(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091120
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ホイールナットキャップ
(51)【国際特許分類】
B60B 3/16 20060101AFI20240627BHJP
F16B 41/00 20060101ALI20240627BHJP
F16B 37/14 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B60B3/16 E
F16B41/00 R
F16B37/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207579
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 直人
(57)【要約】
【課題】簡素な構造でわかりやすくホイールナット締結状態の異常有無を確認できるようにする。
【解決手段】ハブボルト5に締結されたホイールナット6に対して着脱自在に装着されるホイールナットキャップ10である。ホイールナットキャップ10は、ホイールナット6の緩み方向への移動と一体的に移動するようにホイールナット6に篏合された第一部材11と、第一部材11の一端11Aに取り付けられており、開口12Aを除くカバー部12Bにより第一部材11の一端11Aを覆う第二部材12と、第二部材12とハブボルト5との間に介挿されており、締結状態では、開口12Aを塞ぐ位置で第二部材12とハブボルト5との間に挟持され、ホイールナット6の緩み状態では、開口12Aを塞ぐ位置から離脱する第三部材13と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体にホイールを固定するためのハブボルトに締結されたホイールナットに対して着脱自在に装着されるホイールナットキャップであって、
前記ホイールナットの軸回りの側面を囲繞するともに両端の開いた筒状に形成され、前記ホイールナットが前記ホイールとは反対側へ向かう緩み方向へ移動したときに前記ホイールナットと一体的に移動するように前記ホイールナットに篏合された第一部材と、
前記第一部材の前記両端のうち前記ホイールの前記反対側に位置する一端に取り付けられており、前記ハブボルトの先端に対向する位置に形成された開口と、前記開口の周囲に設けられ前記第一部材の前記一端を覆うためのカバー部と、を有する第二部材と、
前記第二部材と前記ハブボルトとの間に介挿されており、前記ホイールナットが前記ハブボルトに締結された締結状態では、前記開口を塞ぐ位置で前記第二部材と前記ハブボルトとの間に挟持され、前記ホイールナットが前記緩み方向へ移動した緩み状態では、前記開口を塞ぐ位置から離脱する第三部材と、を備えた
ことを特徴とするホイールナットキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、車体にホイールを固定するためのハブボルトに締結されたホイールナットの締結状態を確認するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、特に大型商用車等においては、車輪脱落等の不具合を防止するために、各車輪の締結状態を確認することが重要であると認識されている。そのため、車体にホイールを固定するためのハブボルトにホイールナットを締結する際の締結トルク管理が行われている。
このような締結トルク管理は、定期メンテナンスの他に、運行前点検、運行途中点検等の日常点検において実施されている。
【0003】
ホイールナット締結状態の確認手段としては、ホイールナットの緩みをはじめとする締結状態の異常有無を外観の目視や、打音チェックによる点検が一般的である。
また、ホイールナット締結状態の異常有無を自動的に確認するための技術として、特許文献1には、各ハブボルトの頭部とホイールナットとの間にリング状のスペーサ状部材を介在し、スペーサ状部材の歪みを検出する歪センサや通信装置を備えた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、外観の目視や、打音による確認手法では、ナット緩み、ボルト破損等の異常を走行中に検出できない。また、点検者の経験則に基づき異常の有無を判定するため、検出精度にばらつきがある。
また、特許文献1の技術では、スペーサ状部材や、歪センサ,通信装置等が必要であるため、構造が複雑になり、コストが高くなる。
【0006】
したがって、特許文献1をはじめとする従来の技術では、ホイールナット締結状態の異常検出精度を確保するとともに構造を簡素化するうえで改善の余地があった。
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、簡素な構造でわかりやすくホイールナット締結状態の異常有無を確認できるようにすることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
【0008】
本適用例に係るホイールナットキャップは、車体にホイールを固定するためのハブボルトに締結されたホイールナットに対して着脱自在に装着されるホイールナットキャップであって、前記ホイールナットの軸回りの側面を囲繞するともに両端の開いた筒状に形成され、前記ホイールナットが前記ホイールとは反対側へ向かう緩み方向へ移動したときに前記ホイールナットと一体的に移動するように前記ホイールナットに篏合された第一部材と、前記第一部材の前記両端のうち前記ホイールの前記反対側に位置する一端に取り付けられており、前記ハブボルトの先端に対向する位置に形成された開口と、前記開口の周囲に設けられ前記第一部材の前記一端を覆うためのカバー部と、を有する第二部材と、前記第二部材と前記ハブボルトとの間に介挿されており、前記ホイールナットが前記ハブボルトに締結された締結状態では、前記開口を塞ぐ位置で前記第二部材と前記ハブボルトとの間に挟持され、前記ホイールナットが前記緩み方向へ移動した緩み状態では、前記開口を塞ぐ位置から離脱する第三部材と、を備えている。
【0009】
これによれば、ホイールナットがハブボルトに締結された締結状態では、第三部材は開口を塞ぐ位置で第二部材とハブボルトとにより挟持されている。そのため、開口において第三部材が適切に配置することを目視確認するだけで、ホイールナットが正しく締結されているものと判断できる。また、この場合、第三部材は、開口を塞ぐ位置で挟持されているので、車両の走行中、開口を塞ぐ位置から離脱せず不動であり、異音が生じない。
【0010】
これに対して、ホイールナットが緩み方向へ移動して緩んだ状態では、第一部材(及び第二部材)がホイールナットと一体的に移動することで、第二部材とハブボルトとの間隔が広がり、第二部材とハブボルトとによる第三部材の挟持が解除される。その結果、第三部材は、開口を塞ぐ位置から離脱して、開口において第三部材が適切に配置されない(外れ落ちる)。そのため、開口に第三部材が適切に配置されていないことを目視確認するだけで、ホイールナットが緩んでいるものと判断できる。
【0011】
また、ホイールナットが緩んだ状態では、第三部材は第二部材とハブボルトとで挟持されていないため、車両の走行中に車輪が回転すると周囲に衝突し、打音(異音)を発生させる。
よって、第一部材、第二部材及び第三部材を備えたホイールナットキャップを装着するだけの簡素な構造で、ホイールナットが緩んでいるか否かを視覚的及び聴覚的にわかりやすく確認することができる。
【発明の効果】
【0012】
本件によれば、簡素な構造でわかりやすくホイールナット締結状態の異常有無を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本適用例に係るホイールナットキャップが装着されたホイールを有する車両と、ホイールキャップの構成例を示す側面図である。
【
図2】
図1のホイールキャップを
図1の矢印Aから見た断面図である。
【
図3】
図1のホイールキャップの外観斜視図である。
【
図4】ホイールナットの締結が緩んだ状態を示す断面図である。
【
図5】
図4のホイールキャップの外観斜視図である。
【
図6】ホイールキャップにおける第三部材の離脱防止構造例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本件の実施形態について説明する。以下の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせられる。
【0015】
[1.構成]
図1は、本適用例に係るホイールナットキャップ10が装着されたホイール4を有する車両1と、ホイールナットキャップ10の構成例を示す側面図である。
図2は、
図1のホイールナット10を
図1の矢印Aから見た断面図である。また、
図3はホイールナット10を示す外観斜視図である。
図1では、車両1の一例としてキャブ1Aを有するトラック(大型商用車)が挙げられているが、車両1は、トラックに限らず、バス、普通自動車などどのような車種であってもよい。なお、
図1では、車両1の一部を省略している。
【0016】
図1に示すように、ホイールナットキャップ10(以下「キャップ10」とも言う)は、車両1の車輪3のホイール4に取り付けられている。詳しくは、キャップ10は、ハブボルト5(
図1中破線で示す。以下、「ボルト5」とも言う)に締結されたホイールナット6(
図1中破線で示す。以下、「ナット6」とも言う)に対して、着脱自在に装着されるものである。ボルト5とナット6とは、周知のように、車両1の車体フレーム(車体)2にホイール4を固定するために設けられている。
【0017】
一つの車輪3のホイール4は、八個(複数)のボルト及びナット6を用いて車体フレーム2に固定されている。これらのボルト5及びナット6のそれぞれにキャップ10が着脱自在に装着される。すなわち、
図1のホイール4には八個のキャップ10が配設されている。
図2において、ナット6を軸X(
図2中二点鎖線で示す)に沿ってホイール4側へ移動させると、ナット6が締結される。反対に、ナット6を軸Xに沿ってホイール4とは反対側へ移動させると、ナット6が緩む。ホイール4とは反対側へ向かうナット6の移動方向を「緩み方向」と称する。
【0018】
キャップ10は、ボルト5に締結されたナット6に対して覆い被せられた被覆部材である。このキャップ10は、
図2に示すように、軸Xに沿う断面がコの字型をなし、第一部材11,第二部材12及び第三部材13の三つの部材で構成されている。
第一部材11は、キャップ10の軸X回りの側面部をなす部材であり、両端の開いた筒状に形成されている。第二部材12は、キャップ10の頂部をなす部材であり、径方向Dの略中央に形成された開口12Aを有している。第三部材13は、第二部材12とボルト5との間に介挿され、ボルト5にナット6が正しく締結された締結状態において第二部材12の開口12Aを塞ぐために設けられている。
【0019】
第一部材11は、ボルト5及びナット6と同軸上に配置されており、ナット6の軸回りの側面を囲繞する筒形状に形成されている。第一部材11の軸Xの一方の端部を先端部11A,他方の端部を基端部11Bと称する。先端部11Aは、ホイール4とは反対側に位置する端部であり、基端部11Bは、ホイール4の側に位置する端部と言える。
【0020】
第一部材11は、第一部材11の大きさ及び形状は、ナット6の軸回りの側面を囲繞し得る大きさ及び形状に設定されている。具体的には、第一部材11の大きさは、ナット6の軸回りの側面に篏合され得るように、第一部材11の内径がナット6の外径よりも大きくなるように設定されている。また、第一部材11の周方向に沿う形状は、
図1に示すように、ナット6の周方向の形状に対応する六角形状をなす。
【0021】
第一部材11は、ナット6が緩み方向へ移動したときにナット6と一体的に移動するように、ナット6に篏合されている。
上記一体的な移動を可能とする篏合構造として、
図2の第一部材11には、第一部材11の内周面に凸設された突起部11Cと、基端部11Bに形成された狭幅部11Dとが設けられている。
【0022】
突起部11Cは、第一部材11の内周面から径方向Dの内側へ向かって突出した部位であり、例えば第一部材11の内周面において周方向に離隔した三箇所(複数個所)に形成されている。狭幅部11Dは、第一部材11の内径を他の部分よりも小さく形成した(狭めた)部位であり、例えば基端部11Bにおいて周方向の全周に形成されている。
【0023】
第一部材11は、上記の突起部11C及び狭幅部11Dでナット6の側面に対して当接し、突起部11C及び狭幅部11Dを除く第一部材11の内周面はナット6の側面に対し径方向Dの外側に離隔している。このように、第一部材11は、突起部11C及び狭幅部11Dでナット6の側面に対して当接することで、ナット6に対してずれにくくなり、ナット6と一体的に移動可能である。
【0024】
また、第一部材11の先端部11Aには、第一部材11に第二部材12を取り付けるためのネジ山が刻設されている。なお、第一部材11の先端部11Aも狭幅部11Dと同様に、内径を狭められている。そのため、ナット6が緩み方向へ移動する際、ナット6が第一部材11の先端部11Aに当接し、第一部材11がナット6と一体的に移動しやすくなっている。
【0025】
第一部材11の先端部11Aには、先端部11A側の開口を覆うための第二部材12が取り付けられている。
第二部材12は、軸Xに沿う断面がコの字型に形成された蓋体である。第二部材12の周方向に沿う形状は、例えば
図3に示すように、ナット6に対応する六角形状をなす。第二部材12には、キャップ10の径方向Dの略中央に形成された開口12Aと、第二部材12において開口12Aを除く他部であって第一部材11の先端部11A側の開口を覆うカバー部12Bとが設けられている。
【0026】
開口12Aは、キャップ10の外部と内部とを連通する部位であり、ボルト5の先端5Aに対向する位置に形成されている。開口12Aの輪郭は、例えば
図3に示すように第二部材12の周方向に沿う形状に対応する六角形状をなす。
カバー部12Bは、開口12Aを囲む円環状の面部であり、開口12Aの配置された部分(ボルト5の先端5Aに対向する位置)を除き第一部材11の先端部11A側の開口を覆っている。
【0027】
カバー部12Bにおいて開口12Aを囲む縁部12Dは、径方向Dの中心に向かってキャップ10の内部へ入り込む傾斜面をなす。
また、カバー部12Bの周縁から延出したスカート部12Cは、第一部材11の先端部11Aに対し外側に配置されている。スカート部12Cには、第一部材11に第二部材12を取り付けるための構造として、第一部材11の先端部11Aのネジ山と螺合するネジ山が刻設されている。第二部材12はスカート部12Cにおいて第一部材11の先端部11Aに締結されている。
【0028】
第三部材13は、第二部材12とボルト5との間に介挿され開口12Aを塞ぐ板片である。この第三部材13は、
図2に示すようにボルト5にナット6が締結された締結状態では、第二部材12とボルト5との間に挟持されている。
詳しくは、第三部材13の一面において第三部材13の周縁部13Aに対して第二部材12の縁部12Dが面接触し、第三部材13の一面とは反対側の他面において第三部材13の中央部13Bに対してボルト5の先端5Aが面接触する。そして、第二部材12の縁部12Dとボルト5の先端5Aとの間に、第三部材13が挟持される。
【0029】
第三部材13の周縁部13Aは、第二部材12の縁部12Dに対応した傾斜面で形成されているため、第二部材12の縁部12Dと面接触しやすい。そのため、第三部材13を所定の姿勢で位置決めしやすい。
また、第三部材13の中央部13Bは平坦面をなし、第三部材13の中央部13Bとボルト5の先端5Aとは面接触する。そのため、第三部材13の姿勢が安定しやすい。
【0030】
図3に示すように、ボルト5にナット6が締結された締結状態では、第三部材13の中央部13Bでキャップ10の外部を向いた面が、開口12Aから外部へ向けて露呈する。この面には、
図3に示すように視覚的装飾を施したデザイン部13Cが設けられている。デザイン部13Cを設けることにより、第三部材13の視認性と装飾性とを高めている。
また、第三部材13の視認性と装飾性とを高める観点からは、第三部材13の色彩がキャップ10の他の部分とは異なる色彩であって、他の部分よりも目立つ色彩に設定されるとよい。例えば、キャップ10のうち第一部材11及び第二部材12にはシルバーメッキ加工を施し、第三部材13にはアルマイト加工により着色を施すことが考えられる。
【0031】
次に、キャップ10の取り付け手順を説明する。
先ず、ボルト5に対しナット6が締結された締結状態において、ナット6に対して第一部材11を嵌装する。次に、ボルト5の先端5A上に第三部材13を載置する。それから、第二部材12を第一部材11に対して締結(螺合)する。第二部材12を第一部材11に対して締結することで、第三部材13は第二部材12の縁部12Dとボルト5の先端5Aとの間に挟持される。これにより、第三部材13は開口12Aを塞ぐ位置で固定される。
なお、第二部材12を第一部材11に対して締結する際には、第三部材13が第二部材12から離脱することを防止するために、第二部材12の開口12A外面側に、
図6に示すように、第二部材12が第一部材11に対して締結する前に、両面テープ15を貼り付けた厚紙又は治具(図中符号14)を第二部材12及び開口12Aに押し付けてから第三部材13を開口12Aに向けて押しあてて第三部材13が厚紙又は治具(図中符号14)から剥がれないようにする。そして、第二部材12が第一部材11に対して締結が完了した後は、厚紙又は治具(図中符号14)を第二部材12及び開口12Aから剥がすとよい。また、キャップ10の取り付けを繰り返すうちに両面テープ15の粘着力が落ちてきた時には、適宜両面テープ15を貼りかえるとよい。
また、キャップ10を取り外す際は、ナット6からキャップ10を引き離すだけでよい。
【0032】
[3.作用効果]
以上説明した本実施形態について作用効果を説明する。
図4は、
図2と同様な
図1の矢印Aから見たキャップ10の断面図であって、ナット6が緩んだ状態を示す。また、
図5は、キャップ10の外観斜視図であって、ナット6が緩んだ状態を示す。
図2及び
図3に示す締結状態では、第三部材13は第二部材12とボルト5とにより開口12Aを塞ぐ位置で挟持されている。そのため、ナット6が正しく締結されている場合、開口12Aに第三部材13が適切に配置されていることを目視確認するだけで、ナット6が正しく締結されているものと判断できる。また、第三部材13は、開口12Aを塞ぐ位置で挟持(固定)されているので、車両1の走行中、開口12Aを塞ぐ位置から離脱せず不動であり、異音が生じない。
【0033】
これに対して、
図4及び
図5に示す緩み状態では、締結状態に比べてナット6が緩み方向(ホイール4から離隔する方向)へ移動している。これに伴い、第一部材11及び第二部材12はナット6と一体的にホイール4から離隔する方向へ移動する。このときボルト5は不動であるため、第二部材12とボルト5との間隔が広がり、第二部材12とボルト5とによる第三部材13の挟持が解除される。その結果、第三部材13は、
図4及び
図5に示すように第二部材12の開口12Aを塞ぐ位置から離脱し、開口12Aの位置から外れる。よって、開口12Aの位置に第三部材13が正しく配置されていない(開口12Aは外れている)ことを目視確認するだけで、ナット6に緩みが生じたものと判断できる。
【0034】
また、
図4及び
図5に示す緩み状態では、第三部材13は、第二部材12とボルト5で挟持されていないため、キャッブ10内部の空間を自由に移動し得る。そのため、車両1の走行中に車輪3が回転すると、第三部材13がキャップ10内部で周囲に衝突して打音(異音)が発生する。よって、走行中の打音(異音)により聴覚的にナット6に緩みが生じたものと判断することができる。また、走行中の第三部材13の動きや揺れなどからナット6の緩みを判断することも可能である。
以上の通り、本適用例に係るホイールナットキャップ10によれば、センサや通信装置等の複雑な構造を設けることなく、簡素な構造のホイールナットキャップ10を装着するだけで、わかりやすくホイールナット締結状態の異常有無を確認できるようになる。
[3.その他]
【0035】
上述した適用例では、ホイールナットキャップ10が六角形状に形成された場合を例に挙げたが、ホイールナットキャップ10の形状は、ホイールナット6に着脱自在に装着でき、且つ、ナット6の緩みに伴い一体的に移動する第一部材11,第二部材12を有するものであれば、どのような形状であってもよい。
ホイールナットキャップ10は、車両1に装備された全車輪3の全ホイールナット6に装着されていてもよいし、一部のホイールナット6にだけ装着されていてもよい。
第一部材11に第二部材12を取り付ける構造は、ネジ山を用いた係合構造に限らず、第一部材11及び第二部材12を着脱自在に取り付けることができさえすればどのような構造であってもよい。
車両1の種類は、大型商用車に限らず、バスや、普通自動車などどのような種類の車両であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 車両
1A キャブ
2 車体フレーム(車体)
3 車輪
4 ホイール
5 ハブボルト
5A 先端
6 ホイールナット
10 ホイールナットキャップ
11 第一部材
11A 先端部
11B 基端部
11C 突起部
11D 狭幅部
12 第二部材
12A 開口
12B カバー部
12C スカート部
12D 縁部
13 第三部材
13A 周縁部
13B 中央部
13C デザイン部