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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091119
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】界面活性剤含有組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240627BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240627BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/44
A61Q11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207578
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池ノ上 久美子
(72)【発明者】
【氏名】坂本 里絵
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC782
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD042
4C083CC41
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE33
(57)【要約】
【課題】アミノ酸系界面活性剤とニコチン酸とを配合した組成物を低温保存しても、析出(白濁)が生じない手段を提供する。
【解決手段】(A)ニコチン酸又はその塩、及び(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤を含有し、(B)のうち、LC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比で99%以上がC12直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤である、組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ニコチン酸又はその塩、及び
(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤
を含有し、
(B)のうち、LC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比で99%以上がC12直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤である、
組成物。
【請求項2】
(A)ニコチン酸又はその塩、及び
(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤
を含有し、
(B)のうち、LC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比で99%以上がラウロイルグルタミン酸又はその塩である、
組成物。
【請求項3】
口腔用組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、界面活性剤含有組成物等に関し、より詳細には、直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤とニコチン酸又はその塩とを含有する組成物、及びその用途等に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、様々な目的のために口腔用組成物に配合される。例えば、殺菌成分として、あるいは発泡剤として、配合され得る。また、ナイアシンの1種であるニコチン酸は、例えば抗炎症作用を期待して、口腔用組成物に配合され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-155364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、アミノ酸系界面活性剤とニコチン酸とを配合した口腔用組成物の開発を進めていたところ、アミノ酸系界面活性剤とニコチン酸とを配合した組成物を低温保存すると、析出(白濁)が生じる場合があることに気が付いた。
【0005】
そこで、この白濁を生じる原因についてさらに検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、用いるアミノ酸系界面活性剤が有するアシル基の炭素鎖長が白濁発生に関連している可能性を見いだした。より具体的には、ニコチン酸と組み合わせて用いるアミノ酸系界面活性剤として、直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤を選択し、さらに、このうちのLC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比で99%以上がC12直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤である場合には、白濁が生じないことを見いだした。
【0007】
本開示は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)ニコチン酸又はその塩、及び
(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤
を含有し、
(B)のうち、LC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比で99%以上がC12直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤である、
組成物。
項2.
(A)ニコチン酸又はその塩、及び
(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤
を含有し、
(B)のうち、LC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比で99%以上がラウロイルグルタミン酸又はその塩である、
組成物。
項3.
口腔用組成物である、項1又は2に記載の組成物。
項4.
(A)ニコチン酸又はその塩を、(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤1質量部に対して、10質量部以下含有する、項1~3のいずれかに記載の組成物。
項5.
(A)ニコチン酸又はその塩を、0.01~2質量%含有する、項1~4のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0008】
アミノ酸系界面活性剤とニコチン酸又はその塩とを含有し、且つ、低温保存しても白濁を生じない、安定な組成物が提供される。当該組成物は例えば口腔用組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本開示は、(A)ニコチン酸又はその塩、及び(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤を含有する組成物、並びにその用途等を、好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本開示は本明細書に開示され当業者が認識できる全てを包含する。なお、ニコチン酸又はその塩を(A)成分、直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤を(B)成分、ということがある。また、当該(A)成分及び(B)成分を含有する組成物を、本開示の組成物ということがある。
【0010】
ニコチン酸の塩としては、例えばアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。ニコチン酸又はその塩としては、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでもニコチン酸が好ましい。
【0011】
本開示の組成物は、(A)ニコチン酸又はその塩を、(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤1質量部に対して、10質量部以下含有することが好ましく、0.01~10質量部含有することがより好ましい。当該範囲(0.01~10)の上限又は下限は例えば0.02、0.03、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、又は9.5であってもよい。例えば当該範囲は0.01~8であってもよく、0.02~5であってもよい。
【0012】
また、本開示の組成物は、(A)成分を、0.01~2質量%含有することが好ましい。当該範囲の上限又は下限は例えば、0.02、0.03、0.04、0.05、0.08、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1、1.2、1.5、1.7、又は1.9質量%であってもよい。例えば当該範囲は0.03~1.5質量%であってもよい。
【0013】
(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤は、直鎖脂肪酸とアミノ酸とが結合した構造を有する化合物であり、より具体的には、直鎖脂肪酸のCOOH基とアミノ酸のNH基とが結合(-CO-NH-)した構造を有する化合物である。例えば、ラウロイルグルタミン酸は、ラウリル酸とグルタミン酸とが結合した構造を有する。当該直鎖脂肪酸としては、例えばC8~C16直鎖脂肪酸が挙げられ、より具体的にはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等が挙げられる。また、当該アミノ酸としては、例えばグルタミン酸若しくはその塩、アスパラギン酸若しくはその塩、グリシン、アラニン、サルコシン等が挙げられる。
【0014】
(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤は、アミノ酸部分が塩であってもよく、塩としては、例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、又はトリエタノールアミン塩が好ましく、ナトリウム塩又はカリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。
【0015】
また、本開示の組成物は、(B)成分を、例えば0.01~0.5質量%含有することが好ましい。当該範囲の上限又は下限は例えば、0.02、0.05、0.1、0.2、0.3、又は0.4質量%であってもよい。例えば当該範囲は0.02~0.4質量%であってもよい。
【0016】
ただし、本開示の組成物においては、含有される(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤の99%以上(好ましくは99.2%以上、より好ましくは99.4%以上)は、C12直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤である。(B)成分のうち、C12直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤が99%未満であると、特に低温保存時に白濁が生じやすくなる。
【0017】
当該(B)成分におけるC12直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤の割合は、LC/MS(液体クロマトグラフィー質量分析法)により求められる値である。すなわち、次の様にして求められる。直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤全体由来の質量電荷比(m/z)の値(例えば、界面活性剤が金属塩である場合は、金属分が離脱した分子量にあたる)において計測されるマスクロマトグラムの全ピークのピーク面積を合算して、その特定の直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤の割合を示すピーク合算値とする。そして、計測される全ての直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤のピーク合算値を全て足し合わせて全ピーク合算値とする。特定の直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤の割合は、全ピーク合算値を100%としたときの、その特定の直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤のピーク合算値の割合を示す。
【0018】
例えば、直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤として、(i)ラウロイルグルタミン酸(C12直鎖アシル基を有する)が主に検出されたとして、その他に(ii)パルミトイルグルタミン酸(C16直鎖アシル基を有する)及び(iii)ミリストイルグルタミン酸(C14直鎖アシル基を有する)も検出されたとしたときに、(i)のマスクロマトグラムの全ピークの面積の合算値と、(ii)のマスクロマトグラムの全ピークの面積の合算値と、(iii)のマスクロマトグラムの全ピークの面積の合算値と、の比が、99.5:0.2:0.3であるとすれば、ラウロイルグルタミン酸(C12直鎖アシル基を有する)の割合は99.5%と算出される。
【0019】
このことから、当該(B)成分におけるC12直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤の割合は、LC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比、ということがいうことができ、本明細書では便宜上この表記を用いることがある。
【0020】
C12直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤としては、ラウロイルグルタミン酸又はその塩がより好ましい。すなわち、本開示の組成物としては、(A)ニコチン酸又はその塩、及び(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤を含有し、(B)のうちLC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比99%以上(好ましくは99.2%以上、より好ましくは99.4%以上)がラウロイルグルタミン酸又はその塩である、組成物が、より好ましい。
【0021】
なお、(B)直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤としては、市販品を購入して用いることもできる。このような市販品は、通常、目的とする直鎖アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤が高純度で含まれる製品として売られているが、不純物として異なる炭素数のアシル基を有する成分が混じっていることもある。例えば、目的とする界面活性剤がラウロイルグルタミン酸(C12直鎖アシル基を有する)であった場合において、その他にパルミトイルグルタミン酸(C16直鎖アシル基を有する)及びミリストイルグルタミン酸(C14直鎖アシル基を有する)も不純物として含まれているような場合もあり得る。このような場合においては、上述通り、本開示の組成物に用いるには、LC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比99%以上がラウロイルグルタミン酸である市販品を選択して用いることが好ましい。
【0022】
また、上記の通り、(B)成分は、直鎖脂肪酸とアミノ酸とが結合した構造を有する化合物であるところ、限定はされないが、特に市販品を用いる際などには、本開示の組成物に含有される(B)成分は、同じアミノ酸に異なる炭素鎖長の直鎖脂肪酸が結合した構造を有する化合物であることが好ましい。このうち、炭素鎖長がC12であるアシル基を有する(B)成分が、LC/MS測定のマスクロマトグラムのピーク面積比99%以上含まれることが好ましい。
【0023】
本開示の組成物は、効果を損なわない範囲で、例えば口腔用組成物に配合し得る任意成分を単独で又は2種以上さらに含有してもよい。
【0024】
例えば、界面活性剤として、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することができる。具体的には、例えば、ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル;脂肪酸アルカノールアミド類;グリセリン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;ポリオキシエチレン付加係数が8~10、アルキル基の炭素数が13~15であるポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン付加係数が10~18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;セバシン酸ジエチル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤;アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N-ココイル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤;N-ラウリルジアミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、組成物全量に対して0.1~5質量%である。
【0025】
本開示の組成物において、さらに界面活性剤が含有される場合には、特にイミダゾリニウムベタインを用いることが好ましく、中でもアルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸ナトリウム)を用いることが好ましい。イミダゾリニウムベタインを用いる場合、本開示の組成物には、例えば0.05~5質量%程度含有され得る。当該範囲(0.05~5質量%)の上限又は下限は、例えば、0.1、0.2、0.5、0.8、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、又は4.5質量%であってもよい。例えば当該範囲は0.1~3質量%であっても好ましい。
【0026】
また、香味剤として、例えば、メントール、カルボン酸、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、シトロネール、α-テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセタート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、d-カンフル、d-ボルネオール、ウイキョウ油、ケイヒ油、シンナムアルデヒド、ハッカ油、バニリン等の香料を用いることができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて組成物全量に対して例えば0.001~1.5質量%配合することができる。
【0027】
また、甘味剤として、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、p-メトキシシンナミックアルデヒド等を用いることができる。これらは、組成物全量に対して例えば0.01~1質量%配合することができる。
【0028】
さらに、湿潤剤として、ソルビット、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、ポリオキシエチレングリコール等を単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0029】
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等を配合することができる。
【0030】
着色剤として、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等を配合してもよい。
【0031】
pH調整剤として、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等を配合してもよい。これらは、組成物のpHが4~8、好ましくは5~7の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。pH調整剤の配合量は例えば0.01~2重量%であってよい。
【0032】
本開示の組成物には、塩化ドデシルピリジニウムのみならず、さらに、薬効成分として酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸トコフェロール、またはニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、ドデシルジアミノエチルグリシン等の両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール等の非イオン性殺菌剤、ラウロイルサルコシンナトリウム等のアニオン系殺菌剤、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン系殺菌剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)等の酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物、トラネキサム酸やイプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グリセロフォスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド、アラントイン、カルバゾクロム、ヒノキチオール、硝酸カリウム、パラチニット等を、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。特に限定される訳ではないが、本開示の組成物はイソプロピルメチルフェノールをさらに含有することが中でも好ましい。イソプロピルメチルフェノールをさらに含有する場合、その含有量は例えば0.005~2.0質量%程度が挙げられる。なお、当該範囲の上限又は下限は、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.8、1.0、又は1.5質量%であってもよい。例えば当該範囲は0.01~1.5質量%程度で合ってもよい。
【0033】
また、基剤として、アルコール類、シリコン、アパタイト、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、プラスチベース等を添加することも可能である。
【0034】
また、本開示の組成物は、公知の方法または公知の方法から容易に想到する方法により調製することができる。例えば、塩化ドデシルピリジニウム及びグリチルリチン酸又はその塩並びに必要に応じてその他の成分等を適宜混合することによって調製することができる。
【0035】
本開示の組成物は、例えば口腔用組成物として好ましく用いることができる。本開示の組成物を適用する対象は、特に限定はされず、ヒト及び非ヒト哺乳類が好ましく挙げられる。非ヒト哺乳類としては、家畜やペットなどが好ましく、より具体的には例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、サル等が挙げられる。
【0036】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件の任意の組み合わせを全て包含する。
【0037】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0038】
以下、例を示して本開示の実施形態をより具体的に説明するが、本開示の実施形態は下記の例に限定されるものではない。
【0039】
表1に記載の組成に従って、各成分を混合して組成物を調製した。なお、表1の各成分値は質量%を示す。また、ラウロイルグルタミン酸塩(N-ラウロイル-L-グルタミン酸Na)は、(B1)及び(B2)の2種類を用いた。(B1)と(B2)は、いずれもN-ラウロイル-L-グルタミン酸Naとして販売されている市販品であるが、販社が異なる製品である。また、イミダゾリニウムベタインとしては、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(ココアンホ酢酸ナトリウム)を用いた。
【0040】
そして、各組成物を5℃で1ヶ月保管し、析出(白濁)が生じたかを目視で確認した。透明のままであったものを○、析出(白濁)が生じたものを×、と評価した。結果を表1にあわせて示す。
【0041】
【表1】
【0042】
当該結果から、析出(白濁)の有無は、用いたラウロイルグルタミン酸塩の違いにあると考えられた。
【0043】
そこで、用いたラウロイルグルタミン酸塩(B1)及び(B2)を、それぞれLC-MSにより解析し、得られたMSスペクトルのピークから、主にC12アシル基を有するアシルグルタミン酸(つまりラウロイルグルタミン酸)が存在するものの、その他の炭素鎖長のアシル基を有するアシルグルタミン酸も検出されることが分かった。詳細な結果を、表2に示す。
【0044】
【表2】