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▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091092
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】基板洗浄装置および基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644E
H01L21/304 648K
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207536
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】沖田 展彬
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉文
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA16
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC26
5F157BA07
5F157BA13
5F157BA31
5F157BB22
5F157BB45
5F157CB15
5F157CD27
5F157CE26
5F157CF02
5F157CF04
5F157CF30
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF92
5F157CF99
5F157DB02
(57)【要約】
【課題】基板を効率よく洗浄することが可能な基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供する。
【解決手段】基板洗浄装置1は、第1の洗浄具、第2の洗浄具、荷重調整部および制御装置9を含む。第1の洗浄具は、基板Wの第1の面を洗浄する。第2の洗浄具は、基板Wの第1の面とは反対の第2の面を洗浄する。荷重調整部は、第1の洗浄具または第2の洗浄具により基板Wに加えられる荷重を調整する。制御装置9は、平面視における第1の洗浄具と第2の洗浄具との間の洗浄具間距離が予め定められた第1の距離しきい値よりも大きい場合に、第1の荷重が基板Wに加えられ、洗浄具間距離が第1の距離しきい値以下である場合に、第1の荷重よりも大きい第2の荷重が基板Wに加えられるように荷重調整部を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1の面を洗浄する第1の洗浄具と、
前記基板の前記第1の面とは反対の第2の面を洗浄する第2の洗浄具と、
前記第1の洗浄具または前記第2の洗浄具により前記基板に加えられる荷重を調整する荷重調整部と、
平面視における前記第1の洗浄具と前記第2の洗浄具との間の洗浄具間距離が予め定められた第1の距離しきい値よりも大きい場合に、第1の荷重が前記基板に加えられ、前記洗浄具間距離が前記第1の距離しきい値以下である場合に、前記第1の荷重よりも大きい第2の荷重が前記基板に加えられるように前記荷重調整部を制御する制御部とを備える、基板洗浄装置。
【請求項2】
前記基板を保持しつつ回転させる基板保持部をさらに備える、請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記第1の洗浄具は、洗浄面を有し、前記洗浄面を前記基板の前記第1の面に接触させることにより前記第1の面を洗浄するブラシを含む、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記ブラシの前記洗浄面は、円形状を有し、
前記第1の距離しきい値は、前記洗浄面の半径以下である、請求項3記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記荷重調整部は、前記ブラシを前記基板に押圧する第1のアクチュエータを含み、
前記制御部は、前記第1のアクチュエータの駆動量を制御することにより前記基板に加えられる荷重を調整する、請求項3記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記基板の非洗浄時に前記ブラシを待機させる待機位置と、前記待機位置よりも前記基板に近い処理位置との間で前記ブラシを昇降させる第2のアクチュエータをさらに備え、
前記第1のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータによる前記ブラシの昇降範囲よりも小さい範囲で前記処理位置にある前記ブラシを昇降させることにより、前記ブラシの前記洗浄面を前記基板の前記第1の面に接触させる、請求項5記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記第2の洗浄具は、前記基板の前記第2の面に沿って移動しつつ洗浄液を吐出することにより前記第2の面を洗浄するノズルを含む、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
前記荷重調整部は、前記洗浄液を圧送して前記ノズルから吐出させるポンプを含み、
前記制御部は、前記ポンプの送液圧を制御することにより前記基板に加えられる荷重を調整する、請求項7記載の基板洗浄装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記洗浄具間距離が予め定められた第2の距離しきい値よりも大きい場合に、前記第1の荷重よりも小さい第3の荷重が前記基板に加えられるように前記荷重調整部を制御し、
前記第2の距離しきい値は、前記第1の距離しきい値よりも大きい、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項10】
前記第1の洗浄具は、前記基板の前記第1の面における前記基板の中心から離間した領域を洗浄し、
前記第2の距離しきい値は、前記平面視における前記第1の洗浄具と前記基板の前記中心との間の距離よりも大きい、請求項9記載の基板洗浄装置。
【請求項11】
第1の洗浄具により基板の第1の面を洗浄することと、
第2の洗浄具により前記基板の前記第1の面とは反対の第2の面を洗浄することと、
平面視における前記第1の洗浄具と前記第2の洗浄具との間の洗浄具間距離が予め定められた第1の距離しきい値よりも大きい場合に、前記第1の洗浄具または前記第2の洗浄具により前記基板に加えられる荷重を荷重調整部により第1の荷重に調整することと、
前記基板の洗浄時に、前記洗浄具間距離が前記第1の距離しきい値以下である場合に、前記第1の洗浄具または前記第2の洗浄具により前記基板に加えられる荷重を前記荷重調整部により前記第1の荷重よりも大きい第2の荷重に調整することとを含む、基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するためには、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、第1洗浄体および第2洗浄体を含む基板処理装置が記載されている。この基板処理装置においては、基板がスピンチャックにより回転される状態で、基板の上面および下面が第1洗浄体および第2洗浄体によりそれぞれ洗浄される。第1洗浄体および第2洗浄体は、基板の重複する位置を洗浄するように同期して移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-106531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の基板処理装置によれば、基板の撓みを抑制することにより、基板を強力に洗浄することができる。しかしながら、第1洗浄体と第2洗浄体とを同期して移動させる必要があるため、第1洗浄体と第2洗浄体とを互いに独立して移動させることができず、基板の洗浄の手順が制限される。そのため、基板を効率よく洗浄することができない。
【0006】
本発明の目的は、基板を効率よく洗浄することが可能な基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に従う基板洗浄装置は、基板の第1の面を洗浄する第1の洗浄具と、前記基板の前記第1の面とは反対の第2の面を洗浄する第2の洗浄具と、前記第1の洗浄具または前記第2の洗浄具により前記基板に加えられる荷重を調整する荷重調整部と、平面視における前記第1の洗浄具と前記第2の洗浄具との間の洗浄具間距離が予め定められた第1の距離しきい値よりも大きい場合に、第1の荷重が前記基板に加えられ、前記洗浄具間距離が前記第1の距離しきい値以下である場合に、前記第1の荷重よりも大きい第2の荷重が前記基板に加えられるように前記荷重調整部を制御する制御部とを備える。
【0008】
本発明の他の局面に従う基板洗浄方法は、第1の洗浄具により基板の第1の面を洗浄することと、第2の洗浄具により前記基板の前記第1の面とは反対の第2の面を洗浄することと、平面視における前記第1の洗浄具と前記第2の洗浄具との間の洗浄具間距離が予め定められた第1の距離しきい値よりも大きい場合に、前記第1の洗浄具または前記第2の洗浄具により前記基板に加えられる荷重を荷重調整部により第1の荷重に調整することと、前記基板の洗浄時に、前記洗浄具間距離が前記第1の距離しきい値以下である場合に、前記第1の洗浄具または前記第2の洗浄具により前記基板に加えられる荷重を前記荷重調整部により前記第1の荷重よりも大きい第2の荷重に調整することとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板を効率よく洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。
図2図1の基板洗浄装置の内部構成を示す斜視図である。
図3図1の下面ブラシ駆動部の構成を説明するための模式図である。
図4】下面洗浄装置の動作を説明するための図である。
図5】基板の下面外側領域の洗浄時の詳細を説明するための模式図である。
図6】基板の下面外側領域の洗浄時の詳細を説明するための模式図である。
図7】基板の下面外側領域の洗浄時の詳細を説明するための模式図である。
図8】基板洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図9図8の制御装置による基板洗浄処理を示すフローチャートである。
図10図9の両面洗浄処理を示すフローチャートである。
図11】変形例におけるスプレーノズルの移動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る基板洗浄装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板(ウエハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、以下の説明では、基板の上面が回路形成面(表面)であり、基板の下面が回路形成面と反対側の面(裏面)である。また、基板は、ノッチを除いて円形状を有する。
【0012】
1.基板洗浄装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。図2は、図1の基板洗浄装置1の内部構成を示す斜視図である。本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。図1および図2以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は上下方向(鉛直方向)に相当する。
【0013】
図1および図2に示すように、基板洗浄装置1は、ユニット筐体2内に、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90が収容された構成を有する。図2では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0014】
ユニット筐体2は、直方体形状を有し、矩形の底面部および底面部の4辺から上方に延びる4つの側壁部を含む。4つの側壁部のうち2つの側壁部はY方向において互いに対向する。4つの側壁部のうち他の2つの側壁部はX方向において互いに対向する。4つの側壁部のうち1つの側壁部中央には、基板Wの搬入搬出口2xが形成されている。搬入搬出口2xの近傍には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、シャッタ91を含み、シャッタ91により搬入搬出口2xを開閉可能に構成されている。
【0015】
ユニット筐体2の底面部に、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31および可動台座32を含む。リニアガイド31は、X方向に並ぶ2本のレールを含み、X方向における底面部の中央部分を横切るようにY方向に延びている。台座装置30は、リニアガイド31の2本のレール上で、可動台座32をY方向における複数の位置に移動させることが可能に構成されている。
【0016】
可動台座32上に、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、可動台座32の上面に設けられ、吸着保持部21を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形状の吸着面を有する。また、吸着保持部21は、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。下側保持装置20は、吸着保持部21により、基板Wの下面を吸着する。これにより、基板Wが略水平姿勢で保持される。また、吸着保持部21は、保持された基板Wを上下方向に延びる軸の周りで回転させる。
【0017】
以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着保持する領域を下面中央領域と呼ぶ。また、基板Wの下面のうち下面中央領域を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0018】
可動台座32上には、下側保持装置20の近傍に受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、平面視で吸着保持部21を取り囲みかつ上下方向に延びるように設けられた複数(本例では3本)の支持ピン41を有する。複数の支持ピン41は、予め定められた複数の高さ位置の間で昇降可能に設けられている。
【0019】
後述するように、上側保持装置10A,10Bは、下側保持装置20よりも上方の位置で基板Wを略水平姿勢で保持可能に構成されている。受渡装置40は、複数の支持ピン41を昇降させることにより、下側保持装置20に保持された基板Wを受け取って上側保持装置10A,10Bに渡すことが可能である。また、受渡装置40は、上側保持装置10A,10Bに保持された基板Wを受け取って下側保持装置20に渡すことが可能である。
【0020】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの液ノズル52、気体噴出部53および下面ブラシ駆動部100を含む。下面ブラシ駆動部100は、Y方向において下側保持装置20に隣り合うように、可動台座32の上面に設けられている。図1に示すように、下面ブラシ51は、基板Wの下面に接触可能な円形状の洗浄面を有する。また、下面ブラシ51は、洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、下面ブラシ駆動部100に取り付けられている。下面ブラシ51の洗浄面の面積は、吸着保持部21の吸着面の面積よりも大きい。なお、下面ブラシ51は、例えばPVA(ポリビニールアルコール)スポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成される。
【0021】
下面ブラシ駆動部100は、下面ブラシ51を昇降させる昇降機構と、下面ブラシ51を回転させるブラシ駆動機構とを含む。下面ブラシ駆動部100は、その昇降機構により、基板Wが下側保持装置20または上側保持装置10A,10Bにより保持された状態で昇降動作する。これにより、下面ブラシ駆動部100は、下面ブラシ51を基板Wの下面に接触する高さ位置と基板Wから一定距離下方に離間した高さ位置との間で移動させる。
【0022】
また、下面ブラシ駆動部100は、そのブラシ駆動機構により、下面ブラシ51を回転させる。これにより、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する高さ位置にある状態で回転することにより、基板Wの下面における下面ブラシ51との接触部分が洗浄される。下面ブラシ駆動部100の詳細については後述する。
【0023】
2つの液ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、下面ブラシ駆動部100の後述するケーシング状の収容部に取り付けられている。液ノズル52には、図示しない洗浄液供給系が接続されている。液ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、洗浄液供給系から供給される洗浄液を基板Wの下面に吐出する。本実施の形態では、液ノズル52に供給される洗浄液として純水が用いられる。
【0024】
気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ気体噴射口が上方を向くように、下面ブラシ駆動部100の収容部に取り付けられている。気体噴出部53には、図示しない噴出気体供給系が接続されている。本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガスが用いられる。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給系から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。これにより、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。
【0025】
カップ装置60は、ユニット筐体2内の略中央部に設けられ、カップ61を含む。カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。図2においては、カップ61が点線で示される。カップ61は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じて、予め定められた下カップ位置と上カップ位置との間で移動する。下カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方にある高さ位置である。また、上カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方にある高さ位置である。
【0026】
上側保持装置10A,10Bは、カップ61よりも上方の高さ位置に設けられている。上側保持装置10A,10Bは、平面視で台座装置30を挟んで対向する。上側保持装置10Aは、下チャック11Aおよび上チャック12Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11Bおよび上チャック12Bを含む。
【0027】
下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、基板Wの下面外側領域を基板Wの下方から支持可能な2本の支持片を有する。上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、基板Wの外周端部の2つの部分に当接して基板Wの外周端部を保持可能に構成された2本の保持片を有する。
【0028】
上側保持装置10A,10Bにおいては、下チャック11Aおよび上チャック12Aと、下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間の距離が調整される。これにより、上側保持装置10A,10Bは、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間で基板Wを挟み込むことにより、下側保持装置20の上方の位置で基板Wを保持することが可能である。また、上側保持装置10A,10Bにおいては、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとを互いに遠ざけることにより、保持された基板Wを解放することが可能である。
【0029】
図1に示すように、X方向におけるカップ61の一側方に上面洗浄装置70が設けられている。図2に示すように、上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72、スプレーノズル73およびポンプ74(図1)を含む。回転支持軸71は、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に設けられている。アーム72は、上側保持装置10A,10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0030】
スプレーノズル73には、図示しない流体供給系が接続されている。図示しない流体供給系から供給される洗浄液が、ポンプ74によりスプレーノズル73に圧送される。また、流体供給系からスプレーノズル73に気体が供給される。これにより、スプレーノズル73において洗浄液と気体とが混合され、混合流体が生成される。生成された混合流体は、スプレーノズル73から下方に向かって噴射される。
【0031】
上面洗浄装置70においては、例えば基板Wが下側保持装置20により保持されて回転する状態で、スプレーノズル73が基板Wの上方を移動するように、回転支持軸71の高さ位置が調整され、回転支持軸71が回転する。この状態で、スプレーノズル73から基板Wに混合流体が噴射される。これにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0032】
図1に示すように、X方向におけるカップ61の他側方に端部洗浄装置80が設けられている。図2に示すように、端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82およびベベルブラシ83を含む。回転支持軸81は、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に設けられている。アーム82は、上側保持装置10A,10Bよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0033】
端部洗浄装置80においては、例えば基板Wが下側保持装置20により保持されて回転する状態で、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部に接触するように、回転支持軸81の高さ位置が調整され、回転支持軸81が回転する。さらに、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転する。これにより、基板Wの外周端部全体が洗浄される。
【0034】
図1に示すように、基板洗浄装置1は、制御装置9をさらに含む。制御装置9は、例えばCPU(中央演算処理装置)9aおよびメモリ9bを含む。制御装置9は、マイクロコンピュータにより実現されてもよい。メモリ9bには、基板洗浄プログラムが記憶されている。CPU9aは、メモリ9bに記憶された基板洗浄プログラムを実行することにより、上記の各構成要素(10A,10B,20,30,40,50,60,70,80,90)の動作を制御する。
【0035】
2.下面ブラシ駆動部
図3は、図1の下面ブラシ駆動部100の構成を説明するための模式図である。図3では、下面ブラシ51およびその周辺部材の構成が模式的な側面図で示される。図3に示すように、下面ブラシ駆動部100は、収容部110、エアシリンダ120、電空レギュレータ130、支持部材140、回転軸150、回転モータ160、モータ駆動部170、リニアガイド180および昇降モータ190を含む。
【0036】
収容部110は、例えばケーシング部材であり、可動台座32の上面に設けられる。収容部110の上面には、図1の液ノズル52および気体噴出部53が設けられるが、図3では液ノズル52および気体噴出部53の図示を省略する。収容部110は、下面ブラシ駆動部100のうち電空レギュレータ130、モータ駆動部170および昇降モータ190を除く構成を収容する。これにより、下面ブラシ51を駆動することにより発生するパーティクルがユニット筐体2内で飛散することを防止することができる。なお、電空レギュレータ130およびモータ駆動部170も収容部110に収容されてもよい。
【0037】
エアシリンダ120は、収容部110の底面に設けられる。支持部材140は、水平方向に延びるロッド部材またはプレート部材であり、一端部および他端部を有する。エアシリンダ120は、支持部材140のうち一端部と他端部との間の略中央部分を支持する。エアシリンダ120には、電空レギュレータ130が接続される。エアシリンダ120は、電空レギュレータ130を通して空気が供給されることにより、支持部材140を所定の範囲で昇降させる。エアシリンダ120に供給される空気量が変化することにより、エアシリンダ120から支持部材140に加えられる荷重が変化する。
【0038】
回転軸150は、支持部材140の一端部において、上方に向かって延びかつ回転可能に設けられる。回転軸150の上端部は、収容部110から上方に突出する。収容部110から突出する回転軸150の上端部には、下面ブラシ51が取り付けられる。上記の支持部材140に加えられる荷重が変化されることにより、下面ブラシ51から基板Wに加えられる荷重を調整することが可能である。
【0039】
回転モータ160は、回転軸が上下方向に延びる状態で、支持部材140の他端部近傍に取り付けられる。回転モータ160には、モータ駆動部170が接続される。回転軸150と、回転モータ160の回転軸との間には、動力伝達部材101が設けられる。動力伝達部材101は、回転軸150および回転モータ160の回転軸にそれぞれ取り付けられる2つのプーリと、2つのプーリを繋ぐベルトとを含み、回転モータ160により発生した回転力を回転軸150に伝達する。これにより、下面ブラシ51が回転する。
【0040】
リニアガイド180は、上下方向に延びるように収容部110の底面に設けられる。リニアガイド180には、支持部材140の端部(図3の例では他端部)が接続される。リニアガイド180は、支持部材140の移動方向を上下方向に規制する。
【0041】
昇降モータ190は、上下方向に昇降可能な駆動軸を有し、収容部110の外に設けられる。昇降モータ190の駆動軸と収容部110との間には、動力伝達部材102が設けられる。動力伝達部材102は、昇降モータ190により発生した駆動力を収容部110に伝達する。これにより、下面ブラシ51が収容部110およびその収容物とともに昇降する。昇降モータ190による下面ブラシ51の昇降範囲は、エアシリンダ120による下面ブラシ51の昇降範囲よりも大きい。
【0042】
基板Wの洗浄前には、昇降モータ190により下面ブラシ51が下降される。このときの下面ブラシ51の位置を待機位置と呼ぶ。待機位置は図1の吸着保持部21により保持された基板Wの下方にあり、待機位置においては、下面ブラシ51は、基板Wから大きく離間する。一方、基板Wの下面の洗浄時には、昇降モータ190により下面ブラシ51が上昇される。このときの下面ブラシ51の位置を処理位置と呼ぶ。処理位置においては、下面ブラシ51は、基板Wと近接する。以下、下面洗浄装置50による基板Wの下面中央領域および下面外側領域の洗浄について説明する。
【0043】
3.下面洗浄装置の動作
図4は、下面洗浄装置50の動作を説明するための図である。基板Wの下面中央領域の洗浄時には、図4の上段に示すように、下面ブラシ51の洗浄面は、図1の上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wの下面中央領域に接触される。この状態で、下面ブラシ51が回転されることにより、基板Wの下面中央領域に付着する汚染物が取り除かれる。本例では、基板Wの下面中央領域の洗浄時には、基板Wが回転されないが、基板Wが回転されてもよい。
【0044】
基板Wの下面外側領域の洗浄時には、図4の下段に示すように、下面ブラシ51は、図1の吸着保持部21により保持された基板Wの下面外側領域に接触される。このとき、下面ブラシ51の一部が基板Wよりもわずかに外方に突出してもよい。この状態で、基板Wが回転されることにより、基板Wの下面外側領域に付着する汚染物が取り除かれる。本例では、基板Wの下面外側領域の洗浄時には、下面ブラシ51が回転されないが、下面ブラシ51が回転されてもよい。
【0045】
本例では、下面ブラシ51の直径は、基板Wの直径の1/3よりも大きくかつ1/2よりも小さい。この場合、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域の下方と下面外側領域の下方に順次接触することにより、基板Wの下面全体が効率よく洗浄される。そのため、下面ブラシ51を過剰に大きくする必要がない。なお、基板Wの直径は、例えば300mmである。図4に一点鎖線で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域に接触したときに洗浄可能な領域と、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触したときに洗浄可能な領域とはわずかに重複してもよい。
【0046】
基板Wの下面の洗浄時には、図1の液ノズル52により基板Wの下面に洗浄液が供給される。この場合、基板Wの下面に付着する汚染物をより効率よく取り除くことができる。また、基板Wの下面中央領域の洗浄時には、基板Wの上面および基板Wの外周端部の洗浄も同時に行われる。
【0047】
図5図7は、基板Wの下面外側領域の洗浄時の詳細を説明するための模式図である。図5に示すように、基板Wの下面外側領域の洗浄時には、ベベルブラシ83の外周面に設けられた断面略U字形状の溝部が、回転する基板Wの外周端部に接触する。これにより、基板Wの外周端部が洗浄される。
【0048】
また、スプレーノズル73が基板Wの略中心の上方に移動される。この状態で、スプレーノズル73から基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体が噴射される。次に、図6に示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方で外方に向かって移動される。このスプレーノズル73の移動は、図7に示すように、スプレーノズル73が基板Wの外周部の上方に到達するまで継続される。これにより、基板Wの上面が洗浄される。
【0049】
ここで、下面ブラシ51により基板Wに加えられる荷重は、平面視における下面ブラシ51とスプレーノズル73との位置関係に応じて図3のエアシリンダ120により調整される。具体的には、平面視における下面ブラシ51の中心と、スプレーノズル73の中心との間の距離(以下、洗浄具間距離と呼ぶ。)が予め定められた距離しきい値L1より大きい場合には、下面ブラシ51により基板Wに加えられる荷重は、P1に調整される(図5)。
【0050】
一方、洗浄具間距離が距離しきい値L1以下である場合には、下面ブラシ51により基板Wに加えられる荷重は、P1よりも大きいP2に調整される(図6および図7)。本例では、距離しきい値L1は、下面ブラシ51の半径と等しい。距離しきい値L1は、下面ブラシ51の半径以下であってもよい。これらの場合、平面視において、スプレーノズル73の中心が下面ブラシ51と重なるときに、比較的大きい荷重P2が下面ブラシ51により基板Wに加えられる。
【0051】
4.制御部の構成
図8は、基板洗浄装置1の制御系統の構成を示すブロック図である。図8に示すように、制御装置9は、機能部として、チャック制御部9A、吸着制御部9B、台座制御部9C、受渡制御部9D、回転制御部9E、昇降制御部9F、荷重制御部9G、洗浄液制御部9H、吐出気体制御部9I、カップ制御部9J、上面洗浄制御部9K、端部洗浄制御部9Lおよび搬入搬出制御部9Mを含む。
【0052】
制御装置9のCPU9a(図1)がメモリ9b(図1)に記憶された基板洗浄プログラムを実行することにより、制御装置9の上記の機能部が実現される。制御装置9の機能部の一部または全部は、電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0053】
チャック制御部9Aは、下チャック11A,11Bおよび上チャック12A,12Bが基板Wを保持するように上側保持装置10A,10Bを制御する。吸着制御部9Bは、吸着保持部21が基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転するように下側保持装置20を制御する。台座制御部9Cは、可動台座32がY方向における複数の位置に移動するように台座装置30を制御する。受渡制御部9Dは、複数の支持ピン41が上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間で基板Wを移動させるように受渡装置40を制御する。
【0054】
回転制御部9Eは、下面ブラシ51が回転するように下面洗浄装置50のモータ駆動部170を制御する。昇降制御部9Fは、下面ブラシ51が待機位置と処理位置との間で移動するように下面洗浄装置50の昇降モータ190を制御する。荷重制御部9Gは、下面ブラシ51が基板Wに所定の荷重を加えるように下面洗浄装置50の電空レギュレータ130を制御する。洗浄液制御部9Hは、液ノズル52が洗浄液を吐出するように下面洗浄装置50を制御する。吐出気体制御部9Iは、気体噴出部53が気体を噴射するように下面洗浄装置50を制御する。
【0055】
カップ制御部9Jは、カップ61が下カップ位置と上カップ位置との間で移動するようにカップ装置60を制御する。上面洗浄制御部9Kは、スプレーノズル73が基板Wの上面を洗浄するように上面洗浄装置70を制御する。端部洗浄制御部9Lは、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部を洗浄するように端部洗浄装置80を制御する。搬入搬出制御部9Mは、シャッタ91がユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するように開閉装置90を制御する。
【0056】
5.基板洗浄処理
図9は、図8の制御装置9による基板洗浄処理を示すフローチャートである。基板洗浄処理は、制御装置9のCPU9aがメモリ9bに記憶された基板洗浄プログラムを実行することにより行われる。初期状態では、台座装置30は、下側保持装置20の吸着保持部21が平面視でカップ61の中央に位置するように可動台座32が位置決めされている。
【0057】
まず、搬入搬出制御部9Mは、開閉装置90を制御することにより、搬入搬出口2xを開放し、基板洗浄装置1の外部から搬入される基板Wをユニット筐体2内に受け入れる(ステップS1)。
【0058】
次に、受渡制御部9Dは、受渡装置40を制御することにより、基板Wを複数の支持ピン41により受け取り、受け取られた基板Wを上側保持装置10A,10Bに渡す(ステップS2)。このとき、チャック制御部9Aは、上側保持装置10A,10Bを制御することにより、下側保持装置20の上方の位置で基板Wの外周端部を保持する(ステップS3)。なお、基板洗浄装置1の外部から搬入される基板Wが、下チャック11A,11B上に載置可能である場合、ステップS2の処理は省略されてもよい。ステップS1で開放された搬入搬出口2xは、基板Wが受渡装置40により受け取られた後、シャッタ91により閉塞される。
【0059】
その後、回転制御部9E、昇降制御部9Fおよび荷重制御部9Gがモータ駆動部170、昇降モータ190および電空レギュレータ130をそれぞれ制御するとともに、洗浄液制御部9Hが下面洗浄装置50を制御することにより、基板Wの下面中央領域の洗浄を行う(ステップS4)。具体的には、下面ブラシ51が待機位置から処理位置に上昇された後、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域に接触される。この状態で、下面ブラシ51が回転される。また、基板Wの下面中央領域には、液ノズル52により洗浄液が供給される。これにより、洗浄液が浸み込んだ下面ブラシ51により基板Wの下面中央領域が洗浄される。
【0060】
ステップS4の洗浄時には、基板Wの下面中央領域に洗浄液が付着する。そこで、台座制御部9Cが台座装置30を制御するとともに、吐出気体制御部9Iが下面洗浄装置50を制御することにより、基板Wの下面中央領域を乾燥させる(ステップS5)。具体的には、気体噴出部53から基板Wの下面に向けて気体が噴射されることにより、気体カーテンが発生した状態で、平面視で下面中央領域を通過するように基板Wの下面に対して気体噴出部53が移動する。これにより、下面中央領域に基板Wに付着した洗浄液が気体カーテンにより基板Wの下面中央領域から外れた位置まで押し出され、下面中央領域が乾燥する。
【0061】
ステップS4,S5の終了後、下面ブラシ51は、処理位置から待機位置に下降される。次に、受渡制御部9Dは、受渡装置40を制御することにより、上側保持装置10A,10Bに保持された基板Wを複数の支持ピン41により受け取り、受け取った基板Wを下側保持装置20に渡す(ステップS6)。
【0062】
次に、吸着制御部9Bは、下側保持装置20を制御することにより、基板Wの下面中央領域を吸着保持部21で吸着保持する(ステップS7)。ステップS6,S7の処理中には、平面視で基板Wの中心が吸着保持部21の中心に位置するように、台座装置30が位置決めされる。これにより、基板Wは、その中心が吸着保持部21の回転中心(回転軸)上に位置する状態で、吸着保持部21により吸着保持される。
【0063】
さらに、制御装置9は、両面洗浄処理を実行する(ステップS8)。両面洗浄処理においては、基板Wの上面全体および下面外側領域が同時に洗浄される。また、本例では、両面洗浄処理において、基板Wの外周端部も同時に洗浄される。ステップS8の両面洗浄処理の詳細は後述する。
【0064】
基板Wの上面全体、外周端部および下面外側領域の洗浄終了後、吸着制御部9Bは、下側保持装置20を制御することにより、基板Wを高速で回転させ、基板Wの全体を乾燥させる(ステップS9)。基板Wを高速で回転させて基板Wの全体を乾燥させる乾燥方法は、スピン乾燥と呼ばれる。
【0065】
最後に、搬入搬出制御部9Mは、開閉装置90を制御することにより、搬入搬出口2xを開放する。これにより、基板Wが基板洗浄装置1の外部に搬出され(ステップS10)、基板洗浄処理が終了する。ステップS10で開放された搬入搬出口2xは、基板Wが搬出された後、シャッタ91により閉塞される。
【0066】
なお、カップ制御部9Jは、上記の一連の処理のうちステップS8,S9の処理中、カップ装置60を制御することにより、カップ61を上カップ位置に保持する。これにより、基板Wの上面全体、外周端部および下面外側領域の洗浄時、ならびに基板Wのスピン乾燥時に基板Wから飛散する液滴は、カップ61により受け止められ、基板洗浄装置1の外部に排出される。また、カップ制御部9Jは、上記の一連の処理のうちステップS8,S9を除く処理(ステップS1~S7,S10)の間、カップ装置60を制御することにより、カップ61を下カップ位置に保持する。
【0067】
6.両面洗浄処理
図10は、図9の両面洗浄処理を示すフローチャートである。以下、図3の下面ブラシ駆動部100、図8の制御装置9および図5図7の基板Wを参照しながら、両面洗浄処理について説明する。
【0068】
両面洗浄処理においては、吸着制御部9Bは、下側保持装置20を制御することにより、吸着保持部21により保持された基板Wを回転させる(ステップS11)。また、端部洗浄制御部9Lは、端部洗浄装置80を制御することにより、ベベルブラシ83を基板Wの外周端部に接触させる(ステップS12)。これにより、基板Wの外周端部が洗浄される。
【0069】
また、昇降制御部9Fは、昇降モータ190を制御することにより、基板Wを待機位置から処理位置に上昇させる(ステップS13)。次に、荷重制御部9Gは、電空レギュレータ130を制御することにより、荷重P1で下面ブラシ51を基板Wの下面外側領域に接触させる(ステップS14)。すなわち、下面ブラシ51によりP1の荷重が基板Wの下面外側領域に加えられる。これにより、基板Wの下面外側領域が洗浄される。
【0070】
また、上面洗浄制御部9Kは、上面洗浄装置70を制御することにより、スプレーノズル73を基板Wの中心の上方に移動させる(ステップS15)。次に、上面洗浄制御部9Kは、スプレーノズル73から基板Wの上面に混合流体を噴射させる(ステップS16)。この状態で、上面洗浄制御部9Kは、スプレーノズル73を基板Wの上方で外方に向けて移動させる(ステップS17)。本例では、スプレーノズル73は、下面ブラシ51に近づくように移動する。スプレーノズル73の移動は、スプレーノズル73が基板Wの外周部の上方に到達するまで継続される。これにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0071】
ステップS12における基板Wの外周端部の洗浄と、ステップS13,S14における基板Wの下面外側領域の洗浄と、ステップS15~S17における基板Wの上面全体の洗浄とは同時に実行される。ステップS17が実行されることにより、洗浄具間距離が小さくなる。
【0072】
荷重制御部9Gは、洗浄具間距離が距離しきい値L1より大きいか否かを判定する(ステップS18)。洗浄具間距離が距離しきい値L1より大きい場合、荷重制御部9Gは、基板Wに加えられる荷重をP1に維持したまま、洗浄具間距離が距離しきい値L1以下になるまで待機する。洗浄具間距離が距離しきい値L1以下である場合、荷重制御部9Gは、電空レギュレータ130を制御することにより、基板Wに加えられる荷重をP2に増加させる(ステップS19)。
【0073】
ステップS19が実行された後、上面洗浄制御部9Kは、スプレーノズル73が基板Wの外周部の上方に到達したか否かを判定する(ステップS20)。スプレーノズル73が基板Wの外周部の上方に到達していない場合、上面洗浄制御部9Kは、スプレーノズル73が基板Wの外周部の上方に到達するまで待機する。スプレーノズル73が基板Wの外周部の上方に到達した場合、基板Wの上面全体の洗浄が終了する。この場合、上面洗浄制御部9Kは、上面洗浄装置70の動作を停止させる(ステップS21)。
【0074】
ステップS21が実行されることにより、スプレーノズル73からの混合流体の噴射が停止されるとともに、スプレーノズル73の移動が停止される。また、ステップS21の実行時には、スプレーノズル73が初期位置に戻されるとともに、下面ブラシ51が処理位置から待機位置に戻される。これにより、処理が図9の基板洗浄処理のステップS9に進む。
【0075】
7.効果
本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、下面ブラシ51とスプレーノズル73とが比較的大きく離間している場合には、基板Wに加えられる荷重が比較的小さくなるように電空レギュレータ130が制御される。そのため、基板Wに反りまたは撓み等の変形を生じさせることなく基板Wを洗浄することができる。
【0076】
一方、下面ブラシ51とスプレーノズル73とが比較的近接している場合には、基板Wに加えられる荷重が比較的大きくなるように電空レギュレータ130が制御される。この場合でも、下面ブラシ51により基板Wに加えられる荷重と、スプレーノズル73により基板Wに加えられる荷重とが打ち消し合うことにより、基板Wが大きく変形することが防止される。そのため、基板Wに変形を生じさせることなく基板Wを強固に洗浄することができる。
【0077】
また、この構成によれば、下面ブラシ51とスプレーノズル73とを同期して移動させる必要がないので、基板Wの洗浄の手順が制限されることがない。これにより、基板Wを効率よく洗浄することができる。基板Wの洗浄時には、基板Wは下側保持装置20により保持されつつ回転されるので、基板Wの下面および上面を広範囲にわたって容易に洗浄することができる。
【0078】
基板Wの下面は、下面ブラシ51の洗浄面が接触されることにより洗浄される。この場合、基板Wの第1の面を短時間で洗浄することができる。一方、基板Wの上面は、スプレーノズル73から洗浄液が吐出されることにより洗浄される。また、スプレーノズル73は、基板Wの上面に沿って移動される。したがって、基板Wの上面が回路形成面である場合でも、上面を適切に洗浄することができる。
【0079】
本例では、距離しきい値L1は、円形状を有する下面ブラシ51の洗浄面の半径以下である。この場合、平面視において下面ブラシ51とスプレーノズル73とが重なるときに、下面ブラシ51またはスプレーノズル73により基板Wに加えられる荷重が増加される。これにより、基板Wの変形をより確実に防止しつつ基板Wを洗浄することができる。
【0080】
基板Wに加えられる荷重は、下面ブラシ51を基板Wに押圧するエアシリンダ120の駆動量が制御されることにより調整される。この場合、エアシリンダ120の駆動量が制御されることにより、下面ブラシ51から基板Wへの押圧量が調整される。これにより、基板Wに加えられる荷重を容易に調整することができる。
【0081】
また、下面ブラシ51は、基板Wの非洗浄時には待機位置で待機し、基板Wの洗浄時には待機位置から基板Wに近い処理位置に上昇される。待機位置と処理位置との間の下面ブラシ51の昇降は、昇降モータ190により行われる。処理位置にある下面ブラシ51は、昇降モータ190による下面ブラシ51の昇降範囲よりも小さい範囲でエアシリンダ120により昇降される。これにより、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面に接触される。
【0082】
この構成によれば、昇降モータ190により下面ブラシ51を待機位置と処理位置との間で比較的大きく昇降させることが可能であるとともに、エアシリンダ120により処理位置において下面ブラシ51を微小な範囲で昇降させることが可能である。そのため、基板Wの非洗浄時には、下面ブラシ51を処理位置から離間した待機位置で待機させつつ、基板Wの洗浄時には、処理位置において基板Wに加えられる荷重を正確に調整することができる。
【0083】
8.変形例
本実施の形態において、基板Wの上面の洗浄時に、基板Wの中心の上方から基板Wの外周部の上方に向けてスプレーノズル73が移動されるが、実施の形態はこれに限定されない。図11は、変形例におけるスプレーノズル73の移動を示す図である。図11に示すように、基板Wの上面の洗浄時に、基板Wの一方の外周部の上方から基板Wの他方の外周部の上方に向けてスプレーノズル73が移動されてもよい。図11の例では、下面ブラシ51は、基板Wの他方の外周部の下方にある。
【0084】
この場合において、下洗浄具間距離が予め定められた距離しきい値L2より大きい場合には、下面ブラシ51により基板Wに加えられる荷重は、P1よりも小さいP3に調整される。ここで、距離しきい値L2は、距離しきい値L1よりも大きい。
【0085】
すなわち、変形例においては、洗浄具間距離が距離しきい値L2よりも大きい場合には、下面ブラシ51により基板Wに荷重P3が加えられる。洗浄具間距離が距離しきい値L2以下でかつ距離しきい値L1よりも大きい場合には、下面ブラシ51により基板Wに荷重P3よりも大きい荷重P1が加えられる。洗浄具間距離が距離しきい値L1以下である場合には、下面ブラシ51により基板Wに荷重P1よりも大きい荷重P2が加えられる。
【0086】
本例では、距離しきい値L2は、平面視における下面ブラシ51の中心と基板Wの中心との間の距離L0よりも大きい。この構成によれば、下面ブラシ51とスプレーノズル73とが大きく離間している場合でも、基板Wに変形を生じさせることなく基板Wを洗浄することができる。
【0087】
また、図11の例では、基板Wの一方の外周部の上面には、スプレーノズル73により下方に荷重が加えられる。一方、基板Wの他方の外周部の下面には、下面ブラシ51により上方に荷重が加えられる。この場合でも、基板Wが吸着保持部21から外れることをより確実に防止することができる。
【0088】
なお、図5図7の例、および図11の例において、スプレーノズル73が移動される方向は限定されない。したがって、図5図7において、スプレーノズル73は、基板Wの外周部の上方から基板Wの中心の上方に向けて移動されてもよい。また、図11において、スプレーノズル73は、基板Wの他方の外周部の上方から基板Wの一方の外周部の上方に向けて移動されてもよい。
【0089】
9.他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、荷重制御部9Gがエアシリンダ120および電空レギュレータ130を制御することにより、下面ブラシ51が基板Wに加える荷重が調整されるが、実施の形態はこれに限定されない。荷重制御部9Gがポンプ74の送液圧を制御してもよい。この場合、ポンプの送液圧が制御されることにより、スプレーノズル73から吐出される洗浄液が基板Wに加える圧力が調整される。これにより、基板Wに加えられる荷重を容易に調整することができる。
【0090】
(2)上記実施の形態において、第1の洗浄具が下面ブラシ51であり、第2の洗浄具がスプレーノズル73であるが、実施の形態はこれに限定されない。第1の洗浄具が下面ブラシ51であり、第2の洗浄具が上面ブラシであってもよい。あるいは、第1の洗浄具がスプレーノズルであり、第2の洗浄具がスプレーノズル73であってもよい。また、第1の洗浄具がスプレーノズルであり、第2の洗浄具が上面ブラシであってもよい。また、基板Wの上面および下面の広範囲を洗浄可能である場合、両面洗浄処理中に基板Wが回転されなくてもよい。
【0091】
(3)上記実施の形態において、距離しきい値L1は下面ブラシ51の半径以下であるが、実施の形態はこれに限定されない。距離しきい値L1は、下面ブラシ51の半径よりも大きくてもよい。また、距離しきい値L2は下面ブラシ51の中心と基板Wの中心との間の距離L0よりも大きいが、実施の形態はこれに限定されない。距離しきい値L2は、距離L0以下であってもよい。
【0092】
(4)上記実施の形態において、待機位置と処理位置との間の下面ブラシ51の昇降が昇降モータ190により行われ、処理位置における下面ブラシ51の微小な昇降がエアシリンダ120により行われるが、実施の形態はこれに限定されない。待機位置と処理位置との間の下面ブラシ51の昇降、および処理位置における下面ブラシ51の微小な昇降が共通のアクチュエータにより行われてもよい。
【0093】
(5)上記実施の形態において、両面洗浄処理中に基板Wの上面全体および下面外側領域と同時に基板Wの外周端部も洗浄されるが、実施の形態はこれに限定されない。基板Wの外周端部は、両面洗浄処理中に洗浄されなくてもよい。あるいは、基板Wの外周端部は、基板洗浄装置1において洗浄されなくてもよい。この場合、基板洗浄装置1は、端部洗浄装置80を含まなくてもよい。
【0094】
(6)上記実施の形態において、基板洗浄装置1は基板Wの下面中央領域を洗浄可能に構成されるが、実施の形態はこれに限定されない。基板洗浄装置1は、基板Wの下面中央領域を洗浄可能に構成されなくてもよい。この場合、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10Bを含まなくてもよく、受渡装置40を含まなくてもよい。
【0095】
10.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0096】
上記実施の形態においては、基板Wが基板の例であり、下面ブラシ51が第1の洗浄具およびブラシの例であり、スプレーノズル73が第2の洗浄具およびノズルの例である。エアシリンダ120および電空レギュレータ130が荷重調整部の一例であり、ポンプ74が荷重調整部の他の例である。制御装置9が制御部の例であり、基板洗浄装置1が基板洗浄装置の例であり、下側保持装置20が基板保持部の例であり、エアシリンダ120が第1のアクチュエータの例であり、昇降モータ190が第2のアクチュエータの例であり、ポンプ74がポンプの例である。
【0097】
11.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る基板洗浄装置は、
基板の第1の面を洗浄する第1の洗浄具と、
前記基板の前記第1の面とは反対の第2の面を洗浄する第2の洗浄具と、
前記第1の洗浄具または前記第2の洗浄具により前記基板に加えられる荷重を調整する荷重調整部と、
平面視における前記第1の洗浄具と前記第2の洗浄具との間の洗浄具間距離が予め定められた第1の距離しきい値よりも大きい場合に、第1の荷重が前記基板に加えられ、前記洗浄具間距離が前記第1の距離しきい値以下である場合に、前記第1の荷重よりも大きい第2の荷重が前記基板に加えられるように前記荷重調整部を制御する制御部とを備える。
【0098】
この基板洗浄装置においては、第1の洗浄具と第2の洗浄具とが比較的大きく離間している場合には、基板に加えられる荷重が比較的小さくなるように荷重調整部が制御される。そのため、基板に反りまたは撓み等の変形を生じさせることなく基板を洗浄することができる。
【0099】
一方、第1の洗浄具と第2の洗浄具とが比較的近接している場合には、基板に加えられる荷重が比較的大きくなるように荷重調整部が制御される。この場合でも、第1の洗浄具により基板に加えられる荷重と、第2の洗浄具により基板に加えられる荷重とが打ち消し合うことにより、基板が大きく変形することが防止される。そのため、基板に変形を生じさせることなく基板を強固に洗浄することができる。
【0100】
また、この構成によれば、第1の洗浄具と第2の洗浄具とを同期して移動させる必要がないので、基板の洗浄の手順が制限されることがない。これにより、基板を効率よく洗浄することができる。
【0101】
(第2項)第1項に記載の基板洗浄装置は、
前記基板を保持しつつ回転させる基板保持部をさらに備えてもよい。
【0102】
この場合、基板の第1の面および第2の面を広範囲にわたって容易に洗浄することができる。
【0103】
(第3項)第1項または第2項に記載の基板洗浄装置において、
前記第1の洗浄具は、洗浄面を有し、前記洗浄面を前記基板の前記第1の面に接触させることにより前記第1の面を洗浄するブラシを含んでもよい。
【0104】
この場合、基板の第1の面を短時間で洗浄することができる。
【0105】
(第4項)第3項に記載の基板洗浄装置において、
前記ブラシの前記洗浄面は、円形状を有し、
前記第1の距離しきい値は、前記洗浄面の半径以下であってもよい。
【0106】
この場合、平面視において第1の洗浄具と第2の洗浄具とが重なるときに、第1の洗浄具または第2の洗浄具により基板に加えられる荷重が増加される。これにより、基板の変形をより確実に防止しつつ基板を洗浄することができる。
【0107】
(第5項)第3項または第4項に記載の基板洗浄装置において、
前記荷重調整部は、前記ブラシを前記基板に押圧する第1のアクチュエータを含み、
前記制御部は、前記第1のアクチュエータの駆動量を制御することにより前記基板に加えられる荷重を調整してもよい。
【0108】
この場合、第1のアクチュエータの駆動量が制御されることにより、ブラシから基板への押圧量が調整される。これにより、基板に加えられる荷重を容易に調整することができる。
【0109】
(第6項)第5項に記載の基板洗浄装置は、
前記基板の非洗浄時に前記ブラシを待機させる待機位置と、前記待機位置よりも前記基板に近い処理位置との間で前記ブラシを昇降させる第2のアクチュエータをさらに備え、
前記第1のアクチュエータは、前記第2のアクチュエータによる前記ブラシの昇降範囲よりも小さい範囲で前記処理位置にある前記ブラシを昇降させることにより、前記ブラシの前記洗浄面を前記基板の前記第1の面に接触させてもよい。
【0110】
この場合、第2のアクチュエータによりブラシを待機位置と処理位置との間で比較的大きく昇降させることが可能であるとともに、第1のアクチュエータにより処理位置においてブラシを微小な範囲で昇降させることが可能である。これにより、基板の非洗浄時には、ブラシを処理位置から離間した待機位置で待機させつつ、基板の洗浄時には、処理位置において基板に加えられる荷重を正確に調整することができる。
【0111】
(第7項)第1項~第6項のいずれか一項に記載の基板洗浄装置において、
前記第2の洗浄具は、前記基板の前記第2の面に沿って移動しつつ洗浄液を吐出することにより前記第2の面を洗浄するノズルを含んでもよい。
【0112】
この構成によれば、基板の第2の面に回路が形成される場合でも、第2の面を適切に洗浄することができる。
【0113】
(第8項)第7項に記載の基板洗浄装置において、
前記荷重調整部は、前記洗浄液を圧送して前記ノズルから吐出させるポンプを含み、
前記制御部は、前記ポンプの送液圧を制御することにより前記基板に加えられる荷重を調整してもよい。
【0114】
この場合、ポンプの送液圧が制御されることにより、ノズルから吐出される洗浄液が基板に加える圧力が調整される。これにより、基板に加えられる荷重を容易に調整することができる。
【0115】
(第9項)第1項~第8項のいずれか一項に記載の基板洗浄装置において、
前記制御部は、前記洗浄具間距離が予め定められた第2の距離しきい値よりも大きい場合に、前記第1の荷重よりも小さい第3の荷重が前記基板に加えられるように前記荷重調整部を制御し、
前記第2の距離しきい値は、前記第1の距離しきい値よりも大きくてもよい。
【0116】
この構成によれば、第1の洗浄具と第2の洗浄具とがより大きく離間している場合でも、基板に変形を生じさせることなく基板を洗浄することができる。
【0117】
(第10項)第9項に記載の基板洗浄装置において、
前記第1の洗浄具は、前記基板の前記第1の面における前記基板の中心から離間した領域を洗浄し、
前記第2の距離しきい値は、前記平面視における前記第1の洗浄具と前記基板の前記中心との間の距離よりも大きくてもよい。
【0118】
この構成によれば、第1の洗浄具と第2の洗浄具とがさらに大きく離間している場合でも、基板に変形を生じさせることなく基板を洗浄することができる。
【0119】
(第11項)第11項に係る基板洗浄方法は、
第1の洗浄具により基板の第1の面を洗浄することと、
第2の洗浄具により前記基板の前記第1の面とは反対の第2の面を洗浄することと、
平面視における前記第1の洗浄具と前記第2の洗浄具との間の洗浄具間距離が予め定められた第1の距離しきい値よりも大きい場合に、前記第1の洗浄具または前記第2の洗浄具により前記基板に加えられる荷重を荷重調整部により第1の荷重に調整することと、
前記基板の洗浄時に、前記洗浄具間距離が前記第1の距離しきい値以下である場合に、前記第1の洗浄具または前記第2の洗浄具により前記基板に加えられる荷重を前記荷重調整部により前記第1の荷重よりも大きい第2の荷重に調整することとを含む。
【0120】
この基板洗浄方法によれば、基板に変形を生じさせることなく基板を洗浄することができる。また、第1の洗浄具と第2の洗浄具とを同期して移動させる必要がないので、基板の洗浄の手順が制限されることがない。これにより、基板を効率よく洗浄することができる。
【符号の説明】
【0121】
1…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2x…搬入搬出口,9…制御装置,9a…CPU,9A…チャック制御部,9b…メモリ,9B…吸着制御部,9C…台座制御部,9D…受渡制御部,9E…回転制御部,9F…昇降制御部,9G…荷重制御部,9H…洗浄液制御部,9I…吐出気体制御部,9J…カップ制御部,9K…上面洗浄制御部,9L…端部洗浄制御部,9M…搬入搬出制御部,10A,10B…上側保持装置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,20…下側保持装置,21…吸着保持部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,40…受渡装置,41…支持ピン,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,52…液ノズル,53…気体噴出部,60…カップ装置,61…カップ,70…上面洗浄装置,71,81…回転支持軸,72,82…アーム,73…スプレーノズル,74…ポンプ,80…端部洗浄装置,83…ベベルブラシ,90…開閉装置,91…シャッタ,100…下面ブラシ駆動部,101,102…動力伝達部材,110…収容部,120…エアシリンダ,130…電空レギュレータ,140…支持部材,150…回転軸,160…回転モータ,170…モータ駆動部,180…リニアガイド,190…昇降モータ,W…基板
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