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  • 特開-輻射パネルおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091185
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】輻射パネルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 1/047 20060101AFI20240627BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20240627BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20240627BHJP
   B23P 15/26 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F28D1/047 B
F24F5/00 101B
F28F21/08 A
B23P15/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207696
(22)【出願日】2022-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】522500918
【氏名又は名称】金城 学
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】金城 学
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103BB42
3L103CC02
3L103CC23
3L103DD06
3L103DD36
3L103DD85
(57)【要約】
【課題】任意のサイズの輻射パネルを低コストで迅速に生産可能にする。
【解決手段】輻射パネル1は、長さ方向に貫通する貫通穴12を有するアルミフレーム4が所定の幅方向X1に複数並べて配置されることで構成されたパネル本体2と、貫通穴12に熱媒体を通過させるための流路が形成されるように、該複数の貫通穴12間を接続する接続手段30と、を備える。輻射パネル1の製造方法は、長さ方向に貫通する貫通穴12をそれぞれ有する複数のアルミフレーム4を所定の幅方向X1に並べて互いに結合させるフレーム結合ステップと、複数の貫通穴12間を接続して、貫通穴12に熱媒体を通過させるための流路を形成する流路形成ステップと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に貫通する貫通穴を有するアルミフレームが所定の幅方向に複数並べて配置されることで構成されたパネル本体と、
前記貫通穴に熱媒体を通過させるための流路が形成されるように、複数の前記貫通穴間を接続する接続手段と、を備えることを特徴とする輻射パネル。
【請求項2】
前記接続手段は、前記幅方向に隣接する前記貫通穴間を接続する複数の接続管を含むことを特徴とする請求項1に記載の輻射パネル。
【請求項3】
前記パネル本体を支持する架台を備え、
前記架台は、複数のアルミフレームで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の輻射パネル。
【請求項4】
前記架台を構成する複数のアルミフレームは、前記パネル本体を構成する複数のアルミフレームを互いに結合させる結合フレームを含むことを特徴とする請求項3に記載の輻射パネル。
【請求項5】
前記架台を構成する複数のアルミフレームは、設置面と前記結合フレームとの間に介在する脚フレームを含むことを特徴とする請求項4に記載の輻射パネル。
【請求項6】
長さ方向に貫通する貫通穴をそれぞれ有する複数のアルミフレームを所定の幅方向に並べて互いに結合させるフレーム結合ステップと、
複数の前記貫通穴間を接続して、前記貫通穴に熱媒体を通過させるための流路を形成する流路形成ステップと、を備えることを特徴とする輻射パネルの製造方法。
【請求項7】
前記流路形成ステップでは、前記幅方向に隣接する前記貫通穴間を接続するように、前記複数のアルミフレームの端面に接続管を取り付けることを特徴とする請求項6に記載の輻射パネルの製造方法。
【請求項8】
前記フレーム結合ステップでは、前記複数のアルミフレームとは異なる方向に延びる結合用のアルミフレームを介して、前記複数のアルミフレームを互いに結合させることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の輻射パネルの製造方法。
【請求項9】
前記フレーム結合ステップよりも前に、設置面に載置される脚部を前記結合用のアルミフレームに取り付けておくことを特徴とする請求項8に記載の輻射パネルの製造方法。
【請求項10】
前記脚部としてアルミフレームを用いることを特徴とする請求項9に記載の輻射パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷暖房に用いられる輻射パネルと、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷暖房システムとしては、ルームエアコンのような対流式のものが広く用いられているが、近年、輻射式の冷暖房システムへの注目が高まっている。輻射式の冷暖房システムでは、室外の熱源機で作られた温水または冷水などの熱媒体が、室内の輻射パネルに循環供給されることで、輻射パネルから室内に輻射熱が放出される。
【0003】
輻射式の冷暖房システムでは、対流式に比べて、風、音、及び温度むらが抑えられることで、より快適で健康的な冷暖房を実現することが可能である。なお、輻射式の冷暖房システムの具体的な構成例は、特許文献1を含む多くの文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6328310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、冷暖房用の輻射パネルは、専用の部品を用いて組み立てられるため、部品を低コストで早く調達することが難しい課題がある。また、多くの輻射パネルは規格化されているため、所望サイズの輻射パネルを設置できないことがある。さらに、特注サイズの輻射パネルを製造するためには、特注サイズの部品を用意する必要があり、これによって更に生産コストが上昇する。
【0006】
そこで、本発明は、任意のサイズの輻射パネルを低コストで迅速に生産可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る輻射パネルは、長さ方向に貫通する貫通穴を有するアルミフレームが所定の幅方向に複数並べて配置されることで構成されたパネル本体と、前記貫通穴に熱媒体を通過させるための流路が形成されるように、複数の前記貫通穴間を接続する接続手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様に係る輻射パネルの製造方法は、長さ方向に貫通する貫通穴をそれぞれ有する複数のアルミフレームを所定の幅方向に並べて互いに結合させるフレーム結合ステップと、複数の前記貫通穴間を接続して、前記貫通穴に熱媒体を通過させるための流路を形成する流路形成ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、市場に広く流通しているアルミフレームを用いて輻射パネルを形成できるため、輻射パネルの部品を低コストで早く調達することができる。また、アルミフレームは、接続および加工が容易であるため、複数のアルミフレームを用いて簡単に輻射パネルを組み立てることができる。さらに、アルミフレームの本数および長さを適宜調整することで、輻射パネルの寸法を任意に調整可能である。したがって、任意のサイズの輻射パネルを低コストで迅速に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る輻射パネルを正面側から見た斜視図である。
図2】同輻射パネルの分解斜視図である。
図3】同輻射パネルを構成するアルミフレームの一例を示す斜視図である。
図4】同輻射パネルの製造過程を示す斜視図である。
図5】同輻射パネルを構成可能なアルミフレームの別の例を示す斜視図である。
図6】本発明の変形例に係る輻射パネルを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態が説明される。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0012】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る輻射パネル1を示す斜視図であり、図2は、輻射パネル1の分解斜視図である。以下の説明において、起立姿勢の輻射パネル1を正面から見たときの、横方向が幅方向X1とされ、輻射パネル1の正面に直交する方向が前後方向Y1とされ、上下方向が高さ方向Z1とされる。
【0013】
輻射パネル1は、冷暖房用として室内に設置されるものであり、例えば室外に設置される熱源機(図示せず)に接続されて使用される。熱源機としては、例えばヒートポンプが用いられ、熱源機によって作られる温水または冷水などの熱媒体が、輻射パネル1に循環供給される。なお、熱媒体としては、水に限られず、水以外の液体または気体が用いられてもよい。
【0014】
図1及び図2に示すように、輻射パネル1は、輻射熱を放出するパネル本体2と、パネル本体2を支持する架台20とを備える。
【0015】
[パネル本体]
パネル本体2は、複数のアルミフレーム4が並べて配置されることで構成されている。各アルミフレーム4は、高さ方向Z1に延びる姿勢で配置されており、かかる姿勢の複数のアルミフレーム4が幅方向X1に並べて配置されている。パネル本体2を構成する複数のアルミフレーム4は、例えば、全て同じ長さを有する。パネル本体2を構成する複数のアルミフレーム4としては、全て同型のアルミフレームが用いられることが好ましく、これにより、材料コストの低減を図ることができる。
【0016】
高さ方向Z1において、全てのアルミフレーム4は、上端および下端の高さ位置が一致するように配置されている。幅方向X1において、隣接するアルミフレーム4間には隙間が設けられている。幅方向X1において、隣接するアルミフレーム4間の隙間は、アルミフレーム4の幅よりも小さいことが好ましい。ただし、隣接するアルミフレーム4同士が接するように配置されてもよい。パネル本体2を構成する複数のアルミフレーム4は、後述のように架台20を介して互いに結合されている。このように複数のアルミフレーム4が結合されることで、全体として長方形状のパネル本体2が構成される。
【0017】
アルミフレーム4としては、市場に広く流通しているものが用いられる。具体的に、本実施形態では、図3に示すタイプのアルミフレーム4が用いられている。図3に示すアルミフレーム4は、枠状のフレーム部5と、フレーム部5内において長さ方向に延びるコア部10とを有する。
【0018】
フレーム部5は、概ね断面正方形の角筒状であるが、フレーム部5の各面には、長さ方向に延びるスリット6が全長に亘って設けられている。フレーム部5の各コーナー部には、断面正方形の補強部7がフレーム部5の内側に突出して設けられている。補強部7には、円形の貫通穴8が長さ方向に貫通して設けられている。
【0019】
コア部10は、断面正方形の角柱状である。コア部10は、フレーム部5の全長に亘って設けられている。コア部10の端面は、フレーム部5の端面と同一面上に配置されている。長さ方向から見て、コア部10は、フレーム部5の内部の中央に配置されている。コア部10の各側面の幅は、フレーム部5のスリット6の幅よりも大きい。コア部10の各コーナー部は、リブ部14を介してフレーム部5のコーナー部(補強部7)に連なっている。
【0020】
コア部10には、円形の貫通穴12が長さ方向に貫通して設けられている。この貫通穴12は、アルミフレーム4の両端面に露出している。コア部10の貫通穴12は、フレーム部5の貫通穴8よりも大径である。長さ方向から見て、コア部10の貫通穴12は、コア部10の中央、すなわち、アルミフレーム4の中央に配置されている。
【0021】
図1及び図4に示すように、輻射パネル1は、アルミフレーム4の貫通穴12に熱媒体を通過させるための流路(以下、「熱媒体流路」ともいう)が形成されるように複数の貫通穴12間を接続する接続手段として、幅方向X1に隣接する貫通穴12間を接続する複数の接続管30を有する。これらの接続管30は、パネル本体2を構成する複数のアルミフレーム4に亘って連続して熱媒体流路が形成されるように、パネル本体2の上端部および下端部のそれぞれにおいてアルミフレーム4の端面に取り付けられる。
【0022】
接続管30は、U字状に湾曲または屈曲した管本体31と、管本体31の両端に設けられたアダプタ32とを有する。アダプタ32は、例えば、管本体31の端部に取り付けられた第1係合部33と、第1係合部33に係合可能でありアルミフレーム4の端面に取り付けられる第2係合部34とを有する。
【0023】
アルミフレーム4の端面に取り付けられた第2係合部34に第1係合部33が係合されることで、アルミフレーム4の貫通穴12に接続管30の一端が接続される。接続管30の両端が、隣接する2本のアルミフレーム4の貫通穴12にそれぞれ接続されることで、これらのアルミフレーム4の貫通穴12は、接続管30を介して互いに連通される。なお、アダプタ32としては、ゼロスピルカプラ(登録商標)が用いられてもよい。この場合、例えばメンテナンス時に熱媒体を溢すことなくワンタッチで接続管30を脱着することができる。
【0024】
パネル本体2の幅方向X1両端に位置するアルミフレーム4については、一方の端面(例えば、上側の端面)のみに接続管30が取り付けられ、他方の端面(例えば、下側の端面)には、熱源機に連絡される連絡管40が取り付けられる。パネル本体2の幅方向X1一端に位置するアルミフレーム4の貫通穴12には、熱源機から供給される熱媒体が連絡管40を経由して導入される。また、パネル本体2の幅方向X1他端に位置するアルミフレーム4の貫通穴12から排出される熱媒体は、連絡管40を経由して熱源機に戻される。なお、連絡管40のアダプタにもゼロスピルカプラ(登録商標)が用いられてもよい。この場合、連絡管40を簡単に脱着できることで、別の空間への輻射パネル1の移設を容易に行うことができる。
【0025】
パネル本体2の幅方向X1中間部に位置する残りのアルミフレーム4については、両側の端面のそれぞれに接続管30の一端が取り付けられる。各アルミフレーム4の上側の端面に取り付けられた接続管30は、幅方向X1の一方側に隣接するアルミフレーム4との接続に用いられ、各アルミフレーム4の下側の端面に取り付けられた接続管30は、幅方向X1の他方側に隣接するアルミフレーム4との接続に用いられる。
【0026】
これにより、パネル本体2では、熱媒体がアルミフレーム4の貫通穴12を上方へ流れる流路部分と、アルミフレーム4の貫通穴12を下方へ流れる流路部分とが交互に連続するようなジグザグ状の熱媒体流路が形成される。
【0027】
[架台]
図2に示すように、架台20も、複数のアルミフレーム22,23,25,26で構成されている。架台20を構成するアルミフレーム22,23,25,26としては、パネル本体2を構成するアルミフレーム4と同型のものが用いられることが好ましく、これにより、材料コストのさらなる低減を図ることができる。
【0028】
架台20は、パネル本体2を構成する複数のアルミフレーム4を互いに結合させる結合部21と、輻射パネル1の設置面に載置される脚部24とを備える。
【0029】
架台20の結合部21は、パネル本体2のアルミフレーム4とは異なる方向に延びる結合用のアルミフレームとして、結合フレーム22,23を有する。具体的に、結合フレーム22,23は、幅方向X1に延びるように配置される。結合部21は、例えば2本の結合フレーム22,23で構成される。ただし、結合部21を構成する結合フレームの本数は特に限定されるものでない。結合フレーム22,23は、幅方向X1におけるパネル本体2の幅と略同じ長さを有する。
【0030】
結合フレーム22,23は、高さ方向Z1に互いに間隔を空けて配置され、それぞれパネル本体2の背面に固定される。各結合フレーム22,23は、パネル本体2を構成する全てのアルミフレーム4に対して固定される。これにより、パネル本体2の全てのアルミフレーム4は、結合フレーム22,23を介して互いに結合される。
【0031】
架台20の脚部24は、輻射パネル1の設置面と結合部21との間に介在する。これにより、脚部24は、結合部21を介してパネル本体2を支持可能となっている。脚部24は、高さ方向Z1に延びる脚フレーム25と、前後方向Y1に延びるベースフレーム26とを有する。
【0032】
脚フレーム25は例えば2本設けられている。ただし、脚フレーム25の本数は特に限定されるものでない。これらの脚フレーム25は、高さ方向Z1において同じ長さを有し、幅方向X1において互いに間隔を空けて配置されている。脚フレーム25の上端部は、結合部21の下側の結合フレーム23の下面に固定されている。
【0033】
ベースフレーム26は、輻射パネル1の設置面に載置される台座部である。ベースフレーム26は例えば2本設けられている。ただし、ベースフレーム26の本数は、脚フレーム25の本数に合わせて適宜変更可能である。各ベースフレーム26の上面には、脚フレーム25の下端面が固定されている。なお、ベースフレーム26の下面には、設置面上を転動可能なキャスターが設けられてもよい。この場合、キャスターの車輪を転がしながら輻射パネル1を容易に移動させることができる。
【0034】
[輻射パネルの製造方法]
輻射パネル1は、準備ステップ、フレーム結合ステップ、及び流路形成ステップを順に経て製造される。
【0035】
準備ステップは、パネル本体2の形成前に予め行われる。準備ステップでは、架台20が準備される。具体的に、準備ステップでは、架台20の結合部21及び脚部24の構成部材として、所要長さのアルミフレーム22,23,25,26が用意され、結合部21に脚部24が取り付けられる。より具体的には、ベースフレーム26に脚フレーム25が固定されることで脚部24が形成され、結合部21の下側の結合フレーム23に脚部24の脚フレーム25が固定される(図2参照)。
【0036】
フレーム結合ステップでは、パネル本体2を構成する複数のアルミフレーム4が並べられて互いに結合されることで、パネル本体2が形成される。
【0037】
具体的に、フレーム結合ステップでは、複数のアルミフレーム4が幅方向X1に並べられ、このように並べられたアルミフレーム4のそれぞれに対して、架台20の結合フレーム22,23が固定される(図2及び図4参照)。これにより、パネル本体2を構成する全てのアルミフレーム4が結合フレーム22,23を介して互いに結合される。
【0038】
続く流路形成ステップでは、パネル本体2における複数の貫通穴12間が接続されて、熱媒体流路が形成される。
【0039】
具体的に、流路形成ステップでは、幅方向X1に隣接する貫通穴12間が接続されるように、アルミフレーム4の端面に接続管30が取り付けられる(図4参照)。より具体的には、まず、アルミフレーム4の各端面に、接続管30の第2係合部34が固定された後、接続管30の第1係合部33が第2係合部34に係合されることで、アルミフレーム4の各端面に接続管30が取り付けられる。
【0040】
流路形成ステップにおいて、図1に示すようにアルミフレーム4の上端面と下端面に接続管30が適宜取り付けられることで、パネル本体2を構成する全てのアルミフレーム4の貫通穴12が接続管30を介して互いに連通する。これにより、パネル本体2の全面に亘ってジグザグ状の熱媒体流路が形成される。
【0041】
以上のように製造された輻射パネル1は、室内の任意の場所に設置されて、連絡管40を介して室外の熱源機に接続される。なお、連絡管40は、パネル本体2の幅方向X1両端に位置する2本のアルミフレーム4の下端面にそれぞれ取り付けられ、これにより、熱源機から循環供給される熱媒体を、パネル本体2内の熱媒体流路に導入したり、該熱媒体流路から排出したりすることが可能になる。なお、熱媒体の圧力を測定する一対の圧力計をパネル本体2の前後に設置してもよい。流入と排出の圧力差を算出することで輻射パネル1による圧損を把握することができる。
【0042】
[作用効果]
本実施形態によれば、市場に広く流通しているアルミフレーム4を用いてパネル本体2を形成できるため、パネル本体2の部品を低コストで早く調達することができる。また、パネル本体2を支持する架台20も、同様のアルミフレーム22,23,25,26を用いて形成できるため、材料コストのさらなる低減を図ることができる。さらに、アルミフレームは、接続および加工が容易であるため、複数のアルミフレーム4,22,23,25,26を用いて簡単に輻射パネル1を組み立てることができる。したがって、輻射パネル1を低コストで迅速に生産することができる。
【0043】
また、アルミフレーム4の本数および長さを適宜調整することで、幅方向X1及び高さ方向Z1においてパネル本体2を任意の寸法に形成することができる。したがって、任意のサイズのパネル本体2を簡単に生産することができる。
【0044】
さらに、アルミフレーム4の貫通穴12を流れる熱媒体から、熱伝導率の高いアルミフレーム4に効率よく熱が伝達されるとともに、露出表面積が大きい断面形状を有するアルミフレーム4の表面から室内に効率よく熱放射される。したがって、熱効率の高い冷暖房を実現することができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0045】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0046】
例えば、上述の実施形態では、パネル本体2を構成するアルミフレームが、図3に示すアルミフレーム4である例が説明されているが、本発明において、パネル本体を構成するアルミフレームの種類は、長さ方向に貫通する貫通穴を有するものであれば、特に限定されるものでない。例えば、図5に示すように、複数の貫通穴12を有するアルミフレーム104を用いてパネル本体2が構成されてもよく、この場合も、貫通穴12に熱媒体を通過させるための流路が形成されることで、上記実施形態と同様の輻射パネルを得ることが可能である。
【0047】
また、上述の実施形態では、1列に並ぶ複数のアルミフレーム4でパネル本体2が構成される例が説明されているが、本発明において、パネル本体を構成する複数のアルミフレームは、複数列に並ぶように配置されてもよい。
【0048】
さらに、上述の実施形態では、上下方向に延びる姿勢のアルミフレーム4が水平方向に並べて配置されることでパネル本体2が構成される例が説明されているが、本発明において、各アルミフレームの向き、及び、複数のアルミフレームが並べられる方向は特に限定されるものでない。例えば、水平方向に延びる姿勢のアルミフレームが上下方向に複数並べて配置されることでパネル本体が構成されてもよい。
【0049】
また、上述の実施形態では、パネル本体2を構成する複数のアルミフレーム4が同じ長さを有する例が説明されているが、本発明において、パネル本体を構成する複数のアルミフレームの長さは互いに異なっていてもよい。この場合、長方形以外の形状のパネル本体を構成することが可能である。
【0050】
さらに、上述の実施形態では、複数の接続管30で接続手段が構成される例が説明されているが、本発明において、接続手段の構成は、アルミフレームの貫通穴に熱媒体流路を形成可能である限り適宜変更可能である。
【0051】
また、上述の実施形態では、輻射パネル1が床面上に設置される例が説明されているが、本発明において、輻射パネルの設置態様は特に限定されるものでない。例えば、輻射パネルは、壁面に掛けられたり、天井またはテーブル下面に吊り下げられたりすることで設置されてもよい。これらの場合、パネル本体を支持する架台の構成は、引っ掛け、吊り下げ、又は固定などにアルミフレームが利用されるように適宜変更可能である。
【0052】
さらに、図6に示すように、パネル本体2の背面にバックパネル110が追加で設けられてもよい。この場合、バックパネル110は、例えば、架台20の結合フレーム22,23の背面に固定される。バックパネル110は、例えばアルミ複合板で構成される。バックパネル110の表面には、複数の縦溝が設けられてもよい。輻射パネル1が室内の壁面に沿って設置される場合、壁面とパネル本体2との間にバックパネル110が介在することで、壁面に結露が発生することを抑制することができる。また、バックパネル110は、パネル本体2から放出された輻射熱を正面側へ反射させる機能も有する。
【0053】
また、図6に示すように、輻射パネル1は、パネル本体2及び/又はバックパネル110の下方に配置されたドレンパン120を備えてもよい。ドレンパン120としては、例えばオーバーフロー方式のものが採用される。ドレンパン120の材料としては、例えば市販の雨樋を利用可能である。この場合、2つの雨樋を重ねて間に空気層を形成することで、ドレンパン120での結露発生を防止可能である。あるいは、3Dプリンタによって、空気層を有する二重構造のドレンパン120が製作されてもよい。いずれの場合も、低コストでドレンパン120を追加可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 輻射パネル
2 パネル本体
4 アルミフレーム
12 貫通穴
20 架台
21 結合部
22,23 結合フレーム(結合用のアルミフレーム)
24 脚部
25 脚フレーム
26 ベースフレーム
30 接続管(接続手段)
104 アルミフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6