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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091424
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】マッサージ機構、マッサージ装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20240627BHJP
   A61H 15/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61H23/02 354
A61H15/00 340A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166762
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2022206703
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000136491
【氏名又は名称】株式会社フジ医療器
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福永 武央
【テーマコード(参考)】
4C074
4C100
【Fターム(参考)】
4C074CC17
4C074DD02
4C074GG01
4C100AF02
4C100AF16
4C100BB03
4C100CA01
4C100EA12
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で施療強度を変化させる。
【解決手段】マッサージ機構1は、軸部材1031の回転軸Jを中心とする周方向一方への順回転、及び、周方向他方への逆回転に応じて、被施療者を施療する施療子6を往復運動させる。マッサージ機構1のカム部2は、軸部材1031とともに回転可能である。カムフォロア3の一方端には、カム部2が回転可能に接続される。他方端は、施療子6に接続されるクランクシャフト4に対して回動可能に接続される。カム部2は、互いに係合可能な第1偏心カム部材21及び第2偏心カム部材22を有する。軸部材1031が順回転をする場合と、軸部材1031が逆回転をする場合とで、第1偏心カム部材21及び第2偏心カム部材22の係合状態が変化することにより、回転軸Jに対するカム部2の偏心量が変化する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材の回転軸を中心とする周方向一方への順回転、及び、周方向他方への逆回転に応じて、被施療者を施療する施療子を往復運動させるマッサージ機構であって、
前記軸部材とともに回転可能なカム部と、
前記施療子に接続されるクランクシャフトと、
一方端に前記カム部が回転可能に接続され、他方端は前記クランクシャフトに対して回動可能に接続されるカムフォロアと、
を備え、
前記カム部は、互いに係合可能な第1偏心カム部材及び第2偏心カム部材を有し、
前記軸部材が順回転をする場合と、前記軸部材が逆回転をする場合とで、前記第1偏心カム部材及び前記第2偏心カム部材の係合状態が変化することにより、前記回転軸に対する前記カム部の偏心量が変化する、マッサージ機構。
【請求項2】
前記第1偏心カム部材は、
軸方向に沿って配置される第1筒部と、
前記第1筒部の外周面に配置される第1係合部と、
前記第1筒部の外周面に配置されて前記第1係合部と周方向に並ぶ第2係合部と、
を有し、
前記第2偏心カム部材は、
軸方向に沿って配置されて前記第1筒部を収容する第2筒部と、
前記第2筒部の内周面に配置されて、前記軸部材が順回転する際に前記第1係合部と周方向に係合する第3係合部と、
前記第2筒部の内周面に配置されて前記第3係合部と周方向に並び、前記軸部材が逆回転する際に前記第2係合部と周方向に係合する第4係合部と、
を有し、
前記回転軸の軸方向から見て、
前記第1筒部の外周面は、前記回転軸に対して偏心する第1中心軸を有し、前記第2筒部の内周面と摺動可能な円筒面であるとともに、
前記第2筒部の外周面は、前記第1中心軸に対して偏心した第2中心軸を有する、請求項1に記載のマッサージ機構。
【請求項3】
軸方向から見て前記回転軸から前記第1中心軸に向かう第1偏心ベクトルと、軸方向から見て前記第1中心軸から前記第2中心軸に向かう第2偏心ベクトルとの合成偏心ベクトルの大きさは、
前記第1係合部が前記第3係合部に係合した際に、前記第1偏心ベクトルの大きさ、及び、前記第2偏心ベクトルの大きさよりも大きく、
前記第2係合部が前記第4係合部に係合した際に、前記第1偏心ベクトルの大きさ、及び、前記第2偏心ベクトルの大きさよりも小さい、請求項2に記載のマッサージ機構。
【請求項4】
前記第2偏心ベクトルの大きさは、前記第1偏心ベクトルの大きさの25%以上且つ85%以下である、請求項3に記載のマッサージ機構。
【請求項5】
前記第2偏心ベクトルの大きさは、0.3mm以上且つ1.0mm以下である、請求項3に記載のマッサージ機構。
【請求項6】
前記第1係合部が前記第3係合部に係合した際、前記第1偏心ベクトルの向きは、前記第2偏心ベクトルの向きとは同方向である、請求項3に記載のマッサージ機構。
【請求項7】
前記第1偏心ベクトルの大きさは、前記第2偏心ベクトルの大きさとは異なり、
前記第2係合部が前記第4係合部に係合した際、前記第1偏心ベクトルの向きは、前記第2偏心ベクトルの向きとは逆方向である、請求項3に記載のマッサージ機構。
【請求項8】
前記第2偏心カム部材は、前記第2筒部の内周面の軸方向端部において周方向に配置されて径方向外方に凹む凹部をさらに有し、
前記第1偏心カム部材は、前記第1筒部の外周面から突出して前記凹部に収容される複数の第1突出部をさらに有する、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のマッサージ機構。
【請求項9】
前記第1係合部は、複数の前記第1突出部のうちの1個であって、
前記第2係合部は、複数の前記第1突出部のうちの他の1個である、請求項8に記載のマッサージ機構。
【請求項10】
前記第2偏心カム部材は、前記第2筒部の内周面から突出して前記円筒面と径方向に対向する複数の第2突出部をさらに有する、請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のマッサージ機構。
【請求項11】
前記第3係合部は、複数の前記第2突出部のうちの1個であって、
前記第4係合部は、複数の前記第2突出部のうちの他の1個である、請求項10に記載のマッサージ機構。
【請求項12】
前記カムフォロアは、前記カム部の回転に応じて、前記軸方向と垂直な駆動方向に前記クランクシャフトを往復移動させる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマッサージ機構。
【請求項13】
第2偏心カム部材に対して第1偏心カム部材が回動可能な周方向幅は180°である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマッサージ機構。
【請求項14】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマッサージ機構と、
軸方向に沿って配置される回転軸を中心とする周方向一方への順回転、及び、周方向他方への逆回転が可能な軸部材と、
を備え、
前記マッサージ機構は、前記軸部材の順回転及び逆回転に応じて、被施療者を施療する施療子を往復運動させる、マッサージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機構、マッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、任意の身体部位に振動する施療子を押し当ててマッサージを行うハンディタイプのマッサージ装置がますます普及している。たとえは、特許文献1では、駆動機構がモータによるカムの回転運動を往復運動に変換することで、マッサージヘッドを往復運動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3228625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のマッサージ装置において、施療強度を調節する手段は、モータの回転数の変化のみであった。このように、従来では、構造的な手段で施療強度を調節することは知られていない。
【0005】
本発明は、上記の状況を鑑みて、簡易な構成で施療強度を変化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の一の態様によるマッサージ機構は、軸部材の回転軸を中心とする周方向一方への順回転、及び、周方向他方への逆回転に応じて、被施療者を施療する施療子を往復運動させる。前記マッサージ機構は、カム部と、クランクシャフトと、カムフォロアと、を備える。前記カム部は、前記軸部材とともに回転可能である。前記クランクシャフトは、前記施療子に接続される。前記カムフォロアの一方端には、前記カム部が回転可能に接続される。他方端は、前記クランクシャフトに対して回動可能に接続される。前記カム部は、互いに係合可能な第1偏心カム部材及び第2偏心カム部材を有する。前記軸部材が順回転をする場合と、前記軸部材が逆回転をする場合とで、前記第1偏心カム部材及び前記第2偏心カム部材の係合状態が変化することにより、前記回転軸に対する前記カム部の偏心量が変化する。
【0007】
また、上記目的を達成するために本発明の一の態様によるマッサージ装置は、上述のマッサージ機構と、軸部材と、を備える。前記軸部材では、軸方向に沿って配置される回転軸を中心とする周方向一方への順回転、及び、周方向他方への逆回転が可能である。前記マッサージ機構は、前記軸部材の順回転及び逆回転に応じて、被施療者を施療する施療子を往復運動させる。
【0008】
本発明の更なる特徴や利点は、以下に示す実施形態によって一層明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、簡易な構成で施療強度を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るハンディマッサージャーの外観図
図2】ハンディマッサージャーの構成例を示す分解斜視図
図3図1の一点鎖線III-IIIに沿うハンディマッサージャーの断面図
図4】順回転時のハンディマッサージャーの断面図
図5A図4の破線で囲まれた部分Vaの拡大図
図5B】順回転時における偏心ベクトルの合成例を示す模式図
図6】逆回転時のハンディマッサージャーの断面図
図7A図6の破線で囲まれた部分VIIaの拡大図
図7B】逆回転時における偏心ベクトルの合成例を示す模式図
図8】第1係合部から第4係合部の他の構成例を示すハンディマッサージャーの断面図
図9図8の破線で囲まれた部分IXの拡大図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0012】
以下の説明において、後述するハンディマッサージャー100の回転軸Jと平行な方向を「軸方向Da」と呼ぶ。また、後述する振動子の振動方向を「駆動方向Db」と呼ぶ。なお、軸方向は、駆動方向と垂直である。また、軸方向Da及び駆動方向Dbの両方と垂直な方向を「方向Dc」と呼ぶ。
【0013】
<1.実施形態>
図1は、本実施形態に係るハンディマッサージャー100の外観図である。図2は、ハンディマッサージャー100の構成例を示す分解斜視図である。図3は、図1の一点鎖線III-IIIに沿うハンディマッサージャー100の断面図である。図4は、順回転時のハンディマッサージャー100の断面図である。図5Aは、図4の破線で囲まれた部分Vaの拡大図である。図5Bは、順回転時における偏心ベクトルの合成例を示す模式図である。図6は、逆回転時のハンディマッサージャー100の断面図である。図7Aは、図6の破線で囲まれた部分VIIaの拡大図である。図7Bは、逆回転時における偏心ベクトルの合成例を示す模式図である。なお、図4図5A及び図6図7Aは、軸方向一方Da1から軸方向他方Da2を向いて見た断面図である。図4及び図6は、図3の一点鎖線IV-IVに沿うハンディマッサージャー100の断面構造に対応する。
【0014】
<1-1.ハンディマッサージャー>
ハンディマッサージャー100は、筐体101と、モータ102と、変速機103と、マッサージ機構1と、を備える。ハンディマッサージャー100は、本発明の「マッサージ装置」の一例である。
【0015】
筐体101は、上部筐体1011と、開口1012と、下部筐体1013と、を有する。上部筐体1011は、モータ102、変速機103、及びマッサージ機構1の一部(たとえば後述するクランクシャフト4の端部及び施療子6以外)を収容する。開口1012は、上部筐体1011の内外を繋ぐ。開口1012には、後述するクランクシャフト4が駆動方向Dbに往復運動可能に挿通される。下部筐体1013は、上部筐体1011から軸方向一方Da1に延びて配置され、電源部(図示省略)、制御部(図示省略)などを収容する。電源部は、モータ102などに電力を供給する。なお、電源部は、リチウムイオン電池のように充放電可能な二次電池であってもよいし、乾電池などの一次電池であってもよい。制御部は、後述するモータ102の駆動(特にシャフト1021の回転方向)などを制御する。
【0016】
モータ102は、ハンディマッサージャー100の駆動源であって、軸方向に延びて配置されるシャフト1021を有する。シャフト1021の軸方向一方Da1側の端部は、モータ102から軸方向一方Da1側において軸方向一方Da1に突出し、変速機103に接続される。シャフト1021は、シャフト1021回りの周方向の一方及び他方に回転可能である。シャフト1021の回転方向は、操作部(図示省略)又はリモートコントローラなどの入力操作により切替可能である。
【0017】
変速機103は、モータ102から伝達されるシャフト1021のトルクを所定の減速比で減速し、出力軸部1031から出力する。モータ102の変速機103は、出力軸部1031を有する。出力軸部1031は、回転軸Jに沿って延びて配置される。出力軸部1031では、軸方向に沿って配置される回転軸Jを中心とする周方向一方への順回転、及び、周方向他方への逆回転が可能である。なお、出力軸部1031は、本発明の「軸部材」の一例である。出力軸部1031は、マッサージ機構1に接続されて、マッサージ機構1にトルクを伝達する。
【0018】
なお、変速機103は、省略されてもよい。この場合、モータ102のシャフト1021の軸方向一方Da1側の端部がマッサージ機構1に接続される。従って、シャフト1021のトルクは、直接に、マッサージ機構1に伝達される。また、この場合、シャフト1021が本発明の「軸部材」の一例となり、シャフト1021の回転軸が回転軸Jとなる。
【0019】
<1-2.マッサージ機構>
次に、マッサージ機構1は、カム部2と、カムフォロア3と、クランクシャフト4と、ガイド部材5と、施療子6と、を備える。マッサージ機構1は、出力軸部1031の回転軸Jを中心とする周方向一方への順回転、及び、周方向他方への逆回転に応じて、被施療者を施療する施療子6を往復運動させる。これにより、ハンディマッサージャー100は、簡易な構成で施療強度を変化させることができる。
【0020】
カム部2は、出力軸部1031とともに回転軸J回りに回転可能である。カム部2は、出力軸部1031とカムフォロア3とを接続し、出力軸部1031のトルクをカムフォロア3に伝達する。カム部2の詳細な構成は、後に説明する。
【0021】
カムフォロア3の一方端には、カム部2が回転可能に接続される。カムフォロア3の他方端は、クランクシャフト4に対して回動可能に接続される。カムフォロア3は、カム部2の回転に応じて、軸方向と垂直な駆動方向Dbにクランクシャフト4を往復移動させる。これにより、カムフォロア3を介してカム部2の駆動力をクランクシャフト4に伝達できる。つまり、カムフォロア3は、カム部2の偏心した回転運動を駆動方向Dbの往復運動に変換し、クランクシャフト4に伝達することができる。言い換えると、カムフォロア3に伝達されたトルクは、駆動方向Dbにおける振幅の強さ(振動周波数、振動振幅など)に変換され、クランクシャフト4に伝達される。なお、本実施形態のハンディマッサージャー100では、後述するように、トルクの向き(周方向の一方又は他方)に応じて振幅の強さを変化させることができる。
【0022】
カムフォロア3は、受け部31と、延部32と、軸方向に対向する一対の板部33と、を有する。受け部31は、軸方向と交差(たとえば直交)する方向に広がる板状の部材である。受け部31は、開口311を有する。開口311は、回転軸J回りに(偏心)回転可能にカム部2を収容して保持する。なお、開口311は、貫通孔であってもよいし、軸方向一方Da1に凹む凹部であってもよい。
【0023】
延部32は、受け部31の駆動方向一方Db1側の端部から少なくとも軸方向他方Da2に延びて配置される。
【0024】
一対の板部33は、受け部31よりも軸方向他方Da2に配置され、延部32から駆動方向一方Db1に延びて配置される。各々の板部33はそれぞれ、軸方向に重なる開口331を有する。
【0025】
クランクシャフト4は、施療子6に接続され、カムフォロア3から伝達された往復運動に応じて施療子6を振動させる。クランクシャフト4は、柱部41と、接続部42と、を有する。柱部41は、少なくとも駆動方向Dbに延びて配置される。柱部41の駆動方向一方Db1側は、施療子6に接続される。柱部41の駆動方向他方Db2側の端部には、接続部42が配置される。接続部42は、軸方向に延びて配置される貫通孔421を有し、軸方向回りに回動可能にカムフォロア3と接続される。詳細には、接続部42は、軸方向に対向する一対の板部33間に配置される。貫通孔421は、各々の板部33の開口331と軸方向に重なる。各々の開口331及び貫通孔421には、ピン34が挿通される。これにより、接続部42は、軸方向回りに回転可能に一対の板部33と接続される。
【0026】
ガイド部材5は、上部筐体1011の内側において開口1012の近傍に配置され、クランクシャフト4の柱部41を駆動方向Dbにガイドする。ガイド部材5は、板部51と、摺動部52と、を有する。板部51は、駆動方向Dbと交差する方向に広がる。板部51は、上部筐体1011の開口1012と駆動方向Dbに重なる開口511を有する。開口511及び開口1012には、クランクシャフト4の柱部41が挿通される。摺動部52は、板部51の外縁部に配置され、上部筐体1011の内側面と摺動可能に接する。
【0027】
施療子6は、被施療者に当接され、振動又は衝撃の伝達により施療部位をマッサージする。施療子6は、筐体101(特に、上部筐体1011)の外部に配置され、クランクシャフト4の往復運動に応じて、駆動方向Dbに振動可能である。本実施形態では、施療子6は樹脂製の弾性部材であり、その先端は球形である。
【0028】
但し、施療子6の材料及び形状は、上述の例示に限定されない。たとえは、施療子6は、硬質の樹脂製であってもよい。また、施療子6の形状は、先細りする円錐形状(又は円錐台形状)であってもよい。また、その形状は、先端に向かってわずかに隆起する形状であってよいし、先端に向かって枝分かれするU字形状であってもよい。前述の如く、施療子6の振動の強さは、カム部2に伝達されるトルクの向き(軸方向回りの周方向の一方であるか他方であるか)により変化する。
【0029】
<1-3.カム部2>
次に、図2図7Bを参照して、カム部2の構成を説明する。カム部2は、第1偏心カム部材21と、第2偏心カム部材22と、を有する。第1偏心カム部材21及び第2偏心カム部材22は、互いに係合可能である。但し、出力軸部1031が順回転をする場合と、出力軸部1031が逆回転をする場合とで、第1偏心カム部材21及び第2偏心カム部材22の係合状態が変化する。これにより、回転軸Jに対するカム部2の偏心量が変化する。
【0030】
こうすれば、出力軸部1031の順回転と逆回転とを切り替えることにより、複雑な駆動機構を要することなく、往復運動する施療子6のストロークを変えて、その施療強度を変化させることができる。たとえば、出力軸部1031を順回転させることでカム部2の偏心量を大きくし、施療子6による叩き動作のストロークを長くする。これにより、施療強度を大きくできる。一方、出力軸部1031を逆回転させることでカム部2の偏心量を小さくし、施療子6による叩き動作のストロークを短くする。これにより、施療強度を小さくできる。従って、マッサージ機構1は、簡易な構成で施療強度を変化させることができる。
【0031】
第2偏心カム部材22に対して第1偏心カム部材21が回動可能な周方向幅は、0°よりも大きく、360°未満であり、好ましくは0°よりも大きく且つ180°以下である。さらに好ましくは、第2偏心カム部材22に対して第1偏心カム部材21が回動可能な周方向幅は、180°である。回動可能な周方向幅を180°にすることで、往復運動する施療子6のストロークを最大にできる。従って、出力軸部1031が順回転する場合及び逆回転する場合での施療子6の施療強度の差をより大きくできる。
【0032】
<1-3-1.第1偏心カム部材21>
第1偏心カム部材21は、変速機103の出力軸部1031に連結されるとともに、第2偏心カム部材22と係合する。この係合により、第1偏心カム部材21は、出力軸部1031のトルクを第2偏心カム部材22に伝達する。
【0033】
第1偏心カム部材21は、第1筒部211と、第1貫通孔212と、鍔部213と、を有する。
【0034】
第1筒部211は、軸方向に延びて配置される円筒形状である。回転軸Jの軸方向から見て、第1筒部211の外周面2111は、回転軸Jに対して偏心する第1中心軸P1を有する。外周面2111は、第1中心軸P1を中心とする円筒面である。
【0035】
第1貫通孔212は、第1筒部211の外周面2111から偏心した位置に配置され、第1筒部211を軸方向に貫通する。第1貫通孔212の内周面は、第1筒部211の内周面であり、回転軸Jを中心軸とする円筒面である。第1貫通孔212には、出力軸部1031の軸方向一方Da1側の端部が収容される。
【0036】
鍔部213は、第1筒部211の外周面2111から径方向外方に突出し、該外周面2111に沿って周方向に延びて配置される。鍔部213は、軸方向から見て、円弧形状の突出部である。鍔部213の外周面2131は、本実施形態では軸方向から見て第1中心軸P1を曲率中心とする曲面であり、軸方向に延びて配置される。なお、この例示に限定されず、外周面2131の曲率中心は、第1中心軸P1でなくてもよく、軸方向から見て外周面2131よりも径方向内方にあればよい。
【0037】
また、鍔部213は、第1筒部211の外周面2111の軸方向端部に配置され、本実施形態では外周面2111の軸方向一方Da1側の端部に配置される。但し、鍔部213の配置は、この例示に限定されない。たとえば、鍔部213は、外周面2111の軸方向他方Da2側の端部に配置されてもよい。
【0038】
なお、本実施形態では、第2偏心カム部材22に対する第1偏心カム部材21の第1中心軸P1回りの回動により、鍔部213の周方向におけるどちらかの端部が第2偏心カム部材22に当接する。以下では、鍔部213の周方向一方端部を「第1係合部2132」と呼び、鍔部213の周方向他方端部を「第2係合部2133」と呼ぶ。第1係合部2132は、第1筒部211の外周面2111に配置されて第2偏心カム部材22と係合する。第2係合部2133は、第1筒部211の外周面2111に配置されて、第1係合部2132と周方向に並び、第2偏心カム部材22と係合する。第1偏心カム部材21は、第1係合部2132と、第2係合部2133と、を有する。
【0039】
<1-3-2.第2偏心カム部材22>
次に、第2偏心カム部材22は、カムフォロア3の開口311に嵌め込まれ、受け部31と回転可能に接続される。第2偏心カム部材22は、第1偏心カム部材21のトルクを受け部31に伝達する。
【0040】
第2偏心カム部材22は、第2筒部221と、第2貫通孔222と、凹部223と、を有する。
【0041】
第2筒部221は、軸方向に延びて配置される筒状であり、第1筒部211を収容する。回転軸Jの軸方向から見て、第2筒部221の外周面2211は、第1中心軸P1に対して偏心した第2中心軸P2を有する。外周面2211は、第2中心軸P2を中心とする円筒面である。第2筒部221の内周面2212は、第2貫通孔222の内周面でもあり、第1筒部211の外周面2111と摺動可能である。
【0042】
第2貫通孔222は、第2筒部221の外周面2211から偏心した位置に配置され、第2筒部221を軸方向に貫通する。第2貫通孔222の内周面2212は、第2筒部221の内周面であり、第1中心軸P1を中心軸とする円筒面である。第2貫通孔222内には、第1偏心カム部材21の第1筒部211が配置される。
【0043】
凹部223は、第2筒部221の内周面2212において該内周面2212に沿って周方向に延びて配置されて、径方向外方に凹む。凹部223は、軸方向から見て円弧形状である。凹部223の径方向内方を向く内周面2231は、本実施形態では軸方向から見て第2中心軸P2を曲率中心とする曲面であり、軸方向に延びて配置される。なお、この例示に限定されず、該内周面2231の曲率中心は、第2中心軸P2でなくてもよく、軸方向から見て該内周面2231よりも径方向内方にあればよい。
【0044】
凹部223は、第2筒部221の内周面2212の軸方向端部に配置され、本実施形態では該内周面2212の軸方向一方Da1側の端部に配置される。但し、鍔部213が外周面2131の軸方向他方Da2側の端部に配置される場合、鍔部213は、内周面2212の軸方向他方Da2側の端部に配置される。
【0045】
凹部223には鍔部213が収容される。凹部223の内周面2231は、本実施形態では、鍔部213の外周面2131と摺動する。但し、この例示に限定されず、内周面2231は、外周面2131と間隔を空けて径方向に対向してもよい。ここで、凹部223の周方向長さは、鍔部213の周方向長さよりも長い。そのため、第1偏心カム部材21は、トルクの向き(つまり出力軸部1031の回転方向)に応じて、第2偏心カム部材22に対して周方向の一方又は他方に回動可能である。
【0046】
なお、本実施形態では、第2偏心カム部材22に対する第1偏心カム部材21の第1中心軸P1回りの回動により、凹部223の周方向のどちらかを向く内側面が第1偏心カム部材21の鍔部213の周方向端部に当接する。以下では、凹部223の周方向一方側の内側面を「第3係合部2232」と呼び、凹部223の周方向他方側の内側面を「第4係合部2233」と呼ぶ。第3係合部2232は、第2筒部221の内周面に配置されて、出力軸部1031が順回転する際に第1係合部2132と周方向に係合する。第4係合部2233は、第2筒部221の内周面に配置されて、第2係合部2133と周方向に並ぶ。第4係合部2233は、出力軸部1031が逆回転する際に第2係合部2133と周方向に係合する。第2偏心カム部材22は、第3係合部2232と、第4係合部2233と、を有する。
【0047】
上述の構成によれば、第1中心軸P1及び第2中心軸P2の偏心により、回転軸Jに対してカム部2を偏心回転させることができる。また、第1中心軸P1及び第2中心軸P2の偏心状態を変化させることにより、カム部2の偏心量を変化させることができる。
【0048】
ここで、図5B及び図7Bに示すように、軸方向から見た回転軸Jから第1偏心カム部材21の外周面2111の第1中心軸P1に向かうベクトルを「第1偏心ベクトルV1」と呼ぶ。軸方向から見た第2偏心カム部材22の内周面の第1中心軸P1から第2偏心カム部材22の外周面の第2中心軸P2に向かうベクトルを「第2偏心ベクトルV2」と呼ぶ。また、第1偏心ベクトルV1及び第2偏心ベクトルV2の和を「合成偏心ベクトルVc」と呼ぶ。本実施形態では、合成偏心ベクトルVcの大きさ|Vc|は0より大きい。
【0049】
出力軸部1031が順回転して第1係合部2132が第3係合部2232に係合した際に、合成偏心ベクトルVcの大きさ|Vc|は、第1偏心ベクトルV1の大きさ|V1|、及び、第2偏心ベクトルV2の大きさ|V2|よりも大きい。
【0050】
一方、出力軸部1031が逆回転して第2係合部2133が第4係合部2233に係合した際、合成偏心ベクトルVcの大きさ|Vc|は、第1偏心ベクトルV1の大きさ|V1|、及び、第2偏心ベクトルV2の大きさ|V2|よりも小さい。
【0051】
こうすれば、出力軸部1031の順回転と逆回転とを切り替えることにより、施療子6の揺動距離(叩き動作のストローク)をそれぞれ大きく変化させることができる。
【0052】
好ましくは、第2偏心ベクトルV2の大きさ|V2|は、第1偏心ベクトルV1の大きさ|V1|の25%以上且つ85%以下である。さらに好ましくは、第1偏心ベクトルV1の大きさ|V1|に対する第2偏心ベクトルV2の大きさ|V2|の比率(|V2|/|V1|)は、30%以上且つ70%以下である。こうすれば、出力軸部1031が逆回転して第2係合部2133が第4係合部2233に係合した際、出力軸部1031が順回転して第1係合部2132が第3係合部2232に係合した際よりも、施療子6の揺動距離(叩き動作のストローク)をより小さくできる。出力軸部1031を逆回転させる際に微振動の叩き動作ができるので、施療子6の揺動周期を小さくして、単位時間当たりの揺動数を大きくできる。たとえば、JIS規格に準拠する最大の揺動数1700[回/分]にできる。従って、被施療者に提供する叩き施療の体感を向上できる。
【0053】
なお、上述の比率(|V2|/|V1|)が25%未満になると、出力軸部1031の順回転時での上述の合成偏心ベクトルVcの大きさ|Vc|と、逆回転時での上述の合成偏心ベクトルVcの大きさ|Vc|との差が小さくなり過ぎる。従って、出力軸部1031の順回転時及び逆回転時で叩き施療の体感の違いが分かりづらくなる。
【0054】
一方、上述の比率(|V2|/|V1|)が85%よりも大きくなると、施療子6の揺動周期が大きくなるため、単位時間当たりの揺動数を大きくし難くなる。従って、被施療者に提供する叩き施療の体感が向上し難くなる。
【0055】
但し、上述の例示は、上述の比率(|V2|/|V1|)が25%未満、又は、85%よりも大きい構成を排除しない。
【0056】
また、好ましくは、第2偏心ベクトルV2の大きさ|V2|は、0.3mm以上且つ1.0mm以下である。こうすれば、出力軸部1031が逆回転して第2係合部2133が第4係合部2233に係合した際、出力軸部1031が順回転して第1係合部2132が第3係合部2232に係合した際よりも、施療子6の揺動距離(叩き動作のストローク)をより小さくできる。出力軸部1031を逆回転させる際の微振動の叩き動作ができるので、施療子6の揺動周期を小さくして、単位時間当たりの揺動数を大きくできる。たとえば、JIS規格に準拠する最大の揺動数1700[回/分]にできる。従って、被施療者が感じる叩き施療の体感を向上できる。
【0057】
なお、第2偏心ベクトルV2の大きさ|V2|が0.3mm未満になると、出力軸部1031を逆回転させる際、施療子6の揺動範囲が小さすぎるため、叩き施療の効果が大きく減少する。
【0058】
一方、第2偏心ベクトルV2の大きさ|V2|が1.0mmよりも大きくなると、施療子6の揺動周期が大きくなるため、単位時間当たりの揺動数を大きくし難くなる。従って、被施療者に提供する叩き施療の体感が向上し難くなる。
【0059】
但し、上述の例示は、|V2|<0.3mmである構成、及び、|V2|>1.0mmである構成を排除しない。
【0060】
また、好ましくは、第1係合部2132が第3係合部2232に係合した際、第1偏心ベクトルV1の向きは、第2偏心ベクトルV2の向きとは同方向である。こうすれば、合成偏心ベクトルVcの大きさ|Vc|を最大にできるので、往復運動する施療子6のストロークを最大にできる。従って、出力軸部1031が順回転する場合及び逆回転する場合での施療子6の施療強度の差をより大きくできる。但し、上述の例示は、第1係合部2132が第3係合部2232に係合した際に第1偏心ベクトルV1の向きが第2偏心ベクトルV2の向きとは同方向でない構成を排除しない。たとえば、上述の際に、第1偏心ベクトルV1の向きが第2偏心ベクトルV2の向きとは逆方向でなければよい。
【0061】
また、好ましくは、第2係合部2133が第4係合部2233に係合した際、第1偏心ベクトルV1の向きは、第2偏心ベクトルV2の向きとは逆方向である。なお、この際、第1偏心ベクトルV1の大きさ|V1|は、第2偏心ベクトルV2の大きさ|V2|とは異なる。こうすれば、合成偏心ベクトルVcの大きさ|Vc|を0にすることなく最小にできるので、往復運動する施療子6のストロークを最小にできる。従って、出力軸部1031が順回転する場合及び逆回転する場合での施療子6の施療強度の差をさらに大きくできる。但し、上述の例示は、第2係合部2133が第4係合部2233に係合した際に第1偏心ベクトルV1の向きが第2偏心ベクトルV2の向きとは逆方向でない構成を排除しない。たとえば、上述の際に、第1偏心ベクトルV1の向きが第2偏心ベクトルV2の向きとは同方向でなければよい。
【0062】
なお、上述の実施形態では、第1筒部211の外周面2111に鍔部213が配置されるとともに、第2筒部221の内周面2212に凹部223が配置される。但し、本実施形態の例示に限定されず、第1筒部211の外周面2111の軸方向端部に、径方向内方に凹む凹部が配置されてもよい。さらに、第2筒部221の内周面2212に、径方向内方に突出して第1筒部211の凹部に収容される鍔部が配置されてもよい。この場合、第1筒部211の凹部の周方向一方側の内側面が第1係合部2132となり、周方向他方側の内側面が第2係合部2133となる。さらに、第2筒部221の鍔部の周方向一方端部が第3係合部2232となり、周方向他方端部が第4係合部2233となる。
【0063】
或いは、第1係合部2132及び第2係合部2133と、第3係合部2232及び第4係合部2233とのうちの少なくとも一方は、突出部であってもよい。図8は、第1係合部から第4係合部の他の構成例を示すハンディマッサージャーの断面図である。図9は、図8の破線で囲まれた部分IXの拡大図である。なお、図8及び図9は、軸方向一方Da1から軸方向他方Da2を向いて見た断面図である。図8は、図3の一点鎖線IV-IVに沿うハンディマッサージャー100の断面図に対応する。
【0064】
図9では、第1偏心カム部材21は、複数の第1突出部214をさらに有する。各々の第1突出部214は、第1筒部211の外周面2111から径方向外方に突出して、凹部223に収容され、第2筒部221の円筒面(つまり内周面2231)と径方向に対向する。なお、第1突出部214(の外周面)は、本実施形態では凹部223の内周面2231に摺動する。但し、この例示に限定されず、第1突出部214(の外周面)は、径方向において該内周面2231との間に間隔を空けて、該内周面2231と径方向に対向してもよい。こうすれば、第1突出部214の一部を第1係合部2132及び第2係合部2133として用いることができる。
【0065】
つまり、第1係合部2132は、複数の第1突出部214のうちの1個である。第2係合部2133は、複数の第1突出部214のうちの他の1個である。第1突出部214の一部を第1係合部2132及び第2係合部2133としてそれぞれ用いることにより、第1偏心カム部材21を形成する材料を少なくできる。従って、製造コストを低減できるとともに、その生産性を向上できる。
【0066】
また、図9では、第2偏心カム部材22は、複数の第2突出部224をさらに有する。各々の第2突出部224は、第2筒部221の内周面2231から径方向内方に突出して第1筒部211の円筒面(つまり外周面2111)と径方向に対向する。なお、第2突出部224(の内周面)は、本実施形態では第1筒部211の円筒面(つまり外周面2111)に摺動する。但し、この例示に限定されず、第2突出部224(の内周面)は、径方向において該円筒面(つまり外周面2111)との間に間隔を空けて、外周面2111と径方向に対向してもよい。こうすれば、第2突出部224の一部を第3係合部2232及び第4係合部2233として用いることができる。
【0067】
つまり、第3係合部2232は、複数の第2突出部224のうちの1個である。第4係合部2233は、複数の第2突出部224のうちの他の1個である。第2突出部224の一部を第3係合部2232及び第4係合部2233としてそれぞれ用いることにより、第2偏心カム部材22を形成する材料を少なくできる。従って、製造コストを低減できるとともに、その生産性を向上できる。
【0068】
なお、第1突出部214の数は、図9では2個であるが、3個以上であってもよい。また、第2突出部224の数は、図9では2個であるが、3個以上であってもよい。
【0069】
<2.備考>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は例示であり、その各構成要素及び各処理の組み合わせに色々な変形が可能であり、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0070】
<3.総括>
以下では、これまでに説明してきた実施形態について総括的に述べる。
【0071】
たとえば、本明細書中に開示されているマッサージ機構は、
軸部材の回転軸を中心とする周方向一方への順回転、及び、周方向他方への逆回転に応じて、被施療者を施療する施療子を往復運動させるマッサージ機構であって、
前記軸部材とともに回転可能なカム部と、
前記施療子に接続されるクランクシャフトと、
一方端に前記カム部が回転可能に接続され、他方端は前記クランクシャフトに対して回動可能に接続されるカムフォロアと、
を備え、
前記カム部は、互いに係合可能な第1偏心カム部材及び第2偏心カム部材を有し、
前記軸部材が順回転をする場合と、前記軸部材が逆回転をする場合とで、前記第1偏心カム部材及び前記第2偏心カム部材の係合状態が変化することにより、前記回転軸に対する前記カム部の偏心量が変化する構成(第1の構成)とされる。
【0072】
上記第1の構成のマッサージ機構は、
前記第1偏心カム部材は、
軸方向に沿って配置される第1筒部と、
前記第1筒部の外周面に配置される第1係合部と、
前記第1筒部の外周面に配置されて前記第1係合部と周方向に並ぶ第2係合部と、
を有し、
前記第2偏心カム部材は、
軸方向に沿って配置されて前記第1筒部を収容する第2筒部と、
前記第2筒部の内周面に配置されて、前記軸部材が順回転する際に前記第1係合部と周方向に係合する第3係合部と、
前記第2筒部の内周面に配置されて前記第3係合部と周方向に並び、前記軸部材が逆回転する際に前記第2係合部と周方向に係合する第4係合部と、
を有し、
前記回転軸の軸方向から見て、
前記第1筒部の外周面は、前記回転軸に対して偏心する第1中心軸を有し、前記第2筒部の内周面と摺動可能な円筒面であるとともに、
前記第2筒部の外周面は、前記第1中心軸に対して偏心した第2中心軸を有する構成(第2の構成)であってもよい。
【0073】
上記第2の構成のマッサージ機構は、
軸方向から見て前記回転軸から前記第1中心軸に向かう第1偏心ベクトルと、軸方向から見て前記第1中心軸から前記第2中心軸に向かう第2偏心ベクトルとの合成偏心ベクトルの大きさは、
前記第1係合部が前記第3係合部に係合した際に、前記第1偏心ベクトルの大きさ、及び、前記第2偏心ベクトルの大きさよりも大きく、
前記第2係合部が前記第4係合部に係合した際に、前記第1偏心ベクトルの大きさ、及び、前記第2偏心ベクトルの大きさよりも小さい構成(第3の構成)であってもよい。
【0074】
上記第3の構成のマッサージ機構は、
前記第2偏心ベクトルの大きさは、前記第1偏心ベクトルの大きさの25%以上且つ85%以下である構成(第4の構成)であってもよい。
【0075】
上記第3又は第4の構成のマッサージ機構は、
前記第2偏心ベクトルの大きさは、0.3mm以上且つ1.0mm以下である構成(第5の構成)であってもよい。
【0076】
上記第3から第5のいずれかの構成のマッサージ機構は、
前記第1係合部が前記第3係合部に係合した際、前記第1偏心ベクトルの向きは、前記第2偏心ベクトルの向きとは同方向である構成(第6の構成)であってもよい。
【0077】
上記第3から第6のいずれかの構成のマッサージ機構は、
前記第1偏心ベクトルの大きさは、前記第2偏心ベクトルの大きさとは異なり、
前記第2係合部が前記第4係合部に係合した際、前記第1偏心ベクトルの向きは、前記第2偏心ベクトルの向きとは逆方向である構成(第7の構成)であってもよい。
【0078】
上記第2から第7のいずれかの構成のマッサージ機構は、
前記第2偏心カム部材は、前記第2筒部の内周面の軸方向端部において周方向に配置されて径方向外方に凹む凹部をさらに有し、
前記第1偏心カム部材は、前記第1筒部の外周面から突出して前記凹部に収容される複数の第1突出部をさらに有する構成(第8の構成)であってもよい。
【0079】
上記第8の構成のマッサージ機構は、
前記第1係合部は、複数の前記第1突出部のうちの1個であって、
前記第2係合部は、複数の前記第1突出部のうちの他の1個である構成(第9の構成)であってもよい。
【0080】
上記第2から第9のいずれかの構成のマッサージ機構は、
前記第2偏心カム部材は、前記第2筒部の内周面から突出して前記円筒面と径方向に対向する複数の第2突出部をさらに有する構成(第10の構成)であってもよい。
【0081】
上記第10の構成のマッサージ機構は、
前記第3係合部は、複数の前記第2突出部のうちの1個であって、
前記第4係合部は、複数の前記第2突出部のうちの他の1個である構成(第11の構成)であってもよい。
【0082】
上記第1から第11のいずれかの構成のマッサージ機構は、
前記カムフォロアは、前記カム部の回転に応じて、前記軸方向と垂直な駆動方向に前記クランクシャフトを往復移動させる構成(第12の構成)であってもよい。
【0083】
上記第1から第12のいずれかの構成のマッサージ機構は、
第2偏心カム部材に対して第1偏心カム部材が回動可能な周方向幅は180°である構成(第13の構成)であってもよい。
【0084】
また、本明細書中に開示されているマッサージ装置は、
上記第1から第13のいずれかの構成のマッサージ機構と、
軸方向に沿って配置される回転軸を中心とする周方向一方への順回転、及び、周方向他方への逆回転が可能な軸部材と、
を備え、
前記マッサージ機構は、前記軸部材の順回転及び逆回転に応じて、被施療者を施療する施療子を往復運動させる構成(第14の構成)とされる。
【符号の説明】
【0085】
1 マッサージ機構
2 カム部
3 カムフォロア
4 クランクシャフト
5 ガイド部材
6 施療子
21 第1偏心カム部材
22 第2偏心カム部材
31 受け部
32 延部
33 板部
34 ピン
41 柱部
42 接続部
51 板部
52 摺動部
100 ハンディマッサージャー
101 筐体
102 モータ
103 変速機
211 第1筒部
212 第1貫通孔
213 鍔部
214 第1突出部
221 第2筒部
222 第2貫通孔
223 凹部
224 第2突出部
311 開口
331 開口
421 貫通孔
511 開口
1011 上部筐体
1012 開口
1013 下部筐体
1021 シャフト
1031 出力軸部
2111 外周面
2131 外周面
2132 第1係合部
2133 第2係合部
2211 外周面
2212 内周面
2231 内周面
2232 第3係合部
2233 第4係合部
Da 軸方向
Da1 軸方向一方
Da2 軸方向他方
Db 駆動方向
Db1 駆動方向一方
Db2 駆動方向他方
Dc 方向
II 一点鎖線
IV 一点鎖線
J 回転軸
P1 第1中心軸
P2 第2中心軸
V1 第1偏心ベクトル
V2 第2偏心ベクトル
Vc 合成偏心ベクトル
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9