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  • 特開-スライバ準備 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091492
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】スライバ準備
(51)【国際特許分類】
   D01H 5/74 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
D01H5/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206717
(22)【出願日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】503240
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】521553287
【氏名又は名称】ザウラー インテリジェント テクノロジー エイ・ジー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Intelligent Technology AG
【住所又は居所原語表記】Textilstrasse 9, 9320 Arbon, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポイカー、ハインツ-ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】セシャイエール、チャンドラッセカラン
(72)【発明者】
【氏名】シッファース、ディルク
(72)【発明者】
【氏名】マイスナー、ザラ
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056BC02
4L056BC22
4L056BC46
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、1つの出口ローラ対と、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対とを有するドラフト装置を駆動するための方法、並びに紡績開始プロセスの前にスライバ端を確実に準備することができるドラフト装置を提供する
【解決手段】出口ローラ対を、紡績中断後にスライバをコーミングするために、所定のコーミング速度でもって駆動し、スライバ走行方向において出口ローラ対の上流に接続されている少なくとも1つのドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対を停止するか、又はコーミング速度に対応付けられている保持速度で駆動し、この保持速度はコーミング速度の最大10%とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの出口ローラ対(26)と、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対(42、43)及び/又はエプロンローラ対(41)とを有するドラフト装置(4)を駆動させるための方法であって、
前記ドラフト装置(4)を用いて、空気紡績機械(1)の紡績ユニット(2)において、糸(36)を製造するためのスライバ(25)が、前記紡績ユニット(2)の空気紡績装置(5)の渦流室(33)に供給され、前記出口ローラ対(26)は、前記少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対(42、43)及び/又はエプロンローラ対(41)から切り離して駆動可能である、
方法において、
前記出口ローラ対(26)を、紡績中断後にスライバ端をコーミングするために、所定のコーミング速度でもって駆動し、スライバ走行方向(R)において前記出口ローラ対(26)の上流に接続されている前記少なくとも1つのドラフト装置ローラ対(42、43)及び/又は前記エプロンローラ対(41)を停止するか、又は前記コーミング速度に対応付けられている保持速度で駆動し、前記保持速度は前記コーミング速度の最大10%であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記出口ローラ対(26)は、紡績開始中の前記ドラフト装置(4)の始動時に、前記少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対(42、43)及び/又は前記エプロンローラ対(41)よりも時間的に前に駆動されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ドラフト装置(4)は、コーミング後に停止し、続いて紡績開始のために始動することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
空気紡績装置(5)の渦流室(33)の流入開口部(35)の方向にスライバ(25)を搬送するためのドラフト装置であり、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対(42、43)及び/又はエプロンローラ対(41)から切り離して駆動可能である出口ローラ対(26)を有するドラフト装置(4)において、
紡績中断後に、ドラフト装置(4)を駆動させるための、請求項1記載の方法を実施するための制御ユニット(38)を特徴とする、ドラフト装置。
【請求項5】
前記制御ユニット(38)は、前記空気紡績機械(1)の中央コントロールユニットに統合されていることを特徴とする、請求項4記載のドラフト装置。
【請求項6】
前記制御ユニット(38)は、前記コーミング速度及び/又は前記保持速度を可変調整するように形成されていることを特徴とする、請求項4又は5記載のドラフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気紡績装置の渦流室の流入開口部の方向にスライバを搬送するためのドラフト装置、並びに1つの出口ローラ対と、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対とを有するドラフト装置を駆動するための方法に関し、このドラフト装置を用いて、空気紡績機械の紡績ユニットにおいて、糸を製造するためのスライバが、空気紡績装置の渦流室に供給され、出口ローラ対は、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対から切り離して駆動可能である。
【0002】
冒頭で述べたようなドラフト装置、並びに空気紡績機械の紡績ユニットにおいてドラフト装置を駆動させるための方法は、先行技術より様々な形態が公知である。
【0003】
そのような空気紡績機械の紡績ユニットにおいては、ドラフト装置が、紡績ユニットの空気紡績装置の渦流室に、事前に延伸されたスライバを供給するために用いられる。
【0004】
紡績プロセスの過程においては、例えば糸太さ、毛羽立ち、糸強度等のようなパラメータが所定の目標値から偏差している糸部分が生じる欠陥が繰り返し発生する。その種の糸欠陥は糸センサによって識別され、クリアラによる切断によって取り除かれなければならず、その際、紡績工程が中断される。同様に、紡績プロセス中に、糸が裂ける糸切れが生じ、この場合も同様に、ドラフト装置によって渦流室において空気紡績機械に供給されたスライバに糸端を再度セットすることが必要になる。
【0005】
紡績開始プロセスを実施するために、巻取りパッケージにその都度巻き取られた糸端を、紡績ユニット固有に設けられている糸収容装置、又は紡績ユニットを通過可能に設けられている、特に空気紡績機械に移動可能に配置されている糸収容装置を用いて、巻取りパッケージから受け取り、それによって、紡績プロセス中の本来の糸移動方向とは反対方向において、空気紡績装置の渦流室内に移送し、そこにおいて、供給されたスライバに繋げることができるようにする必要がある。供給されたスライバに繋げるための糸端を準備するには、紡績開始前に、スライバに接続するために糸端を準備する必要がある。このために、糸移動方向において渦流室の下流に接続されている糸準備装置が用いられ、この糸準備装置は、糸端を所定の長さに切断し、また糸端を解く、即ちその既存の撚りを解消するために用いられ、その結果、糸端を、供給されたスライバに繋げることができる。糸端が解撚された後、この糸端は、糸準備装置において糸端を位置決めするクランプが解放された状態で、例えば送風空気を用いて、渦流室内まで搬送され、そこに保持される。
【0006】
続いて行われる紡績開始プロセスでは、ドラフト装置を介して、出口ローラ対を経由してスライバが渦流室に供給され、スライバは、渦流室内で糸を形成しながら、その渦流室内に位置する自由な糸端に繋げられ、続いて、引出し装置を介して、渦流室から引き出される。
【0007】
紡績開始プロセスの最初に、先ずドラフト装置が始動し、それによって、スライバが渦流室の方向へと搬送される。時間的にドラフト装置の始動開始後に、ようやく引出し装置が運転を開始するので、紡績開始プロセスの最初に渦流室内で糸端の滞留時間が生じ、その滞留時間内に、ドラフト装置を介して供給されたスライバが、渦流室において、糸端に繋げられる。滞留時間の経過後に、引出し装置も出口ローラ対も、所定の引出し速度まで加速され、その引出し速度でもって、紡績プロセスが継続される。
【0008】
スライバの自由端を綿密に準備することは、紡績開始プロセスの枠内で、糸端をスライバに欠陥なく繋げるために特に重要である。しかしながら、公知のドラフト装置並びにこのドラフト装置を用いてスライバを準備するための仕方は、紡績開始プロセス前のスライバ端の所望のコンディショニングを限定的にしか実現できない。
【0009】
このことから出発して、本発明は、1つの出口ローラ対と、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対とを有するドラフト装置を駆動するための方法、並びに紡績開始プロセスの前にスライバ端を確実に準備することができるドラフト装置を提供するという課題に基づいている。
【0010】
本発明は、この課題を、請求項1の特徴を備えた方法、並びに請求項4の特徴を備えたドラフト装置によって解決する。本方法の有利な発展形態は、従属請求項2及び3に記載されている。本発明によるドラフト装置の別の実施形態は、従属請求項5及び6において見て取れる。
【0011】
本発明による方法は、出口ローラ対を、紡績中断後にスライバをコーミングするために、所定のコーミング速度でもって駆動し、スライバ走行方向において出口ローラ対の上流に接続されている少なくとも1つのドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対を停止するか、又はコーミング速度に対応付けられている保持速度で駆動し、この保持速度はコーミング速度の最大10%であることを特徴とする。
【0012】
通常の紡績動作では、引出し速度と称される生産速度がドラフト装置の出力ローラ対と引出し装置とで一致し、この場合、糸走行方向に見て出口ローラ対の上流に接続されている、少なくとも1つのドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対は、システムに起因して、より低い生産速度を有し、これによってドラフト装置内でのスライバの所望のドラフトが達成される。
【0013】
本発明による方法によれば、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対から切り離して駆動可能な出力ローラ対が、所定のコーミング速度でもって駆動され、その一方で、上流に接続されている、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対は静止しているか、又はコーミング速度の最大10%である、低い保持速度でもって駆動される。ドラフト装置のこの種のコーミング動作によって、空気紡績装置の渦流室の方向にスライバは供給されなくなるか、又は僅かなスライバしか供給されなくなる。むしろ、特にドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対が静止しており、且つ所定のコーミング速度でもって出口ローラ対が駆動されている場合、スライバ端は、このコーミングプロセスによってコンディショニングされ、その結果、渦流室内に配置されている自由な糸端についての紡績開始プロセスにとって最適なやり方で、スライバ端を準備することができる。
【0014】
本発明の1つの発展形態によれば、出口ローラ対が、紡績開始中のドラフト装置の始動時に、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対よりも時間的に前に駆動される。本発明のこの形態によって、出口ローラ対の始動時の揺動を回避することができる。揺動が生じると、繊維が残りのドラフト装置によって設定される速度では搬送されず、このことは、スライバの付加的なドラフト又は繊維の偃塞をもたらすおそれがある。
【0015】
基本的には、静止しているか又は対応付けられた保持速度でのみ駆動される少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対から切り離して出口ローラ対が駆動されるコーミングプロセスに続いて始動し、準備されたスライバを空気紡績装置の渦流室へと搬送することが可能である。しかしながら、本発明の別の形態によれば、ドラフト装置が、コーミング後に停止し、続いて紡績開始のために始動するように設けられている。本発明のこの形態によって、自由なスライバ端が、紡績開始プロセスにあたり、所望のように、自由な糸端に繋げるための渦流室に配置されることを特に確実に保証することができる。
【0016】
空気紡績装置の渦流室の流入開口部の方向にスライバを搬送するためのドラフト装置であり、少なくとも1つの別のドラフト装置ローラ対及び/又はエプロンローラ対から切り離して駆動可能である出口ローラ対を有するドラフト装置は、紡績中断後に、ドラフト装置を駆動させるための、前述の本発明による方法又は発展形態による方法を実施するための制御ユニットを特徴とする。この場合、制御ユニットは、紡績ユニットに直接的に配置されていてもよいし、本発明の有利な発展形態に従い、1つより多くの紡績ユニット又は空気紡績機械のための中央コントロールユニットに統合されていてもよい。中央コントロールユニットは、好ましくは、紡績ユニット及び/又は空気紡績機械の外部に位置する移動式又は定置式のデバイスであってよい。特に有利には、制御ユニット乃至コントロールユニットは、コーミング速度及び/又は保持速度を可変に調整するために設けられており、それによって繊維に対する最適な適合が実現される。
本発明の実施例を、以下では図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】空気紡績装置への供給のために、作業ユニット固有の糸収容装置及び糸準備装置をそれぞれ有する作業ユニットを備えた空気紡績機械の正面図を示す。
図2】紡績開始工程中の空気紡績装置の概略的な断面図を示す。 図1は、通常は綾巻きパッケージ9と称される巻取りパッケージを製造する繊維機械、ここでは空気紡績機械1の正面図を概略的に示す。この種の繊維機械1は、機械の端部側に配置されている機械フレーム13a、13bの間に複数の紡績ユニット2を有する。各紡績ユニット2には、紡績ケンス3が位置決めされており、この紡績ケンス3には、基準材料、例えばスライバ25の供給部が備えられている。
【0018】
紡績ユニット2は、更に、ドラフト装置4、空気紡績装置5、引出し装置6、糸クリアラ7、並びに糸綾振り装置8をそれぞれ有する。この糸綾振り装置8によって、空気紡績装置5においてスライバ25から紡績または製造された糸36が、綾巻きされる位置において、巻取りパッケージ9に巻き取られる。紡績プロセスの間に生じる、いわゆる綾巻きパッケージ9はそれぞれ、通常どおり、パッケージフレーム(図示せず)に保持され、パッケージ駆動部(同様に図示せず)によって回転している。
【0019】
各紡績ユニット2には、更に、糸収容装置39が備えられており、この糸収容装置39によって、紡績中断後に、綾巻きパッケージ9に巻き取られた、製造された糸36の糸端37を収容し、引出し装置6の領域に配置されている、いわゆる糸準備装置40に移送することが可能になる。
【0020】
図2には、紡績開始工程中の、好適な実施例による方法の実施に適した空気紡績装置5が側面図並びに拡大図で示されている。
【0021】
見て取れるように、断面で示されている空気紡績装置5の上流には、スライバ25をドラフトするためのドラフト装置4が接続されている。スライバ走行方向Rにおいて、空気紡績装置5の後部には、個別にモータ駆動され、且つ可逆的に駆動可能な引出し装置6が設置されており、この引出し装置6によって、製造された糸36を巻取りパッケージ9の方向及びそれとは反対の方向に搬送することができる。
【0022】
糸引出し装置6の領域には、ここでは詳細には図示していない糸準備装置40が更に配置されており、この糸準備装置40は、糸収容装置39から戻された、製造された糸の糸端37を、後続の紡績開始工程のために準備する。
【0023】
図2に示されているように、空気紡績装置5は、実質的に、2つの部分から成る外側ハウジング14、15と、拡張ハウジング16と、ノズルブロック17と、スライバガイド18と、中空の紡績コーン19と、から構成されている。
【0024】
ここで、拡張ハウジング16は、外側ハウジングの前側ハウジング部分14と共に前側リング室20を形成し、この前側リング室20は、圧縮空気管21を介して高圧源22に接続されており、また外側ハウジングの後側ハウジング部分15内に配置されている拡張室28に連通している。
【0025】
拡張室28は排気チャネル29を介して間接的に周囲大気に連通しているが、リング室20は、ノズルブロック17内に配置されている少なくとも1つの送風空気ノズル23に空気圧でとぎれなく連通している。
【0026】
送風空気ノズル23は、紡績コーン19の流入開口部35の手前の領域において渦流室33に通じており、また紡績コーン19の頭頂部24において回転空気流が生じるように、その頭頂部24に向けられている。紡績コーン19は、好ましくは、高耐摩耗性の材料、例えば工業用セラミック材料から作製されている。
【0027】
圧縮空気の供給を制御するために、圧縮空気管21には弁32が備えられており、この弁32の操作は、好ましくは、対応する制御ラインを介して弁に接続されている、紡績ユニット固有の制御ユニット38によって行われる。
【0028】
ここでは図示していないが、通常の周知の紡績工程の間に、紡績ケンス3に収容されているスライバ25が、綾巻きパッケージ9に行く途中で、先ずドラフト装置4を通過し、そのドラフト装置4において強くドラフトされる。ドラフト装置4の出口ローラ対26を介して、延伸されたスライバ25は、続いて、空気紡績装置5の入口開口部27の領域に移送され、そこに生じている負圧流の影響下で、空気紡績装置5の渦流室33内に吸い込まれる。空気紡績装置5内では、延伸されたスライバ25が、スライバガイド18並びにノズルブロック17を介して、中空の紡績コーン19の流入開口部35に到達し、紡績コーン19内で形成される糸36によって紡績コーン19内へと引かれる。その際、スライバ25は、紡績コーン19の頭頂部24の領域において、ノズルブロック17から流出する空気流によって生成される回転流の影響を受ける。
【0029】
高圧源22によって開始されるノズルブロック17へのこの空気流を規定どおりに供給するために、弁32が開かれている。紡績プロセス中に、ノズルブロック17を介して流入した空気流を、排気チャネル29を介して周囲大気又は機械固有の排出部へと流出させるために、該当する制御ラインを介して、制御ユニット38に接続された弁34が開かれている。
【0030】
紡績プロセス中、スライバ走行方向Rにおけるスライバ25の連続的な移動に起因して、スライバ25は継続的に、中空の紡績コーン19に引き込まれ、その際、縁部繊維はスライバ25のコア繊維周りにらせん状に巻きつけられる。これによって製造された糸36は、糸引出し装置6を用いて、空気紡績装置5から引き出され、続いて綾巻きパッケージ9に巻き取られる。
【0031】
紡績プロセス中に、例えばスライバ25が破断したことにより、又は既に紡績された糸36を糸クリアラ7が制御して切断したことにより紡績が中断された場合、紡績プロセスの再開前に、先ず紡績開始工程が実施されなければならない。
【0032】
紡績開始工程を実施するためには、公知のように、延伸されたスライバ25と、綾巻きパッケージ9に巻き取られた、既に製造された糸36と、が必要になる。
【0033】
紡績中断後に、先ず、該当する紡績ユニット2の、その紡績ユニット固有の糸収容装置39によって、既に製造された糸36の糸端37が、綾巻きパッケージ9から戻され、スライバ走行方向Rにおいて空気紡績装置5の下流に接続され配置されている糸準備装置40に移送される。
【0034】
そこでは、糸端37の撚りが十分に解されて、ルーズな繊維が除去され、続いて、紡績開始のために渦流室33へと移送され、そこに位置決めされる。
【0035】
スライバ25を準備するために、糸端37を渦流室33に戻している間、ドラフト装置4が、制御ユニットによって、コーミングモードで駆動される。このコーミングモードでは、第1のドラフト装置ローラ対42、第2のドラフト装置ローラ対43及びエプロンローラ対41が静止しており、これに対して、出口ローラ対26は、コーミング速度で駆動され、その際、スライバ25の自由端を最適なやり方で紡績開始プロセスに対して準備する。
【符号の説明】
【0036】
1 空気紡績機械 25 スライバ
2 紡績ユニット 26 出口ローラ対
3 紡績ケンス 27 入口開口部
4 ドラフト装置 28 拡張室
5 空気紡績装置 29 排気チャネル
6 引出し装置 31 保持・解撚管
7 糸クリアラ 32 弁
8 糸綾振り装置 33 渦流室
9 巻取りパッケージ 34 弁
13a、13b 機械フレーム 35 流入開口部
14 外側ハウジング 36 糸
15 外側ハウジング 37 糸端
16 拡張ハウジング 38 制御ユニット
17 ノズルブロック 39 糸収容装置
18 スライバガイド 40 糸準備装置
19 紡績コーン 41 エプロンローラ対
20 リング室 42 第1のドラフト装置ローラ対
21 圧縮空気管 43 第2のドラフト装置ローラ対
22 高圧源 44 糸供給チャネル
23 送風空気ノズル R スライバ走行方向
24 頭頂部
図1
図2