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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091055
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/16 20180101AFI20240627BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240627BHJP
   F21S 43/145 20180101ALI20240627BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20240627BHJP
   F21S 43/243 20180101ALI20240627BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240627BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240627BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240627BHJP
【FI】
F21S43/16
F21S43/14
F21S43/145
F21S43/237
F21S43/243
F21W103:00
F21Y115:10
F21Y115:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207338
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有竹 康郎
(72)【発明者】
【氏名】池之上 翔
(57)【要約】
【課題】視認性を高めることが可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、励起光を出射する複数の光源と、光源毎に設けられ、光源からの励起光を導光して出射する光学部材と、光学部材毎に設けられ、光学部材から出射された励起光が照射されることで生成光を発光する発光層を有する光生成部と、発光層毎に設けられ、発光層に対して正面側に配置され、発光層からの生成光を車両搭載状態における正面方向に照射するレンズ部材と、複数の光源に供給する電力を制御する光源制御部とを備え、光生成部は、車両搭載状態において左右方向に並び、かつ車両内側に配置される光生成部よりも車両外側に配置される光生成部の方が背面側に位置するように配置される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を出射する複数の光源と、
前記光源毎に設けられ、前記光源からの前記励起光を出射する光学部材と、
前記光学部材毎に設けられ、前記光学部材から出射された前記励起光が照射されることで生成光を発光する発光層を有する光生成部と、
前記発光層毎に設けられ、前記発光層に対して正面側に配置され、前記発光層からの前記生成光を車両搭載状態における正面方向に照射するレンズ部材と、
複数の前記光源に供給する電力を制御する光源制御部と
を備え、
前記光生成部は、車両搭載状態において左右方向に並び、かつ車両内側に配置される前記光生成部よりも車両外側に配置される前記光生成部の方が背面側に位置するように配置される
車両用灯具。
【請求項2】
複数の前記光生成部は、隣り合う前記光生成部同士が左右方向に一部が重なるように配置される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記光源制御部は、前記光生成部同士が左右方向に重なる部分の面積が大きいほど、前記光源に供給する電力が大きくなるように制御する
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
複数の前記光生成部は、車両内側に配置される前記光生成部よりも車両外側に配置される前記光生成部の方が正面方向に対して車両外側の方向に傾くように配置される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光源制御部は、前記光生成部が正面方向に対して車両外側の方向に傾く角度が大きいほど、前記光源に供給する電力が大きくなるように制御する
請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記光学部材は、導光部材からなり、
前記光源は、前記光生成部に対して背面側に配置され、上方に向けて前記励起光を出射し、
前記導光部材は、前記光源及び前記光生成部に対して上方に配置され、前記光源からの前記励起光を正面側に導光し、前記光生成部に向けて下方に出射し、
前記光生成部は、前記発光層が平板状に形成され、前記発光層の法線方向が正面に対して斜め上方を向くように配置される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記光学部材は、導光部材からなり、
前記導光部材は、前記光源に対して上下方向に対向する第1入射面と、前記光源の側方を囲う第2入射面とを有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記光学部材は、導光部材からなり、
前記導光部材は、前記光源からの前記励起光が入射する入射面又は前記励起光を出射する出射面に設けられ、前記励起光を集光するフレネルレンズ部を有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記光学部材は、導光部材からなり、
前記導光部材は、導光した前記励起光を前記発光層側に拡散させるように内面反射するプリズム部を有する
請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源と、光源からの励起光を反射するリフレクタと、リフレクタで反射された励起光が照射されることで生成光を発光する発光層と、発光層からの励起光を照射するレンズ部材とを備える車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-79423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両用灯具においては、外部から明瞭に視認可能となるように視認性を高めることが求められる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、視認性を高めることが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両用灯具は、励起光を出射する複数の光源と、前記光源毎に設けられ、前記光源からの前記励起光を出射する光学部材と、前記光学部材毎に設けられ、前記光学部材から出射された前記励起光が照射されることで生成光を発光する発光層を有する光生成部と、前記発光層毎に設けられ、前記発光層に対して正面側に配置され、前記発光層からの前記生成光を車両搭載状態における正面方向に照射するレンズ部材と、複数の前記光源に供給する電力を制御する光源制御部とを備え、前記光生成部は、車両搭載状態において左右方向に並び、かつ車両内側に配置される前記光生成部よりも車両外側に配置される前記光生成部の方が背面側に位置するように配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、視認性を高めることが可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す分解斜視図である。
図2図2は、車両用灯具の一例を示す側断面図である。
図3図3は、複数の光生成部の配置の例を示す図である。
図4図4は、複数の光生成部の配置の例を示す図である。
図5図5は、複数の光生成部の配置の例を示す図である。
図6図6は、複数の光生成部の配置の例を示す図である。
図7図7は、車両用灯具の発光状態の一例を示す図である。
図8図8は、光源部、導光部材及び光生成部の配置の他の例を示す図である。
図9図9は、光源部、導光部材及び光生成部の配置の他の例を示す図である。
図10図10は、光源部、導光部材及び光生成部の配置の他の例を示す図である。
図11図11は、光源部、導光部材及び光生成部の配置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明において、前後、上下、左右の各方向は、車両用灯具が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、左右方向は水平方向であるとする。また、正面方向及び背面方向については、車両用灯具から光が出射される方向を正面方向とし、正面方向の反対方向を背面方向とする。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を模式的に示す分解斜視図である。図2は、車両用灯具100の一例を模式的に示す側断面図である。図1及び図2に示す車両用灯具100は、例えばテールランプ等の信号灯である。したがって、本実施形態においては、正面方向が後方向(後方)であり、背面方向が前方向(前方)である。また、左方向(左方)が車両外側であり、右方向(右方)が車両内側である。車両用灯具100は、光源部10と、導光部材(光学部材)20と、光生成部30と、レンズ部材40と、ハウジング50と、光源制御部60とを有する。
【0011】
光源部10は、光源11と、支持基板12とを有する。光源11は、例えばLED、有機EL等の光源である。光源11は、後述する光生成部30の数に応じた数だけ設けられる。光源11は、発光面11aが上方に向けられている。光源11は、励起光として例えば発光面11aから青色光を出射する。なお、光源11としては、青色光を出射する光源に限定されず、後述する光生成部30において生成される生成光の波長に比べて短波長の光(紫色光、紫外光等)を照射可能な光源を用いることができる。
【0012】
導光部材20は、光源11毎に設けられ、それぞれ光源11に対して上方に配置される。導光部材20は、ハウジング50の内部に配置される。導光部材20は、車両用灯具100を正面側から見た場合、直接的には見えないようにハウジング50に隠れるように配置される。
【0013】
導光部材20は、第1入射面21と、第2入射面22と、第1反射面23と、第1導光部24と、第2反射面25と、第2導光部26と、第3反射面27と、出射面28とを有する。
【0014】
第1入射面21は、光源11の上方に配置され、発光面11aに対向して配置される。第1入射面21は、発光面11aから上方に向かう光が入射する。第2入射面22は、光源11の発光面11aの側方を囲うように配置される。第2入射面22は、発光面11aから側方に向かう光が入射する。第1反射面23は、第2入射面22から入射した光を内面反射する。
【0015】
第1導光部24は、第1入射面21及び第2入射面22が設けられる部分から正面側の斜め上方に向けて延びている。第1導光部24は、第1入射面21から入射した励起光、及び第2入射面22から入射して第1反射面23で反射された励起光を導光する。
【0016】
第2反射面25は、第1導光部24の上面に配置される。第2反射面25は、第1導光部24で導光される励起光を第2導光部26に向けて内面反射する。
【0017】
第2導光部26は、第1導光部24から正面側に向けて延びている。第2導光部26は、一部が光生成部30から正面側に突出するように設けられる。第2導光部26は、第2反射面25で内面反射された励起光を正面側に導光する。
【0018】
第3反射面27は、第2導光部26の正面側の端部に設けられる。第3反射面27は、第2導光部26で導光される励起光を下方に向けて内面反射する。
【0019】
出射面28は、第2導光部26の下面に設けられる。出射面28は、第3反射面27で内面反射された励起光を下方に向けて出射する。
【0020】
このように、導光部材20は、光生成部30の背面側から上方を迂回して正面側に突出するように配置される。この配置により、導光部材20は、光生成部30の背面側に配置される光源11から出射される励起光を、光生成部30の上方を経由して正面側に到達するように導光し、光生成部30の正面に配置される発光層32に照射する。
【0021】
光生成部30は、導光部材20毎に設けられる。光生成部30は、左右方向に複数配置される。光生成部30は、発光層32の法線方向Rが正面方向に対して斜め上方に傾くように配置される。この配置により、光生成部30は、導光部材20の出射面28から出射される光が発光層32に到達しやすくなる。光生成部30は、保持部材31と、発光層32とを有する。
【0022】
保持部材31は、光源11から出射される励起光を透過可能である。保持部材31は、励起光を透過させることにより、当該励起光を保持部材31内部で導光し、後述の発光層32の全面に亘って照射可能となっている。本実施形態において、保持部材31は、例えば矩形の板状であり、後述する発光層32で発光された生成光を透過可能である。このような保持部材31としては、例えばガラス等が用いられる。
【0023】
発光層32は、保持部材31の第1面31aに保持される。発光層32は、光源11からの励起光が照射されることで励起して生成光を発光する。発光層32は、保持部材31のうち例えば第1面31aに保持される。発光層32は、例えばテールランプの正面視における形状等に対応する形状に形成される。例えば、発光層32は、所定のパターン(不図示)を有する構成であってもよい。
【0024】
本実施形態において、発光層32としては、例えばポリビニルカルバゾール等のホスト材料に対して、アセチルアセトン等のゲスト材料を5%程度ドープした有機材料等が用いられる。この場合、発光層32は、生成光として赤色光を発光する。ホスト材料とゲスト材料との組み合わせは、上記に限定されない。
【0025】
発光層32を有機材料で構成する場合、例えば保持部材31上にホスト材料とゲスト材料とを共蒸着することにより発光層32を形成可能である。また、発光層32をスピンコート法、スプレー法等のウェット法により形成してもよい。発光層32として有機材料を用いる場合、保持部材31は、例えばガラス等の基板を用いることができる。
【0026】
また、発光層32としては、CASN(CaAlSiN:Eu)等の無機材料が用いられてもよい。この場合、シリコーン等の透明性樹脂とCASNとの混合材料を保持部材31上に塗布し、ベークすることにより発光層32を形成することができる。また、低融点ガラス等の無機材料とCASNとの混合材料を保持部材31上に塗布し、ベークすることにより発光層32を形成することができる。
【0027】
発光層32として無機材料を用いる場合、保持部材31は、例えばガラス等の基板を用いることができる。また、発光層32として、例えばSCASN(Sr,Ca)AlSiN:Eu等の他の種類の材料が用いられてもよい。
【0028】
図3図6は、複数の光生成部30の配置の例を示す図である。図3図6は、複数の光生成部30を上方から見た状態を模式的に示している。図3図6では、例えば左右方向に3つの光生成部30が配置されている。なお、光生成部30の数については、3つに限定されず、2つ又は4つ以上であってもよい。
【0029】
図3図6に示すように、複数の光生成部30は、車両搭載状態における左右方向に並ぶように配置される。また、複数の光生成部30は、車両内側に配置される光生成部30よりも車両外側に配置される光生成部30の方が背面側に位置するように配置される。この構成により、車両のいわゆるスラント形状に対応した配置となるため、複数の光生成部30をコンパクトに配置でき、車両の形状に応じたデザインとすることができる。
【0030】
図3及び図4に示す例において、複数の光生成部30は、発光層32の法線方向Rが正面方向を向くように配置される。図3では、複数の光生成部30が互いに左右方向に離れた状態で配置される。この配置により、発光状態においてそれぞれの光生成部30が独立したパターンを形成することができる。また、図4において、複数の光生成部30は、隣り合う光生成部30同士が左右方向に一部重なった状態で配置される。この配置により、発光状態において複数の光生成部30による発光パターン同士が繋がった状態を形成することができる。
【0031】
図5及び図6に示す例において、複数の光生成部30は、車両内側に配置される光生成部30よりも車両外側に配置される光生成部30の方が発光層32の法線方向Rが正面方向に対して車両外側に傾くように配置される。この配置により、発光状態において正面に対して車両外側の斜め方向から見た場合の視認性を確保することができる。図5では、複数の光生成部30が互いに左右方向に離れた状態で配置される。この構成により、発光状態においてそれぞれの光生成部30が独立したパターンを形成することができる。また、図6では、複数の光生成部30が互いに左右方向に一部重なった状態で配置される。この構成により、発光状態において複数の光生成部30による発光パターン同士が繋がった状態を形成することができる。
【0032】
レンズ部材40は、光生成部30に対して正面方向に配置される。レンズ部材40は、入射面41と、出射面42とを有する。入射面41は、光生成部30からの生成光である赤色光が入射する。出射面42は、入射面41に入射した光を正面方向に出射する。レンズ部材40は、赤色光を透過し、赤色光とは異なる光を吸収する。したがって、外部の光に含まれる励起光成分がレンズ部材40によって吸収される。レンズ部材40は、例えばハウジング50等により保持される。
【0033】
ハウジング50は、例えば黒色等の樹脂材料を用いて形成される。ハウジング50は、上記した光源部10、導光部材20、光生成部30、レンズ部材40及び光源制御部60を支持又は収容する。
【0034】
次に、上記のように構成された車両用灯具100の動作を説明する。光源制御部60から光源11に電力を供給することにより、光源11を点灯させることができる。光源11を点灯させることにより、発光面11aから出射される励起光Lbの一部が発光層32に直接又は保持部材31を透過して照射される。
【0035】
発光層32に励起光Lbが照射されると、発光層32が励起して赤色光Lを発光する。発光層32で生じた赤色光Lの一部は、後方(正面方向)に出射される。また、保持部材31の第2面31bに反射層が形成される場合、発光層32で生じた赤色光の一部は、前方(背面方向)に出射され、反射層で反射されて後方に進行する。したがって、発光層32で生じた赤色光Lは、面状の光として正面方向に出射される。この赤色光Lは、レンズ部材40の入射面41に入射し、出射面42から正面方向に出射され、例えばテールランプのパターンとして照射される。
【0036】
光源制御部60は、光生成部30同士が左右方向に重なる部分の面積が大きいほど、光源11に供給する電力が大きくなるように制御することができる。例えば、図3に示す配置に比べて、図4に示す配置の方が、光生成部30同士が左右方向に重なる部分の面積が大きい。この場合、光源制御部60は、複数の光生成部30が図3に示す配置である構成よりも、複数の光生成部30が図4に示す配置である構成の方が、光源11に供給する電力が大きくなるように制御することができる。同様に、図5に示す配置に比べて、図6に示す配置の方が、光生成部30同士が左右方向に重なる部分の面積が大きい。この場合、光源制御部60は、複数の光生成部30が図5に示す配置である構成よりも、複数の光生成部30が図6に示す配置である構成の方が、光源11に供給する電力が大きくなるように制御することができる。
【0037】
また、光源制御部60は、光生成部30が正面方向に対して車両外側の方向に傾く角度が大きいほど、光源11に供給する電力が大きくなるように制御することができる。例えば、図3に示す配置に比べて、図5に示す配置の方が、光生成部30が正面方向に対して車両外側の方向に傾く角度が大きい。この場合、光源制御部60は、複数の光生成部30が図3に示す配置である構成よりも、複数の光生成部30が図5に示す配置である構成の方が、光源11に供給する電力が大きくなるように制御することができる。同様に、図4に示す配置に比べて、図6に示す配置の方が、光生成部30が正面方向に対して車両外側の方向に傾く角度が大きい。この場合、光源制御部60は、複数の光生成部30が図4に示す配置である構成よりも、複数の光生成部30が図6に示す配置である構成の方が、光源11に供給する電力が大きくなるように制御することができる。
【0038】
図7は、車両用灯具100の発光状態の一例を示す図である。図7に示す例は、車両用灯具100の複数の光生成部30同士が左右方向に一部重なっており、かつ車両内側に配置される光生成部30よりも車両外側に配置される光生成部30の方が車両外側に傾いた配置(図6に示す配置)である場合を例に挙げて説明する。
【0039】
図7に示すように、複数の光生成部30同士が左右方向に一部重なった配置では、発光状態の車両用灯具100を正面から見た場合、複数の光生成部30による発光パターンP同士が繋がった状態となる。このため、発光状態における意匠性を向上することができる。
【0040】
また、図7に示すように、車両内側に配置される光生成部30よりも車両外側に配置される光生成部30の方が発光層32の法線方向Rが正面方向に対して車両外側に傾く配置では、車両のスラント形状に対応する方向、例えば車両用灯具100の正面に対して車両外側に傾いた方向から見た場合の視認性を確保することができる。このため、発光状態における意匠性を向上することができる。
【0041】
図8から図11は、光源部10、導光部材20及び光生成部30の配置の他の例を示す図である。図8に示す例では、光源部10の上方に導光部材20Aが配置され、導光部材20Aの上方に光生成部30が配置された構成である。導光部材20Aは、光源部10に対向する下面に第1入射面21A、第2入射面22A及び第1反射面23Aを有する。また、導光部材20Aは、光生成部30に対向する上面に出射面28Aを有する。この場合、光源11からの励起光が第1入射面21A及び第2入射面22Aから入射する。第1入射面21Aから入射した励起光Lb、及び第2入射面22Aから入射して第1反射面23Aで反射された励起光Lbは、出射面28Aから上方に出射される。出射面28Aから出射された励起光Lbは、光生成部30に照射される。光生成部30に励起光Lbが照射されることで発光層32が励起して赤色光Lを発光し、赤色光Lが正面方向に出射される。
【0042】
図9に示す例では、光源部10の上方に導光部材20Bが配置され、導光部材20Bの上方に光生成部30が配置された構成である。導光部材20Bは、光源部10に対向する下面に入射面21Bを有する。入射面21Bには、フレネルレンズ部22Bが形成される。フレネルレンズ部22Bは、入射する光を集光する。また、導光部材20Bは、光生成部30に対向する上面に出射面28Bを有する。この場合、光源11からの励起光Lbが入射面21Bのフレネルレンズ部22Bから入射する。入射した励起光Lbは、フレネルレンズ部22Bで集光され、出射面28Bから上方に出射される。出射面28Bから出射された励起光Lbは、光生成部30に照射される。光生成部30に励起光Lbが照射されることで発光層32が励起して赤色光Lを発光し、赤色光Lが正面方向に出射される。
【0043】
図10に示す例では、光源部10の上方に導光部材20Cが配置され、導光部材20Cの上方に光生成部30が配置された構成である。導光部材20Cは、光源部10に対向する下面に入射面21Cを有する。また、導光部材20Cは、光生成部30に対向する上面に出射面28Cを有する。出射面28Cには、フレネルレンズ部22Cが形成される。フレネルレンズ部22Cは、出射する光を集光する。この場合、光源11からの励起光Lbが入射面21Cから入射する。入射した励起光Lbは、出射面28Cからフレネルレンズ部22Cにより集光された状態で上方に出射される。出射面28Cから出射された励起光Lbは、光生成部30に照射される。光生成部30に励起光Lbが照射されることで発光層32が励起して赤色光Lを発光し、赤色光Lが正面方向に出射される。
【0044】
図11に示す例では、光源部10の正面側に導光部材20Dが配置され、導光部材20Dの上方に光生成部30が配置された構成である。光源部10は、光源11の発光面11aが正面を向いた状態で配置される。導光部材20Dは、光源部10に対向する入射面21Dから正面側に向けて延びた構成である。導光部材20Dは、下面27Dにプリズム部22Dを有する。プリズム部22Dは、導光部材20Dを導光する励起光Lbを拡散した状態で上方に反射する。また、導光部材20Dは、光生成部30に対向する上面に出射面28Dを有する。この場合、光源11からの励起光Lbが入射面21Dから入射する。入射面21Dから入射した励起光Lbは、導光部材20Dの内部を正面側に向けて進行し、プリズム部22Dにより上方に反射される。プリズム部22Dで反射された励起光Lbは、出射面28Dから上方に出射される。出射面28Dから上方に出射された励起光Lbは、光生成部30に照射される。光生成部30に励起光Lbが照射されることで発光層32が励起して赤色光Lを発光し、赤色光Lが正面方向に出射される。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、励起光Lbを出射する複数の光源11と、光源11毎に設けられ、光源11からの励起光Lbを導光して出射する導光部材20と、導光部材20毎に設けられ、導光部材20から出射された励起光Lbが照射されることで生成光を発光する発光層32を有する光生成部30と、発光層32毎に設けられ、発光層32に対して正面側に配置され、発光層32からの生成光を車両搭載状態における正面方向に照射するレンズ部材40と、複数の光源11に供給する電力を制御する光源制御部60とを備え、光生成部30は、車両搭載状態において左右方向に並び、かつ車両内側に配置される光生成部30よりも車両外側に配置される光生成部30の方が背面側に位置するように配置される。
【0046】
この構成によれば、複数の光生成部30が車両搭載状態において左右方向に並び、かつ車両内側に配置される光生成部30よりも車両外側に配置される光生成部30の方が背面側に位置するように配置されるため、車両のいわゆるスラント形状に対応する配置とすることができる。これにより、外部から明瞭に視認可能となるように視認性を高めることができる。
【0047】
本実施形態に係る車両用灯具100において、複数の光生成部30は、隣り合う光生成部30同士が左右方向に一部が重なるように配置される。この構成によれば、発光状態において複数の光生成部30による発光パターン同士が繋がった状態を形成することができる。
【0048】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光源制御部60は、光生成部30同士が左右方向に重なる部分の面積が大きいほど、光源11に供給する電力が大きくなるように制御する。この構成によれば、光生成部30同士が左右方向に重なることによる光利用効率の低下を抑制できる。
【0049】
本実施形態に係る車両用灯具100において、複数の光生成部30は、車両内側に配置される光生成部30よりも車両外側に配置される光生成部30の方が正面方向に対して車両外側の方向に傾くように配置される。この構成によれば、発光状態において正面に対して車両外側の斜め方向から見た場合の視認性を確保することができる。
【0050】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光源制御部60は、光生成部30が正面方向に対して車両外側の方向に傾く角度が大きいほど、光源11に供給する電力が大きくなるように制御する。この構成によれば、光生成部30が正面方向に対して車両外側の方向に傾くことによる光利用効率の低下を抑制できる。
【0051】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光源11は、光生成部30に対して背面側に配置され、上方に向けて励起光Lbを出射し、導光部材20は、光源11及び光生成部30に対して上方に配置され、光源11からの励起光Lbを正面側に導光し、光生成部30に向けて下方に出射し、光生成部30は、発光層32が平板状に形成され、発光層32の法線方向Rが正面に対して斜め上方を向くように配置される。この構成によれば、光源11、導光部材20及び光生成部30を限られたスペースにコンパクトに配置することができる。
【0052】
本実施形態に係る車両用灯具100において、導光部材20は、光源11に対して上下方向に対向する第1入射面21と、光源11の側方を囲う第2入射面22とを有する。この構成によれば、光源11から上方に向かう励起光Lb及び光源11から側方に向かう励起光Lbをそれぞれ導光部材20に入射させることができる。これにより、励起光Lbの利用効率を高めることができる。
【0053】
本実施形態に係る車両用灯具100において、導光部材20B、20Cは、光源11からの励起光Lbが入射する入射面21B又は励起光Lbが出射する出射面28Cに設けられ、励起光Lbを集光するフレネルレンズ部22B、22Cを有する。この構成によれば、導光部材20B、20Cの厚さを抑えつつ、光源11からの励起光Lbを集光させることで利用効率を高めることができる。
【0054】
本実施形態に係る車両用灯具100において、導光部材20Dは、導光した励起光Lbを発光層32側に拡散させるように内面反射するプリズム部22Dを有する。この構成によれば、プリズム部22Dにより励起光Lbを均一な光量で出射することができる。
【0055】
本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態において示した光源部10、導光部材20(導光部材20A~20Dを含む)及び光生成部30の配置については、それぞれ上下方向に反転させた配置としてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、光学部材として、励起光を導光して出射する導光部材20、20A~20Dが用いられる場合を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。光学部材は、導光部材20、20A~20Dに代えて、又は導光部材20、20A~20Dに加えて、光源11からの励起光を出射する構成であれば、レンズ、反射部材等、他の光学部材又はその組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
L…赤色光、P…発光パターン、R…法線方向、EL…有機、Lb…励起光、10…光源部、11…光源、11a…発光面、12…支持基板、20,20A,20B,20C,20D…導光部材、21,21A…第1入射面、21B,21C,21D,41…入射面、22,22A…第2入射面、22B,22C…フレネルレンズ部、22D…プリズム部、23,23A…第1反射面、24…第1導光部、25…第2反射面、26…第2導光部、27…第3反射面、28,28A,28B,28C,28D,42…出射面、30…光生成部、31…保持部材、31a…第1面、31b…第2面、32…発光層、40…レンズ部材、50…ハウジング、60…光源制御部、100…車両用灯具
図1
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図11