(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091445
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
D02J 1/22 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
D02J1/22 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023189384
(22)【出願日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2022205932
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】堀本 尭幸
(72)【発明者】
【氏名】北川 重樹
【テーマコード(参考)】
4L036
【Fターム(参考)】
4L036MA04
4L036PA05
4L036PA18
4L036UA21
(57)【要約】
【課題】新たに製造される加熱装置及び既存の加熱装置のいずれにおいても、接糸部材の形状のバラツキを抑制する。
【解決手段】第1加熱装置13は、接糸面57を有する接糸部材43と、加熱部41(取付部)と、接糸部材保持部60とを備える。接糸部材保持部60は、撓ませ部61(他方側規制部)と、形状補正部材64とを有する。形状補正部材64は、撓ませ部61を構成する部材とは別の部材で形成され、第1方向において少なくとも撓ませ部61との間に接糸部材43を挟むように配置され、且つ接糸部材43に対して第1方向の成分を有する補正力を加えるように構成されている。形状補正部材64は、少なくとも延在方向に延び接糸部材43に接触することにより補正力を接糸部材43に加えるための押圧面67を有する。押圧面67の第2方向と直交する断面曲線67cが、所定の曲率を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行中の糸を加熱する加熱装置であって、
少なくとも所定の延在方向に延びており前記糸が接触するように構成された接糸面、を有する接糸部材と、
前記延在方向に延び、前記接糸部材を加熱可能に構成された加熱部と、
前記加熱部を含み、前記接糸部材が取り付けられる取付部と、
前記接糸部材を前記取付部に取り付けた状態で保持する接糸部材保持部と、を備え、
前記接糸面は、少なくとも前記延在方向に延び、且つ、少なくとも、前記延在方向と直交する所定の第1方向における一方側を向いており、
前記接糸部材保持部は、
前記接糸部材の前記第1方向における他方側への移動を規制するように構成された他方側規制部と、
前記他方側規制部を構成する部材とは別の部材で形成され、前記第1方向において少なくとも前記他方側規制部との間に前記接糸部材を挟むように配置され、前記第1方向の成分を有する補正力を前記接糸部材に加えるように構成された形状補正部材と、を有し、
前記形状補正部材は、少なくとも前記延在方向に延びた、前記接糸部材に前記補正力を加えるための押圧面を有し、
前記押圧面の、前記延在方向及び前記第1方向の両方に直交する第2方向と直交する断面曲線が、所定の曲率を有することを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記接糸部材保持部は、前記接糸部材を前記取付部に脱着可能に保持することを特徴とする請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記取付部は、
前記他方側規制部よりも前記第1方向における一方側に配置され、前記接糸部材の脱着の際に前記接糸部材が前記第1方向に通過することが可能な脱着通路、を有し、
前記形状補正部材を前記接糸部材に対して移動可能に保持する補正部材保持部を備え、
前記形状補正部材は、
前記押圧面が前記脱着通路の中に配置され且つ前記接糸部材に接触している押圧位置と、前記押圧面が前記脱着通路の外に配置され且つ前記接糸部材に接触していない非押圧位置と、の間で移動させられることが可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記補正部材保持部は、前記形状補正部材を前記取付部に脱着可能に保持するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記補正部材保持部は、
前記取付部の前記延在方向における一方の端部に設けられ且つ前記第2方向に延びた揺動軸、を軸中心として前記形状補正部材を揺動可能に支持する揺動支持部と、
前記取付部の前記延在方向における他方の端部に設けられ、前記形状補正部材の揺動を許可する許可状態と、前記押圧位置に位置している前記形状補正部材の揺動を禁止する禁止状態との間で状態を切換可能に構成された切換部と、を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記切換部は、
前記取付部及び前記形状補正部材の一方に取り付けられた第1係合部材と、
前記取付部及び前記形状補正部材の他方に取り付けられ、前記第1係合部材に係合することにより前記切換部の状態を前記禁止状態にする係合位置と、前記第1係合部材への係合が解除されることにより前記切換部の状態を前記許可状態にする解除位置との間で位置が切り換えられることが可能に構成された第2係合部材と、
操作されることによって前記第2係合部材を前記係合位置と前記解除位置との間で移動させることが可能に構成された操作部材と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記第2係合部材は、前記取付部及び前記形状補正部材の前記他方に回転可能に取り付けられ、且つ、回転させられることにより前記係合位置と前記解除位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記操作部材は、
前記第2係合部材と一体的に回転可能に構成されたツマミ部を有することを特徴とする請求項7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記ツマミ部は、前記第2係合部材が前記係合位置に位置していることを示す第1状態と、前記第2係合部材が前記解除位置に位置していることを示す、前記第1状態とは異なる第2状態との間で状態を変更可能に構成されていることを特徴とする請求項8に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記係合位置は、所定の回転方向において前記解除位置と所定角度異なる第1係合位置と、前記所定の回転方向と逆方向において前記解除位置と前記所定角度異なる第2係合位置と、を含み、
前記解除位置は、前記所定の回転方向において前記係合位置と前記所定角度異なる第1解除位置と、前記逆方向において前記係合位置と前記所定角度異なる第2解除位置と、を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の加熱装置。
【請求項11】
前記接糸部材保持部は、
前記取付部に取り付けられた前記接糸部材のうち、前記形状補正部材よりも前記延在方向における一方側の部分の前記第1方向における前記一方側への移動を規制する第1一方側規制部と、
前記取付部に取り付けられた前記接糸部材のうち、前記形状補正部材よりも前記延在方向における他方側の部分の前記第1方向における前記一方側への移動を規制する第2一方側規制部と、を有することを特徴とする請求項3~10のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項12】
前記第1一方側規制部及び前記第2一方側規制部は、前記接糸部材の前記第1方向における前記他方側への移動も規制可能に構成されていることを特徴とする請求項11に記載の加熱装置。
【請求項13】
前記接糸部材保持部は、
前記他方側規制部を含み、前記形状補正部材が前記押圧位置に位置しているとき及び前記非押圧位置に位置しているときのいずれにおいても、前記取付部に取り付けられた接糸部材を前記第1方向に弾性変形させた状態で保持可能に構成された弾性変形保持部、を有することを特徴とする請求項3~12のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項14】
前記弾性変形保持部は、複数の前記他方側規制部を有し、
前記複数の他方側規制部は、前記所定の曲率に対応して配置されていることを特徴とする請求項13に記載の加熱装置。
【請求項15】
前記形状補正部材は、板金部材で構成されていることを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項16】
前記押圧面は、前記板金部材の端面で形成されていることを特徴とする請求項15に記載の加熱装置。
【請求項17】
前記接糸部材は、
前記接糸面の前記第2方向における両側に形成され且つ前記第1方向において前記接糸面よりも前記一方側へ延びた一対の規制壁を有し、
前記一対の規制壁の各々は、
少なくとも前記延在方向に延び、且つ少なくとも前記第1方向における前記一方側を向いた縁面を有し、
前記形状補正部材の前記押圧面は、前記一対の規制壁の各々に形成された前記縁面のうち一方のみと接触することを特徴とする請求項1~16のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項18】
前記第2方向において、前記押圧面の両端のうち前記接糸面に近い側の端は、前記一対の規制壁の各々に形成された前記縁面の前記一方の両端のうち前記接糸面に近い側の端の位置である端部位置と同じ位置に配置され、又は前記端部位置よりも前記接糸面に近い側の位置に配置されていることを特徴とする請求項17に記載の加熱装置。
【請求項19】
前記接糸部材は、前記糸に含まれる第1の糸が接触させられる第1接糸部材と、前記第1接糸部材と前記第2方向において並べて配置され、前記糸に含まれる第2の糸が接触させられる第2接糸部材と、を含み、
前記形状補正部材は、
前記補正力に含まれる第1補正力を前記第1接糸部材に加えるための前記押圧面である第1押圧面と、
前記補正力に含まれる第2補正力を前記第2接糸部材に加えるための前記押圧面である第2押圧面と、
前記第2方向において前記第1押圧面と前記第2押圧面との間に配置された接続部と、を有することを特徴とする請求項1~18のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項20】
前記形状補正部材の前記第1方向に関する曲げ剛性は、前記接糸部材の前記第1方向に関する曲げ剛性よりも大きいことを特徴とする請求項1~19のいずれかに記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸を加熱する加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、走行している糸を仮撚加工する仮撚加工機(繊維機械)に設けられた加熱装置が開示されている。より詳細には、加熱装置は、シーズヒータ(熱源)と、所定の延在方向に延びた加熱体(加熱部)と、加熱部に取り付けられており熱源によって加熱されるように構成された接触プレート(接糸部材)とを有する。接糸部材は、糸が確実に接触させられるように湾曲した接糸面を有する。これにより、接糸面に接触しつつ走行している糸が熱伝導により加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には記載されていないが、接糸面の摩耗抑制等のために、接糸部材の表面に対して熱処理(窒化処理等)が施される場合がある。すると、熱処理によって接糸部材が意図せず変形し、接糸面の曲率が、意図された曲率と大きく異なりうることが分かった。また、熱処理による変形後の接糸部材の形状が、複数の接糸部材間で大きくばらつきうる。このため、接糸面に接触することによって加熱される糸の品質が、複数の接糸部材間でばらつくおそれがあることも分かった。この問題は、新たに製造される加熱装置及び既存の加熱装置のいずれにおいても生じうる。
【0005】
本発明の目的は、新たに製造される加熱装置及び既存の加熱装置のいずれにおいても、接糸部材の形状のバラツキを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の加熱装置は、走行中の糸を加熱する加熱装置であって、少なくとも所定の延在方向に延びており前記糸が接触するように構成された接糸面、を有する接糸部材と、前記延在方向に延び、前記接糸部材を加熱可能に構成された加熱部と、前記加熱部を含み、前記接糸部材が取り付けられる取付部と、前記接糸部材を前記取付部に取り付けた状態で保持する接糸部材保持部と、を備え、前記接糸面は、少なくとも前記延在方向に延び、且つ、少なくとも、前記延在方向と直交する所定の第1方向における一方側を向いており、前記接糸部材保持部は、前記接糸部材の前記第1方向における他方側への移動を規制するように構成された他方側規制部と、前記他方側規制部を構成する部材とは別の部材で形成され、前記第1方向において少なくとも前記他方側規制部との間に前記接糸部材を挟むように配置され、前記第1方向の成分を有する補正力を前記接糸部材に加えるように構成された形状補正部材と、を有し、前記形状補正部材は、少なくとも前記延在方向に延びた、前記接糸部材に前記補正力を加えるための押圧面を有し、前記押圧面の、前記延在方向及び前記第1方向の両方に直交する第2方向と直交する断面曲線が、所定の曲率を有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、他方側規制部によって接糸部材の第1方向における大まかな位置を規定できる。その上で、本発明では、形状補正部材によって補正力を接糸部材に加えることにより、接糸部材の形状を補正できる。より具体的には、押圧面によって押圧力を接糸部材に加えることにより、接糸部材のうち押圧面と接触している部分の断面曲線の曲率を、押圧面の断面曲線の曲率と略等しくすることができる。さらに、本発明では、形状補正部材が、他方側規制部を構成する部材とは別の部材で構成されている。このため、既存の加熱装置に形状補正部材を追加で設けることができる。これによって、当該加熱装置に取り付けられた接糸部材の形状を補正できる。したがって、新たに製造される加熱装置及び既存の加熱装置のいずれにおいても、接糸部材の形状のバラツキを抑制できる。
【0008】
第2の発明の加熱装置は、前記第1の発明において、前記接糸部材保持部は、前記接糸部材を前記取付部に脱着可能に保持することを特徴とする。
【0009】
一般的に、走行する糸が接触する部材は、定期的又は不定期に清掃される必要がある。また、加熱装置は、清掃を行う作業者の身長よりも高い位置に設置される場合がある。本発明では、接糸部材が、清掃される際に取付部から取り外されることが可能である。したがって、接糸部材の清掃作業の効率を向上させることができる。
【0010】
第3の発明の加熱装置は、前記第2の発明において、前記取付部は、前記他方側規制部よりも前記第1方向における一方側に配置され、前記接糸部材の脱着の際に前記接糸部材が前記第1方向に通過することが可能な脱着通路、を有し、前記形状補正部材を前記接糸部材に対して移動可能に保持する補正部材保持部を備え、前記形状補正部材は、前記押圧面が前記脱着通路の中に配置され且つ前記接糸部材に接触している押圧位置と、前記押圧面が前記脱着通路の外に配置され且つ前記接糸部材に接触していない非押圧位置と、の間で移動させられることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
取付部は、例えば、接糸部材をその長尺方向に引き抜くことにより接糸部材が取り外され、且つ、接糸部材をその長尺方向に押し入れることにより接糸部材が取り付けられるように構成されていても良い。しかしながら、このような構成では、長尺方向において加熱装置と隣接する脱着用の長い空間が必要となり、加熱装置の周辺のレイアウトに大きな制約が生じてしまう。この点、本発明では、接糸部材を第1方向に動かすことにより、接糸部材を取付部に脱着できる。このような場合、長尺方向において加熱装置と隣接する長い空間は必要ない。したがって、加熱装置の周辺のレイアウトに制約が生じることを抑制できる。
【0012】
第4の発明の加熱装置は、前記第3の発明において、前記補正部材保持部は、前記形状補正部材を前記取付部に脱着可能に保持するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明では、形状補正部材を取付部から取り外して取付部から離隔させることができる。したがって、接糸部材が取付部に脱着される脱着作業が行われる際に、非押圧位置に位置している形状補正部材が取付部の近くに配置されている場合と比べて、接糸部材の脱着作業の邪魔になることを防止できる。
【0014】
第5の発明の加熱装置は、前記第3又は第4の発明において、前記補正部材保持部は、前記取付部の前記延在方向における一方の端部に設けられ且つ前記第2方向に延びた揺動軸、を軸中心として前記形状補正部材を揺動可能に支持する揺動支持部と、前記取付部の前記延在方向における他方の端部に設けられ、前記形状補正部材の揺動を許可する許可状態と、前記押圧位置に位置している前記形状補正部材の揺動を禁止する禁止状態との間で状態を切換可能に構成された切換部と、を有することを特徴とする。
【0015】
形状補正部材が例えば取付部にねじ止めされていても良いが、この場合、延在方向における複数箇所において取付部にねじが固定される必要がある。このため、形状補正部材を押圧位置から非押圧位置に移動させるために、延在方向における複数箇所においてねじを緩め又は取付部から取り外す必要が生じ、作業者の手間がかかる。本発明では、形状補正部材を揺動させるだけで、形状補正部材を押圧位置と非押圧位置との間で移動させることができる。また、切換部を操作するだけで、形状補正部材の揺動を許可又は禁止できる。したがって、作業者の手間を軽減できる。
【0016】
第6の発明の加熱装置は、前記第5の発明において、前記切換部は、前記取付部及び前記形状補正部材の一方に取り付けられた第1係合部材と、前記取付部及び前記形状補正部材の他方に取り付けられ、前記第1係合部材に係合することにより前記切換部の状態を前記禁止状態にする係合位置と、前記第1係合部材への係合が解除されることにより前記切換部の状態を前記許可状態にする解除位置との間で位置が切り換えられることが可能に構成された第2係合部材と、操作されることによって前記第2係合部材を前記係合位置と前記解除位置との間で移動させることが可能に構成された操作部材と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明では、操作部材を操作して第1係合部材と第2係合部材との係合及び係合の解除とを切り換えるだけで、形状補正部材の揺動を許可又は禁止できる。したがって、作業者の手間をさらに軽減できる。
【0018】
第7の発明の加熱装置は、前記第6の発明において、前記第2係合部材は、前記取付部及び前記形状補正部材の前記他方に回転可能に取り付けられ、且つ、回転させられることにより前記係合位置と前記解除位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明では、第2係合部材が例えば平行移動する構成と比べて、第2係合部材の移動に必要なスペースをコンパクトにすることができる。したがって、切換部の大型化を抑制できる。
【0020】
第8の発明の加熱装置は、前記第7の発明において、前記操作部材は、前記第2係合部材と一体的に回転可能に構成されたツマミ部を有することを特徴とする。
【0021】
本発明では、作業者がツマミ部を操作するだけで、第2係合部材を係合位置と解除位置との間で容易に移動させることができる。
【0022】
第9の発明の加熱装置は、前記第8の発明において、前記ツマミ部は、前記第2係合部材が前記係合位置に位置していることを示す第1状態と、前記第2係合部材が前記解除位置に位置していることを示す、前記第1状態とは異なる第2状態との間で状態を変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明では、第2係合部材の位置を視認できない場合でも、ツマミ部の状態を確認することによって、第2係合部材が係合位置に位置しているか解除位置に位置しているか知ることができる。したがって、第2係合部材の位置の誤認に起因して発生しうる作業ミスを抑制できる。
【0024】
第10の発明の加熱装置は、前記第8又は第9の発明において、前記係合位置は、所定の回転方向において前記解除位置と所定角度異なる第1係合位置と、前記所定の回転方向と逆方向において前記解除位置と前記所定角度異なる第2係合位置と、を含み、前記解除位置は、前記所定の回転方向において前記係合位置と前記所定角度異なる第1解除位置と、前記逆方向において前記係合位置と前記所定角度異なる第2解除位置と、を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明では、作業者の利き手によらず、第2係合部材を係合位置と解除位置との間で移動させる際の操作部材の操作性を同じにすることができる。
【0026】
第11の発明の加熱装置は、前記第3~第10のいずれかの発明において、前記接糸部材保持部は、前記取付部に取り付けられた前記接糸部材のうち、前記形状補正部材よりも前記延在方向における一方側の部分の前記第1方向における前記一方側への移動を規制する第1一方側規制部と、前記取付部に取り付けられた前記接糸部材のうち、前記形状補正部材よりも前記延在方向における他方側の部分の前記第1方向における前記一方側への移動を規制する第2一方側規制部と、を有することを特徴とする。
【0027】
本発明では、形状補正部材が非押圧位置に位置している状態でも、他方側規制部、第1一方側規制部及び第2一方側規制部によって接糸部材を保持できる。したがって、形状補正部材を押圧位置から非押圧位置に移動させた際に、接糸部材が取付部から意図せず脱落することを防止できる。
【0028】
第12の発明の加熱装置は、前記第11の発明において、前記第1一方側規制部及び前記第2一方側規制部は、前記接糸部材の前記第1方向における前記他方側への移動も規制可能に構成されていることを特徴とする。
【0029】
第1一方側規制部及び第2一方側規制部が接糸部材の第1方向における一方側への移動のみ規制可能である場合、接糸部材のうち延在方向において第1一方側規制部及び第2一方側規制部の両外側且つ形状補正部材の両外側に位置している部分(以下、両外側部分)の形状を補正しきれない可能性がある。本発明では、両外側部分の第1方向における位置を所定範囲内に収めることができる。したがって、接糸面の形状をさらに理想の形状に近づけることができる。
【0030】
第13の発明の加熱装置は、前記第3~第12のいずれかの発明において、前記接糸部材保持部は、前記他方側規制部を含み、前記形状補正部材が前記押圧位置に位置しているとき及び前記非押圧位置に位置しているときのいずれにおいても、前記取付部に取り付けられた接糸部材を前記第1方向に弾性変形させた状態で保持可能に構成された弾性変形保持部、を有することを特徴とする。
【0031】
本発明では、力を加えられていない状態の接糸部材が例えば略直線状に延びている場合であっても、弾性変形保持部によって接糸部材を大まかに弾性変形させた状態で保持できる。これにより、形状補正部材によって補正される前の接糸部材の形状を、予め押圧面に概ね沿った形状にすることができる。このため、形状補正部材のみによって接糸部材の形状を大きく補正する場合と比べて、小さい力で接糸部材の形状を補正できる。
【0032】
第14の発明の加熱装置は、前記第13の発明において、前記弾性変形保持部は、複数の前記他方側規制部を有し、前記複数の他方側規制部は、前記所定の曲率に対応して配置されていることを特徴とする。
【0033】
本発明では、複数の他方側規制部によって、接糸部材の曲率を予め所定の曲率に近づけるように弾性変形させることができる。したがって、形状補正部材によって、さらに小さい力で接糸部材の形状を補正できる。
【0034】
第15の発明の加熱装置は、前記第1~第14のいずれかの発明において、前記形状補正部材は、板金部材で構成されていることを特徴とする。
【0035】
本発明では、一般的に普及された板金部材を用いて形状補正部材を形成できる。したがって、部材コストを削減できる。
【0036】
第16の発明の加熱装置は、前記第15の発明において、前記押圧面は、前記板金部材の端面で形成されていることを特徴とする。
【0037】
押圧面が板金部材の表面(広い面)で形成されていても良いが、この場合、押圧面が第2方向において必然的に広くなる。本発明では、押圧面が板金部材の端面で形成されているので、形状補正部材の厚み方向が上記の第2方向に対応する。このため、押圧面を第2方向において狭くすることができる。このような構成は、接糸部材の第2方向における狭い部分にのみ形状補正部材を接触させる必要がある場合に有効である。
【0038】
第17の発明の加熱装置は、前記第1~第16のいずれかの発明において、前記接糸部材は、前記接糸面の前記第2方向における両側に形成され且つ前記第1方向において前記接糸面よりも前記一方側へ延びた一対の規制壁を有し、前記一対の規制壁の各々は、少なくとも前記延在方向に延び、且つ少なくとも前記第1方向における前記一方側を向いた縁面を有し、前記形状補正部材の前記押圧面は、前記一対の規制壁の各々に形成された前記縁面のうち一方のみと接触することを特徴とする。
【0039】
押圧面が一対の縁面の両方に接触するように構成されていても良いが、この場合、形状補正部材が第2方向において大型化して糸掛けの邪魔になり、或いは形状補正部材の構造が複雑化するおそれがある。本発明では、押圧面が一方の縁面にのみ接触するため、形状補正部材を第2方向においてコンパクト化でき、且つ、形状補正部材の構造の複雑化を抑制できる。
【0040】
第18の発明の加熱装置は、前記第17の発明において、前記第2方向において、前記押圧面の両端のうち前記接糸面に近い側の端は、前記一対の規制壁の各々に形成された前記縁面の前記一方の両端のうち前記接糸面に近い側の端の位置である端部位置と同じ位置に配置され、又は前記端部位置よりも前記接糸面に近い側の位置に配置されていることを特徴とする。
【0041】
接糸部材への糸掛けが行われる際、糸は、第2方向において一対の縁面の内側を通され、接糸面に接触させられる。このとき、第2方向において、押圧面の接糸面に近い側の端が端部位置よりも接糸面から遠い場合、糸掛け時に、接糸部材と形状補正部材との間に生じる段差に糸が引っ掛かるおそれがある。これにより、糸掛けが妨げられる等のおそれがある。本発明では、このような問題の発生を抑制できる。
【0042】
第19の発明の加熱装置は、前記第1~第18のいずれかの発明において、前記接糸部材は、前記糸に含まれる第1の糸が接触させられる第1接糸部材と、前記第1接糸部材と前記第2方向において並べて配置され、前記糸に含まれる第2の糸が接触させられる第2接糸部材と、を含み、前記形状補正部材は、前記補正力に含まれる第1補正力を前記第1接糸部材に加えるための前記押圧面である第1押圧面と、前記補正力に含まれる第2補正力を前記第2接糸部材に加えるための前記押圧面である第2押圧面と、前記第2方向において前記第1押圧面と前記第2押圧面との間に配置された接続部と、を有することを特徴とする。
【0043】
本発明では、第2方向に並べて配置された複数の接糸部材の形状を1つの形状補正部材で補正できる。したがって、1つの形状補正部材で1つのみの接糸部材の形状が補正される構成と比べて、部品コストを削減できる。
【0044】
第20の発明の加熱装置は、前記第1~第19のいずれかの発明において、前記形状補正部材の前記第1方向に関する曲げ剛性は、前記接糸部材の前記第1方向に関する曲げ剛性よりも大きいことを特徴とする。
【0045】
本発明では、作用反作用の法則によって形状補正部材が接糸部材に押し返されたときに、形状補正部材が変形してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本実施形態の第1加熱装置を備える仮撚加工機の側面図である。
【
図2】(a)~(e)は、第1加熱装置の構造を示す説明図である。
【
図3】(a)、(b)は、第1加熱装置の構造を示す説明図である。
【
図4】(a)、(b)は、保持部を第2方向から見た模式図である。
【
図5】(a)~(f)は、製造される時に変形した接糸部材において生じる問題を示す説明図である。
【
図7】(a)~(d)は、引掛部を延在方向から見た図である。
【
図8】(a)、(b)は、引掛部を第2方向から見た図である。
【
図9】(a)は、補正部材保持部を第2方向から見た図であり、(b)、(c)は、補正部材保持部の延在方向における一方側の端部を示す説明図である。
【
図10】(a)、(b)は、切換部を示す説明図である。
【
図11】(a)、(b)は、切換部を示す説明図である。
【
図12】(a)~(c)は、第1加熱装置からの形状補正部材の取外しの手順を示す説明図である。
【
図13】(a)、(b)は、変形例に係る第1加熱装置の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
図1の紙面垂直方向を機台長手方向とする。
図1の紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向及び機台幅方向の両方と直交する方向を、重力の作用する上下方向(鉛直方向)とする。
【0048】
(仮撚加工機の全体構成)
本実施形態の第1加熱装置13(本発明の加熱装置。より詳細については後述)を備える仮撚加工機1の全体構成について、
図1を参照しつつ説明する。
図1は、仮撚加工機1の側面図である。
【0049】
仮撚加工機1は、合成繊維(例えばポリエステル)からなる糸Yを仮撚加工可能に構成されている。糸Yは、例えば複数のフィラメントからなるマルチフィラメント糸である。或いは、糸Yは、1本のフィラメントによって構成されていても良い。仮撚加工機1は、給糸部2と、加工部3と、巻取部4とを備える。給糸部2は、糸Yを供給可能に構成されている。加工部3は、給糸部2から糸Yを引き出して仮撚加工するように構成されている。巻取部4は、加工部3によって加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取るように構成されている。給糸部2、加工部3及び巻取部4が有する各構成要素は、機台長手方向において複数配列されている(図示省略)。機台長手方向は、給糸部2から加工部3を通って巻取部4に至る糸道によって形成される、糸Yの走行面(
図1の紙面)と直交する方向である。
【0050】
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド7を有し、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、給糸部2から複数の糸Yを引き出して加工するように構成されている。加工部3は、糸走行方向における上流側から順に、例えば、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、交絡装置17、第3フィードローラ18、第2加熱装置19、第4フィードローラ20が配置された構成となっている。巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取ボビンBwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。
【0051】
仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台8及び巻取台9を有する。主機台8及び巻取台9は、機台長手方向に略同じ長さに延びるように設けられている。主機台8及び巻取台9は、機台幅方向において互いに対向するように配置されている。仮撚加工機1は、1組の主機台8及び巻取台9を含む、スパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンにおいては、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を施すことができるように各装置が配置されている。仮撚加工機1は、このスパンが、主機台8の機台幅方向の中心線Cを対称軸として、紙面左右対称に配置されている(主機台8は、左右のスパンで共通のものとなっている)。また、複数のスパンが、機台長手方向に配列されている。
【0052】
(加工部の構成)
加工部3の構成について、
図1を参照しつつ説明する。第1フィードローラ11は、給糸部2に装着された給糸パッケージPsから糸Yを解舒して第1加熱装置13へ送るように構成されている。第1フィードローラ11は、例えば、1本の糸Yを第1加熱装置13へ送るように構成されている。或いは、第1フィードローラ11は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。撚止ガイド12は、仮撚装置15で糸Yに付与された撚りが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側に伝播しないように構成されている。
【0053】
第1加熱装置13は、第1フィードローラ11から送られてきた糸Yを所定の加工温度に加熱するための装置である。第1加熱装置13は、例えば、2本の糸Yを加熱可能に構成されている。第1加熱装置13の下側には、作業者が糸掛け等の作業を行うための作業空間Sが形成されている。第1加熱装置13のより詳細については後述する。
【0054】
冷却装置14は、第1加熱装置13で加熱された糸Yを冷却するように構成されている。冷却装置14は、例えば、1本の糸Yを冷却するように構成されている。或いは、冷却装置は、複数の糸Yを同時に冷却可能に構成されていても良い。仮撚装置15は、冷却装置14の糸走行方向下流側に配置され、糸Yに撚りを付与するように構成されている。仮撚装置15は、例えば、いわゆるディスクフリクション方式の仮撚装置であるが、これには限られない。第2フィードローラ16は、仮撚装置15で処理された糸Yを交絡装置17へ送るように構成されている。第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度は、第1フィードローラ11による糸Yの搬送速度よりも速い。これにより、糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸仮撚される。
【0055】
交絡装置17は、糸Yに交絡を付与するように構成されている。交絡装置17は、例えば、空気流によって糸Yに交絡を付与する公知のインターレースノズルを有する。
【0056】
第3フィードローラ18は、交絡装置17よりも糸走行方向における下流側を走行している糸Yを第2加熱装置19へ送るように構成されている。第3フィードローラ18は、例えば、1本の糸Yを第2加熱装置19へ送るように構成されている。或いは、第3フィードローラ18は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。なお、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度は、第2フィードローラ16による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩される。第2加熱装置19は、第3フィードローラ18から送られてきた糸Yを加熱するように構成されている。第2加熱装置19は、鉛直方向に沿って延びており、1つのスパンに1つずつ設けられている。第4フィードローラ20は、第2加熱装置19によって加熱された糸Yを巻取装置21へ送るように構成されている。第4フィードローラ20は、例えば、1本の糸Yを巻取装置21へ送ることが可能に構成されている。或いは、第4フィードローラ20は、隣り合う複数の糸Yをそれぞれ糸走行方向における下流側へ送ることが可能に構成されていても良い。第4フィードローラ20による糸Yの搬送速度は、第3フィードローラ18による糸Yの搬送速度よりも遅い。このため、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩される。
【0057】
以上のように構成された加工部3では、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸された糸Yが、仮撚装置15によって撚られる。仮撚装置15により形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播するが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱されて熱固定された後、冷却装置14で冷却される。仮撚装置15よりも糸走行方向下流側では糸Yは解撚されるが、上記の熱固定によって糸Yが波状に仮撚りされた状態が維持される(すなわち、糸Yの捲縮が維持される)。
【0058】
仮撚りが施された糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛緩されながら、交絡装置17によって交絡が付与された後、糸走行方向下流側へ案内される。さらに、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛緩されながら、第2加熱装置19で熱処理される。最後に、第4フィードローラ20から送られた糸Y巻取装置21によって巻き取られる。
【0059】
(巻取部)
巻取部4は、複数の巻取装置21を有する。各巻取装置21は、例えば1つの巻取ボビンBwに糸Yを巻取可能に構成されている。上述した第4フィードローラ20から送られた糸Yが各巻取装置21によって巻取ボビンBwに巻き取られ、巻取パッケージPwが形成される。
【0060】
(第1加熱装置)
次に、第1加熱装置13のより具体的な構成について、
図2(a)~(e)及び
図3(a)、(b)を参照しつつ説明する。
図2(a)は、第1加熱装置13を機台長手方向から見た図である。
図2(a)において、第1加熱装置13は、紙面左右方向に沿って延びるように記載されている。
図2(b)は、第1加熱装置13の、機台長手方向に直交する断面図である。
図2(b)においては、接糸部材43(後述)の接糸面57(後述)が記載されている。
図2(c)は、
図2(b)の紙面左側端部の拡大図である。
図2(d)は、第1加熱装置13のうち接糸部材43の延在方向における端部を抜粋して拡大した図である。
図2(e)は、
図2(d)のII(e)-II(e)線断面図である。
図3(a)は、
図2(a)のIII(a)矢視図である。
図3(b)は、
図2(a)のIII(b)-III(b)線断面図である。
【0061】
説明の便宜上、
図2(a)、(b)における紙面左右方向を第1加熱装置13が延びる延在方向とする。延在方向は、機台長手方向と直交している。
図2(a)、(b)における紙面左側を延在方向における一方側と定義し、紙面右側を延在方向における他方側と定義する。また、機台長手方向及び延在方向の両方と直交する方向を第1方向とする。
図2(a)、(b)及び
図3(a)、(b)における紙面下側を第1方向における一方側と定義し、紙面上側を第1方向における他方側と定義する。図示は省略するが、
図2(c)~(e)についても同様である。より詳しく説明すると、第1加熱装置13において、第1方向における一方側は、作業空間S(
図1参照)に近い側である。以下では、第1方向における一方側を「作業空間S側」とも呼ぶ。また、第1方向における他方側を「作業空間Sと反対側」とも呼ぶ。また、以下では、機台長手方向を第2方向(
図2(e)、
図3(a)、(b)参照)とも呼ぶ。第2方向は、延在方向及び第1方向の両方と直交している。第2方向は、後述する2つの接糸部材43の各々の幅方向に相当する。
【0062】
第1加熱装置13は、走行する糸Yを加熱するように構成されている。本実施形態では、第1加熱装置13は、例えば2本の糸Y(糸YA、YB。
図3(a)参照))を加熱可能に構成されている。第1加熱装置13は、2つの加熱部41(加熱部41A、41B。本発明の取付部)と、熱源42と、2つの接糸部材43(接糸部材43A、43B)とを有する。第1加熱装置13は、加熱部41A、41Bにそれぞれ取り付けられた接糸部材43A、43Bを熱源42によって加熱し、走行中の糸YA、YBを接糸部材43A、43Bにそれぞれ接触させるように構成されている。これによって、糸YA、YBが加熱される。接糸部材43Aが、本発明の第1接糸部材に相当する。接糸部材43Bが、本発明の第2接糸部材に相当する。糸YAが、本発明の第1の糸に相当する。糸YBが、本発明の第2の糸に相当する。
【0063】
加熱部41(本発明の取付部、及び、本発明の取付部及び形状補正部材の一方)は、熱源42によって加熱されるように構成されている。加熱部41は、熱源42によって生成される熱を主に熱伝導によって接糸部材43に伝えるように構成されている。これにより、加熱部41は、接糸部材43を加熱する。加熱部41は、延在方向に沿って略直線状に延びている。加熱部41の延在方向における長さは、例えば1.0m以上1.5m以下である。
図3(a)、(b)に示すように、加熱部41A、41Bは、延在方向から見たときに、熱源42を挟んで互いに線対称に構成されている。図示は省略するが、延在方向から見たときに、断熱部材(不図示)が加熱部41の周りに配置されている。各加熱部41(加熱部41A、41B)は、例えば、第1加熱部材54(第1加熱部材54A、54B)と、第2加熱部材55(第2加熱部材55A、55B)とを有する。第1加熱部材54及び第2加熱部材55は同じ種類の材料(例えば真鍮)によって構成されていても良い。或いは、第1加熱部材54及び第2加熱部材55は、互いに異なる種類の材料によって構成されていても良い。
【0064】
第1加熱部材54は、例えば、延在方向と直交する断面が概ね長方形状の部材である(
図3(b)参照)。当該断面において、第1加熱部材54は、例えば、第1方向に長く延びている。第1加熱部材54は、熱源42に接触するように構成されている。第1加熱部材54の熱源42との接触面は、熱源42の外形に沿った形状を有している。第1加熱部材54Aと第1加熱部材54Bは、第2方向において互いに隣接するように配置されている。第1加熱部材54Aと第1加熱部材54Bは、熱源42を囲うように配置されている。
【0065】
第2加熱部材55は、例えば、延在方向と直交する断面が略L字状の部材である(
図3(b)参照)。当該断面において、第2加熱部材55は、例えば、第1方向に長く延びている。当該断面において、第2加熱部材55の第1方向における他方側部分は、第2方向において、同じ加熱部41に属する第1加熱部材54側へ突出している。第2加熱部材55は、同じ加熱部41に属する第1加熱部材54と第2方向において隣接するように配置されている。第2加熱部材55のうち、上述したように第2方向に突出した部分が、当該第1加熱部材54と接触している。第2方向において、第1加熱部材54と第2加熱部材55との間には、第1方向における一方側(作業空間S側)が開口した収容空間56(収容空間56A、56B)が形成されている。収容空間56は、例えば、延在方向と直交する断面が第1方向に長く延びた略長方形状を有する。収容空間56(本発明の脱着通路)は、接糸部材43を収容するための空間である。収容空間56は、例えば加熱部41の第1方向における作業空間S側に設けられた不図示の蓋によって開閉されても良い。
【0066】
第1加熱部材54及び第2加熱部材55の形状は、上述したものに限られない。或いは、加熱部41は、第1加熱部材54及び第2加熱部材55の代わりに、一体的に形成された加熱部材(不図示)を有していても良い。例えば、1つの中実の棒状部材が切削加工されることによって、第1加熱部材54と第2加熱部材55とを合わせた形状を有する加熱部材が形成されていても良い。
【0067】
延在方向において、加熱部41の端及びその近傍部分の位置には、加熱部41を部分的に囲うように配置されたカバー部材51が設けられている。カバー部材51は、延在方向から見たときに略U字状である。カバー部材51は、第1方向における一方側(作業空間S側)が開口している。
【0068】
熱源42は、加熱部41を介して接糸部材43を加熱するように構成されている。熱源42は、例えば公知のシーズヒータ(電熱ヒータ)である。シーズヒータは、電熱線(例えばコイル)と、電熱線を囲むパイプとを有する。シーズヒータは、電熱線に電流が流れているときにジュール熱を発生させる。熱源42は、延在方向に沿って延びている(
図2(a)参照)。熱源42は、加熱部41によって囲われるように配置されている。
【0069】
各接糸部材43(接糸部材43A、43B)は、加熱部41に取り付けられた部材である。接糸部材43は、加熱部41(第1加熱部材54及び第2加熱部材55)によって加熱されるように構成されている。接糸部材43は、例えばステンレス鋼(SUS)からなる部材を切削加工することにより形成されている。接糸部材43は、少なくとも延在方向に延びている。接糸部材43A、43Bは、収容空間56A、56B内にそれぞれ収容されている。接糸部材43は、加熱部41に接触するように配置されている。接糸部材43の第2方向における内側部分には、少なくとも第1方向における一方側(作業空間S側)を向いた、糸Yが接触するように構成された接糸面57(
図2(d)、
図2(e)参照)が形成されている。接糸面57の第2方向における両側(両外側)には、糸Yの第2方向における移動を規制する一対の規制壁58が形成されている。接糸面57及び規制壁58によって、接糸部材43には、糸Yが走行するための糸道が形成されている。一対の規制壁58の第1方向における一方側の端には、第1方向における一方側を向いた一対の縁面58eが形成されている(
図2(d)、
図2(e)参照)。
【0070】
仮撚加工機1において、走行している糸Yが接糸面57に確実に接触するように、第1加熱装置13と撚止ガイド12との位置関係及び第1加熱装置13と冷却装置14との位置関係が適切に設定されている。また、糸Yには所定の張力が付与されている。これによって、第1方向において接糸面57側へ向かう力が糸Yに作用する。したがって、糸Yが接糸面57から離れてしまうことが防止される。
【0071】
以上の構成を有する第1加熱装置13において、熱源42によって生成された熱は、加熱部41(第1加熱部材54及び第2加熱部材55)を介して接糸部材43に伝えられる。これにより接糸部材43が加熱され、さらに、接糸部材43の接糸面57と接触している糸Yが加熱される(接触方式)。
【0072】
ここで、接糸面57の摩耗抑制等のために、接糸部材43の表面に対する熱処理(窒化処理等)が施される場合がある。すると、熱処理によって接糸部材43が意図せず変形し、接糸面57の第2方向に直交する断面曲線59(
図2(b)、(c)参照)の曲率が、意図された曲率と大きく異なりうる。また、熱処理による変形後の接糸部材43の形状が、複数の接糸部材43間で大きくばらつきうる。このため、接糸面57に接触することによって加熱される糸Yの品質が、複数の接糸部材43間でばらつくおそれがある(より具体的には後述する)。そこで、接糸部材43の形状のバラツキを抑制するため、第1加熱装置13は以下のような接糸部材保持部60を有する。
【0073】
(接糸部材保持部)
まず、接糸部材保持部60の概略構成について、
図3(a)~
図4(b)を参照しつつ説明する。
図4(a)及び
図4(b)は、接糸部材保持部60を第2方向から見た模式図である。以下、より具体的に、延在方向において、後述する撓ませ部61C(
図3(b)、
図4(a)及び
図4(b)参照)が配置された位置を基準位置とする。例えば
図4(a)及び
図4(b)において、撓ませ部61Cよりも紙面左側を延在方向における一方側とし、撓ませ部61Cよりも紙面右側を延在方向における他方側とする。また、以下では、第1加熱装置13における、2本の糸Yのうち一方の糸Yを加熱するための構成(より具体的には、
図3(a)の紙面右側に記載されたもの)のみについて説明する。2本の糸Yのうち他方の糸Yを加熱するための構成については、上記一方の糸Yを加熱するための構成と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
まず、本実施形態の接糸部材43の構造は、以下のとおりである。接糸部材43は、加熱部41に取り付けられる前の時点では、当然、加熱部41から外力を受けていない。この状態で、接糸部材43は、概ね直線状に延びている(例えば、
図4(a)の二点鎖線を参照)。この状態では、接糸面57も、接糸部材43の延びる方向に概ね直線状に延びている。
【0075】
接糸部材保持部60(
図3(a)~
図4(b)参照)は、接糸部材43を加熱部41に取り付けた状態で保持するように構成されている。より詳しくは、接糸部材保持部60は、接糸部材43を加熱部41に脱着可能に保持するように構成されている。また、接糸部材保持部60は、加熱部41に取り付けられた接糸部材43を弾性変形させた状態で保持するように構成されている。
図3(a)~
図4(b)に示すように、接糸部材保持部60は、例えば、複数の撓ませ部61(本発明の他方側規制部)と、引掛部62(本発明の第1一方側規制部)と、引掛部63(本発明の第2一方側規制部)と、形状補正部材64(本発明の取付部及び形状補正部材の他方)とを有する。複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63は、加熱部41に取り付けられている。複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63は、接糸部材43を第1方向に弾性変形させ、且つ、接糸部材43が弾性変形した状態を維持するように構成されている。複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63は、本発明の弾性変形保持部に相当する。形状補正部材64は、複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63によって保持された接糸部材43の形状を補正するための部材である。
【0076】
複数の撓ませ部61は、接糸部材43の延在方向における複数部分と接触し、接糸部材43の第1方向における他方側(作業空間Sと反対側)への移動を規制するように構成されている。複数の撓ませ部61は、接糸部材43よりも第1方向における他方側(作業空間Sと反対側)に配置されている。複数の撓ませ部61の各々は、接糸部材43のうち延在方向における一部と接触可能になっている。例えば、延在方向において第1加熱装置13の略中央に位置している撓ませ部61Cと、接糸部材43の延在方向における略中央に位置する第1部分43fとが接触している(
図3(b)、
図4(a)及び
図4(b)参照)。複数の撓ませ部61は、例えば、延在方向において間隔を空けて配置されている。複数の撓ませ部61のうち互いに隣り合う任意の2つの撓ませ部61の第1方向における位置は、互いにわずかに異なっている。複数の撓ませ部61は、後述する所定の曲率に対応して配置されている。複数の撓ませ部61の各々は、例えば加熱部41に対して移動不能である。このような複数の撓ませ部61により、第1部分43fを含む接糸部材43の複数部分(以下、説明の便宜上、延在方向における複数の内側部分と呼ぶ)の、第1方向における他方側への移動が規制される。複数の撓ませ部61の各々により、接糸部材43の延在方向における複数の内側部分に対して第1方向における一方側への力が加えられる(
図4(a)、
図4(b)の紙面下向きの矢印を参照)。各撓ませ部61のより詳細については後述する。
【0077】
引掛部62は、接糸部材43の第1部分43fよりも延在方向における一方側に配置された第2部分43s(後述。
図8(a)参照)の、第1方向における一方側(作業空間S側)への移動を規制するように構成されている。また、引掛部62は、第2部分43sの、第1方向における他方側への移動も規制するように構成されている。第2部分43sは、接糸部材43の延在方向における一方側の端部に配置されている。引掛部62は、第2部分43sに対して第1方向における他方側への力を加えるように構成されている(
図4(a)、
図4(b)の紙面上向きの矢印を参照)。引掛部62のより詳細については後述する。引掛部63は、接糸部材43の第1部分43fよりも延在方向における他方側に配置された第3部分43t(後述。
図8(b)参照)の、第1方向における一方側(作業空間S側)への移動を規制するように構成されている。また、引掛部63は、第3部分43tの、第1方向における他方側への移動も規制するように構成されている。第3部分43tは、接糸部材43の延在方向における他方側の端部に配置されている。引掛部63は、第3部分43tに対して第1方向における他方側への力を加えるように構成されている(
図4(a)、
図4(b)の紙面上向きの矢印を参照)。引掛部63のより詳細については後述する。
【0078】
複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63の上記配置により、接糸部材43は、
図4(a)、
図4(b)の実線に示すように、第2方向から見たときに弾性変形した状態で加熱部41に取り付けられている。より具体的には、接糸部材43の延在方向における両端部が第1方向における他方側(作業空間Sとは反対側)へ撓んでいる。また、接糸部材43のうち、延在方向において両端部よりも第1加熱装置13の中央に近い部分が、第1方向における一方側(作業空間S側)へ撓んでいる。当該複数の内側部分は、弾性復元力により第1方向における他方側へ戻ろうとする。しかし、接糸部材43の、複数の撓ませ部61と接触している部分(以下、第1部分43fを含む複数の内側部分)の第1方向における他方側への移動は、複数の撓ませ部61によって規制されている。このため、当該複数の内側部分には、作用反作用の法則により、複数の撓ませ部61によって第1方向における一方側への力が加えられる。また、接糸部材43の第2部分43s及び第3部分43tは、弾性復元力により第1方向における一方側へ戻ろうとする。しかし、第2部分43s及び第3部分43tの第1方向における一方側への移動は、引掛部62のストッパー部85(後述)及び引掛部63のストッパー部95(後述)によってそれぞれ規制されている。このため、作用反作用の法則により、引掛部62及び引掛部63によって第1方向における他方側への力が加えられる。このように、接糸部材43は弾性変形した状態で加熱部41に取り付けられている。
【0079】
形状補正部材64は、複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63によって保持された接糸部材43の形状を補正するための部材である。形状補正部材64は、複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63とは別の部材で形成されている。
【0080】
形状補正部材64の構成について説明する前に、製造される時に変形した接糸部材43(すなわち、外力を受けていない状態の接糸部材43。以下、初期の接糸部材43)において生じるいくつかの問題について、
図5(a)~
図5(f)を参照しつつ説明する。
図5(a)、
図5(c)及び
図5(e)の各々は、変形した初期の接糸部材43の形状を示す図である。これらの図において、紙面左右方向が初期の接糸部材43の長尺方向を示す。また、これらの図においては、初期の接糸部材43の変形が誇張して示されていることに留意されたい。
図5(b)、
図5(d)及び
図5(f)の各々は、複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63によって保持された接糸部材43の形状を示す図である。これらの図において、紙面左右方向が上述の延在方向を示す。また、図示は省略されているが、これらの図において、紙面上下方向が上述の第1方向を示す。
【0081】
上述したように、接糸部材43は、製造される過程で表面に対する熱処理(例えば窒化処理)が施される場合がある。これにより、初期の接糸部材43は意図せず曲がっている場合があり、且つ、複数の接糸部材43間で曲がり方がばらつく場合がある。以下、初期の接糸部材43の曲がり方に関する3つの例を挙げる。
【0082】
初期の接糸部材43は、例えば
図5(a)に示すように、略円弧状に曲がっている場合がある。このような接糸部材43が複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63によって保持されたとき、接糸部材43の一部が撓ませ部61と接触できないおそれがある(
図5(b)の二点鎖線で囲まれた部分を参照)。この場合、接糸面57の断面曲線59の曲率(すなわち、曲率半径)が、意図される曲率と大きく異なりうる。また、初期の接糸部材43は、例えば
図5(c)に示すように、長尺方向における中央部からずれた部分が曲がっている場合がある。このような接糸部材43が複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63によって保持されたとき、接糸部材43の形状が延在方向に関して非対称になってしまうおそれがある(
図5(d)の二点鎖線で囲まれた部分を参照)。また、初期の接糸部材43は、例えば
図5(e)に示すように、波打つように曲がっている場合がある。このような接糸部材43が複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63によって保持されたとき、例えば接糸部材43の延在方向における中央部が意図せず直線状になるおそれがある(
図5(f)の二点鎖線で囲まれた部分を参照)。
【0083】
上述した例のように、接糸部材43が意図された形状とは別の形状になっていると、接糸面57の第2方向と直交する断面曲線59の曲率が、設計された曲率と異なってしまうおそれがある。この結果、接糸面57に接触しながら走行する糸Yの加工後の品質が、意図された糸品質と異なってしまうおそれがある。しかも、複数の接糸部材43間で形状のバラツキが生じると、複数の加熱部41間及び/又は複数の第1加熱装置13間で糸品質がばらついてしまうおそれがある。このような問題の発生を抑制するために、形状補正部材64は以下のように構成されている。
【0084】
形状補正部材64の構成について、
図4(a)、
図4(b)及び
図6を参照しつつ説明する。
図6は、形状補正部材64の斜視図である。説明の便宜上、
図6に記載の延在方向、第1方向及び第2方向は、上述した延在方向、第1方向及び第2方向に対応するものとして説明を進める。また、
図6の紙面右下部に配置された、二点鎖線で示された円の内側には、形状補正部材64の延在方向における中央部の、延在方向と直交する断面が示されている。
【0085】
図4(a)、
図4(b)及び
図6に示すように、形状補正部材64は、延在方向に延びた部材である。形状補正部材64は、例えば、ステンレス鋼(SUS)からなる板金部材で形成されている。形状補正部材64は、板金部材を例えばプレス加工することにより形成されている。形状補正部材64は、延在方向と直交する断面(
図6の二点鎖線で示された円の内側を参照)において、第1方向における他方側が開口した略U字形状を有する。ここで、ある部材を第1方向に曲げようとしたときの当該部材の曲げ剛性を、以下、第1方向に関する曲げ剛性と呼ぶ。形状補正部材64の前記第1方向に関する曲げ剛性は、接糸部材43の前記第1方向に関する曲げ剛性よりも大きい。形状補正部材64は、一対の押圧部65(押圧部65A及び押圧部65B)と、接続部66とを有する。
【0086】
図6に示すように、一対の押圧部65の各々は、延在方向と直交する断面において第1方向に延びている。一対の押圧部65は、第2方向に並べて配置されている。一対の押圧部65の各々は、押圧面67を有する。押圧面67は、板金部材の端面に形成されている。押圧面67は、押圧部65の第1方向における他方側の端に形成されている。押圧面67は、第1方向における他方側を向いている。押圧面67は、少なくとも延在方向に延びている。押圧面67は、例えば形状補正部材64の延在方向における概ね全長に亘って形成されている。押圧面67は、例えば形状補正部材64の延在方向における両端部を除く領域に形成されている(
図4(a)の太線参照)。一対の押圧面67の一方(押圧面67A。本発明の第1押圧面。
図6参照)は、接糸部材43Aに形成された一対の縁面58e(
図2(d)、
図2(e)参照)のうち、第2方向において形状補正部材64に近い縁面58e(
図3(a)参照)にのみ接触するように配置される。一対の押圧面67の他方(押圧面67B。本発明の第2押圧面。
図6参照)は、接糸部材43Bに形成された一対の縁面58eのうち、第2方向において形状補正部材64に近い縁面58e(
図3(a)参照)にのみ接触するように配置される。押圧面67の第2方向に直交する断面曲線67c(
図4(a)、
図4(b)参照)は、延在方向における各位置において所定の曲率(曲率半径)を有する。所定の曲率半径は、接糸面57の断面曲線59の曲率半径の目標値(すなわち設計値)と略同じ曲率半径である。当該曲率半径は、例えば15~20メートルである。
【0087】
図3(a)に示すように、第2方向において、押圧面67の両端のうち接糸面57に近い側の端は、一対の縁面58eの一方の両端のうち、接糸面57に近い側の端の位置(以下、端部位置)よりも接糸面57に近い側の位置に配置されていると好ましい。或いは、第2方向において、押圧面67の両端のうち接糸面57に近い側の端は、端部位置と同じ位置に配置されていても良い。
【0088】
接続部66は、一対の押圧部65を接続する部分である。
図6に示すように、接続部66は、延在方向に直交する断面において第2方向に延びている。接続部66は、第2方向において一対の押圧部65の間に配置されている。言い換えれば、接続部66は、第2方向において一対の押圧面67の間に配置されている。
【0089】
以上の構成を有する形状補正部材64は、接糸部材43の第1方向における一方側に配置される(
図4(b)参照)。つまり、形状補正部材64は、第1方向において複数の撓ませ部61との間に接糸部材43を挟むように配置される。形状補正部材64は、例えば、後述の補正部材保持部100(
図9(a)参照)によって加熱部41に脱着可能に取り付けられている。形状補正部材64の押圧面67によって、接糸部材43が有する2つの縁面58eのうち一方が、第1方向における他方側へ押される。すなわち、形状補正部材64は、第1方向の成分を有する補正力を接糸部材43に加える。補正力は、押圧面67を介して接糸部材に加えられる。これによって、第2方向から見たときに、縁面58eのうち押圧面67と接触している部分の形状が、押圧面67の形状と略同じになる(
図4(b)参照)。したがって、複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63によって保持された接糸部材43が意図しない形状に歪んでいても、形状補正部材64によって接糸部材43の形状を補正できる。形状補正部材64は、押圧面67が収容空間56の中に配置され且つ接糸部材43に接触している押圧位置と、押圧面67が収容空間56の外に配置され且つ接糸部材43に接触していない非押圧位置との間で移動可能である。詳細については後述する。
【0090】
(弾性変形保持部の詳細構成)
次に、複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63(すなわち、弾性変形保持部)の詳細構成の例について、主に
図7(a)~
図8(b)を参照しつつ説明する。
図7(a)、
図7(b)は、引掛部62を延在方向における一方側から見た図である。
図7(c)、
図7(d)は、引掛部63を延在方向における他方側から見た図である。
図7(a)~
図7(d)の紙面上下方向が、第1方向と平行である。
図7(a)~
図7(d)の紙面左右方向が、第2方向と平行である。
図8(a)、
図8(b)は、引掛部62、63を第2方向(機台長手方向)から見た図である。
【0091】
各撓ませ部61は、例えば
図3(b)に示すように、第2方向に延びたボルト状の部材である。各撓ませ部61は、例えば公知の棒先ボルトであっても良い。撓ませ部61は、例えば、頭部71と、雄ねじ部72と、先端部73とを有する。撓ませ部61のうち例えば先端部73が、接糸部材43と接触可能である。本実施形態では、上述したように、撓ませ部61は第2加熱部材55に固定されている。但し、これに限られるものではなく、撓ませ部61が例えば第1加熱部材54に固定されるように構成されていても良い。
【0092】
引掛部62は、接糸部材43の第2部分43s(
図8(a)のハッチングされた部分を参照))の、第1方向における一方側(作業空間S側)への移動を規制するように構成されている。第2部分43sは、接糸部材43の延在方向における一方側の端部又はその近傍に配置されている。引掛部62は、接糸部材43を加熱部41に脱着可能に保持するように構成されている。
図7(a)、
図7(b)及び
図8(a)に示すように、引掛部62は、揺動部材81と、例えば延在方向に沿って延びた揺動軸82と、ねじりコイルバネ83とを有する。揺動部材81が揺動軸82を軸中心として揺動することによって、第2部分43sの第1方向における一方側への移動の規制及び規制解除が行われる。
【0093】
揺動部材81(
図3(a)、
図7(a)、
図7(b)及び
図8(a)参照)は、揺動軸82を介して、加熱部41に揺動可能に取り付けられている。
図7(a)、
図7(b)及び
図8(a)に示すように、揺動部材81は、例えば、ベース部84と、ストッパー部85と、ツマミ部86と、規制部87とを有する。ベース部84は、揺動軸82が挿通される挿通穴(図示省略)が形成された板状の部分である。
【0094】
ストッパー部85は、ベース部84と接続された爪状の部分である。ストッパー部85は、第2部分43sの第1方向における一方側への移動を規制可能に構成されている。ストッパー部85は、接糸部材43の第2部分43sの第1方向における一方側の端と当接可能な当接面85aを有する。より具体的には、当接面85aは、一対の規制壁58の一方の、第1方向における一方側の端と当接可能に構成されている。ストッパー部85は、第1方向から見たときに接糸部材43と重なる重なり位置(
図7(a)参照)と、第1方向から見たときに接糸部材43と重ならない退避位置(
図7(b)参照)との間で移動可能に構成されている。
【0095】
ツマミ部86は、例えば、ベース部84から延在方向における一方側へ延びた部分である。ツマミ部86は、作業者が手でつまんで操作することが可能な部分である。
【0096】
規制部87は、接糸部材43の第2部分43sの第1方向における他方側に配置された部分である。規制部87は、第2部分43sの第1方向における他方側への移動を規制可能に構成されている。
【0097】
揺動軸82は、揺動部材81を揺動可能に支持するように構成されている。揺動軸82には、ねじりコイルバネ83が取り付けられている。ねじりコイルバネ83は、揺動部材81を退避位置から重なり位置へ付勢するように構成されたばね部材である。
【0098】
引掛部63は、接糸部材43の第3部分43t(
図8(b)のハッチングされた部分を参照)の、第1方向における一方側(作業空間S側)への移動を規制するように構成されている。第3部分43tは、接糸部材43の延在方向における他方側の端部又はその近傍に配置されている。引掛部63は、接糸部材43を加熱部41に脱着可能に保持するように構成されている。簡単に言えば、引掛部63は、第2方向から見たときに、引掛部62と線対称に構成されている。このため、引掛部63に関する説明を必要最小限にとどめる。
図7(c)、
図7(d)及び
図8(b)に示すように、引掛部63は、揺動部材91と、例えば延在方向に沿って延びた揺動軸92と、ねじりコイルバネ93とを有する。
【0099】
揺動部材91は、揺動部材81に対応する部材である。揺動部材91は、揺動軸92を介して、加熱部41に揺動可能に取り付けられている。揺動部材91は、例えば、ベース部94と、ストッパー部95と、ツマミ部96と、規制部97とを有する。ストッパー部95は、接糸部材43の第3部分43tの第1方向における一方側の端と当接可能な当接面95aを有する。ストッパー部95は、第1方向から見たときに接糸部材43と重なる重なり位置(
図7(c)参照)と、第1方向から見たときに接糸部材43と重ならない退避位置(
図7(d)参照)との間で移動可能に構成されている。
【0100】
ツマミ部96は、作業者が手でつまんで操作することが可能な部分である。
【0101】
規制部97は、接糸部材43の第3部分43tの第1方向における他方側に配置された部分である。規制部97は、第3部分43tの第1方向における他方側への移動を規制可能に構成されている。
【0102】
揺動軸92は、揺動部材91を揺動可能に支持するように構成されている。揺動軸92には、ねじりコイルバネ93が取り付けられている。ねじりコイルバネ93は、揺動部材91を退避位置から重なり位置へ付勢するように構成された部材である。
【0103】
接糸部材43が加熱部41に装着され、且つ複数の撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63によって保持された状態では、上述した揺動部材81のストッパー部85及び揺動部材91のストッパー部95の両方が重なり位置に位置している(
図7(a)、(c)参照)。また、ねじりコイルバネ83によって揺動部材81が重なり位置側(
図7(a)の紙面左側)へ付勢されており、ねじりコイルバネ93によって揺動部材91が重なり位置側(
図7(a)の紙面右側)へ付勢されている。これにより、接糸部材43が加熱部41から脱落することが防止される。
【0104】
(補正部材保持部の構成等)
次に、補正部材保持部100の構成、及び形状補正部材64のより詳細な構成について
図9(a)~
図11(b)を参照しつつ説明する。
図9(a)は、補正部材保持部100を第2方向から見た図である。
図9(b)は、後述する揺動支持部101を延在方向から見た図である。図示が省略されているが、
図9(b)における方向の定義は、
図3(a)における方向の定義と同じである。すなわち、
図9(b)の紙面左右方向が第2方向である。
図9(b)の紙面上下方向が第1方向である。
図9(c)は、形状補正部材64のうち揺動支持部101によって支持される部分の斜視図である。
図10(a)は、後述する切換部102を延在方向から見た図である。
図10(b)は、切換部102の操作部130(後述)の斜視図である。
図11(a)は、切換部102を延在方向から見た図である。
図11(b)は、操作部130の斜視図である。
【0105】
補正部材保持部100は、形状補正部材64を加熱部41に脱着可能に保持するように構成されている。
図9(a)に示すように、補正部材保持部100は、揺動支持部101と、切換部102とを有する。揺動支持部101は、形状補正部材64の延在方向における一方側の端部(一方の端部)を支持可能に構成されている。揺動支持部101は、第2方向に延びる揺動軸111を軸中心として、形状補正部材64を揺動可能に支持する。切換部102は、加熱部41の延在方向における他方側の端部(他方の端部)に設けられている。切換部102は、形状補正部材64の延在方向における他方側の端部(他方の端部)を支持可能に構成されている。切換部102は、形状補正部材64の揺動を許可可能及び禁止可能に構成されている。
【0106】
揺動支持部101は、加熱部41の延在方向における一方側の端部(一方の端部)に設けられている。
図9(b)に示すように、揺動支持部101は、一対のブラケット110(ブラケット110A、110B)と、揺動軸111とを有する。第2方向において並べて配置された一対のブラケット110の間に揺動軸111が配置されている。
【0107】
一対のブラケット110は、揺動軸111を支持するように構成されている。一対のブラケット110の各々は、延在方向から見たときに、例えば第1方向における一方側が開口した略U字形状を有する部材である。各ブラケット110は、例えば外側部分112と、接続部分113と、内側部分114とを有する。外側部分112は、例えば第1方向に延びた板状の部分である。外側部分112は、例えば複数のボルト115によって、加熱部41の延在方向における一方側の端部且つ第2方向における端に固定されている。接続部分113は、外側部分112と内側部分114とを接続する部分である。接続部分113は、第2方向に延びた板状の部分である。接続部分113は、例えば糸道及びブラケット110の近傍に配置された部材と干渉しないように配置されている。内側部分114は、例えば第1方向に延びた板状の部分である。内側部分114は、第2方向において外側部分112及び接続部分113よりも内側(揺動軸111側)に配置された部分である。一対のブラケット110にそれぞれ設けられた一対の内側部分114は、揺動軸111を例えば両持ち支持している。揺動軸111を支持するための構成は、これに限られない。
【0108】
揺動軸111は、形状補正部材64を揺動可能に支持する軸である。揺動軸111は、例えば、一対のブラケット110に両持ち支持されている。揺動軸111は、例えば不図示の固定具によって内側部分114に固定されていても良い。或いは、揺動軸111は、溶接等によって一対のブラケット110と一体的に構成されていても良い。揺動軸111は、形状補正部材64に設けられた取付部材68(後述。
図9(b)及び
図9(c)参照)が引っ掛けられることが可能に構成されている。
【0109】
形状補正部材64の取付部材68について、
図9(c)を参照しつつ説明する。取付部材68は、例えば形状補正部材64の接続部66の延在方向における一方側の端部に固定されている。取付部材68は、例えば接続部66の第1方向における他方側の端面に固定されている。取付部材68は、例えば一対の立設部69(立設部69A、69B)を有する。一対の立設部69は、第2方向に並べて配置されている。一対の立設部69の各々は、例えば板状の部分である。一対の立設部69の各々は、例えば第1方向に延びている。各立設部69の第1方向における略中央部には、第2方向から見たときに鉤状のフック部69hが形成されている。フック部69hは、揺動軸111に係合されることが可能な形状を有している。例えばフック部69hの延在方向における他方側には、入口69eが形成されている。揺動軸111が入口69eを経由してフック部69hに相対的に差し込まれることにより、取付部材68が揺動軸111に揺動可能に取り付けられる。逆に、揺動軸111が入口69eを経由してフック部69hから相対的に外されることにより、取付部材68が揺動軸111から取り外される。
【0110】
切換部102は、上述したように、形状補正部材64の揺動を許可可能及び禁止可能に構成されている。
図10(a)に示すように、切換部102は、一対のブラケット120(本発明の第1係合部材。ブラケット120A、120B)と、操作部130とを有する。
図10(a)においては方向に関する図示が省略されているが、
図10(a)の紙面左右方向が第2方向である。
図10(a)の紙面上下方向が第1方向である。
【0111】
一対のブラケット120は、加熱部41の延在方向における他方側の端部(他方の端部)に取り付けられている。一対のブラケット120は、第2方向に並べて配置されている。一対のブラケット120の各々は、一対のブラケット110の各々と類似の略U字形状を有する。各ブラケット120は、例えば外側部分121と、接続部分122と、内側部分123とを有する。外側部分121は、例えば複数のボルト125によって、加熱部41の延在方向における他方側の端部且つ第2方向における端に固定されている。接続部分122は、外側部分121と内側部分123とを接続する部分である。内側部分123は、第2方向において外側部分121及び接続部分122よりも内側(操作部130側)に配置された部分である。内側部分123は、例えば第1方向に延びた板状の部分である。内側部分123の第1方向における途中部には、例えば第2方向に貫通し且つ延在方向に延びた係合孔124(係合孔124A、124B)が形成されている。各係合孔124は、後述の係合部材131(本発明の第2係合部材)の長さ方向における両端部の任意の一方が挿通されるように構成されている。
【0112】
操作部130は、例えば形状補正部材64の接続部66に取り付けられている。
図10(b)に示すように、操作部130は、係合部材131と、スペーサ132と、操作レバー133(本発明の操作部材)と、ボルト134とを有する。操作部130は、作業者が操作レバー133を操作することにより、係合部材131が一対のブラケット120に係合している状態と、係合部材131と一対のブラケット120との係合が解除されている状態との間で状態が切り換えられるように構成されている。
【0113】
係合部材131は、一対のブラケット120に係合可能に構成された部材である。係合部材131は、例えば長方形の略板状の部材である。係合部材131は、例えば、形状補正部材64の接続部66に回転可能に取り付けられている。以下、説明の便宜上、係合部材131の回転軸方向を単に回転軸方向と呼ぶ。回転軸方向は、係合部材131が一対のブラケット120に係合している状態で、第1方向と略平行である。係合部材131は、回転軸方向から見たとき、時計回り(本発明の所定の回転方向)及び反時計回り(本発明の逆方向)のいずれの向きにも回転可能(すなわち、両方向に回転可能)である。係合部材131は、回転軸方向と直交する長さ方向(以下、第3方向)に長く延びている。第3方向の第2方向に対する傾き角度は、係合部材131の回転に伴って変化する(
図10(b)及び
図11(b)参照)。スペーサ132は、回転軸方向において係合部材131と接続部66とを離隔させるための部材である。スペーサ132は、回転軸方向に沿って延びた略円筒形状を有する。スペーサ132の径方向内側部分には、回転軸方向に貫通する貫通孔(不図示)が形成されている。スペーサ132の径方向中心の位置は、例えば係合部材131の回転軸中心の位置と略一致している。
【0114】
操作レバー133は、作業者が操作することによって係合部材131を回転させることにより、係合部材131を後述の係合位置と解除位置との間で移動させるための部材である。操作レバー133は、係合部材131と一体的に回転可能に構成されている。操作レバー133は、ツマミ部137と、円柱部138(
図10(a)参照)とを有する。ツマミ部137は、作業者が手で触れるための略長方形の平板状の部分である。ツマミ部137は、回転軸方向において接続部66を隔ててスペーサ132の反対側に配置されている。円柱部138は、ツマミ部137から回転軸方向において係合部材131に向かって延びた略円柱状の部分である。ここで、接続部66には、円柱部138が挿通される貫通孔(不図示)が形成されている。円柱部138は、当該貫通孔に挿通されている。さらに、円柱部138は、スペーサ132の貫通孔(不図示)にも挿通されている。円柱部138は、接続部66及びスペーサ132に対して回転可能に構成されている。円柱部138には、ボルト134が螺合される雌ねじが形成されている。ボルト134は、係合部材131を操作レバー133に固定する部材である。ボルト134は、円柱部138の雌ねじに螺合される。
【0115】
係合部材131の第3方向における両端部が、一対のブラケット120に係合可能である。すなわち、
図10(a)に示すように、係合部材131の第3方向における両端部が2つの係合孔124に挿通されているとき、係合部材131が一対のブラケット120に係合している。このとき、形状補正部材64の揺動が禁止される。このときの切換部102の状態を禁止状態と呼ぶ。また、このときの係合部材131の位置(すなわち、一対のブラケット120に対する係合部材131の角度)を、係合位置と呼ぶ。また、このときの形状補正部材64の位置を押圧位置と呼ぶ。また、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、係合部材131の第3方向における両端部が一対のブラケット120よりも第2方向における内側に位置しているとき、係合部材131の一対のブラケット120への係合が解除される。これにより、形状補正部材64の揺動が許可される。このときの切換部102の状態を許可状態と呼ぶ。このときの係合部材131の位置を、解除位置と呼ぶ。このように、切換部102の状態は、許可状態と禁止状態との間で切り換えられることが可能である。
【0116】
係合部材131は、90°回転する度に、係合位置に位置している状態と、解除位置に位置している状態との間で状態が切り換わる。90°が、本発明の所定角度に相当する。また、上述したように、係合部材131は、両方向に回転可能である。説明の便宜上、所定の係合位置(第1係合位置)における係合部材131の角度を0°と定義する。係合部材131の角度が180°のときにも、係合部材131は係合位置(第2係合位置)に位置している。すなわち、係合位置は第1係合位置と第2係合位置とを含む。また、係合部材131の角度が90°及び270°のときに、係合部材131は解除位置に位置している。2つの解除位置の一方が第1解除位置であり、他方が第2解除位置である。すなわち、解除位置は第1解除位置と第2解除位置とを含む。
【0117】
ここで、ツマミ部137は、係合部材131が係合位置に位置しているときには延在方向に長く延びている(第1状態。
図10(b)参照)。このとき、ツマミ部137は糸掛けの邪魔にならないように配置されている。また、ツマミ部137は、係合部材131が解除位置に位置しているときには、第2方向に長く延びている(第2状態。
図11(b)参照)。これにより、係合部材131が解除位置に位置しているときには糸掛けを行えない(行うべきでない)ことが、ツマミ部137によって示される。このように、ツマミ部137は、係合部材131が係合位置に位置していることを示す第1状態と、係合部材131が解除位置に位置していることを示す、第1状態とは異なる第2状態との間で状態を変更可能に構成されていると好ましい。
【0118】
(形状補正部材の脱着)
次に、形状補正部材64の加熱部41への脱着の手順について、
図12(a)~
図12(c)を参照しつつ説明する。
図12(a)~
図12(c)は、第1加熱装置13からの形状補正部材64の取外しの手順を示す説明図である。
【0119】
形状補正部材64が加熱部41に取り付けられた状態において、形状補正部材64は概ね延在方向に沿って延びている(
図12(a)参照)。また、形状補正部材64の押圧面67は、接糸部材43の縁面58eに接触しており、接糸部材43に補正力を加えている(上述の押圧位置)。押圧面67A(
図6参照)によって接糸部材43A(
図3(a)参照)に加えられる補正力が、本発明の第1補正力に相当する。押圧面67B(
図6参照)によって接糸部材43B(
図3(a)参照)に加えられる補正力が、本発明の第2補正力に相当する。作業者は、形状補正部材64を加熱部41から取り外す際、操作レバー133を操作して係合部材131を係合位置から解除位置に移動させる。その後、作業者は、形状補正部材64を第1方向に少し揺動させる(上述の非押圧位置。
図12(b)の矢印参照)。その後、作業者は、形状補正部材64の延在方向における一方側の端部を延在方向における一方側へずらす。これにより、フック部69h(
図9(c)参照)と揺動軸111との係合が解除される。これにより、形状補正部材64を補正部材保持部100から取り外すことができる(
図12(c)の矢印参照)。また、取り外し時と逆の手順で、形状補正部材64を加熱部41に取り付けることができる。
【0120】
(糸掛けについて)
上述の第1加熱装置13において、形状補正部材64が加熱部41に取り付けられている状態であるか否かによらず、収容空間56を作業空間Sに対して開放できる。したがって、形状補正部材64が加熱部41に取り付けられている状態であるか否かによらず、第1加熱装置13に対する糸掛けを実行できる。
【0121】
以上のように、撓ませ部61によって接糸部材43の第1方向における大まかな位置を規定できる。その上で、形状補正部材64によって補正力を接糸部材43に加えることにより、接糸部材43の形状を補正できる。より具体的には、押圧面67によって押圧力を接糸部材43に加えることにより、接糸部材43のうち押圧面67と接触している部分(縁面58e)の断面曲線の曲率を、押圧面67の断面曲線67cの曲率と略等しくすることができる。さらに、形状補正部材64が、撓ませ部61を構成する部材とは別の部材で構成されている。このため、既存の加熱装置(不図示)に形状補正部材64を追加で設けることができる。これによって、当該加熱装置に取り付けられた接糸部材43の形状を補正できる。したがって、新たに製造される加熱装置及び既存の加熱装置のいずれにおいても、接糸部材43の形状のバラツキを抑制できる。
【0122】
また、接糸部材保持部60は、接糸部材43を加熱部41に脱着可能に保持する。このため、接糸部材43が、清掃される際に加熱部41から取り外されることが可能である。したがって、接糸部材43の清掃作業の効率を向上させることができる。
【0123】
また、接糸部材43を第1方向に動かすことにより、接糸部材43を加熱部41に脱着できる。このような場合、接糸部材43の長尺方向において第1加熱装置13と隣接する長い空間は必要ない。したがって、第1加熱装置13の周辺のレイアウトに制約が生じることを抑制できる。
【0124】
また、形状補正部材64が押圧位置に位置しているとき、押圧面67によって、接糸部材43が収容空間56を通って加熱部41から脱落することを確実に防止できる。形状補正部材64が非押圧位置に位置しているとき、接糸部材43が収容空間56を通って加熱部41から取り外されることができる。
【0125】
また、形状補正部材64を加熱部41から取り外して加熱部41から離隔させることができる。したがって、接糸部材43が加熱部41に脱着される脱着作業が行われる際に、非押圧位置に位置している形状補正部材64が加熱部41の近くに配置されている場合と比べて、接糸部材43の脱着作業の邪魔になることを防止できる。
【0126】
また、補正部材保持部100は、揺動支持部101と切換部102とを有する。このため、形状補正部材64を揺動させるだけで、形状補正部材64を押圧位置と非押圧位置との間で移動させることができる。また、切換部102を操作するだけで、形状補正部材64の揺動を許可又は禁止できる。したがって、作業者の手間を軽減できる。
【0127】
また、操作レバー133を操作して一対のブラケット120と係合部材131との係合及び係合の解除とを切り換えるだけで、形状補正部材64の揺動を許可又は禁止できる。したがって、作業者の手間をさらに軽減できる。
【0128】
また、係合部材131は、回転させられることによって係合位置と解除位置との間で移動可能である。このため、係合部材131が例えば平行移動する構成と比べて、係合部材131の移動に必要なスペースをコンパクトにすることができる。したがって、切換部102の大型化を抑制できる。
【0129】
また、作業者がツマミ部137を操作するだけで、係合部材131を係合位置と解除位置との間で容易に移動させることができる。
【0130】
また、ツマミ部137が第1状態と第2状態との間で状態を変更できる。このため、係合部材131の位置を視認できない場合でも、ツマミ部137の状態を確認することによって、係合部材131が係合位置に位置しているか解除位置に位置しているか知ることができる。したがって、係合部材131の位置の誤認に起因して発生しうる作業ミスを抑制できる。
【0131】
また、係合位置は第1係合位置と第2係合位置とを含む。また、解除位置は第1解除位置と第2解除位置とを含む。このため、作業者の利き手によらず、係合部材131を係合位置と解除位置との間で移動させる際の操作レバー133の操作性を同じにすることができる。
【0132】
また、第1加熱装置13は、引掛部62と引掛部63とを有する。これにより、形状補正部材64が非押圧位置に位置している状態でも、撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63によって接糸部材43を保持できる。したがって、形状補正部材64を押圧位置から非押圧位置に移動させた際に、接糸部材43が加熱部41から意図せず脱落することを防止できる。
【0133】
また、引掛部62及び引掛部63は、接糸部材43の第1方向における他方側への移動も規制可能に構成されている。これにより、接糸部材43のうち延在方向において撓ませ部61及び形状補正部材64の両外側に位置している部分の第1方向における位置を所定範囲内に収めることができる。したがって、接糸面57の形状をさらに理想の形状に近づけることができる。
【0134】
また、接糸部材保持部60は、接糸部材43を第1方向に弾性変形させた状態で保持可能に構成されている。すなわち、接糸部材保持部60は、弾性変形保持部を有する。これにより、力を加えられていない状態の接糸部材43が例えば略直線状に延びている場合であっても、弾性変形保持部によって接糸部材43を大まかに弾性変形させた状態で保持できる。これにより、形状補正部材64によって補正される前の接糸部材43の形状を、予め押圧面67に概ね沿った形状にすることができる。このため、形状補正部材64のみによって接糸部材43の形状を大きく補正する場合と比べて、小さい力で接糸部材43の形状を補正できる。
【0135】
また、複数の撓ませ部61によって、接糸部材43の曲率を予め所定の曲率に近づけるように弾性変形させることができる。したがって、形状補正部材64によって、さらに小さい力で接糸部材43の形状を補正できる。
【0136】
また、一般的に普及された板金部材を用いて形状補正部材64を形成できる。したがって、部材コストを削減できる。
【0137】
また、押圧面67が板金部材の端面で形成されている。このため、形状補正部材64の厚み方向が第2方向に対応する。このため、押圧面67を第2方向において狭くすることができる。このような構成は、接糸部材43の第2方向における狭い部分にのみ形状補正部材64を接触させる必要がある場合に有効である。
【0138】
また、接糸部材43は一対の縁面58eを有し、形状補正部材64の押圧面67は、一対の縁面58eのうち一方のみと接触する。したがって、形状補正部材64を第2方向においてコンパクト化でき、且つ、形状補正部材64の構造の複雑化を抑制できる。
【0139】
また、第2方向において、押圧面67の接糸面57側の端が端部位置よりも接糸面57から遠い場合、糸掛け時に、接糸部材43と形状補正部材64との間に生じる段差に糸Yが引っ掛かり、糸掛けが妨げられる等のおそれがある。この点、本実施形態では、第2方向において、押圧面67の接糸面57側の端は、端部位置よりも接糸面57に近い側の位置又は端部位置と同じ位置に配置されている。したがって、上述の問題の発生を抑制できる。
【0140】
また、第2方向に並べて配置された複数の接糸部材43の形状を1つの形状補正部材64で補正できる。したがって、1つの形状補正部材64で1つのみの接糸部材43の形状が補正される構成と比べて、部品コストを削減できる。
【0141】
また、形状補正部材64の第1方向に関する曲げ剛性は、接糸部材43の第1方向に関する曲げ剛性よりも大きい。したがって、作用反作用の法則によって形状補正部材64が接糸部材43に押し返されたときに、形状補正部材64が変形してしまうことを抑制できる。
【0142】
次に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0143】
(1)前記実施形態において、形状補正部材64の第1方向に関する曲げ剛性は、接糸部材43の第1方向に関する曲げ剛性よりも大きいものとした。しかしながら、これには限られない。形状補正部材64の第1方向に関する曲げ剛性は、接糸部材43の第1方向に関する曲げ剛性よりも小さくても良い。
【0144】
(2)前記までの実施形態において、形状補正部材64の押圧面67は、板金部材の端面で形成されているものとした。しかしながら、これには限られない。押圧面67は、例えば板金部材の表面で形成されていても良い。また、前記までの実施形態において、形状補正部材64は板金部材で形成されているものとした。しかしながら、これには限られない。形状補正部材64は、例えばブロック状の部材を切削加工することによって形成されていても良い。
【0145】
(3)前記までの実施形態において、形状補正部材64の押圧面67は、接糸部材43の一対の規制壁58にそれぞれ形成された縁面58eのうち、一方の縁面58eにのみ接触するものとした。しかしながら、これには限られない。押圧面67は、両方の縁面58eに接触するように構成されていても良い。この場合、接糸部材43の清掃が行われた後に接糸部材43が加熱部41に取り付けられる際、接糸部材43への糸掛けが行われた後で形状補正部材64を補正部材保持部100によって保持する必要がある。
【0146】
(4)前記までの実施形態において、押圧面67の第2方向における接糸面57側の端は、一対の縁面58eのうち一方の第2方向における接糸面57側の端の位置よりも接糸面57に近い側の位置に配置されているものとした。しかしながら、これには限られない。押圧面67の第2方向における接糸面57側の端は、一対の縁面58eのうち一方の第2方向における接糸面57側の端の位置よりも接糸面57から遠い位置に配置されていても良い。
【0147】
(5)前記までの実施形態において、撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63が、接糸部材43を弾性変形した状態で保持するように構成されているものとした。しかしながら、これには限られない。撓ませ部61、引掛部62及び引掛部63は、接糸部材43を弾性変形させるように構成されていなくても良い。
【0148】
(6)前記までの実施形態において、引掛部62及び引掛部63が、接糸部材43の第1方向における一方側への移動のみならず他方側への移動も規制可能であるものとした。しかしながら、これには限られない。引掛部62及び引掛部63は、接糸部材43の第1方向における一方側への移動のみを規制可能に構成されていても良い。また、前記までの実施形態において、接糸部材保持部60が引掛部62及び引掛部63を有するものとした。しかしながら、これには限られない。接糸部材保持部60は、例えば撓ませ部61及び形状補正部材64のみによって接糸部材43を保持しても良い。
【0149】
(7)切換部102の構成は、上述したものに限られない。例えば、切換部102は、係合部材131を平行移動させることによって、係合部材131が一対のブラケット120と係合した状態と、係合部材131と一対のブラケット120との係合が解除された状態との間で状態を切換可能に構成されていても良い。係合部材131は、例えば延在方向に沿って平行移動可能であっても良い。この場合、各ブラケット120には、係合孔124の代わりに、各ブラケット120の延在方向における他方側の端まで延びたスリット(不図示)が形成されていても良い。つまり、係合部材131が平行移動させられてスリットから外されたときに、係合部材131と一対のブラケット120との係合が解除されても良い。
【0150】
(8)前記までの実施形態において、補正部材保持部100によって、形状補正部材64が加熱部41に脱着可能に保持されているものとした。しかしながら、これには限られない。形状補正部材64は、例えば不図示のねじによって加熱部41に脱着可能に保持されていても良い。このような構成でも、形状補正部材64を押圧位置と非押圧位置との間で移動させることができる。また、補正部材保持部100は、形状補正部材64を加熱部41に対して脱着不能に保持するように構成されていても良い。例えば、揺動支持部101は、形状補正部材64を揺動可能且つ加熱部41に対して脱着不能に支持するように構成されていても良い。このような構成でも、形状補正部材64を押圧位置と非押圧位置との間で移動させることができる。
【0151】
(9)前記までの実施形態において、接糸部材43が加熱部41に脱着される際、接糸部材43が収容空間56内を第1方向に通過することが可能であるものとした。しかしながら、これには限られない。接糸部材43は、例えば、加熱部41に対して延在方向に抜き差しされることによって加熱部41に脱着されても良い。
【0152】
(10)前記までの実施形態において、形状補正部材64は押圧位置と非押圧位置との間で移動可能に構成されているものとした。しかしながら、これには限られない。形状補正部材64は、加熱部41に取り付けられた後、加熱部41から取り外されないように構成されていても良い。この場合、接糸部材43は、例えば、加熱部41に対して延在方向に抜き差しされることによって加熱部41に脱着されても良い。
【0153】
(11)前記までの実施形態において、形状補正部材64は、2つの接糸部材43の形状を補正可能に構成されているものとした。しかしながら、これには限られない。形状補正部材64は、1つの接糸部材43の形状のみを補正可能に構成されていても良い。
【0154】
(12)前記までの実施形態において、複数の撓ませ部61の各々は、第2方向に延びたボルト状の部材であるものとした。しかしながら、これには限られない。複数の撓ませ部61の各々は、接糸部材43の第1方向における他方側への移動を規制する機能を有していれば、ボルト以外の部材であっても良い。また、加熱部41に複数の撓ませ部61が取り付けられているものとしたが、これには限られない。加熱部41には、撓ませ部61が1つのみ取り付けられていても良い。
【0155】
(13)前記までの実施形態において、揺動部材81、91がそれぞれ揺動軸82、92に揺動可能に支持されているものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、揺動部材81、91と同じ形状の部材を第2方向に平行移動可能に支持する支持部材(不図示)が設けられていても良い。
【0156】
(14)前記までの実施形態において、接糸部材43は、接糸部材保持部60によって加熱部41に脱着されることが可能であるものとした。しかしながら、これには限られない。例えば、加熱部41は、接糸部材43が取り付けられた後、接糸部材43が取り外されないように構成されていても良い。例えば、接糸部材43には、不図示のねじ穴が形成されていても良い。加熱部41は、接糸部材43がねじ止めされるように構成され、接糸部材43が容易に脱着されないように構成されていても良い。このような構成において、さらに、接糸部材43をねじ止めするために用いられた不図示のボルトが、溶接などによって加熱部41に固定されても良い。この場合でも、接糸部材43を弾性変形させた状態で保持するように構成された部材が、本発明の弾性変形保持部に相当する。
【0157】
(15)前記までの実施形態において、加熱部41は、第1方向における一方側(作業空間S側)が開口した収容空間56を有するものとした。しかしながら、収容空間56の形状及び加熱部41の形状は、これに限られない。例えば、収容空間56は、延在方向に直交する断面において、第1方向に対して45度以下の傾きを有していても良い(図示省略)。或いは、収容空間56は、例えば延在方向に直交する断面が略L字状になっており、第1方向における一方側に加え、第2方向における一端も開口していても良い(図示省略)。このような場合、例えば、接糸部材43は、第2方向における一端に形成された開口(不図示)を介して着脱されても良い。
【0158】
(16)前記までの実施形態において、加熱部41が本発明の取付部に相当するものとした。しかしながら、これには限られない。具体例として、第2加熱部材55の代わりに、不図示の断熱部材その他の部材(以下、断熱部材等)が設けられていても良い。このような構成では、断熱部材等が加熱部41に含まれない。この場合でも、第1加熱部材54と断熱部材等とによって形成される空間(不図示)に接糸部材43が収容されることにより、接糸部材43が第1加熱装置13に取り付けられる。このような構成においては、加熱部41と断熱部材等とを合わせたものが本発明の取付部に相当する。言い換えれば、取付部は、加熱部41を含む。
【0159】
(17)前記までの実施形態において、接糸部材43は、ステンレス鋼からなる部材を切削加工することにより形成されているものとした。しかしながら、これには限られない。接糸部材43は、例えば板状の部材を折り曲げる(板金加工する)ことによって形成されていても良い。また、接糸部材43を構成する材料は、ステンレス鋼に限られない。
【0160】
(18)前記までの実施形態において、熱源42としてシーズヒータを有する第1加熱装置13が仮撚加工機1に設けられているものとした。しかしながら、これには限られない。第1加熱装置13の代わりに、熱媒を用いて接糸部材43を加熱する公知のダウサムヒータが仮撚加工機1に設けられていても良い。この場合、ダウサムヒータが本発明の加熱装置に相当する。熱媒が封入された通路を形成する部材(不図示)が、本発明の熱源に相当する。
【0161】
(19)前記までの実施形態において、第1加熱装置13が2本の糸Yを加熱可能に構成されているものとした。しかしながら、これには限られない。第1加熱装置13は、1本の糸Yを加熱可能に構成されていても良い。或いは、第1加熱装置13は、3本以上の糸Yを加熱可能に構成されていても良い。
【0162】
(20)本発明は、第1加熱装置13だけでなく、第2加熱装置19に適用されても良い。
【0163】
(21)本発明は、本実施形態の仮撚加工機1に限らず、他の構成を有する公知の仮撚加工機(不図示)に適用されても良い。或いは、本発明は、仮撚加工機の他に、例えば公知のエア加工機(不図示)等、糸(不図示)を走行させながら加工する糸加工機に適用されても良い。
【0164】
(22)前記までの実施形態において、撓ませ部61は、例えば公知の棒先ボルトであるものとした。しかしながら、これには限られない。以下、
図13(a)及び
図13(b)を参照しつつ説明する。
図13(a)及び
図13(b)には、第1加熱装置13の変形例に係る第1加熱装置13Mが示されている。
図13(a)は、上述した
図3(b)と類似する、第1加熱装置13Mの延在方向と直交する断面図である。
図13(b)は、
図13(a)のXIII(b)-XIII(b)断面図である。第1加熱装置13Mの接糸部材保持部60Mは、複数の撓ませ部61の代わりに、例えば複数の撓ませ部61Mを有していても良い。撓ませ部61Mは、例えばプレート状又はブロック状の金属部材であっても良い。
図13(a)に示すように、撓ませ部61Mは、例えば第1方向において収容空間56の他方側に配置されている。これにより、接糸部材43は、撓ませ部61Mの第1方向における接糸部材43側の端と接触する。また、撓ませ部61Mは、第1方向に延びていると好ましい。これにより、撓ませ部61Mの第1方向における接糸部材43と反対側の端が、加熱部41と接触していると好ましい。より具体的には、
図13(b)に示すように、撓ませ部61Mは、延在方向に延びていると好ましい。例えば加熱部41の第2加熱部材55が、第1方向において撓ませ部61Mよりも他方側に配置された受止面55rを有していると好ましい。受止面55rは、例えば第1方向において撓ませ部61M側を向いた面である。第1方向において、撓ませ部61Mの受止面55r側の端に、延在方向に沿って延びる端面61Maが形成されていると好ましい。このような構成により、撓ませ部61Mを介して、接糸部材43の弾性復元力を受止面55rによって広い範囲で受け止めることができる。これにより、接糸部材43が大きく撓ませられる場合でも、弾性復元力による撓ませ部61Mの変形(弾性変形及び塑性変形の両方を含む)を効果的に抑制できる。当該構成において、上述した断面曲線67cの曲率半径は、例えば15メートルよりも小さくても良い。当該曲率半径は、例えば5~20メートルでも良い。
【符号の説明】
【0165】
13 第1加熱装置(加熱装置)
41 加熱部(取付部)
42 熱源
43 接糸部材
43A 接糸部材(第1接糸部材)
43B 接糸部材(第2接糸部材)
56 収容空間(脱着通路)
57 接糸面
58e 縁面
59 断面曲線
60 接糸部材保持部
61 撓ませ部(他方側規制部、弾性変形保持部)
62 引掛部(第1一方側規制部、弾性変形保持部)
63 引掛部(第2一方側規制部、弾性変形保持部)
64 形状補正部材
66 接続部
67 押圧面
67A 押圧面(第1押圧面)
67B 押圧面(第2押圧面)
67c 断面曲線
100 補正部材保持部
101 揺動支持部
102 切換部
120 ブラケット(第1係合部材)
131 係合部材(第2係合部材)
133 操作レバー(操作部材)
137 ツマミ部
Y 糸
YA 糸(第1の糸)
YB 糸(第2の糸)