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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091456
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】パッケージ構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20240627BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240627BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H01L23/36 A
H01L25/04 C
H05K7/20 D
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023195536
(22)【出願日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】111149660
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520307104
【氏名又は名称】稜研科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TMY TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】郭 倍宏
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322EA11
5E322FA04
5F136BA04
5F136BB04
5F136BB18
5F136BC01
5F136BC03
5F136BC07
5F136DA27
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA15
5F136FA16
5F136FA52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れた放熱性能を備えたパッケージ構造を提供する。
【解決手段】パッケージ構造(10、20、30)は、担持面(100a)を有する基板(100)と、担持面(100a)上に配置され、第1の高さ(H1)を有する電子部品(110)と、担持面(100a)上に配置され、第2の高さ(H2)を有する少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)と、担持面(100a)上に配置され、電子部品(110)及び少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)を覆う側面を有し、第3の高さ(H3)を有する封止材(130)上に配置された放熱構造(140)とを備える。第3の高さ(H3)は、第1の高さ(H1)及び第2の高さ(H2)以上である。基板(100)が電子部品(110)と接触する周囲の領域は発熱領域(HR1、HR2)であり、少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)は発熱領域(HR1、HR2)に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持面(100a)を有する基板(100)と、
前記担持面(100a)上に配置され、第1の高さ(H1)を有する電子部品(110)と、
前記担持面(100a)上に配置され、第2の高さ(H2)を有する少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)と、
前記担持面(100a)上に配置され、前記電子部品(110)及び前記少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)を覆う側面を有し、第3の高さ(H3)を有し、前記第3の高さ(H3)は前記第1の高さ(H1)及び前記第2の高さ(H2)以上である封止材(130)と、
前記封止材(130)上に配置された放熱構造(140)と、
を備え、
前記基板(100)は、前記電子部品(110)と接触する周囲の領域は発熱領域(HR1、HR2)を画定し、前記少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)は、前記発熱領域(HR1、HR2)に配置される、パッケージ構造(10、20、30)。
【請求項2】
前記第3の高さ(H3)に対する前記第2の高さ(H2)の比は、0.6以上1以下である、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項3】
前記第3の高さ(H3)と前記第1の高さ(H1)との差は、0.3mm未満である、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項4】
前記封止材(130)の上面は、前記少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)の上面と実質的に位置合わせされる、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項5】
前記放熱構造(140)と前記封止材(130)との間に配置される熱界面材料(150)をさらに備える、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項6】
前記基板(100)は、プリント回路基板又は低温同時焼成セラミック回路基板を含む、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項7】
前記基板(100)は空隙(104)を含み、前記基板(100)上での前記空隙(104)の正投影は、前記基板(100)上での前記電子部品(110)の正投影と重なる、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)は、金属材料又はセラミック材料を含む、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項9】
前記金属材料は、銅又はアルミニウムを含み、前記セラミック材料は、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化インジウム、又はヒ化ホウ素を含む、請求項8に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項10】
前記発熱領域(HR1、HR2)において、前記基板(100)上の前記電子部品(110)の正投影面積の合計に対する、前記基板(100)上の前記少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)の正投影面積の合計の比が、0.4以上である、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項11】
前記電子部品(110)は複数設けられ、前記少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)は隣接する該電子部品(110)の間に配置される、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)は複数設けられ、該複数の熱伝導体(120、120’)は前記電子部品(110)の周囲に配置される、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの熱伝導体(120、120’)は、前記放熱構造(140)と一体的に形成される、請求項1に記載のパッケージ構造(10、20、30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造に関し、特にパッケージ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の電子製品の出力が増加し続けるにつれて、パッケージ構造内の電子部品から放出される熱も増加している。その結果、電子部品や回路基板が高温になり、製品の性能が低下する可能性がある。したがって、パッケージ構造の放熱性能をいかに効果的に向上させるかが現在解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、優れた放熱性能を備えたパッケージ構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のパッケージ構造は、担持面を有する基板と、担持面上に配置され、第1の高さを有する電子部品と、担持面上に配置され、第2の高さを有する少なくとも1つの熱伝導体と、担持面上に配置され、電子部品及び少なくとも1つの熱伝導体を覆う側面を有し、第3の高さを有する封止材と、封止材上に配置された放熱構造と、を備える。第3の高さは、第1の高さ及び第2の高さ以上である。基板が電子部品と接触する周囲の領域は発熱領域であり、少なくとも1つの熱伝導体は発熱領域に配置される。
【0005】
本発明の一実施形態において、第3の高さに対する第2の高さの比は、0.6以上1以下である。
【0006】
本発明の一実施形態において、第3の高さと第1の高さの差は、0.3mm未満である。
【0007】
本発明の一実施形態において、封止材の上面は、少なくとも1つの熱伝導体の上面と実質的に位置合わせされる。
【0008】
本発明の一実施形態において、パッケージ構造は、放熱構造と封入材との間に配置された熱界面材料をさらに備える。
【0009】
本発明の一実施形態において、基板は、プリント回路基板又は低温同時焼成セラミック回路基板を含む。
【0010】
本発明の一実施形態において、基板は空隙を含み、基板上の空隙の正投影は、基板上の電子部品の正投影と重なる。
【0011】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの熱伝導体の材料は、金属材料又はセラミック材料を含む。
【0012】
本発明の一実施形態において、金属材料は、銅又はアルミニウムを含み、セラミック材料は、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化インジウム、又はヒ化ホウ素を含む。
【0013】
本発明の一実施形態において、発熱領域において、基板上の電子部品の正投影面積の合計に対する、基板上の少なくとも1つの熱伝導体の正投影面積の合計の比は、0.4以上である。
【0014】
本発明の一実施形態において、電子部品は複数設けられ、少なくとも1つの熱伝導体は隣接する電子部品の間に配置される。
【0015】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの熱伝導体は複数設けられ、複数の熱伝導体は電子部品の周囲に配置される。
【0016】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの熱伝導体と放熱構造は一体的に形成される。
【発明の効果】
【0017】
上記に基づいて、本発明のパッケージ構造は、基板上に配置された熱伝導体及び電子部品を備え、熱伝導体は発熱領域に位置し、電子部品から放出される熱を効果的に伝導して電子部品の温度を下げることができるため、基板の担持面に蓄積される温度が低下し、パッケージ構造全体の放熱効果を向上させ、その信頼性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態によるパッケージ構造の部分上面概略図である。
図2】本発明の別の実施形態によるパッケージ構造の部分断面概略図である。
図3】本発明の別の実施形態によるパッケージ構造の部分断面概略図である。
図4】本発明の別の実施形態によるパッケージ構造の部分上面概略図である。
図5】本発明の別の実施形態によるパッケージ構造の部分断面概略図である。
図6】熱伝導体の高さと電子部品のジャンクション温度との関係図である。
図7】電子部品の面積の合計に対する熱伝導体の面積の合計の比と電子部品のジャンクション温度との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の一実施形態によるパッケージ構造の部分上面概略図である。図2は、本発明の別の実施形態によるパッケージ構造の部分断面概略図である。図2は、図1の切断線A‐A’に沿った一実施形態の断面概略図であって良い。明確にするために、図1では、基板、電子部品、及び熱伝導体のみを示す。他の省略された部分は図2を参照すれば理解することができる。
【0020】
図1及び図2を参照すると、パッケージ構造10は、担持面100aを有する基板100と、担持面100a上に配置され、第1の高さH1を有する電子部品110と、担持面100a上に配置され、第2の高さH2を有する少なくとも1つの熱伝導体120と、担持面100a上に配置され、電子部品110及び少なくとも1つの熱伝導体120を覆う側面を有し、第3の高さH3を有する封止材130と、封止材130上に配置された放熱構造140と、を備える。第3の高さH3は、第1の高さH1及び第2の高さH2以上である。基板100が電子部品110と接触する周囲の領域は発熱領域HR1であり、少なくとも1つの熱伝導体120は発熱領域HR1に配置される。ここで、第1の高さH1とは、電子部品110の上面(すなわち、基板100から離れた電子部品110の表面)から担持面100aまでの距離をいう。第2の高さH2とは、熱伝導体120の上面(すなわち、基板100から離れた熱伝導体120の表面)から担持面100aまでの距離をいう。第3の高さH3とは、封止材130の上面(すなわち、基板100から離れた封止材130の表面)から担持面100aまでの距離をいう。
【0021】
基板100は、プリント回路基板、低温同時焼成セラミック回路基板、又は他の適切な基板などの回路基板であってもよく、本発明はこれらに限定されるものではない。基板100は、電子部品110又は熱伝導体120と接続するために担持面100a上に配置された複数の基板パッド102を含んでも良い。なお、図2では基板100の内部構造を省略しているが、基板100は、導電線、絶縁層、ビアホールなどの構造を含んでも良く、その配線設計は実際の必要に応じて調整することができ、本発明がこれに限定されるものではないことを理解されたい。
【0022】
いくつかの実施形態では、基板100が配線設計においてより柔軟になるように、基板100は空隙(air gap)104を含んでも良い。空隙104は、電子部品110に対応して配置されても良い。例えば、基板100上での空隙104の正投影は、基板100上での電子部品110の正投影と重なっても良い。
【0023】
電子部品110は、例えば、能動部品(集積回路(IC)チップなど)、パワーアンプ、又はその他の発熱する電子部品である。例えば、図1では、電子部品110は複数設けられ、第1の電子部品110aと複数の第2の電子部品110bとを含む。複数の第2の電子部品110bは、第1の電子部品110aを中心として、第1の電子部品110aの対角延長線上に千鳥状に配置されている。いくつかの実施形態では、第1の電子部品110aはICチップであって良く、第2の電子部品110bはパワーアンプであって良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。電子部品110の種類、数量、及び配置は、実際の状況によって決定されて良い。すなわち、電子部品110は、千鳥状配置、アレイ状配置、又はその他の配置で配置されて良く、同じ種類又は異なる種類の1つまたは複数の電子部品であって良く、実際の必要性に応じて調整することができる。
【0024】
電子部品110は、対応する基板パッド102と接続するための複数の外部パッド112を含んで良い。電子部品110が基板100と接触する周囲の領域は発熱領域HR1であり、発熱領域HR1は、電子部品110の動作時の基板100の温度が、電子部品110の非動作状態の基板100の温度よりも50℃以上高い領域、又は、電子部品110の周囲の基板100の温度が、動作状態における電子部品110の温度と20℃以内の差がある領域として定義することができる(例えば、動作状態において電子部品110の温度が摂氏180℃である場合、発熱領域HR1は、電子部品110の周囲の基板100の温度が摂氏160℃を超える領域をいう)。上で定義された発熱領域HR1は、基板100上に熱伝導体120が存在しない状況である。
【0025】
熱伝導体120は、電子部品110によって放出される熱及び基板100の担持面100aに蓄積された熱エネルギーを伝導して逃がし、それによってパッケージ構造10の全体の温度を低下させることができる。熱伝導体120は、金属材料又はセラミック材料を含んで良く、その熱伝導率は30W/m・K以上であって良い。一実施形態において、熱伝導体120は、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化インジウム、ヒ化ホウ素、又は他の適切なセラミック材料などのセラミック材料である。熱伝導体120がセラミック材料である場合、熱導体120の一側にボール搭載によりコネクタ122を形成しても良く、熱導体120を表面実装はんだ付け技術(Surface Mount Technology)によって基板パッド102に接続して基板100上に固定することができる。他の実施形態において、熱伝導体120は、銅やアルミニウムなどの金属熱伝導材料であっても良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。図面では、複数の熱伝導体120を概略的に示しているが、本発明がこれに限定されるものではなく、熱伝導体120の数及び配置は、実際の状況に応じて調整することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、基板100上での熱伝導体120の正投影は、基板100上の電子部品110の正投影と重ならない。つまり、熱伝導体120と電子部品110とが基板100上に並んで配置されても良い。いくつかの実施形態では、電子部品110の熱エネルギーを伝導して逃がすために、隣接する電子部品110の間に少なくとも1つの熱伝導体120を配置しても良い。本発明は、熱伝導体120と電子部品110との間の距離を限定するものではないが、熱伝導体120が発熱領域HR1内に位置し、電子部品110から発せられる熱を熱伝導体120に効果的に伝達するためには、この距離はできるだけ小さくすべきである。
【0027】
いくつかの実施形態では、発熱領域において、基板100上での電子部品110の正投影面積の合計に対する、基板100上での熱伝導体120の正投影面積の合計の比は、0.4以上である。このようにして、放熱面積を増加させることができ、電子部品110の放熱に有益である。それにより、基板100上での熱エネルギーの蓄積が減少する。
【0028】
いくつかの実施形態において、第2の高さH2と第3の高さH3との比(すなわち、H2/H3)は、0.6以上1以下である。本発明は、第2の高さH2及び第3の高さH3の大きさを限定するものではなく、それは第2の高さH2と第3の高さH3の比が上記の範囲内にある限り、実際の必要に応じて調整することができる。このようにして、電子部品110の放熱が促進され、それによって基板100上での熱エネルギーの蓄積が低減される。第3の高さH3に対する第2の高さH2の比が0.6未満である場合、電子部品110から熱伝導体120へ伝導される熱が制限され、電子部品110に対する熱伝導体120の放熱効果が顕著でない。第3の高さH3に対する第2の高さH2の比が1より大きい場合、電子部品110から熱伝導体120に伝導される熱が臨界レベルに達し、電子部品110に対する熱伝導体120の放熱効果の向上が制限され、かえってコストが増加する。
【0029】
いくつかの実施形態において、基板100上での熱伝導体120の正投影の形状は、長方形、円形、多角形などであって良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
封止材130は、エポキシ樹脂、成形材料、又は他の適切な絶縁フィルム封止材料を含んで良い。本実施形態において、封止材130は、熱伝導体120及び電子部品110の上面を覆う。つまり、第3の高さH3は、第1の高さH1及び第2の高さH2よりも大きいが、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態において、封止材130の上面は、熱伝導体120の上面及び/又は電子部品110の上面と実質的に位置合わせされても良い。つまり、第3の高さH3は、第2の高さH2及び/又は第1の高さH1と実質的に等しくても良い。換言すれば、熱伝導体120及び/又は電子部品110の上面は、封止材130によって覆われなくても良い。
【0031】
いくつかの実施形態では、封止材130の上面と電子部品110の上面との間の距離d2(すなわち、第3の高さH3と第1の高さH1と間の差)は、0.3ミリメートル(mm)未満である。
【0032】
放熱構造140は、例えば、放熱フィン又は他の適切なヒートシンク装置であって良い。放熱構造140の材料は、銅、アルミニウム、又は他の適切な材料であってもよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、空気流が放熱構造140を通過してその熱エネルギーを奪い、それによって放熱効果を向上させることができる。
【0033】
図3は、本発明の別の実施形態によるパッケージ構造の部分断面概略図である。図3の上部概略図は図1と類似しており、図1を参照すれば理解することができる。ここで、図3の実施形態は、図2の実施形態の構成要素の符号および内容の一部を踏襲しており、同一または類似の構成要素には同一又は類似の符号を使用し、同一の技術内容についての説明は省略することに留意しなければならない。省略された部分の説明については、前述の実施形態を参照することができ、ここでは詳細を繰り返さない。
【0034】
図3を参照すると、パッケージ構造20とパッケージ構造10との主な違いは、パッケージ構造20が、放熱構造140と封止材130との間に配置された熱界面材料150をさらに備えることである。いくつかの実施形態では、熱伝導体120及び/又は電子部品110は、熱伝導体120及び/又は電子部品110と放熱構造140との間の熱抵抗を低減するために、熱界面材料150を介して放熱構造140に接続されても良い。熱界面材料150は、例えば、ヒートペースト、サーマルパッド、金属シート、又は他の適切な熱界面材料であっても良い。図3において、熱伝導体120の上面は、封止材130の上面と実質的に位置合わせされ、熱界面材料150と直接接触する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態において、電子部品110は、封止材130の上面と実質的に位置合わせされ、熱界面材料150と直接接触しても良い。
【0035】
図4は、本発明の別の実施形態によるパッケージ構造の部分上面概略図である。図5は、本発明の別の実施形態によるパッケージ構造の部分断面概略図である。図5は、図4の切断線B‐B’に沿った一実施形態の断面概略図であって良い。明確にするために、図4では、基板、電子部品、及び熱伝導体のみを示し、他の省略された部分は図5を参照すれば理解することができる。ここで、図4及び図5の実施形態は、図1及び図2の実施形態の構成要素の符号および内容の一部を踏襲しており、同一または類似の構成要素には同一又は類似の符号を使用し、同一の技術内容についての説明は省略することに留意しなければならない。省略された部分の説明については、前述の実施形態を参照することができ、ここでは詳細を繰り返さない。
【0036】
図4及び図5を参照すると、パッケージ構造30とパッケージ構造10との主な違いは、パッケージ構造30の複数の熱導体120’が複数の電子部品110の周囲に配置されることである。例えば、複数の電子部品110は、第1の電子部品110aと、第1の電子部品110aを中心として第1の電子部品110aの周囲に配置された複数の第2の電子部品110bとを含んでも良い。いくつかの実施形態では、第1の電子部品110aはICチップであって良く、第2の電子部品110bはパワーアンプであって良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。第1の電子部品110aと第2の電子部品110bは、同じ種類の電子部品であっても良いし、異なる種類の電子部品であっても良い。また、複数の熱伝導体120’は、複数の第2の電子部品110bの周囲に配置される。基板100が電子部品110と接触する周囲の領域は発熱領域HR2であり、少なくとも1つの熱伝導体120’は発熱領域HR2に配置される。いくつかの実施形態において、複数の熱伝導体120’は、発熱領域HR2の縁に沿って配置されても良い。
【0037】
一実施形態において、熱導体120’は銅ブロックなどの金属材料であり、はんだ付けによって基板パッドに接続することができる。熱伝導体120’は基板パッドと同じ材質で形成されおり、熱伝導体120’と基板パッドとを容易に区別することができないため、図5では、熱伝導体120’に接続される基板パッドは示していない。他の実施形態において、熱導体120’もセラミック材料で作製し、図2の実施形態と同様に基板パッドに接続することができる。
【0038】
図5において、熱伝導体120’の第2の高さH2は、封止材130の第3の高さH3と実質的に同じである。すなわち、熱伝導体120’の上面は、封止材130の上面と実質的に同一平面上にあり、熱伝導体120’の上面は、放熱構造140と直接接触していても良い。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。他の実施形態において、封止材130は、熱伝導体120’の上面を覆っても良い。さらに、封止材130は、電子部品110の上面を覆っても良いし、電子部品110の上面と位置合わせして放熱構造140と直接接触しても良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
いくつかの実施形態において、熱伝導体120’と放熱構造140は一体的に形成されても良い。このとき、熱伝導体120’の材質は放熱構造体140の材質と同じであり、例えば、銅又は他の適切な金属材料などである。その組立方法は、例えば、電子部品110を基板100上に配置した後、一体的に形成された熱伝導体120’及び放熱構造体140を、熱伝導体120’が基板100側に面するように基板100上に配置し、次に、基板100と放熱構造140との間の隙間に封止材130を形成して、熱伝導体120’と電子部品110を側方から覆って、パッケージ構造30を形成しても良い。他の実施形態において、熱伝導体120’及び放熱構造140は、2つの別個の構成要素であっても良く、熱界面材料を介して又は直接的に放熱構造140に接続されても良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
いくつかの実施形態においては、基板100上での熱伝導体120’の正投影の形状は、長方形、円形、多角形などであって良いが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
以下、本発明の有効性を検証するためのシミュレーション実験を列挙するが、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0042】
実験例1~実験例3及び比較例1~比較例3
【0043】
実験例1では、図1及び図2に示すパッケージ構造と類似のパッケージ構造を用い、動作モードでの熱分布をシミュレートした。実験例1の基板100はプリント回路基板(PCB)であり、基板100上に電子部品110を配置した。電子部品110は、第1の電子部品110aと複数の第2の電子部品110bを含む。第1の電子部品110aは、ビームフォーミング(beamforming)集積回路(IC)チップであり、複数の第2の電子部品110bは、電力増幅器であった。基板100上において隣接する第2の電子部品110bとの間に複数の熱伝導体120を配置した。その材質は窒化アルミニウムであり、各々の体積は同じである。熱伝導体120の第2の高さH2は、電子部品110の第1の高さH1と同じであった。封止材130は、第1の電子部品110a、第2の電子部品110b、及び熱伝導体120の側面及び上面を覆った。封止材130上に放熱構造140を配置し、室温の空気流中を毎秒2メートル(m/s)の速度で通過させた。
【0044】
実験例2は、実験例2の基板が空隙を有さない低温同時焼成セラミック回路基板(LTCC)であったことを除いて、実験例1と同様であった。
【0045】
実験例3は、実験例3の低温焼成セラミック回路基板が空隙を有することを除いて、実験例2と同様であった。
【0046】
比較例1~比較例3は、比較例1~比較例3のパッケージ構造が熱伝導体を含まないことを除いて、それぞれ実験例1~実験例3と同様であった。
【0047】
実験例1~実験例3及び比較例1~比較例3について、同一のシミュレーション条件において、動作モードでパッケージ構造の数値シミュレーションを行い、以下の表1に示すとおり、各電子部品のジャンクション温度(junction temperature)を得た(表1のBF ICは第1の電子部品110aを指し、PA1、PA2、PA3、PA4は、図1における第1の電子部品110aの右上隅から時計回り方向に順に配置された複数の第2の電子部品110bを指す)。
【0048】
【表1】
【0049】
実験例4~実験例6及び比較例4~比較例6
【0050】
実験例4では、図4及び図5に示すパッケージ構造と同様のパッケージ構造を用い、動作モードでの熱分布をシミュレートした。パッケージ構造の基板100はプリント回路基板(PCB)であり、基板100上に電子部品110を配置した。電子部品110は、第1の電子部品110aと複数の第2の電子部品110bとを含む。第1の電子部品110aは、ビームフォーミングICチップであり、複数の第2の電子部品110bは、電力増幅器であった。複数の第2の電子部品110bの周囲に複数の熱伝導体120’を配置した。その材質は銅ブロックであり、各々の体積は同じである。熱伝導体120’の第2の高さH2は、電子部品110の第1の高さH1と同じであった。封止材130は、第1の電子部品110a、第2の電子部品110b、及び熱伝導体 120の側面及び上面を覆った。封止材130上に放熱構造140を配置し、室温の空気流中を毎秒2メートル(m/s)の速度で通過させた。
【0051】
実験例5は、実験例5の基板が空隙を有さない低温同時焼成セラミック回路基板(LTCC)であったことを除いて、実験例4と同様であった。
【0052】
実験例6は、実験例6の低温焼成セラミック回路基板が空隙を有することを除いて、実験例5と同様であった。
【0053】
比較例4~比較例6は、比較例4~比較例6のパッケージ構造が熱伝導体を含まないことを除いて、それぞれ実験例4~実験例6と同様であった。
【0054】
実験例4~実験例6及び比較例4~比較例6について、同一のシミュレーション条件において、動作モードでパッケージ構造の数値シミュレーションを行い、以下の表2に示すとおり、各電子部品のジャンクション温度を得た。(表2のBF ICは第1の電子部品110aを指し、PA1~PA8は、図4において第1の電子部品110aの右上隅から時計回りに順に配置された複数の第2の電子部品110bを指す。)
【0055】
【表2】
【0056】
表1と表2より、実験例1~実験例3のパッケージ構造には、熱伝導体として窒化アルミニウムブロックが設けられ、実験例4~実験例6のパッケージ構造には、熱伝導体として銅ブロックが設けられていることが分かる。比較例1~比較例6と比較すると、第1の電子部品及び第2の電子部品の温度が著しく低下しており、熱伝導体が電子部品の放熱を促進していることがわかる。また、実験例3及び実験例6より、LTCC回路基板に空隙があっても、空隙のないLTCC回路基板の放熱効果(すなわち、実験例2及び実験例5)と同様の良好な放熱効果が得られることが分かる。
【0057】
実験例7
【0058】
実験例7は、パッケージ構造の動作モードにおいて熱伝導体が異なる第2の高さを有する場合における、電子部品のジャンクション温度への影響をシミュレートすることを目的とした。実験例7は、図1及び図2に示すパッケージ構造と同様のパッケージ構造について、同じシミュレーション条件で、封止材130の第3の高さH3(ここでは、1mmに設定)と電子部品110の第1の高さH1(ここでは、0.8mmに設定)を固定し、熱伝導体120の第2の高さH2を変更し、電子部品110のジャンクション温度をシミュレートした。実験例7の基板100はプリント回路基板(PCB)であり、基板100上に電子部品110を配置した。電子部品110は、第1の電子部品110aと複数の第2の電子部品110bとを含む。第1の電子部品110aは、ビームフォーミング集積回路(IC)チップであり、複数の第2の電子部品110bは、電力増幅器であった。基板100上において隣接する第2の電子部品110bとの間に複数の熱伝導体120を配置した。その材質は窒化アルミニウムブロックであり、各々の体積は同じである。封止材130は、第1の電子部品110a、第2の電子部品110b、及び熱伝導体 120の側面及び上面を覆った。封止材130上に放熱構造140を配置し、室温の空気流中を毎秒2メートル(m/s)の速度で通過させた。
【0059】
図6は、熱伝導体の高さ(すなわち、第2の高さ)と電子部品のジャンクション温度との関係図である。図6のジャンクション温度は、それぞれ第1の電子部品110aと第2の電子部品110bの最高ジャンクション温度で表される。
【0060】
実験例7のシミュレーション結果を図6に示す。図6より、第2の高さH2が0.6ミリメートル未満(すなわち、第3の高さH3の0.6倍)の場合、第1の電子部品110aと第2の電子部品110bのジャンクション温度の低下の程度は、第2の高さH2の増加に伴って若干減少したが、顕著ではなかった。第2の高さH2が0.6mm以上1mm以下の場合、第1の電子部品110aと第2の電子部品110bのジャンクション温度は著しく低下し、第2の高さH2が増加するにつれ、それに応じてジャンクション温度の低下の程度も増加し、電子部品110の放熱に寄与した。第2の高さH2が1mmより大きい場合(すなわち、第3の高さH3)、第1の電子部品110aと第2の電子部品110bのジャンクション温度はほぼ等しく、熱伝導体120の第2の高さH2が封止材130の第3の高さH3よりも大きいことは、電子部品110の冷却をさらに改善しなかったことが分かる。
【0061】
実験例8
【0062】
実験例8は、パッケージ構造の動作モードにおいて熱伝導体の面積が異なる場合の電子部品のジャンクション温度への影響をシミュレートすることを目的とした。実験例8は、図1及び図2に示すパッケージ構造と同様のパッケージ構造について、同じシミュレーション条件で、熱伝導体120の第2の高さH2(ここでは、0.8mmに設定)と電子部品110の面積及び第1の高さH1(ここでは0.8mmに設定)を固定し、熱伝導体120の面積を変更し、電子部品110のジャンクション温度をシミュレートした。実験例8の基板100はプリント回路基板(PCB)であった。基板100上に電子部品110を配置し、電子部品110は、第1の電子部品110a及び複数の第2の電子部品110bを含む。第1の電子部品110aは、ビームフォーミング集積回路(IC)チップであり、複数の第2の電子部品110bは、電力増幅器であった。基板100上において隣接する第2の電子部品110bとの間に複数の熱伝導体120を配置した。その材質は窒化アルミニウムブロックであり、各々の体積は同じである。封止材130第1の電子部品110a、第2の電子部品110b、及び熱伝導体120の側面及び上面を覆った。封止材130上に放熱構造140を配置し、室温の空気流中を毎秒2メートル(m/s)の速度で通過させた。
【0063】
図7は、電子部品の面積の合計に対する熱伝導体の面積の合計の比と電子部品のジャンクション温度との関係図である。図7のジャンクション温度は、それぞれ第1の電子部品110aと第2の電子部品110bの最高ジャンクション温度で表される。
【0064】
実験例8のシミュレーション結果を図7に示す。図7より、電子部品110の面積の合計に対する熱伝導体120の面積の合計の比が0.4より大きい場合、第1の電子部品110aと第2の電子部品110bのジャンクション温度は著しく低下し、熱伝導体120の面積が増加するにつれて(すなわち、熱伝導体120の面積の合計に対する電子部品110の面積の合計の比が増加するにつれて)、それに応じてジャンクション温度の低下の程度も増加し、電子部品110の放熱に寄与した。まとめると、本発明のパッケージ構造は、基板上に配置された熱伝導体及び電子部品を備え、熱伝導体は発熱領域に配置され、
電子部品から放出される熱を効果的に伝導して電子部品の温度を下げることができるため、基板の担持面に蓄積される温度が低下し、パッケージ構造全体の放熱効果を向上させ、その信頼性をさらに向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のパッケージ構造は、電子製品に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10、20、30: パッケージ構造
100: 基板
100a: 担持面
102: 基板パッド
104: 空隙
110: 電子部品
110第1の電子部品
110b: 第2の電子部品
112:外部パッド
120、120’: 熱伝導体
122: コネクタ
130: 封止材
140: 放熱構造
150: 熱界面材料
A‐A’、B‐B’: 切断線
d1、d2、d3: 距離
H1: 第1の高さ
H2: 第2の高さ
H3: 第3の高さ
HR1、HR2: 発熱領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】