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特開2024-91447スマート盤(配電盤・受配電盤)、配電システム、及び、受配電システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091447
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】スマート盤(配電盤・受配電盤)、配電システム、及び、受配電システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/32 20060101AFI20240627BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H02B1/32 Z
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191197
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2022205208
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522095610
【氏名又は名称】株式会社力電
(74)【代理人】
【識別番号】100150153
【弁理士】
【氏名又は名称】堀家 和博
(72)【発明者】
【氏名】本家 正雄
【テーマコード(参考)】
5G016
5G066
【Fターム(参考)】
5G016AA07
5G016AA09
5G016CD38
5G066HA13
5G066HB01
5G066HB02
5G066HB09
(57)【要約】
【課題】全体が変圧器上方にある盤筐体内で、上方突出した各端子と低圧遮断器や高圧送電部を電路で接続等して「省スペース化」や「電路の短縮」等を実現する。
【解決手段】配電盤1は、全体が変圧器4上方にある盤筐体2内で、上方突出した各端子4L、4Hと低圧遮断器3や高圧送電部5を電路6L、6Hで接続する。盤筐体2は平面視で変圧器4より前後長さを10cm以上40cm以下長くしたり、盤筐体2内の計器用変圧器7からの変圧出力電流Sを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な変圧出力端子9等を有したり、低圧・高圧盤筐体部2A、2Bを変圧器4が支持しても良い。配電盤1等を有した配電システム20は、連結電路6Cで連結接続された複数の配電盤1と系統Kの間の電路に、真空遮断器23aや断路器23b、負荷開閉器23cが設けられたり、盤筐体2外に、発電部21や変換部22、変圧出力端子9に接続された蓄電部24等が設けられても良い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの盤筐体(2)と、前記盤筐体(2)外からの低圧交流電流(L)を遮断可能な低圧遮断器(3)と、前記低圧遮断器(3)を経た低圧交流電流(L)をより高圧な高圧交流電流(H)に変圧する変圧器(4)と、前記変圧器(4)からの高圧交流電流(H)を盤筐体(2)外へ送電する高圧送電部(5)を有した配電盤であって、
前記盤筐体(2)内には、前記低圧遮断器(3)と高圧送電部(5)が設けられ、
前記盤筐体(2)外には、前記変圧器(4)が下方から取り付けられ、
前記盤筐体(2)は、その全体が、前記変圧器(4)の上面(4U)より上方に配置され、
前記変圧器(4)の上面(4U)から、前記変圧器(4)へ低圧交流電流(L)を入力する低圧端子(4L)と、前記変圧器(4)から高圧交流電流(H)を出力する高圧端子(4H)が、上方に突出して設けられ、
前記盤筐体(2)内で、上方に突出した前記低圧端子(4L)と低圧遮断器(3)の間を低圧電路(6L)が接続し、上方に突出した前記高圧端子(4H)と高圧送電部(5)の間を高圧電路(6H)が接続していることを特徴とする配電盤。
【請求項2】
前記盤筐体(2)は、平面視において、前記変圧器(4)より前後長さが10cm以上40cm以下だけ長いことを特徴とする請求項1に記載の配電盤。
【請求項3】
前記盤筐体(2)内には、
前記高圧電路(6H)から分岐する変圧分岐電路(6S)に接続され且つ前記高圧電路(6H)に流れる高圧交流電流(H)をより低圧な変圧出力電流(S)に変圧する計器用変圧器(7)と、
前記計器用変圧器(7)からの変圧出力電流(S)に基づいて前記高圧電路(6H)の電圧を測定する電圧計(8)と、
前記計器用変圧器(7)からの変圧出力電流(S)を盤筐体(2)外の電気電子機器に出力可能な変圧出力端子(9)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配電盤。
【請求項4】
前記盤筐体(2)内には、
前記高圧電路(6H)から分岐する零相分岐電路(6Z)に接続された零相電圧検出器(10)と、
前記零相電圧検出器(10)からの出力を盤筐体(2)外の電気電子機器に出力可能な零相電圧出力端子(11)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配電盤。
【請求項5】
前記高圧電路(6H)は、三相3線であり、
前記盤筐体(2)内には、
前記高圧電路(6H)の三相3線のうち少なくとも2線それぞれから分岐する変圧分岐電路(6S)に接続され且つ前記高圧電路(6H)に流れる高圧交流電流(H)をより低圧な変圧出力電流(S)に変圧する計器用変圧器(7)が設けられ、
前記高圧電路(6H)に流れる高圧交流電流(H)をより小電流の変流出力電流(R)に変流する計器用変流器(12)が、前記高圧電路(6H)の三相3線のうち少なくとも2線それぞれに設けられ、
前記計器用変圧器(7)からの変圧出力電流(S)を盤筐体(2)外の電気電子機器に出力可能な変圧出力端子(9)と、前記計器用変流器(12)からの変流出力電流(R)を盤筐体(2)外の電気電子機器に出力可能な変流出力端子(13)が、少なくとも2つずつ設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配電盤。
【請求項6】
前記変圧器(4)は、接地点(4’)で接地され、
前記盤筐体(2)内には、
前記変圧器(4)と接地点(4’)の間に、接地抵抗器(14)が設けられ、
前記接地抵抗器(14)と接地点(4’)の間に、零相変流器(15)が設けられ、
前記零相変流器(15)からの出力を盤筐体(2)外の電気電子機器に出力可能な零相変流出力端子(16)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配電盤。
【請求項7】
前記盤筐体(2)内には、
前記低圧電路(6L)に、前記変圧器(4)とは別の単相変圧器(17)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配電盤。
【請求項8】
前記高圧送電部(5)は、前記高圧電路(6H)を開閉可能な高圧開閉器(5a)又は遮断可能な高圧遮断器(5b)を有し、
前記盤筐体(2)は、前記低圧遮断器(3)が内部に設けられた低圧盤筐体部(2A)と、前記高圧開閉器(5a)又は高圧遮断器(5b)が内部に設けられた高圧盤筐体部(2B)を含み、
前記低圧盤筐体部(2A)の重量と高圧盤筐体部(2B)の重量を、前記変圧器(4)が支持していることを特徴とする請求項1又は2に記載の配電盤。
【請求項9】
盤筐体(2)と、前記盤筐体(2)外において系統(K)と当該系統(K)から受電する電力を消費可能な負荷の間に接続された変圧器(4)を有した受配電盤であって、
前記盤筐体(2)は、前記変圧器(4)と負荷の間の低圧電路(6L)を遮断可能な低圧遮断器(3)が内部に設けられた低圧盤筐体(2A)と、前記系統(K)と変圧器(4)の間の高圧電路(6H)を開閉可能な高圧開閉器(5a)又は遮断可能な高圧遮断器(5b)が内部に設けられた高圧盤筐体(2B)を含み、
前記低圧盤筐体(2A)の重量と高圧盤筐体(2B)の重量を、前記変圧器(4)が支持していることを特徴とする受配電盤。
【請求項10】
前記低圧盤筐体(2A)の重量と高圧盤筐体(2B)の重量の変圧器(4)による支持として、
前記高圧盤筐体(2B)が、前記変圧器(4)に上方から取り付けられ、
前記低圧盤筐体(2A)が、前記高圧盤筐体(2B)に平面視一方から取り付けられ、
前記低圧盤筐体(2A)の下端が、前記変圧器(4)の下部まで延びていることを特徴とする請求項9に記載の受配電盤。
【請求項11】
前記変圧器(4)における平面視一方に偏心した位置に、吊下具(4T)が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の受配電盤。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の配電盤(1)と、発電部(21)と、前記発電部(21)からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(22)を有した配電システムであって、
前記配電盤(1)は複数であり、前記複数の配電盤(1)の間を連結電路(6C)が連結接続し、前記連結接続された複数の配電盤(1)の高圧送電部(5)から、前記高圧交流電流(H)が系統(K)へ送電され、
前記系統(K)と前記連結接続された複数の配電盤(1)の間を接続する電路には、真空遮断器(23a)並びに断路器(23b)、及び/又は、負荷開閉器(23c)が設けられていることを特徴とする配電システム。
【請求項13】
請求項3に記載の配電盤(1)と、発電部(21)と、前記発電部(21)からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(22)を有した配電システムであって、
前記配電盤(1)は1つであり、前記1つの配電盤(1)の高圧送電部(5)から、前記高圧交流電流(H)が系統(K)へ送電され、
前記盤筐体(2)外には、前記発電部(21)並びに変換部(22)、及び、前記変圧出力端子(9)に接続された蓄電部(24)が設けられていることを特徴とする配電システム。
【請求項14】
請求項4に記載の配電盤(1)と、発電部(21)と、前記発電部(21)からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(22)を有した配電システムであって、
前記配電盤(1)は1つであり、前記1つの配電盤(1)の高圧送電部(5)から、前記高圧交流電流(H)が系統(K)へ送電され、
前記盤筐体(2)外には、前記発電部(21)並びに変換部(22)、及び、前記零相電圧出力端子(11)に接続された地絡過電圧継電器(25)が設けられていることを特徴とする配電システム。
【請求項15】
請求項5に記載の配電盤(1)と、発電部(21)と、前記発電部(21)からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(22)を有した配電システムであって、
前記盤筐体(2)外には、少なくとも2つずつの前記変圧出力端子(9)と変流出力端子(13)に接続され且つ前記高圧電路(6H)の電力量を測定する電力量計(28)が設けられていることを特徴とする配電システム。
【請求項16】
請求項6に記載の配電盤(1)と、発電部(21)と、前記発電部(21)からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流(L)に変換する変換部(22)を有した配電システムであって、
前記盤筐体(2)外には、前記零相変流出力端子(16)に接続された地絡過電流継電器(29)が設けられていることを特徴とする配電システム。
【請求項17】
請求項9~11の何れか1項に記載の受配電盤(1’)と、負荷(30)を有した受配電システムであって、
前記変圧器(4)は、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器、又は、1次巻線と2次巻線を備えた二巻線型の変圧器であり、
前記負荷(30)は、蓄電池を内蔵した乗り物用の充電器を含んでいることを特徴とする受配電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤筐体と低圧遮断器と変圧器と高圧送電部を有した配電盤や、盤筐体と低圧遮断器と変圧器と高圧遮断器等を有した受配電盤、配電盤を有した配電システム、及び、受配電盤を有した受配電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の機器盤を備えた受配電盤が知られている(特許文献1参照)。
この受配電盤は、吸気用開口部が形成されかつ負荷に電力を供給可能な監視盤及び制御保護盤と、電力供給源からの直流電力又は交流電力を電力変換して降圧・昇圧し負荷に供給する風冷方式の電力変換器及び連系変圧器を備えた電力変換機盤及び連系変圧器盤と、排気用開口部が形成されかつ電力供給源からの直流電力又は交流電力を取り込む補機盤とを、順次所定方向に並置した列盤構成とされている。
又、この受配電盤では、各機器盤が相互間に連通されていて、吸気用開口部を介して列盤内に外気を吸入し、排気用開口部を介して列盤外部に排出することで発生する冷却風により、電力変換器を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-35635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された受配電盤は、複数の機器盤を、電流の流れに従って、ただ単純に順次所定方向に横並びに配置しただけであるため、横並び配置の分だけ、広い設置スペースが必要となると共に、各機器盤の間を接続するケーブル(電路)が非常に長大となる問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑み、全体が変圧器上方にある盤筐体内で、上方突出した各端子と低圧遮断器や高圧送電部を電路で接続すること等で、「省スペース化」や「電路の短縮」などを実現し得る配電盤や受配電盤、配電システム、受配電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配電盤1は、1つの盤筐体2と、前記盤筐体2外からの低圧交流電流Lを遮断可能な低圧遮断器3と、前記低圧遮断器3を経た低圧交流電流Lをより高圧な高圧交流電流Hに変圧する変圧器4と、前記変圧器4からの高圧交流電流Hを盤筐体2外へ送電する高圧送電部5を有した配電盤であって、前記盤筐体2内には、前記低圧遮断器3と高圧送電部5が設けられ、前記盤筐体2外には、前記変圧器4が下方から取り付けられ、前記盤筐体2は、その全体が、前記変圧器4の上面4Uより上方に配置され、前記変圧器4の上面4Uから、前記変圧器4へ低圧交流電流Lを入力する低圧端子4Lと、前記変圧器4から高圧交流電流Hを出力する高圧端子4Hが、上方に突出して設けられ、前記盤筐体2内で、上方に突出した前記低圧端子4Lと低圧遮断器3の間を低圧電路6Lが接続し、上方に突出した前記高圧端子4Hと高圧送電部5の間を高圧電路6Hが接続していることを第1の特徴とする。
【0007】
本発明に係る配電盤1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記盤筐体2は、平面視において、前記変圧器4より前後長さが10cm以上40cm以下だけ長い点にある。
【0008】
本発明に係る配電盤1の第3の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記盤筐体2内には、前記高圧電路6Hから分岐する変圧分岐電路6Sに接続され且つ前記高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hをより低圧な変圧出力電流Sに変圧する計器用変圧器7と、前記計器用変圧器7からの変圧出力電流Sに基づいて前記高圧電路6Hの電圧を測定する電圧計8と、前記計器用変圧器7からの変圧出力電流Sを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な変圧出力端子9が設けられている点にある。
【0009】
本発明に係る配電盤1の第4の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記盤筐体2内には、前記高圧電路6Hから分岐する零相分岐電路6Zに接続された零相電圧検出器10と、前記零相電圧検出器10からの出力を盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な零相電圧出力端子11が設けられている点にある。
【0010】
本発明に係る配電盤1の第5の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記高圧電路6Hは、三相3線であり、前記盤筐体2内には、前記高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線それぞれから分岐する変圧分岐電路6Sに接続され且つ前記高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hをより低圧な変圧出力電流Sに変圧する計器用変圧器7が設けられ、前記高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hをより小電流の変流出力電流Rに変流する計器用変流器12が、前記高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線それぞれに設けられ、前記計器用変圧器7からの変圧出力電流Sを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な変圧出力端子9と、前記計器用変流器12からの変流出力電流Rを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な変流出力端子13が、少なくとも2つずつ設けられている点にある。
【0011】
本発明に係る配電盤1の第6の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記変圧器4は、接地点4’で接地され、前記盤筐体2内には、前記変圧器4と接地点4’の間に、接地抵抗器14が設けられ、前記接地抵抗器14と接地点4’の間に、零相変流器15が設けられ、前記零相変流器15からの出力を盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な零相変流出力端子16が設けられている点にある。
【0012】
本発明に係る配電盤1の第7の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記盤筐体2内には、前記低圧電路6Lに、前記変圧器4とは別の単相変圧器17が設けられている点にある。
【0013】
本発明に係る配電盤1の第8の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記高圧送電部5は、前記高圧電路6Hを開閉可能な高圧開閉器5a又は遮断可能な高圧遮断器5bを有し、前記盤筐体2は、前記低圧遮断器3が内部に設けられた低圧盤筐体部2Aと、前記高圧開閉器5a又は高圧遮断器5bが内部に設けられた高圧盤筐体部2Bを含み、前記低圧盤筐体部2Aの重量と高圧盤筐体部2Bの重量を、前記変圧器4が支持している点にある。
【0014】
これらの特徴により、盤筐体2内には低圧遮断器3と高圧送電部5を設け、変圧器4の上方に盤筐体2全体を取り付ける形でワンパッケージ化することによって、特許文献1とは異なり、高圧送電を行う機器と変圧器4が縦積みに配置されているため、この縦積み配置の分だけ、設置スペースが狭くなる(「省スペース化」)と共に、現地組立工事不要なため、工期短縮が可能となり、又、仮に変圧器4の高さまで浸水しても、盤筐体2内の低圧遮断器3や高圧送電部5等の各機器は水没しないこととなる。
これに加えて、盤筐体2内で、上方突出した低圧端子4L・高圧端子4Hと、低圧遮断器3・高圧送電部5を、低圧電路6L・高圧電路6Hで接続することによって、盤筐体2内の低圧電路6Lと高圧電路6Hの長さがより短くなり(「電路の短縮」)、その短さの分だけ、点検時等に高圧電路6Hなどの高圧部分と不用意に接触する可能性が減る。
尚、本発明に係る配電盤1は、縦積み型であるため、従来の横並び型の配電盤に比べて省スペース化が図られていることから「スマート盤」であるとも言える。
【0015】
又、盤筐体2を、平面視で変圧器4より前後長さを10cm以上40cm以下長くすることによって、盤筐体2は、変圧器4から前方及び/又は後方に突出することとなり、この突出した部分の下面から下方に向けて、低圧電路6Lや高圧電路6H等を通すことで、各電路6L、6Hが通るスペースを変圧器4の後ろ側等に確保できる。
【0016】
更に、盤筐体2内に、高圧電路6Hから分岐する変圧分岐電路6Sに設けられた計器用変圧器7からの変圧出力電流Sを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な変圧出力端子9を有することによって、「省スペース化」と共に、高熱が発生する変圧器4の上方に盤筐体2があっても、熱に弱い蓄電部である無停電電源装置などの電気電子機器が盤筐体2内にないため、変圧器4からの熱による故障の虞が抑制される(「熱に弱い機器の故障抑制」)。
これと同時に、無停電電源装置などに使用者が直接触れて設定変更・操作等をする場合でも、盤筐体2内には無停電電源装置などがないため、盤筐体2内部での作業は不要となり、高圧電路6H等に接触して感電するリスクが低減される(「感電リスクの低減」)。
【0017】
そして、盤筐体2内に、高圧電路6Hから分岐する零相分岐電路6Zに設けた零相電圧検出器10からの出力を、盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な零相電圧出力端子11を有することによっても、「省スペース化」と共に、熱に弱い地絡過電圧継電器などを変圧器4からの熱による故障の虞が抑制されて「熱に弱い機器の故障抑制」が実現し、地絡過電圧継電器などに使用者が直接触れて設定変更・操作等をする場合でも「感電リスクの低減」が図れる。
【0018】
その他、盤筐体2内に、高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線から分岐する変圧分岐電路6Sに設けられた計器用変圧器7からの変圧出力電流Sを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な変圧出力端子9や、高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線に設けられた計器用変流器12からの変流出力電流Rを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な変流出力端子13を有することによって、「省スペース化」と共に、熱に弱い電力量計などを変圧器4からの熱による故障の虞が抑制されて「熱に弱い機器の故障抑制」が実現し、電力量計などに使用者が直接触れて設定変更・操作等をする場合でも「感電リスクの低減」が図れる。
その他、盤筐体2内に、変圧器4と接地点4’の間に設けられた接地抵抗器14や、接地抵抗器14と接地点4’の間に設けられた零相変流器15からの出力を盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な零相変流出力端子16を有することによって、「省スペース化」と共に、熱に弱い地絡過電流継電器などを変圧器4からの熱による故障の虞が抑制されて「熱に弱い機器の故障抑制」が実現し、地絡過電流継電器などに使用者が直接触れて設定変更・操作等をする場合でも「感電リスクの低減」が図れることに加えて、接地抵抗器14なしの場合には非常に大きい値(例えば、600Aや1400Aなど)となる地絡電流が、接地抵抗器14が設けられている分だけ大幅に低減される(例えば、約1Aなどになる)点でも、多大な「感電リスクの低減」が実現できる。
その他、盤筐体2内で、低圧電路6Lに設けられた単相変圧器17を有することによって、図25の従来例のように、系統Kの停電時への備えとして、低圧の自立用(非常用)コンセント等と、このコンセント等に電力を供給する蓄電部などと、この蓄電部を充電する変圧器が必要となるところ、蓄電部は、別の既存の電気室などの盤筐体2外における変圧器に接続していた場合とは異なり、系統Kの停電時においても、自立用に変圧器を別途用意する必要がなく(又、別の既存の電気室などが周辺にない場合にも対応でき)、当該配電盤1だけで系統Kの停電時の備えが出来ると共に、変圧器が内蔵されている分だけ、「省スペース化」も図れる。
その他、低圧遮断器3を内蔵した低圧盤筐体部2Aの重量と、高圧遮断器を内蔵した高圧盤筐体部2Bの重量を、変圧器4で支持することによって、「省スペース化」や「電路の短縮」に加えて、配電盤1の設置は変圧器4さえ固定すれば可能となり、「設置の容易化」も図れる。
【0019】
本発明に係る受配電盤1’は、盤筐体2と、前記盤筐体2外において系統Kと当該系統Kから受電する電力を消費可能な負荷の間に接続された変圧器4を有した受配電盤であって、前記盤筐体2は、前記変圧器4と負荷の間の低圧電路6Lを遮断可能な低圧遮断器3が内部に設けられた低圧盤筐体2Aと、前記系統Kと変圧器4の間の高圧電路6Hを開閉可能な高圧開閉器5a又は遮断可能な高圧遮断器5bが内部に設けられた高圧盤筐体2Bを含み、前記低圧盤筐体2Aの重量と高圧盤筐体2Bの重量を、前記変圧器4が支持していることを第1の特徴とする。
【0020】
本発明に係る受配電盤1’の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記低圧盤筐体2Aの重量と高圧盤筐体2Bの重量の変圧器4による支持として、前記高圧盤筐体2Bが、前記変圧器4に上方から取り付けられ、前記低圧盤筐体2Aが、前記高圧盤筐体2Bに平面視一方から取り付けられ、前記低圧盤筐体2Aの下端が、前記変圧器4の下部まで延びている点にある。
【0021】
本発明に係る受配電盤1’の第3の特徴は、上記第2の特徴に加えて、前記変圧器4における平面視一方に偏心した位置に、吊下具4Tが設けられている点にある。
【0022】
これらの特徴により、低圧遮断器3を内蔵した低圧盤筐体2Aの重量と、高圧遮断器を内蔵した高圧盤筐体2Bの重量を、変圧器4で支持することによって、特許文献1とは異なり、高圧側の機器や低圧側の機器と変圧器4が、謂わば、縦積みに配置されているため、この縦積み配置の分だけ、設置スペースが狭くなる(「省スペース化」)と共に、現地組立工事不要なため、工期短縮が可能となる。
これに加えて、盤筐体2内で、上方突出した低圧端子4L・高圧端子4Hと、低圧遮断器3・高圧遮断器を、低圧電路6L・高圧電路6Hで接続することによって、低圧盤筐体2A内や高圧盤筐体2B内の低圧電路6Lと高圧電路6Hの長さがより短くなり(「電路の短縮」)、その短さの分だけ、点検時等に高圧電路6Hなどの高圧部分と不用意に接触する可能性が減ると共に、受配電盤1’の設置は、変圧器4さえ固定すれば可能となり、「設置の容易化」も図れる。
尚、本発明に係る受配電盤1’も、縦積み型であるため、従来の横並び型の配電盤に比べて省スペース化が図られていることから「スマート盤」であるとも言える。
【0023】
その他、低圧盤筐体2Aと高圧盤筐体2Bの変圧器4による支持として、高圧盤筐体2Bを変圧器4に上方から取り付け、低圧盤筐体2Aを高圧盤筐体2Bに平面視一方から取り付け、低圧盤筐体2Aの下端を変圧器4の下部まで延ばすことによって、変圧器4の上に高圧盤筐体2Bが載っているだけ、設置面積(又は、平面視での専有面積)の低減(つまり、更なる「省スペース化」)を図ることが出来、この「省スペース化」をしつつ、低圧盤筐体2Aを変圧器4下部まで垂下させた分だけ低圧盤筐体2Aの内容積(内部スペース)を確保できる。又、変圧器4における平面視一方に偏心した位置に吊下具4Tを設けても良い。
【0024】
本発明に係る配電システム20は、上述した第1又は2の特徴を備えた配電盤1と、発電部21と、前記発電部21からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部22を有した配電システムであって、前記配電盤1は複数であり、前記複数の配電盤1の間を連結電路6Cが連結接続し、前記連結接続された複数の配電盤1の高圧送電部5から、前記高圧交流電流Hが系統Kへ送電され、前記系統Kと前記連結接続された複数の配電盤1の間を接続する電路には、真空遮断器23a並びに断路器23b、及び/又は、負荷開閉器23cが設けられていることを第1の特徴とする。
【0025】
本発明に係る配電システム20の第2の特徴は、上述した第3の特徴を備えた配電盤1と、発電部21と、前記発電部21からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部22を有した配電システムであって、前記配電盤1は1つであり、前記1つの配電盤1の高圧送電部5から、前記高圧交流電流Hが系統Kへ送電され、前記盤筐体2外には、前記発電部21並びに変換部22、及び、前記変圧出力端子9に接続された蓄電部24が設けられている点にある。
【0026】
本発明に係る配電システム20の第3の特徴は、上述した第4の特徴を備えた配電盤1と、発電部21と、前記発電部21からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部22を有した配電システムであって、前記配電盤1は1つであり、前記1つの配電盤1の高圧送電部5から、前記高圧交流電流Hが系統Kへ送電され、前記盤筐体2外には、前記発電部21並びに変換部22、及び、前記零相電圧出力端子11に接続された地絡過電圧継電器25が設けられている点にある。
【0027】
本発明に係る配電システム20の第4の特徴は、上述した第5の特徴を備えた配電盤1と、発電部21と、前記発電部21からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部22を有した配電システムであって、前記盤筐体2外には、少なくとも2つずつの前記変圧出力端子9と変流出力端子13に接続され且つ前記高圧電路6Hの電力量を測定する電力量計28が設けられている点にある。
【0028】
本発明に係る配電システム20の第5の特徴は、上述した第6の特徴を備えた配電盤1と、発電部21と、前記発電部21からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する変換部22を有した配電システムであって、前記盤筐体2外には、前記零相変流出力端子16に接続された地絡過電流継電器29が設けられている点にある。
【0029】
これらの特徴により、連結電路6Cで接続された複数の配電盤1と系統Kの間の電路に、真空遮断器23aや断路器23bを設けたり、負荷開閉器23cを設けることによって、総発電力が大きい配電システム20にも、配電盤1を使用できると共に、各配電盤1自体や、それらの高圧送電部5を簡素化できる。
【0030】
又、盤筐体2外に、発電部21や変換部22、変圧出力端子9に接続された蓄電部24が設けられることによって、盤筐体2と変圧器4が縦積みに配置されて「省スペース化」が図れると共に、高熱が発生する変圧器4の上方に盤筐体2があっても、熱に弱い無停電電源装置などの蓄電部24について「熱に弱い機器の故障抑制」が実現する。
これと同時に、蓄電部24に使用者が直接触れて設定変更・操作等をする場合でも、盤筐体2内には蓄電部24がないため、盤筐体2内部での作業は不要となり、高圧電路6H等に接触しての「感電リスクの低減」が図れる。
【0031】
更に、盤筐体2外に、発電部21や変換部22、零相電圧出力端子11に接続された地絡過電圧継電器25が設けられることによっても、更なる「省スペース化」と共に、熱に弱い地絡過電圧継電器25についても「熱に弱い機器の故障抑制」が図れると同時に、地絡過電圧継電器25に使用者が直接触れて設定変更・操作等をする場合でも「感電リスクの低減」が図れる。
【0032】
その他、盤筐体2外に、変圧出力端子9や変流出力端子12に接続されて、高圧電路6Hの電力量を測定する電力量計28が設けられることによっても、更なる「省スペース化」や「熱に弱い機器の故障抑制」、「感電リスクの低減」が図れるのに加えて、少なくとも2つずつの計器用変圧器7からの変圧出力電流Sと計器用変流器からの変流出力電流Rに基づくことで、売電などの際に必要となる電力量の正確な測定が可能となる。
その他、盤筐体2外に、零相変流出力端子15に接続された地絡過電流継電器29が設けられることによっても、更なる「省スペース化」や「熱に弱い機器の故障抑制」、「感電リスクの低減」が図れるのに加えて、接地抵抗器14によって大幅に低減された地絡電流でも、零相変流器15からの出力に基づくことで、地絡発生時には、地絡過電流継電器29が素早く検知できるため、地絡箇所の除去などが可能となる。
【0033】
本発明に係る受配電システム20’は、上述した第1~3の特徴を備えた受配電盤1’と、負荷30を有した受配電システムであって、前記変圧器4は、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器、又は、1次巻線と2次巻線を備えた二巻線型の変圧器であり、前記負荷30は、蓄電池を内蔵した乗り物用の充電器を含んでいることを第1の特徴とする。
【0034】
この特徴により、変圧器4を三巻線型又は二巻線型とし、負荷30に、EV(電気自動車)などの蓄電池を内蔵した乗り物用の充電器を含ませることによって、当該受配電システム20’を有した自動車販売店や給油所などであれば、地球温暖化防止や化石燃料への依存等に対する問題意識の高まりから排気ガスが出ないEVが広く普及し始めている昨今において、充電時間が実用的な数分~数十分である急速充電や、様々な充電容量のEVにも対応できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る配電盤や受配電盤、配電システム、受配電システムによると、全体が変圧器上方にある盤筐体内で、上方突出した各端子と低圧遮断器や高圧送電部を電路で接続すること等で、「省スペース化」や「電路の短縮」などを実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係る配電盤の第1実施形態の外装を示す正面図である。
図2】配電盤の第1実施形態の外装を示す右側面図である。
図3】配電盤の第1実施形態の内部を示す正面図である。
図4】配電盤の第1実施形態の内部を示す左側面図である。
図5】配電盤の第1実施形態の内部を示す右側面図である。
図6】本発明に係る配電盤の第1実施形態における変形例1の内部を示す正面図である。
図7】変形例1の内部を示す左側面図である。
図8】変形例1の内部を示す右側面図である。
図9】本発明に係る配電盤の第1実施形態における変形例2の外装を示す正面図である。
図10】変形例2の外装を示す右側面図である。
図11図10におけるA-A’矢視図であって、変形例2の盤筐体の底板を示す平面断面図である。
図12】本発明に係る配電システムを示す概要図である。
図13】本発明に係る配電システムの変形例1を示す概要図である。
図14】本発明に係る配電システムの変形例2を示す概要図である。
図15】本発明に係る配電盤の第1実施形態の変形例3、及び、配電システムの変形例3を示す概要図である。
図16】本発明に係る配電盤の第2実施形態、且つ、本発明に係る受配電盤の外装を示す側面図である。
図17】配電盤の第2実施形態、且つ、受配電盤の外装を示す正面図である。
図18図16の側面図で示された配電盤の第2実施形態、且つ、受配電盤における高圧盤筐体(部)のA-A矢視断面図である。
図19図16の側面図で示された配電盤の第2実施形態、且つ、受配電盤における高圧盤筐体(部)のB-B矢視断面図である。
図20図16の側面図で示された配電盤の第2実施形態、且つ、受配電盤における高圧盤筐体(部)、低圧盤筐体(部)のC-C矢視断面図である。
図21図16の側面図で示された配電盤の第2実施形態、且つ、受配電盤における高圧盤筐体(部)、低圧盤筐体(部)のD-D矢視断面図である。
図22】配電盤の第2実施形態、且つ、受配電盤における変圧器の上面を示す平面図である。
図23】(a)は配電盤の第2実施形態、且つ、における高圧盤筐体(部)と低圧盤筐体(部)の間の仕切板を示す正面図であり、(b)は配電盤の第2実施形態、且つ、受配電盤における低圧盤筐体(部)内の低圧遮断器を示す正面図である。
図24】本発明に係る受配電システムを示す概要図である。
図25】従来の配電盤、及び、配電システムを例示する概要図である。尚、図25中のDS等の略語は、後述するDS(Disconnecting Switch、断路器)等を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<配電盤1の第1実施形態の全体構成>
図1~15に示されたように、本発明に係る配電盤1の第1実施形態は、後述する盤筐体2と、低圧遮断器3と、変圧器4と、高圧送電部5を有し、盤筐体2内には、後述する低圧電路6Lと、高圧電路6Hを有している。
この配電盤1は、盤筐体2内に、後述する変圧分岐電路6Sと、計器用変圧器7と、電圧計8と、変圧出力端子9を有していても良い。
又、配電盤1は、盤筐体2内に、後述する零相分岐電路6Zと、零相電圧検出器10と、零相電圧出力端子11を有していても良い。
尚、配電盤1の第1実施形態において、図6~8に示された変形例1は、高圧開閉器5aが高圧遮断器5b等となっている点などが主な相違点であり、図9~11に示された変形例2は、ガラリ2eや、フック棒収納スペース2nを有している点などが主な相違点である。
【0038】
ここで、本発明における電流、電圧、電力、容量は、定格範囲の値であっても良く、この場合、定格電流、定格電圧、定格電力、定格容量と言える。これら定格電流等とは、電気製品を安全に使用するために製造者によって補償された電流等の限度値であるとも言え、更に、定格とは、機器(電気電子機器)や装置で、安全・適性な動作が保証される使用限度や条件であるとも言える。
本発明における電流が交流の場合、電流の値(電流値)、電圧の値(電圧値)、電力の値(電力値)、容量の値(容量値)は、実効値であっても良い。
尚、本発明における「電路」とは、電気(電流)を流すものであって、銅、アルミニウム、銀、金、ニクロム等の導体や、この導体を絶縁物で覆ったケーブル、一般的な電線などを含む。
【0039】
又、盤筐体2外に設置された電気電子機器は、特に制限はないが、例えば、無停電電源装置などの蓄電部24や、地絡過電圧継電器25であったり、変換部22の制御装置26や、デジタルマルチリレー27であったり、又、電力量計28や、地絡過電流継電器29などのその他の継電器などであっても良い。
更に、配電盤1の重量(総重量)は、特に限定はないが、例えば、500kg以上5000kg以下、好ましくは1000kg以上4000kg以下、更に好ましくは1500kg以上3000kg以下(1900kgなど)であっても良く、配電盤1としては軽量であると言え、搬入据付工事のコスト低減できるとも言える。
【0040】
<盤筐体2>
図1~15に示されたように、盤筐体2は、上述した配電盤1の第1実施形態の機器を内蔵する筐体であって、1つの配電盤1において、1つだけ存在するものであるとも言える。
盤筐体2内には、後述する低圧遮断器3と高圧送電部5が設けられる。
盤筐体2外には、後述する変圧器4が下方から取り付けられ、盤筐体2の全体が、変圧器4の上面4Uより上方に配置される。
盤筐体2は、配電盤1の機器を内蔵するのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、全体として略直方体状や、立方体状等に形成されていても良く、キュービクルとも呼ばれる。
以下、盤筐体2は、主に略直方体状であるとして述べる。
【0041】
盤筐体2は、開閉自在な扉2aを1つ又は複数有していても良く、扉2aは、盤筐体2の前面側、及び/又は、後面側に設けられていても構わず、この場合、配電盤1の設置時に盤筐体2内部の配線作業を前面や後面から行うことが出来ると言える。又、扉2aには扉ハンドルが設けられていても良い。尚、盤筐体2(本体2c)は、後述する変圧器4の高圧端子(高圧出力端子)4H側など、扉2aが設けられていない箇所(開閉しない箇所)が存在していても良く、この開閉しない箇所は、当該配電盤1の設置時に配線作業等がし易いように、側板がボルト止め式等であっても構わない。
盤筐体2は、屋根2bと本体2cを有していても良く、屋根2bは、本体2cの上部に設けられていて、屋根2bの上面は後傾して(後ろ下がりになって)いても構わない。屋根2bは、本体2cから前方及び/又は後方に突出したり、左方及び/又は右方に突出しても良く、この場合、平面視における盤筐体2の左右長さ(横幅)や前後長さ(奥行)は、屋根2bの左右長さや前後長さであると言える。
【0042】
盤筐体2は、排気スペース(排気口)2dを有していても良く、排気スペース2dは、フィルター2d’付であったり、排気スペース2dの開口部が、盤筐体2内外を仕切るメッシュ部材で覆われていても構わない。排気スペース2dが設けられた場所は、特に限定はないが、例えば、屋根2bが本体2cに対して前方及び/又は後方に突出している場合であれば、その屋根2bの突出した下面に設けられていたり、その他、盤筐体2の上部の何れかの場所に設けられていても構わない。
盤筐体2は、ガラリ2eを有していても良く、フィルター付であっても構わない。ガラリ2eが設けられた場所は、特に限定はないが、例えば、本体2cの左方及び/又は右方の側面下部で且つ前後方向略中央に設けられていても構わない(特に、図10参照)。
【0043】
盤筐体2の大きさは、特に限定はないが、盤筐体2の前後長さ(奥行)は、例えば、平面視において、後述する変圧器4と、前後長さ(奥行)の差が10cm以上40cm以下であったり、好ましくは10cm以上35cm以下、更に好ましくは15cm以上31cm以下(21cmや、30.5cmなど)であっても良い。尚、盤筐体2の変圧器4との前後長さの差は、盤筐体2が変圧器4より長い場合であったり、逆に、盤筐体2が変圧器4より長い場合であっても良い。
その他、盤筐体2の前後長さは、変圧器4と略同じであっても良く、この場合は、略同じとは、前後長さの差が前方及び/又は後方合計2cm以下であることを意味する。
又、盤筐体2の大きさは、平面視において、後述する変圧器4と、左右長さ(横幅)が略同じであっても良く、この場合、略同じとは、左右長さの差が、左右それぞれで1cm以下(左右合計で2cm以下)であることを意味する。
その他、盤筐体2の変圧器4との左右長さの差は、例えば、2cmより大きく40cm以下、好ましくは2cmより大きく30cm以下、更に好ましくは2cmより大きく20cm以下であっても良い。尚、盤筐体2の変圧器4との左右長さの差は、盤筐体2が変圧器4より長い場合であったり、逆に、盤筐体2が変圧器4より長い場合であっても良い。
【0044】
盤筐体2の具体的な大きさは、例えば、屋根2bの左右長さが70cm以上170cm以下、好ましくは80cm以上150cm以下、更に好ましくは90cm以上130cm以下(120cmや、103cmなど)であったり、盤筐体2における屋根2bが本体2cから前方・後方に突出している場合、例えば、屋根2bの前後長さが70cm以上160cm以下、好ましくは80cm以上140cm以下、更に好ましくは90cm以上120cm以下(100cmや、94.5cmなど)で、本体2cの前後長さ(扉2aの厚さも含む)が70cm以上160cm以下、好ましくは80cm以上140cm以下、更に好ましくは90cm以上120cm以下(100cmや、94.5cmなど)であったり、上下長さ(高さ)が70cm以上130cm以下、好ましくは80cm以上120cm以下、更に好ましくは90cm以上110cm以下であっても良い。
【0045】
盤筐体2は、屋根2bが後傾している場合、屋根2bの前上端から後上端までの上下長さの差が、例えば、1cm以上10cm以下、好ましくは2cm以上7cm以下、更に好ましくは3cm以上5cm以下(3.6cmなど)であっても良い。
特に、図11に示されたように、盤筐体2の本体2cにおける底板2fは、後述する変圧器4の上面4Uに取り付けられるトランス基礎部分2g(平面視では、このトランス基礎部分2gにて低圧端子(低圧入力端子)4Lや高圧端子(高圧出力端子)4Hが位置することとなる)や、盤筐体2外へ高圧交流電流Hを流す高圧電路(高圧ケーブル)6Hを挿通するための1つ又は複数の高圧開口部2hや、盤筐体2外からの低圧交流電流Lを流す1つ又は複数の低圧電路(低圧ケーブル)6Lを挿通するための低圧開口部2j、盤筐体2外にある後述する変換部22の制御装置26からの制御線を挿通するための1つ又は複数の制御開口部2kなどを有していても良く、盤筐体2が平面視で変圧器4より前後長さが所定長さ(例えば、10cm以上40cm以下)だけ長く、盤筐体2が変圧器4から前方及び/又は後方に突出する場合には、この突出した部分の下面に、高圧開口部2hや低圧開口部2j、制御開口部2kを設けても構わない。又、底板2fには、変圧器4の上面4Uから上方に突出して設けられた(立設された)低圧入力端子4Lや高圧出力端子4Hを挿通する孔が形成されていても構わず、この場合の挿通する孔は、平面視で上述したトランス基礎部分2gに設けられることとなる。
その他、底板2fには、変圧器4からの熱を遮る断熱材(図示せず)が設けられていても良い。
【0046】
ここで、図3~8に示されたように、第1実施形態の配電盤1において、1つの盤筐体2は、後述する低圧遮断器3が内部に設けられた低圧盤筐体部2Aと、後述する高圧開閉器5a又は後述する高圧遮断器5bが内部に設けられた高圧盤筐体部2Bを含んでいると言え、又、後述する変圧器4が下方から取り付けられた盤筐体2の全体が、変圧器4の上面4Uより上方に配置されていることから、当然、低圧盤筐体部2Aも高圧盤筐体部2Bも、変圧器4に取り付けられた状態で、当該変圧器4の上面4Uより上方に配置されているため、低圧盤筐体部2Aの重量と、高圧盤筐体部2Bの重量は、変圧器4が支持していると言える。
【0047】
<低圧遮断器3>
図3、5、6、8、12~15に示されたように、低圧遮断器3は、上述した盤筐体2外からの低圧交流電流Lを遮断可能な機器であり、換言すれば、後述する低圧電路6Lに設けられ、低圧電路6Lを遮断可能な機器である。尚、低圧遮断器3は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1の第1実施形態は、盤筐体2内に低圧遮断器3を有し)ている。
低圧遮断器3は、例えば、低圧電路6Lが低圧遮断器3から更に延びて、低圧電路6Lが盤筐体2外の変換部22まで接続されている場合には、その変換部22と変圧器4との間を遮断することとなる。
低圧遮断器3は、配線用遮断器(MCCB、Molded Case Circuit Break)であっても良く、その他、漏電遮断器(ELCB、Earth Leakage Circuit Breaker)であっても構わない。尚、低圧遮断器3は、1つの配電盤1において、1つ存在するだけでなく、複数(例えば、4つや5つ等)存在しても良い。
又、低圧遮断器3は、計器用変流器(特に、クランプ型変流器)3’が設けられていても良く、その他、メグ測定スイッチ(MG)付であったり、逆接続可能であっても構わない。
【0048】
<変圧器4>
図1~15に示されたように、変圧器4は、上述した盤筐体2外からの低圧交流電流Lを、より高圧な高圧交流電流Hに変圧(昇圧)する機器であり、所謂、トランス(TR)である。尚、トランスとは、トランスフォーマーの略である。又、変圧器4も、1つの配電盤1の第1実施形態において、1つだけ存在するものであるとも言える。
変圧器4には、その上方から上述の盤筐体2が取り付けられている。つまり、変圧器4は、盤筐体2外に設置されることとなり、盤筐体2内の換気扇や、換気扇用の補器電源が不要となり、変圧器4(本体)の補修塗装が容易に出来、長期間(例えば、20年以上など)に渡ってメンテナンスが出来、一体発送して設置現場での組立工事が不要となるとも言える。
又、変圧器4は、後述する配電システム20においては、系統K(高圧電路6H側)と変換部22(低圧電路6L側)の間に接続されることとなるとも言える。
変圧器4の容量(単位はVA、連続定格)も、特に限定はないが、例えば、50kVA以上2000kVA以下、好ましくは100kVA以上1500kVA以下、更に好ましくは200kVA以上1000kVA以下(300kVAや、500kVAなど)であっても良い。
【0049】
変圧器4は、その構成に限定はないが、例えば、1次巻線と2次巻線を備えた二巻線型の変圧器(二巻線変圧器)であったり、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器(三巻線変圧器)であったり、四巻線以上の変圧器であっても良い。
以下、変圧器4は、二巻線変圧器であるとして主に述べる。
二巻線変圧器である変圧器4は、例えば、その1次側は高圧電路6H側であり、その2次側が低圧電路6L側であっても良く、この場合、具体的な値は特に制限はないが、例えば、高圧電路6H側である1次側の電圧は、5000V以上40000V以下、好ましくは5500V以上30000V以下、更に好ましくは6000V以上25000V以下(6600Vや、22000Vなど)であったり、低圧電路6L側である2次側の電圧は、100V以上1000V以下、好ましくは150V以上800V以下、更に好ましくは200V以上600V以下(440Vや、254V、550V、318Vなど)であっても構わない。
【0050】
変圧器4は、その1、2次側の結線方式についても特に制限はないが、例えば、高圧電路6H側である1次側が三角形結線(Δ結線)で、低圧電路6L側である2次側が星型結線(Y結線)で(つまり、Δ-Y結線)であっても良く、その他、1次側・2次側の順で、Δ-Δ結線やY-Δ結線、Y-Y結線であっても構わない(これらの場合、1次側・2次側共に、三相3線(3φ3W)となる)。
変圧器4の低圧端子(低圧入力端子)4Lは、当該変圧器4へ低圧交流電流Lを入力する端子であり、高圧端子(高圧出力端子)4Hは、当該変圧器4から高圧交流電流Hを出力する端子である。これらの各端子4L、4Hは、盤筐体2内で、その底板2fから突出状に設けられて(立設して)いても良く、平面視における各端子4L、4Hの配置は、特に制限はないが、例えば、各端子4L、4Hごとに3線の3本ずつが、略左右一列(略横一列)に並んで配置されていても構わない。
変圧器4の下部は、基礎に対して、設置部材4a(左右一対の断面略L字状棒材や、左右一対の断面略L字状棒材とそれらの後端同士を連結する連結棒材を含めた平面視略コ字状の設置部材など)を、ネジ等の固定部材(図示せず)を介して取り付けて設置しても良く、この基礎は、コンクリート等の素材で且つ一様な厚みを持つベタ基礎や凹み等を有したゲタ基礎であったり、設置面Mに打ち込まれた複数の杭部材であっても構わない。尚、変圧器4の基礎が杭部材である場合には、工事コストが低減できるとも言える。
変圧器4は、油入式変圧器(自冷式や風冷式、水冷式など)であったり、乾式変圧器(自冷式や風冷式、水冷式など)であっても良く、その他、混触防止板が付いていたり、B種接地(EB)であっても構わない。又、変圧器4は、B種接地以外に、接地点4’で接地されていても良く、特に、後述する変形例3を示す図15の場合、1次側Δ結線で且つ2次側がY結線の変圧器4における2次側のY結線の中性点から接地点4’までの電路で接地(所謂、中性点接地)されている。
【0051】
変圧器4の具体的な大きさは、その本体部分が、例えば、左右長さ(横幅)が70cm以上170cm以下、好ましくは80cm以上150cm以下、更に好ましくは90cm以上130cm以下(120cmや、101cmなど)であったり、前後長さ(奥行)が45cm以上110cm以下、好ましくは50cm以上100cm以下、更に好ましくは55cm以上90cm以下(79cmや、60cmなど)であったり、上下長さ(高さ)が70cm以上130cm以下、好ましくは80cm以上120cm以下、更に好ましくは90cm以上110cm以下であっても良い。
よって仮に、変圧器4の上下長さが100cmであれば、変圧器4の上方に取り付けられて盤筐体2やその内部の各機器は、設置面Mから100cmより高い位置にあることとなるため、例えば、約100cmの高さまで浸水しても、各機器は水没しないこととなる。尚、変圧器4は、防水であると言える。
【0052】
変圧器4は、設置部材4aが上述した平面視略コ字状の設置部材であり、固定部材がネジである場合、例えば、左右の設置部材4a間の左右間隔が40cm以上80cm以下、好ましくは45cm以上70cm以下、更に好ましくは50cm以上60cm以下(54cmなど)で、左右の固定部材間の左右間隔が45cm以上85cm以下、好ましくは50cm以上75cm以下、更に好ましくは55cm以上65cm以下(60cmなど)で、左右の設置部材4aの左右外方端同士の左右間隔が50cm以上90cm以下、好ましくは55cm以上80cm以下、更に好ましくは60cm以上70cm以下(64cmなど)であっても良い。
又、変圧器4は、各設置部材4aと固定する前後の固定部材間の前後間隔が40cm以上80cm以下、好ましくは45cm以上70cm以下、更に好ましくは50cm以上60cm以下(55cmなど)で、左右の設置部材4aの前後長さが45cm以上85cm以下、好ましくは50cm以上75cm以下、更に好ましくは55cm以上65cm以下(60cmなど)で、平面視略コ字状の設置部材全体としての前後長さが50cm以上90cm以下、好ましくは55cm以上80cm以下、更に好ましくは60cm以上70cm以下(64cmなど)であっても良い。
【0053】
<高圧送電部5>
図3~8、12~15に示されたように、高圧送電部5は、上述した変圧器4からの高圧交流電流Hを盤筐体2外(後述する送電盤23や、系統Kなど)へ送電する部分である。
1つの後述する配電システム20が複数の配電盤1の第1実施形態を有している場合、当然、高圧送電部5も複数存在することとなり、これら複数の高圧送電部5から、盤筐体2外へ送電しても良く、その他、1つの配電システム20が1つの配電盤1を有している場合、高圧送電部5も1つ存在することとなり、この1つの高圧送電部5から、盤筐体2外へ送電しても構わない。
高圧送電部5は、その構成に特に制限はないが、例えば、後述する高圧開閉器(負荷開閉器)5aを少なくとも有したり、又は、後述する高圧遮断器(真空遮断器)5bや、断路器5cを少なくとも有している。
その他、高圧送電部5は、サーキットプロテクタ5dや、計器用変流器12(5e)、電源用遮断器5f、予備遮断器5g、電圧試験端子5h、電流試験端子5jなどを有していても良い。
【0054】
<高圧開閉器(負荷開閉器)5a>
図3、4、12、13、15に示されたように、高圧開閉器5aは、負荷開閉器(Load Break Switch、LBS)であると言え(以下「負荷開閉器5a」とも言う)、後述する高圧電路6Hに設けられ、高圧交流電流H(負荷電流)が流れた状態の高圧電路6Hを(三相3線一括で)開閉する機器であり、高圧交流負荷開閉器とも呼ばれる。
負荷開閉器5aは、電力ヒューズ(4つや3つなど)や、限流ヒューズを有していても良い。
負荷開閉器5aは、例えば、高圧電路6Hにおける変圧器4と零相電圧検出器10(零相分岐電路6Zの分岐点)の間に設けられていても良い。
尚、負荷開閉器5aは、盤筐体2内に1つ又は複数(2つなど)設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に負荷開閉器5aを1つ又は複数有し)ていると言える。
又、負荷開閉器5aは、絶縁バリア付や、励突抑制(励磁突入電流抑制)型の開閉器であったり、負荷開閉器5aの開閉は、フック操作にて行っても良く、その他、電圧引外し装置(トリップコイル)にて開放し、復帰(復旧、閉鎖)は手動操作で行っても構わず、この場合、荷開閉器5aは、後述する不足電圧継電器34やコンデンサ引外し電源装置35に接続され、系統Kの停電時などの場合には、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hの電圧が所定の値を下回った(不足した)状態を不足電圧継電器34で検知して、コンデンサ引外し電源装置35からの電源供給によって、負荷開閉器5aは電圧引外し装置によって開放されることとなる。
【0055】
<高圧遮断器(真空遮断器)5b、断路器5c>
図6、7、14に示されたように、高圧遮断器5bは、真空遮断器(Vacuum Circuit Breaker、VCB)であると言え(以下「真空遮断器5b」とも言う)は、後述する高圧電路6Hに設けられ、高圧交流電流H(負荷電流)が流れた状態の高圧電路6Hを(三相3線一括で)開閉する機器であり、真空バルブの中でアーク消弧させる。
真空遮断器5bは、例えば、計器用変流器12(5e)と断路器5cの間に設けられていても良い。
尚、真空遮断器5bは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に真空遮断器5bを有し)ていると言える。
又、真空遮断器5bは、電動ばね操作(キャパシタトリップ)方式であっても良い。
図6、7、14に示されたように、断路器(Disconnecting Switch、DS)5cは、後述する高圧電路6Hに設けられ、高圧交流電流H(負荷電流)が流れていない状態の高圧電路6Hを開閉する機器であって、断路器5cには、電流を遮断する機能はなく、別の遮断器で電流を遮断してから、断路器5cの開閉を行う。
断路器5cは、例えば、計器用変圧器7(変圧分岐電路6Sの分岐点)と零相電圧検出器10(零相分岐電路6Zの分岐点)の間に設けられていても良い。
尚、断路器5cは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に断路器5cを有し)ていると言える。
又、断路器5cの開閉は、フック操作にて行っても良い。
【0056】
<サーキットプロテクタ5d>
図12~15に示されたように、サーキットプロテクタ(Circuit Protector、CP)5dは、後述する変圧分岐電路6Sにおける計器用変圧器7と電圧計8の間に設けられ、変圧分岐電路6Sを遮断可能な機器である。
尚、サーキットプロテクタ5dは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内にサーキットプロテクタ5dを有し)ていると言える。
【0057】
<計器用変流器12(5e)>
図14、15に示されたように、計器用変流器(Current Transformer、CT)12(以下「計器用変流器5e」とも言う)は、後述する高圧電路6Hに設けられ、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hをより小電流の変流出力電流Rに変流する機器である。
計器用変流器5eから出力される変流出力電流Rは、後述する変流出力端子13(5e’)等を介して、盤筐体2外に出力される。計器用変流器5eは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に計器用変流器5eを有し)ていると言える。
計器用変流器5eの巻線がコイルに巻回される回数(巻回数)は、特に限定はないが、例えば、10回以上10000回以下、好ましくは100回以上6000回以下、更に好ましくは500回以上4000回以下(1500回など)であっても良い。
計器用変流器5eの巻回数に対して、高圧電路6Hの巻回数は1回と言えることから、計器用変流器5eとしての1次側(高圧電路6H側)と2次側(出力側)の変流比は、1:計器用変流器5eの巻回数となる。その変流比の値も、特に限定はないが、例えば、1:10以上1:10000以下、好ましくは1:100以上1:6000以下、更に好ましくは1:500以上1:4000以下(1:1500など)であっても良い。
計器用変流器5eにおける電流の定格範囲は、特に限定はないが、例えば、15A以上1800A以下、好ましくは20A以上1650A以下、更に好ましくは25A以上1500A以下(60Aなど)であっても良い。
尚、計器用変流器5eに実際に流れる電流の範囲の最大値は、上述した電流の定格範囲の最大値の10倍以上20倍以下であっても良く、例えば、100kA以下、好ましくは80kA以下、更に好ましくは60kA以下(40kAなど)であっても構わない。
【0058】
図14、15に示されたように、変流出力端子13(以下「変流出力端子5e’」とも言う)は、計器用変流器5eからの出力を、上述した盤筐体2外に設けられた電気電子機器に出力可能な端子である。変流出力端子5e’は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に変流出力端子5e’を有し)ていると言える。ここで、盤筐体2外に設けられた電気電子機器とは、特に制限がないが、例えば、後述するデジタルマルチリレー27や、後述する電力量計28などであっても良い。変流出力端子5e’は、盤筐体2内にある端子台に設けられていても良い。
図14、15に示されたように、計器用変流器5eから変流出力端子5e’までの間の電路は、変流出力電路6R’であり、この変流出力電路6R’も、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に変流出力電路6R’を有し)ていると言える。変流出力電路6R’は、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
変流出力電路6R’において、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hに応じた、より小電流(例えば、約10Aなど)の変流出力電流Rが、計器用変流器5eから出力され、変流出力電路6R’に流れる。
変流出力電路6R’の盤筐体2外寄りの一端には、上述した変流出力端子5e’が設けられていても良く、変流出力端子5e’は盤筐体2(の外装)に設けられて、入力端子挿入用の孔側のみが、盤筐体2外へ露出していても構わない。
【0059】
<電源用遮断器5f、予備遮断器5gなど>
図14に示されたように、電源用遮断器5fは、上述した変圧出力電路6S’におけるサーキットプロテクタ5dと電圧計8の間から分岐した電源分岐電路6Dに設けられ、電源分岐電路6Dを遮断可能な機器である。尚、電源用遮断器5fは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に電源用遮断器5fを有し)ていると言える。
電源用遮断器5fは、例えば、電源分岐電路6Dが盤筐体2外の無停電電源装置などの蓄電部24に接続されている場合には、その蓄電部24とサーキットプロテクタ5d(又は電圧計8)との間を遮断することとなる。電源用遮断器5fは、配線用遮断器や、漏電遮断器であっても構わない。
【0060】
図14に示されたように、予備遮断器5gは、上述した変圧出力電路6S’におけるサーキットプロテクタ5dと電圧計8の間から分岐した予備分岐電路6Yに設けられ、予備分岐電路6Yを遮断可能な機器である。尚、予備遮断器5gは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に予備遮断器5gを有し)ていると言える。予備遮断器5gは、電源用遮断器5fは、配線用遮断器や、漏電遮断器であっても構わない。又、配電盤1は、予備分岐電路6Yの盤筐体2外寄りの一端に設けられ、上述した計器用変圧器7からの変圧出力電流Sを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な予備出力端子(図示せず)を有していても良く、この場合、予備出力端子も、盤筐体2内にある端子台に設けられていても構わない。
図14に示されたように、電圧試験端子(Voltage Test Terminal、VTT)5hは、上述した変圧出力電路6S’における電圧計8とサーキットプロテクタ5d(又は、電源分岐電路6Dや予備分岐電路6Yの分岐点)の間に設けられ、計器用変圧器7や変圧出力電流Sを試験測定するための端子である。尚、電圧試験端子5hは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に電圧試験端子5hを有し)ていると言える。
図14に示されたように、電流試験端子(Current Test Terminal、CTT)5jは、変流出力電路6R’における計器用変流器5eと変流出力端子5e’の間に設けられ、計器用変流器5eや変流出力電流Rを試験測定するための端子である。尚、電流試験端子5jは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に電流試験端子5jを有し)ていると言える。
【0061】
<低圧電路6L、高圧電路6H、変圧分岐電路6S、零相分岐電路6Z>
図3~8、12~15に示されたように、低圧電路6Lは、上述した低圧遮断器3と変圧器4(低圧端子4L)の間を接続して、低圧交流電流Lを流す電路であり、低圧ケーブルであるとも言える。尚、低圧遮断器3と、盤筐体2外の何れかの機器(後述する配電システム20の変換部22など)の間を接続する電路も、低圧交流電流Lを流すことから、低圧遮断器3と盤筐体2外の何れかの機器の間を接続する電路も、低圧電路6Lであると言える。低圧電路6Lは、三相3線(3φ3W)や単相3線(1φ3W)等であれば3本1組となり、単相2線(1φ2W)等であれば2本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良く、この場合、複数本1組の低圧電路6Lは、上述した盤筐体2の低圧開口部2jに挿通された1本のケーブルホース等の低圧配管6L’の中に収納されても構わない。
図3~8、12~15に示されたように、高圧電路6Hは、上述した変圧器4(高圧端子4H)と高圧送電部5の間を接続して、高圧交流電流Hを流す電路であり、高圧ケーブルであるとも言える。尚、高圧送電部5と、盤筐体2外の何れかの機器(後述する系統Kなど)の間を接続する電路も、高圧交流電流Hを流すことから、高圧送電部5と盤筐体2外の何れかの機器の間を接続する電路も、高圧電路6Hであると言える。高圧電路6Hも、三相3線(3φ3W)や単相3線(1φ3W)等であれば3本1組となり、単相2線(1φ2W)等であれば2本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良く、この場合、複数本1組の高圧電路6Hは、上述した盤筐体2の高圧開口部2hに挿通された1本のケーブル筒状体やケーブルホース等の高圧配管6H’の中に収納されても構わない。
【0062】
図13~15に示されたように、変圧分岐電路6Sは、盤筐体2内で高圧電路6Hから分岐する電路であり、後述する計器用変圧器7が設けられている。
変圧分岐電路6Sは、上述した高圧電路6Hと、計器用変圧器7の間を接続する電路であり、この変圧分岐電路6Sは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1の第1実施形態は、盤筐体2内に変圧分岐電路6Sを有し)ている。変圧分岐電路6Sは、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
変圧分岐電路6Sは、高圧電路6Hの何れから分岐しても良いが、例えば、配電盤1が負荷開閉器5a等を有している場合には、変圧分岐電路6Sは、高圧電路6Hにおける零相電圧検出器10(零相分岐電路6Zの分岐点)と系統K側の間から分岐したり、配電盤1が真空遮断器5bや断路器5c等を有している場合には、変圧分岐電路6Sは、高圧電路6Hにおける真空遮断器5bと断路器5cの間から分岐しても構わない。
【0063】
図13~15に示されたように、零相分岐電路6Zは、上述した高圧電路6Hから分岐する電路であり、後述する零相電圧検出器10が設けられている。
零相分岐電路6Zは、上述した高圧電路6Hから、零相電圧検出器10までの間を接続する電路であり、この零相分岐電路6Zは、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に零相分岐電路6Zを有し)ている。零相分岐電路6Zは、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
零相分岐電路6Zは、高圧電路6Hの何れから分岐しても良いが、例えば、配電盤1が負荷開閉器5a等を有している場合には、零相分岐電路6Zは、高圧電路6Hにおける負荷開閉器5aと計器用変圧器7(変圧分岐電路6Sの分岐点)の間から分岐したり、配電盤1が真空遮断器5bや断路器5c等を有している場合には、零相分岐電路6Zは、高圧電路6Hにおける断路器5cと系統K側の間から分岐しても構わない。
【0064】
<計器用変圧器7、電圧計8、変圧出力端子9など>
図4、7、12~15に示されたように、計器用変圧器(Voltage Transformer、VT)7は、上述した変圧分岐電路6Sに設けられ、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hをより低圧な変圧出力電流Sに変圧(降圧)する機器である。
計器用変圧器7から出力される変圧出力電流Sは、後述する変圧出力端子9等を介して、盤筐体2外に出力される。逆に言えば、計器用変圧器7は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1の第1実施形態は、盤筐体2内に計器用変圧器7を有し)ている。尚、計器用変圧器7は、1つの配電盤1において、1つ存在するだけでなく、複数(2つなど)存在しても良い。
計器用変圧器7の容量も、特に限定はないが、例えば、10VA以上500VA以下、好ましくは20VA以上300VA以下、更に好ましくは40VA以上200VA以下(100VAなど)であっても良い。
計器用変圧器7は、その構成に限定はなく、三巻線以上の変圧器であっても良いが、二巻線変圧器であるとして主に述べる。
【0065】
二巻線変圧器である計器用変圧器7は、例えば、その1次側は高圧電路6H側であり、その2次側が電圧計8側であっても良く、この場合、具体的な値は特に制限はないが、例えば、高圧電路6H側である1次側の電圧は、5000V以上40000V以下、好ましくは5500V以上30000V以下、更に好ましくは6000V以上25000V以下(6600Vや、22000Vなど)であったり、電圧計8側である2次側の電圧は、10V以上600V以下、好ましくは20V以上400V以下、更に好ましくは50V以上300V以下(1100Vなど)であっても構わない。
計器用変圧器7は、1次側及び/又は2次側に電力ヒューズ(Power Fuse、PF)を有していても良い。
【0066】
図3、6、12~15に示されたように、電圧計8は、上述した計器用変圧器7から出力される変圧出力電流Sに基づいて、上述した高圧電路6Hの電圧を測定する機器であり、計器用変圧器7を介して高圧電路6Hに接続されているとも言える。尚、電圧計8は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に電圧計8を有し)ている。
電圧計8は、何れの構成であっても良いが、アナログ式の電圧計などであっても良い。
図12~14に示されたように、計器用変圧器7から電圧計8までの間の電路は、変圧出力電路6S’であり、この変圧出力電路6S’も、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に変圧出力電路6S’を有し)ている。変圧出力電路6S’は、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
変圧出力電路6S’は、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hの電圧に応じた、より低圧の電圧(例えば、110Vなど)の変圧出力電流S(の少なくとも一部)が、計器用変圧器7から出力され、変圧出力電路6S’に流れる。
【0067】
図12~15に示されたように、変圧出力端子9は、上述した計器用変圧器7からの変圧出力電流Sを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な端子である。変圧出力端子9は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に変圧出力端子9を有し)ている。
ここで、盤筐体2外に設けられた電気電子機器とは、特に制限がないが、例えば、後述する蓄電部24や、後述する電力量計28などであっても良く、この場合、変圧出力端子9は、電源出力端子であるとも言える。
変圧出力端子9も、盤筐体2内にある端子台に設けられていても良い。尚、変圧出力端子9も、1つの配電盤1において、1つ存在するだけでなく、複数存在しても良い。
【0068】
図12~15に示されたように、計器用変圧器7から変圧出力端子9までの間の電路は、上述した変圧出力電路6S’と、この変圧出力電路6S’における計器用変圧器7と電圧計8の間から分岐した電源分岐電路6Dであり、この電源分岐電路6Dも、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に電源分岐電路6Dを有し)ている。電源分岐電路6Dは、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
電源分岐電路6Dにおいても、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hの電圧を降圧した(例えば、110Vなど)の変圧出力電流S(の少なくとも一部)が、計器用変圧器7から出力され、電源分岐電路6Dに流れる。
電源分岐電路6Dの盤筐体2外寄りの一端には、上述した変圧出力端子9が設けられていても良く、変圧出力端子9は盤筐体2(の外装)に設けられて、入力端子挿入用の孔側のみが、盤筐体2外へ露出していても構わない。
【0069】
<零相電圧検出器10、零相電圧出力端子11など>
図13~15に示されたように、零相電圧検出器(Zero Phase Potential Device 、ZPD)10は、上述した零相分岐電路6Zに設けられ、後述する配電システム20の高圧電路6H側等のシステムにおける何れかに地絡(三相3線中の完全1線地絡など)が発生して、高圧電路6H側に零相電圧が発生したか否かを検出する機器である。尚、零相電圧検出器10は、零相計器用変圧器(Zero Phase Voltage Transformer、ZVT)等とも呼ばれる。
零相電圧検出器10からの出力は、後述する零相電圧出力端子11を介して、盤筐体2外に出力される。逆に言えば、零相電圧検出器10は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1の第1実施形態は、盤筐体2内に零相電圧検出器10を有し)ている。
その他、零相電圧検出器10は、A種接地(EA)であっても良い。
【0070】
図13~15に示されたように、零相電圧出力端子11は、零相電圧検出器10からの出力を、上述した盤筐体2外に設けられた電気電子機器に出力可能な端子である。零相電圧出力端子11は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に零相電圧出力端子11を有し)ている。
ここで、盤筐体2外に設けられた電気電子機器とは、特に制限がないが、例えば、後述する地絡過電圧継電器25などであっても良い。
零相電圧出力端子11は、盤筐体2内にある端子台(Terminal Block、TB)に設けられていても良い。尚、零相電圧出力端子11は、1つの配電盤1において、1つ存在するだけでなく、複数存在しても良い。
【0071】
図13~15に示されたように、零相電圧検出器10から零相電圧出力端子11までの間の電路は、零相電圧出力電路6Z’であり、この零相電圧出力電路6Z’も、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に零相電圧出力電路6Z’を有し)ている。零相電圧出力電路6Z’は、三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
零相電圧出力電路6Z’において、零相電圧検出器10が零相電圧を検出した際には、配電システム20等に発生した零相電圧に応じた、より低圧の電圧(例えば、約6~9Vなど)の零相電圧出力電流Zが、零相電圧検出器10から出力され、零相電圧出力電路6Z’に流れる。
零相電圧出力電路6Z’の盤筐体2外寄りの一端には、上述した零相電圧出力端子11が設けられていても良く、零相電圧出力端子11は盤筐体2(の外装)に設けられて、入力端子挿入用の孔側のみが、盤筐体2外へ露出していても構わない。
【0072】
<配電盤1の第1実施形態の変形例3>
図15に示されたように、配電盤1の第1実施形態の変形例3は、高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線に設けられた計器用変圧器7・計器用変流器12及びそれらの出力端子9、13を有していたり、変圧器4と接地点4’の間に設けられた接地抵抗器14と零相変流器15及びその出力端子16を有していたり、単相変圧器17を有している点などが主な相違点である。
【0073】
<計器用変圧器7、計器用変流器12、それらの出力端子9、13>
図15に示されたように、変形例3においては、上述した計器用変圧器7は、高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線それぞれから分岐する変圧分岐電路6Sに、それぞれ接続されており、この場合の計器用変圧器7それぞれは、厳密には、高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線それぞれに流れる高圧交流電流Hを、それぞれから分岐した変圧分岐電路6Sを介して、より低圧な変圧出力電流Sに変圧することとなる。又、計器用変圧器7は、盤筐体2内に少なくとも2つ設けられ(配電盤1の第1実施形態の変形例3は、盤筐体2内に、少なくとも2つの計器用変圧器7を有し)ている。
図15に示されたように、変形例3においては、上述した計器用変流器12(5e)は、高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線それぞれに設けられており、この場合の計器用変流器12(5e)それぞれは、厳密には、高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線それぞれに流れる高圧交流電流Hを、より小電流の変流出力電流Rに変流することとなる。又、計器用変流器12(5e)は、盤筐体2内に少なくとも2つ設けられ(配電盤1の第1実施形態の変形例3は、盤筐体2内に、少なくとも2つの計器用変流器12(5e)を有し)ている。
図15に示されたように、変形例3においては、計器用変圧器7からの変圧出力電流Sを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な変圧出力端子9は、上述した盤筐体2内などに、少なくとも2つ設けられ(配電盤1の第1実施形態の変形例3は、盤筐体2内などに、少なくとも2つの変圧出力端子9を有し)ていて、又、変形例3においては、計器用変流器12からの変流出力電流Rを盤筐体2外の電気電子機器に出力可能な変流出力端子13は、上述した盤筐体2内などに、少なくとも2つ設けられ(配電盤1の第1実施形態の変形例3は、盤筐体2内などに、少なくとも2つの変流出力端子13を有し)ている。
【0074】
<接地抵抗器14、零相変流器15、零相変流出力端子16など>
図15に示されたように、接地抵抗器14は、上述した変圧器4と接地点4’の間の電路(謂わば、接地電路)に設けられた抵抗器である。尚、接地抵抗器14は、中性点接地抵抗器(Neutral Grounding Resistor、NGR)等とも呼ばれる。接地抵抗器14の抵抗値は、特に限定はないが、例えば、10Ω以下や、100Ω以下であったり、1Ω以上10Ω以下や、1Ω以上100Ω以下であっても良い。又、接地抵抗器14は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に接地抵抗器14を有し)ている。
図15に示されたように、零相変流器(Zero Phase Current Transformer、ZCT)15は、上述した接地抵抗器14と接地点4’の間に設けられ、後述する配電システム20の高圧電路6H側や変圧器4等のシステムにおける何れかに地絡(三相3線中の完全1線地絡など)が発生して、高圧電路6H側や変圧器4等に零相電流が発生したか否かを検出する機器である。又、零相変流器15からの出力は、後述する零相変流出力端子16を介して、盤筐体2外に出力される。逆に言えば、零相変流器15は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1の第1実施形態は、盤筐体2内に零相変流器15を有し)ている。尚、変圧器4と接地点4’の間の接地電路(零相変流器15と接地点4’の間など)には、断路端子4bも設けられていても良い。尚、零相変流器15は、断路端子4bと接地点4’の間に設けられていても良い。
【0075】
図15に示されたように、零相変流出力端子16は、零相変流器15からの出力を、上述した盤筐体2外に設けられた電気電子機器に出力可能な端子である。零相変流出力端子16は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に零相変流出力端子16を有し)ている。
ここで、盤筐体2外に設けられた電気電子機器とは、特に制限がないが、例えば、後述する地絡過電流継電器29などであっても良い。
零相変流出力端子16は、盤筐体2内にある端子台(Terminal Block、TB)に設けられていても良い。尚、零相変流出力端子16は、1つの配電盤1において、1つ存在するだけでなく、複数存在しても良い。
【0076】
図15に示されたように、零相変流器15から零相変流出力端子16までの間の電路は、零相電流出力電路6Z”であり、この零相電流出力電路6Z”も、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に零相電流出力電路6Z”を有し)ている。零相電流出力電路6Z”は、単相単線(1φ1W)であれば1本ずつとなり、単相2線(1φ2W)であれば2本1組となり、単相3線(1φ3W)や三相3線(3φ3W)等であれば3本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
零相電流出力電路6Z”において、零相変流器15が零相電流を検出した際には、配電システム20や接地電路などに発生した零相電流に応じた、より小電流の電流(例えば、約0.1Aや約1Aなど)の零相電流出力電流Z’が、零相変流器15から出力され、零相電流出力電路6Z”に流れる。
零相電流出力電路6Z”の盤筐体2外寄りの一端には、上述した零相変流出力端子16が設けられていても良く、零相変流出力端子16は盤筐体2(の外装)に設けられて、入力端子挿入用の孔側のみが、盤筐体2外へ露出していても構わない。
【0077】
<単相変圧器17など>
図15に示されたように、単相変圧器17は、上述した低圧電路6L(特に、低圧遮断器3と変圧器4の間の電路)に設けられた変圧器であって、変圧器4からの低圧交流電流Lや、盤筐体2外からの低圧交流電流Lを変圧(降圧など)する機器であり、所謂、トランスである。単相変圧器17は、上述した変圧器4の三角形結線(Δ結線)や星型結線(Y結線)とは異なり、単相1線(1φ1W)や単相3線(1φ3W)が入出力される(例えば、1次側が単相1線(1φ1W)で、2次側が単相3線(1φ3W)など)。又、単相変圧器17は、盤筐体2内に設けられ(配電盤1は、盤筐体2内に単相変圧器17を有し)ていて、接地されていても良い。
図15に示されたように、変形例3においては、単相変圧遮断器18が設けられていても良く、この単相変圧遮断器18は、上述した低圧電路6L(特に、単相変圧器17と低圧遮断器3の間の電路)に設けられた遮断器である。単相変圧遮断器18は、配線用遮断器であっても良く、その他、漏電遮断器であっても構わない。
ここまで述べた単相変圧器17や単相変圧遮断器18は、1つの配電盤1において、それぞれ1つ存在するだけでなく、複数(例えば、4つや5つ等)存在しても良く、単相変圧器17の個数と、単相変圧遮断器18の個数は、同じ数であったり、異なる数であっても構わない。単相変圧器17や単相変圧遮断器18を経た低圧電路6Lは、盤筐体2外で、変換部22に接続されても良く、当該変換部22は、発電部21や蓄電装置37に接続されていても構わない。
【0078】
又、配電盤1の第1実施形態の変形例3は、高圧送電部5として、高圧開閉器(負荷開閉器)5aを有していたり、上述した高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線に変圧分岐電路6Sを介して設けられた計器用変圧器7や変圧出力端子9とは別に、計器用変圧器7や変圧出力端子9を有していたり、その他、サーキットプロテクタ5dや、電圧計8、零相電圧検出器10、零相電圧出力端子11を有していたり、少なくとも2線に変圧分岐電路6Sを介して設けられた計器用変圧器7と変圧出力端子9の間に、また別のサーキットプロテクタ5dを有していても良い。
更に、配電盤1の第1実施形態の変形例3は、低圧遮断器3には、クランプ型の計器用変流器3’が設けられている。
その他の配電盤1の第1実施形態の変形例3等の構成、作用効果や使用態様は、配電盤1の第1実施形態や、その変形例1、2と同様である。
【0079】
<配電盤1の第2実施形態、受配電盤1’>
図16~24に示したように、配電盤1の第2実施形態や、受配電盤1’は、後述する低圧盤筐体(部)2Aと、後述する高圧盤筐体(部)2Bを、変圧器4で支持する点が主な特徴である。
ここで、配電盤1の第2実施形態も、盤筐体2と、盤筐体2外からの低圧交流電流Lを遮断可能な低圧遮断器3と、低圧遮断器3を経た低圧交流電流Lをより高圧な高圧交流電流Hに変圧する変圧器4と、変圧器4からの高圧交流電流Hを盤筐体2外へ送電する高圧送電部5を有した盤である一方で、受配電盤1’は、盤筐体2と、盤筐体2外において系統Kと当該系統Kから受電する電力を消費可能な負荷の間に接続された変圧器4を有した盤であるものの、配電盤1の第2実施形態と受配電盤1’の外装は、低圧遮断器3が内部に設けられた低圧盤筐体(部)2Aの重量と、高圧開閉器5a又は高圧遮断器5bが内部に設けられた高圧盤筐体(部)2Bの重量を、変圧器4が支持している点は、共通しており、外装が共通していることで、何れも「省スペース化」や「電路の短縮」、「設置の容易化」が図れることに加えて、配電盤1の第2実施形態と受配電盤1’は、共に「スマート盤」であると言える。
以下、外装が共通する配電盤1の第2実施形態と、受配電盤1’の盤筐体2について、詳解する。
【0080】
<配電盤1の第2実施形態と受配電盤1’における盤筐体2>
図16~24に示されたように、配電盤1の第2実施形態と受配電盤1’における盤筐体2は、後述する低圧盤筐体(部)2Aと、後述する高圧盤筐体(部)2Bを含んでいる。
尚、盤筐体2は、低圧盤筐体(部)2Aや高圧盤筐体(部)2B以外の盤の筐体を含んでいても良く、例えば、後述する無停電電源装置などの蓄電部24や、地絡過電圧継電器25、変換部22の制御装置26、デジタルマルチリレー27、電力量計28、地絡過電流継電器29、通信装置などを内蔵したコントロールボックスやキュービクル等の機器筐体20aなどを含んでも構わない。
又、盤筐体2の重量(低圧盤筐体(部)2Aの重量と高圧盤筐体(部)2Bの重量の和)は、上述した変圧器4の重量より軽くても良く、盤筐体2の重量の具体的な値は、特に限定はないが、例えば、100kg以上500kg以下、好ましくは150kg以上450kg以下、更に好ましくは200kg以上400kg以下(300kgなど)であっても構わない。
尚、受配電盤1’においては、系統Kから受電した高圧交流電流Hが、高圧端子4Hから変圧器4に入力され、変圧器4で変圧(降圧)された後、低圧端子4Lから負荷30等に出力されることから、配電盤1(配電システム20)では高圧出力端子4Hであったが、受配電盤1’(受配電システム20’)では高圧入力端子4Hであると言え、配電盤1(配電システム20)では低圧入力端子4Hであったが、受配電盤1’(受配電システム20’)では低圧出力端子4Hであると言えるため、配電盤1(配電システム20)や受配電盤1’(受配電システム20’)における変圧器4は、共通して、高圧端子4H、低圧端子4Lであると言える。又、図22において、変圧器4の上面Uから盤筐体2内へ上方突出した3つ(3線)の高圧端子4Hのうち2線には、四角形で示された計器用変流器12(5e)が設けられており、又、盤筐体2内へ上方突出した高圧端子4Hに計器用変流器12(5e)が設けられていることから、当然、計器用変流器12(5e)は、盤筐体2内に存在することとなる。
【0081】
<低圧盤筐体(部)2A、高圧盤筐体(部)2B>
図16~21、23に示されたように、低圧盤筐体(部)2Aは、上述した盤筐体2に含まれると共に、上述した低圧遮断器3が内部に設けられた盤筐体である。
又、高圧盤筐体(部)2Bは、上述した盤筐体2に含まれると共に、上述した高圧開閉器5a又は高圧遮断器5bが内部に設けられた盤筐体である。
尚、これらの盤筐体(部)2A、2Bの重量は、上述した変圧器4に支持されていても良く、このような支持として、高圧盤筐体(部)2Bが、上述した変圧器4に上方から取り付けられ、低圧盤筐体(部)2Aが、高圧盤筐体(部)2Bに平面視一方(例えば、前方から)から取り付けられ、低圧盤筐体(部)2Aの下端が、変圧器4の下部まで延びていても構わない。
ここで、「低圧盤筐体(部)2Aの下端が、変圧器4の下部まで延びている」とは、低圧盤筐体(部)2Aの下端が、変圧器4の下端の近傍(変圧器4の下端より上方で且つ変圧器4の上下方向長さにおける下から1/4(4分の1)以上1/3(3分の1)以下の部分の範囲内に入る)まで延びていることや、低圧盤筐体(部)2Aの下端が、変圧器4の下端と略同じ高さであることを含むものの、低圧盤筐体(部)2Aの下端が、変圧器4の下端より下方まで延びていることは含まない。又、低圧盤筐体(部)2Aの下端が、変圧器4の下端と略同じ高さであっても、低圧盤筐体(部)2Aは、設置面に対しては設置されておらず、変圧器4だけが設置面に対して設置されていても良く、逆に、低圧盤筐体(部)2Aも、設置面に対して設置されていても構わない。
【0082】
低圧盤筐体(部)2Aや高圧盤筐体(部)2Bは、その各具体的な構成に、特に限定はないが、例えば、それぞれが、全体として略直方体状や、立方体状等に形成されていても良く、キュービクルとも呼ばれる。尚、低圧盤筐体(部)2Aと高圧盤筐体(部)2Bは、その上面(天板)が後傾していても良い。
以下、低圧盤筐体(部)2Aや高圧盤筐体(部)2Bは、それぞれ主に略直方体状であるとして述べる。
低圧盤筐体(部)2Aや高圧盤筐体(部)2Bは、それぞれ開閉自在な扉(2枚の観音開きの扉、1枚の横開きの扉など)2Aa、2Baを1つ又は複数有していても良く、特に、低圧盤筐体(部)2Aにおいて扉2Baが設けられた側を、低圧盤筐体(部)2A(だけでなく、配電盤1の第2実施形態や受配電盤1’としても)前側としても良く、又、高圧盤筐体(部)2Bにおいて扉2Baが設けられた側を、高圧盤筐体(部)2B(だけでなく、配電盤1の第2実施形態や受配電盤1’としても)後側としても構わない。尚、低圧盤筐体(部)2Aや高圧盤筐体(部)2Bにおける扉は、2Aa、2Baは、それぞれを掃き出し窓状にしても良い。
その他、低圧盤筐体(部)2Aと高圧盤筐体(部)2Bの間は、仕切板2Sで仕切られていても良く(図16、23(a)参照)。又、高圧盤筐体(部)2Bの前後長さは、変圧器4の前後長さより長いため、高圧盤筐体(部)2Bの後部2Bbは、変圧器4より後方突出状となっていても良い(図16参照)。更に、低圧盤筐体(部)2Aの上端部には、前方突出した庇部2Abが設けられていても良い(図16参照)。
【0083】
各盤筐体(部)2A、2Bの大きさは、特に限定はないが、低圧盤筐体(部)2Aであれば、例えば、左右長さ(幅)が990mmで、庇部2Abを除く前後長さ(奥行)が350mm(庇部2Abを含めると、480mm)で、前面側における上下長さ(高さ)が1860mmで、後面側における上下長さが1850mmであったり、左右長さが700mm以上1600mm以下、好ましくは800mm以上1400mm以下、更に好ましくは900mm以上1200mm以下であったり、庇部2Abを除く前後長さが200mm以上650mm以下、好ましくは250mm以上550mm以下、更に好ましくは300mm以上450mm以下(庇部2Abを含めると、350mm以上800mm以下、好ましくは400mm以上700mm以下、更に好ましくは450mm以上600mm以下)であったり、前面側や後面側における上下長さが1550mm以上2450mm以下、好ましくは1650mm以上2250mm以下、更に好ましくは1750mm以上2050mm以下であっても良い。
高圧盤筐体(部)2Bの大きさについては、例えば、左右長さ(幅)が990mmで、前後長さ(奥行)が950mmで、前面側における上下長さ(高さ)が1070mmで、後面側における上下長さが1040mmであったり、左右長さが700mm以上1600mm以下、好ましくは800mm以上1400mm以下、更に好ましくは900mm以上1200mm以下であったり、前後長さが650mm以上1550mm以下、好ましくは750mm以上1350mm以下、更に好ましくは850mm以上1150mm以下であったり、前面側や後面側における上下長さが800mm以上1700mm以下、好ましくは900mm以上1500mm以下、更に好ましくは1000mm以上1300mm以下であっても良い。
【0084】
低圧盤筐体(部)2Aや高圧盤筐体(部)2Bは、その外部から内部へ空気を吸入する吸気口2Pや、その内部から外部へ排出する排気口2dを有していても良い。
これら吸気口2pや排気口2dの位置は、特に限定はないが、例えば、吸気口2pは、低圧盤筐体(部)2Aの後面(変圧器4との隙間に開口するように)や、高圧盤筐体(部)2Bにおける後方突出状の後部2Bbの下面に設けられても良く、又、排気口2dは、低圧盤筐体(部)2Aにおける庇部2Abの下面に設けられていても構わず、これらの箇所に吸気口2pや排気口2dを設けることで、各盤筐体(部)2A、2Bの側面にガラリ等を設ける場合より目立つことがなく、見栄えが向上すると言える。その他、一般的に、吸気口2pは、低圧盤筐体(部)2Aや高圧盤筐体(部)2Bの下部に設けられ、排気口2dは、低圧盤筐体(部)2Aや高圧盤筐体(部)2B(変圧器4より上方)に設けられていても良い。
ここで、低圧盤筐体(部)2Aと高圧盤筐体(部)2Bの間の仕切板2Sにも、空気が通る開口部(謂わば、通気口)が設けられても良いが、この通気口は、高圧盤筐体(部)2Bの内部の空気が、その外部である低圧盤筐体(部)2Aの内部へ通るため、高圧盤筐体(部)2Bにとっては排気口2dであると言え、低圧盤筐体(部)2Aにとっては吸気口2pであると言える。
その他、低圧盤筐体(部)2A内には、母線プラグインブレーカである低圧遮断器3を差し込む差込部2Acを有していても良く(図16、17、20参照)、特に、この差込部2Acに差し込んだ状態の母線プラグインブレーカの低圧遮断器3を、図23(b)に示す。尚、低圧遮断器3は、この差込部2Acに差し込まれているだけでなく、高圧盤筐体(部)2B内(低圧盤筐体(部)2Aからすれば、言わば、裏側)に配設されていても良く、この裏側に配設された低圧遮断器3は、母線プラグインブレーカでなくとも構わない。
又、高圧盤筐体(部)2Bにおける後方突出状の後部2Bbの下面には、高圧電路6Hである高圧ケーブルの挿通孔が設けられても良く、その結果、高圧ケーブルは、高圧盤筐体(部)2Bの後部2Bbの下面から下方に垂下することとなり、高圧電路6H(高圧ケーブル)を配設しても、配電盤1の第2実施形態や受配電盤1’の前後長さに支障はない。
更に、低圧盤筐体(部)2Aの下面にも、低圧電路6Lである低圧ケーブルの挿通孔が設けられても良く、その結果、低圧ケーブルは、低圧盤筐体(部)2Aの下面から下方に垂下することとなり、低圧電路6L(低圧ケーブル)を配設しても、配電盤1の第2実施形態や受配電盤1’の前後長さに支障はない。
【0085】
<配電盤1の第2実施形態と受配電盤1’における変圧器4や、吊下具4Tなど>
一方、配電盤1の第2実施形態や、受配電盤1’において、変圧器4から見れば、当該変圧器4は、上述した低圧盤筐体(部)2Aの重量と、上述した高圧盤筐体(部)2Bの重量を支持しているとも言える。
又、変圧器4は、配電盤1の第2実施形態や受配電盤1’においても、1次巻線と2次巻線を備えた二巻線型の変圧器(二巻線変圧器)であったり、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器(三巻線変圧器)であったり、四巻線以上の変圧器であっても良い。
その他、変圧器4は、後述する吊下具4Tを有していても良い。
【0086】
図16に示したように、吊下具4Tは、変圧器4そのもの、又は、配電盤1の第2実施形態全体や、受配電盤10全体をクレーン等にて吊り下げて運搬や積載、設置などの際に、ワイヤーロープの先についているクレーンフック自体や、玉掛用のワイヤー、リングなどを引っかける部分である。
吊下具4Tの具体的な構成は、特に限定はないが、例えば、フック状であったり、環状などであっても良い。
吊下具4Tが設けられた位置は、少なくとも変圧器4における平面視一方に偏心した位置であっても良く、この偏心距離は、片持ちされた後述の低圧盤筐体(部)2Aの重量などに応じて、吊り下げられた際、配電盤1の第2実施形態全体や、受配電盤10全体が略水平となるような距離であると言える。
吊下具4Tは、1つの変圧器4に対して、2つ以上設けられていても良く、例えば、上述した上面4Uにおける平面視一方側及び平面視他方側の辺(前側の辺と後側の辺)以外の残り2つの辺(左側の辺と右側の辺)の近傍に、左右一対に設けられていても良く、その他、1つだけ設けられ(つまり、上述した上面4Uの平面視略中央付近など)ても構わない。
又、吊下具4Tは、変圧器4における平面視一方に偏心した位置以外に設けられても良く、例えば、平面視一方に偏心していない位置(前後方向略中央位置など)にも設けられていても構わず、この偏心していない位置の吊下具の図16中の符号は、4T’とする。
ここまで述べた配電盤1の第2実施形態や受配電盤1’における変圧器4は、その重量が、後述する盤筐体2の重量(低圧盤筐体(部)2Aの重量と高圧盤筐体(部)2Bの重量の和)より重くても良く、変圧器4の重量の具体的な値は、特に限定はないが、例えば、1000kg以上2000kg以下、好ましくは1300kg以上1800kg以下、更に好ましくは1400kg以上1700kg以下(1550kgなど)であっても構わない。
【0087】
尚、図24等で示したように、配電盤1の第2実施形態や、受配電盤1’における変圧器4は、三巻線型の変圧器であるが、配電盤1の第2実施形態や、受配電盤1’においても、二巻線型の変圧器が用いられていても良く、変圧器4からB種接地(EB)や、接地抵抗器14と断路端子4bを介してのD種接地(ED)がされていても構わない。
その他、図24等で示したように、配電盤1の第2実施形態や、受配電盤1’では、低圧盤筐体(部)2Aの内部における低圧電路6Lに、計器用変流器2q(一部は、クランプ型変流器2q’)、ヒューズ(F、Fuse)2r、電圧計2s、電圧計切替開閉器(VS、Voltage change over Switch)2t、電流計2u、電流計切換開閉器(AS、Ammeter change over Switch)2v、電力計(例えば、電圧計2sの出力と各計器用変流器2qの出力に基づいて、後述する負荷30(充電器30a)の電力と、後述する発電部21の電力や、蓄電部24の電力を測定する各電力計など)2wも設けられていても良い。
又、配電盤1の第2実施形態や、受配電盤1’では、高圧盤筐体(部)2Bの内部における高圧電路6Hから分岐した2本の変圧分岐電路6Sの間に、同期検定器2xも設けられていたり、その他、後述する無停電電源装置などの蓄電部24も設けられていても良い。
その他の配電盤1の第2実施形態や、受配電盤1’等の構成、作用効果や使用態様は、配電盤1の第1実施形態や、その変形例1~3と同様である。
【0088】
<配電システム20>
図12~15に示されたように、配電システム20は、上述した配電盤1の第1、2実施形態と、後述する発電部21と、変換部22を有していて、後述する連結電路6Cや、真空遮断器23a、断路器23bなどを含む送電盤23を有していたり、後述する無停電電源装置などの蓄電部24や、地絡過電圧継電器25を有していても良い。
配電システム20は、後述する変換部22の制御装置26や、デジタルマルチリレー27、蓄電部を有していても良い。
1つの配電システム20において、配電盤1の個数は1つ又は複数であり、盤筐体2の個数と、変圧器4の個数は同じであり、その個数は、1つ又は複数であっても良い。尚、図12に示された配電システム20は、配電盤1の個数は複数である。
【0089】
その他、配電システム20は、盤筐体2外の高圧電路6Hにおいて、盤筐体2と系統Kの間に、取引用変成器(Voltage and Current Transformer、VCT)31aや、買電用電力量計31b、売電用電力量計31cを有していたり、電柱取付にて、柱上気中開閉器(Pole Air Switches、PAS)31dや、柱上気中開閉器31dに付属する保護継電器装置(Storage Over Current Ground、SOG)31eなどを有していても良い。
尚、図12~14中の取引用変成器31aにおけるKは、系統K側を示し、Lは、負荷(Load)側を示す。
又、各電力量計31b、31cは、乙種電気用品であっても良く、柱上気中開閉器31dは、別途、計器用変圧器(VT)や、零相電圧検出器(ZPD)、避雷器(Lighting Arrester、LA)を内蔵していても構わない。
これらの取引用変成器31a、買電用電力量計31b、売電用電力量計31c、柱上気中開閉器31d、保護継電器装置31eは、後述する系統K側(電力会社側)のシステムが有していることとしても良い。
尚、配電システム20において、図13に示された変形例1は、配電盤1が1つである点などが主な相違点であり、図14に示された変形例2は、配電盤1が1つである点や、高圧開閉器(負荷開閉器)5aが高圧遮断器(真空遮断器)5bや断路器5cとなっている点などが主な相違点である。
【0090】
<発電部21>
図12~15に示されたように、発電部21は、発電をする部分であり、何れの構成でも良く、例えば、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、太陽熱発電、大気中の熱その他の自然界に存する熱による発電、バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの)による発電などを行うものであっても良い。
この他、発電部21は、海洋温度差や波力、潮流(海流)、潮汐による発電を行うものであっても良い。
【0091】
1つの配電システム20において、発電部21の個数は、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
発電部21は、上述した盤筐体2外に設けられて(配電システム20は、盤筐体2外に発電部21を有して)いる。
発電部21の発電力(容量)も、特に限定はないが、例えば、100kW以上30000kW以下、好ましくは300kW以上20000kW以下、更に好ましくは500kW以上10000kW以下であっても良い。
以下は、特に、太陽光発電を行う太陽光発電部21について述べる。
【0092】
太陽光発電部21は、太陽電池21aを備えている。
この他、太陽光発電部21は、日射強度を測定する日射計や、太陽電池21aや接続箱等からの直流電流を集めて、後述する変換部22へ送る集電部などを有していても良い。
太陽光発電部21における太陽電池21aは複数であっても良く、これら複数の太陽電池21aが直列に繋がって太陽電池ストリングを形成していても良い。
太陽光発電部21において、複数の太陽電池ストリングが並列に接続された接続箱を有していても良く、このような接続箱は複数であっても構わない。
【0093】
<太陽電池21a>
図12~15に示されたように、太陽電池21aそれぞれは、光が照射されることによって、+極と-極の間に直流電力を発生する。太陽電池21aは、通常パネル状であり、その設置する際の角度によって、発電量が異なる。
太陽電池21aは、上述した盤筐体2外に、架台(図示せず)等を介して所定の角度にて設置されていても良く、この場合、架台の下を、芝生の育成値や農作物の耕作地などとしても構わない。
又、複数ある太陽電池21aのうち、ある太陽電池21aの+極に別の太陽電池21aの-極を接続し、別の太陽電池21aの+極にまた別の太陽電池21aの-極を接続し、以下、これを繰り返して、複数の太陽電池21aを直列に接続して、1本の太陽電池ストリングとなる。
【0094】
このように、複数の太陽電池21aが直列に繋がった太陽電池ストリング全体としての+極と、-極の間の電圧は、各太陽電池21aで発生された直流電圧の和であって、天候、時刻などで変動する。太陽電池ストリングの電力出力端から出力される電力は、各太陽電池21aの電力の和であって、500W以上6000W以下となっても良い。
上述した複数の太陽電池ストリングが、1個の接続箱へ並列に接続されている。従って、それぞれの太陽電池ストリングの+極と-極の間の電圧は、同一となる。
但し、1個の接続箱に対して、複数の太陽電池ストリングの電流が流れ込み、接続箱に集まる電力は、2.5kW以上90kW以下であっても良い。
【0095】
<変換部22>
図12~15に示されたように、変換部22は、上述した発電部21からの直流電流又は交流電流を低圧交流電流Lに変換する部分である。
変換部22は、太陽電池21aからの直流電流を交流電流に変換するインバータ等を備えていても良く、その他、このインバータが変換する交流の電圧や周波数を制御する制御機や、気中遮断機(ACB)等を備えていても構わない。
尚、変換部22は、パワコン(パワーコンディショナーの略)とも呼ばれる。
1つの配電システム20において、変換部22の個数は、特に限定はないが、例えば、複数(例えば、4つや5つなど)であったり、1つであっても良い。
【0096】
変換部22は、上述した盤筐体2外に設けられて(配電システム20は、盤筐体2外に変換部22を有して)おり、配電盤1の第1、2実施形態において上述した盤筐体2外からの低圧交流電流Lとは、盤筐体2外に設けられた変換部22からの低圧交流電流Lとなる。変換部22は、例えば、コントロールボックスやキュービクル等の機器筐体20a内に設けられていても良い。
変換部22の変換できる変換電力(容量)も、特に限定はないが、例えば、30kW以上10000kW以下、好ましくは50kW以上5000kW以下、更に好ましくは100kW以上2000kW以下(250kWや、500kWなど)であっても良い。
尚、変換部22の変換電力は、上述した太陽光発電部21としての発電力より小さく(換言すれば、発電力が、変換電力より大きく)とも良く、この場合、太陽電池21aは、変換部22に対して過積載であるとも言える。
その他、変換部22は、不足電圧継電器(Under Voltage Relay、UVR)や、過電圧継電器(Over Voltage Relay、OVR)、不足周波数継電器(Under Frequency Relay、UFR)、過周波数継電器(Over Frequency Relay、OFR)を有していたり、受動的方式や能動的方式の単独運転保護装置を有していても良い。
【0097】
<連結電路6C>
図12に示されたように、連結電路6Cは、1つの配電システム20が複数の配電盤1の第1、2実施形態を有する場合、これら複数の配電盤1の間を連結接続する電路である。
ここで、「複数の配電盤1の間を連結接続する電路」とは、図12のように、複数の配電盤1のうち、隣接する2つの配電盤1の間を連続して接続する電路を複数まとめて(又は、それぞれ)連結電路6Cとしたり、その他、主幹となる電路から、配電盤1の個数と同じ数だけ電路が分岐し、分岐した各電路に各配電盤1を接続して、これら主幹となる電路と分岐した各電路を合わせた全体を連結電路6Cとしても良い。
尚、連結電路6Cも、高圧交流電流Hを流すことから、高圧電路6Hであるとも言える。
連結電路6Cも、三相3線(3φ3W)や単相3線(1φ3W)等であれば3本1組となり、単相2線(1φ2W)等であれば2本1組となるなど、配電方式(送電方式)に応じて複数本を1組としても良い。
【0098】
<送電盤23>
図12に示されたように、送電盤23は、上述した連結電路6Cで連結接続された複数の配電盤1の第1、2実施形態と、後述する系統Kの間を接続する電路(高圧電路6Hの一部)を内包する盤であり、この電路に設けられた真空遮断器23a並びに断路器23b、及び/又は、負荷開閉器23cを、送電盤筐体23’内に有している。
ここで、「送電盤23が、真空遮断器23a並びに断路器23b、及び/又は、負荷開閉器23cを有している」とは、送電盤23が、真空遮断器23aと断路器23bを有している場合と、負荷開閉器23cだけを有している場合と、真空遮断器23aと断路器23bと負荷開閉器23cの全てを有している場合を含む。
尚、これらの真空遮断器23aや、断路器23b、負荷開閉器23cの各構成又は構造、形状、寸法などは、上述した真空遮断器5bや、断路器5c、負荷開閉器5aと同様であると共に、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来、送電盤23の真空遮断器23aは、電動操作で、励磁突入電流抑制機能付であったり、電力ヒューズを有していなくとも良い。
又、送電盤23は、送電盤筐体23’内に、上述した変圧分岐電路6Sや、計器用変圧器7、変圧出力電路6S’、電圧計8、変圧出力端子9(を含む端子台)を有していたり、零相分岐電路6Zや、零相電圧検出器10、零相電圧出力電路6Z’、零相電圧出力端子11(を含む端子台)を有していても良く、更に、送電盤23は、送電盤筐体23’内に、上述したサーキットプロテクタ5dや、計器用変流器5e(巻回数は250回など)、変流出力電路6R’、変流出力端子5e’、電源分岐電路6D、電源用遮断器5f、予備分岐電路6Y、予備遮断器5g、電圧試験端子5h、電流試験端子5jを有していても構わず、これらの各構成又は構造、形状、寸法などは、上述と同様であると共に、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
その他、送電盤23は、送電盤筐体23’内に、変圧分岐電路6Sにおける電圧計8と電圧試験端子5hの間に設けられた不足電圧継電器23dを有していたり、別途の予備分岐電路6Y’や別途の予備遮断器23eを更に有していたり、変流出力端子5e’の代わりに、電流計(アナログ式やデジタル式)23fと、この電流計と電流試験端子5jの間に設けられた過電流継電器23gなどを有していても良い。
尚、配電システム20が送電盤23を有している場合には、1つ又は複数の配電盤1それぞれは、その盤筐体2内に、変圧分岐電路6Sや、計器用変圧器7(個数については、計器用変圧器7は1つ、電力ヒューズは2つなど)、変圧出力電路6S’、電圧計8は有しているものの、変圧出力端子9(を含む端子台)を有していなかったり、零相分岐電路6Zや、零相電圧検出器10、零相電圧出力電路6Z’、零相電圧出力端子11(を含む端子台)を有していなくても良く、更に、この場合、配電盤1それぞれの高圧送電部5は、サーキットプロテクタ5dや、計器用変流器5e、変流出力電路6R’、変流出力端子5e’、電源分岐電路6D、電源用遮断器5f、予備分岐電路6Y、予備遮断器5g、電圧試験端子5h、電流試験端子5jなどを有していなくとも構わず、配電盤1としては、当該配電盤1自体や、高圧送電部5の簡素化が図れる。
【0099】
<蓄電部24>
図12~15に示されたように、蓄電部24は、蓄電をする部分であり、上述した変圧出力端子9に(変圧出力端子9等を介して計器用変圧器7に)接続され、計器用変圧器7から出力された変圧出力電流Sが入力されて、停電や電圧変動などが発生した場合にも、後述する地絡過電圧継電器25や、後述する制御装置26、デジタルマルチリレー27等に、電力を供給し続ける部分である。
蓄電部24は、例えば、後述する無停電電源装置24であっても良く、又、キャパシタ(電気エネルギーとしての蓄電(貯蔵)などをする電子部品で、コンデンサとも言い、停電時等において、後述する地絡過電圧継電器25や制御装置26、デジタルマルチリレー27等へ数秒間、電力を供給し続けるものであるとも言える)であっても構わない。
その他、蓄電部24は、鉛蓄電池やリチウムイオン蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池などの蓄電池(バッテリ)であったり、発電部21からの発電力等を用いた水の電気分解等により生成した水素を貯蔵し、必要なときに燃料電池等にて電力を取り出す他、フライホール等にて運動エネルギーとしての蓄電(貯蔵)や、揚水にて位置エネルギーとしての蓄電(貯蔵)などをする装置であっても構わない。
以下、蓄電部24は、主に無停電電源装置24であるとして述べる。
【0100】
上述した蓄電部24の1種である無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply、UPS)24も、上述したように、変圧出力端子9に(変圧出力端子9等を介して計器用変圧器7に)接続され、計器用変圧器7から出力された変圧出力電流Sが入力されて、停電や電圧変動などが発生した場合にも、後述する地絡過電圧継電器25や、後述する制御装置26、デジタルマルチリレー27等に、電力を供給し続ける電源装置である。
1つの配電システム20において、無停電電源装置などの蓄電部24の個数と、上述した計器用変圧器7の個数は同じであったり、異なっていても良く、その個数は、1つ又は複数であっても構わない。
無停電電源装置などの蓄電部24は、上述した盤筐体2外に設けられて(配電システム20は、盤筐体2外に蓄電部24を有して)いても良く、蓄電部24は、例えば、コントロールボックスやキュービクル等の機器筐体20a内に設けられていても構わない。
又、無停電電源装置などの蓄電部24には、後述する制御装置26やデジタルマルチリレー27、監視装置36等の電源用で且つ(系統Kの)停電時にバックアップするコンセント24aが設けられていても良く、その他、停電時にバックアップしないコンセント24bが設けられていても構わない。
その他、無停電電源装置などの蓄電部24は、後述する単巻変圧器42とコンセント33を介して、変圧出力端子9に(変圧出力端子9等を介して計器用変圧器7に)接続されていても良い。
【0101】
<地絡過電圧継電器25>
図12~14に示されたように、地絡過電圧継電器(Over Voltage Ground Relay、OVGR)25は、上述した零相電圧出力端子11に(零相電圧出力端子11等を介して零相電圧検出器10に)接続され、零相電圧検出器10から出力された零相電圧出力電流Z(高圧電路6H側等に発生した零相電圧に応じた、より低圧の零相電圧出力電流Z)が入力され、その零相電圧出力電流Zが、一定の値(動作電圧の値)を、一定の時間(動作時間約1秒など)超えた際に、上述した変換部22の変換を停止する等の停止信号を出力する機器である。
地絡過電圧継電器25からの出力信号は、変換部22の後述する制御装置26に入力されるが、その他、変換部22に直接入力されたり、上述した低圧遮断器3に入力されて低圧電路6Lを遮断させても良い。
1つの配電システム20において、地絡過電圧継電器25の個数と、上述した零相電圧検出器10の個数は同じであり、その個数は、1つ又は複数であっても良い。
地絡過電圧継電器25は、上述した盤筐体2外に設けられて(配電システム20は、盤筐体2外に地絡過電圧継電器25を有して)おり、地絡過電圧継電器25は、例えば、コントロールボックスやキュービクル等の機器筐体20a内に設けられていても良い。
地絡過電圧継電器25の電源は、上述した無停電電源装置などの蓄電部24に接続されて、当該蓄電部24から入力される。
【0102】
<制御装置26>
図12~15に示されたように、制御装置26は、上述した地絡過電圧継電器25に接続され、地絡過電圧継電器25から出力された停止信号を入力して、上述した変換部22の変換を停止させる等の制御をする装置であって、スマートロガーや、シーケンサ、コンピュータ等であっても良い。
1つの配電システム20において、制御装置26の個数は、1つ又は複数であっても良い。
制御装置26は、上述した盤筐体2外に設けられて(配電システム20は、盤筐体2外に制御装置26を有して)おり、制御装置26は、例えば、コントロールボックスやキュービクル等の機器筐体20a内に設けられていても良い。
制御装置26の電源は、上述した無停電電源装置などの蓄電部24に接続されて、当該蓄電部24から入力される。又、制御装置26の監視・設定変更・操作等は、使用者が直接触れて行っても良いが、インターネットや電話回線等を介して遠隔で行っても構わない。
【0103】
<デジタルマルチリレー27>
図14、15に示されたように、デジタルマルチリレー(Digital Multi Relay、DMR)27は、上述した変流出力端子5e’(変流出力端子5e’等を介して計器用変流器5e)に接続された入力端子を有して、計器用変流器5eから出力された変流出力電流R(高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hに応じた、より小電流の変流出力電流R)が入力されると共に、上述した変圧出力端子9に(変圧出力端子9等を介して計器用変圧器7に)接続された別の入力端子を有して、計器用変圧器7から出力された変圧出力電流Sが入力される機器である。
デジタルマルチリレー27は、入力された変流出力電流Rや変圧出力電流Sが、一定の値(動作電圧の値)を、一定の時間(動作時間約1秒など)超えた際に、上述した変換部22の変換を停止する等の停止信号を出力しても良いが、停止信号は出力しなくとも良い。その他、デジタルマルチリレー27は、変流出力電流Rや変圧出力電流Sに基づいて、高圧電路6Hに流れる高圧交流電流Hの電流の値や電圧の値の他、これらを掛け合わせて、電力の値や電力量の値などを算出して、各値を出力しても良い。
尚、デジタルマルチリレー27からの各出力信号は、変換部22の上述した制御装置26に入力されていないが、制御装置26に入力されても良く、又、インターネットや電話回線等を介して遠隔のコンピュータ等の端末などに、各値を出力しても構わない。デジタルマルチリレー27は、変換部22への停止信号を出力する場合、変換部22に直接入力させたり、上述した低圧遮断器3に入力させて低圧電路6Lを遮断させても良い。
1つの配電システム20において、デジタルマルチリレー27の個数と、上述した計器用変流器5eの個数は同じであったり、異なっていても良く、その個数は、1つ又は複数であっても構わない。
デジタルマルチリレー27は、上述した盤筐体2外に設けられて(配電システム20は、盤筐体2外にデジタルマルチリレー27を有して)おり、デジタルマルチリレー27は、例えば、コントロールボックスやキュービクル等の機器筐体20a内に設けられていても良い。
デジタルマルチリレー27の電源は、上述した無停電電源装置などの蓄電部24に接続されて、当該蓄電部24から入力されるとも言える。
デジタルマルチリレー27の代わりとしては、デジタルマルチメーターや、地絡過電流継電器(Over Current Ground Relay、OCGR)であっても良い。
【0104】
<配電システム20の変形例3>
図15に示されたように、配電システム20の変形例3は、配電盤1が1つである点や、高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線に設けられた計器用変圧器7や計器用変流器12(5e)からの出力に基づき高圧電路6Hの電力量を測定する電力量計28や、変圧器4と接地点4’の間に設けられた接地抵抗器15及び零相変流器16と、零相変流器16に接続された地絡過電流継電器29、単相変圧器17を有している点などが主な相違点である。
【0105】
<電力量計28>
図15に示されたように、電力量計(WH)28は、上述した少なくとも2つずつの変圧出力端子9と変流出力端子13に(変圧出力端子9や変流出力端子13等を介して計器用変圧器7と計器用変流器12(5e)に)接続され、少なくとも2つの計器用変圧器7から出力された変圧出力電流S(高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線それぞれに流れる高圧交流電流Hの電圧に応じた、より低圧の電圧の変圧出力電流S)と、少なくとも2つの計器用変流器12(5e)ら出力された変流出力電流R(高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線それぞれに流れる高圧交流電流Hに応じた、より小電流の変流出力電流R)が入力され、これらの変圧出力電流Sと変流出力電流Rに基づいて、高圧電路6Hに流れる電力の電力量を測定する機器である。
このように、電力量計28は、高圧電路6Hの三相3線のうち、1線だけの高圧交流電流Hに応じた変圧出力電流Sと変流出力電流Rに基づくのではなく、高圧電路6Hの三相3線のうち少なくとも2線それぞれに流れる高圧交流電流Hに応じた変圧出力電流Sと変流出力電流Rに基づくため、売電などの際に必要となる電力量の正確な測定が可能となり、当該電力量計28は、検定付(普通級など)であっても良い。
その他、電力量計28は、通信機能を有していても良い。
1つの配電システム20において、電力量計28の個数に対して、上述した計器用変圧器7及び計器用変流器12(5e)の個数は、その2倍又は3倍であり、電力量計28の具体的な個数は、1つ又は複数であっても良い。
電力量計28は、上述した盤筐体2外に設けられて(配電システム20は、盤筐体2外に電力量計28を有して)おり、電力量計28は、例えば、コントロールボックスやキュービクル等の機器筐体20a内に設けられていても良い。
【0106】
<地絡過電流継電器29>
図15に示されたように、地絡過電流継電器(Over Current Ground Relay、OCGR)29は、上述した零相変流出力端子16に(零相変流出力端子16等を介して零相変流器15に)接続され、零相変流器15から出力された零相電流出力電流Z’(配電システム20や接地電路などに発生した零相電流に応じた、より小電流の電流の零相電流出力電流Z’)が入力され、その零相電流出力電流Z’が、一定の値(動作電圧の値)を、一定の時間(動作時間約1秒など)超えた際に、上述した変換部22の変換を停止する等の停止信号を出力する機器である。尚、地絡過電流継電器29は、変圧出力端子9から無停電電源装置などの蓄電部24までの間の電路と接続されていても良い。
地絡過電流継電器29からの出力信号は、変換部22の後述する制御装置26に入力されるが、その他、変換部22に直接入力されたり、上述した低圧遮断器3に入力されて低圧電路6Lを遮断させても良い。
1つの配電システム20において、地絡過電流継電器29の個数と、上述した零相変流器15の個数は同じであり、その個数は、1つ又は複数であっても良い。
地絡過電流継電器29は、上述した盤筐体2外に設けられて(配電システム20は、盤筐体2外に地絡過電流継電器29を有して)おり、地絡過電流継電器29は、例えば、コントロールボックスやキュービクル等の機器筐体20a内に設けられていても良い。
地絡過電流継電器29の電源は、上述した無停電電源装置などの蓄電部24に接続されて、当該蓄電部24から入力される。又、地絡過電流継電器29の電源は、漏れ電流表示が付いていても良い。
【0107】
<機器筐体20a、監視筐体20b(監視装置36)、既設電気室20cなど>
図15に示されたように、機器筐体20aは、ここまで述べた無停電電源装置などの蓄電部24や、変換部22の制御装置26、デジタルマルチリレー27、電力量計28、地絡過電流継電器29を内蔵しているが、その他、機器筐体20a内には、変圧出力端子9から無停電電源装置などの蓄電部24までの間の電路に単巻変圧器42とコンセント33が設けられ、単巻変圧器42と変圧出力端子9の間の電路から分岐した電路に不足電圧継電器(Under Voltage Relay、UVR)34とコンデンサ引外し電源装置(Condenser Trip Device、CTD)35が設けられても良い。
尚、機器筐体20a内のデジタルマルチリレー27は、電力の値を測定すると共に、配電盤1の第2実施形態や受配電盤1’で上述したように、逆電力継電器(Reverse Power Relay、RPR)や、地絡過電圧継電器(Over Voltage Ground Relay、OVGR)の機能を有したものであっても良く、このデジタルマルチリレー27と制御装置26の間で、電力量データや、RPR信号、OVGR信号のやりとりをしても構わない。尚、デジタルマルチリレー27は、後述する既設電気室20c内の機器とケーブル等を介して接続されていても良い。
又、制御装置26は、機器筐体20a外(で且つ配電盤1の盤筐体2外)の、後述する監視筐体20b(監視装置36)や、上述した変換部22とケーブル等にて接続され、後述する監視装置36とデータのやりとりをしたり、変換部22の制御や監視を行っていても良い。
【0108】
図15に示されたように、監視装置36は、上述した機器筐体20aや盤筐体2とは別の筐体である監視筐体20bに内蔵され(監視筐体20bの内部に設けられ)ていて、上述した発電部21によって発電量(電力量)や、変換部22によって変換した電力量などを監視する装置である。監視装置36の具体的な構成は、特に限定はないが、例えば、配電システム20の監視内容は、上述した発電量や変換量の他、配電システム20の設置場所における日射強度、気温、天候などが含まれていても良く、これらの監視内容を、無線(無線LAN等)又は有線(ケーブル等)やインターネット等を介して、遠隔又は現地の使用者(管理者)が用いるユーザ端末(デスクトップ型PCや、ノートPC、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、PDA(携帯情報端末)など)に表示しても構わない。その点、監視装置36は、通信装置であるとも言える。尚、監視装置36は、監視筐体20bではなく、上述した機器筐体20aに、他の機器と一緒に内蔵されていても良い。又、監視装置36は、上述した制御装置26と無線又は有線(LAN等)で接続されていても良い。
ここまで述べた機器筐体20aや監視筐体20bは、上述した盤筐体2に外から取り付けられていたり、盤筐体2の設置場所とは別の場所に設置されていても良い。
図15に示されたように、既設電気室20cは、所定の既存建物における部屋であったり、所定の既存盤の筐体であっても良く、上述した機器筐体20aや、監視筐体20b、盤筐体2とは別の部屋や筐体である。この既存電気室20c内には、何れの機器が設けられていても良いが、例えば、系統Kと配電盤1の間の電路に、断路器20c1や、計器用変圧器20c2、ガス遮断器(Gas Circuit Breaker、GCB)20c3、計器用変流器20c4(1つ又は複数)、過電流継電器20c5(1つ又は複数)、真空遮断器(Vacuum Circuit Breaker、VCB)20c6、電流試験端子(Current Test Terminal、CTT)20c7が設けられていても良い。
その他の配電システム20の変形例3等の構成、作用効果や使用態様は、配電システム20や、その変形例1、2と同様である。
【0109】
<受配電システム20’>
図24に示したように、本発明に係る受配電システム20’は、後述する負荷30と、上述した変圧器4を有している。
受配電システム20’は、少なくとも系統Kから変圧器4を経ての電力を負荷30が消費する。
受配電システム20’は、上述した発電部21や変換部22、及び/又は、後述する蓄電装置37を有していたり、上述した受配電盤1’などを有していても良く、当然、受配電盤1’における盤筐体2(低圧盤筐体2Aや高圧盤筐体2B)、低圧遮断器3、高圧開閉器5a、高圧遮断器5b、低圧電路6L、高圧電路6H等々も有していても構わない。
受配電システム20’が発電部21や変換部22、及び/又は、蓄電装置37を有している場合、負荷30は、系統Kから変圧器4を経ての電力、変換部22からの電力、及び/又は、蓄電装置37からの電力を消費しても良い。
尚、本発明における「負荷30は、系統Kから変圧器4を経ての電力、変換部22からの電力、及び/又は、蓄電装置37からの電力を消費する」とは、負荷30が、系統Kから変圧器4を経ての電力と、変換部22からの電力と、蓄電装置37からの電力のうち、少なくとも1つを消費することを意味する。
【0110】
ここで、本発明における「系統Kから変圧器4を経ての電力」とは、系統Kから変圧器4を経ての電力(系統Kから受電した電力(受電力))全てだけでなく、受電力の少なくとも一部との意味である。
又、本発明における「変換部22からの電力」とは、発電部21で発電されて変換部22で変換された電力(発電力)全てだけでなく、発電力の少なくとも一部との意味である。
更に、本発明における「蓄電装置37からの電力」とは、蓄電装置37から出力(放電)される電力(蓄電力)全てだけでなく、蓄電力の少なくとも一部との意味である。
尚、受配電システム20’において、発電部21の発電力が0(ゼロ)である場合には、負荷30が消費するのは、上述したような蓄電力と受電力のうち、少なくとも一方となるものの、発電部21の発電力が0より大きい場合には、当該負荷30は少なくとも発電力及び蓄電力を消費するとし、必要に応じて受電力も合わせて消費することとしても良く、これに加えて、受配電システム20’において、蓄電装置37が負荷30に接続された際に蓄電力が0(ゼロ)である場合には、接続された当該負荷30が消費するのは受電力のみとなるものの、蓄電装置37が当該負荷30に接続された時から既に蓄電力が0より大きい(他の所で蓄電装置37に幾らかの電力を充電した後に接続した)場合には、当該負荷30は少なくとも蓄電力を消費するとし、必要に応じて受電力も合わせて消費することとしても構わない。
【0111】
<負荷30、充電器30a>
図24に示されたように、負荷30は、上述した系統Kから受電する受電力を、少なくとも消費する負荷(負荷設備)である。つまり、負荷30の消費電力(容量)の値は、受配電システム20’が系統Kから受電する受電力の値より大きくても(負荷30の消費電力の一部だけを、受電力で賄っても)良い。
負荷30は、例えば、自動車販売店や給油所などであったり、レンタカー店舗(レンタカー屋)であったり、工場・作業所における後述の充電器30aを含んでいたり、電気・電子機器などの電力を使用する機器設備(白熱電灯や蛍光灯、水銀灯(照明器具)などの一般の電灯負荷30b1や、エアコン、モータ、ポンプなど一般の動力負荷30b2等)を含んでいても良く、工場・作業所そのものを含んでいても良い。
又、負荷30は、会社等の法人・団体や個人、官公署・組合などの事務所、住宅、店舗、倉庫・車庫・駐車場・駐輪場、校舎・講堂・体育館、研究施設、病院・診療所、旅館・ホテル、劇場・映画館・競技場・野球場などにおける電気・電子機器などの電力を使用する機器や、会社などの事務所等そのものを含んでいても良く、これらが組み合わさったものを含んでも構わない。
このような負荷30は、変圧器4が1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器である場合には、2次側負荷30’と3次側負荷30”を含んでいると言え、変圧器4が1次巻線と2次巻線を備えた二巻線型の変圧器である場合には、2次側負荷30’のみであると言える。
以下では特に、充電器30aについて詳解する。
【0112】
充電器30aは、急速充電器や、普通充電器、超急速充電器など何れの構成でも構わない。
ここで、本発明における「充電器30a」とは、電気自動車(EV)や、プラグインハイブリッド車などの他、電動二輪車などのバッテリ(蓄電池)を内蔵した乗り物の充電に用いる設置型の充電装置や充電施設であって、充電スタンドや、充電ステーション、充電スポット等とも言う。尚、充電器30aは、乗り物以外に、バッテリ(蓄電池)を内蔵したスマートフォンや携帯電話などの通信機器や、携帯用PC(パーソナルコンピュータ)、電気製品などの充電に用いる充電装置や充電施設であっても良い。
充電器30aから電気自動車などへの出力は、直流の電流であっても、交流の電流であっても良く、何れか一方のみ出力可能であったり、両方を出力可能であっても構わない。
一方、電気自動車などは、プラグ等を介して、直流の電流を入力したり、交流の電流を入力しても良く、何れか一方のみ入力可能であったり、両方入力可能であっても構わない。
尚、充電器30aは、充電器30aからの出力が直流の電流である場合は、急速充電を行い、充電器30aからの出力が交流の電流である場合は、普通充電を行う構成であっても良い。
充電器30aは、蓄電装置37からの電力や受電力などを蓄電する蓄電部を別途有していたり、蓄電装置37からの電流を、交流から直流に又は直流から交流に変換する変換部(AC/DCコンバータや、DC/ACインバータ(DC/ACコンバータ)、DC/DCコンバータなど)を有していても良い。
【0113】
<蓄電装置37>
図15に示されたように、蓄電装置37は、系統Kから変圧器4を経ての電力(受電力)や、上述した発電部21や変換部22からの電力(発電力)などを蓄電する装置であって、上述した無停電電源装置などの蓄電部24とは異なり、盤筐体2外に設けられている。
蓄電装置37も、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池などの蓄電池(バッテリ)であったり、発電部21や変換部22からの発電力等を用いた水の電気分解等により生成した水素を貯蔵し、必要なときに燃料電池等にて電力を取り出す他、フライホール等にて運動エネルギーとしての蓄電(貯蔵)や、揚水にて位置エネルギーとしての蓄電(貯蔵)、キャパシタ等にてそのまま電気エネルギーとしての蓄電(貯蔵)などをする装置であっても構わない。
このような蓄電装置37は、変圧器4が1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器である場合には、変圧器4の3次側及び/又は2次側に接続されていても良く、この蓄電装置37からの蓄電力は、上述した2次側負荷30’と3次側負荷30”のうち少なくとも一方に消費されることとなり、変圧器4が1次巻線と2次巻線を備えた二巻線型の変圧器である場合には、変圧器4の2次側に接続され、この蓄電装置37からの蓄電力は、2次側負荷30’に消費されることとなる。
尚、蓄電装置37への蓄電や、蓄電装置37からの放電は、直流の電流にて行われるため、蓄電装置37と負荷30の間には、交流電流を直流電流に変換したり、蓄電装置37からの直流電流を負荷30への交流電流に変換する変換部が接続されていても良い。
その他の受配電システム20’等の構成、作用効果や使用態様は、配電システム20や、その変形例1~3と同様である。
【0114】
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。配電盤1や受配電盤1’、配電システム20、受配電システム20’等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
配電盤1や受配電盤1’は、盤筐体2内に、計器用変圧器7(変圧出力端子9)に接続された無停電電源装置などの蓄電部24や、零相電圧検出器10(零相電圧出力端子11)に接続された地絡過電圧継電器25、制御装置26は有しておらず、その他、計器用変圧器7(変圧出力端子9)に接続されていない無停電電源装置などの蓄電部や、零相電圧検出器10(零相電圧出力端子11)に接続されていない地絡過電圧継電器なども有していなくとも良い。
配電盤1や受配電盤1’は、重耐塩対応であっても良い。
配電盤1や受配電盤1’は、盤筐体2内に、無停電電源装置などの蓄電部24や、地絡過電圧継電器25、変換部22の制御装置26や、デジタルマルチリレー27、電力量計28、地絡過電流継電器29などが設けられていても良く、この場合、盤筐体2は、変圧出力端子9や、零相電圧出力端子11、変流出力端子13、零相変流出力端子16などが設けられていなくとも構わない。
又、配電盤1や受配電盤1’は、単相変圧遮断器18を有していなくても。
【0115】
盤筐体2は、平面視において、変圧器4より前後長さが10cm未満だけ長かったり、40cmより長くとも良い。
盤筐体2は、ガラリ2eを有していなくとも良い。
盤筐体2は、負荷開閉器5aや断路器5c等の操作用フック棒を収納するスペース(フック棒収納スペース)2nを有していても良い(特に、図9参照)。
盤筐体2は、吸気スペース(吸気口)2pを有していても良く、吸気スペース2pも、フィルター2p’付であったり、吸気スペース2pの開口部が、盤筐体2内外を仕切るメッシュ部材で覆われていても構わない。吸気スペース2pが設けられた場所は、特に限定はないが、例えば、盤筐体2の本体2cが、変圧器4に対して前方及び/又は後方に突出している場合であれば、その本体2cの突出した下面に設けられていたり、その他、盤筐体2の下部の何れかの場所に設けられていても構わない(特に、図5参照)。
蓄電部24が蓄電池(バッテリ)等である場合には、当該蓄電部24は、上述した変換部22や、低圧電路6L等の電路に接続されていても良く、発電部21等から出力される発電力を充電したり、充電した電力を負荷側に流して当該負荷で消費(自家消費)させたり、売電が可能であれば、充電した電力を系統K側に流しても良い。
【0116】
配電システム20や受配電システム20’において、機器筐体20aや変換部22は、盤筐体2外に設置されていれば、何れの場所に設置されていても良く、平面視で盤筐体2から所定距離(例えば、約1~10mなど)だけ離れた位置に設置(例えば、変換部22の傍に機器筐体20aも設置)されていても構わない。
配電システム20は、デジタルマルチリレー27や、蓄電部24を有していなくとも良い。
【0117】
受配電盤1’の外装は、配電盤1の第2実施形態の外装(盤筐体2の構成など)だけではなく、配電盤1の第1実施形態の外装(盤筐体2の構成など)であっても良い。
受配電システム20’は、発電部21や変換部22、蓄電装置37を有していなくとも良く、この場合、受配電システム20’は、まず発電部21や変換部22、蓄電装置37なしで設置され、その後、発電部21や変換部22、蓄電装置37を後付けしても構わない。
低圧盤筐体2Aの重量と高圧盤筐体2Bの重量の変圧器4による支持として、低圧盤筐体2Aと高圧盤筐体2Bの配置が、上述と逆であっても良い。
変圧器4は、吊下具4Tを有していなくとも良い。
配電盤1や受配電盤1’、配電システム20、受配電システム20’は、制御装置26や、取引用変成器31a、買電用電力量計31b、売電用電力量計31c、柱上気中開閉器31d、保護継電器装置31eを有していなくとも良く、逆に、避雷器(Surge Protective Device、SPD)を有していても良い。
ここまで述べた配電盤1や受配電盤1’、配電システム20、受配電システム20’に関わる系統Kについて、以下に詳解する。
【0118】
<系統K>
図12~14、24等に示されたように、系統Kは、配電盤1や受配電盤1’、配電システム20、受配電システム20’に送電する(受電させる)ものであって、電力会社などが電気を消費者に供給するためのシステム全体のことを言い、電力系統Kとも言える。系統Kは、具体的には、変電所・送電線・配電線などの設備を備え、発電所が含まれる場合もある。又、系統Kは、上述した取引用変成器31a、買電用電力量計31b、売電用電力量計31c、柱上気中開閉器31d、保護継電器装置31eを有していても良い。
このような系統Kで扱われる電力は、交流、直流の何れでも良いが、以下は、交流であるとして述べる。
系統Kでは、送電される電力の多くが交流であるため、送電線で三相3線(3φ3W)式により送電され、その送電の際の送電ロスを減らすため、基幹的な長距離送電の区間は出来るだけ高電圧(例えば、6600Vや22000Vなど)で送電される。
系統Kで送電される電力は、消費地に近い場所で何段かに分けて電圧が変圧(降圧)され、柱上変圧器等以降は単相2線(1φ2W)などでの配電も行なわれる。
系統Kは、電力会社などの系統(商用電力系統)であったり、企業・自治体などの組織が独自に有するシステムやプラント内部の系統(独立電力系統)であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明の配電盤、及び、配電システムは、太陽光発電部などに対して、その発電量や規模に関わらず利用でき、太陽光発電部以外に、風力、水力、波力、地熱等によって回転される発電機(交流モータ等)によって発電する装置において使用でき、屋外・屋内を問わず利用可能である。
本発明の受配電盤、及び、受配電システムは、負荷が充電器だけでなく、その他何れの負荷設備に対しても利用でき、又、何れの電力契約や引込態様であっても使用でき、屋外・屋内を問わず利用可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 配電盤
1’ 受配電盤
2 盤筐体
2A 低圧盤筐体(部)
2B 高圧盤筐体(部)
3 低圧遮断器
4 変圧器
4L 低圧端子
4H 高圧端子
4’ 接地点
4T 吊下具
5 高圧送電部
5a 高圧開閉器
5b 高圧遮断器
6L 低圧電路
6H 高圧電路
6S 変圧分岐電路
6Z 零相分岐電路
6C 連結電路
7 計器用変圧器
8 電圧計
9 変圧出力端子
10 零相電圧検出器
11 零相電圧出力端子
12 計器用変流器
13 変流出力端子
14 接地抵抗器
15 零相変流器
16 零相変流出力端子
17 単相変圧器
20 配電システム
20’ 受配電システム
21 発電部
22 変換部
23a 真空遮断器
23b 断路器
23c 負荷開閉器
24 蓄電部
25 地絡過電圧継電器
28 電力量計
29 地絡過電流継電器
30 負荷
L 低圧交流電流
H 高圧交流電流
S 変圧出力電流
R 変流出力電流
K 系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25