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特開2024-91095道路表示物管理装置、道路表示物管理システム、道路表示物管理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091095
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】道路表示物管理装置、道路表示物管理システム、道路表示物管理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240627BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240627BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G06T7/00 650A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207542
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】諸角 有紗
(72)【発明者】
【氏名】大西 洋二
(72)【発明者】
【氏名】伊能 大雅
(72)【発明者】
【氏名】櫟原 英士
(72)【発明者】
【氏名】白井 良介
(72)【発明者】
【氏名】浜口 沙月
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181EE11
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181MC18
5H181MC19
5H181MC27
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA05
5L096DA02
5L096FA14
5L096JA09
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】 道路表示物の視認性の低下の度合いに関わらず、視認性に問題のある道路表示物を特定する。
【解決手段】 所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持する基準表示物情報保持部と、所定地点にて撮影された画像を取得する画像取得部と、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出する画像分析部と、基準表示物情報と、画像分析部により抽出された表示物情報とを比較し、所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定する道路表示物特定部と、を有する道路表示物管理装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持する基準表示物情報保持部と、
前記所定地点にて撮影された画像を取得する画像取得部と、
前記画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出する画像分析部と、
前記基準表示物情報と、前記画像分析部により抽出された表示物情報とを比較し、前記所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定する道路表示物特定部と
を有する道路表示物管理装置。
【請求項2】
前記道路表示物特定部によって視認性に問題のある道路表示物が特定されると、前記基準表示物情報、前記画像又は前記特定した道路表示物のうちの少なくともいずれかを、前記道路表示物管理装置と通信可能に接続された道路表示物管理サーバへ送信する
ことを特徴とする、請求項1に記載の道路表示物管理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の道路表示物管理装置と、
前記画像に基づいて、前記特定された道路表示物の視認性に影響を与える要因を特定する要因特定部、
前記要因を解消するための対応の要否を決定する対応要否決定部、及び
前記対応要否決定部によって対応が必要であると決定された場合に、道路表示物の視認性に影響を与える要因と当該要因に対する対応との関係を表す関係情報に基づいて、前記要因特定部が特定した要因についての対応方法を決定する対応方法決定部
を含む道路表示物管理サーバと
を備える道路表示物管理システム。
【請求項4】
前記道路表示物管理サーバは、
交通情報を保持する交通情報保持部から前記所定地点の交通情報を取得する交通情報取得部と、
前記交通情報に基づいて、前記対応を行う時期又は日時の少なくともいずれか一方を決定する対応日時決定部と
をさらに備える、請求項3に記載の道路表示物管理システム。
【請求項5】
前記道路表示物管理サーバは、
道路表示物の情報を含む3D(3-Dimension)地図情報を用いて、前記基準表示物情報を生成する基準表示物情報特定部と
をさらに備える、請求項3に記載の道路表示物管理システム。
【請求項6】
前記道路表示物管理サーバは、
前記対応日時決定部は、あらかじめ定められた前記道路表示物の重要度に基づいて、前記対応を行う時期又は日時の少なくともいずれか一方を決定する
ことを特徴とする、請求項4に記載の道路表示物管理システム。
【請求項7】
前記道路表示物管理サーバは、
前記画像取得部が取得した画像、前記道路表示物特定部が特定した道路表示物、前記要因、前記対応方法、前記時期又は前記日時のうちの少なくともいずれかを含む出力情報を生成する出力情報生成部をさらに備え、
前記道路表示物管理サーバは、前記特定された道路表示物の種類、前記要因又は前記対応方法に応じた出力先に、前記出力情報を出力する
ことを特徴とする、請求項6に記載の道路表示物管理システム。
【請求項8】
位置情報取得部及び撮影部を備える道路表示物管理装置と、
前記道路表示物管理装置と通信可能に接続された道路表示物管理サーバと、から構成される道路表示物管理システムであって、
前記道路表示物管理サーバは、
前記位置情報取得部が取得する位置情報が所定地点の位置情報と一致すると、前記道路表示物管理装置に対し当該所定地点の画像の撮影を要求する要求部と、
前記道路表示物管理装置から前記画像を取得する画像取得部と、
所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持する基準表示物情報保持部と、
前記画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出する画像分析部と、
前記基準表示物情報と、前記画像分析部により抽出された表示物情報とを比較し、前記所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定する道路表示物特定部と、
を備えることを特徴とする、道路表示物管理システム。
【請求項9】
所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持し、
前記所定地点にて撮影された画像を取得し、
前記画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出し、
前記基準表示物情報と、前記表示物情報とを比較し、前記所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定する
ことを特徴とする、道路表示物管理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持する処理と、
前記所定地点にて撮影された画像を取得する処理と、
前記画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出する処理と、
前記基準表示物情報と、前記表示物情報とを比較し、前記所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定する処理と
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、視認性に問題のある道路表示物を特定するための道路表示物管理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に設置された道路表示物の視認性の低下が問題となっている。道路表示物とは、例えば、信号機や道路標識を指す。視認性の低下は、例えば以下のような場合に生じる。以下のような場合とは、すなわち、樹木等の障害物によって道路表示物が遮蔽されている場合、道路表示物が経年等により劣化した場合等である。
【0003】
この問題に対して、専用の調査員を乗車させた巡回車によって定期的に視認性の調査を行う手法が知られている。しかしながら、この手法は効率的ではない。
【0004】
視認性が劣化した道路標識を特定するための技術の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の情報処理装置は、走行中の車両が生成した前方画像中に道路標識が存在すると、画像データを情報処理サーバへ送信する。情報処理サーバは、受信した画像データと基準画像とを比較することで、視認性の劣化度を評価する。
【0005】
また、道路標識の種類を特定するための技術の一例が、特許文献2に開示されている。特許文献2に記載の情報認識装置は、車両が撮影した画像に含まれる道路標識と、データベースに保持された道路標識との一致度を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-126359号公報
【特許文献2】特開2017-162356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術又は特許文献2に開示された一致度を用いれば、道路表示物が一定以上の視認性を保っている場合であれば、当該道路表示物の視認性に問題があることを特定することができる。しかしながら、道路表示物が一定以上の視認性を満たさない場合には、特許文献1又は特許文献2に記載された技術では、当該道路表示物の視認性に問題があることを特定することができない。
【0008】
具体的には、特許文献1又は特許文献2に開示された技術は、例えば以下のような場合には視認性に問題があることを特定できない。以下のような場合とは、すなわち、画像認識で道路表示物が検出できない程まで道路表示物が障害物によって遮蔽されている場合や、画像認識で道路表示物が検出できない程までに著しく道路表示物が劣化している場合、道路標識が盗難にあった場合等である。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、道路表示物の視認性の低下の度合いに関わらず、視認性に問題のある道路表示物を特定するための道路表示物管理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の道路表示物管理装置は、所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持する基準表示物情報保持部と、所定地点にて撮影された画像を取得する画像取得部と、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出する画像分析部と、基準表示物情報と、画像分析部により抽出された表示物情報とを比較し、所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定する道路表示物特定部とを有する。
【0011】
本発明の道路表示物管理システムは、位置情報取得部及び撮影部を備える道路表示物管理装置と、道路表示物管理装置と通信可能に接続された道路表示物管理サーバと、から構成される道路表示物管理システムであって、道路表示物管理サーバは、位置情報取得部が取得する位置情報が所定地点の位置情報と一致すると、道路表示物管理装置に対し所定地点の画像の撮影を要求する要求部と、道路表示物管理装置から画像を取得する画像取得部と、所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持する基準表示物情報保持部と、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出する画像分析部と、基準表示物情報と、画像分析部により抽出された表示物情報とを比較し、所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定する道路表示物特定部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の道路表示物管理方法は、所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持し、所定地点にて撮影された画像を取得し、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出し、基準表示物情報と、表示物情報とを比較し、所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定することを特徴とする。
【0013】
本発明のコンピュータプログラムは、コンピュータに、所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持する処理と、所定地点にて撮影された画像を取得する処理と、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出する処理と、基準表示物情報と、表示物情報とを比較し、所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定する処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、道路表示物の視認性の低下の度合いに関わらず、視認性に問題のある道路表示物を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における道路表示物管理装置100の構成例を示す図である。
図2】第1実施形態の各構成を説明するために用いるモデルケースを示す図である。
図3】基準表示物情報の一例を示す図である。
図4】地点Xにて撮影された画像の一例を示す図である。
図5】表示物情報の一例を示す図である。
図6】第1実施形態における道路表示物管理装置100の動作例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態における道路表示物管理システム1000の全体図を示す図である。
図8】第2実施形態における道路表示物管理システム1000の構成例を示す図である。
図9】要因特定部302が視認性に影響を与える要因を特定する手順の一例を説明するために用いる基準画像の図である。
図10】要因特定部302が視認性に影響を与える要因を特定する手順の一例を説明するために用いる、撮影装置200により撮影された画像の図である。
図11】出力情報生成部305が生成する出力情報の一例を示す図である。
図12】第2実施形態における道路表示物管理装置100の動作例を示すフローチャートである。
図13】第2実施形態における道路表示物管理サーバ300の動作例を示すフローチャートである。
図14】第3実施形態における道路表示物管理サーバ300の構成例を示す図である。
図15】第3実施形態における道路表示物管理サーバ300の動作例を示すフローチャートである。
図16】第3実施形態における基準表示物情報を特定する一連の動作の一例を示す図である。
図17】第4実施形態における道路表示物管理システム1000の構成例を示す図である。
図18】第4実施形態における道路表示物管理装置100の動作例を示すフローチャートである。
図19】第4実施形態における道路表示物管理サーバ300の動作例を示すフローチャートである。
図20】本開示における道路表示物管理装置100又は道路表示物管理サーバ300を、プロセッサを含むコンピュータ装置10で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における道路表示物管理装置100の構成例を示す図である。道路表示物管理装置100は、所定地点に設置された道路表示物のうち、視認性に問題のある道路表示物を特定するための装置である。道路表示物管理装置100は、図2に示すように、道路を通行する移動体に備えられる。移動体とは、例えば、車両、自転車、モーターバイク、歩行者等を指す。道路表示物管理装置100は、独立した装置であってもよいし、カーナビゲーション等の移動体に搭載された装置によって実現されてもよい。
【0018】
図1に示すように、道路表示物管理装置100は、基準表示物情報保持部101、画像取得部102、画像分析部103及び道路表示物特定部104から構成される。
【0019】
基準表示物情報保持部101は、所定地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報を基準表示物情報として保持する。基準表示物情報は、下記に挙げるような情報を参照することによってあらかじめ生成され、基準表示物情報保持部101に保持される。尚、3D(3-Dimension)地図情報を用いて基準表示物情報を生成する方法については、実施形態3で詳述する。
(1)標識設置者の有するデータベースに格納された情報
(2)所定地点において過去に撮影された画像
(3)3D地図情報
【0020】
図3は、基準表示物情報の一例を示す図である。基準表示物情報保持部101は、少なくとも、位置情報と、当該位置情報の地点において視界に入るべき道路表示物に関する情報とを関連付けて保持する。基準表示物情報は、図3に示すようなテキスト情報であってもよいし、画像情報であってもよい。基準画像情報がテキスト情報である場合は、道路表示物に対応する画像情報へのパスや、対応する画像情報等を紐づけて保持してもよい。尚、テキスト情報に対応する画像情報は、基準表示物情報保持部101に保持されてもよいし、外部の記憶装置(図示せず)に保持されてもよい。
【0021】
画像取得部102は、所定地点にて撮影された画像を取得する。画像取得部102は、例えば、撮影装置200が所定地点において撮影した画像を取得する。例えば、図2の場合、撮影装置200は所定地点(地点X)において撮影を行う。地点Xにおいて撮影を行うと、図4に示す画像が撮像される。画像取得部102は、図4に示す画像を取得する。
【0022】
画像分析部103は、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出する。
【0023】
例えば、画像分析部103は、あらかじめ用意された道路表示物検知モデルを用いて、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出してもよい。あるいは、画像分析部103は、既知の画像処理技術によって、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出してもよい。道路表示物検知モデルは、画像から道路表示物を検知又は識別するための学習済みモデルである。道路表示物検知モデルは、たとえば機械学習によって構築される。道路表示物検知モデルは、基準表示物情報保持部101に基準表示物情報とともに保持されるものとしてもよい。あるいは、道路表示物検知モデルは、外部の記憶装置から取得するものとしてもよい。その場合、外部の記憶装置は、道路表示物管理装置100と通信可能に接続されるものとする。
【0024】
画像分析部103が、道路表示物検知モデルを用いて表示物情報を抽出する処理の詳細を説明する。まず、画像分析部103は、道路表示物検知モデルを用いて、画像取得部102が取得した画像内の道路表示物を検知する検知処理を実行する。画像分析部103は、検知処理によって、検知結果と、検知結果の信頼度とを得る。検知結果は、検知された道路表示物が存在する領域の画像、又は検知された道路表示物に対応するテキスト情報である。検知結果が画像の場合、画像分析部103は、道路表示物検知モデルによって抽出された前述の領域のうち、検知結果の信頼度が所定の閾値以上である領域の画像又はテキスト情報を表示物情報として抽出する。表示物情報は、前述したように画像情報であってもテキスト情報であってもよい。尚、信頼度の閾値は、道路表示物管理装置100の管理者等によりあらかじめ定められているものとする。画像分析部103は、信頼度が所定の閾値以上である領域が存在しない場合には、例えば表示物情報をNullとする。
【0025】
画像分析部103が、既知の画像処理技術によって、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出する処理の詳細を説明する。本説明では、一例としてテンプレートマッチングを用いて表示物情報を特定する処理について説明する。テンプレートマッチングを用いる手法は一例であり、上記以外の既知の画像処理技術を用いてもよい。例えば、画像分析部103は、機械学習等を活用した既知のオブジェクト検出技術を用いて表示物情報を抽出してもよい。
【0026】
まず、画像分析部103は、基準表示物情報と一致度が高い領域を探索する。尚、本説明において、一致度の値が大きいほど基準表示物と類似しているものとする。基準表示物情報がテキスト情報である場合、画像分析部103は、テキスト情報に紐づいた画像情報に一致するものを、画像取得部102が取得した画像から探索する。画像分析部103は、基準表示物情報との一致度が所定の閾値以上である領域の画像を、表示物情報として抽出する。画像分析部103は、テンプレート画像に紐づけられた道路表示物のテキスト情報を表示物情報として特定してもよい。すなわち、表示物情報は、画像情報であってもテキスト情報であってもよい。尚、一致度の閾値は、道路表示物管理装置の管理者等によりあらかじめ定められているものとする。画像分析部103は、一致度が所定の閾値以上である領域が存在しない場合には、例えば表示物情報をNullとする。
【0027】
以下に、画像分析部103がテンプレートマッチングによって表示物情報を抽出する具体例を、図3図4及び図5を用いて説明する。
【0028】
まず、画像分析部103は、画像取得部102が取得した画像について前処理を行う。画像分析部103は、例えば、前処理として、グレースケール化や輝度値の補正等を行う。尚、画像分析部103は、必要が無ければ前処理を行わなくてもよい。前処理の要否は管理者等が決定するものとしてもよい。
【0029】
次に、画像分析部103は、図3に示す基準表示物情報に含まれる画像又は基準表示物情報に紐づけられた画像をテンプレート画像とし、テンプレートマッチングを行う。この際、画像データとテンプレート画像との一致度を求めてもよい。一致度とは、具体的には、SSD(Sum of Squared Difference)、SAD(Sum of Absolute Difference)等の値を指す。前述の所定地点は、地点Xであると仮定すると、画像分析部103は、基準表示物情報(図3)に含まれる、標識A1、信号B1及び信号B2の画像をテンプレート画像とし、図4の画像データを探索する。そして、画像分析部103は、テンプレート画像ごとに、一致度を算出する。
【0030】
画像分析部103は、外部の記憶装置に格納されている画像をテンプレート画像として用いてもよい。外部の記憶装置には、例えば、道路表示物の画像と当該道路表示物の種類とが紐づけられて保存されているものとする。この場合、画像分析部103は、記憶装置に格納された全ての画像をテンプレート画像として、それぞれについての一致度を算出する。
【0031】
次に、画像分析部103は、一致度が所定の閾値以上となる領域があれば、その領域を表示物情報として抽出する。例えば、図5に示すように、画像分析部103は、表示物情報として信号B1及び信号B2のみを抽出し、標識A1を抽出しない。これは、図4に示すように、標識A1が樹木(障害物)によって遮蔽されていることにより、標識A1とテンプレート画像との一致度の値が所定の閾値を満たさないためである。換言すると、画像分析部103は、信号B1及び信号B2の一致度は所定の閾値以上であるため表示物情報として抽出するが、標識A1の一致度は所定の閾値未満であるため、表示物情報として抽出しない。
【0032】
道路表示物特定部104は、基準表示物情報と、画像分析部103により抽出された表示物情報とを比較し、所定地点において視界に入るべき道路表示物のうち、当該所定地点からの視認性に問題のある道路表示物を特定する。
【0033】
図3及び図5を用いて、道路表示物特定部104が道路表示物を特定する手順について説明する。まず、道路表示物特定部104は、表示物情報を基準表示物情報と照合する。道路表示物特定部104は、表示物情報がテキスト情報である場合には、基準表示物情報に含まれるテキスト情報と照合する。道路表示物特定部104は、表示物情報が画像情報である場合には、基準表示物情報に含まれる画像情報と照合する。
【0034】
図5に示す表示物情報には、地点Xに対応する道路表示物の表示物情報として、信号B1及び信号B2のテキスト情報が含まれている。一方で、図3に示す基準表示物情報には、地点Xに対応する道路表示物として、標識A1、信号B1、信号B2のテキスト情報が保持されている。道路表示物特定部104は、図5に示す表示物情報を図3に示す基準表示物情報と照合し、差分である「標識A1」を特定する。そして、道路表示物特定部104は、特定した差分「標識A1」を、当該地点Xからの視認性に問題のある道路表示物であると認定する。
【0035】
尚、道路表示物特定部104は、表示物情報がNullである場合には、基準表示物情報に含まれる当該地点の道路表示物の全てを、視認性に問題のある道路表示物として特定する。また、道路表示物特定部104は、基準表示物情報に含まれない道路表示物に関する情報が表示物情報に含まれている場合には、例えば画像分析部103の処理が誤っていると判断し、再度別の手法で画像分析を行うものとしてもよい。あるいは、道路表示物特定部104は、基準表示物情報に含まれない道路表示物に関する情報が表示物情報に含まれている場合には、当該道路表示物は誤検出であるとして棄却してもよい。あるいは、道路表示物特定部104は、基準表示物情報に含まれない道路表示物に関する情報が表示物情報に含まれている場合には、基準表示物情報が正しいか否かを管理者等に確認する構成を備えてもよい。
【0036】
次に、第1実施形態における道路表示物管理装置100の動作の一例について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
道路表示物管理装置100は、一例として、道路表示物管理装置100を備えた移動体が所定の地点に到達し、移動体に備えられた撮影装置200が所定地点の撮影を行うことにより、処理を開始する。
【0038】
まず、画像取得部102は、所定地点において撮影された画像を取得する(ステップS101)。具体的には、画像取得部102は、撮影装置200が撮影した画像を取得する。
【0039】
次に、基準表示物情報保持部101は、所定地点における基準表示物情報を取得する(ステップS102)。
【0040】
次に、画像分析部103は、画像内に含まれる道路表示物を、表示物情報として抽出する(ステップS103)。例えば、画像分析部103は、基準表示物情報に含まれる画像又は基準表示物情報に紐づけられた画像をテンプレート画像とし、画像取得部102が取得した画像を探索する。そして、画像分析部103は、画像内で一致度が所定の閾値以上となる領域があれば、その領域を表示物情報として抽出する。あるいは、表示物情報テンプレート画像に紐づけられた道路表示物の情報を表示物情報として特定する。画像分析部103は、画像内で一致度が所定の閾値以上となる領域がなければ、表示物情報をNullとする。
【0041】
次に、道路表示物特定部104は、基準表示物情報と、表示物情報とを比較し、視認性に問題のある道路表示物を特定する(ステップS104)。具体的には、道路表示物特定部104は、表示物情報を基準表示物情報と照合し、差分を視認性に問題のある道路表示物と特定する。道路表示物特定部104は、表示物情報がNullである場合には、基準表示物情報に含まれる当該地点の道路表示物の全てを、視認性に問題のある道路表示物と特定する。道路表示物管理装置100は、ステップS104の処理を終えると、上述した一連の処理を終了する。
【0042】
第1実施形態における道路表示物管理装置100は上記のように構成されている。次に、第1実施形態における効果を説明する。
【0043】
上述したように、道路表示物管理装置100は、所定地点の基準表示物情報及び所定地点で撮影された画像を取得し、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出し、基準表示物情報と表示物情報とを比較し、視認性に問題のある道路表示物を特定する。換言すれば、第1実施形態における道路表示物管理装置100は、道路表示物の視認性の低下の度合いに関わらず、視認性に問題のある道路表示物を特定することができる。
【0044】
第1実施形態における道路表示物管理装置100は、以下のように変形してもよい。
【0045】
基準表示物情報保持部101は、道路表示物管理装置100の構成であるものとして説明したが、道路表示物管理装置100外の構成であってもよい。例えば、基準表示物情報保持部101の代わりに、道路表示物管理装置100と通信可能に接続された記憶装置に基準表示物情報が保持されるものとしてもよい。
【0046】
画像分析部103は、基準表示物情報との一致度が所定の閾値以上である領域を、表示物情報として抽出するとしたが、この構成に限定されない。例えば、画像分析部103は基準表示物情報との一致度を算出し、当該一致度を表示物情報として抽出する構成にしてもよい。この場合、道路表示物特定部104は、表示物情報と所定の閾値とを比較し、所定の閾値を満たさないものを、視認性に問題のある道路表示物として特定してもよい。
【0047】
また、画像分析部103は、道路表示物に関する情報が保存された外部の記憶装置を参照してもよいとしたが、この構成に限定されない。例えば、基準表示物情報保持部101が、基準表示物情報及び複数の種類の道路表示物の画像と当該道路表示物の種類とを紐づけた情報を保持する構成としてもよい。
【0048】
また、画像分析部103は、基準表示物情報との一致度が所定の閾値以上である領域が存在しない場合には、表示物情報をNullとするものとしたが、これは一例であり、その他の値であってもよい。所定の閾値以上である領域が存在しないことが分かる値であればどの値を設定してもよい。
【0049】
また、一致度は値が大きいほど類似しているものと仮定したが、これに限定されない。一致度の大小関係は、一致度を算出する手法に依存するものとする。例えば、テンプレート画像と撮影画像との特徴点の距離を比較することで一致度を算出する場合には、一致度の値が小さいほど両者が類似しているものとする。
【0050】
[第2実施形態]
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。尚、この第2実施形態の説明において、第1実施形態と同一名称部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0051】
図7は、第2実施形態における道路表示物管理システム1000の全体図を示す図である。図7に示すように、道路表示物管理システム1000は、道路表示物管理装置100A、道路表示物管理装置100B、撮影装置200A、撮影装置200B、道路表示物管理サーバ300、保持部400A、保持部400B、管理端末500A、管理端末500B及び管理端末500Cから構成される。
【0052】
道路表示物管理装置100A及び道路表示物管理装置100Bは、図7に示すように、車両等の移動体に備えられる。道路表示物管理システム1000に含まれる道路表示物管理装置100の数は単数であってもよいし、複数であってもよい。図7には一例として、道路表示物管理装置が2つ含まれる例を示している。以降の説明において、道路表示物管理装置100Aと道路表示物管理装置100Bとを特に区別する必要がないときは、道路表示物管理装置100と記す。
【0053】
道路表示物管理装置100は、所定地点に設置された道路表示物のうち、視認性に問題のある道路表示物を特定するための装置である。道路表示物管理装置100の構成は、第1実施形態に示した構成と同一であるため、詳細な説明を省略する。道路表示物管理装置100は、道路表示物管理サーバ300と通信可能に接続されている。道路表示物管理装置100は、道路表示物特定部によって視認性に問題のある道路表示物が特定されると、基準表示物情報、画像取得部102が取得した画像及び問題があると特定した道路表示物に関する情報を、道路表示物管理サーバへ送信する。
【0054】
撮影装置200は、所定地点において撮影を行う。撮影装置200Aは、車両等の移動体に備えられる。道路表示物管理システム1000に含まれる撮影装置200の数は、単数であってもよいし複数であってもよい。以降の説明において、撮影装置200Aと撮影装置200Bとを特に区別する必要がないときは、撮影装置200と記す。撮影装置200は、所定地点において、前方の撮影を行うことで画像を生成する。撮影装置200は、道路表示物管理装置100と通信可能に接続されている。撮影装置200は、撮影した画像を道路表示物管理装置100へ送信する。
【0055】
保持部400A及び保持部400Bは、道路表示物管理サーバ300の処理に必要な情報を保持する記憶装置である。詳細は後述するが、道路表示物管理サーバ300の処理は、道路表示物の視認性に影響を与える要因と当該要因に対する対応との関係を表す関係情報を必要とする。そのため、保持部400A又は保持部400Bには、関係情報が保持される。道路表示物管理システム1000に含まれる保持部400の数は、単数であってもよいし複数であってもよい。以降の説明において、保持部400Aと保持部400Bとを特に区別する必要がないときは、保持部400と記す。保持部400は、道路表示物管理サーバ300と通信可能に接続されている。
【0056】
管理端末500A、管理端末500B及び管理端末500Cは、道路表示物管理サーバ300と通信可能に接続されている。管理端末500A、管理端末500B及び管理端末500Cは、道路表示物管理サーバ300により生成された出力情報を受信する。道路表示物管理システム1000に含まれる管理端末500の数は、単数であってもよいし複数であってもよい。以降の説明において、管理端末500Aと管理端末500Bと管理端末500Cとを特に区別する必要がないときは、管理端末500と記す。
【0057】
道路表示物管理サーバ300は、主に、視認性に影響を与える要因の特定、当該要因への対応要否の決定及び当該要因についての対応方法の決定を行うためのものである。図8は、第2実施形態における道路表示物管理システム1000の構成例を示す図である。図8に示すように、道路表示物管理サーバ300は、取得部301、要因特定部302、対応要否決定部303、対応方法決定部304及び出力情報生成部305から構成される。
【0058】
取得部301は、道路表示物管理サーバ300の処理に必要な情報を取得する。取得部301は、具体的には以下の情報を取得する。
(1)取得部301は、道路表示物管理装置100の処理で視認性に問題のある道路表示物が特定された場合に、基準表示物情報、画像取得部102が取得した画像及び問題があると特定した道路表示物に関する情報を取得する。取得部301は、道路表示物管理装置100から、上述した情報の他に、基準表示物情報を作成するのに使用した基準画像の情報を取得してもよい。取得部301が取得した情報は、一時的に、保持部400に保存されてもよい。
(2)取得部301は、保持部400から、関係情報を取得する。
【0059】
要因特定部302は、道路表示物管理装置100から取得した画像に基づいて、特定された道路表示物の視認性に影響を与える要因を特定する。視認性に影響を与える要因は多岐にわたる。視認性に影響を与える要因としては、例えば、樹木、積雪、大型車等の障害物によって道路表示物が遮蔽されていること、道路表示物が経年等により劣化したこと、霧等の天候要因によって視界全体の視認性が低下していること等が挙げられる。要因特定部302は、道路表示物管理装置100から取得した画像を解析することにより、視認性に影響を与える要因を具体的に特定する。
【0060】
要因特定部302が視認性に影響を与える要因を特定する手順の一例を、図9及び図10を用いて説明する。以下に示す例は、障害物による遮蔽が視認性に影響を与える要因であることを特定するための手順の例である。例えば、要因特定部302は、図9に示すような取得部301が取得した基準画像と、図10に示すような画像取得部102が取得した画像とを比較することによって、障害物を特定してもよい。この場合、要因特定部302は、例えば以下のような手順によって要因を特定する。
【0061】
まず、要因特定部302は、基準画像と画像取得部102が取得した画像の位置合わせを行う。例えば、要因特定部302は、SIFT(Scale-invariant feature transform)、SURF(Speeded Up Robust Features)等の特徴量を用いることによって、位置合わせを行うものとしてもよい。
【0062】
次に、要因特定部302は、基準画像中で視認性に問題があると特定された道路表示物の位置を特定する。例えば、要因特定部302は、視認性に問題があると特定された道路表示物に関する情報及び基準表示物情報に基づいて、当該問題があると特定された道路表示物の位置を特定する。例えば、図9に示すように、道路表示物の範囲を矩形で囲み、矩形の左上(または左下)の座標及び右下(または右上)の座標を特定する。特定した矩形の領域をE1とする。
【0063】
次に、要因特定部302は、画像取得部102が取得した画像内のE1に対応する領域(図10 E2)を切り出す。そして、要因特定部302は、例えばあらかじめ用意された物体検知モデルを用いて、画像内に含まれる物体を抽出する。そして、要因特定部302は、物体検知モデルによって道路表示物以外の物体が検知されれば、その物体を障害物であると特定する。
【0064】
上述した手順は一例であり、要因特定部302はその他の手法によっても要因を特定し得る。例えば、要因特定部302は、輝度値の差分、色の変化、特定した道路表示物の形状の変化又は撮影画像に含まれるノイズに基づいて要因を特定してもよい。例えば、道路表示物が経年劣化したことが要因であれば、道路表示物の輝度値の差分又は色の変化に基づいて特定できる。霧等の天候要因によって視界全体の視認性が低下していることが要因であれば、要因特定部302は、画像取得部102が取得した画像のノイズの種類等によって要因を特定できる。障害物による遮蔽が視認性に影響を与えることが要因であれば、要因特定部302は、特定した道路表示物の形状の変化に基づいて要因を特定できる。
【0065】
また、要因特定部302は、障害物による遮蔽が視認性に影響を与える要因である場合には、障害物の種類まで特定することが望ましい。さらに、要因特定部302は、障害物の部位まで特定することが望ましい。例えば、障害物の種類が樹木である場合には、道路表示物を遮蔽しているのが葉の部分であるのか、幹の部分であるのかまで特定することが望ましい。なぜならば、障害物の種類や部位によって、出力情報生成部305が生成する出力情報の出力先が変更されるためである。出力先の変更についての詳細は後述するため、ここでの説明は省略する。
【0066】
対応要否決定部303は、要因特定部302が特定した要因について、要因を解消するための対応の要否を決定する。
【0067】
例えば、対応要否決定部303は、要因特定部302が特定した要因が一時的なものであるか、恒久的なものであるかによって、対応の要否を決定してもよい。この場合、対応要否決定部303は、要因特定部302が特定した要因が一時的なものであれば、対応は不要であると決定する。対応要否決定部303は、要因特定部302が特定した要因が一時的なものであれば、対応が必要であると決定する。対応要否決定部303は、例えば、当該地点の道路表示物について、所定の回数以上問題が検出された場合には、その問題が恒久的なものであると判断し、対応が必要であると決定してもよい。あるいは、対応要否決定部303は、以下のようにして対応の要否を決定してもよい。まず、撮影装置200が、所定地点において所定のフレームレートで複数の画像を撮影する。そして、対応要否決定部303は、複数の画像全てに問題が検出された場合には、その問題が恒久的なものであると判断し、対応が必要であると決定してもよい。
【0068】
対応要否決定部303は、要因特定部302が特定した要因に応じて、対応の要否を決定してもよい。例えば、対応要否決定部303は、あらかじめ決められた所定の要因については、対応が不要であると決定するようにしてもよい。さらに、対応要否決定部303は、要因特定部302が特定した要因が障害物による遮蔽であった場合、その障害物の種類に応じて対応の要否を決定してもよい。例えば、対応要否決定部303は、障害物の種類が動的オブジェクトである場合に、その問題が一時的なものと判断し、対応が不要であると決定してもよい。動的オブジェクトとは、移動可能なオブジェクトを指す。具体的には、動的オブジェクトとは、車両等を指す。
【0069】
対応方法決定部304は、対応要否決定部303によって対応が必要であると決定された場合に、道路表示物の視認性に影響を与える要因と当該要因に対する対応との関係を表す関係情報に基づいて、要因特定部302が特定した要因についての対応方法を決定する。
【0070】
対応方法とは、道路表示物の視認性を向上させるための対応を指す。以下に、対応方法の具体例を記す。尚、対応方法は以下の具体例に限定されない。
(例1) 要因特定部302が特定した要因が障害物による遮蔽であり、障害物が樹木の枝葉であるとする。この場合、例えば枝切り鋏を用いた樹木の剪定が対応方法として考えられる。
(例2) 要因特定部302が特定した要因が障害物による遮蔽であり、障害物が樹木の幹であるとする。この場合、例えば自動鋸及び起重機車を用いた樹木の剪定が対応方法として考えられる。
(例3) 要因特定部302が特定した要因が障害物による遮蔽であり、障害物が雪であるとする。この場合、例えば道路表示物に対して融雪対策を講じることが対応方法として考えられる。
(例4) 要因特定部302が特定した要因が、経年等により道路表示物が劣化したことであるとする。この場合、例えば道路表示物を新しいものに交換することが対応方法として考えられる。
(例5) 要因特定部302が特定した要因が、霧によって視界全体の視認性が低下していることであるとする。さらに、当該地点において、当該要因による道路表示物の視認性の低下が多発しているとする。この場合、道路表示物が道路標識であれば、例えば道路標識の内部に光源を設けて道路表示物を発光させることが対応方法として考えられる。道路表示物が信号機であれば、例えば電球の照度を上げることが対応方法として考えられる。
【0071】
道路表示物の視認性に影響を与える要因と当該要因に対する対応との関係を表す関係情報とは、以下(1)又は(2)に示す情報を指す。対応方法決定部304は、以下のいずれかの情報に基づいて、要因についての対応方法を決定する。
(1)道路表示物の視認性に影響を与える要因と当該要因に対する過去の対応とを教師データとして機械学習された学習済みモデル
(2)道路表示物の視認性に影響を与える要因と、当該要因に対する対応方法を紐づけた情報
【0072】
(1)の関係情報に基づいて、対応方法を決定する方法について説明する。まず、対応方法決定部304は、取得部301によって取得された学習済みモデルを取得する。次に、対応方法決定部304は、学習済モデルを用いて、当該要因についての対応方法を決定する。具体的には、対応方法決定部304は、要因特定部302が特定した要因を入力とし、当該要因への対応方法を出力として得ることにより、対応方法を決定する。
【0073】
(2)の関係情報に基づいて、対応方法を決定する方法について説明する。まず、対応方法決定部304は、取得部301によって取得された関係情報を取得する。次に、対応方法決定部304は、関係情報を用いて、要因特定部302が特定した要因についての対応方法を決定する。具体的には、まず、対応方法決定部304は、要因特定部302が特定した要因をキーとして関係情報を検索する。次に、対応方法決定部304は、当該要因に紐づいた対応方法を特定することにより、対応方法を決定する。
【0074】
出力情報生成部305は、画像取得部102が取得した画像、道路表示物特定部が特定した道路表示物、要因特定部302が特定した要因、又は対応方法決定部304が決定した対応の少なくともいずれかを含む出力情報を生成する。図11は、出力情報生成部305が生成する出力情報の一例を示す図である。図11に示す出力情報は、画像取得部102が取得した画像、所定地点の位置情報、道路表示物特定部が特定した道路表示物、要因特定部302が特定した要因、及び対応方法決定部304が決定した対応方法についての情報を含んでいる。出力情報は、前述した情報以外の情報を含んでもよい。
【0075】
また、出力情報生成部305は、道路表示物特定部104が特定した道路表示物の種類、要因特定部302が特定した要因又は対応方法決定部304が決定した対応に応じた管理端末500に、生成した出力情報を出力する。道路表示物は、その種類によって管理者が異なる。案内標識及び警戒標識は、国土交通省、都道府県、市町村等が管理することが知られている。規制標識及び指示標識は、都道府県公安委員会が管理することが知られている。出力情報生成部305は、例えば、道路表示物特定部104が特定した道路表示物の種類に基づいて、出力先を決定する。あるいは、標識の出力情報生成部305は、あらかじめ決められた要因と出力先との対応関係に基づいて、出力先を決定する。あるいは、出力情報生成部305は、あらかじめ決められた対応方法と出力先との対応関係に基づいて、出力先を決定する。
【0076】
次に、第2実施形態における道路表示物管理システム1000の動作の一例について、図12及び図13のフローチャートを用いて説明する。図12は、第2実施形態における道路表示物管理装置100の動作の一例を示す図である。図13は、第2実施形態における道路表示物管理サーバ300の動作の一例を示す図である。
【0077】
第2実施形態における道路表示物管理システム1000は、例えば、道路表示物管理装置100及び撮影装置200を備える移動体が所定地点に到達することによって処理を開始する。道路表示物管理システム1000は処理を開始すると、まず、撮影装置200によって撮影を行う。次に、撮影装置200は、撮影した画像を道路表示物管理装置100に送信する。
【0078】
道路表示物管理装置100は、撮影装置200から画像を受信することによって処理を開始する。道路表示物管理装置100の動作は、図12のフローチャートに示すとおりである。ステップS2101~ステップS2104までの処理は、第1実施形態におけるステップS101~ステップS104までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0079】
道路表示物管理装置100は、ステップS2104の処理を終えると、当該所定地点において問題のある道路表示物が特定されたか否かを判断する(ステップS2105)。道路表示物管理装置100は、問題のある道路表示物が特定されなかった場合には(ステップS2105 No)、道路表示物管理サーバ300への情報送信を行わずに処理を終了する。そして、道路表示物管理システム1000は、問題のある道路表示物が特定されなかった場合には(ステップS2105 No)処理を終了する。
【0080】
道路表示物管理装置100は、問題のある道路表示物が特定された場合には(ステップS2105 Yes)、基準表示物情報、取得した画像及び特定した道路表示物を、道路表示物管理サーバ300へ送信(ステップS2106)し、処理を終了する。道路表示物管理システム1000は、ステップS2106の処理を終えると、図13に示すステップS2301の処理へ進む。
【0081】
道路表示物管理サーバ300は、道路表示物管理装置100から情報を受信することにより処理を開始する。道路表示物管理サーバ300の動作は、図13のフローチャートに示すとおりである。まず、取得部301は、道路表示物管理装置100から送信された情報、及び保持部400が保持する情報を取得する(ステップS2301)。保持部400が保持する情報とは、具体的には、道路表示物の視認性に影響を与える要因と当該要因に対する対応との関係を表す関係情報を指す。
【0082】
次に、要因特定部302は、特定された道路表示物の視認性に影響を与える要因を特定する(ステップS2302)。具体的には、要因特定部302は、道路表示物管理装置100から取得した画像を解析することにより、視認性に影響を与える要因を具体的に特定する。
【0083】
次に、対応要否決定部303は、道路表示物の視認性に影響を与える要因を解消するための対応の要否を決定する(ステップS2303)。例えば、対応要否決定部303は、要因特定部302が特定した要因が一時的なものであるか、恒久的なものであるかによって、対応の要否を決定する。あるいは、対応要否決定部303は、要因特定部302が特定した要因に応じて、対応の要否を決定してもよい。
【0084】
道路表示物管理サーバ300は、対応要否決定部303によって対応が不要であると決定された場合には(ステップS2304 No)、処理を終了する。
【0085】
対応要否決定部303によって対応が必要であると決定された場合(ステップS2304 Yes)、対応方法決定部304は、保持部400から取得した関係情報を用いて、対応方法を決定する(ステップS2305)。
【0086】
次に、出力情報生成部305は、出力情報を生成する(ステップS2306)。出力情報は、画像取得部102が取得した画像、道路表示物特定部が特定した道路表示物、要因特定部302が特定した要因、又は対応方法決定部304が決定した対応の少なくともいずれかを含む。
【0087】
次に、出力情報生成部305は、要因又は対応方法に応じた管理端末500に、出力情報を出力する(ステップS2307)。道路表示物管理サーバ300及び道路表示物管理システム1000は、S2307の処理を終えると、上述した一連の処理を終了する。
【0088】
第2実施形態における道路表示物管理システム1000は上記のように構成されている。第2実施形態における道路表示物管理システム1000は、第1実施形態で説明した効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
【0089】
上述した道路表示物管理システム1000は、視認性に問題のある道路表示物が特定されない場合には処理を終了する。一方で、道路表示物管理システム1000は、視認性に問題のある道路表示物が特定された場合には、道路表示物管理サーバ300による処理を行う。換言すると、道路表示物管理装置100は、視認性に問題のある道路表示物が特定された場合にのみ、道路表示物管理サーバ300へ情報を送信する。道路表示物管理装置100は、所定地点において道路表示物の視認性に問題がない場合には画像等の情報を道路表示物管理サーバ300へ送信しないため、無駄な通信を低減することができる。
【0090】
また、道路表示物管理サーバ300は、道路表示物特定部104によって特定された道路表示物の視認性に影響を与える要因を特定する要因特定部302と、当該要因を解消するための対応の要否を決定する対応要否決定部303と、対応要否決定部303によって対応が必要であると決定された場合に、関係情報に基づいて要因特定部302が特定した要因についての対応方法を決定する対応方法決定部304とを備える。道路表示物管理サーバ300を含む道路表示物管理システム1000は、上記構成により、自動的に対応方法を決定することができる。
【0091】
また、道路表示物管理サーバ300は、画像取得部102が取得した画像、道路表示物特定部が特定した道路表示物、要因特定部302が特定した要因、又は対応方法決定部304が決定した対応の少なくともいずれかを含む出力情報を生成し、特定された道路表示物の種類、要因又は対応方法に応じた出力先に生成した出力情報を出力する出力情報生成部305を備える。道路表示物管理サーバ300を含む道路表示物管理システム1000は、上記構成により、適切な出力先に情報を提供することができる。
【0092】
第2実施形態における道路表示物管理システム1000は、以下のように変形してもよい。
【0093】
道路表示物管理装置100は、問題のある道路表示物が特定されなかった場合には(ステップS2105 No)処理を終了するとしたが、上記構成に限定されない。例えば、以下のような構成にしてもよい。まず、道路表示物管理装置100は、問題のある道路表示物が特定されなかった場合には(ステップS2105 No)、所定地点における道路表示物に問題がないことを示す情報を生成し、道路表示物管理サーバ300へ送信する。そして、道路表示物管理サーバ300は、所定地点における道路表示物に問題がないことを示す情報を受信すると、ステップS2306の処理へ進み、所定地点における道路表示物に問題がないことを示す出力情報を生成するような構成であってもよい。
【0094】
また、道路表示物管理サーバ300は、道路表示物の視認性に影響を与える要因を解消するための対応が不要であると決定されると(ステップS2304 No)、処理を終了するとしたが、上記構成に限定されない。例えば、道路表示物管理サーバ300は、ステップS2304においてNoであった場合、ステップS2306の処理へ進んでもよい。そして、出力情報生成部305が、要因を解消するための対応が不要であることを示す出力情報を生成するような構成であってもよい。
【0095】
[第3実施形態]
以下に、本発明に係る第3実施形態を説明する。尚、この第3実施形態の説明において、第1実施形態又は第2実施形態と同一名称部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0096】
第3実施形態における道路表示物管理システム1000は、第2実施形態と同様に、道路表示物管理装置100、撮影装置200、道路表示物管理サーバ300、保持部400及び管理端末500から構成される。道路表示物管理装置100、撮影装置200及び管理端末500の構成は第2実施形態の構成と同一であるため、説明を省略する。
【0097】
保持部400は、道路表示物の視認性に影響を与える要因と当該要因に対する対応との関係を表す関係情報の他に、以下の情報を保持する。すなわち、保持部400はさらに、道路表示物の情報を含む3D地図情報、道路表示物の重要度についての情報及び交通情報を保持する。これらの情報は同一の保持部に保持されてもよいし、別の保持部に保持されてもよい。保持部400Aが、関係情報、3D地図情報、道路表示物の重要度についての情報及び交通情報を保持する構成としてもよい。あるいは、保持部400Aが関係情報を保持し、保持部400Bが3D地図情報を保持し、保持部400Cが道路表示物の重要度についての情報を保持し、保持部400Dが交通情報を保持する構成としてもよい。
【0098】
3D地図情報は、基準表示物情報特定部306が基準表示物情報を特定する際に参照される。保持部400に保持される3D地図情報は、少なくとも、道路の情報と、道路沿いに設置される道路表示物に関する情報とを含む。道路表示物に関する情報とは、例えば、道路表示物の種類に関する情報及び当該道路表示物の高さの情報を含む。
【0099】
道路表示物の重要度についての情報は、対応日時決定部307が対応日時を決定する際に参照される。道路表示物の重要度についての情報は、例えば、道路表示物の種類と、当該道路表示物の重要度を示すフラグとを関連付けた情報であってもよい。道路表示物の重要度とは、優先して対応すべきか否かの情報であり、例えば道路表示物管理システム1000の管理者によって設定される。例えば、信号機、警戒標識、規制標識等については重要度「高」のフラグを関連付け、案内標識、指示標識等には重要度「低」のフラグを関連付けるようにしてもよい。道路表示物の重要度についての情報は、警戒標識、規制標識、案内標識、指示標識の区分の中でさらに細分化され、重要度のフラグが関連付けられてもよい。また、道路表示物の重要度についての情報は、重要度の高い順にソートされて保持されてもよい。
【0100】
交通情報は、対応日時決定部307が対応日時を決定する際に参照される。保持部400には、位置情報と、日時と、交通量とが関連付けられて交通情報として保持される。
【0101】
図14は、第3実施形態における道路表示物管理サーバ300の構成例を示す図である。図14に示すように、道路表示物管理サーバ300は、取得部301、要因特定部302、対応要否決定部303、対応方法決定部304、出力情報生成部305、基準表示物情報特定部306及び対応日時決定部307から構成される。要因特定部302、対応要否決定部303及び対応方法決定部304の構成は第2実施形態の構成と同一であるため、説明を省略する。
【0102】
取得部301は、第2実施形態で説明した情報に加えて、保持部400から以下の情報を取得する。すなわち、取得部301は、所定地点の3D地図情報、道路表示物の重要度についての情報及び所定地点の交通情報を保持部400から取得する。取得部301は、所定地点の3D地図情報及び所定地点の交通情報を、所定地点の位置情報に基づいて取得する。
【0103】
出力情報生成部305は、画像取得部102が取得した画像、道路表示物特定部が特定した道路表示物、要因特定部302が特定した要因、対応方法決定部304が決定した対応方法又は対応日時決定部307が決定した対応日時のうちの少なくともいずれか1つを含む出力情報を生成する。
【0104】
基準表示物情報特定部306は、所定地点の3D地図情報を用いて、所定地点において視界に入るべき道路表示物を基準表示物情報として特定する。具体的には、基準表示物情報特定部306は、以下のような手順で基準表示物情報を特定する。まず、基準表示物情報特定部306は、3D地図情報を用いて走行シミュレーションを行う。走行シミュレーションには、移動体の操作者の目線の高さに関する情報を使用する。基準表示物情報特定部306は、走行シミュレーションによって、図9に示すような基準画像を作成する。基準表示物情報特定部306は、基準画像を画像分析することによって、基準表示物情報を特定する。画像から表示物情報を特定する手法については前述したため、ここでの説明は省略する。基準表示物情報特定部306は、特定した基準表示物情報を、基準表示物情報保持部101へ送信する。
【0105】
対応日時決定部307は、取得部301が取得した交通情報に基づいて、要因特定部302が特定した要因を解消するための対応を行う時期又は日時の少なくともいずれか一方を決定する。対応日時決定部307は、具体的には、所定地点の交通情報を参照し、交通への影響が少ない時期又は日時を決定する。
【0106】
対応日時決定部307はさらに、あらかじめ定められた道路表示物の重要度に基づいて、要因特定部302が特定した要因を解消するための対応を行う時期又は日時の少なくともいずれか一方を決定してもよい。対応日時決定部307は、道路表示物特定部104が特定した道路表示物の重要度に応じて、対応する時期又は日時の少なくともいずれか一方を決定する。
【0107】
次に、第3実施形態における道路表示物管理システム1000の動作の一例について、図15及び図16のフローチャートを用いて説明する。図15は、第3実施形態における道路表示物管理サーバ300の動作の一例を示す図である。図16は、基準表示物情報を特定する一連の動作の一例を示す図である。
【0108】
第3実施形態における道路表示物管理システム1000は、例えば、第2実施形態と同様に、道路表示物管理装置100及び撮影装置200を備える移動体が所定地点に到達することによって処理を開始する。撮影装置200及び道路表示物管理装置100の処理は、第2実施形態に示す処理と同様であるため、説明を省略する。
【0109】
道路表示物管理サーバ300は、第2実施形態と同様に、道路表示物管理装置100から情報を受信することにより処理を開始する。道路表示物管理サーバ300の動作は、図15のフローチャートに示すとおりである。ステップS3301~ステップS3305の処理は、第2実施形態におけるステップS2301~ステップS2305の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0110】
ステップS3306において、対応日時決定部307は、要因特定部302が特定した要因を解消するための対応を行う時期又は日時の少なくともいずれか一方を決定する。対応日時決定部307は、取得部301が取得した交通情報に基づいて、対応時期又は日時を決定する。対応日時決定部307は、あらかじめ定められた道路表示物の重要度にさらに基づいて、対応時期又は日時を決定してもよい。
【0111】
また、ステップS3307において、出力情報生成部305は出力情報を生成する。出力情報は、第2実施形態で挙げた情報の他に、対応日時決定部307が決定した対応日時を含んでもよい。
【0112】
道路表示物管理サーバ300は、ステップS3308の処理を終えた後に、上述した一連の処理を終了する。
【0113】
次に、図16を用いて、基準表示物情報を特定する一連の動作について説明する。道路表示物管理システム1000は、一例として、あらかじめ決められた所定のタイミングに、基準表示物情報を特定する処理を開始する。所定のタイミングとは、例えば、3D地図情報が更新されるタイミングを指す。
【0114】
取得部301は、まず、保持部400に保持された3D地図情報を取得する(ステップS3311)。
【0115】
次に、基準表示物情報特定部306は、取得した3D地図情報を用いて走行趣味レーションを行う。そして、基準表示物特定部は、基準画像を得る(ステップS3312)。
【0116】
次に、基準表示物情報特定部306は、基準画像を分析することによって、基準画像内の道路表示物を特定する。そして、基準表示物情報特定部306は、特定した道路表示物を、当該所定地点における基準表示物情報とする(ステップS3313)。
【0117】
次に、基準表示物情報特定部306は、特定した基準表示物情報を、道路表示物管理装置の基準表示物情報保持部へ送信する(ステップS3314)。道路表示物管理システム1000は、上述の処理を終えると、基準表示物情報を特定するための一連の処理を終了する。
【0118】
第3実施形態における道路表示物管理システム1000は上記のように構成されている。第3実施形態における道路表示物管理システム1000は、第1実施形態及び第2実施形態で説明した効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
【0119】
第3実施形態における道路表示物管理システム1000は、3D地図情報を用いて、所定地点において視界に入るべき道路表示物を基準表示物情報として特定する基準表示物情報特定部306を備える。所定地点において過去に撮影された画像から基準表示物情報を取得する場合、画像を撮影した時点で既に道路表示物の視認性に問題があると、当該道路表示物については問題を特定することができない。3D地図情報に含まれる道路表示物は視認性に問題がないため、3D地図情報を用いて基準表示物情報を作成すると、前述した問題が生じないという効果がある。
【0120】
また、第3実施形態における道路表示物管理システム1000は、交通情報に基づいて、前記対応を行う時期又は日時の少なくともいずれか一方を決定する対応日時決定部307を備える。これにより、道路表示物管理システム1000は、交通に影響が少ない時期又は日時に対応を行うことができる。
【0121】
また、第3実施形態における道路表示物管理システム1000が備える対応日時決定部307は、あらかじめ定められた道路表示物の重要度に基づいて、対応を行う時期又は日時の少なくともいずれか一方を決定する。この構成により、道路表示物管理システム1000は、重要度の高い道路表示物について優先して対応するようにスケジュールをすることができる。
【0122】
第3実施形態における道路表示物管理システム1000は、以下のように変形してもよい。
【0123】
第3実施形態において、基準表示物情報特定部306は道路表示物管理サーバ300の構成であるとしたが、上記構成に限定されない。例えば、基準表示物情報特定部306は、独立した装置によって実現されてもよい。この場合、道路表示物特定装置は、保持部400と、道路表示物管理装置100と通信可能に接続されているものとする。また、道路表示物管理システム1000は、道路表示物管理装置100及び基準表示物情報特定部306を備える道路表示物管理サーバ300のみから構成されてもよい。
【0124】
[第4実施形態]
以下に、本発明に係る第4実施形態を説明する。尚、この第4実施形態の説明において、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態と同一名称部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0125】
図17は、第4実施形態における道路表示物管理システム1000の構成例を示す図である。図17に示すように、道路表示物管理システム1000は、道路表示物管理装置100及び道路表示物管理サーバ300から構成される。道路表示物管理装置100は、道路表示物管理サーバ300と通信可能に接続されている。
【0126】
道路表示物管理装置100は、道路を通行する移動体に備えられる。通行する移動体とは、例えば、車両、自転車、モーターバイク、歩行者等を指す。道路表示物管理装置100は、単体のコンピュータ装置によって実現されてもよいし、カーナビゲーションやスマートフォンによって実現されてもよい。
【0127】
図17に示すように、道路表示物管理装置100は、位置情報取得部105及び撮影部106を備える。
【0128】
位置情報取得部105は、移動体の位置情報を取得する。位置情報取得部105は、例えば、GPS(Global Positioning System)、Galileo、BeiDou等の衛星測位システムにより計測された位置情報を取得する。位置情報取得部は、取得した位置情報を要求部308へ送信する。
【0129】
撮影部106は、要求部308から撮影要求を受信し、所定地点の撮影を行う。
【0130】
道路表示物管理サーバ300は、図17に示すように、要求部308、画像取得部102、基準表示物情報保持部101、画像分析部103及び道路表示物特定部104を備える。基準表示物情報保持部101、画像分析部103及び道路表示物特定部104は、第1実施形態で説明した構成と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0131】
要求部308は、位置情報取得部105が取得する位置情報が所定地点の位置情報と一致すると、道路表示物管理装置100に対し所定地点の画像の撮影を要求する。位置情報取得部105が取得する位置情報と、所定地点の位置情報とは、完全に一致しなくてもよい。例えば、要求部308は、位置情報取得部105が取得する位置情報と、所定地点の位置情報との差が所定の閾値以内であれば、一致するとみなして撮影を要求するものとしてもよい。所定地点の位置情報は、例えば基準表示物情報保持部101にあらかじめ保持されているものとする。画像取得部102は、撮影部106が撮影した画像を取得する。
【0132】
次に、第4実施形態における道路表示物管理システム1000の動作の一例について、図18及び図19のフローチャートを用いて説明する。
【0133】
図18は、第4実施形態における道路表示物管理装置100の動作例を示すフローチャートである。道路表示物管理装置100は、一例として、道路表示物管理システム1000に含まれる道路表示物管理装置100のうちの少なくとも1つが起動するのと同時に処理を開始する。
【0134】
まず、位置情報取得部105は、移動体の位置情報を取得する(ステップS4101)。位置情報取得部105は、取得した位置情報を、道路表示物管理サーバ300へ送信する(ステップS4102)。
【0135】
次に、位置情報取得部105は、道路表示物管理サーバ300から撮影の要求を受信したか否かを確認する(ステップS4103)。撮影の要求を受信していない場合は(ステップS4103 No)、ステップS4101の処理へ戻る。
【0136】
撮影部106は、道路表示物管理サーバ300から撮影の要求を受信した場合は(ステップS4103 Yes)、当該地点において撮影を行う(ステップS4104)。そして、撮影部106は、撮影した画像を道路表示物管理サーバ300へ送信する(ステップS4105)。
【0137】
道路表示物管理装置100は、例えば、道路表示物管理装置100が起動している間、上述したステップS4101~ステップS4105までの処理を繰り返す。道路表示物管理装置100は、例えば、道路表示物管理装置100の起動が停止した場合に、処理を終了する。
【0138】
図19は、第4実施形態における道路表示物管理サーバ300の動作例を示すフローチャートである。道路表示物管理サーバ300は、一例として、道路表示物管理装置100の起動と同時に処理を開始する。
【0139】
まず、要求部308は、道路表示物管理装置100から位置情報を取得する(ステップS4302)。次に、要求部308は、取得した位置情報が所定地点の位置情報と一致するか否かを確認する。道路表示物管理サーバ300は、所定地点の位置情報と一致しなかった場合は(ステップS4302 No)、ステップS4301の処理へ戻る。
【0140】
要求部308は、所定地点の位置情報と一致した場合は(ステップS4302 Yes)、道路表示物管理装置100に撮影の要求を送信する(ステップS4303)。
【0141】
ステップS4304~ステップS4307の処理は、第1実施形態におけるステップS101~ステップS104の処理と同一であるため、ここでの説明は省略する。道路表示物管理サーバ300は、例えば、道路表示物管理装置100が起動している間、上述したステップS4301~ステップS4307までの処理を繰り返す。道路表示物管理サーバ300は、例えば、道路表示物管理システム1000に含まれる全ての道路表示物管理装置100の起動が停止した場合に、処理を終了する。
【0142】
第4実施形態における道路表示物管理システム1000は上記のように構成されている。第4実施形態における道路表示物管理システム1000は、第1実施形態で説明した効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
【0143】
第1実施形態乃至第3実施形態では、所定地点の基準表示物情報及び所定地点で撮影された画像を取得し、画像内に含まれる道路表示物を表示物情報として抽出し、基準表示物情報と表示物情報とを比較し、視認性に問題のある道路表示物を特定する構成を道路表示物管理装置100が備えるものとして説明した。一方で、第4実施形態では、上述の構成は道路表示物管理サーバ300が備えるものとした。これにより、道路表示物管理装置100の構成が、位置情報取得部105及び撮影部106と最小限の構成で済むため、システムの導入コストを抑えることができる。
【0144】
第4実施形態における道路表示物管理システム1000は、以下のように変形してもよい。
【0145】
道路表示物管理システム1000は、第2実施形態又は第3実施形態で説明したその他の構成を含んでもよい。例えば、道路表示物管理システム1000は、保持部400及び管理端末500を含んでもよい。また、道路表示物管理サーバ300は、要因特定部302、対応要否決定部303、対応方法決定部304、出力情報生成部305、基準表示物情報特定部306及び対応日時決定部307を含んでもよい。
【0146】
[コンピュータによるハードウェア構成]
以上説明した本開示の各実施形態における各構成要素は、その機能をハードウェア的に実現することは勿論、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ファームウェアによって実現することができる。
【0147】
図20は、本開示における道路表示物管理装置100又は道路表示物管理サーバ300を、プロセッサを含むコンピュータ装置10で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。各実施形態の道路表示物管理装置100又は道路表示物管理サーバ300は、コンピュータ装置10によって実現される。コンピュータ装置10は、図12に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、プログラムを格納するハードディスク等の記憶装置13、入力装置及び出力装置接続用の入出力インタフェース14、及びネットワーク接続用の通信インタフェース15を含む。
【0148】
CPU11は、オペレーティングシステムを動作させて、本発明の道路表示物管理装置100又は道路表示物管理サーバ300全体を制御する。例えば、CPU11は、ドライブ装置等に装着された記憶媒体からメモリ12にプログラムやデータを読み出す。また、CPU11は、例えば本発明の道路表示物管理装置100における画像取得部102、画像分析部103、道路表示物特定部104及び位置情報取得部105の一部として機能し、プログラムに基づいて処理又は命令を実行する。あるいは、CPU11は、本発明の道路表示物管理サーバ300における、取得部301、要因特定部302、対応要否決定部303、対応方法決定部304、出力情報生成部305、基準表示物情報特定部306、対応日時決定部307及び要求部308の一部として機能し、プログラムに基づいて処理又は命令を実行する。
【0149】
記憶装置13は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、又は半導体メモリ等である。記憶装置の一部の記憶媒体は、不揮発性記憶装置であり、そこにプログラムを記録する。また、プログラムは、通信網に接続されている外部コンピュータ(図示せず)からダウンロードされてもよい。
【0150】
入出力インタフェース14に接続される入力装置は、例えばマウスやキーボード等により実現され、入力操作に用いられる。同様に、入出力インタフェース14に接続される出力装置は、例えばディスプレイ等によって実現され、出力結果の表示及び確認に用いられる。
【0151】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は、内容に支障がない範囲で変更することができる。
【符号の説明】
【0152】
10 コンピュータ装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 入出力インタフェース
15 通信インタフェース
100 道路表示物管理装置
101 基準表示物情報保持部
102 画像取得部
103 画像分析部
104 道路表示物特定部
105 位置情報取得部
106 撮影部
200 撮影装置
300 道路表示物管理サーバ
301 取得部
302 要因特定部
303 対応要否決定部
304 対応方法決定部
305 出力情報生成部
306 基準表示物情報特定部
307 対応日時決定部
308 要求部
400 保持部
500 管理端末
1000 道路表示物管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20