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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091091
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】基板洗浄装置および基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207535
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】沖田 展彬
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉文
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA14
5F157AA16
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC26
5F157BA07
5F157BA13
5F157BA31
5F157BB22
5F157BB37
5F157BB45
5F157CD23
5F157CE27
5F157CF02
5F157CF30
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB02
5F157DB37
(57)【要約】
【課題】基板を均一に洗浄することが可能な基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供する。
【解決手段】基板洗浄装置は、下面ブラシ51、支持部材140、第1のアクチュエータおよび荷重検出部200を含む。下面ブラシ51は、基板の下面を洗浄する。支持部材140は、下面ブラシ51を支持する。第1のアクチュエータは、支持部材140を昇降させることにより、下面ブラシ51から基板への荷重を調整する。荷重検出部200は、支持部材140と第1のアクチュエータとの間に設けられ、支持部材140と第1のアクチュエータとの間の荷重を検出する。あるいは、基板洗浄装置は、荷重検出部200に代えて、下面ブラシ51のブラシ本体51aとブラシベース51bとの間に設けられ、ブラシ本体51aとブラシベース51bとの間の二次元的な荷重の分布を検出する荷重検出部300を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の下面を洗浄する下面ブラシと、
前記下面ブラシを支持する支持部と、
前記支持部を昇降させることにより、前記下面ブラシから前記基板への荷重を調整する第1のアクチュエータと、
前記支持部と前記第1のアクチュエータとの間に設けられ、前記支持部と前記第1のアクチュエータとの間の荷重を検出する荷重検出部とを備える、基板洗浄装置。
【請求項2】
前記下面ブラシが前記基板に接触していないときに前記荷重検出部により検出される荷重と、前記下面ブラシが前記基板に接触しているときに前記荷重検出部により検出される荷重とに基づいて、前記下面ブラシから前記基板への荷重を特定する荷重特定部と、
前記荷重特定部により特定された荷重が所定の基準値になるように前記第1のアクチュエータの動作を制御する荷重制御部とをさらに備える、請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記基板の非洗浄時に前記下面ブラシを待機させる待機位置と、前記待機位置よりも前記基板に近い処理位置との間で前記下面ブラシを昇降させる第2のアクチュエータをさらに備え、
前記第1のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータによる前記下面ブラシの昇降範囲よりも小さい範囲で前記支持部を昇降させることにより、前記処理位置にある前記下面ブラシを前記基板に接触させる、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
基板の下面を洗浄するブラシ本体および前記ブラシ本体が取り付けられたブラシベースを含む下面ブラシと、
前記下面ブラシの前記ブラシベースを支持する支持部と、
前記支持部を昇降させることにより、前記下面ブラシから前記基板への荷重を調整する第1のアクチュエータと、
前記ブラシ本体と前記ブラシベースとの間に設けられ、前記ブラシ本体と前記ブラシベースとの間の二次元的な荷重の分布を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部により検出される荷重の分布に基づいて、前記第1のアクチュエータの動作を制御する荷重制御部とを備える、基板洗浄装置。
【請求項5】
前記荷重制御部は、前記荷重検出部により検出される荷重の分布における最小値が所定の下限基準値以上になるように前記第1のアクチュエータの動作を制御する、請求項4記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記荷重制御部は、前記荷重検出部により検出される荷重の分布における最大値が所定の上限基準値以下になるように前記第1のアクチュエータの動作を制御する、請求項4または5記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記ブラシ本体が前記基板に接触していないときに前記荷重検出部により検出される荷重の分布と、前記ブラシ本体が前記基板に接触しているときに前記荷重検出部により検出される荷重の分布とに基づいて、前記ブラシ本体から前記基板への荷重の分布を特定する荷重特定部をさらに備え、
前記荷重制御部は、前記荷重特定部により特定された荷重の分布に基づいて、前記第1のアクチュエータの動作を制御する、請求項4または5記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
前記基板の非洗浄時に前記下面ブラシを待機させる待機位置と、前記待機位置よりも前記基板に近い処理位置との間で前記下面ブラシを昇降させる第2のアクチュエータをさらに備え、
前記第1のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータによる前記下面ブラシの昇降範囲よりも小さい範囲で前記支持部を昇降させることにより、前記処理位置にある前記下面ブラシの前記ブラシ本体を前記基板に接触させる、請求項4または5記載の基板洗浄装置。
【請求項9】
下面ブラシのブラシ本体により基板の下面を洗浄することと、
第1のアクチュエータにより前記下面ブラシのブラシベースを支持する支持部を昇降させることと、
荷重検出部により前記ブラシ本体と前記ブラシベースとの間の二次元的な荷重の分布を検出することとを含み、
前記支持部を昇降させることは、前記荷重検出部により検出される荷重の分布に基づいて、前記ブラシ本体から前記基板への荷重を調整することを含む、基板洗浄方法。
【請求項10】
前記荷重を調整することは、前記荷重検出部により検出される荷重の分布における最小値が所定の下限基準値以上になるように前記ブラシ本体から前記基板への荷重を調整することを含む、請求項9記載の基板洗浄方法。
【請求項11】
前記荷重を調整することは、前記荷重検出部により検出される荷重の分布における最大値が所定の上限基準値以下になるように前記ブラシ本体から前記基板への荷重を調整することを含む、請求項9または10記載の基板洗浄方法。
【請求項12】
前記ブラシ本体が前記基板に接触していないときに前記荷重検出部により検出される荷重の分布と、前記ブラシ本体が前記基板に接触しているときに前記荷重検出部により検出される荷重の分布とに基づいて、前記ブラシ本体から前記基板への荷重の分布を特定することをさらに含み、
前記荷重を調整することは、特定される前記ブラシ本体から前記基板への荷重の分布に基づいて、前記ブラシ本体から前記基板への荷重を調整することを含む、請求項9または10記載の基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するためには、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、基板の下面を洗浄する基板洗浄装置が記載されている。この基板洗浄装置においては、水平に延びる下面ブラシ保持部材がエアシリンダにより支持される。下面ブラシ保持部材の一端部には、上方に向かって延びる回転軸が設けられる。回転軸の上端部には、下面ブラシが取り付けられる。エアシリンダは、下面ブラシ保持部材に上方へ向かう力を加える。この場合、下面ブラシが上昇し、基板の下面に接触する。これにより、基板の下面が洗浄される。
【0004】
下面ブラシ保持部材の他端部の上方には、荷重センサが取り付けられる。エアシリンダが、支持している複数の構成要素の合計重量を超える力を下面ブラシ保持部材に加える場合には、下面ブラシ保持部材の他端部が荷重センサに当接する。このとき、荷重センサは、エアシリンダにより下面ブラシ保持部材に加えられる力から上記の合計重量を差し引いた力を示す信号を出力する。荷重センサから出力される信号に基づいて、エアシリンダが下面ブラシ保持部材に加える力が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-103731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、上記の基板洗浄装置により下面ブラシを予め定められた力で基板の下面に押し付けることが可能であることが記載されている。しかしながら、下面ブラシの水分の保持量または下面ブラシの乾燥度等の下面ブラシの状態により、下面ブラシの重量は変動する。この場合、特許文献1記載の基板洗浄装置においては、下面ブラシを基板の下面に押し付ける力が変動する可能性がある。そのため、基板の洗浄が不均一になることがある。
【0007】
本発明の目的は、基板を均一に洗浄することが可能な基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に従う基板洗浄装置は、基板の下面を洗浄する下面ブラシと、前記下面ブラシを支持する支持部と、前記支持部を昇降させることにより、前記下面ブラシから前記基板への荷重を調整する第1のアクチュエータと、前記支持部と前記第1のアクチュエータとの間に設けられ、前記支持部と前記第1のアクチュエータとの間の荷重を検出する荷重検出部とを備える。
【0009】
本発明の他の局面に従う基板洗浄装置は、基板の下面を洗浄するブラシ本体および前記ブラシ本体が取り付けられたブラシベースを含む下面ブラシと、前記下面ブラシの前記ブラシベースを支持する支持部と、前記支持部を昇降させることにより、前記下面ブラシから前記基板への荷重を調整する第1のアクチュエータと、前記ブラシ本体と前記ブラシベースとの間に設けられ、前記ブラシ本体と前記ブラシベースとの間の二次元的な荷重の分布を検出する荷重検出部と、前記荷重検出部により検出される荷重の分布に基づいて、前記第1のアクチュエータの動作を制御する荷重制御部とを備える。
【0010】
本発明の他の局面に従う基板洗浄方法は、下面ブラシのブラシ本体により基板の下面を洗浄することと、第1のアクチュエータにより前記下面ブラシのブラシベースを支持する支持部を昇降させることと、荷重検出部により前記ブラシ本体と前記ブラシベースとの間の二次元的な荷重の分布を検出することとを含み、前記支持部を昇降させることは、前記荷重検出部により検出される荷重の分布に基づいて、前記ブラシ本体から前記基板への荷重を調整することを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板を均一に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。
図2図1の基板洗浄装置の内部構成を示す斜視図である。
図3図1の下面ブラシ駆動部の構成を説明するための模式図である。
図4】下面洗浄装置の動作を説明するための図である。
図5】基板の下面外側領域の洗浄時の詳細を説明するための模式図である。
図6】基板洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図7図6の制御装置による基板洗浄処理を示すフローチャートである。
図8図7の中央洗浄処理を示すフローチャートである。
図9図7の外側洗浄処理を示すフローチャートである。
図10】第2の実施の形態における下面ブラシ駆動部の構成を説明するための模式図である。
図11】第2の実施の形態における中央洗浄処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図12】第2の実施の形態における外側洗浄処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る基板洗浄装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板(ウエハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、以下の説明では、基板の上面が回路形成面(表面)であり、基板の下面が回路形成面と反対側の面(裏面)である。また、基板は、ノッチを除いて円形状を有する。
【0014】
1.第1の実施の形態
(1)基板洗浄装置の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。図2は、図1の基板洗浄装置1の内部構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。図1および図2以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は上下方向(鉛直方向)に相当する。
【0015】
図1および図2に示すように、基板洗浄装置1は、ユニット筐体2内に、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90が収容された構成を有する。図2では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0016】
ユニット筐体2は、直方体形状を有し、矩形の底面部および底面部の4辺から上方に延びる4つの側壁部を含む。4つの側壁部のうち2つの側壁部はY方向において互いに対向する。4つの側壁部のうち他の2つの側壁部はX方向において互いに対向する。4つの側壁部のうち1つの側壁部中央には、基板Wの搬入搬出口2xが形成されている。搬入搬出口2xの近傍には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、シャッタ91を含み、シャッタ91により搬入搬出口2xを開閉可能に構成されている。
【0017】
ユニット筐体2の底面部に、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31および可動台座32を含む。リニアガイド31は、X方向に並ぶ2本のレールを含み、X方向における底面部の中央部分を横切るようにY方向に延びている。台座装置30は、リニアガイド31の2本のレール上で、可動台座32をY方向における複数の位置に移動させることが可能に構成されている。
【0018】
可動台座32上に、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、可動台座32の上面に設けられ、吸着保持部21を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形状の吸着面を有する。また、吸着保持部21は、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。下側保持装置20は、吸着保持部21により、基板Wの下面を吸着する。これにより、基板Wが略水平姿勢で保持される。また、吸着保持部21は、保持された基板Wを上下方向に延びる軸の周りで回転させる。
【0019】
以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着保持する領域を下面中央領域と呼ぶ。また、基板Wの下面のうち下面中央領域を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0020】
可動台座32上には、下側保持装置20の近傍に受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、平面視で吸着保持部21を取り囲みかつ上下方向に延びるように設けられた複数(本例では3本)の支持ピン41を有する。複数の支持ピン41は、予め定められた複数の高さ位置の間で昇降可能に設けられている。
【0021】
後述するように、上側保持装置10A,10Bは、下側保持装置20よりも上方の位置で基板Wを略水平姿勢で保持可能に構成されている。受渡装置40は、複数の支持ピン41を昇降させることにより、下側保持装置20に保持された基板Wを受け取って上側保持装置10A,10Bに渡すことが可能である。また、受渡装置40は、上側保持装置10A,10Bに保持された基板Wを受け取って下側保持装置20に渡すことが可能である。
【0022】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの液ノズル52、気体噴出部53および下面ブラシ駆動部100を含む。下面ブラシ駆動部100は、Y方向において下側保持装置20に隣り合うように、可動台座32の上面に設けられている。下面ブラシ51は、ブラシ本体51aと、ブラシベース51bとを含む。ブラシ本体51aは、ブラシベース51bの上部に取り付けられる。下面ブラシ51のブラシ本体51aは、基板Wの下面に接触可能な円形状の洗浄面を有する。
【0023】
下面ブラシ51のブラシベース51bは、ブラシ本体51aの洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、下面ブラシ駆動部100に取り付けられている。ブラシ本体51aの洗浄面の面積は、吸着保持部21の吸着面の面積よりも大きい。なお、ブラシ本体51aは、例えばPVA(ポリビニールアルコール)スポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成される。
【0024】
下面ブラシ駆動部100は、下面ブラシ51を昇降させる昇降機構と、下面ブラシ51を回転させるブラシ駆動機構とを含む。下面ブラシ駆動部100は、その昇降機構により、基板Wが下側保持装置20または上側保持装置10A,10Bにより保持された状態で昇降動作する。これにより、下面ブラシ駆動部100は、下面ブラシ51を基板Wの下面に接触する高さ位置と基板Wから一定距離下方に離間した高さ位置との間で移動させる。
【0025】
また、下面ブラシ駆動部100は、そのブラシ駆動機構により、下面ブラシ51を回転させる。これにより、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する高さ位置にある状態で回転することにより、基板Wの下面における下面ブラシ51との接触部分が洗浄される。下面ブラシ駆動部100の詳細については後述する。
【0026】
2つの液ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、下面ブラシ駆動部100の後述するケーシング状の収容部に取り付けられている。液ノズル52には、図示しない洗浄液供給系が接続されている。液ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、洗浄液供給系から供給される洗浄液を基板Wの下面に吐出する。本実施の形態では、液ノズル52に供給される洗浄液として純水が用いられる。
【0027】
気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ気体噴射口が上方を向くように、下面ブラシ駆動部100の収容部に取り付けられている。気体噴出部53には、図示しない噴出気体供給系が接続されている。本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガスが用いられる。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給系から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。これにより、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。
【0028】
カップ装置60は、ユニット筐体2内の略中央部に設けられ、カップ61を含む。カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。図2においては、カップ61が点線で示される。カップ61は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じて、予め定められた下カップ位置と上カップ位置との間で移動する。下カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方にある高さ位置である。また、上カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方にある高さ位置である。
【0029】
上側保持装置10A,10Bは、カップ61よりも上方の高さ位置に設けられている。上側保持装置10A,10Bは、平面視で台座装置30を挟んで対向する。上側保持装置10Aは、下チャック11Aおよび上チャック12Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11Bおよび上チャック12Bを含む。
【0030】
下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、基板Wの下面外側領域を基板Wの下方から支持可能な2本の支持片を有する。上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、基板Wの外周端部の2つの部分に当接して基板Wの外周端部を保持可能に構成された2本の保持片を有する。
【0031】
上側保持装置10A,10Bにおいては、下チャック11Aおよび上チャック12Aと、下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間の距離が調整される。これにより、上側保持装置10A,10Bは、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間で基板Wを挟み込むことにより、下側保持装置20の上方の位置で基板Wを保持することが可能である。また、上側保持装置10A,10Bにおいては、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとを互いに遠ざけることにより、保持された基板Wを解放することが可能である。
【0032】
図1に示すように、X方向におけるカップ61の一側方に上面洗浄装置70が設けられている。図2に示すように、上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72およびスプレーノズル73を含む。回転支持軸71は、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に設けられている。アーム72は、上側保持装置10A,10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0033】
スプレーノズル73には、図示しない流体供給系が接続されている。図示しない流体供給系からスプレーノズル73に洗浄液が供給される。また、流体供給系からスプレーノズル73に気体が供給される。これにより、スプレーノズル73において洗浄液と気体とが混合され、混合流体が生成される。生成された混合流体は、スプレーノズル73から下方に向かって噴射される。
【0034】
上面洗浄装置70においては、例えば基板Wが下側保持装置20により保持されて回転する状態で、スプレーノズル73が基板Wの上方を移動するように、回転支持軸71の高さ位置が調整され、回転支持軸71が回転する。この状態で、スプレーノズル73から基板Wに混合流体が噴射される。これにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0035】
図1に示すように、X方向におけるカップ61の他側方に端部洗浄装置80が設けられている。図2に示すように、端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82およびベベルブラシ83を含む。回転支持軸81は、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に設けられている。アーム82は、上側保持装置10A,10Bよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0036】
端部洗浄装置80においては、例えば基板Wが下側保持装置20により保持されて回転する状態で、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部に接触するように、回転支持軸81の高さ位置が調整され、回転支持軸81が回転する。さらに、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転する。これにより、基板Wの外周端部全体が洗浄される。
【0037】
図1に示すように、基板洗浄装置1は、制御装置9をさらに含む。制御装置9は、例えばCPU(中央演算処理装置)9aおよびメモリ9bを含む。制御装置9は、マイクロコンピュータにより実現されてもよい。メモリ9bには、基板洗浄プログラムが記憶されている。CPU9aは、メモリ9bに記憶された基板洗浄プログラムを実行することにより、上記の各構成要素(10A,10B,20,30,40,50,60,70,80,90)の動作を制御する。
【0038】
(2)下面ブラシ駆動部
図3は、図1の下面ブラシ駆動部100の構成を説明するための模式図である。図3では、下面ブラシ51およびその周辺部材の構成が模式的な側面図で示される。図3に示すように、下面ブラシ駆動部100は、収容部110、エアシリンダ120、電空レギュレータ130、支持部材140、回転軸150、回転モータ160、モータ駆動部170、リニアガイド180、昇降モータ190および荷重検出部200を含む。
【0039】
収容部110は、例えばケーシング部材であり、可動台座32の上面に設けられる。収容部110の上面には、図1の液ノズル52および気体噴出部53が設けられるが、図3では液ノズル52および気体噴出部53の図示を省略する。収容部110は、下面ブラシ駆動部100のうち電空レギュレータ130、モータ駆動部170および昇降モータ190を除く構成を収容する。これにより、下面ブラシ51を駆動することにより発生するパーティクルがユニット筐体2内で飛散することを防止することができる。なお、電空レギュレータ130およびモータ駆動部170も収容部110に収容されてもよい。
【0040】
エアシリンダ120は、収容部110の底面に設けられる。支持部材140は、水平方向に延びるロッド部材またはプレート部材であり、一端部および他端部を有する。荷重検出部200は、支持部材140の下部に取り付けられる。エアシリンダ120は、支持部材140のうち一端部と他端部との間の略中央部分を、荷重検出部200を介して支持する。
【0041】
エアシリンダ120には、電空レギュレータ130が接続される。エアシリンダ120は、電空レギュレータ130を通して空気が供給されることにより、支持部材140を所定の範囲で昇降させる。エアシリンダ120に供給される空気量が変化することにより、エアシリンダ120から支持部材140に加えられる荷重が変化する。
【0042】
回転軸150は、支持部材140の一端部において、上方に向かって延びかつ回転可能に設けられる。回転軸150の上端部は、収容部110から上方に突出する。収容部110から突出する回転軸150の上端部には、下面ブラシ51のブラシベース51bが取り付けられる。上記の支持部材140に加えられる荷重が変化されることにより、下面ブラシ51のブラシ本体51aから基板Wに加えられる荷重を調整することが可能である。
【0043】
荷重検出部200は、例えばロードセルであり、エアシリンダ120と支持部材140との間の荷重を検出する。以下、荷重検出部200により検出される荷重を検出荷重と呼ぶ。ここで、下面ブラシ51が基板Wに接触していない状態においては、支持部材140と、支持部材140に支持される部材との総重量に起因してエアシリンダ120に加えられる荷重(以下、基本荷重と呼ぶ。)が検出荷重となる。支持部材140に支持される部材は、回転軸150および下面ブラシ51を含む。また、上記の総重量は、下面ブラシ51に保持される洗浄液等の水分の重量を含み、下面ブラシ51の乾燥度に応じて変化する。
【0044】
一方、下面ブラシ51が基板Wに接触している状態においては、基本荷重と、エアシリンダ120から支持部材140に加えられる荷重(以下、印加荷重と呼ぶ。)との合計が検出荷重となる。下面ブラシ51から基板Wに加えられる荷重は、エアシリンダ120から支持部材140に加えられる印加荷重に等しい。したがって、下面ブラシ51が基板Wに接触しているときの検出荷重から、下面ブラシ51が基板Wに接触していないときの検出荷重(基本荷重)を減算することにより、下面ブラシ51から基板Wに加えられる印加荷重を特定することが可能である。
【0045】
回転モータ160は、回転軸が上下方向に延びる状態で、支持部材140の他端部近傍に取り付けられる。回転モータ160には、モータ駆動部170が接続される。回転軸150と、回転モータ160の回転軸との間には、動力伝達部材101が設けられる。動力伝達部材101は、回転軸150および回転モータ160の回転軸にそれぞれ取り付けられる2つのプーリと、2つのプーリを繋ぐベルトとを含み、回転モータ160により発生した回転力を回転軸150に伝達する。これにより、下面ブラシ51が回転する。
【0046】
リニアガイド180は、上下方向に延びるように収容部110の底面に設けられる。リニアガイド180には、支持部材140の端部(図3の例では他端部)が接続される。リニアガイド180は、支持部材140の移動方向を上下方向に規制する。
【0047】
昇降モータ190は、上下方向に昇降可能な駆動軸を有し、収容部110の外に設けられる。昇降モータ190の駆動軸と収容部110との間には、動力伝達部材102が設けられる。動力伝達部材102は、昇降モータ190により発生した駆動力を収容部110に伝達する。これにより、下面ブラシ51が収容部110およびその収容物とともに昇降する。昇降モータ190による下面ブラシ51の昇降範囲は、エアシリンダ120による下面ブラシ51の昇降範囲よりも大きい。
【0048】
基板Wの洗浄前には、昇降モータ190により下面ブラシ51が下降される。このときの下面ブラシ51の位置を待機位置と呼ぶ。待機位置は図1の吸着保持部21により保持された基板Wの下方にあり、待機位置においては、下面ブラシ51は、基板Wから大きく離間する。一方、基板Wの下面の洗浄時には、昇降モータ190により下面ブラシ51が上昇される。このときの下面ブラシ51の位置を処理位置と呼ぶ。処理位置においては、下面ブラシ51は、基板Wと近接する。以下、下面洗浄装置50による基板Wの下面中央領域および下面外側領域の洗浄について説明する。
【0049】
(3)下面洗浄装置の動作
図4は、下面洗浄装置50の動作を説明するための図である。基板Wの下面中央領域の洗浄時には、図4の上段に示すように、下面ブラシ51の洗浄面は、図1の上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wの下面中央領域に接触される。この状態で、下面ブラシ51が回転されることにより、基板Wの下面中央領域に付着する汚染物が取り除かれる。本例では、基板Wの下面中央領域の洗浄時には、基板Wが回転されないが、基板Wが回転されてもよい。
【0050】
基板Wの下面外側領域の洗浄時には、図4の下段に示すように、下面ブラシ51は、図1の吸着保持部21により保持された基板Wの下面外側領域に接触される。このとき、下面ブラシ51の一部が基板Wよりもわずかに外方に突出してもよい。この状態で、基板Wが回転されることにより、基板Wの下面外側領域に付着する汚染物が取り除かれる。本例では、基板Wの下面外側領域の洗浄時には、下面ブラシ51が回転されないが、下面ブラシ51が回転されてもよい。
【0051】
本例では、下面ブラシ51の直径は、基板Wの直径の1/3よりも大きくかつ1/2よりも小さい。この場合、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域の下方と下面外側領域の下方に順次接触することにより、基板Wの下面全体が効率よく洗浄される。そのため、下面ブラシ51を過剰に大きくする必要がない。なお、基板Wの直径は、例えば300mmである。図4に一点鎖線で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域に接触したときに洗浄可能な領域と、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触したときに洗浄可能な領域とはわずかに重複してもよい。
【0052】
基板Wの下面の洗浄時には、図1の液ノズル52により基板Wの下面に洗浄液が供給される。この場合、基板Wの下面に付着する汚染物をより効率よく取り除くことができる。また、基板Wの下面中央領域の洗浄時には、基板Wの上面および基板Wの外周端部の洗浄も同時に行われる。
【0053】
図5は、基板Wの下面外側領域の洗浄時の詳細を説明するための模式図である。図5の上段に示すように、基板Wの下面外側領域の洗浄時には、ベベルブラシ83の外周面に設けられた断面略U字形状の溝部が、回転する基板Wの外周端部に接触する。これにより、基板Wの外周端部が洗浄される。
【0054】
また、スプレーノズル73が基板Wの略中心の上方に移動される。この状態で、スプレーノズル73から基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体が噴射される。次に、図5の中段に示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方で外方に向かって移動される。このスプレーノズル73の移動は、図5の下段に示すように、スプレーノズル73が基板Wの外周部の上方に到達するまで継続される。これにより、基板Wの上面が洗浄される。スプレーノズル73は、基板Wの外周部の上方から基板Wの略中心の上方に向かって移動されてもよい。
【0055】
(4)制御部の構成
図6は、基板洗浄装置1の制御系統の構成を示すブロック図である。図6に示すように、制御装置9は、機能部として、チャック制御部9A、吸着制御部9B、台座制御部9C、受渡制御部9D、回転制御部9E、昇降制御部9F、荷重特定部9G、荷重制御部9H、洗浄液制御部9I、吐出気体制御部9J、カップ制御部9K、上面洗浄制御部9L、端部洗浄制御部9Mおよび搬入搬出制御部9Nを含む。
【0056】
制御装置9のCPU9a(図1)がメモリ9b(図1)に記憶された基板洗浄プログラムを実行することにより、制御装置9の上記の機能部が実現される。制御装置9の機能部の一部または全部は、電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0057】
チャック制御部9Aは、下チャック11A,11Bおよび上チャック12A,12Bが基板Wを保持するように上側保持装置10A,10Bを制御する。吸着制御部9Bは、吸着保持部21が基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転するように下側保持装置20を制御する。台座制御部9Cは、可動台座32がY方向における複数の位置に移動するように台座装置30を制御する。受渡制御部9Dは、複数の支持ピン41が上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間で基板Wを移動させるように受渡装置40を制御する。
【0058】
回転制御部9Eは、下面ブラシ51が回転するように下面洗浄装置50のモータ駆動部170を制御する。昇降制御部9Fは、下面ブラシ51が待機位置と処理位置との間で移動するように下面洗浄装置50の昇降モータ190を制御する。荷重特定部9Gは、下面洗浄装置50の荷重検出部200により検出される荷重に基づいて、基板Wに加えられる荷重を特定する。
【0059】
荷重制御部9Hは、荷重特定部9Gにより特定される荷重、すなわち基板Wに加えられる荷重が所定の基準値になるように下面洗浄装置50の電空レギュレータ130を制御する。洗浄液制御部9Iは、液ノズル52が洗浄液を吐出するように下面洗浄装置50を制御する。吐出気体制御部9Jは、気体噴出部53が気体を噴射するように下面洗浄装置50を制御する。
【0060】
カップ制御部9Kは、カップ61が下カップ位置と上カップ位置との間で移動するようにカップ装置60を制御する。上面洗浄制御部9Lは、スプレーノズル73が基板Wの上面を洗浄するように上面洗浄装置70を制御する。端部洗浄制御部9Mは、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部を洗浄するように端部洗浄装置80を制御する。搬入搬出制御部9Nは、シャッタ91がユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するように開閉装置90を制御する。
【0061】
(5)基板洗浄処理
図7は、図6の制御装置9による基板洗浄処理を示すフローチャートである。基板洗浄処理は、制御装置9のCPU9aがメモリ9bに記憶された基板洗浄プログラムを実行することにより行われる。初期状態では、台座装置30は、下側保持装置20の吸着保持部21が平面視でカップ61の中央に位置するように可動台座32が位置決めされている。
【0062】
まず、搬入搬出制御部9Nは、開閉装置90を制御することにより、搬入搬出口2xを開放し、基板洗浄装置1の外部から搬入される基板Wをユニット筐体2内に受け入れる(ステップS1)。
【0063】
次に、受渡制御部9Dは、受渡装置40を制御することにより、基板Wを複数の支持ピン41により受け取り、受け取られた基板Wを上側保持装置10A,10Bに渡す(ステップS2)。このとき、チャック制御部9Aは、上側保持装置10A,10Bを制御することにより、下側保持装置20の上方の位置で基板Wの外周端部を保持する(ステップS3)。なお、基板洗浄装置1の外部から搬入される基板Wが、下チャック11A,11B上に載置可能である場合、ステップS2の処理は省略されてもよい。ステップS1で開放された搬入搬出口2xは、基板Wが受渡装置40により受け取られた後、シャッタ91により閉塞される。
【0064】
その後、回転制御部9E、昇降制御部9Fおよび荷重制御部9Hがモータ駆動部170、昇降モータ190および電空レギュレータ130をそれぞれ制御するとともに、洗浄液制御部9Iが下面洗浄装置50を制御する。これにより、基板Wの下面中央領域を洗浄する中央洗浄処理が実行される(ステップS4)。中央洗浄処理の詳細については後述する。
【0065】
ステップS4の中央洗浄処理時には、基板Wの下面中央領域に洗浄液が付着する。そこで、台座制御部9Cが台座装置30を制御するとともに、吐出気体制御部9Jが下面洗浄装置50を制御することにより、基板Wの下面中央領域を乾燥させる(ステップS5)。具体的には、気体噴出部53から基板Wの下面に向けて気体が噴射されることにより、気体カーテンが発生した状態で、平面視で下面中央領域を通過するように基板Wの下面に対して気体噴出部53が移動する。これにより、下面中央領域に基板Wに付着した洗浄液が気体カーテンにより基板Wの下面中央領域から外れた位置まで押し出され、下面中央領域が乾燥する。
【0066】
ステップS5の終了後、下面ブラシ51は、処理位置から待機位置に下降される。次に、受渡制御部9Dは、受渡装置40を制御することにより、上側保持装置10A,10Bに保持された基板Wを複数の支持ピン41により受け取り、受け取った基板Wを下側保持装置20に渡す(ステップS6)。
【0067】
次に、吸着制御部9Bは、下側保持装置20を制御することにより、基板Wの下面中央領域を吸着保持部21で吸着保持する(ステップS7)。ステップS6,S7の処理中には、平面視で基板Wの中心が吸着保持部21の中心に位置するように、台座装置30が位置決めされる。これにより、基板Wは、その中心が吸着保持部21の回転中心(回転軸)上に位置する状態で、吸着保持部21により吸着保持される。また、吸着制御部9Bは、下側保持装置20を制御することにより、吸着保持部21により保持された基板Wを回転させる(ステップS8)。
【0068】
ここで、昇降制御部9Fおよび荷重制御部9Hが昇降モータ190および電空レギュレータ130をそれぞれ制御するとともに、洗浄液制御部9Iが下面洗浄装置50を制御する。これにより、基板Wの下面外側領域を洗浄する外側洗浄処理が実行される(ステップS9)。外側洗浄処理の詳細については後述する。
【0069】
また、端部洗浄制御部9Mは、ベベルブラシ83を基板Wの外周端部に接触させるように端部洗浄装置80を制御することにより、基板Wの外周端部を洗浄する(ステップS10)。基板Wの外周端部の洗浄が終了した後、ベベルブラシ83は端部洗浄装置80における初期位置に戻される。
【0070】
さらに、上面洗浄制御部9Lは、スプレーノズル73からの混合流体を噴射させつつ、スプレーノズル73を基板Wの中心の上方から基板Wの外周部の上方に移動させるように上面洗浄装置70を制御することにより、基板Wの上面全体を洗浄する(ステップS11)。基板Wの上面全体の洗浄が終了した後、スプレーノズル73からの混合流体の噴射が停止されるとともに、スプレーノズル73は上面洗浄装置70における初期位置に戻される。
【0071】
ステップS9~S11は、略同時にかつ並行して実行される。ステップS9~S11の終了後、吸着制御部9Bは、下側保持装置20を制御することにより、基板Wを高速で回転させ、基板Wの全体を乾燥させる(ステップS12)。基板Wを高速で回転させて基板Wの全体を乾燥させる乾燥方法は、スピン乾燥と呼ばれる。
【0072】
最後に、搬入搬出制御部9Nは、開閉装置90を制御することにより、搬入搬出口2xを開放する。これにより、基板Wが基板洗浄装置1の外部に搬出され(ステップS13)、基板洗浄処理が終了する。ステップS10で開放された搬入搬出口2xは、基板Wが搬出された後、シャッタ91により閉塞される。
【0073】
なお、カップ制御部9Kは、上記の一連の処理のうちステップS9~S12の処理中、カップ装置60を制御することにより、カップ61を上カップ位置に保持する。これにより、基板Wの下面外側領域、外周端部および上面全体の洗浄時、ならびに基板Wのスピン乾燥時に基板Wから飛散する液滴は、カップ61により受け止められ、基板洗浄装置1の外部に排出される。また、カップ制御部9Kは、上記の一連の処理のうちステップS9~S12を除く処理(ステップS1~S8,S13)の間、カップ装置60を制御することにより、カップ61を下カップ位置に保持する。
【0074】
(6)中央洗浄処理
図8は、図7の中央洗浄処理を示すフローチャートである。以下、図3の下面ブラシ駆動部100および図6の制御装置9を参照しながら、中央洗浄処理について説明する。まず、昇降制御部9Fは、昇降モータ190を制御することにより、下面ブラシ51を待機位置から処理位置に上昇させる(ステップS21)。
【0075】
ステップS21が実行された時点では、下面ブラシ51は基板Wとは接触しない。荷重特定部9Gは、この時点で荷重検出部200により検出される検出荷重を基本荷重として取得する(ステップS22)。ステップS22は、ステップS21よりも先に実行されてもよい。
【0076】
次に、回転制御部9Eは、モータ駆動部170を制御することにより、下面ブラシ51を回転させる(ステップS23)。続いて、荷重制御部9Hは、電空レギュレータ130を制御することにより、下面ブラシ51を上昇させて基板Wの下面中央領域に接触させる(ステップS24)。これにより、基板Wの下面中央領域の洗浄が開始される。
【0077】
ここで、荷重特定部9Gは、荷重検出部200により検出される検出荷重を取得する(ステップS25)。また、荷重特定部9Gは、ステップS22で取得された基本荷重と、ステップS25で取得された検出荷重とに基づいて、下面ブラシ51により基板Wに加えられる印加荷重を特定する(ステップS26)。
【0078】
荷重制御部9Hは、ステップS26で特定された印加荷重が基準値であるか否かを判定する(ステップS27)。印加荷重が基準値ではない場合、荷重制御部9Hは、電空レギュレータ130を制御することにより、エアシリンダ120が支持部材140に加える荷重を調整する(ステップS28)。その後、荷重制御部9Hは、処理をステップS25に戻す。
【0079】
ステップS27で印加荷重が基準値である場合、荷重制御部9Hは、ステップS24の時点から所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS29)。所定の時間が経過していない場合、荷重制御部9Hは、処理をステップS25に戻す。所定の時間が経過するまでステップS25~S29が繰り返される。所定の時間が経過した場合、荷重制御部9Hは、中央洗浄処理を終了する。これにより、下面ブラシ51の回転が停止されるとともに、下面ブラシ51が基板Wから離間される。
【0080】
(7)外側洗浄処理
図9は、図7の外側洗浄処理を示すフローチャートである。図9に示すように、外側洗浄処理は、ステップS31~S38を含む。ステップS31,S32は、図8の中央洗浄処理のステップS21,S22とそれぞれ同様である。なお、外側洗浄処理のステップS31における処理位置は、中央洗浄処理のステップS21における処理位置とは異なる。具体的には、ステップS31における処理位置は、ステップS21における処理位置よりも下方にある。
【0081】
ステップS33は、下面ブラシ51を基板Wの下面中央領域ではなく下面外側領域に接触させる点を除き、中央洗浄処理のステップS24と同様である。ステップS32とステップS33との間に、下面ブラシ51を回転させる処理が実行されてもよい。この場合、回転する下面ブラシ51により基板Wの下面外側領域を洗浄することができる。
【0082】
ステップS34~S38は、中央洗浄処理のステップS25~S29とそれぞれ同様である。ステップS38における所定時間は、ステップS29における所定時間とは異なってもよい。例えば、ステップS38における所定時間は、ステップS11において、上面洗浄装置70のスプレーノズル73が基板Wの中心の上方から基板Wの外周部の上方に移動されるまでの時間であってもよい。この場合、基板Wの上面全体の洗浄が終了する時点で、基板Wの下面外側領域の洗浄も終了する。基板Wの下面外側領域の洗浄が終了した後、下面ブラシ51が処理位置から待機位置に下降される。
【0083】
(8)効果
本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、下面ブラシ51により基板Wの下面が洗浄される。また、エアシリンダ120により下面ブラシ51を支持する支持部材140が昇降されることにより、下面ブラシ51から基板Wへの荷重が調整される。ここで、支持部材140とエアシリンダ120との間の荷重が、支持部材140とエアシリンダ120との間に設けられた荷重検出部200により検出される。この構成によれば、下面ブラシ51から基板Wへの荷重をより正確に特定することが可能である。これにより、基板Wを均一に洗浄することができる。
【0084】
本例では、下面ブラシ51が基板Wに接触していないときに検出される荷重(基本荷重)と、下面ブラシ51が基板Wに接触しているときに検出される荷重とに基づいて、下面ブラシ51から基板Wへの荷重(印加荷重)が荷重特定部9Gにより特定される。荷重特定部9Gにより特定された印加荷重が基準値になるようにエアシリンダ120の動作が荷重制御部9Hにより制御される。この構成によれば、下面ブラシ51の状態が変化する場合でも、印加荷重を正確に特定することができる。これにより、基板Wをより均一に洗浄することができる。
【0085】
また、下面ブラシ51は、基板Wの非洗浄時には待機位置で待機し、基板Wの洗浄時には待機位置から基板Wに近い処理位置に上昇される。待機位置と処理位置との間の下面ブラシ51の昇降は、昇降モータ190により行われる。一方、支持部材140は、昇降モータ190による下面ブラシ51の昇降範囲よりも小さい範囲でエアシリンダ120により昇降される。これにより、処理位置にある下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面に接触される。
【0086】
この構成によれば、昇降モータ190により下面ブラシ51を待機位置と処理位置との間で比較的大きく昇降させることが可能であるとともに、エアシリンダ120により処理位置において下面ブラシ51を微小な範囲で昇降させることが可能である。そのため、基板Wの非洗浄時には、下面ブラシ51を処理位置から離間した待機位置で待機させつつ、基板Wの洗浄時には、処理位置において基板Wに加えられる荷重を正確に調整することができる。
【0087】
2.第2の実施の形態
(1)下面ブラシ駆動部
以下、第2の実施の形態に係る基板洗浄装置1について、第1の実施の形態に係る基板洗浄装置1と異なる点を説明する。図10は、第2の実施の形態における下面ブラシ駆動部100の構成を説明するための模式図である。図10に示すように、本実施の形態においては、下面ブラシ駆動部100は、荷重検出部200を含まない。そのため、エアシリンダ120は、荷重検出部200を介することなく支持部材140を支持する。
【0088】
また、下面ブラシ駆動部100は、荷重検出部300を含む。荷重検出部300は、例えば感圧センサであり、二次元的な荷重の分布を検出可能である。荷重検出部300は、下面ブラシ51のブラシ本体51aとブラシベース51bとの間に配置される。したがって、荷重検出部200は、ブラシ本体51aとブラシベース51bとの間の荷重の分布を検出する。これにより、検出荷重の分布を取得することが可能になる。
【0089】
(2)中央洗浄処理
図11は、第2の実施の形態における中央洗浄処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。図11に示すように、本実施の形態における中央洗浄処理は、ステップS22に代えてステップS22aを含み、ステップS25に代えてステップS25aを含み、ステップS26に代えてステップS26aを含む。また、同中央洗浄処理は、ステップS27に代えてステップS27a,S27bを含み、ステップS28に代えてステップS28a,S28bを含む。
【0090】
具体的には、ステップS21で下面ブラシ51が待機位置から処理位置に上昇された後、荷重特定部9Gは、荷重検出部300により検出される検出荷重の分布を基本荷重の分布として取得する(ステップS22a)。その後、荷重特定部9Gは、処理をステップS23に進める。ステップS22aは、ステップS21よりも先に実行されてもよい。
【0091】
また、ステップS24で下面ブラシ51が基板Wの下面中央領域に接触された後、荷重特定部9Gは、荷重検出部300により検出される検出荷重の分布を取得する(ステップS25a)。次に、荷重特定部9Gは、ステップS22aで取得された基本荷重の分布と、ステップS25aで取得された検出荷重の分布とに基づいて、下面ブラシ51により基板Wに加えられる印加荷重の分布を特定する(ステップS26a)。
【0092】
荷重制御部9Hは、ステップS26aで特定された印加荷重の分布における最小値が所定の下限基準値以上であるか否かを判定する(ステップS27a)。印加荷重の最小値が下限基準値以上ではない場合、荷重制御部9Hは、電空レギュレータ130を制御することにより、エアシリンダ120が支持部材140に加える荷重を増加させる(ステップS28a)。その後、荷重制御部9Hは、処理をステップS25aに戻す。
【0093】
ステップS27aで印加荷重の最小値が下限基準値以上である場合、荷重制御部9Hは、ステップS26aで特定された印加荷重の分布における最大値が所定の上限基準値以下であるか否かを判定する(ステップS27b)。印加荷重の最大値が上限基準値以下ではない場合、荷重制御部9Hは、電空レギュレータ130を制御することにより、エアシリンダ120が支持部材140に加える荷重を減少させる(ステップS28b)。その後、荷重制御部9Hは、処理をステップS25aに戻す。
【0094】
ステップS27bで印加荷重の最大値が上限基準値以下である場合、荷重制御部9Hは、処理をステップS29に進める。これにより、下限基準値以上でかつ上限基準値以下の適切な範囲の荷重が下面ブラシ51により基板Wの下面中央領域に加えられた状態で、基板Wの下面中央領域が洗浄される。
【0095】
ステップS28a,S28bからステップS25aに処理が所定回数戻された場合、あるいはステップS28a,S28bからステップS25aに処理に戻される状態が一定時間継続した場合、使用者に警告が行われてもよい。この場合、使用者は、適切な荷重で基板Wの下面中央領域を洗浄することが困難であることを認識することができる。これにより、使用者は、下面ブラシ51の保守等の適切な措置を行うことができる。
【0096】
なお、上記の警告の例として、基板洗浄装置1が表示装置を含む場合には、使用者に確認を促す文字列が表示されてもよい。基板洗浄装置1が音声出力装置を含む場合には、同様の内容を示す音声が出力されてもよいし、ブザー等の警告音が出力されてもよい。基板洗浄装置1がランプ等の表示灯を含む場合には、警告の内容に対応する態様で表示灯が点灯、消灯または点滅されてもよい。
【0097】
(3)外側洗浄処理
図12は、第2の実施の形態における外側洗浄処理を示すフローチャートである。図12に示すように、本実施の形態における外側洗浄処理は、ステップS32に代えてステップS32aを含み、ステップS34に代えてステップS34aを含み、ステップS35に代えてステップS35aを含む。また、同外側洗浄処理は、ステップS36に代えてステップS36a,S36bを含み、ステップS37に代えてステップS37a,S37bを含む。
【0098】
ステップS32aは、図11の中央洗浄処理のステップS22aと同様である。ステップS34a,S35aは、中央洗浄処理のステップS25a,S26aとそれぞれ同様である。ステップS36a,S37aは、中央洗浄処理のステップS27a,S28aとそれぞれ同様である。ステップS36b,S37bは、中央洗浄処理のステップS27b,S28bとそれぞれ同様である。
【0099】
この処理により、下限基準値以上でかつ上限基準値以下の適切な範囲の荷重が下面ブラシ51により基板Wの下面外側領域に加えられた状態で、基板Wの下面外側領域が洗浄される。中央洗浄処理と同様に、ステップS37a,S37bからステップS34aに処理が所定回数戻された場合、あるいは、ステップS37a,S37bからステップS34aに処理に戻される状態が一定時間継続した場合、使用者に警告が行われてもよい。
【0100】
(4)効果
本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、下面ブラシ51のブラシ本体51aにより基板Wの下面が洗浄される。また、エアシリンダ120により下面ブラシ51のブラシベース51bを支持する支持部材140が昇降される。ここで、ブラシ本体51aとブラシベース51bとの間の二次元的な荷重の分布が、ブラシ本体51aとブラシベース51bとの間に設けられた荷重検出部300により検出される。荷重検出部300により検出される荷重の分布に基づいて、ブラシ本体51aから基板Wへの荷重が調整される。この構成によれば、下面ブラシ51から基板Wへの荷重の分布をより正確に特定することが可能である。これにより、基板Wを均一に洗浄することができる。
【0101】
本例では、荷重検出部300により検出される荷重の分布における最小値が下限基準値以上になるようにエアシリンダ120の動作が荷重制御部9Hにより制御される。また、荷重検出部300により検出される荷重の分布における最大値が上限基準値以下になるようにエアシリンダ120の動作が荷重制御部9Hにより制御してもよい。
【0102】
この構成によれば、基板Wに反りまたは撓み等の変形が発生している場合でも、下面ブラシ51の一部が過剰に弱く基板Wと接触すること、および下面ブラシ51の一部が基板Wと非接触になることが防止される。また、基板Wに変形が発生している場合でも、下面ブラシ51の一部が過剰に強く基板Wと接触することが防止される。これにより、基板Wをより均一に洗浄することができる。
【0103】
また、本例では、ブラシ本体51aが基板Wに接触していないときに荷重検出部300により検出される荷重(基本荷重)の分布と、ブラシ本体51aが基板Wに接触しているときに荷重検出部300により検出される荷重の分布とに基づいて、ブラシ本体51aから基板Wへの荷重(印加荷重)の分布が荷重特定部9Gにより特定される。荷重特定部9Gにより特定された印加荷重の分布に基づいて、エアシリンダ120の動作が荷重制御部9Hにより制御される。この構成によれば、下面ブラシ51の状態が変化する場合でも、印加荷重の分布を正確に特定することができる。これにより、基板Wをより均一に洗浄することができる。
【0104】
3.他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、待機位置と処理位置との間の下面ブラシ51の昇降が昇降モータ190により行われ、処理位置における下面ブラシ51の微小な昇降がエアシリンダ120により行われるが、実施の形態はこれに限定されない。待機位置と処理位置との間の下面ブラシ51の昇降、および処理位置における下面ブラシ51の微小な昇降が共通のアクチュエータにより行われてもよい。
【0105】
(2)上記実施の形態において、基板洗浄装置1は上面洗浄装置70および端部洗浄装置80を含むが、実施の形態はこれに限定されない。基板Wの上面が洗浄されない場合には、基板洗浄装置1は、上面洗浄装置70を含まなくてもよい。また、基板Wの外周端部が洗浄されない場合には、基板洗浄装置1は、端部洗浄装置80を含まなくてもよい。
【0106】
(3)上記実施の形態において、中央洗浄処理および外側洗浄処理の両方が行われるが、実施の形態はこれに限定されない。中央洗浄処理および外側洗浄処理のいずれか一方が行われなくてもよい。中央洗浄処理が行われない場合には、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10Bを含まなくてもよい。また、外側洗浄処理が行われない場合には、基板洗浄装置1は、下側保持装置20を含まなくてもよい。
【0107】
(4)上記実施の形態において、基板洗浄装置1は受渡装置40を含むが、実施の形態はこれに限定されない。上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間で基板Wを直接受け渡し可能である場合、受渡装置40を含まなくてもよい。また、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との一方を含まない場合にも、受渡装置40を含まなくてもよい。
【0108】
(5)上記実施の形態において、基板洗浄装置1は、各構成要素の動作を制御する制御装置9を含むが、実施の形態はこれに限定されない。基板洗浄装置1の各構成要素が基板洗浄装置1の外部の情報処理装置により制御可能に構成されている場合には、基板洗浄装置1は制御装置9を含まなくてもよい。
【0109】
(6)第2の実施の形態において、印加荷重の最小値が下限基準値以上であるか否かを判定する処理(ステップS36a)と、印加荷重の最大値が上限基準値以下であるか否かを判定する処理(ステップS36b)との両方が実行されるが、実施の形態はこれに限定されない。ステップS36aとステップS36bとのいずれかが一方が実行され、他方が実行されなくてもよい。
【0110】
4.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0111】
上記実施の形態においては、基板Wが基板の例であり、下面ブラシ51が下面ブラシの例であり、支持部材140が支持部の例であり、エアシリンダ120が第1のアクチュエータの例であり、荷重検出部200または荷重検出部300が荷重検出部の例である。基板洗浄装置1が基板洗浄装置の例であり、荷重特定部9Gが荷重特定部の例であり、荷重制御部9Hが荷重制御部の例であり、昇降モータ190が第2のアクチュエータの例であり、ブラシ本体51aがブラシ本体の例であり、ブラシベース51bがブラシベースの例である。
【0112】
5.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る基板洗浄装置は、
基板の下面を洗浄する下面ブラシと、
前記下面ブラシを支持する支持部と、
前記支持部を昇降させることにより、前記下面ブラシから前記基板への荷重を調整する第1のアクチュエータと、
前記支持部と前記第1のアクチュエータとの間に設けられ、前記支持部と前記第1のアクチュエータとの間の荷重を検出する荷重検出部とを備える。
【0113】
この基板洗浄装置においては、下面ブラシにより基板の下面が洗浄される。また、第1のアクチュエータにより下面ブラシを支持する支持部が昇降されることにより、下面ブラシから基板への荷重が調整される。ここで、支持部と第1のアクチュエータとの間の荷重が、支持部と第1のアクチュエータとの間に設けられた荷重検出部により検出される。この構成によれば、下面ブラシから基板への荷重をより正確に特定することが可能である。これにより、基板を均一に洗浄することができる。
【0114】
(第2項)第1項に記載の基板洗浄装置は、
前記下面ブラシが前記基板に接触していないときに前記荷重検出部により検出される荷重と、前記下面ブラシが前記基板に接触しているときに前記荷重検出部により検出される荷重とに基づいて、前記下面ブラシから前記基板への荷重を特定する荷重特定部と、
前記荷重特定部により特定された荷重が所定の基準値になるように前記第1のアクチュエータの動作を制御する荷重制御部とをさらに備えてもよい。
【0115】
この構成によれば、下面ブラシの状態が変化する場合でも、下面ブラシから基板への荷重を正確に特定することができる。これにより、基板をより均一に洗浄することができる。
【0116】
(第3項)第1項または第2項に記載の基板洗浄装置は、
前記基板の非洗浄時に前記下面ブラシを待機させる待機位置と、前記待機位置よりも前記基板に近い処理位置との間で前記下面ブラシを昇降させる第2のアクチュエータをさらに備え、
前記第1のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータによる前記下面ブラシの昇降範囲よりも小さい範囲で前記支持部を昇降させることにより、前記処理位置にある前記下面ブラシを前記基板に接触させてもよい。
【0117】
この場合、第2のアクチュエータにより下面ブラシを待機位置と処理位置との間で比較的大きく昇降させることが可能であるとともに、第1のアクチュエータにより処理位置において下面ブラシを微小な範囲で昇降させることが可能である。これにより、基板の非洗浄時には、下面ブラシを処理位置から離間した待機位置で待機させつつ、基板の洗浄時には、処理位置において基板に加えられる荷重を正確に調整することができる。
【0118】
(第4項)第4項に係る基板洗浄装置は、
基板の下面を洗浄するブラシ本体および前記ブラシ本体が取り付けられたブラシベースを含む下面ブラシと、
前記下面ブラシの前記ブラシベースを支持する支持部と、
前記支持部を昇降させることにより、前記下面ブラシから前記基板への荷重を調整する第1のアクチュエータと、
前記ブラシ本体と前記ブラシベースとの間に設けられ、前記ブラシ本体と前記ブラシベースとの間の二次元的な荷重の分布を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部により検出される荷重の分布に基づいて、前記第1のアクチュエータの動作を制御する荷重制御部とを備える。
【0119】
この基板洗浄装置においては、下面ブラシのブラシ本体により基板の下面が洗浄される。また、第1のアクチュエータにより下面ブラシのブラシベースを支持する支持部が昇降される。ここで、ブラシ本体とブラシベースとの間の二次元的な荷重の分布が、ブラシ本体とブラシベースとの間に設けられた荷重検出部により検出される。荷重検出部により検出される荷重の分布に基づいて、ブラシ本体から基板への荷重が調整される。この構成によれば、下面ブラシから基板への荷重の分布をより正確に特定することが可能である。これにより、基板を均一に洗浄することができる。
【0120】
(第5項)第4項に記載の基板洗浄装置において、
前記荷重制御部は、前記荷重検出部により検出される荷重の分布における最小値が所定の下限基準値以上になるように前記第1のアクチュエータの動作を制御してもよい。
【0121】
この構成によれば、基板に反りまたは撓み等の変形が発生している場合でも、下面ブラシの一部が過剰に弱く基板と接触すること、および下面ブラシの一部が基板と非接触になることが防止される。これにより、基板をより均一に洗浄することができる。
【0122】
(第6項)第4項または第5項に記載の基板洗浄装置において、
前記荷重制御部は、前記荷重検出部により検出される荷重の分布における最大値が所定の上限基準値以下になるように前記第1のアクチュエータの動作を制御してもよい。
【0123】
この構成によれば、基板に反りまたは撓み等の変形が発生している場合でも、下面ブラシの一部が過剰に強く基板と接触することが防止される。これにより、基板をより均一に洗浄することができる。
【0124】
(第7項)第4項~第6項のいずれか一項に記載の基板洗浄装置は、
前記ブラシ本体が前記基板に接触していないときに前記荷重検出部により検出される荷重の分布と、前記ブラシ本体が前記基板に接触しているときに前記荷重検出部により検出される荷重の分布とに基づいて、前記ブラシ本体から前記基板への荷重の分布を特定する荷重特定部をさらに備え、
前記荷重制御部は、前記荷重特定部により特定された荷重の分布に基づいて、前記第1のアクチュエータの動作を制御してもよい。
【0125】
この構成によれば、下面ブラシの状態が変化する場合でも、下面ブラシから基板への荷重の分布を正確に特定することができる。これにより、基板をより均一に洗浄することができる。
【0126】
(第8項)第4項~第7項のいずれか一項に記載の基板洗浄装置は、
前記基板の非洗浄時に前記下面ブラシを待機させる待機位置と、前記待機位置よりも前記基板に近い処理位置との間で前記下面ブラシを昇降させる第2のアクチュエータをさらに備え、
前記第1のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータによる前記下面ブラシの昇降範囲よりも小さい範囲で前記支持部を昇降させることにより、前記処理位置にある前記下面ブラシの前記ブラシ本体を前記基板に接触させてもよい。
【0127】
この場合、第2のアクチュエータにより下面ブラシを待機位置と処理位置との間で比較的大きく昇降させることが可能であるとともに、第1のアクチュエータにより処理位置において下面ブラシを微小な範囲で昇降させることが可能である。これにより、基板の非洗浄時には、下面ブラシを処理位置から離間した待機位置で待機させつつ、基板の洗浄時には、処理位置において基板に加えられる荷重を正確に調整することができる。
【0128】
(第9項)第9項に係る基板洗浄方法は、
下面ブラシのブラシ本体により基板の下面を洗浄することと、
第1のアクチュエータにより前記下面ブラシのブラシベースを支持する支持部を昇降させることと、
荷重検出部により前記ブラシ本体と前記ブラシベースとの間の二次元的な荷重の分布を検出することとを含み、
前記支持部を昇降させることは、前記荷重検出部により検出される荷重の分布に基づいて、前記ブラシ本体から前記基板への荷重を調整することを含む。
【0129】
この基板洗浄方法によれば、下面ブラシのブラシ本体により基板の下面が洗浄される。また、第1のアクチュエータにより下面ブラシのブラシベースを支持する支持部が昇降される。ここで、ブラシ本体とブラシベースとの間の二次元的な荷重の分布が、荷重検出部により検出される。荷重検出部により検出される荷重の分布に基づいて、ブラシ本体から基板への荷重が調整される。この方法によれば、下面ブラシから基板への荷重の分布をより正確に特定することが可能である。これにより、基板を均一に洗浄することができる。
【0130】
(第10項)第9項に記載の基板洗浄方法において、
前記荷重を調整することは、前記荷重検出部により検出される荷重の分布における最小値が所定の下限基準値以上になるように前記ブラシ本体から前記基板への荷重を調整することを含んでもよい。
【0131】
この方法によれば、基板に反りまたは撓み等の変形が発生している場合でも、下面ブラシの一部が過剰に弱く基板と接触すること、および下面ブラシの一部が基板と非接触になることが防止される。これにより、基板をより均一に洗浄することができる。
【0132】
(第11項)第9項または第10項に記載の基板洗浄方法において、
前記荷重を調整することは、前記荷重検出部により検出される荷重の分布における最大値が所定の上限基準値以下になるように前記ブラシ本体から前記基板への荷重を調整することを含んでもよい。
【0133】
この方法によれば、基板に反りまたは撓み等の変形が発生している場合でも、下面ブラシの一部が過剰に強く基板と接触することが防止される。これにより、基板をより均一に洗浄することができる。
【0134】
(第12項)第9項~第11項のいずれか一項に記載の基板洗浄方法は、
前記ブラシ本体が前記基板に接触していないときに前記荷重検出部により検出される荷重の分布と、前記ブラシ本体が前記基板に接触しているときに前記荷重検出部により検出される荷重の分布とに基づいて、前記ブラシ本体から前記基板への荷重の分布を特定することをさらに含み、
前記荷重を調整することは、特定される前記ブラシ本体から前記基板への荷重の分布に基づいて、前記ブラシ本体から前記基板への荷重を調整することを含んでもよい。
【0135】
この方法によれば、下面ブラシの状態が変化する場合でも、下面ブラシから基板への荷重の分布を正確に特定することができる。これにより、基板をより均一に洗浄することができる。
【符号の説明】
【0136】
1…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2x…搬入搬出口,9…制御装置,9a…CPU,9A…チャック制御部,9b…メモリ,9B…吸着制御部,9C…台座制御部,9D…受渡制御部,9E…回転制御部,9F…昇降制御部,9G…荷重特定部,9H…荷重制御部,9I…洗浄液制御部,9J…吐出気体制御部,9K…カップ制御部,9L…上面洗浄制御部,9M…端部洗浄制御部,9N…搬入搬出制御部,10A,10B…上側保持装置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,20…下側保持装置,21…吸着保持部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,40…受渡装置,41…支持ピン,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,51a…ブラシ本体,51b…ブラシベース,52…液ノズル,53…気体噴出部,60…カップ装置,61…カップ,70…上面洗浄装置,71,81…回転支持軸,72,82…アーム,73…スプレーノズル,80…端部洗浄装置,83…ベベルブラシ,90…開閉装置,91…シャッタ,100…下面ブラシ駆動部,101,102…動力伝達部材,150…110…収容部,120…エアシリンダ,130…電空レギュレータ,140…支持部材,150…回転軸,160…回転モータ,170…モータ駆動部,180…リニアガイド,190…昇降モータ,200,300…荷重検出部,W…基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12