(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091249
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】無線通信装置、及び無線通信装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20240627BHJP
H04M 1/725 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
H04M1/00 V
H04M1/725
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120116
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2022205956
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生方 正夫
(72)【発明者】
【氏名】須永 領平
【テーマコード(参考)】
5K127
【Fターム(参考)】
5K127AA36
5K127BA03
5K127DA11
5K127HA11
5K127HA24
5K127JA14
5K127JA25
5K127JA34
5K127MA05
(57)【要約】
【課題】利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置、及び無線通信装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】本開示に係る無線通信装置は、ユーザの発話音声を取得するマイクロフォンが取得した音声を取得する音声取得部と、音声取得部が取得した音声を、予め設定した他の装置に送信する通信制御部と、ユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出する検出部と、検出部が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合、通信制御部による、音声取得部が取得した音声の送信を制限する制限処理部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの発話音声を取得するマイクロフォンが取得した音声を取得する音声取得部と、
前記音声取得部が取得した音声を、予め設定した他の装置に送信する通信制御部と、
前記ユーザの環境が、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出する検出部と、
前記検出部が、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合、前記通信制御部による、前記音声取得部が取得した音声の送信を制限する制限処理部と、
を備える無線通信装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記ユーザが上り坂を上っていることを、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であるとして検出する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記ユーザが所定速度以上で移動していることを、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であるとして検出する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記通信制御部は、前記音声取得部が取得した音声を前記他の装置に送信することに加え、前記他の装置から送信された音声を受信することで、前記他の装置との間で音声通話を行い、
前記検出部は、前記通信制御部による音声通話が行われているときに、前記ユーザの環境が、前記ユーザに対して身体的負荷の大きい環境であることを検出する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制限処理部は、前記他の装置への音声の送信を制限しているときに、前記音声取得部が前記ユーザの発話を検出した場合、前記他の装置への音声の送信の制限を解除する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
ユーザの発話音声を取得するマイクロフォンが取得した音声を取得する音声取得ステップと、
前記ユーザの環境が、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出する検出ステップと、
前記音声取得ステップで取得した音声を、予め設定した他の装置に送信するとともに、前記検出ステップで、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合、前記他の装置への音声の送信を制限する送信制御ステップと、を含む、
無線通信装置の制御方法。
【請求項7】
予め設定した他の装置から、前記他の装置のマイクロフォンが取得した音声、および前記他の装置のユーザの環境が、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信する通信制御部と、
前記通信制御部が受信した音声を出力する音声出力部と、
を備え、
前記音声出力部は、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信した場合、前記音声の出力を制限する、
無線通信装置。
【請求項8】
予め設定した他の装置から、前記他の装置のマイクロフォンが取得した音声を受信する音声受信ステップと、
前記他の装置から、前記他の装置のユーザの環境が、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信する情報受信ステップと、
前記音声受信ステップで受信した音声を出力するとともに、前記情報受信ステップで前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信した場合、前記音声の出力を制限する出力制限ステップと、を含む、
無線通信装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、及び無線通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数人による自転車の走行時、相互のコミュニケーションを行うために、無線通信による音声通話を行う場合がある。例えば、下記の特許文献1には、二輪車のヘルメットを用いて、二輪車の乗員間における無線通信を行う技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の無線通信システムは、複数のヘルメットと、これらのヘルメット本体に設けられた複数の無線通信装置を含み、中継手段によるブロードキャストによって通信要求信号を発信し、近距離通信範囲内のマルチホップ通信機能を介して通信要求信号を順次伝達して、ブロードキャスト相手先に伝送するマルチホップ通信によって遠距離通信の効果を達成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような無線を用いた通信装置は、常時、音声の送受信が行われていることが多い。このため、適切なコミュニケーションが可能ではあるが、例えば、自転車で坂道を上るときなど、乗員の身体的負荷が大きい場合、通信相手に対し、呼吸音が大きく聞こえてしまうことがあった。例えば、PTT(Push To Talk)スイッチのように、手動操作によって発話と受話を切り替えることが考えられるが、身体的負荷の高い場合は、緊急時に備えるなど、利用者の操作に頼ることは適切ではない。
【0006】
本開示は上記課題を鑑み、利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置、及び無線通信装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る無線通信装置は、ユーザの発話音声を取得するマイクロフォンが取得した音声を取得する音声取得部と、前記音声取得部が取得した音声を、予め設定した他の装置に送信する通信制御部と、前記ユーザの環境が、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出する検出部と、前記検出部が、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合、前記通信制御部による、前記音声取得部が取得した音声の送信を制限する制限処理部と、を備える。
【0008】
また、本開示に係る他の形態の無線通信装置は、予め設定した他の装置から、前記他の装置のマイクロフォンが取得した音声、および前記他の装置のユーザの環境が、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信する通信制御部と、前記通信制御部が受信した音声を出力する音声出力部と、を備え、前記音声出力部は、前記ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信した場合、前記音声の出力を制限する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置、及び無線通信装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示に係る無線通信装置の利用場面の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示に係る無線通信装置の第一実施形態の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示に係る無線通信装置の制限処理部の処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示に係る無線通信装置の制御方法のフローを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本開示に係る無線通信装置の第二実施形態の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示に係る無線通信装置の制御方法のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(無線通信装置の概要)
まず、本開示に係る無線通信装置100の利用場面の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、本開示に係る無線通信装置の利用場面の一例を示す模式図である。
図1に示すように、本開示に係る無線通信装置100は、例えば、ユーザが自転車に乗って、他のユーザとのコミュニケーションを取るために用いられる。
図1は、簡易的に二名のユーザが利用している例を記載しているが、三名以上のユーザが同時に利用する構成であってもよい。そのような場合、複数のユーザが各々利用している無線通信装置100によって、全てのユーザ間で同時に音声通話が行われている利用場面が該当する。
【0013】
また、本開示に係る無線通信装置100の利用場面は、
図1に示す利用場面に限定されることなく、例えば、ユーザが他のユーザとランニングしているときに、他のユーザとコミュニケーションを取るために用いられてもよいし、ユーザが他のユーザと登山やトレッキングなどをしているときに、他のユーザとコミュニケーションを取るために用いられてもよい。
【0014】
(無線通信システムの構成)
次に、本開示に係る無線通信システム1について、
図2を用いて説明する。
図2は、本開示に係る無線通信システムの構成例を示す図である。
図2に示すように、本開示に係る無線通信システム1は、無線通信装置100と、サーバ装置200と、ネットワークNを含む。以下、これらの構成について、簡単に順を追って説明する。なお、
図2においては、無線通信装置100は、ネットワークNとして公共の無線通信ネットワークを利用する例を説明するが、サーバ装置200等を介さずに、無線通信装置100の間で通信が行われる構成であってもよい。公共の無線通信ネットワークとは、例えば、移動通信サービス提供会社によって提供される移動通信サービスなどを用いた無線通信で構成されるネットワークなどである。無線通信装置100間の通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)、デジタル簡易無線通信などによる通信である。
【0015】
無線通信装置100は、他の無線通信装置100との間において無線により音声の送受信を行う。無線通信装置100は、公共の無線通信ネットワークを利用する無線通信装置である場合は、例えば、スマートフォンとヘッドセットやマイクロフォン付きイヤフォンなどにより構成される。無線通信装置100は、無線通信装置100間の通信を利用する無線通信装置である場合は、例えば、デジタル簡易無線通信装置とヘッドセットなどにより構成される。
【0016】
サーバ装置200は、外部の装置の要求に基づいて各種の情報提供を行う情報処理装置である。サーバ装置200は、例えば、無線通信ネットワークを管理するために運用されているサーバ装置であり、分散型のサーバ装置であってもよい。
【0017】
ネットワークNは、無線通信装置100(100A)と、他の無線通信装置100(100B)と、サーバ装置200を接続する無線通信ネットワークである。
【0018】
(無線通信装置の構成)
(第一実施形態)
図3は、本開示に係る無線通信装置の第一実施形態の構成例を示す図である。
図3に示すように、本開示に係る無線通信装置100は、記憶部110と、マイクロフォン120と、スピーカ130と、制御部140と、無線通信モジュール150と、センサ160と、を備える。
【0019】
記憶部110は、各種の情報を記憶する記憶装置である。記憶部110には、例えば、地図情報が記憶されていてよい。記憶部110は、主記憶装置と補助記憶装置により実現されてよい。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等のような半導体メモリ素子によって実現されてよい。また、補助記憶装置は、例えばメモリカードやSSD(Solid State Drive)等によって実現されてよい。
【0020】
マイクロフォン120は、各種の音声を収音する。マイクロフォン120は、例えば、無線通信装置100を使用するユーザの音声を収音する。また、マイクロフォン120は、例えば、無線通信装置100の周辺の環境音を収音する。マイクロフォン120は、無線通信装置100が、ユーザが装着するヘルメットなどに装着されている場合は、ユーザがヘルメットを装着した場合に、ユーザの口元に近い位置に配置される。マイクロフォン120は、無線通信装置100がイヤフォン等を接続することで構成される場合は、イヤフォンに配置される。
【0021】
スピーカ130は、各種の音声を出力する。スピーカ130は、例えば、他の無線通信装置100のユーザの音声を出力する。スピーカ130は、無線通信装置100が、ユーザが装着するヘルメットなどに装着されている場合は、ユーザがヘルメットを装着した場合に、ユーザの耳を塞がないような位置に配置される。スピーカ130は、無線通信装置100がイヤフォン等を接続することで構成される場合は、イヤフォン等で構成される。
【0022】
制御部140は、無線通信装置100を司り、制御するコントローラ(controller)である。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部110に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部140は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0023】
図3に示すように、制御部140は、プログラムの実行や回路構成などによって実現される機能として、音声取得部141と、音声出力部142と、制限処理部143と、通信制御部144と、検出部145を備える。なお、制御部140は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、複数のCPUで、これらの処理を並列に実行してもよい。以下、これらの構成について順に説明する。
【0024】
音声取得部141は、ユーザの発話音声を収音するマイクロフォン120が収音した音声を取得する。すなわち、音声取得部141は、ユーザの発話音声を検出するといえる。
【0025】
音声出力部142は、他の無線通信装置100から受信した音声をスピーカ130に出力させる。なお、音声出力部142は、制限処理部143からミュートの制御指令が発信された場合は、他の無線通信装置100から受信した音声をスピーカ130に出力させない。
【0026】
制限処理部143は、検出部145が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合、送信制御部1441による、音声取得部141が取得した音声の送信を制限する。
【0027】
ここで、制限処理部143の処理について
図4を用いて説明する。
図4は、本開示に係る無線通信装置の制限処理部の処理の一例を示す図である。
図4に示すように、制限処理部143は、検出部145が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合に、送信制御部1441による音声取得部141が取得した音声の送信を制御する。具体的には、
図4の上段のグラフ(a)に示すように、検出部145が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出する度に、送信制御部1441による音声取得部141が取得した音声の送信をOFFにする、つまり音声の送信を行わない制御を行うことで音声の送信を制限する。
【0028】
また、
図4の下段のグラフ(b)に示すように、検出部145が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であるであることを検出した場合に、制限処理部143は、送信制御部1441による音声の送信を継続している状態で、送信制御部1441に入力される音声信号をミュートする。言い換えると、送信制御部1441は、無音信号を送信する状態となる。この場合のミュートとは、送信する音声の音量をゼロにすることに加えて、送信する音声の音量を小さくすることも含まれる。
【0029】
通信制御部144は、無線通信装置100による無線通信を制御する。
図3に示すように、通信制御部144は、送信制御部1441と、受信制御部1442と、を備える。
【0030】
送信制御部1441は、音声取得部141が取得した音声を、予め設定した他の無線通信装置100に送信する。すなわち、送信制御部1441は、予め設定された他の無線通信装置100に対し、サーバ装置200を介し、または直接、音声取得部141が取得した音声を送信する。記憶部110に複数の他の無線通信装置100の識別番号を記憶しておいて、複数の他の無線通信装置100に一斉に音声取得部141が取得した音声を送信してもよい。予め設定した他の無線通信装置100とは、音声通話を行う設定が行われ、音声通話が可能である他の無線通信装置100である。
【0031】
なお、送信制御部1441は、制限処理部143の制御指令にしたがって、他の無線通信装置100への音声の送信を制限する。すなわち、検出部145が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合、送信制御部1441は制限処理部143の制御指令にしたがって、音声取得部141が取得した音声の送信を制限する。
【0032】
受信制御部1442は、他の無線通信装置100から送信された音声の受信を制御する。例えば、受信制御部1442は、予め設定された他の無線通信装置100から送信された音声を受信するように制御してよい。
【0033】
通信制御部144は、送信制御部1441および受信制御部1442により、他の無線通信装置100との間で音声通話を行う。他の無線通信装置100は、単数であっても複数であってもよい。本実施形態における音声通話とは、複数の無線通信装置100との間で、音声の送受信を常時行うことで、発話音声を、予め設定されている全ての他の無線通信装置100で送受信することである。
【0034】
検出部145は、ユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出する。検出部145は、例えば、センサ160のジャイロセンサや、加速度センサなどの情報から、無線通信装置100を利用しながら歩行または走行している人物、または人物が乗車している自転車が、坂道を上る方向に移動していることを検出する。つまり、検出部145は、ユーザが、歩行または自転車に乗車している状態で、上り坂を上っていることを、身体的負荷の大きい環境であることとして検出する。
【0035】
検出部145は、ユーザが上り坂を上っていることを、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であるとして検出する。例えば、検出部145は、無線通信装置100が自転車に装着されている場合、重力加速度の方向が、真下を向いた状態から自転車の後方に向く変化のあった場合を、上り坂を移動していることとして検出する。
【0036】
また、検出部145は、センサ160のジャイロセンサや、加速度センサなどの情報から、無線通信装置100をもっている人物が走っていることを検出する。つまり、検出部145は、ユーザが、走っていること(言い換えると、歩行速度以上で移動していること)を、身体的負荷の大きい環境であることとして検出する。
【0037】
また、検出部145は、ユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることの検出を、通信制御部144が、他の無線通信装置100との間で音声通話が行われているときに行うこととしてもよい。言い換えると、通信制御部144が、他の無線通信装置100との音声通話を開始することで、検出部145は、ユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることの検出を開始する。
【0038】
無線通信モジュール150は、サーバ装置200や、他の無線通信装置100との間において相互に無線通信を実行する。無線通信モジュール150は、例えば、Wi-Fi(登録商標)や、5G等の無線通信を行うための無線通信モジュール、Bluetoothによる中距離無線通信や、デジタル簡易無線通信を行うための無線通信モジュールである。
【0039】
センサ160は、ユーザの身体的な環境に関する情報を計測する。センサ160は、ジャイロセンサや、加速度センサであってよい。ジャイロセンサは、可動電極に一方向に振動する一次振動を発生させておき、可動電極に回転が加わると振動方向と90°の方向にコリオリの力が働くことにより二次振動が発生し、静電容量の変化が生じるため、これを検出する静電容量型MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ジャイロセンサであってよい。なお、静電容量の変化と可動電極の振動位相とにより角速度を求めることができる。加速度センサは、例えば、MEMSにより可動電極と固定電極を作り、可動電極が動くことによる静電容量の変化と加速度の関係を用いて加速度を計測する静電容量式の加速度センサであってよい。
【0040】
また、センサ160は、例えばスマートウォッチのような、ユーザが身につけるデバイスを用いてもよい。つまり、センサ160は、ユーザが身につけるデバイスの機能に置き換えられてもよく、無線通信装置100が備えるセンサ160に対して、ユーザが身につけるデバイスの機能を補完的に用いるようにしてもよい。このようなデバイスを用いることで、ユーザの活動量、心拍数、血中酸素濃度などを取得でき、ユーザの身体的な環境を、さらに適切に取得可能である。
【0041】
(無線通信装置の構成)
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係る無線通信装置100について、
図6を用いて説明する。
図6は、本開示に係る無線通信装置の第二実施形態の構成例を示す図である。第二実施形態に係る無線通信装置100は、第一実施形態に係る無線通信装置100に対して、検出部145が位置情報取得部146に、センサ160がGNSS受信部170に置き換えられ、制御部140に地図情報参照部147が付け加えられたこと以外は、第一実施形態に係る無線通信装置100と同じである。そのため、第一実施形態に係る無線通信装置100と異なる構成である位置情報取得部146と、GNSS受信部170と、地図情報参照部147について説明し、その他の構成についての説明を省略する。
【0042】
位置情報取得部146は、無線通信装置100の位置情報を取得する。位置情報取得部146は、検出部145としての機能を担い、無線通信装置100をもって歩行または走行している人物、または人物が乗車している自転車の位置情報の推移から移動速度を検出する。そして、位置情報取得部146は、検出部145として、ユーザが所定速度以上で移動していることを、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることとして検出する。
【0043】
つまり、位置情報取得部146は、ユーザが、歩行または自転車に乗車している状態で、所定速度以上で移動していることを、身体的負荷の大きい環境であることとして検出する。例えば、無線通信装置100を人物が保有して歩いている場合は、移動速度が時速10kmとなった場合は、身体的負荷の大きい環境であることとして検出する。なお、この数値は、ユーザの操作によって変更可能としてもよい。例えば、無線通信装置100を保有している人物が自転車に乗車している場合や、無線通信装置100が自転車に装着されている場合、移動速度が時速30km以上となった場合は、身体的負荷の大きい環境であることとして検出してよい。
【0044】
位置情報取得部146が検出部145として機能する他の例は、無線通信装置100をもって歩行または走行している人物、または人物が乗車している自転車の位置情報の推移に基づく移動方向と、後述して説明する地図情報参照部147が参照した現在位置と移動方向に対応する場所が上り坂であることを示す場合である。
【0045】
地図情報参照部147は、位置情報取得部146が取得した位置情報に対応する領域を含む範囲の地図情報を参照する。地図情報参照部147は、位置情報取得部146が取得した位置情報から、無線通信装置100の移動方向を求めて、当該の移動方向に対応する場所の地図情報を参照する。この場合、地図情報には、地図上の位置における高度情報や勾配情報、地形情報などが含まれている。地図情報参照部147は、記憶部110に地図情報を記憶させておき、記憶部110に記憶された地図情報を参照してもよいし、外部のサーバ装置200に地図情報の提供要求を送信して、外部のサーバ装置200の地図情報を参照してもよい。
【0046】
GNSS受信部170は、無線通信装置100の位置情報を計測する。GNSS受信部170は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を備え、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星など、様々な測位衛星から送信される電波を受信する。GNSS受信機は、複数のGPS衛星などから送信される電波を受信し、電波を受信した時刻と、GPS衛星などが電波を発信した時刻との差を用いて、GPS衛星などから無線通信装置100までの距離を算出することによって、無線通信装置100の現在位置(例えば、緯度、及び経度)を計測する。
【0047】
(無線通信装置の制御方法)
次に、本開示に係る無線通信装置100の制御方法について、
図5を用いて説明する。
図5は、本開示に係る無線通信装置の制御方法のフローを示すフローチャートである。
図5に示すフローに沿って、本開示に係る無線通信装置100の制御方法について説明する。
【0048】
まず、無線通信装置100は、音声通話、言い換えると音声の送受信を開始する(ステップS101)。ステップS101の処理は、ユーザが無線通信装置100を操作することで、他の無線通信装置100との通信が確立することや、他の無線通信装置100との通信を行うアプリケーションが起動されることで、音声通話を開始する。
【0049】
ステップS101の開始とともに、無線通信装置100は、身体的負荷の大きい環境であるか否かを検出する(ステップS102)。具体的には、検出部145が、無線通信装置100のユーザに対する身体的負荷の大きい環境であるか否かを検出する。無線通信装置100のユーザに対する身体的負荷の大きい環境とは、上述したように、坂道を上っている、所定速度以上で走行しているなどの検出に基づく。
【0050】
検出部145による、無線通信装置100のユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることの検出は、ユーザの利用形態や、ユーザ毎によって条件が異なる。ユーザの利用形態とは、ユーザが無線通信装置100を、自転車による走行時、登山やトレッキングでの利用、ランニングでの利用など、様々な利用形態が想定される。検出部145は、ユーザによる無線通信装置100の利用形態を、自動的な検出またはユーザ操作によって切り替えてもよい。また、ユーザ毎に、身体的負荷の大きい環境であると判断されるレベルを変更可能としてもよい。
【0051】
検出部145による、無線通信装置100のユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出する条件について、具体例を示す。無線通信装置100のユーザが、同様に無線通信装置100を利用している他のユーザと、自転車を利用したツーリングを行っている場合を想定する。このような場合、検出部145または検出部145として機能する位置情報取得部146が、ユーザが上り坂を上っていることを検出する条件として、例えば斜度5%以上(角度として約2.9度以上)の上り坂を上っていることを検出する。この場合、検出部145は、検出された勾配の上り坂を、例えば、3分以上連続して上っていることを条件としてもよい。また、検出部145は、検出された勾配の上り坂を、例えば50m以上連続して上っていることを条件としてもよい。さらには、検出部145は、検出された勾配の上り坂を例えば、時速20km以上の速度で連続して上っていることを条件としてもよい。言い換えると、無線通信装置100のユーザが、自転車での移動によって、身体的負荷が大きく、呼吸音が過度に大きくなるような条件を検出する。
【0052】
他の具体例として、無線通信装置100のユーザが、同様に無線通信装置100を利用している他のユーザとランニングしている場合を想定する。このような場合、検出部145または検出部145として機能する位置情報取得部146が、ユーザが上り坂を上っていることを検出する条件として、例えば斜度5%以上(角度として約2.9度以上)の上り坂を上っていることを検出する。この場合、検出部145は、検出された勾配の上り坂を、例えば、1分以上連続して上っていることを条件としてもよい。また、検出部145は、検出された勾配の上り坂を、例えば10m以上連続して上っていることを条件としてもよい。さらには、検出部145は、検出された勾配の上り坂を例えば、時速8km以上の速度で連続して上っていることを条件としてもよい。言い換えると、無線通信装置100のユーザが、ランニングなどによる移動によって、身体的負荷が大きく、呼吸音が過度に大きくなるような条件を検出する。
【0053】
他の具体例として、無線通信装置100のユーザが、同様に無線通信装置100を利用している他のユーザとトレッキングを行っている場合を想定する。このような場合、検出部145または検出部145として機能する位置情報取得部146が、ユーザが上り坂を上っていることを検出する条件として、例えば斜度10%以上(角度として約5.7度以上)の上り坂を上っていることを検出する。この場合、検出部145は、検出された勾配の上り坂を、例えば、5分以上連続して上っていることを条件としてもよい。また、検出部145は、検出された勾配の上り坂を、例えば100m以上連続して上っていることを条件としてもよい。さらには、検出部145は、検出された勾配の上り坂を例えば、平均時速4km以上の速度で連続して上っていることを条件としてもよい。言い換えると、無線通信装置100のユーザが、トレッキングなどの徒歩移動によって、身体的負荷が大きく、呼吸音が過度に大きくなるような条件を検出する。
【0054】
また、ユーザの身体的負荷が大きい環境であると判断される条件として、上り坂ではなくとも、自転車により時速40kmなどの所定速度以上で走行している場合、さらには、自転車により所定速度以上で走行している時間が、例えば5分間などの所定時間以上連続した場合、自転車により所定速度以上で走行している距離が、例えば1km以上などの所定距離以上連続した場合なども該当する。
【0055】
また、ユーザが徒歩で移動している場合に、上り坂ではなくとも、例えばユーザが時速10km以上などの所定速度以上で走った場合、さらには、ユーザが所定速度以上で走っている時間が、例えば3分間などの所定時間以上連続した場合、ユーザが所定速度以上で走っている距離が、例えば500m以上などの所定距離以上連続した場合なども該当する。
【0056】
ステップS102において、身体的負荷の大きい環境であると判断された場合(ステップS102:Yes)、無線通信装置100は、音声の送信を制限する(ステップS103)。具体的には、通信制御部144は、身体的負荷の大きい環境であることが検出されている期間、送信制御部1441による音声の送信を制限する。次に、無線通信装置100は、ユーザが発話したか否かを検出する(ステップS104)。具体的には、制限処理部143は、音声取得部141が取得した音声から、ユーザが発話したことを検出する。
【0057】
ステップS104で行われるユーザの発話検出は、ユーザの身体的負荷が大きいと判断されている期間内に行われる。音声取得部141は、ユーザの発話に加えて、ユーザの呼吸音や外部音声もマイクロフォン120から入力されるため、入力された音声からユーザの発話を検出する必要がある。例えば、マイクロフォン120から入力された音声から、所定音量以上の音声であり、例えば、1.0秒以上の期間検出されている音声などを対象とする。また、マイクロフォン120から入力された音声に対して、音素分析などを行うことで、呼吸音や外部の音声ではない、発話を抽出してもよい。
【0058】
ステップS104において、ユーザの発話が検出された場合(ステップS104:Yes)、ユーザが発話している期間における音声送信の制限を解除する(ステップS105)。ステップS104がYesと判断されてからステップS105の処理が行われる場合、ユーザが発話を行ってから、音声送信の制限が解除されるまで、例えば数ミリ秒などの遅延が発生する場合がある。このような遅延が発生した場合、ユーザの発話の冒頭部が、他の無線通信装置100に送信されない。このような場合、ユーザの発話を検出してから、音声取得部141が取得した音声を記憶部110や、制御部140の内部メモリにバッファリングして、例えば数ミリ秒などの遅延分経過後にバッファした音声を送信する。
【0059】
次に、無線通信装置100は、身体的負荷の大きい環境が終了したか否かを検出する(ステップS106)。なお、身体的負荷の大きい環境が終了したことに関する判断は、ステップS102の説明で例示した様々な条件を満たさなくなったことの判断である。身体的負荷の大きい環境が終了したと判断された場合(ステップS106:Yes)、無線通信装置100は音声送信制限を解除する(ステップS107)。次に、無線通信装置100は、音声通話、つまり、音声の送受信が終了したか否かを検出する(ステップS108)。音声通話の終了とは、ユーザが無線通信装置100を操作することで、他の無線通信装置100との通信を解除した場合や、他の無線通信装置100との通信を行うアプリケーションが終了したことで、音声通話が終了したと判断されることを意味する。音声の送受信が終了したと判断された場合(ステップS108:Yes)、無線通信装置100は処理を終了する。
【0060】
なお、ステップS102において、身体的負荷の大きい環境ではないと判断された場合(ステップS102:No)、無線通信装置100はステップS108まで移行して、ステップS108の処理を実行する。
【0061】
また、ステップS104において、ユーザの発話が検出されたと判断されない場合(ステップS104:No)、無線通信装置100は、ステップS106の処理を実行する。
【0062】
なお、ステップS106において、負荷の大きい環境が終了したと判断されない場合(ステップS106:No)、無線通信装置100はステップS104に戻って、以降の処理を実行する。また、ステップS108において、音声の送受信が終了したと判断されない場合(ステップS108:No)、無線通信装置100はステップS102に戻って、以降の処理を実行する。
【0063】
これにより、身体的負荷の大きい環境である場合に、音声の送信を制限することができることから、ユーザの呼吸音、特に、身体的負荷の大きい環境で生じるような比較的激しい呼吸音や音量の大きい呼吸音などを通信先の相手に伝えることを防ぐことができる。そのため、利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置100、及び無線通信装置100の制御方法を提供することができる。なお、例えば、標高が1500m以上など、標高が高いことによる身体的負荷の大きい状態や、例えば30分以上身体的負荷が大きい状態が継続している場合など、ユーザの身体に危険が生じる可能性がある状態においては、本開示の機能は動作しない、または停止することが適切である。また、競技などの利用によって、複数のユーザ間で音声通話を常時行う必要がある場合などは、ユーザ操作によって、本開示の機能を停止する機能があってもよい。
【0064】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態に係る無線通信装置100について説明する。第三実施形態に係る無線通信装置100の構成は、
図3または
図6に示す無線通信装置100の構成と同一であり、機能が異なる。以下、機能の差異について説明する。
【0065】
通信制御部144が備える送信制御部1441は、音声取得部141が取得した音声に加えて、検出部145が、ユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を、他の無線通信装置100に送信する。
【0066】
送信制御部1441は、検出部145が、ユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出している期間、言い換えると、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を、他の無線通信装置100に送信している期間に、音声取得部141によってユーザの発話音声が検出された場合、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報の送信を中断する。なお、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報の送信を中断する期間は、ユーザの発話音声が検出されている期間である。
【0067】
また、通信制御部144が備える受信制御部1442は、他の無線通信装置100から送信された音声の受信に加えて、他の無線通信装置100から送信された他の装置のユーザの環境が身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信する。
【0068】
音声出力部142は、他の無線通信装置100から、他の無線通信装置100のユーザの環境が身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信した場合、その情報を送信した他の無線通信装置100から送信された音声の出力を制限する。この場合における音声の出力の制限とは、音声出力部142がスピーカ130に出力する音声の音量を小さくする、または、音声が出力されないようにミュート等を行うことである。
【0069】
次に、本開示に係る無線通信装置100の制御方法について、
図7を用いて説明する。
図7は、本開示に係る無線通信装置の制御方法のフローを示すフローチャートである。
図7に示すフローに沿って、本開示に係る無線通信装置100の制御方法について説明する。
図7における、ステップS201~ステップS202、ステップS204、ステップS206~ステップS208の処理は、
図5に示すステップS101~ステップS102、ステップS104、ステップS106~ステップS108の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0070】
ステップS202において、身体的負荷の大きい環境であると判断された場合(ステップS202:Yes)、無線通信装置100は、身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を他の無線通信装置100に送信開始する(ステップS203)。なお、身体的負荷の大きい環境であることを示す情報は、例えば、送信する音声を構成するデータに、フラグとして付与してもよい。身体的負荷の大きい環境であることを示す情報は、送信する音声に対して、身体的負荷の大きい環境であることが検出されている期間、音声に付与されてもよく、身体的負荷の大きい環境であることが検出されたときの開始時を示す情報および身体的負荷の大きい環境ではなくなったときの終了時を示す情報であってもよい。次に、無線通信装置100は、ユーザが発話したか否かを検出する(ステップS204)。
【0071】
ステップS204において、ユーザの発話が検出された場合(ステップS204:Yes)、無線通信装置100は、ユーザが発話している期間、身体的負荷の大きい環境であることを示す情報の送信を中断する(ステップS205)。身体的負荷の大きい環境であることを示す情報の送信を中断とは、身体的負荷の大きい環境であることが検出されている期間、音声に付与されている場合は、ユーザが発話している期間は、身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を音声に付与しない。また、身体的負荷の大きい環境であることの開始時と終了時を示す情報を音声に付与する場合は、ユーザが発話している期間は、発話していることを示す情報を音声に付与することとしてもよい。
【0072】
ステップS206において、身体的負荷の大きい環境が終了したと判断された場合(ステップS206:Yes)、無線通信装置100は、身体的負荷の大きい環境であることを示す情報の送信を終了する。または、身体的負荷の大きい環境ではなくなったときの終了時を示す情報を送信する。
【0073】
また、無線通信装置100は、ステップS202からステップS207の処理と並行して、ステップS209からステップS210の処理を行う。
【0074】
無線通信装置100は、他の無線通信装置100から、他の無線通信装置100のユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信したか否かを判定する(ステップS209)。具体的には、他の無線通信装置100から取得している音声に、他の無線通信装置100のユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報が含まれているか否かを判定する。無線通信装置100が音声通話を行っている他の無線通信装置100が複数である場合は、身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を送信した他の無線通信装置100が特定される。
【0075】
ステップS209において、他の無線通信装置100のユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信したと判定された場合(ステップS209:Yes)、無線通信装置100は、他の無線通信装置100のユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信している期間、その無線通信装置100から取得している音声の出力を制限する。
【0076】
ステップS210で、音声の出力を制限する期間は、他の無線通信装置100における、ステップS203からステップS207の処理の間の期間である。無線通信装置100が音声通話を行っている他の無線通信装置100が複数である場合は、身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を送信した他の無線通信装置100から取得した音声の出力を制限する。
【0077】
ステップS209において、他の無線通信装置100のユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信したと判定されない場合(ステップS209:No)、無線通信装置100は、ステップS208の処理を実行する。
【0078】
これにより、他の無線通信装置100のユーザの環境が、そのユーザに対する身体的負荷の大きい環境である場合に、その無線通信装置100から取得した音声の出力を制限することができる。このため、他のユーザの呼吸音、特に、身体的負荷の大きい環境で生じるような比較的激しい呼吸音や音量の大きい呼吸音などが出力されることを抑制することができる。そのため、利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置100、及び無線通信装置100の制御方法を提供することができる。なお、例えば、標高が1500m以上など、標高が高いことによる身体的負荷の大きい状態や、例えば30分以上身体的負荷が大きい状態が継続している場合など、ユーザの身体に危険が生じる可能性がある状態においては、本開示の機能は動作しない、または停止することが適切である。また、競技などの利用によって、複数のユーザ間で音声通話を常時行う必要がある場合などは、ユーザ操作によって、本開示の機能を停止する機能があってもよい。
【0079】
なお、
図7に示す処理において、音声通話を行っている複数の無線通信装置100は、ステップS201により音声通話が開始され、ステップS208でNoと判定されるまでの間、ステップS202からステップS207の処理、およびステップS209からステップS210までの処理を並列的に実行する。
【0080】
図7に示すステップS202からステップS207の処理と、ステップS209からステップS210の処理とは、無線通信装置100において、処理の有効化と無効化を任意に切り替えることを可能としてもよい。また、ステップS202からステップS207の処理、およびステップS209からステップS210の機能を備える無線通信装置100と、ステップS209からステップS210の機能を搭載せずステップS202からステップS208の機能を備える無線通信装置100としてもよい。
【0081】
例えば、複数のユーザが無線通信装置100を用いて音声通話を行う場合、複数のユーザのうち、リーダまたは監督などの役割を担うユーザが使用する無線通信装置100は、ステップS209からステップS210の処理を無効化、または、ステップS209からステップS210の機能を備えない無線通信装置100としてもよい。
【0082】
(構成と効果)
本開示に係る無線通信装置100は、ユーザの発話音声を取得するマイクロフォン120が取得した音声を取得する音声取得部141と、音声取得部141が取得した音声を、予め設定した他の装置に送信する通信制御部144と、ユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出する検出部145と、検出部145が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合、通信制御部144による、音声取得部141が取得した音声の送信を制限する制限処理部143と、を備える。
【0083】
この構成によれば、身体的負荷の大きい環境である場合に、音声の送信を制限することができることから、呼吸音などを通信先の相手に伝えることを防ぐことができる。そのため、利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置100を提供することができる。
【0084】
本開示に係る無線通信装置100の検出部145は、ユーザが上り坂を上っていることを、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であるとして検出する。
【0085】
この構成によれば、ユーザが上り坂を上っていることを、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であるとして検出し、通信先の相手への音声の送信を制御することができる。そのため、利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置100を提供することができる。
【0086】
本開示に係る無線通信装置100の検出部145は、ユーザが所定速度以上で移動していることを、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であるとして検出する。
【0087】
この構成によれば、ユーザが所定速度以上で移動していることを、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であるとして検出することができる。そのため、利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置100を提供することができる。
【0088】
本開示に係る無線通信装置100の通信制御部144は、音声取得部141が取得した音声を他の装置に送信することに加え、他の装置から送信された音声を受信することで、他の装置との間で音声通話を行い、検出部145は、通信制御部144による音声通話が行われているときに、ユーザの環境が、ユーザに対して身体的負荷の大きい環境であることを検出する。
【0089】
この構成によれば、無線通信装置100は、他の装置との間において音声通話を行うことができ、音声通話が行われているときに、ユーザの環境が、ユーザに対して身体的負荷の大きい環境であることを検出することができる。そのため、利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置100を提供することができる。
【0090】
本開示に係る無線通信装置100の制限処理部143は、他の無線通信装置100への音声の送信を制限しているときに、音声取得部141がユーザの発話を検出した場合、他の装置への音声の送信の制限を解除する。
【0091】
この構成によれば、他の無線通信装置100への音声の送信を制限しているときに、ユーザの発話を検出した場合、他の無線通信装置100への音声の送信の制限を解除することができる。そのため、身体的負荷の大きい環境であると検出された場合であっても、利用者間の音声通話を適切に行うことができる。
【0092】
本開示に係る無線通信方法は、ユーザの発話音声を取得するマイクロフォン120が取得した音声を取得する音声取得ステップと、ユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出する検出ステップと、音声取得ステップで取得した音声を、予め設定した他の装置に送信するとともに、検出ステップで、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを検出した場合、他の装置への音声の送信を制限する送信制御ステップと、を含む。
【0093】
この構成によれば、身体的負荷の大きい環境である場合に、音声の送信を制限することができる。呼吸音などを通信先の相手に伝えることを防ぐことができる。そのため、利用者間の音声通話を適切に行うことができる無線通信装置100の制御方法を提供することができる。
【0094】
本開示に係る無線通信装置100は、予め設定した他の装置から、他の装置のマイクロフォン120が取得した音声、および他の装置のユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信する通信制御部144と、通信制御部144が受信した音声を出力する音声出力部142と、を備え、音声出力部142は、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信した場合、音声の出力を制限する。
【0095】
この構成によれば、他の装置から音声と、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信することができ、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信した場合、通信制御部144が受信した音声の出力を制限することができる。このため、他のユーザの呼吸音、特に、身体的負荷の大きい環境で生じるような比較的激しい呼吸音や音量の大きい呼吸音などが出力されることを抑制することができる。
【0096】
本開示に係る無線通信装置100の制御方法は、予め設定した他の装置から、他の装置のマイクロフォン120が取得した音声を受信する音声受信ステップと、他の装置から、他の装置のユーザの環境が、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信する情報受信ステップと、音声受信ステップで受信した音声を出力するとともに、情報受信ステップでユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信した場合、音声の出力を制限する出力制限ステップと、を含む。
【0097】
この構成によれば、他の装置から音声と、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信することができ、ユーザに対する身体的負荷の大きい環境であることを示す情報を受信した場合、通信制御部144が受信した音声の出力を制限することができる。このため、他のユーザの呼吸音、特に、身体的負荷の大きい環境で生じるような比較的激しい呼吸音や音量の大きい呼吸音などが出力されることを抑制することができる。
【0098】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0099】
1 無線通信システム
100 無線通信装置
110 記憶部
120 マイクロフォン
130 スピーカ
140 制御部
141 音声取得部
142 音声出力部
143 制限処理部
144 通信制御部
1441 送信制御部
1442 受信制御部
145 検出部
146 位置情報取得部
147 地図情報参照部
150 無線通信モジュール
160 センサ
170 GNSS受信部
200 サーバ装置
N ネットワーク