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特開2024-91240プリント回路基板及びプリント回路基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091240
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】プリント回路基板及びプリント回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/09 20060101AFI20240627BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H05K1/09 C
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104449
(22)【出願日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】10-2022-0181410
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】全 美貞
(72)【発明者】
【氏名】梁 玄錫
(72)【発明者】
【氏名】柳 泰熙
(72)【発明者】
【氏名】朴 贊珍
【テーマコード(参考)】
4E351
5E316
【Fターム(参考)】
4E351AA03
4E351AA04
4E351BB01
4E351BB33
4E351BB35
4E351BB38
4E351CC06
4E351CC07
4E351DD04
4E351DD05
4E351DD06
4E351DD10
4E351DD11
4E351DD12
4E351DD19
4E351DD21
4E351DD52
4E351GG20
5E316AA02
5E316AA15
5E316AA43
5E316CC31
5E316CC32
5E316CC33
5E316CC34
5E316CC37
5E316CC39
5E316DD23
5E316DD24
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF05
5E316FF07
5E316FF08
5E316FF10
5E316FF13
5E316FF14
5E316GG17
5E316HH26
(57)【要約】
【課題】微細な金属層を実現することができ、微細な金属層が様々な構成に適用されることができ、信頼性を向上させることができるプリント回路基板とプリント回路基板及び製造方法を提供する。
【解決手段】本開示を介して提案する様々な解決手段の一つは、第1絶縁層、第1絶縁層上に配置され、側面に第1酸化領域を含む第1金属層、及び第1金属層上に配置される第2金属層を含むプリント回路基板及び第1絶縁層上に第1金属層を形成する段階、第1金属層の一部上に第2金属層を形成する段階、第1金属層の他の一部を酸化して第1酸化領域を形成する段階、及び第1酸化領域の少なくとも一部を除去する段階を含むプリント回路基板の製造方法に関するものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に配置され、側面に第1酸化領域を含む第1金属層と、
前記第1金属層上に配置される第2金属層と、を含む、プリント回路基板。
【請求項2】
前記第1金属層は金属粒子を含み、
前記第1酸化領域は金属粒子及び金属酸化物粒子を含み、
前記第1酸化領域には、前記金属粒子間に前記金属酸化物粒子が配置される、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項3】
前記第2金属層は、側面に第2酸化領域を含む、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項4】
前記第1金属層及び前記第2金属層は金属粒子を含み、
前記第1酸化領域及び前記第2酸化領域は金属粒子及び金属酸化物粒子を含み、
前記第1酸化領域及び前記第2酸化領域には、それぞれ前記金属粒子間に前記金属酸化物粒子が配置される、請求項3に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記第1金属層及び前記第2金属層の積層方向に垂直な方向への前記第2酸化領域の厚さは、前記第1金属層及び前記第2金属層の積層方向に垂直な方向への前記第1酸化領域の厚さよりも厚い、請求項4に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記第1金属層及び前記第2金属層の積層方向への前記第2金属層の厚さは、前記第1金属層及び前記第2金属層の積層方向への前記第1金属層の厚さよりも厚い、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記第1酸化領域は、前記第2金属層の側面よりも突出している、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記第1金属層は、前記第2金属層とは異なる金属を含む、請求項1に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
前記第1絶縁層上に配置される第2絶縁層と、
前記第2絶縁層の少なくとも一部を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔の内壁に沿って配置され、前記第2絶縁層の上面の少なくとも一部に延び、側面に第3酸化領域を含む第3金属層と、
前記貫通孔を満たすように前記第3金属層上に配置され、側面に第4酸化領域を含む第4金属層と、をさらに含む、請求項4に記載のプリント回路基板。
【請求項10】
前記第2絶縁層上に配置されるソルダーレジスト層をさらに含む、請求項9に記載のプリント回路基板。
【請求項11】
第1絶縁層上に第1金属層を形成する段階と、
前記第1金属層の一部上に第2金属層を形成する段階と、
前記第1金属層の他の一部を酸化して第1酸化領域を形成する段階と、
前記第1酸化領域の少なくとも一部を除去する段階と、を含む、プリント回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1酸化領域を形成する段階において、前記第1酸化領域は、前記第2金属層の下面上に配置された第1金属層の一部にさらに形成される、請求項11に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記第1酸化領域を形成する段階の前に、
前記第2金属層上にマスクを配置する段階をさらに含む、請求項11に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1酸化領域を形成する段階は、前記第2金属層の側面の一部を共に酸化して第2酸化領域を形成する段階を含む、請求項13に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記第1酸化領域の少なくとも一部を除去する段階は、ドライエッチング工法で行われる、請求項11に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記第1金属層を形成する段階は、無電解めっきで行われ、
前記第2金属層を形成する段階は、電解めっきで行われる、請求項11に記載のプリント回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント回路基板及びプリント回路基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、モバイル機器の軽量化、小型化の傾向に対応するために、これに実装されるプリント回路基板も軽薄短小化を実現する必要性が徐々に増加している。一方、モバイル機器の軽薄短小化とともに、微細回路を実現する過程中でアンダーカット(undercut)現象が発生するが、これは微細回路の不良を引き起こす可能性がある。これに対する技術的要求に応えて、回路の線幅と間隔が微細な回路を実現しながらも信頼性を向上させるための研究が続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の様々な目的の一つは、微細な金属層を実現することができるプリント回路基板及びプリント回路基板の製造方法を提供することである。
【0004】
本開示の様々な目的の他の一つは、微細な金属層が様々な構成に適用されることができるプリント回路基板及びプリント回路基板の製造方法を提供することである。
【0005】
本開示の様々な目的の他の一つは、信頼性を向上させることができるプリント回路基板とプリント回路基板及び製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提案する様々な解決手段のうち一つは、第1絶縁層、第1絶縁層上に配置され、側面に第1酸化領域を含む第1金属層、及び第1金属層上に配置される第2金属層を含むプリント回路基板を提供することである。
【0007】
本開示によって提案する様々な解決手段のうち他の一つは、第1絶縁層上に第1金属層を形成する段階、第1金属層の一部上に第2金属層を形成する段階、第1金属層の他の一部を酸化して第1酸化領域を形成する段階、及び第1酸化領域の少なくとも一部を除去する段階を含むプリント回路基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の様々な効果の一つとして、微細な金属層を実現することができるプリント回路基板及びプリント回路基板の製造方法を提供することができる。
【0009】
本開示の様々な効果の他の一つとして、微細な金属層が様々な構成に適用されることができるプリント回路基板及びプリント回路基板の製造方法を提供することができる。
【0010】
本開示の様々な効果の他の一つとして、信頼性を向上させることができるプリント回路基板とプリント回路基板及び製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電子機器システムの例を概略的に示したブロック図である。
図2】電子機器の一例を概略的に示した斜視図である。
図3】一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
図4】他の一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
図5】さらに他の一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
図6】さらに他の一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
図7】さらに他の一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
図8】一例によるプリント回路基板の製造方法を概略的に示した断面図である。
図9】一例によるプリント回路基板の製造方法を概略的に示した断面図である。
図10】他の一例によるプリント回路基板の製造方法を概略的に示した断面図である。
図11】他の一例によるプリント回路基板の製造方法を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本開示について説明する。図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)されることがある。
【0013】
電子機器
図1は、電子機器システムの例を概略的に示したブロック図である。
【0014】
図面を参照すると、電子機器1000はメインボード1010を収容する。メインボード1010には、チップ関連部品1020、ネットワーク関連部品1030、及びその他の部品1040などが物理的及び/または電気的に連結されている。これらは、後述する他の電子部品とも結合されて様々な信号ライン1090を形成する。
【0015】
チップ関連部品1020としては、揮発性メモリ(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリなどのメモリチップと、セントラルプロセッサ(例えば、CPU)、グラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、デジタル信号プロセッサ、暗号化プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどのアプリケーションプロセッサチップと、アナログ-デジタルコンバータ、ASIC(application-specific IC)などのロジックチップなどが含まれるが、これらに限定されるものではなく、これ以外にもその他の形態のチップ関連の電子部品が含まれることもできる。さらに、これらのチップ関連部品1020を互いに組み合わせることもできる。チップ関連部品1020は、上述したチップや電子部品を含むパッケージ形態であることもできる。
【0016】
ネットワーク関連部品1030としては、Wi-Fi(IEEE 802.11ファミリなど)、WiMAX(IEEE 802.16ファミリなど)、IEEE 802.20、LTE(long term evolution)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPS、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、3G、4G、5G、及びそれ以降のものとして指定された任意の他の無線及び有線プロトコルが含まれるが、これらに限定されず、これ以外にもその他の多数の無線または有線標準やプロトコルのいずれかが含まれ得る。また、ネットワーク関連部品1030をチップ関連部品1020とともに互いに組み合わせることもできる。
【0017】
その他の部品1040としては、高周波インダクタ、フェライトインダクタ、パワーインダクタ、フェライトビーズ、LTCC(low Temperature Co-Firing Ceramics)、EMI(Electro Magnetic Interference)filter、MLCC(Multi-Layer Ceramic Condenser)などが含まれる。但し、これらに限定されるものではなく、これ以外にもその他の様々な用途のために用いられるチップ部品の形態の受動素子などが含まれ得る。また、その他の部品1040をチップ関連部品1020及び/またはネットワーク関連部品1030と互いに組み合わせることもできる。
【0018】
電子機器1000の種類に応じて、電子機器1000は、メインボード1010に物理的及び/または電気的に連結されるか、または連結されない他の電子部品を含むことができる。他の電子部品の例を挙げると、カメラモジュール1050、アンテナモジュール1060、ディスプレイ1070、バッテリー1080などがある。但し、これらに限定されるものではなく、オーディオコーデック、ビデオコーデック、電力増幅器、羅針盤、加速度計、ジャイロスコープ、スピーカー、大容量記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)、CD(compact disk)、DVD(digital versatile disk)なども挙げられる。これ以外にも、電子機器1000の種類に応じて様々な用途のために用いられるその他の電子部品などが含まれることもできる。
【0019】
電子機器1000は、スマートフォン(smart phone)、個人用情報端末機(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピュータ(computer)、モニタ(monitor)、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)、ネットブック(netbook)、テレビ(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)、オートモーティブ(Automotive)などであることができる。但し、これらに限定されず、これ以外にもデータを処理する任意の他の電子機器であることもできる。
【0020】
図2は、電子機器の一例を概略的に示した斜視図である。
【0021】
図面を参照すると、電子機器は例えば、スマートフォン1100であり得る。スマートフォン1100の内部には、マザーボード1110が収容されており、このようなマザーボード1110には様々な部品1120が物理的及び/または電気的に連結されている。さらに、カメラモジュール1130及び/またはスピーカー1140のように、マザーボード1110に物理的及び/または電気的に連結されるか、または連結されない他の部品が内部に収容されている。部品1120の一部は、上述したチップ関連部品であってよく、例えば、部品パッケージ1121であり得るが、これに限定されるものではない。部品パッケージ1121は、能動部品及び/または受動部品を含む電子部品が表面に実装配置されたプリント回路基板の形態であることができる。または、部品パッケージ1121は、能動部品及び/または受動部品が内蔵されたプリント回路基板の形態であることもできる。一方、電子機器は必ずスマートフォン1100に限定されるものではなく、上述したように他の電子機器であってもよい。
【0022】
プリント回路基板
図3は、一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
【0023】
図3を参照すると、一例によるプリント回路基板は、第1絶縁層110、第1絶縁層110上に配置される第1金属層210、及び第1金属層210上に配置される第2金属層220を含む。第1金属層210は、側面に第1酸化領域211を含み、第2金属層220は、側面に第2酸化領域221を含むことができる。
【0024】
第1絶縁層110は絶縁材料を含むことができる。絶縁材料は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、またはこのような樹脂と共に、無機フィラー、有機フィラー及び/またはガラス繊維(Glass Fiber、Glass Cloth、and/or Glass Fabric)を含む材料を含むことができる。絶縁材料は、感光性材料及び/または非感光性材料であり得る。例えば、絶縁材料としては、SR(Solder Resist)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)、PPG(Prepreg)、RCC(Resin Coated Copper)の絶縁材、CCL(Copper Clad Laminate)の絶縁材などが用いられることができるが、これに限定されるものではなく、これ以外にも他の高分子素材が用いられ得る。
【0025】
第1金属層210は、第1絶縁層110上に配置されることができる。第1金属層210は、第1絶縁層110の上面に配置され、第1絶縁層110から突出した構造を有することができるが、これに限定されるものではなく、第1絶縁層110に一部埋め込まれた構造を有することもできる。
【0026】
第1金属層210は金属粒子400を含む。金属粒子400は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び/またはこれらの合金などを含むことができる。第1金属層210は、金属粒子400が配列された形態を有することができる。図3では、金属粒子400の配列が自由であることを示したが、これに限定されるものではなく、金属粒子400は一定した結晶粒及び相(phase)を有し、緻密に配列されて第1金属層210を構成することができる。このとき、金属粒子400間または金属粒子400の配列に応じた結晶粒と相との間には一部空隙が存在することもできるが、このような空隙は原子配列のレベルで観察されることができる。
【0027】
第1金属層210はシード層として機能することができる。すなわち、第1金属層210は、後述する第2金属層220がめっきされるための金属層として機能することができる。一方、第1金属層210はこれに限定されず、第2金属層220と共に信号伝達の経路を提供することができる。第1金属層210は無電解めっきによって形成されることができ、第1絶縁層110上に広く形成された後に一部が除去される形態でパターニングされることができる。
【0028】
第2金属層220は、第1金属層210上に配置されることができる。第2金属層220は金属粒子400を含む。金属粒子400は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び/またはこれらの合金などを含むことができる。第2金属層220の金属粒子400は銅(Cu)であることが好ましいが、これに限定されるものではない。第2金属層220は、金属粒子400が配列された形態を有することができる。図3では、金属粒子400の配列が自由であるように示されているが、これに限定されるものではなく、金属粒子400は一定の結晶粒及び相(phase)を有し、緻密に配列されて第2金属層220を構成することができる。このとき、金属粒子400間または金属粒子400の配列に応じた結晶粒と相との間には一部空隙が存在することもできるが、このような空隙は原子配列のレベルで観察されることができる。
【0029】
第2金属層220は一般的な回路パターンであることができ、複数のパターンで形成されることができる。複数のパターンは、互いに異なるパターンと電気的に信号を送受信することができ、他の層にさらに配置される金属層と電気的信号を送受信することもできる。一方、複数のパターンは他のパターンと電気的に短絡して機能することもでき、部品が実装されることもできるなど設計デザインに応じて様々な機能を果たすことができる。
【0030】
第2金属層220は、第1金属層210をシード層として電解めっきによって形成されることができる。詳細な工法としては、SAP(Semi Additive Process)、MSAP(Modified Semi Additive Process)、TT(Tenting)、またはサブトラクティブ工法のいずれか一つで形成されることもできるが、これに限定されるものではなく、回路パターンを形成する公知の方法の中からシード層を用いる電解めっきであれば制限なく利用することができる。
【0031】
第1金属層210は、第2金属層220のめっきのためのシード層として機能することができ、第2金属層220はパターンなどとして機能することができるため、第2金属層220の厚さは、第1金属層210の厚さよりも大きく形成されることができる。このとき、第1金属層210の厚さ及び第2金属層220の厚さは、それぞれの上面と下面との間の垂直距離を意味することができる。すなわち、第1金属層210の厚さ及び第2金属層220の厚さは、プリント回路基板の積層方向への厚さを意味する。本開示におけるプリント回路基板の積層方向は、第1金属層210上に第2金属層220が積層される方向と理解されることができるが、これに限定されるものではなく、第1絶縁層110上に第1金属層210が積層される方向を意味することもでき、第1絶縁層110上に後述する第2絶縁層120が積層される方向を意味することもできる。図3では、上下方向がプリント回路基板の積層方向として示されているが、これは例示的な記載に過ぎず、基板の構成が積層される方向として、通常の技術者が困難なく理解できれば通用されることができる。
【0032】
第1金属層210の金属材料と第2金属層220の金属材料は同一であることができるが、これに制限されず、異なる金属材料を含むこともできる。例えば、第1金属層210及び第2金属層220は、それぞれ銅(Cu)を含む金属層であることができるが、これに必ずしも制限されるものではない。また他の例示としては、第1金属層210は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び/またはこれらの合金などの材料を含み、第2金属層220は銅(Cu)を含むこともできる。すなわち、第1金属層210と第2金属層220が異なる金属材料を含むことができる。第1金属層210の金属材料と第2金属層220の金属材料が異なる場合には、製造過程中、第1金属層210の他の一部を除去する段階で第1金属層210の選択的除去が容易であり得る。第1金属層210の選択的除去が容易であることによって、アンダーカット(undercut)を防止することができる効果を得ることができる。また、第1金属層210がチタン(Ti)である場合には、第2金属層220の銅(Cu)より反応性に優れるため、第1金属層210を酸化する段階で酸化される程度がさらに速くなり得る。一方、第1金属層210がニッケル(Ni)である場合には、第2金属層220の銅(Cu)よりも緻密な酸化領域を形成することができる。第1金属層210と第2金属層220との酸化の程度に差が生じると、第1金属層210の第1酸化領域211を選択的に除去する上でさらに有利であり得る。
【0033】
第1金属層210及び第2金属層220は、それぞれ第1酸化領域211及び第2酸化領域221を有することができる。第1酸化領域211及び第2酸化領域221は、金属酸化物粒子500を含むことができる。第1酸化領域211及び第2酸化領域221は、それぞれ第1金属層210の側面及び第2金属層220の側面に配置されることができる。第1酸化領域211及び第2酸化領域221は、それぞれ第1金属層210及び第2金属層220を酸化させて得ることができる。すなわち、金属酸化物粒子500は、第1金属層210及び第2金属層220の金属粒子400が酸化したものであってよく、金属粒子400との間に金属酸化物粒子500が分散されることで、第1酸化領域211及び第2酸化領域221を構成することができる。このとき、第1酸化領域211及び第2酸化領域221は、第1金属層210の側面及び第2金属層220の側面から酸化するため、第1金属層210の側面及び第2金属層220の側面で金属酸化物粒子500の分布が最も緻密であり、第1酸化領域211の境界及び第2酸化領域221の境界に向かうほど分布が希薄であり得る。但し、これに限定されるものではなく、酸化領域の局部では様々な分布を有することもできる。
【0034】
第1金属層210内で第1酸化領域211の境界は、滑らかな面で構成されなくてもよい。第1酸化領域211の境界は、第1金属層210の側面に対向する方向に配置される境界面を意味することができる。すなわち、第1酸化領域211の境界は、第1金属層210の中心部方向に配置される面を境界面として理解することができる。第1酸化領域211は、金属粒子400の間に金属酸化物粒子500が浸透した構造を有することができるため、第1酸化領域211の境界は凹凸面を有することができる。第1酸化領域211の境界面は、第1金属層210の断面を顕微鏡で観察して確認することができる。一方、これに制限されず、金属酸化物粒子500の分布を観察して、第1金属層210の側面における金属酸化物粒子500の濃度に対して所定の割合を有する濃度が観察される区間を第1酸化領域211の境界面として理解することもできる。第2酸化領域221の境界に対する解析は、第1酸化領域211の境界に対する解析と同じ基準を適用して解析されることができる。
【0035】
第2酸化領域221の厚さは、第1酸化領域211の厚さよりも厚いことができる。第1酸化領域211の厚さと第2酸化領域221の厚さは、プリント回路基板の積層方向への厚さを意味するものではなく、第1金属層210の側面から第1酸化領域211の境界との間の距離と第2金属層220の側面から第2酸化領域221の境界との間の距離を意味することができる。すなわち、第1酸化領域211の厚さ及び第2酸化領域221の厚さは、それぞれプリント回路基板の積層方向に垂直な方向への厚さを意味することができる。これは、第1金属層210上に第2金属層220が積層される方向に垂直な方向への第1酸化領域211の厚さ及び第2酸化領域221の厚さを意味する。第1酸化領域211及び第2酸化領域221は、それぞれ均一でない境界面を有することができるため、プリント回路基板の切断面における第1酸化領域211の厚さ及び第2酸化領域221の厚さは、所定の方法を選択して測定することができる。一例として、第1酸化領域211の境界の中からある範囲を選択して、その範囲での境界の中心線を計算して、当該中心線と第1金属層210の側面までの距離として計算することができる。また他の一例としては、第1酸化領域211の境界の中からある範囲を選択して、その範囲での境界の最も高い5地点での厚さと最も低い5地点での厚さの平均として計算することができる。いずれの方法でも測定基準範囲を変えて測定を繰り返すほど、厚さに対する正確度は向上することができる。但し、これは厚さ測定方法を提示する一つの例示に過ぎず、厚さを測定する方式は公知の方式であれば制限なく使用可能であり、粗さ(roughness)を測定する公知の方式を借用して厚さを測定することもできる。但し、第2酸化領域221の厚さは、第1酸化領域211の厚さ測定方法と同じ基準と方法で測定する必要がある。第2酸化領域221の厚さは、約数十ナノメートル(nm)~数百ナノメートル(nm)程度、例えば50nm~500nmであることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、金属酸化物粒子500が金属粒子400の間に浸透して形成されて成す第2酸化領域221の厚さは50nm~500nmであることができる。その中でも、第2酸化領域221の金属酸化物粒子500が緻密に形成されて、いわゆる酸化層をなす周辺の厚さは、約50nm~100nmであることができるが、これに制限されるものではない。第2酸化領域221の厚さは、第1酸化領域211の厚さよりも数十ナノメートル(nm)厚く形成されることができるが、数値に必ずしも限定されるものではなく、第2酸化領域221の厚さが第1酸化領域211の厚さよりも厚いことができる。但し、上述した厚さの範囲は、測定方法によって異なるように測定され得ることは上述したとおりである。
【0036】
第1酸化領域211の厚さは第1金属層の酸化した程度を表す基準として理解することができ、第2酸化領域221の厚さは第2金属層の酸化した程度を表す基準として理解することができる。したがって、第2酸化領域221の厚さが第1酸化領域211の厚さよりも厚いということは、同じ酸化条件で第2金属層が酸化した程度が第1金属層210が酸化した程度よりも大きいということを意味する。これは、プリント回路基板の製造過程中の金属層の酸化段階において、第2金属層220は側面が露出しており、直接酸化が進行されるのに対し、第1金属層210は除去される一部領域のみが露出しているため、直接酸化が進行せず、露出した面から浸透した酸化領域が残存するためである。これについては、一例によるプリント回路基板の製造方法で詳細に後述する。
【0037】
一例によるプリント回路基板は、第1絶縁層110上に配置される第2絶縁層120をさらに含むことができる。第2絶縁層120は、第1絶縁層110などの絶縁材料群の中から一つの材料を含むことができ、第1絶縁層110などの絶縁材料を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
第2絶縁層120は、第1絶縁層110上に配置され、第1金属層210及び第2金属層220を埋め込むことができる。第1金属層210及び第2金属層220が第2絶縁層120に埋め込まれた構造は、第1金属層210及び第2金属層220の側面と、第2金属層220の上面は第2絶縁層120によって覆われ、第1金属層210の下面は第2絶縁層120によって覆われず、第2絶縁層120の下面に露出することを意味することができる。
【0039】
図3では、第2絶縁層120が第1絶縁層110上に配置されるように示されているが、これに限定されるものではなく、図面における上下関係は、便宜上設定された方向に過ぎない。図3の上下が反転したプリント回路基板を考慮すると、キャリア基板を用いて製造されるいわゆるコアレス(coreless)構造でも一例によるプリント回路基板の構造が適用されることができる。
【0040】
一方、一例によるプリント回路基板は、第1絶縁層110の下面、第2絶縁層120の上面に配置される絶縁層及び金属層をさらに含むことができ、金属層の層間連結を行うビアをさらに含むことができる。また、これに限定されるものではなく、これ以外にも、他の絶縁層、他の回路パターン、貫通ビア及びキャビティなどプリント回路基板の一般的な構成をさらに含むことができ、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば利用することができる構成をさらに含むことができる。
【0041】
図4は、他の一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
【0042】
図4を参照すると、第1金属層210の第1酸化領域211は、第2金属層220の側面よりも突出している。プリント回路基板の製造段階で第1金属層210を酸化した後、第1酸化領域を除去する段階で第1金属層210の第1酸化領域211が突出した構造を有することができる。第1酸化領域211が突出した構造を有するということは、第1酸化領域211が第2金属層220の側面よりも突出した構造を有することができるということであり、第1酸化領域211の除去が完全ではないこともあるということである。第1酸化領域211は電気導電性が低いかまたは導電性がないため、プリント回路基板の製造段階中に第1酸化領域211を除去する段階で第1酸化領域211の一部が残存しても電気的短絡(short)の問題は発生しない可能性がある。したがって、第1酸化領域211が第2金属層220の第2酸化領域221の側面に沿って完全に除去されなくても、第1金属層210及び第2金属層220は信号伝達機能などを円滑に行うことができる。
【0043】
一方、第1金属層210の第1酸化領域211が第2金属層220の側面より突出すること以外の構成のうち、一例によるプリント回路基板と同じ構成は、他の一例によるプリント回路基板にも適用されることができるため、これに関する重複する説明は省略する。
【0044】
図5は、また他の一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
【0045】
図5を参照すると、また他の一例によるプリント回路基板は、第1金属層210の側面の一部が第1酸化領域211を含み、第2金属層220は第2酸化領域221を含まなくてもよい。また他の一例によるプリント回路基板の製造段階の第1金属層210の一部を酸化する段階で第2金属層220が酸化されないように調節して第1金属層210のみを酸化させることができる。第2金属層220の上面及び側面に保護のための手段、例えば保護膜、マスクなどを用いることもでき、酸化段階で非等方性の酸化工程を用いることもできる。このように、第2金属層220の酸化を防止して第1金属層210の一部のみを酸化させる場合には、第2酸化領域221が形成されないことができ、第1金属層210の側面のみを酸化して第1酸化領域211が形成されることができる。
【0046】
第1金属層210の第1酸化領域211及び第2金属層220の以外の構成のうち、一例によるプリント回路基板または他の一例によるプリント回路基板と同じ構成は、また他の一例によるプリント回路基板にも適用されることができるため、これに関する重複する説明は省略する。
【0047】
図6は、また他の一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
【0048】
図6を参照すると、また他の一例によるプリント回路基板は、第2絶縁層120上に配置される第3絶縁層130、第2絶縁層120の少なくとも一部を貫通する貫通孔h、貫通孔hの内壁に沿って配置され、第2絶縁層120の上面の少なくとも一部に延び、側面に第3酸化領域311を含む第3金属層310、貫通孔hを満たすように第3金属層310上に配置され、側面に第4酸化領域321を含む第4金属層320をさらに含むことができる。
【0049】
貫通孔hは、第2絶縁層120に配置され、第2絶縁層120の少なくとも一部を貫通することができる。貫通孔hは、第2絶縁層120上に配置される回路層と第1絶縁層110上に配置される回路層を層間連結するビアのための構成に該当することができる。
【0050】
貫通孔hには、第3金属層310及び第4金属層320が配置され、層間連結のためのビアとして機能することができる。第3金属層310は、第4金属層320がめっきされるためのシード層として機能することができ、第4金属層320と共に信号伝達の経路を提供することができる。第3金属層310は無電解めっきによって形成されることができ、第4金属層320は電解めっきを介して形成されることができる。
【0051】
第3金属層310は、第1金属層210と同じ金属材料を含むことができ、第4金属層320は第2金属層220と同じ金属材料を含むことができる。すなわち、第3金属層310及び第4金属層320は金属粒子400を含むことができ、金属粒子400は銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び/またはこれらの合金などを含むことができる。また、第3金属層310と第4金属層320は、同じ金属材料を含むことができるが、これに限定されるものではなく、第3金属層310と第4金属層320が異なる金属材料を含むこともできる。第3金属層310及び第4金属層320は、それぞれの側面に第3酸化領域311及び第4酸化領域321を含むことができる。第3酸化領域311及び第4酸化領域321は、金属酸化物粒子を含むことができる。
【0052】
第3絶縁層130は、第1絶縁層110などの絶縁材料群の中から一つの材料を含むことができ、第1絶縁層110及び/または第2絶縁層120などの絶縁材料を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
第3金属層310及び第4金属層320は、それぞれ第1金属層210及び第2金属層220に対応することができ、第3酸化領域311及び第4酸化領域321は、それぞれ第1酸化領域211及び第2酸化領域221に対応することができる。すなわち、一例によるプリント回路基板の構成は、いずれか一つの層のみに限定されるものではなく、また他の一例によるプリント回路基板と同様に層間連結のための構成においても適用されることができる。
【0054】
一方、第3金属層310、第3酸化領域311、第4金属層320、第4酸化領域321及び第3絶縁層130以外の構成のうち、一例によるプリント回路基板、他の一例によるプリント回路基板あるいは、また他の一例によるプリント回路基板と同様の構成は、また他の一例によるプリント回路基板にも適用されることができるため、これに関する重複する説明は省略する。
【0055】
図7は、また他の一例によるプリント回路基板を概略的に示した断面図である。
【0056】
図7を参照すると、また他の一例によるプリント回路基板は、第2絶縁層120上に配置されるソルダーレジスト層150をさらに含むことができる。
【0057】
ソルダーレジスト層150は、外部からプリント回路基板を保護する。ソルダーレジスト層150は、熱硬化性樹脂と熱硬化性樹脂に分散した無機フィラーを含むが、ガラス繊維は含まないことができる。絶縁樹脂は、感光性絶縁樹脂であることができ、フィラーは無機フィラー及び/または有機フィラーであることができるが、これに限定されるものではない。但し、ソルダーレジスト層150の材料がこれに限定されるものではなく、必要に応じて、それ以外に他の高分子素材が用いられてもよく、公知のソルダーレジスト層150で構成されることができる。
【0058】
ソルダーレジスト層150は開口を含むことができ、開口を介して第3金属層310及び第4金属層320が外部に露出することができる。図7では、ソルダーレジスト層150の開口によって第2絶縁層120の上面が共に露出するように示されているが、これに限定されるものではなく、ソルダーレジスト層150の開口によって第4金属層320の上面のみが露出し、第2絶縁層120の上面と第3金属層310及び第4金属層320の側面は、ソルダーレジスト層150によって覆われることもできる。
【0059】
また他のプリント回路基板の第2絶縁層120上にソルダーレジスト層150が配置されることができるということは、また他の一例によるプリント回路基板の第3金属層310及び第4金属層320が電子部品などを実装するためのパッドとして機能することを意味する。すなわち、第3金属層310及び第4金属層320は最上層に配置され、第4金属層320の少なくとも一部がプリント回路基板の外部に露出して電子部品などの他の構成と連結されることができることを意味する。
【0060】
一方、図7には示されていないが、第4金属層320上には表面処理層がさらに含まれることができる。表面処理層は、電子部品の連結のための連結手段との結合力を向上させるか、信号伝達時の信頼性を向上させるように機能することができる。表面処理層は、公知の手段であれば制限なく用いることができる。
【0061】
一方、ソルダーレジスト層150以外の構成のうち、一例によるプリント回路基板、他の一例によるプリント回路基板、または他の一例によるプリント回路基板と同様の構成は、また他の一例によるプリント回路基板にも適用されることができるため、これに関する重複する説明は省略する。
【0062】
プリント回路基板の製造方法
図8及び図9は、一例によるプリント回路基板の製造方法を概略的に示した断面図である。
【0063】
図8を参照すると、一例によるプリント回路基板は、第1絶縁層110上に第1金属層210を形成する。第1金属層210は公知の無電解めっき工法により形成されることができるが、これに制限されるものではなく、第1絶縁層110上に第1金属層210が形成された材料を準備することも可能である。第1金属層210は、後述する段階である第2金属層220の形成段階で第2金属層220のめっきのためのシードとして機能することができる。
【0064】
続いて、第1金属層210上にドライフィルムレジスト(DFR)を配置する。ドライフィルムレジスト(DFR)は、公知のドライフィルム材料を用いることができるが、必ずしもドライフィルムレジスト(DFR)に限定されるものではなく、めっきレジストとして機能することができるものであれば制限なく用いることができる。第1金属層210上にドライフィルムレジスト(DFR)を配置した後、露光及び現像によってドライフィルムレジスト(DFR)をパターニングすることができる。この後、後述する段階である第2金属層220の形成段階において、ドライフィルムレジスト(DFR)はめっきレジストとして機能することができ、ドライフィルムレジスト(DFR)が形成されていない第1金属層210領域上に第2金属層220が形成されることができる。
【0065】
第1金属層210上に第2金属層220を形成する。第2金属層220は、第1金属層210をシード層として電解めっき工程を介して形成されることができる。上述したように、第1金属層210の中でドライフィルムレジスト(DFR)が形成されていない領域に第2金属層220が形成されることができる。
【0066】
この後、ドライフィルムレジスト(DFR)を除去する。ドライフィルムレジスト(DFR)の除去は、剥離(delamination)などの公知の方法を利用することができる。
【0067】
図9を参照すると、第2金属層220上にマスクMを配置する。マスクMは、第1金属層210を酸化する段階で第2金属層220の酸化を保護するための手段に該当する。マスクMは、第2金属層220上に一時的に配置するものとして、有機膜などが配置されることができ、必ずしも第2金属層220上に付着する必要はなく、第2金属層220が形成された以外の領域に対応するように開口を含むマスクMを配置することもできる。
【0068】
続いて、第1金属層210を酸化する段階を行う。第1金属層210はシード層として機能するため、第2金属層220がパターニングされた領域以外の第1金属層210は除去される必要がある。このとき、除去される第1金属層210の領域を予め酸化することで、第1金属層210を除去するためのエッチング時に第1金属層210が脱落するアンダーカットを防止することができる。
【0069】
第1金属層210を酸化させる段階は、熱、電気化学、化学気相、またはプラズマを用いる工法を行うことができるが、これに限定されるものではなく、金属を酸化させる工程であれば制限なく用いることができる。第2金属層220が形成されていない第1金属層210の露出した一部が酸化条件に露出し、第2金属層220の側面も酸化条件に露出することができる。第1金属層210及び第2金属層220上に金属酸化膜を付着するのではなく、第1金属層210を直接酸化させる段階を行うため、第1金属層210の露出した部分が先に酸化され、金属粒子間に金属酸化物粒子が配置される構造を有することができ、金属酸化物粒子の濃度は、第1酸化領域の中でも酸化条件に露出した部分でさらに高くなり得る。第1金属層210の酸化段階における金属酸化物粒子は、第2金属層220の下部に位置した第1金属層210の一部領域まで浸透することができる。第1金属層210の厚さが第2金属層220の厚さよりも薄いため、同じ酸化条件で第1金属層210の酸化がさらに速く進行する可能性があり、第1金属層210の露出した面ではなく、第2金属層220の下部まで浸透することができる。
【0070】
マスクMに配置された第2金属層220の上面は酸化されないことができる。すなわち、マスクMによって覆われていない第1金属層210の一部と第2金属層220の側面が酸化され、第1酸化領域211及び第2酸化領域221が形成されることができる。すなわち、第1金属層210を酸化する段階で第2金属層220の一部が共に酸化され得る。
【0071】
第1金属層210の第1酸化領域211は第2金属層220の下部に浸透するのに対し、第2金属層220の側面は酸化条件に直接露出するため、一例によるプリント回路基板は、第2酸化領域221の厚さが第1酸化領域211の厚さよりも厚くなり得る。第2酸化領域221の厚さは、第1酸化領域211の厚さより数十ナノメートル大きく形成されることができるが、これに必ずしも制限されるものではない。一方、酸化条件を異なるように調節して、第2金属層220の酸化が最小限に進行されるようにする場合には、第2酸化領域221の厚さが第1酸化領域211の厚さよりも小さく形成され得、同じレベルで形成されることもできる。
【0072】
この後、第1金属層210の中から第1酸化領域211の少なくとも一部を除去することができる。第1酸化領域211の一部を除去する段階は、エッチング(etching)などの工程を行って進行することができ、ドライエッチング(dry etching)工程を行うことができる。金属層と酸化領域のエッチング率が異なるため、ドライエッチング工程によっても第1酸化領域211に該当する部分を除去することができる。但し、これに限定されるものではなく、金属層を除去する工程または酸化層を除去する工程などを用いることができ、公知のシード層を除去する段階であれば制限なく用いることができる。特に、ウェットエッチング(wet etching)工程を行う場合であっても、酸化領域が除去される程度は金属層が除去される程度とは異なるため、ウェットエッチング工程は、選択的除去においてより容易であり得る。
【0073】
すなわち、本開示における第1酸化領域211の少なくとも一部を除去する段階は、シード層の選択的エッチングによって酸化した領域のみを除去することである。公知のシード層除去は、金属層の中から不要な部分のみを除去するため、不要な部分を精巧に除去し難いのに対し、シード層の中から除去される領域をターゲットとして酸化した後、酸化領域を除去する過程を行うため、公知のシード層で発生することがあるアンダーカット現象を防止することができる。すなわち、第1金属層210の第1酸化領域211の一部のみを除去することができるため、第1金属層210の他の領域はエッチングされず、アンダーカット現象が防止できる。
【0074】
このとき、前段階で配置されたマスクMをエッチング段階でも用いることができるが、これに制限されずに、新たなマスクを用いることもできる。マスクMによって第2金属層220の上面は保護されることができ、マスクMの大きさに応じて第2金属層220の幅及び第1金属層210の幅が決定されることができる。第1酸化領域211の少なくとも一部を除去する段階においても、マスクMによって覆われる第2金属層220はエッチングされないため、第2金属層220に形成された第2酸化領域221は残存することができ、第2金属層220の下部に浸透した第1酸化領域211も除去されずに残存することができる。第1金属層210の中から第1酸化領域211の少なくとも一部を除去する段階でエッチングの程度によって第1酸化領域211の一部が完全に除去されない場合には、図4に示されたように、第1酸化領域211の一部が第2金属層220の側面よりも突出した形状を有することもできる。
【0075】
この後、マスクMを除去する段階を行って、第1金属層210及び第2金属層220を完成することができる。マスクMの種類に応じてマスクMの除去方法を適宜選択することができる。
【0076】
この後、第1絶縁層110上に第2絶縁層120をさらに形成することができ、他の層にも金属層及び酸化領域を配置することができる。第1金属層210及び第2金属層220の形状が多様であることもできる。図8及び図9に示したものに限定されるものではなく、図6または図7に示したまた他の一例によるプリント回路基板と同様に絶縁層を貫通する貫通孔を形成した後、同様の方法で金属層及び酸化領域を配置するか、絶縁層上にソルダーレジスト層をさらに形成することもできる。
【0077】
これ以外にも、プリント回路基板の一般的な構成をさらに含むことができるということは、一例によるプリント回路基板の説明で詳述したとおりであり、本開示の技術的意義を変更しない場合には自由に追加または省略することができる。
【0078】
図10及び図11は、他の一例によるプリント回路基板の製造方法を概略的に示した断面図である。
【0079】
図10を参照すると、第1金属層210を配置して第2金属層220をパターニングする段階は、上述の一例によるプリント回路基板の製造方法と同様の段階で行うことができる。
【0080】
図11を参照すると、第1金属層210を酸化する段階で第2金属層220を酸化しないこともできる。第1金属層210を酸化する段階で一定の方向性を有するように酸化工程を選択するか、第1金属層210と第2金属層220との金属材料を異なるように選択し、第2金属層220が酸化しないように酸化条件を調節する方法を行うことができる。一方、これに限定されずに酸化段階の前に第2金属層220の露出した面を全て覆うマスクを用いて配置することなど、第2金属層220が酸化せず、第1金属層210のみを選択的に酸化する方法を利用することができる。
【0081】
それ以外の段階の中から一例によるプリント回路基板の製造方法または他の一例によるプリント回路基板の製造方法と同様の構成は、また他の一例によるプリント回路基板にも適用できるため、これに関する重複する説明は省略する。
【0082】
本開示における断面上という意味は、対象物を垂直に切断したときの断面形状、または対象物を側面から見たときの断面形状を意味することができる。また、平面上という意味は、対象物を水平に切断したときの形状、または対象物を上面または下面から見たときの平面形状であることができる。
【0083】
本開示において上側、上部、上面などは、便宜上、図面の断面を基準として電子部品が実装できる面に向かう方向を意味するものとして用い、下側、下部、下面などはその反対方向に用いた。但し、これは説明の便宜上の方向を定義したものであって、特許請求の範囲の権利範囲はこのような方向に対する記載によって特に限定されない。
【0084】
本開示において、連結されるという意味は、直接連結された場合だけでなく、接着剤層などを介して間接的に連結された場合を含む概念である。また、電気的に連結されるという意味は、物理的に連結された場合と、連結されていない場合をともに含む概念である。さらに、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるものであって、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【0085】
本開示で用いられた一例という表現は、互いに同一の実施例を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一例は、他の一例の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一例に関連した説明であると理解することができる。
【0086】
本開示で用いられた用語は、単に一例を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0087】
110 第1絶縁層
120 第2絶縁層
130 第3絶縁層
150 ソルダーレジスト層
210 第1金属層
211 第1酸化領域
220 第2金属層
221 第2酸化領域
310 第3金属層
311 第3酸化領域
320 第4金属層
321 第4酸化領域
400 金属粒子
500 金属酸化物粒子
DFR ドライフィルムレジスト
M マスク
h 貫通孔
1000 電子機器
1010 メインボード
1020 チップ関連部品
1030 ネットワーク関連部品
1040 その他の部品
1050 カメラモジュール
1060 アンテナモジュール
1070 ディスプレイ
1080 バッテリー
1090 信号ライン
1100 スマートフォン
1110 スマートフォン内部メインボード
1120 スマートフォン内部電子部品
1121 スマートフォン内部アンテナモジュール
1130 スマートフォン内部カメラモジュール
1140 スマートフォン内部スピーカー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11