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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091126
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ビタミン誘導体含有組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20240627BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240627BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20240627BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240627BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240627BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240627BHJP
   A23L 33/15 20160101ALI20240627BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/44
A61K31/375
A61K47/18
A61P1/02
A61Q11/00
A23L33/15
A23L29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207600
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二木 美咲
(72)【発明者】
【氏名】水津 拓
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4B018MD10
4B018MD18
4B018MD23
4B018ME14
4B035LC05
4B035LG07
4B035LG14
4B035LG16
4C076BB01
4C076BB22
4C076CC09
4C076DD51Q
4C076FF65
4C083AC711
4C083AD641
4C083AD661
4C083CC41
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE31
4C086AA01
4C086AA10
4C086BA09
4C086BA18
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA57
4C086NA03
4C086ZA67
(57)【要約】
【課題】dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルの安定性を高める手法の提供。
【解決手段】(A)dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩、及び
(B)脂肪酸アミドアルキルベタイン及びアルキルベタインからなる群より選択される少なくとも1種
を、質量比((A):(B))1:0.1以上で含有する、組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩、及び
(B)脂肪酸アミドアルキルベタイン及びアルキルベタインからなる群より選択される少なくとも1種
を、質量比((A):(B))1:0.1以上で含有する、
ヒト用の口腔用組成物。
【請求項2】
(A)及び(B)を質量比((A):(B))1:0.1~100で含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(B)が、
式:
【化1】
(式中、Rは炭素数5~22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示し、nは1~6を示す。)で表わされる脂肪酸アミドアルキルベタイン、
並びに
式:
【化2】
(式中、Rは炭素数1~22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。)で表わされるアルキルベタイン
からなる群より選択される少なくとも1種
である、
請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
nが3を示す、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
(B)が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びパーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン、
並びに
ラウリルジメチル酢酸ベタイン、トリメチルアミノ酢酸ベタイン(トリメチルグリシン)、テトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びミリスチルベタイン
からなる群より選択される少なくとも1種
である、
請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
(A)を0.01~0.5質量%含有する請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ビタミン誘導体含有組成物等に関し、より詳細には、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩、及び特定のベタイン型両性界面活性剤を含む組成物、並びにその用途等に関する。
【背景技術】
【0002】
dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル(本明細書において、「EPC」と表記することがある)は、ビタミンCとビタミンEがリン酸を介してエステル結合した化合物であり、抗酸化作用、抗炎症作用、保湿作用を有しており、化粧料等に使用されている。また、例えば口腔分野での応用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/196852号
【特許文献2】特開平08-012568号公報
【特許文献3】特開平10-067639号公報
【特許文献4】特開2013-091617号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Periodontol 2000. 2015 Oct;69(1):7-17. Molecular aspects of the pathogenesis of periodontitis
【非特許文献2】J Periodontal Res. 2016 Dec;51(6):748-757. Influence of retinoic acid on human gingival epithelial barriers
【非特許文献3】Int J Dent. 2012; 2012: 821383.Published online 2012 Jul 26. Host-Bacteria Crosstalk at the Dentogingival Junction
【非特許文献4】Arch Oral Biol. 2016 Jun;66:30-7. The traditional Japanese medicine hangeshashinto alleviates oral ulcer-induced pain in a rat model.
【非特許文献5】Aust Dent J. 2009 Dec;54(4):347-54. Localization of matrix metalloproteinases (MMPs-2, 8, 9 and 20) in normal and carious dentine.
【非特許文献6】YAKUGAKU ZASSHI 114 (7) 514-522 (1994)
【非特許文献7】Biophys. Chem. 1999 Mar 29, 77(2-3), 153-160. Antioxidant properties of EPC-K1: a study on mechanisms
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルは、熱や光に対して不安定であり、分解が起こりやすく、経時安定性が悪い。このために、各種用途(例えば化粧品組成物、医薬品組成物、食品組成物、口腔用組成物等)に安定して配合することが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、EPCを安定化させる方法(特にEPCを組成物中に安定に配合できる方法)について検討を進めた。そして、EPC又はそのアルカリ金属塩に特定のベタイン型両性界面活性剤を組み合わせて用いることで、EPCの安定性を高め得る可能性を見いだし、さらに検討を重ねた。
【0007】
本開示は、例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩、及び
(B)脂肪酸アミドアルキルベタイン及びアルキルベタインからなる群より選択される少なくとも1種
を、質量比((A):(B))1:0.1以上で含有する、
ヒト用の口腔用組成物。
項2.
(A)及び(B)を質量比((A):(B))1:0.1~100で含有する、項1に記載の組成物。
項3.
(B)が、
式:
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、Rは炭素数5~22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示し、nは1~6を示す。)で表わされる脂肪酸アミドアルキルベタイン、
並びに
式:
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、Rは炭素数1~22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。)で表わされるアルキルベタイン
からなる群より選択される少なくとも1種
である、
項1又は2に記載の組成物。
項4.
nが3を示す、項3に記載の組成物。
項5.
(B)が、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、及びパーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン、
並びに
ラウリルジメチル酢酸ベタイン、トリメチルアミノ酢酸ベタイン(トリメチルグリシン)、テトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、及びミリスチルベタイン
からなる群より選択される少なくとも1種
である、
項1又は2に記載の組成物。
項6.
(A)を0.01~0.5質量%含有する項1~5のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0012】
EPC又はそのアルカリ金属塩を安定に含有する組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0014】
本開示に包含される組成物は、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル(EPC)又はそのアルカリ金属塩、並びに、特定のベタイン型両性界面活性剤を含有する。本明細書において当該組成物を、「本開示の組成物」と表記することがある。本開示の組成物は、例えば化粧品組成物、医薬品組成物、食品組成物、口腔用組成物等として好適に用いることができる。また、本開示の組成物に含まれるdl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル又はそのアルカリ金属塩を(A)成分、特定のベタイン型両性界面活性剤を(B)成分と表記することがある。
【0015】
dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステル(EPC)は、アスコルビン酸(ビタミンC)とトコフェロール(ビタミンE)とがリン酸を介してエステル結合した化合物であり、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸とも称される。化学式を以下に示す。
【0016】
【化3】
【0017】
dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルのアルカリ金属塩としては、例えば、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルナトリウム、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルリチウム等が挙げられる。中でも、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム(EPC-K)が好ましい。
【0018】
また、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルアルカリ金属塩は、モノ塩であってもよく、ジ塩であってもよい。
【0019】
本開示の組成物に含有される(B)特定のベタイン型両性界面活性剤としては、カルボキシベタインが好ましく挙げられ、より具体的には、脂肪酸アミドアルキルベタイン(B1)、アルキルベタイン(B2)が挙げられる。脂肪酸アミドアルキルベタインを(B1)成分と、アルキルベタインを(B2)成分と、それぞれ表記することがある。当該(B)特定のベタイン型両性界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
(B1)脂肪酸アミドアルキルベタインとしては、式:
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、Rは炭素数5~22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示し、nは1~6を示す。)で表わされる化合物が例示される。当該式中、Rは炭素数5~22(5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。なお、当該ベタインは、Rが異なるものの混合物であってもよく、例えばRCO-がヤシ油脂肪酸残基であるものなども好ましく包含する。また、nは1~6(1、2、3、4、5、又は6)を示し、特に3を示す(つまり、アミドプロピルベタインである)ことが好ましい。
【0023】
脂肪酸アミドアルキルベタインとしては、より具体的には例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタインともいう)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。脂肪酸アミドアルキルベタインは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
(B2)アルキルベタインとしては、式:
【0025】
【化5】
【0026】
(式中、Rは炭素数1~22の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。)で表わされる化合物が例示される。当該式中、Rは炭素数1~22(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は22)の直鎖若しくは分岐鎖状アルキル基を示す。
【0027】
アルキルベタインとしては、より具体的には例えば、ラウリルジメチル酢酸ベタイン、トリメチルアミノ酢酸ベタイン(トリメチルグリシン)、テトラデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン等が挙げられる。アルキルベタインは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
本開示の組成物には、(A)成分と(B)成分とが、質量比((A):(B))で、1:0.1以上となるように含有され、好ましくは1:0.15以上、より好ましくは1:0.2以上となるように含有される。
【0029】
(A)成分1質量部に対する(B)の質量部の上限は、特に限定されないが、例えば100部を挙げることができる。言い換えれば、当該質量比は1:0.1~100であってもよい。(A)成分1質量部に対する(B)の質量部の当該範囲(0.1~100)の上限又は下限は、例えば、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99であってもよい。当該範囲は例えば0.15~50若しくは0.2~30程度であってもよい。
【0030】
本開示の組成物に含まれる(A)成分の含有量は、上記質量比((A):(B)が1:0.1以上)を満たせば制限はされないが、例えば、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、(A)成分の含有量の上限は特に限定されないが、例えば0.5質量%程度が挙げられる。当該範囲(0.01~0.5質量%)の上限又は下限は、例えば0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、又は0.45質量%程度であってもよい。より具体的には、例えば、0.02~0.4質量%若しくは0.03~0.3質量%程度であってもよい。
【0031】
本開示に組成物に含まれる(B)成分の含有量は、上記質量比((A):(B)が1:0.1以上)を満たせば制限はされないが、例えば、0.001~5質量%であることが好ましい。当該範囲の上限又は下限は、例えば0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、又は4.5質量%であってもよい。当該範囲は例えば0.005~3質量%程度であってもよい。
【0032】
上記の通り、本開示の組成物は、例えば化粧品組成物、医薬品組成物、食品組成物、口腔用組成物等として好適に用いることができる。
【0033】
本開示の組成物の適用対象としては、ヒトを含む哺乳動物(例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、ヒツジ、ウマ、ウシ、サル等)等が例示される。中でもヒトが好ましい。
【0034】
本開示の組成物は、例えば、固形組成物、液体組成物等で有り得る。また、本開示の組成物(特に口腔用組成物)は、常法に従って例えば軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、パスタ剤、ジェル剤、液剤、スプレー剤、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、ガム剤、タブレット、ドロップ等の形態(剤形)にすることができる。なかでも、洗口液剤、液体歯磨剤、練歯磨剤、軟膏剤、ペースト剤、液剤、ジェル剤であることが好ましい。
【0035】
本開示の組成物は、(A)成分及び(B)成分の他、効果を損なわない範囲で、例えば口腔用組成物に配合し得る任意成分を単独で又は2種以上さらに含有してもよい。
【0036】
例えば、界面活性剤として、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、または、(B1)成分、(B2)成分以外の両性界面活性剤を配合することができる。具体的には、例えば、ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル;脂肪酸アルカノールアミド類;グリセリン脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセライド;セバシン酸ジエチル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩;ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。(B1)成分、(B2)成分以外両性イオン界面活性剤としては、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N-ラウロイル-N'-カルボキシメチル-N'-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム液、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N'-カルボキシエチル-N'-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム等のイミダゾリン型活性剤;ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム液等のアミノ酸型活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。その配合量は、通常、組成物全量に対して0.1~5質量%である。
【0037】
なお、本開示の組成物は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種の界面活性剤を含まなくてもよい。
【0038】
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては、例えば、エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~40であり、アルキル基の炭素数が7~30であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~40であり、アルキル基の炭素数が1~18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、例えば、エチレンオキサイドの平均付加モル数が1~40であり、アルキル基の炭素数が1~20であるポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0039】
また、香味剤として、例えば、メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセテート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油、d-カンフル、d-ボルネオール、ウイキョウ油、ケイヒ油、シンナムアルデヒド、ハッカ油、バニリン等の香料を用いることができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて組成物全量に対して例えば0.001~1.5質量%配合することができる。
【0040】
また、甘味剤として、例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、p-メトキシシンナミックアルデヒド等を用いることができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて組成物全量に対して例えば0.01~1質量%配合することができる。
【0041】
さらに、湿潤剤として、ソルビット、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3―ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、ポリオキシエチレングリコール等を単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0042】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウムなどのセルロース誘導体、キサンタンガムなどの微生物産生高分子、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナン、デキストリン、寒天、ペクチン、プルラン、ジェランガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムなどの天然高分子または天然ゴム類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウムなどの合成高分子、増粘性シリカ、ビーガムなどの無機粘結剤、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン性粘結剤が挙げられる。これら粘結剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等を配合することができる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
着色剤として、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等を配合してもよい。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
pH調整剤として、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等を配合してもよい。これらは、組成物のpHが4~8、好ましくは5~7の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。pH調整剤の配合量は例えば0.01~2重量%であってよい。
【0046】
なお、本開示の組成物には、さらに、薬効成分として酢酸dl-α-トコフェロール、コハク酸トコフェロール、またはニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム等のビタミンC類、塩酸ピリドキシン、ピリドキシン塩酸塩等のビタミンB類、ドデシルジアミノエチルグリシン等の両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム等のアニオン系殺菌剤、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等のカチオン系殺菌剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)等の酵素、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム等のアルカリ金属モノフルオロフォスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物、トラネキサム酸やイプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グリセロフォスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド、アラントイン、カルバゾクロム、硝酸カリウム、パラチニット等を、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0047】
また、基剤として、アルコール類、シリコン、アパタイト、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、プラスチベース等を添加することも可能である。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0048】
研磨剤の具体例としては、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、シリカ、ゼオライト、メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ベンガラ、硫酸カルシウム、無水ケイ酸等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0049】
安定化剤の具体例としては、たとえば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0050】
本開示の組成物は、公知の方法または公知の方法から容易に想到する方法により調製することができる。例えば、(A)成分、(B)成分、及び必要に応じてその他の成分等を適宜混合することによって調製することができる。
【0051】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件の任意の組み合わせを全て包含する。
【0052】
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
【実施例0053】
以下、例を示して本開示の実施形態をより具体的に説明するが、本開示の実施形態は下記の例に限定されるものではない。なお、検討に使用した機器の詳細について次に記載する。
【0054】
・液体クロマトグラフィー(HPLC)
試料溶液:測定対象組成物約2gを精密に量りメタノールを加えて正確に50mLとし、試料溶液とする。
検出器:紫外可視吸光光度計(220nm付近)
カラム:液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリカゲルを充てんしたもの
【0055】
組成物の調製及び評価
表1に記載の組成に従い、dl-α-トコフェロール 2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム(EPC-K)、ベタイン型の両性界面活性剤、及び精製水を混合して、各組成物を調製した。
【0056】
そして、以下のようにして、各組成物におけるEPC-Kの光安定性を検討した。
【0057】
[熱安定性試験]
各組成物を80mLずつプラスチック容器に充填し、60℃(暗部)の条件下で3週間、あるいは、55℃(暗部)の条件下で2月間、静置した。静置後の各組成物を測定対象組成物として、HPLCでEPC-Kの残量を定量した。
【0058】
結果を表1にあわせて示す。
【0059】
なお、表1においては、EPC-K、各ベタイン、精製水、及び合計の値は組成物の質量%を示す。また、EPC-Kの残量は、調製時に用いたEPC-K量を100%としたときの、質量%値で示す。また、安定性評価では、ベタインを配合しなかった組成物であって、同じ量のEPC-Kを含有する組成物と比べてEPC-Kの残量が多かったものを○、同量または少なかったものを×、と評価した。(すなわち、実施例1、2、4、6~9、及び比較例5は、比較例1と比較した時のEPC-Kの残量に基づいて、また、実施例3、5、及び比較例3、4は、比較例2と比較した時のEPC-Kの残量に基づいて、それぞれ評価した。)なお、NDは未検討であることを示す。
【0060】
【表1】