(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091497
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】内燃機関用シリンダーヘッドと、そのシリンダーヘッドを備えた内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02F 1/24 20060101AFI20240627BHJP
F02M 21/04 20060101ALI20240627BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F02F1/24 J
F02M21/04 D
F02M35/10 101D
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207527
(22)【出願日】2023-12-08
(31)【優先権主張番号】10 2022 004 897.3
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】592007771
【氏名又は名称】ドイツ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト ノーク
【テーマコード(参考)】
3G024
【Fターム(参考)】
3G024AA09
3G024DA02
(57)【要約】
【課題】吸気ポート(7)を有するシリンダーヘッド装置と、シリンダーヘッド装置に接続されたインジェクタ-(18)と、チューブコア軸線(L19)に沿って吸気ポート(7)内に延在し、インジェクタ-(18)に流体接続された噴射管(19)とを備えた内燃機関、特に水素動力内燃機関用のシリンダーヘッド。
【解決手段】空気案内部(25、26、23)を有する取付要素(21)が噴射管(19)上に配置され、この取付要素(21)が、吸気ポート(7)内の流れが空気案内部(25、26、23)の影響を受けるように、チューブコア軸線(L19)に対して半径方向外側へ延びる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気ポート(7)を有するシリンダーヘッド装置と、シリンダーヘッド装置に接続されたインジェクタ-(18)と、チューブコア軸線(L19)に沿って吸気ポート(7)内に延在し、インジェクタ-(18)と流体接続された管状噴射管(19)とを有する内燃機関、特に水素動力内燃機関用のシリンダーヘッドにおいて、
取付要素(21)が噴射管(19)上に配置され、この取付要素(21)はチューブコア軸線(L19)に対して半径方向外側に延びる空気案内部(25、26、23)を有し、吸気ポート(7)内の流れが空気案内部(25、26、23)の影響を受けるようになっていることを特徴とするシリンダーヘッド。
【請求項2】
チューブコア軸線(L19)に対する空気案内部(25、26、27)の半径方向の長さ(広がり)が軸線方向の長さ(広がり)よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のシリンダーヘッド。
【請求項3】
取付要素(21)が第1接続部(22)を有し、取付要素(21)はこの第1接続部(22)によって噴射管(19)上に配置され、特に、空気案内部(25、26、27)が第1接続部(22)からチューブコア軸線(L19)に対して半径方向外側に延びていることを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダーヘッド。
【請求項4】
第1接続部(22)の最小円筒包絡線(envelope)(この包絡線の円筒軸線はチューブコア軸線(L19)と同軸に配置される)がチューブコア軸線(L19)からの空気案内部(25、26、27)の最大半径方向距離よりも小さい半径を有することを特徴とする請求項3に記載のシリンダーヘッド。
【請求項5】
取付要素(21)が吸気ポート(7)の壁(8)と接触する第2接続部(23)を有し、第1接続部(22)および第2接続部(23)が空気案内部(25、26、27)を介して互いに接続されていることを特徴とする請求項3または4に記載のシリンダーヘッド、
【請求項6】
噴射管(19)が吸気ポート(7)に開口する注入口(20)を有し、取付要素(21)がインジェクタ-(18)と注入口(20)との間に配置されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のシリンダーヘッド。
【請求項7】
シリンダーヘッド(5)が吸気ポート(7)の第1燃焼室開口部(9)を可逆的に開閉できる第1弁(12)を備え、この第1弁(12)は弁ディスク(13)と第1弁軸線(L12)に沿って延びる弁シャフト(14)とを有し、注入口(20)が、第1弁軸線(L12)と同軸である第1弁(12)の弁ディスクの最小円筒形エンベロープ内に少なくとも部分的に配置されることを特徴とする請求項6項に記載のシリンダーヘッド。
【請求項8】
シリンダーヘッド(5)が吸気ポート(7)の第1燃焼室入口開口(9)を可逆的に開閉できる第1弁(12)を備え、この第1弁(12)は弁ディスク(13)と第1弁軸線(L12)に沿って延びる弁シャフト(14)とを有し、シリンダーヘッド(5)はさらに、吸気ポート(7)の第2燃焼室入口開口部(9’)を可逆的に開閉できる第2弁(12’)を備え、この第2弁(12’)は弁ディスク(13’)と第2弁軸(L12’)に沿って延びる弁シャフト(14’)とを有し、注入口(20)が第1弁軸(L12)によって表されるチューブコア軸線(L19)に対する垂直な第1仮想平面と第2弁軸(L12’)が位置する第1仮想平面と平行な第2仮想平面との間に配置されることを特徴とする請求項6に記載のシリンダーヘッド。
【請求項9】
空気案内部(25、26、27)が空気案内バッフルとして形成され、チューブコア軸線(L19)の周りの円周に沿った空気案内バッフルの長さ(範囲)がチューブコア軸線(L19)に対する半径方向の長さ(範囲)よりも小さいことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のシリンダーヘッド。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のシリンダーヘッドを備えた内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のシリンダーヘッドと、そのシリンダーヘッドを備えた内燃機関とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のシリンダーヘッドはピストンの反対側の燃焼室の境界を定め、通常は吸気ポートと排気ポートを有し、内燃機関のガス交換プロセス用のバルブ制御装置も備えている。吸気ポート噴射式のエンジンでは燃料が吸気ポートに噴射され、吸気ポート内に燃料と吸入空気との混合物が形成される。
【0003】
吸気ポート噴射式の内燃機関は[特許文献1](欧州特許第0 694 124 B1号公報)で公知であり、ここでは燃料はチューブを介して吸気ポートに噴射される。
【0004】
吸気ポートに開口するチューブの端部にはチューブから流出する燃料を霧化して混合を改善する霧化スクリーン(atomizing screen)が含まれる。この方法の欠点は霧化スクリーンが連続運転中に詰まり、燃料供給が損なわれる可能性があるという点にある。さらに、特に燃料として水素を使用する場合、噴霧スクリーンによって燃料がチューブ内に保持されるためチューブ内で意図しない再点火が発生する危険性もある。
【0005】
[特許文献2](特開2003-214259号公報)に記載の内燃機関用のシリンダーヘッドでは、シリンダーヘッドが吸気ポートとシリンダーヘッドに接続されたインジェクタ-とを有している。吸気ポート内には管状の注入チューブが延び、インジェクタ-と流体接続している。吸気ポート内にはC字形の締結リングとこの締結リングに溶接されたカラー要素とが配置されている。締結リングはバネ材料で作られ、吸気ポート下流端のシインジェクタ-本体に形成された溝中に嵌合する形状になっている。
【0006】
[特許文献3](国際公開第2019/147963号パンフレット)には、シリンダーヘッド本体に一体化されたノズルヘッドを備えたインジェクタ-が開示されている。燃料はノズルヘッドから出る前に噴射ノズルの内部でインジェクタ-の空気供給源からの空気と混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0 694 124 B1号公報
【特許文献2】特開2003-214259号公報
【特許文献3】国際公開第2019/147963号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上記の公知技術をベースにして吸気ポート内で永続的に良好な混合を可能にする内燃機関用のシリンダーヘッドと、そのシリンダーヘッドを備えた内燃機関とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明が提供する内燃機関、特に水素動力内燃機関用のシリンダーヘッドは、吸気ポートを含むシリンダーヘッド装置(cylinder head arrangement)と、このシリンダーヘッド装置に接続されたインジェクタ-(injector)と、このインジェクタ-に流体接続した、チューブコア軸線(tube core axis)に沿って吸気ポート内に延在した管状の噴射管(tubular injection tube)とを含み、この噴射管上には取付要素が配置され、この取付要素は吸気ポート内の流れが空気案内部の影響を受けるようにチューブコア軸線に対して半径方向外側へ延びる空気案内部(air guiding portion)を有する。
【0010】
半径方向外側に突出するこの空気案内部は、空気案内部の下流の吸入空気内に生じる乱流を増加させる。この乱流は吸入空気と噴射管を介して吸気ポートに噴射される燃料との混合を改善する。空気案内部は半径方向外側へ延びているので、噴射管が空気案内部によって閉塞されることがなく、運転の進行に伴う噴射管の詰まりや噴射管内での燃料の滞留もない。
【0011】
吸気ポートはエンジンの空気導入システムの最終部分を構成し、吸気ポートはインテークマニホールドと燃焼室とを接続し、吸気弁によって開閉される。
【0012】
原則として、インジェクタ-は噴射菅がなくても機能する。噴射管は燃料が吸気ポート内の流れに入る位置を吸気ポートを区画する壁から吸気ポートの中心に向かって移動させる。従って、噴射菅は一般的な機能に必要なインジェクタ-のコンポーネントとは別に考慮する必要がある。
【0013】
可能な実施形態では、チューブコア軸線に対する空気案内部の半径方向の長さ(広がり)はチューブコア軸線方向の軸線方向の長さ(広がり)よりも大きくすることができる。
【0014】
特に、空気案内部はエアバッフル(air baffle)として設計できる。 ここで、空気案内部のチューブコア軸線の周りの円周に沿った長さ(extension、広がり)はチューブコア軸線に対する半径方向の長さ(広がり)よりも小さくすることができる。別の実施形態では、取付要素を噴射管上に配置されせる第1接続部を取付要素が有することができる。
【0015】
空気案内部はチューブコア軸線に対して第1接続部から半径方向外側に延在できる。
【0016】
一つの実施形態では、円筒軸線をチューブコア軸線と同軸に配置した第1接続部の最小円筒形包絡線(cylindrical envelope)の半径をチューブコア軸線からの空気案内部の半径方向最大長さより小さくすることができる。
【0017】
さらに他の実施形態では、取付要素が吸気ポートの壁と接触する第2接続部を有することができる。第1接続部と第2接続部は空気案内部を介して互いに接続できる。従って、注入管に作用する力、例えば外部振動によって引き起こされる慣性力を取付要素によって吸気ポートの壁で支持することができる。これによって噴射菅の応力、特にインジェクターとの移行領域での応力が軽減され、噴射菅の耐用年数が長くなる。
【0018】
さらに他の実施形態では、注入管は吸気ポート中に開口する注入口を有することができ、取付要素はインジェクターとこの注入口との間に配置することができる。
【0019】
さらに他の実施形態では、シリンダーヘッドは吸気ポートの第1燃焼室入口開口を選択的に開閉できる第1弁を備えることができる。この第1弁は弁ディスクと、第1の弁軸に沿って延びる弁シャフトとを含むことができる。注入口は第1弁軸線と同軸な第1弁の弁ディスクの最小円筒包絡線内に少なくとも部分的に配置できる。 換言すれば、注入口はシリンダディスクの底面と弁軸線とによって画定される仮想円筒内に配置できる。
【0020】
さらに他の実施形態では、シリンダヘッドは吸気ポートの第1燃焼室入口開口を選択的に開閉できる第1弁と、吸気ポートの第2燃焼室入口開口を選択的に開閉できる第2弁とを備えることができ、第1弁は弁ヘッドと第1弁軸線に沿って延びる弁シャフトとを含み、第2弁は弁ヘッドと第2弁軸線に沿って延びる弁シャフトとを含む。この場合、注入口は第1弁軸線によって描かれるチューブコア軸線に垂直な第1仮想平面と第2弁軸線が配置される第1仮想平面と平行な第2仮想平面との間に配置することができる。
【0021】
本発明は、上記課題を解決するために上記の構成を有するシリンダーヘッドを備えた内燃機関も提案する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による第1のシリンダーヘッドを備えた内燃機関の概略部分断面図。
【
図3】
図2の断面線IV?IVに沿った第1取付要素の断面図。
【
図5】
図4の断面線IV-IVに沿った第2取付要素の断面図。
【
図6】本発明による第2のシリンダーヘッドを備えた内燃機関の概略部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の内燃機関のシリンダーヘッドの可能な実施形態を図面を参照して説明する。
【0024】
[
図1]~[
図5]は内燃機関1を示す。この内燃機関1は特に水素を燃料として作動する。内燃機関1は本発明のシリンダーヘッド5に接続されたクランクケース2を備えている。
【0025】
公知のように、クランクケース2は可動ピストン4と、シリンダーヘッド5によって画定される可変燃焼室3とを有している。シリンダーヘッド5はシリンダーヘッドベース要素6とシリンダーヘッドカバー(図示せず)(互いに接続されている)とを含むシリンダーヘッド装置(cylinder head arrangement)を有している。
【0026】
シリンダーヘッドベース要素6には吸気ポート7と排気ポート10とが鋳造されている。混合気は吸気ポート7を介して燃焼室3に供給できる。吸気ポート7は壁8を有し、その境界は壁8によって画定され、壁8は燃焼室3の方向に開口する燃焼室入口開口部9を備えている。燃焼室入口開口部9は公知の方法で入口弁12によって選択的に開閉できる。この目的のために入口弁12は燃焼室入口開口9が閉じられたときに燃焼室入口開口9の弁座に配置される入口弁ディスク13と、入口弁軸線L12に沿って実質的に円筒状に延びる入口弁シャフト14とを備えている。入口弁12はシリンダーヘッドベース要素6の上方に配置された対応する弁トレインによって入口弁軸線L12に沿って移動できる。
【0027】
燃焼室3内での空気と燃料の混合物の燃焼によって生成した排気ガスは、出口ポート10を介して燃焼室3から流出できる。出口ポート10は壁を有し、壁によって区切られ、燃焼室を構成する。 燃焼室の出口開口11は燃焼室3の方向に開き、燃焼室の出口開口11は出口弁30によって公知の方法で所望に応じて開閉できる。この目的のために、排気弁15は燃焼室の出口開口11の閉弁時に燃焼室の出口開口11の弁座に配置されるディスク16と、弁軸線L15に沿って延びる略円筒状の排気弁軸17とを備えている。 排気弁15は弁トレインによって弁軸線L15に沿って移動可能である。
【0028】
空気と燃料の混合物を形成するために、燃料は図示していない接続手段を介してシリンダーヘッド装置、特にシリンダーヘッドベース要素6に接続されたインジェクタ-18を介して吸気ポート7内に噴射される。この目的のために、インジェクタ-18の出口はチューブコア軸線(tube core axis)L19に沿って吸気ポート7内に延びる噴射管(injection tube)19に流体接続されている。噴射管19は、吸気ポート7に開口する注入口20を備えている。この場合、噴射管19は角度を付けて形成されており、インジェクタ-18側の第1の直線端部と、注入口20側の第2の直線端部とを備え、これらは湾曲部分を介して互いに接続されている。チューブコア軸線L19は噴射管19の一端から他端まで完全に延びている。ここでは、[
図1]では図を明確にするためにチューブコア軸線L19は第2の端部の領域のみに示されている。チューブコア軸線L19は他の任意の形状、例えば、完全に真っ直ぐまたはS字形などをとることも考えられる。
【0029】
本発明では、取付要素21が仮想直円筒(imaginary straight cylinder)の内側に配置される。この仮想直円筒の底面は入口弁ディスク13によって描かれ、弁軸線L12に沿って延びる。
【0030】
注入管19の第2端部の領域には、[
図2]および[
図3]に詳細に示す第1取付要素21と、[
図4]および[
図5]に詳細に示す第2取付要素21’とが設置されている。第1取付要素21および第2取付要素21’は、それぞれ、注入管19の注入孔20とインジェクタ-18との間に配置される。ここでは第2取付要素21’が第1取付要素21よりも注入孔20により近くにチューブコア軸線L19に沿って配置されている。
【0031】
第1取付要素21は環状の第1接続部22を備え、その内側輪郭は注入管19の外側輪郭と相補的である。第1取付要素21および第2取付要素21’は注入管19にしっかりと接続される。この場合、第1取付要素21および第2取付要素21’はプレス嵌め(press-fitted)で注入管19に固定されている。しかし、これら2つのパーツを他の任意の方法,例えば、ロー付け、接着またはプレスで結合することもできる。
【0032】
第1空気案内部24、第2空気案内部25、第3空気案内部26は第1接続部22の所からチューブコア軸線L19に対してそれぞれ半径方向外側へ延びている。3つの空気案内部24、25、26はそれぞれチューブコア軸線L19に対して軸線方向よりも半径方向の方が大きく延びている。空気案内部24、25、26はそれぞれチューブコア軸線L19の周囲の周方向の長さは半径方向および/または軸線方向の長さよりも小さく、従って、エアバッフルと呼ぶことができる。空気案内部24、25、26は吸気ポート7内の吸気の流れに影響を与えるような形状になっている。
【0033】
この場合、空気案内部24、25、26は平坦な空気案内板または空気案内バッフルとして設計される。しかし、空気案内部24、25、26または空気案内バッフルは平坦とは異なる形状を有することもでき、例えば、チューブコア軸線L19の方向に湾曲またはねじれていてもよい。従って、吸気ポート内の吸気の流れを空気案内部24、25、26によって旋回運動および/またはタンブル運動させることができる。
【0034】
第1取付要素21は吸気ポート7の壁8の領域と接触する環状の第2接続部23をさらに備えている。この場合、第2接続部23は吸気ポート7に圧入(press-fitted)されている。しかし、接続部23を吸気ポート7の壁8に別の方法で接合させることもできる。
【0035】
第1接続部22と第2接続部23は空気案内部24、25、26を介して互いに強固に接続されている。従って、噴射管19は第1取付要素21を介して吸気ポート7の壁8に支持される。これは噴射管19に作用する力、例えば内燃機関1が振動した場合の噴射管19自体の慣性力を取付要素21によって支持できることを意味する。これによって注入管19のストレスを減らすことができ、注入管19の寿命を延ばすことができる。
【0036】
第2取付要素21’が第1取付要素21と異なる点は、第1空気案内部24、第2空気案内部25および第3空気案内部26に加えて第4空気案内部27が設けられている点のみである。この点に関して、第1取付要素21に関連して前述したことは類似点に関して第2取付要素21’にも同様に当てはまる。同一の要素には同じ参照符号が付けられている。
【0037】
第4空気案内部27はチューブコア軸線L19に対して斜めに配置されている。第4空気案内部27はチューブコア軸線L19に沿ってチューブコア軸線L19に対して傾斜して配置されている。従って、第4空気案内部27とチューブコア軸線L19との間の距離はチューブコア軸線L19に沿って一定ではない。特に、第4空気案内部27とチューブコア軸線L19との間の距離は、チューブコア軸線L19に沿って均一に増加する。
【0038】
従って、第1取付要素21および第2取付要素21’は吸気ダクト27内の吸気の流れに影響を与え、燃料が吸気ポート7に噴射されたときに混合が改善される。第1取付要素21および第2取付要素21’を噴射管19の注入口20から離して配置すると、燃料が噴射管19から吸気ポート7に流れることができる断面部分は減少しないので、燃料が噴射管19を通過する流れは減少しないので、取付要素21、21’を通る燃料の流れは妨げられない。従って、動作時間の増加とともに残りの断面部分が詰まる可能性がある。
【0039】
2つの取付要素21、21’の代わりに、用途に応じて、第1取付要素21と第2の底部要素21’の任意の組み合わせを設けることができるということは理解できよう。特に、1つの第1取付要素21または1つの第2取付要素21’だけを設けることができる。
【0040】
[
図6]は吸気ポート7’の形状が[
図1]の内燃機関1の設計とは異なる内燃機関1’を示す。[
図6]では[
図1]と同様の要素には同じ参照符号が付けられている。この点において[
図1]から[
図5]の文脈で述べたことは類似点に関して[
図6]の内燃エンジンにも同様に当てはまる。
【0041】
シリンダーヘッドベース要素6’に吸気ポート7’が鋳造されている。出口チャネルは[
図6]には示されていない。空気と燃料の混合物は、吸気ポート7’を介して燃焼室3に供給できる。吸気ポート7’は壁8’によって境界が定められており、燃焼室3の方向に開口する第1の燃焼室入口開口9と第2の燃焼室入口開口9’とを備えている。
【0042】
第1の燃焼室入口開口9は公知の方法で入口弁12によって選択的に開閉することができる。この目的のために、第1の入口弁12は第1燃焼室入口開口9が閉じられたときに燃焼室の第1燃焼室入口開口9の第1弁座の所に配置される入口弁ディスク13と、弁軸線L12に沿って略円筒状に延びる入口弁シャフト14とを含む。第1入口弁12はシリンダーヘッドベース要素6の上方に配置された対応する弁トレインによって第1弁軸線L12に沿って移動できる。
【0043】
第2燃焼室入口開口9’は既知の方法で第2入口弁12’によって選択的に開閉できる。この目的のために、第2入口弁12’は第2燃焼室入口開口9’が閉じられたときに第2燃焼室入口開口9’の弁座に配置される入口弁ディスク13’と、第2弁軸線L12’に沿って実質的に円筒状に延びる入口弁シャフト14’を含む。第2入口弁12’は弁トレインによって第2弁軸線L12’に沿って移動できる。
【0044】
噴射管19’の注入口20’は、第1弁軸線L12によって描かれるチューブコア軸線L19’に対して垂直な第1仮想平面と、第2弁軸線L12’が配置される第1仮想平面と平行に延びる第2仮想平面との間に配置される。
【符号の説明】
【0045】
1 内燃機関
2 クランクケース
3 燃焼室
4 ピストン
5 シリンダーヘッド
6 シリンダーヘッドベース要素
7 吸気ポート
8 壁
9 燃焼室入口開口部
10 排気ポート
11 燃焼室排気口
12 入口弁
13 入口弁ディスク
14 入口弁シャフト
15 排気弁
16 排気弁ディスク
17 排気弁シャフト
18 インジェクタ-
19 噴射管
20 注入口
21 取付要素
22 第1接続部
23 第2接続部
24 第1空気案内部
25 第2空気案内部
26 第3空気案内部
27 第4空気案内部
L19 チューブコア軸線
L12 弁軸線
L15 弁軸線
【手続補正書】
【提出日】2024-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気ポート(7)を有するシリンダーヘッド装置と、シリンダーヘッド装置に接続されたインジェクタ-(18)と、チューブコア軸線(L19)に沿って吸気ポート(7)内に延在し、インジェクタ-(18)と流体接続された管状噴射管(19)とを有する内燃機関のシリンダーヘッドにおいて、
取付要素(21)が噴射管(19)上に配置され、この取付要素(21)はチューブコア軸線(L19)に対して半径方向外側に延びる空気案内部(25、26、23)を有し、吸気ポート(7)内の流れが空気案内部(25、26、23)の影響を受けるようになっていることを特徴とするシリンダーヘッド。
【請求項2】
チューブコア軸線(L19)に対する空気案内部(25、26、27)の半径方向の長さ(広がり)が軸線方向の長さ(広がり)よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のシリンダーヘッド。
【請求項3】
水素動力用の内燃機関である請求項1に記載のシリンダーヘッド。
【請求項4】
取付要素(21)が第1接続部(22)を有し、取付要素(21)はこの第1接続部(22)によって噴射管(19)上に配置され、特に、空気案内部(25、26、27)が第1接続部(22)からチューブコア軸線(L19)に対して半径方向外側に延びている請求項1に記載のシリンダーヘッド。
【請求項5】
第1接続部(22)の最小円筒包絡線(envelope)(この包絡線の円筒軸線はチューブコア軸線(L19)と同軸に配置される)がチューブコア軸線(L19)からの空気案内部(25、26、27)の最大半径方向距離よりも小さい半径を有する請求項4に記載のシリンダーヘッド。
【請求項6】
取付要素(21)が吸気ポート(7)の壁(8)と接触する第2接続部(23)を有し、第1接続部(22)および第2接続部(23)が空気案内部(25、26、27)を介して互いに接続されている請求項4に記載のシリンダーヘッド、
【請求項7】
噴射管(19)が吸気ポート(7)に開口する注入口(20)を有し、取付要素(21)がインジェクタ-(18)と注入口(20)との間に配置される請求項1に記載のシリンダーヘッド。
【請求項8】
シリンダーヘッド(5)が吸気ポート(7)の第1燃焼室開口部(9)を可逆的に開閉できる第1弁(12)を備え、この第1弁(12)は弁ディスク(13)と第1弁軸線(L12)に沿って延びる弁シャフト(14)とを有し、注入口(20)が、第1弁軸線(L12)と同軸である第1弁(12)の弁ディスクの最小円筒形エンベロープ内に少なくとも部分的に配置される請求項7項に記載のシリンダーヘッド。
【請求項9】
シリンダーヘッド(5)が吸気ポート(7)の第1燃焼室入口開口(9)を可逆的に開閉できる第1弁(12)を備え、この第1弁(12)は弁ディスク(13)と第1弁軸線(L12)に沿って延びる弁シャフト(14)とを有し、シリンダーヘッド(5)はさらに、吸気ポート(7)の第2燃焼室入口開口部(9’)を可逆的に開閉できる第2弁(12’)を備え、この第2弁(12’)は弁ディスク(13’)と第2弁軸(L12’)に沿って延びる弁シャフト(14’)とを有し、注入口(20)が第1弁軸(L12)によって表されるチューブコア軸線(L19)に対する垂直な第1仮想平面と第2弁軸(L12’)が位置する第1仮想平面と平行な第2仮想平面との間に配置される請求項7に記載のシリンダーヘッド。
【請求項10】
空気案内部(25、26、27)が空気案内バッフルとして形成され、チューブコア軸線(L19)の周りの円周に沿った空気案内バッフルの長さ(範囲)がチューブコア軸線(L19)に対する半径方向の長さ(範囲)よりも小さい請求項1に記載のシリンダーヘッド。
【請求項11】
請求項1に記載のシリンダーヘッドを備えた内燃機関。