(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009150
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20240112BHJP
F24C 7/02 20060101ALI20240112BHJP
F24C 15/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
F24C15/00 H
F24C7/02 521B
F24C7/02 301Z
F24C15/02 A
F24C15/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197163
(22)【出願日】2023-11-21
(62)【分割の表示】P 2021126624の分割
【原出願日】2021-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】鏑城 崇宏
(57)【要約】
【課題】機器の外観の意匠性の低下を抑制するとともに、操作情報の視認性の確保が可能な加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器の一例は、少なくともマイクロ波を被加熱物に照射して加熱調理するレンジ調理機能を備える。加熱調理器は、本体部と、扉部と、操作部と、を備える。本体部は、被加熱物を収容可能で前面側に開口部を有する加熱室を内部に備える。扉部は、開口部に対して開閉可能である。操作部は、レンジ調理機能の動作状態を設定する。そして、扉部は、庫内側と表面側の間にパンチングメタルを挟み込んだ電磁シールド構造であり、扉部の庫内側の扉内面上に、耐熱塗料により、操作部に入力する操作情報が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともマイクロ波を被加熱物に照射して加熱調理するレンジ調理機能を備えた加熱調理器であって、
前記被加熱物を収容可能で前面側に開口部を有する加熱室を内部に備える本体部と、
前記開口部に対して開閉可能な扉部と、
前記レンジ調理機能の動作状態を設定する操作部と、
を備え、
前記扉部は、庫内側と表面側の間にパンチングメタルを挟み込んだ電磁シールド構造であり、
前記扉部の前記庫内側の扉内面上に、耐熱塗料により、前記操作部に入力する操作情報が形成されている、加熱調理器。
【請求項2】
前記扉部の前記庫内側の扉庫内面は、庫内側耐熱ガラスで形成され、
前記扉部の表面側部材は、表面側ガラスで形成され、
前記扉部は、前記加熱室の内部を視認可能にする光透過領域部を有し、
前記操作情報の少なくとも一部は、前記光透過領域部に形成されている、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記扉部の前記庫内側の扉庫内面は、庫内側耐熱ガラスで形成され、
前記扉部の表面側部材は、表面側ガラスで形成され、
前記扉部は、前記加熱室の内部を視認可能にする光透過領域部を有し、
前記光透過領域部には、光遮蔽部があり、
前記操作情報の少なくとも一部は、前記光遮蔽部に形成されている、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記操作部は、前記扉部の外面に配置され、
前記操作情報は、前記扉内面で前記操作部の裏面位置に相当する操作部対応位置の少なくとも一部に設けられている、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項5】
少なくともマイクロ波を被加熱物に照射して加熱調理するレンジ調理機能を備えた加熱調理器であって、
前記被加熱物を収容可能で前面側に開口部を有する加熱室を内部に備える本体部と、
前記開口部に対して開閉可能な扉部と、
前記レンジ調理機能の動作状態を設定する操作部と、
を備え、
前記扉部は、庫内側と表面側の間にパンチングメタルを挟み込んだ電磁シールド構造であり、
前記パンチングメタルには、非開口領域が設けられ、前記庫内側の前記非開口領域に、前記操作部に入力する操作情報が形成されている、加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等の被加熱物を加熱室(調理室)に収めて加熱調理する加熱調理器が知られている。加熱調理機能としては、熱風により被加熱物を加熱するオーブン加熱調理機能、ヒータの熱により被加熱物を加熱するグリル加熱調理機能、マイクロ波を被加熱物に照射して加熱調理するレンジ調理機能、過熱水蒸気により被加熱物を加熱するスチーム加熱調理機能等がある。加熱調理器は、これらの機能を単独で備えたり、複数機能を備えたりするものがある。このような加熱調理器には、被加熱物に対する加熱方法や加熱時間等の調理プログラムが操作情報(操作メニュー、調理メニュー等)として予め準備されている場合がある。操作情報は、例えば、加熱調理器の扉の表面や加熱室の底面に表示(表記)されている場合がある。加熱調理器の利用者は、調理の目的に応じた操作情報を選び、操作部に操作情報を入力することで、加熱調理器による調理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-139708号公報
【特許文献2】特開2005-345090号公報
【特許文献3】特開2007-327675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術のように、操作情報の表示(表記)が扉の表面に配置されている場合、意匠性の低下の原因の一つになり好ましくない場合がある。また、操作情報の表示(表記)が加熱室の底面に配置されている場合、加熱調理器の外観の意匠性に対する影響は回避できる反面、操作情報の視認性が低下してしまう場合がある。例えば、被加熱物である食品や食材等は、個別皿に載せた状態で加熱室に配置される場合がある。また、加熱室には、プレート状の角皿(グリル皿)が配置可能である場合がある。角皿は、食材等を直接乗せたり、食材が盛られた個別皿を乗せたりして利用される。そのため、加熱室に底面に表示(表記)された操作情報を個別皿や角皿で覆ってしまう場合があり、視認性低下の原因になる場合がある。また、加熱室では、加熱調理中の食材の噴きこぼれ等により汚れが生じることも多々ある。この場合、加熱室の底面に操作情報が表示(表記)されている場合、汚れにより覆い隠されてしまう場合があり、視認性低下の原因の一つになってしまう場合があった。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、機器の外観の意匠性の低下を抑制するとともに、操作情報の視認性の確保が可能な加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る加熱調理器は、少なくともマイクロ波を被加熱物に照射して加熱調理するレンジ調理機能を備える。また、加熱調理器は、本体部と、扉部と、操作部と、を備える。本体部は、前記被加熱物を収容可能で前面側に開口部を有する加熱室を内部に備える。扉部は、前記開口部に対して開閉可能である。操作部は、前記レンジ調理機能の動作状態を設定する。そして、前記扉部は、庫内側と表面側の間にパンチングメタルを挟み込んだ電磁シールド構造であり、前記扉部の前記庫内側の扉内面上に、耐熱塗料により、前記操作部に入力する操作情報が形成されている。
【0007】
また、前記扉部の前記庫内側の扉庫内面は、庫内側耐熱ガラスで形成され、前記扉部の表面側部材は、表面側ガラスで形成され、前記扉部は、前記加熱室の内部を視認可能にする光透過領域部を有し、前記操作情報の少なくとも一部は、前記光透過領域部に形成されていてもよい。
【0008】
また、前記扉部の前記庫内側の扉庫内面は、庫内側耐熱ガラスで形成され、前記扉部の表面側部材は、表面側ガラスで形成され、前記扉部は、前記加熱室の内部を視認可能にする光透過領域部を有し、前記光透過領域部には、光遮蔽部があり、前記操作情報の少なくとも一部は、前記光遮蔽部に形成されていてもよい。
【0009】
また、前記操作部は、前記扉部の外面に配置され、前記操作情報は、前記扉内面で前記操作部の裏面位置に相当する操作部対応位置の少なくとも一部に設けられていてもよい。
【0010】
本発明の一つの実施形態に係る加熱調理器は、少なくともマイクロ波を被加熱物に照射して加熱調理するレンジ調理機能を備える。また、加熱調理器は、本体部と、扉部と、操作部と、を備える。本体部は、前記被加熱物を収容可能で前面側に開口部を有する加熱室を内部に備える。扉部は、前記開口部に対して開閉可能である。操作部は、前記レンジ調理機能の動作状態を設定する。そして、前記扉部は、庫内側と表面側の間にパンチングメタルを挟み込んだ電磁シールド構造であり、前記パンチングメタルには、非開口領域が設けられ、前記庫内側の前記非開口領域に、前記操作部に入力する操作情報が形成されている。
【0011】
以上の加熱調理器によれば、例えば、操作情報(操作メニュー、調理メニュー等)が扉内面に設けられるため、外観の意匠性の低下を抑制しやすい。また、操作情報が扉内面に設けられるため、加熱室に配置された皿等により覆われたり、噴きこぼれ等による汚れにより覆われたりすることが回避し易く、操作情報の視認性を維持し易い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る加熱調理器を示す例示的かつ模式的な図であり、扉部が閉状態になっている場合を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る加熱調理器を示す例示的かつ模式的な図であり、扉部が開状態になり、表示領域部が見えている状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る加熱調理器の表示領域部に表示(表記)される操作情報の一例である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る加熱調理器を示す例示的かつ模式的な図であり、扉部が閉状態になっている場合を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る加熱調理器を示す例示的かつ模式的な図であり、扉部が開状態になり、表示領域部が見えている状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態に係る加熱調理器を示す例示的かつ模式的な図であり、扉部が閉状態になっている場合を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る加熱調理器を示す例示的かつ模式的な図であり、扉部が開状態になり、表示領域部が見えている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、実施形態について、図を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る加熱調理器10Aを示す例示的かつ模式的な図であり、扉部12Aが閉状態になっている場合を示す斜視図である。また、
図2は、加熱調理器10Aを示す例示的かつ模式的な図であり、扉部12Aが開状態になり、表示領域部14が見えている状態を示す斜視図である。
図1、
図2に示される加熱調理器10Aは、一例として、種々の加熱調理を実現可能な多機能型のオーブンレンジである。なお、表示領域部14の詳細は後述する。
【0015】
加熱調理器10Aは、矩形箱状の本体部16と、当該本体部16の前面側(後述の加熱室の前面側)に形成された開口部18に対して開閉可能な扉部12Aとで構成されている。加熱調理器10Aの場合、扉部12Aは、開口部18の下部でヒンジにより支持され、開口部18の下部で幅方向(図中矢印X方向)を回動軸として、開口部18に対して開閉可能である。本体部16は、被加熱物としての食品や食材等を収容可能な加熱室20(調理室ともいう)を内部に備える。被加熱物は、個別皿に盛られた状態で加熱室20の底面部22に置かれる。また、被加熱物は、加熱室20の側壁部24a,24bに奥行き方向(図中矢印Y方向)に延びる左右一対の角皿受26a,26b及び角皿受26c,26dによってX方向の両端部が支持される角皿(不図示)に、直接置かれたり、個別皿等に盛られた状態で置かれたりする。なお、
図2の場合、角皿受26aと角皿受26bが上段角皿受となり、角皿受26cと角皿受26dが下段角皿受となる。角皿受の段数は、例えば、1段でもよいし、3段以上でもよい。
【0016】
加熱調理器10Aは、複数の加熱調理機能を実現する加熱装置を備える。加熱調理機能としては、例えば、熱風により被加熱物を加熱するオーブン加熱調理機能、ヒータの熱により被加熱物を加熱するグリル加熱調理機能、マイクロ波を被加熱物に照射して加熱調理するレンジ調理機能、過熱水蒸気により被加熱物を加熱するスチーム加熱調理機能等がある。
【0017】
オーブン加熱調理機能は、例えば、加熱室20の後壁部28に設けられた加熱装置の一例である循環ファンヒータ30から放出される熱風によって実現される。また、グリル加熱調理機能は、例えば、加熱室20の天井壁部32に設けられた加熱装置の一例である上部ヒータ(不図示)の発生する熱によって実現される。レンジ調理機能は、例えば、加熱室20の底面部22の内部に配置された加熱装置の一例であるマイクロ波発生装置(不図示)から照射される電波であるマイクロ波によって実現される。また、スチーム加熱調理機能は、例えば、側壁部24aに設けられた蒸気噴出孔34から供給される加熱装置の一例である蒸気供給装置(不図示)で発生させた蒸気により実現される。
【0018】
このように構成される加熱調理器10Aの各調理機能は、予め記憶された調理プログラムを実行することにより実現される。調理プログラムは、例えば、食材や調理名、予めそれらに関連付けられた数字(メニュー番号)等を選択し、例えば、扉部12Aの扉表面12Aaの下部に配置された操作部36を用いて入力することにより実行される。
【0019】
操作部36は、加熱装置の動作状態を設定する。操作部36は、例えば、ダイヤル式のメニュー選択兼調理開始スイッチ36a、操作取消スイッチ36b、機能設定スイッチ36c、及び表示装置36d等で構成されている。表示装置36dは、操作内容や調理の進行状態等の動作情報のうち少なくとも一つを表示可能で、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等で構成することができる。なお、表示装置36dは、タッチパネル等、透明な操作入力部で覆われていてもよい。この場合、表示装置36dに各種スイッチを表示し、表示内容にしたがって、各種操作を実行できようにようにしてもよい。タッチパネル等の操作入力部を用いることで、メニュー選択兼調理開始スイッチ36a、操作取消スイッチ36b、機能設定スイッチ36c等の一部またはその全てを省略することが可能となり、扉部12Aのシンプル化及び意匠の自由度の向上に寄与することができる。
【0020】
扉部12Aにおいて、操作部36の上部には、加熱室20の内部を閉状態の扉部12Aを介して視認可能にする光透過領域部38(覗き窓ともいう)が形成されている。すなわち、光透過領域部38は、加熱室20の内部に可視光を透過可能である。
【0021】
扉部12Aは、略矩形状のフレーム40の下部に上述のような操作部36を備え、当該操作部36より上側の領域に光透過領域部38が設けられている。また、扉部12Aの上部には、当該扉部12Aの開閉のために手をかけるハンドル42が幅方向(X方向)に延設されている。
【0022】
レンジ調理機能を備える加熱調理器10Aの場合、マイクロ波の漏洩が規制値に収まるように設計されている。例えば、扉部12Aは、加熱室20側に面した庫内側耐熱ガラスと扉部12Aの扉表面12Aaの表面側ガラス(耐熱ガラスであってもよい)の間に、パンチングメタルを挟み込んだ電磁シールド構造を備えている。また、
図2に示すように加熱室20の天井壁部32の略中央部には、加熱室20内部及び扉部12Aが開状態の場合に扉部12Aの扉内面12Abを含む照明領域Eを照明する照明部44が設けられている。照明部44は、扉部12Aが開状態の場合及び加熱動作(調理中及び加熱による庫内清掃中等)に点灯する。なお、照明部44を設置する位置は、天井壁部32の略中央部に限らず、少なくとも加熱室20の内部及び照明領域Eを照明できればよく、設置位置は適宜変更してもよい。
【0023】
上述した扉部12Aに内蔵されるパンチングメタルは、例えば円形の多数の開口が形成されたメッシュ状の板部材で、例えば、照明部44の点灯時には、メッシュを介して、加熱室20の内部の様子(調理の進行状態等)を容易に視認できるようになっている。また、加熱動作以外の休止状態で照明部44が消灯しているときには、パンチングメタルの開口以外の部分の存在により加熱室20の内部が視認し難くなっている。つまり、加熱調理器10Aの非使用時の意匠性の向上に寄与している。
【0024】
このように構成される加熱調理器10Aにおいて、上述した表示領域部14は、扉部12Aの扉内面12Abの一部、例えば、扉部12Aが開状態の場合に扉内面12AbのY方向奥側の配置されている。そして、この表示領域部14に、操作部36を介して入力する操作情報(例えば、操作メニュー、調理メニュー等)が表示(表記)されている。
【0025】
図3は、加熱調理器10Aの表示領域部14に表示(表記)される操作情報46の一例である。
図3に示す例の場合、「あたためメニュー」や「料理メニュー」として食材や料理名と数字とが関連付けられて表示されている。また、「お手入れメニュー」として清掃の種類と数字とが関連付けられて表示されている。操作部36から数字(メニュー番号)を指定して加熱調理器10Aを動作させることで、メニュー番号に対応した動作条件で動作する。なお、
図3に示す操作情報46は一例であり、加熱調理器10Aの機能を実現するためのメニューが表示されている。また、メニューごとに加熱時間を指定する情報の表示や加熱する数量や加熱温度等を指定する情報の表示が行われてもよい。
【0026】
図2に示すように、操作情報46は、扉部12Aが開状態になっている加熱調理器10Aに利用者が正対した場合で、表示された文字等を容易に認識できるように、表示(表記)の上側が扉内面12Abの奥側(Y方向)になるように、扉内面12Abを構成する庫内側耐熱ガラスの上に耐熱塗料等を用いて直接表示するように配置されている。この場合、熱変形等による文字や数字の歪みが生じ難い操作情報46を容易に形成することがでるとともに、歪みが抑制し易いため視認性の維持が行い易い。また、別の例では、シート状の基台に印刷された操作情報46を表示領域部14に配置してもよい。この場合、シート状の基台は、後述する光遮蔽部材を兼用し得る。また別の例では、操作情報46は、庫内側耐熱ガラスの裏面、すなわち、パンチングメタルと庫内側耐熱ガラスとの間に配置されてもよい。この場合、庫内側耐熱ガラスが光透過度の高いガラス(例えば透明のガラス)とすることが好ましい。
【0027】
加熱調理器10Aの利用者は、まず、扉部12Aを開状態として、加熱調理する食材を調理に適した状態、例えば、個別皿に盛った状態や角皿に載せた状態で加熱室20内部の所定位置(例えば中央部)に配置する。そして、加熱調理したい食材や料理名に対応する数字を表示領域部14に表示された操作情報46の中から見付け出す。この場合、表示領域部14は、扉部12Aの扉内面12Abに配置されているため、加熱室20に食材や個別皿、角皿等が既に置かれている場合でも、それらの食材や個別皿、角皿等に隠されることなく操作情報46を容易に視認させることができる。また、仮に、過去の調理のときに加熱室20内で噴きこぼれ等が生じた場合でも閉状態でほぼ起立姿勢になっている扉部12Aの扉内面12Abに噴きこぼれた液体等が付着する可能性は低い。その結果、表示領域部14に表示されている操作情報46の視認性が低下することを回避することができる。
【0028】
また、扉部12Aが開状態になった場合、表示領域部14は、利用者が見下ろせる位置で、本体部16より利用者側に近い位置に開動作した扉部12Aの扉内面12Ab上に存在するため、操作情報46が加熱調理器10Aの他の部分に表示されている場合に比べて、認識し易くなっている。
【0029】
さらに、扉部12Aが開状態の場合、前述したように、照明部44が点灯し、表示領域部14が照明される。したがって、加熱調理器10Aの周囲環境が暗い場合でも、表示領域部14に表示された操作情報46の視認性を十分に確保することができる。
【0030】
また、表示領域部14(操作情報46)が扉部12Aの扉内面12Abに配置されていることで、加熱調理器10Aの外観のシンプル化が容易に図れる。例えば、操作情報46が扉部12Aの扉表面12Aa(例えば、操作部36の上方の領域)に配置される場合、雑多な文字や記号が扉表面12Aaに表示されることになり、加熱調理器10Aの外観(扉部12A)の意匠性の低下を招く可能性がある。一方、表示領域部14(操作情報46)を扉部12Aの扉内面12Abに配置することで、加熱調理器10Aの外観の意匠性の低下を回避することができる。
【0031】
また、上述したように、扉部12Aにおいて、庫内側耐熱ガラスと表面側ガラスの間には、パンチングメタルが存在する。したがって、扉内面12Abの表示領域部14に表示された操作情報46が扉表面12Aa側(外面側)から視認し難くなっている。この点においても加熱調理器10Aの外観の意匠性の低下回避に寄与している。
【0032】
なお、光透過領域部38のうち、扉内面12Abに設けられた表示領域部14が重なる領域に、光遮蔽部材48(光非透過部材)を配置してもよい。つまり、表示領域部14に光遮蔽部材48を配置し、その上に操作情報46を表示するようにしてもよい。光遮蔽部材48を構成する材料は、光が遮蔽できる材料であれば適宜選択可能で、例えば、有色(例えば、黒色)の耐熱塗料で形成してもよいし、耐熱性の板部材(樹脂や金属、ミラー部材等)でもよい。また、庫内側耐熱ガラスと表面側ガラスの間に介在させたパンチングメタル(メッシュ状の板部材)に非開口領域を設け、この領域を光遮蔽部材48としてもよい。光遮蔽部材48を用いることにより、扉表面12Aa側から操作情報46を完全に視認できないようにすることが可能で、扉表面12Aaの意匠性の向上に寄与できる。
【0033】
なお、
図2の例では、表示領域部14は、扉内面12Abの光透過領域部38に配置している場合を示している。他の実施形態においては、表示領域部14は、扉内面12Abのうち光透過領域部38の一部に設けられるようにしてもよい。例えば、表示領域部14は、光透過領域部38の周囲のフレーム40に跨いで配置されてもよい。
図1に示されるように、操作部36が扉表面12Aaの一部に設けられている場合、表示領域部14は、扉内面12Abの少なくとも操作部36の裏面位置に相当する操作部対応位置に設けられてもよい。この場合、操作情報46が存在しない光透過領域部38の領域を広げることができるため、光透過領域部38を用いた加熱室20内部の視認性(覗き窓を用いた視認性)を向上することができる。また、操作部36の配置対応領域や当該配置対応領域を含むフレーム40の幅が十分にある場合には、配置対応領域やフレーム40上のみに表示領域部14を形成してもよい。この場合、表示領域部14に表示される操作情報46は、扉表面12Aa側から完全に見えない位置、つまり、光透過領域部38以外の位置に配置されることになるので、上述した光遮蔽部材48を用いることなく、扉表面12Aa側から操作情報46の表示を完全に隠すことが可能になり、光透過領域部38の本来の目的である加熱室20内部を覗くために利用できる領域の確保を容易に行うことができる。
【0034】
なお、表示領域部14(操作情報46)は、扉部12Aにおいて、ハンドル42が形成されている裏側、つまり、扉内面12Abにおけるハンドル42の配置対応位置に設けてもよい。この場合も、扉内面12Abの他の位置に表示領域部14(操作情報46)を配置した場合と同様の効果を得ることができる。
【0035】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る加熱調理器10Bを示す例示的かつ模式的な図であり、扉部12Bが閉状態になっている場合を示す斜視図である。また、
図5は、加熱調理器10Bを示す例示的かつ模式的な図であり、扉部12Bが開状態になり、表示領域部14が見えている状態を示す斜視図である。
図4、
図5に示される加熱調理器10Bは、一例として、種々の加熱調理を実現可能な多機能型のオーブンレンジである。
【0036】
なお、第2実施形態の加熱調理器10Bは、操作部36が扉部12Bの右側(X方向)の隅に縦方向(Z方向)に配置されている以外の基本構成は第1実施形態で示した加熱調理器10Aと同じである。したがって、加熱調理器10Bにおいて、加熱調理器10Aと実質的に同じ構成には、同じ符号を付して説明する。
【0037】
加熱調理器10Bは、矩形箱状の本体部16と、当該本体部16の前面側の開口部18に対して開閉可能な扉部12Bとで構成されている。加熱調理器10Bの場合も、扉部12Bは、開口部18の下部でヒンジにより支持され、開口部18の下部で幅方向(図中矢印X方向)を回動軸として、開口部18に対して開閉可能である。本体部16は、被加熱物としての食品等を収容可能な加熱室20を内部に備える。被加熱物は、個別皿に盛られた状態で加熱室20の底面部22に置かれる。また、被加熱物は、加熱室20の側壁部24a,24bに奥行き方向(図中矢印Y方向)に延びる左右一対の角皿受26a,26b及び角皿受26c,26dによってX方向の両端部が支持される角皿(不図示)に直接置かれたり、個別皿等に盛られた状態で置かれたりする。なお、
図5の場合、角皿受26aと角皿受26bが上段角皿受となり、角皿受26cと角皿受26dが下段角皿受となる。角皿受の段数は、例えば、1段でもよいし、3段以上でもよい。
【0038】
加熱調理器10Bもまた、複数の加熱調理機能を実現する加熱装置を備える。加熱調理機能としては、例えば、オーブン加熱調理機能、グリル加熱調理機能、レンジ調理機能、スチーム加熱調理機能等がある。
【0039】
このように構成される加熱調理器10Bの各調理機能は、予め記憶された調理プログラムを実行することにより実現される。調理プログラムは、例えば、食材や調理名等を選択し、例えば、扉部12Bの扉表面12Baの右側(X方向の端部)に配置された操作部36を用いて入力することにより実現される。
【0040】
加熱調理器10Bの場合、操作部36は、例えば、メニュー選択兼調理開始スイッチ36a、プッシュ式の操作取消スイッチ36b、及び表示装置36d等で構成される。
【0041】
扉部12Bにおいて、操作部36の左側(X方向とは逆)には、加熱室20の内部を閉状態の扉部12Bを介して視認可能にする光透過領域部38(覗き窓ともいう)が形成されている。
【0042】
扉部12Bの上部には、当該扉部12Bの開閉のために手をかけるハンドル42が幅方向(X方向)に延設されている。
【0043】
レンジ調理機能を備える加熱調理器10Bの場合も、マイクロ波の漏洩が規制値に収まるように設計されている。したがって、扉部12Bは、加熱室20側に面した庫内側耐熱ガラスと扉部12Bの扉表面12Baの表面側ガラス(耐熱ガラスであってもよい)の間に、パンチングメタルを挟み込んだ電磁シールド構造を備えている。また、
図5に示すように加熱室20の天井壁部32の略中央部には、加熱室20内部及び扉部12Bが開状態の場合に扉部12Bの扉内面12Bbを含む照明領域Eを照明する照明部44が設けられている。なお、照明部44を設置する位置は、天井壁部32の略中央部に限らず、少なくとも加熱室20の内部及び照明領域Eを照明できればよく、設置位置は適宜変更してもよい。
【0044】
上述した扉部12Bに内蔵されるパンチングメタルは、例えば円形の多数の開口が形成されたメッシュ状の板部材で、例えば、照明部44の点灯時には、メッシュを介して、加熱室20の内部の様子(調理の進行状態等)を容易に視認できるようになっている。また、加熱動作以外の休止状態で照明部44が消灯しているときには、パンチングメタルの開口以外の部分の存在により加熱室20の内部が視認し難くなっている。つまり、加熱調理器10Bの非使用時の意匠性の向上に寄与している。
【0045】
このように構成される加熱調理器10Bの場合、上述した表示領域部14は、扉内面12Bbのうち扉部12Bの扉表面12Baの右端に設けられた操作部36の裏面位置に相当する操作部対応位置50に配置されている。つまり、第1実施形態と異なり、表示領域部14は、光透過領域部38の領域外に配置されている。操作部対応位置50に形成される表示領域部14には、操作部36を介して入力する操作情報46(例えば、操作メニュー、調理メニュー等)が表示(表記)されている。操作情報46は、
図3と同様な内容とすることができるが、表示領域部14がY方向に長い形状となるため、操作情報46の配列は適宜変更される。
【0046】
図5に示すように、操作部対応位置50に配置される表示領域部14に表示される操作情報46も、利用者が扉部12Bが開状態になっている加熱調理器10Bに正対した場合で、表示された文字等を容易に認識できるように、表示(表記)の上側が扉内面12Bbの奥側(Y方向)になるように配置されている。なお、操作部対応位置50に相当する部分は、金属板や樹脂板で構成されているため、操作情報46は、耐熱塗料等を用いて直接表示するように配置されてもよいし、シート状の基台に印刷された操作情報46を操作部対応位置50(表示領域部14)に配置してもよい。なお、表示すべき操作情報46が操作部対応位置50に納まらない場合、第1実施形態と同様に、光透過領域部38上に付加的に表示領域部14を形成し、表示するようにしてもよい。光透過領域部38に配置された表示領域部14については、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
加熱調理器10Bの利用者は、まず、扉部12Bを開状態として、加熱調理する食材を調理に適した状態、例えば、個別皿に盛った状態や角皿に載せた状態で加熱室20内部の所定位置(例えば中央部)に配置する。そして、加熱調理したい食材や料理名に対応する数字を表示領域部14に表示された操作情報46の中から見付け出す。この場合、表示領域部14は、扉部12Bの扉内面12Bbに配置されているため、加熱室20に食材や個別皿、角皿等が既に置かれている場合でも、それらの食材や個別皿、角皿等に隠されることなく操作情報46を容易に視認させることができる。また、仮に、過去の調理のときに加熱室20内で噴きこぼれ等が生じた場合でも閉状態でほぼ起立姿勢になっている扉部12Bの扉内面12Bbに噴きこぼれた液体等が付着する可能性は低い。その結果、表示領域部14に表示されている操作情報46の視認性が低下することを回避することができる。
【0048】
また、扉部12Bが開状態になった場合、表示領域部14は、利用者が見下ろせる位置で、本体部16より利用者側に近い位置に開動作した扉部12Bの扉内面12Bb上に存在するため、操作情報46が加熱調理器10Bの他の部分に表示されている場合に比べて、認識し易くなっている。
【0049】
さらに、扉部12Bが開状態の場合、前述したように、照明部44が点灯し、表示領域部14が照明される。したがって、加熱調理器10Aの周囲環境が暗い場合でも、表示領域部14に表示された操作情報46の視認性を十分に確保することができる。なお、加熱調理器10Bの場合、表示領域部14が扉部12Bの右端に配置されているため、加熱室20内部の照明に違和感が生じない程度に照明部44の照射角を表示領域部14側に調整して、表示領域部14が良好に照射されるようにしてもよい。
【0050】
また、表示領域部14(操作情報46)が扉部12Bの扉内面12Bbに配置されていることで、加熱調理器10Bの外観のシンプル化が容易に図れる。例えば、操作情報46が扉部12Bの扉表面12Ba(例えば、光透過領域部38の下側の領域等)に配置される場合、雑多な文字や記号が扉表面12Baに表示されることになり、加熱調理器10Bの外観(扉部12B)の意匠性の低下を招く可能性がある。一方、表示領域部14(操作情報46)を扉部12Bの扉内面12Bbに配置することで、加熱調理器10Bの外観の意匠性の低下を回避することができる。
【0051】
また、加熱調理器10Bの場合、扉内面12Bbのうち操作部対応位置50を表示領域部14(操作情報46)の配置領域として、有効に利用することができる。その結果、扉表面12Ba側のフレーム40部分や光透過領域部38に操作情報46を表示する必要がないため、操作情報46に妨げられることなく、光透過領域部38の本来の目的である加熱室20内部を覗くために利用できる領域の確保を容易に行うことができる。
【0052】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態に係る加熱調理器10Cを示す例示的かつ模式的な図であり、扉部12Cが閉状態になっている場合を示す斜視図である。また、
図7は、加熱調理器10Cを示す例示的かつ模式的な図であり、扉部12Cが開状態になり、表示領域部14が見えている状態を示す斜視図である。
図6、
図7に示される加熱調理器10Cは、一例として、種々の加熱調理を実現可能な多機能型のオーブンレンジである。
【0053】
なお、第3実施形態の加熱調理器10Cは、操作部36が扉部12Cの右側(X方向)で分離されて状態で本体部16側と一体に配置されている。つまり、扉部12Cの開閉状態に拘わらず、操作部36の位置は一定である。操作部36と扉部12Cとが分離されていること以外の基本構成は第1実施形態で示した加熱調理器10Aと同じである。したがって、加熱調理器10Cにおいて、加熱調理器10Aと実質的に同じ構成には、同じ符号を付して説明する。
【0054】
加熱調理器10Cは、矩形箱状の本体部16と、当該本体部16の前面側の開口部18に対して開閉可能な扉部12Cと、本体部16と一体化されている操作部36とで構成されている。加熱調理器10Bの場合も、扉部12Bは、開口部18の下部でヒンジにより支持され、開口部18の下部で幅方向(図中矢印X方向)を回動軸として、開口部18に対して開閉可能である。本体部16は、被加熱物としての食品や食材等を収容可能な加熱室20を内部に備える。被加熱物は、個別皿に盛られた状態で加熱室20の底面部22に置かれる。また、被加熱物は、加熱室20の側壁部24a,24bに奥行き方向(図中矢印Y方向)に延びる左右一対の角皿受26a,26b及び角皿受26c,26dによってX方向の両端部が支持される角皿(不図示)に直接置かれたり、個別皿等に盛られた状態で置かれたりする。なお、
図7の場合、角皿受26aと角皿受26bが上段角皿受となり、角皿受26cと角皿受26dが下段角皿受となる。角皿受の段数は、例えば、1段でもよいし、3段以上でもよい。
【0055】
加熱調理器10Cもまた、複数の加熱調理機能を実現する加熱装置を備える。加熱調理機能としては、例えば、オーブン加熱調理機能、グリル加熱調理機能、レンジ調理機能、スチーム加熱調理機能等がある。
【0056】
このように構成される加熱調理器10Cの各調理機能は、予め記憶された調理プログラムを実行することにより実現される。調理プログラムは、例えば、食材や調理名、予めそれらに関連付けられた数字(メニュー番号)等を選択し、
図6、
図7に示されるように、例えば、扉部12Cの右側(X方向)に扉部12Cに対して独立した状態で設けられた操作部36を用いて入力することにより実行される。
【0057】
加熱調理器10Cの場合、操作部36は、例えば、メニュー選択兼調理開始スイッチ36a、操作取消スイッチ36b、及び表示装置36d等で構成される。
【0058】
加熱調理器10Cの場合、扉部12Cは、そのほぼ全面に加熱室20の内部を閉状態の扉部12Cを介して視認可能にする光透過領域部38(覗き窓ともいう)を備える。
【0059】
扉部12Cの上部には、当該扉部12Cの開閉のために手をかけるハンドル42が幅方向(X方向)に延設されている。
【0060】
レンジ調理機能を備える加熱調理器10Cの場合も、マイクロ波の漏洩が規制値に収まるように設計されている。したがって、扉部12Cは、加熱室20側に面した庫内側耐熱ガラスと扉部12Cの扉表面12Caの表面側ガラス(耐熱ガラスであってもよい)の間に、パンチングメタルを挟み込んだ電磁シールド構造を備えている。また、
図7に示すように加熱室20の天井壁部32の略中央部には、加熱室20内部及び扉部12Cが開状態の場合に扉部12Cの扉内面12Cbを含む照明領域Eを照明する照明部44が設けられている。なお、照明部44を設置する位置は、天井壁部32の略中央部に限らず、少なくとも加熱室20の内部及び照明領域Eを照明できればよく、設置位置は適宜変更してもよい。
【0061】
上述した扉部12Cに内蔵されるパンチングメタルは、例えば円形の多数の開口が形成されたメッシュ状の板部材で、例えば、照明部44の点灯時には、メッシュを介して、加熱室20の内部の様子(調理の進行状態等)を容易に視認できるようになっている。また、加熱動作以外の休止状態で照明部44が消灯しているときには、パンチングメタルの開口以外の部分の存在により加熱室20の内部が視認し難くなっている。つまり、加熱調理器10Cの非使用時の意匠性の向上に寄与している。
【0062】
このように構成される加熱調理器10Cは、上述した表示領域部14に、操作部36を介して入力する操作情報(例えば、操作メニュー、調理メニュー等)が表示(表記)されている。
【0063】
加熱調理器10Cの場合、上述した表示領域部14(操作情報46)は、第1実施形態の加熱調理器10Aと同様に、扉部12Cの扉内面12Cbの一部、例えば、扉部12Cが開状態の場合に扉内面12CbのY方向奥側の配置されている。そして、この表示領域部14に、操作部36を介して入力する操作情報(例えば、操作メニュー、調理メニュー等)が表示(表記)されている。つまり、第1実施形態と同様に、光透過領域部38の領域内に配置されている。
【0064】
図7に示すように、操作情報46は、扉部12Cが開状態になっている加熱調理器10Cに利用者が正対した場合で、表示された文字等を容易に認識できるように、表示(表記)の上側が扉内面12Cbの奥側(Y方向)になるように、扉内面12Cbを構成する庫内側耐熱ガラスの上に耐熱塗料等を用いて直接表示するように配置されている。また、別の例では、シート状の基台に印刷された操作情報46を表示領域部14に配置してもよい。この場合、シート状の基台は、第1実施形態と同様に光遮蔽部材48を兼用し得る。また別の例では、操作情報46は、庫内側耐熱ガラスの裏面、すなわち、パンチングメタルと庫内側耐熱ガラスとの間に配置されてもよい。この場合、庫内側耐熱ガラスが光透過度の高いガラス(例えば透明のガラス)とすることが好ましい。
【0065】
加熱調理器10Cの利用者は、まず、扉部12Cを開状態として、加熱調理する食材を調理に適した状態、例えば、個別皿に盛った状態や角皿に載せた状態で加熱室20内部の所定位置(例えば中央部)に配置する。そして、加熱調理したい食材や料理名に対応する数字を表示領域部14に表示された操作情報46の中から見付け出す。この場合、表示領域部14は、扉部12Cの扉内面12Cbに配置されているため、加熱室20に食材や個別皿、角皿等が既に置かれている場合でも、それらの食材や個別皿、角皿等に隠されることなく操作情報46を容易に視認させることができる。また、仮に、過去の調理のときに加熱室20内で噴きこぼれ等が生じた場合でも閉状態でほぼ起立姿勢になっている扉部12Cの扉内面12Cbに噴きこぼれた液体等が付着する可能性は低い。その結果、表示領域部14に表示されている操作情報46の視認性が低下することを回避することができる。
【0066】
また、扉部12Cが開状態になった場合、表示領域部14は、利用者が見下ろせる位置で、本体部16より利用者側に近い位置に開動作した扉部12Cの扉内面12Cb上に存在するため、操作情報46が加熱調理器10Cの他の部分に表示されている場合に比べて、認識し易くなっている。
【0067】
さらに、扉部12Cが開状態の場合、照明部44が点灯し、表示領域部14が照明される。したがって、加熱調理器10Cの周囲環境が暗い場合でも、表示領域部14に表示された操作情報46の視認性を十分に確保することができる。
【0068】
また、表示領域部14(操作情報46)が扉部12Cの扉内面12Cbに配置されていることで、加熱調理器10Cの外観のシンプル化が容易に図れる。例えば、操作情報46が扉部12Cの扉表面12Caに配置される場合、雑多な文字や記号が扉表面12Caに表示されることになり、加熱調理器10Cの外観(扉部12C)の意匠性の低下を招く可能性がある。一方、表示領域部14(操作情報46)を扉部12Cの扉内面12Cbに配置することで、加熱調理器10Cの外観の意匠性の低下を回避することができる。
【0069】
また、上述したように、扉部12Cにおいて、庫内側耐熱ガラスと表面側ガラスの間に、パンチングメタルが存在する。したがって、扉内面12Cbの表示領域部14に表示された操作情報46が扉表面12Ca側(外面側)から視認し難くなっている。この点においても加熱調理器10Cの外観の意匠性の低下回避に寄与している。
【0070】
なお、光透過領域部38のうち、扉内面12Cbに設けられた表示領域部14が重なる領域に、光遮蔽部材48を配置してもよい。つまり、表示領域部14に光遮蔽部材48を配置し、その上に操作情報46を表示するようにしてもよい。光遮蔽部材48を用いることにより、扉表面12Ca側から操作情報46を完全に視認できないようにすることが可能で、扉表面12Caの意匠性の向上に寄与できる。
【0071】
なお、
図7の例では、表示領域部14は、扉内面12Cbの光透過領域部38に配置している場合を示している。他の実施形態においては、表示領域部14は、扉内面12Cbのうち光透過領域部38の一部に設けられるようにしてもよい。例えば、表示領域部14は、光透過領域部38の周囲のフレーム40に跨いで配置されてもよい。この場合、操作情報46が存在しない光透過領域部38の領域を広げることができるため、光透過領域部38を用いた加熱室20内部の視認性(覗き窓を用いた視認性)を向上することができる。また、フレーム40の幅が十分にある場合には、フレーム40上のみに表示領域部14を形成してもよい。この場合、表示領域部14に表示される操作情報46は、扉表面12Ca側から完全に見えない位置、つまり、光透過領域部38以外の位置に配置されることになるので、上述した光遮蔽部材48を用いることなく、扉表面12Ca側から操作情報46の表示を完全に隠すことが可能になり、光透過領域部38の本来の目的である加熱室20内部を覗くために利用できる領域の確保を容易に行うことができる。
【0072】
なお、表示領域部14(操作情報46)は、扉部12Cにおいて、ハンドル42が形成されている裏側、つまり、扉内面12Cbにおけるハンドル42の配置対応位置に設けてもよい。この場合も、扉内面12Cbの他の位置に表示領域部14(操作情報46)を配置した場合と同様の効果を得ることができる。
【0073】
加熱調理器10Cの場合、扉部12Cと操作部36が分離されているため、例えば、扉部12Cを開状態にしたままでも、扉内面12Cbに表示された操作情報46を視認し、そのままの状態で操作部36の操作が可能になる。その結果、操作情報46の視認性の向上を実現するとともに、操作性の使い勝手の向上に寄与することができる。
【0074】
(変形例)
上述した各実施形態では、複数の加熱調理機能を備える複合型の加熱調理器を示した。変形例では、オーブン加熱調理機能、グリル加熱調理機能、レンジ調理機能、スチーム加熱調理機能のいずれか一つまたは、幾つかを組み合わせた機能を備えた加熱調理器としてもよい。いずれの加熱調理機能を備える場合でも、上述した実施形態の表示領域部14(操作情報46)の配置構成が適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、上述した各実施形態では、扉部12A(12B,12C)が、加熱調理器10A(10B,10C)の正面に正対した利用者に対して手前側に回動して開状態となる例をしました。変形例では、扉部が例えば、本体部16に対して横方向(-X方向またはX方向)に回動し開状態になるように構成されてもよい。このような扉部が横開きする構成においても、上述した実施形態の表示領域部14(操作情報46)の配置構成が適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、上述した第1実施形態、第3実施形態では、表示領域部14(操作情報46)を、扉部12A(12C)の扉内面12Ab(12Ca)のY方向奥側の配置した例を示した。変形例においては、表示領域部14(操作情報46)の配置位置は扉内面12Ab(12Ca)であればいずれの位置でもよい。例えば、扉内面12Ab(12Ca)の右側や左側、中央部等にY方向(奥行き方向)に沿うように配置してもよく、上述した各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
10A,10B,10C…加熱調理器、12A,12B,12C…扉部、12Aa,12Ba,12Ca…扉表面、12Ab,12Bb,12Cb…扉内面、14…表示領域部、16…本体部、18…開口部、20…加熱室、36…操作部、36d…表示装置、38…光透過領域部、44…照明部、46…操作情報、48…光遮蔽部材、50…操作部対応位置。