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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091226
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 201L
H01G4/30 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076769
(22)【出願日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】10-2022-0182444
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】金 慶植
(72)【発明者】
【氏名】白 承仁
(72)【発明者】
【氏名】李 鐘煥
(72)【発明者】
【氏名】崔 民英
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性を向上させ、積層型電子部品のDF(Dissipation Factor)及び有効容量変化率を下げた積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品100は、誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1、第2内部電極を含み、第1方向に対向する第1、第2面、前記面と連結され、第2方向に対向する第3、第4面、第3方向に対向する第5、第6面を含む本体110、第5、第6面に配置されるサイドマージン部141、142及び第3、第4面に配置される外部電極131、132を含む。サイドマージン部は、BaTiOとZn及びZrを含み、サイドマージン部のZn及びZrの含有量は、夫々サイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下であり、サイドマージン部のZn含有量と誘電体層のZn含有量は互いに異なり、サイドマージン部のZr含有量と誘電体層のZr含有量は互いに異なる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面から前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第5面及び前記第6面に配置されるサイドマージン部と、
前記第3面及び前記第4面に配置される外部電極と、を含み、
前記サイドマージン部は、BaTiOとZn及びZrを含み、
前記サイドマージン部のZn及びZrの含有量は、それぞれ前記サイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下であり、
前記サイドマージン部のZn含有量と前記誘電体層のZn含有量は互いに異なり、前記サイドマージン部のZr含有量と前記誘電体層のZr含有量は互いに異なる、積層型電子部品。
【請求項2】
前記誘電体層はZnを含まないか、前記サイドマージン部よりも小さい含有量のZnを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記誘電体層はZrを含まないか、前記サイドマージン部よりも小さい含有量のZrを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記サイドマージン部は、複数の誘電体結晶粒及び隣接した誘電体結晶粒の間に配置された結晶粒界を含み、
前記サイドマージン部のうち、前記結晶粒界におけるZn含有量は、前記誘電体結晶粒におけるZn含有量よりも大きく、
前記サイドマージン部のうち、前記結晶粒界におけるZr含有量は、前記誘電体結晶粒におけるZr含有量よりも大きい、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさをA1とするとき、
104nm≦A1≦192nmを満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさをA1、前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさをA2とするとき、
0.34≦A1/A2≦0.65を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記サイドマージン部はDyを含み、
前記サイドマージン部のDy含有量は、前記サイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上2.0モル以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記サイドマージン部はTbを含み、
前記サイドマージン部のTb含有量は、前記サイドマージン部が含むTi100モルに対して0.1モル以上0.5モル以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記サイドマージン部はSiを含み、
前記サイドマージン部のSi含有量は、前記サイドマージン部が含むTi100モルに対して2.0モル以上5.0モル以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記サイドマージン部はAlを含み、
前記サイドマージン部のAl含有量は、前記サイドマージン部が含むTi100モルに対して0.6モル以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記サイドマージン部はMgを含み、
前記サイドマージン部のMg含有量は、前記サイドマージン部が含むTi100モルに対して1.0モル以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1内部電極は、前記第3面、前記第5面及び前記第6面と連結され、
前記第2内部電極は、前記第4面、前記第5面及び前記第6面と連結される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。コンピュータ、モバイル機器など、各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
積層セラミックキャパシタは、一般的に、誘電体層、及び内部電極が交互に配置される本体と、本体の側面に配置されて本体を保護するサイドマージン部を含むことができる。
【0005】
一方、最近、積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化を達成するために、誘電体層及び内部電極の薄層化が進められており、誘電体層の厚さが薄くなるほど、誘電体層は絶縁抵抗の劣化に弱くなり、これにより積層セラミックキャパシタの耐電圧破壊が発生する可能性がある。
【0006】
このような耐電圧破壊はサイドマージン部の端部で発生する傾向にあるため、積層セラミックキャパシタの誘電体層に対してサイドマージン部に添加される材料や構造を変更して積層セラミックキャパシタの信頼性を確保することができる新たな方法が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な目的の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させることである。
【0008】
本発明の様々な目的の一つは、積層型電子部品のDF(Dissipation Factor)及び有効容量変化率を下げることである。
【0009】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層、及び前記誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体、前記第5面及び前記第6面に配置されるサイドマージン部及び前記第3面及び前記第4面に配置される外部電極を含み、前記サイドマージン部は、BaTiOとZn及びZrを含み、前記サイドマージン部のZn及びZrの含有量は、それぞれ前記サイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下であり、前記サイドマージン部のZn含有量と前記誘電体層のZn含有量は互いに異なり、前記サイドマージン部のZr含有量と前記誘電体層のZr含有量は互いに異なる場合がある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の様々な効果の一つとして、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0012】
本発明の様々な効果の一つとして、積層型電子部品のDF(Dissipation Factor)及び有効容量変化率を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
図2図1の本体及びサイドマージン部を分解して概略的に示した分解斜視図である。
図3図1のI-I’線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
図4図1のII-II’線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
図5図4のK1領域拡大図である。
図6図4のK2領域拡大図である。
図7】各試験番号のサイドマージン部を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージである。
図8】各試験番号のサイドマージン部を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージである。
図9】各試験番号のサイドマージン部を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0015】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0016】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(T)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1の本体及びサイドマージン部を分解して概略的に示した分解斜視図であり、図3は、図1のI-I’線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、図4は、図1のII-II’線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、図5は、図4のK1領域拡大図であり、図6は、図4のK2領域拡大図である。
【0018】
図1図6を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び誘電体層を挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含む本体110、第5及び第6面に配置されるサイドマージン部141、142と、第3及び第4面に配置される外部電極131、132を含み、サイドマージン部141、142は、BaTiOとZn及びZrを含み、サイドマージン部141、142のZn及びZrの含有量は、それぞれサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下であり、サイドマージン部のZn含有量と誘電体層のZn含有量は互いに異なり、サイドマージン部のZr含有量と誘電体層のZr含有量は互いに異なることができる。
【0019】
本発明の一実施形態によると、サイドマージン部141、142のZn及びZrの含有量がそれぞれサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下を満たすことでサイドマージン部141、142の誘電体結晶粒の粒成長を抑制し、緻密化を誘導して積層型電子部品の信頼性を向上させることができ、誘電損失(DF:Dissipation Factor)及びDC電界下の有効容量変化率を減少させることができる。
【0020】
以下、本発明の一実施形態による積層型電子部品100に含まれる各構成についてより詳細に説明する。
【0021】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮や角部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。
【0022】
本体110は、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、第1面~第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0023】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0024】
誘電体層111は、複数の誘電体結晶粒111a及び隣接する誘電体結晶粒間に配置された結晶粒界111bを含むことができる。誘電体層111をなす物質は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されず、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)を含むことができる。
【0025】
誘電体層111は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのセラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けた後、セラミックグリーンシートを焼成することで形成することができる。
【0026】
誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はない。但し、一般的に誘電体層111の厚さが薄くなるほど積層型電子部品の耐湿信頼性及び高温信頼性が低下するという問題点がある。一方、本発明の一実施形態による積層型電子部品の場合、サイドマージン部141、142のZn及びZrの含有量がそれぞれサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下を満たすことで誘電体層111の平均厚さtdが0.4μm以下である場合にも積層型電子部品の信頼性を確保することができる。
【0027】
ここで、誘電体層111の平均厚さtdは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向の大きさを意味する。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの誘電体層111の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30つの地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30の地点は、後述する容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0028】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122が誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0029】
第1内部電極121は第3、第5及び第6面と連結され、第2内部電極122は第4、第5及び第6面と連結されることができる。また、第1内部電極121は第4面と離隔して配置されることができ、第2内部電極122は第3面と離隔して配置されることができる。
【0030】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上であることができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に所定の厚さで導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することで形成されることができる。内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はない。但し、本発明の一実施形態による積層型電子部品の場合、サイドマージン部141、142のZn及びZrの含有量がそれぞれサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下を満たすことで、内部電極121、122の平均厚さteが0.4μm以下である場合にも積層型電子部品の信頼性を確保することができる。
【0033】
内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の第1方向の大きさを意味する。ここで、内部電極121、122の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、一つの内部電極121、122の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30の地点は後述する容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0034】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含んで容量が形成される容量形成部Acと容量形成部Acの第1方向に向かい合う両面上にそれぞれ配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ構成を有することができる。
【0035】
カバー部112、113の平均厚さtcは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部112、113の平均厚さtcは20μm以下であることができる。上述したように、本発明の一実施形態による積層型電子部品の場合、サイドマージン部141、142のZn及びZrの含有量がそれぞれサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下を満たすことで、カバー部112、113の平均厚さが20μm以下である場合にも、積層型電子部品の信頼性を確保することができる。
【0036】
ここで、カバー部112、113の平均厚さは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。また、カバー部112、113の平均厚さは、カバー部112、113の第1方向への平均大きさを意味することができ、本体110の第1方向及び第2方向の断面で等間隔の5つの地点で測定した第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0037】
本発明の一実施形態によると、第5及び第6面に配置されるサイドマージン部141、142を含むことができる。具体的には、第5面に配置される第1サイドマージン部141及び第6面に配置される第2サイドマージン部142を含むことができる。サイドマージン部141、142は、複数の誘電体結晶粒141a及び隣接した誘電体結晶粒間に配置された結晶粒界141bを含むことができ、サイドマージン部は基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0038】
一方、サイドマージン部141、142は、BaTiOとZn及びZrを含むことができる。サイドマージン部141、142は、BaTiOを主成分として含むことができ、ZnはZnの酸化物形態であるZnOとして存在することができ、ZrはZrの酸化物形態であるZrOで存在することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
BaTiOは、ABOで表される構造を有する代表的なペロブスカイト酸化物である。一方、Znイオンは+2価の原子価を有するため、+2価原子価を有するBa位、すなわちAサイトに置換されることを考慮することができるが、イオンの大きさが大きいBaとZnとの間のサイズミスマッチ(size mismatch)が大きいため、固溶限界が非常に低い。また、Znイオンはその大きさが小さくて、上記ABO構造のうちBサイト内に置換されることを考慮することもできるが、Znは原子価(Valence)がTiに比べて低く、実際にBサイト内に固溶され難い。したがって、ほとんどのZnはサイドマージン部の誘電体結晶粒141a内に固溶されることなく、サイドマージン部の結晶粒界141bに偏析されることができる。このように結晶粒界に偏析されたZnは、誘電体結晶粒の粒成長時に結晶粒界の移動を妨げるドラッグ効果(Drag Effect)を誘導し、これによりサイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の粒成長を抑制する役割を果たすことができる。また、Zn酸化物は融点が低くて、代表的な低温焼結助剤として知られている。このようなZn酸化物は、焼成時にサイドマージン部141、142の液相焼結を誘導してサイドマージン部の緻密度を向上させることができる。
【0040】
また、ZrイオンはTiと同様に+4価イオンを有しているが、イオンサイズの差が大きくて、上記Bサイト内に固溶され難い。したがって、ほとんどのZrはサイドマージン部の誘電体結晶粒141a内に固溶されることなく、サイドマージン部の結晶粒界141bに偏析されることができ、結晶粒界に偏析されたZrはサイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の粒成長を抑制し、サイドマージン部の緻密度を向上させることができる。
【0041】
このとき、サイドマージン部141、142に含まれた誘電体結晶粒の粒成長抑制及び緻密化効果によってサイドマージン部141、142の端部で耐電圧破壊が発生することを防止し、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0042】
また、低温で焼成してもサイドマージン部141、142の緻密度を向上させることができ、このような低温焼成効果によって容量形成部Acとサイドマージン部141、142との境界領域の緻密度を向上させて積層型電子部品のDF及び有効容量変化率を下げることができる。
【0043】
本発明の一実施形態によると、サイドマージン部141、142のZn及びZrの含有量は、それぞれサイドマージン部141、142が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下であることができる。サイドマージン部141、142に含まれたZn及びZrの含有量がそれぞれサイドマージン部141、142が含むTi100モルに対して0.5モル未満である場合、Zn及びZrによるサイドマージン部の誘電体結晶粒141aの粒成長抑制効果が低下して、積層型電子部品の信頼性向上効果が僅かであることがある。また、サイドマージン部141、142に含まれたZn及びZrの含有量がそれぞれサイドマージン部141、142が含むTi100モルに対して1.0モル超過である場合、サイドマージン部の誘電体結晶粒141aの粒成長が過度に抑制されてサイドマージン部の緻密度が低下し、サイドマージン部に形成されたポア(pore)を介して外部水分が浸透して積層型電子部品の信頼性が低下することがある。
【0044】
サイドマージン部141、142は、例えば、本体の第5及び第6面にBaTiO、ZnO及びZrOを含む誘電体シートを積層した後、焼成することで形成されることができる。また、サイドマージン部に含まれたZn及びZrの含有量は、誘電体シートに添加されるZnO及びZrOの含有量を調節することで決定することができる。
【0045】
本発明の一実施形態によると、サイドマージン部141、142のZn含有量は誘電体層111のZn含有量と互いに異なり、サイドマージン部141、142のZr含有量は誘電体層111のZr含有量と互いに異なることがある。
【0046】
すなわち、サイドマージン部141、142に含まれるZn及びZrは、例えばサイドマージン部141、142の端部で発生する耐電圧破壊を防止するために添加されるものであり、誘電体層111に同一の含有量のZn及びZrが添加される必要はない。また、本発明の一実施形態によると、サイドマージン部141、142は、本体の第5及び第6面に別途の誘電体シートを積層後に焼成して形成されるものであるため、別途工程なしにサイドマージン部141、142に含まれたZn及びZrの含有量と誘電体層111に含まれたZn及びZrの含有量を互いに異なるように調節することができる。
【0047】
例えば、誘電体層111はZnを含まないか、サイドマージン部141、142よりも少ない含有量のZnを含むことができる。また、誘電体層111は、Zrを含まないか、サイドマージン部141、142よりも少ない含有量のZrを含むことができる。上述したように、Zn及びZrは誘電体結晶粒の粒成長を抑制する役割を果たし、誘電体層の誘電体結晶粒径が小さくなるほど積層型電子部品の有効容量が低下するという問題点が発生することがあるため、誘電体層111は、Zn及びZrを含まないか、サイドマージン部141、142よりも少ない含有量のZn及びZrを含むことで積層型電子部品の有効容量が低下することを防止しながらも、サイドマージン部141、142のZn及びZrの含有量は、それぞれサイドマージン部141、142が含むTi100モルに対して0.5モル以上1.0モル以下を満たすことで積層型電子部品の信頼性をより向上させることができる。
【0048】
一実施形態において、サイドマージン部のうち結晶粒界141bにおけるZn含有量は誘電体結晶粒141aにおけるZn含有量よりも大きく、サイドマージン部のうち結晶粒界141bにおけるZr含有量は誘電体結晶粒141aにおけるZr含有量よりも大きいことができる。上述したように、サイドマージン部に含まれたZn及びZrのほとんどはサイドマージン部の誘電体結晶粒141a内に固溶されることなく、サイドマージン部の結晶粒界141bに偏析されて粒成長抑制及び緻密化を誘導することができる。これによって、サイドマージン部の結晶粒界141bにおけるZn及びZrの含有量は、誘電体結晶粒141aにおけるZn及びZrの含有量よりも大きいことができる。
【0049】
一実施形態において、サイドマージン部141、142に含まれた誘電体結晶粒141aの平均大きさをA1とするとき、104nm≦A1≦192nmを満たすことができる。また、誘電体層111に含まれた誘電体結晶粒111aの平均大きさをA2とするとき、0.34≦A1/A2≦0.65を満たすことができる。
【0050】
上記A1及びA2は、例えば、サイドマージン部及び誘電体層にそれぞれ含まれたZn及びZrの含有量によって調節されることができる。このとき、A1及びA1/A2が上記条件を満たすと、サイドマージン部の粒成長抑制による積層型電子部品の信頼性向上効果がより顕著になることがある。
【0051】
上記A1は、積層型電子部品の第2方向の中央で切断した第1及び第3方向の断面において、サイドマージン部141、142の中央領域(例えば、図4のK1領域)を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて50,000倍拡大したイメージを得た後、イメージをイメージ分析プログラム、例えば、Zootos社のZootos Programを用いて分析して得た誘電体結晶粒径の平均値を意味することができる。
【0052】
また、A2は、積層型電子部品の第2方向の中央で切断した第1及び第3方向の断面において、容量形成部Acの中央領域(例えば、図4のK2領域)に配置された誘電体層111を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて50,000倍拡大したイメージを得た後、イメージをイメージ分析プログラム、例えば、Zootos社のZootos Programを用いて分析して得た誘電体結晶粒径の平均値を意味することができる。
【0053】
一実施形態において、サイドマージン部141、142はDyを含み、サイドマージン部のDy含有量はサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル以上2.0モル以下であることができる。Dyはサイドマージン部141、142内でDyの酸化物または炭酸塩の形態で存在することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。Dyは、積層型電子部品の信頼性を向上させる役割を果たすことができる。
【0054】
サイドマージン部のDyの含有量がサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル未満である場合、上述した信頼性向上効果が僅かであることがある。また、サイドマージン部のDyの含有量がサイドマージン部が含むTi100モルに対して2.0モル超過である場合、積層型電子部品の高温耐電圧特性が低下することがある。
【0055】
一実施形態において、サイドマージン部141、142はTbを含み、サイドマージン部のTb含有量は、サイドマージン部が含むTi100モルに対して0.1モル以上0.5モル以下であることができる。Tbはサイドマージン部141、142内でTbの酸化物または炭酸塩の形態で存在することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。Tbは、サイドマージン部141、142と内部電極121、122との間に発生するポア(pore)を満たして積層型電子部品の信頼性を向上させる役割を果たすことができる。
【0056】
サイドマージン部のTb含有量がサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.1モル未満である場合、上述した信頼性向上効果が僅かであることがある。また、サイドマージン部のTb含有量がサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5モル超過である場合、誘電体層111の絶縁抵抗低下の現象が発生する可能性がある。
【0057】
一実施形態において、サイドマージン部141、142はSiを含み、サイドマージン部のSi含有量は、サイドマージン部が含むTi100モルに対して2.0モル以上5.0モル以下であることができる。Siは、サイドマージン部141、142内でガラスやSi酸化物または炭酸塩の形態で存在することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。Siは、積層型電子部品の高温耐電圧特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0058】
サイドマージン部のSi含有量がサイドマージン部が含むTi100モルに対して2.0モル未満である場合、上述した高温耐電圧特性の改善効果が僅かであることがある。また、サイドマージン部のSi含有量がサイドマージン部が含むTi100モルに対して5.0モル超過である場合、サイドマージン部の焼結性及び緻密度を低下及び2次相生成などの問題点が発生することがある。
【0059】
一実施形態において、サイドマージン部141、142はAlを含み、サイドマージン部のAl含有量はサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.6モル以下であることができる。Alは、サイドマージン部141、142内でガラスやAl酸化物または炭酸塩の形態で存在することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。Alは積層型電子部品の高温耐電圧特性を向上させる役割を果たすことができ、アクセプタ(acceptor)として作用して電子濃度を減らして信頼性を改善する役割も果たすことができる。
【0060】
サイドマージン部のAl含有量がサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.6モル超過である場合、サイドマージン部の焼結性及び緻密度の低下及び2次相生成などの問題点が発生することがある。サイドマージン部のAl含有量の下限は特に限定する必要はなく、例えば0モル超過であることができる。
【0061】
一実施形態において、サイドマージン部141、142はMgを含み、サイドマージン部のMg含有量はサイドマージン部が含むTi100モルに対して1.0モル以下であることができる。Mgは、サイドマージン部141、142内でMg酸化物または炭酸塩の形態で存在することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。Mgは、原子価固定アクセプタ(acceptor)元素であり、電子濃度を減らしてn-type化による積層型電子部品の信頼性を改善することができる。
【0062】
サイドマージン部のMg含有量がサイドマージン部が含むTi100モルに対して1.0モル超過である場合、絶縁破壊電圧(BDV)が低くなるという問題点が発生する可能性がある。サイドマージン部のMg含有量の下限は特に限定する必要はなく、例えば0モル超過であることができる。
【0063】
誘電体層111及びサイドマージン部141、142において、各元素の含有量を測定する方法の例を説明する。非破壊工法の場合、TEM-EDS(Transmission Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を用いて誘電体層111及びサイドマージン部141、142の誘電体結晶粒の内部の成分を分析することができる。例えば、積層型電子部品の第2方向の中央で切断した第1及び第3方向の断面において、集束イオンビーム(FIB)装置を用いて薄片化された分析試料を用意する。そして、薄片化された試料をArイオンミリングを用いて表面のダメージ層を除去し、この後、STEM-EDXを用いて得られたイメージで各成分のマッピング及び定量分析を行う。この場合、各成分の定量分析グラフは、各元素の質量分率で得ることができ、これをモル分率で換算して表すことができる。また、破壊工法の場合、積層型電子部品を粉砕して内部電極を除去した後、サイドマージン部及び誘電体層を選別し、このように選別されたサイドマージン部及び誘電体層を誘導結合プラズマ分光分析器(ICP-OES)、誘導結合プラズマ質量分析器(ICP-MS)などの装置を用いて誘電体層及びサイドマージン部の成分を分析することができる。但し、本発明がこれに限定されるものではなく、誘電体層111及びサイドマージン部141、142における各元素の含有量は、蛍光X線分析法(XRF)など様々な分析法によって測定されることができる。
【0064】
一実施形態において、サイドマージン部141、142の平均厚さは2μm~10μmであることができる。サイドマージン部141、142の平均厚さが2μm未満の場合、積層型電子部品の信頼性が低下することがあり、サイドマージン部141、142の平均厚さが10μm超過である場合、積層型電子部品の単位体積当たりの容量が低下することがある。
【0065】
ここで、サイドマージン部141、142の平均厚さは、第1サイドマージン部141及び第2サイドマージン部142のそれぞれの平均厚さを意味する。また、サイドマージン部141、142の平均厚さは、サイドマージン部141、142の第3方向の平均大きさを意味することができ、積層型電子部品の第1方向及び第3方向の断面で等間隔の5つの地点で測定した第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0066】
外部電極131、132は本体110の第3及び第4面3、4に配置されることができ、第1、第2、第5及び第6面の一部上に延長することができる。また、外部電極131、132は、複数の第1内部電極121と連結される第1外部電極131及び複数の第2内部電極122と連結される第2外部電極132を含むことができる。
【0067】
外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4を導電性金属及びガラスを含む外部電極用導電性ペーストにディッピング(dipping)した後に焼成することで形成されることができ、導電性金属及びガラスを含むシートを転写する方式で形成されることもできる。
【0068】
外部電極131、132に含まれる導電性金属は銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)及び/またはこれらを含む合金などを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0069】
なお、図示してはいないが、外部電極131、132上には実装特性を向上させるためのめっき層が配置されることができる。めっき層は、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)及び/またはこれらを含む合金などを含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることもできる。また、めっき層は、ニッケル(Ni)めっき層またはスズ(Sn)めっき層であることができ、ニッケル(Ni)めっき層及びスズ(Sn)めっき層が順次形成された形態であることもできる。
【0070】
図面では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、これに限定されるものではなく、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0071】
(実験例)
まず、誘電体層及び内部電極を含む本体を設けた後、BaTiO、ZnO、ZrO、添加剤、溶剤、分散剤などを含む別途の誘電体シートを製作し、本体の第5及び第6面に誘電体シートを積層した後に焼成してサイドマージン部を形成した。焼成後、本体の第3及び第4面をCuを含む外部電極用導電性ペーストにディッピングした後に焼成して外部電極を形成することでサンプルチップを調製した。一方、各サンプルチップの誘電体層には別途Zn及びZrを添加しなかった。
【0072】
このとき、各試験番号当たりの10のサンプルについて、サイドマージン部に含まれたTi100モルに対するZn含有量と、サイドマージン部に含まれたTi100モルに対するZr含有量をそれぞれ測定した後、Zn含有量の平均値とZr含有量の平均値を下記表1に記載した。
【0073】
また、サンプルチップの第2方向の中央で切断した第1及び第3方向の断面において、サイドマージン部の中央領域を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて50,000倍拡大したイメージを得た後、イメージをZootos社のZootos Programを用いて分析してサイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の平均大きさA1を求めた後に下記表1に記載した。
【0074】
同一断面において、容量形成部Acの中央領域に配置された誘電体層を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて50,000倍拡大したイメージを得た後、イメージをZootos社のZootos Programを用いて分析して誘電体層に含まれた誘電体結晶粒径の平均大きさA2を求めた後に下記表1に記載した。
【0075】
【表1】
【0076】
上記表1を参照すると、サイドマージン部に含まれたZn及びZrの含有量が増加するほど、サイドマージン部の誘電体結晶粒の粒成長を抑制してA1が減少することを確認することができ、これによってA1/A2値も一緒に減少することを確認することができる。
【0077】
図7図9は、各試験番号のサイドマージン部を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージである。より具体的には、図7の(a)は、試験番号1のサイドマージン部、図7の(b)は、試験番号2のサイドマージン部、図8の(a)は、試験番号3のサイドマージン部、図8の(b)は、試験番号4のサイドマージン部、図9は、試験番号5のサイドマージン部を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したイメージである。図7~9を参照すると、サイドマージン部に含まれたZn及びZrの含有量が増加するほど、サイドマージン部の誘電体結晶粒の平均大きさが減少することが確認できる。
【0078】
次に、誘電損失(DF:Dissipation Factor)と1V DCでの有効容量変化率を100khz、0.01Vrms、1Vdc、測定時間60秒条件で測定して下記表2に記載した。また、各試験番号当たりの40のサンプルチップに対して高温信頼性評価及び耐湿信頼性評価を行った。
【0079】
高温信頼性評価は各サンプルチップを実装し、温度105℃で12.6Vの電圧を50時間印加した後、絶縁抵抗値が6order以下に落ちたサンプルの個数を下記表2に記載した。
【0080】
耐湿信頼性評価は各サンプルチップを実装し、温度85℃、相対湿度85%で12.6Vの電圧を24時間印加した後、絶縁抵抗が初期数値より1order以上離れたサンプルの個数を下記表2に記載した。
【0081】
【表2】
【0082】
上記表2を参照すると、サイドマージン部に含まれたZn及びZrの含有量が増加するほど、DF及び有効容量変化率が減少することが確認できる。これは、サイドマージン部に含まれたZn及びZrによって容量形成部とサイドマージン部と境界領域の緻密度が向上することができ、これによりサンプルチップのDF及び有効容量変化率が低くなったものと予想される。
【0083】
一方、試験番号1及び2は、高温信頼性評価及び/または耐湿信頼性評価で不良のサンプルが発生した。これはサイドマージン部に含まれたZn及びZrの含有量が小さくて、Zn及びZrによる信頼性向上効果が僅かであったためであると予想される。また、試験番号5で高温信頼性評価及び耐湿信頼性評価時に不良のサンプルが発生した理由は、図9のように、粒成長が過度に抑制されることで発生したポア(pore)を介して外部水分が浸透したためであると予想される。
【0084】
一方、試験番号3及び4は、高温信頼性評価及び耐湿信頼性評価のいずれにも不良のサンプルが発生せず、これによりサイドマージン部のZn及びZrの含有量は、それぞれサイドマージン部が含むTi100モルに対して0.5以上1.0モル以下のとき、積層型電子部品の信頼性向上効果が顕著になることを確認した。
【0085】
本発明は上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定する。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【0086】
また、「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実施されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0087】
また、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素とを区分付けるために用いるものであり、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名することもでき、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名することもできる。
【符号の説明】
【0088】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
141、142 サイドマージン部
111a、141a 誘電体結晶粒
111b、141b 結晶粒界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9