(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091113
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】観覧車設備
(51)【国際特許分類】
A63G 27/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A63G27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207570
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】390002196
【氏名又は名称】泉陽興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 勇作
(57)【要約】
【課題】安全性の向上を図ることができる観覧車設備を提案する。
【解決手段】観覧車設備100は、複数のゴンドラ1と、複数のゴンドラ1を支持する回転輪2と、回転輪2を回転させる駆動装置3と、複数のゴンドラ1のそれぞれに設置された電気機器4と、駆動装置3と電気機器4に電力を供給する電源部5と、電気機器4に電力を供給する蓄電装置6と、を備える。電気機器4は、複数のゴンドラ1内の乗客を検知する人感センサー7と、人感センサー7の検知結果を外部の管理部8に送信する通信機9と、を含む。通信機9は、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、前記検知結果を管理部8に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゴンドラと、
前記複数のゴンドラを支持する回転輪と、
前記回転輪を回転させる駆動装置と、
前記複数のゴンドラのそれぞれに設置された電気機器と、
前記駆動装置と前記電気機器に電力を供給する電源部と、
前記電気機器に電力を供給する蓄電装置と、を備え、
前記電気機器は、
前記複数のゴンドラ内の乗客を検知する人感センサーと、
前記人感センサーの検知結果を外部の管理部に送信する通信機と、を含み、
前記通信機は、前記電源部から前記駆動装置への電力の供給が停止されたときに、前記検知結果を前記管理部に送信する、
観覧車設備。
【請求項2】
前記蓄電装置は、前記複数のゴンドラのそれぞれに設置され、
各ゴンドラにおいて、前記電気機器には、前記電源部からの電力の供給が停止している間のみ、前記蓄電装置から電力が供給される、
請求項1に記載の観覧車設備。
【請求項3】
前記電気機器は、
マイクと、
スピーカーと、を含み、
前記通信機は、前記管理部との間で通話用の音声データを双方向通信する、
請求項1又は2に記載の観覧車設備。
【請求項4】
前記電気機器は、
前記管理部にいる管理者を映す表示装置を更に含み、
前記通信機は、前記管理部との間で、映像データを通信する、
請求項3に記載の観覧車設備。
【請求項5】
前記電気機器は、
文字の入力が可能な入力部を更に含み、
前記通信機は、前記管理部との間で、文字データを双方向通信し、
前記表示装置には、前記管理部から送信された文字情報が表示される、
請求項4に記載の観覧車設備。
【請求項6】
前記管理部は、
各ゴンドラの前記通信機との間で通信可能な管理側通信機と、
各ゴンドラの前記通信機から送信された前記人感センサーの前記検知結果を前記管理側通信機で受けたときに動作する警報装置と、を含む、
請求項1に記載の観覧車設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、観覧車設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各ゴンドラ内に、人感センサー、温度センサー、空調装置等が設置され、地上側の管制手段と各ゴンドラとの双方向通信によって、ゴンドラ内の状態の遠隔監視が可能な観覧車が記載されている。各ゴンドラ内に設置された各種の電気機器には、観覧車の回動軸の軸受部に設けられたスリップリングを介して電源電圧が供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の観覧車では、ゴンドラ内に乗客が残っていることに気付かぬまま、地上側の管理者が観覧車への電力供給を停止した場合や、停電の場合に、各ゴンドラ内の各種の電気機器へ電力が供給されなくなり、各種機能を有効に活用できない。
【0005】
つまり、人感センサーが機能しないと、どのゴンドラに乗客が残っているのかを地上側から確認することができず、また、温度センサー及び空調装置が機能しないと、乗客が残ったゴンドラ内を快適な温度に維持することができない。そのため、特許文献1に記載の観覧車は、安全性の面で改善の余地がある。
【0006】
上記事情に鑑みて、本開示は、安全性の向上を図ることができる観覧車設備を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る一態様の観覧車設備は、複数のゴンドラと、前記複数のゴンドラを支持する回転輪と、前記回転輪を回転させる駆動装置と、前記複数のゴンドラのそれぞれに設置された電気機器と、前記駆動装置と前記電気機器に電力を供給する電源部と、前記電気機器に電力を供給する蓄電装置と、を備える。前記電気機器は、前記複数のゴンドラ内の乗客を検知する人感センサーと、前記人感センサーの検知結果を外部の管理部に送信する通信機と、を含む。前記通信機は、前記電源部から前記駆動装置への電力の供給が停止されたときに、前記検知結果を前記管理部に送信する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る一態様の観覧車設備は、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、本開示に係る一実施形態の観覧車設備を概略的に示す正面図であり、
図1Bは、同上の観覧車設備が備えるゴンドラの内部構造を概略的に示す正面図である。
【
図2】
図2は、同上の観覧車設備を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(一実施形態)
(1)概要
図1A、
図1Bに示すように、一実施形態の観覧車設備100は、複数のゴンドラ1と、複数のゴンドラ1を支持する回転輪2と、回転輪2を回転させる駆動装置3と、複数のゴンドラ1のそれぞれに設置された電気機器4と、を備える。一実施形態の観覧車設備100は更に、駆動装置3と電気機器4に電力を供給する電源部5と、電気機器4に電力を供給する蓄電装置6と、を備える。電気機器4は、複数のゴンドラ1内の乗客を検知する人感センサー7と、人感センサー7の検知結果を外部の管理部8に送信する通信機9と、を含む。通信機9は、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、前記検知結果を管理部8に送信する。
【0011】
上記構成を備える一実施形態の観覧車設備100では、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、蓄電装置6から供給された電力で駆動する人感センサー7と通信機9によって、ゴンドラ1内の有無を検知して、管理部8に送信することができる。そのため、一実施形態の観覧車設備100では、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、ゴンドラ1内に乗客が残っていることを管理部8で把握しやすくて、駆動装置3の再起動等の対処がしやすいため、安全性の向上を図ることができる。
【0012】
(2)詳細
続いて、本実施形態の観覧車設備100について、更に詳しく説明する。
【0013】
本実施形態の観覧車設備100は、観覧車101と、観覧車101の駆動及び停止を制御する外部の管理部8と、を備える。
【0014】
観覧車101は、
図1Aに示すように、支持体102と、支持体102に回転可能に支持され、複数のゴンドラ1が外周部に設けられた回転輪2と、を備えている。観覧車101の下方には、各ゴンドラ1に対して乗客を昇降させるための昇降場103が設けられている。
【0015】
支持体102は、回転輪2の中心軸に沿った方向に離れて位置し、回転輪2の中心軸を回転可能に支持する一対の脚部104によって構成されている。一対の脚部104のそれぞれは、複数の鉄骨体を組み合わせて形成される。
【0016】
なお、支持体102は、複数の鉄骨体を組み合わせて形成されるものに限らず、ビルや建物などの建造物によって構成されてもよい。
【0017】
支持体102には、回転輪2を回転させる駆動装置3が設けられている。駆動装置3は、商用電源等に接続された電源部5から供給された電力によって駆動して、回転輪2を回転させる。電源部5は、本実施形態では、スリップリングである。
【0018】
回転輪2の外周端部に、複数のゴンドラ1が吊り下げられている。複数のゴンドラ1は、回転輪2の周方向に、一定の間隔をおいて位置する。
【0019】
ゴンドラ1は、底壁部105と、底壁部105の外周端部から立ち上げられた側壁部106と、側壁部106の上端につながった天井壁部107と、を有する。側壁部106のうちの一部には、出入口108が設けられており、出入口108には開閉可能な扉109が設けられている。
【0020】
底壁部105と側壁部106と天井壁部107とで囲まれた部分(つまりゴンドラ1の内側)に、乗客が乗ることができる。
【0021】
底壁部105の上には、一対の座席110が設けられている。側壁部106は、金属板などの不透明な部材によって形成された下部と、ガラス板などの透明な部材によって形成された窓部と、を有する。窓部は、座席110よりも上方に位置している。
【0022】
複数のゴンドラ1のそれぞれには、電気機器4と蓄電装置6が設置されている。
【0023】
電気機器4は、通常時、つまり、電源部5から電力が供給される間は、電源部5からの電力で駆動し、非常時、つまり、電源部5から電力が供給されない間は、蓄電装置6から供給された電力で駆動する。
【0024】
本実施形態では、電気機器4は、人感センサー7、通信機9、表示装置10、スピーカー11、マイク12、入力部13、アンプ14、通話呼出ボタン15、音楽プレーヤー接続部16、温度センサー17、空調装置18、ドア開閉センサー19、カメラ20、換気装置21、及び搬器側コントローラー22を含む。電気機器4は、搬器側制御装置90を含む。本実施形態では、搬器側制御装置90の一部が、通信機9を構成している。なお、電気機器4は、ゴンドラ1内における乗客の安全性や快適性の向上を図る更に他の機器を含んでもよい。
【0025】
人感センサー7、通話呼出ボタン15、音楽プレーヤー接続部16、温度センサー17、空調装置18、ドア開閉センサー19、及び換気装置21は、搬器側コントローラー22に接続されている。表示装置10、マイク12、アンプ14、及びカメラ20は、搬器側制御装置90に接続されている。そして、搬器側コントローラー22と搬器側制御装置90とが接続されている。そのため、人感センサー7、通話呼出ボタン15、音楽プレーヤー接続部16、温度センサー17、空調装置18、ドア開閉センサー19、及び換気装置21は、搬器側コントローラー22を介して、搬器側制御装置90に接続されている。
【0026】
人感センサー7は、ゴンドラ1内の乗客を検知するセンサーである。人感センサー7は、例えば、対象物の動作を物理量として感知して信号出力するモーションセンサーである。人感センサー7は、例えば、ゴンドラ1の天井壁部107や側壁部106に設置される。なお、人感センサー7は、体表面温度、赤外線、又は重量によって乗客を検知するセンサーであってもよく、従来周知のセンサーが利用可能である。
【0027】
通信機9は、少なくとも人感センサー7の検知結果を外部の管理部8に送信する装置である。本実施形態では、通信機9は、外部の管理部8との間で各種のデータを双方向通信可能な無線通信機である。
【0028】
表示装置10は、映像を表示するモニターである。表示装置10には、例えば、イベントやスポンサー広告等に合わせた動画や画像情報や、外部の管理部8から送信された運行状況等の文字情報等が表示される。表示装置10に表示される内容は、搬器側制御装置90によって制御される。表示装置10は、ゴンドラ1の側壁部106のうち、出入口108に対向する部分に配置されており、座席110よりも上方に位置している。
【0029】
本実施形態では、表示装置10には、管理部8にいる管理者を映すこともできる。更に表示装置10には、管理部8から送信された通話用の文字情報も表示可能である。
【0030】
表示装置10は、タッチパネル式の液晶ディスプレイによって構成されている。表示装置10には、文字の入力が可能な入力部13を表示可能である。乗客は、入力部13を操作することで、外部の管理部8との間で、文字で通信することができる。そのため、例えば乗客が難聴者である場合でも外部の管理部8との間で双方向通信が可能である。なお、入力部13は、表示装置10とは別に設けられたキーボード等の他の入力装置であってもよい。
【0031】
スピーカー11は、音声や音楽を出力する装置である。スピーカー11を、アンプ14を介して、搬器側制御装置90に接続されている。スピーカー11は、搬器側制御装置90によって制御されて、管理部8から受信した信号に応じた内容の、音声や音楽を出力する。スピーカー11は、イベントの案内や、眺望に対応したガイド音声や、緊急停止していることを知らせる案内や、通話呼出ボタン15の操作を促す案内や、管理部8との通話用の音声や、音楽等を出力することができる。本実施形態では、スピーカー11は、音楽プレーヤー接続部16に接続された乗客の音楽プレーヤーの音楽を出力することも可能である。
【0032】
ゴンドラ1には、例えば、
図1Bに示すように、一対のスピーカー11が設けられる。一対のスピーカー11は、一対のスピーカー11の間に表示装置10が位置するように、ゴンドラ1の側壁部106に配置されている。
【0033】
通話呼出ボタン15は、外部の管理部8との間で通話するためのボタンである。乗客は、通話呼出ボタン15を押すことで、マイク12を介して外部の管理部8にいる管理者と通話することができる。
【0034】
マイク12は、例えば、ゴンドラ1の側壁部106のうち、通話呼出ボタン15の周囲の部分に配置されている。なお、マイク12は、通話呼出ボタン15と一体に設けられてもよいし、表示装置10の一部に内蔵されてもよい。マイク12は、乗客が通話呼出ボタン15を押すことで、動作する。マイク12は、通話呼出ボタン15を押していない通常時は、動作しない。
【0035】
通話呼出ボタン15は、一対のスピーカー11のうちの一方の上方に配置されている。なお、通話呼出ボタン15は、表示装置10の一部に表示されるボタンであってもよい。
【0036】
音楽プレーヤー接続部16は、音楽プレーヤーを接続することができる装置である。本実施形態では、音楽プレーヤー接続部16は、乗客の音楽プレーヤーに接続可能な接続端子である。音楽プレーヤー接続部16は、搬器側コントローラー22及び搬器側制御装置90を介して、アンプ14及びスピーカー11に接続されている。乗客は、私物の音楽プレーヤーやスマートフォンを音楽プレーヤー接続部16に接続することで、スピーカー11から好みの音楽を出力することができる。なお、音楽プレーヤー接続部16は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を介して乗客の音楽プレーヤーやスマートフォンに接続可能な装置であってもよい。
【0037】
温度センサー17は、ゴンドラ1内の温度を検知するセンサーである。温度センサー17によって検知された温度情報は、通信機9によって外部の管理部8に送信される。
【0038】
空調装置18は、ゴンドラ1内の空調を行う装置である。空調装置18は、ゴンドラ1内に冷風又は温風を供給するエアコンである。空調装置18の駆動と停止の切り替え、及び温度調節等の制御は、搬器側制御装置90によって行われる。
【0039】
ドア開閉センサー19は、ゴンドラ1の扉109の開閉状態を検知するセンサーである。ドア開閉センサー19によって検知された扉109の開閉情報は、通信機9によって外部の管理部8に送信される。
【0040】
換気装置21は、ゴンドラ1内の換気を行う装置であり、例えば、換気扇である。換気装置21は、ゴンドラ1のうち、出入口108よりも上方の壁に設置されている。換気装置21は、ゴンドラ1内の温度、湿度、二酸化炭素濃度等に応じて、ゴンドラ1内の換気を行う。なお、湿度、二酸化炭素量に応じて換気を行う場合には、電気機器4には、湿度センサー、二酸化炭素濃度センサーが含まれる。換気装置21の駆動と停止の切替、換気量の調節、及びタイマー運転等の制御は、搬器側制御装置90によって行われる。換気装置21は、搬器側制御装置90によって、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御される。
【0041】
搬器側制御装置90は、電気機器4の各機器を制御する装置である。搬器側制御装置90は、マイクロコンピューターやパーソナルコンピューター等のコンピューターシステムを主構成とする装置であり、例えば、ファンレスのパーソナルコンピューターである。搬器側制御装置90は、管理部8から送信された制御信号に基づいて、電気機器4の各機器を制御する。搬器側制御装置90は、通信機9を介して外部の管理部8とネットワークを形成している。
【0042】
通信機9は、本実施形態では、外部の管理部8に設置された無線アクセスポイント36aに対して、直接、または、他の無線アクセスポイント36bを介して間接的に、無線接続されている。他の無線アクセスポイント36bは、例えば、回転輪2や他のゴンドラ1に設置されている。
【0043】
蓄電装置6は、複数のゴンドラ1のそれぞれに設置されている。蓄電装置6は、例えば、リチウム電池等のバッテリである。なお、蓄電装置6は、バッテリに限らず、キャパシタであってもよいし、バッテリとキャパシタの組み合わせであってもよい。蓄電装置6は、例えば、一対の座席110のうちの一方の内部に配置される。
【0044】
蓄電装置6は、電源部5に電気的に接続されている。蓄電装置6は、電源部5から供給される電力によって充電可能である。
【0045】
カメラ20は、ゴンドラ1の内部の様子を撮像する装置である。カメラ20は、乗客が通話呼出ボタン15を操作したときのみ、ゴンドラ1の内部の様子を撮像する。外部の管理部8では、カメラ20で撮像された映像データを確認可能である。
【0046】
搬器側コントローラー22は、搬器側制御装置90からの制御信号に基づいて、搬器側コントローラー22に接続された各機器を制御する。搬器側コントローラー22は、マイクロコンピューターを主構成とする装置であり、搬器側制御装置90と各機器とを接続する接点(いわゆるインターフェース)として機能する。
【0047】
搬器側コントローラー22は、単独稼働も可能である。搬器側制御装置90が故障した場合には、搬器側コントローラー22は、稼働し続けて、最低限の機能を発揮するように各機器を制御することができる。
【0048】
外部の管理部8は、本実施形態では、観覧車101の運転室80である。運転室80は、地上のうち、観覧車101の支持体102の近傍に位置している。運転室80には、管理側電気機器23と、管理側蓄電装置24と、が設置されている。
【0049】
管理側電気機器23は、通常時、つまり、電源部5から電力が供給される間は、電源部5からの電力で駆動し、非常時、つまり、電源部5から電力が供給されない間は、管理側蓄電装置24から供給された電力で駆動する。
【0050】
本実施形態では、管理側電気機器23は、無線アクセスポイント36a、管理側通信機25、管理側表示装置26、管理側入力部27、マイク28、スピーカー29、カメラ30、管理側制御装置31、警報装置32、ハブ33、ルーター34、サーバー35及び管理側コントローラー37を含む。
【0051】
本実施形態では、管理側制御装置31の一部が、管理側通信機25を構成している。管理側表示装置26、マイク28、スピーカー29、カメラ30、及びハブ33は、管理側制御装置31に接続されている。警報装置32は、管理側コントローラー37に接続されている。そして、管理側制御装置31と管理側コントローラー37とが接続されている。そのため、警報装置32は、管理側コントローラー37を介して、管理側制御装置31に接続されている。
【0052】
管理側通信機25は、各ゴンドラ1の通信機9との間で通信を行う装置である。本実施形態では、管理側通信機25は、各ゴンドラ1の通信機9との間で双方向通信可能な無線通信装置である。管理側通信機25は、各ゴンドラ1の電気機器4の情報(検知結果等)の受信が可能であり、かつ各ゴンドラ1の電気機器4を遠隔制御するための制御信号の送信が可能である。
【0053】
管理側通信機25は、ハブ33を介して無線アクセスポイント36aに接続されている。本実施形態では、管理側通信機25は、ハブ33に有線接続されており、ハブ33は無線アクセスポイント36aに有線接続されている。これにより、管理側通信機25と各ゴンドラ1の通信機9とは、無線接続されて、ネットワークを形成している。
【0054】
管理側表示装置26は、管理情報や映像を表示する装置である。管理側表示装置26には、各ゴンドラ1の電気機器4の管理情報や、各ゴンドラ1の内部映像が表示される。なお、各ゴンドラ1の内部映像の表示は、各ゴンドラ1の乗客が通話呼出ボタン15を押したときに限定される。
【0055】
管理側表示装置26は、タッチパネル式の液晶ディスプレイによって構成されている。管理側表示装置26には、文字の入力が可能な管理側入力部27が表示可能である。管理者は、管理側入力部27を操作することで、各ゴンドラ1の表示装置10に、文字情報を表示させることができる。そのため、例えば乗客が難聴者である場合でも管理者と乗客との間で双方向通信が可能である。
【0056】
スピーカー29は、音声や音楽を出力する装置である。スピーカー29は、各ゴンドラ1の乗客との通話用の音声等を出力することができる。スピーカー29は、ゴンドラ1の乗客が通話呼出ボタン15を押すことで、通話用の音声を出力することができる。
【0057】
マイク28は、通話用の音声を入力する装置である。運転室80の管理者は、マイク28を介して、各ゴンドラ1の乗客に対して、案内放送を行ったり、個別に通話することができる。
【0058】
カメラ30は、乗客が通話呼出ボタン15を操作したときに、運転室80の内部の様子(つまり運転者)を撮像する。各ゴンドラ1の表示装置10には、カメラ30で撮像された運転者を表示可能である。
【0059】
管理側制御装置31は、各ゴンドラ1の電気機器4を遠隔制御する装置である。加えて、管理側制御装置31は、駆動装置3を制御する装置である。管理側制御装置31は、マイクロコンピューターやパーソナルコンピューター等のコンピューターシステムを主構成とする装置であり、例えば、ファンレスのパーソナルコンピューターである。
【0060】
警報装置32は、本実施形態では、パトランプ等の警光灯である。なお、警報装置32は、サイレンを更に含んでもよく、音と光の両方で緊急事態などを知らせるものであってもよい。警報装置32は、各ゴンドラ1の通信機9から送信され、管理側通信機25で受信した信号が緊急事態を示す場合に、管理側制御装置31によって制御されて、緊急事態を知らせる。
【0061】
ハブ33は、ルーター34、管理側通信機25、無線アクセスポイント36a、及びサーバー35のそれぞれに対して、有線接続されており、これらをネットワーク接続する。
【0062】
ルーター34は、インターネット38に接続されている。サーバー35には、各ゴンドラ1の電気機器4の各機器を制御するための制御データ等が、記憶されている。管理側制御装置31は、サーバー35に記憶された制御データを利用して、各ゴンドラ1の電気機器4の各機器を遠隔制御する。
【0063】
管理側コントローラー37は、管理側制御装置31からの制御信号に基づいて、管理側コントローラー37に接続された各機器を制御する。管理側コントローラー37は、マイクロコンピューターを主構成とする装置であり、管理側制御装置31と各機器とを接続する接点(いわゆるインターフェース)として機能する。
【0064】
管理側コントローラー37は、単独稼働も可能である。管理側制御装置31が故障した場合には、管理側コントローラー37は、稼働し続けて、最低限の機能を発揮するように各機器を制御することができる。
【0065】
管理側蓄電装置24は、例えば、リチウム電池等のバッテリである。なお、管理側蓄電装置24は、バッテリに限らず、キャパシタであってもよいし、バッテリとキャパシタの組み合わせであってもよい。
【0066】
管理側蓄電装置24は、電源部5に電気的に接続されている。管理側蓄電装置24は、電源部5から供給される電力によって充電可能である。
【0067】
(3)観覧車設備の動作
以上説明した本実施形態の観覧車設備100では、運転室80の管理者が、観覧車の営業時間終了後に電源部5の電力供給を停止する操作をした際や、電源部5の電力供給が停電により停止した場合には、以下のように動作する。
【0068】
すなわち、複数のゴンドラ1のそれぞれでは、蓄電装置6から電気機器4の各機器に駆動用の電力が供給される。また、運転室80では、管理側蓄電装置24から管理側電気機器23の各機器に駆動用の電力が供給される。
【0069】
複数のゴンドラ1のそれぞれでは、人感センサー7によってゴンドラ1内の乗客が検知され、乗客がいる場合には、その検知結果が通信機9を介して管理側通信機25に送信される。管理側通信機25が乗客有りの検知結果を受信すると、管理側制御装置31が警報装置32を動作させて、乗客がゴンドラ1に残されていること(つまり緊急事態であること)を、管理者に知らせる。
【0070】
乗客がゴンドラ1に残されていることを知らされた、運転室80内の管理者は、電源部5から駆動装置3への電力供給を再開して、対象のゴンドラ1を昇降場103まで移動させる。また、電源部5の電力供給が停電により停止した場合には、運転室80内の管理者は、停電の復旧に向けて、関連箇所への連絡等の対応を早急に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態の観覧車設備100では、停止したゴンドラ1内に残された乗客は、通話呼出ボタン15を操作することで、運転室80内の管理者と通話することができる。このとき、乗客は、表示装置10に表示された管理者の顔を見ながらビデオ通話することもできるため、不安を和らげやすい。
【0072】
またこのとき、乗客は、表示装置10の入力部13を操作することで、表示装置10を介して文字での通話も行うこともできるため、乗客が難聴者である場合でも、不安を和らげやすい。
【0073】
また、停電の復旧や駆動装置3の再起動に時間がかかる場合には、停止したゴンドラ1内は、空調装置18によって乗客が過ごしやすい温度に保つことができるため、この点でも、乗客の不安を和らげやすい。
【0074】
(4)作用効果
以上説明した本実施形態の観覧車設備100では、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、ゴンドラ1内に乗客が残っていることを外部の管理部8で把握できて、駆動装置3の再起動等の対処がしやすいため、安全性の向上を図ることができる。
【0075】
また、本実施形態の観覧車設備100では、停止したゴンドラ1内の乗客と外部の管理部8(運転室80内の管理者)との間で、音声通話、ビデオ通話、及び文字での通話が可能であるため、乗客の不安を和らげやすい。
【0076】
また、本実施形態の観覧車設備100では、停止したゴンドラ1内の温度を調整できるため、停止の解除に時間がかかる場合でも、乗客の不安を和らげやすい。
【0077】
(5)変形例
続いて、上述した一実施形態の観覧車設備100の変形例について説明する。
【0078】
観覧車設備100は、各ゴンドラ1内の乗客を検知する人感センサー7と、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、人感センサー7の検知結果を管理部8に送信する通信機9とを備えるものであればよく、上述した構造に限定されない。
【0079】
蓄電装置6は、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止している間のみ、電気機器4に駆動用の電力を供給するものに限らず、常時、電気機器4に電力を供給するものであってもよい。
【0080】
蓄電装置6は、複数のゴンドラ1のそれぞれに設置されるものに限らず、例えば回転輪2に設置されてもよく、1つの蓄電装置6で2つ以上のゴンドラ1の電気機器4に電力を供給してもよい。
【0081】
複数のゴンドラ1のそれぞれに設置される電気機器4は、上述した各機器の組み合わせに限定されず、一部のみを含んでもよいし、更に他の機器を含んでもよい。
【0082】
例えば、電気機器4は、表示装置10を含まなくてもよく、各ゴンドラ1内の乗客と管理部8の管理者との通話は、音声のみで行ってもよい。
【0083】
また、電気機器4は、入力部13を含まなくてもよく、各ゴンドラ1内の乗客と管理部8の管理者との通話は、文字による通話が不可であってもよい。
【0084】
各ゴンドラ1の通信機9と外部の管理部8の管理側通信機25とは、無線LAN以外の方法で、無線通信を行ってもよい。例えば、各通信機9と管理側通信機25とは、メッシュネットワークを形成して、無線通信を行うものであってもよい。
【0085】
また、電気機器4は、通信部、制御部、ディスプレイ、入力部、マイク、スピーカー、及びカメラ(インカメラ)等を有するタブレット型コンピュータを含んでもよい。この場合、通信機9、表示装置10、入力部13、マイク12、及びカメラ20は、タブレット型コンピュータの一部で構成することができる。
【0086】
また、管理側制御装置31は、管理者に対して緊急状態をメールで知らせるメール送信機能を有してもよい。この場合、管理者は、運転室80にいるものに限らず、運転室80の外にいるものであってもよい。
【0087】
また、通信機9は、少なくとも、人感センサー7の検知結果を外部の管理部8に送信する装置であればよく、双方向通信が可能な無線通信機に限定されない。例えば、通信機9は、送信のみ可能で、受信は不可であってもよいし、また、有線で通信を行ってもよい。
【0088】
また、電気機器4は、蓄電装置6の電気残量を検知する残量検知センサーを更に含んでもよい。この場合、ゴンドラ1の停止時に、蓄電装置6の電気残量が少ない場合には、空調装置18の設定温度を変更して消費電力を抑える制御や、空調装置18を停止する制御を行うことができる。これにより、蓄電装置6の消費電力を抑えることができ、各ゴンドラ1の電気機器4の継続的な駆動が可能となる。
【0089】
また、各ゴンドラ1の電気機器4に電力を供給する電源部5と、外部の管理部8の管理側電気機器23に電力を供給する電源部5とは、別の電源であってもよい。
【0090】
また、外部の管理部8は、観覧車101に隣接する運転室80のみに限定されず、例えば、観覧車101が設置された園内の総合管理室を更に含んでもよい。
【0091】
また、各ゴンドラ1の搬器側コントローラー22と管理部8の管理側コントローラー37とは、制御装置90,31を介さずに、通信可能であってもよく、この場合、制御装置90,31に不具合があっても、安全性を確保しやすい。
【0092】
(6)まとめ
以上説明した一実施形態及びその変形例のように、第一態様の観覧車設備100は、下記の構成を備える。
【0093】
すなわち、第一態様の観覧車設備100は、複数のゴンドラ1と、複数のゴンドラ1を支持する回転輪2と、回転輪2を回転させる駆動装置3と、複数のゴンドラ1のそれぞれに設置された電気機器4と、を備える。第一態様の観覧車設備100は更に、駆動装置3と電気機器4に電力を供給する電源部5と、電気機器4に電力を供給する蓄電装置6と、を備える。電気機器4は、複数のゴンドラ1内の乗客を検知する人感センサー7と、人感センサー7の検知結果を外部の管理部8に送信する通信機9と、を含む。通信機9は、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、前記検知結果を管理部8に送信する。
【0094】
上記構成を備える第一態様の観覧車設備100では、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、蓄電装置6から供給された電力で駆動する人感センサー7と通信機9によって、ゴンドラ1内の乗客を検知して、管理部8に送信することができる。そのため、第一態様の観覧車設備100では、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、ゴンドラ1内に乗客が残っていることを管理部8で把握しやすくて、駆動装置3の再起動等の対処がしやすいため、安全性の向上を図ることができる。
【0095】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第二態様の観覧車設備100は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0096】
すなわち、第二態様の観覧車設備100では、蓄電装置6は、複数のゴンドラ1のそれぞれに設置される。各ゴンドラ1において、電気機器4には、電源部5からの電力の供給が停止している間のみ、蓄電装置6から電力が供給される。
【0097】
上記構成を備える第二態様の観覧車設備100では、蓄電装置6から電気機器4への電力供給が、常時ではなく、電源部5からの電力の供給が停止している間のみであるため、蓄電装置6による電力の供給を長持ちさせることができる。
【0098】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第三態様の観覧車設備100は、第一または第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0099】
すなわち、第三態様の観覧車設備100では、電気機器4は、マイク12と、スピーカー11と、を含む。通信機9は、管理部8との間で通話用の音声データを双方向通信する。
【0100】
上記構成を備える第三態様の観覧車設備100では、停止したゴンドラ1に取り残された乗客は、外部の管理部8との間で音声通話することができて、不安を和らげることができる。
【0101】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第四態様の観覧車設備100は、第三態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0102】
すなわち、第四態様の観覧車設備100では、電気機器4は、管理部8にいる管理者を映す表示装置10を更に含む。通信機9は、管理部8との間で、映像データを通信する。
【0103】
上記構成を備える第四態様の観覧車設備100では、停止したゴンドラ1に取り残された乗客は、表示装置10に映る外部の管理部8の管理者の顔を見ながらビデオ通話することができて、より不安を和らげやすい。
【0104】
また、上述した一実施形態及びその変形例の観覧車設備100のように、第五態様の観覧車設備100は、第四態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0105】
すなわち、第五態様の観覧車設備100では、電気機器4は、文字の入力が可能な入力部13を更に含む。通信機9は、管理部8との間で、文字データを双方向通信し、表示装置10には、管理部8から送信された文字情報が表示される。
【0106】
上記構成を備える第五態様の観覧車設備100では、停止したゴンドラ1に取り残された乗客は、外部の管理部8の管理者との間で文字で通話することができる。そのため、第五態様の観覧車設備100では、停止したゴンドラ1に取り残された乗客が難聴者の場合も、乗客の不安を和らげやすい。
【0107】
また、上述した一実施形態及びその変形例の観覧車設備100のように、第六態様の観覧車設備100は、第一から第五態様のいずれか一つの観覧車設備100の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0108】
すなわち、第六態様の観覧車設備100では、管理部8は、各ゴンドラ1の通信機9との間で通信可能な管理側通信機25と、各ゴンドラ1の通信機9から送信された人感センサー7の検知結果を管理側通信機25で受けたときに動作する警報装置32と、を含む。
【0109】
上記構成を備える第六態様の観覧車設備100では、電源部5から駆動装置3への電力の供給が停止されたときに、ゴンドラ1内に乗客が残っていることを警報装置32によって管理部8にいる管理者に伝えることができるため、安全性の向上をより図りやすい。
【0110】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 ゴンドラ
2 回転輪
3 駆動装置
4 電気機器
5 電源部
6 蓄電装置
7 人感センサー
8 管理部
9 通信機
10 表示装置
11 スピーカー
12 マイク
13 入力部
25 管理側通信機
32 警報装置