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特開2024-91187分散電源ネットワークの資源管理方法{Energy management system for distributed energy network}
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091187
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】分散電源ネットワークの資源管理方法{Energy management system for distributed energy network}
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240627BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240627BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20240627BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20240627BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20240627BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240627BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20240627BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240627BHJP
【FI】
H02J3/38 170
H02J3/00 170
H02J3/38 110
H02J3/38 120
H02J15/00 G
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/04746
H01M8/0438
H01M8/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212279
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0182136
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523002149
【氏名又は名称】ディーアール フューエルセル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DR FUELCELL LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100188662
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 浩二
(72)【発明者】
【氏名】パク ダルリョン
(72)【発明者】
【氏名】パク チャンシク
(72)【発明者】
【氏名】ペ ミンホ
【テーマコード(参考)】
5G066
5H127
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066AA03
5G066AA04
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB07
5G066JA05
5G066JB10
5G066KB01
5H127AB03
5H127AB27
5H127BA02
5H127BA14
5H127DB69
5H127DB83
5H127DC42
5H127DC83
(57)【要約】      (修正有)
【課題】新再生エネルギー源を利用した発電所と、燃料電池を有する少なくとも一つの仮想発電所ノードが、グリッドで連結される分散電源ネットワークの資源管理方法を提供する。
【解決手段】分散電源ネットワークは、新再生エネルギーで発電する再生エネルギー装置2、水を電気分解して水素を製造する水電解装置3、水素を貯蔵する水素貯蔵装置5、水素からエネルギーを生産する燃料電池4及び水素を生産して燃料電池に供給する燃料処理装置1を備える。所定時間後の再生エネルギー装置のエネルギー生産量と需要量を予測し、予測エネルギー生産量が需要量より小さい場合、水素貯蔵量及び燃料電池の生産量を確認する。予測エネルギー生産量が需要量より大きい場合、水電解装置及び水素貯蔵装置を用意し、用意段階で余剰エネルギーが発生すると、水電解装置で水素を発生させ水素貯蔵装置に貯蔵し、用意段階でエネルギー不足が発生すると、燃料電池を稼動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを供給する発電所と、少なくとも一つの仮想発電所ノードが、グリッドで連結される分散電源ネットワークの資源を管理する方法であって、
前記仮想発電所ノードは、エネルギーを消費する需要、新再生エネルギー源からエネルギーを生産する再生エネルギー装置、再生エネルギー装置の余剰エネルギーを水素に変換する水電解装置、水素を貯蔵する水素貯蔵装置、水素からエネルギーを生産する燃料電池、及び電気の生産量が不足したり貯蔵水素が不足する場合、水素を生産して燃料電池に供給する燃料処理装置を備え、
前記仮想発電所ノードを制御するために、
所定時間後の、前記再生エネルギー装置のエネルギー生産量の予測値である予測エネルギー生産量と前記需要のエネルギー消費量の予測値である予測エネルギー消費量を予測することと、
前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より小さいと、水素貯蔵装置の水素貯蔵量及び前記燃料電池の生産量を確認し、
前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より大きいと、前記水電解装置及び前記水素貯蔵装置を用意することと、
前記用意の段階で、余剰エネルギーが発生すると、前記水電解装置にエネルギーを供給して発生した水素を水素貯蔵装置に貯蔵し、
前記用意の段階で、エネルギー不足が発生すると、前記燃料電池を稼動することを実行する、分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項2】
前記予測のための第1最小時間は、1~3時間である、請求項1に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項3】
前記燃料電池の生産量を確認した後、前記燃料電池を用意する、請求項1に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項4】
前記予測エネルギー消費量が、前記予測エネルギー生産量と前記水素貯蔵装置に貯蔵された貯蔵水素を使用して前記燃料電池を利用して発電できる最大補助エネルギー生産量を超過する場合には、前記燃料処理装置を利用して追加的に必要な水素量を生産することを実行する、請求項1に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項5】
請求項1の方法は、第2最小時間を周期で実行し、
前記第2最小時間は、前記第1最小時間より短い、請求項1に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項6】
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値を比較して、閾値が大きい場合に請求項1の方法を実行することを含み、
前記比較段階は、第4最小時間を周期で実行し、
前記第4最小時間は、第3最小時間より短い、請求項5に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項7】
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値と比較することと、
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値より大きい場合に請求項1の方法を実行することと、
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値より小さい場合に前記グリッドとエネルギーを授受することを含む、分散電源ネットワークの資源管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー分野に関するものである。分散発電エネルギーを最適化する方法に関するものである。本発明は、分散エネルギーネットワークを管理する方法に関するものである。本発明は、分散エネルギーネットワークのエネルギーを管理する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分散電源(distributed energy)の開発は、最近活発に行われている。これにより発電の効率性を高めることができる。前記分散電源は、新再生エネルギー源を利用する一方案として、その需要はますます増加している。
【0003】
しかし、新再生エネルギー源のエネルギー密度が不均等な問題、及び発電が間欠性が大きい問題がある。これらの問題は、それぞれの新再生エネルギーを利用した分散電源において供給と需要の不安定を引き起こす。従って、新再生エネルギー源を利用した分散電源の効率を増加させるためのエネルギーの最適化のための設計が必要である。
【0004】
これに関する従来技術は、KR102423806B1「電力ネットワークにおいて分散型エネルギー資源を管理するためのインテリジェント電力ネットワークオペレーティングシステム」がある。前記従来技術は、リアルタイムでエネルギーの供給ノードと需要ノードを総合的に効率的に管理する方案を提案する。
【0005】
前記従来技術は、個別的な新再生エネルギーが有する間欠性(intermittent problem)による分散電源の個別ノードの問題を解決することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】KR102423806B1「電力ネットワークにおいて分散型エネルギー資源を管理するためのインテリジェント電力ネットワークオペレーティングシステム」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、分散電源ネットワークにかかわる個別ノードの電源安定化のための分散電源ネットワークの資源管理方法を提案する。
【0008】
本発明は、仮想電力ネットワーク(VPP:Virtual Power Plant)の適用時に、分散電源ネットワークの個別ノードにおいて新再生エネルギーの運営を最適化する分散電源ネットワークの資源管理方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の分散電源ネットワークの資源管理方法は、エネルギーを供給する発電所と、少なくとも一つの仮想発電所ノードが、グリッドで連結される分散電源ネットワークの資源を管理する方法である。
前記仮想発電所ノードは、エネルギーを消費する需要、新再生エネルギー源からエネルギーを生産する再生エネルギー装置、再生エネルギー装置の余剰エネルギーを水素に変換する水電解装置、水素を貯蔵する水素貯蔵装置、水素からエネルギーを生産する燃料電池、及び電気の生産量が不足したり貯蔵水素が不足する場合、水素を生産して燃料電池に供給する燃料処理装置を備えることができる。
前記仮想発電所ノードを制御するために、所定時間後の、前記再生エネルギー装置のエネルギー生産量と前記需要エネルギーの需要量を予測することと、前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より小さいと、水素貯蔵装置の水素貯蔵量及び前記燃料電池の生産量を確認することができる。
前記仮想発電所ノードを制御するために、前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より大きいと、前記水電解装置及び前記水素貯蔵装置を用意することができる。
前記仮想発電所ノードを制御するために、前記用意段階で、余剰エネルギーが発生すると、前記水電解装置にエネルギーを供給して発生した水素を水素貯蔵装置に貯蔵することができる。
前記仮想発電所ノードを制御するために、前記用意段階で、エネルギー不足が発生すると、前記燃料電池を稼動することができる。
【0010】
前記予測のための第1最小時間は、1~3時間であってもよい。
【0011】
前記燃料電池の生産量を確認した後、前記燃料電池を用意することができる。
【0012】
前記予測エネルギー消費量が、前記予測エネルギー生産量と前記水素貯蔵装置に貯蔵された貯蔵水素を使用して前記燃料電池を利用して発電できる最大補助エネルギー生産量を超過する場合には、前記燃料処理装置を利用して追加的に必要な水素量を生産することができる。
【0013】
前記請求項1の方法は、第2最小時間を周期で実行し、前記第2最小時間は、前記第1最小時間より短くてもよい。
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値を比較して、閾値が大きい場合に請求項1の方法を実行することを含むことができる。
前記比較段階は、第4最小時間を周期で実行し、前記第4最小時間は、前記第3最小時間より短くてもよい。
【0014】
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値と比較することと、前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値より大きい場合に請求項1の方法を実行することと、前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値より小さい場合に前記グリッドとエネルギーを授受することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、新再生エネルギーが有する間欠性とエネルギー密度の不均等な配分性を解消することができる。
【0016】
本発明によれば、新再生エネルギー源を有する分散電源ネットワークのノードの非効率性を向上させて新再生エネルギーの効率を増大させ、分散電源ネットワークにかかわる個別ノードの独立性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1は、分散電源ネットワークを示す図面である。
図2は、VPPノードの詳細構成を示す図面である。
図3は、実施例に係る分散電源ネットワークの資源管理方法を説明するフローチャートである。
図4は、別の実施例に係る分散電源ネットワークの資源管理方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施例を詳しく説明する。なお、本発明の思想は、以下の実施例に制限されるものではなく、本発明の思想を理解する当業者は、同一思想の範囲内に含まれる別の実施例を、構成要素の付加、変更、削除、及び追加等により容易に提案できるはずであるが、これもまた本発明の思想の範囲内に含まれると言える。
【0019】
図面の説明において、図面符号に関係なく同一または類似する構成要素には、同じ参照番号を付し、それに対する重複説明は省略することにする。
【0020】
以下の説明で用いられる構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、明細書の作成を容易にするために付与または混用されるものとして、それ自体で相互区別される意味または役割を有するものではない。
【0021】
本明細書に開示された実施例の説明において、係る公知技術に対する具体的な説明が本明細書に開示された実施例の要旨を不明確にすると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0022】
添付された図面は、本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものであり、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0023】
第1、第2等の序数を含む用語を多様な構成要素を説明するために用いることができるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されるものではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。
【0024】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されている」とか「接続されている」と言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているかまたは接続されている場合もあるが、その間に他の構成要素が存在し得ると理解されたい。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されている」とか「直接接続されている」と言及された時には、その間に他の構成要素が存在しないことと理解されたい。
【0025】
単数の表現は、文脈上明白に異ならせて意味しない限り、複数の表現を含むことができる。
【0026】
本出願において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解されたい。
【0027】
図1は、分散電源ネットワークを示す図面である。
【0028】
図1を参照すると、分散電源ネットワークでは、グリッドが各ノードを連結することができる。グリッド(系統)には、発電をするパワープラント30を連結することができる。前記グリッドには、少なくとも一つのVPPノード10または20を連結することができる。
【0029】
前記VPPノードは、分散電源を管理する個別ノードであってもよい。前記VPPは、仮想発電プラントを指すことができる。前記VPPノードは、新再生エネルギーを含めてエネルギーを生産する再生エネルギー装置を含むことができる。前記VPPノードは、エネルギーを消費する需要を含むことができる。前記VPPノードは、燃料電池を含むことができる。前記VPPノードは、燃料から水素を生産する燃料処理装置を含むことができる。前記VPPノードは、前記再生エネルギー装置で生産したエネルギーから水素を生産する水電解装置を含むことができる。前記VPPノードは、水素を貯蔵する水素貯蔵装置を含むことができる。
【0030】
前記VPPノードは、新再生エネルギーの自体生産、新再生エネルギーの自体消費が可能なシステムに構築することができる。例えば、前記再生エネルギー装置で生産したエネルギーを前記需要で全て消費することができる。前記再生エネルギー装置の需要に必要なエネルギーを満たすことができない場合には、グリッドからエネルギーの供給を受けることができる。
【0031】
図2は、前記VPPノードの詳細構成を示す図面である。
【0032】
図2を参照すると、前記VPPノードは、VPPノード自体で消費する需要6を有することができる。前記VPPノードは、新再生エネルギー源からエネルギーを生産する再生エネルギー装置2を含むことができる。前記VPPノードは、前記需要6を超える新再生エネルギーの超過エネルギーを水素に変換する水電解装置3を含むことができる。前記VPPノードは、水素を貯蔵する水素貯蔵装置を含むことができる。前記VPPノードは、エネルギーの生産が不足する場合、貯蔵された水素からエネルギーを生産する燃料電池4を含むことができる。前記VPPノードは、電気の生産量が不足し、同時に貯蔵水素が不足する場合、水素を生産して燃料電池4に供給する燃料処理装置1を含むことができる。
【0033】
前記燃料処理装置1の生産水素は、前記水素貯蔵装置5を経由して燃料電池に供給することができる。
【0034】
前記VPPノードのエネルギー均衡式は、数式1で提示することができる。
【0035】
【数1】
【0036】
左辺は、エネルギー量であり、右辺の第1項は、再生エネルギー装置2で生産されるエネルギー量であり、右辺の第2項は、需要6で消費されるエネルギー量であり、右辺の第3項は、水素貯蔵装置5に貯蔵されるエネルギー量である。前記右辺の第2項にエネルギーが供給されるときに正の数を有することができる。いずれも時間に対する変化量を意味することができる。
【0037】
前記エネルギー均衡式によれば、エネルギー消耗が負の数であると、エネルギーを供給すべきであることを意味することができる。このときには、燃料電池4を駆動することができる。前記エネルギー均衡式によれば、エネルギー消耗が正の数であると、エネルギーの一部を外部に放出すべきであることを意味することができる。このときには、水電解装置3を動作することができる。前記エネルギー均衡式が0であると、最も効率的な運転であると言うことができる。
【0038】
前記VPPノードにおいて水素貯蔵装置5のエネルギー均衡式は、数式2で提示することができる。
【0039】
【数2】
【0040】
左辺は、水素量であり、右辺の第1項は、水電解装置3で生産される水素量であり、右辺の第2項は、燃料電池4で消費される水素量であり、右辺の第3項は、燃料処理装置1で生産する水素量である。前記水電解装置3で生産する水素は、前記再生エネルギー装置2で余剰エネルギーから生産する水素であってもよい。いずれも時間に対する変化量を意味することができる。
【0041】
図3は、実施例に係る分散電源ネットワークの資源管理方法を説明するフローチャートである。
【0042】
図3を参照すると、前記再生エネルギー装置のエネルギー生産量A1を予測することができる。前記需要6のエネルギー消費量C1を予測することができる。前記予測エネルギー生産量A1の予測は、予測のための第1最小時間t1以後の予測であってもよい。前記予測エネルギー消費量C1の予測は、予測のための第2最小時間t2以後の予測であってもよい。前記第1最小時間t1と前記第2最小時間t2は、同一であってもよい。前記予測のための最小時間t1、t2は、前記VPPノードの各装置の正常運転のために必要な時間が最も長い装置を基準とすることができる。例えば、前記燃料処理装置1が前記正常運転のために最も長い時間がかかる。前記燃料処理装置は、予熱、遷移区間、及び反応誘導等のために多い時間がかかるからである。例えば、前記燃料処理装置6の正常運転には、1時間~3時間の最小時間がかかる。前記予測のための最小時間t1、t2は、1~3時間とすることができる。前記予測のための最小時間t1、t2は、2時間とすることができる。
【0043】
前記予測エネルギー生産量A1が前記予測エネルギー消費量C1より大きいのかを判断することができる(S1)。前記予測エネルギー生産量A1が前記予測エネルギー消費量C1より大きいと、水電解装置3を用意することができる(S2)。前記予測エネルギー生産量A1が前記予測エネルギー消費量C1より大きいと、水素貯蔵装置5を用意することができる(S2)。
【0044】
前記用意状態で過剰エネルギーが発生することがある。余剰エネルギーを水電解装置3に供給し、発生した水素を水素貯蔵装置5に貯蔵することができる(S3)。
【0045】
前記予測エネルギー生産量A1と前記予測エネルギー消費量C1の比較段階(S1)で、前記予測エネルギー消費量が大きい場合には、前記予測エネルギー生産量A1と前記予測エネルギー消費量C1が同一であるのかをさらに比較することができる(S4)。
【0046】
前記予測エネルギー生産量A1が前記予測エネルギー消費量C1より小さいと、水素貯蔵装置5の水素貯蔵量を確認することができる(S5)。前記予測エネルギー生産量A1が前記予測エネルギー消費量C1より小さいと、燃料電池の生産量を確認することができる(S5)。前記水素貯蔵装置は、漏洩する水素が一定部分存在し得る。よって、新たに水素貯蔵量を確認する必要がある。前記燃料電池の生産量は、触媒等の劣化によりリアルタイムで変化する。よって、新たに可能生産量を確認する必要がある。
【0047】
以後は、燃料電池4を用意することができる(S6)。燃料電池の用意段階(S6)は、予め実行するか以後実行してもよい。ただし、エネルギーを消耗することになるので好ましくはないといえる。
【0048】
前記用意状態で、エネルギー不足が発生したとき、前記燃料電池4を稼動することができる(S7)。前記予測エネルギー消費量C1が、前記予測エネルギー生産量A1と貯蔵水素を使用して燃料電池4を利用して発電できる最大補助エネルギー生産量A2を超過(C1>A1+A2)することがある。この場合、前記燃料処理装置を利用して追加的に必要な水素量(C1-(A1+A2))を生産することができる(S8)。
【0049】
ここで、予測のために必要な最小時間t2は、負荷追従運転時に正常化のために必要な時間が最大を有したザブシステムを基準とすることができる。前記燃料処理装置は、最も長い正常化に必要な時間を有することができる。例えば、前記燃料処理装置の正常状態稼動時間が2時間である場合、最小予測のために必要な時間は、2時間と決めることができる。現在から2時間後のエネルギー生産量A3と未来エネルギー消費予測量C3の予測された値を利用することができる。前記エネルギー生産量A3と未来エネルギー消費予測量C3の予測には、複数の過去データを活用するAIモデルを利用することができる。
【0050】
前記水素貯蔵装置の最大容量B1は、新再生エネルギーの最大生産容量A2と、最小消費エネルギーC5の差値(B1=A2-C5)とすることができる。前記最大容量は、経済性を考慮して縮小することができる。前記水素貯蔵装置の最大容量B1は、前記差値に過去エネルギー消費量C4、未来エネルギー消費予測量C3、及び予測誤差(Delta)Dを追加的に考慮することができる。
【0051】
前記燃料電池の最大容量A2は、過去エネルギー消費量C4と、未来エネルギー消費予測量C3のうちの大きい値から、再生エネルギー装置の最大容量B1と最小消費エネルギーC5の差を引いた値と、予測誤差Dだけの生産量を足した値(A2=(Max(C3、C4)-(B1-C5)+D))とすることができる。前記値は、経済性を考慮して縮小することができる。
【0052】
前記燃料処理装置の最大容量F1は、過去エネルギー消費量C4と未来エネルギー消費予測量C3のうちの大きい値から、再生エネルギー装置の最大容量B1と最小消費エネルギーC5の差を引いた値と、予測誤差Dを足した値(F1=Max(C3、C4)+(B2-C5)+D))とすることができる。前記値は、経済性を考慮して縮小することができる。
【0053】
前記予測エネルギー生産量A1と前記予測エネルギー消費量C1が同一であるのかを比較する段階(S4)で、両者の量が同一であってもよい。このとき、予測エネルギー生産量と予測エネルギー消費量が同一であるということは、工学的な面で収容可能な誤差を含む概念である。
【0054】
上記された資源管理方法によれば、VPPノードの独立運転を円滑に実行することができる。変動性が大きい、前記再生エネルギー装置、及び前記需要に対応して、円滑にVPPノードを運用することができる。
【0055】
前記水電解装置3、前記燃料処理装置1、及び前記水素貯蔵装置5の運用のためには、不可逆損失が発生することがある。前記不可逆損失は、VPPノードのエネルギー損失を増大させる。以下の実施例は、それに対応できることを一特徴とする。
【0056】
上記された各段階は、第3最小時間t3の経過後、再実行することができる(S9)。前記第3最小時間t3は、前記第1、2最小時間t1、t2より短くてもよい。これにより、エネルギーの生産量及び消費量のリアルタイム変化に積極的に調整することができる。
【0057】
図4は、別の実施例に係る分散電源ネットワークの資源管理方法を説明するフローチャートである。図4を参照すると、前記予測エネルギー生産量A1と前記予測エネルギー消費量C1との差の絶対値が所定の閾値Crより大きいのかを判断する(S11)。前記判断段階(S11)で、前記閾値が小さい場合には、前記図3の方法(S1~S9)を実行することができる(S12)。前記判断段階(S11)で、前記閾値が小さい場合には、前記図3の方法を実行しなくてもよい。
【0058】
前記判断段階(S11)で、前記閾値が小さい場合には、前記グリッドと前記VPPノードは、エネルギーをやりとり(授受)することができる(S13)。前記VPPノードが前記グリッドとエネルギーの授受を実行する場合には、前記VPPノードの各装置が動作する必要がない長所がある。これにより、前記VPPノードの効率を向上させることができる。例えば、水電解装置3、燃料処理装置1、燃料電池4、及び水素貯蔵装置5のうち少なくとも一つの動作開始のために要するエネルギーの消耗を減らすことができる。
【0059】
別の実施例に係る方法は、第4最小時間t4を周期として実行することができる。例えば、前記第4最小時間t4は、前記第3最小時間t3より短くてもよい。これにより、分散電源ネットワークの資源をリアルタイムでより円滑に管理することができる。
【0060】
この開示によれば、再生エネルギー装置、水電解装置、水素貯蔵装置、燃料処理装置、需要、及び燃料電池を有するVPPノードの効率を向上させることができる。前記VPPノードの各装置のエネルギーの間欠性、エネルギーの不均一性、及びエネルギーの非定型性がひどい場合にも、単一体のVPPノードの独立性を向上させることができる。
【0061】
この開示によれば、分散電源ネットワークの全体的な効率性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
新再生エネルギーを利用した分散電源の場合、新再生エネルギーの間欠性により発生するエネルギー需要に対するエネルギー生産の超過或はエネルギー生産の不足が発生する。これにより、バックアップシステムが必要である。しかし、柔軟性が低いバックアップシステムは、時間に応じて変わる新再生エネルギーの電気エネルギー生産量と電気エネルギー需要との均衡を調節しにくい。本発明は、この問題を解決することができる。
【0063】
これにより、分散電源ネットワークをより効率的に管理することができる。
【符号の説明】
【0064】
1:燃料処理装置
2:再生エネルギー装置
3:水電解装置
4:燃料電池
5:水素貯蔵装置
6:需要

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを供給する発電所と、少なくとも一つの仮想発電所ノードが、グリッドで連結される分散電源ネットワークの資源を管理する方法であって、
前記仮想発電所ノードは、エネルギーを消費する需要、新再生エネルギー源からエネルギーを生産する再生エネルギー装置、再生エネルギー装置の余剰エネルギーを水素に変換する水電解装置、水素を貯蔵する水素貯蔵装置、水素からエネルギーを生産する燃料電池、及び電気の生産量が不足したり貯蔵水素が不足する場合、水素を生産して燃料電池に供給する燃料処理装置を備え、
前記仮想発電所ノードを制御するために、
所定時間後の、前記再生エネルギー装置のエネルギー生産量と前記需要エネルギーの需要量を予測することと、
前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より小さいと、水素貯蔵装置の水素貯蔵量及び前記燃料電池の生産量を確認し、
前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より大きいと、前記水電解装置及び前記水素貯蔵装置を待機状態にすることと、
前記待機状態で、余剰エネルギーが発生すると、前記水電解装置にエネルギーを供給して発生した水素を水素貯蔵装置に貯蔵し、
ネルギー不足が発生すると、前記燃料電池を稼動することを実行する、分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項2】
前記予測のための第1最小時間は、前記仮想発電所ノードが備える各装置の中で、エネルギー生産に関わる装置の正常運転のために最も長い時間がかかる装置の正常運転のためにかかる時間であり、前記第1最小時間は1~3時間であって、前記エネルギー生産に関わる装置のエネルギー生産量の予測は、少なくとも前記第1最小時間以後の予測であり、前記エネルギー生産に関わる装置は、前記燃料電池と前記燃料処理装置を含む、請求項1に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項3】
前記燃料電池の生産量を確認した後、前記燃料電池を待機状態にし、当該待機状態でエネルギー不足が発生すると、前記燃料電池を稼働することを実行する、請求項1に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項4】
前記予測エネルギー消費量が、前記予測エネルギー生産量と前記水素貯蔵装置に貯蔵された貯蔵水素を使用して前記燃料電池を利用して発電できる最大補助エネルギー生産量を超過する場合には、前記燃料処理装置を利用して追加的に必要な水素量を生産することを実行する、請求項1に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項5】
前記請求項1の方法は、少なくとも最小時間を周期として前記再生エネルギー装置のエネルギー生産量と前記需要エネルギーの需要量を予測することを再実行し、
前記第3最小時間は、前記第1最小時間より短い、請求項に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項6】
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値所定の閾値を比較して、閾値が大きい場合であって、前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より小さいと、水素貯蔵装置の水素貯蔵量及び前記燃料電池の生産量を確認し、前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より大きいと、前記水電解装置及び前記水素貯蔵装置を待機状態にすることを実行することを含み、
前記比較段階は、少なくとも第4最小時間を周期として再実行し、
前記第4最小時間は、前記第3最小時間より短い、請求項5に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。
【請求項7】
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値所定の閾値比較することと、
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値より大きい場合であって、前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より小さいと、水素貯蔵装置の水素貯蔵量及び前記燃料電池の生産量を確認し、前記予測エネルギー生産量が前記予測エネルギー消費量より大きいと、前記水電解装置及び前記水素貯蔵装置を待機状態にすることを実行することと、
前記予測エネルギー消費量と前記予測エネルギー生産量の差値の絶対値が所定の閾値より小さい場合前記グリッドとエネルギーを授受することを含む、請求項1に記載の分散電源ネットワークの資源管理方法。