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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091160
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】映像処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240627BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20240627BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/26 100
G07C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207657
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 智宣
(72)【発明者】
【氏名】山本 浦瑠那
(72)【発明者】
【氏名】中居 利成
【テーマコード(参考)】
3E138
5C054
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA01
3E138MB08
3E138MB09
3E138MC12
3E138MD10
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA07
5C054EA07
5C054FD07
5C054FE23
5C054GB01
5C054GB05
5C054GB06
5C054GD01
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】制御装置を増設することなく、後方確認に適した映像を表示装置に表示することができると共に、表示する映像よりも広い範囲の映像を記憶装置に保存しておくことができる、映像処理システムを提供する。
【解決手段】モータサイクルの後方を撮像する撮像装置と、ライダーの前方に位置するように配置され、撮像装置から取得された映像データに基づいて映像を表示する表示装置と、モータサイクルの走行時に、撮像装置で撮像された撮像映像の撮像範囲の第1の領域に対応する第1の映像の第1の映像データを、記憶装置に保存する第1の制御と、撮像範囲の第1の領域より狭い第2の領域に対応する第2の映像を、前記表示装置に表示させる第2の制御と、を行う制御装置と、を備えた映像処理システムとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータサイクルの後方を撮像する撮像装置と、
ライダーの前方に位置するように配置され、前記撮像装置から取得された映像データに基づいて映像を表示する表示装置と、
前記モータサイクルの走行時に、前記撮像装置で撮像された撮像映像の撮像範囲の第1の領域に対応する第1の映像の第1の映像データを、記憶装置に保存する第1の制御と、
前記撮像範囲の第1の領域より狭い第2の領域に対応する第2の映像を、前記表示装置に表示させる第2の制御と、を行う制御装置と、
を備えた映像処理システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第2の映像を前記表示装置に表示させる前記第2の制御を、前記第1の映像データを記憶装置に保存する前記第1の制御とは異なるタイミングで行う、請求項1に記載の映像処理システム。
【請求項3】
モータサイクルの前方又は側方を撮像する少なくとも1つの第2の撮像装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1の制御において、前記第1の映像を取得した時刻に前記第2の撮像装置から取得された第2の映像データを、前記第1の映像データに関連付けて前記記憶装置に保存する、
請求項1に記載の映像処理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記記憶装置に保存された前記第1の映像データを再生して前記表示装置に映像を表示させる第3の制御をさらに行うように構成され、
前記第3の制御は、前記記憶装置に保存された前記第1の映像データと前記第2の映像データを合成した合成映像データに基づいて、前記第1の映像とは異なる映像を前記表示装置に表示させることを含む、
請求項3に記載の映像処理システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第2の映像の表示中に受け付けたライダーからの映像の切り替え指示に応じて、前記第2の映像とは異なる範囲の映像を前記表示装置に表示させる第4の制御を行うように構成される、
請求項1に記載の映像処理システム。
【請求項6】
前記第1の映像データ及び前記第2の映像の映像データの少なくとも一方は、回転補正を含む予め定めた画像処理を施されている、
請求項1に記載の映像処理システム。
【請求項7】
音声を収集するマイクをさらに備え、
前記制御装置は、前記第1の制御において、前記第1の映像を取得した時刻に前記マイクから取得された音声データを、前記第1の映像データと関連付けて前記記憶装置に保存する、
請求項1に記載の映像処理システム。
【請求項8】
モータサイクル周辺の障害物との距離及び方向を検知するセンサをさらに備え、
前記制御装置は、前記第1の制御において、前記第1の映像を取得した時刻に前記センサから取得された検知データを、前記第1の映像データと関連付けて前記記憶装置に保存する、
請求項1に記載の映像処理システム。
【請求項9】
前記記憶装置は、前記制御装置と一緒に前記モータサイクルの車体の内部に配置されている、請求項1に記載の映像処理システム。
【請求項10】
前記記憶装置は、可搬性の記録媒体である、
請求項9に記載の映像処理システム。
【請求項11】
前記記憶装置は、前記モータサイクルの車体の外部に配置されており、
前記制御装置は、外部の前記記憶装置に前記第1の映像データを送信して保存させる、
請求項1に記載の映像処理システム。
【請求項12】
前記第1の映像データは、前記撮像装置から取得された映像データそのものである、請求項1に記載の映像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二輪車後方を撮像した映像を表示装置に表示して、ライダーに二輪車後方の視覚的情報を提供する技術が知られている。例えば、特許文献1には、二輪車後方を撮像した映像の一部の領域を、表示装置に表示する後方映像表示装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、このような後方映像表示装置とレコーダとの連携が可能であることが示唆されている。また、特許文献3には、二輪車後方を撮像して得られた画像データをSDRAM等の揮発性の副記憶手段に記憶し、副記憶手段に記憶した画像データのうち、前後加速度が閾値を超える時刻の画像データだけをフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶手段に記憶させる運行状況記憶装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-60128号公報
【特許文献2】実用新案登録第3227672号公報
【特許文献3】特開2008-225976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、車両に取り付けられる電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)は、制御対象毎に設けられている。例えば、表示装置に表示した映像を保存しておく場合、車両には、映像を表示装置に表示する制御を行う表示制御用のECUと、映像データを記憶装置に保存する制御を行う保存制御用のECUとを配置することが考えられる。
【0006】
しかしながら、二輪車や三輪車などのモータサイクルの場合、車両に比べてECUの設置スペースが限られており、多くのECUを配置することはできない。また、配置されるECUの数を増やすには、様々な設計変更が必要となる。
【0007】
また、ライダーが走行中に見たい映像と、例えば事故が発生したときの検証として見たい画像とでは、見たい範囲が異なることがある。検証の場合には、車両の周辺をできる限り広い範囲で確認することが望まれる。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、制御装置を増設することなく、後方確認に適した映像を表示装置に表示することができると共に、表示する映像よりも広い範囲の映像を記憶装置に保存しておくことができる、映像処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様の映像処理システムは、モータサイクルの後方を撮像する撮像装置と、ライダーの前方に位置するように配置され、前記撮像装置から取得された映像データに基づいて映像を表示する表示装置と、前記モータサイクルの走行時に、前記撮像装置で撮像された撮像映像の撮像範囲の第1の領域に対応する第1の映像の第1の映像データを、記憶装置に保存する第1の制御と、前記撮像範囲の第1の領域より狭い第2の領域に対応する第2の映像を、前記表示装置に表示させる第2の制御と、を行う制御装置と、を備えている。
【0010】
本開示の第2態様の映像処理システムは、本開示の第1態様の映像処理システムにおいて、前記第2の映像を前記表示装置に表示させる前記第2の制御を、前記第1の映像データを記憶装置に保存する前記第1の制御とは異なるタイミングで行う。
【0011】
本開示の第3態様の映像処理システムは、本開示の第1態様又は第2態様の映像処理システムにおいて、モータサイクルの前方又は側方を撮像する少なくとも1つの第2の撮像装置をさらに備え、前記制御装置は、前記第1の制御において、前記第1の映像を取得した時刻に前記第2の撮像装置から取得された第2の映像データを、前記第1の映像データに関連付けて前記記憶装置に保存する。
【0012】
本開示の第4態様の映像処理システムは、本開示の第3態様の映像処理システムにおいて、前記制御装置は、前記記憶装置に保存された前記第1の映像データを再生して前記表示装置に映像を表示させる第3の制御をさらに行うように構成され、前記第3の制御は、前記記憶装置に保存された前記第1の映像データと前記第2の映像データを合成した合成映像データに基づいて、前記第1の映像とは異なる映像を前記表示装置に表示させることを含む。
【0013】
本開示の第5態様の映像処理システムは、本開示の第1態様~第4態様のいずれか1つの映像処理システムにおいて、前記制御装置は、前記第2の映像の表示中に受け付けたライダーからの映像の切り替え指示に応じて、前記第2の映像とは異なる範囲の映像を前記表示装置に表示させる第4の制御を行うように構成される。
【0014】
本開示の第6態様の映像処理システムは、本開示の第1態様~第5態様のいずれか1つの映像処理システムにおいて、前記第1の映像データ及び前記第2の映像の映像データの少なくとも一方は、回転補正を含む予め定めた画像処理を施されている。
【0015】
本開示の第7態様の映像処理システムは、本開示の第1態様~第6態様のいずれか1つの映像処理システムにおいて、音声を収集するマイクをさらに備え、前記制御装置は、前記第1の制御において、前記第1の映像を取得した時刻に前記マイクから取得された音声データを、前記第1の映像データと関連付けて前記記憶装置に保存する。
【0016】
本開示の第8態様の映像処理システムは、本開示の第1態様~第7態様のいずれか1つの映像処理システムにおいて、モータサイクル周辺の障害物との距離及び方向を検知するセンサをさらに備え、前記制御装置は、前記第1の制御において、前記第1の映像を取得した時刻に前記センサから取得された検知データを、前記第1の映像データと関連付けて前記記憶装置に保存する。
【0017】
本開示の第9態様の映像処理システムは、本開示の第1態様~第8態様のいずれか1つの映像処理システムにおいて、前記記憶装置は、前記制御装置と一緒に前記モータサイクルの車体の内部に配置されている。
【0018】
本開示の第10態様の映像処理システムは、本開示の第9態様の映像処理システムにおいて、前記記憶装置は、可搬性の記録媒体である。
【0019】
本開示の第11態様の映像処理システムは、本開示の第1態様~第8態様のいずれか1つの映像処理システムにおいて、前記記憶装置は、前記モータサイクルの車体の外部に配置されており、前記制御装置は、外部の前記記憶装置に前記第1の映像データを送信して保存させる。
【0020】
本開示の第12態様の映像処理システムは、本開示の第1態様~第11態様のいずれか1つの映像処理システムにおいて、前記第1の映像データは、前記撮像装置から取得された映像データそのものである。
【発明の効果】
【0021】
本開示の第1態様の映像処理システムによれば、制御装置を増設することなく、後方確認に適した映像を表示装置に表示することができると共に、表示する映像よりも広い範囲の映像を記憶装置に保存しておくことができる。
【0022】
本開示の第2態様の映像処理システムによれば、適切なタイミングで映像を表示装置に表示することができる。
【0023】
本開示の第3態様の映像処理システムによれば、同じ時刻に撮影された複数の映像データから、1つの映像データからの情報よりも多くの情報を得ることができる。
【0024】
本開示の第4態様の映像処理システムによれば、保存された映像データを様々な表示態様で再生でき、車両周辺の状況を異なる角度から検証できるようになる。
【0025】
本開示の第5態様の映像処理システムによれば、走行中にも第1の映像よりも広い範囲の第2の映像をライダーに表示することができる。
【0026】
本開示の第6態様の映像処理システムによれば、画像処理後の映像データを表示したり、保存したりすることができる。
【0027】
本開示の第7態様の映像処理システムによれば、同じ時刻に取得された音声データと映像データとから、映像データのみからの情報よりも多くの情報を得ることができる。
【0028】
本開示の第8態様の映像処理システムによれば、同じ時刻に取得されたセンサの検知データと映像データとから、映像データのみからの情報よりも多くの情報を得ることができる。
【0029】
本開示の第9態様及び第10態様の映像処理システムによれば、映像データが保存された記憶装置の盗難を防止することができる。特に、記憶装置が可搬性の記憶媒体の場合に有効である。
【0030】
本開示の第11態様の映像処理システムによれば、映像データを外部の記憶装置に安全に保存しておくことができる。
【0031】
本開示の第12態様の映像処理システムによれば、画像処理後の映像データを保存する場合に比べて、より多くの視覚的情報を含んでいる映像データを保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1の実施形態に係る映像処理システムの構成の一例を示す概略図である。
図2】(A)及び(B)は撮像装置の配置の他の一例を示す概略図である。
図3】表示装置の配置の一例を示す概略図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る映像処理システムの電気的構成の一例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図6】(A)は本発明の第1の実施形態に係る映像保存・表示プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートであり、(B)は映像保存処理の流れの一例を示すフローチャートであり、(C)は映像保存・表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】(A)~(C)は本発明の第1の実施形態に係る映像データの処理を説明するための模式図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る映像再生プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】表示装置に表示される再生操作画面の一例を示す模式図である。
図10】再生映像の表示態様の一例を示す模式図である。
図11】(A)は本発明の第2の実施形態に係る映像表示プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートであり、(B)は広範囲表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】(A)~(C)は本発明の第2の実施形態に係る表示映像の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0034】
<第1の実施の形態>
本開示の映像処理システムは、モータサイクル用の映像処理システムであり、自車両の後方の映像をライダーに表示する。ここで「モータサイクル」とは、ライダーが跨って騎乗する鞍乗型車両のうちの自動二輪車、自動三輪車又は自動四輪車を意味する。モータサイクルには、エンジンを駆動源とするものと、モータを駆動源とするものとが含まれる。モータサイクルとしては、例えば、オートバイ、スクーター、電動スクーター等が挙げられる。以下では、モータサイクルが自動二輪車である場合について説明する。
【0035】
(映像処理システムの構成)
まず、映像処理システムの構成について説明する。
図1は映像処理システムの構成の一例を示す概略図である。図1に示すように、映像処理システム10は、撮像装置12、表示装置14、制御装置16、及び操作装置18を備えている。図1では、各装置を1つずつ図示しているが、撮像装置12、表示装置14、及び操作装置18の各々は、複数設けられていてもよい。
【0036】
撮像装置12は、車体11の周囲を撮像する装置である。撮像装置12としては、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等のイメージセンサを備えたデジタルビデオカメラを用いることができる。なお、撮像装置12は、録画中はパイロットランプを点灯する等して、後続車に録画中であることを報知してもよい。
【0037】
撮像装置12を1台設置する場合は、図1に示すように、車両の後方を撮像する撮像装置12が車体11の後部に設置される。後方を撮像する撮像装置12は、好ましくは車体11の中心線上に配置される。撮像装置12を複数台設置する場合は、例えば、図2(A)に示すように、車両の後方を撮像する撮像装置12Rの外に、車両の前方を撮像する撮像装置12Fを車体11の前部に設置してもよいし、図2(B)に示すように、後方及び前方に加えて、車両の側方を撮像する撮像装置12Sを車体11の側部に設置してもよい。複数の撮像装置を配置することで、全方位をカバーすることができる。
【0038】
表示装置14は、車両の後方の映像をライダーに表示する装置である。表示装置14の表示部40(図4参照)としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、これらディスプレイ上にタッチパネルが重ねられた構成のタッチパネルディスプレイ等のディスプレイを用いることができる。表示装置14は、ライダー前方のライダーが見易い位置に設置されている。
【0039】
表示装置14としては、車体11のインストルメントパネルに備え付けられたディスプレイを使用してもよく、後付けのディスプレイを使用してもよい。例えば、図3に示すように、インストルメントパネルの中央に車両情報を表示するためのメータディスプレイが配置されている場合には、メータディスプレイの近くに表示装置14を配置することができる。表示装置14を配置する際に、ライダーから計器類(例えば、メータディスプレイ)までの距離と、ライダーから表示装置14までの距離とを略同じにすることで、ライダーは焦点合わせがし易くなる。
【0040】
制御装置16は、表示装置14を制御するために設けられた電子制御ユニット(ECU)の制御機能部である。制御装置16は、例えば、シート内部に埋め込むなど、車体11の内部に設置されている。
【0041】
操作装置18は、ライダーが操作入力を行うための装置である。操作装置18としては、ハンドル近傍に取り付けられるハンドルスイッチ等を用いることができる。ハンドルスイッチによれば、走行中にも操作入力を行うことができる。操作装置18は、例えば、左グリップに取り付けることができる。
【0042】
(映像処理システムの電気的構成)
次に、映像処理システム10の電気的な構成について説明する。
図4は映像処理システム10の電気的構成の一例を示すブロック図である。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)30、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)34、及び不揮発性のメモリ36を備えている。ROM32又は不揮発性のメモリ36には、後述する「映像表示プログラム」及び「映像再生プログラム」が予め記憶されている。CPU30は、予め記憶されたプログラムを読み出し、RAM34をワークエリアとしてプログラムを実行する。
【0043】
制御装置16には、撮像装置12、表示装置14、及び操作装置18が、制御装置16との間でデータの授受を行えるように有線又は無線で接続されている。また、各種センサ20、通信部22及び記憶部24も、制御装置16との間でデータの授受を行えるように制御装置16に有線又は無線で接続されている。制御装置16は、各部との間で情報の授受を行って、各部を制御する。
【0044】
センサ20は、車体11の傾きを検知するための傾きセンサ、加速度センサ等である。通信部22は、外部装置28と通信を行うためのインタフェースである。記憶部24は、HDD(Hard Disk Drive)、可搬性の記録媒体(例えば、SDカード等のメモリカード)等の外部記憶装置である。記憶部24には、後述する各種画面の画像データ等が記憶されている。制御装置16は、通信部22及び記憶部24と共に、ECUとして車体11の内部に設置されている。なお、制御装置16、通信部22及び記憶部24は、共通のケース内に収納されていてもよい。可搬性の記録媒体は、ECUに対して着脱可能である。
【0045】
表示装置14は、表示部40、操作部42、センサ44、及びスピーカ46などを備えている。表示部40は、映像データに基づいて映像を表示するためのディスプレイである。操作部42は、操作入力を行うためのスイッチやボタンである。上述した通り、表示部40は、タッチパネルディスプレイであってもよく、この場合、タッチパネルディスプレイは操作部42にも該当する。センサ44は、表示装置14の向きを検知するための加速度センサである。スピーカ46は、音声データに基づいて音声を出力する装置である。
【0046】
以上説明した構成は一例であり、他の部材を追加することもでき、一部の部材を省略することもできる。
【0047】
ここで、映像処理システム10の動作を簡単に説明する。
撮像装置12で車両の後方の映像が撮像されて、得られた映像データが制御装置16に出力される。制御装置16は、得られた映像データを処理して表示装置14に出力する。表示装置14は、得られた映像データに基づいて映像を表示する。
【0048】
また、映像処理システム10は、撮像装置12から得られた映像データを記録するドライブレコーダとしても機能する。このため、制御装置16は、映像データを車両の内部又は外部の記憶装置に保存する処理も行う。複数の撮像装置を備える場合には、各装置から同じ時刻に得られた複数の映像データを互いに関連付けて記憶装置に保存しておく。或いは、複数の映像の合成映像を表す合成映像データを生成し、合成映像データを記憶装置に保存しておいてもよい。
【0049】
映像データは、記憶部24に保存されてもよく、通信部22を介して外部に送信され、外部の記憶装置に保存されてもよい。例えば、映像データは、ライダーやその他のユーザのパーソナルコンピュータやスマートフォン等に保存しておくこともできる。以下では、映像データが、車体11の内部にある記憶部24に保存される場合について説明する。
【0050】
また、ライダーは、操作装置18を介して各種の指示を行うことができる。例えば、表示装置14に表示される映像は、操作装置18を介して入力されたライダーからの指示に応じて切り替えられる。ライダーによる操作入力は、表示装置14の操作部42を介して行うこともでき、表示装置14の表示部40に表示された操作画面を介して行うこともできる。
【0051】
また、映像処理システム10は、車両周辺の状況を表すデータを映像データと関連付けて記録するようにしてもよい。車両周辺の状況を表すデータとしては、音声データや各種センサのデータが挙げられる。
【0052】
例えば、映像処理システム10は、車両周辺の音声を収集するためのマイク26を備えていてもよい。マイク26は、例えば、図示したように撮像装置12に内蔵されているマイクでもよく、後付けのマイクでもよい。映像データと同じ時刻に得られた音声データは、映像データと関連付けて記憶部24に保存されてもよい。
【0053】
また、映像処理システム10は、車両周辺の障害物との距離及び方向を検知するレーダ(例えば、ミリ波センサ)、LiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)などのセンサを備えていてもよい。映像データと同じ時刻に得られた検知データは、映像データと関連付けて記憶部24に保存されてもよい。
【0054】
(制御装置の機能的構成)
次に、制御装置16の機能的な構成について説明する。
図5は制御装置16の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。制御装置16は、ライダーからの指示を受け付ける指示受付部50、映像データを記憶装置に保存する映像保存処理部52、表示装置14に後方の映像を表示させる映像表示処理部54、及び記憶装置に保存された映像データを再生する映像再生処理部56を備えている。これらの各機能部は、後述する「映像保存・表示プログラム」又は「映像再生プログラム」が制御装置16のCPU30によって実行されることで実現される。
【0055】
(映像保存・表示プログラム)
次に、「映像保存・表示プログラム」について説明する。
図6(A)は「映像保存・表示プログラム」の処理の流れの一例を示すフローチャートである。映像保存・表示プログラムは、制御装置16のCPU30によって実行され、エンジン始動スイッチ等のスイッチ操作により、エンジンが始動されると開始される。ここでは、CPU30の動作の一部を、図5に示す各機能部の動作として説明する。
【0056】
まず、ステップS100で、指示受付部50は、映像の表示が指示されたか否かを判定する。映像を表示する指示は、例えば、操作装置18の操作により行われてもよい。映像の表示が指示されていない場合は、CPU30は、ステップS100で否定判定して、ステップS102に進む。そして、ステップS102で、映像保存処理部52は「映像保存処理」を実行する。
【0057】
一方、映像の表示が指示された場合は、ステップS100で肯定判定して、ステップS104に進む。そして、ステップS104で、映像保存処理部52と映像表示処理部54とが「映像保存・表示処理」を実行する。
【0058】
すなわち、本実施の形態の映像処理システムでは、エンジン始動と同時に、映像データの保存が開始され、エンジンが停止されるまで映像データの保存が継続して行われる。また、本実施の形態の映像処理システムでは、ライダーから映像の表示が指示されると、映像データの保存を行うと共に、後方の映像を表示装置14に表示させる。
【0059】
次に、ステップS106で、CPU30は、ルーチンを終了するか否かを判断する。例えば、エンジン始動スイッチ等のスイッチ操作によりエンジンの停止が指示されると、ステップS106で肯定判定して、ルーチンを終了する。一方、ルーチンを終了しない場合は、ステップS106で否定判定して、ステップS100に戻る。したがって、ルーチンを終了するまで、ステップS100~ステップS106の処理が繰り返し実行される。
【0060】
(映像保存処理)
次に、図6(B)を参照してステップS102で実行される「映像保存処理」の流れについて説明する。
【0061】
まず、ステップS110で、映像保存処理部52は、撮像装置12から映像データを取得する。ここでは、撮像装置12から得られた未処理の映像データを「撮像映像データ」と称する。次に、ステップS112で、映像保存処理部52は、撮像装置12から取得した撮像映像データを保存に適した形態に画像処理して、記憶部24に保存する保存用の映像データを生成する。ここでは、保存用の映像データを「保存映像データ」と称する。続くステップS114で、映像保存処理部52は、保存映像データを記憶部24に保存して、ルーチンを終了する。
【0062】
(映像保存・表示処理)
次に、図6(C)を参照してステップS104で実行される「映像保存・表示処理」の流れについて説明する。
【0063】
まず、ステップS120で、映像保存処理部52は、撮像装置12から撮像映像データを取得する。次に、ステップS122で、映像保存処理部52は、撮像装置12から取得した撮像映像データを保存に適した形態に画像処理して、保存映像データを生成する。続くステップS124で、映像保存処理部52は、保存映像データを記憶部24に保存する。
【0064】
次に、ステップS126で、映像表示処理部54は、撮像範囲の一部の領域を表示範囲として切り出すと共に、表示範囲の映像を左右反転させるように撮像映像データを画像処理して、表示装置14に表示させる表示用の映像データを生成する。ここでは、表示用の映像データを「表示映像データ」と称する。次に、ステップS128で、表示制御部56は、表示映像データを表示装置14に出力して、表示装置14に表示映像データに基づく映像を表示させる。
【0065】
図7(B)は、図7(A)に示す撮像映像60の撮像範囲から一部の領域64が切り出される様子を示す図である。撮像装置12は車両の後方の広い範囲を撮像しているが、ライダーが見たいのはライダー自身の真後ろの死角となる領域である。一方、撮像映像は、死角となる領域が撮像範囲の中央に来るように撮像されている。したがって、撮像範囲の中央部分を含む領域64を切り出して表示範囲とする。一部の領域64を切り出して表示することで、ライダーが見たい範囲を大きく表示することができる。
【0066】
図7(C)は、表示映像データに基づく表示映像66を示す図である。表示映像66は、領域64に対応する映像の反転映像である。表示装置14に表示される映像が、バックミラーに映る鏡像と同じ向きである方が、ライダーは後方の状況を把握しやすい。
【0067】
ここで、図6(C)の説明に戻る。次に、ステップS130で、映像表示処理部54は、映像表示を終了するか否かを判断する。例えば、操作装置18の操作により映像表示の終了が指示されると、ステップS130で肯定判定して、ルーチンを終了する。例えば、走行中にライダーから映像表示の終了が指示された場合には、映像表示を終了して、ルーチンも終了する。一方、映像表示を終了しない場合は、ステップS130で否定判定して、ステップS120に戻る。したがって、映像表示の終了が指示されるまで、ステップS120~ステップS130の処理が繰り返し実行される。
【0068】
保存映像データ及び表示映像データの各々を生成する際に、回転補正、歪み補正、色補正、ノイズ除去等の各種の画像処理が行われてもよい。
【0069】
例えば、保存映像データを生成する際の画像処理としては、撮像映像データから不要な部分を除去する処理が挙げられる。広角レンズを備える撮像装置12の場合、映像の周辺部に歪みが生じてしまう。このような場合、映像の周辺部が除去されるように、撮像映像データの画像処理を行うことが好ましい。記憶部24に保存する前に一部の映像データを削除することで、保存するデータ量を低減することができる。
【0070】
また、撮像映像データに対して他の画像処理を行うこともできる。例えば、センサ20で検知された車体11の傾きに応じて撮像映像データを回転補正する処理を行ってもよい。また、映像を左右反転させる処理を行い、反転映像の映像データを保存しておいてもよい。
【0071】
なお、図6(B)のステップS112及び図6(C)のステップS122を省略して、撮像映像データをそのまま保存映像データとしてもよい。撮像映像データは、より多くの視覚的情報を含んでいるので、一部の映像を切り出す場合に比べて、後々ユーザにより多くの情報を提供できる場合がある。
【0072】
また、図6(C)のステップS126では、撮像映像データを画像処理して表示映像データを生成する例について説明したが、図6(C)のステップS122で画像処理された保存映像データから表示映像データを生成してもよい。
【0073】
(映像再生プログラム)
上述した通り、車両の走行中、ライダーには撮影映像の一部の領域を切り出した映像が表示される。第1の実施の形態では、ライダーやその他の視聴者は、車両の停車中に保存映像データ、すなわち、広い範囲の映像データを再生することもできる。
【0074】
次に、映像再生プログラムについて説明する。
図8は映像再生プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。この映像再生プログラムは、制御装置16のCPU30によって実行され、映像の再生が指示されると開始される。ここでは、CPU30の動作を、図5に示す再生制御部58の動作として説明する。
【0075】
映像を再生する指示は、例えば、表示装置14の表示部40に表示された図9に示す再生操作画面の操作により行われてもよい。この再生操作画面70は、再生映像を表示する映像表示部72、再生する保存映像データを選択する選択部74、各種の指示ボタン76、及び表示態様選択ボタン78等を含んでいる。
【0076】
例えば、後方映像と前方映像の映像データが記録されている場合には、表示態様として、後方映像のみ表示、前方映像のみ表示、後方映像及び前方映像の分割表示等を選択することができる。視聴者は、画面操作により再生する保存映像データと表示態様とを選択して再生を指示すると、再生が開始される。
【0077】
まず、ステップS200で、再生制御部58は、再生する保存映像データを記憶部24から読み出す。次に、ステップS202で、再生制御部58は、指示に応じた態様で映像を表示するための映像データを生成する。ここでは、再生表示用の映像データを「再生映像データ」と称する。次に、ステップS204で、再生制御部58は、再生映像データを表示装置14に出力して、表示装置14に再生映像データに基づく映像を表示させる。
【0078】
上述した通り、保存映像は、撮像映像の撮像範囲の一部を切り出した表示映像とは異なり、撮像範囲のより広い範囲を含んでいる。保存映像データは、例えば、事故が発生した状況の検証などに使用される。このため、より多くの視覚的情報を含む広い範囲の映像を再生できるようにする。
【0079】
また、車両周辺の状況を異なる角度から検証できるように、保存映像データは複数の表示態様で再生できることが好ましい。前方映像のみの表示態様では、図10(A)に示すように、前方映像80のみが表示される。後方映像のみ表示態様では、図10(B)に示すように、後方映像82のみが表示される。分割表示の表示態様では、図10(C)に示すように、後方映像と前方映像の合成映像84が表示される。後方映像の映像データと前方映像の映像データとが合成され、得られた合成映像データに基づいて合成映像84が表示される。
【0080】
「保存映像データ」は、本開示の「第1の映像の第1の映像データ」の一例であり、「表示映像データに基づく表示映像」が、本開示の「第2の映像」の一例である。
【0081】
以上説明した通り、第1の実施形態に係る映像処理システムによれば、以下に示すような様々な効果を得ることができる。
【0082】
(1)撮像装置は車両の後方の広い範囲を撮像しているが、撮像範囲のうちライダーが見たい領域を切り出した映像を、走行中にライダーの前方に配置された表示装置に表示するので、見たい範囲が大きく表示され視認性が向上する。また、ライダーは真後ろの死角となる領域を確認できるようになり、後方確認が容易になる。さらに、後方確認が容易になることから、ライダーの首振り動作を低減することができ、安全性の向上が見込まれる。
【0083】
(2)走行中に撮像装置で撮像された広い範囲の映像データを再生可能に保存しておくので、事後確認に適した映像データを保存しておくことができる。事故発生時には、これらの映像データは事故発生状況を証明する証拠として利用することもできる。
【0084】
また、表示制御用の制御装置(ECU)を多機能化して、表示制御用の制御装置により撮像映像データを記憶装置に保存する制御を行うので、新たなECUを増設することなく、広い範囲の撮像映像データを保存しておくことができる。
【0085】
また、複数の撮像装置の映像データを互いに関連付けて記録しておくことや、音声データや各種センサの検知データを映像データに関連付けて記録しておくことで、保存されたデータからより多くの情報を得ることができる。
【0086】
(3)記憶部としてSDカード等の可搬性の記録媒体が挿入された制御装置は、車体の内部に設置されているので、市販の後付けのドライブレコーダとは異なり、記録媒体を簡単に取り出すことができず、映像データを保存した記録媒体の盗難が防止される。
【0087】
(4)撮像装置のパイロットランプを点灯させる等して、後続車に録画中であることを報知することで、あおり運転等の危険行為を抑止することができる。
【0088】
<第2の実施の形態>
第1の実施形態では、車両の停車中に保存映像データを再生して広い範囲の映像を確認できるようにしたが、第2の実施形態では、走行中に映像を切り替えて元の映像とは異なる範囲の映像を表示できるようにする。ここでは、ライダーからの切り替え指示に応じて元の映像をより広い範囲の映像(例えば、保存映像)に切り替える例について説明する。
【0089】
第2の実施形態では、図6(A)に示す映像保存・表示プログラムの「映像保存・表示処理」の流れが第1の実施形態とは異なっている。このため、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、相違点のみ説明する。
【0090】
(映像保存・表示処理)
次に、第2の実施形態の「映像保存・表示処理」について説明する。
図11(A)及び(B)は「映像保存・表示処理」の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、CPU30の動作を、図5に示す各機能部の動作として説明する。
【0091】
まず、図11(A)のステップS300で、映像保存処理部52は、撮像装置12から撮像映像データを取得する。次に、ステップS302で、映像保存処理部52は、撮像映像データを保存に適した形態に画像処理して、記憶部24に保存される保存映像データを生成する。続くステップS304で、映像保存処理部52は、保存映像データを記憶部24に保存する。なお、ステップS302は省略してもよい。
【0092】
次に、ステップS306で、映像表示処理部54は、撮像範囲の一部の領域を表示範囲として切り出すと共に、表示範囲の映像を左右反転させるように撮像映像データを画像処理して、表示装置14に表示させる表示映像データを生成する。続くステップS308で、映像表示処理部54は、表示映像データを表示装置14に出力して、表示装置14に表示映像データに基づく映像を表示させる。
【0093】
なお、ステップS300~S308の処理は、図7に示すステップS100~S108の処理に対応しているので、各ステップの詳細については図7の説明を参照されたい。
【0094】
次に、ステップS310で、指示受付部50は、広い範囲の映像への切り替えが指示されたか否かを判定する。例えば、ライダーによる操作装置18の操作により映像の切り替えが指示されると、ステップS310で肯定判定してステップS314に進み、映像の切り替えが指示されていない場合は、ステップS310で否定判定してステップS312に進む。
【0095】
映像の切り替えが指示された場合、次にステップS314で、映像保存処理部52及び映像表示処理部54は、表示映像を広い範囲の映像に切り替える「広範囲表示処理」を実行する。ここで、図11(B)を参照して「広範囲表示処理」のサブルーチンを説明する。
【0096】
映像保存処理部52は、ステップS400で、撮像装置12から撮像映像データを取得し、ステップS402で、撮像映像データを保存に適した形態に画像処理して、記憶部24に保存される保存映像データを生成し、続くステップS404で、保存映像データを記憶部24に保存する。なお、ステップS402は省略してもよい。
【0097】
次に、映像表示処理部54は、ステップS406で、映像を左右反転させるように撮像映像データ又は保存映像データを画像処理して、表示装置14に表示させる表示映像データを生成する。すなわち、第2の実施形態では、撮像範囲の一部を切り出す画像処理は行わない。映像表示処理部54は、続くステップS408で、表示映像データを表示装置14に出力して、表示装置14に表示映像データに基づく映像を表示させる。
【0098】
次に、映像表示処理部54は、ステップS410で、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間は、例えば、1~10秒間である。所定時間が経過した場合は、ステップS410で肯定判定してルーチンを終了し、所定時間が経過していない場合は、ステップS410で否定判定してステップS400に戻る。したがって、所定時間が経過するまでは、ステップS400~ステップS410の処理が繰り返し実行される。そして、広範囲表示処理が終了すると、図11(A)のステップS300に戻る。
【0099】
図12(A)は撮像映像90を示す。図12(B)は広い範囲の表示映像92を示す。表示映像92は、撮像映像90の撮像範囲全体を左右反転させた反転映像である。点線の枠で囲んだ領域94が、図11(A)のステップS306で表示範囲として切り出される狭い範囲である。図12(C)は狭い範囲の表示映像96を示す。
【0100】
操作装置18の操作により映像の切り替えが指示された場合、表示装置14に表示される映像が、狭い範囲の表示映像96から広い範囲の表示映像92に切り替わる。広い範囲の表示映像92に切り替わった後、所定時間が経過すると、表示映像は狭い範囲の表示映像96に戻る。或いは、ライダーのスイッチ操作に応じて、広い範囲の表示映像92から狭い範囲の表示映像96に切り替えてもよい。
【0101】
ここで、図11(A)の説明に戻る。映像の切り替えが指示されていない場合、次にステップS312で、映像表示処理部54は、映像表示を終了するか否かを判断する。例えば、操作装置18の操作により映像表示の終了が指示されると、ステップS312で肯定判定して、ルーチンを終了する。一方、映像表示を終了しない場合は、ステップS300に戻る。したがって、映像表示の終了が指示されるまで、ステップS300~ステップS314の処理が繰り返し実行される。
【0102】
以上説明した通り、第2の実施形態に係る映像処理システムによれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる外に、走行中にも広い範囲の映像を確認することができる。
【0103】
<変形例>
なお、上記各実施の形態で説明した映像処理システムの構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
【0104】
上記の実施形態では、ライダーの指示に応じて映像を表示するようにしたが、車両が備える各種センサの検知結果に応じて映像を表示してもよい。各種センサとしては、自車両の後方からの車両の接近を検知するBSM(ブラインドスポットモニタ)、車両の傾きを検知するセンサ、車速センサ等がある。例えば、BSMからの警報に応じて、映像を表示するようにしてもよい。
【0105】
上記の実施形態では、エンジン始動と同時に、映像データの保存が開始され、エンジンが停止されるまで映像データの保存が継続して行われ、映像の表示はライダーからの指示に応じて、すなわちライダーが映像を見たいときにだけ行われる例について説明したが、映像データの保存のタイミングと映像の表示のタイミングとはこの例には限定されない。映像の表示のタイミングは、映像データの保存のタイミングと同じでもよく、異なっていてもよいが、上記実施形態で説明したように両者は異なっていることが望ましい。また、走行中は映像データの保存が常時行われることが望ましいが、映像データの保存を開始するタイミングはエンジン始動時には限定されず、例えば、ライダーの指示に応じて映像データの保存を開始してもよい。
【0106】
上記の実施形態では、表示装置をインストルメントパネルのメータディスプレイの(ライダーから見て)右側や左側に設置する例について説明したが、表示装置は、メータディスプレイの有無に拘わらず、ライダー前方のライダーが見易い位置に設置されていればよい。例えば、ハンドルに設置してもよく、ミラーの取り付け部に設置してもよく、燃料タンクの上部に設置してもよく、カウル内に設置してもよく、メータディスプレイの上側に設置してもよい。
【0107】
上記の実施形態では、専用の表示装置を設ける例について説明したが、表示装置として、スマートフォンやタブレット等の携帯型の情報処理装置を使用してもよい。この場合に、携帯型の情報処理装置は、インストールされた専用のアプリケーションプログラムを使用して、制御装置であるECUと協働することで各種の処理を実行する。例えば、スマートフォンは、Bluetooth(登録商標)により、通信部22に無線接続され、記憶部24に記憶されている映像データに基づく映像を、画面に表示できる(図4参照)。
【符号の説明】
【0108】
10・・・映像処理システム、11・・・車体、12・・・撮像装置、14・・・表示装置、16・・・制御装置、18・・・操作装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12