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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091477
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】トレーニング器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/10 20060101AFI20240627BHJP
   A63B 21/075 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A63B22/10
A63B21/075
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204029
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2022205488
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年7月6日~7日、令和5年8月1日~4日及び令和5年10月4日~6日の展示会で展示
(71)【出願人】
【識別番号】518379256
【氏名又は名称】株式会社京伸
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 治樹
(57)【要約】
【課題】トレーニング時における使用者の関節の負荷を軽減可能なトレーニング器具を提供する。
【解決手段】トレーニング器具1は、揺動アーム2と、揺動アーム2を揺動可能に支持する支持部3と、上下方向に沿った回転軸を中心に支持部3を回転可能とする回転部4と、を備える。斯かる構成によれば、トレーニング器具1の使用者が揺動アーム2を把持した状態で揺動アーム2を揺動させた際、その使用者の腕や肩などの関節の動きに合わせて揺動アーム2が回転する。これにより、トレーニング時における使用者の関節の負荷を軽減できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動アームと、
前記揺動アームを上下方向に沿って揺動可能に支持する支持部と、
上下方向に沿った回転軸を中心に前記支持部を回転可能とする回転部と、を備える、トレーニング器具。
【請求項2】
前記揺動アームの揺動を制限するストッパーを備え、
前記ストッパーは、前記支持部に取り付けられている、請求項1に記載のトレーニング器具。
【請求項3】
前記回転部の回転軸は、前記回転軸の軸方向視において前記揺動アームの支点と前記ストッパーとの間に設けられている、請求項2に記載のトレーニング器具。
【請求項4】
前記揺動アームの長手方向の一方側に設けられる第1重り取付部と、
前記揺動アームの長手方向の他方側に設けられる第2重り取付部と、を備え、
前記揺動アームの支点は、前記第1重り取付部と前記第2重り取付部との間に設けられている、請求項1に記載のトレーニング器具。
【請求項5】
前記揺動アームの一方側に設けられる重り取付部を備え、
前記揺動アーム、前記支持部及び前記回転部は、それぞれ所定の間隔をあけて一対設けられ、
前記回転部の回転軸は、上方向に向かって他の前記回転部側に傾斜している、請求項1に記載のトレーニング器具。
【請求項6】
前記揺動アームを所定の位置で係止する係止部を備え、
前記係止部は、荷重による揺動方向と反対方向に前記揺動アームを揺動させることによって前記揺動アームの係止を解除可能である、請求項1~5の何れか1項に記載のトレーニング器具。
【請求項7】
前記揺動アームの支点は、前記揺動アームの長手方向端部に設けられている、請求項1に記載のトレーニング器具。
【請求項8】
前記支持部に揺動可能に支持される複数の前記揺動アームを備える、請求項1又は7に記載のトレーニング器具。
【請求項9】
複数の前記揺動アームは、第1揺動アームと第2揺動アームとを含み、
前記第1揺動アームに設けられる重り取付部と、
前記第2揺動アームの揺動と連動して前記第1揺動アームを上方向に揺動させる連結部と、を備える、請求項8に記載のトレーニング器具。
【請求項10】
前記回転部の回転軸は、前記回転軸の軸方向視において前記第1揺動アームの支点と前記第2揺動アームの支点との間に設けられている、請求項9に記載のトレーニング器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレーニング器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、支柱と、支柱に揺動可能に取り付けられる揺動アームと、を備えるトレーニング器具が開示されている。このような揺動アームを揺動させてトレーニングをすると、腕や肩などの関節に負荷がかかり、トレーニング器具の使用者がトレーニング中に関節を痛める恐れがある。このため、トレーニング時における使用者の関節の負荷を軽減可能なトレーニング器具が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-55011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、トレーニング時における使用者の関節の負荷を軽減可能なトレーニング器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のトレーニング器具は、揺動アームと、前記揺動アームを上下方向に沿って揺動可能に支持する支持部と、上下方向に沿った回転軸を中心に前記支持部を回転可能とする回転部と、を備える。
【0006】
斯かる構成によれば、トレーニング器具の使用者が揺動アームを把持した状態で揺動アームを揺動させた際、その使用者の腕や肩などの関節の動きに合わせて揺動アームが回転する。これにより、トレーニング時における使用者の関節の負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示のトレーニング器具の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】同実施形態に係るトレーニング器具の正面図である。
図3】同実施形態に係るトレーニング器具の側面図である。
図4】同実施形態に係るトレーニング器具の平面図である。
図5図2のV-V線拡大断面図である。
図6】同実施形態に係るトレーニング器具の係止部を拡大した側面図である。
図7図4のVII-VII線拡大断面図である。
図8図2の領域VIIIの拡大図である。
図9図8の矢視IX図である。
図10】同実施形態に係るトレーニング器具でベンチプレスを行った例を示す側面図である。
図11】同実施形態に係るトレーニング器具でベントオーバーローを行った例を示す側面図である。
図12】同実施形態に係るトレーニング器具でショルダープレスを行った例を示す側面図である。
図13】同実施形態に係るトレーニング器具でスクワットを行った例を示す側面図である。
図14】同実施形態に係るトレーニング器具でディップスを行った例を示す側面図である。
図15】同実施形態に係るトレーニング器具でラットプルダウンを行った例を示す側面図である。
図16】トレーニング器具の第2実施形態を示す正面図である。
図17】同実施形態に係るトレーニング器具の側面図である。
図18】同実施形態に係るトレーニング器具の平面図である。
図19図16のXIX-XIX線拡大断面図である。
図20】同実施形態において、第1揺動アームと第2揺動アームとを連結部で連結して、第2揺動アームを揺動させた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
トレーニング器具1の第1実施形態について、図1図15を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。図1は、トレーニング器具1の第1実施形態を示す斜視図である。図2は、トレーニング器具1の正面図である。図3は、トレーニング器具1の側面図である。図4は、トレーニング器具1の平面図である。
【0009】
図1図4に示すように、トレーニング器具1は、レバレッジ式のトレーニング器具である。トレーニング器具1は、例えば、ベンチプレス、ディップス、ベントオーバーロー、ショルダープレス、ラットプルダウンやスクワットなどの複数種類のトレーニングに用いることができる。
【0010】
トレーニング器具1は、揺動アーム2と、揺動アーム2を上下方向に沿って揺動可能に支持する支持部3と、上下方向に沿った回転軸R1(図2参照)を中心に支持部3を回転可能とする回転部4と、を備える。斯かる構成によれば、トレーニング器具1の使用者が揺動アーム2を把持した状態で揺動アーム2を揺動させた際、その使用者の腕や肩などの関節の動きに合わせて揺動アーム2が回転する。これにより、トレーニング時における使用者の関節の負荷を軽減できる。その結果、トレーニング器具1の使用者がトレーニング中に関節を痛めることを抑制できる。また、使用者が揺動アーム2を回転させないようにバランスを取りながら揺動アーム2を揺動させることにより、使用者はフリーウェイトのように複数の筋肉を鍛えることができる。さらに、トレーニング器具1の構成部品を少なくすることができ、トレーニング器具1の製造コストなどを抑制できる。図3において、2点鎖線は、揺動アーム2が揺動した状態を示している。図4において、1点鎖線及び2点鎖線は、揺動アーム2が回転した状態を示している。例えば、揺動アーム2を回転させて、後述する一対の把持部9をそれぞれ近づけた状態(図4の1点鎖線)が、トレーニング器具1を用いたトレーニングのスタートポジションとなる。
【0011】
揺動アーム2、支持部3及び回転部4は、それぞれ少なくとも一つ以上設けられている。本実施形態において、揺動アーム2、支持部3及び回転部4は、それぞれ所定の間隔をあけて左右に一対設けられているが、これに限られない。
【0012】
図3に示すように、揺動アーム2は、長手方向を有する形状に形成されている。揺動アーム2は、中実棒や中空棒によって形成されている。本実施形態において、揺動アーム2は、角管によって形成されているが、これに限られない。例えば、揺動アーム2は、丸管などによって形成されていてもよい。
【0013】
揺動アーム2は、支点P1を中心に揺動する。揺動アーム2の揺動方向は、支点P1を中心とする円弧方向であり、上下方向に沿っている。本実施形態において、支点P1は、揺動アーム2の長手方向の一方側(前側)の第1端部21と他方側(後側)の第2端部22との間に設けられている。支点P1は、揺動アーム2の長手方向の中心から揺動アーム2の長手方向の長さL1の10%以内の位置に設けられている。なお、支点P1は、上記に限られず、揺動アーム2の第1端部21又は第2端部22に設けられていてもよい。
【0014】
支点P1は、揺動アーム2の長手方向の中心よりも第2端部22側に設けられている。即ち、支点P1から第1端部21の端面までの長手方向の長さL2は、支点P1から第2端部22の端面までの長手方向の長さL3よりも大きい。
【0015】
揺動アーム2は、トレーニング器具1の設置面S1側に曲がる曲部23を備えていることが好ましい。曲部23は、揺動アーム2の第1端部21及び/又は第2端部22に設けられている。これにより、揺動アーム2を上下方向に揺動させた際に曲部23が設置面S1と接触し、曲部23が揺動アーム2の揺動を制限するストッパーとなる。本実施形態において、曲部23は、揺動アーム2の第2端部22のみに設けられている。曲部23は、屈曲形状であってもよく、湾曲形状であってもよい。設置面S1と接触する曲部23の端部には、ゴム足などの弾性部材231が設けられていることが好ましい。
【0016】
図5は、図2のV-V線拡大断面図である。図5に示すように、支持部3は、支持部本体31と、支持部本体31に取り付けられ、且つ、揺動アーム2の支点P1となる支点部32と、を備えている。本実施形態において、支持部本体31は、一対の支持板311で構成されている。一対の支持板311は、揺動アーム2を挟むように設けられている。支持部本体31(支持板311)は、側面視において略U字状に形成されている。支持板311は、例えば、金属板である。なお、支持部本体31(支持板311)は、上記に限られない。
【0017】
支点部32は、一対の支持板311の間で挟持されている。本実施形態において、支点部32は、支軸である。支点部32は、揺動アーム2に設けられた筒部25に挿通されている。揺動アーム2(筒部25)は、ラジアルベアリング26を介して支点部32に取り付けられている。なお、支点部32及び揺動アーム2は、上記の構成に限られず、揺動アーム2を揺動可能とする構成であればよい。
【0018】
トレーニング器具1は、揺動アーム2の揺動を制限するストッパー5を備えていることが好ましい。ストッパー5は、支持部3に取り付けられている。これにより、ストッパー5が支持部3(揺動アーム2)と共に回転する。その結果、ストッパー5は、設置面S1などに設けた場合と比較して、コンパクトな構成で揺動アーム2の揺動を制限できる。
【0019】
ストッパー5は、例えば、棒状に形成されている。本実施形態において、ストッパー5は、円柱状に形成されているが、これに限られない。例えば、ストッパー5は、角柱状などに形成されていてもよい。
【0020】
ストッパー5の中心と支点P1との離間距離D1は、図3に示す支点P1から第1端部21の端面までの長さL2の15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。これにより、てこの原理によってストッパー5に係る力が減少し、揺動アーム2とストッパー5とが接触した際にストッパー5が破損することを抑制できる。
【0021】
ストッパー5は、支持部3に着脱可能であることが好ましい。ストッパー5は、支軸である支点部32と実質的に平行に設けられている。ストッパー5は、支持部本体31に設けられた挿通孔312に挿通される。本実施形態において、ストッパー5は、一対の支持板311を橋架している。なお、ストッパー5は、上記に限られず、支持部3に固定されていてもよい。
【0022】
挿通孔312は、複数設けられていることが好ましい。これにより、使用者は、トレーニング種類や使用者の身長などによってストッパー5の位置を調整可能となる。各挿通孔312は、支点P1を中心とする円弧状に配置されていることが好ましい。即ち、各挿通孔312(ストッパー5)の中心と支点P1との各離間距離D1は、それぞれ実質的に同じであることが好ましい。
【0023】
回転部4の回転軸R1は、上下方向に沿って設けられている。回転部4は、支持部3を水平方向に沿って回転可能としている。回転部4は、支持部3と後述する支柱部8とを回転可能に連結している。回転部4は、シャフト41と、シャフト41を回転可能に支持するスラストベアリング42と、を備えている。シャフト41は、支持部3又は支柱部8に取り付けられる。シャフト41は、スラストベアリング42に挿通されている。本実施形態において、シャフト41の一端側(上側)は、支持部3にシャフト取付部43を介して取り付けられ、シャフト41の他端側(下側)は、支柱部8に設けられたラジアルベアリング81によって支持されている。なお、回転部4は、上記の構成に限られず、支持部3と支柱部8とを回転可能に連結する構成であればよい。
【0024】
回転部4の回転軸R1は、回転軸R1の軸方向視において支点P1とストッパー5との間に設けられていることが好ましい。支点P1が回転軸R1上又は回転軸R1よりもストッパー5側にあった場合に揺動アーム2がストッパー5に接触すると、回転部4にかかる水平方向の力が大きくなり、回転部4(特にスラストベアリング42)にかかる負荷が大きくなる。このため、支点P1を回転軸R1及びストッパー5から離す(回転軸R1を支点P1とストッパー5との間に設ける)ことにより、揺動アーム2がストッパー5に接触した(支持された)ときの回転部4(特にスラストベアリング42)にかかる負荷を小さくでき、回転部4の故障を抑制できる。
【0025】
支点P1と回転軸R1との水平方向の離間距離D2は、図3に示す支点P1から第1端部21の端面までの長さL2の20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。これにより、揺動アーム2の揺動時に回転軸R1が傾くことを抑制できる。ストッパー5の中心と回転軸R1との水平方向の離間距離D3は、離間距離D2よりも小さい。
【0026】
図1図4に示すように、トレーニング器具1は、重り取付部6を備えていることが好ましい。重り取付部6は、揺動アーム2の支点P1よりも第1端部21側又は第2端部22側に設けられている。重り取付部6は、揺動アーム2の外側面2aに設けられていることが好ましい。
【0027】
本実施形態において、重り取付部6は、揺動アーム2に取り付けられた基部61と、基部61から延びる棒状部62と、を備えている。重り取付部6は、例えば、円環状の重りWt(図2参照)を棒状部62に挿通することによって重りWtを着脱可能となっている。なお、重り取付部6は、重りWtを揺動アーム2上に載置可能な構成であってもよい。
【0028】
棒状部62は、水平方向よりも上方に傾斜していることが好ましい。これにより、揺動アーム2の揺動時に重りWtが脱落することを抑制できる。重り取付部6は、重りWtの脱落を抑制する公知の止具を備えていてもよい。
【0029】
重り取付部6は、1つの揺動アーム2に複数設けられている、という構成であってもよい。複数の重り取付部6のうち揺動アーム2の長手方向の一方側(前側)に設けられた重り取付部6を第1重り取付部6aとし、揺動アーム2の長手方向の他方側(後側)に設けられた重り取付部6を第2重り取付部6bとする。揺動アーム2の支点P1は、第1重り取付部6aと第2重り取付部6bとの間に設けられている。斯かる構成によれば、第1重り取付部6a又は第2重り取付部6bに重りWtを取り付けることができる。これにより、重りWtの取付位置によって揺動アーム2の揺動方向を反転させることができ、トレーニング器具1を用いたトレーニングの種類を増やすことができる。第1重り取付部6aは、第2重り取付部6bと実質的に同じ形状(構成)であってもよく、第2重り取付部6bと異なる形状(構成)であってもよい。
【0030】
第1重り取付部6aは、揺動アーム2の第1端部21側に設けられている。側面視において、第1重り取付部6aと支点P1との間に回転軸R1(図2参照)が設けられている。第2重り取付部6bは、揺動アーム2の第2端部22側に設けられている。側面視において、第2重り取付部6bと回転軸R1との間に支点P1が設けられている。第2重り取付部6bは、曲部23よりも一方側(前側)に設けられている。回転軸R1は、第1重り取付部6aと第2重り取付部6bとの間に設けられている。第1重り取付部6a及び第2重り取付部6bの位置は、上記に限られない。
【0031】
第1重り取付部6aに重りWtを取り付けた場合、揺動アーム2の一方側が下方に揺動するように揺動アーム2に荷重がかかる。その際、揺動アーム2の下方への揺動は、ストッパー5によって制限される。
【0032】
第2重り取付部6bに重りWtを取り付けた場合、揺動アーム2の一方側が上方に揺動するように揺動アーム2に荷重がかかる。その際、揺動アーム2の上方への揺動は、ストッパー5によって制限される。
【0033】
図2に示すように、回転部4の回転軸R1は、上方向に向かって他の回転部4側(トレーニング器具1の内側)に傾斜していることが好ましい。これにより、第1重り取付部6aに重りWtを取り付けた際、重りWtの荷重によって揺動アーム2の一方側が他の揺動アーム2に向かって回転する。その結果、一対の揺動アーム2の一方側がそれぞれ近づき、使用者は一対の揺動アーム2を両手で把持しやすくなる。
【0034】
水平面(設置面S1)に対する回転軸R1の傾斜角度θ1は、88度以上、で且つ、89.5度以下であることが好ましい。これにより、例えば、揺動アーム2をストッパー5に接触させ(支持させ)、且つ、第1重り取付部6aに重りWtを取り付けると、重りWtの荷重が回転部4にかかり、重力によって揺動アーム2が回転軸R1を中心に回転する。その結果、揺動アーム2が図4に示すスタートポジション(1点鎖線)の位置に自動的にセッティングされる。本実施形態において、傾斜角度θ1は、89度であるが、これに限られない。
【0035】
図5に示すように、トレーニング器具1は、揺動アーム2を所定の位置で係止可能な係止部10を備えていることが好ましい。係止部10は、長手方向を有する形状に形成されている。本実施形態において、係止部10は、直線状で且つ断面略U字状に形成されているが、これに限られない。
【0036】
係止部10は、揺動アーム2に回転可能に取り付けられている。係止部10の回転軸であるシャフト10aは、ストッパー5と実質的に平行に設けられている。係止部10は、支点P1よりも一方側(前側)に設けられている。係止部10の回転軸と支点P1との離間距離D4は、ストッパー5の中心と支点P1との離間距離D1よりも大きい。
【0037】
係止部10は、ストッパー5に嵌めることが可能な切欠部101を備えている。切欠部101は、係止部10の支点P1側端面から係止部10のシャフト10a側に向かって延びている。切欠部101は、複数設けられていることが好ましい。これにより、使用者は揺動アーム2を複数の位置で係止可能となる。切欠部101は、係止部10の両側面に設けられている。なお、係止部10は、上記形状に限られず、揺動アーム2を係止可能な形状(例えば、鉤状)であればよい。
【0038】
図6は、トレーニング器具1の係止部10を拡大した側面図である。図6において、2点鎖線は、揺動アーム2が係止部10に係止された状態を示す。図6に示すように、使用者は、係止部10を回転させて切欠部101にストッパー5を嵌めることによって、所定の位置で揺動アーム2を係止できる。
【0039】
係止部10は、荷重による揺動方向と反対方向に揺動アーム2を揺動させることによって揺動アーム2の係止を解除可能であることが好ましい。図6においては、2点鎖線で示した揺動アーム2を上方向に揺動させることによって、切欠部101がストッパー5から抜け、係止部10による揺動アーム2の係止が解錠される。これにより、トレーニング開始前に揺動アーム2を所定の位置に係止することができ、トレーニング開始直前に揺動アーム2をトレーニング開始位置まで揺動させる負担を軽減することができる。また、揺動アーム2を揺動させることによって揺動アーム2の係止が解除されるので、トレーニング開示直前に係止部10による揺動アーム2の係止を手動で解除する手間を省くことができる。
【0040】
トレーニング器具1は、係止部10の回転を操作可能な操作部11を備えていることが好ましい。操作部11は、係止部10よりも揺動アーム2の一方側(前側)に設けられる操作ハンドル111と、操作ハンドル111と係止部10とを連結するリンク機構112と、を備えている。これにより、使用者は、後述する把持部9(図4など参照)を把持した状態で係止部10の回転操作を容易に行える。本実施形態において、操作部11は、揺動アーム2の外側面2aに設けられているが、これに限られない。例えば、操作部11は、揺動アーム2の内側面に設けられていてよい。
【0041】
図1図4に示すように、トレーニング器具1は、設置面S1に設置される脚部7と、脚部7に立設される支柱部8と、を備えている。脚部7の下部には、ゴム足などの弾性部材71が設けられていることが好ましい。脚部7は、例えば、平面視においてH状に形成されている。
【0042】
支柱部8は、回転部4と脚部7との間に設けられている。支柱部8は、棒状に形成されている。支柱部8の長手方向は、回転軸R1の軸方向と実質的に一致している。本実施形態において、支柱部8は、所定の間隔をあけて左右に一対設けられている。
【0043】
トレーニング器具1は、トレーニング器具1の使用者に把持される把持部9を備えていることが好ましい。把持部9は、1つの揺動アーム2に複数設けられていることが好ましい。本実施形態において、把持部9は、揺動アーム2の一方側の側面と第1端部21の端面とに設けられているが、これに限られない。例えば、把持部9は、揺動アーム2の他方側の側面や端面に設けられていてもよい。
【0044】
揺動アーム2の側面に設けられた把持部9を第1把持部91とし、第1端部21の端面に設けられた把持部9を第2把持部92とする。第1把持部91は、揺動アーム2の内側面2bに設けられていることが好ましい。第1把持部91は、揺動アーム2において第1重り取付部6aと異なる面に取り付けられている。
【0045】
本実施形態において、第2把持部92は、直線状に形成されているが、これに限られない。例えば、第2把持部92は、屈曲状や略D字状に形成されていてもよい。
【0046】
図7は、図4のVII-VII線拡大断面図である。図7に示すように、第1把持部91は、使用者に把持される第1把持部本体911と、第1把持部本体911を揺動アーム2に着脱可能な着脱部912と、を備えている。なお、第1把持部本体911は、揺動アーム2に直接固定されていてもよい。
【0047】
本実施形態において、第1把持部本体911は、屈曲状又は湾曲状に形成されているが、これに限られない。例えば、第1把持部本体911は、略D字状やと直線状に形成されていてもよい。第1把持部91(第1把持部本体911)は、第2把持部92と異なる形状(構成)であるが、第2把持部92と実質的に同じ形状(構成)であってもよい。
【0048】
着脱部912は、揺動アーム2に設けられた被着脱部24に取り付けられる。被着脱部24は、揺動アーム2の内側面2bに設けられた円環状の第1フランジ241と、着脱部912を挿入可能な筒部242と、筒部242の底側に設けられた磁石243と、を備えている。着脱部912は、着脱時に第1フランジ241と当接する第2フランジ912aと、筒部242に挿入可能な円管状又は円柱状の挿入部912bと、を備えている。
【0049】
挿入部912bは、鉄などの金属で形成されている。挿入部912bを筒部242に挿入すると、挿入部912bが磁石243に吸着され、第1把持部91を揺動アーム2に取り付けることができる。また、挿入部912bを筒部242から引き抜くことによって、第1把持部91を揺動アーム2から取り外すことができる。なお、着脱部912や被着脱部24の構成は、上記に限られない。
【0050】
第1フランジ241には、円形状に配置された複数の凹部241aが設けられ、第2フランジ912aには、凹部241aに嵌めることが可能な位置決め部912cが設けられていることが好ましい。これにより、位置決め部912cの嵌める位置によって、第1把持部91の取り付け向きを変更可能である。図6において、2点鎖線は、第1把持部91の取り付け向きを変更した例を示す。
【0051】
着脱部912は、位置決め部912cを凹部241a側に付勢する不図示のバネと、位置決め部912cを凹部241aから引き抜く方向に操作可能な操作部912dと、を備えていてもよい。これにより、操作部912dを操作することによって、挿入部912bを筒部242から引き抜くことなく、位置決め部912cを他の凹部241aに嵌めることができ、第1把持部本体911の向きを変えることができる。
【0052】
図8は、図2の領域VIIIの拡大図であり、図9は、図8の矢視IX図である。図8及び図9に示すように、トレーニング器具1は、回転部4(揺動アーム2)の回転を制限する回転制限部12を備えていてもよい。回転制限部12は、支持部3とスラストベアリング42との間に設けられる第1板部材121と、スラストベアリング42と支柱部8との間に設けられる第2板部材122と、第1板部材121に設けられた長孔121aに挿通される棒状部123と、を備えている。長孔121aは、回転軸R1を中心とする円弧状に形成されている。棒状部123は、第2板部材122に取り付けられている。これにより、棒状部123が長孔121aの端部と接触することによって、回転部4の回転が制限される。
【0053】
回転制限部12は、トグルクランプ124を備えている。トグルクランプ124は、支柱部8に取付けられ、第1板部材121に設けられた挿通孔121bに挿通可能となっている。これにより、トグルクランプ124のレバー124aを操作することにより、トグルクランプ124の棒状部124bが挿通孔121bに挿通され、回転部4(揺動アーム2)の回転を止めることができる。挿通孔121bは、回転軸R1を中心とする円弧上に複数設けられていることが好ましい。これにより、使用者は回転部4(揺動アーム2)の回転停止角度を調整できる。
【0054】
図10に示すように、使用者Uが第1重り取付部6aに重りWtを取り付けてトレーニング器具1を使用したトレーニング例を説明する。
【0055】
図10は、トレーニング器具1でベンチプレスを行った例を示す側面図である。使用者Uは、ベンチB上に仰向けに寝そべった状態で把持部9(第1把持部91又は第2把持部92)を把持して、胸の上方で揺動アーム2を上下方向に揺動させることによってベンチプレスを行うことができる。
【0056】
図11は、トレーニング器具1でベントオーバーローを行った例を示す側面図である。図11に示すように、使用者Uは、膝を軽く曲げた前かがみの状態で把持部9を把持して、揺動アーム2を腹部と膝との間で揺動させることによってベントオーバーローを行うことができる。
【0057】
図12は、トレーニング器具1でショルダープレスを行った例を示す側面図である。図12に示すように、使用者Uは、ベンチBに座った状態で把持部9を把持して、肩よりも上方で揺動アーム2を上下方向に揺動させることによってショルダープレスを行うことができる。
【0058】
図13は、トレーニング器具1でスクワットを行った例を示す側面図である。図13に示すように、使用者Uは、把持部9を把持又は揺動アーム2を担いだ状態で膝を曲げて腰を落とす動作と膝を延ばして腰を上げる動作とを繰り返して、揺動アーム2を揺動させることによってスクワットを行うことができる。
【0059】
次に、使用者Uが第2重り取付部6bに重りWtを取り付けてトレーニング器具1を使用したトレーニング例を説明する。
【0060】
図14は、トレーニング器具1でディップスを行った例を示す側面図である。図14に示すように、使用者Uは、膝を軽く曲げた前かがみの状態で把持部9を把持して、揺動アーム2を上下方向に揺動させることによってディップスを行うことができる。
【0061】
図15は、トレーニング器具1でラットプルダウンを行った例を示す側面図である。図15に示すように、使用者Uは、ベンチBに座った状態で把持部9を把持して、肩よりも上方で揺動アーム2を上下方向に揺動させることによってラットプルダウンを行うことができる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、トレーニング器具1の第2実施形態について、図16図20を参照しながら説明する。各図において、図15などに示す把持部9を省略している。第2実施形態は、以下に説明する構成の他は、第1実施形態と同様に構成できるため、共通点を省略して主に相違点について説明する。第1実施形態で既に説明した構成には、同一の符号を付し、重複した説明を省略する。図16は、トレーニング器具1の第2実施形態を示す正面図である。図17は、トレーニング器具1の側面図である。図18は、トレーニング器具1の平面図である。
【0063】
図16図18に示すように、第2実施形態における揺動アーム2の支点P1(図17参照)は、揺動アーム2の長手方向端部(第1端部21又は第2端部22)に設けられている。斯かる構成によれば、揺動アーム2の揺動が片側(前側又は後側)のみとなり、揺動アーム2の揺動範囲が小さくなる。これにより、トレーニング器具1をコンパクトに構成することができる。本実施形態において、揺動アーム2の支点P1は、第2端部22に設けられ、揺動アーム2が一方側(前側)でのみ揺動するように構成されているが、これに限られない。脚部7は、例えば、平面視において略U字状に形成されている。
【0064】
トレーニング器具1は、支持部3に揺動可能に支持される複数の揺動アーム2を備えている。斯かる構成によれば、各揺動アーム2に取り付けられる重りWtの重さや各揺動アーム2の長さなどを変えることで、使用者が使用する揺動アーム2によってトレーニングの負荷を変えることができる。複数の揺動アーム2は、1つの支持部3に支持されている。本実施形態において、揺動アーム2は、1つの支持部3に対して2つ設けられているが、これに限られない。例えば、揺動アーム2は、1つの支持部3に対して3つ以上設けられていてもよい。
【0065】
複数の揺動アーム2は、第1揺動アーム201と第2揺動アーム202とを含む。本実施形態において、第1揺動アーム201は、それを押し上げるトレーニング(ベンチプレス、スクワットやショルダープレスなど)やそれを引き上げるトレーニング(ベントオーバーローなど)に用いることができる。第2揺動アーム202は、それを引き下げるトレーニング(ラットプルダウンなど)やそれを押し下げるトレーニング(ディップスなど)に用いることができる。第1揺動アーム201及び第2揺動アーム202は、それぞれ所定の間隔をあけて左右に一対設けられている。第1揺動アーム201及び第2揺動アーム202は、どちらも一方側(前側)で揺動可能であるが、例えば、第1揺動アーム201は一方側(前側)で揺動可能であり、第2揺動アーム202は他方側(後側)で揺動可能であってもよい。
【0066】
第1揺動アーム201は、第2揺動アーム202よりも下側に設けられている。一対の第1揺動アーム201,201は、支持部3が回転していない状態(図18参照)において、互いに実質的に平行となるように設けられている。図17において、2点鎖線は、第1揺動アーム201が揺動した状態を示している。図18において、1点鎖線及び2点鎖線は、第1揺動アーム201が回転した状態を示している。なお、図18において、支持部3及び第2揺動アーム202が回転した状態の図示を省略している。
【0067】
第1揺動アーム201は、設置面S1から離れる方向(上方向)に曲がる第1曲部2011を備えていることが好ましい。第1曲部2011は、第1揺動アーム201の一方側(前側)に設けられている。これにより、第1揺動アーム201が後述する固定ストッパー33(図19参照)によって揺動が制限されたときに、第1揺動アーム201の第1端部21が設置面S1と接触することを抑制できる。本実施形態において、第1曲部2011は、第2揺動アーム202に近づくように曲がっている(屈曲している)。なお、第1曲部2011は、上記に限られない。
【0068】
第2揺動アーム202は、第1揺動アーム201よりも上側に設けられている。一対の第2揺動アーム202,202は、一方側に向かって互いに近づくように形成されていることが好ましい。これにより、使用者が第2揺動アーム202の一端側に設けられた把持部を把持しやすくなる。また、使用者が第2揺動アーム202の把持部を把持した際、使用者の体が第1揺動アーム201と接触することを抑制できる。
【0069】
第2揺動アーム202は、設置面S1と実質的に平行な方向(又は設置面S1に近づく方向)に曲がる第2曲部2021を備えていることが好ましい。第2曲部2021は、第2揺動アーム202の一方側(前側)に設けられている。これにより、第2揺動アーム202の一端側に設けられる把持部の位置が高くなることを抑制し、使用者がその把持部を把持しやすくなる。本実施形態において、第2曲部2021は、第1揺動アーム201に近づくように曲がっている(屈曲している)。第2曲部2021の長さは、第1曲部2011の長さよりも小さい。なお、第2曲部2021は、上記に限られない。
【0070】
重り取付部6は、第1揺動アーム201に設けられていることが好ましい。本実施形態において、重り取付部6は、第1揺動アーム201の一端側に設けられ、他端側には設けられていないが、これに限られない。重り取付部6は、上記に限られず、第2揺動アーム202に設けられていてもよい。
【0071】
図19は、図16のXIX-XIX線拡大断面図である。図19に示すように、第1揺動アーム201の支点P1(「第1支点P11」ともいう)は、回転部4の回転軸R1よりも他方側(後側)に設けられている。本実施形態において、第1支点P11は、最上位置に位置する挿通孔312と実質的に同じ高さに配設されているが、これに限られない。
【0072】
支持部3は、第1揺動アーム201の揺動を制限する固定ストッパー33を備えている。本実施形態において、固定ストッパー33は、挿通孔312の下側に設けられる棒状部材であり、支持板311に固定されている。固定ストッパー33の中心と第1支点P11との離間距離は、挿通孔312の中心と第1支点P11との離間距離D1(図5参照)と実質的に同じである。即ち、固定ストッパー33は、挿通孔312が配設される第1支点P11を中心とする円弧上に配設されている。第1揺動アーム201は、固定ストッパー33やストッパー5(図5参照)と接触する位置に凹状部材2012を備えている。
【0073】
第2揺動アーム202の支点P1(「第2支点P12」ともいう)は、第1支点P11よりも上側で、且つ、回転部4の回転軸R1よりも一方側(前側)に設けられている。本実施形態において、第2支点P12は、挿通孔312の上方に設けられているが、これに限られない。
【0074】
トレーニング器具1は、第2揺動アーム202を上方向に揺動させるための重り部13を備えていることが好ましい。これにより、第2揺動アーム202を用いたトレーニングのスタートポジションを使用者の上方とすることができる。重り部13は、第2揺動アーム202の他端側に設けられている。重り部13は、重り131と、一対の重り取付板132と、を備えている。
【0075】
重り131は、例えば、略円柱状に形成されている。重り131は、第2支点P12よりも他方側(後側)に位置するように、一対の重り取付板132の間に設けられている。本実施形態において、重り131は、一対の重り取付板132の他端部に固定されているが、これに限られない。例えば、重り部13を重り取付部6(図18など参照)と同様の構成とし、重り131の重さを変更可能としてもよい。
【0076】
重り取付板132は、側面視L字状で、且つ、対向する重り取付板132との隙間が他方側(後側)に向かって広がる形状に形成されている。これにより、重り131の配設スペースを確保することができる。重り取付板132の一端部は、第2揺動アーム202に固定されている。
【0077】
重り取付板132の他端部は、第2揺動アーム202を上方に揺動させたときに、その他端部又は重り131が支持部3と接触する位置に設けられていることが好ましい。これにより、第2揺動アーム202を上方向の揺動させたときに重り取付板132の他端部又は重り131が支持部3と接触するので、第2揺動アーム202の上方向への揺動を制限できる。重り部13は、支持部3と接触する位置にゴム足などの緩衝部材133を備えていることが好ましい。緩衝部材133は、例えば、重り131の下側に設けられている。
【0078】
トレーニング器具1は、第2揺動アーム202の揺動と連動して第1揺動アーム201を上方向に揺動させる連結部14を備えていることが好ましい。斯かる構成によれば、第2揺動アーム202を揺動させたときに第1揺動アーム201も揺動するので、重り取付部6(図16及び図17参照)に取り付けた重りWtの重さで第2揺動アーム202を使用した使用者のトレーニング負荷を調整できる。これにより、第2揺動アーム202に重り取付部6を配設することが不要となり、重り取付部6の配設数を削減できる。図19において、2点鎖線は、第1揺動アーム201と第2揺動アーム202とを連結部14で連結した状態を示している。
【0079】
図20は、第1揺動アーム201と第2揺動アーム202とを連結部14で連結して、第2揺動アーム202を揺動させた状態を示す側面図である。図20において、2点鎖線は、第1揺動アーム201及び第2揺動アーム202の各揺動前の状態を示している。図20に示すように、連結部14で第2揺動アーム202と連結された第1揺動アーム201は、第2揺動アーム202の揺動方向と反対方向に揺動する。即ち、第1揺動アーム201及び第2揺動アーム202は、各々が近づく方向に揺動する。これにより、使用者は、第2揺動アーム202を用いて、ラットプルダウンやディップスなどのトレーニングができる。なお、連結部14で第2揺動アーム202と連結された第1揺動アーム201は、上記に限られず、第2揺動アーム202の揺動方向と同じ方向に揺動してもよい。
【0080】
図19に示すように、連結部14は、例えば、第1揺動アーム201に固定される基部141と、基部141に回転可能に取り付けられる連結アーム142と、連結アーム142に固定されると共に第2揺動アーム202と連結可能な連結棒143と、を備えている。第2揺動アーム202は、連結部14と連結可能な被連結部2022を備えている。なお、基部141は第2揺動アーム202に固定され、第1揺動アーム201が被連結部2022を備えていてもよい。また、連結部14は、上記の構成に限られず、第2揺動アーム202の揺動と連動して第1揺動アーム201を上方向に揺動させる構成であればよい。
【0081】
基部141は、第1揺動アーム201の他方側(後側)で且つそれの上側面に固定されている。基部141は、支持部3内(一対の支持板311の間)に設けられている。連結アーム142は、一対の板状部材1421で構成されている。連結棒143は、連結アーム142の長手方向端部に固定されている。連結棒143は、被連結部2022と非連結である非連結位置Po1と、被連結部2022と連結される連結位置Po2と、に回動可能である。連結棒143の両端部には、連結部14を操作するためのキャップ(不図示)が設けられていることが好ましい。
【0082】
被連結部2022は、第2支点P12よりも他方側に設けられている。被連結部2022は、一対の鉤状板2023で構成され、支持部3を挟むように第2揺動アーム202に固定されている。被連結部2022の鉤部2024は、第2揺動アーム202の揺動範囲内において支持部3の内側(一対の支持板311の間)に入り込まない位置に設けられていることが好ましい。これにより、第2揺動アーム202の揺動時に連結棒143が支持部3と接触して、第1揺動アーム201と第2揺動アーム202との連結が解除されることを抑制できる。
【0083】
回転部4の回転軸R1は、回転軸R1の軸方向視において第1支点P11と第2支点P12との間に設けられていることが好ましい。斯かる構成によれば、第1揺動アーム201と第2揺動アーム202とを連動して揺動させたときに回転部4にかかる負荷を小さくすることができる。これにより、回転部4の故障を抑制できる。
【0084】
第1揺動アーム201及び第2揺動アーム202は、上記の構成に限定されない。例えば、第1揺動アーム201及び第2揺動アーム202の各構成や各支点P11,P12の位置などを入れ換えてもよい。
【0085】
[1]
以上、本開示のトレーニング器具1は、揺動アーム2と、揺動アーム2を上下方向に沿って揺動可能に支持する支持部3と、上下方向に沿った回転軸R1を中心に支持部3を回転可能とする回転部4と、を備える。
【0086】
斯かる構成によれば、トレーニング器具1の使用者が揺動アーム2を把持した状態で揺動アーム2を揺動させた際、その使用者の腕や肩などの関節の動きに合わせて揺動アーム2が回転する。これにより、トレーニング時における使用者の関節の負荷を軽減できる。
【0087】
[2]
上記[1]のトレーニング器具1は、揺動アーム2の揺動を制限するストッパー5を備え、ストッパー5は、支持部3に取り付けられている、という構成が好ましい。
【0088】
斯かる構成によれば、ストッパー5が支持部3(揺動アーム2)と共に回転する。これにより、ストッパー5は、設置面S1などに設けた場合と比較して、コンパクトな構成で揺動アーム2の揺動を制限できる。
【0089】
[3]
上記[2]のトレーニング器具1において、回転部4の回転軸R1は、回転軸R1の軸方向視において揺動アーム2の支点P1とストッパー5との間に設けられている、という構成が好ましい。
【0090】
斯かる構成によれば、揺動アーム2がストッパー5に接触した(支持された)ときに回転部4にかかる負荷を小さくすることができる。これにより、回転部4の故障を抑制できる。
【0091】
[4]
上記[1]~[3]のトレーニング器具1は、揺動アーム2の長手方向の一方側に設けられる第1重り取付部6aと、揺動アーム2の長手方向の他方側に設けられる第2重り取付部6bと、を備え、揺動アーム2の支点P1は、第1重り取付部6aと第2重り取付部6bとの間に設けられている、という構成であってもよい。
【0092】
斯かる構成によれば、第1重り取付部6a又は第2重り取付部6bに重りWtを取り付けることができる。これにより、重りWtの取付位置によって揺動アーム2の揺動方向を反転させることができ、トレーニング器具1を用いたトレーニングの種類を増やすことができる。
【0093】
[5]
上記[1]~[4]の何れか1つのトレーニング器具1は、揺動アーム2の一方側に設けられる重り取付部6を備え、揺動アーム2、支持部3及び回転部4は、それぞれ所定の間隔をあけて一対設けられ、回転部4の回転軸R1は、上方向に向かって他の回転部4側に傾斜している、という構成が好ましい。
【0094】
斯かる構成によれば、重り取付部6(第1重り取付部6a)に重りWtを取り付けた際、重りWtの荷重によって揺動アーム2の一方側が他の揺動アーム2に向かって回転する。これにより、一対の揺動アーム2の一方側がそれぞれ近づき、使用者は一対の揺動アーム2を両手で把持しやすくなる。
【0095】
[6]
上記[1]~[5]の何れか1つのトレーニング器具1は、揺動アーム2を所定の位置で係止する係止部10を備え、係止部10は、荷重による揺動方向と反対方向に揺動アーム2を揺動させることによって揺動アーム2の係止を解除可能である、という構成が好ましい。
【0096】
斯かる構成によれば、トレーニング開始前に揺動アーム2を所定の位置に係止することができ、トレーニング開始直前に揺動アーム2をトレーニング開始位置まで揺動させる負担を軽減することができる。また、揺動アーム2を揺動させることによって揺動アーム2の係止が解除されるので、トレーニング開示直前に係止部10による揺動アーム2の係止を手動で解除する手間を省くことができる。
【0097】
[7]
上記[1]~[6]の何れか1つのトレーニング器具1において、揺動アーム2の支点P1は、揺動アーム2の長手方向端部(第1端部21又は第2端部22)に設けられている、という構成であってもよい。
【0098】
斯かる構成によれば、揺動アーム2の揺動が片側(前側又は後側)のみとなり、揺動アーム2の揺動範囲が小さくなる。これにより、トレーニング器具1をコンパクトに構成することができる。
【0099】
[8]
上記[1]~[7]の何れか1つのトレーニング器具1は、支持部3に揺動可能に支持される複数の揺動アーム2を備える、という構成であってもよい。
【0100】
斯かる構成によれば、各揺動アーム2に取り付けられる重りWtの重さや各揺動アーム2の長さなどを変えることで、使用者が使用する揺動アーム2によってトレーニングの負荷を変えることができる。
【0101】
[9]
上記[8]のトレーニング器具1において、複数の揺動アーム2は、第1揺動アーム201と第2揺動アーム202とを含み、トレーニング器具1は、第1揺動アーム201に設けられる重り取付部6と、第2揺動アーム202の揺動と連動して第1揺動アーム201を上方向に揺動させる連結部14と、を備える、という構成が好ましい。
【0102】
斯かる構成によれば、第2揺動アーム202を揺動させたときに第1揺動アーム201も揺動するので、重り取付部6に取り付けた重りWtの重さで第2揺動アーム202を使用した使用者のトレーニング負荷を調整できる。これにより、第2揺動アーム202に重り取付部6を配設することが不要となり、重り取付部6の配設数を削減できる。
【0103】
[10]
上記[9]のトレーニング器具1において、回転部4の回転軸R1は、回転軸R1の軸方向視において第1揺動アーム201の支点P1(第1支点P11)と第2揺動アーム202の支点P1(第2支点P12)との間に設けられている、という構成が好ましい。
【0104】
斯かる構成によれば、第1揺動アーム201と第2揺動アーム202とを連動して揺動させたときに回転部4にかかる負荷を小さくすることができる。これにより、回転部4の故障を抑制できる。
【0105】
なお、トレーニング器具1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものではない。また、トレーニング器具1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0106】
(A)本実施形態において、トレーニング器具1は、重り取付部6を備える、という構成であるが、これに限られない。例えば、トレーニング器具1は、重り取付部6を備えない、という構成であってもよい。斯かる構成においては、揺動アーム2内に重りが内蔵されていてもよい。
【0107】
(B)把持部9は、球状に形成されていてもよい。把持部9を球状とすることにより、使用者が複数の方向から把持部9を把持するができ、手首にかかる負荷を軽減できる。
【符号の説明】
【0108】
1…トレーニング器具、2…揺動アーム、2a…外側面、2b…内側面、21…第1端部、22…第2端部、23…曲部、231…弾性部材、24…被着脱部、241…第1フランジ、241a…凹部、242…筒部、243…磁石、201…第1揺動アーム、2011…第1曲部、2012…凹状部材、202…第2揺動アーム、2021…第2曲部、2022…被連結部、2023…鉤状板、2024…鉤部、25…筒部、26…ラジアルベアリング、3…支持部、31…支持部本体、311…支持板、312…挿通孔、32…支点部、4…回転部、41…シャフト、42…スラストベアリング、43…シャフト取付部、5…ストッパー、6…重り取付部、6a…第1重り取付部、6b…第2重り取付部、61…基部、62…棒状部、7…脚部、71…弾性部材、8…支柱部、81…ラジアルベアリング、9…把持部、91…第1把持部、911…第1把持部本体、912…着脱部、912a…第2フランジ、912b…挿入部、912c…位置決め部、912d…操作部、92…第2把持部、10…係止部、10a…シャフト、101…切欠部、11…操作部、111…操作ハンドル、112…リンク機構、12…回転制限部、121…第1板部材、121a…長孔、121b…挿通孔、122…第2板部材、123…棒状部、124…トグルクランプ、124a…レバー、124b…棒状部、13…重り部、131…重り、132…重り取付板、133…緩衝部材、14…連結部、141…基部、142…連結アーム、1421…板状部材、143…連結棒、P1…支点、P11…第1支点、P12…第2支点、R1…回転軸、S1…設置面、B…ベンチ、U…使用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20