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特開2024-91482表示装置のためのコントラスト調整システム
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  • 特開-表示装置のためのコントラスト調整システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091482
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】表示装置のためのコントラスト調整システム
(51)【国際特許分類】
   G04B 43/00 20060101AFI20240627BHJP
   G04B 37/02 20060101ALI20240627BHJP
   G04G 21/02 20100101ALI20240627BHJP
【FI】
G04B43/00 Z
G04B37/02
G04G21/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023204811
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】22216511.0
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ウンメル、 アントワーヌ
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AB01
2F002AB06
2F002AC01
2F002GA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】特定の温度にさらされる環境で使用することができ、表示装置に存在する情報を正確かつ効率的に読み取ることができる時計の表示装置のためのコントラスト調整システムを提供する。
【解決手段】時計10の表示装置のためのコントラスト調整システム100であって、時計10の機械部品及び/又は機能部品5のための熱保護ハウジング1の構内4に時計10のケース12を着脱可能に配置することができ、表示装置はハウジング1のクリスタル6に面して配置され、ハウジング1は、時計10のケース12をこのハウジング1の機能要素15から離しておきつつ構内4に締結する可逆的な締結装置13を備え、この構内4を形成する機能要素15は、ハウジング1の中間部9aと、背部9bと、クリスタル6とを備え、システムは、電子装置110とハウジング1が互いに接続されたときに表示装置のコントラストを調整するように構成された電子装置110を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計(10)の表示装置のためのコントラスト調整システム(100)であって、前記時計(10)の機械部品及び/又は機能部品(5)のための熱保護ハウジング(1)内に前記時計(10)のケース(12)を着脱可能に配置することができ、前記システム(100)は、
・前記ハウジング(1)であって、
・前記時計(10)の機械部品及び/又は機能部品(5)を熱的に保護するための構内(4)であって、前記構内(4)はこのハウジング(1)の機能要素(15)によって形成され、これらの要素(15)は中間部(9a)と、背部(9b)と、前記表示装置の可視面の輝度を動的に変化させる装置(7)を含むクリスタル(6)とを備える、構内(4)と、
・前記時計(10)のケース(12)を前記機能要素(15)から離しておきつつそれを前記構内(4)に締結する可逆的な締結装置(13)と、
・前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)に接続された制御ユニット(8)であって、前記ハウジングの環境において周囲輝度の変化を引き起こすことができる、イベントセンサ(25)を備える制御ユニット(8)と
を備える前記ハウジング(1)と、
・前記表示装置と、前記表示装置が前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面した状態で前記構内(4)に着脱可能に配置することができる前記ケース(12)とを備える時計(10)と、
・そのセンサ(25)が設けられた前記制御ユニット(8)と共に、前記表示装置のコントラストを調整するために前記動的輝度変化装置(7)を制御するのに役立つように構成された電子装置(110)と
を備えるシステム(100)。
【請求項2】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置され、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)は、前記ハウジング(1)の構内に入るあらゆる光放射が透過するように構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置され、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)は、前記ハウジング(1)の構内に入るあらゆる光放射が透過するように構成され、前記電子装置(110)は、このクリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)を制御するための少なくとも1つの命令を生成及び送信することによって前記表示装置のコントラストを調整するように構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置され、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)は、前記ハウジング(1)の構内に入るあらゆる光放射が透過するように構成され、前記電子装置(110)は、このクリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)を制御するための少なくとも1つの命令を生成及び送信することによって前記表示装置のコントラストを調整するように構成され、前記ハウジング(1)の制御ユニット(8)は、受信した前記動的輝度変化装置(7)を制御するための少なくとも1つの命令に応じて前記表示装置のコントラストを変化させるように構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記熱保護ハウジング(1)の制御ユニット(8)は、接続素子(14)によって前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)に接続される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置され、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)は照明素子、特にOLED型の透明な照明素子である、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記電子装置(110)は、通信ユニット(21)と、この通信ユニット(21)を制御するように構成されたコントローラ(20)とを備える、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記電子装置(110)は、無線接続技術を用いて前記ハウジング(1)に接続されるように構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記構内(4)は真空又は準真空下にある、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記クリスタル(6)は、前記時計(10)のケース(12)のクリスタル(11)の表面積よりも実質的に大きいか又は厳密に大きい表面積を有する、請求項1に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱保護ハウジングに収容された時計の表示装置のコントラストを調整するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
時計は一般に、ブレスレットと、いくつかの機械部品、電気部品又は電子部品を有する時計ケースとを備える。従来技術では、これらの部品のいくつかは、特定の温度に耐えることができず、これらの温度では正しく機能しなくなることが知られている。既存の解決策の1つは、このような部品を保護するために、この時計のケースをデュワーハウジング内に配置することであり、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】スイス国特許出願公開第718146号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような温度にさらされる可能性が高い環境で時計を使用することができ、特にそのような時計の表示装置に存在する情報を正確かつ効率的に読み取ることができる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明は、時計の表示装置のためのコントラスト調整システムであって、前記時計の機械部品及び/又は機能部品を熱的に保護するハウジング内に時計のケースを着脱可能に配置することができるシステムに関するものである。システムは、
・前記ハウジングであって、
・前記時計の機械部品及び/又は機能部品を熱的に保護する構内(エンクロージャ)であって、前記構内はこのハウジングの機能要素によって形成され、これらの要素は中間部と、背部と、表示装置の可視面の輝度を動的に変化させる装置を含むクリスタルとを備える、構内と、
・前記時計のケースを前記構内に締結しかつ前記時計のケースを機能要素から離しておく可逆的な締結装置と、
・クリスタルの動的輝度変化装置に接続された制御ユニットであって、ハウジングの環境において周囲輝度の変化を引き起こすことができる、イベントセンサを備える制御ユニットと
を備える前記ハウジングと、
・表示装置と、表示装置が前記ハウジングのクリスタルに面した状態で前記構内に着脱可能に配置することができるケースとを備える時計と、
・そのセンサが設けられた制御ユニットと共に、表示装置のコントラストを調整するために動的輝度変化装置を制御するのに役立つように構成された電子装置と
を備える。
他の実施形態では、
・表示装置は、時計が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、可視面は、ハウジングのクリスタルに面して配置される。
・クリスタルの動的輝度変化装置は、ハウジングの構内に入るあらゆる光放射を透過させることができる。
・前記電子装置は、このクリスタルの動的輝度変化装置を制御するための少なくとも1つの命令を生成及び送信することによって表示装置のコントラストを調整するように構成される。
・ハウジングの制御ユニットは、受信した前記動的輝度変化装置を制御するための少なくとも1つの命令に応じて表示装置のコントラストを変化させるように構成される。
・熱保護ハウジングの制御ユニットは、接続要素によってクリスタルの動的輝度変化装置に接続される。
・クリスタルの動的輝度変化装置は照明素子、特にOLED型の透明な照明素子である。
・電子装置は、通信ユニットと、この通信ユニットを制御するように構成されたコントローラとを備える。
・前記電子装置は、無線接続技術を用いて前記ハウジングに接続されるように構成される。
・前記構内は真空又は準真空下にある。
・クリスタルは、時計ケースのクリスタルの表面積よりも実質的に大きいか又は厳密に大きい表面積を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
他の特定の特徴及び利点は、添付の図を参照して、大まかなガイドとして提供されるものであり、決して限定的なガイドとして提供されるものではない以下の説明で明確に観察されるであろう。
図1】本発明の様々な実施形態による、熱保護ハウジングに収容された時計表示装置のコントラスト調整システムの図式的な表示である。
図2】本発明の実施形態による、時計ケースを備える熱保護ハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、時計10の表示装置のコントラストを調整するシステム100を示しており、時計10のケース12は、この時計10の機械部品及び/又は機能部品5の熱保護120のためのハウジング1の構内4に配置される。このようなシステム100は、したがって、この保護ハウジング1の使用者の視覚に応じて、時計10の文字盤であり得るこの表示装置のコントラストを、特に動的に調整/設定することを可能にする。このようなコントラストの調整により、ハウジング1の周囲輝度を考慮して、この表示装置によって表示される情報の可読性を向上させることができる。特に、本システム100は、1つ以上の情報項目に関連する1つ以上のグラフィック表現とそれらの背景との間の最適なコントラストを形成することができることに留意すべきである。
【0008】
この目的のために、本システム100は、したがって、時計10と、前記時計10の機械部品及び/又は機能部品5のための熱保護ハウジング1と、電子装置110とを備える。本システム100では、保護ハウジング1には透明なクリスタル6が設けられており、電子装置110は、表示装置のコントラストを制御/管理/調整するために、前記ハウジング1に、特にこのハウジング1の制御ユニット8に接続することができる。この電子装置110は、NFC(近距離無線通信の頭字語)、WiFi又はBluetoothタイプの無線接続技術を用いて前記ハウジング1に接続されるように構成されることに特に留意されたい。
【0009】
制御ユニット8と連携することによって、このような電子装置110は、後で分かるように、この表示装置のコントラストを変化させるためにハウジング1の制御ユニット8に適切な指示を送信することによって、この表示装置のコントラストを調整することを可能にする。
【0010】
本システム100では、このような熱保護ハウジング1は、「等温ケース」又は「デュワーハウジング」と呼ぶこともできる。このようなハウジング1は、ブレスレットを含むことができ、したがって、「等温装置」又は「デュワー時計装置」又はさらに単純に「デュワー装置」とも呼ばれる熱保護装置120を形成することができる。
【0011】
図2を参照すると、本システム100の熱保護ハウジング1は、時計10の機械部品及び/又は機能部品5に良好な断熱を提供することができ、時計10のケース12は、これらの部品5にそのような断熱を提供するためにこのハウジング1の構内4に配置されなければならない。換言すれば、このハウジング1は、特に、これらの機械部品及び/又は機能部品5に好適な断熱を提供するために、その機能要素15と時計10のケース12との組み合わせによって形成される。この前記構内4を形成するハウジング1のこれらの機能要素15は、このハウジング1のクリスタル6と、中間部9aの内周壁17と、背部9bとを備える。この構成では、時計10のケース12は、このような構内4に、前記構内4を形成するハウジング1の機能要素から離れた状態で又は機能要素から距離を置いた状態で配置される。なお、中間部9aのこの内周壁17は、前記構内4の内周壁でもある。
【0012】
本システム100では、ハウジング1は、時計10の表示装置に向けられた可変の輝度/照度を有する透明なクリスタル6であるクリスタル6と、このクリスタル6に接続され、この輝度/照度を制御/管理/設定/調整するように構成された制御ユニット8とを備える。このハウジング1の構内4に時計ケース12を配置すると、表示装置の可視面がこのクリスタル6に面して、特にこのクリスタル6の内面16に面して配置される。この可視面は、時計10が実現する時刻表示又は機能に関する情報を表示するために使用することができる。
【0013】
これに関連して、制御ユニット8は、ハードウェア資源が設けられたコントローラ、特に、バッテリとも呼ばれるエネルギー蓄積装置に加えて、記憶素子ならびにデータ及び制御アドレスバスと協働する少なくとも1つのプロセッサを含む電子回路を備える。この制御ユニット8は、その記憶素子に、電子装置110から受信した命令に基づいて時計10の表示装置のコントラストの調整を管理するアルゴリズムを含む。このようなアルゴリズムは、これらの命令を考慮してこの制御ユニット8のプロセッサが実行する。
【0014】
ハウジング1は、制御ユニット8に含まれるイベントセンサ25を備えることができる。このようなセンサ25は、ハウジング1の環境における周囲輝度の変化に役立つ/変化を引き起こす/生成する可能性が高く、表示装置上に/表示装置内に存在する情報の読み取りを邪魔/変更する可能性がある、これらのセンサによって検出されるイベントに関連するデータを生成することができる。これらのイベントは、ハウジング1の環境における周囲輝度の変化を引き起こす可能性が高い。これらのイベントは、これらに限定されないが、ハウジング1の環境における特定レベルの輝度、特に太陽放射などの光放射の検出を含む。
【0015】
これに関連して、イベントセンサは、特に非限定的かつ非網羅的に、日射センサ及び/又は赤外線日射センサ及び/又は紫外線日射センサを備える輝度センサを備える。
【0016】
なお、イベントセンサは、制御ユニット8の一部を構成し、このユニットのコントローラに接続される。輝度センサは、ハウジング1の外部の環境から来る光にさらされるように、ハウジング1内に、特にこのハウジング1の機能要素15のうちの少なくとも1つに配置される。例として、この輝度センサは、このハウジング1のクリスタル6の本体内及び/又はこのクリスタル6の内面16上に配置することができる。
【0017】
このハウジング1では、制御ユニット8は、このハウジング1のクリスタル6内又はクリスタル6の内面16上に含まれ得る輝度センサを除いて、その電子回路が配置された、フレキシブルPCBなどの基板を備える。これに関連して、この回路は、3次元印刷プロセス又はポリマー印刷プロセスを用いて、この基板上に組み立てることができる。なお、この基板は、構内4で背部9b又は構内4の内周壁17などの機能要素15の1つに配置される。
【0018】
上述したように、制御ユニット8、特にそのコントローラは、接続素子14によってハウジング1のクリスタル6に連結/接続される。このようなクリスタル6は、基板と、この基板内又は基板上に配置された輝度/照明/照度を動的に変化させる透明な装置7とで構成される。この基板は、ガラス、例えば鉱物ガラス、アクリルガラス、光学セラミック、サファイアガラスなどの材料で作られる。このクリスタル6では、このような動的輝度変化装置7は、例えば、透明な照明素子、特に頭字語OLEDで知られる有機発光ダイオード照明素子である。
【0019】
このようなOLED型の照明素子は、有機発光材料の層を備える透明な機能層の積層体を備え、積層体は、この/これらの材料の層の側面に位置する、一般にこの積層体の第1及び第2の導電層の形態の透明電極によって電気を供給される。このようなOLED型の照明素子7は、CIE 1931 XYZ色空間における座標(x1, y1)によって0°で定義される多色放射を放出するように設計することができ、したがって、座標は、法線への放射に対して与えられる。この透明な照明素子7は、表示装置の方向に又は表示装置に向けられた光放射を放出するように構成される。
【0020】
非限定的かつ非網羅的に、発光層は、SM-OLED(小分子有機発光ダイオード)と呼ばれる小分子又はPLED(ポリマー発光ダイオード)と呼ばれるポリマーを含むことができる。
【0021】
ハウジング1のクリスタル6の第1の代替的な実施形態では、動的輝度変化装置7は、基板の下面に配置/貼付/印刷/蒸着され、これによりこのクリスタル6の内面16を形成する。
【0022】
ハウジング1のクリスタル6の第2の代替的な実施形態では、動的輝度変化装置7は、ハウジング1のこのクリスタル6を形成する基板の本体に含まれる。これに関連して、この基板は、ガラスのような透明材料の2つの層から形成することができ、これらの層の間に動的輝度変化装置7が配置される。
【0023】
なお、動的輝度変化装置7がクリスタル6に含まれる基板内又は基板上に存在しても、ハウジング1のこのクリスタル6の透過率特性は変化しない。
【0024】
これにより、制御ユニット8は、電子装置110から受信した制御/調整命令を実行することによって、動的輝度変化装置7の第1及び第2の導電層に印加される電圧を制御し、表示装置に加えられる照度/光強度を、特にこの表示装置全体にわたる照度/光強度の分布を変化させることを可能にする。これにより、制御ユニット8は、この表示装置の読み取りを容易にすること及び/又はこのハウジング1の使用者の読み取りの快適性を高めることを目的として、周囲輝度に適合した表示装置のコントラストを形成することができる。
【0025】
動的輝度変化装置7によって生成されるこの照明/照度の変化は、光強度変化とも呼ばれ、2つの状態の間で生じる。第1の状態は最大の光強度に関係し、第2の状態はゼロ光強度に関係する。
【0026】
本システム100では、電子装置110は、ユーザ端末とも呼ばれ、熱保護装置120の使用者が着用して携帯することができる装置110である。これは、例えば、スマートフォン、ファブレット又はタブレットに当てはまる。この電子装置110は、電子回路21が配置されたハウジング20を備える。この電子回路21は、コントローラ22と、通信ユニット23、特に近距離無線通信(NFC)ユニット23又はBluetooth又はWiFiなどの無線技術を用いて動作する通信ユニットとを備え、両方ともバッテリによって電力供給される。このコントローラ22は、例えば、ハウジング1、特にその制御ユニット8との間の要求/命令/データを処理するように構成されたコンピュータプログラムを実行するための命令を実行することができる。電子装置110はさらに、カメラと、タッチスクリーン又はボタンなどの入力インタフェースとを含むことができる。
【0027】
この装置110はさらに、例えば、周囲輝度のレベルを検出する輝度センサなどのイベントセンサ24を含む。これらのイベントは、装置110の環境の周囲輝度の変化を引き起こす可能性が高い。これらのイベントは、これらに限定されないが、装置110の環境における特定のレベルの輝度、特に太陽光線などの光線の検出を含む。
【0028】
また、このようなコントローラ22は特に、例えば、ハウジング1の制御ユニット8との間で送受信される要求/命令/データなどを処理するように構成されたコンピュータプログラムを実行するための命令を実行することができる。
【0029】
また、このコントローラ22はさらに、「アプリケーション」又は「アプリ」とも呼ばれるコンピュータプログラムを実行することができる。これに関連してより具体的には、アプリケーションは、「表示装置のコントラストを調整するためのアプリケーション」である。したがって、コントローラ22によって実行されると、このアプリケーションは、表示装置のコントラストの即時管理又は自動管理を確実にすることを目的とした少なくとも1つの命令を生成することができる。
【0030】
なお、このアプリケーションが電子装置110によって実行されると、このアプリケーションの実行によって生成されたインタフェースがこの装置110の画面に表示され、使用者は、このインタフェースと対話することによって、
・表示装置の自動/動的コントラスト管理に対応する輝度設定値を設定すること、
・この表示装置のコントラストを調整し、表示装置の使用者の視覚に応じて必要とされるコントラストのレベルの即時の管理に対応すること
ができる。
【0031】
したがって、コントローラ22は、特にこのハウジング1の制御ユニット8に送信される輝度設定値に応じて、表示装置のコントラストを制御/調整するための命令を生成することができることが理解される。したがって、これらの条件下では、制御ユニット8は、このユニット8によって測定される輝度と尊重されるべき輝度設定値の両方に応じて、このコントラストを制御/調整する。これを行うために、制御ユニット8は、動的輝度変化装置7を適宜制御/指示するように構成される。
【0032】
いくつかの実施形態では、このコントローラ22は、機能表示装置のコントラストを制御/調整するための命令を生成することができ、したがって、前記命令は、このハウジング1の制御ユニット8に送信される輝度設定値に関するものである。これらの条件下で、制御ユニット8は、そのイベントセンサ25を用いてこのユニット8によって測定された輝度と尊重されるべき輝度設定値の両方に応じてこのコントラストを動的に制御/調整する。このような制御ユニット8は、動的輝度変化装置7を適宜制御/指令するように構成される。したがって、この電子装置110のコントローラ22は、そのセンサ25が設けられた制御ユニット8と共に、表示装置のコントラストの調整、特に動的調整を確実にするために動的輝度変化装置7を制御するのに役立つように構成される。また、これらの実施形態は、従うべき前記設定値の変化をもたらすことができ、設定値の変化は、1つ以上のイベントが装置110のイベントセンサ24によって検出されるとすぐに、装置110のコントローラ22によって送信される。したがって、電子装置110は、そのセンサ25を備えた制御ユニット8と共に、表示装置のコントラストを調整するために動的輝度変化装置7を制御するのに役立つように構成される。代替的な実施形態では、そのセンサ24が設けられた電子装置110は、そのセンサ25が設けられた制御ユニット8と共に、表示装置のコントラストを調整するために動的輝度変化装置7を制御するのに役立つように構成される。
【0033】
コントローラ22はさらに、このコントラストの調整レベルに応じて表示装置のコントラストを制御/調整するための命令を生成することができ、命令は、このハウジング1の制御ユニット8に送信される。したがって、これらの条件下では、制御ユニット8は、装置110によるアプリケーションの実行によって生成されたインタフェースから使用者が選択した調整レベルに応じて表示装置のコントラストを制御/調整する。これを行うために、制御ユニット8は、動的輝度変化装置7を適宜制御/指示するように構成される。
【0034】
したがって、電子装置110は、このクリスタル6の動的輝度変化装置7に対する少なくとも1つの制御命令を生成及び送信することによって、表示装置のコントラストを調整するように構成されることが理解される。したがって、これに基づいて、ハウジング1の制御ユニット8は、この装置10が受信した動的輝度変化装置に対する少なくとも1つの制御命令に応じて表示装置のコントラストを変化させるように構成される。
【0035】
また、前述したように、時計10のケース12は、ハウジング1の可逆的な締結装置13のおかげで、構内4の内周壁17から間隔を置いて配置された状態又は距離19を置いてもしくは間隔19を空けで保持された状態で、熱保護ハウジング1内に配置される。換言すれば、このような締結装置13は、前記保護ケース12と前記構内4を形成するハウジング1の機能要素との間に間隔19を形成することができる。この構成では、締結装置13は、中間部9aの(又は構内4の)内周壁17及び/又は背部9b及び/又はクリスタル6と時計10のケース12との間、特にこのケース12の外側全体面との間の熱伝導を低減するかさらには除去するのに役立つ。この外側全体面は、時計10のケース12のクリスタル11を備える上面と、前記ケース12の背部を備える下面と、このケース12の中間部の外周壁とを備える。
【0036】
この構成では、時計10のケース12をこのハウジング1の構内4の内周壁17に可逆的に締結するための締結装置13は、以下のものを備えることができる。
・時計10のケース12及びこのハウジング1の構内4の内周壁17に接続することができる第1及び第2の端部をそれぞれが有する接続部材。各部材の本体は、ハウジング1の外部環境への熱損失を低減し、したがって時計10のケース12内の安定した内部温度を確実にするのに役立つ特定の構造を有する。
・前記構内4の時計10の前記ケース12の磁気浮上を確実にするように構成された接続部材。実際、これらの接続部材は、前記ケース12とハウジング1の前記構内4を形成する機能要素15との間の間隔19を確保及び維持するように構成される。このような接続部材は、中間部9aの内周壁17及び/又は背部9b及び/又はクリスタル11と時計10のケース12、特にこのケース12の外側全体面との間の熱伝導を低減するかさらには除去するのに役立つ。
【0037】
なお、ケース12は時計10に含まれ、時計10はクオーツ時計などの電子時計、又は機械式時計もしくは電気機械式時計であり得る。
【0038】
時計10の上記機械部品及び/又は機能部品5は、これらに限定されないが、時計ムーブメント、文字盤などの表示装置、針、リング、パッキン、及び/又は電子部品及び/又は電気部品を含む。このような電子部品及び/又は電気部品は、例えば、表示装置、プロセッサ、メモリ、エネルギー貯蔵部品、モータ、集積回路及び電子振動子などを含むことに特に留意されたい。
【0039】
これに関連して、ハウジング1は、この保護装置120の使用者がそれを着用することを可能にするブレスレット9cが取り付けられる中間部9aを備える。このハウジング1はさらに、先に述べたクリスタル6及び背部9bを含む。このハウジング1では、クリスタル6は好ましくは、時計10のケース12のクリスタル11よりも実質的に大きいか又は厳密に大きい表面を備えることに留意すべきである。換言すれば、クリスタル6の内面16は、時計10のクリスタル11の上面よりも実質的に大きいか又は厳密にクリスタル11の上面以上である表面を有する。
【0040】
これまで見てきたように、このハウジング1のクリスタル6、中間部9a及び背部9bなどの機能要素15は共に、時計10のケース12を受け入れることができるこのハウジング1の構内4を画定する。ハウジング1のこれら3つの要素15、すなわち、中間部9a、クリスタル6及び背部9bは、この構内4を形成するために互いに接合される別個の要素であり得る。代替的に、ハウジング1の中間部9a及び背部9bは一体に作ることができ、前記一体の部品は背部9bの反対側に開口部を画定し、開口部は可逆的にかつ密封された方法でクリスタル6によって閉じることができる。代替的に、時計10のハウジング1の中間部9a及びクリスタル6は一体に作ることができ、前記一体の部品はクリスタル6の反対側に開口部を画定し、開口部は同様に可逆的にかつ密封された方法で背部9bによって閉じることができる。
【0041】
中間部9a及び背部9bは、好ましくは、非限定的かつ非網羅的に、金属材料、ガラス、炭素繊維又はガラス繊維で強化された熱硬化性又は熱可塑性ポリマー樹脂、さらにはセラミック材料で作られる。なお、中間部9a及び背部9bが透明又は半透明であり、例えばガラス製である場合、中間部9aの内周壁17及び背部9bの内面18は、例えば銀の層などの金属コーティング又は類似の反射コーティングでコーティングすることができる。
【0042】
また、このハウジングでは、時計10のケース12が構内4に配置されるとき、このケース12と、中間部9aの内周壁17、背部9b及びクリスタル6との間に画定される空間は、材料が存在しないか又は実質的に空である。換言すれば、構内4は真空下又は真空に近い状態にある。
【0043】
したがって、この構成では、この熱保護ハウジング1は、従来技術でよく知られているデュワー管/容器と同じ特性及び特徴を有することが理解される。既に述べたように、この熱保護ハウジング1の特性及び特徴は、特にこのようなハウジング1が配置され得る外部環境に広がり得る極端な温度に対して良好な断熱をハウジング1に与えるのに役立つ。
【0044】
また、時計10の機械部品及び/又は機能部品5は、非磁性であり得ること、及び/又は時計10のケース12はこれらの部品を磁場から絶縁することを可能にする材料で作られ又はコーティングで覆われ得ることに留意すべきである。
【0045】
さらに、締結装置13は、時計10のこのケース12のクリスタル11がハウジング1のクリスタル6に面して配置され、この時計10の文字盤及び/又は表示インタフェース上の情報が、保護装置120を着用している使用者によってハウジング1の透明なクリスタル6を通して知覚され得るように、時計10のケース12をこのハウジング1内に配置するのに役立つ。
【0046】
したがって、このような保護装置120は、時計10のケース12内に配置された部品からの放射による熱損失を長期間にわたって低減するかさらには防止することによって、時計10の機械部品及び/又は機能部品5に外部環境からの非常に良好な断熱を提供する。したがって、ハウジング1の外部の温度が極端な値に達したとき、構内4の温度は、時計10のケース12がハウジング1内に装着されたときの時計10のケース12内の温度と実質的に等しく、典型的には約20℃のままである。なお、熱保護ハウジング1の環境の温度条件にかかわらず、時計10のケース12内に存在する温度は、時計10の正確な動作を妨げはない。この温度は、時計10のケース12が、このような温度、特に極端な温度を有するこのような環境に直接置かれた場合に(すなわち、保護装置120のハウジング1の外部に置かれた場合に)、その部品の動作温度を維持することができる期間の2倍から18倍の期間にわたって維持される。したがって、このような構成が、時計10の機械部品及び/又は機能部品5を保護することを可能にし、それらが極端な外部温度条件で最適に動作することを確実にするのに役立つことは明らかである。
【0047】
言うまでもなく、本発明は、今説明した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な簡単な修正及び代替的な実施形態が想定され得る。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計(10)の表示装置のためのコントラスト調整システム(100)であって、前記時計(10)の機械部品及び/又は機能部品(5)のための熱保護ハウジング(1)内に前記時計(10)のケース(12)を着脱可能に配置することができ、前記システム(100)は、
・前記ハウジング(1)であって、
・前記時計(10)の機械部品及び/又は機能部品(5)を熱的に保護するための構内(4)であって、前記構内(4)は前記ハウジング(1)の機能要素(15)によって形成され、前記機能要素(15)は中間部(9a)と、背部(9b)と、前記表示装置の可視面の輝度を動的に変化させる動的輝度変化装置(7)を含むクリスタル(6)とを備える、構内(4)と、
・前記時計(10)のケース(12)を前記機能要素(15)から離しておきつつ前記時計(10)のケース(12)を前記構内(4)に締結する可逆的な締結装置(13)と、
・前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)に接続された制御ユニット(8)であって、イベントセンサ(25)を備えかつ前記ハウジングの環境において周囲輝度の変化を引き起こすことができる制御ユニット(8)と
を備える前記ハウジング(1)と、
・前記表示装置と、前記表示装置が前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面した状態で前記構内(4)に着脱可能に配置することができる前記ケース(12)とを備える時計(10)と、
前記イベントセンサ(25)が設けられた前記制御ユニット(8)と共に、前記表示装置のコントラストを調整するために前記動的輝度変化装置(7)を制御するのに役立つように構成された電子装置(110)と
を備えるシステム(100)。
【請求項2】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置され、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)は、前記ハウジング(1)の構内に入るあらゆる光放射が透過するように構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置され、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)は、前記ハウジング(1)の構内に入るあらゆる光放射が透過するように構成され、前記電子装置(110)は、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)を制御するための少なくとも1つの命令を生成及び送信することによって前記表示装置のコントラストを調整するように構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置され、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)は、前記ハウジング(1)の構内に入るあらゆる光放射が透過するように構成され、前記電子装置(110)は、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)を制御するための少なくとも1つの命令を生成及び送信することによって前記表示装置のコントラストを調整するように構成され、前記ハウジング(1)の制御ユニット(8)は、受信した前記動的輝度変化装置(7)を制御するための少なくとも1つの命令に応じて前記表示装置のコントラストを変化させるように構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記熱保護ハウジング(1)の制御ユニット(8)は、接続素子(14)によって前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)に接続される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記表示装置は、前記時計(10)が実現する時刻表示又は機能に関する情報の表示に役立つことができる可視面を備え、前記可視面は、前記ハウジング(1)のクリスタル(6)に面して配置され、前記クリスタル(6)の動的輝度変化装置(7)は照明素子である、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記電子装置(110)は、通信ユニット(23)と、前記通信ユニット(23)を制御するように構成されたコントローラ(22)とを備える、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記電子装置(110)は、無線接続技術を用いて前記ハウジング(1)に接続されるように構成される、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記構内(4)は真空又は準真空下にある、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記クリスタル(6)は、前記時計(10)のケース(12)のクリスタル(11)の表面積よりも大きい表面積を有する、請求項1に記載のシステム(100)。
【外国語明細書】