(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091509
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】硬化性組成物及びそれから製造されるフィルム
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
C08F290/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023209441
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】10-2022-0182029
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ マテリアルズ コリア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUPONT SPECIALTY MATERIALS KOREA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ジ-ウン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヒョン-タク
(72)【発明者】
【氏名】ソン スン-ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ホ グン
【テーマコード(参考)】
4J127
【Fターム(参考)】
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC151
4J127BD471
4J127BG041
4J127BG04Y
4J127BG141
4J127BG14Y
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127CA02
4J127CB164
4J127CB282
4J127CB341
4J127CB373
4J127CC022
4J127CC123
4J127CC184
4J127CC294
4J127DA28
4J127FA17
4J127FA21
4J127FA38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】硬化性組成物及びそれから製造されるフィルムを提供する。
【解決手段】本発明は、硬化性組成物及びフィルムに関する。具体的には、本発明の実施形態による硬化性組成物は、下記式で表されるポリオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことから、耐引掻き性及び機械的特性に優れ、更に可撓性及び柔軟性にも優れており、低いガラス転移温度及び高い貯蔵弾性率を有するフィルムを提供することが可能である。
(式中、R
1~R
4は、それぞれ独立して水素又はC
1~
6アルキル基であり、aは1~10の整数であり、bは5~90の整数である)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式1で表されるポリオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(B)(メタ)アクリレート系架橋剤と、(C)光重合開始剤とを含有する硬化性組成物:
[式1]
【化1】
(式1において、R
1~R
4は、それぞれ独立して水素又はC
1~6アルキル基であり、aは1~10の整数であり、bは5~90の整数である)。
【請求項2】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)が、アクリレート系化合物と、イソシアネート系化合物と、上記式1で表されるポリオールとから誘導される、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)が、2重量%~10重量%のアクリレート系化合物と、3重量%~20重量%のイソシアネート系化合物と、70重量%~95重量%の前記式1で表されるポリオールとから誘導される、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記光重合開始剤(C)が、ホスフィンオキシド系化合物又はその誘導体を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記光重合開始剤が、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、又はそれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記硬化性組成物が、固形分を基準として50重量%~90重量%の量の前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A)と、0.5重量%~40重量%の量の前記(メタ)アクリレート系架橋剤(B)と、0.01重量%~5重量%の量の前記光重合開始剤(C)とを含有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
アクリルアミド化合物(D)を更に含有し、前記アクリルアミド化合物(D)が、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N-イソプロピルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、tert-ブチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、及びN-ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
固形分を基準として0.5重量%~20重量%の量で前記アクリルアミド化合物(D)を含有する、請求項7に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
界面活性剤、強化剤、シランカップリング剤、及びフリーラジカル禁止剤からなる群から選択される少なくとも1種の成分を更に含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
前記シランカップリング剤が下記式2で表されるアミン系シランカップリング剤を含む、請求項9に記載の硬化性組成物:
[式2]
NH2-L1-NH-L2-Si(OR5)3
(式2において、L1及びL2は、それぞれ独立して、C1~6アルキレン基であり、R5は、C1~6アルキル基である)。
【請求項11】
固形分を基準として0.01重量%~7重量%の量のシランカップリング剤を含む、請求項9に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
(A)下記式1で表されるポリオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(B)(メタ)アクリレート系架橋剤と、(C)光重合開始剤とを含有する硬化性組成物であって、
前記硬化性組成物から製造されたフィルムが、動的機械分析装置(DMA)を使用して測定したときに-60℃~-10℃のガラス転移温度(Tg)を有する、硬化性組成物:
[式1]
【化2】
(式1において、R
1~R
4は、それぞれ独立して水素又はC
1~6アルキル基であり、aは1~10の整数であり、bは5~90の整数である)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の硬化性組成物から製造されるフィルム。
【請求項14】
-20℃における貯蔵弾性率が20MPa~595MPaであり、60℃における貯蔵弾性率が1MPa~350MPaである、請求項13に記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物及びそれから製造されるフィルムに関する。より具体的には、本発明は、優れた耐衝撃性、耐引掻き性、機械的特性、可撓性、及び柔軟性を有しながらも、従来のフィルムと比較して貯蔵弾性率が高いフィルムを形成することができる硬化性組成物、並びにそれから製造される、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置などに使用可能なフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ技術は、IT機器の発展に伴う需要に牽引されて発達し続けている。液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ(有機発光ダイオードディスプレイ)装置などの薄型ディスプレイ装置は、タッチパネルの形態で実用化され、広く使用されている。更に、湾曲ディスプレイや屈曲ディスプレイについての技術も既に実用化されている。近年では、外力に応じて柔軟に曲げられるか折り畳まれることによって、大画面と携帯性を両立することが可能なフレキシブルディスプレイ装置が好まれている。
【0003】
スマートフォンやタブレットPCなどの携帯型タッチスクリーンパネルに基づくディスプレイ装置は、ディスプレイパネルを引掻きや外部の衝撃から保護するために、ディスプレイパネルの片面にディスプレイを保護するためのウィンドウカバーを有している。特に、フレキシブルディスプレイ装置は、主にポリマーフィルム又は強化ガラスをカバーウィンドウとして採用している。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及びポリイミド(PI)などのポリマーフィルムは、機械的特性及び耐引掻き性の向上に限界がある。強化ガラスはその重量のため携帯機器の軽量化には適しておらず、またその可撓性及び柔軟性の低さのためフレキシブルディスプレイ装置には適していない。加えて、フレキシブルディスプレイ装置に利用されるカバーウィンドウは折り曲げた状態で連続的に引張荷重を受けるため、可撓性や柔軟性が低い場合には、折り曲げた部分のフィルムがカバーウィンドウに完全には密着せず、折り曲げの繰り返しによって浮き上がったり、亀裂が生じたり可能性がある。
【0004】
したがって、優れた耐衝撃性、耐引掻き性、機械的特性を有し、更に優れた可撓性及び柔軟性も有するため、フレキシブルディスプレイ装置のカバーウィンドウとして利用した場合であっても浮き上がりや亀裂を効果的に防止することができるフィルム、並びにそのようなフィルムを形成することが可能な組成物の研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、耐衝撃性、耐引掻き性、及び機械的特性に優れ、更に可撓性及び柔軟性にも優れており、低いガラス転移温度及び高い貯蔵弾性率を有するフィルムを形成することが可能な硬化性組成物、並びにそれから製造されるフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、(A)下記式1で表されるポリオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(B)(メタ)アクリレート系架橋剤と、(C)光重合開始剤とを含有する硬化性組成物を提供する。
[式1]
【化1】
【0008】
式1において、R1~R4は、それぞれ独立して水素又はC1~6アルキル基であり、aは1~10の整数であり、bは5~90の整数である。
【0009】
別の目的を達成するために、本発明は、(A)下記式1で表されるポリオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(B)(メタ)アクリレート系架橋剤と、(C)光重合開始剤とを含有する硬化性組成物であって、硬化性組成物から製造されたフィルムが、動的機械分析装置(DMA)を使用して測定したときに-60℃~-10℃のガラス転移温度(Tg)を有する、硬化性組成物を提供する。
[式1]
【化2】
【0010】
式1において、R1~R4は、それぞれ独立して水素又はC1~6アルキル基であり、aは1~10の整数であり、bは5~90の整数である。
【0011】
別の目的を達成するために、本発明は、硬化性組成物から製造されるフィルムを提供する。
【0012】
発明の有利な効果
本発明の硬化性組成物は、式1で表されるポリオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことから、耐引掻き性及び機械的特性に優れ、更に可撓性及び柔軟性にも優れており、低いガラス転移温度及び高い貯蔵弾性率を有するフィルムを提供することが可能である。
【0013】
更に、硬化性組成物は、式1で表されるポリオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(メタ)アクリレート系架橋剤と、光重合開始剤とを含むと同時に、その構成成分の含有比率が調整されていることから、適切な貯蔵弾性率を実現し、且つ低い黄色度及び優れた経時安定性を確実に得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】動的機械分析装置(DMA)を使用して測定された実施例2-3及び比較例2-3のフィルムのガラス転移温度(Tg)を示す。
【
図2】実施例2-3で繰り返し曲げ試験2を行ったフィルム表面の写真である。
【
図3】比較例2-1で繰り返し曲げ試験2を行ったフィルム表面の写真である。
【
図4】比較例2-3で繰り返し曲げ試験2を行ったフィルム表面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明がより詳細に説明される。本発明は以下で示されている開示に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて様々な形態へと変更を行うことが可能である。
【0016】
本明細書の全体にわたり、ある部分がある要素を「含む(comprising)」と言われる場合、特に明記しない限り、他の要素が除外されるよりもむしろ、他の要素が含まれ得ると理解される。
【0017】
本明細書で使用される成分の量や反応条件などに関する全ての数値及び表現は、別段の指示がない限り、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。
【0018】
本明細書において使用される場合、用語「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を指す。
【0019】
以下に記載されるような各成分の重量平均分子量(g/モル)は、ポリスチレン標準を基準としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶離液:テトラヒドロフラン)によって測定される。
【0020】
硬化性組成物
本発明は、(A)下記式1で表されるポリオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(B)(メタ)アクリレート系架橋剤と、(C)光重合開始剤とを含有する硬化性組成物を提供する。
[式1]
【化3】
【0021】
式1において、R1~R4は、それぞれ独立して水素又はC1~6アルキル基であり、aは1~10の整数であり、bは5~90の整数である。
【0022】
更に、本発明は、(A)下記式1で表されるポリオールから誘導されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、(B)(メタ)アクリレート系架橋剤と、(C)光重合開始剤とを含有する硬化性組成物であって、硬化性組成物から製造されたフィルムが、動的機械分析装置(DMA)を使用して測定したときに-60℃~-10℃のガラス転移温度(Tg)を有する、硬化性組成物を提供する。
[式1]
【化4】
【0023】
式1において、R1~R4は、それぞれ独立して水素又はC1~6アルキル基であり、aは1~10の整数であり、bは5~90の整数である。
【0024】
(A)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー
本発明で使用されるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、式1で表されるポリオールから誘導される。
【0025】
具体的には、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、アクリレート系化合物と、イソシアネート系化合物と、上記式1で表されるポリオールとから誘導することができる。
【0026】
アクリレート系化合物は、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリメチルノルボルニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテル(メタ)アクリレート、メチルビシクロヘプチル(メタ)アクリレート、エチルトリシクロデシル(メタ)アクリレート、アダマンタニル(メタ)アクリレート、メチルアダマンタニル(メタ)アクリレート、エチルアダマンタニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルアダマンタニル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンタニル(メタ)アクリレート、メトキシブチルアダマンタニル(メタ)アクリレート、カルボキシルアダマンタニル(メタ)アクリレート、5-オキソ-4-オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン-2-イルプロプ-2-エノエート、7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-イルメチルプロプ-2-エノエート、トリプロピレングリコール-ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド-変性トリメチロールプロパンジアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビスフェノールAジアクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0027】
更に、イソシアネート系化合物は、1分子あたり平均2個以上のイソシアネート基、好ましくは2~4個のイソシアネート基を有していてもよい。例えば、イソシアネート系化合物は、5~20個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、又は芳香族イソシアネートであってよく、ジイソシアネートが好ましい場合があるが、これらに限定されない。
【0028】
通常、耐衝撃性、可撓性、及び柔軟性を高めるためには、脂環式又は脂肪族のイソシアネートが好ましい場合がある。しかしながら、本発明は式1で表されるポリオールを使用するため、脂環式又は脂肪族のイソシアネート、並びにアリール脂肪族又は芳香族のイソシアネートなどの、イソシアネートの種類が特に限定されない場合であっても、耐衝撃性、可撓性、及び柔軟性を向上させることができる。
【0029】
例えば、イソシアネート化合物には、5-イソシアナト-1-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン、ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,2-ジイソシアナトベンゼン、1,3-ジイソシアナトベンゼン、1,4-ジイソシアナトベンゼン、2,4-ジイソシアナトトルエン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、1,2-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチルフェニル)エーテル、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)スルフィド、2,5-ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5-ジイソシアナトメチルテトラヒドロチオフェン、3,4-ジイソシアナトメチルテトラヒドロチオフェン、2,5-ジイソシアナト-1,4-ジチアン、2,5-ジイソシアナト-メチル-1,4-ジチアン、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種のイソシアネートが含まれ得る。
【0030】
式1で表されるポリオールは、4,400g/モル~16,000g/モルの重量平均分子量を有し得る。例えば、式1で表されるポリオールの重量平均分子量は、4,400g/モル~16,000g/モル、6,000g/モル~12,000g/モル、又は8,000g/モル~10,000g/モルであってよい。
【0031】
更に、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、2重量%~10重量%のアクリレート系化合物と、3重量%~20重量%のイソシアネート系化合物と、70重量%~95重量%の上記式1で表されるポリオールとから誘導することができる。
【0032】
例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、2重量%~9重量%、4重量%~8重量%、又は5重量%~6重量%のアクリレート系化合物と、3重量%~20重量%、5重量%~15重量%、又は8重量%~11重量%のイソシアネート系化合物と、70重量%~95重量%、80重量%~92重量%、又は85重量%~90重量%の上記式1で表されるポリオールとから誘導することができる。
【0033】
市販のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、SUO-2172、SUO-H7000、SUO-9103I20、及びSUO-3110H20(Shin-A TNCの製品)、Ebecryl(商標)8465、Ebecryl(商標)4513、Ebecryl(商標)4740、Ebecryl(商標)264、Ebecryl(商標)265、Ebecryl(商標)1258、Ebecryl(商標)3703、Ebecryl(商標)8800-20R、Ebecryl(商標)8501、Ebecryl(商標)230、Ebecryl(商標)270、Ebecryl(商標)8896、RX20089、RX20095、及びRX20097(Allnex USA Inc.の製品)、Photomer(商標)6010及びPhotomer(商標)6892(IGM Resinsの製品)、CN929、CN8804、CN9021、及びCN8804(Sartomer USA,LLCの製品)、BR-742S、BR-742M、BR541MB、BR344、Bomar(商標)BR-641D、Bomar(商標)BR-7432GB、Bomar(商標)BR-344、Bomar(商標)BR-345、Bomar(商標)BR-374、Bomar(商標)BR-543、Bomar(商標)BR-3042、Bomar(商標)BR-3641AA、Bomar(商標)BR-3641AJ、Bomar(商標)BR-3741、Bomar(商標)BR-3741AJ、Bomar(商標)BR-14320S、Bomar(商標)BR-204、及びBomar(商標)BR-543MB(Dymax Corporationの製品)が挙げられる。
【0034】
更に、硬化性組成物は、固形分を基準として50重量%~90重量%の量でウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含み得る。例えば、硬化性組成物は、固形分を基準として51重量%~88重量%、52重量%~85重量%、53重量%~82重量%、54重量%~81重量%、50重量%~80重量%、52重量%~78重量%、又は54重量%~76重量%の量でウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含み得る。
【0035】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が上記範囲を満たすため、具体的には硬化性組成物の各成分の含有量が調整されるため、耐引掻き性及び機械的特性に優れ、更に可撓性及び柔軟性にも優れており、低いガラス転移温度及び高い貯蔵弾性率を有するフィルム提供することが可能である。より具体的には、本発明は、式1で表されるポリオールを使用することから、耐引掻き性及び機械的特性を低下させることなしに可撓性及び柔軟性を更に向上させることができる。
【0036】
(B)(メタ)アクリレート系架橋剤
本発明の硬化性組成物は、(メタ)アクリレート系架橋剤を含有する。
【0037】
具体的には、硬化性組成物は、少なくとも1つの反応性(メタ)アクリレート部位を有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート系架橋剤を含み得る。本発明の硬化性組成物が硬化すると、架橋剤は組成物の他の成分と反応して硬化したコーティングを形成することができる。
【0038】
具体的には、(メタ)アクリレート系架橋剤は、一官能性アクリレート架橋剤であってもよく、二官能性アクリレート架橋剤であってもよく、或いは三官能性又はそれ以上の官能性のアクリレート架橋剤であってもよい。例えば、(メタ)アクリレート系架橋剤は、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデシル(メタ)アクリレート、トリメチルノルボルニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテル(メタ)アクリレート、メチルビシクロヘプチル(メタ)アクリレート、エチルトリシクロデシル(メタ)アクリレート、アダマンタニル(メタ)アクリレート、メチルアダマンタニル(メタ)アクリレート、エチルアダマンタニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルアダマンタニル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンタニル(メタ)アクリレート、メトキシブチルアダマンタニル(メタ)アクリレート、カルボキシルアダマンタニル(メタ)アクリレート、5-オキソ-4-オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン-2-イルプロプ-2-エノエート、7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-イルメチルプロプ-2-エノエート、トリプロピレングリコール-ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、t-ブチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビスフェノールAジアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート(ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物)、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、及びエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレートからなる群から選択することができるが、これらに限定されない。一実施形態によれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートであってよい。
【0039】
更に、硬化性組成物は、固形分を基準として0.5重量%~40重量%の量で(メタ)アクリレート系架橋剤を含み得る。例えば、硬化性組成物は、固形分を基準として1重量%~38重量%、2重量%~36重量%、3重量%~35重量%、5重量%~34.5重量%、7重量%~34重量%、10重量%~33.5重量%、11.5重量%~33.5重量%、12.1重量%~33.5重量%、又は12.3重量%~33.4重量%の量で(メタ)アクリレート系架橋剤を含み得る。
【0040】
(C)光重合開始剤
本発明の硬化性組成物は、光重合開始剤を含有する。
【0041】
光重合開始剤は、ホスフィンオキシド系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、アセトフェノン系、オキシム系、ケトン系、ビイミダゾール系、ジアゾ系、カルバゾール系、トリアジン系、オニウム塩系、チオキサントン系、イミドスルホネート系化合物、又はそれらの誘導体を含み得る。好ましいものはホスフィンオキシド系化合物又はその誘導体であるが、それらに限定されない。
【0042】
例えば、光重合開始剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、エチル(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ジエチルチオキサントン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシフェニル-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキソジアゾール、9-フェニルアクリジン、3-メチル-5-アミノ-((s-トリアジン-2-イル)アミノ)-3-フェニルクマリン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリルダイマー、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-オクタン-1,2-ジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)、o-ベンゾイル-4’-(ベンズメルカプト)ベンゾイル-ヘキシル-ケトキシム、2,4,6-トリメチルフェニルカルボニル-ジフェニルホスホニルオキシド、ヘキサフルオロホスホロ-トリアルキルフェニルスルホニウム塩、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2,2’-ベンゾチアゾリルジスルフィド、(E)-2-(4-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イルフェニル)-ブタン-1-オン、又はそれらの混合物を含み得る。
【0043】
一実施形態によれば、光重合開始剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、エチル(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0044】
市販の光重合開始剤の例としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(OMNIRAD(商標)TPO、IGM RESINSの製品)、及びエチル(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネート(SPEEDCURE(商標)XKm、Lambson Limitedの製品)が挙げられる。
【0045】
更に、硬化性組成物は、固形分を基準として0.01重量%~5重量%の量で光重合開始剤を含み得る。例えば、硬化性組成物は、固形分を基準として0.05重量%~3.5重量%、0.1重量%~3重量%、0.3重量%~2.5重量%、0.8重量%~2.2重量%、1重量%~2重量%、1.1重量%~1.6重量%、又は1.25重量%~1.4重量%の量で光重合開始剤を含み得る。
【0046】
(D)アクリルアミド化合物
本発明の硬化性組成物は、アクリルアミド化合物を更に含み得る。
【0047】
具体的には、アクリルアミド化合物は、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N-イソプロピルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、tert-ブチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、及びN-ヒドロキシエチルアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1つを含み得る。密着性の観点からはアクリロイルモルホリンが好ましい場合があるが、これに限定されない。
【0048】
更に、硬化性組成物は、固形分を基準として0.5重量%~20重量%の量でアクリルアミド化合物を含み得る。例えば、硬化性組成物は、固形分を基準として0.5重量%~18重量%、0.7重量%~16重量%、0.8重量%~13重量%、1重量%~11重量%、2.5重量%~10.5重量%、3.5重量%~10重量%、3.9重量%~9.9重量%、4.5重量%~9.9重量%、5重量%~9.9重量%、4.5重量%~10重量%、又は4重量%~9.9重量%の量でアクリルアミド化合物を含み得る。
【0049】
添加剤
本発明の硬化性組成物は、界面活性剤、強化剤、シランカップリング剤、及びフリーラジカル禁止剤からなる群から選択される少なくとも1種の成分を更に含み得る。
【0050】
本発明の硬化性組成物は、硬化性やコーティング性を向上させ、欠陥の発生を防止するために、必要に応じて界面活性剤を更に含み得る。
【0051】
界面活性剤の種類は、特に限定されない。好ましくは、それには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、非イオン界面活性剤等が含まれ得る。好ましくは、上記の中でもBYK製のBYK307が分散性の観点から用いられ得る。
【0052】
例えば、界面活性剤には、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、並びに非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなど;ポリオキシエチレンアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなど;及びポリオキシエチレンジアルキルエステル、例えばポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどが含まれ得る。
【0053】
市販の界面活性剤としては、BM-1000及びBM-1100(BM CHEMIEの製品)、Megapack F-142D、Megapack F-172、Megapack F-173、Megapack F-183、F-470、F-471、F-475、F-482、及びF-489(Dai Nippon Ink Chemical Kogyoの製品)、Florad FC-135、Florad FC-170C、Florad FC-430、及びFlorad FC-431(Sumitomo 3Mの製品)、Sufron S-112、Sufron S-113、Sufron S-131、Sufron S-141、Sufron S-145、Sufron S-382、Sufron SC-101、Sufron SC-102、Sufron SC-103、Sufron SC-104、Sufron SC-105、及びSufron SC-106(Asahi Glassの製品)、Eftop EF301、Eftop EF303、及びEftop EF352(Shinakida Kaseiの製品)、SH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428、DC-57、及びDC-190(Toray Siliconの製品)、DC3PA、DC7PA、SH11PA、SH21PA、SH8400、FZ-2100、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2222、及びFZ-2233(Dow Corning Toray Siliconの製品)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4446、TSF-4460、及びTSF-4452(GE Toshiba Siliconの製品)、BYK-333(BYKの製品)、オルガノシロキサンポリマーKP341(Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd.の製品)、及び(メタ)アクリル酸コポリマーPolyflow No.57、95(Kyoeisha Yuji Kagaku Kogyo Co.,Ltd.の製品)が挙げられる。それらは、単独で又はそれらの2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0054】
更に、硬化性組成物は、固形分を基準として0.001重量%~5重量%の量で界面活性剤を含み得る。例えば、硬化性組成物は、固形分を基準として0.001重量%~3重量%、0.002重量%~2重量%、又は0.005重量%~1.2重量%の量で界面活性剤を含み得る。
【0055】
硬化性組成物は、エポキシ化合物、ポリエーテル化合物、及びポリエーテルアミンからなる群から選択される少なくとも1種の強化剤を更に含み得る。
【0056】
例えば、強化剤には、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのエポキシ化合物、ポリエーテル化合物、エチレンオキシ及びプロピレンオキシ又はエチレンオキシ及びブチレンオキシコポリマー、ポリエーテルアミン、例えばポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル)、トリメチロールプロパントリス[ポリ(プロピレングリコール),アミン末端]エーテルなどを含まれ得る。
【0057】
市販の強化剤の例としては、FORTEGRA(商標)100、FORTEGRA(商標)202、TERGITOLL-61(商標)100(Dow Chemical Companyの製品)、PLURONIC(商標)、TETRONIC(商標)、PolyTHF(商標)(BASFの製品)、JEFFAMINE(商標)D230、JEFFAMINE(商標)T403(Huntsmanの製品)などが挙げられる。
【0058】
フリーラジカル禁止剤は、例えば4-メトキシルフェノール(MEHQ)、フェノチアジン(PTZ)、4-ヒドロキシル-TEMPO(4HT)などであってよいが、これらに限定されない。
【0059】
シランカップリング剤は、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有し得る。
【0060】
例えば、シランカップリング剤は、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランかる群から選択される少なくとも1つを含み得る。
【0061】
更に、シランカップリング剤は、アミン系シランカップリング剤を含み得る。具体的には、下記式2で表されるアミン系シランカップリング剤を含み得る。
[式2]
NH2-L1-NH-L2-Si(OR5)3
【0062】
式2において、L1及びL2は、それぞれ独立して、C1~6アルキレン基であり、R5はC1~6アルキル基である。
【0063】
具体的には、L1及びL2は、それぞれ独立して、C1~4アルキレン基又はC1~3アルキレン基である。R5は、C1~5アルキル基、C1~4アルキル基、又はC1~3アルキル基であってよい。より具体的には、R5はメチル基又はエチル基であってよい。
【0064】
硬化性組成物がシランカップリング剤を含むことから、信頼性を向上させることができる。具体的には、本発明の硬化性組成物はアミン系シランカップリング剤を含み、より具体的には式2で表されるアミン系シランカップリング剤を更に含むことから、フィルム保持率を向上させることができ、また高温高湿条件下で繰り返し曲げ試験を行った場合であっても、フィルムが下にある基材から剥離する座屈などの現象を効果的に防止することができ、それによって信頼性を最大限に高めることができる。
【0065】
更に、硬化性組成物は、固形分を基準として0.01重量%~7重量%の量でシランカップリング剤を含み得る。例えば、硬化性組成物は、固形分を基準として0.01重量%~6.5重量%、0.01重量%~6重量%、0.02重量%~5重量%、0.02重量%~4重量%、0.02重量%~3.5重量%、0.05重量%~3重量%、又は1重量%~3重量%の量でシランカップリング剤を含み得る。
【0066】
溶媒
本発明の硬化性組成物は、上記成分が溶媒と混合された液状組成物として調製することができる。担体としての溶媒は、有機溶媒(有機溶媒の混合物を含む)であってよい。
【0067】
例えば、溶媒には、プロピレングリコールメチルエーテル;プロピレングリコールメチルアセテートなどのエーテルアセテート;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、及びジメチルケトンなどのケトン;メチル-2-ヒドロキシルイソブチレート、酢酸エチル、及び酢酸ブチルなどのエステル;メタノール及びブタノールなどのアルコール;又はそれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0068】
溶媒の含有量は、特に限定されないが、硬化性組成物の総重量を基準として10重量%~90重量%、15重量%~85重量%、又は30重量%~85重量%であってよい。
【0069】
光酸発生剤、光塩基発生剤、及び熱酸発生剤
本発明の硬化性組成物は、光酸発生剤、光塩基発生剤、及び熱酸発生剤からなる群から選択される少なくとも1種を含み得る。
【0070】
光酸発生剤は光にさらされると酸性になる。したがって、これは、酸により触媒される反応の光開始剤として機能することができる。これはイオン性であっても非イオン性であってもよい。光酸発生剤には、オニウム塩、非イオン性スルホン酸エステル、又はスルホン酸化合物が含まれ得る。
【0071】
例えば、光酸発生剤は、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチルフェニルヨードニウムカンファースルホネートなどのオニウム塩;2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネートなどのニトロベンジル誘導体;1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンなどのスルホン酸エステル;ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン及びビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタンなどのジアゾメタン誘導体;ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシムなどのグリオキシム誘導体;N-ヒドロキシナフタルイミドトリフレート、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、及びN-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステルなどのN-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体;並びに2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル))-1,3,5-トリアジンなどのハロゲン含有トリアジン化合物であってよいが、これに限定されない。
【0072】
具体例として、光酸発生剤には、N-ヒドロキシナフタルイミドトリフレート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、ジ-t-ブチルフェニルヨードニウムカンファースルホネート、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、ビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、及び2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンからなる群から選択される少なくとも1つが含まれ得る。
【0073】
光塩基発生剤は、光(又は活性化エネルギー線)の照射時に塩基を発生させる特性を有する化合物を含み得る。例えば、光塩基発生剤は、300nm以上の波長でも感光性範囲を有する高感受性化合物を含み得る。
【0074】
光塩基発生剤は、ポリアミン光塩基発生剤成分を含む架橋性化合物を含み得る。光塩基発生剤は、光(例えば、UV)の照射時に塩基を発生させることから、空気中の酸素により阻害されず、その結果、これは腐食又は劣化の防止に有用である。
【0075】
光塩基発生剤の例としては、WPBG-018(Wakoの製品、CAS No.122831-05-7、9-アントリルメチル-N,N-ジエチルカルバメート)、WPBG-027(CAS No.1203424-93-4、(E)-1-ピペリジノ-3-(2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペン-1-オン)、WPBG-266(CAS No.1632211-89-2、1,2-ジイソプロピル-3-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]グアニジウム2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオネート)、WPBG-300(CAS No.1801263-71-7、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジニウムn-ブチルトリフェニルボレート)などが挙げられる。光塩基発生剤は、単独で又はその2種以上の組み合わせで使用され得る。
【0076】
熱酸発生剤は、特定の温度で酸を発生する化合物を指す。そのような化合物は、酸発生部分と、酸の性質をブロックする酸ブロック部分とから構成される。熱酸発生剤は、特定の温度に達すると、酸発生部分が酸ブロック部分から分離して酸を発生することができる。
【0077】
熱酸発生剤は、酸ブロック部分としてアミン、第四級アンモニウム、金属、共有結合などを含んでいてもよく、具体的にはアミン又は第四級アンモニウムを含み得る。更に、酸発生部分は、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、アンチモン酸塩などを含んでいてもよい。
【0078】
酸ブロック部分としてアミンを含有する熱酸発生剤は、水や極性溶媒への溶解性が高く、無溶剤型製品に適用できる点で優位性を有している。加えて、広い温度範囲で酸を発生できるのみならず、酸発生後のアミン化合物は揮発して塗布された材料の中に残らない。アミンを含有する代表的な熱酸発生剤の例としては、TAG-2713S、TAG-2713、TAG-2172、TAG-2179、TAG-2168E、CXC-1615、CXC-1616、TAG-2722、CXC-1767、及びCDX-3012(KING Industriesの製品)が挙げられる。
【0079】
酸ブロック部分として第四級アンモニウムを含む熱酸発生剤は白色粉末形態の固体状態であり、溶媒への溶解性は比較的限定的である。しかしながら、開始温度が80℃~220℃の範囲内の様々なタイプが存在し、これは適用プロセスに応じて必要な開始温度の第四級アンモニウムを含む熱酸発生剤を適切に選択して使用できるという利点を有している。加えて、酸ブロック部分として第四級アンモニウムを含む熱酸発生剤では、酸発生後に形成された化合物が揮発せずに塗布された材料中に残り、その結果これは主に疎水性材料に適用可能である。第四級アンモニウムを含む代表的な熱酸発生剤の例としては、CXC-1612、CXC-1733、CXC-1738、TAG-2678、CXC-1614、TAG-2681、TAG-2689、TAG-2690、及びTAG-2700(KING Industriesの製品)が挙げられる。
【0080】
酸ブロック部分としてアミン又は第四級アンモニウムを含む様々なタイプの熱酸発生剤が存在し、それらは上述した利点のため最も一般的に使用されている。
【0081】
酸ブロック部分として金属を含む熱酸発生剤は、通常、一価又は二価の金属イオンを含む。それらのほとんどは触媒として機能し、疎水性材料と親水性材料の両方に適用することができる。金属を含む熱酸発生剤の例としては、CXC-1613、CXC-1739、及びCXC-1751(KING Industriesの製品)が挙げられる。金属を含む一部の熱酸発生剤は、環境への影響や信頼性を考慮して使用が制限される場合がある。
【0082】
酸ブロック部分として共有結合を含む熱酸発生剤では、酸の発生後に形成される化合物が揮発せずに塗布された材料中に残り、その結果これは主に疎水性材料に適用可能である。通常、これらは安定な構造を有する一方で、溶媒への溶解性は比較的限定的であるため、それらの使用が限定される。共有結合を含む熱酸発生剤の例としては、CXC-1764、CXC-1762、及びTAG-2507(KING Industriesの製品)などが挙げられる。
【0083】
更に、硬化性組成物は、固形分を基準として0.1重量%~20重量%の量で光酸発生剤、光塩基発生剤、又は熱酸発生剤を含み得る。例えば、光酸発生剤、光塩基発生剤、又は熱酸発生剤の含有量は、固形分を基準として0.2重量%~18重量%、0.3重量%~15重量%、0.5重量%~10重量%、又は1重量%~8重量%であってよい。
【0084】
フィルム
本発明は、硬化性組成物から形成されるフィルムを提供する。
【0085】
具体的には、硬化性組成物は、様々な基材の表面に塗布してから硬化させることができるコーティング組成物として使用することができる。これを基材の表面に塗布して硬化させた後、剥がすことでフィルムを形成することができる。
【0086】
基材は、ディスプレイ分野における使用に適した基材であってよく、例えばシリコンウェハ、スライドガラス、ポリマーシート又はロール、ポリマーフィルムなどを使用することができるが、これらに限定されない。ポリマーフィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、環状オレフィンポリマー若しくは環状オレフィンコポリマー、脂肪族ポリウレタン、又はポリイミドであってよいが、これらに限定されない。
【0087】
硬化性組成物を基材に塗布する方法は、ドローダウンバーコーティング、ワイヤバーコーティング、スロットダイコーティング、ロールツーロールコーティング、スリットコーティング、フレキソ印刷、インプリンティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、スピンコーティング、フラッドコーティング、フローコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビアコーティングなどであってよいが、これらに限定されない。
【0088】
例えば、硬化性組成物を基材に塗布した後、60℃~150℃、70℃~120℃、又は70℃~90℃の温度でソフトベーク又はポストベークして溶媒を除去することができる。ソフトベークに続いてポストベークが行われてもよい。
【0089】
更に、これは、200mJ/cm2~8,000mJ/cm2、400mJ/cm2~6,000mJ/cm2、又は500mJ/cm2~4,500mJ/cm2のUV線量で、240nm~400nmの波長を有する紫外光(UV)に露光することによって硬化することで、フィルムを形成することができる。そのような場合、UVシステムとして、Fusion D電球、H UVランプ、又は中圧水銀UVランプを使用することができるが、これに限定されない。
【0090】
フィルムは、動的機械分析装置(DMA)を使用して測定した場合、-60℃~-10℃のガラス転移温度(Tg)を有する。例えば、フィルムのガラス転移温度は、-60℃~-15℃、-59℃~-20℃、-58℃~-23℃、又は-57℃~-26℃であってよい。ガラス転移温度が上記範囲を満たす場合、可撓性及び柔軟性を最大に高めることができる。より具体的には、高温高湿条件下で繰り返し曲げ試験を行った場合であっても、フィルムが下にある基材から剥離する座屈などの現象を効果的に防止することができ、それによって信頼性を最大限に高めることができる。
【0091】
ガラス転移温度は、動的機械分析装置を使用して測定することができる。動的機械分析装置によってフィルムについて測定されたピーク温度をガラス転移温度とすることができる。
【0092】
更に、フィルムは、-20℃で20MPa~595MPaの貯蔵弾性率、及び60℃で1MPa~350MPaの貯蔵弾性率を有し得る。例えば、フィルムの-20℃における貯蔵弾性率は、30MPa~590MPa、70MPa~585MPa、100MPa~585MPa、160MPa~585MPa、175MPa~570MPa、190MPa~565MPa、又は210MPa~500MPaであってよく、その60℃における貯蔵弾性率は、3MPa~335MPa、10MPa~325MPa、25MPa~305MPa、30MPa~290MPa、33MPa~260MPa、35MPa~200MPa、36MPa~180MPa、38MPa~155MPa、40MPa~130MPa、42MPa~102MPa、42MPa~85MPa、又は44MPa~77MPaであってよい。本発明の硬化性組成物から製造されるフィルムは、上記範囲をそれぞれ満たす-20℃における貯蔵弾性率と60℃における貯蔵弾性率を有しているため、耐衝撃性、耐引掻き性、可撓性、及び柔軟性の全てに優れている。
【0093】
フィルムは、40μm~130μmの厚さを有し得る。例えば、フィルムの厚さは、40μm~110μm、40μm~95μm、40μm~80μm、42μm~65μm、42μm~55μm、又は43μm~50μmであってよい。
【0094】
また、室温で1.5Rの曲率半径で100,000回折り畳む繰り返し曲げ試験をフィルムに対して行った場合、白化及び亀裂は生じず、そのためフレキシブルディスプレイ装置に有利に利用することができる。
【0095】
本発明の形態
以降で、以下の実施例を参照しながら、本発明を更に詳しく説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲は、これらの実施例のみに限定されない。
【実施例0096】
硬化性組成物の調製
実施例1-1~1-10及び比較例1-1~1-5
表1に示す成分を表2~4に示す通りに配合して硬化性組成物を調製した。全ての成分は受け取ったままの状態で使用し、成分を秤量してガラスバイアルに添加した。組成物を必要に応じて回転及び加熱して均一なサンプルを得た。
【0097】
そのような場合、実施例及び比較例で使用した成分についての情報は下の表1に示す通りであり、表2~4の中の数字は重量部を示す。
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
硬化性組成物からのフィルムの製造
実施例2-1~2-10及び比較例2-1~2-4
実施例1-1~1-10及び比較例1-1~1-4で調製した硬化性組成物を、スロットダイコーター(nTact nRadコーター)を使用して剥離基材上に40μm~130μmの厚さにそれぞれ塗布した。その後、90℃でのソフトベークプロセスとポストベークプロセスにより溶媒を除去し、Dバルブ(照射エネルギー出力100nm~440nm)を備えたフュージョンUV硬化システム(F300S)を使用してそれぞれのコーティングした膜を硬化させた。具体的には、取り付けられたコンベアのベルト速度を約15.25m/分(約50ft/分)に設定し、UV照射量が500mJ/cm2~4,500mJ/cm2になるようにUVベルトを数回通して、十分に硬化させた。
【0103】
その後、硬化したフィルムを90℃で15分間ベークして、全ての残留有機溶媒及び未反応モノマーを除去した。次いで、硬化したウレタン(メタ)アクリレートコーティングを、フィルムを得るためにカミソリの刃を使用して剥離基材から剥がし、これを評価した。ただし、以下の繰り返し曲げ試験は、剥離基材の代わりにPET基材を使用して製造したフィルムについて行った。
【0104】
[試験実施例]
試験実施例1:貯蔵弾性率
実施例2-1~2-10及び比較例2-1~2-4で製造したフィルムを、幅10mm、長さ50mmのサイズそれぞれにカットし、これを振動モード(振動昇温モード)の動的機械分析装置(DMA、製品名:Q850、メーカー:TA Instrument)を使用して、-20℃及び60℃で、1Hzの周波数で貯蔵弾性率(MPa)について測定した。
【0105】
試験例2:ガラス転移温度
実施例2-1~2-10及び比較例2-1~2-4で製造したフィルムを、幅10mm、長さ50mmのサイズそれぞれにカットし、これを振動モード(振動昇温モード)の動的機械分析装置(DMA、製品名:Q850、メーカー:TA Instrument)を使用して、-70℃~100℃の温度範囲で、1Hzの周波数でガラス転移温度(Tg)について測定した。
【0106】
図1は、動的機械分析装置(DMA)を使用して測定された実施例2-3及び比較例2-3のフィルムのガラス転移温度(Tg)を示す。具体的には、
図1に示されている通り、ピークが出現する温度をガラス転移温度(Tg)とした。
【0107】
試験例3:繰り返し曲げ試験1
実施例2-1~2-10及び比較例2-1~2-4で製造したフィルムを、幅10mm、長さ50mmのサイズそれぞれにカットし、折り曲げ耐久性試験機(商品名:Foldy、メーカー:Flexigo)を使用して、室温でクラムシェル型に曲率半径1.5Rで100,000回折り畳む繰り返し曲げ試験を行った。 その後、白化及び亀裂を以下の基準で評価した:
*合格:亀裂が観察されなかった
*不合格:亀裂が観察された
【0108】
試験例4:繰り返し曲げ試験2
実施例2-1~2-10及び比較例2-1~2-4で製造したフィルムを、幅10mm、長さ50mmのサイズそれぞれにカットし、高温高湿条件下(温度60℃、湿度90%)のチャンバー内で60時間経過する前と後に、折り曲げ耐久性試験機(商品名:Foldy、メーカー:Flexigo)を使用して、クラムシェル型に曲率半径1.5Rで100,000回折り畳む繰り返し曲げ試験を行った。
*合格:亀裂が観察されなかった
*不合格:亀裂が観察された
【0109】
図2~4は、繰り返し曲げ試験2を行った実施例2-3並びに比較例2-1及び2-3のフィルムの表面写真である。具体的には、実施例2-3並びに比較例2-1及び2-3のフィルムをそれぞれ高温高湿条件下(温度60℃、湿度90%)のチャンバー内で60時間経過後に100,000回折り畳む繰り返し曲げ試験を行い、亀裂が形成されたか否かを確認した。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
表5~7の結果を参照すると、本発明の範囲内の実施例の組成物から製造されたフィルムは、貯蔵弾性率、可撓性、柔軟性、ガラス転移温度、及び付着性などの機械的特性の点で全体的に優れていた。対照的に、本発明の範囲外である比較例の組成物から製造されたフィルムは、実施例の組成物から製造されたフィルムと比較して、貯蔵弾性率などの機械的物性が低下しているか、又は可撓性、柔軟性、ガラス転移温度、若しくは付着性が不十分であった。