(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009122
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】支援装置および稼動システム
(51)【国際特許分類】
B64G 1/16 20060101AFI20240112BHJP
B64G 1/66 20060101ALI20240112BHJP
B64G 1/58 20060101ALI20240112BHJP
B64G 1/54 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B64G1/16
B64G1/66 B
B64G1/58
B64G1/54 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196492
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2022034541の分割
【原出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】521483629
【氏名又は名称】株式会社縁舞
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】鷹尾 伸一
(57)【要約】
【課題】宇宙空間に存在する物体上で稼働する稼働装置を支援する支援装置、およびかかる支援装置と稼働装置とを備える稼働システムを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、宇宙空間に存在する物体上で稼働する稼働装置を支援する支援装置が提供される。この支援装置は、装置本体と、移動機構と、電源部と、給電機構とを備える。装置本体は、電源部および給電機構を支持するとともに、移動機構により移動可能に構成される。給電機構は、稼働装置に対して給電可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙空間に存在する物体上で稼働する稼働装置を支援する支援装置であって、
装置本体と、移動機構と、電源部と、給電機構とを備え、
前記装置本体は、前記電源部および前記給電機構を支持するとともに、前記移動機構により移動可能に構成され、
前記給電機構は、前記稼働装置に対して給電可能に構成されている、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の支援装置において、
前記給電機構は、給電部と、接続ケーブルとを有し、
前記給電部は、接触状態または非接触状態で前記稼働装置に対して給電可能であり、
前記接続ケーブルは、前記電源部と前記給電部とを電気的に接続している、もの。
【請求項3】
請求項2に記載の支援装置において、
前記給電機構は、さらに、腕部を有し、
前記腕部は、前記給電部を保持し、伸縮により前記給電部を前記電源部に対して接近および離間するように構成されている、もの。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の支援装置において、
前記給電機構は、さらに、カバー部を有し、
前記カバー部は、前記給電部および前記接続ケーブルを覆った状態で設けられ、放熱機能および放射線遮断機能のうちの少なくとも1つを備える、もの。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の支援装置において、
さらに、ガス噴出機構を備え、
前記ガス噴出機構は、前記稼働装置を含む対象物に対して、ガスを噴出するように構成されている、もの。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の支援装置において、
さらに、通信部を備え、
前記通信部は、外部機器との間で信号を送受信するように構成されている、もの。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の支援装置において、
前記稼働装置も、移動可能に構成され、
さらに、追従機構を備え、
前記追従機構は、前記支援装置を前記稼働装置の移動に追従させるように構成さてれている、もの。
【請求項8】
請求項7に記載の支援装置において、
前記追従機構は、前記支援装置と前記稼働装置との離間距離を保持する機能を備える、もの。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の支援装置において、
前記稼働装置は、地球外の天体の地表で稼働する装置である、もの。
【請求項10】
宇宙空間に存在する物体上で稼働する稼働システムであって、
稼働装置と、
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の支援装置とを備え、
前記支援装置は、少なくとも前記稼働装置に対して給電の支援を行うように構成されている、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援装置および稼動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、月や惑星の地表の探索を行う探索車が提案されている(特許文献1参照)。かかる探索車において動力源の電力が過剰に消費されると、探索作業が不能になる。
しかしながら、このような状態の探索車に電力を供給する等、探索車を支援する装置についての検討がこれまで十分になされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では上記事情に鑑み、宇宙空間に存在する物体上で稼働する稼働装置を支援する支援装置、およびかかる支援装置と稼働装置とを備える稼働システムを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、宇宙空間に存在する物体上で稼働する稼働装置を支援する支援装置が提供される。この支援装置は、装置本体と、移動機構と、電源部と、給電機構とを備える。装置本体は、電源部および給電機構を支持するとともに、移動機構により移動可能に構成される。給電機構は、稼働装置に対して給電可能に構成されている。
【0006】
かかる態様によれば、仮に、電力が過剰に消費されて稼働が不能となった稼働装置に対して、円滑に給電して復活させることができる支援装置、および稼働システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】給電機構の他の構成およびガス噴出機構の構成を示す概念図である。
【
図5】支援装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図7】シールド体の構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュ-タが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサ-バからダウンロ-ド可能に提供されてもよいし、外部のコンピュ-タで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピュ-ティング)するように提供されてもよい。
【0010】
また、本実施形態において「部」または「手段」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハ-ドウェア資源と、これらのハ-ドウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0011】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびフィ-ルドプログラマブルゲ-トアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0012】
本発明の支援装置は、宇宙空間に存在する物体上で稼働する稼働装置を支援する装置である。
宇宙空間に存在する物体としては、例えば、惑星、衛星、彗星の他、宇宙船等が挙げられる。以下の説明では、稼働装置は、地球外の天体の地表で稼働する装置である場合について説明する。
この稼働装置が実施し得る動作(作業)としては、例えば、探索、掘削、採集、溶接、切断、撮影等が挙げられる。
図1は、支援装置の実施形態を示す斜視図である。
図2は、給電機構の構成を示す概念図である。
図3は、
図1に示す支援装置のブロック図である。
【0013】
図1に示す支援装置1は、装置本体2と、移動機構3と、電源部4と、給電機構5とを備えている。
装置本体2は、円筒状の胴部21と、胴部21の端部にそれぞれ装着された半球状の頭部22および尻部23とを有している。装置本体2は、例えば、軽量の金属材料の他、後述するカバー部56で挙げるのと同様の材料等で構成することができる。
装置本体2は、電源部4および給電機構5を支持するとともに、移動機構3により移動可能に構成されている。
電源部4からの電力は、稼働装置および移動機構3に供給される。この電源部4には、例えば、リチウムイオン二次電池、銀イオン二次電池のような二次電池(蓄電池)等を使用することができる。
また、電力源には、例えば、光電変換素子(太陽電池)、熱電変換素子、圧電素子、磁歪素子のような一次電池を使用することができる。
【0014】
給電機構5は、稼働装置に対して給電可能に構成されている。給電機構5は、給電部51と、接続ケーブル52とを有している。
給電部51は、頭部22および尻部23の少なくとも一方の内側に配置されている。そして、接続ケーブル52は、電源部4と給電部51とを後述する制御部9を介して電気的に接続している。
本実施形態の給電部51は、例えば、電磁誘電方式の充電器、マイクロ波方式の充電器、超音波方式の充電器等で構成されている。かかる構成によれば、支援装置1が稼働装置に接近し、頭部22または尻部23を稼働装置に近づけることにより、給電部51は、非接触状態で稼働装置に対して給電可能となっている。
【0015】
また、本実施形態では、給電機構5は、
図2に示すように、伸縮やっとこ(腕部)53を有していてもよい、伸縮やっとこ53は、その一端側に頭部22または尻部23が固定されており、その内側に配置された給電部51を保持している。
さらに、給電機構5は、伸縮やっとこ53の他端側の端部同士を接近および離間させる駆動部54を有している。かかる構成により、伸縮やっとこ53を伸縮させ、給電部51を電源部4(胴部21)に対して接近および離間するように構成されている。
このように、伸縮やっとこ53を設けることにより、支援装置1が稼働装置に何らかの原因で接近することができない場合でも、給電部51を稼働装置に近づけて、給電機構5により稼働装置に給電することができる。
【0016】
駆動部54は、例えば、ソレノイドで構成することができる。
なお、腕部は、伸縮やっとこ53に代えて、
図4に示す伸縮ブーム(入れ子式の中空の棒状体)55や、ポールネジスライダで構成することもできる。
また、胴部21と移動可能な頭部22または尻部23との間には、後述するようなカバー部56を設けるようにしてもよい。
【0017】
移動機構3は、胴部21内に配置された6つのモータ31と、各モータ31の回転軸に固定された球状の回転体32とを有している。
また、各回転体32には、その周方向に沿って配置された複数の板状の爪33が設けられている。各爪33の長手方向は、配置方向である周方向と直交している。かかる爪33を設けることにより、回転体32の回転力を地表に確実に伝達することができる。
図3に示すように、支援装置1は、さらに、通信部6と、追従機構7と、制御部9とを有している。これらは、装置本体2内に収納されている。
【0018】
通信部6は、稼働装置を含む外部機器との間で信号を送受信するように構成されている。支援装置1が通信部6を有することにより、ベース基地から稼働装置が遠く離れた場合でも、支援装置1がベース基地と稼働装置との中間位置に移動することにより、中継基地となってベース基地と稼働装置との確実な通信を可能とする。
かかる通信部6による通信方式としては、例えば、無線PAN、無線LAN、無線MAN、無線WAN等が挙げられる。
【0019】
稼働装置も移動可能に構成される場合、追従機構7は、支援装置1を稼働装置の移動に追従させるように構成さてれている。
追従機構7は、支援装置1と稼働装置との離間距離を保持する機能を備えることが好ましい。この場合、追従機構7の作用により、支援装置1を稼働装置との距離をほぼ一定に維持しつつ追従させることができる。かかる追従機構7は、例えば、ミリ波レーダ、マイクロ波レーダ、単眼カメラのうちの1種または2種以上の組み合わせで構成することができる。
なお、追従機構7は、稼働装置と支援装置1とを接続する単なるワイヤで構成してもよい。この場合、支援装置1と稼働装置との離間距離を保持するためには、支援装置1にタッチセンサ、一定の長さの棒状体等を設けることができる。
【0020】
制御部9は、支援装置1の動作を制御するように構成される。
図3に示すように、制御部9には、移動機構3のモータ31、電源部4、給電機構5の給電部51および駆動部54、通信部6ならびに追従機構7のそれぞれが電気的に接続されている。
制御部9は、演算装置91と、記憶装置92とを内蔵する。
【0021】
演算装置91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等で構成される。演算装置91は、記憶装置92に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、支援装置1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶装置92に記憶されているソフトウェアによる情報処理が演算装置91によって具体的に実現される。
なお、演算装置91は、単一であることに限定されず、機能ごとに複数の演算装置91を設けるようにしてもよい。また、それらの組合せであってもよい。特に、移動機構3による支援装置1の移動に関する演算装置91と別異に、他の機構の動作制御のための演算装置91が備えられるとよい。
【0022】
記憶装置92は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、演算装置91によって実行される支援装置1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施することができる。
また、記憶装置92は、演算装置91によって実行される支援装置1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0023】
給電機構5は、
図4に示す構成とすることもできる。
図4は、給電機構の他の構成およびガス噴出機構の構成を示す概念図である。
図4に示す給電機構5'は、給電部51'と、接続ケーブル52と、伸縮ブーム55と、駆動部54'とを有している。
給電部51'は、コネクタで構成され、稼働装置が備えるコネクタに接続(結合)することにより給電することができる。すなわち、給電部51'は、接触状態で稼働装置に対して給電可能である。
伸縮ブーム55は、入れ子式の中空の棒状体で構成され、駆動部54'の作動により伸縮可能となっている。なお、伸縮ブーム55に代えて、伸縮やっとこ53を採用してもよい。
【0024】
また、
図4に示す構成では、装置本体2において、頭部22または尻部23は、胴部21に対してヒンジ24を介して接続され、開閉機構(図示せず。)により開閉可能に構成されている。
伸縮ブーム55を伸長する際には、頭部22または尻部23を開状態として、その操作が行われる。
なお、図示されていないが、胴部21の端部は、カバー部56に連続(接触)する隔壁により封止されている。
【0025】
給電機構5'は、さらに、カバー部56を有している。このカバー部56は、給電部51'、接続ケーブルおよび伸縮ブーム55を覆った状態で設けられ、伸縮ブーム55の伸縮に従って伸縮するように構成されている。このカバー部56を設けることにより、塵等の異物が給電部51'および伸縮ブーム55に付着して、それらの作動に悪影響を与えることを防止または低減することができる。
また、カバー部56は、放熱機能および放射線遮断機能のうちの少なくとも1つを備えることが好ましい。
【0026】
かかるカバー部56は、例えば、放射線耐性を有する樹脂材料に充填剤(例えば、炭素繊維)を分散させたシート材で構成することができる。
樹脂材料としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、
図4に示す構成では、支援装置1は、さらに、ガス噴出機構8を備えている。具体的には、ガス噴出機構8は、ガスを誘導するチューブ81と、このチューブ81にガスを供給するガス供給部82とを有している。チューブ81は、例えば、上記樹脂材料で構成され、カバー部56内に、伸縮ブーム55と併設されている。このチューブ81も、伸縮ブーム55の伸縮に従って伸縮するように構成されている。
したがって、ガス噴出機構8は、稼働装置を含む対象物に対して、ガスを噴出することができる。例えば、給電部51'であるコネクタを、稼働装置側のコネクタに接続(結合)する前に、ガス噴出機構8によりガスを吹き掛け、塵等を除去しておけば、それらの接続をより確実かつ正確に行うことができる。
また、稼働装置がカメラレンズを備える場合には、これに付着した塵等を除去することもできる。
【0028】
さらに、支援装置1では、移動機構3が備える6つの回転体32の少なくとも1つは、装置本体2から離脱して個別に移動可能に構成されていてもよい。
図5は、支援装置の他の実施形態を示す斜視図である。
図6は、回転体の構成を示す分解斜視図である。
図5に示す支援装置1は、胴部21の側方下部に形成され、回転体32の一部を収納する凹部211を有している。凹部211は、回転体32(爪33を除く部分)の外形形状に対応している。支援装置1が移動する際には、回転体32の一部が凹部211に侵入した状態となり、移動機構3の一部(支援装置1の駆動輪)として機能する。
【0029】
図6に示すように、個別に移動可能な回転体32は、球状のカプセル321を有している。カプセル321は、半球状の半体321aと半体321bとに分割可能となっている。カプセル321は、例えば、カバー部56で挙げたのと同様の材料で構成することができる。
カプセル321には、その内径より若干小さいサイズの回路基板322が設けられている。この回路基板322の下側には、2つのモータ324が実装され、各モータ324には、ホイール323が回転可能に固定されている。ホイール323が回転することにより、ホイール323との摩擦力によりカプセル321が回転して、回転体32が自走することができる。
また、2つのホイール323の回転速度を異ならせることにより、回転体32の回転方向を変更することができる。
【0030】
一方、回路基板322の上側には、電源部40、給電部510および制御部90が実装されている。かかる構成によれば、支援装置1が侵入し難い場所では、回転体32を単独で移動させ、稼働装置に接近させることができる。回転体32にも、給電部510が搭載されているため、稼働装置に対して給電することができる。
なお、給電部510に代えてまたは給電部510に追加して、上述したような通信部6および/または追従機構7を設けるようにしてもよい。
また、複数の電源部40を支援装置1の装置本体2内に搭載しておき、回転体32との間で交換可能に構成してもよく、回転体32は、通信部6を介して支援装置1に取得したデータを送信可能に構成してもよい。
【0031】
さらに、カプセル321内には、永久磁石325がカプセル321の内面に固定されることなく配置されている。したがって、永久磁石325は、カブセル321内で自在に変位可能となっている。装置本体2の凹部211の内側には、胴部21に固定された永久磁石211aが配置されている。
回転体32の一部が凹部211に収納した状態で、装置本体2側の永久磁石211aと回転体32側の永久磁石325とが引き付け合う。その結果、永久磁石211a、325が回転中心となり、回転体32が回転することにより、支援装置1の駆動輪として機能する。
【0032】
本発明の稼働システムは、宇宙空間に存在する物体上で稼働するシステムである。この稼働システムは、稼働装置と、上述した支援装置1とを備える。そして、支援装置1は、少なくとも稼働装置に対して給電の支援を行うように構成されている。
かかる稼働システムによれば、電力が過剰に消費されて稼働が不能となった稼働装置に対して、円滑に給電して復活させることができる。このため、稼働装置の稼働効率が極端に低下することを好適に防止することができる。
なお、支援装置1は、稼働装置のみならず、他の支援装置1に対して給電してもよい。
また、支援装置1を1つまたは複数の回転体32で構成することもできる。
【0033】
また、支援装置1は、緊急時に例えば稼働装置に被せるためのシールド体を折り畳んだ状態で搬送してもよい。
図7は、シールド体の構成を模式的に示す斜視図である。
図7に示すシールド体100は、複数の六角形状のシート材200を繋ぎ合わせて構成されている。シート材200には、カバー部56で説明したシート材を使用することができる。緊急時には、
図7(a)に示すように、シールド体を展開して、例えば稼働装置に被せることにより、稼働装置を熱や放射線から保護することができる。
また、シールド体100をシート材200の2層構造とし、ガスボンベ等を接続しておけば、展開時に自動的にガスが2層のシート材200の間に供給されて、
図7(b)に示すように、シールド体100を立体形状に変形可能に構成することもできる。
【0034】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記支援装置において、前記給電機構は、給電部と、接続ケーブルとを有し、前記給電部は、接触状態または非接触状態で前記稼働装置に対して給電可能であり、前記接続ケーブルは、前記電源部と前記給電部とを電気的に接続している、もの。
前記支援装置において、前記給電機構は、さらに、腕部を有し、前記腕部は、前記給電部を保持し、伸縮により前記給電部を前記電源部に対して接近および離間するように構成されている、もの。
前記支援装置において、前記給電機構は、さらに、カバー部を有し、前記カバー部は、前記給電部および前記接続ケーブルを覆った状態で設けられ、放熱機能および放射線遮断機能のうちの少なくとも1つを備える、もの。
前記支援装置において、さらに、ガス噴出機構を備え、前記ガス噴出機構は、前記稼働装置を含む対象物に対して、ガスを噴出するように構成されている、もの。
前記支援装置において、さらに、通信部を備え、前記通信部は、外部機器との間で信号を送受信するように構成されている、もの。
前記支援装置において、前記稼働装置も、移動可能に構成され、さらに、追従機構を備え、前記追従機構は、前記支援装置を前記稼働装置の移動に追従させるように構成さてれている、もの。
前記支援装置において、前記追従機構は、前記支援装置と前記稼働装置との離間距離を保持する機能を備える、もの。
前記支援装置において、前記稼働装置は、地球外の天体の地表で稼働する装置である、もの。
宇宙空間に存在する物体上で稼働する稼働システムであって、稼働装置と、前記支援装置とを備え、前記支援装置は、少なくとも前記稼働装置に対して給電の支援を行うように構成されている、もの。
もちろん、この限りではない。
【0035】
既述のとおり、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を何ら限定するものではない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0036】
また、支援装置1に、物体を把持するアームを設け、このアームの伸縮機構に、上述した腕部の機構を採用することができる。
大気が存在する惑星(天体)の場合、支援装置1または回転体32は、ドローンのような飛翔体を用いて搬送し、投下することにより地表に配置することができる。
さらに、この場合、支援装置1には、回転体32を発射する発射台を設けるようにしてもよい。
また、支援装置1は、1つの装置本体2に対して、異なる稼働(作業)を行う複数の機構を取替可能に構成することもできる。この取替操作は、地球上で行ってもよく、宇宙空間に存在する物体上で行ってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 :支援装置
2 :装置本体
21 :胴部
211 :凹部
211a :永久磁石
22 :頭部
23 :尻部
24 :ヒンジ
3 :移動機構
31 :モータ
32 :回転体
321 :カプセル
321a :半体
321b :半体
322 :回路基板
323 :ホイール
324 :モータ
325 :永久磁石
33 :爪
4 :電源部
40 :電源部
5 :給電機構
5' :給電機構
51 :給電部
51' :給電部
510 :給電部
52 :接続ケーブル
53 :伸縮やっとこ
54 :駆動部
54' :駆動部
55 :伸縮ブーム
56 :カバー部
6 :通信部
7 :追従機構
8 :ガス噴出機構
81 :チューブ
82 :ガス供給部
9 :制御部
90 :制御部
91 :演算装置
92 :記憶装置
100 :シールド体
200 :シート材