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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091121
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】充電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240627BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240627BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20240627BHJP
   B60L 58/20 20190101ALI20240627BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/00 P
H02J7/02 H
B60L53/30
B60L58/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207592
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 大輝
(72)【発明者】
【氏名】小栗 良貴
(72)【発明者】
【氏名】丸山 史温
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA03
5G503BB02
5G503BB05
5G503CC09
5G503FA06
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125BB09
5H125BC25
5H125BC29
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】外部充電を行う際の補機バッテリの電力消費を低減することができる充電制御装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る充電制御装置は、コントローラを備える。コントローラは、車両の走行駆動部へ電力を供給する第1電池と、車両に搭載された制御装置へ電力を供給する第2電池とを備える車両に設けられ、外部電源から高圧給電経路を介しての第1電池の充電を制御する。コントローラは、外部電源が車両に接続された場合において、第1電池の充電を行っていない期間は、外部電源から低圧給電経路を介しての給電を受けて動作し、第1電池の充電を行っている期間は、第2電池から給電を受けて動作する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行駆動部へ電力を供給する第1電池と、前記車両に搭載された制御装置へ電力を供給する第2電池とを備える車両に設けられ、外部電源から高圧給電経路を介しての前記第1電池の充電を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記外部電源が前記車両に接続された場合において、前記第1電池の充電を行っていない期間は、前記外部電源から低圧給電経路を介しての給電を受けて動作し、前記第1電池の充電を行っている期間は、前記第2電池から給電を受けて動作する
充電制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1電池の充電を行っている期間に、前記第1電池からDCDCコンバータを介して前記第2電池への給電を行う
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記低圧給電経路に設けられる第1スイッチと、
前記高圧給電経路に設けられる第2スイッチと、
を備え、
前記コントローラは、
前記第1電池の充電を行っていない期間は、前記第1スイッチをオン、前記第2スイッチをオフし、前記第1電池の充電を行っている期間は、前記第1スイッチをオフ、前記第2スイッチをオンする
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記第1電池の充電を行っていない期間は、
前記外部電源から前記第1電池への充電が可能か否かの判定処理が前記コントローラによって行われている期間であり、
前記コントローラは、
前記判定処理を行っている期間は、前記外部電源から前記制御装置へ電力を供給し、前記判定処理により充電可能と判定された場合に、前記制御装置への電力供給元を前記外部電源から前記第2電池に切り替える
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第1電池の充電を行っている期間は、前記第2電池から前記制御装置へ電力を供給するとともに、前記第1電池から前記第2電池へ電力を供給して前記第2電池を充電する
請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記低圧給電経路に設けられるキャパシタをさらに備え、
前記コントローラは、
前記低圧給電経路を介して前記外部電源から供給される電力が途絶えた場合に前記キャパシタから前記制御装置へ電力を供給する
請求項2に記載の充電制御装置。
【請求項7】
車両の走行駆動部へ電力を供給する第1電池と、前記車両に搭載された制御装置へ電力を供給する第2電池とを備える車両に設けられ、外部電源から高圧給電経路を介しての前記第1電池の充電を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記外部電源が前記車両に接続された場合において、外部電源との適合判定の通信を行っているときは、前記外部電源から低圧給電経路を介しての給電を受けて動作し、前記第1電池の充電を行っているときは、前記第2電池から給電を受けて動作する
充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラグインハイブリッドや電気自動車等のように、車両を駆動するモータ等へ電力を供給するバッテリを備えた車両が普及しつつある。この種の車両では、外部の充電装置と走行用の高圧バッテリとを接続することで、充電装置から高圧バッテリへ電力を供給して充電する技術がある。
【0003】
また、特許文献1では、車両に搭載された制御装置が、充電装置から高圧バッテリへの充電が可能か否かの適合判定を行い、充電不可と判定した場合に、充電装置から高圧バッテリへの充電を禁止する技術制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-108244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、制御装置が外部充電の適合判定を行う際、制御装置を動作させるために補機バッテリの電力が消費される。そのため、例えば充電不可と判定されることが繰り返されると、補機バッテリの残容量が減り、制御装置を動作させることができなくなるおそれがあった。なお、この補機バッテリの電力の消費は、適合判定に限らず、充電装置を接続した状態でバッテリを充電していない期間に制御装置の動作を行わせると発生する。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、外部充電を行う際の補機バッテリの電力消費を低減することができる充電制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る充電制御装置は、コントローラを備える。前記コントローラは、車両の走行駆動部へ電力を供給する第1電池と、前記車両に搭載された制御装置へ電力を供給する第2電池とを備える車両に設けられ、外部電源から高圧給電経路を介しての前記第1電池の充電を制御する。前記コントローラは、前記外部電源が前記車両に接続された場合において、前記第1電池の充電を行っていない期間は、前記外部電源から低圧給電経路を介しての給電を受けて動作し、前記第1電池の充電を行っている期間は、前記第2電池から給電を受けて動作する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部充電を行う際の補機バッテリの電力消費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る充電システムSの全体構成を概略的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係る充電制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る充電制御装置において実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、変形例に係る車両の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る充電制御装置を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
まず、図1を用いて実施形態に係る充電システムの全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る充電システムSの全体構成を概略的に示す図である。図1に示すように、充電システムSは、充電装置100と、車両Cとを含む。
【0012】
充電装置100は、例えば、公共の充電スタンドや、住宅に設置された充電スタンド等といった外部電源である。充電装置100は、コネクタ101を備える。コネクタ101は、車両Cに接続される接続部材である。また、充電装置100と、コネクタ101との間は、通信線102、ジカ線103および電力線104によって接続される。なお、通信線102、ジカ線103および電力線104は、1本のケーブル部材によって束ねられてもよい。
【0013】
充電装置100は、不図示の商用電源から供給される交流電源(例えば、3相200Vの電源)を直流電力に変換し、電力線104を介して車両Cへ供給する。また、充電装置100は、通信線102およびジカ線103を介して後述する充電制御装置1と通信可能に接続され、充電制御装置1との間で各種情報を送受信する。なお、充電装置100は、交流電力を供給可能な外部装置に限らず、直流電力を供給可能な外部装置(例えば、高速充電装置等)であってもよい。
【0014】
車両Cは、例えば、プラグインハイブリッド自動車や、電気自動車等の電力を消費して駆動する車両である。車両Cは、充電制御装置1と、LiB10と、PbB20と、モータ装置30と、DCDCコンバータ40と、インレット50とを備える。
【0015】
充電制御装置1は、LiB20に対する充電と、PbB30に対する充電とを制御するECU(Electronic Control Unit)である。なお、充電制御装置1の充電制御の詳細については後述する。
【0016】
LiB20は、リチウムイオンバッテリである。LiB20は、例えば200Vの高圧バッテリである。LiB20は、車両Cの駆動部である走行用のモータ装置30へ電力を供給する走行用のバッテリである。PbB30は、鉛バッテリである。PbB30は、例えば12Vの低圧バッテリである。PbB30は、例えば、充電制御装置1や、車両Cに搭載された他の制御装置(不図示)へ電力を供給する補機バッテリである。また、PbB30は、LiB20から電力を供給可能に接続され、LiB20から供給される電力により充電する。なお、LiB20は、第1電池の一例であり、PbB30は、第2電池の一例である。
【0017】
モータ装置30は、車両Cを駆動させる駆動部である。モータ装置30は、例えば、モータや、モータの駆動を制御する駆動制御装置等を含む。モータ装置30は、LiB10から供給される電力によりモータを回転させることで車両Cを駆動する。
【0018】
DCDCコンバータ40は、LiB10およびPbB20の間に接続され、LiB10から供給される電力を降圧(例えば、200Vから12Vに降圧)してPbB20へ供給する。
【0019】
インレット50は、充電装置100のコネクタ101と接続する接続部材である。インレット50は、CAN(Controller Area Network)等の通信線51、ジカ線52および電力線54に接続される。
【0020】
通信線51は、充電装置100と充電制御装置1とを通信可能に、インレット50と接続される。また、ジカ線52は、充電装置100と充電制御装置1とを通信可能に、インレット50と接続される。また、ジカ線52は、充電制御装置1とインレット50との間で分岐した電力線53が設けられる。電力線53は、低圧の電力線であり、充電装置100から充電制御装置1へ電力を供給可能に、インレット50と接続される。また、電力線53は、第1スイッチSW1が設けられる。電力線54は、高圧の電力線であり、充電装置100からLiB10へ電力を供給可能に、インレット50と接続される。また、電力線54は、LiB10と、PbB20とをDCDCコンバータ40を介して電力を供給可能に接続する。また、電力線54は、インレット50とLiB10との間に高圧スイッチSW3が設けられる。また、PbB20および充電制御装置1は、第2スイッチSW2を介して電力を供給可能に接続される。なお、電力線53は、車両内でジカ線52から分岐する場合に限らず、充電装置100に設けられた別々の電力線に電力線53およびジカ線52が独立して接続されてもよい。
【0021】
なお、通信線51とジカ線52とは、それぞれ異なる情報の送受信が行われる。例えば、通信線51は、充電装置100に関する後述する機器情報を充電装置100から充電制御装置100へ送信する際に用いられる。また、通信線51は、後述する充電許可通知や、充電終了通知を充電制御装置1から充電装置100へ送信する際に用いられる。また、ジカ線52は、LiB10の充電状態(蓄電残量)を充電制御装置1から充電装置100へ送信する際に用いられる。
【0022】
そして、インレット50は、コネクタ101と接続された場合、通信線102および通信線51が接続され、ジカ線103およびジカ線52が接続され、電力線104および電力線54が接続される。
【0023】
このような構成により、充電装置100は、インレット50と、コネクタ101とが接続された場合、通信線102および通信線51を介して充電制御装置1と通信接続される。また、充電装置100は、ジカ線103およびジカ線52を介して充電制御装置1と通信接続される。また、充電装置100は、電力線104および電力線54を介してLiB10と電力を供給可能に接続される。
【0024】
なお、以下では、充電装置100から電力線53を介して充電制御装置1に電力が供給される低電圧の給電経路(低圧給電経路)を第1電力経路53と称し、充電装置100から電力線54を介して充電制御装置1に電力が供給される高圧の給電経路(高圧給電経路)を第2電力経路54と称する。
【0025】
具体的には、第1電力経路53は、電力線53を介して充電装置100と充電制御装置1とを直接接続する経路である。第2電力経路54は、電力線54を介して充電装置100とLiB10とを接続するとともに、LiB10を経由して、充電装置100とDCDCコンバータ40およびPbB20等を接続する経路である。
【0026】
次に、図1に示す充電システムSの動作例について説明する。充電装置100により充電を行う場合、ユーザ(運転者等)は、車両Cの電源をオフにする。そして、ユーザは、電源オフにした状態で、車両Cのインレット50に充電装置100のコネクタ101を挿入(接続)する。これにより、充電装置100と車両Cとの接続が完了するとともに、充電装置100からLiB10への充電準備が完了する。
【0027】
充電制御装置1は、充電装置100との接続が完了した状態で、充電装置100に設けられた不図示の充電開始ボタンを押下されると、通信線51および通信線102を介して充電装置100に関する機器情報を充電装置100から取得する。機器情報は、例えば、充電装置100が準拠している充電規格に関する情報(プロトコルや、バージョン等)や、充電装置100の出力(例えば、3.2kW等)に関する情報を含む。
【0028】
充電制御装置1は、充電装置100から取得した機器情報に基づいて、充電装置100によりLiB10の充電が可能であるか否かを判定する適合判定を行う。なお、適合判定の詳細については後述する。そして、充電制御装置1は、適合判定により充電可能と判定した場合には、LiB10の充電を行い、適合判定により充電不可と判定した場合には、LiB10の充電を禁止する。
【0029】
ここで、上記したように、車両Cは、電源をオフした状態であるため、適合判定を行うためには、充電制御装置1へ電力を供給して充電制御装置1を起動させる必要がある。この点に関して、従来は、PbB等の車両に搭載された低圧の補機バッテリから電力を充電制御装置へ供給していた。つまり、従来は、補機バッテリの電力を消費して適合判定を行っていた。
【0030】
しかしながら、従来の技術では、充電を開始しようとしたが、適合判定により充電不可と判定された場合、走行用の高圧バッテリ及び、補機バッテリの充電を行うことができない。そして、この充電を開始しようとしたが充電できないことが繰り返される等して、補機バッテリの残容量が低下すると、バッテリ上がりが生じてしまうおそれがあった。なお、高圧バッテリの外部充電時において、補機バッテリの残容量の低下を検出すると、高圧バッテリから補機バッテリを充電する処理が行われる場合もあるが、外部充電が行われない場合(開始する前の適合判定等で中止になる場合)、上記の高圧バッテリから補機バッテリへの充電処理も行われない。
【0031】
そこで、本開示では、充電制御装置1は、充電装置100が車両Cに接続された場合において、LiB10の充電を行っていない期間は、充電装置100から充電制御装置1へ電力を供給する。そして、充電制御装置1は、充電装置100によりLiB10の充電を行っている期間は、PbB20から充電制御装置1へ電力を供給する。
【0032】
具体的には、図1に示すように、充電制御装置1は、LiB10の充電を行っていない期間は、第1電力経路53を介して充電装置100から充電制御装置1へ電力を供給する。また、充電制御装置1は、LiB10の充電を行っていない期間は、第2電力経路54を介して充電装置100から充電制御装置1へ電力を供給する。なお、LiB10の充電を行っていない期間は、LiB10の充電を開始する前と終了後(特に第3スイッチSW3を接続する前と、切り離した後)の、充電制御装置1が起動状態にある期間である。
【0033】
より具体的には、充電制御装置1は、LiB10の充電を行っていない期間は、第1スイッチSW1をオン、第2スイッチSW2をオフする。また、充電制御装置1は、LiB10の充電を行っている期間は、第1スイッチSW1をオフ、第2スイッチSW2をオン、高圧スイッチSW3をオンする。
【0034】
つまり、充電制御装置1は、LiB10の充電を行っていない期間は、第1電力経路53を介して充電装置100から充電制御装置1へ直接電力を供給する。なお、第1電力経路53は、充電制御装置1と通信接続された(電力供給体制が確立された)ジカ線52から分岐した経路であるため、適合判定の結果に関わらず電力供給が可能である。
【0035】
これにより、充電制御装置1は、LiB10の充電を行っていない期間、すなわち、適合判定を行っている期間において、充電装置100の電力を消費して動作するため、PbB20の電力が失われることを低減できる。
【0036】
また、充電制御装置1は、LiB10の充電を行っている期間は、第2電力経路54を介してPbB20から充電制御装置1へ電力を供給する。具体的には、充電制御装置1は、充電中のLiB10からPbB20へ電力を供給しつつ、PbB20から充電制御装置1へ電力を供給する。なお、充電装置100からLiB10に供給される電力量は、LiB10からPbB20に供給される電力量よりも多いこととする。
【0037】
これにより、PbB20から充電制御装置1へ電力を供給したとしても、LiB10からPbB20に電力が供給されてPbB20を充電できるため、LiB10の充電中にPbB20の電力が失われることを低減できる。
【0038】
このように、実施形態に係る充電制御装置1によれば、適合判定を行っている期間等といったLiB10の充電を行っていない期間において、充電装置100から直接充電制御装置1へ電力供給を行うことで、PbB20の電力損失を低減できる。
【0039】
また、仮に、外部充電中も充電制御装置1への給電を外部の充電装置100から行う構成にしていると、外部コネクタの接触不良やコネクタ外れ、充電装置100の不具合等で急に充電制御装置1への給電が行われなくなる可能性もある。すると、充電制御装置1への電力供給の途絶により、充電制御装置1の第3スイッチSW3を接続状態に維持する制御が行われなくなることによって、第3スイッチSW3が遮断される。このような第3スイッチSW3の不用意な遮断が行われた場合、アーク放電等が発生して、第3スイッチSW3の溶着が生じる可能性がある。
【0040】
これに対して、本発明では、第3スイッチSW3をオン状態にするときは安全性を重視し、外部充電中(第3スイッチSW3のオン状態時)は充電制御装置1への給電を車内のPbB20から行うように切り替えるので、充電制御装置1への給電の安定性が向上し、上記のような問題が発生しない。従って、実施形態に係る充電制御装置1によれば、PbB20の電力損失を低減できることで、PbB20のバッテリ上がりが生じることを低減できるため、充電制御装置1への電力供給の途絶により高圧スイッチSW3が突然遮断されることを回避できる。この結果、LiB10の充電中に高圧スイッチSW3が突然遮断されることによるアーク放電の発生を低減できるとともに、アーク放電に起因した高圧スイッチSW3の溶着(オン固着)の発生を低減できる。
【0041】
なお、図1では、充電装置100やPbB20から充電制御装置1へ電力を供給する例を挙げたが、充電装置100やPbB20の電力供給先は、充電制御装置1に限定されるものでない。充電装置100やPbB20の電力供給先は、充電装置100による充電を行っていない期間にPbB20の電力を消費する任意の制御装置に適用可能である。このような制御装置の例としては、例えば、車両停止中に周囲を録画するドライブレコーダや、盗難防止装置等がある。
【0042】
また、上記では、LiB10の充電を行っていない期間として、適合判定を行っている期間を例に挙げたが、例えば、LiB10への充電異常(充電装置100と充電制御装置1との間の通信異常や電力線54の断線等)により充電装置100からの電力供給が一時的に停止している期間であってもよい。
【0043】
次に、図2を用いて、充電制御装置1のハードウェア構成例について説明する。図2は、実施形態に係る充電制御装置1のハードウェア構成例を示す図である。
【0044】
図2に示すように、実施形態に係る充電制御装置1は、コントローラ2と、記憶部3とを備える。
【0045】
記憶部3は、たとえば、RAM(Random Access Memory)やデータフラッシュである。記憶部3は、コントローラ2の処理で必要な各データや、各種プログラムの情報等を記憶することができる。なお、充電制御装置1は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0046】
コントローラ2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAMなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。コントローラ2は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、充電制御装置1全体の動作を制御する。なお、コントローラ2は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0047】
次に、コントローラ2が行う処理について説明する。
【0048】
まず、充電装置100と車両Cとが接続されていない状態である場合では、コントローラ2は、電源オフ状態であり、第1スイッチSW1~第3スイッチSW3は、初期状態(非通電時のスイッチ状態)である。具体的には、初期状態では、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2がオン状態、第3スイッチSW3がオフ状態である。なお、初期状態における第1スイッチSW1は、オフ状態であってもよい。かかる場合、充電装置100と車両Cとが接続されて第1電力経路53が通電状態となった場合や充電開始ボタンが押下された場合に、コントローラ2は、PbB20の電力供給により起動して第1スイッチSW1をオン状態にする。
【0049】
コントローラ2は、充電装置100と車両Cとが接続された場合、すなわち、第1電力経路53が通電状態となった場合や充電開始ボタンが押下された場合に、充電装置100から第1電力経路53を介して供給される電力により起動し、第2スイッチSW2をオフする。これにより、コントローラ2は、PbB20の電力を消費することなく起動することができる。
【0050】
つづいて、コントローラ2は、通信線51を介して充電装置100から充電開始指示を受信した場合に、充電装置100に関する機器情報を、通信線51を介して充電装置100から取得する。機器情報は、上記したように、例えば、充電装置100が準拠している充電規格に関する情報(プロトコルや、バージョン等)や、充電装置100の出力(例えば、3.2kW等)に関する情報を含む。
【0051】
つづいて、コントローラ2は、取得した機器情報に基づいて、充電装置100からLiB10への充電が可能か否かの適合判定(判定処理の一例)を行う。具体的には、コントローラ2は、車両側が準拠する充電規格と、充電装置側が準拠する充電規格とが一致する場合に、充電装置100からLiB10への充電が可能であると判定する。一方、コントローラ2は、車両側が準拠する充電規格と、充電装置側が準拠する充電規格とが一致しない場合に、充電装置100からLiB10への充電が不可能であると判定する。そして、コントローラ2は、充電装置100からLiB10への充電が不可能であると判定した場合、通信線51を介して充電装置100へ充電不可通知を行う。なお、コントローラ2は、充電不可通知に代えて、充電終了通知を行ってもよい。あるいは、コントローラ2は、充電終了通知の中に、終了理由(充電不可である旨や、充電不可な理由)を含ませてもよい。なお、この一連の適合判定の期間は、充電装置100からLiB10への充電が行われていない期間であるため、第1電力経路53を介して充電装置100からコントローラ2に電力が供給される。
【0052】
コントローラ2は、充電装置100からLiB10への充電が可能であると判定した場合、車両Cの状態が充電可能な車両状態であるか否かを判定する(判定処理の一例)。具体的には、コントローラ2は、第2電力経路54に異常が生じていないかを検出し、検出結果に基づいて判定を行う。例えば、コントローラ2は、インレット50およびLiB10の間に位置する電力線54の断線や、LiB10の異常を検出する。例えば、コントローラ2は、第2電力経路54に異常が生じていない場合、充電可能な車両状態であると判定する。一方、コントローラ2は、電力線54の断線や、LiB10の異常を検出した場合に、充電不可能な車両状態であると判定する。そして、コントローラ2は、充電不可能な車両状態であると判定した場合、上記した充電不可通知や充電終了通知を充電装置100に対して送信する。
【0053】
また、コントローラ2は、充電可能な車両状態であると判定した場合、通信線51を介して充電装置100へ充電許可通知を行う。なお、充電可能な車両状態であるか否かの判定処理の期間は、充電装置100からLiB10への充電が行われていない期間であるため、第1電力経路53を介して充電装置100からコントローラ2に電力が供給される。
【0054】
また、コントローラ2は、充電装置100へ充電許可通知を行う際、コントローラ2への電力供給経路を第1電力経路53から第2電力経路54へ切り替える。具体的には、コントローラ2は、第1スイッチSW1をオフし、第2スイッチSW2をオンする。つまり、コントローラ2は、判定処理(適合判定、車両状態判定)により充電可能と判定された場合に、コントローラ2への電力供給元を充電装置100からPbB20に切り替える。このように、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2の切り替えにより、第1電力経路53および第2電力経路54の切り替えを精度良く行うことができる。
【0055】
これにより、コントローラ2が判定処理を行う際に充電装置100から直接コントローラ2へ電力供給することで、判定処理に伴うPbB20の電力損失を低減することができる。
【0056】
また、上記したように、第1電力経路53と、第2電力経路54とに分けてコントローラ2へ電力供給を行うことで、コントローラ2への電力供給を冗長化させることができる。例えば、コントローラ2は、第2電力経路54の異常(断線等)によりLiB10がPbB20に電力を供給できない場合等に、第1スイッチSW1をオン、第2スイッチSW2をオフして第1電力経路53により電力供給を行う。これにより、LiB10kらPbB20に電力供給できない状態で、LiB10を充電する場合であっても、PbB20の電力が失われることを低減できる。
【0057】
なお、第1スイッチSW1をオフ、第2スイッチSW2をオン、高圧スイッチSW3をオンするタイミングは、充電許可通知を行う前に行われてもよく、充電許可通知を行った後に行われてもよい。
【0058】
つづいて、コントローラ2は、高圧スイッチSW3をオンする。これにより、充電装置100からLiB10への電力供給が可能となるとともに、第2電力経路54を介してLiB10からPbB20への電力供給、および、PbB20からコントローラ2への電力供給が可能となる。
【0059】
つまり、コントローラ2は、充電装置100からLiB10への充電を行っている期間は、PbB20からコントローラ2へ電力を供給するとともに、LiB10からPbB20へ電力を供給してPbB20を充電する。言い換えれば、コントローラ2は、PbB20からコントローラ2へ電力を供給している間は、LiB10からPbB20へ継続して電力を供給する。これにより、PbB20の電力消費分をLiB10から供給される電力により賄うことができるため、PbB20の電力損失を低減することができる。
【0060】
なお、コントローラ2は、LiB10からPbB20へ継続して電力を供給する場合に限らず、例えば、PbB20の蓄電残量が所定の閾値未満まで低下した場合に、LiB10からPbB20へ電力供給を行ってもよい。この際、LiB10からPbB20への充電は、PbB20の蓄電残量が上記閾値(例えば、20%)よりも高い値(例えば、70%)まで行われることが好ましい。
【0061】
コントローラ2は、充電装置100からLiB10への電力供給が行われている間、LiB10の充電残量をモニターし、充電残量が満充電となった場合には、充電完了と判断し、高圧スイッチSW3をオフする。
【0062】
また、コントローラ2は、高圧スイッチSW3をオフした後、コントローラ2への電力供給元をPbB20から充電装置100に切り替える。具体的には、コントローラ2は、第1スイッチSW1をオンし、第2スイッチSW2をオフすることで、電力供給経路を第2電力経路54から第1電力経路53に切り替える。
【0063】
コントローラ2は、電力供給経路を第2電力経路54から第1電力経路53に切り替えた後、通信線51を介して充電装置100へ充電終了通知を行う。なお、コントローラ2は、充電終了通知を行った後は、起動を終了し、電源オフやスリープ状態になってもよい。
【0064】
次に、図3を用いて、実施形態に係る充電制御装置1において実行される処理の処理手順について説明する。図3は、実施形態に係る充電制御装置1において実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図3に示すステップS101からステップS113までの処理は、充電制御装置1のコントローラ2によって実行される。
【0065】
図3に示すように、まず、コントローラ2は、充電装置100から車両Cに接続された場合に、第1電力経路53により電力供給されて起動する(ステップS101)。なお、コントローラ2は、車両Cの電源がオフされて終了処理を行う際に第1スイッチSW1をオンしておくことで、第1電力経路53を通電状態にしておく。
【0066】
つづいて、コントローラ2は、充電装置100と通信を開始する(ステップS102)。具体的には、コントローラ2は、通信線51やジカ線52を介して充電装置100と通信を開始する。
【0067】
つづいて、コントローラ2は、通信線51を介して充電装置100に関する機器情報を取得する(ステップS103)。
【0068】
つづいて、コントローラ2は、取得した機器情報に基づいて、充電装置100による外部充電が可能であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0069】
コントローラ2は、充電装置100による外部充電が可能である場合(ステップS104:Yes)、車両Cの状態が充電可能な車両状態であるか否かを判定する(ステップS105)。例えば、コントローラ2は、高圧スイッチSW3の故障や、電力線54の断線、LiB10の異常等を検出し、検出結果に基づいて判定を行う。
【0070】
コントローラ2は、車両Cの状態が充電可能な車両状態である場合(ステップS105:Yes)、第1電力経路53から第2電力経路54に切り替える(ステップS106)。具体的には、コントローラ2は、第1スイッチSW1をオフし、第2スイッチSW2をオンする。
【0071】
つづいて、コントローラ2は、高圧スイッチSW3をオンし(ステップS107)、通信線51を介して充電装置100へ通電許可通知を送信する(ステップS108)。
【0072】
つづいて、コントローラ2は、充電装置100から供給される電力を、電力線54を介してLiB10へ供給することで、LiB10の充電を開始する(ステップS109)。
【0073】
つづいて、コントローラ2は、LiB10が満充電となった否かを判定する(ステップS110)。
【0074】
コントローラ2は、LiB10が満充電となった場合(ステップS110:Yes)、高圧スイッチSW3をオフする(ステップS111)。なお、コントローラ2は、LiB10が満充電でない場合(ステップS110:No)、LiB10が満充電になるまでステップS110を繰り返し実行する。
【0075】
つづいて、コントローラ2は、第2電力経路54から第1電力経路53に切り替える(ステップS112)。具体的には、コントローラ2は、第1スイッチSW1をオフし、第2スイッチSW2をオンする。
【0076】
つづいて、コントローラ2は、通信線51を介して充電装置100へ充電終了通知を行い(ステップS113)、処理を終了する。
【0077】
なお、ステップS104において、コントローラ2は、充電装置100による外部充電が不可である場合(ステップS104:No)、ステップS113へ移行する。
【0078】
また、ステップS105において、コントローラ2は、車両Cの状態が充電可能な車両状態ではない場合(ステップS105:No)、ステップS113へ移行する。
【0079】
上述してきたように、実施形態に係る充電制御装置1は、コントローラ2を備える。コントローラ2は、車両Cの走行駆動部(モータ装置30)へ電力を供給する第1電池(LiB10)と、車両Cに搭載された制御装置(充電制御装置1)へ電力を供給する第2電池(PbB20)とを備える車両Cに設けられ、外部電源(充電装置100)から高圧給電経路(第2電力経路54)を介しての第1電池の充電を制御する。コントローラ2は、外部電源が車両Cに接続された場合において、第1電池の充電を行っていない期間は、外部電源から低圧給電経路(第1電力経路53)を介しての給電を受けて動作し、第1電池の充電を行っている期間は、第2電池から給電を受けて動作する。
【0080】
これにより、適合判定を行っている期間等といったLiB10の充電を行っていない期間において、充電装置100から直接充電制御装置1へ電力供給を行うことで、外部充電を行う際のPbB20の電力消費を低減できる。
【0081】
なお、本開示では、第1電力経路53にキャパシタを設け、第1電力経路53の電力供給が途絶えた場合に、キャパシタに蓄電された電力を充電制御装置1へ供給することで、充電制御装置1を一定時間動作させることができる。かかる点について、図4を用いて説明する。
【0082】
図4は、変形例に係る車両Cの構成を示す図である。図4に示すように、第1電力経路53は、キャパシタ60を備える。具体的には、キャパシタ60は、第1電力経路53を構成する電力線53に設けられる。より具体的には、キャパシタ60は、インレット50と、第1スイッチSW1との間に配置される。
【0083】
キャパシタ60は、充電装置100から第1電力経路53を介して充電制御装置1へ電力を供給する際、かかる電力の一部を蓄電する。そして、キャパシタ60は、例えば、電力線53の断線(キャパシタ60よりも充電装置100側に限る)等の異常により充電装置100から第1電力経路53への電力供給が途絶えた場合、蓄電した電力を充電制御装置1へ供給する。
【0084】
つまり、コントローラ2は、充電装置100から第1電力経路53への電力供給が途絶えた場合に、第1スイッチSW1をオン継続することで、キャパシタ60から充電制御装置1へ電力を供給する。
【0085】
そして、充電制御装置1は、キャパシタ60から供給される電力により動作して、例えば、第1電力経路53から第2電力経路54への切り替えを行う。あるいは、充電制御装置1は、キャパシタ60から供給される電力により動作して、充電装置100へ充電終了通知を行ってもよい。
【0086】
このように、第1電力経路53にキャパシタ60を設けることで、充電装置100から充電制御装置1への電力供給が途絶えた場合でも、充電制御装置1は、キャパシタ60の電力により一定時間動作できる。
【0087】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 充電制御装置
2 コントローラ
3 記憶部
30 モータ装置
40 DCDCコンバータ
50 インレット
51 通信線
52 ジカ線
53 電力線
54 電力線
60 キャパシタ
100 充電装置
101 コネクタ
C 車両
S 充電システム
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
SW3 高圧スイッチ
図1
図2
図3
図4