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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091186
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電子文書の閲覧用電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/103 20200101AFI20240627BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240627BHJP
【FI】
G06F40/103
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207698
(22)【出願日】2022-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】518366119
【氏名又は名称】石川 多一
(72)【発明者】
【氏名】石川 多一
【テーマコード(参考)】
5B109
5E555
【Fターム(参考)】
5B109MB01
5B109NA04
5B109NB01
5B109RB32
5E555AA26
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BA71
5E555BB02
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC04
5E555CA12
5E555CB14
5E555CB44
5E555CC05
5E555CC15
5E555CC18
5E555DB45
5E555DC13
5E555DC21
5E555DC31
5E555DC35
5E555DC63
5E555DD06
5E555EA08
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】電子化された文書の視認性を向上させ、読者の読書の精度および速度を向上させること。
【解決手段】文書中で重要とされる単語を読者がワンアクションで網羅的に書式変更テーブルに登録できるようにする。読書前に予め書式変更されたものを表示する場合と比べて、読者自身が書式をコントロールしている印象を与える。これにより書式変更に付帯する生理的嫌悪感を緩和できる。さらに登録が網羅的であることで、個別登録する場合に比べて読書からの集中が切れにくい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子文書の閲覧用電子機器であって、
書式情報を有する文字群で構成される文字列データ入力装置と、
前記文字列データを第一の単語群に分割する分かち書き装置と、
前記文字群を引数として書式変更を与える第一の書式変更テーブル入力装置と、
前記第一の単語群の中の一部を第二の単語群として特定する第一の単語特定装置と、
読者の視界中心から所定の領域にある前記第二の単語群を第三の単語群として特定する第二の単語特定装置と、
前記第三の単語群から前記文字群を引数として書式変更を与える第二の書式変更テーブル出力装置と、
前記第一および第二の書式変更テーブルを統合する統合装置と、
前記文字群の前記書式を前記第一の書式変更テーブルに基づいて変更する書式変更装置と、
前記文字列データを表示する表示装置と、を有し、
前記第二の単語群は前記第一の書式変更テーブルに登場する書式とは異なる書式を持ち、
前記第二の書式変更テーブル出力装置は、読者の単一の動作を起点として前記第二の書式変更テーブルを出力し、
前記第二の書式変更テーブルは前記第三の単語それぞれに対して、極力それぞれ異なる書式が割り当てられている、ことを特徴とする、
電子文書の閲覧用電子機器。
【請求項2】
前記単一の動作は前記文字列データの表示されていない空白域への作用である請求項1の電子文書の閲覧用電子機器
【請求項3】
電子文書の閲覧用電子機器であって、
書式情報を有する文字群で構成される文字列データ入力装置と、
前記文字列データを第一の単語群に分割する分かち書き装置と、
前記文字群を引数として書式変更を与える第一の書式変更テーブル入力装置と、
前記第一の単語群の中の一部を第二の単語群として特定する第一の単語特定装置と、
前記文字群の始点文字と終点文字を指定することで第三の単語群を得る第二の単語特定装置と、
前記第二の単語群から前記文字群を引数として書式変更を与える第二の書式変更テーブル出力装置と、
前記第三の単語群から前記文字群を引数として書式変更を与える第三の書式変更テーブル出力装置と、
前記第一ないし第三の書式変更テーブルを統合する統合装置と、
前記文字群の前記書式を前記第一の書式変更テーブルに基づいて変更する書式変更装置と、
前記文字列データを表示する表示装置と、を有し、
前記第二の単語群は前記第一の書式変更テーブルに登場する書式とは異なる書式を持ち、
前記第二の書式変更テーブル出力装置は、前記第二の単語群の表示領域に対し読者が単一の動作を働きかけることを起点として前記第二の書式変更テーブルを出力する、ことを特徴とする、
電子文書の閲覧用電子機器。
【請求項4】
前記第二の単語群は前記第一の単語群の全部もしくは一部のヒストグラムで得られた結果から所定の単語を除き、所定単語数の上位数単語から得られることを特徴とする請求項1の電子文書の閲覧用電子機器
【請求項5】
前記第二の単語群は前記第一の単語群の全部もしくは一部のヒストグラムで得られた結果から所定の単語を除き、所定単語数の上位数単語から得られることを特徴とする請求項3の電子文書の閲覧用電子機器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子文書を閲覧する際に利用される電子機器、および電子文書データの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業界では、電子文書の需要、供給が日々増大している。電子文書の例としてはインターネット上で公開される論文、電子書籍等が挙げられる。本明細書のような特許公報もその一例である。また、最終的に紙に印刷する場合でも、推敲段階では電子データであることが多い。
【0003】
文書が媒体(例えば、紙、PCやスマートフォンのディスプレイ等)に表示される際には、それを読む人が読みやすいようにするための工夫がなされたりする。例えば英語の場合、文章をスペース(デリミタ)で区切ることで単語を認識しやすいようにしている。日本語の場合は、そのようなデリミタは存在しないが、漢字、ひらがな、カタカナを使い分けることにより視認性を向上させたりする。
【0004】
電子化された文書の場合、上記の伝統的な工夫に加えて、読者が読みやすい形に加工して読むことが可能である。例えば文書中の一部の文字を書式変更する、ということが往々にしてなされる。
【0005】
1つ目の例としては、プログラムのソースコードを統合開発環境やエディタに表示する際に、各プログラミング言語ごとの文法に従って、そのソースコードが着色されたりする(シンタックスハイライト)。
【0006】
2つ目の例としては、Webブラウザ上で文書を読んでいる際に、読者が気になる単語、句、節を検索をした後で、検索語が完全一致でハイライトされるという工夫がなされたりする。他にも予め単語およびそれと対になるマーカー色を複数種登録しておいて閲覧時に単語が完全一致で存在すればそれと対となるマーカー色で強調するなどが成される。特許界隈では往々にして散見される。
【0007】
3つ目の例としては、電子文書を読んでいる最中にその文章の構成要素の一部をクリックもしくはタップすることでそれと対応する他の構成要素が一括でハイライトされたりする。特開2021ー176068、特開2021ー043924、特開2021ー051706号公報、特願2021ー206548を参考にされたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021ー176068号公報
【特許文献2】特開2021ー043924号公報
【特許文献3】特開2021ー051706号公報
【特許文献4】特開2020ー057337号公報
【特許文献5】特願2021ー206548号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記3つ目の先行事例は、読書中に書式変更対象を指定する。読者にとり未知の領域の文章をハイライトする際にはこのようなアドホックな対応が必要である。
しかしどの単語をハイライトするかの検討、ハイライト決定の動作等により読書からの集中が切れてしまう。
特開2021ー051706号では重要語を予め特定することで検討の助けとなるが、他にもやりようがある。
【0010】
本発明は上記を鑑みてなされたものであって、電子化された文書の視認性を向上させ、読者の読書の精度および速度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
電子文書の閲覧用電子機器0は以下を有する、すなわち、
書式情報2fを有する文字群2csで構成される文字列データ2s入力装置2と、
前記文字列データ2sを第一の単語群4wsに分割する分かち書き装置4と、
前記文字群2csを引数として書式変更6mを与える第一の書式変更テーブル6t入力装置6と、
前記第一の単語群4wsの中の一部を第二の単語群8wsとして特定する第一の単語特定装置8と、
読者の視界中心から所定の領域にある前記第二の単語群8wsを第三の単語群10wsとして特定する第二の単語特定装置10と、
前記第三の単語群10wsから前記文字群2csを引数として書式変更6mを与える第二の書式変更テーブル12t出力装置12と、
前記第一および第二の書式変更テーブルを統合する統合装置14と、
前記文字群2csの前記書式を前記第一の書式変更テーブル6tに基づいて変更する書式変更装置16と、
前記文字列データ2sを表示する表示装置18と、を有し、
前記第二の単語群8wsは前記第一の書式変更テーブル6tに登場する書式とは異なる書式を持ち、
前記第二の書式変更テーブル出力装置12は、読者の単一の動作を起点として前記第二の書式変更テーブル12tを出力し、
前記第二の書式変更テーブル12tは前記第三の単語10wそれぞれに対して、極力それぞれ異なる書式が割り当てられている、ことを特徴とする、
電子文書の閲覧用電子機器。
【0012】
電子文書の閲覧用電子機器100は以下を有する、すなわち、
書式情報102fを有する文字群102csで構成される文字列データ102s入力装置102と、
前記文字列データ102sを第一の単語群104wsに分割する分かち書き装置104と、
前記文字群102csを引数として書式変更106mを与える第一の書式変更テーブル106t入力装置106と、
前記第一の単語群104wsの中の一部を第二の単語群108wsとして特定する第一の単語特定装置108と、
前記文字群102cの始点文字と終点文字を指定することで第三の単語群110wsを得る第二の単語特定装置110と、
前記第二の単語群108wsから前記文字群102csを引数として書式変更を与える第二の書式変更テーブル112t出力装置112と、
前記第三の単語群110wsから前記文字群102csを引数として書式変更を与える第三の書式変更テーブル114t出力装置114と、
前記第一ないし第三の書式変更テーブルを統合する統合装置116と、
前記文字群102csの前記書式を前記第一の書式変更テーブル106tに基づいて変更する書式変更装置118と、
前記文字列データ102sを表示する表示装置120と、を有し、
前記第二の単語群108wsは前記第一の書式変更テーブル106tに登場する書式106mとは異なる書式を持ち、
前記第二の書式変更テーブル出力装置114は、前記第二の単語群の表示領域に対し読者が単一の動作を働きかけることを起点として前記第二の書式変更テーブル114tを出力する、ことを特徴とする、
電子文書の閲覧用電子機器。
【発明の効果】
【0013】
文書中で重要とされる単語を読者がワンアクションで網羅的に書式変更テーブルに登録できる。読書前に予め書式変更されたものを表示する場合と比べて、読者自身が書式をコントロールしている印象を与える。これにより書式変更に付帯する生理的嫌悪感を緩和できる。さらに登録(読書からの集中を切れさせる)が網羅的であることで、個別登録を複数回行う場合に比べて読書からの集中が切れにくい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の構成要素を本発明の工程の流れとともに示した図である。
図2図2は、本発明の別の構成要素を本発明の工程の流れとともに示した図である。
図3図3は、ある文献をそのまま表示したものである。
図4図4は、図3に対し第三の単語群(第一の発明)を表示したもの。
図5図5は、図4に対し第二の書式変更テーブル(第一の発明)に基づく書式変更を行ったもの。
図6図6は、図4に対し第二の書式変更テーブル(第二の発明)に基づく書式変更を行ったもの。
図7図7は、図6に対し第三の書式変更テーブル(第二の発明)に基づく書式変更を行ったもの。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について詳細を図1および図2の工程の流れに従って説明する。
【0016】
まずは、図1の工程(第一の発明)を説明する。
【0017】
まず、第一の文字列データ2sを入力する文字列データ入力装置2を用意する。第一の文字列データ2sは書式情報を有する文字群2csで構成される。第一の文字列データ2sは例えばhtml、pdf、電子書籍(epub,mobi,azw3)、tex、md、docx等の形で与えられる。他にも、それらの情報が予め得られていないもの(例えば紙の文書)に対しては、光学的文字認識(OCR)を適用することにより、前記情報を得ることも可能である。ここで書式情報2fとは、フォント名(Times New Roman, 明朝体等)、太字(ボールド体)、斜体(イタリック体)、下線(アンダーライン)、マーカー、色、大きさなどの、読者の視認性に影響する情報を指す。文字列データ入力装置12は、HDDやSSDなどの記憶装置や、サーバーを想定しているが、文字列データを与えるものであれば何でも良い。
【0018】
次に記第一の文字列データ2sを分かち書きし、第一の単語群4wsを出力する分かち書き装置4を用意する。例えば英語であればスペースを区切りとして分割する。日本語であれば例えば形態素解析を行う。具体的にはMecabなどのソフトウェアを利用できる。精度は落ちるがカタカナの連続、ひらがなの連続、漢字の連続、などを以て単語群4wsに分かち書きすることも可能である。
【0019】
次に前記文字群2csを引数として書式変更6mを与える書式変更テーブル6tを入力する第一の書式変更テーブル入力装置6を用意する。これは例えば「単語A」の出現に対しては「黄色ハイライト」(書式変更が色の場合)を付与する、などという単語、色の対群を与えるなどができる(完全一致)。完全一致よりも緩めて、英語の場合はstem(語幹)の一致を以て全体の一致とすることもできる。例えばcategoryと赤の対がテーブル6tにある場合、第一の単語categoricalはcategrという同一の語幹なので赤色ハイライトを施す、などである。他にも連続する文字数の任意の割合が一致することを以て同じとすることも可能である。数字が関連する場合は、数字であることを以て同じ書式変更することも可能である。例えば5月と7月は同じピンク色ハイライトとする、などである。第一の書式変更テーブル6tは例えばテキストファイル等の形で与えられる。第一の書式変更テーブル入力装置6は、HDDやSSD、フラッシュメモリなどの記憶装置を想定しているが、バイナリデータを与えるものであれば何でも良い。注意点として文字群2csは前記第一の単語群4wsと一致しなくても良い。つまり分かち書きよりも細かい単位を採ることができる。例えば「日本国憲法」が分かち書きによって「日本国」、「憲法」と分割されたとしても「日」「本」「国」「憲」「法」という粒度を書式変更の単位とできる。つまり「日本」が単語として指定されれば、完全一致の条件であっても「日本国」の「日本」が書式変更されうる。これにより読者が意図した書式変更が常に実行されることになる。書式変更の際の計算コストがリソースに対して大きい場合は大きな粒度を採る(例えば分かち書きの結果を単位とする)べきだが極力細かい粒度(文字レベル)を採るべきである。
【0020】
次に前記第一の単語群4wsの中の一部を第二の単語群8wsとして特定する第一の単語特定装置8を用意する。例えば、前記第二の単語群は前記第一の単語群の全部もしくは一部のヒストグラムで得られた結果から所定の単語を除き、所定単語数の上位数単語から得られる。ヒストグラム値が高いほど、文章中で書式変更される面積が大きくなるため、そのような単語を第二の単語群8wsとして読者に提示するのは語を選択するコストを大きく下げる。ただし、どの文章にも頻出するような単語は除外すべきである。例えば日本語であれば助詞、助動詞、代名詞、英語であれば冠詞、接続詞、代名詞などである。
【0021】
特定の際には書式を別段に変更するなどする。例えば、文字色を金色にするなどである。前記第一の書式変更テーブル6tに登場する書式とは異なる書式を持つのが両者の識別のために望ましい。例えば一方は背景色変化、もう一方は文字色変化とするなどである。後述の効果を持つ単語として第二の単語群が別段に認識できるようになっていることが重要である。
【0022】
さらに読者の視界中心から所定の領域にある前記第二の単語群8wsを第三の単語群10wsとして特定する第二の単語特定装置10を用意する。視界中心から所定の領域とは例えば後述の表示装置が表示している領域である。第二の単語群の時点で別段の書式で示されているが、その中でも視界中心付近のそれのみが後述の効果(ワンアクション周り)を持つと分かるのが重要である。読者が文書を読み進めるのに合わせてこの第三の単語群10wsは変遷する。
【0023】
さらに前記第三の単語群10wsから前記文字群2csを引数として書式変更を与える第二の書式変更テーブル12t出力装置12を用意する。テーブルのデータ形式は第一の書式変更テーブル6tと同じなので説明を割愛する。ここで大事なのは読者がワンアクションで網羅的にこの出力(登録)を行うことである。ワンアクションの例としては専用のボタンを用意したり、前記文字群が存在しない空白域をタップするなどである。前者は常に同じ場所、後者は比較的広い領域で作用させられるメリットがある。更に前記第三の単語群が複数ある場合は、各々が異なる書式変更となるように努力すべきである。例えば背景色の変更である場合は色を分ける。分ける際は例えば予めプリセットされたトグルテーブルを使用したり、視野内で使われていない書式を割り当てたりできる。
【0024】
さらに前記第一および第二の書式変更テーブルを統合する統合装置14を用意する。統合はあとから設定された書式変更設定を優先して適用する形とするのが普通であるが、逆もありうる。例えば数字の場合は数字+単語の設定を単なる数字よりも優先しても良い。例えば「2022年」などの年号を黄色ハイライト、としたあとで、その他の数字は全てオレンジハイライト、とした場合に「2022年」(黄色)が「2022」(オレンジ)と「年」(黄色)に分割されてもよいか否かで変わってくる。統合時には統合の履歴を保存すると、読者がUndo、Redoをかけられるので良い。
と、
【0025】
さらに前記文字群2csの前記書式2fを前記第一の書式変更テーブル6tに基づいて変更する書式変更装置16を用意する。書式変更の方法については第一の書式変更テーブル6tの説明時と重複するのでここでは割愛する。注意すべきは、第三の単語群10wsとして指定されたもの以外も書式変更の対象となり得ることである。初出の単語以外の同一の単語も書式変更の対象になりうる。読者の視野外かつ所定の範囲外の同一の単語も書式変更の対象となりうる。なりうると書いたが普通は対象内であって対象外とするのが例外である(構成として可能と考えられるが)。
【0026】
最後に前記第二の文字列データ16xを表示装置18へ入力し、書式変更された電子文書を読者に表示する。表示装置18としては、例えばパソコンやタブレット、スマートフォンのグラフィックボードとディスプレーの構成が挙げられる。
【0027】
以上が図1の工程である。次に図2の工程(第2の発明)を説明する。図1と重複する部分(冒頭から第一の単語特定装置まで)は割愛し、異なったり新しく付け加わった部分に絞って説明する。
【0028】
電子文書の閲覧用電子機器100は、さらに前記文字群102csの始点文字と終点文字を指定することで第三の単語群110wsを得る第二の単語特定装置110を有する。例えば「日本国憲法」という文字列102sがあった際に、始点文字「日」と終点文字「国」を指定することで「日本国」という単語110wを得るものである。これは日本語の場合に特に有効である。分かち書きは読者の想定する単位で別れている保証はない。その際に、読者が任意の単位で単語を指定する手段を残すのはユーザビリティを大きく確保できる。ここでの注意点は前記任意の単位は第一の単語群である必要はないことである。趣旨は書式変更テーブルの引数と同様なので割愛する。
【0029】
さらに第二、第三の単語群から前記文字群102csを引数として書式変更を与える第二、第三の書式変更テーブルを出力する第二、第三書式変更テーブル出力装置を用意する。これらの働きは第一の書式変更テーブル装置と同じなので説明は割愛する。
【0030】
以下に説明する第二の書式変更テーブル出力装置の特徴が本発明(第二の発明)で重要である。すなわち前記第二の単語群108wsが表示された領域に対して読者が単一の動作を働きかけることで前記第二の書式変更テーブル112tが出力される。単一の動作とは例えば表示領域をタップすることである。ここでの重要なのは前記第三の単語群110wsを指定する際に前記文字群102cの始点文字と終点文字を指定するが、第二の単語108wを指定する行為とバッティングする可能性がある。その際に本発明では第二の単語108wの指定を優先させる。ここで主に想定しているのは漢字で作られる単語である。例えば「日本国憲法」は第三の書式変更テーブル114tに登録される場合は始点「日」と終点「法」を指定することになる。この2つの動作は非常に手間である。一方で第二の書式変更テーブル112tに登録される場合はワンアクション、「日」「本」「国」「憲」「法」のどれかをタップするだけで済む。これはワンアクションであるだけでなくタップ面積が広がるので誤タッチも減る利点がある。このようにダブルタップではなくシングルタップ、端点ではなく単語全体の一部を指定するのは大きなメリットがある。その観点では全ての文字列を分かち書きしておいてそれらをシングルタップで登録させる、すなわち第三の書式変更テーブル出力装置114をなくす構成が理想的である。しかし分かち書きの恣意性を考えると読者の思い通りに単語指定できる第三の書式変更テーブル出力装置114は維持すべきである。なくす構成で最悪なのは、ある部分をタップした際にどの範囲が単語指定されるかが予測できないことである。これは読書への集中を著しく損なう。ただし、前記第二の単語群108wsが第二の単語群として別段に書式変更されていれば問題ない。タップ時にはその書式変更領域が指定されると了解できる。さらに前記第二の単語群108wsは前記第一の単語群104wsのヒストグラムで与えられるのが好ましい。その場合はある領域で初出の第一の単語のみを第二の単語とすべきである。この構成だとフレーズとして登録したい場合は書式変更されて表示されている第二の単語、前記フレーズ以下の細かい単位で登録したい場合はその後に出てくる当該フレーズの一部を指定することができる。この場合はヒストグラムとして採用するのは2単語以上出現することを条件とすべきである。
【0031】
さらに第二の発明は統合装置116と書式変更装置118と表示装置120を有するが、第一の発明と重複するので説明は割愛する。
【0032】
以上が本発明の実施の形態である。次に具体的な実施例として日本語の文書に対して本発明を適用した結果を示す。
【実施例0033】
図3ないし図6は、Wikipediaの記事『日本国憲法』(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95)の一部抜粋(以下、「抜粋引用文」と呼ぶ)に、本発明を適用した例である。以下、これらを得るまでの手順を具体的に説明する。
【0034】
図3が本発明の適用前の何も手を加えない抜粋引用文である。
【0035】
図4図3に対して本発明を適用し、第二の単語群を隅付き括弧で示したものである。実際は文字色を変える等の書式変更であるが、白黒文書の場合はこのような書式変更もありうる。図4では第二の単語群が全て視野内に収まっているので同時に第三の単語群となっている。視野外かつ所定の範囲外の第二の単語群は後述の一括登録の対象ではない。この事例では「日本国憲法」から「施行された。」、「日本国憲法は、」から「分類される。」、「法学修士・」から「いるとある。」と3つのブロックに対してそれぞれヒストグラムを取った結果が反映されている。ブロック1が「憲法」と「〇〇年」、ブロック2が「憲法」、ブロック3が「国民」、となっている。それぞれ領域内で初出の部位が隅付き括弧で示されている。全てを示すと「うるさく」なるのでこの運用が好ましい。
【0036】
図5図4に対してさらに本発明(第一の発明)を適用したものである。例えば文字領域外の空白をシングルタップすることで第三の単語群として示された「憲法」、「〇〇年」、「国民」が書式変更テーブルに登録される。その際に「憲法」は書式1、「〇〇年」は書式2、「国民」は書式3といった具合に、それぞれ書式が異なる形で登録される(図では〇の中に数字で表現されている)。
【0037】
図6図4に対して本発明(第二の発明)を適用したものである。図4の隅付き括弧で憲法と示された箇所に作用したあとの状態である。表示領域内の「憲法」が全て書式変更されている。
【0038】
図7図6に対してさらに本発明(第二の発明)を適用したものである。例えば図5の状態で更に「法」が書かれている箇所を書式変更したくなったとする。図3の時点で隅付き括弧で憲法と示された箇所の「法」に作用すると「憲法」で登録されてしまうが、それ以外の「憲法」の法に作用すれば「法」として登録される。その際は始点と終点が同一なので「法」に2回作用することになる。結果として図6はあとから設定したものが優先的に適用されている(隅付き括弧が入れ子のときは内側が優先という表示)。すなわち「憲法」の指定のあとに「法」が適用され「憲」「法」と分裂して書式変更されている。
【符号の説明】
【0039】
0 電子文書の閲覧用電子機器
2 文字列データ入力装置
2f 書式情報
2cs 文字群
2s 文字列データ
4 分かち書き装置
4ws 第一の単語群
6 第一の書式変更テーブル入力装置
6m 書式変更
6t 第一の書式変更テーブル
8 第一の単語特定装置
8ws 第二の単語群
10 第二の単語特定装置
10ws 第三の単語群
12 第二の書式変更テーブル出力装置
12t 第二の書式変更テーブル
14 統合装置
16 書式変更装置
18 表示装置
100 電子文書の閲覧用電子機器
102 文字列データ入力装置
102f 書式情報
102cs 文字群
102s 文字列データ
104 分かち書き装置
104ws 第一の単語群
106 第一の書式変更テーブル入力装置
106m 書式変更
106t 第一の書式変更テーブル
108 第一の単語特定装置
110 第二の単語特定装置
110ws 第三の単語群
112 第二の書式変更テーブル出力装置
112t 第二の書式変更テーブル
114 第三の書式変更テーブル出力装置
114t 第三の書式変更テーブル
116 統合装置
118 書式変更装置
120 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7