IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士製砥株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-保冷ベスト 図1
  • 特開-保冷ベスト 図2
  • 特開-保冷ベスト 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091173
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】保冷ベスト
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20240627BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20240627BHJP
   A41D 1/00 20180101ALI20240627BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/002
A41D1/00 E
A41D13/005 108
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207681
(22)【出願日】2022-12-23
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】501252995
【氏名又は名称】富士製砥株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】李 学勝
【テーマコード(参考)】
3B011
3B030
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC01
3B011AC21
3B030AA02
3B030AA03
3B030AA06
3B030AB08
3B030AB12
3B211AA01
3B211AB01
3B211AC01
3B211AC21
(57)【要約】
【課題】省エネルギーで簡便に利用可能な保冷ベストを提供する。
【解決手段】保冷ベスト1は、前身頃3a、3b及び後身頃4にそれぞれ形成されて袋状に複数区画された保冷材封入部10と、前身頃3a、3b及び後身頃4に接続されたアジャスターベルト11に対して着脱自在な保冷材カートリッジ15と、を備え、保冷材CとしてのPCM材料が、保冷材封入部10及び保冷材カートリッジ15にそれぞれ封入されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保冷材が取り付けられた保冷ベストであって、
前記保冷材は、PCM材料であることを特徴とする保冷ベスト。
【請求項2】
前記保冷ベストの前身頃又は後身頃に形成され、前記保冷材を封入可能な複数の保冷材封入部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の保冷ベスト。
【請求項3】
前記前身頃及び後身頃に接続され、前記保冷材を封入したカートリッジが着脱自在に装着されるアジャスターベルトを備えていることを特徴とする請求項2に記載の保冷ベスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保冷ベストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、体温が著しく上昇することを防止するために、冷却された保冷材が出し入れ自在に収容されて人体の広い範囲を冷却する保冷ベストが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、柔軟な板状のPVA(ポリビニルアセタール)発泡体やウトタン発泡体等の合成樹脂発泡体により形成された冷却芯材を表地と裏地との間に収容可能なベスト状の保冷衣服が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3187780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された冷却芯材は、使用前に含水させた状態で冷凍庫等で冷却する煩雑な手間が避けられず、さらに保冷材の予冷に電力を必要とする。
【0006】
そこで、省エネルギーで簡便に利用可能な保冷ベストを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る保冷ベストは、保冷材が取り付けられた保冷ベストであって、前記保冷材が、PCM材料である。
【0008】
また、本発明に係る保冷ベストは、前記保冷ベストの前身頃又は後身頃に形成され、前記保冷材を封入可能な袋状に複数区画された保冷材封入部を備えていることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る保冷ベストは、前記前身頃及び後身頃に接続され、前記保冷材を封入したカートリッジが着脱自在に装着されるアジャスターベルトを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明において、省エネルギーで簡便に利用可能な保冷ベストを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る保冷ベストを示す斜視図。
図2】保冷材封入部を示す断面図。
図3】アジャスターベルト及び保冷材カートリッジを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0013】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0014】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0015】
図1(a)は、保冷ベスト1を正面側から視た斜視図であり、図1(b)は、保冷ベスト1を背面側から視た斜視図である。保冷ベスト1は、上下方向に離間して配置された3つの第1のスナップボタン2により開閉可能な前開きタイプであり、左右の前身頃3a、3bと、左右の前身頃3a、3bに連続して形成された後身頃4と、を備えている。前身頃3a、3b及び後身頃4の上部には、首回り部5が形成され、前身頃3a、3b及び後身頃4の脇肩付近には、腕通し口6が形成されている。
【0016】
前身頃3a、3b及び後身頃4の成分及び含有率は、例えば以下の通りである。保冷ベスト1の重量は、後述する保冷材Cの保冷効果継続時間と使用者が不便さを感じない重量とのバランスを考慮し、約1700gとした。なお、前身頃3a、3b及び後身頃4の成分及び含有率、保冷ベスト1の重量はこれらに限定されるものではない。
[前身頃及び後身頃の成分及び含有率]
・ポリエステルポリオール:50%
・二価アルコール:15%
・イソシアネート:35%
【0017】
前身頃3a、3b及び後身頃4は、表地7と裏地8から成る。図2に示すように、表地7と裏地8とは、溶着ライン9に沿って高周波溶着されていることによって一体化されている。
【0018】
また、保冷ベスト1には、溶着ライン9で複数区画された袋状の保冷材封入部10が形成されている。保冷材封入部10には、保冷材CとしてのPCM材料(Phase Changed Material)が封入されている。PCM材料は、溶着ライン9によって表地7と裏地8との間で徒に移動することが抑制されている。
【0019】
図1に戻り、保冷ベスト1の脇腹部分には、左右2本ずつアジャスターベルト11が設けられている。前身頃3a、3b及び後身頃4の側端部に取り付けられたバックル12にアジャスターベルト11を通した状態でアジャスターベルト11を折り返し、アジャスターベルト11の端部に設けられた面ファスナー13をアジャスターベルト11の中央付近貼り付けることにより、アジャスターベルト11が前身頃3a、3b及び後身頃4に装着される。これにより、アジャスターベルト11は、前身頃3a、3b及び後身頃4に対して着脱自在に取り付けられている。また、アジャスターベルト11の折り返し長さを伸縮することにより、前身頃3a、3bと後身頃4との前後間隔を使用者の身体にフィットするように調整できる。さらに、アジャスターベルト11を取り外した保冷ベスト1はコンパクトに折り畳むことができ、保冷ベスト1を冷蔵庫、保冷バッグ又は保冷ボックス等に容易に収納でき、保冷ベスト1の冷却効果を長期化することができる。
【0020】
上下一対のアジャスターベルト11には、図3に示すように、第2のスナップボタン14を介して箱状の保冷材カートリッジ15が着脱自在に装着される。保冷材カートリッジ15は、例えば樹脂等で形成されており、内部に保冷材CとしてのPCM材料が封入されている。
【0021】
PCM材料は、所定温度以上では融けながら吸熱し、所定温度未満では自然冷却で固体に戻る素材である。したがって、PCMを使用するにあたっては、必ずしも冷凍庫等で予冷する必要がない。袋状の保冷材封入部10に封入されたPCM材料、及び保冷材カートリッジ15に封入されたPCM材料の成分及び含有率は、例えば以下の通りである。なお、PCM材料の成分及び含有率は、これらに限定されるものではない。
[PCM材料の成分及び含有率]
・1,3―ジオレオイル-2-パルミトイルグリセロール:55%
・3-ヒドロキシプロパン-1,2-ジイル=ジステアラート:20%
・トリアシルグリセロール:20%
・ステアリン酸ブチル:5%
【0022】
このようにして、本実施形態に係る保冷ベスト1は、袋状に形成された保冷材封入部10及び保冷材カートリッジ15内にPCM材料がそれぞれ封入されていることにより、保冷ベスト1を着用した使用者の過度な体温上昇を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
なお、本発明は本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことが出き、そして,本発明が改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0024】
1 :保冷ベスト
2 :第1のスナップボタン
3a、3b:前身頃
4 :後身頃
5 :首回り部
6 :腕通し口
7 :表地
8 :裏地
9 :溶着ライン
10:保冷材封入部
11:アジャスターベルト
12:バックル
13:面ファスナー
14:第2のスナップボタン
15:保冷材カートリッジ
C :保冷材
図1
図2
図3