0003】
また、上述の設定調整する方法の他に、カメラに向かって予め定めた所定の動作を行うことで、設定器と離れた自席から空調装置を設定調整する方法(例えば、特許文献1参照。)や、カメラ画像を用いて在館者の着衣量や活動量を把握し、着衣量や活動量に基づいて空調装置を自動で設定調整する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような、壁面に取り付けられた設定器で設定調整する場合には、設定器までの移動や操作が煩わしく、また、特定の在館者によって設定調整される場合は、調整頻度が少なくなりがちで、無駄な空調コストが発生するといった問題があった。
【0006】
また上述のように、カメラおよびカメラ画像を用いて空調装置を設定調整する場合には、在館者は意図しないうちに、予め定めた所定の動作および着衣を変化させる動作を行い、その動作をカメラおよびカメラ画像に把握されることがある。その場合、在館者が意図していない設定調整が行われるといった問題があった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、設定器までの移動および操作の煩わしさを抑制するとともに、在館者の意図しない設定調整を抑制する制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の一態様に係る制御装置は、空調装置を制御する制御装置であって、在館者を含む画像を撮影するカメラ部から画像情報を取得する取得部と、前記在館者の温冷感に起因する動作に基づいて前記在館者の温冷感を推定するために機械学習を行った学習済の第1学習モデルに、前記取得部が取得した前記画像情報を入力することで前記在館者の温冷感を推定する第1推定部と、前記在館者が行う温冷感を示すイベントには基づいて前記在館者の温冷感を推定するために機械学習を行った学習済の第2学習モデルに、前記取得部が取得した前記画像情報を入力することで前記在館者の温冷感を推定する第2推定部と、前記第1推定部および前記第2推定部により前記在館者の温冷感が推定され、かつ、前記第1推定部により推定された温冷感および前記第2推定部により推定された温冷感が同じ場合に、前記空調装置の制御に用いられる第1設定値を求める際に用いられる第2設定値であって前記在館者の温冷感に基づく前記第2設定値を変更する算出部と、が設けられたことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る制御装置によれば、第1推定部および第2推定部によりそれぞれ在館者の温冷感が推定し、かつ、第1推定部および第2推定部により推定された温冷感が同じ場合に第2設定値が変更される。言い換えると、第1推定部および第2推定部の一方のみで在館者の温冷感が推定された場合や、第1推定部および第2推定部により推定された温冷感が異なる場合には第2設定値は変更されない。
【0010】
取得部が取得した画像情報に在館者の温冷感に起因する動作(以後、温冷感に起因する動作とも記載する。)が含まれていた場合に、第1推定部は第1学習モデルを用いて在館者の温冷感を推定する。
【0011】
また、取得部が取得した画像情報に、第2学習モデルに学習済の在館者が行う温冷感を示すイベント(以後、イベントとも記載する。)が含まれていた場合に、第2推定部は、第2学習モデルを用いて在館者の温冷感を推定する。
【0012】
異なる学習モデルにより、在館者の温冷感が推定され、かつ、推定された温冷感が同じ場合に第2設定値が変更される。
例えば、在館者が暑いと感じる場合には、空調装置の第1設定値の温度が低くなるように第2設定値が変更され、在館者が寒いと感じる場合には、空調装置の第1設定値の温度が高くなるように第2設定値が変更される。
【0013】
温冷感に起因する動作とは、在館者が温冷感に応じて行う動作であり、後述するイベントとは温冷感を伝達する意思がない点において異なる動作である。温冷感に起因する動作には、感じている暑さや寒さを緩和する動作、および、暑いまたは寒いと感じた場合の生体反応に基づく動作が含まれる。暑いと感じる場合に起因する動作には、長袖から半袖に着衣を変化させる動作、着衣を脱ぐ動作、額の汗を拭う動作、手や扇子で仰ぐ動作、頭を触る動作、および、関節を伸ばす動作が含まれる。
【0014】
寒いと感じる場合に起因する動作には、半袖から長袖に着衣量を変化させる動作、服を羽織る動作、息で手を温める動作、体が震える動作、および、シャツのボタンを留める動作が含まれる。
【0015】
イベントは、在館者が温冷感を伝達するために意識的に表現する行為であり、上述の温冷感に起因する動作とは、感じている暑さや寒さを緩和する動作とは関係のない動作であり、生体反応に基づく動作とも関係ない動作である点において異なる行為である。イベントには、温冷感と紐づけされた特定のジェスチャーをおこなうこと、または、温冷感に紐づけされた特定の物体を表示することが含まれる。
【0016】
特定のジェスチャーは、暑いと感じる場合には右手を上げ、寒いと感じる場合には左手をあげる動作が含まれる。
温冷感に紐づけされた特定の物体は、暑いと感じる場合には暑いと記載された赤色のカードを表示し、寒いと感じる場合には寒いと記載された青色のカードを表示することが含まれる。
【0017】
上記発明の一態様においては、前記第1推定部が前記温冷感を推定するタイミングおよび前記第2推定部が前記温冷感を推定するタイミングの間隔であって予め定められた長さの時間間隔である時間制限を記憶する記憶部が更に設けられ、前記算出部は、前記第1推定部が前記温冷感を推定するタイミングおよび前記第2推定部が前記温冷感を推定するタイミングの間隔が前記時間制限以内である場合に、前記算出部は前記第2設定値を変更することが好ましい。
【0018】
このように時間制限を記憶した記憶部を設けることで、時間制限以内に、第1推定部および第2推定部によりそれぞれ在館者の温冷感が推定し、かつ、第1推定部および第2推定部により推定された温冷感が同じ場合に第2設定値が変更される。
【0019】
言い換えると、第1推定部が温冷感を推定するタイミングおよび第2推定部が温冷感を推定するタイミングの間隔が時間制限を超える場合には、第1推定部および第2推定部により推定された温冷感が同じであっても第2設定値は変更されない。
【0020】
上記発明の一態様においては、前記時間制限の長さを変更する時間設定部が更に設けられ、前記記憶部は前記時間設定部により変更された前記時間制限を記憶することが好ましい。
【0021】
このように時間設定部を設けることにより、時間制限の長さを任意の長さに変更することができる。例えば、在館者の行動に応じて誤操作が更に少なくなる時間の長さに時間制限の長さを調整可能となる。
【0022】
上記発明の一態様において、前記第1学習モデルは前記在館者の温冷感に起因する動作の種類に基づいて重み付け係数が付された前記在館者の温冷感を推定するための機械学習が行われ、前記算出部は、更に、推定された前記在館者の温冷感に付された前記重み付け係数に基づいて前記第2設定値を変更することが好ましい。
【0023】
このように、第1学習モデルに対して在館者の温冷感に起因する動作の種類に基づいて重み付け係数が付された在館者の温冷感を推定するための機械学習をすることで、温冷感に起因する動作の種類ごとに温冷感の度合を推定することが可能となる。
【0024】
温冷感の度合いは、重み付け係数に関連する。例えば、重み付け係数の値が大きくなるに伴い、温冷感の度合いが大きくなる。言い換えると、重み付け係数の値が大きくなるに伴い、感じる暑さの程度が大きくなる、または、感じる寒さの程度がより寒くなる。
【0025】
例えば額の汗を拭う動作に対しては、一番大きな重み付け係数が付けられる。腕まくりにより長袖から半袖へ着衣を変化させる動作に対しては、二番目に大きな重み付け係数が付けられる。この場合、額の汗を拭う動作が行われた場合には、在館者はとても暑いと感じていると推定される。腕まくりにより長袖から半袖へ着衣を変化させる動作が行われた場合には、在館者はやや暑いと感じていると推定される。
【0026】
また、体が震える動作に対しては、一番大きな重み付け係数が付けられる。半袖から長袖へ着衣を変化させる動作に対しては、二番目に大きな重み付け係数が付けられる。この場合、体が震える動作が行われた場合には、在館者はとても寒いと感じていると推定される。半袖から長袖へ着衣を変化させる動作が行われた場合には、在館者はやや寒いと感じていると推定される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の制御装置によれば、温冷感に起因する動作とイベントから在館者の温冷感を推定するため、設定器までの移動および操作の煩わしさを抑制するとともに、在館者の意図しない設定調整を抑制しやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態の制御装置の構成を説明するブロック図である。
【
図2】目標設定部が算出した設定値に基づいて、空調装置の設定を変更する処理を説明するフローチャートである。
【
図3】算出部が算出した設定値に基づいて、空調装置の設定を変更する処理を説明するフローチャートである。
【
図4】温冷感に起因する動作を説明する模式図である。
【
図5】身振りで暑いを示すイベントを説明する模式図である。
【
図6】身振りで寒いを示すイベントの一例を説明する模式図である。
【
図7】カードで暑いを示すイベントを説明する模式図である。
【
図8】カードで寒いを示すイベントを説明する模式図である。
【
図9】第2実施形態の制御装置の構成を説明するブロック図である。
【
図10】第2実施形態の制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【
図11】第3実施形態の制御装置の構成を説明するブロック図である。
【
図12】第3実施形態の制御装置の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1の実施形態〕
この発明の第1の実施形態に係る制御装置100について説明する。本実施形態の制御装置100は、建物に設置された空調装置500を操作するための装置である。
【0030】
空調装置500は、建物の室内の空気を吸入して冷却し、冷却した空気を建物の室内に供給する構成を有する。具体的には、図示しない室外機との間で冷媒を循環させることにより空気と冷媒との間で熱交換を行い、空気を冷却する構成を有する。室外機は、空気から熱を奪った冷媒が熱を外気に放出する構成を有する。
【0031】
空調装置500には、熱交換により吸入した空気を冷却する熱交換部(図示しない。)と、熱交換した空気を送り出す空調機ファン(図示しない。)と、が設けられている。熱交換部や空調機ファンは、公知の構成を有するものが使用される。
【0032】
空調装置500は、オフィスに設置されていることが好ましい。なお、空調装置500はオフィス以外の建築物に設置されてもよい。例えば、住宅や学校の教室に設置されてもよい。また、空調装置500は建築物以外の交通手段などに設置されてもよい。
【0033】
制御装置100は、
図1に示すように、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するサーバやコンピュータ等の情報処理装置である。制御装置100は、複数の空調装置500と、情報通信可能に接続されている。情報処理装置は、サーバやパーソナルコンピュータ(PCとも表記する。)などの情報処理機器である。制御装置100が、接続される空調装置500の台数は1台でもよいし、複数台と接続されてもよい。
【0034】
制御装置100は、ROM等には、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて、少なくとも取得部101、記憶部102、着衣量演算部103、代謝量演算部104、第1演算部105、選定部106、第2演算部107、目標設定部108、第1推定部109、第2推定部110、算出部111、制御部112、および、画像判定部113として機能させるプログラムが記憶されている。
【0035】
取得部101は、後述する撮影装置300と撮影した画像情報を通信取得可能に接続されている。取得部101は、環境情報、および、撮影装置300が撮影した在館者900を含む画像情報を取得する機能を有する。
【0036】
環境情報とは、制御対象であるオフィスの室内温度、湿度、気流速度、および、放射温度が含まれた情報のことである。室内温度と湿度の取得には、温湿度計を用いてもよい。
気流速度の取得には、風速計を用いてもよい。放射温度の測定には放射温度計を用いてもよい。なお、各環境情報の取得手段には、公知の技術を用いてもよい。
【0037】
在館者900を含む画像情報には、在館者900の温冷感を推定するための情報が含まれることが好ましい。具体的には、在館者900の着衣量、在館者900の活動量、在館者900の表面温度情報、温冷感に起因する動作A、および、イベントBの画像情報が含まれることが好ましい。
【0038】
着衣量とは、在館者900の着衣している服の種類や枚数を示したパラメータである。例えば、在館者900の着衣している衣服の袖の長さと上着の枚数を示す。
活動量とは、在館者900の運動強度に関するパラメータのことであり、就寝時の運動量を基準にして様々な運動量を数値化したパラメータのことである。例えば、安静に座ったままの時は1METとなり、平地を普通に歩いているときは、4METsとなる。このMETの数字が大きくなるほど、活動量が多いことを示している。
【0039】
表面温度情報とは、在館者900の外表面の温度の情報である。表面温度情報の取得手段には、サーモカメラ等の公知の技術を用いてもよい。
図4と
図5とで示すように、温冷感に起因する動作Aとは、在館者900が温冷感に応じて行う動作であり、
図6、
図7、および
図8で示すようにイベントBとは温冷感を伝達する意思がない点において異なる動作である。温冷感に起因する動作Aは、在館者900が感じている暑さや寒さを緩和する動作、および、暑いまたは寒いと感じた場合の生体反応に基づく動作が含まれる。
【0040】
具体的には、暑いと感じる場合に起因する動作には、長袖から半袖に着衣を変化させる動作、着衣を脱ぐ動作、額の汗を拭う動作、手や扇子で仰ぐ動作、頭を触る動作、および、関節を伸ばす動作が含まれる。
【0041】
寒いと感じる場合に起因する動作には、半袖から長袖に着衣量を変化させる動作、服を羽織る動作、息で手を温める動作、体が震える動作、および、シャツのボタンを留める動作が含まれる。
【0042】
イベントBは、在館者900が温冷感を伝達するために意識的に表現する行為であり、上述の温冷感に起因する動作Aとは、感じている暑さや寒さを緩和する動作とは関係のない動作であり、生体反応に基づく動作とも関係ない動作である点において異なる行為である。イベントBには、温冷感と紐づけされた特定のジェスチャーをおこなうこと、または、温冷感に紐づけされた特定の物体を表示することが含まれる。
【0043】
特定のジェスチャーは、暑いと感じる場合には右手を上げ、寒いと感じる場合には左手をあげる動作、および、暑いと感じる場合には手のひらを広げ、寒いと感じる場合には手のひらを閉じる動作が含まれる。
【0044】
温冷感に紐づけされた特定の物体は、暑いと感じる場合には暑いと記載された赤色のカードを表示し、寒いと感じる場合には寒いと記載された青色のカードを表示することが含まれる。
【0045】
記憶部102は、情報記憶媒体であって、在館者900の温冷感を推定するための情報を記憶する機能を有する。記憶される情報には、取得部101が取得した情報、後述する選定部106が選定した代表者の情報、後述する第1演算部105が算出するPMV値、後述する第2演算部107が算出する平均PMV値、後述する第1推定部109が推定した在館者900の温冷感、後述する第2推定部110が推定した在館者の温冷感、後述す
る着衣量演算部103が着衣量を求めるために予め登録された情報、および、後述する代謝量演算部104が活動量を求めるための情報が含まれていることが好ましい。記憶部102はSDメモリーカードなどのフラッシュメモリであってもよいし、その他の形式の記録媒体であってもよい。
【0046】
着衣量演算部103は、取得部101が取得した在館者900の着衣量の画像情報に基づいて、在館者900の着衣量を求める機能を有する。なお、画像情報に複数の在館者900が含まれる場合は、着衣量演算部103は在館者900一人ごとに着衣量を求めることができる。着衣量演算部103における具体的な演算内容は後述にて説明する。
【0047】
代謝量演算部104は、取得部101が取得した在館者900の表面温度情報に基づいて、在館者900の表面温度を求めて、この在館者900の表面温度に基づいて活動量を求める機能を有する。なお、画像情報に複数の在館者900が含まれる場合は、代謝量演算部104は在館者900一人ごとに活動量を求めることができる。
【0048】
選定部106は、取得部101が取得した画像情報に含まれる在館者900の中から代表者を選定する機能を有する。選定部106における具体的な選定内容は後述する。
第1演算部105は、空調装置500の制御に用いられる第1設定値を求める際に用いられる第2設定値であって、在館者900の温冷感に基づく第2設定値を変更する機能を有する。なお、本実施形態では、第1設定値は、空調装置500の設定値を具体例として説明し、第2設定値はPMV値を具体例として説明する。
【0049】
画像判定部113は、記憶部102に記憶された画像情報に、温冷感に起因する動作AおよびイベントBが含まれているか判定する機能を有する。画像判定部113における具体的な判定する処理として、公知の判定処理を用いることができる。
【0050】
PMV値とは、温度、湿度、放射温度、気流速度、着衣量、および、活動量の6つの要素を変数とした快適方程式により算出されるパラメータのことである。なお、PMV値は、-3(寒い)~+3(暑い)の範囲をとるが、PMV値=0の場合、統計的に約95%の人が快適と感じ、PMV値が+0.5~-0.5の場合、統計的に約90%の人が快適と感じる。このPMV値が所定の範囲内で収まるように、空調を制御することが好ましい。
【0051】
言い換えると、第1演算部105は、取得部101が取得した室内温度、湿度、気流速度、放射温度、代表者の着衣量、および、代表者の表面温度情報に基づいて、快適方程式を用いて選定部106が選定した代表者のPMV値を算出する機能を有する。
【0052】
第2演算部107は、第1演算部105が繰り返し算出した複数のPMV値の平均PMV値を所定の時間ごとに算出する機能を有する。選定部106における具体的な演算内容は後述する。
【0053】
目標設定部108は、第2演算部107が算出した平均PMV値に基づいて、空調装置500の設定値を変更する信号を発信する機能を有する。言い換えると、目標設定部108は、制御装置100とは離れた位置に設置される空調装置500の設定値を変更する信号を発信できる。信号を発信する手段は、公知の技術を用いてもよい。
【0054】
算出部111は、後述する第1推定部109と後述する第2推定部110が推定した在館者900の温冷感が同じ場合に、目標設定部108が変更した空調装置500の設定を変更する信号を後述する制御部112に発信する機能を有する。言い換えると、算出部111は、制御装置100とは離れた位置に設置される空調装置500の設定値を変更する
信号を発信できる。信号を発信する手段は、公知の技術を用いてもよい。
【0055】
第1推定部109は、第1学習モデルに、取得部101が取得した温冷感に起因する動作Aが含まれた画像情報を入力することで、在館者900の温冷感を推定する機能を有する。
【0056】
第1学習モデルとは、在館者900が温冷感に起因する動作Aを行った場合に、在館者900の温冷感を推定する機械学習を行った学習モデルである。機械学習は、公知の学習方法を用いることができる。
【0057】
第2推定部110は、第2学習モデルに、取得部101が取得したイベントBが含まれた画像情報を入力することで、在館者900の温冷感を推定する機能を有する。
第2学習モデルは、在館者900がイベントBを行った場合に、在館者900の温冷感を推定する機械学習を行った学習モデルである。機械学習は、公知の学習方法を用いることができる。
【0058】
制御部112は、算出部111が発信した空調装置500の設定を変更する信号を受信する。算出部111の発信した信号に基づいて、制御部112は空調装置500の設定を変更する機能を有する。信号を受信する手段は、公知の技術を用いてもよい。
【0059】
撮影装置300は、建物内に設置され、在館者900を撮影する装置である。撮影装置300は、カメラ部301と通信部302を有する。なお、撮影装置300は建物内にある既存のカメラ機能を有するカメラを用いてもよいし、制御装置100に組み込まれてもよいし、独立して構成されてもよい。本実施形態では、撮影装置300は制御装置100と独立して構成されている場合について説明する。
【0060】
カメラ部301は、在館者900を含む建物内を撮影する機能およびその撮影した在館者900の表面温度を撮影する機能を有する。カメラ部301は公知の撮影方法を用いることができる。
【0061】
通信部302は、カメラ部301が撮影した画像情報を、制御装置100の取得部101に通信する機能を有する。通信する手段は、公知の技術を用いてもよい。例えば、有線による通信接続でもよいし、無線による通信であってもよい。
【0062】
次に、上記の構成の制御装置100における動作について説明する。第1に、オフィスにおける空調装置500の空気調和について説明し、第2に撮影装置300における動作について説明し、第3に制御装置100における制御について説明し、第4に学習モデルの学習について説明する。
【0063】
まず、空調装置500は、空調ファンを回転させることにより、オフィスの室内の空気を空調装置500の内部に吸入する。吸入する空気は、在館者900から熱が放射された空気や、オフィスに設けられた電子機器から排出された空気である。
【0064】
吸入された空気は、熱交換部(図示しない。)において冷却される。具体的には、吸入された空気は、室外機(図示しない。)との間で循環する冷媒に熱を奪われて温度が低下する。熱を奪われた冷媒は室外機において熱を外気に放出する。熱を放出した冷媒は再び熱交換部において吸入された空気の熱を奪う。
【0065】
熱交換部において冷却された空気は、空調機ファン(図示しない。)によってオフィスの室内へ送り出される。オフィスの室内に送り出された空気は、PMV値に基づいて在館
者900が快適に過ごせる空気調和をおこなう。オフィスの室内に送り出された空気は、再び、空調装置500に吸入される。
【0066】
次に、制御装置100における制御について
図2と
図3を参照して説明する。まず、目標設定部108が空調装置500の設定を変更する制御について、
図2を参照して説明する。
【0067】
制御装置100における制御が開始されると、取得部101は、撮影装置300の通信部302から任意のタイミングで画像情報を取得する(S2)。取得する画像情報は、撮影装置300のカメラ部301が撮影した在館者900を含むオフィスの室内の画像情報である。画像情報には、複数の在館者900が含まれてもよいし、一人の在館者900が含まれてもよい。撮影された画像は、通信部302によって制御装置100の取得部101に送信される。
【0068】
なお取得部101は、画像情報の取得とは別に、環境情報も取得する。環境情報を取得するタイミングは、画像情報の取得と同じタイミングであってもよいし、異なるタイミングであってもよい。
【0069】
取得部101が取得した画像情報と環境情報は、記憶部102に記憶される。また記憶部102には、予め衣服と着衣量を紐づけたデータと運動量と活動量を紐づけたデータが記憶される。記憶部102が記憶した画像情報に基づいて、着衣量演算部103は在館者900の着衣量を算出し、代謝量演算部104は在館者900の活動量を算出する(S3)。着衣量および活動量は、画像情報に含まれる在館者900の全てに対して算出される。
【0070】
具体的には、着衣量演算部103は、画像情報に含まれる在館者900の衣服を検出する。衣服が検出されると、着衣量演算部103は記憶部102に記憶された衣服のデータから、検出された衣服と対応する衣服のデータを求める。対応する衣服のデータが求められると、着衣量演算部103は対応する衣服と紐づけされた着衣量を在館者900の着衣量として算出する。
【0071】
具体的には、代謝量演算部104は、画像情報に含まれる在館者900の運動量を検出する。運動量が検出されると、代謝量演算部104は記憶部102に記憶された運動量のデータから、検出された運動量と対応する運動量のデータを求める。対応する運動量が求められると、代謝量演算部104は対応する運動量と紐づけされた活動量を在館者900の着衣量として算出する。
【0072】
選定部106は、記憶部102に記憶された画像情報に含まれる在館者900から代表者を選定する(S4)。画像情報に含まれる在館者900が一人の場合には、その在館者900が代表者として想定される。画像情報に含まれる在館者900が複数の場合には、次に説明する通りに選定される。
【0073】
選定部106は、着衣量演算部103により求められた着衣量に基づいて代表者を選定する。具体的には、選定部106は、求められた着衣量に基づいて在館者900をグループ分けし、最も多くの在館者900が所属するグループから一人の代表者を選定する。一人の代表者を選定する方法は、公知の選定方法を用いることができる。
【0074】
例えば、画像情報に長袖の衣服を着た在館者900が三人と半袖の衣服を着た在館者900が一人含まれていた場合には、多数グループである長袖の衣服を着た三人の在館者900の中から代表者が一人選定される。選定部106によって選定された在館者900の
着衣量および活動量は、代表者の着衣量および活動量として記憶部102に記憶される(S5)。
【0075】
代表者の着衣量および活動量が記憶されると、第1演算部105は、PMV値を求める(S6)。具体的には、記憶部102に記憶された代表者の着衣量、代表者の活動量、画像情報、および、環境情報に基づいて、PMV値を求める。PMV値を求める演算処理の方法は、公知の方法を用いることができる。求められたPMV値は、記憶部102に記憶される。
【0076】
S6の処理が終了すると、予め決められた所定の時間ごとに、S2に戻り上述の処理を再び行う(REの場合)。制御装置100における制御が開始されて最初のS6の処理が終了してから、予め決められた所定の時間よりも長い予め決められた別の所定の時間が経過した場合(GOの場合)には、第2演算部107が平均PMV値を算出する(S7)。また、直近のS7の処理に移行したS6の処理が終了したときから、予め決められた別の所定の時間が経過した場合(GOの場合)にも、S6の処理からS7の処理に移行する。
【0077】
なお本実施形態では、予め決められた所定の時間は10分であり、予め決められた別の所定の時間は30分である例に適用して説明する。なお、予め決められた所定の時間は10分よりも長くてもよいし、短くてもよい。予め決められた別の所定の時間は30分よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0078】
第2演算部107は、別の所定の時間の間に記憶部102に記憶された複数のPMV値を取得し、取得した複数のPMV値に基づいて平均PMV値を算出する。平均PMV値は、複数のPMV値を足し合わせた値を、複数のPMV値の数で割った値である。言い換えると、まず、10分間ごとに第1演算部105によって算出されたPMV値が、記憶部102に記憶される。第2演算部107は30分に記憶された3つのPMV値に基づいて平均PMV値を算出する。その後は、第1演算部105によって10分間ごとにPMV値が算出されるたびに、第2演算部107は、直近30分間の平均PMV値を算出する。平均PMV値は記憶部102に記憶される。
【0079】
記憶部102に記憶された平均PMV値に基づいて、制御部112は空調装置500の設定を変更する(S8)。具体的には、在館者900が暑いと感じる場合には、算出された平均PMV値が、+0.5になるように、空調装置500の設定を変更する。例えば、空調装置500の設定温度を低くする変更を行う。在館者900が寒いと感じる場合には、算出された平均PMV値が、-0.5になるように、空調装置500の設定を変更する。例えば、空調装置500の設定温度を高くする変更を行う。空調装置500の設定が変更された後は、再びS2に戻り上述の処理を繰り返し行う。
【0080】
次に算出部111が空調装置500の設定を変更する制御について、
図3を参照して説明する。なお、取得部101が画像情報を取得する処理と撮影装置300の処理に関しては、
図2で示す目標設定部108が空調装置500の設定を変更する制御と同様ため説明を省略する。
【0081】
制御装置100における制御が開始されると、取得部101は、撮影装置300の通信部302から任意のタイミングで画像情報を取得する(S11)。取得部101が取得した画像情報は記憶部102に記憶される。
【0082】
記憶部102に記憶された画像情報に、温冷感に起因する動作Aが含まれているか、画像判定部113は判定する処理を行う(S12)。温冷感を起因する動作Aが含まれていた場合(YESの場合)には、第1推定部109は在館者900の温冷感を推定する(S
13)。
【0083】
具体的には、第1推定部109は、S11の処理にて記憶部102に記憶された画像情報を第1学習モデルに入力して、在館者900の温冷感を推定する処理を行う。第1学習モデルは、温冷感に起因する動作Aに基づいて在館者900の温冷感を推定する機械学習を行った学習済のモデルである。第1学習モデルに対する機械学習については後述する。
【0084】
温冷感を起因する動作Aが含まれてない場合(NOの場合)には、後述するS20の処理に移行する。
S12の処理において、推定された在館者900の温冷感(以下、第1温冷感とも表記する。)は、記憶部102に記憶される。記憶部102に第1温冷感が記憶された後、取得部101は画像情報を取得する(S14)。取得した画像は、記憶部102に記憶される。
【0085】
記憶部102が記憶した画像情報に、イベントBが含まれているか、画像判定部113は判定する処理を行う(S15)。イベントBが画像情報に含まれていた場合(YESの場合)には、第2推定部110は在館者900の温冷感を推定する(S16)。
【0086】
具体的には、第2推定部110は、S14の処理にて記憶部102に記憶された画像情報を第2学習モデルに入力して、在館者900の温冷感を推定する処理を行う。第2学習モデルは、イベントBに基づいて在館者900の温冷感を推定する機械学習を行った学習済のモデルである。第2学習モデルに対する機械学習については後述する。なお、イベントBが画像情報に含まれていない場合(NO1とNO2の場合)の説明は、後述する。
【0087】
S16の処理において、推定された在館者900の温冷感(以下、第2温冷感とも表記する。)は、記憶部102に記憶される。第1温冷感と、第2温冷感が同様の温冷感の場合には、第1温冷感と第2温冷感に基づいて、算出部111はPMV値を変更する(S17)。温冷感が同様とは、第1温冷感および第2温冷感がともに暑い温冷感である、または、寒い温冷感のことである。暑い温冷感の程度が異なっている場合や、寒い温冷感の程度が異なっている場合であっても、温冷感が同様であるとする。PMV値を変更する演算処理の方法は、公知の方法を用いることができる。
【0088】
算出部111によって変更されたPMV値は記憶部102に記憶される。記憶部102に記憶されたPMV値に基づいて、制御部112は空調装置500の設定を変更する(S18)。その後、制御装置100はS11に戻り上述の処理を繰り返す。
【0089】
S15の処理の際に、イベントBが画像情報に含まれない場合、または、温冷感に起因する動作Aから推定された温冷感と同様の温冷感を示すイベントBが画像情報に含まれていない場合(NO1の場合)には、制御装置100はS14に戻り上述の処理を行う。S15からS14に戻る処理は、所定の時間の間行われる。
【0090】
所定の時間は、S13の処理に続いて行われるS14の処理にて画像を取得した時点から計測開始される。言い換えると、S15から戻って行われるS14の画像を取得する時点では、所定の時間の計測は開始されない。
【0091】
所定の時間の間、S15からS14に戻る処理が繰り返された場合(NO2の場合)には、制御装置100はS2に戻り上述の処理を繰り返す。なお、本実施形態では、所定の時間が1分の場合を例にして説明する。また、所定の時間は、1分よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0092】
S12の処理の際に、温冷感に起因する動作Aが画像情報に含まれない場合(NOの場合)には、取得部101は画像情報を取得する(S19)。取得部101が取得した画像情報は記憶部102に記憶される。
【0093】
記憶部102に記憶された画像情報に、イベントBが含まれているか画像判定部113は判定する処理を行う(S20)。イベントBが含まれていた場合(YESの場合)には、第2推定部110は在館者900の温冷感を推定する(S21)。
【0094】
なお、第2推定部110が第2温冷感を推定する具体的な方法に関しては、S16の処理にて第2推定部110が在館者900の温冷感を推定する具体的な方法と同一のため説明を省略する。
【0095】
イベントBが含まれていない場合(NOの場合)には、制御装置100はS11に戻り上述の処理を行う。
S21の処理において、推定された第2温冷感は、記憶部102に記憶される。記憶部102に第2温冷感が記憶された後、取得部101は画像情報を取得する(S22)。取得した画像は、記憶部102に記憶される。
【0096】
記憶部102が記憶した画像情報に、温冷感が起因する動作Aが含まれているか、画像判定部113は判定する処理を行う(S23)。温冷感が起因する動作Aが含まれている場合(YESの場合)には、第1推定部109は在館者900の温冷感を推定する(S24)。
【0097】
なお、第1推定部109が第1温冷感を推定する具体的な方法に関しては、S13の処理にて第1推定部109が在館者900の温冷感を推定する具体的な方法と同一のため説明を省略する。また、温冷感に起因する動作Aが画像情報に含まれていない場合(NO1とNO2の場合)の説明は、後述する。
【0098】
S24の処理において、推定された第1温冷感は、記憶部102に記憶される。第1温冷感と第2温冷感が同様の温冷感の場合には、第1温冷感と第2温冷感に基づいて、算出部111は、PMV値を変更する(S25)。
【0099】
算出部111によって変更されたPMV値を記憶部102に記憶される。記憶部102に記憶されたPMV値に基づいて、制御部112は空調装置500の設定を変更する(S26)。その後、制御装置100はS2に戻り上述の処理を繰り返す。
【0100】
次に第1学習モデルおよび第2学習モデルの機械学習について説明する。
本実施形態では、制御装置100とは異なる情報処理装置において第1学習モデルおよび第2学習モデルの機械学習を行う例に適用して説明する。機械学習が行われた第1学習モデルおよび第2学習モデルは、制御装置100による制御が行われる前に記憶部102に記憶される。
【0101】
また、制御装置100による制御が行われた後に、更に機械学習が行われた第1学習モデルおよび第2学習モデルが記憶部102に記憶されてもよい。この場合、先に記憶された第1学習モデルおよび第2学習モデルが、更に機械学習が行われた第1学習モデルおよび第2学習モデルに置き換えられる。
【0102】
なお、第1学習モデルおよび第2学習モデルの機械学習は、上述のように異なる情報処理装置において行われてもよいし、制御装置100において行われてもよい。制御装置100において機械学習が行われる場合には、制御装置100に機械学習を行う機械学習部
が設けられる。また、異なる情報処理装置において第1学習モデルおよび第2学習モデルの一方に対する機械学習を行い、制御装置100において他方に対する機械学習を行ってもよい。
【0103】
第1学習モデルの機械学習では、温冷感に起因する動作Aが含まれる画像情報と、当該温冷感に起因する動作Aに対応する暑い、寒いなどの温冷感と、が紐づけされた教師データ(training dataとも表記する。)が用いられる。第2学習モデルの機械学習では、イベントBが含まれる画像情報と、当該イベントBに対応する暑い、寒いなどの温冷感と、が紐づけされた教師データが用いられる。
【0104】
第1学習モデルおよび第2学習モデルにおける具体的な機械学習については、公知の教師あり学習を用いることができ、教師あり学習における演算処理の具体的内容を限定するものではない。
【0105】
また、第1学習モデルの教師データ、および、第2学習モデルの教師データの作成方法についても、公知の作成方法を用いることができ、具体的な作成方法を限定するものではない。
【0106】
上記の構成の制御装置100によれば、第1温冷感および第2温冷感が推定され、かつ、第1温冷感と第2温冷感が同じ場合に第2設定値が変更される。言い換えると、第1温冷感および第2温冷感の一方のみが推定された場合や、第1温冷感および第2温冷感とが異なる場合には第2設定値は変更されない。
【0107】
第1推定部109および第2推定部110により推定された第1温冷感および第2温冷感に基づいて、第2設定値および空調装置500の制御が行われるため、設定器までの移動および操作の煩わしさを抑制するとともに、在館者900の意図しない設定調整を抑制する制御装置100を提供することができる。
【0108】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について、
図9と
図10を参照し手説明する。本実施形態の制御装置100Aの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、記憶部102A、算出部111A、時間判定部114A、および、時間設定部115Aが異なる。よって、本実施形態においては、第1の実施形態と第2の実施形態と相違する構成のみ説明し、同じ構成の説明は省略する。
【0109】
第2実施形態の制御装置100Aには、
図9に示すように、ROM等には、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて、少なくとも取得部101、記憶部102A、着衣量演算部103、代謝量演算部104、第1演算部105、選定部106、第2演算部107、目標設定部108、第1推定部109、第2推定部110、算出部111A、制御部112、画像判定部113、時間判定部114A、および、時間設定部115Aとして機能させるプログラムが記憶されている。
【0110】
記憶部102Aに記憶される基本情報には、実施形態1の記憶部102と同様の情報の他に、後述する時間制限が含まれる。
時間制限は、第1推定部109が第1温冷感を推定するタイミングおよび第2推定部110が第2温冷感を推定するタイミングの間隔であって、予め決められた所定の長さの時間間隔である時間制限である。
【0111】
言い換えると、時間制限は、第1温冷感および第2温冷感のいずれか一方の推定が開始されてから、他方の推定が開始されるまでの予め決められた所定の長さの時間間隔である
。また、時間制限は、1分よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0112】
時間判定部114Aは、第1温冷感および第2温冷感のいずれか一方の推定が開始されてから、他方の推定が開始されるまでの時間間隔が、記憶部102Aに記憶された時間制限以内に収まっているか判定する機能を有する。なお、時間制限以内に収まっているか判定する方法に関しては、公知の判定方法を用いることができる。
【0113】
算出部111Aは、第1温冷感と第2温冷感が同じ温冷感の場合、および、第1推定部109が第1温冷感を推定するタイミングと第2推定部110が第2温冷感を推定するタイミングの間隔が、時間制限以内である場合、両方の場合に合致した際に、空調装置500の設定を変更する信号を発信する機能を有する。
【0114】
時間設定部115Aは、制御装置100Aによる制御で用いられる時間制限の値を変更する機能を有する。変更される制限時間の値は、制御装置100Aの外部から入力されてもよいし、記憶部102Aに記憶された時間制限の複数の異なる値から選択された値であってもよい。例えば、時間設定部115Aは、制御装置100Aを運用する運用者から入力された時間制限の値を記憶部102Aに記憶させる機能を有してもよい。また、運用者が記憶部102Aに記憶された制限時間の複数の値から所定の値を選択する機能を有してもよい。
【0115】
次に上記構成の制御装置100Aにおける動作について
図10を参照して説明する。なお本実施形態においては、第1の実施形態と第2の実施形態と相違する処理のみ説明する。S11からS16の処理については、第1実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0116】
S16の処理が終了すると、時間判定部114Aによる判定処理がおこなわれる(S30)。具体的には、S13の処理において、第1推定部109が第1温冷感を推定してから、S16の処理において第2推定部110が第2温冷感を推定するまでの間隔が時間制限以内か、時間判定部114Aが判定する。具体的には、第1温冷感および第2温冷感とは同様の温冷感である場合に、時間制限以内か否かが判定される。なお、時間制限は、制御装置100Aによる制御が行われる前に記憶部102Aに記憶される。
【0117】
S30の処理において、第1推定部109が第1温冷感を推定してから(S13)、第2推定部110が第1温冷感と同様の温冷感の第2温冷感を推定するまで(S16)の時間間隔が、時間制限以内に判定された場合(YESの場合)であり、第1温冷感と第2温冷感とが同様の温冷感である場合には、第1温冷感と第2温冷感に基づいて、算出部111AはPMV値を変更する(S31)。
【0118】
算出部111Aによって変更されたPMV値は記憶部102Aに記憶される。記憶部102Aに記憶されたPMV値に基づいて、制御部112は空調装置500の設定を変更する(S32)。その後、制御装置100AはS11に戻り上述の処理を行う。
【0119】
第1温冷感と第2温冷感が同様の温冷感ではない場合、または、S13の処理において、第1推定部109が第1温冷感を推定してから、S16の処理において第2推定部110が第2温冷感を推定するまでの間隔が時間制限以内でない場合(S30のNOの場合)には、制御装置100AはS11に戻り上述の処理を行う。
【0120】
S12の処理の際に、温冷感に起因する動作Aが画像情報に含まれない場合(NOの場合)には、取得部101は画像情報を取得する(S19)。S19からS24の処理については、第1実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0121】
S24の処理が終了すると、時間判定部114Aによる判定処理がおこなわれる(S33)。具体的には、S20の処理において、第2推定部110が第2温冷感を推定してから、S23の処理において第1推定部109が第1温冷感を推定するまでの間隔が時間制限以内か、時間判定部114Aが判定する。具体的には、第1温冷感と第2温冷感とは同様の温冷感である場合に、時間制限以内か否かが判定される。
【0122】
S33の処理において、第2推定部110が第2温冷感を推定してから(S20)、第1推定部109が第1温冷感を推定するまで(S23)の間隔が時間制限以内に判定された場合(YESの場合)であり、第1温冷感と第2温冷感とが同様の温冷感である場合には、第1温冷感と第2温冷感に基づいて、算出部111AはPMV値を変更する(S34)。
【0123】
算出部111Aによって変更されたPMV値は記憶部102Aに記憶される。記憶部102Aに記憶されたPMV値に基づいて、制御部112は空調装置500の設定を変更する(S34)。その後、制御装置100AはS11に戻り上述の処理を行う。
【0124】
第1温冷感と第2温冷感が同様の温冷感ではない場合、または、S20の処理において、第2推定部110が第2温冷感を推定してから、S23の処理において第1推定部109が第1温冷感を推定するまでの間隔が時間制限以内でない場合(S33のNOの場合)には、制御装置100AはS11に戻り上述の処理を行う。
【0125】
次に上記構成の制御装置100Aに構成される時間設定部115Aの動作について説明する。
時間設定部115Aは、例えば、運用者から入力された時間制限の値を取得する。取得された時間制限の値は記憶部102Aに記憶される。取得された時間制限の値は、すでに記憶されていた時間制限の値を上書きする形式で記憶されてもよいし、追加する形式で記憶されてもよい。上書きする形式で記憶された場合には、記憶部102Aに記憶されている時間制限の値が制御装置100Aによる制御に使用される。追加する形式で記憶された場合には、もっとも記憶されたタイミングが新しい時間制限の値が制御装置100Aによる制御が使用される。
【0126】
または、時間設定部115Aは記憶部102Aに記憶された時間制限の複数の異なる値から所定の値を選択する入力を取得する。記憶部102Aは、選択された時間制限の値を識別可能な形式で記憶する、選択された時間制限の値は、制御装置100Aによる制御に使用される。
【0127】
このように時間制限を記憶した記憶部102Aを設けることで、時間制限以内に、第1温冷感および第2温冷感が推定されて、第1温冷感および第2温冷感が同じ温冷感の場合に第2設定値が変更される。また、このように時間設定部115Aを設けることにより、時間制限の長さを任意の長さに変更できる。
【0128】
任意の長さに設定された時間制限以内に、第1温冷感および第2温冷感の両方が画像情報に含まれていた場合に、空調装置500の制御が行われるため、在館者900の意図しない設定調整を抑制する制御装置100Aが提供できる。
【0129】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について、
図11を参照して説明する。本実施形態の制御装置100Bの基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、記憶部102B、第1推定部109B、および、学習部116Bが異なる。よって、本実施形態においては、第1の実施形態と第3の実施形態と相違する構成のみ説明し、同じ構成
の説明は省略する。
【0130】
記憶部102Bに記憶される基本情報には、実施形態1の記憶部102と同様の情報の他に、後述する温冷感に起因する動作Aの種類に基づいて重み付け係数が付された在館者900の温冷感を推定するための学習モデルが含まれる。
【0131】
学習部116Bは、第1学習モデルに対して在館者900の温冷感に起因する動作Aに基づいた在館者900の温冷感(以後、第3温冷感とも記載する。)と、在館者900の温冷感に起因する動作Aの種類に基づいて重み付け係数(以後、重み付け係数とも記載する。)と、を推定するための機械学習させる機能を有する。重み付け係数の具体的な内容の説明は後述する。
【0132】
なお、学習部116Bは制御装置100Bに設けられてもよいし、制御装置100B以外の情報処理機器に設けられてもよい。
第1推定部109Bは、在館者900が温冷感に起因する動作Aを行った場合に、在館者900の第3温冷感と重み付け係数とを推定する機械学習を行った学習モデル(以後、第3学習モデルとも記載する。)に、取得部101が取得した温冷感に起因する動作Aが含まれた画像情報を入力することで、在館者900の第3温冷感と重み付け係数と、を推定する機能を有する。
【0133】
次に上記構成の制御装置100Bにおける動作について説明する。なお本実施形態においては、第1の実施形態と制御装置100Bの処理プログラムに関しては同様のため説明を省略する。相違する動作のみ説明する。
【0134】
まず、第3学習モデルの機械学習について説明する。
第3学習モデルの機械学習は、学習部116Bにより行われる、機械学習に用いられる教師データは、在館者900の温冷感に起因する動作Aが含まれる画像情報と、当該動作Aに対応する暑い、寒いなどの温冷感と、当該動作Aに対応して付された重み付け係数と、が紐づけされたデータである。
【0135】
例えば、扇風機を付ける動作が含まれる画像情報に対しては、暑いという温冷感と、値が一番大きな重み付け係数とが紐づけされる。額の汗を拭う動作が含まれる画像情報に対しては、暑いという温冷感と、値が二番目に大きな重み付け係数が紐づけされる。腕まくりにより長袖から半袖へ着衣を変化させる動作が含まれる画像情報に対しては、暑いという温冷感と、値が三番目に大きな重み付け係数が紐づけされる。
【0136】
この場合、扇風機を付ける動作は、在館者900はとても暑いと感じていると評価されていて、値が一番大きな重み付け係数が紐づけされている。
具体的には、汗の額を拭う動作は、在館者900が暑いと感じていると評価されていて、値が二番目に大きな重み付け係数が紐づけられている。腕まくりにより長袖から半袖へ着衣を変化させる動作は、在館者900はやや暑いと感じていると評価されていて、値が三番目に大きな重み付け係数が紐づけされている。学習部116Bにより機械学習された第3学習モデルは、記憶部102Bに記憶される。
【0137】
機械学習が行われた第3学習モデルは、制御装置100Bによる制御が行われる前に記憶部102Bに記憶される。また、制御装置100Bによる制御が行われた後に、更に機械学習が行われた第3学習モデルが記憶部102Bに記憶されてもよい。この場合、先に記憶された第3学習モデルが、更に機械学習が行われた第3学習モデルに置き換えられる。
【0138】
次に上記構成の制御装置100Bにおける動作について
図12を参照して説明する。なお本実施形態においては、第1の実施形態と第3の実施形態と相違する処理のみ説明する。S11からS12の処理については、第1実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0139】
S12の処理が終了すると、第1推定部109Bによる在館者900の第3温冷感と重み付け係数との推定がおこなわれる(S40)。具体的には、第1推定部109Bは在館者900の第3温冷感等を推定する。さらに言えば、第1推定部109Bは、S11の処理にて記憶部102Bに記憶された画像情報を第3学習モデルに入力して、在館者900の第3温冷感と重み付け係数とを推定する処理を行う。
【0140】
次にS40の処理が終了するとS14の処理が行われる。S14からS16の処理については、第1実施形態と同一であるため説明を省略する。
S16の処理が終了すると、算出部111はPMV値を変更する処理を行う(S41)。具体的には、第2温冷感と第3温冷感の温冷感が同様の場合には、第2温冷感と第3温冷感と重み付け係数の値とに基づいてPMV値を変更する処理を行う。本実施形態においてPMV値の変更幅は、推定された重み付け係数の値の大きさにも基づく。
【0141】
具体的には、算出部111がPMV値を変更する処理は、値が一番大きな重み付け係数が紐づけされている温冷感に起因する動作Aの場合には、PMV値の変更幅が最も大きくなる。値が二番目に大きな重み付け係数が紐づけされている温冷感に起因する動作Aの場合には、PMV値の変更幅が二番目に大きくなる。値が三番目に大きな重み付け係数が紐づけされている温冷感に起因する動作Aの場合には、PMV値の変更幅が他の場合よりも小さくなる。PMV値の変更幅は、推定された重み付け係数の値の大きさに比例してもよい。
【0142】
なお、本実施形態では、重み付け係数が3段階に分類されているが、重み付け係数を分類する数は3段階よりも多くてもよいし、3段階よりも少ない2段階でもよい。
S41の処理が終了後、制御装置100BはS18の処理を行う。なおS18の具体的な処理に関しては、実施形態1と同様のため説明を省略する。
【0143】
次にS42からS43の処理について説明する。S19からS23の処理については、第1実施形態と同一であるため説明を省略する。
S23の処理が終了すると、第1推定部109Bによる在館者900の第3温冷感と重み付け係数との推定が行われる(S42)。なお、第1推定部109Bが在館者900の第3温冷感と重み付け係数を推定する具体的な方法に関しては、S40の処理にて第1推定部109Bが在館者900の第3温冷感と重み付け係数を推定する具体的な方法と同一のため説明を省略する。
【0144】
算出部111はPMV値を変更する処理を行う(S43)。なお、算出部111がPMV値を変更する具体的な方法に関しては、S41の処理にて算出部111がPMV値を変更する処理と同一のため説明を省略する。
【0145】
上記の構成の制御装置100Bによれば、在館者900の第3温冷感と重み付け係数の値とを推定することによって、空調装置500の制御が行われる。そのため、重み付け係数の値に応じた空調装置500の制御を行うことができる。言い換えると、在館者900が感じている温冷感の程度に応じた空調装置500の制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0146】
100,100A,100B…制御装置、101…取得部、102,102A,102B…記憶部、103…着衣量演算部、104…代謝量演算部、105…第1演算部、10
6…選定部、107…第2演算部、108…目標設定部、109、109B…第1推定部、110…第2推定部、111,111A…算出部、112…制御部、113…画像判定部、114A…時間判定部、115A…時間設定部、116B…評価部、300…撮影装置、301…カメラ部、302…通信部、500…空調装置、900…在館者、A…温冷感に起因する動作、B…イベント