(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091205
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】基板上に半導体チップを集積する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240627BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240627BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20240627BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
H01L23/12 Z
H01L33/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023022189
(22)【出願日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】18/086,693
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523055282
【氏名又は名称】パルスフォージ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクラム エス. ターカニ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァヒド アカヴァン アタール
(72)【発明者】
【氏名】カート エー. シュローダー
【テーマコード(参考)】
5F044
5F142
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044LL01
5F044LL05
5F044LL07
5F044PP17
5F044PP19
5F044QQ00
5F044RR01
5F142AA54
5F142AA82
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB22
5F142CB23
5F142CD02
5F142FA32
5F142GA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成長ウェハからディスプレイ基板へのマイクロLEDの転写を提供すること。
【解決手段】マイクロLED19を成長ウェハ11からディスプレイ基板に転写する方法であって、マイクロLEDを、接着層13を介して、光吸収層14で被覆された透明キャリア15を含む仮ハンドラー16に接合することと、マイクロLEDを成長ウェハから剥離するために、エピ層12を加熱することと、マイクロLEDを、ディスプレイ基板上の複数の電気接触点に対して整合させ、押圧することと、マイクロLEDとディスプレイ基板上の電気接触点とを接合するために、複数の光パルスを適用して、光吸収層14を加熱することと、仮ハンドラーを接着層から分離するために、光パルスを適用することと、該接着層を除去して、該マイクロLEDを見えるようにすることとを含む、方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロLEDを成長ウェハからディスプレイ基板に転写する方法であって、該方法は、
成長ウェハの上に位置付けられたエピ層上において製造された複数のマイクロLEDを、接着層を介して仮ハンドラーに接合することであって、該仮ハンドラーは、光吸収層で被覆された透明キャリアである、ことと、
該マイクロLEDを該成長ウェハから剥離するために、該成長ウェハを通してレーザービームを適用して、該エピ層を加熱することであって、それによって、該接着層に付着する該マイクロLEDを該仮ハンドラー上に位置付けられたままにする、ことと、
該仮ハンドラー上に位置付けられた該マイクロLEDを、ディスプレイ基板上の複数の電気接触点に対して整合させ、押圧することと、
該マイクロLEDと該ディスプレイ基板上の該電気接触点とを接合するために、該透明キャリアを通して複数の光パルスを適用して、該仮ハンドラー上に位置付けられた該光吸収層を加熱することと、
該光吸収層と該接着層との界面において該仮ハンドラーを該接着層から分離するために、該透明キャリアを通して光パルスを適用することと、
該接着層を除去して、該ディスプレイ基板に接合されていた該マイクロLEDを見えるようにすることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記マイクロLEDと前記ディスプレイ基板との上の前記電気接触点は、インジウムで被覆される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ディスプレイ基板上の前記電気接触点は、はんだで被覆される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光吸収層は、チタン、タングステン、モリブデン、炭素、シリコン、クロム、酸素、窒素、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の光パルスを適用するステップは、前記透明キャリアを通してフラッシュランプを介した前記複数の光パルスを適用して、前記光吸収層を加熱することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接着層を除去する前記ステップは、該接着層を機械的または化学的に除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
マイクロチップをウェハから受容基板に転写する方法であって、該方法は、
ウェハをダイシングテープ上に接着することと、
該ウェハがダイシングされて複数のマイクロチップを形成した後、接着層を介して該マイクロチップを仮ハンドラーに接着することであって、該仮ハンドラーは、光吸収層で被覆された透明キャリアである、ことと、
該仮ハンドラー上の該マイクロチップを、受容基板上の複数の電気接触点に対して整合させ、押圧することと、
該マイクロチップを該受容基板上の該電気接触点に接合するために、該透明キャリアを通して複数の光パルスを適用して、該仮ハンドラー上に位置付けられた該光吸収層を加熱することと、
該光吸収層と該接着層との界面において該仮ハンドラーを該接着層から分離するために、該透明キャリアを通して光パルスを適用することと、
該接着層を除去して、該受容基板に接合されていた該マイクロチップを見えるようにすることと
を含む、方法。
【請求項8】
前記受容基板上の前記電気接触点は、インジウムで被覆される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記受容基板上の前記電気接触点は、はんだで被覆される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記光吸収層は、チタン、タングステン、モリブデン、炭素、シリコン、クロム、酸素、窒素、またはそれらの組み合わせを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の光パルスを適用するステップは、前記透明キャリアを通してフラッシュランプを介した前記複数の光パルスを適用して、前記光吸収層を加熱することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
マイクロチップをウェハから標的ウェハに転写する方法であって、該方法は、
ウェハをダイシングテープ上に接着することと、
該ウェハが複数のマイクロチップにダイシングされた後、該マイクロチップの各々を個別に、ピックアンドプレースプロセスを介して、該ダイシングテープから接着層を有する仮ハンドラー上に配置することであって、該仮ハンドラーは、光吸収層で被覆された透明キャリアである、ことと、
該仮ハンドラー上の該マイクロチップを、標的ウェハ上の複数の電気接触点に対して整合させ、押圧することと、
該マイクロチップを該標的ウェハ上の該電気接触点に接合するために、該透明キャリアを通して複数の光パルスを適用して、該仮ハンドラー上に位置付けられた該光吸収層を加熱することと、
該光吸収層と該接着層との界面において該仮ハンドラーを該接着層から分離するために、該透明キャリアを通して光パルスを適用することと、
該接着層を除去して、該標的ウェハに接合されていた該マイクロチップを見えるようにすることと
を含む、方法。
【請求項13】
前記標的ウェハ上の前記電気接触点は、インジウムで被覆される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記標的ウェハ上の前記電気接触点は、はんだで被覆される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記光吸収層は、チタン、タングステン、モリブデン、炭素、シリコン、クロム、酸素、窒素、またはそれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の光パルスを適用するステップは、前記透明キャリアを通してフラッシュランプを介した前記複数の光パルスを適用して、前記光吸収層を加熱することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記配置するステップは、前記配置されたマイクロチップと標的ウェハとの曝露表面を洗浄し、作動させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関係者各位
我々、インド国民であるVikram S. Turkani、ならびにともにアメリカ合衆国国民であるVahid Akhavan AttarおよびKurt A. Schroder(全員がテキサス州在住)は、基板上に半導体チップを集積する方法における新規かつ有用な改良を発明し、下記がその明細書であることを証する。
【0002】
本出願は、概して、半導体チップに関し、特に、マイクロ発光ダイオードなどのマイクロチップを基板上に集積する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロLEDディスプレイは、その幅広い色域、明るさ、低消費電力、長い寿命、および環境上の安定性がゆえに、急速に小型ディスプレイの主要テクノロジーになりつつある。マイクロLEDディスプレイは、様々な使用に適した、素晴らしい視覚体験を生み出すことができる。
【0004】
しかし、マイクロLEDディスプレイの製造に関して、技術的な課題が存在する。例えば、マイクロLEDディスプレイの製造におけるより困難なプロセスのうちの1つが、成長ウェハからディスプレイ基板へのマイクロLEDの転写である。
【0005】
従って、マイクロLEDディスプレイの大量採用を促進するために、成長ウェハからディスプレイ基板へのマイクロLEDの転写速度を高精度に向上させることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態に従うと、マイクロLED群は、ウェハの上に位置付けられたエピ層上において製造される。そして、マイクロLED群は、接着層を介して仮ハンドラーに接合される。仮ハンドラーは、光吸収層で被覆された透明キャリアである。エピ層を加熱してマイクロLEDをウェハから剥離するために、エピ層上に集束するようにウェハを通してレーザービームが適用され、それによって、接着層に付着するマイクロLEDを仮ハンドラー上に位置付けられたままにする。基板に対してマイクロLEDを押圧した後、仮ハンドラー上に位置付けられた光吸収層を加熱して基板上においてマイクロLEDと金属トレースとの間の接合を行うために、フラッシュランプからの光パルスのセットが透明キャリアを通して適用される。その後、光吸収層の界面における接着層を剥離してマイクロLEDと接着層とを仮ハンドラーから分離するために、透明キャリアを通してフラッシュランプからの光パルスが適用される。次に、接着層が除去されて、基板に接合されていたマイクロLEDを見えるようにする。
【0007】
本発明の全ての特徴および利点は、以下の詳細な説明において明らかになる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
マイクロLEDを成長ウェハからディスプレイ基板に転写する方法であって、該方法は、
成長ウェハの上に位置付けられたエピ層上において製造された複数のマイクロLEDを、接着層を介して仮ハンドラーに接合することであって、該仮ハンドラーは、光吸収層で被覆された透明キャリアである、ことと、
該マイクロLEDを該成長ウェハから剥離するために、該成長ウェハを通してレーザービームを適用して、該エピ層を加熱することであって、それによって、該接着層に付着する該マイクロLEDを該仮ハンドラー上に位置付けられたままにする、ことと、
該仮ハンドラー上に位置付けられた該マイクロLEDを、ディスプレイ基板上の複数の電気接触点に対して整合させ、押圧することと、
該マイクロLEDと該ディスプレイ基板上の該電気接触点とを接合するために、該透明キャリアを通して複数の光パルスを適用して、該仮ハンドラー上に位置付けられた該光吸収層を加熱することと、
該光吸収層と該接着層との界面において該仮ハンドラーを該接着層から分離するために、該透明キャリアを通して光パルスを適用することと、
該接着層を除去して、該ディスプレイ基板に接合されていた該マイクロLEDを見えるようにすることと
を含む、方法。
(項目2)
上記マイクロLEDと上記ディスプレイ基板との上の上記電気接触点は、インジウムで被覆される、上記項目に記載の方法。
(項目3)
上記ディスプレイ基板上の上記電気接触点は、はんだで被覆される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
上記光吸収層は、チタン、タングステン、モリブデン、炭素、シリコン、クロム、酸素、窒素、またはそれらの組み合わせを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
上記複数の光パルスを適用するステップは、上記透明キャリアを通してフラッシュランプを介した上記複数の光パルスを適用して、上記光吸収層を加熱することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
上記接着層を除去する上記ステップは、該接着層を機械的または化学的に除去することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
マイクロチップをウェハから受容基板に転写する方法であって、該方法は、
ウェハをダイシングテープ上に接着することと、
該ウェハがダイシングされて複数のマイクロチップを形成した後、接着層を介して該マイクロチップを仮ハンドラーに接着することであって、該仮ハンドラーは、光吸収層で被覆された透明キャリアである、ことと、
該仮ハンドラー上の該マイクロチップを、受容基板上の複数の電気接触点に対して整合させ、押圧することと、
該マイクロチップを該受容基板上の該電気接触点に接合するために、該透明キャリアを通して複数の光パルスを適用して、該仮ハンドラー上に位置付けられた該光吸収層を加熱することと、
該光吸収層と該接着層との界面において該仮ハンドラーを該接着層から分離するために、該透明キャリアを通して光パルスを適用することと、
該接着層を除去して、該受容基板に接合されていた該マイクロチップを見えるようにすることと
を含む、方法。
(項目8)
上記受容基板上の上記電気接触点は、インジウムで被覆される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
上記受容基板上の上記電気接触点は、はんだで被覆される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
上記光吸収層は、チタン、タングステン、モリブデン、炭素、シリコン、クロム、酸素、窒素、またはそれらの組み合わせを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目11)
上記複数の光パルスを適用するステップは、上記透明キャリアを通してフラッシュランプを介した上記複数の光パルスを適用して、上記光吸収層を加熱することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
マイクロチップをウェハから標的ウェハに転写する方法であって、該方法は、
ウェハをダイシングテープ上に接着することと、
該ウェハが複数のマイクロチップにダイシングされた後、該マイクロチップの各々を個別に、ピックアンドプレースプロセスを介して、該ダイシングテープから接着層を有する仮ハンドラー上に配置することであって、該仮ハンドラーは、光吸収層で被覆された透明キャリアである、ことと、
該仮ハンドラー上の該マイクロチップを、標的ウェハ上の複数の電気接触点に対して整合させ、押圧することと、
該マイクロチップを該標的ウェハ上の該電気接触点に接合するために、該透明キャリアを通して複数の光パルスを適用して、該仮ハンドラー上に位置付けられた該光吸収層を加熱することと、
該光吸収層と該接着層との界面において該仮ハンドラーを該接着層から分離するために、該透明キャリアを通して光パルスを適用することと、
該接着層を除去して、該標的ウェハに接合されていた該マイクロチップを見えるようにすることと
を含む、方法。
(項目13)
上記標的ウェハ上の上記電気接触点は、インジウムで被覆される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記標的ウェハ上の上記電気接触点は、はんだで被覆される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
上記光吸収層は、チタン、タングステン、モリブデン、炭素、シリコン、クロム、酸素、窒素、またはそれらの組み合わせを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
上記複数の光パルスを適用するステップは、上記透明キャリアを通してフラッシュランプを介した上記複数の光パルスを適用して、上記光吸収層を加熱することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
上記配置するステップは、上記配置されたマイクロチップと標的ウェハとの曝露表面を洗浄し、作動させることをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(摘要)
マイクロLEDを成長ウェハからディスプレイ基板に転写する方法が開示される。成長ウェハ上のマイクロLEDは、光吸収層で被覆された透明キャリア上の接着層に接合される。キャリアをディスプレイ基板に整合させた後、マイクロLEDをディスプレイ基板上に転写する目的で、接着層を分離するために、透明キャリアは、フラッシュランプからの光パルスに曝露されて、光吸収層を加熱する。マイクロLEDは、ディスプレイ基板への転写の前または後に、ディスプレイ基板に接合され得る。はんだ付けなど、マイクロLEDをディスプレイ基板に接合することは、透明キャリアを曝露して光吸収層および隣接したマイクロLEDを加熱して、それらを加熱しディスプレイ基板に接合することによって、フラッシュランプからの光パルスによっても行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
発明自体、ならびにその好ましい使用様式、さらなる対象、および利点は、添付の図面と併せて読まれた場合、下記の例示的な実施形態の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。
【0009】
【
図1】
図1~7は、本発明の1つの実施形態に従った、マイクロLEDを成長ウェハから基板に転写する方法を例示する。
【
図2】
図1~7は、本発明の1つの実施形態に従った、マイクロLEDを成長ウェハから基板に転写する方法を例示する。
【
図3】
図1~7は、本発明の1つの実施形態に従った、マイクロLEDを成長ウェハから基板に転写する方法を例示する。
【
図4】
図1~7は、本発明の1つの実施形態に従った、マイクロLEDを成長ウェハから基板に転写する方法を例示する。
【
図5】
図1~7は、本発明の1つの実施形態に従った、マイクロLEDを成長ウェハから基板に転写する方法を例示する。
【
図6】
図1~7は、本発明の1つの実施形態に従った、マイクロLEDを成長ウェハから基板に転写する方法を例示する。
【
図7】
図1~7は、本発明の1つの実施形態に従った、マイクロLEDを成長ウェハから基板に転写する方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
マイクロLEDディスプレイの製造の間、マイクロLEDは、以下の2つのステップを介して成長ウェハからディスプレイ基板に転写される必要がある:
1.マイクロLEDを成長ウェハから仮ハンドラーに転写すること;および
2.マイクロLEDを仮ハンドラーからバックプレーン薄膜トランジスタ(TFT)を含むディスプレイ基板に転写すること。
【0011】
第2のステップは、流体アセンブリ、レーザー転写、ロール転写、およびスタンプピックアンドプレースなど様々な方法によって達成されることができる。最も速い方法はレーザー系であるが、1つの大型ディスプレイの製造だけでも数時間かかり得る。さらに、TFTディスプレイの品質を向上させるために、追加的な検出および修復ステップが必要とされる。これらの追加的なステップは、長時間の転写時間とともに、マイクロLEDが大量採用されることを妨げてきた障壁である。
【0012】
ここで、図面、特に
図1~7を参照すると、1つの実施形態に従った、マイクロLEDを成長ウェハからディスプレイ基板に転写する改良された方法が描かれている。
図1に示されるように、最初に、マイクロLED19が成長ウェハ11の上に位置付けられたエピ層12において製造される。エピ層12は、例えば、窒化ガリウム(GaN)エピ層であることができる。成長ウェハ11は、例えば、サファイアウェハであることができる。
【0013】
(仮ハンドラーに接合する)
図2に描かれるように、熱および圧力を適用することによって、マイクロLED19は、接着層13を介して仮ハンドラー16に接合される。仮ハンドラー16は、一面が光吸収層14で被覆された透明キャリア15である。
【0014】
接着層13は、均一で薄い接着層を仮ハンドラー16上に作るために、スピンコータを使用して液体形状で適用され得る。接着層は、熱および圧力を使用して仮ハンドラー16上に直接テープとして積層されることもできる。
【0015】
好ましくは300nm未満の厚さである光吸収層14は、好ましくはフラッシュランプからの200~1500nmの広帯域な発光を有する光パルスの少なくとも50%を吸収することができる材料を含む。光吸収層14は、好ましくは、透明キャリア15の50%以内の熱膨張係数を有する高温安定材料である。光吸収層14は、チタン、タングステン、モリブデン、炭素、シリコン、クロム、酸素、窒素、または上記の材料の組み合わせを含み得る。
【0016】
透明キャリア15は、主にフラッシュランプからの(200~1500nmの広帯域な発光である)光パルスに対して透明である。透明キャリア15の例示的な材料は、Corning Eagle XG(登録商標)、Schott Borofloat(登録商標)33、またはAGC EN-A1などのガラスを含む。石英またはサファイア、アクリルも、透明キャリア15の適した材料である。透明キャリア15は、セラミックから作られることもできる。
【0017】
(マイクロLEDを成長ウェハから剥離する)
エピ層12を加熱してマイクロLED19を成長ウェハ11から剥離するために、
図3に示されるように、パルス紫外線(UV)レーザーからのレーザービームは、成長ウェハ11を通して示され、エピ層12上に集束され、それによって、接着層13に付着するマイクロLED19を仮ハンドラー16上にあるままにする。UVレーザーは、248nmで動作するKrFエキシマレーザーであることができる。エピ層12からの余分なエピ材料は、後にマイクロLED19から除去される。
【0018】
図1に示されるようにマイクロLED19をエピ層上で成長させる代わりに、マイクロLED19または他の半導体マイクロチップは、シリコンウェハなどの半導体ウェハ上で製造されることができる。半導体ウェハがダイシングテープに接着された後、半導体ウェハは、マイクロチップを得るためにダイシングされる。ダイシングテープ上のマイクロチップは、熱および圧力を使用して、接着層を介して仮ハンドラー16などの仮ハンドラーに配置され、接合される。均一な圧力を適用してマイクロチップを均一に仮ハンドラー16に接着するために、バッキングプレートがダイシングテープの裏面上に配置され得る。仮ハンドラー16は、一面が光吸収層14で被覆された透明キャリア15である。ダイシングテープは、後に除去され、廃棄される。この選択肢が採用された場合、
図2~3に示されるエピステップは、削除されることができる。
【0019】
(マイクロLEDをディスプレイ基板に整合させ、接合する)
仮ハンドラー16がディスプレイ基板41と整合させられた後、半導体ウェハからのマイクロLED19および/またはマイクロチップは、
図4に描かれるように、ディスプレイ基板41に対して押圧される。ディスプレイ基板41は、インジウムまたははんだで被覆された金属トレースおよび電気接触点を含む。
図4における整合は、仮ハンドラー16上に位置付けられたマイクロLED19が様々な電気接触点においてディスプレイ基板41と接合されることを可能にする。
【0020】
仮ハンドラー16上に位置付けられたマイクロLED19をディスプレイ基板41の電気接触点に接合する1つの方法は、
図5に示されるように、仮ハンドラー15上に位置付けられた光吸収層14を加熱するために、透明キャリア15を通して見えるフラッシュランプからの複数の低電力光パルスを使用することによる。圧力が適用されている間、光吸収層14からの熱は、接着層13を通して伝導されて、マイクロLED19を加熱して、それらをディスプレイ基板41上に位置付けられた様々な電気接触点に接合する。
【0021】
フラッシュランプは、250Vで動作して各光パルスを1,200マイクロ秒送達し、合計200パルスについて50Hzで0.8J/cm2を堆積するPulseForge InventモデルIX2-95-30-PFI(PulseForge, Inc.から入手可能)であることができる。合計処理時間は、約4秒であり、合計放射露光量は、160J/cm2である。フラッシュランプからの光パルスは、マイクロLED19がディスプレイ基板41上に位置付けられた様々な電気接触点にはんだ付けされることを可能にする。
【0022】
代替的に、フラッシュランプからの光パルスを使用する代わりに、マイクロLED19は、リフロー炉を使用して、ディスプレイ基板41上に位置付けられた様々な電気接触点にはんだ付けされることができる。
【0023】
図5に示される積層物は、透明キャリア15(例えば、厚さ0.7mmのEagle XG(登録商標)ガラス、)、光吸収層14(例えば、厚さ200nmの90%のタングステン/10%のチタンのスパッタ層)、接着層13(例えば、HDマイクロシステムズの厚さ25ミクロンのPI 2525)、マイクロLED19(例えば、厚さ0.25mmの0604メトリックLED)、およびディスプレイ基板41(例えば、厚さ0.7mmのホウケイ酸ガラス)を含む。チップ接合および剥離プロセスの成功を電気的に評価するために、厚さ20ミクロンの銀トレースが、選択的にディスプレイ基板41上に堆積されており、厚さ80ミクロンのSAC305 Type 6はんだペーストが、選択的にLED電気接触点において銀トレース上に堆積されている。
【0024】
(仮ハンドラーを剥離する)
積層物の全体的な温度が平衡化された後、仮ハンドラー16が積層物から分離されることができるように接着層13と光吸収層14との界面において仮ハンドラー16を剥離するために、
図6に描かれるように、フラッシュランプからの単一の光パルスが透明キャリア16から示される。(上記と同じ)フラッシュランプからのこの単一の光パルスは、
図5に示された接合ステップからの光パルスの総計放射露光量より高い電力であるが、それより低い放射露光量である。この目的のために、(上記と同じ)フラッシュランプは、750Vで動作して光の単一のパルスを300マイクロ秒送達し、5.4J/cm
2を堆積して、接着層13と光吸収層14との界面において接着層13を剥離する。
【0025】
代替的に、仮ハンドラー16は、パルスレーザーを使用することによって除去されることができる。パルスレーザーは、フラッシュランプについて利用可能であるものよりはるかに短い実用的なパルス長さを有することができるので、合計放射露光量がはるかに低くあり得る。これは、パルスの間に、熱がキャリアおよび接着剤中に拡散する時間がないためである。結果として、吸収層を接着層から剥離するのに必要な温度まで吸収層を加熱するために、より少ない合計エネルギーが必要とされる。エキシマUVレーザーについて、パルス長さは、1マイクロ秒未満であり得、波長は、308nmであり得、合計放射露光量は、単一のパルスにつき250mJ/cm2未満であり得る。UVレーザーがソリッドステート構造である場合もある。パルス赤外レーザーが代替となり得る。UVレーザーと同様に、パルス長さは、非常に短く、接着剤を剥離するのに必要な所与のパルスについての放射露光量は、1J/cm2未満である。しかし、シリコンは、近赤外から中赤外波長(1.0~6.0ミクロン)に対してやや透明であるので、赤外レーザーを使用する場合、ガラスキャリアの代わりにシリコンウェハがキャリアとして使用され得る。両方の種類のパルスレーザーの場合、ビームサイズは、典型的に、フラッシュランプよりはるかに小さい。従って、ビームは、パルスしている間にスキャンされなければならない。300mmのウェハは、ウェハ全体を覆うために、100個を超える個別のパルスを必要とし得る。
【0026】
仮ハンドラー16(すなわち、透明キャリア15および光吸収層14)が積層物から分離された後、接着層13は、今、積層物の上に位置付けられている。そして、
図7に示されるように、接着層13は、機械的に、または化学的な溶解によって除去されて、ディスプレイ基板41に接合されたマイクロLED19を見えるようにする。
【0027】
仮ハンドラー16は、様々な化学的または機械的な手段によって残留接着剤を洗浄され得、再使用可能である。本発明の利点は、接着層13が決して直接光に曝露されないので、使用後に存在する灰の量が最小限であることである。これは、接着層13の残留物の除去を容易にし、よって、透明キャリア15の再使用を促進する。
【0028】
仮ハンドラー16がフラッシュランプのビームより大きい面積を有する場合、フラッシュランプの速度を相対的な運搬速度と同期させて仮ハンドラー16-ディスプレイ基板41のペア全体にわたる均一な曝露を達成するために、フラッシュランプは、電動台によって仮ハンドラー16-ディスプレイ基板41のペアに対して運搬され得る。代替的に、仮ハンドラー16-ディスプレイ基板41のペア全体にわたる均一な曝露を達成するために、パルスの間、フラッシュランプのヘッド部は、電動台上に配置され得、同様に運搬され得る。
【0029】
ディスプレイ基板41へのマイクロLED19の接合は、代替的に、マイクロLEDの脱接合プロセスの後に行われ得る。
【0030】
説明されてきたように、本発明は、マイクロLEDをディスプレイ基板に転写する改良された方法を提供する。
【0031】
1つの実施形態において、ディスプレイ基板は、ガラスである。しかし、可撓性のディスプレイが所望される場合、ガラス基板は、PET、PEN、またはPIなどのポリマーに置き換えられ得る。ポリマーは、ガラスと比べてより熱的に脆弱であるので、接合段階の間にポリマー基板が歪むことを防止するために、ヒートシンクがポリマーの下に配置され得る。ヒートシンクの適切な材料は、金属、黒鉛、セラミックなどである。好ましくは、ヒートシンクは、ポリマー層の100倍を超える厚さであり、より好ましくは、1000倍を超える厚さである。マイクロLEDディスプレイをポリマー基板上に製造することが所望される場合、この追加は、それを可能にする。
【0032】
マイクロLEDをディスプレイ基板に転写する代わりに、本発明の方法は、マイクロチップを標的ウェハに転写して複合マイクロチップまたはチップレットを形成するために利用されることができる。ウェハは、まず、ダイシングテープに接着され、そして、ウェハは、マイクロチップを得るためにダイシングされる。そして、マイクロチップは、ダイシングテープから個別に拾い上げられ、ピックアンドプレースプロセスを使用して、光吸収層で被覆された透明キャリアを有する仮ハンドラー上に堆積されてきた接着層上に配置される。
【0033】
そして、配置されたマイクロチップと、半導体ウェハであり得る標的ウェハとの曝露表面は、有機物および表面酸化物を除去するために洗浄され、マイクロチップおよび半導体ウェハ同士を接合するために作動させられる。そして、マイクロチップは、標的ウェハに整合させられる。次に、不活性雰囲気において熱および圧力を適用することによって、仮ハンドラーと標的ウェハとの両方が互いに接合される。
【0034】
透明キャリア上に位置付けられた光吸収層を加熱するために、透明キャリアを通して見えるフラッシュランプからの複数の低電力光パルスを使用することによって、熱がマイクロチップに提供され得る。そして、圧力が適用されている間、光吸収層からの熱は、接着層を通して伝導されて、マイクロチップおよびウェハを加熱する。圧力が10~50MPAにもなり得るので、透明キャリアの剛性を高めるために、透明なバッキングプレートが仮ハンドラー上に追加的に配置され得る。
【0035】
(上記と同じ)フラッシュランプは、250Vで動作して各光パルスを1,200マイクロ秒送達し、合計400パルスについて50Hzで0.8J/cm2を堆積する。合計処理時間は、約8秒であり、合計放射露光量は、320J/cm2である。ハイブリッド接合と呼ばれるこの接合プロセスは、窒素もしくはアルゴンまたはそれらの組み合わせなどの不活性ガス雰囲気下において行われる。これは、半導体材料間に形成される接合をもたらし、また、マイクロチップおよび標的ウェハの表面上に存在する金属トレース間の接合ももたらす。接合は、非金属-非金属、および金属-金属の性質である。代替的に、マイクロチップおよびウェハは、不活性雰囲気下におけるオーブンにおいて、それらの間に圧力を適用することによって接合されることができる。
【0036】
好ましい実施形態を参照して本発明が特に示され、説明されたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更が本発明においてなされ得るということが当業者によって理解される。