(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091351
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】施術の監査システム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240627BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240627BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B34/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136802
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2022207460
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522463439
【氏名又は名称】SBCメディカルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西川 礼華
(72)【発明者】
【氏名】相川 佳之
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】美容医療が適切に行われているかどうかを監査する。
【解決手段】本発明は、美容クリニックにおける施術を記録し、その施術が特定の手順に従って行われているかを監査する医療監査システムである。施術を撮影した画像から各手順に関するモデルを生成する機能、新規に取得した動画を分析する機能、当該動画内の施術が前述の手順通り施術が行われているかどうかを監査する機能を備えている。本発明により、施術の各手順が適切に行われているかを自動的に監査することが可能となる。これにより、施術の品質管理が効率的に行え、手術の適切性を確保するとともに、医療エラーのリスクを低減することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容クリニックにおける施術を記録して監査を行う医療監査システムであって、
施術を撮影した画像中における
パルス発振式ニードルを用いた肝斑治療方法における第1の照射が、肝斑部と肝斑部以外(頬・額・鼻・口周囲・眼瞼・首)のいずれの部位に適用するかによって針の深さとパワー設定の範囲を決定している第1状況であるか否かを示す情報及び前記画像をトレーニングデータとして機械学習により作成された第1学習モデルと、
第2の照射が、肝斑部には照射せず、肝斑部以外に照射している第2状況であるか否かを示す情報及び前記画像をトレーニングデータとして機械学習により作成された第2学習モデルと、
第1回目、第2回目共に照射時間が0.5秒以内である第3状況であるか否かを示す情報及び前記画像をトレーニングデータとして機械学習により作成された第3学習モデルと、
を記憶する学習モデル記憶部と、
前記施術のビデオ動画を取得する取得部と、
前記ビデオ動画を前記第1ないし第3学習モデルに与えて前記第1ないし第3状況であるか否かを判断することにより、前記施術が正しく実施されているかの監査を行う監査部と、
を備える医療監査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の医療監査システムであって、
前記学習モデル記憶部は、硬膜外麻酔を行っている第1状況であるか否かを示す情報及び画像をトレーニングデータとして機械学習により作成された第1学習モデルと、
前記学習モデル記憶部は、硬膜外麻酔を行っている第2状況であるか否かを示す情報及び画像をトレーニングデータとして機械学習により作成された第2学習モデルと、
を記憶しており、
前記撮影画像を前記第1ないし第1学習モデルに与えて前記第1ないし第3状況であるか否かを判断することにより、前記施術が正しく実施されているかの監査を行う監査部と、
を備える医療監査システム。
【請求項3】
請求項1に記載の監査システムであって、
前記取得部は、リアルタイムに前記ビデオ動画を取得し、
前記監査部は、リアルタイムに前記ビデオ動画を監査し、
前記施術方法が正しく実施されていないことが検出された場合、警報を発する警報部を更に備える、医療監査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施術の監査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、美容医療のニーズが高まっており、様々な病院やクリニックが多種多様な美容医療を提供している。このようなニーズの高まりを受けて、美容医療を、より効率的に、より正確に、より安全に行うことへの重要性も高まってきている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】一般社団法人 日本美容外科学会、「日本美容外科学会会報美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」、2022年10月10日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、美容医療を、より効率的に、より正確に、より安全に行うことへのニーズに応えるために、美容医療が適切に行われているかどうかを評価する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、美容医療がより効率的に、より正確に、より安全に行われているか否かの評価方法、評価装置、評価システム、評価プログラム、分析方法、分析装置、分析システム、分析プログラム、医療事故防止方法、医療事故防止装置、医療事故防止システム、医療事故防止プログラム、医療安全確保方法、医療安全確保装置、医療安全確保システム、医療安全確保プログラムが得られる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば施術の安全性と効率性を高めることができる。また、端末を利用して施術の支援及び安全性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施の形態は、美容医療がより効率的に、より正確に、より安全に行われているか否かの評価方法、評価装置、評価システム、評価プログラム、分析方法、分析装置、分析システム、分析プログラム、医療事故防止方法、医療事故防止装置、医療事故防止システム、医療事故防止プログラム、医療安全確保方法、医療安全確保装置、医療安全確保システム、医療安全確保プログラムとして活用が可能である。
【0008】
[技術1]
本発明は、美容クリニックにおける処置行為のマニュアル遵守監視システムである。具体的には、処置行為中の医療従事者の動作や使用する道具などの情報をリアルタイムに捉え、AIを用いて処置がマニュアル通りに行われているかを判定する。適切な処置が行われなかった場合、システムは即座にアラートを発生させる。これにより、患者の安全性が向上し、医療ミスの可能性を低減することができる。
【0009】
具体的には、本発明は、美容クリニックにおける処置行為のマニュアル遵守監視システムである。本発明が解決しようとする課題は、手術や診察中における人為的なミスやマニュアルからの逸脱による患者の安全性の低下である。具体的には、手続きの遵守が必要な美容クリニックにおける治療において、ヒューマンエラーやルーチンの非遵守が深刻な問題となる。本発明の具体的な内容は、医療従事者の動作や使用する道具などの情報をリアルタイムで捉え、人工知能(AI)を用いてそれらの行動がマニュアルに適合しているかを判定するシステムである。適切な行動が取られていない場合、即座にアラートが発せられ、適切な対応が可能となる。本発明の効果として、まず患者の安全性が大幅に向上する。マニュアルからの逸脱をリアルタイムで検知することで、医療ミスを未然に防ぐことが可能となる。また、発生したアラートに対する医療従事者の反応やその後の行動も記録されるため、後続の改善活動に資する情報を収集することが可能となる。さらに、本発明により医療従事者のトレーニングと能力向上が促進される。発生したアラートを元に、医療従事者がどのような状況でマニュアルから逸脱しがちであるか、またはどのような処置が難易度が高いかなど、具体的な改善点を明らかにすることができる。
【0010】
本発明のシステムは以下の要素を含む。第一に、医療従事者の動作を捉えるためのセンサーデバイス、例えば高解像度カメラや動作センサーが用いられる。これにより、手術中の医師の動きや手術道具の操作等が詳細に記録される。第二に、使用する道具や薬品を特定するためのRFID(Radio Frequency Identification)タグやバーコードスキャナーが設置される。
【0011】
動作センサーと高解像度カメラは、医療従事者の動作をリアルタイムでキャプチャし、そのデータがAIエンジンに送信される。例えば、医師が手術用の器具を手に取った瞬間、その手の動きが捉えられ、情報が生成される。また、手術中の具体的な動作パターン(例:切開の方向や深さ)もデータとして取り込まれる。
【0012】
RFIDタグとバーコードスキャナーは、使用する器具や薬品の特定を行う際に利用される。例えば、注射器やスキャルペル、さらには薬品などに取り付けられたRFIDタグやバーコードをスキャンすることで、どの器具や薬品がいつ使用されたかを記録する。これにより、正しい器具や薬品が適切なタイミングで使用されているかが確認される。
【0013】
これらのデータは、AIエンジンにリアルタイムで送信される。AIエンジンは深層学習アルゴリズムを用いて、送信されたデータがマニュアルに即した行動であるかを判定する。この判定は、各種器具の使用タイミング、手術の手順、薬品の使用量とタイミングなど、多岐に渡る。
【0014】
マニュアルに即していない行動が検出された場合、AIエンジンはアラートを生成し、医療従事者に警告を発する。この警告はディスプレイ上に表示されるメッセージ、音声による通知、あるいは特定のデバイス(例:スマートウォッチ)の振動といった形で伝えられる。同時に、アラートの詳細な情報と、適切な対応方法も提供される。このように、本発明は具体的なセンサーデバイスとAI技術を組み合わせることで、美容クリニックの医療行為のマニュアル遵守をリアルタイムで監視し、患者の安全性を向上させる。
【0015】
以下、本実施の形態による監査システムを詳細に説明する。
美容クリニックにおける施術は、専門的な知識と技術が必要であり、その手順の適正性を保証するための監査システムが求められている。しかしながら、既存の監査システムは人間の監査員が現地に出向くか、映像を見て監査を行う必要があり、その作業は膨大な時間と費用を要する。また、監査の結果は監査員の主観に左右される可能性がある。
【0016】
本発明によれば、施術の手順をラーニングした機械学習モデルを用いて、新規の施術映像を自動的に監査することが可能となる。これにより、監査の効率が大幅に向上し、コスト削減に寄与する。また、監査結果の客観性が向上し、医療の質の向上に資する。
【0017】
1.美容クリニックの施術映像を撮影する。
2.施術映像から、パルス発振式ニードルによる肝斑治療の手順を抽出する。手順とは、第1回目の照射で針の深さとパワー設定の範囲を決定し、肝斑部への照射を行うこと、第2回目の照射では肝斑部には照射せず、肝斑部以外に照射すること、第1回目、第2回目の照射時間は0・5秒以内とすることを含む。
3.抽出された手順を用いて、機械学習モデルを生成する。
4.新規に取得した施術映像を分析し、当該映像内の施術が手順通り行われているかどうかを監査する。
【0018】
本発明は、美容クリニックにおける施術を記録して監査を行う医療監査システムであって、
施術を撮影した画像中における
パルス発振式ニードルを用いた肝斑治療方法における第1の照射が、肝斑部と肝斑部以外(頬・額・鼻・口周囲・眼瞼・首)のいずれの部位に適用するかによって針の深さとパワー設定の範囲を決定している第1状況であるか否かを示す情報及び前記画像をトレーニングデータとして機械学習により作成された第1学習モデルと、
第2の照射が、肝斑部には照射せず、肝斑部以外に照射している第2状況であるか否かを示す情報及び前記画像をトレーニングデータとして機械学習により作成された第2学習モデルと、
第1回目、第2回目共に照射時間が0.5秒以内である第3状況であるか否かを示す情報及び前記画像をトレーニングデータとして機械学習により作成された第3学習モデルと、
を記憶する学習モデル記憶部と、
前記施術のビデオ動画を取得する取得部と、
前記ビデオ動画を前記第1ないし第3学習モデルに与えて前記第1ないし第3状況であるか否かを判断することにより、前記施術が正しく実施されているかの監査を行う監査部と、
を備える医療監査システム。
【0019】
本システムは、リアルタイムにビデオ動画を取得して、監査部はリアルタイムにビデオ動画を監査することとしてもよい。また、記施術が正しく実施されていないことが検出された場合に警報を発する警報部を更に備えていてもよい。
【0020】
以下、監査部による監査用モデルを説明する。監査用モデルは、主に深層学習の手法を用いる。本モデルは、動画像のフレームごとにフェイスバンドの施術工程を判定し、正しい施術工程が踏まれているかどうかを評価する。具体的には、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)を用いてフレームごとの画像特徴を抽出し、長短期記憶(Long Short-Term Memory, LSTM)を用いて時間的な連続性を判断する。
【0021】
具体的には以下の手順によりモデルを生成する
データ収集:
正しく施術されたフェイスバンドの使用例と、不適切な施術例の動画データを収集する。可能であれば、各ステップごとにラベルを付けておくことが望ましい。
データ前処理:
動画をフレームごとに分割し、各フレームをラベルと共にデータセットとして整理する。
モデル訓練:
CNNを用いて各フレームの画像特徴を抽出し、LSTMを用いて時間的な連続性を学習させる。
モデル評価:
テストデータセットを用いてモデルの性能を評価する。具体的な評価指標としては、精度(Accuracy)、適合率(Precision)、再現率(Recall)、F1スコアなどが考えられる。
モデルの適用:
実際の医療現場の動画に対してモデルを適用し、施術が適切に行われているかを監査する。
【0022】
[技術2]
発明は、医療従事者が処置を行う際にマニュアルをスムーズに参照できるAR(拡張現実)デバイスである。このデバイスは、ヘッドセット型または眼鏡型で、医療従事者が手術を行う視野内に直接マニュアルの指示を表示する。これにより、従来の紙ベースや電子端末でのマニュアル参照に比べて、効率的かつ迅速にマニュアルを確認することが可能となる。
【0023】
本発明が解決しようとする課題は、医療行為を行う際に必要なマニュアルの参照が困難であり、それがスムーズな診察や手術の実施を阻むことである。特に、一部の手続きは複雑であり、瞬時に適切なマニュアルを確認できなければ、その質や効率が低下する可能性がある。
【0024】
本発明の具体的な内容は、AIとAR(Augmented Reality)技術を活用した、手続きごとに適切なマニュアルを提供するシステムである。医療従事者が手続きを開始すると、AIはその手続きに対応するマニュアルをデータベースから選択し、ARデバイス(例えば、ARグラスやヘッドマウントディスプレイ)を通じてリアルタイムで表示する。その際、音声認識システムも使用され、医療従事者が音声で次の手順をリクエストすることも可能である。
【0025】
本発明の効果として、マニュアルの参照が大幅に容易になり、その結果、医療行為の質と効率が向上する。具体的には、AR技術を用いてリアルタイムでマニュアルを視覚的に提示することで、診察や手術がスムーズに行える。また、音声認識システムを用いることで、手が塞がっている状況でもマニュアルの参照や進行の指示が可能となる。
【0026】
さらに、本発明は教育やトレーニングにも活用できる。新たな医療従事者の教育や研修時に、本発明のシステムを使用することで、新しい手続きを学ぶ速度が向上する可能性がある。
【0027】
以上のように、本発明は美容クリニックにおける医療行為の質と効率の向上に対して重要な役割を果たす。
【0028】
[技術3]
本発明は、診察や手術の記録とマニュアル遵守の評価を統合したAI監査システムである。このシステムは、診療の各ステージをビデオ録画し、その後AIがマニュアルに対する遵守度を評価する。AIの評価結果は、医療従事者のフィードバックとして利用され、より品質の高い医療サービスの提供に寄与する。
【0029】
本発明が解決しようとする課題は、医療行為がマニュアルに従って行われているかを適切に評価し、その結果を長期的に記録し分析することの困難さである。この課題が解決できないと、医療行為の質向上や医療ミスの予防、さらには医療従事者の教育改善に対する洞察が得られない可能性がある。
【0030】
本発明の具体的な内容は、AIとビデオ記録技術を活用した、医療行為の記録と評価システムである。AIエンジンは高解像度ビデオフィードをリアルタイムで解析し、手術や診察の各ステップがマニュアルに従って実行されているかを評価する。この評価は自動的に行われ、詳細なレポートとして生成される。レポートは電子病歴システムに保存され、後から参照・分析することが可能である。
【0031】
また、本発明は手術や診察の過程を高解像度でビデオ記録し、AIがその記録を自動的にタグ付けし、評価する。これにより、医療行為の進行中には見逃されがちな細かな詳細や異常も記録し、後から分析することが可能となる。
【0032】
本発明の効果として、医療行為の品質保証と継続的改善が挙げられる。AIによる自動評価と高解像度ビデオ記録により、診察や手術がマニュアル通りに行われているかを確認し、適宜フィードバックを行うことが可能となる。また、記録と評価結果は電子病歴システムに保存されるため、長期的な傾向分析やトレーニング材料としての活用も可能となる。
【0033】
以上のように、本発明は美容クリニックにおける医療行為の記録と評価の効率化、そして品質向上に対して重要な役割を果たす。
【0034】
[技術4]
本発明は、美容クリニックにおける医療行為をロボティクス技術により補完または代替するシステムである。このシステムは、マニュアルの情報をAIにインプットし、それに基づいてロボットが医療行為を実行する。例えば、注射や微細な手術、さらには化粧品の適用など、精度と一貫性が求められる処置に対して、ロボットが活用される。これにより、医療の質の均一化と、医療従事者の作業負荷の軽減が可能となる。
【0035】
本発明が解決しようとする課題は、人間の医療従事者による診察や手術には限界が存在し、特に高精度や微細な操作を要する場合、その質や一貫性を確保することが難しいことである。
【0036】
本発明の具体的な内容は、マニュアルの情報をインプットし、指示された通りの医療行為を行うロボットアームと、その動作を制御するAIエンジンである。まず、マニュアルの情報(例:手術手順、手術器具の選択や使用方法など)がシステムにインプットされる。その後、AIエンジンがその情報を解析し、ロボットアームに対する具体的な動作指令を生成する。ロボットアームは、AIエンジンから受け取った指令に従って、マニュアル通りの医療行為を実施する。
【0037】
本発明の効果として、医療行為の質と一貫性の向上が挙げられる。特に、微細な操作を要する手術では、ロボットアームの精密な動作により、人間の医療従事者が実施するよりも高い精度と一貫性を達成できる。また、マニュアルに基づくロボットアームの動作は、AIエンジンによって制御されるため、マニュアルの更新や変更があった場合でも、容易にそれに対応することが可能である。
【0038】
さらに、本発明は医療従事者の労働負担の軽減にも貢献する。特に、長時間にわたる手術や連続した診察による医療従事者の疲労やストレスを軽減し、それによる医療ミスのリスクを減らすことができる。
【0039】
以上のように、本発明は美容クリニックにおける医療行為の質と一貫性の向上、医療従事者の労働負担軽減に対して重要な役割を果たす。
【0040】
上述した各機能(部)は、例えばサーバ装置に備えられたハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~16は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0041】
本発明は以下の4つの構成群を含み得る。
【0042】
[技術1]
<項目1>
あらかじめ設定されたマニュアルに従って医療行為が適切に行われているかをモニタリングし、不適切な行為が検出された場合に警報を発するシステムであって、
美容クリニックにおける各種医療行為の標準マニュアルをデータベースに保存するステップ、
医療行為中に取得されるリアルタイムデータを分析し、データベースのマニュアルに従って行われているかを評価するステップ、
マニュアルからの逸脱が検出された場合、警報を発するステップを有するシステム。
<項目2>
項目2に記載のシステムにおいて、前記警報は視覚的および聴覚的な信号を組み合わせたものである
<項目3>
項目1または2に記載のシステムにおいて、前記リアルタイムデータの取得は、ヘッドマウントディスプレイによる映像データ、生体センサーによる生体情報、手術器具の操作情報を含む。
<項目4>
項目1~3のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記リアルタイムデータの分析は、AIエンジンによって行われる。
<項目5>
項目1~4のいずれか一項に記載のシステムにおいて、マニュアルには各種美容治療や手術手順の詳細な手順が記載されている。
<項目6>
項目1~5のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記警報はマニュアルに適合しない行為が検出された時点で即時に発せられる。
<項目7>
項目1~6のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記警報の発出後、その内容がレビューのためのログとして保存される。
<項目8>
項目1~7のいずれか一項に記載のシステムにおいて、マニュアルに適合しない行為が続行された場合には、連続的な警報が発出される。
<項目9>
項目1~8のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記警報は、違反の種類とその重要性に応じて異なるレベルの警告を発する。
<項目10>
項目1~9のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記マニュアルは定期的に更新され、システムは最新のマニュアルに基づいて評価を行う。
【0043】
[技術2]
<項目1>
医療従事者が医療行為をスムーズに実施できるよう、必要に応じてマニュアルを提示するシステムであって、
医療従事者の音声入力を解析し、該当するマニュアルのセクションを特定するステップ、
特定されたマニュアルのセクションを即座に提示するステップを有するシステム。
<項目2>
項目1に記載のシステムにおいて、前記音声入力解析は自然言語処理技術を用いて行われる。
<項目3>
項目1または2に記載のシステムにおいて、前記音声入力は医療従事者の話し言葉だけでなく、特定の音声コマンドも解析対象とする。
<項目4>
項目1~3のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記マニュアルのセクションは、ヘッドマウントディスプレイ、タブレット、スマートフォンなどのデバイス上で表示される。
<項目5>
項目1~4のいずれか一項に記載のシステムにおいて、特定されたマニュアルのセクションが表示される際には、必要な図示や関連情報も一緒に表示される。
<項目6>
項目1~5のいずれか一項に記載のシステムにおいて、マニュアルのセクションは医療従事者の音声コマンドに従いスクロールされる。
<項目7>
項目1~6のいずれか一項に記載のシステムにおいて、表示されたマニュアルのセクションに関連する過去の患者データや治療結果が参照できる。
<項目8>
項目1~7のいずれか一項に記載のシステムにおいて、マニュアルのセクションが表示される際には、そのセクションに適応する患者の具体的なケーススタディも提示される。
<項目9>
項目1~8のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記マニュアルは定期的に更新され、システムは最新のマニュアルに基づいて動作する。
<項目10>
項目1~9のいずれか一項に記載のシステムにおいて、マニュアルのセクションが表示される際には、医療従事者が理解しやすいように、文書の要約や主要なポイントの強調表示が行われる。
【0044】
[技術3]
<項目1>
美容クリニックにおける診察行為や手術行為の記録と評価を自動化するシステムであって、
医療行為の高解像度ビデオ記録を取得し、保存するステップ、
AIエンジンがビデオ記録を解析し、行為がマニュアルに従って実施されているかを評価するステップ、
評価結果を電子病歴システムに保存するステップを有するシステム。
<項目2>
項目1に記載のシステムにおいて、前記リアルタイム映像と音声の記録は、ヘッドマウントディスプレイやボディカメラ等を利用して行われる。
<項目3>
項目1または2に記載のシステムにおいて、前記映像と音声の記録は、全ての医療行為を対象とする。
<項目4>
項目1~3のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記リアルタイム映像と音声データの解析は、AIエンジンを利用して行われる。
<項目5>
項目1~4のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記解析結果は、特定のマニュアルと一致する行為が行われているかどうかを示す。
<項目6>
項目1~5のいずれか一項に記載のシステムにおいて、医療行為の完了後、記録されたデータは評価とレビューのためのログとして保存される。
<項目7>
項目1~6のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記評価とレビューは、医療従事者自身、同僚、または上級者によって行われる。
<項目8>
項目1~7のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記評価とレビューの結果は、改善のためのフィードバックやトレーニング材料として利用される。
<項目9>
項目1~8のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記マニュアルは定期的に更新され、システムは最新のマニュアルに基づいて評価を行う。
<項目10>
項目1~9のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記AIエンジンは深層学習を含む機械学習アルゴリズムを利用して映像と音声データの解析を行う。
【0045】
[技術4]
マニュアルに従った医療行為をロボットアームにより行うシステムであって、
医療行為のマニュアル情報をシステムにインプットするステップ、
AIエンジンがマニュアル情報を解析し、ロボットアームの動作指令を生成するステップ、
ロボットアームが生成された動作指令に従って医療行為を実施するステップを有するシステム。
<項目2>
項目1に記載のシステムにおいて、前記ロボットアームは、6自由度以上の動きを可能にする。
<項目3>
項目1または2に記載のシステムにおいて、前記ロボットアームは、具体的な治療手順を正確に再現するための、高精度な位置調整機能を有する。
<項目4>
項目1~3のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記ロボットアームは、患者の体の動きを検知し、それに応じて位置調整を行う。
<項目5>
項目1~4のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記ロボットアームは、治療中に生じる様々な状況に対応するための、リアルタイムのセンサーフィードバックを利用する。
<項目6>
項目1~5のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記ロボットアームは、繊細な医療行為を実行するための高度な制御アルゴリズムを有する。
<項目7>
項目1~6のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記AIエンジンは深層学習を含む機械学習アルゴリズムを利用して、ロボットアームの制御を行う。
<項目8>
項目1~7のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記ロボットアームの操作は、遠隔操作が可能であり、専門の医療従事者がリアルタイムで監視・操作することができる。
<項目9>
項目1~8のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記マニュアルは定期的に更新され、システムは最新のマニュアルに基づいてロボットアームを制御する。
<項目10>
項目1~9のいずれか一項に記載のシステムにおいて、前記ロボットアームの操作結果は、後のレビューやフィードバックのために記録・保存される。
【0046】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。