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特開2024-91237大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法
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  • 特開-大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091237
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法
(51)【国際特許分類】
   B21H 1/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B21H1/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023095766
(22)【出願日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】202211655893.4
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520143281
【氏名又は名称】寧波大学
【氏名又は名称原語表記】NINGBO UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】818 Fenghua Road, Jiangbei District, Ningbo City, Zhejiang Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】束 学道
(72)【発明者】
【氏名】夏 迎香
(72)【発明者】
【氏名】李 子軒
(72)【発明者】
【氏名】徐 海潔
(72)【発明者】
【氏名】王 吉泰
(72)【発明者】
【氏名】葉 曹棋
(72)【発明者】
【氏名】陳 潜
(72)【発明者】
【氏名】李 依蔓
(72)【発明者】
【氏名】王 英
(72)【発明者】
【氏名】左 錦栄
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本願発明は、部品押し込み装置が圧延部品を押して軸方向に沿って移動させると共に、複数組の傾斜圧延ロール系が径方向に沿って移動し、かつ圧延部品を順次縮径圧延し、次に、仕上げロール系が縮径軸部に対して仕上げ圧延を行い、圧延部品に対する仕上げ圧延を完了した後、大きな減面率を有する段付き軸を取得するステップを含む、大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法について開示する。
【解決手段】複数組の傾斜圧延ロール系を設置することにより、圧延部品を縮径圧延して1次成形し、3ロール傾斜圧延プロセスによる大きな減面率を有する段付き軸の製造を実現し、加工難度及び製造コストを低下させる利点を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法であって、
傾斜連続圧延システムは、部品押し込み装置と、部品引き出し装置と、仕上げロール系と、前後に間隔をあけて配列された複数組の傾斜圧延ロール系とを含み、
前記部品押し込み装置は、圧延部品の一端部を挟持し前記圧延部品を前記傾斜圧延ロール系に押し込み、
前記部品引き出し装置は、前記圧延部品の他端部を挟持し、前記圧延部品を前記傾斜圧延ロール系から引き出し、
前記仕上げロール系は、最後の組の前記傾斜圧延ロール系と前記部品引き出し装置との間に設置され、前記成形方法は、
前記部品押し込み装置が加熱された圧延部品を挟持し、その軸方向に沿って前記傾斜圧延ロール系内に押し込むステップS100と、
前記部品押し込み装置が前記圧延部品を押して軸方向に沿って移動させると共に、複数組の前記傾斜圧延ロール系が径方向に沿って移動し、かつ前記圧延部品を順次縮径圧延し、全ての前記傾斜圧延ロール系の回転方向が同じで、接線速度が等しいように制御し、後の組の前記傾斜圧延ロール系が前の組の前記傾斜圧延ロール系によって圧延された縮径軸部に対して、もう1回の縮径圧延を行うステップS200と、
前記圧延部品における縮径軸部が設定された減面率に達した後、前記縮径軸部に対応する傾斜圧延ロール系が径方向に沿って逆方向に移動して圧延を終了し、次に、前記仕上げロール系が前記圧延部品における全ての縮径軸部の仕上げ圧延を完了するまで、前記仕上げロール系が前記縮径軸部に対して仕上げ圧延を行うステップS300と、
前記圧延部品に対する仕上げ圧延を完了した後、前記部品引き出し装置が前記圧延部品を前記傾斜連続圧延システムから引き出し、大きな減面率を有する段付き軸を取得するステップS400と、
を含むことを特徴とする、大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法。
【請求項2】
前記傾斜圧延ロール系は、2組であり、それぞれ前側傾斜圧延ロール系と後側傾斜圧延ロール系であり、
前記前側傾斜圧延ロール系は、前記圧延部品に対して1パス目の縮径圧延を行い第1の縮径軸部を取得し、前記第1の縮径軸部の減面率は、55%~65%であり、前記後側傾斜圧延ロール系は、前記第1の縮径軸部に対して2パス目の縮径圧延を行い第2の縮径軸部を取得し、前記第2の縮径軸部の前記第1の縮径軸部に対する減面率は、45%~60%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前側傾斜圧延ロール系は、円周方向に沿って均一に分布する3つの第1の傾斜圧延ロールで構成され、前記後側傾斜圧延ロール系は、円周方向に沿って均一に分布する3つの第2の傾斜圧延ロールで構成され、前記第1の傾斜圧延ロール、前記第2の傾斜圧延ロール、前記第1の縮径軸部、及び前記第2の縮径軸部は、M>M、かつM<6.5D、M<6.5Dを満たし、
ただし、Mは、前記第1の傾斜圧延ロールの直径であり、Mは、前記第2の傾斜圧延ロールの直径であり、Dは、前記第1の縮径軸部の直径であり、Dは、前記第2の縮径軸部の直径であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の傾斜圧延ロールの偏向角及び前記第2の傾斜圧延ロールの偏向角は、いずれも5°~9°であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記圧延部品を縮径圧延する場合、前記第1の傾斜圧延ロールの回転速度nと前記第2の傾斜圧延ロールの回転速度nとの関係は、
【数1】
であり、
ただし、rは、前記第1の傾斜圧延ロールの回転半径であり、rは、前記第2の傾斜圧延ロールの回転半径であり、μは、前記第1の傾斜圧延ロールの接線すべり係数であり、μは、前記第2の傾斜圧延ロールの接線すべり係数であり、βは、前記第1の傾斜圧延ロールの偏向角であり、βは、前記第2の傾斜圧延ロールの偏向角であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記1の傾斜圧延ロール及び前記第2の傾斜圧延ロールは、いずれも円柱状のロール成形部及び円錐台状のロールテーパ部を含み、
前記第1の傾斜圧延ロールは、前記ロール成形部により、前記圧延部品において前記第1の縮径軸部を圧延し、前記第2の傾斜圧延ロールは、前記ロール成形部により、前記第1の縮径軸部において前記第2の縮径軸部を圧延し、
ただし、Mは、前記第1の傾斜圧延ロールのロール成形部の直径であり、Mは、前記第2の傾斜圧延ロールのロール成形部の直径であり、rは、前記第1の傾斜圧延ロールのロール成形部の回転半径であり、rは、前記第2の傾斜圧延ロールのロール成形部の回転半径であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記仕上げロール系は、円周方向に沿って均一に分布する3つの円柱状の仕上げ圧延ロールで構成され、前記仕上げ圧延ロールの中心軸線と前記圧延部品の中心軸線は、平行であり、かつ偏向角がないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、軸類部品の塑性成形加工の分野に関し、特に、大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大きな減面率を有する軸は、材料を節約し、重量を低減し、メンテナンス及び探傷がしやすいなどの利点により、自動車、航空宇宙などの分野で広く使用されている。従来の軸部品成形プロセスは、ラジアル鍛造、押出、圧延などを含み、成形原理及び金型の制限のため、圧延部品の減面率が1次成形による75%の限界を突破しにくい。例えば、従来の3ロール傾斜圧延プロセスは、継目無鋼管の定径成形及び長軸類の段付き成形を満たすことができるが、ロールの直径、圧延部品の最小直径及び圧延トルクの間の相容れない矛盾のため、1次成形によって大きな減面率を有する段付き軸を製造することできない。
【0003】
クロスウェッジ圧延プロセスによる軸類部品の成形は、効率が高く、材料を節約し、清潔であり、ノイズが低いなどの利点を有する。しかしながら、大きな減面率を有する段付き軸の製造において、通常、2回ウェッジリフティング法で成形するが、2回ウェッジリフティングによる圧延部品は、中心ポロシティなどの内部欠陥が発生しやすく、金型が複雑であり、設備の寸法が大きく、製造コストが高く、実際の製造において適用することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明が解決しようとする技術的課題は、大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法を提供することであり、当該方法は、複数組の傾斜圧延ロール系を設置することにより、圧延部品を縮径圧延して1次成形し、3ロール傾斜圧延プロセスによる大きな減面率を有する段付き軸の製造を実現し、加工難度及び製造コストを低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の技術手段を採用する。大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法において、傾斜連続圧延システムは、部品押し込み装置と、部品引き出し装置と、仕上げロール系と、前後に間隔をあけて配列された複数組の傾斜圧延ロール系とを含み、部品押し込み装置は、圧延部品の一端部を挟持し圧延部品を傾斜圧延ロール系に押し込み、部品引き出し装置は、圧延部品の他端部を挟持し圧延部品を傾斜圧延ロール系から引き出し、仕上げロール系は、最後の組の傾斜圧延ロール系と部品引き出し装置との間に設置され、成形方法は、
部品押し込み装置が加熱された圧延部品を挟持し、その軸方向に沿って傾斜圧延ロール系内に押し込むステップS100と、
部品押し込み装置が圧延部品を押して軸方向に沿って移動させると共に、複数組の傾斜圧延ロール系が径方向に沿って移動し、かつ圧延部品を順次縮径圧延し、全ての傾斜圧延ロール系の回転方向が同じで、接線速度が等しいように制御し、後の組の傾斜圧延ロール系が前の組の傾斜圧延ロール系によって圧延された縮径軸部に対して、もう1回の縮径圧延を行うステップS200と、
圧延部品における縮径軸部が設定された減面率に達した後、縮径軸部に対応する傾斜圧延ロール系が径方向に沿って逆方向に移動して圧延を終了し、次に、仕上げロール系が圧延部品における全ての縮径軸部の仕上げ圧延を完了するまで、仕上げロール系が縮径軸部に対して仕上げ圧延を行うステップS300と、
圧延部品に対する仕上げ圧延を完了した後、部品引き出し装置が圧延部品を傾斜連続圧延システムから引き出し、大きな減面率を有する段付き軸を取得するステップS400とを含む。
【0006】
上記方法において、複数組の傾斜圧延ロール系を設置して、複数回に分けて圧延部品を縮径圧延し、3ロール傾斜圧延プロセスによる大きな減面率を有する段付き軸の製造を実現し、加工難度及び製造コストを低下させる。一方、上記方法において、更に圧延部品に対して仕上げ圧延を行い、圧延部品の表面の螺旋状痕を除去することができる。また、本願発明の方法は、1次成形により大きな減面率を有する段付き軸を製造し、複数の傾斜圧延機を用いて段階的に縮径する方法に比べて、製造フローを短縮し、製造効率を向上させることができる。
【0007】
更に、傾斜圧延ロール系は、2組であり、それぞれ前側傾斜圧延ロール系と後側傾斜圧延ロール系であり、前側傾斜圧延ロール系は、圧延部品に対して1パス目の縮径圧延を行い第1の縮径軸部を取得し、第1の縮径軸部の減面率は、55%~65%であり、後側傾斜圧延ロール系は、第1の縮径軸部に対して2パス目の縮径圧延を行い第2の縮径軸部を取得し、第2の縮径軸部の第1の縮径軸部に対する減面率は、45%~60%である。前側傾斜圧延ロール系及び後側傾斜圧延ロール系の合計2組の傾斜圧延ロール系は、少なくとも2回に分けて圧延部品を縮径圧延し、毎回の縮径圧延による縮径量を制御し、最大85%である大きな減面率を取得すると共に、1回の縮径量が大きすぎることによる圧延部品の表面の隆起を効果的に防止することもできる。上記減面率の計算方法は、以下のとおりである。1パス目の減面率が
【数1】
であり、2パス目の減面率が
【数2】
であり、全減面率が
【数3】
であり、Dは、第1の縮径軸部の直径で、Dは、第2の縮径軸部の直径で、Dは、圧延部品の初期直径である。圧延完了後の圧延部品の全減面率は、最大85%に達することができる。
【0008】
更に、前側傾斜圧延ロール系は、円周方向に沿って均一に分布する3つの第1の傾斜圧延ロールで構成され、後側傾斜圧延ロール系は、円周方向に沿って均一に分布する3つの第2の傾斜圧延ロールで構成され、第1の傾斜圧延ロール、第2の傾斜圧延ロール、第1の縮径軸部、及び第2の縮径軸部は、M>M、かつM<6.5D、M<6.5Dを満たし、ただし、Mは、第1の傾斜圧延ロールの直径であり、Mは、第2の傾斜圧延ロールの直径であり、Dは、第1の縮径軸部の直径であり、Dは、第2の縮径軸部の直径である。第1の傾斜圧延ロールと第1の縮径軸部との直径関係を限定し、第2の傾斜圧延ロールと第2の縮径軸部との直径関係を限定することにより、3つの圧延ロールの径方向における干渉を防止する。傾斜圧延ロールの寸法を最適化することにより、製造設備の寸法を低減し、加工難度及び製造コストを大きく低下させることができる。
【0009】
更に、第1の傾斜圧延ロールの偏向角及び第2の傾斜圧延ロールの偏向角は、いずれも5°~9°である。偏向角の値は、調整可能な変動値であり、圧延部品の寸法に応じて調整される。偏向角による第1の傾斜圧延ロール、第2の傾斜圧延ロールと圧延部品との間の摩擦力は、圧延部品を逆方向に回転させ、軸方向に移動させることができる。
【0010】
更に、圧延部品を縮径圧延する場合、第1の傾斜圧延ロールの回転速度nと第2の傾斜圧延ロールの回転速度nとの関係は、
【数4】
であり、ただし、rは、第1の傾斜圧延ロールの回転半径であり、rは、第2の傾斜圧延ロールの回転半径であり、μは、第1の傾斜圧延ロールの接線すべり係数であり、μは、第2の傾斜圧延ロールの接線すべり係数であり、βは、第1の傾斜圧延ロールの偏向角であり、βは、第2の傾斜圧延ロールの偏向角である。第1の傾斜圧延ロールの回転速度nと第2の傾斜圧延ロールの回転速度nとの関係を限定することにより、圧延部品を加工する場合、前後2組の傾斜圧延ロール系は、安定した連続圧延関係を形成することができる。
【0011】
更に、第1の傾斜圧延ロール及び第2の傾斜圧延ロールは、いずれも円柱状のロール成形部及び円錐台状のロールテーパ部を含み、第1の傾斜圧延ロールは、ロール成形部により、圧延部品において第1の縮径軸部を圧延し、第2の傾斜圧延ロールは、ロール成形部により、第1の縮径軸部において第2の縮径軸部を圧延し、Mは、第1の傾斜圧延ロールのロール成形部の直径であり、Mは、第2の傾斜圧延ロールのロール成形部の直径であり、rは、第1の傾斜圧延ロールのロール成形部の回転半径であり、rは、第2の傾斜圧延ロールのロール成形部の回転半径である。加工時に、第1の傾斜圧延ロールは、ロールテーパ部により、圧延部品において移行階段を圧延した後、ロール成形部により、移行階段の末端に沿って圧延部品において第1の縮径軸部を圧延し、第2の傾斜圧延ロールは、ロールテーパ部により、第1の縮径軸部において移行階段を圧延した後、ロール成形部により、移行階段の末端に沿って第1の縮径軸部において第2の縮径軸部を圧延する。ロール成形部及びロールテーパ部は、加工時に圧延部品と部分的に接触するため、第1の傾斜圧延ロール及び第2の傾斜圧延ロールと圧延部品との接触面積は、クロスウェッジ圧延プロセスによる加工時の楔形金型と圧延部品との接触面積よりはるかに小さく、したがって、第1の傾斜圧延ロール及び第2の傾斜圧延ロールの加工時のモーメントがより小さく、加工時のエネルギー消費を効果的に低減することができる。また、上記製造ステップは、圧延部品を柔軟に段階的に広げる加工であり、圧延部品の加工難度を低下させ、製造コストを低下させることができる。
【0012】
更に、仕上げロール系は、円周方向に沿って均一に分布する3つの仕上げ圧延ロールで構成され、仕上げ圧延ロールの中心軸線と圧延部品の中心軸線は、平行であり、かつ偏向角がない。所定の減面率まで圧延した後、仕上げロール系の丸いロール面により圧延部品の表面を仕上げて、螺旋状痕などの表面欠陥を効果的に除去し、圧延部品の成形品質及び寸法精度を向上させる。
【0013】
従来技術に比べて、本願発明は、以下の利点がある。
(1)従来の複数のウェッジを用いるクロスウェッジ圧延に比べて、本願発明のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法により、大きな減面率を有する段付き軸を製造すると、金型の寸法及び製造設備の寸法を効果的に低減し、1つの金型を複数の用途に適用する柔軟な成形を実現することができ、また、マルチロール系傾斜連続圧延成形プロセスにおける局所的な負荷接触領域が小さく、圧延力を著しく低減し、エネルギー消費を低減することができ、
(2)本願発明は、傾斜圧延機に複数組の傾斜圧延ロール系を設置し、複数組の傾斜圧延ロール系により、圧延部品を順次縮径圧延し、大きな減面率を有する段付き軸の1次成形を実現し、85%以上の大きな減面率を実現することができ、
(3)前側ロール系及び後側ロール系を設置することにより、大きな減面率の縮径加工を実現できるだけでなく、軸部品の成形品質も保証し、また、仕上げ圧延ロールの設置は、軸部品の表面を仕上げ、螺旋状痕の欠陥を除去するという役割も果たし、
(4)本願発明のマルチロール系傾斜連続圧延成形プロセスは、軸方向成形プロセスであり、圧延が完成した軸部品の部分を設備の外に位置させるだけでなく、短いフローにおいて正確な成形を実現し、設備の圧延空間を著しく節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】傾斜連続圧延システムの概略構成図である。
図2】第1の傾斜圧延ロールの概略構成図である。
図3】製造された、大きな減面率を有する段付き軸の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面及び実施例を参照し、本願発明を更に詳細に説明する。
【0016】
本実施例は、大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法を提供し、図1図3に示すように、該方法に用いられる傾斜連続圧延システムは、前側傾斜圧延ロール系100と、後側傾斜圧延ロール系200と、部品押し込み装置300と、部品引き出し装置400と、仕上げロール系600とを含み、前側傾斜圧延ロール系100は、円周方向に沿って均一に分布する3つの第1の傾斜圧延ロール110で構成され、後側傾斜圧延ロール系200は、円周方向に沿って均一に分布する3つの第2の傾斜圧延ロール210で構成され、第1の傾斜圧延ロール110と第2の傾斜圧延ロール210は、形状が同じであり、いずれも円柱状のロール成形部111及び円錐台状のロールテーパ部112で構成され、仕上げロール系600は、円周方向に沿って均一に分布する3つの仕上げ圧延ロール610で構成され、仕上げ圧延ロール610は、円柱形であり、仕上げ圧延ロール610の中心軸線と圧延部品500の中心軸線は、平行であり、かつ偏向角がなく、前側傾斜圧延ロール系100、後側傾斜圧延ロール系200及び仕上げロール系600は、部品押し込み装置300と部品引き出し装置400との間の位置に順次配置され、前側傾斜圧延ロール系100は、部品押し込み装置300に近く、仕上げロール系600は、部品引き出し装置400に近い。成形後の圧延部品500は、部品押し込み端部511と、第1の縮径軸部521と、第2の縮径軸部522と、部品引き出し端部512とを含み、部品押し込み端部511は、部品押し込み装置300に接続され、部品引き出し端部512は、部品引き出し装置400に接続され、第1の傾斜圧延ロール110のロール成形部111の直径Mは、6.5倍の第1の縮径軸部521の直径より小さく、第2の傾斜圧延ロール210のロール成形部111の直径Mは、6.5倍の第2の縮径軸部522の直径Dより小さく、第1の傾斜圧延ロール110のロール成形部111の直径Mは、第2の傾斜圧延ロール210のロール成形部111の直径Mより大きい。
【0017】
大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法は、ステップS100、ステップS200、ステップS300及びステップS400を含む。
ステップS100において、部品押し込み装置300が1000℃~1200℃に加熱された圧延部品500の部品押し込み端部511を挟持し、圧延部品500の軸方向に沿って傾斜圧延ロール系内に押し込み、
ステップS200において、部品押し込み装置300が圧延部品500を押して軸方向に沿って移動させると共に、前側傾斜圧延ロール系100を制御し径方向に沿って移動させ、第1の傾斜圧延ロール110により、圧延部品500に対して1パス目の縮径圧延を行い、第1の傾斜圧延ロール110におけるロール成形部111により、圧延部品500において第1の縮径軸部521を縮径圧延し、第1の縮径軸部521の減面率を55%~65%に制御し、次に、後側傾斜圧延ロール系200を制御し径方向に沿って移動させ、第1の縮径軸部521において2パス目の縮径圧延を行い、第2の傾斜圧延ロール210におけるロール成形部111により、第1の縮径軸部521において第2の縮径軸部522を縮径圧延し、第2の縮径軸部の減面率を45%~60%に制御し、前側傾斜圧延ロール系100と後側傾斜圧延ロール系200との回転方向が同じであり、前側傾斜圧延ロール系100と後側傾斜圧延ロール系200との接線速度が同じであるように、第1の傾斜圧延ロール110の回転速度nと第2の傾斜圧延ロール210の回転速度nとの関係が
【数5】
を満たすように制御し、ただし、rは、第1の傾斜圧延ロール110のロール成形部111の回転半径であり、rは、第2の傾斜圧延ロール210のロール成形部111の回転半径であり、μは、第1の傾斜圧延ロール110の接線すべり係数であり、μは、第2の傾斜圧延ロール210の接線すべり係数であり、βは、第1の傾斜圧延ロール110の偏向角であり、βは、第2の傾斜圧延ロール210の偏向角であり、偏向角β及び偏向角βは、いずれも5°~9°であり、
ステップS300において、第1の縮径軸部521及び第2の縮径軸部522が設定された減面率に達した後、前側傾斜圧延ロール系100及び後側傾斜圧延ロール系200が径方向に沿って逆方向に移動して圧延を終了し、次に、圧延部品500の軸方向移動過程において、第1の縮径軸部521及び第2の縮径軸部522を位置順に仕上げ圧延するように仕上げロール系600における仕上げ圧延ロール610を制御し、仕上げロール系600が圧延部品500における全ての縮径軸部に対する仕上げ圧延を完了するまで縮径圧延し、
ステップS400において、圧延部品500に対する仕上げ圧延を完了した後、部品引き出し装置400が圧延部品500を傾斜連続圧延システムから引き出し、85%の大きな減面率を有する段付き軸を取得する。
【0018】
上記方法に基づいて、傾斜連続圧延システムに3組以上の傾斜圧延ロール系を設置し、必要に応じて各パスの縮径圧延による減面率を設定してもよい。
【0019】
本願発明の保護範囲は、以上の実施形態を含むが、これらに限定されない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲を基準とし、当業者が容易に想到できる技術の置換、変形、改良も含む。
【符号の説明】
【0020】
100 前側傾斜圧延ロール系
110 第1の傾斜圧延ロール
111 ロール成形部
112 ロールテーパ部
200 後側傾斜圧延ロール系
210 第2の傾斜圧延ロール
300 部品押し込み装置
400 部品引き出し装置
500 圧延部品
511 部品押し込み端部
512 部品引き出し端部
521 第1の縮径軸部
522 第2の縮径軸部
600 仕上げロール系
610 仕上げ圧延ロール
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法であって、
傾斜連続圧延システムは、部品押し込み装置と、部品引き出し装置と、仕上げロール系と、前後に間隔をあけて配列された複数組の傾斜圧延ロール系とを含み、
前記部品押し込み装置は、圧延部品の一端部を挟持し前記圧延部品を前記傾斜圧延ロール系に押し込み、
前記部品引き出し装置は、前記圧延部品の他端部を挟持し、前記圧延部品を前記傾斜圧延ロール系から引き出し、
前記仕上げロール系は、最後の組の前記傾斜圧延ロール系と前記部品引き出し装置との間に設置され、前記成形方法は、
前記部品押し込み装置が加熱された圧延部品を挟持し、その軸方向に沿って前記傾斜圧延ロール系内に押し込むステップS100と、
前記部品押し込み装置が前記圧延部品を押して軸方向に沿って移動させると共に、複数組の前記傾斜圧延ロール系が径方向に沿って移動し、かつ前記圧延部品を順次縮径圧延し、全ての前記傾斜圧延ロール系の回転方向が同じで、接線速度が等しいように制御し、後の組の前記傾斜圧延ロール系が前の組の前記傾斜圧延ロール系によって圧延された縮径軸部に対して、もう1回の縮径圧延を行うステップS200と、
前記圧延部品における縮径軸部が設定された減面率に達した後、前記縮径軸部に対応する傾斜圧延ロール系が径方向に沿って逆方向に移動して圧延を終了し、次に、前記仕上げロール系が前記圧延部品における全ての縮径軸部の仕上げ圧延を完了するまで、前記仕上げロール系が前記縮径軸部に対して仕上げ圧延を行うステップS300と、
前記圧延部品に対する仕上げ圧延を完了した後、前記部品引き出し装置が前記圧延部品を前記傾斜連続圧延システムから引き出し、大きな減面率を有する段付き軸を取得するステップS400と、
を含み、
前記傾斜圧延ロール系は、2組であり、それぞれ前側傾斜圧延ロール系と後側傾斜圧延ロール系であり、
前記前側傾斜圧延ロール系は、前記圧延部品に対して1パス目の縮径圧延を行い第1の縮径軸部を取得し、前記第1の縮径軸部の減面率は、55%~65%であり、前記後側傾斜圧延ロール系は、前記第1の縮径軸部に対して2パス目の縮径圧延を行い第2の縮径軸部を取得し、前記第2の縮径軸部の前記第1の縮径軸部に対する減面率は、45%~60%であり
前記前側傾斜圧延ロール系は、円周方向に沿って均一に分布する3つの第1の傾斜圧延ロールで構成され、前記後側傾斜圧延ロール系は、円周方向に沿って均一に分布する3つの第2の傾斜圧延ロールで構成され、前記第1の傾斜圧延ロール、前記第2の傾斜圧延ロール、前記第1の縮径軸部、及び前記第2の縮径軸部は、M >M 、かつM <6.5D 、M <6.5D を満たし、
ただし、M は、前記第1の傾斜圧延ロールの直径であり、M は、前記第2の傾斜圧延ロールの直径であり、D は、前記第1の縮径軸部の直径であり、D は、前記第2の縮径軸部の直径であることを特徴とする、大きな減面率を有する段付き軸のマルチロール系傾斜連続圧延成形方法。
【請求項2】
前記第1の傾斜圧延ロールの偏向角及び前記第2の傾斜圧延ロールの偏向角は、いずれも5°~9°であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記圧延部品を縮径圧延する場合、前記第1の傾斜圧延ロールの回転速度nと前記第2の傾斜圧延ロールの回転速度nとの関係は、
【数1】
であり、
ただし、rは、前記第1の傾斜圧延ロールの回転半径であり、rは、前記第2の傾斜圧延ロールの回転半径であり、μは、前記第1の傾斜圧延ロールの接線すべり係数であり、μは、前記第2の傾斜圧延ロールの接線すべり係数であり、βは、前記第1の傾斜圧延ロールの偏向角であり、βは、前記第2の傾斜圧延ロールの偏向角であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記1の傾斜圧延ロール及び前記第2の傾斜圧延ロールは、いずれも円柱状のロール成形部及び円錐台状のロールテーパ部を含み、
前記第1の傾斜圧延ロールは、前記ロール成形部により、前記圧延部品において前記第1の縮径軸部を圧延し、前記第2の傾斜圧延ロールは、前記ロール成形部により、前記第1の縮径軸部において前記第2の縮径軸部を圧延し、
ただし、Mは、前記第1の傾斜圧延ロールのロール成形部の直径であり、Mは、前記第2の傾斜圧延ロールのロール成形部の直径であり、rは、前記第1の傾斜圧延ロールのロール成形部の回転半径であり、rは、前記第2の傾斜圧延ロールのロール成形部の回転半径であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記仕上げロール系は、円周方向に沿って均一に分布する3つの円柱状の仕上げ圧延ロールで構成され、前記仕上げ圧延ロールの中心軸線と前記圧延部品の中心軸線は、平行であり、かつ偏向角がないことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【外国語明細書】