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特開2024-9114ミネラルコルチコイド受容体拮抗剤としての化合物の結晶形及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009114
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ミネラルコルチコイド受容体拮抗剤としての化合物の結晶形及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240112BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C07D471/04 105P
C07D471/04 CSP
A61K31/4545
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/06
A61P9/10
A61P9/12
A61P13/12
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195879
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2021179425の分割
【原出願日】2013-12-23
(31)【優先権主張番号】201210563636.8
(32)【優先日】2012-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523277149
【氏名又は名称】ケービーピー バイオサイエンシズ ピーティーイー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】姜 辰
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲愛▼臣
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲徳▼▲東▼
(57)【要約】
【課題】本発明は医薬品技術の分野に属し、具体的にはミネラルコルチコイド受容体拮抗剤としての化合物の結晶形及びその調製方法並びに化合物の結晶形が腎障害または心血管疾患を治療及び/又は予防する薬物の調製における応用に関する。
【解決手段】本発明は医薬品技術の分野に属し、ミネラルコルチコイド受容体拮抗剤としての化合物の結晶形及びその調製方法を関し、具体的には式(1)で示される化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルの調製方法、その結晶形、結晶形の調製方法並びにその結晶形が腎障害または心血管疾患を治療及び/又は予防する薬物の調製における応用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

で示される化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルの結晶形であって、
Cu-Ka照射を用いて、以下:
結晶形I:14.8°±0.2°、16.9°±0.2°、17.4°±0.2°、19.4°±0.2°、19.8°±0.2°;
結晶形II:14.6°±0.2°、18.0°±0.2°、18.7°±0.2°、19.9°±0.2°、21.2°±0.2°、24.6°±0.2°;
結晶形III:15.3°±0.2°、15.3°±0.2°、15.8°±0.2°、19.5°±0.2°、20.5°±0.2°、25.0°±0.2°
に示すような粉末X線回折における特徴的な回折角度2Θのピークを有することを特徴とする、結晶形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品技術の分野に属し、具体的にはミネラルコルチコイド受容体拮抗剤としての化合物の結晶形及びその調製方法並びに化合物の結晶形が腎障害または心血管疾患を治療及び/又は予防する薬物の調製における応用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルドステロンは副腎皮質で合成されるミネラルコルチコイドであり、ミネラルコルチコイド受容体と結合することによって、該受容体を活性化させてナトリウムイオンの貯留及びカリウムイオンの排出を促進し、電解質の平衡及び動脈壁における内皮細胞、血管平滑筋細胞、線維芽細胞と動脈外膜及びそれら媒体の基質の構造及び機能を改変することに対して重要な作用を有する。アルドステロンレベルが高すぎると、ミネラルコルチコイド受容体の異常活性化を引き起こし、電解質異常及び血管損傷と線維化等をもたらし、高血圧等の心血管疾患、腎臓/心臓/脳等の器官障害及び内分泌異常等の疾病に至る。薬物はミネラルコルチコイド受容体と競合的に結合することを通じて、アルドステロンとミネラルコルチコイド受容体との結合を遮断し、アルドステロンを介した障害作用を抑制することによって、前記疾病の発生を減少させる。
【0003】
式(1)で示される化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル(国際公開WO2012022121に記述)は、アルドステロン受容体拮抗剤であり、ミネラルコルチコイド受容体と選択的に結合し、グルココルチコイド受容体、アンドロゲン受容体に対する親和力は比較的低い。
【0004】
【化1】
【0005】
WO2012022121に式(1)で示される化合物の調製方法が記載されており、式(1)で示される化合物のラセミ化合物から光学分割した後回転乾燥することによって得られ、得られた化合物は無定形である。
【0006】
式(1)の化合物は二つのキラル中心があり、単一の異性体を得るため、本分野の技術者は通常光学分割を行う必要があり、WO2012022121に記載されたのは、まず式(1)で示される化合物のラセミ化合物を得た後、さらに光学分割を行って式(1)で示される化合物を得るため、式(1)で示される化合物はGMP適合作業場において生産することは困難であり、産業化しにくく、且つコストが高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO2012022121
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
薬物の研究開発過程において、結晶形の研究は非常に重要であり、化合物は結晶形によって、その安定性、溶解度等の性質が異なる。それによって本発明者は式(1)で示される化合物の結晶形に対して検討を鋭意に行ったところ、式(1)で示される化合物の結晶形を確認及び発明できた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は式(1)の化合物を調製する際、分割ステップを前に繰り上げることによって、式(1)で示される化合物が容易にGMP適合作業場における生産ができ、順調に産業化を実現できる。
【0010】
本発明の目的の1つ目は、式(1)の化合物の結晶形を提供する。
本発明の目的の2つ目は、式(1)の化合物の調製方法を提供する。
本発明の目的の3つ目は、式(1)の化合物の結晶形の調製方法及びその相互に転化する方法を提供する。
【0011】
本発明のもう一つの目的は、式(1)の化合物の結晶形が腎障害または心血管疾患(心臓損傷、高血圧、心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓肥大、心筋炎、心臓及び血管線維化、圧力感覚受容器機能障害または不整脈を含む)の予防及び/又は治療における応用、及びそれが腎障害または心血管疾患(心臓損傷、高血圧、心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓肥大、心筋炎、心臓及び血管線維化、圧力感覚受容器機能障害または不整脈を含む)を治療及び/又は予防する薬物の調製における応用を提供する。
【0012】
本発明の技術案の概要は以下のとおりである:
1.式(1)で示される化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルの結晶形であって、
【0013】
【化2】
【0014】
Cu-Ka照射を用いて、以下に示すような粉末X線回折における特徴的な回折角度2Θのピークを有することを特徴とする:
【0015】
結晶形I:14.8°±0.2°、17.4°±0.2°、19.4°±0.2°、19.8°±0.2°;
結晶形II:14.6°±0.2°、19.9°
±0.2°、21.2°±0.2°、24.6°±0.2°;
結晶形III:15.3°±0.2°、19.5°±0.2°、20.5°±0.2°、25.0°±0.2°。
【0016】
2.技術案1に記載の化合物の結晶形であって、Cu-Ka照射を用いて、以下に示すような粉末X線回折における特徴的な回折角度2Θのピークを有することを特徴とする:
結晶形I:14.8°±0.2°、16.9°±0.2°、17.4°±0.2°、19.4°±0.2°、19.8°±0.2°、26.2°±0.2°;
結晶形II:14.6°±0.2°、18.0°±0.2°、18.7°±0.2°、19.9°±0.2°、21.2°±0.2°、24.6°±0.2°;
結晶形III:10.0°±0.2°、15.3°±0.2°、15.8°±0.2°、19.5°±0.2°、20.5°±0.2°、25.0°±0.2°。
【0017】
3.技術案1または2に記載の化合物の結晶形であって、Cu-Ka照射を用いて、以下に示すような粉末X線回折における特徴的な回折角度2Θのピークを有することを特徴とする:
結晶形I:9.8°±0.2°、12.9°±0.2°、14.8°±0.2°、15.4°±0.2°、16.9°±0.2°、17.4°±0.2°、19.4°±0.2°、19.8°±0.2°、22.6°±0.2°、26.2°±0.2°;
結晶形II:4.5°±0.2°、9.0°±0.2°、12.2°±0.2°、14.0°±0.2°、14.6°±0.2°、18.0°±0.2°、18.7°±0.2°、19.9°±0.2°、21.2°±0.2°、24.6°±0.2°;
結晶形III:3.8°±0.2°、10.0°±0.2°、15.3°±0.2°、15.8°±0.2°、17.9°±0.2°、19.5°±0.2°、20.5°±0.2°、25.0°±0.2°、26.0°±0.2°、27.2°±0.2°。
【0018】
4.式(1)で示される化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルの調製方法であって、
【0019】
【化3】
【0020】
以下のステップを含むことを特徴とする:
(9)2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチルをキラル分割して、(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチルを得る;
(10)(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチルを加水分解させて、(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸を調製する;
(11)(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸と4-ヒドロキシピペリジンを縮合反応させて、式(1)で示される化合物を調製する。
【0021】
5.技術案4の調製方法であって、さらに下記ステップうちの1つを含む:
ステップ(11)で得られた式(1)で示される化合物を、無水低級アルコール、アセトニトリル、酢酸エチルとエタノールの混合溶媒、メタノールとテトラヒドロフランの混合溶媒、またはアセトニトリルとアセトンの混合溶媒に加え、澄明になるまで加熱して溶液を得た後、前記溶液の温度を下げ、析出された固体を濾過及び乾燥する;或いは
ステップ(11)で得られた式(1)で示される化合物を、低級アルコールに加えて溶かし、得られた溶液を水に滴下し、濾過し、及び任意的に真空乾燥する;或いは
ステップ(11)で得られた式(1)で示される化合物を、水とアセトニトリルの混合溶液でスラリーを洗浄し、濾過し、任意的に真空乾燥する;或いは
ステップ(11)で得られた式(1)で示される化合物をアセトンに溶かし、得られた溶液をn-ヘプタンに滴下し、濾過する。
【0022】
5-1.技術案4または5の調製方法であって、さらにステップ(9)より前のステップ(8)を含む:
(8)(E)-6-シクロペンチルメチレン-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチルと2-クロロ-4-ヒドラジノベンゾニトリル塩酸塩を縮合反応させて、2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチルを調製する。
【0023】
5-2.技術案5-1の調製方法であって、さらにステップ(8)より前のステップ(7)を含む:
(7)2-クロロ-4-ヒドラジノベンゾニトリルを塩酸と反応させて、2-クロロ-4-ヒドラジノベンゾニトリル塩酸塩を調製する。
【0024】
5-3.技術案5-2の調製方法であって、さらにステップ(7)より前のステップ(6)を含む:
(6)2-クロロ-4-フルオロベンゾニトリルとヒドラジン水和物を置換反応させて、2-クロロ-4-ヒドラジノベンゾニトリルを調製する。
【0025】
5-4.技術案5-3の調製方法であって、さらにステップ(6)より前のステップ(5)を含む:
(5)5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチルとシクロペンチルアルデヒドを縮合反応させて、(E)-6-シクロペンチルメチレン-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチルを調製する。
【0026】
5-5.技術案5-4の調製方法であって、さらにステップ(5)より前のステップ(4)を含む:
(4)5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボニトリルを加水分解及びエステル化反応させて、5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチルを調製する。
【0027】
5-6.技術案5-5の調製方法であって、さらにステップ(4)より前のステップ(3)を含む:
(3)5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-N-酸化物とN,N-ジメチルカルバモイルクロリド及びトリメチルシリルシアニドを置換反応させて、5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボニトリルを調製する。
【0028】
5-7.技術案5-6の調製方法であって,さらにステップ(3)より前のステップ(2)を含む:
(2)5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリンを酸化反応させて、5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-N-酸化物を調製する。
【0029】
5-8.技術案5-7の調製方法であって、さらにステップ(2)より前のステップ(1)を含む:
(1)1,3-シクロヘキサンジオンと酢酸アンモニウム及びアクロレインを縮合及び付加反応させて、5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリンを調製する。
【0030】
6.技術案1、2または3に記載の式(1)で示される化合物の結晶形Iの調製方法であって、化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルを、無水低級アルコール、アセトニトリル、酢酸エチルとエタノールの混合溶媒、メタノールとテトラヒドロフランの混合溶媒、またはアセトニトリルとアセトンの混合溶媒に加え、澄明になるまで加熱して溶液を得た後、前記溶液の温度を下げ、析出された固体を濾過して乾燥し、化合物の結晶形Iを得る;或いは化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルをアセトンに溶かし、得られた溶液をn-ヘプタンに滴下し、濾過して結晶形Iを得ることを特徴とする。
【0031】
7.技術案1、2または3に記載の式(1)で示される化合物の結晶形IIIの調製方法であって、化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルを、低級アルコールに加えて溶かし、得られた溶液を水に滴下し、濾過して結晶形IIIを得る;或いは化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルを水とアセトニトリルの混合溶液でスラリー洗浄し、濾過して結晶形IIIを得ることを特徴とする。
【0032】
8.技術案1、2または3に記載の式(1)で示される化合物の結晶形IIの調製方法であって、化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルを、低級アルコールに加えて溶かし、得られた溶液を水に滴下し、濾過して結晶形IIIを得る;或いは化合物2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリルを水とアセトニトリルの混合溶液でスラリーを洗浄し、濾過して結晶形IIIを得る;次に結晶形IIIを真空乾燥して結晶形IIを得ることを特徴とする。
【0033】
本発明において、前記「低級アルコール」はメタノール、エタノール、n-プロパノール等である。
【0034】
9.医薬組成物であって、前記医薬組成物は技術案1、2または3に記載の式(1)で示される化合物の結晶形と、製薬学的に許容されるキャリアを含み、前記結晶形は結晶形I、II、IIIまたはその組み合わせを含むことを特徴とする。
【0035】
9-1.本発明は式(1)で示される化合物の結晶形I、II、IIIまたはその組み合わせを含む医薬組成物をさらに提供する。前記医薬組成物はさらに製薬学的に許容されるキャリア、例えば賦形剤、粘着剤、調湿剤、崩壊剤、増粘剤等、を含む。
【0036】
10.技術案1、2または3に記載の式(1)で示される化合物の結晶形が腎障害または心血管疾患の治療及び/又は予防の薬物の調製における応用であって、前記結晶形は結晶形I、II、IIIまたはその組み合わせを含む。
【0037】
11.技術案10の応用であって、前記心血管疾患は心臓損傷、高血圧、心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓肥大、心筋炎、心臓及び血管線維化、圧力感覚受容器官機能障害または不整脈を含む。
【0038】
12.腎障害または心血管疾患を治療及び/又は予防する方法であって、前記方法は、それを必要とする被験者に前記技術案1、2または3の記載の式(1)で示される化合物の結晶形を有効治療量で投与することを含み、前記結晶形は結晶形I、II、IIIまたはその組み合わせを含む。
【0039】
13.技術案12の方法であって、前記心血管疾患は、心臓損傷、高血圧、心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓肥大、心筋炎、心臓及び血管線維化、圧力感覚受容器官機能障害または不整脈を含む。
【0040】
14.腎障害または心血管疾患の治療及び/又は予防に用いられる技術案1、2または3に記載の式(1)で示される化合物の結晶形であって、前記結晶形は結晶形I、II、IIIまたはその組み合わせを含む。
【0041】
15.技術案14の応用であって、前記心血管疾患は心臓損傷、高血圧、心不全、心筋梗塞、狭心症、心臓肥大、心筋炎、心臓及び血管線維化、圧力感覚受容器官機能障害または不整脈を含む。
【0042】
16.式(1)で示される化合物の結晶形I、II、III及び無定形は一定の条件下において相互に転化でき、本発明はさらに結晶形I、結晶形II、結晶形III及び無定形の間の転化関係を提供する。
【0043】
無定形は無水エタノール中で再結晶して結晶形Iを得る;
結晶形I、II、III又はその組み合わせは低級アルコール溶媒に溶かした後、回転乾燥して無定形を得る;
結晶形IIは無水エタノール中で再結晶して結晶形Iを得る;
無定形はメタノールに溶かし、次に得られた溶液を水に滴下して結晶形IIIを得る;
結晶形IIIは室温で乾燥して結晶形IIを得る;
結晶形Iはアセトニトリルと水の系においてスラリーを洗浄して結晶形IIIを得る;
結晶形IIIは無水エタノール中で再結晶して結晶形Iを得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】式(1)の化合物の結晶形IのXRDスペクトルを示す図である。
図2】式(1)の化合物の結晶形IIのXRDスペクトルを示す図である。
図3】式(1)の化合物の結晶形IIIのXRDスペクトルを示す図である。
図4】式(1)の化合物の結晶形I、結晶形II、結晶形III及び無定形の間における転化関係図であり、ここで: 1.エタノールによる再結晶; 2.低級アルコールに溶かしてから回転乾燥; 3.メタノールに溶かし、水に滴下して析出; 4.低級アルコールに溶かしてから回転乾燥; 5.低級アルコールに溶かしてから回転乾燥; 6.エタノールによる再結晶; 7.アセトニトリル/水によるスラリーを洗浄; 8.エタノールによる再結晶; 9.室温乾燥である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、実施例形式の具体的な実施方式を通じて、本発明の上記内容について更に詳細な説明を行う。但し、本発明の請求の範囲は以下の実施例に限ると理解してはならない。
【実施例0046】
実施例1 2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル(式(1)の化合物)の調製
【0047】
【化4】
【0048】
1.5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン(01)の調製
反応方程式:
【0049】
【化5】

【0050】
2つの並行反応を実施した:
100Lの反応釜に、トルエン45Lを加え、撹拌しながら1,3-シクロヘキサンジオン15kgを加え、加熱して固体を溶かし、酢酸アンモニウム24kgを加え、加熱還流し、12h反応させ、0℃に冷却し、アクロレイン15kgを数回に分けてゆっくり加え、ゆっくり昇温して還流し、12h反応させ、冷却し、分層し、下層をトルエンで2回(5L×2)洗浄し、トルエンと上層溶液を合わせ、回転蒸発し、5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン粗生成物7.4kgを得、黒色液体で、収率は18.8%であった。
【0051】
2.5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-N-酸化物(02)の調製
反応方程式:
【0052】
【化6】
【0053】
実験操作は以下のとおりである:5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン粗生成物7.4kgを100Lの反応釜に加え、ジクロロメタンを加えて50Lとし、-10℃に温度を下げ、メタクロロ過安息香酸13kgを数回に分けて添加し、添加終了後、室温で撹拌して20h反応させ、吸引濾過し、濾過ケーキをジクロロメタンで2回洗浄し、洗浄液と濾液を合わせ、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液を用いてヨウ化カリウムデンプン紙が青色を呈しないまで洗浄し、有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶液50Lを得、そのまま次の反応ステップに投入した。
【0054】
3.5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボニトリル(03)の調製
反応方程式:
【0055】
【化7】
【0056】
100Lの反応釜に、上記ステップで得られた5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-N-酸化物溶液50Lを加え、トリメチルシリルシアニド10kgを加え、N,N-ジメチルカルバモイルクロリド11kgをゆっくり加え、室温で撹拌して48h反応させ、撹拌しながら飽和水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり数回に分けて加えてpHを8~9になるように調整し、分層し、抽出し、水相をジクロロメタンで3回(8L×3)洗浄し、有機相を合わせ、水で1回(20L)洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発し、赤黒色液体8Lを得、冷却し、エタノールで結晶させ、5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボニトリル930gを得、収率は10.7%(5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリンを原料として計算する)であった。
【0057】
4.5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチル(05)の調製
反応方程式:
【0058】
【化8】
【0059】
3つの並行反応を実施した:
2Lのフラスコに、無水エタノール800mLと5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボニトリル280gを加え、氷浴で濃塩酸400mLを加え、昇温還流して16h反応させ、冷却し、回転蒸発し、無水エタノール1Lを加え、0℃に冷却し、塩化チオニル200mLを滴下し、昇温還流して10h反応させ、回転蒸発し、粗生成物にジクロロメタンを加えて溶かし、炭酸水素ナトリウム水溶液でpHをアルカリ性に調整し、分層し、水相をジクロロメタンで3回抽出し、有機相を合わせ、乾燥し、回転蒸発し、5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチル875gを得、収率は8.18%であった。
【0060】
5.(E)-6-シクロペンチルメチレン-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチル(07)の調製
反応方程式:
【0061】
【化9】
【0062】
3つの並行反応を実施した:
2Lのフラスコに、5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチル291gとエタノール450mLを加え、-20℃の氷浴中でシクロペンタンカルボキシアルデヒド213mLを加え、10min撹拌し、ピロリジン110mLをゆっくり加え、Nで3回置換し、室温で遮光して8h反応させ、-20℃氷浴で2h静置し、吸引濾過し、固体を氷エタノールで洗浄し、乾燥し、(E)-6-シクロペンチルメチレン-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチル862gを得,収率は72.3%であった。
【0063】
6.2-クロロ-4-ヒドラジノベンゾニトリル塩酸塩(08)の調製
反応方程式:
【0064】
【化10】
【0065】
100Lの反応釜に、エタノール40Lと2-クロロ-4-フルオロベンゾニトリル7kgを加え、ヒドラジン水和物4Lを加え、加熱還流して5h反応させ、冷却し、遠心し、固体を100Lの反応釜に加え、無水エタノール40Lを加え、濃塩酸7.5Lをゆっくり加え、加熱還流して2h反応させ、遠心し、乾燥し、2-クロロ-4-ヒドラジノベンゾニトリル塩酸塩7kgを得、収率は76.2%であった。
【0066】
7.2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチル(09)の調製
反応方程式:
【0067】
【化11】
【0068】
4つの並行反応を実施した:
2Lのフラスコに、(E)-6-シクロペンチルメチレン-5-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-2-カルボン酸エチル215.5g、2-クロロ-4-ヒドラジノベンゾニトリル塩酸塩191g及びエタノール900mLを加え、Nで3回置換し、80℃で遮光して9h還流反応させ、室温に冷却し、-20℃氷浴中で2h静置し、吸引濾過し、固体をそれぞれ氷エタノール、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥し、2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチル1026gを得、収率は79.3%であった。
【0069】
8.(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチル(12)の調製
反応方程式:
【0070】
【化12】
【0071】
2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチルをSFC(超臨界流体クロマトグラフィー)で分割し、2つの光学異性体を有し、1つ目の成分である(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチルを分離収集した;
分割条件:
機器:SFC(Novasep30-50)
分取カラム:Chiralpak IA、20μm、5×25cm
流動相:A相は超臨界COであり、B相はジクロロメタン:テトラヒドロフラン:ジエタノールアミン=50:50:0.1(vol:vol:vol)であり、A:B=50:50(vol:vol)である
流速:150g/min
検測波長:465nm
【0072】
試料調製:2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチル1025gを取り、ジクロロメタンを加えて超音波で溶かし、濾過し、濃度が約50mg/mLである試料溶液を得た。
【0073】
SFCを用いて分割し、1番目のピークの異性体試料を収集して即ち(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチル601.58gであった。
【0074】
9.(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸(13)の調製
反応方程式:
【0075】
【化13】
【0076】
20Lの反応釜に、(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸エチル1066g、テトラヒドロフラン4L及びメタノール2Lを加え、-10℃で10min撹拌し、水酸化ナトリウム192gを溶かした水溶液1.2Lをゆっくり加え、室温で4h反応させ、約半分量の溶媒を回転蒸発し、希塩酸でpHが3~4になるように調整し、吸引濾過し、固体はそれぞれ氷メタノール及びエチルエーテルで洗浄し、乾燥し、(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸867gを得、収率は86.7%であった。
【0077】
10.2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル(式(1)の化合物)の調製
反応方程式:
【0078】
【化14】
【0079】
5Lの反応容器に、(3S,3aR)-2-(3-クロロ-4-シアノフェニル)-3-シクロペンチル-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-7-カルボン酸380g、ジクロロメタン900mLとN,N-ジメチルホルムアミド360mLを加え、撹拌しながらトリエチルアミン380mLを加え、-10℃に温度を下げ、継続して10min撹拌し、4-ヒドロキシピペリジン137gを溶かしたジクロロメタン溶液700mLを加え、5min撹拌し、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)380gを加え、室温で3h反応させ、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート50gを追加し、1h反応させ、回転蒸発してジクロロメタンと一部のトリエチルアミンを除去し、残液を10倍量の水に滴下し、固体を析出させ、吸引濾過し、固体をジクロロメタン2Lで溶かし、水2Lで1回洗浄し、水相をジクロロメタン500mLで1回逆抽出し、有機相を合わせ、乾燥し、回転乾燥して式(1)の固体290gを得、収率は63.7%であった。
分子式:C2830ClNMS(M+H):504
H-NMR(CDCl,400MHz):δ8.375-8.395(1H,d)、7.423-7.474(2H,m)、7.264-7.276(1H,d)、6.968-6.995(1H,dd)、4.641-4.678(1H,dd)、4.17-4.21(1H,m)、3,99(1H,s)、3.76-3.79(1H,m)、3.515(1H,m)、3.41-3.44(1H,m)、3.230-3.322(2H,m)、2.995(1H,m)、2.321-2.352(1H,m)、2.10-2.15(2H,m)、1.978-2.089(2H,m)、1.863-1.895(1H,m)、1.758-1.777(1H,m)、1.433-1.663(7H,m)、1.221-1.352(2H,m)。
【0080】
実施例2
2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル結晶形Iの調製(1)
実施例1で調製された式(1)で示される化合物1gを、無水エタノール3mLに加え、80℃に加熱し、溶液が澄明になった後、ゆっくり室温まで温度を下げ、大量の固体が析出され、濾過し、無水エタノールで3回スプレー洗浄し、得られた固体を真空乾燥器に加えて60℃で12h真空乾燥し、結晶形Iを得た。結晶形Iの粉末X線回折(XRD)スペクトルは図1に示され、その主要パラメーターは以下のとおり:
【0081】
【表1】
【0082】
実施例3
2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル結晶形Iの調製(2)
実施例1で調製された式(1)で示される化合物146mgを、80℃でアセトニトリル50mLに溶かし、次にゆっくり室温まで温度を下げ、オーバーナイトで撹拌し、濾過し、結晶形Iを得た。
【0083】
実施例4
2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル結晶形Iの調製(3)
実施例1で調製された式(1)で示される化合物200mgを、100mLのフラスコに加え、酢酸エチル10mLを加え、78℃で還流しても溶けず、次にエタノール0.5mLを加えて80℃で撹拌し、速やかに溶かした後、ゆっくり室温まで温度を下げ、2日後に濾過し、結晶形Iを得た。
【0084】
実施例5
2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル結晶形Iの調製(4)
実施例1で調製された式(1)で示される化合物100mgを、100mLのフラスコに加え、アセトン3mLを加え、溶かし、n-ヘプタン20mLに滴下し、固体を析出させ、濾過し、結晶形Iを得た。
【0085】
実施例6
2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル結晶形Iの調製(5)
実施例1で調製された式(1)で示される化合物100mgを、100mLのフラスコに加え、メタノール1mLとテトラヒドロフラン1mLで調製されたメタノール:テトラヒドロフラン=1:1の混合溶媒0.5mLを取り、フラスコに加え、60℃で加熱して撹拌して溶かした後、ゆっくり室温まで温度を下げ、固体を析出させ、濾過し、結晶形Iを得た。
【0086】
実施例7
2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル結晶形Iの調製(6)
実施例1で調製された式(1)で示される化合物100mgを、100mLのフラスコに加え、アセトニトリル5mLとアセトン5mLで調製されたアセトニトリル:アセトン=1:1の混合溶媒3.5mLを取り、フラスコに加え、60℃で加熱して撹拌して溶かした後、ゆっくり室温まで温度を下げ、固体を析出させ、濾過し、結晶形Iを得た。
【0087】
実施例8
2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル結晶形IIIの調製(1)
実施例1で調製された式(1)で示される化合物200mgをメタノール4mLに加え、80℃で溶かし、該溶液を水40mLに滴下し、濾過して結晶形IIIを得た。
結晶形IIIの粉末X線回折(XRD)スペクトルは図3に示され、その主要パラメーターは以下のとおり:
【0088】
【表2】
【0089】
実施例9
2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル結晶形IIIの調製(2)
実施例1で調製された式(1)で示される化合物100mgを10mLの遠心管に加え、水10mLとアセトニトリル1mLで調製された水:アセトニトリル=10:1の混合溶液8mLを取り、遠心管に加え、撹拌しながら洗浄し、濾過して結晶形IIIを得た。
【0090】
実施例10
2-クロロ-4-[(3S,3aR)-3-シクロペンチル-7-(4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボニル)-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[3,4-f]キノリン-2-イル]ベンゾニトリル結晶形IIの調製
実施例8で調製された結晶形IIIを室温で12h真空乾燥して結晶形IIを得た。
結晶形IIの粉末X線回折(XRD)スペクトルは図2に示され、その主要パラメーターは以下のとおり:
【0091】
【表3】
【0092】
実験例1
本発明の化合物の結晶形Iの安定性
試料:
式(1)で示される化合物の結晶形I:実施例2により調製された;
影響因子試験の検討条件:
高温試験:
(i) 式(1)で示される化合物の結晶形Iを乾燥した清潔な時計皿に広げ、60℃の条件下で10日間放置し、それぞれ5日目と10日目にサンプリングし、関連物質及び式(1)で示される化合物の含有量を測定し、0日目の試料と比較した;
(ii) 式(1)で示される化合物の結晶形Iを薬用低密度ポリエチレン袋で内側に包装し、更に外側に薬品包装用のポロエステル/アルミニウム/ポリエチレン重層フィルムで密封包装し、60℃の条件下で10日間放置し、それぞれ5日目と10日目にサンプリングし、関連物質及び式(1)で示される化合物の含有量を測定し、0日目の試料と比較した。
【0093】
高湿試験:式(1)で示される化合物の結晶形Iを乾燥した清潔な時計皿に広げ、25℃、RH90%±5%の条件下で10日間放置し、それぞれ5日目と10日目にサンプリングし、関連物質及び式(1)で示される化合物の含有量を測定し、0日目の試料と比較した。
光安定性試験:式(1)で示される化合物の結晶形Iを乾燥した清潔な時計皿に広げ、光安定性試験装置に入れ、照度4500Lx±500Lxの条件下で10日間放置し、それぞれ5日目と10日目にサンプリングし、関連物質及び式(1)で示される化合物の含有量を測定し、0日目の試料と比較した。
含有量:中国薬典2010版付録のVD高速液体クロマトグラフィーに従い、外部標準法を用いて測定した。
関連物質:中国薬典2010版付録のVD高速液体クロマトグラフィーに従い、相対面積比較法を用いて測定した。
【0094】
試験結果:下記表1に示される。
【0095】
【表4】
【0096】
本発明者は式(1)で示される化合物の結晶形Iの安定性について検討を行い、試験結果から明らかなように、式(1)で示される化合物の結晶形Iが高温、高湿及び光の条件下において、関連物質、式(1)で示される化合物の含有量はほとんど変化しなかった、結晶形Iの安定性は無定形より優れた。式(1)で示される化合物の結晶形Iは、比較的高い安定性を有することが示され、薬品の調製、保存及び輸送に便利で、更に薬品の使用における有効性と安全性が保証されることに有利である。
【0097】
実験例2
本発明の化合物の結晶形IIの安定性
試料:
式(1)で示される化合物の結晶形II:実施例4により調製された;
影響因子試験の検討条件:
高温試験:
(i) 式(1)で示される化合物の結晶形IIを乾燥した清潔な時計皿に広げ、60℃の条件下で10日間放置し、10日目にサンプリングし、関連物質及び式(1)で示される化合物の含有量を測定し、0日目の試料と比較した;
(ii) 式(1)で示される化合物の結晶形IIを薬用低密度ポリエチレン袋で内側に包装し、更に外側に薬品包装用のポロエステル/アルミニウム/ポリエチレン重層フィルムで密封包装し、60℃の条件下で10日間放置し、10日目にサンプリングし、関連物質及び式(1)で示される化合物の含有量を測定し、0日目の試料と比較した。
【0098】
高湿試験:式(1)で示される化合物の結晶形IIを乾燥した清潔な時計皿に広げ、25℃、RH90%±5%の条件下で10日間放置し、10日目にサンプリングし、関連物質及び式(1)で示される化合物の含有量を測定し、0日目の試料と比較した。
光安定性試験:式(1)で示される化合物の結晶形IIを乾燥した清潔な時計皿に広げ、光安定性試験装置に入れ、照度5000Lx±500Lxの条件下で10日間放置し、10日目にサンプリングし、関連物質及び式(1)で示される化合物の含有量を測定し、0日目の試料と比較した。
含有量:中国薬典2010版付録のVD高速液体クロマトグラフィーに従い、外部標準法を用いて測定した。
関連物質:中国薬典2010版付録のVD高速液体クロマトグラフィーに従い、相対面積比較法を用いて測定した。
【0099】
試験結果:下記表2に示される。
【0100】
【表5】
【0101】
本発明者は式(1)で示される化合物の結晶形IIの安定性について検討を行い、試験結果から明らかなように、式(1)で示される化合物の結晶形IIは高温、高湿及び光の条件下で、関連物質、式(1)で示される化合物の含有量はほとんど変化しなかった、結晶形IIの安定性は無定形より優れた。式(1)で示される化合物の結晶形IIは、比較的高い安定性を有することが示され、薬品の調製、保存及び輸送に便利で、さらに薬物の使用における有効性と安全性が保証されることに有利である。
【0102】
実験例3
本発明の化合物の結晶形Iの高張食塩水負荷によるDahl食塩感受性(Dahl/ss)ラットにおける臓器保護と降圧作用

試料及び調製:
本発明の化合物の結晶形Iの固体分散体(本発明の化合物の結晶形I:PVPK30=1:8(w/w)):本発明の化合物の結晶形Iの固体分散体を適量の滅菌した注射用水で、濃度が0.03、0.10、0.30、1.00mg/mLの混濁液を調製し、用時調製した。
【0103】
動物のグループ分け及びモデル作成
実験動物:雄性8~9週齢のSPF(特定された病原体が無い)Dahl/ssラット(HARLAN LABORATORIES、INC.より購入、北京維通利華試験動物有限公司が代理購入)、通常検疫1週間後の、バイタルサイン良好なラットを選んで本実験を行った。
Dahl/ssラットは薬物投与前に測定された血圧によりランダムに6群に分けた:
対照群(n=10),
モデル群(4%NaCl、n=12),
本発明の化合物の結晶形I治療群,4群:
0.3mg/kg/day用量群(n=11)、
1mg/kg/day用量群(n=11)、
3mg/kg/day用量群(n=11)、
10mg/kg/day用量群(n=11),
nはラットの匹数である。
【0104】
実験方法:
4%NaCl含有のAIN-93G試験動物用飼料を用いてDahl/ssラット高血圧腎症モデルを誘発して本発明の化合物の結晶形Iの体内における薬効活性を評価した。
実験開始1週間前に、非観血的血圧測定法により2回血圧を測定し、ラットに血圧の測定操作を慣らさせた。実験開始前に1回血圧を測定し、実験の薬物投与前の基礎血圧値とした。ラットは薬物投与前に測定された血圧によりランダムに群に分けられた。2日目にモデル作成を開始し、4%NaCl含有のAIN-93G試験動物用飼料を飼料とし、動物に自由に摂食と摂水させ、42日間継続した。
対照群にはAIN-93G飼料を与え、モデル群及び本発明の化合物の結晶形I治療群の各用量群には4%NaCl含有のAIN-93G飼料を与えた。
【0105】
本発明の化合物の結晶形I治療群にはそれぞれ本発明の化合物の結晶形Iを、0.3、1、3、10mg/kg/dayで与え、1日2回薬物を経口投与し、毎回の経口投与体積は5mL/kgであった。モデル群と対照群には同用量の滅菌した注射用水を与えた。
【0106】
血圧(収縮期血圧、SBPと略す)測定:週1回に血圧を測定し、6週間継続し、各群の血圧変化状況を分析した。
腎臓、心臓の病理検査:試験終了後、ラットを殺処分し、両側の腎臓、心臓を摘出した。腎臓をヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で染色し、腎障害を評価した。心臓は心臓の左心室壁の厚さを測定し、心臓損傷を評価した。
【0107】
実験結果:
降圧作用:これにより、本発明の化合物の結晶形Iは該モデルにおいて明らかな降圧作用が示され、且つ一定の用量効果関係を呈した。表3に示される。
【0108】
【表6】
【0109】
腎臓と心臓保護:腎障害の評価結果に基づき、本発明の化合物の結晶形I治療群につき、腎障害保護において顕著な効果を有し、表4に示した。モデル群に比べ、本発明の化合物の結晶形Iは顕著に左心室壁の厚さを減少させ、表4に示した。
【0110】
【表7】
【0111】
高張食塩水負荷によるDahl/ssラット高血圧及び腎症モデルにおいて、本発明の化合物の結晶形Iは明らかな降圧作用と腎障害保護作用を示した。
図1
図2
図3
図4