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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091107
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ピッキング装置、自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 57/03 20060101AFI20240627BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20240627BHJP
   B65G 57/04 20060101ALI20240627BHJP
   B65G 47/90 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
B65G57/03 G
B65G1/04 551D
B65G57/04
B65G47/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207561
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
【テーマコード(参考)】
3F022
3F029
3F072
【Fターム(参考)】
3F022JJ08
3F022JJ13
3F022KK10
3F022MM01
3F022MM11
3F022NN01
3F022NN12
3F022PP06
3F022QQ00
3F029AA01
3F029BA01
3F029CA52
3F029CA82
3F029DA01
3F072AA06
3F072GA05
3F072GD05
3F072KD03
(57)【要約】
【課題】本開示の目的の一つは、従来の課題に鑑みてなされたもので、荷同士の隙間をコントロールして積み付け可能なピッキング装置を提供することにある。
【解決手段】ある態様のピッキング装置10は、特定の面上で第2の荷12Bの隣に第1の荷12Aを積み付けるピッキング装置であって、第1の荷12Aを第2の荷12Bに接近させるとき、側面視における第1の荷12Aと第2の荷12Bとの間の荷隙間が所定の条件を満たすまで第1の荷12Aを移動させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の面上で第2の荷の隣に第1の荷を積み付けるピッキング装置であって、
前記第1の荷を前記第2の荷に接近させるとき、側面視における前記第1の荷と前記第2の荷との間の荷隙間が所定の条件を満たすまで前記第1の荷を移動させるピッキング装置。
【請求項2】
前記荷隙間を特定する隙間特定部を備え、
前記隙間特定部の特定結果が所定の条件を満たすまで前記第1の荷を移動させる、請求項1に記載のピッキング装置。
【請求項3】
前記隙間特定部は、前記第2の荷の側面から前記第1の荷の側面に亘って線状または帯状に設定された距測領域について前記隙間特定部からの奥行距離を取得し、取得された奥行前記距離を用いて前記荷隙間を特定する、請求項2に記載のピッキング装置。
【請求項4】
前記隙間特定部は、前記第1の荷の移動方向において、前記距測領域のうち前記奥行距離から荷同士の隙間と判断される隙間領域の幅に応じて前記荷隙間を特定する、請求項3に記載のピッキング装置。
【請求項5】
前記隙間特定部は、前記距測領域に設定された複数の距測ポイントの前記奥行距離を取得し、前記複数の距測ポイントのうち前記隙間領域に対応する対応ポイントの数を用いて前記荷隙間を特定する、請求項4に記載のピッキング装置。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記対応ポイントの数が閾値以下の場合である、請求項5に記載のピッキング装置。
【請求項7】
前記所定の条件は、前記対応ポイントの数がゼロの場合である、請求項5に記載のピッキング装置。
【請求項8】
前記所定の条件は、前記第1の荷の移動に伴って前記対応ポイントの数が変化しない場合を含む、請求項6に記載のピッキング装置。
【請求項9】
前記隙間特定部は、パルス発光したレーザ光の照射に対する散乱光に応じて前記奥行距離を特定する装置、およびパルス発光した光の反射時間に応じて前記奥行距離を特定する装置から選択される一つの装置を含む、請求項3に記載のピッキング装置。
【請求項10】
荷を保管する保管部を有する棚と、前記保管部の荷を移動させるピッキング装置と、を備える自動倉庫システムであって、
前記ピッキング装置は、
特定の面上で第2の荷の隣に第1の荷を積み付け可能な装置であって、
前記第1の荷を前記第2の荷に接近させるとき、側面視における前記第1の荷と前記第2の荷との間の隙間が所定の条件を満たすまで前記第1の荷を移動させる自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング装置および自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある収容部の荷を、別の収容部へ移動させるピッキング装置が知られている。本出願人は、特許文献1において、ピッキング装置を備える自動倉庫システムに関する技術を開示した。このピッキング装置は、保持部と、保持部の底面に設けられた複数の吸着部と、ガントリ型のクレーン機構とを備えており、一の収容部の上方から対象の荷を取り出し、水平方向に移動させ、上方から他の収容部のパレットに当該対象の荷を降ろすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-200185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、以下の認識を得た。ピッキング装置では、取り出した荷をパレットに積み付けるとき、収容効率を高める観点から、荷同士の隙間を小さくすることが望ましい。荷同士の隙間を小さく積み付けるために、先置きの荷と積付ける荷とを接触させると、荷の位置や形状の誤差の影響により、接触時の衝撃が想定以上に大きくなるおそれがある。このため、荷同士の隙間を小さくするとともに接触時の衝撃が過大にならないように荷同士の隙間をコントロールして積み付けすることが重要である。
これらから、特許文献1に記載のピッキング装置は、荷同士の隙間をコントロールして積み付けるという観点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、荷同士の隙間をコントロールして積み付け可能なピッキング装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のピッキング装置は、特定の面上で第2の荷の隣に第1の荷を積み付けるピッキング装置であって、第1の荷を第2の荷に接近させるとき、側面視における第1の荷と第2の荷との間の荷隙間が所定の条件を満たすまで第1の荷を移動させる。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷同士の隙間をコントロールして積み付け可能なピッキング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の自動倉庫システムを概略的に示す平面図である。
図2】複数の荷が積層された荷姿の一例を示す斜視図である。
図3】実施形態のピッキング装置の一例を示す側面図である。
図4】実施形態のピッキング装置の第1姿態を示す図である。
図5】実施形態のピッキング装置の第2姿態を示す図である。
図6】実施形態のピッキング装置の隙間特定部を説明する平面図である。
図7】実施形態のピッキング装置の隙間特定部を説明する別の平面図である。
図8】距測領域と距測ポイントを拡大して示す側面図である。
図9】対象荷の接近の過程における対応ポイント数の変化を示す図である。
図10】実施形態のピッキング装置のピッキング動作の一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態のピッキング動作の過程を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0012】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るピッキング装置10を備えた自動倉庫システム100の構成を説明する。図1は、自動倉庫システム100を概略的に示す平面図である。図2は、複数の荷12が積層された荷姿の一例を示す斜視図である。
【0013】
本明細書では、荷について下記の用語を用いる。内容物を収容した段ボール等のケースを「荷」という。荷には複数の物品が収容されてもよい。また、空荷のパレットを単に「パレット11」という。一のパレット11上に荷12が単数または複数載置されたものを「荷集合」という。以下の説明で「荷12」というときは、荷12単独の場合と、パレット11に搭載された状態の荷12の場合とを含む。荷12はピッキングを行うときに取り扱いされる最小単位であってもよい。
【0014】
実施形態のピッキング装置10は、特定の面上で第2の荷の隣に第1の荷を積み付けるピッキング装置である。実施形態では、第1の荷は、積付け対象の荷12(以下、「対象荷12A」という)に例示され、第2の荷は、対象荷12Aの積み付け予定位置に隣接する位置に先に置かれた荷(以下、先置荷12B」という)に例示される。また、特定の面は、パレット11に積み付けられた荷集合の上面またはパレット11の上面に例示される。荷同士の隙間をコントロールして積み付けするために、ピッキング装置10は、第1の荷を第2の荷に接近させるとき、側面視における第1の荷と第2の荷との間の隙間が所定の条件を満たすまで第1の荷を移動させ、その位置で第1の荷を積付けする。
【0015】
説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向、X方向に直交する水平な方向をY方向、両者に直交する方向すなわち鉛直方向をZ方向とするXYZ直交座標系を定める。また、X方向を横方向と、Y方向を前後方向と、Z方向を上下方向ということがある。対象荷12Aを先置荷12Bに接近させる際の対象荷12Aの移動方向に沿った距離を「幅」と、当該移動方向に直交する水平な方向を奥行方向と、奥行方向に沿った距離を「奥行距離」ということがある。このような方向の表記はピッキング装置10や自動倉庫システム100の構成を制限するものではなく、ピッキング装置10および自動倉庫システム100は、用途に応じて任意の構成で使用されうる。
【0016】
図2に示すように、内容物を取り出すために開封されることが想定された面を「反底面14」といい、反底面14とは反対側の面を底面という。図2では、反底面14が上向で、底面が下向である状態の荷12を示す。荷12は、反転装置(不図示)により反転され、底面が上向面で反底面14が下向面である反転状態でピッキング等の荷扱いがなされてもよい。反底面14は、底面よりも開封容易であってもよいし、底面は、反底面14よりも高強度であってもよい。表示方法の一例として、ケースの側面に印字された文字が反転した向きであれば反転状態であるとしてもよい。
【0017】
先に、自動倉庫システム100の全体構成を説明する。図1に示すように、自動倉庫システム100は、荷12を保管可能な複数の保管部52を有する棚5と、棚5に入庫または出庫のために荷12を移動する移動手段74、75、76と、荷12を保持して移動させるピッキング装置10と、制御部78とを主に備える。
【0018】
移動手段74、75、76は、第1移動手段74(例えば、第1台車)と、第2移動手段75(例えば、第2台車)と、第3移動手段76(例えば、昇降装置)とを含む。第1移動手段74、第2移動手段75および第3移動手段76は、荷12を、Y方向、X方向およびZ方向に移動させる搬送手段を構成する。第1移動手段74は、荷12をX方向に沿って移動させうる。第2移動手段75は、荷12をY方向に沿って移動させうる。第3移動手段76は、荷12をZ方向に移動させうる。
【0019】
例えば、搬送手段は、荷12を棚5の保管部52から搬出できる。例えば、搬送手段は、荷12を棚5の保管部52に搬入できる。例えば、搬送手段は、荷12を棚5の一の保管部52から棚5の他の保管部52に搬送できる。
【0020】
棚5は、多数の荷12を保管可能な保管スペースであり、保管棚と称されることがある。実施形態の棚5は、第2走行路73を挟んで図中右側の棚55と、図中左側の棚56に区分されている。棚5の構成は、複数の荷12を収容、保管可能であれば、特に限定されない。この例では、棚5は、X方向、Y方向およびZ方向(段方向)に沿って配列された複数の保管部52を含む。X方向、Y方向に配列された複数の保管部52を保管ステージという。言い換えると、棚5は、段方向に配列された複数段(例えば、3段)の保管ステージを備える。各保管部52は、荷12を収容可能に構成されている。
【0021】
棚5には、第1移動手段74が走行するための第1走行路71(例えば、第1レール)と、第2移動手段75が走行するための第2走行路73(例えば、第2レール)とが設けられる。第1走行路71は、棚55、56およびピッキング空間58においてX方向に延設される。第1移動手段74は、各保管部52の下部を走行できる。第2走行路73は、棚55、56およびピッキング空間58に隣接してY方向に延設される。
【0022】
第1移動手段74は、モータ(不図示)によって車輪を駆動し、空荷または荷12を搭載した状態で第1走行路71をX方向に走行する。第1移動手段74は、第2移動手段75および第3移動手段76に乗降できる。第2移動手段75は、モータ(不図示)によって車輪を駆動し、第2走行路73をY方向に走行する。第2移動手段75は、空荷の状態または荷12を搭載した状態の第1移動手段74を移送する。第3移動手段76は、第2走行路73に隣接して設けられる。第3移動手段76は、第1移動手段74および荷12を任意の保管ステージから他の保管ステージに昇降させることができる。図1の例では、全段に対して単一の入出庫部77が設けられ、入出庫部77に第3移動手段76が連設されている。
【0023】
この例では、入庫対象の荷12は、フォークリフトなどの外部搬送手段(不図示)によって入出庫部77に搬入され、第3移動手段76によって目的の段に移送される。出庫対象の荷12は、保管されていた段から第3移動手段76によって入出庫部77の段に昇降され、入出庫部77に移送され、入出庫部77から外部搬送手段によって運び出される。
【0024】
制御部78は、MPU(Micro Processing Unit)などを含んで構成され、ユーザからの操作結果に基づき、入庫、出庫、搬出、移送等のために荷12の移動を制御する。一例として、制御部78は、入出庫用の領域と保管部との間や、複数の保管部間で荷12を移送するように、第1移動手段74、第2移動手段75および第3移動手段76の動作を制御する。また、制御部78は、荷12をピッキングするためにピッキング装置10の動作を制御する。
【0025】
(ピッキング装置)
図3も参照して、ピッキング装置10を説明する。図3は、ピッキング装置10の一例を概略的に示す側面図である。この図では、一部の柱、梁、フレームなどの記載を省略している。実施形態のピッキング装置10は、単一種の荷が積まれた単載パレットを複数準備し(例えば、入庫により)、客先の要望に合わせて複数種の荷を混載した混載パレットを作成する用途に好適である。混載パレットを作成する場合に、ピッキング装置10は、単載パレットの1層分の荷のうち一部の荷(1つ以上の荷)を取り出して混載パレットに移載する際、移載する荷の積み付け位置を制御できる。
【0026】
ピッキング空間58は、ピッキング装置10を用いてピッキングを行うためのスペースである。ピッキング空間58は、棚56の外部に設けられてもよいが、この例では棚56内に設けられている。
【0027】
ピッキング空間58には、ピッキング前の荷12(以下、「第1荷集合121」という)を載置するための第1領域521と、ピッキング後の荷12(以下、「第2荷集合122」という)を載置するための第2領域522とが設けられる。ピッキング装置10は、第1領域521の第1荷集合121から取り出した荷12を、第2領域522に移動し、第2領域522の第2荷集合122に積み付けることができる。
【0028】
なお、第1領域521および第2領域522は、ピッキング空間58内の特定の場所を指すものではなく、荷12を一時的に保管する領域を指している。したがって、ピッキング空間58における第1領域521および第2領域522の位置や範囲はピッキング作業ごとに変化する場合もある。実施形態の第1領域521および第2領域522は、保管部52と同様の構成を有する。
【0029】
実施形態のピッキング空間58には、第1走行路71がX方向に延設されている。第1領域521および第2領域522は、第1走行路71上に設けられている。第1移動手段74は、第1領域521および第2領域522の下部を走行できる。ピッキング前の第1荷集合121は、第1移動手段74によって第1領域521に運び入れされる。ピッキング装置10は、第1荷集合121から所定の荷12を吸着して持ち上げ、移動させて、第2荷集合122に積み入れする。ピッキング後の第2荷集合122は、第1移動手段74によって第2領域522から運び出される。
【0030】
図3に示すように、ピッキング装置10は、ピッキング前の第1荷集合121から1以上の荷12をピッキングして第2荷集合122へ移載する。実施形態のピッキング装置10は、いわゆるガントリ型のクレーン機構60に支持されている。クレーン機構60は、一対の横梁63と、横桁62と、クレーン台車64と、本体昇降機構66とを備える。一対の横梁63は、ピッキング空間58の上部空間においてX方向両側に離隔して設けられる。横梁63の両端は、縦柱61の上端に支持される。
【0031】
横桁62は、X方向に延びるレール状の構造体で、一対の横梁63の間に架け渡される。横桁62は、横梁63上をY方向に自走可能に構成される。横桁62は、クレーンガータと称されることがある。クレーン台車64は、横桁62上をX方向に自走可能な台車である。本体昇降機構66は、ピッキング装置10をクレーン台車64に吊下げるとともに、ピッキング装置10をZ方向に上下動させることができる。
【0032】
クレーン機構60は、ピッキング装置10を水平なX方向およびY方向に自在に移動可能に支持している。また、クレーン機構60は、ピッキング装置10を段方向(上下方向、Z方向)に移動可能に支持している。
【0033】
図3に示すように、ピッキング装置10は、対象荷12Aと先置荷12Bとの間の隙間を計測する隙間特定部4を備えている。隙間特定部4については後述する。
【0034】
図4は、ピッキング装置10の第1姿態を概略的に示す図であり、ピッキング装置本体2がクレーン機構60に対して最も下降し、且つ、荷受部9がピッキング装置本体2に対して最も下降した状態を示す。図5は、ピッキング装置10の第2姿態を概略的に示す図であり、ピッキング装置本体2および荷受部9が最も上昇した状態を示す。図4(A)、図5(A)は側面図であり、図4(B)、図5(B)は正面図である。これらの図では、説明に重要でない一部の柱やフレームなどの記載を省略している。
【0035】
図4図5に示すように、ピッキング装置10は、ピッキング装置本体2(以下、装置本体2ということがある。)と、保持部3と、隙間特定部4(図3も参照)と、荷受部9とを備える。ピッキング装置10は、対象荷12A、先置荷12B、第1荷集合121、第2荷集合122、装置本体2、および保持部3の位置と姿勢を検知して制御部78に提供可能なセンサ類(不図示)を備えている。制御部78は、このセンサ類の検知結果および隙間特定部4の特定結果を用いてピッキング装置10およびクレーン機構60を制御する。装置本体2は、クレーン機構60により、水平方向及び上下方向に移動可能である。保持部3は、対象荷12Aを保持できる。保持部3は、装置本体2に支持される。
【0036】
図4の例では、ピッキング装置10は、装置本体2と、荷12を保持可能な保持部3を有し、地上の荷12(以下、「地上荷」ということがある)に対して相対移動可能に設けられる。本明細書で「地上」は、ピッキング空間58の下面であって、第1領域521および第2領域522を含む領域を意味する。装置本体2は、複数のフレーム材を組み合わせることによって形成された略長方形の平行六面体形状を有し、吊具と称されることがある。装置本体2は、本体昇降機構66の下端に連結され、本体昇降機構66の上端はクレーン機構60のクレーン台車64に連結される。
【0037】
本体昇降機構66は、クレーン台車64に連結されるガイド部661と、第1スライダ662と、第2スライダ663とを有する。第1スライダ662は、ガイド部661に対して上下にスライドできる。第2スライダ663は、第1スライダ662に対して上下にスライドできる。本体昇降機構66は、制御部78の制御に基づいて、モータを含む駆動手段(不図示)によって、第1スライダ662および第2スライダ663を上下に移動させることにより、装置本体2を昇降させることができる。
【0038】
保持部3は、ピッキング対象の荷12を保持可能であり、装置本体2の下方に取り付けられる。この例の保持部3は、複数の吸着部38と、複数の吸着部38を支持するブラケット37とを備える。複数の吸着部38は、Y方向およびX方向に所定の間隔でマトリックス状に配置される。
【0039】
吸着部38は、吸着パッドを有し、真空発生源(不図示)により生成された大気圧よりも低圧の空気(以下、「吸引流体」という)が通され、吸着部38の吸着パッドに発生させた負圧によって、荷12を吸着するための吸着力を発生させる。真空発生源は、真空ポンプ、エジェクタ、真空ブロアなどを含んで構成できる。真空発生源からの吸引流体は、配管(不図示)を通じて吸着部38に供給される。
【0040】
吸着部38が荷12を吸着可能な吸着力を発生することを、吸着部38は「オン状態」といい、オン状態でない状態を「オフ状態」という。保持部3は、制御部78の制御に基づいて、複数の吸着部38のそれぞれのオン/オフ状態を切り替えることにより、吸着対象の荷12に対応する領域の吸着部38をオン状態にし、当該吸着対象の荷12を吸着して保持できる。
【0041】
荷受部9は、装置本体2の保持部3で保持した荷12(以下、「保持荷」いうことがある)の下面を支持するための機構である。図3は、保持部3が、保持荷の下面を支持している状態を示しており、保持荷は、保持部3と荷受部9とに上下に挟まれている。図4の例では、荷受部9は、複数の支持部材91と、一対の展開機構92と、一対の退避機構93とを含む。支持部材91は、Y方向に延びる円筒パイプで、荷12を支持するときは、当該荷12の下面に展開される。一対の展開機構92は、装置本体2のY方向両側に離間して配置され、展開された複数の支持部材91の両端を支持できる。複数の支持部材91はスラットと称されることがある。
【0042】
一対の退避機構93は、退避した複数の支持部材91の両端を支持できる。展開機構92はX方向に延び、退避機構93はZ方向に延び、それぞれ角張ったC字状の断面を有する。展開機構92の一端と退避機構93の下端は連結され、側面視で横向きのL字状を呈する。複数の支持部材91は、制御部78の制御に基づいて、展開機構92と退避機構93との間で移動する。
【0043】
荷受部9は、装置本体2との相対位置を上下に変えることができるように設けられる。荷受部9は、本体昇降機構66とは別の昇降機構により独立して昇降可能であってもよいが、図4の例では、装置本体2に支持される。荷受部9は、荷受部昇降機構96を介して装置本体2に連結され、荷受部昇降機構96によって、装置本体2との相対位置を上下に変えることができる。
【0044】
荷受部昇降機構96は、装置本体2に連結されるガイド部961と、ガイド部961に対して上下にスライド可能なスライド部962とを有する。スライド部962は、荷受部9の退避機構93に連結される。荷受部昇降機構96は、制御部78の制御に基づいて、モータを含む駆動手段(不図示)によって、スライド部962を上下に移動させることにより、荷受部9を昇降させることができる。
【0045】
図6図7を参照して実施形態の隙間特定部4を説明する。図6図7は、隙間特定部4を説明する平面図である。例えば、荷の平面的な画像を取り込み、その画像を画像処理して荷の輪郭と位置を特定し、荷の位置を基準に荷を目的の位置に積み付けることが考えられる。このように荷の位置を基準に荷を積み付ける場合、荷同士の隙間の誤差が大きくなる。また、この方法では広範囲の画像を取り込んで処理するため、検出手段が大掛かりになり、小型化や低コスト化に不利である。
【0046】
そこで、実施形態は、荷同士の隙間に着目し、この隙間を基準に荷を積み付ける。実施形態では、図6に示すように、隙間特定部4は、側面視における対象荷12Aと先置荷12Bとの間の隙間(以下、「荷隙間」という)を特定する。つまり、荷隙間とその周辺にフォーカスし、荷全体の情報を取得することを要しないため、検出手段の小型化や低コスト化に有利である。
【0047】
隙間特定部4としては、荷隙間を特定可能であれば構成は限定されない。一例として、図6の隙間特定部4は、パルス発光したレーザ光の照射に対する散乱光に応じて奥行距離を特定する装置(例えば、LiDARセンサ)、およびパルス発光した光の反射時間に応じて奥行距離を特定する装置(例えば、ToFセンサ)から選択される一つの装置を含む。パルス発光したレーザ光や光(以下、「パルス光線という」)は、所定の周期で出力方向を少しずつ変えながら繰り返して出力される。パルス光線は、所定範囲をスキャンする。以下、隙間特定部4がLiDARセンサを用いる例を説明する。
【0048】
図6に示すように、対象荷12Aは、縦移動と、横移動とにより先置荷12Bに接近する。したがって、隙間特定部4は、横隙間領域を特定する第1隙間特定部41と、縦隙間領域を特定する第2隙間特定部43とを含んでもよい。符号42、44は、スキャンされたパルス光線を模式的に示す。
【0049】
図7では、対象荷12Aが横移動により先置荷12Bに接近する場合に横隙間領域を特定する例を示す。隙間特定部4は、複数のパルス光線42それぞれについて奥行距離を取得できる。
【0050】
図8図9を参照する。図8は、距測領域Amと距測ポイントPmを拡大して示す側面図である。図8(A)は荷隙間が大きい場合を示し、図8(B)は荷隙間が小さい場合を示す。図8(C)は、距測領域Amの別例を示す。距測ポイントPmを黒丸印で示す。実際にはもっと多数の距測ポイントPmを用いるが、理解を容易にするため、少数の距測ポイントPmを用いる例で説明する。
【0051】
対象荷12Aを先置荷12Bに接近させながら荷隙間を特定する場合、この特定をするための情報処理量が大きいと処理時間が長くなり、処理結果が得られたときには荷の位置が既に変化して、処理時間に応じた誤差が大きくなる。そこで、実施形態の隙間特定部4は、先置荷12Bの側面から対象荷12Aの側面に亘って線状または帯状に設定された距測領域Amの隙間特定部4からの情報を用いて荷隙間を特定する。図8(A)、図8(B)は、距測領域Amが線状である例を示し、図8(C)は、距測領域Amが、線状よりも上下幅が広い帯状である例を示す。この場合、狭い範囲の距測領域Amの情報のみを処理すればよいので、処理量が減って処理時間が短縮され、処理結果がほぼリアルタイムで得られる。
【0052】
平面的な画像から荷隙間を特定する場合、荷の表面の模様、文字、汚れなどの影響により荷隙間を上手く特定できない場合がある。そこで、実施形態の隙間特定部4は、距測領域Amについて隙間特定部4からの奥行距離を取得し、取得された奥行距離を用いて荷隙間を特定する。この場合、荷の模様、文字、汚れなどの影響を受けにくい。また、水平方向に線状または帯状に設定された距測領域の奥行距離を用いるから、高さ寸法が異なる荷同士の荷隙間を特定できる。
【0053】
図8に示すように、隙間特定部4は、距測領域Amに設定された複数の距測ポイントPmの奥行距離を取得し、複数の距測ポイントPmのうち隙間領域Asに対応する対応ポイント数Gを用いて荷隙間を特定する。図8(A)の対応ポイント数Gは3であり、図8(B)の対応ポイント数Gはゼロである。このように、対応ポイント数Gをカウントすることにより荷隙間を特定できる。
【0054】
パルス光線42を対象荷12Aの移動方向にスキャンしたとき、対象荷12Aおよび先置荷12Bの側面をスキャンしている場合の奥行距離は略一定であり、荷同士の隙間をスキャンしている場合の奥行距離は、その距離よりも大きくなる。このため、隙間特定部4は、パルス光線42をスキャンしたときに、奥行距離が一定の領域から大きくなった領域が隙間領域Asであると判断できる。
【0055】
図9(A)は、対象荷12Aの接近の過程における対応ポイント数Gの変化を模式的に示す図である。対象荷12Aが先置荷12Bに接近することにより、荷隙間は小さくなり対応ポイント数Gが減少する。前述したように、ピッキング装置10は、隙間特定部4の特定結果が所定の条件を満たすまで対象荷12Aを移動させる。つまり、この所定の条件は、対象荷12Aの移動を停止させる条件(以下、「停止条件」ということがある)であるともいえる。この停止条件は、対応ポイント数Gが閾値N1以下の場合(符号T2で示す)であってもよいし、対応ポイント数Gがゼロの場合(符号T3で示す)であってもよい。閾値としてゼロよりも大きい数を用いる場合、荷同士の接触の可能性を小さくできる。閾値としてゼロを用いる場合、荷同士の隙間を詰めて積み付けできる。閾値N1は、所望の積付け条件に応じて設定できる。
【0056】
図9(B)は、対象荷12Aと先置荷12Bの一方の対向面が他方側に突出変形している場合の対応ポイント数Gの変化を示す図である。この場合、突出部が相手側に接触していても、対象荷12Aの側面と先置荷12Bの側面との間の隙間は開いているため対応ポイント数Gは閾値N1を超えており、停止条件を満たせない。
【0057】
この状態でさらに対象荷12Aを移動させると、先置荷12Bは押されて積載許容範囲外に押し出される可能性がある。このため、対象荷12Aが移動しても対応ポイント数Gが変化しない場合は対象荷12Aの移動を停止させることが望ましい。そこで、実施形態では、対象荷12Aの移動にともなって対応ポイント数Gが変化しない場合(符号T4で示す)を停止条件に含めている。
【0058】
図9図10図11を参照して実施形態のピッキング装置10のピッキング動作の一例を説明する。図10は、ピッキング装置10の動作S110を示すフローチャートである。図11は、動作S110の過程を概略的に示す図である。これらの図では、説明に重要でない部材の記載を省略している。この動作説明では、ピッキング装置10の特徴の理解を容易にするため、荷受部9に関する記載を省略している。動作S110は、第1領域521の第1荷集合121(地上荷)からピッキング対象となる対象荷12Aを持ち上げて移動し、対象荷12Aを第2領域522の第2荷集合122の先置荷12Bに隣接する位置に積み付ける動作である。
【0059】
動作S110は、制御部78の制御に基づくピッキング装置10の動作であり、ピッキング装置10は、クレーン機構60による水平移動および上下移動を用いることができる。動作S110は、ピッキング装置10が第1領域521の地上荷である第1荷集合121の鉛直上方に位置する状態で開始される。この状態では、保持部3は第1荷集合121の対象荷12Aの鉛直上方に位置する。
【0060】
動作S110が開始されると、制御部78は、ピッキング装置10を下降させる(ステップS111)。このステップで、制御部78は、保持部3の下端(吸着部38の下端)が対象荷12Aの上面に接触するまで、装置本体2および保持部3を下降させる。
【0061】
ステップS111を実行した後、制御部78は、対象荷12Aに対応する領域の吸着部38をオン状態にし、対象荷12Aを吸着する(ステップS112)。
【0062】
ステップS112を実行した後、制御部78は、吸着した対象荷12Aを保持して、ピッキング装置10を上昇させる(ステップS113)。このステップにおいて、制御部78は、吸着された対象荷12Aが第1荷集合121から正常に分離され、正常姿勢で保持されているかを確認する。この確認は図示しないセンサ類を用いることにより実現できる。また、対象荷12Aの下に荷受部9を展開して対象荷12Aを下から支持してもよい。
【0063】
ステップS113を実行した後、制御部78は、対象荷12Aを保持した状態でピッキング装置10を所定の高さに上昇させ、クレーン機構60により、第2領域522の第2荷集合122の鉛直上方位置まで、ピッキング装置10を水平移動させる(ステップS114)。このステップで、制御部78は、対象荷12Aが、上面視で、先置荷12Bの側面から水平方向に少し離れた位置にくるように、ピッキング装置10を移動させる。この状態で、対象荷12Aは、上面視で、積付け予定位置から水平方向に少しずれた位置に位置する。このステップで、必要に応じて、対象荷12Aを旋回させてもよい。
【0064】
ステップS114を実行した後、制御部78は、ピッキング装置10を下降させる(ステップS115、図11(A)を参照)。このステップで、制御部78は、対象荷12Aの下面が先置荷12Bの上面よりも低い位置で、対象荷12Aが、第2荷集合122の上面に接触しない位置まで下降させる。対象荷12Aの下面の位置は、先置荷12Bの上下範囲を2等分した位置(一点鎖線Lcで示す)より下の位置であってもよい。
【0065】
ステップS115を実行した後、制御部78は、ピッキング装置10を水平移動させて、対象荷12Aを先置荷12Bに接近させる(ステップS116、図11(B)を参照)。このステップで、対象荷12Aは、先置荷12Bに徐々に接近する。次に、制御部78は、対象荷12Aが所定範囲内であるか否かを判定する(ステップS117)。この所定範囲は、側面視における先置荷12Bと対象荷12Aとの荷隙間で設定されてもよい。この荷隙間は、例えば10mmから100mmの範囲で設定されてもよい。隙間特定部4によって、荷隙間に対応する対応ポイント数Gが境界値N2以下になった場合(図9(A)の符号T1で示す)、対象荷12Aが所定範囲内であると判定してもよい。この所定範囲は、作業時間や接触時の衝撃等が所望の条件を満たすようにシミュレーションまたは実験で設定できる。対象荷12Aが所定範囲内でない場合(ステップS117のN)、プロセスはステップS116の先頭に戻り、ステップS116~S117を繰り返す。
【0066】
対象荷12Aが所定範囲内である場合(ステップS117のY)、制御部78は、ピッキング装置10の移動の速度を下げ、対象荷12Aを減速させる(ステップS118)。このステップで、制御部78は、クレーン機構60を制御してピッキング装置10の移動にブレーキをかけて減速させる。対象荷12Aが減速することにより、対象荷12Aと先置荷12Bの接触時の衝撃を緩和でき、また、軽量な先置荷12Bの荷ずれを軽減できる。
【0067】
ステップS118を実行した後、制御部78は、ピッキング装置10を水平移動させて、対象荷12Aを先置荷12Bに接近させる(ステップS119、図11(C)を参照)。
【0068】
ステップS119を実行した後、制御部78は、対象荷12Aと先置荷12Bとの間の荷隙間が条件を満たしたか否かを判定する(ステップS120)。荷隙間が条件を満たしていない場合(ステップS120のN)、プロセスはステップS119の先頭に戻り、ステップS119~S120を繰り返す。
【0069】
荷隙間が条件を満たした場合(ステップS120のY)、制御部78は、装置本体2および対象荷12Aの移動を停止させる(ステップS121、図11(D)を参照)。
【0070】
ステップS121を実行した後、制御部78は、所定の下降条件を満たした場合に、第2荷集合122上に対象荷12Aを下ろす(ステップS122)。一例として、この下降条件は、第1隙間特定部41で特定された横隙間が停止条件を満たすことと、第2隙間特定部43で特定された縦隙間の停止条件を満たすことを論理和で達成した場合であってもよい。このステップで、制御部78は、ピッキング装置10を下降させるとともに、対象荷12Aを吸着していた吸着部38をオフ状態にする。これにより、対象荷12Aは第2荷集合122上に静置される(図11(E)を参照)。
【0071】
ステップS122を実行した後、制御部78は、所定位置までピッキング装置10を上昇させる(ステップS123)。このステップでは、空荷の装置本体2と保持部3が上昇する。ピッキング装置10が所定位置まで上昇したら、動作S110は終了する。上述の各ステップは一例であって、各種の変形が可能である。
【0072】
以上のように構成された実施形態のピッキング装置10の特徴を説明する。ピッキング装置10は、特定の面上で先置荷12Bの隣に対象荷12Aを積み付けるピッキング装置であって、対象荷12Aを先置荷12Bに接近させるとき、側面視における対象荷12Aと先置荷12Bとの間の荷隙間が所定の条件を満たすまで対象荷12Aを移動させる。
【0073】
この構成によれば、荷隙間が条件を満たす位置に対象荷12Aを積付けできるので、対象荷12Aと先置荷12Bの荷同士の隙間をコントロールして積み付けすることができる。
【0074】
一例として、ピッキング装置10は、荷隙間を特定する隙間特定部4を備え、隙間特定部4の特定結果が所定の条件を満たすまで対象荷12Aを移動させる。この場合、隙間特定部4の特定結果が条件を満たす位置に対象荷12Aを積付けできる。
【0075】
一例として、隙間特定部4は、先置荷12Bの側面から対象荷12Aの側面に亘って線状または帯状に設定された距測領域Amについて隙間特定部4からの奥行距離を取得し、取得された奥行距離を用いて荷隙間を特定する。この場合、水平方向に線状または帯状に設定された距測領域の奥行距離を用いるから、高さ寸法が異なる荷同士の荷隙間を特定できる。
【0076】
一例として、隙間特定部4は、対象荷12Aの移動方向において、距測領域Amのうち奥行距離から荷同士の隙間と判断される隙間領域Asの幅に応じて荷隙間を特定する。この場合、奥行距離を用いて荷隙間を特定するから、荷12の表面の文字、模様、汚れなどの影響を受け難い。
【0077】
一例として、隙間特定部4は、距測領域Amに設定された複数の距測ポイントPmの奥行距離を取得し、複数の距測ポイントPmのうち隙間領域Asに対応する対応ポイントの数Gを用いて荷隙間を特定する。この場合、対応ポイント数Gを用いて特定するため、特定するための処理時間を短くできる。
【0078】
一例として、所定の条件は、対応ポイント数Gが閾値N1以下の場合である。この場合、閾値N1を荷同士が接触し難い値に設定すれば、接触の可能性を小さくできる。例えば、先置荷12Bが軽量な場合でも、荷同士の接触による先置荷12Bの位置ずれを抑制できる。
【0079】
一例として、所定の条件は、対応ポイント数Gがゼロの場合である。この場合、荷同士の隙間を詰めて積み付けできる。
【0080】
一例として、所定の条件は、対象荷12Aの移動に伴って対応ポイントの数Gが変化しない場合を含む。この場合、いずれかの荷12のケースの変形して奥側で既に接触している場合に、対象荷12Aの過度な移動を抑制できる。
【0081】
一例として、隙間特定部4は、パルス発光したレーザ光の照射に対する散乱光に応じて奥行距離を特定する装置、およびパルス発光した光の反射時間に応じて奥行距離を特定する装置から選択される一つの装置を含む。この場合、簡易な構成で奥行距離を精度よく特定できる。
【0082】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容にも設計変更が許容される。また、図面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。また、実施形態を構成する各種デバイスや機構は、実施形態で説明したものに限定されず、公知の原理に基づく各種のデバイスや機構を用いてもよい。
【0083】
(変形例)
以下、変形例を説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。変形例の図では、説明に重要でない部材の記載を省略している。
【0084】
実施形態の説明では、ピッキング装置10が、自動倉庫に適用される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明のピッキング装置は、自動倉庫以外でもアームロボットを使用したデパレイズ装置やパレタイズ装置にも適用できる。
【0085】
実施形態の説明では、ピッキング空間58が、棚5と一体的に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されず、ピッキング空間58は、棚5の外部に設けられてもよい。この場合、荷12は、フォークリフトなどの搬送機構によって、棚5とピッキング空間58との間で搬送されてもよい。
【0086】
実施形態の説明では、ピッキング空間58が棚5と同じ平面に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されず、ピッキング空間58は棚5とは異なる平面に設けられてもよい。また、ピッキング装置10の一部が棚5と同じ平面に設けられ、他の部分が棚5の平面範囲から外へ張り出してもよい。
【0087】
実施形態の説明では、第2移動手段75と第3移動手段76とが別個に備えられる例を示したが、これに限定されない。第2移動手段として、荷12を段方向および列方向に移動可能な移動手段(例えば、スタッカークレーン)を採用してもよい。この場合、スタッカークレーンは、第1移動手段を搭載できないものであってもよいし、荷12とともに第1移動手段を搭載可能なものであってもよい。
【0088】
実施形態の説明では、全段に対して単一の入出庫部77が設けられ、入出庫部77に第3移動手段76が連設される例を示したが、これに限定されない。各段それぞれに入出庫部が設けられ、入出庫する荷は、フォークリフトによって各段の入出庫部に出し入れされてもよい。また、入出庫部は入庫部と出庫部とに分けられていてもよい。
【0089】
実施形態の説明では、ピッキング装置10が、ガントリ型のクレーン機構60によって天井側から支持される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ピッキング装置は多関節ロボットや別構成の支持手段によって支持されてもよい。また、ピッキング装置は側方の横壁に取付けられ、側方から支持される構成であってもよい。
【0090】
これらの各変形例は、実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0091】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0092】
4 隙間特定部、 5 棚、 10 ピッキング装置、 12 荷、 12A 対象荷、 12B 先置荷、 52 保管部、 55,56 棚、 100 自動倉庫システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11