(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091134
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240627BHJP
B65H 1/00 20060101ALI20240627BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20240627BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240627BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240627BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B41J29/38 206
B65H1/00 Z
B65H11/00 Z
B41J29/00 A
G03G21/00 370
H04N1/00 567L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207611
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長田 久
(72)【発明者】
【氏名】窪田 一太朗
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 彩
(72)【発明者】
【氏名】日原 康太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 文秀
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
3F063
3F343
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061BB15
2C061HJ03
2C061HJ07
2C061HK08
2C061HN15
2H270KA57
2H270MC61
2H270NE08
2H270ZC03
2H270ZC04
3F063BA02
3F343FA01
3F343FB01
3F343GA01
3F343GB01
5C062AA05
5C062AB22
5C062AB30
5C062AB35
5C062AB40
5C062AC04
5C062AC10
5C062AC15
(57)【要約】
【課題】画像形成装置に装置の外部からシートを供給するトレイとシート処理装置を画像形成装置の一方の側に併設させる。
【解決手段】画像形成システムは、トレイからの給紙が行えないシステム構成において、給紙先を選択する選択手段によるトレイの選択を不可とする。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置であって、前記画像形成装置の一方の側面に回動可能に設けられ、前記画像形成部へ供給するシートを載置可能なトレイと、鉛直方向において前記画像形成装置の下部に設けられ、前記画像形成部へ供給するシートを収容可能な収容部と、を有する画像形成装置と、
鉛直方向において前記トレイの上方に設けられ、前記画像形成装置の前記一方の側面に位置する排出口から排出されるシートを受け入れ、当該シートを搬送する搬送処理を行うシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されたシートに対して綴じ処理を行うシート処理装置と、
前記画像形成部によって画像形成するシートを前記トレイと前記収容部とのいずれから供給するかを選択可能な選択手段と、
前記シート搬送装置と前記シート処理装置との接続情報に基づいて、前記選択手段における前記トレイへの選択を不可とする制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と、画像形成装置によって画像形成されたシートに対する処理を施すシート処理装置を含む画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置には、積載部に積載されたシートを給送部によって給装し、給装部により給送されたシートに対して画像形成を行っている。例えば、特許文献1では、画像形成装置の左側面に設けられた給紙トレイに積載されたシートを画像形成装置内部へと給送する構成が開示されている。また、特許文献1では、画像形成装置の側面に設けられる給紙トレイが、本体の側面に沿う収納状態と、シートを給紙するために仕様する使用状態とに回動可能な構成を開示している。
【0003】
一方で、特許文献2のように、給紙トレイの上方に、画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して綴じ処理などの所定の処理を実行するシート処理装置を備える画像形成システムの構成が採用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-152549号公報
【特許文献2】特開2014-193562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、特許文献2のような画像形成装置に支持されるシート処理装置だけでなく、画像形成装置と横並びに設置するシート処理装置も多くある。シート処理装置は、装置自体のサイズや、シートに対して可能な処理内容が異なる場合があるため、ユーザの使用環境や所望する成果物によってシート処理装置を選択して画像形成装置に接続し、画像形成システムを構成する必要がある。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置のように、画像形成装置側面に設けられた給紙トレイと、画像形成後のシートが排出される排出口が同じ側面に位置している場合、画像形成装置に接続されるシート処理装置のサイズによっては給紙トレイが使用できなくなる場合がある。この場合、ユーザが画像形成処理を開始するために側面に設けられた給紙トレイからの給紙を行う誤設定をしてしまった場合、再度設定をし直さなければならず、ユーザの操作性が損なわれるおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、いかなるシート処理装置を用いる場合であってもユーザの操作性を損なうことを抑制することができる画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置であって、前記画像形成装置の一方の側面に回動可能に設けられ、前記画像形成部へ供給するシートを載置可能なトレイと、鉛直方向において前記画像形成装置の下部に設けられ、前記画像形成部へ供給するシートを収容可能な収容部と、を有する画像形成装置と、 鉛直方向において前記トレイの上方に設けられ、前記画像形成装置の前記一方の側面に位置する排出口から排出されるシートを受け入れ、当該シートを搬送する搬送処理を行うシート搬送装置と、 前記シート搬送装置によって搬送されたシートに対して綴じ処理を行うシート処理装置と、 前記画像形成部によって画像形成するシートを前記トレイと前記収容部とのいずれから供給するかを選択可能な選択手段と、 前記シート搬送装置と前記シート処理装置との接続情報に基づいて、前記選択手段における前記トレイへの選択を不可とする制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、いかなるシート処理装置を用いる場合であってもユーザの操作性を損なうことを抑制することができる画像形成システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1のシート折り装置の主要部を示す説明図。
【
図3】(a)~(c)図はシート折り装置による折り処理を工程順に示す説明図。
【
図4】(d)~(f)図は
図3に続く折り処理を工程順に示す説明図。
【
図5】(g)~(i)図は
図4に続く増し折り処理を工程順に示す説明図。
【
図6】シート折り装置をシート処理装置側に残して取付支持部から取付延長部を伸張させた画像形成システムの正面図。
【
図7】
図6において外付けの給紙装置を画像形成装置から離間させた画像形成システムの正面図。
【
図8】伸張させた取付延長部に搬送パスカバーを装着した画像形成システムの正面図。
【
図9】
図8において取付延長部を収縮させた画像形成システムの正面図。
【
図10】シート折り装置を画像形成装置側に残して取付延長部を伸張させた画像形成システムの正面図。
【
図11】
図1に示す排紙部に代えて中継搬送ユニットを配置した画像形成システムの構成全体を示す正面図。
【
図12】
図11に示すシート折り装置を除いた画像形成システムの構成全体を示す正面図。
【
図14】他の画像形成システムの構成を示す説明図。
【
図15】画像形成システムの制御構成を示すブロック図。
【
図16】画像形成システムの制御フローを示すフローチャート。
【
図18】手差し給紙部からの給紙を中止する場合の表示画面を示す図。
【
図19】他の画像形成システムの構成を示す説明図。
【
図20】他の画像形成システムの構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。添付図面において、同一又は類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表す。
【0012】
[画像形成システム]
図1は、画像形成システム1000の構成全体を正面側から示している。本明細書中において正面とは、特に断らない限り、
図1に示すように、ユーザが操作のために画像形成システム1000に相対する位置である。つまり、ユーザが操作する操作部20が配置されている側面が、正面側である。そして、本明細書中において左右とは、画像形成システム1000を正面から見た左側及び右側のことを指す。
【0013】
画像形成システム1000は、画像形成装置Aと、該画像形成装置により画像形成されたシートの後処理装置としてのシート処理装置Bと、それらの間に連結されたシート折り装置Cとから構成される。本実施形態の画像形成システム1000は更に、画像形成装置Aにシートを供給する外付けの給紙装置Dを備えている。尚、以下の説明では、画像形成装置A、シート処理装置B並びにシート折り装置Cのそれぞれにおいて給紙側から排紙側に向けてシートが搬送される方向、及び画像形成装置A側からシート折り装置C及びシート処理装置B側に向けてシートが搬送される方向をシート搬送方向とし、単に「上流側」及び「下流側」という場合、それらはシート搬送方向の上流側と下流側を意味するものとする。
【0014】
[画像形成装置]
画像形成装置Aは、画像形成部A1と、画像読取部A2と、原稿給送部A3とを含む。画像形成部A1は、公知のインクジェット印刷機構によりシート上に画像を形成する型式のものであり、装置ハウジング1内に本体給紙部2と、画像形成部3と、搬送部4と、本体制御部(後述)とを備える。尚、本実施形態において装置ハウジングとは、内部に収容される各部材を支持する支持フレームや外装カバーを含む全体の構成のことを指す。
画像形成部A1の上部には、画像読取ユニット5を内部に有する画像読取部A2と、画像読取部A2へ原稿を搬送する原稿送りユニット6を有する原稿給送部A3とが設けられている。また、画像読取部A2よりも正面側には、ユーザによって給紙先の選択等の設定を行うために操作可能な操作部20が設けられている。操作部20は、タッチパネル21が設けられ、ユーザはタッチパネル21をタッチ操作することで画像形成装置Aへ処理内容を指示することが可能となっている。尚、本実施形態ではタッチパネル21のみを有する操作部20を図示したが、操作部20には各種ハードキーを備えてもよい。
【0015】
本実施形態の画像形成装置Aは、所謂胴内排紙型であり、画像形成部3と搬送部4と画像読取装置A2とが略コの字状に配置されている。そして、鉛直方向にける画像形成部3と画像読取装置A2の間には、図中左側(シート処理装置B側)及び正面側が開放した排紙空間(胴内空間)が配置されている。そして、排紙空間には第1中継搬送ユニットA4が配設されている。更に、画像形成装置Aには、主積載トレイ7を有する排紙部A5が、一体に装着されている。主積載トレイ7は、その基端側に設けられた枢軸(図示せず)を中心にそれより先端側が、
図1に実線で示す排紙位置から、同図に破線で示す退避位置に向けて回転可能に設けられている。
【0016】
画像形成部A1は、
図1に示すように、装置ハウジング1の一方の側面(本実施形態では、左側面)に、外向き(搬送方向下流側、図中左向き)に略水平に延出する取付支持部200が固定されている。排紙部A5は、装置ハウジング1の左上角部で、画像読取ユニットA2及び原稿給送ユニットA3の左側に位置するように、取付支持部200上に固定支持されている。
【0017】
取付支持部200は、更に外向き(搬送方向下流側)に延出する延長支持部201を備えている。延長支持部201は、後述するように、
図1よりも更に外向きに伸張させかつ取付支持部200側に収縮させることができる。また、延長支持部201は、図示しないが、使用しない場合には、取付支持部200内に収容可能に設けることができる。
【0018】
本体給紙部2は、複数段(本実施形態では2段)の給紙カセット2a、2bが、装置ハウジング1に着脱自在に設けられている。給紙カセット2a、2bには、それぞれシートサイズが異なるシートを収容することも可能である。本体給紙部2は、操作部20や外部機器を介してユーザから指示されたサイズのシートを、対応する給紙カセットから給紙経路8に給紙し、画像形成部3へ送り出す。
【0019】
画像形成部A1には、装置ハウジング1に内蔵される本体給紙部2に加えて、手差し給紙部9が設けられている。手差し給紙部9は、装置ハウジング1の左側面に設けられた手差しトレイ10を有する。手差しトレイ10は、正面側から見てその下端付近の回動軸54を中心に、
図1に実線で示す開位置と破線で示す閉位置との間で回動可能である。手差しトレイ10は、開位置に位置している状態において、上面10aが概ね水平に開いており、画像形成ユニットA1に供給されるシートを積載するための載置面10aを有している。手差しトレイ10の回動によって、装置ハウジング1の左側面に設けられた手差し給紙口(図示せず)が開口する。手差しトレイ10の不使用時には、
図1に破線で示すように、装置ハウジング1の左側面に沿う閉位置に戻し、手差し給紙口を閉じることも可能となっている。
【0020】
開位置(給紙位置)に位置した状態の手差しトレイ10の載置面10aに積載されたシートは、装置ハウジング1の手差し給紙口付近に設けられた給紙ローラ(図示せず)によって画像形成部A1内部に給紙され、給紙経路8に合流し、画像形成ユニット3へ送り出される。手差しトレイ10には、より多数枚のシートを揃えた状態で積載し得るように、後述する給紙機構を一体に設けることができる。
【0021】
給紙装置Dは、手差し給紙部9と同じく装置ハウジング1の左側面に取外し可能に接続される。給紙装置Dは、本体給紙部2の給紙カセット2a,2bよりも多数枚(例えば、数百枚~数千枚)のシートの積載に対応可能な大容量に構成されている。給紙装置Dから給送されたシートは、手差し給紙部9と同様に給紙経路8に合流して画像形成部3に送り出される。
【0022】
更に画像形成部A1には、画像形成ユニット3により片面に画像形成されたシートを反転させて、裏面にも画像形成するために、反転トレイ11が設けられている。反転トレイ11は、手差し給紙部9と同じく装置ハウジング1の左側面であって、排紙部A5の下方の位置において排紙部A5との間に一定のシート支持スペースを確保するように配置されている。
【0023】
画像形成ユニット3は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の各色毎のユニットを有しており、搬送されるシートに対してそれぞれ画像形成可能となっている。本実施形態では、画像形成ユニット3は、色毎にそれぞれがユニット化されたインクジェットヘッドのことを示している。尚、画像形成部3は、本体給紙部2、手差し給紙部9や給紙装置Dから給送されたシートに画像を形成するように構成されていればよく、種々の画像形成機構が採用可能である。本実施形態では、インクジェット方式の画像形成ユニットを示したが、電子写真方式、オフセット印刷方式、シルク印刷方式等、他の種々の画像形成機構を採用することも可能である。
【0024】
搬送部4は、本体給紙部2、手差し給紙部9及び給紙装置Dからシートを画像形成ユニット3による画像形成位置へ搬送する給紙経路8と、画像形成ユニット3によって画像形成されたシートをさらに下流へと搬送する搬送路12が設けられている。搬送路12は、反転トレイ11へとシートを搬送する第1搬送経路13と、反転トレイ11からスイッチバックして画像形成部3へシートを搬送する第2搬送経路14と、画像形成部3から排紙部A5(胴内空間)へシートを搬送する主搬送経路15とを備える。尚、説明を省略したが、それぞれの搬送路には図示するように複数の搬送ローラ対が設けられており、各搬送ローラ対によってシートを搬送している。
【0025】
主搬送経路15は、第1中継搬送ユニットA4に設けられた第1中継搬送経路16にシートを受け渡し可能となるように、第1中継搬送経路16と接続されている。第1中継搬送経路16には、シート搬送方向に沿って複数の搬送ローラ対が配設され、排紙部A5の給紙口17に接続されている。排紙部A5には、第1中継搬送ユニットA4から給紙口17を介して搬送されたシートを主積載トレイ7に排出するための排紙搬送経路18が設けられている。排紙口から主積載トレイ7へシートを排紙するために設けられる排紙ローラ対は、排紙ローラ対の回転軸線方向に移動可能に設けることで、積載トレイ7に排出するシートの位置を変えて仕分けすることができる。
【0026】
更に排紙部A5には、中継搬送経路19が、排紙搬送経路18と分岐するように設けられている。中継搬送経路19は、後述するシート折り装置Cへシートを搬送するため、シート折り装置Cに接続されている。
【0027】
更に排紙部A5は、画像読取装置A2及び原稿給送装置A3に隣接する上蓋部分210が、図中右側に設けられる回動軸(図示せず)を中心に上向きに回転可能に構成されている。上蓋部分210を
図1に破線で示す位置まで回転させることによって、排紙部A5の上部が開放され、排紙搬送経路18等にジャムが発生した場合に、シートを取り除くなどのジャム解消作業を行うことができる。
【0028】
画像読取ユニット5は、不図示のプラテンガラスの上に載置された原稿に光源から光を照射し、その反射光をCCDに入力することによって原稿画像を読み取ることができる。また、画像読取ユニット5は、不図示の流し読み位置において停止することで、自動原稿送り部6によって搬送される原稿の画像を読み取ることができる。読み取られた原稿画像は、電気信号に変換されて画像データとして画像形成部3に伝送される。上述した不図示のプラテンガラスは、原稿送り部6を上方に回動することで露出する構成となっている。
【0029】
[シート処理装置]
シート処理装置Bは、画像形成装置Aに対してシート搬送方向下流側に配置されている。また、シート処理装置Bは、画像形成装置Aと同じ設置面56に設置されている。シート処理装置Bの装置ハウジング21は、延長支持部201の外端(同図中左端)が結合され、それにより後処理装置Bは画像形成装置Aと一体に連結されたシステム構成となっている。延長支持部201は、上述したように取付支持部200に対して伸張・収縮可能に設けられているので、後処理装置Bは、画像形成装置Aとの連結を維持した状態で、画像形成装置Aから離反または接近する向きに移動させることができる。尚、本実施形態において装置ハウジングとは、内部に収容される各部材を支持する支持フレームや外装カバーを含む全体の構成のことを指す。
【0030】
装置ハウジング21は、右側面に画像形成装置Aによって画像が形成されたシートを搬入するための搬入口22が設けられている。装置ハウジング21の内部には、搬入口22から搬入されるシートにそれぞれ異なる後処理を行う第1~第3処理部B1~B3が設けられている。また装置ハウジング21には、搬入口22からシートを搬送するシート搬入経路が内設され、第1~第3処理部B1~B3に向けて分岐されている。本実施例において、第1処理部B1は、シートに対して穿孔処理を行う穿孔処理部であり、第2処理部B2は、複数枚のシートの端部等を綴じる綴じ処理部であり、第3処理部B3は、シートに対して2つ折りや3つ折りを施す折り処理や、シートの中央部を綴じて折り処理を施す中綴じ処理などを行う折り処理部である。
【0031】
第2処理部B2によって綴じ処理されたシートは、積載トレイ23に排出される。積載トレイ23は、破線で示した方向に移動可能な機構を備え、多くのシート(例えば2000枚)を積載可能にしている。また、第3処理部B3によって折り処理されたシート束は、積載トレイ24に排出される。シート処理装置Bの処理内容として上述した処理は、あくまでも一例であり、他の処理を実行するユニットを備える構成であってもよう。例えば、搬送されるシートをシート搬送方向に直交する幅方向に所定量オフセットするオフセット処理を施すユニットを備えていてもよい。オフセット処理が施されたシートは積載トレイ25に排出さる構成であってもよい。また、積載トレイ25には、各種処理を施さずにシートを排出するための積載トレイとして用いてもよい。また、画像形成システム1000では、画像形成装置Aと給紙装置Dの下部を連結するための連結板67を設けている。連結板67は、給紙装置Dの不図示のフレームと、シート処理装置Bのフレーム55に固定されている。このように、給紙装置Dとシート処理装置Bとを下部において連結することで、シート処理装置Bが移動するような力がシート処理装置Bに加えられたとしても、画像形成装置Aに対して位置がずれてしまうことを抑制することができる。
【0032】
[シート折り装置]
シート折り装置Cは、
図1に示すように、取付延長部200から延出する延長支持部201に固定支持されて、排紙部A5とシート処理装置Bとの間に連結されている。シート折り装置Cは、画像形成装置Aから排出されたシートに対して折り処理を施す装置である。
【0033】
シート折り装置Cは、その内部に設けられた搬送経路101の上流端である給紙口101aが、排紙部A5の排紙口19aから排出されるシートを受け入れ可能となるように配置されている。更にシート折り装置Cは、排出口101bから、シート処理装置Bの搬入口21へシートを搬送可能となるように配置されている。従って、排紙部A5からシート折り装置Cに搬入されたシートは、シート折り装置Cで折り処理された後シート処理装置Bに搬送される。尚、シート折り装置Cは、シートに折り処理を実行せず、排紙部A5からシート処理装置Bへシートを搬送することも可能となっている。
【0034】
図2は、シート折り装置Cの内部構成を概略的に示している。シート折り装置Cの内部の略水平方向に延びる搬送経路101には、一つ又は複数の搬送ローラ対102と、搬送ローラ対102の下流側に配置される折り処理機構103即ち折り処理部とが設けられ、折り処理機構103の下流側の搬送経路101の末端部には、増し折りユニット104が設けられている。これにより、シート折り装置Cは、搬送経路101に沿って搬送されるシートに折り処理機構103によって折り処理を施した後に、増し折りユニット104によって増し折り処理を施し、折り処理及び増し折り処理を施したシートをシート処理装置Bに引き渡すことができる。
【0035】
搬送経路101上には、搬送されるシートの先端及び後端を検出するセンサ304a、304bが設けられている。センサ304aは、搬送ローラ対102の上流側で画像形成装置Aと搬送ローラ対102との間に配置されており、センサ304bは、折りローラ対105の下流側で該折りローラ対105と増し折りユニット104との間に配置されている。
【0036】
搬送ローラ対102は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側搬送ローラ102aと、上側搬送ローラ102aと対向して下側に配置される下側搬送ローラ102bとを含んでいる。本実施形態では、上側搬送ローラ102aは、図示されていない搬送ローラ駆動モータに連結されており、搬送ローラ駆動モータの回転に伴って回転するようになっている一方、下側ローラ102bは、図示されていないバネの付勢力によって上側搬送ローラ102aに圧接されており、従動的に回転するようになっている。しかしながら、搬送ローラ対102は、シートSを搬送することができれば、上述の構成に限定されるものではなく、適宜の構成を採用することが可能である。
【0037】
折り処理機構103は、折りローラ対105と、突き板107とによって構成されている。折りローラ対105は、ゴムローラで形成されており、上側に配置される上側折りローラ105aと、上側折りローラ105aと対向して下側に配置される下側折りローラ105bとを含んでいる。下側折りローラ105bは、図示されていないバネの付勢力によって上側折りローラ105aに圧接されており、上側折りローラ105aと下側折りローラ105bとは、図示されていない共通の折りローラ駆動モータに連結されており、折りローラ駆動モータの回転に伴って互いと逆向きに回転するようになっている。突き板107は、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間に配置され、図示されていない突き板駆動モータに連結されており、該突き板駆動モータの駆動に伴って折りローラ対105の上流側で搬送経路101と平行にシート搬送方向に直線状に移動するようになっている。
【0038】
搬送ローラ対102と折りローラ対105との間の搬送経路101には、上側搬送ガイド108と、下側搬送ガイド109と、上側折りガイド110と、下側折りガイド111とが設けられている。
【0039】
上側搬送ガイド108は、シートSの先端を搬送ローラ対102から突き板107まで導くように搬送ローラ対102の直後から突き板107の上方まで形成されている。上側搬送ガイド108は、搬送経路101を搬送されるシートSの搬送方向をガイドするためのもので、搬送経路101の上側に配置されており、下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。また、上側折りガイド110は、上側搬送ガイド108と折りローラ対105との間に配置され、折りローラ対105にシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を導くように折りローラ対105の直前まで延びている。上側折りガイド110は、折り処理機構103におけるシートSの搬送方向をガイドするためのものであり、上側搬送ガイド108の下流側で搬送経路101の上側に設けられている。
【0040】
下側搬送ガイド109は、搬送経路101を搬送されるシートSの搬送方向をガイドするためのもので、搬送経路101の下側に配置されており、上側搬送ガイド108と同様に下流側に向かうに従い下方に屈曲した形状となっている。下側搬送ガイド109は、突き板107の手前で途切れており、下側搬送ガイド109の下流側には、開いたループ形成空間50が形成されている。下側折りガイド111は、突き板107の下流側に配置され、搬送されるシートSの先端及び後述するシートSの折り曲げ部を折りローラ対105のニップ部へ導くための水平面と水平面へ導きやすくするための傾斜面とを有している。
【0041】
突き板107は、前記突き板駆動モータからなる図示されていない突き板駆動装置と前記制御部とによってシート搬送方向に水平移動されるようになっている。また、突き板107は、搬送経路101に沿ってシートSを搬送ローラ対102によって折りローラ対105まで搬送するとき、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間のループ形成空間50を埋めるように配置されており、搬送されるシートSの先端を下側折りガイド111まで導くようになっている。
【0042】
前記制御部には、上述したシート位置検知センサ304a、304bに加えて、突き板107の位置を検出するセンサ304cが接続されている。前記制御部には更に、前記搬送ローラ駆動モータ、前記折りローラ駆動モータ、前記突き板駆動モータ、及び増し折り駆動モータ128に接続されている。前記各センサから入力する検出結果、及び画像形成装置Aから受信する各種情報に基づいて、前記制御部は、前記各駆動モータの駆動を制御し、搬送ローラ対102、折りローラ対105、突き板107、スライダ124及び支持部材112をそれぞれ駆動して、シート折り装置Cにおけるシートの搬送、折り処理及び増し折り処理を制御実行する。
【0043】
前記制御部は、搬送されているシートSの先端が折りローラ対105にニップされた状態において、該シートSに折り曲げ部を形成するために、突き板107を水平方向に下側搬送ガイド109の下方の退避位置へ移動させて、下側搬送ガイド109と下側折りガイド111との間にループ形成空間50を開放させる。その後、シートSの先端が折りローラ対105にニップされた状態で、搬送ローラ対102によりシートSを所定量だけ搬送すると、シートSの中間部がループ形成空間50で搬送経路101から下方に撓んでループ部を作成する。
【0044】
この状態で、突き板107を退避位置から折りローラ対105へ向かって水平方向に移動させて、シートSに折り曲げ部を形成する。突き板107が折りローラ対105の手前まで到達した後に、折りローラ対105を駆動させてシートSを搬送させる。これによって、シートSに第1の折り目132が形成される。更に、突き板107を退避位置へ移動させた後に、折りローラ対105によってシートSを搬送させてループ部をニップする。これによって、第2の折り目133が形成されて、Z折りが施されたシートSが下流側に搬送される。
【0045】
シート折り装置Cには、
図1に破線で示すように、装置ハウジング141の搬送経路101よりも上側に設けられた上蓋部分142が、シート処理装置B側の枢軸(図示せず)を中心に上向きに回転可能に構成されている。このとき、シート折り装置Cの上方に位置する排紙部A5の主積載トレイ7を、
図1に破線で示す前記退避位置に回転させることによって、上蓋部分142との干渉が回避される。上蓋部分142を
図1に破線で示す位置まで回転させることによって、シート折り装置Cの上部が開放されるので、内部でジャムが発生したときに、シートを取り除くなどのジャム解消作業を行うことができる。
【0046】
本実施形態によれば、シート折り装置Cの装置ハウシング141には、反転トレイ11に対向する側面に、開口部(図示せず)を設けることが好ましい。前記開口部は、高さ方向にその位置を反転トレイ11の先端に合わせてかつループ形成空間50に直接開放されるように形成する。従って、両面に画像形成されるシートのサイズがシート搬送方向に大きく、その先端(外端)が反転トレイ11の先端(外端)を越えて飛び出した場合でも、飛び出したシートの先端側部分は、前記開口部を通過してループ形成空間50内へ進む。更に前記開口部は、画像形成装置Aの画像形成に使用される最大サイズのシート幅に十分対応する幅寸法、及び反転トレイ11から飛び出すシート先端側部分の垂れ下がり具合を考慮した高さ寸法に設定される。
【0047】
これによって、大きいサイズのシートが反転トレイ11から飛び出しても、その先端側がシート折り装置Cの装置ハウシング141側面や前記開口部の周縁に衝突したり折れ曲がったりすることなく、スムーズに画像形成部3へと反転搬送することができる。更に、シート折り装置Cと画像形成装置Aとの間で、シート搬送方向にループ形成空間50に、反転トレイ11からシートが飛び出し得る空間を重複させる即ち兼用させることができるので、画像形成システム1000全体をシート搬送方向によりコンパクト化することができる。
【0048】
[折り処理及び増し折り処理]
シート折り装置Cの折り処理及び増し折り処理について、
図3~
図5を用いて具体的に説明する。
図3(a)~(c)、
図4(d)~(f)及び
図5(g)~(f)は、シート折り装置Cが画像形成装置Aからシートを受け入れ、搬送して折り処理及び増し折り処理を行う過程を工程順に示している。
【0049】
前記制御部は、まず突き板107がホームポジションにない場合はホームポジションへ移動させる(
図3(a)の位置)。そして搬送ローラ対102が回転を停止した状態で、画像形成装置Aから搬送されたシートSの先端をセンサ304aで検出して所定時間が経過すると、前記搬送ローラ駆動モータを駆動して搬送ローラ対102を回転させ、
図3(a)に示すように前記シートを受け取り、搬送を開始する。前記所定時間は、シートの先端が搬送ローラ対102のニップ部に当接して、その先端位置を揃えさせるのに必要かつ十分な時間である。
【0050】
前記制御部は、突き板107が搬送ローラ対102と折りローラ対105との間で、ループ形成空間50を閉じる位置に配置された状態(ホームポジション)で、搬送ローラ対102を回転させて、シートSを搬送経路101に沿って搬送し、
図3(b)に示すように、シートSの先端が突き板107の先端を通過した後(折りローラ対105のニップ点よりも19mm手前の位置)、折りローラ対105を回転させると共に、前記突き板駆動モータを駆動して、突き板107を下側搬送ガイド109の下側に位置する退避位置(
図3(c)参照)に向けて移動開始する。
【0051】
図3(c)に示すように、シートSの先端がセンサ304bを通過して所定距離(20mm)搬送された時点で、突き板107は退避位置に到達している。なお、シートSの先端の位置は、シートSが折りローラ対105にニップされた状態でシートSの先端がセンサ304bに検出された時点からの折りローラ対105の駆動量を検出することでシートSの先端の位置を制御する。突き板107が退避位置に移動することで、搬送経路101の下方にループ空間50が開放される。前記制御部は、シートSの先端がセンサ304bよりも20mm下流側に到達したら折りローラ対105を逆転させて、シートSの先端をシート搬送方向上流側に向けてスイッチバック搬送をする。その間も、搬送ローラ対102は、シートSをシート搬送方向へ搬送するように回転し続けるので、シートSは、折りローラ対105より上流側の部分が、搬送経路101からループ形成空間50内にループ状に湾曲して垂れ下がり、該シートに折り目を形成するための折りループFLが形成される。その後も、ループFLは、搬送ローラ対102によるシートSの送出量に応じて大きくなる。
【0052】
前記制御部は、シートSの先端が折りローラ対105のニップ点よりもセンサ304b側にある状態で折りローラ対105のスイッチバック搬送を停止し(
図3(c)の状態から33mm戻した状態。折りローラ対105のニップ点からセンサ304bまでの距離は14mm)、
図4(d)に示す状態で搬送ローラ対102による搬送を継続する。このとき、ループ形成空間50には、搬送ローラ対102の継続的なシートの送り出しによって、シートSに所定の折り位置で折り目を形成するのに適した大きさの折りループFLが形成されている。
【0053】
前記制御部は、シートSに所定のループFLが形成されたら突き板107を退避位置から折りローラ対105側に向けて移動開始し、突き板107の先端を折りループFLに突き当てる。更に突き板107は、その先端で前記シートの所定位置を突き押しながら、
図4(e)に示すように、折りローラ対105のニップ部の直前(突き板107の先端がホームポジションよりも折りローラ対105側に位置する突き位置。突き板107の先端から折りローラ対105のニップ点までの距離は3mm。)まで移動する。このとき、突き板107の先端で突き押しされたシートSの先端部分は、シートSの第1の折り目となる折り位置が仮折りされる。
【0054】
前記制御部は、突き板107が折りローラ対105のニップ点から4.5mm手前の位置まで来たら折りローラ対105を回転させる。その状態で突き板107が上述した突き位置に到達すると、シートSの1つ目の折り目となる折り位置が、折りローラ対105のニップ部に巻き込まれ、下流側へ搬送されつつ、上下折りローラ105a,105b間で加圧折曲される。この加圧加工により、シートSには、
図4(f)に示すように、1つ目即ち第1の折り目132が所定の折り位置に形成される。突き板107は、折りローラ対105のニップ部へのシートSの巻き込みを妨げないように、下側搬送ガイド109下側の退避位置に移動させる。これにより、搬送経路101の下方にループ形成空間50が再び開放される。
【0055】
折りローラ対105は、突き板107を退避させた後も、引き続き回転駆動される。従って、シートSは、
図4(f)に示すように、そのシート搬送方向の先端及び折りローラ対105により形成された第1の折り目132を先にして三つ折り(Z折り)に重ねた状態で、折りローラ対105にニップされ、下流側へ搬送される。
【0056】
シートSのシート搬送方向の後端が、上流ユニットである画像形成装置Aの搬出口を抜けて、シート折り装置Cに完全に搬入されると、
図5(g)に示すように、第1の折り目132が、増し折り処理位置を通過して下流側へ所定の搬送量送り出されたところで、折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止させる。ここで、前記増し折り処理位置は、増し折りコロ114と増し折り受け部材120との間で、増し折り処理を行うためにシートSの折り目が配置されるシート搬送方向の位置である。
【0057】
シートSの1つ目の折り目132が前記増し折り処理位置から停止するまでにシート搬送方向下流側に送り出される前記所定の搬送量は、シートSのシート搬送方向のシート長によって決定され、その短長に応じて変更することができる。本実施形態では、上述したように、折りローラ対105及び搬送ローラ対102の停止時に、シートSのシート搬送方向の後端が上流ユニットを抜けてシート折り装置Cに完全に搬入されている状態であるように、シートSのシート搬送方向長さに応じて決定される。前記制御部は、シートSのシート搬送方向の長さ情報を、画像形成装置Aの前記本体制御部から事前に受け取ることができ、またシート位置検出センサセンサ304a、304bによって、搬送されるシートSの先端及び後端をそれぞれ検出し、その時間差から算出することもできる。
【0058】
次に、
図5(h)に示すように、搬送ローラ対102を停止させた状態で折りローラ対105を逆転させ、シートSをシート搬送方向上流側へ移動させる。シートSの第1の折り目132が前記増し折り位置に戻されると、折りローラ対105を停止させて、第1の折り目132を前記増し折り位置に配置する。
【0059】
このとき、搬送ローラ対102が停止していることによって、シートSには、搬送ローラ対102と折りローラ対105との間で弛みが生じ、搬送経路101からループ形成空間50に垂れ下がって、第2のループFL2を先のループFLの上側に形成する。このように2つのループFL,FL2が1つのループ形成空間50に形成されるので、装置が不必要に大型化せず、装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0060】
この状態で、前記制御部は、増し折り駆動モータ128を駆動して、増し折りコロ114と増し折り受け部材120とにより、第1の折り目132の増し折り処理を行う。増し折り処理が終了すると、搬送ローラ対102及び折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送する。
【0061】
ここで、シートSの下流側への搬送を開始する際、搬送ローラ対102と折りローラ対105の各起動を時間差を設けて開始してもよい。具体的には、例えば、折りローラ対105を先に起動し、それから所定時間経過後に搬送ローラ対102を起動する。このように搬送ローラ対102及び折りローラ対105の起動開始に適当な時間差を設定することによって、ループ形成空間50内に形成された第2のループFL2を解消し又は縮小することができる。また、先のループFLが折りローラ対105に巻き込まれた後に、第2のループFL2が形成されるようにすることもできる。尚、前記時間差は、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の回転量、それらを駆動する前記モータの回転量、シート搬送量等に置き換えて設定することもできる。
【0062】
シートSが下流側へ搬送されるに連れて、ループ形成空間50内の折りループFLは徐々に小さくなり、第2の折り目133が形成される所望の折り位置で上下から二つ折りに屈曲される。この第2の折り目133となるシートSの折り位置は、このように屈曲された形態で搬送され、折りローラ対105のニップ部で加圧折曲され、第2の折り目133が所望の位置に形成される。
【0063】
本実施形態では、シートSのシート搬送方向の後端位置を、第1の折り目132が前記増し折り位置を越えてシートSを下流側に搬送して折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止した時点で、完全に画像形成装置Aを抜けている状態に調整した。しかしながら、折りローラ対105の逆転及び増し折り処理に関連する搬送ローラ対102の回転制御は、これに限定されるものではない。
【0064】
別の実施形態では、
図5(g)に関連して説明したステップにおいて、前記制御部は、折りローラ対105を停止させる一方、その後も搬送ローラ対102を回転させてシートSの後端側をシート搬送方向下流側へ送り出すことができる。この搬送ローラ対102によるシートS後端側の搬送は、折りローラ対105が一旦停止後に逆転しかつ第1の折り目132を前記増し折り位置に戻して停止するまでの間、更に増し折り処理が行われて次のステップに進むまでの間、それら期間の全部で又は部分的に選択して行うことができる。
【0065】
これにより、第1の折り目132の増し折り処理が終了してシートSの下流側への搬送が開始する際におけるシートSの後端位置を、シート搬送方向に沿って調整することができる。例えば、シートSのシート搬送方向の後端が、そのシート搬送方向長さによっては、折りローラ対105の停止時に、未だシート折り装置Cに完全に搬入されておらず、上流ユニットの画像形成装置A内に位置する状態があり得る。この場合であっても、上述したように搬送ローラ対102を回転制御することにより、遅くとも第1の折り目132の増し折り処理が終わるとき、シートSのシート搬送方向の後端が完全に画像形成装置Aを抜けている状態にすることができる。それにより、上述したように、折り処理を含む画像形成システム全体として、生産性の維持・向上を図ることができる。
【0066】
また別の実施形態では、前記制御部は、折りローラ対105を停止して逆転させ、シートSをシート搬送方向上流側に搬送する際に、搬送ローラ対102も一旦停止して逆転させ、シートSの後端側をシート搬送方向上流側へ搬送することができる。この場合、搬送ローラ対102の逆転によるシート搬送量は、折りローラ対105の逆転によるシート搬送量よりも少なくなるように、前記搬送ローラ対及び折りローラ対を制御する。
【0067】
これにより、ループ形成空間50内における第2のループFL2の形成を解消し又はその大きさを縮小することができる。この場合、シートSのシート搬送方向後端は、上流側ユニットの画像形成装置Aに向けて移動するが、この実施形態においても、遅くとも第1の折り目132の増し折り処理が終わるとき、完全に画像形成装置Aを抜けている状態であることが、上述したシステム全体の生産性の観点から好ましい。
【0068】
ここで、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の逆転によるシート搬送量は、シートSのシート搬送方向の搬送距離、搬送時間、前記搬送ローラ対及び折りローラ対の回転量(回転速度、回転時間)等に基づいて設定することができる。また、搬送ローラ対102及び折りローラ対105の逆転開始及び/又は逆転停止は、必ずしも同時に行う必要は無い。例えば、搬送ローラ対102の逆転開始を折りローラ対105の逆転開始よりも遅らせたり、搬送ローラ対102の逆転停止を折りローラ対105の逆転停止よりも早くすることができる。
【0069】
次に
図5(i)に示すように,シートSの2つ目即ち第2の折り目133が前記増し折り処理位置に到達すると、折りローラ対105及び搬送ローラ対102を停止させて、第2の折り目133を前記増し折り処理位置に配置させる。この状態で、増し折り駆動モータ128を駆動して、増し折りコロ114と増し折り受け部材120とにより第2の折り目133の増し折り処理を行う。増し折り処理が終了すると、折りローラ対105を回転させて、シートSを下流側へ搬送し、下流側のシート処理装置Bへ搬出する。
【0070】
これにより、シート折り装置Cにおける一連の折り処理及び増し折り処理が終了する。このとき、シートSの後端は、シート折り装置C側に完全に抜けているので、上流側の画像形成装置Aでは、次のシートをシート折り装置Cへ送り出す準備ができており、システム全体として生産性の維持向上が図られる。
【0071】
[作業性向上]
上述したように、装置ハウジング1の内部に設けられた本体給紙部2に加えて、シートを画像形成装置Aに外部から供給する給紙手段として、手差し給紙部9と外付けの給紙装置Dとが、画像形成ユニットA1の前記一方の側面に設けられている。更に、画像形成装置Aによって画像形成されたシートに後処理を施す後処理装置として、シート処理装置B及びシート折り装置Cが、同じく画像形成ユニットA1の前記一方の側面で、かつ手差し給紙部9及び給紙装置Dに対して画像形成ユニットA1の反対側に、画像形成ユニットA1との間に排紙部中継搬送経路19を挟んで配置されている。
【0072】
このような配置構成により、ユーザは、画像形成ユニットA1の前記一方の側面の側に留まったまま、シートを手差し給紙部9及び給紙装置Dに補給する作業と、後処理されたシートをシート処理装置Bの積載トレイ23~25から取り出す作業とを行うことができる。更に、手差し給紙部9、給紙装置D、シート処理装置B及び/又はシート折り装置Cに発生するシートのジャム等のトラブル処理及び保守作業を、同様にユーザは、画像形成ユニットA1の前記一方の側面の側で行うことができる。従って、ユーザは、画像形成処理システム1000に対する様々な上記作業を効率良く行うことができる。
【0073】
また、シート折り装置Cは、上述した折り処理を行うために、搬送経路101の下方に十分な大きさのループ形成空間50を確保する必要があり、そのため、装置ハウジング141は、搬送経路101より下方の部分が大きく下方に突出している。他方、シート折り装置Cは、手差し給紙部9の開いた手差しトレイ10の上方にそれと平面的に重なるように配置された排紙部A5の排紙部中継搬送経路19に搬送経路101を連続させて、排紙部A5を固定した取付支持部200から延出する取付延長部201に支持されている。このような配置によって、シート折り装置Cは、手差しトレイ10を開閉させる範囲(
図1中破線で示す四半円形の範囲)に干渉しない配置が可能となっている。つまり、
図1に示した画像形成システム1000の構成において、手差しトレイ10は閉状態から開状態へ動作することが可能となっている。よって、手差しトレイ10を開状態として載置面10aにシートを積載することで手差しトレイ10からの給紙が可能となっている。
【0074】
図6及び
図7は、取付延長部201を延長した画像形成システム1000の構成全体を示している。画像形成システム1000は、
図6に示すように、取付支持部200の取付延長部201が、
図1に示す位置から更に外向き(図中左向き)に伸張するように構成されている。このとき、本実施形態において、シート折り装置Cは、シート処理装置Bに一体に接続した状態で、取付延長部201のシート処理装置B側に支持されている。取付延長部201は、
図6に示す伸張位置から
図1の元の位置に収縮させることができる。
【0075】
取付延長部201を前記伸張位置に移動させることによって、シート処理装置Bは、同様に
図1に示す位置から外向き(図中左向き)に移動する。これによって、手差し給紙部9及び給紙装置Dとシート処理装置B間のスペースが拡大されるので、ユーザは、手差し給紙部9の手差しトレイ10を開いて、その上にシートをセットすることが容易になる。
【0076】
更に、この状態では、
図7に示すように、給紙装置Dを画像形成装置Aの前記一方の側面との接続を解除し、シート処理装置B側に移動させることができる。これにより、画像形成ユニットA1の本体給紙部2は、その前記一方の側の側面が給紙装置Dから開放されて、比較的大きなスペースが画成される。これにより、本体給紙部2は、前記一方の側の側面に設けられた開閉可能な扉2cを、その内面を
図7に示すように上向きに開いて、本体給紙部2から給紙経路8に送られるシートのジャムを解消するための作業スペースを確保することができる。
【0077】
図8及び
図9は、システム構成が異なる画像形成システム1002の構成を示している。尚、第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。画像形成システム1002は、
図6の第2実施形態と同様に、シート折り装置Cがシート処理装置Bに一体に接続した状態で、取付支持部200の取付延長部201が
図1に示す位置から外向きに伸張可能にかつ
図1の位置に収縮する可能に構成されている。更に画像形成システム1002は、取付延長部201が伸張されてシート折り装置Cが排紙部A5から外向き(図中左向き)に離間された状態で、中継搬送経路19が、
図8に示すように、シート折り装置Cの搬送経路101に連続するように伸張可能となっている。これにより、取付延長部201を伸張させた状態で、延設された中継搬送経路19を通して、シートを画像形成装置Aからシート折り装置C及びシート処理装置Bに搬送することができる。
【0078】
本実施形態において、中継搬送経路19は、排紙部A5から外向き即ち下流側に伸張可能に設けられている。図示する実施形態では、シートを案内するガイドレール部分及びシートを下流側に送り出す搬送ローラ対が、それぞれ常に中継搬送経路19内(即ち排紙部A5内)に保持される部分と、中継搬送経路19(即ち排紙部A5)から外向き(シート折り装置C側)に伸張可能な伸縮経路部191とで構成されている。伸縮経路部191は通常、
図9に示すように中継搬送経路19内(排紙部A5内)に収容されており、必要に応じて
図8に示す位置まで延出させ、必要無くなれば中継搬送経路19内に戻すことができる。
【0079】
上述した実施形態では、シート折り装置Cがシート処理装置Bに一体的に移動可能となるように構成されているが、この構成に限らなくてもよい。例えば
図10に示す画像形成システム1003のように、シート折り装置Cが画像形成装置Aに、より詳細には排紙部A5に一体的に接続されていてもよい。このように、取付延長部201を伸張させた状態でシート折り装置Cが画像形成装置A側に残ることによって、ユーザは、取付延長部201の伸縮に伴うシート処理装置Bを移動させる作業をよりも軽い力で行うことができる。このような構成においても、手差しトレイ10は閉状態から開状態へ動作することが可能となっているため、手差しトレイ10を開状態として載置面10aにシートを積載することで手差しトレイ10からの給紙が可能となっている。
【0080】
また、本発明の画像形成システムにおいて、外付けの給紙装置Dは必須の構成要素ではない。従って、別の実施形態では、上記各実施形態の画像形成システム1000~1003から給紙装置Dを省略することができる。給紙装置Dを省略しても、上述した本発明の特徴及び作用効果が損なわれることはない。
【0081】
図11は、
図1に示した排紙部A5に代えて、中継搬送ユニットとして第2中継搬送ユニットA6及び第3中継搬送ユニットA7を備えた画像形成システム1004の構成全体をシステム正面側から示している。尚、画像形成システム1004について、
図1に示した画像形成システム1000と同様の構成については説明を省略する。尚、本実施形態では、第2中継搬送ユニットA6および第3中継搬送ユニットA7と、シート折り装置Cとをそれぞれ別筐体としたが、同一筐体のユニットとしてもよい。
【0082】
第2中継搬送ユニットA6及び第3中継搬送ユニットA7は、搬送方向において画像形成ユニットA1とシート折り装置Cとの間に配置される。第2中継搬送ユニットA6と第3中継搬送ユニットA7とは、画像形成ユニットA1からシート折り装置Cに向けてシートが搬送される方向(図では右から左に向かう方向)に、第2中継搬送ユニットA6、第3中継搬送ユニットA7の順に配置される。
【0083】
ここでは、第2中継搬送ユニットA6と第3中継搬送ユニットA7とは、別々のユニットとして説明を行うが、これらのユニットは一体として形成されていても良い。
【0084】
第2中継搬送ユニットA6と第3中継搬送ユニットA7の下方には、これらの中継搬送ユニットを下側から支える支持台202が設けられている。支持台202は、画像形成ユニットA1とシート折り装置Cとの間に配置される。支持台202は、画像形成システムを構成する際、画像形成ユニットA1、シート折り装置Cにそれぞれ設けられた図示しない位置決め部により位置決めされ、ネジ等の固定部材により固定される。
【0085】
支持台202は、
図11に示す奥行き方向(シート幅方向)に、第2中継搬送ユニットA6、第3中継搬送ユニットA7を設置する設置面56、もしくは、複数本の柱で構成された設置部を有する。画像形成ユニットA1とシート折り装置Cとの間に設置された支持台202の上記設置面56もしくは設置部の上に第2中継搬送ユニットA6と第3中継搬送ユニットA7を載せ、画像形成ユニット1004を構成する。
【0086】
第2中継搬送ユニットA6の内部には、シートが搬送される方向をガイドする第2中継搬送路52が設けられ、第2中継搬送路52を搬送するための複数の搬送ローラ対が設置されている。また、第3中継搬送ユニットA7の内部には、シートが搬送される方向をガイドする第3中継搬送路53が設けられ、第3中継搬送路53を搬送するための複数の搬送ローラ対が設置されている。
【0087】
既に説明した第1中継搬送ユニットA4に内設された第1中継搬送路16のシート搬送方向の下流端は、第2中継搬送ユニットA6に内設された第2中継搬送路52のシート搬送方向の上流端に接続している。当該第2中継搬送路52のシート搬送方向の下流端は、第3中継搬送ユニットA7に内設された第3中継搬送路53のシート搬送方向の上流端に接続している。当該第3中継搬送路53のシート搬送方向の下流端は、シート折り装置Cに内設された搬送経路101のシート搬送方向の上流端に接続している。
【0088】
第1の実施形態の説明で既に述べたように、画像形成装置Aの左側部には、画像形成装置Aの内部に備えられた本体給紙部2とは別に、画像形成装置Aの外部から給紙を行うためにシートを載置する手差し給紙部9の手差しトレイ10が備えられている。第2中継搬送ユニットA6と、第3中継搬送ユニットA7とは、手差しトレイ10が設置される画像形成装置Aの左側において、手差しトレイ10の上方に奥行き方向(シート幅方向)が重なる領域に配置される。
【0089】
上記説明に於ける画像形成装置Aの側部とは、画像形成装置Aの支持フレームの最も外側の部分を指す。画像形成装置Aの左側面において支持フレームを外装カバーのようなカバーが覆う場合、画像形成装置Aの側部は、装置内部とは反対側であって装置を外側から目視できるカバーの部分を指す。
【0090】
図11に示す画像形成システムでは、画像形成システムを設置する設置面56に沿ったシート幅方向に直交する方向に於いて、画像形成装置Aの下流側の側面51から中継搬送経路(第2中継搬送経路と第3中継搬送経路を合わせた長さ)の下流側の側面までの長さL1は、画像形成装置Aの下流側の側面51から手差しトレイ10の下流側の端部までの長さL2よりも長い。
【0091】
より具体的には、長さL2と長さL1との差は、ユーザが手差しトレイ10にシートをセットする際の作業性を考慮し、150mm~200mm程度に設定されるのが好ましい。
【0092】
手差しトレイ10は、前述の通り回動軸54を中心に、図に実線で示す開位置と破線で示す閉位置との間で回動可能である。開位置(給紙位置)では、その上面10aが概ね水平に開いて、手差しで画像形成ユニットA1に供給されるシートを積載するための載置面を提供する。上記説明に於ける側部51から手差しトレイ10の画像形成システムを設置する設置面56に沿ったシート幅方向に直交する方向に於ける下流側の端部までの長さL2とは、開位置(給紙位置)にある手差しトレイ10の長さを示すものである。
【0093】
第2中継搬送ユニットA6は、第2中継搬送路52を境に、破線で示す152の位置に第2中継搬送路52の形成する上側のガイドを開放することができる。第3中継搬送ユニットA7は、第3中継搬送路53を境に、破線で示す153の位置に第3中継搬送路53の形成する上側のガイドを開放することができる。これにより、第2中継搬送路52及び第3中継搬送路53の内部でシートのJAMが発生した場合、JAMしたシートを取り除くことができる。つまり、JAMしたシートを取り除くために、それぞれのユニットを離間させる必要がない。このような構成においても、手差しトレイ10は閉状態から開状態へ動作することが可能となっているため、手差しトレイ10を開状態として載置面10aにシートを積載することで手差しトレイ10からの給紙が可能となっている。
【0094】
図12は、
図11の画像形成システム1004に対してシート折り装置Cを除いた画像形成システム1005の構成全体をシステム正面側から示している。本構成においても、前述した画像形成システムと同様の構成については説明を省略する。
【0095】
第2中継搬送ユニットA6及び第3中継搬送ユニットA7は、シートの搬送方向において画像形成ユニットA1とシート処理装置Bとの間に配置される。第2中継搬送ユニットA6と第3中継搬送ユニットA7とは、画像形成ユニットA1からシート処理装置Bに向けてシートが搬送される方向(図では右から左に向かう方向)において、第2中継搬送ユニットA6、第3中継搬送ユニットA7の順に配置される。つまり、画像形成システム1005のシステム構成は、シート搬送方向に沿って画像形成装置A(第1中継搬送ユニットA4)、第2中継搬送ユニットA6、第3中計搬送ユニットA7、シート処理装置Bの順に並んでいる。
【0096】
図12の画像形成システム1005の説明において、第2中継搬送ユニットA6と第3中継搬送ユニットA7とは、別々のユニットとして説明を行うが、これらのユニットは一体として形成されていても良い。
【0097】
第2中継搬送ユニットA6と第3中継搬送ユニットA7の下方には、これらの中継搬送ユニットを下側から支える支持台202が設けられている。支持台202は、画像形成装置Aとシート処理装置Bとの間に配置される。支持台202は、画像形成システムを構成する際、画像形成装置A、シート処理装置Bにそれぞれ設けられた図示しない位置決め部により位置決めされ、ネジ等の固定部材により固定される。
【0098】
支持台202は、
図12に示す奥行き方向(シート幅方向)に、第2中継搬送ユニットA6、第3中継搬送ユニットA7を設置する設置面56、もしくは、複数本の柱で構成された設置部を有する。画像形成装置Aとシート処理装置Bとの間に設置された支持台202の上記設置面56もしくは設置部の上に第2中継搬送ユニットA6と第3中継搬送ユニットA7を載せ、画像形成システム1005を構成する。
【0099】
第2中継搬送ユニットA6の内部には、シートが搬送される方向をガイドする第2中継搬送路52が設けられ、第2中継搬送路52を搬送するための複数の搬送ローラ対が設置されている。また、第3中継搬送ユニットA7の内部には、シートが搬送される方向をガイドする第3中継搬送路53が設けられ、第3中継搬送路53を搬送するための複数の搬送ローラ対が設置されている。
【0100】
既に説明した第1中継搬送ユニットA4に内設された第1中継搬送路16のシート搬送方向の下流端は、第2中継搬送ユニットA6に内設された第2中継搬送路52のシート搬送方向の上流端に接続している。当該第2中継搬送路52のシート搬送方向の下流端は、第3中継搬送ユニットA7に内設された第3中継搬送路53のシート搬送方向の上流端に接続している。当該第3中継搬送路53のシート搬送方向の下流端は、シート処理装置Bに内設された図示しない搬送経路のシート搬送方向の上流端に接続している。
【0101】
図1の説明で既に述べたように、画像形成装置A左側部には、画像形成装置Aの内部に備えられた本体給紙部2とは別に、画像形成装置Aの外部から給紙を行うシートを載置する手差し給紙部9の手差しトレイ10が備えられている。第2中継搬送ユニットA6および第3中継搬送ユニットA7は、手差しトレイ10が設置される画像形成装置Aの左側において、手差しトレイ10の上方であって奥行き方向(シート幅方向)にて手差しトレイ10と重なる領域に配置される。
【0102】
上記説明に於ける画像形成装置Aの側部とは、画像形成装置Aの支持フレームの最も外側の部分を指す。画像形成装置Aの左側面において支持フレームを外装カバーのようなカバーが覆う場合、画像形成装置Aの側部は、装置内部とは反対側であって装置を外側から目視できるカバーの部分を指す。
【0103】
それに対し、
図12に示す画像形成システムでは、画像形成システムを設置する設置面56に沿ったシート幅方向に直交する方向に於いて、画像形成装置Aの下流側の側面51から中継搬送経路(第2中継搬送経路と第3中継搬送経路を合わせた長さ)の下流側の端部までの長さL1は、画像形成装置Aの下流側の側面51から手差しトレイ10の下流側の端部までの長さL2より長い。
【0104】
より具体的には、長さL2と長さL1との差は、ユーザが手差しトレイ10にシートをセットする際の作業性を考慮し、150mm~200mm程度に設定されるのが好ましい。
【0105】
手差しトレイ10は、前述の通り回動軸54を中心に、図に実線で示す給紙位置と破線で示す閉じ位置との間で回動可能である。給紙位置では、その上面10aが概ね水平に開いて、手差しで画像形成ユニットA1に供給されるシートを積載するための載置面を提供する。上記説明に於ける側部51から手差しトレイ10の画像形成システムを設置する設置面56に沿ったシート幅方向に直交する方向に於ける下流側の端部までの長さL2とは、前記給紙位置にある手差しトレイ10の長さを示すものである。このような構成においても、手差しトレイ10は閉状態から開状態へ動作することが可能となっているため、手差しトレイ10を開状態として載置面10aにシートを積載することで手差しトレイ10からの給紙が可能となっている。
【0106】
第2中継搬送ユニットA6は、第2中継搬送路52を境に、破線で示す152の位置に第2中継搬送路52の形成する上側のガイドを開放することができる。第3中継搬送ユニットA7は、第3中継搬送路53を境に、破線で示す153の位置に第3中継搬送路53の形成する上側のガイドを開放することができる。これにより、第2中継搬送路52及び第3中継搬送路53の内部でシートのJAMが発生した場合、JAMしたシートを取り除くことができる。つまり、JAMしたシートを取り除くために、それぞれのユニットを離間させる必要がない。
【0107】
手差し給紙部9は、より多数枚のシートを載置して画像形成ユニットA1に給紙するように、手差しトレイ10上に給紙構造を設けることができる。
図13は、そのような給紙構造401~404をそれぞれ備えた手差し給紙部9を示している。
【0108】
図13に示すように、画像形成装置Aの側面51には、開口410が開設されている。鉛直方向において開口410の上部には、開位置(給紙位置)にある手差しトレイ10の上面10aに載置されたシートSを1枚ずつ画像形成装置A内に給紙するために、不図示の給紙ローラを有する給紙ユニット411が設けられている。
【0109】
手差しトレイ10には、その上面10aに載置されるシートSの給紙方向Xに直交する向きに対向する側縁を両側から揃えるために、1対のサイド規制板416a,416bが設けられている。サイド規制板416a,416bは、載置されるシートのサイズに合わせるように、手差しトレイ10上で給紙方向に直交する向きに移動させることができる。手差しトレイ10の上面10aから突出するサイド規制板416a,416bは、手差しトレイ10を閉位置に移動させたとき、開口410内に収容されるようになっている。
【0110】
上述した各画像形成システムの構成は、いずれも手差し給紙部9を使用可能とする画像形成システムについて、説明をした。しかし、手差し給紙部9と、画像形成後のシートが排出される排出口が画像形成装置Aにおいて同じ側面に位置している場合、画像形成装置Aに接続されるシート処理装置Bのサイズやシステム構成によっては手差し給紙部9が使用できなくなる場合がある。この場合、ユーザが画像形成処理を開始するために手差し給紙部9から給紙を行う誤設定をしてしまった場合、再度設定をし直さなければならず、ユーザの操作性が損なわれるおそれがあった。したがって、本実施形態では、画像形成システムに含まれる装置の構成によって、手差し給紙部9からの給紙を許可せずにシートに対する画像形成及び各処理を実行する。
【0111】
次に、手差し給紙部9からの給紙を許可しない場合のシステム構成について説明をする。
図14は、手差し給紙部9からの給紙を許可しない場合のシステム構成の一例である画像形成システム1006の説明図である。尚、上述した画像形成システムの構成と同様の構成については説明を省略する。
【0112】
画像形成システム1006は、画像形成装置Aと、シート処理装置Bと、中継搬送装置Eを有している。中継搬送装置Eは、上述した画像形成システム1004の第3中継搬送装置A7よりも、シート搬送方向における搬送路の長さが短い搬送装置である。中継搬送装置Eは、第1中継搬送ユニットA4および中継搬送路252を介して画像形成装置Aから排出されたシートを受け取り、シート処理装置Bへと搬送する。
【0113】
中継搬送装置Eは、鉛直方向における画像形成装置Aの排出口17と反転排出口30との間の距離よりも、鉛直方向における中継搬送路dと中継搬送装置Eの底部263の距離が長い。従って、中継搬送装置
Eは、画像形成装置Aにおけるシートの反転処理を行うために、画像形成装置Aの反転排出口30と対応する位置に、シート受入れ口264を備えている。これにより、第1搬送経路13を通ってシートの反転を行う際に、シートの搬送方向先端側の端部は、中継搬送装置Eの内部へと侵入する。その後、シートの後端部が代2搬送経路14へと搬送されることで、中継搬送装置Eの内部に侵入していたシートの端部がシート受入れ口264および反転排出口30を通過して画像形成装置Aの内部へと戻る。このようにして、鉛直方向に一定の長さを有する中継搬送装置Eが画像形成装置Aに接続される構成であっても、中継搬送装置Eにシート受入れ口264を設けることで、画像形成装置Aの反転動作を阻害することを抑制することができる。
【0114】
なお、中継搬送装置Eは、中継搬送路dを境に、破線で示す262の位置に中継搬送路dを形成する上側のガイドを開放することができる。これにより、中継搬送装置Eの搬送路内でシートのジャムが発生した場合でも、シートを簡単に取り除くことができる。つまり、シートのJAMを解消させるための作業を行う際に、それぞれのユニットを離間させる必要がないため、作業性を向上させることができる。
【0115】
また、画像形成装置Aは、側面51に設けられた開閉可能な扉2cを設けている。扉2cは、閉状態で位置している場合に画像形成装置Aの内側と対抗する面に付図示のガイドが設けられている。この不図示のガイドは、給紙カセット2a、2bから給紙されたシートの搬送をガイドする一対のガイド部材のうちの一つである。一対のガイド部材は、扉2cが閉状態である場合に、ガイドとして機能する。扉2cを開放することで、一対のガイドが解放されることで、本体給紙部2から給紙経路8へと搬送されるシートのジャムを解消することができる。
【0116】
画像形成システム1006のように、中継搬送装置Eを用いることで、画像形成システム1006全体のシート搬送方向におけるサイズが小さくなり、設置面56を占有する面積を減らすことができる。また、画像形成システム1006では、画像形成装置Aとシート処理装置Bの下部を連結するための連結板57を設けている。連結板57は、画像形成装置Aの不図示のフレームと、シート処理装置Bのフレーム55に固定されている。このように、画像形成装置Aとシート処理装置Bとを下部において連結することで、シート処理装置Bが移動するような力がシート処理装置Bに加えられたとしても、画像形成装置Aに対して位置がずれてしまうことを抑制することができる。
【0117】
しかし、画像形成システム1006は、上述した画像形成システム1004の構成と異なり、画像形成システム1006のシート搬送方向において画像形成装置Aの下流側の側面51から中継搬送装置Eの下流側の端部までの長さL3が、
図12で示したL2のよりも短い。つまり、画像形成システム1006の構成では、手差しトレイ10を回動することは可能であっても、開位置に移動することはできない。
【0118】
そこで、本実施形態では、画像形成システムに含まれる装置の構成によって、手差し給紙部9からの給紙を許可せずにシートに対する画像形成及び各処理を実行する。つまり、画像形成システム1006のような装置構成からなるシステムの場合は、手差し給紙部9からの給紙を許可しない。以下では、手差し給紙部9からの給紙を行うか否かを判断するための画像形成システムの制御構成について、説明をする。
【0119】
図15は、画像形成システム1006を制御するための制御ブロック図の一例である。画像形成装置Aは制御部320を備え、シート処理装置Bは制御部420を備えている。また、中継搬送装置Eは、制御部520を備えている。各制御部320,420,520は、通信部321、421、521を介して相互に通信が可能となっている。本実施例では、中継搬送装置Eの通信部521を介して画像形成装置Aの通信部321とシート処理装置Bの通信部421が通信を行う例を示す。しかし、
図15の例に限らず、画像形成装置Aの通信部321とシート処理装置Bの通信部421とが直接通信を行う構成であってもよい。本実施形態において、制御部320は制御手段の一例である。
【0120】
操作部20は、ユーザへの報知や、ユーザによる画像形成システム1006の動作実行命令を入力可能にするユーザインターフェースである。そして、操作部20は、ソフトウェアキーを表示し、タッチ操作を受け付けるタッチパネル21を有している。尚、操作部95は、ディスプレイと操作ボタンを組み合わせたものであってもよい。
【0121】
画像形成装置Aは、通信部321に接続される外部機器Xや操作部20を介してユーザが入力した画像情報やシートに対する情報などを取得する。ユーザが入力する情報には、シートのサイズや坪量、シートに対する処理内容の有無などが含まれている。シート処理装置Bおよび中継搬送装置Eは、画像形成装置Aと通信を行うことで、シートのサイズ情報やシートに施す処理の情報などを画像形成装置Aから受け取る。ここで、本実施形態における外部機器Xや操作部20は、選択手段の一例である。
【0122】
画像形成装置Aの制御部320は、画像形成装置A全体の制御をするユニットとして、CPU322、ROM323、RAM324を備えている。ROM323は、CPU322によって画像形成装置100の制御に用いられる各種プログラムを格納している記憶部である。RAM324は、CPU322が各種プログラムを制御する際の一次記憶領域として用いられる。
制御部320は、通信部130を介してPC等の外部機器Xからプリント信号を受付可能である。また、制御部320は、操作部95を介してプリント信号を受け付け可能である。プリント信号は、ユーザが設定する処理内容に応じて生成されるものであり、画像形成処理、綴じ処理などの各処理の実行有無や、処理枚数、処理を実行するシートの種類等が含まれる。シートの種類には、シートの坪量、サイズ、媒体の種類などが含まれる。
【0123】
尚、画像形成装置100の全体の制御には、シートを搬送する搬送制御、受け付けたプリント信号から画像処理を行う制御や、シートに画像を形成する際の画像形成ユニット3の制御が含まれる。制御部320は、搬送制御部325を介して各搬送経路に位置する搬送ローラなどの搬送ユニットを制御することで搬送制御を実行する。
【0124】
また、制御部320は、画像処理部326を介して画像処理制御を実行する。また、制御部320は、駆動部327を介して画像形成装置Aに設けられる不図示の駆動モータ等を制御する。駆動部327は、不図示の駆動モータを制御することで、各搬送ローラなどを回転駆動する。尚、本実施例では一例として搬送制御部325、画像処理部326、駆動部160を1つずつ設ける構成を示したが、それぞれもしくはいずれかを複数のユニットによって構成してもよい。また、制御部320によって画像形成部3や搬送ローラなどを直接制御する構成であってもよい。
【0125】
シート処理装置Bの制御部420は、CPU422、ROM423、RAM424を備えている。ROM423は、CPU422によってシート処理装置Bの制御に用いられる各種プログラムを格納している。RAM424は、CPU422が各種プログラムを制御する際の一次記憶領域として用いられる。尚、シート処理装置Bの制御には、シート処理装置B内でシートを搬送する各搬送部を制御する搬送制御、シートの端部に対して綴じ処理を行うための端部綴じ制御や、シートの中央部に対しての綴じ処理を行う中綴じ制御など各種処理に関する制御などが含まれる。
【0126】
制御部420は、搬送制御部425を介してシート処理装置B内の各種搬送ローラの駆動制御等を制御し、シート処理装置B内のシート搬送を制御する。また、制御部420は、穿孔制御部426を介して第1処理部B1における穿孔処理の制御を行う。また、制御部420は、端部綴じ制御部427を介して第2処理部B2における閉じ処理の制御を行う。
また、制御部420は、折り制御部428を介して第3処理部B3における折り処理や中綴じ処理の制御を行う。尚、制御部420は、搬送制御部425、穿孔制御部426、端部綴じ制御部427、折り制御部428を介して第1~第3処理部B1~B3の制御を行う構成を示したが、制御部420によって各ユニットを制御する構成であってもよい。
【0127】
中継搬送装置Eの制御部420は、CPU522、ROM523、RAM524を備えている。ROM523は、CPU522によって中継搬送装置Eの制御に用いられる各種プログラムを格納している。RAM524は、CPU522が各種プログラムを制御する際の一次記憶領域として用いられる。尚、中継搬送装置Xの制御には、シート処理装置Bへ画像形成装置Aから入力されたシートに対する処理内容やシートに関する情報を出力するための制御や、中継搬送装置E内のシートを搬送する各搬送部を制御する搬送制御などが含まれる。本説明では、画像形成システム1006のブロック図を例に説明をしたが、上述した他の画像形成システムにおいても同様に、各装置の制御部が通信部を介して互いに通信可能となっている。
【0128】
次に、手差し給紙部9からの給紙を行うか否かを判断するための画像形成システム1006の制御構成について、フローチャートを用いて説明をする。
図16は、本実施形態における制御構成を示すフローチャートである。
【0129】
図16に示す制御フローは、画像形成装置Aの電源がONされた場合にスタートする。制御部320は、接続されている装置に関する情報を取得する(S1601)。ここで、画像形成システム1006の場合は、画像形成装置Aに第1中継搬送ユニットA4、中継搬送路252、中継搬送装置Eおよびシート処理装置Bが接続されているという情報を取得する。また、
図12で示した画像形成システム1005の場合は、画像形成装置Aに第1中継搬送ユニットA4、第2中継搬送ユニットA6、第3中継搬送ユニットA7、シート処理装置B、給紙装置Dが接続されているという情報を取得する。画像形成装置Aよりもシート搬送方向下流側にいずれの装置が接続されているかについての判断は、通信部321を介して各装置固有のデータを受け取ることで行っている。
【0130】
次に、制御部320は、S1601で取得したシステム構成において、手差し給紙部9の使用が可能であるか否かを判定する(S1602)。ここで、手差し給紙部9の使用が可能であるか否かは、画像形成装置Aとシート処理装置Bとの間に位置する装置の種類によって判定を行う。より詳細には、手差しトレイ10が開位置に移動可能な距離だけ画像形成装置Aとシート処理装置Bが離れているかを判定する。例えば、
図14に示した画像形成システム1006の場合は、手差し給紙部9の使用が不可であると判定し、
図12に示した画像形成システム1005の場合は、手差し給紙部9の使用が可能であると判定する。
【0131】
次に、制御部320は、手差し給紙部9の使用が不可であると判断した場合(S1602No)、操作部20に表示する給紙先の選択画面を、手差し給紙部9が使用不可である場合の表示とする。(S1603)また、制御部320は、手差し給紙部9の使用が可能であると判断した場合(S1602Yes)、操作部20に表示する給紙先の選択画面を、手差し給紙部9が使用不可である場合の表示とする。(S1604)
【0132】
ユーザが操作部20を操作する場合にタッチパネル21に表示する給紙先の選択画面を、
図17に示す。
図17(a)は、手差し給紙部9が使用可能である場合の給紙先の選択画面である。
図17(b)は、手差し給紙部9が使用不可である場合の給紙先の選択画面である。
図17(c)は、手差し給紙部9が使用不可である場合の給紙先の選択画面の他の例である。
【0133】
図17(a)に示すように、手差し給紙部9が使用可能である場合は、給紙部の選択領域222に、手差し給紙部9による給紙を選択するための「手差し」という表示がある画面をタッチパネルに表示する。ユーザは、給紙部の選択領域222において「手差し」を選択することで、手差し給紙部9による給紙を行うことを指示することができる。ここで、ユーザによる選択とは、タッチパネル21のタッチ操作による選択や、PCなどの外部機器Xのクリック操作などのことを指す。ここで、外部機器Xによる入力操作をする場合、画像形成システムと外部機器Xとが通信部321を介して通信を行うことで、入力操作を受けつける。
【0134】
一方、手差し給紙部9が使用不可である場合、
図17(b)に示すように、給紙部の選択領域222から「手差し」の表示を消した状態の画面をタッチパネルに表示する。従って、ユーザは、給紙先を選択する場合に、手差し給紙部9以外の給紙先を選択することができる。尚、手差し給紙部9が使用不可である場合、
図17(c)に示すように、給紙部の選択領域222の「手差し」をグレーアウトするような表示を行ってもよい。この場合、グレーアウトしている「手差し」の表示に関しては、ユーザが選択することができないように、タッチ操作がなされたとしても入力を無効とする。
【0135】
その後、制御部320は、ユーザによる設定の入力が終了し、画像形成を開始するための指示が入力されたか否かを判定する(S1605)。ユーザによる設定の入力が終了したか否かの判定は、タッチパネル21の「OK」が操作され、また画像形成に関する開始指示(不図示のスタートキーの押下)がなされたか否かに基づいて行われる。
【0136】
ユーザによる画像形成を開始するための指示が入力されていない場合(S1605のNo)、制御部320は指示が入力されるまで待機する。一方。画像形成を開始するための指示が入力された場合(S1605Yes)、制御部320は、S1603およびS1604の設定画面においてユーザが設定した情報に基づいて、給紙先を選択し、シートの給紙を開始する(S1606)。
【0137】
その後、制御部320は、S1606で給紙されたシートに対して画像形成部A1による画像形成処理の実行や、シート処理装置Bによるシート対する処理を実行する。(S1607)本実施形態では説明を省略するが、
図15のブロック図に示したように、S1607におけるシート処理装置Bによるシートに対する処理は、シート処理装置Bの制御部420によって制御される。
【0138】
そして、制御部320は、ユーザによって入力された画像形成処理及びシートに対する処理がすべて終了したか否かを判定する(S1608)。すべての動作が終了していない場合(S1608No)は、画像形成処理及びシートに対する処理が終了するまで、処理を継続する。すべての動作が終了した場合(S1608Yes)は、
図16に示した制御フローを終了する。
【0139】
このように、手差し給紙部9が使用できない場合に、ユーザが操作する操作画面の表示を変更することで、手差し給紙部9が使用不可である画像形成システム構成においてユーザが誤って手差し給紙部9からの給紙を選択してしまうことを抑制することができる。従って、ユーザが他の給紙先からの給紙を行うための再設定をする必要がなく、ユーザの操作性が損なることを抑制することができる。
【0140】
上述した実施形態では、手差し給紙部9が使用できない場合に、ユーザの入力操作を受け付けない例を示したが、ユーザの操作性を向上できるものであれば、他の構成であってもよい。例えば、ユーザによる入力操作は受け付けるが、手差し給紙部9からの給紙を中止する構成であってもよい。
図18に、手差し給紙部9からの給紙を中止する場合の操作部20の表示画面を示す。
【0141】
図18(a)は、手差し給紙部9が使用できない画像形成システムである場合であってユーザが手差し給紙部9からの給紙を誤設定してしまった場合に表示する警告画面である。このように、
図18(a)では、ユーザの誤設定に対して、他の給紙部からの給紙を促す表示を行う。ユーザによって「他の給紙部から給紙」が選択された場合、画像形成装置は給紙カセット2a,2bなどから給紙を行うことで画像形成処理及びシートに対する処理を実行する。このように、ユーザによる再設定の操作を簡易なものとすることで、ユーザの操作性が低下してしまうことを抑制することができる。
【0142】
また、
図18(b)に示すように、手差し給紙部9が使用できない画像形成システムである場合であってユーザが手差し給紙部9からの給紙を誤設定してしまった場合に、自動的に他の給紙部から給紙を行う構成であってもよい。これにより、ユーザは再設定をする必要がないため、ユーザの操作性が低下してしまうことを抑制することができる。
【0143】
また、
図18(c)に示すように、手差し給紙部9が使用できない画像形成システムである場合であってユーザが手差し給紙部9からの給紙を誤設定してしまった場合に、受け付けた処理を自動でキャンセルする構成であってもよい。
【0144】
なお、上述した実施形態ではタッチパネル21による操作を前提として説明をしたが、PCなどの外部機器Xを用いてユーザが設定の入力を行う場合に本実施形態を採用してもよい。その場合、PCなどの外部機器Xに表示する入力操作画面については、通信部321を介して常にデータを送信してもよいし、あらかじめ接続された装置を記憶しておき、外部機器Xに装置情報をあらかじめ送信しておき、システム構成に変更が生じた場合に情報を書き換えるものであってもよい。
【0145】
また、上述した実施形態では、画像形成装置Aの電源がONされた場合に接続されている装置の情報を取得する構成としたが、画像形成システムを設置する際に、あらかじめ画像形成装置Aにいずれの装置が接続されているか、システム構成の情報を入力しておく構成であってもよい。
【0146】
また、上述した実施形態では、給紙先の選択をする画面において手差し給紙部9による給紙を選択させない構成を説明したが、画像形成装置Aの動作を開始するボタン(例えばスタートボタン)を押しても動作を開始させないことで、誤設定を抑制する構成であってもよい。
【0147】
また、上述した実施形態では、画像形成装置Aの内部に有する制御部320によって画像形成システム1006全体の制御をする構成を例に説明したが、他の構成であってもよい。例えば、画像形成装置Aの外部に設けられた制御装置によって画像形成システム1006全体の制御を行ってもよい。また、画像形成システム1006に含まれる他の制御部によってシステム全体の制御を行ってもよい。
【0148】
このように、本実施形態では、手差し給紙部9が使用できない画像形成システムである場合であってユーザが手差し給紙部9からの給紙を誤設定してしまった場合であっても、ユーザの操作性が損なわれることを抑制することができる。
【0149】
本実施形態では、
図14の画像形成システム1006を例に説明をしたが、他のシステムにおいても手差し給紙部9が使用できない場合に上述した制御を行うことで、同様の効果を得ることができる。以下では、他のシステムの構成例について、
図19および
図20を用いて説明をする。
【0150】
図19は、手差し給紙部9が使用できない場合の画像形成システム1007を示す概略説明図である。上述した他のシステム構成と同様の構成については、同符号を付与して説明を省略する。画像形成システム1007は、
図14で示した画像形成システムに対し、中継搬送装置Eを設けず、シート折り装置Cを備えた点が異なっている。
【0151】
シート折り装置Cは、鉛直方向における画像形成装置Aの排出口17と反転排出口30との間の距離よりも、鉛直方向における搬送経路101とシート折り装置Cの底部273との間の距離が長い。従って、シート折り装置Cは、画像形成装置Aにおけるシートの反転処理を行うために、画像形成装置Aの反転排出口30と対応する位置に、シート受入れ口274を備えている。これにより、第1搬送経路13を通ってシートの反転を行う際に、シートの搬送方向先端側の端部は、シート折り装置Cの内部へと侵入する。その後、シートの後端部が第2搬送経路14へと搬送されることで、シート折り装置Cの内部に侵入していたシートの端部がシート受入れ口274および反転排出口30を通過して画像形成装置Aの内部へと戻る。このようにして、鉛直方向に一定の長さを有するシート折り装置Cが画像形成装置Aに接続される構成であっても、シート折り装置Cにシート受入れ口274を設けることで、画像形成装置Aの反転動作を阻害することを抑制することができる。
【0152】
また、画像形成装置Aは、側面51に設けられた開閉可能な扉2cを設けている。扉2cは、閉状態で位置している場合に画像形成装置Aの内側と対抗する面に付図示のガイドが設けられている。この不図示のガイドは、給紙カセット2a、2bから給紙されたシートの搬送をガイドする一対のガイド部材のうちの一つである。一対のガイド部材は、扉2cが閉状態である場合に、ガイドとして機能する。扉2cを開放することで、一対のガイドが解放されることで、本体給紙部2から給紙経路8へと搬送されるシートのジャムを解消することができる。
【0153】
画像形成システム1007のように、シート折り装置Cを用いることで、画像形成システム1007全体のシート搬送方向におけるサイズが小さくなり、設置面56を占有する面積を減らすことができる。また、画像形成システム1007においても、画像形成装置Aとシート処理装置Bの下部を連結するための連結板57を設けている。連結板57は、画像形成装置Aの不図示のフレームと、シート処理装置Bのフレーム55に固定されている。このように、画像形成装置Aとシート処理装置Bとを下部において連結することで、シート処理装置Bが移動するような力がシート処理装置Bに加えられたとしても、画像形成装置Aに対して位置がずれてしまうことを抑制することができる。
【0154】
しかし、画像形成システム1007は、上述した画像形成システム1004の構成と異なり、画像形成システム1007のシート搬送方向において画像形成装置Aの下流側の側面51からシート折り装置Cの下流側の端部までの長さL4が、
図12で示したL2よりも短い。また、シート折り装置Cは、
図14で示した画像形成システム1006の中継搬送装置Eよりも鉛直方向における長さが長い。従って、本実施形態では手差しトレイ10を画像形成装置Aから取り除いている。この構成であっても、画像形成システム1006と同様に、手差しトレイ10を設けることができないため、手差し給紙部9を使用することができない。しかし、本構成においても、上述した
図16の制御を行うことで、ユーザの操作性が低下することを抑制することができる。
【0155】
図20は、手差し給紙部9が使用できない場合の画像形成システム1007を示す概略説明図である。上述した他のシステム構成と同様の構成については、同符号を付与して説明を省略する。画像形成システム1008は、
図14で示した画像形成システムに対し、シート折り装置Cを備えた点が異なっている。
【0156】
画像形成システム1007は、画像形成装置Aと、シート処理装置Bと、中継搬送装置Eと、シート折り装置Cを有している。本実施形態におけるシート折り装置Cは、
図19で示したシート折り装置Cに対して、鉛直方向における長さが異なるのみであり、機能は同一である。中継搬送装置Eは、上述した画像形成システム1004の第3中継搬送装置A7よりも、シート搬送方向における搬送路の長さが短い搬送装置である。中継搬送装置Eは、第1中継搬送ユニットA4および中継搬送路252を介して画像形成装置Aから排出されたシートを受け取り、シート処理装置Bへと搬送する。
【0157】
中継搬送装置Eは、鉛直方向における画像形成装置Aの排出口17と反転排出口30との間の距離よりも、鉛直方向における中継搬送路dと中継搬送装置Eの底部263の距離が長い。従って、中継搬送装置Eは、画像形成装置Aにおけるシートの反転処理を行うために、画像形成装置Aの反転排出口30と対応する位置に、シート受入れ口264を備えている。これにより、第1搬送経路13を通ってシートの反転を行う際に、シートの搬送方向先端側の端部は、中継搬送装置Eの内部へと侵入する。その後、シートの後端部が代2搬送経路14へと搬送されることで、中継搬送装置Eの内部に侵入していたシートの端部がシート受入れ口264および反転排出口30を通過して画像形成装置Aの内部へと戻る。このようにして、鉛直方向に一定の長さを有する中継搬送装置Eが画像形成装置Aに接続される構成であっても、中継搬送装置Eにシート受入れ口264を設けることで、画像形成装置Aの反転動作を阻害することを抑制することができる。
【0158】
なお、中継搬送装置Eは、中継搬送路dを境に、破線で示す262の位置に中継搬送路dを形成する上側のガイドを開放することができる。これにより、中継搬送装置Eの搬送路内でシートのジャムが発生した場合でも、シートを簡単に取り除くことができる。つまり、シートのJAMを解消させるための作業を行う際に、それぞれのユニットを離間させる必要がないため、作業性を向上させることができる。
【0159】
また、画像形成装置Aは、側面51に設けられた開閉可能な扉2cを設けている。扉2cは、閉状態で位置している場合に画像形成装置Aの内側と対向する面に不図示のガイドが設けられている。この不図示のガイドは、給紙カセット2a、2bから給紙されたシートの搬送をガイドする一対のガイド部材のうちの一つである。一対のガイド部材は、扉2cが閉状態である場合に、ガイドとして機能する。扉2cを開放することで、一対のガイドが解放されることで、本体給紙部2から給紙経路8へと搬送されるシートのジャムを解消することができる。
【0160】
画像形成システム1008のように、中継搬送装置Eを用いることで、画像形成システム1008全体のシート搬送方向におけるサイズが小さくなり、設置面56を占有する面積を減らすことができる。また、画像形成システム1008では、画像形成装置Aとシート処理装置Bの下部を連結するための連結板57を設けている。連結板57は、画像形成装置Aの不図示のフレームと、シート処理装置Bのフレーム55に固定されている。このように、画像形成装置Aとシート処理装置Bとを下部において連結することで、シート処理装置Bが移動するような力がシート処理装置Bに加えられたとしても、画像形成装置Aに対して位置がずれてしまうことを抑制することができる。
【0161】
しかし、画像形成システム1008は、上述した画像形成システム1004の構成と異なり、画像形成システム1008のシート搬送方向において画像形成装置Aの下流側の側面51から中継搬送装置Eの下流側の端部までの長さL3が、
図12で示したL2のよりも短い。つまり、画像形成システム1006の構成では、手差しトレイ10を回動することは可能であっても、開位置に移動することはできない。
しかし、本構成においても、上述した
図16の制御を行うことで、ユーザの操作性が低下することを抑制することができる。
【0162】
次に、シート処理装置Bを画像形成システムに接続するための他の構成について、
図21を用いて説明をする。例えば、シート処理装置Bの高さが画像形成装置Aに対して低い場合、シートを受け渡すためにシート処理装置Bの高さを高くする必要がある。本実施形態では、シート処理装置Bの高さを高くするために、台座700を有する。
【0163】
台座700は、シート処理装置Bを図中矢印W方向(画像形成システムのシート搬送方向と逆方向)に移動して台座700に乗せるためのスロープ701a,bを有する。スロープ701a,bは、シート処理装置Bの前後方向にそれぞれ設けられるキャスターba,bbごとに合計2つ設けられている。シート処理装置Bは、スロープを乗り上げることで、設置部702a,bに設置することが可能となっている。
【0164】
設置部702a,bは、矢印W方向に沿って伸びる溝部である。従って、設置部702a,bの間には平面部703が設けられている。シート処理装置Bのキャスターba,bbは、設置部702a,bにそれぞれ収まることで、矢印W方向と直行する前後方向に位置がずれてしまうことを抑制することができる。
【0165】
なお、台座700は、シート搬送方向において上流側の装置と接続するための接続部705を有している。接続部705は、画像形成装置Aや、シート折り装置Cなど、上流側に設けられる装置に接続されることで、上流側の装置との位置がずれてしまうことを抑制することができる。従って、台座700に載置されているシート処理装置Bが上流側の装置に対して位置がずれてしまうことを抑制することができる。尚、画像形成システムの構成において給紙装置Dが設けられている場合は、接続部705を給紙装置Dに接続する構成であってもよい。
【0166】
なお、
図20に示した台座700を、さらに変更してもよい。例えば、接地面に固定された固定部と、固定部に対して画像形成装置Aとシート処理装置Bの接離方向に移動する可動部との2段構成としてもよい。このようにすることで、例えば給紙装置Dを離間させて画像形成装置Aにおけるジャム解除作業を行う場合に、シート処理装置Bの離間作業を容易にすることができる。また、このような構成において、可動部の移動を給紙装置Dの離間動作に連動させる構成であってもよい。
【0167】
なお、上述した実施形態では、画像形成装置Aの左側面に給紙トレイ10を設ける構成を説明したが、給紙トレイ10を右側面に設け、搬送経路を左右反転し、排紙口17を右側面側に設ける構成であってもよい。この場合は、各搬送装置やシート処理装置Bも画像形成装置Aの右側に設けられる構成であればよい。この場合であっても、上述した制御を実行することで、同様の課題を解決することができる。
【0168】
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0169】
A 画像形成装置
A1 画像形成ユニット
A4 第1中継搬送ユニット
A5 排紙部
A6 第2中継搬送ユニット
A7 第3中継搬送ユニット
B シート処理装置
C シート折り装置
D 給紙装置
1 装置ハウジング
2 本体給紙部
2a 扉
7 主積載トレイ
9 手差し給紙部
10 手差しトレイ
19 排紙部中継搬送経路
19a 伸縮経路部
23~25 積載トレイ
50 ループ形成空間
101 搬送経路
200 取付支持部
201 延長支持部
1000~1008 画像形成処理システム