(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091514
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ステムを有するプロテーゼインプラント用のセグメント化キール
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A61F2/38
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023209803
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】63/434,566
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/526,955
(32)【優先日】2023-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502427840
【氏名又は名称】ジンマー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ティム ヨーコ
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア バーカー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC16
4C097SC08
4C097SC09
(57)【要約】
【課題】ステムを有するプロテーゼインプラント用のセグメント化キールを提供する。
【解決手段】脛骨インプラントは、近位及び遠位表面を有するトレイプレート、遠位表面から延在するステム、遠位表面から延在するセグメント化キールであって、ステム近傍に第1のノッチを有する第1の翼部を含むセグメント化キール及びこれと軸方向に整列した第1の軸方向位置においてステムに沿って延在する第1のテーパを含む脛骨トレイコンポーネントを備える。ステム用スリーブは、環状本体、これを通って延在し、モールステーパを含む内側通路、環状本体内に延在し、内側通路及びモールステーパと交差する第1のスロットを含む。方法は、金属材料からステム付きプロテーゼコンポーネントを製造し、ステムから延在するキール翼部内のノッチ内へ機械加工用工具を前進させ、ノッチ内の機械加工用工具を用いてステム上にモールステーパを形成することを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脛骨トレイコンポーネントを備える脛骨インプラントであって、
前記脛骨トレイコンポーネントは、
トレイプレートであって、
近位表面と、
遠位表面と、
を含むトレイプレートと、
前記遠位表面から延在するステムと、
前記遠位表面から延在するセグメント化キールであって、前記ステムの近傍に第1のノッチを有する第1の翼部を含むセグメント化キールと、
前記セグメント化キールと軸方向に整列した第1の軸方向位置において前記ステムに沿って延在する第1のテーパと、
を含む、脛骨インプラント。
【請求項2】
前記第1のノッチは、前記ステムに隣接している、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項3】
前記第1の翼部は、前記第1のノッチにおける前記遠位表面からの第1の高さと、前記第1のノッチから離れた、前記遠位表面からの第2の高さとを有し、前記第2の高さは前記第1の高さよりも大きい、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項4】
前記第1の翼部から離隔し、前記遠位表面から延在する第2の翼部をさらに含む、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項5】
前記第1のテーパは、前記第1のノッチ内に延在する、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項6】
前記第1のテーパは、前記第1のノッチ内の前記第1の翼部の一部分によって前記トレイプレートの前記遠位表面から離隔されている、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項7】
前記第1のテーパは、モールステーパを含む、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項8】
前記ステムは、前記ステムの遠位先端部において第2の軸方向位置に第2のテーパを含み、前記第2のテーパは、前記ステムの括れ部分を含む、請求項5に記載の脛骨インプラント。
【請求項9】
前記ステムに結合可能なスリーブをさらに含み、前記スリーブは、前記第1の翼部を収容するための第1のスロットを含む、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項10】
前記第1の翼部は、第1のノッチ内に嵌合し、前記スリーブの近位表面は、前記トレイプレートの前記遠位表面に近接することができる、請求項9に記載の脛骨インプラント。
【請求項11】
前記スリーブは、さらに、前記第1のスロットにおいて前記スリーブの外部表面から突出する第1のローブを含む、請求項9に記載の脛骨インプラント。
【請求項12】
前記第1のローブ内に延在し、第1のスロットの延長部分を形成するチャネルをさらに含む、請求項11に記載の脛骨インプラント。
【請求項13】
前記スリーブは、前記トレイプレートの前記遠位表面から離隔した前記第1のノッチ内に嵌合するように構成されている、請求項9に記載の脛骨インプラント。
【請求項14】
前記ステムに結合可能なスリーブをさらに含み、前記スリーブは、前記第1のノッチ内に収容されるように構成された第1のスリーブ翼部を含む、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項15】
プロテーゼインプラントのステム用のスリーブであって、
環状本体と、
前記環状本体を通って延在する内側通路であって、モールステーパを含む内側通路と、
前記環状本体内に延在し、前記内側通路及び前記モールステーパと交差する第1のスロットと、
を備えるスリーブ。
【請求項16】
前記環状本体は、前記第1のスロットと整列した前記環状本体の外部表面から延在する第1のローブを含み、前記第1のローブは、前記第1のスロットから延在する第1のチャネルを含む、請求項15に記載のスリーブ。
【請求項17】
前記環状本体内に延在し、前記内側通路及び前記モールステーパと交差する第2のスロットと、
前記第2のスロットと整列した前記環状本体の前記外部表面から延在する第2のローブと、
前記第2のスロットから延在する第2のチャネルと、
をさらに含む、請求項16に記載のスリーブ。
【請求項18】
前記内側通路は、前記環状本体の近位表面から前記モールステーパの間隔を空ける第1のレッジを含む、請求項15に記載のスリーブ。
【請求項19】
プロテーゼインプラントであって、
関節接合用コンポーネントと、
前記関節接合用コンポーネントから延在するステムと、
前記ステムから延在する第1のセグメント化キール翼部と、
を含むプロテーゼコンポーネントと、
環状本体と、
前記ステムを収容するように構成された前記環状本体を通って延在する内側通路と、
前記環状本体内に延在し、前記内側通路と交差する第1のスロットであって、前記第1のセグメント化キール翼部と整列するように構成されている第1のスロットと、
を含むスロット付きスリーブと、
を備えるプロテーゼインプラント。
【請求項20】
前記第1のスロットは、前記第1のセグメント化キール翼部内へ延在する第1のノッチよりも半径方向に長い、請求項19に記載のプロテーゼインプラント。
【請求項21】
前記内側通路が前記ステム上に完全に据え付けられた場合に、前記スロット付きスリーブの近位表面が前記関節接合用コンポーネントから離隔されている、請求項19に記載のプロテーゼインプラント。
【請求項22】
前記ステム及び前記内側通路は、軸方向重複部分を有するモールステーパを用いて第1のセグメント化キール翼部と嵌合するように構成されている、請求項19に記載のプロテーゼインプラント。
【請求項23】
ステム付きプロテーゼコンポーネントを製造する方法であって、
金属材料から前記ステム付きプロテーゼコンポーネントを製造することと、
前記ステム付きプロテーゼコンポーネントから延在するステムの周りに機械加工用工具を位置決めすることと、
前記ステムから延在するキール翼部内のノッチ内へ前記機械加工用工具を前進させることと、
前記ノッチ内の前記機械加工用工具を用いて前記ステム上にモールステーパを形成すること、
を含む方法。
【請求項24】
前記機械加工用工具は、前記キール翼部の最遠位端部を通過し、近位方向へ前進させられる、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、優先権の利益が本明細書により主張されておりかつその全体が参照により本明細書に組込まれている2022年12月22日出願の米国仮特許出願第63/434,566号明細書及び2023年12月1日出願の米国特許出願第18/526,955号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、概して、ただし非限定的に、骨内に挿入されるように構成されたステムを有するプロテーゼインプラント装置に関する。より具体的には、ただし非限定的に、本出願は、骨物質と係合するためのキール付きステムを有するプロテーゼ脛骨及び大腿骨コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0003】
大腿骨コンポーネント及び脛骨コンポーネントのようなプロテーゼインプラント装置は、場合によっては、関節接合用コンポーネントから延在するステムを含む。例えば、脛骨コンポーネントは、支承コンポーネントに取付けられ、骨の骨端部分で脛骨の切除表面に接して据付けられるトレイを含むことができる。ステムは、トレイから骨の骨幹部分の長さに沿って脛骨内に延在することができる。場合によっては、骨端部分の下方の脛骨の骨幹端部分は、切除時点で損傷した又は健康でない海綿骨を含み得る。したがって、ステムよりも大きい骨の骨幹端部分の中に空間を残すために、ブローチ又はリーマを用いて、海綿骨などの脆弱化した骨材料を除去することが望ましい場合がある。場合によっては、空間を充填し、皮質骨又は他の骨物質との係合を提供する目的で、脛骨コンポーネントのステムに対してスリーブが機械的に結合される。さらに、ステムの周囲に、ただし、ステムから離隔した状態でコーンを設置して、骨物質と係合させることができる。プロテーゼインプラント装置はこうして、ステムに対しスリーブ、コーン及びキールを含めた異なる付属品を取付けることのできるコンポーネントシステムの一部であり得、このシステムによって、外科医は、患者にとって最良の成果を提供する付属品を選択する能力を得ることができる。
【0004】
ステムを有するプロテーゼインプラント用の取付け可能な付属品の例は、Bonitatiに対する特許文献1、Habegger他に対する特許文献2、Yoko他に対する特許文献3、Mines他に対する特許文献4、Leszko他に対する特許文献5、及びKeefer他に対する特許文献6に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,721,733号明細書
【特許文献2】米国特許第10,835,382号明細書
【特許文献3】米国特許第10,987,225号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0277528号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0277540号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2017/0000503号明細書
【発明の概要】
【0006】
当該発明者らは、脛骨コンポーネント及び大腿骨コンポーネントがリンク機構を介して連結されているリンク型全膝プロテーゼを使用することによって、大腿骨コンポーネントから脛骨コンポーネントに追加のトルクが印加される結果となり得るということを認識した。このような追加のトルクは、プロテーゼ脛骨コンポーネントと骨物質の間の破断を結果としてもたらす可能性がある。したがって、当該発明者らは、脛骨コンポーネントと骨物質の間に追加の固定機構又は回転防止機構を具備することが望ましいということを認識した。
【0007】
本発明の主題は、例えば、一体型キールを伴うステムを有するプロテーゼインプラントコンポーネントを提供することなどによって、この問題及び他の問題に対する解決法を提供できる。一体型キールは、例えば、関節及び大腿骨コンポーネントの動きなどの様々な原因による脛骨コンポーネントの回転に対する抵抗を提供することができる。したがって、本発明の主題は、より安定した現実的な性能を示す全膝構成物を提供できる、連結された全膝プロテーゼの使用を容易にすることができる。
【0008】
当該発明者らは、なかでも、ステム付きインプラントの使用において解決すべき問題には、外科手術中にプロテーゼインプラントのコンポーネントを組立てなければならないことの不都合さが含まれ得ることを認識する。上述の通り、特定の患者の骨物質に応じて、スリーブ、コーン又はキールなどの付属品を脛骨コンポーネントのステムの周りに位置決めすることが有利であり得る。しかしながら、いくつかの事例において、ステムは、付属品を全く用いることなく使用可能である。したがって、典型的な外科手術には、スリーブ又はキールなどの付属品コンポーネントを主プロテーゼコンポーネントに取り付け、他の付属品コンポーネントを未使用状態に放置する必要性が生じ得る。その上、多数の付属品のうちのいずれも使用しない又は1つしか使用しない結果として、未使用の付属品を再使用の前に再処理する、又は一度も使用せずに廃棄しなければならなくなる。
【0009】
本発明の主題は、セグメント化翼部を有する一体型キールを伴うステムを有するプロテーゼインプラントコンポーネントを提供することによって、この問題及び他の問題に対する解決法を提供することである。セグメント化翼部は、例えば、スロット又はノッチを含めることなどによって、スリーブを収容するように構成可能である。セグメント化翼部は、付属品を使用せずに一体型キールとして機能できる。さらに、セグメント化翼部内部のスロットによって、スリーブを脛骨トレイにより近いところでステムと係合させ、ステムの大きい方の長さに沿ってのインタロックを容易にすることができる。セグメント化キールは、それでもなおコーンの使用を可能にすることができる。したがって、セグメント化翼部を伴う一体型キールを有する脛骨コンポーネントは、こうして、付属品コンポーネント、詳細には別個のキールコンポーネントの数を削減でき、キールの機能性が所望される場合にステムと付属品の組立てを行なう必要性を無くすことができる。したがって、脛骨コンポーネントセット又はシステムは、一体化されセグメント化されたキール、コーン及びスリーブを伴う脛骨トレイコンポーネントのみを含むことができる。このようなシステムは、別個のキール付属品を製造し組立てる必要性が無くなる。
【0010】
当該発明者らは、また、ステムを有するプロテーゼインプラントに付属品コンポーネントを結合するのが困難であり得ることも認識した。詳細には、例えばモールステーパなどのテーパ状連結との干渉の可能性に起因して、キールを所定の場所にあるステムに対して付属品コンポーネントを取付けることが困難であり得る。モールステーパには、ステム及びスリーブの入念に機械加工された外側及び内側表面を嵌合させることが含まれる。しかしながら、ステムにおけるキールの翼部の存在は、スリーブの内側表面がステムの外側表面と当接する能力と干渉する可能性がある。
【0011】
本発明の主題は、例えば、機械加工用工具がステムの外側表面に沿って前進し、キールの翼部からの干渉なく円錐形テーパ表面を生成できるようにし得るセグメント化翼部を有するキールを提供することなどによって、この問題及び他の問題に対する解決法を提供することができる。したがって、脛骨トレイのより近くでテーパ状表面を形成するために、機械加工用工具を脛骨トレイのより近くに持ってくることができる。その後、スリーブなどの付属品コンポーネントは、トレイに近接したテーパ状連結のためにより長い係合長さを有することができる。
【0012】
一実施形態において、脛骨インプラントは、近位表面及び遠位表面、を含むトレイプレートと、遠位表面から延在するステムと、遠位表面から延在するセグメント化キールであって、ステムの近傍に第1のノッチを有する第1の翼部を含むセグメント化キールと、セグメント化キールと軸方向に整列した第1の軸方向位置においてステムに沿って延在する第1のテーパと、を含む脛骨トレイコンポーネントを含むことができる。
【0013】
別の実施形態において、プロテーゼインプラントのステム用スリーブは、環状本体と、環状本体を通って延在する内側通路であって、モールステーパを含む内側通路と、環状本体内に延在して内側通路及びモールステーパと交差する第1のスロットと、を含むことができる。
【0014】
別の実施形態において、プロテーゼインプラントは、関節接合用コンポーネント、関節接合用コンポーネントから延在するステム、及びステムから延在する第1のセグメント化キール翼部を含むプロテーゼコンポーネントと、環状本体、ステムを収容するように構成された環状本体を通って延在する内側通路、及び環状本体内に延在し、内側通路と交差する第1のスロットであって、第1のセグメント化キール翼部と整列するように構成されている第1のスロットを含むスロット付きスリーブと、を含むことができる。
【0015】
追加の実施形態において、ステム付きプロテーゼコンポーネントを製造する方法は、金属材料からステム付きプロテーゼコンポーネントを製造することと、ステム付きプロテーゼコンポーネントから延在するステムの周りに機械加工用工具を位置決めすることと、ステムから延在するキール翼部内のノッチ内へ機械加工用工具を前進させることと、ノッチ内の機械加工用工具を用いてステム上にモールステーパを形成すること、を含むことができる。
【0016】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供するように意図されている。これは、本発明の排他的又は網羅的説明を提供するように意図されたものではない。本特許出願についてのさらなる情報を提供するために、詳細な説明が含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】
図1Aは、脛骨コンポーネントと連動して回転するように構成された大腿骨コンポーネントを含むプロテーゼ膝アセンブリの前面又は前方斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、スロット付きスリーブと共に使用するように構成されたセグメント化キールを含む様々なコンポーネントを示す、
図1Aのプロテーゼ膝アセンブリの分解図である。
【
図2】
図2は、大腿骨コンポーネントのヒンジ軸と脛骨コンポーネントのヒンジポストとを連結するシャックルを示す、
図1Aのプロテーゼ膝アセンブリの横断面図である。
【
図3A-3B】
図3A及び
図3Bは、脛骨トレイ、スロット付きスリーブ、ブッシング及びキャップを示す
図1Aから
図2の脛骨コンポーネントの上面及び底面分解図である。
【
図4A-4B】
図4A及び
図4Bは、脛骨支承コンポーネントを伴わずにセグメント化キールに取付けられたスロット付きスリーブを伴う、
図3A及び
図3Bの脛骨コンポーネントの上面及び底面、又は上側及び下側斜視図である。
【
図5】
図5は、脛骨コンポーネントのステムに対して据付けられたスロット付きスリーブを示す、
図4A及び
図4Bの脛骨コンポーネントの側面断面図である。
【
図6A】
図6Aは、ステムから延在する一対のセグメント化キール翼部を示す、
図1から
図5の脛骨トレイの後面又は後方図である。
【
図6B】
図6Bは、ステムにおいてセグメント化キール翼部を形成するカットアウトを示す、
図6Aの脛骨トレイの拡大図である。
【
図7A】
図7Aは、中央通路から延在するスロットを示す
図1から
図5のスロット付きスリーブの正面斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、外部表面まで通って延在するスロットを示す、
図7Aのスロット付きスリーブの底面斜視図である。
【
図8】
図8は、ステムの前方及び後方側でのスロット付きスリーブとステムの係合を示すために、セグメント化キール翼部に沿って切り取られた
図7Aから
図7Dのスロット付きスリーブと組立てられた
図6Aから
図6Bの脛骨トレイの横断面図である。
【
図9A】
図9Aは、ステムに沿った様々な位置におけるセグメント化キールとスロット付きスリーブとの間の係合を示す、脛骨トレイ上に組立てられたスロット付きスリーブの横断面図である。
【
図9B】
図9Bは、ステムに沿った様々な位置におけるセグメント化キールとスロット付きスリーブとの間の係合を示す、脛骨トレイ上に組立てられたスロット付きスリーブの横断面図である。
【
図9C】
図9Cは、ステムに沿った様々な位置におけるセグメント化キールとスロット付きスリーブとの間の係合を示す、脛骨トレイ上に組立てられたスロット付きスリーブの横断面図である。
【
図9D】
図9Dは、ステムに沿った様々な位置におけるセグメント化キールとスロット付きスリーブとの間の係合を示す、脛骨トレイ上に組立てられたスロット付きスリーブの横断面図である。
【
図11】
図11は、キールの翼部内のスロットを埋めるように構成されたスリーブの翼部を示す、
図10の翼部付きスリーブの上部正面斜視図である。
【0018】
必ずしも原寸に比例して描かれているわけではない図面中で、同様の数字は異なる図中の類似のコンポーネントを描いている場合がある。異なる文字の接尾辞を有する同様の数字は、類似のコンポーネントの異なる事例を表わしている可能性がある。図面は概して、一例として、ただし非限定的に本明細書中で論述されている様々な実施形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1Aは、大腿骨コンポーネント104と連動して回転するように構成された脛骨コンポーネント102を含むプロテーゼ膝アセンブリ100の正面斜視図である。
図1Bは、スロット付きスリーブ140(
図7Aから
図7D)と共に使用するように構成されたセグメント化キール142(
図6A及び
図6B)を含む様々なコンポーネントを示す、
図1Aのプロテーゼ膝アセンブリ100の分解組立図である。
図2は、脛骨コンポーネント102のヒンジポスト108と大腿骨コンポーネント104のヒンジ軸110とを連結するシャックル106を示す、
図1Aのプロテーゼ膝アセンブリ100の横断面図である。
図1Aから
図2は同時に論述される。
【0020】
脛骨コンポーネント102は、脛骨トレイ114、支承コンポーネント116、ブッシング118及びキャップ120を含むことができる。大腿骨コンポーネント104は、支承面121、ステムソケット122及び側壁124を含むことができる。さらに、大腿骨コンポーネント104は、ステムソケット122として延長部分130(
図1B参照)に連結可能であり、脛骨コンポーネント102は、ソケット134(
図2参照)において延長部分132(
図2参照)に連結可能である。
【0021】
脛骨コンポーネント102及び大腿骨コンポーネント104は、シャックル106、ヒンジポスト108及びヒンジ軸110を用いて連結可能である。シャックル106は、大腿骨コンポーネント104が脛骨コンポーネント102に対して回転できるようにするために、軸AAに沿ってヒンジポスト108周りに回転できる。シャックル106は、大腿骨コンポーネント104が脛骨コンポーネント102に沿って転動できるようにするため、軸ABにおいてヒンジ軸110を中心にして枢動できる。こうして、支承面121は、支承コンポーネント116に沿って前方-後方方向に転動することができ、上部-下部軸に沿って支承コンポーネント116に接して捩動することができる。
【0022】
シャックル106は、シャックル106を脛骨トレイ114に取付けるヒンジポスト108及びシャックル106を側壁124に取付けるヒンジ軸110によって、大腿骨コンポーネント104と脛骨コンポーネント102を機械的に連結することができる。シャックル106の一部分を支承コンポーネント116中の陥凹内に収容することができ、この部分をヒンジポスト108にねじ込むか又は他の形態で連結することができる。ヒンジポスト108は遠位に延在することができ、脛骨コンポーネント102の陥凹内及び支承コンポーネント116の陥凹内に収容可能である。ヒンジポスト108は、大腿骨コンポーネント104又は脛骨トレイ114のうちの1つ又は複数に対して移動可能(例えば回転可能及び/又は延伸可能)であり得る。例えば、ヒンジポスト108は、ヒンジ軸110を介して大腿骨コンポーネント104に対し回転可能な形で連結することができ、これによって、以下でさらに詳述する通り、軸AAの周りで大腿骨コンポーネントの移動をひき起こすことができる。
【0023】
組立てた場合に、シャックル106を大腿骨コンポーネント104の対向する側壁124の間に設置することができる。側壁124とシャックル106の間に、ポリボックス128を位置決めすることができる。さらに、シャックル106の近位部分上の開口内部で、ヒンジ軸110上に軸ブッシング126を位置決めすることができる。シャックル106及びヒンジポスト108は、チタン合金、コバルト-クロム合金などの好適な材料で形成することができ、一方、軸ブッシング126及びポリボックス128は、プラスチック、例えばUHMWPEなどの異なる材料で形成できる。軸ブッシング126は、シャックル106とヒンジ軸110の間のベアリングとして機能できる。ポリボックス128は、大腿骨コンポーネント104とシャックル106の間のベアリングとして機能することができる。
【0024】
このように連結されて、大腿骨コンポーネント104及び脛骨コンポーネント102は、互いに合さって動作して、後十字靭帯(ACL)及び後十字靭帯(PCL)などの天然の膝靭帯に置換し、解剖学的関節の自然な運動及び感覚を複製することができる。上述のように、脛骨コンポーネント102に対する大腿骨コンポーネント104のリンキングは、追加の荷重を脛骨コンポーネント102に伝達し、これによって脛骨コンポーネント102に対する追加の固着を提供することが望ましくなる可能性がある。本明細書中で論述されているように、脛骨コンポーネント102は、骨との回転防止係合を提供するためにセグメント化キール142を含むことができる。さらに、セグメント化キール142は、本明細書中で説明されているセグメント化キール翼部に起因してセグメント化キール142の存在にも関わらずトレイプレート144に近接してテーパ状界面に沿ってスリーブと係合することができる。
【0025】
図3Aは、脛骨トレイ114、スロット付きスリーブ140、ブッシング118及びキャップ120を示す、
図1Aから
図2の脛骨コンポーネント102の上面分解組立図である。
図3Bは、
図1Aから
図2の脛骨コンポーネント102の底面分解組立図である。
図3A及び
図3Bは、同時に論述される。
【0026】
ブッシング118をボア150内に挿入することができ、このブッシング118は、ヒンジポスト108を挿入できるスリーブを含むことができる。例えば、ブッシング118を、ボア150内に圧力嵌め又は動き嵌めすることができ、このブッシングは、ヒンジポスト108上の嵌合する外部ネジ山を収容するために内部ネジ山を含むことができる。近位方向でボア150から外にブッシング118が脱出するのを防ぐため、ボア150上の嵌合するネジ山内にキャップ120を螺入させることができる。実施例において、ブッシング118の上部又は上側表面は、脱臼防止行程を提供するべく一定の距離D1(
図2)だけキャップ120の底部又は下位表面から離隔され得る。例えば、距離D1によって提供される間隙は、大腿骨コンポーネント104が脛骨コンポーネント102に対して近位方向に移動して膝蓋骨の脱臼を防ぐか又は脛骨コンポーネント102の支承コンポーネント116に対する大腿骨コンポーネント104の支承面121の転動に対応することを可能にすることができる。実施例中、距離D1は、おおよそ8mm(約0.315インチ)であり得る。しかしながら、本開示の追加の実施例において、キャップ120及びブッシング118は、脛骨コンポーネント102との関係における大腿骨コンポーネント104の上側移動を防ぐために、単一のコンポーネントへと一体化可能である。
【0027】
脛骨コンポーネント102に対する大腿骨コンポーネント104(
図1A)のリンク機構に起因して、脛骨トレイ114は、上側-下側軸AAに沿った横断面内で追加の回転力を受ける可能性がある。軸AAを中心とした回転移動に対抗する目的で、脛骨トレイ114は、軸AAから半径方向に延在する方向で骨物質内に固着を提供するためにセグメント化キール142を含むことができる。所望される場合には、骨内部の追加の空間を占有して追加の固着を提供するように、外科医がスロット付きスリーブ140をステム146上に位置決めすることができる。例えば、海綿骨が概して健康であるか又は他の形で回転抵抗を提供するためにセグメント化キール142の翼部148A及び148Bを収容するのに適切な密度を有する場合にトレイプレート144と係合する切除された脛骨の近位部分の内部で海綿骨内にセグメント化キール142を使用することができる。しかしながら、ステム146を取り囲むと考えられる海綿骨が健康でないか又は他の形で充分な密度を有していない場合には、スロット付きスリーブ140を、ステム146の周囲に嵌合させこのステム146に取付けて、不適切な海綿骨を(リーマ又はブローチを用いた除去を伴って、又は伴わずに)移動させ、いくつかの事例では皮質骨との係合を含め、健康な又は密度の高い骨物質と係合させることができる。
【0028】
図4Aは、支承コンポーネント116を伴わずセグメント化キール142に取付けられたスロット付きスリーブ140を伴う、
図3A及び
図3Bの脛骨コンポーネント102の上部斜視図である。
図4Bは、セグメント化キール142に取付けられたスロット付きスリーブ140を示す、
図4Aの脛骨コンポーネント102の底部斜視図である。
図4Aと4Bは同時に論述される。
【0029】
脛骨トレイ114は、トレイプレート144及びステム146を含むことができる。セグメント化キール142は、トレイプレート144及びステム146に連結可能である。脛骨トレイ114は、さらに、トレイプレート144及びステム146内に延在するボア150及び、支承コンポーネント116を取付けるための機構、例えばフック152及びリッジ154を含むことができる。スロット付きスリーブ140は、本体160、中央通路161、ローブ162A、ローブ162B、スロット164A及びスロット164Bを含むことができる。
【0030】
ボア150は、ブッシング118(
図1B)及びヒンジポスト108(
図1B)がステム146内へ通過できるようにし得る。フック152及びリッジ154は、トレイプレート144に対して支承コンポーネント116を取付けるように構成され得る。
【0031】
セグメント化キール142は、ステム146から半径方向外向き、かつ、トレイプレート144から軸方向に下側方向へと延在し得る翼部148A及び148Bを含むことができる。したがって、翼部148及び148Bは、トレイプレート144が接して係合する海綿骨などの骨物質内へと延在することができる。
図6A及び
図6Bを参照してより詳細に論述されるように、翼部148A及び148Bは、ステム146の機械加工を可能にするため、そしてスロット付きスリーブ140をステム146と係合させることができるようにするため、スロット190A及びスロット190Bをそれぞれ含むことができる。
図7Aから
図7Dを参照してより詳細に論述されるように、スロット付きスリーブ140は、スロット付きスリーブ140が翼部148A及び148Bの周りに嵌合できるようにするためのスロット164A及びスロット164Bを含むことができる。
【0032】
図5は、
図4A及び
図4Bの脛骨コンポーネント102の側面断面図である。スロット付きスリーブ140の内部表面172が外部表面147と係合できるように、ステム146上にスロット付きスリーブ140を位置決めすることができる。内部表面172又はその一部分は、モールステーパなどのテーパ状界面を用いて、外部表面147又はその一部分と係合するように構成され得る。実施例において、ステム146の外部表面147を、モールステーパを有するように構成することができ、スロット付きスリーブ140の内部表面172を、自己保持連結ができるように嵌合用陥凹を有するように構成することが可能である。このような構成については、全ての目的のために全体が参照によって本明細書に組込まれているGibbsらに対する米国特許第6,911,100号明細書中において詳細に論述されている。他の実施例では、全ての目的のために全体が参照によって本明細書に組込まれているMonaghanに対する米国特許出願公開第2015,0216667号明細書中で記載されているもののような他のテーパ状連結を使用することができる。実施例中で、スリーブ140及びステム146は両方共、モールステーパ連結を容易にし得るステンレス鋼又はチタンなどの金属材料で製造可能である。実施例中、スリーブ140を、多孔質金属構造で製造することができる。モールステーパの使用は、締結具又は追加のコンポーネントを使用することなくスリーブ140をステム146に取付けることを可能にし得る。例えば、スリーブ140をトレイプレート144の下部表面182から離隔することができ、トレイプレート144に対してスリーブ140を連結するための締結具の使用を回避することができる。
【0033】
図5を見れば分かるように、スリーブ140の中央部分は、ゾーン156内でセグメント化キール142から切り離されたステム146と係合することができる。したがって内部表面172及び外部表面147は、
図9Dを見れば分かるように、ゾーン156内で軸AAに対して360度の界面に沿って係合できる。しかしながら、スリーブ140の近位部分を、軸AAに対してセグメント化キール142と同じ軸方向位置に位置決めすることが可能である。したがって、
図9Cを見れば分かるように、内部表面172の部分だけがゾーン158内で外部表面147と係合できる。さらに、
図9A及び
図9Bを見れば分かるように、最近位部などにおいて、ステム146に対してスリーブ140の他の部分を完全に取付け解除することができる。ステム146は、スリーブ140と係合解除され、ゾーン159内に延在することができる。
図8から
図9Dを参照してさらに詳細に論述されるように、ゾーン158内のスリーブ140の最近位部分は、翼部148A及び翼部148B場所に起因してステム146の最前方セグメント及び最後方セグメントに沿ってステム146と係合できる。
【0034】
図6Aは、
図1から
図5の脛骨トレイ114の背面図である。
図6Bは、ステム146において、それぞれセグメント化キール翼部148A及び148Bを形成するスロット190A及び190Bを示す、
図6Aの脛骨トレイ114の拡大図である。
図6A及び
図6Bは同時に論述される。
【0035】
脛骨トレイ114は、トレイプレート144とステム146を含むことができる。トレイプレート144は、支承コンポーネント116を上に据え付けることのできる上位表面180を含むことができる。下部表面182は、上位表面180の反対側に配置可能である。外縁184は、上位表面180と下部表面182とを連結でき、脛骨の近位部分の外周と整合する外周を有することができる。ステム146は、軸AAに沿って下部表面182から延在できる。論述されているように、ステム146は、ゾーン158内に最近位部分を、そしてゾーン156内に中央部分を有することができる。最近位部分は、セグメント化キール142と共存する軸方向部分であり得、中央部分は、最近位部分の遠位部であり得る。ステム146は、中央部分の遠位部であるゾーン159内に最遠位部分を含むことができ、ステム146の周りのスリーブ140の位置決めを容易にするため中央部分よりも小さい直径を有する。
【0036】
セグメント化キール142はさらに、下部表面182から延在することができる。セグメント化キール142は、トレイプレート144及びステム146に連結可能である。詳細には、セグメント化キール142は、トレイプレート144に沿ってステム146から半径方向外向きに延在できる翼部148A及び翼部148Bを含むことができる。翼部148Aは、遠位部分186A、近位部分188A及びスロット190Aを含むことができる。翼部148Bは、遠位部分186B、近位部分188B及びスロット190Bを含むことができる。遠位部分186Aは、傾斜端部192Aと平坦な端部194Aを含むことができる。近位部分188Aは、トラフ198Aと側壁196Aとを含むことができる。遠位部分186Bは、傾斜端部192Bと平坦な端部194Bを含むことができる。近位部分188Bはトラフ198Bと側壁196Bとを含むことができる。スロット190Aは、トラフ198Aによって形成され得、スロット190Bは、トラフ198Bによって形成され得る。以下で論述されるように、翼部148A及び148B及びスロット190A及び190Bの形状は、ステム146の整形のための機械加工用工具を収容するように構成可能である。
【0037】
中央ゾーン156内のステム146の全部又は一部、及び最近位ゾーン158内のステム146の全部又は一部は、モールステーパのためのテーパ状表面を有するように形成可能である。例えば、ゾーン156内のステム146の近位部分及び最近位ゾーン158内のステム146の遠位部分を、モールステーパを有するように機械加工することができる。機械加工用工具200(
図6Aに概略的に示されている)は、内側機械加工表面204と外側壁206を有する円筒形本体202を含むことができる。円筒形本体202は、内側機械加工表面204と外側壁206の間に壁208を有することができる。機械加工プロセスには、ステム146全体の上に機械加工用工具200を位置決めすることが含まれる。円筒形本体202は、往復運動及び/又は回転させられ、内側機械加工表面204をステム146の外部表面147と係合させて、例えばモールステーパ表面などのテーパ状連結表面を形成することができる。機械加工用工具200をトレイプレート144と近接させることができるように、翼部148A及び148Bは、それぞれスロット190A及び190Bを含むことができる。スロット190A及び190Bは、機械加工用工具を受入れることができるか又はスリーブの部分を受入れることのできるノッチを含むことができる。円筒形本体202の全外径は、側壁196Aと側壁196Bの間の距離よりも小さくし得る。さらに、軸AAとの関係におけるスロット190A及び190Bの半径方向幅、例えばトラフ198A及びトラフ198Bの長さは、外側壁206の半径方向厚みよりも大きくし得る。したがって、スリーブ140の部分を、セグメント化キール142の存在にもかかわらず、トレイプレート144の近傍でステム146と係合するように構成することができる。さらに、様々な実施例において、スロット190A及び190Bを用いて、スリーブ140の部分を収容することができる。例えば、スリーブ140の部分は、
図10に示されているように、スロット190A及び190B内に延在することができる。
【0038】
図7Aは、中央通路161から延在するスロット164A及び164Bを示す、
図1から
図5のスロット付きスリーブ140の正面斜視図である。
図7Bは、外側表面166まで通って延在するスロット164A及び164Bを示す
図7Aのスロット付きスリーブ140の底面斜視図である。
図7Cは、本体160から延在するサイドローブ162A及び162Bを示す、
図7A及び
図7Bのスロット付きスリーブ140の正面図である。
図7Dは、中央通路161に沿った内部レッジ175及び177を示す、
図7Aから
図7Cのスロット付きスリーブ140の平面図である。
図7Aから
図7Dは、同時に論述される。
【0039】
スロット付きスリーブ140は、本体160、中央通路161、ローブ162A、ローブ162B、スロット164A及びスロット164Bを含むことができる。スロット164A及び164Bは、キール翼部148A及び148Bの部分を受入れることのできるレセプタクルを含むことができる。本体160は、外側表面166、底部表面168、上部表面170及び内部表面172を含むことができる。スロット164A及びスロット164Bは、本体160内でレッジ175を有する後方壁174及びレッジ177を有する前方壁176を形成することができる。スロット164Aは、底部壁178A、前面壁178B、及び背面壁178Cを含むことができ、スロット164Bは、底部壁179A、前面壁179B、及び背面壁179Cを含むことができる。
【0040】
図8は、ステム146の前方及び後方側でステム146とスロット付きスリーブ140が係合していることを示すためにセグメント化キール翼部148Bに沿って切り取られた、
図7Aから
図7Dのスロット付きスリーブ140と組立てられた
図6A及び
図6Bの脛骨トレイ114の横断面図である。ステム146の外部表面147は、界面199Aにおいて前方部分に沿って、かつ界面199Bに沿って後方部分に沿って、内部表面172と係合することができる。
図8を見れば分かるように、界面199Aが翼部148Bの軸方向空間内へ近位方向に延在できる一方で、界面199Bは、翼部148Bの遠位に位置決めされ得る。
【0041】
実施例において、遠位部分186A及び遠位部分186Bの軸方向高さ、例えばトレイプレート144と平坦な端部194A及び平坦な端部194Bとの間の距離は、上部表面170と底部表面168の間のスリーブ140の高さの長さの約2分の1以下であり得る。追加の実施例において、遠位部分186A及び遠位部分186Bの高さは、スリーブ140の高さの約30%から約60%の範囲内であり得る。
【0042】
実施例において、近位部分188A及び近位部分188Bの軸方向高さ、例えばトレイプレート144とトラフ198A及びトラフ198Bとの間の距離は、上部表面170と底部表面168の間のスリーブ140の高さの長さの約4分の1以下であり得る。追加の実施例において、遠位部分186A及び186Bの高さは、スリーブ140の高さの約0%から約40%の範囲内であり得る。例えば、近位部分188A及び188Bは省略することができる。
【0043】
実施例において、スリーブ140がステム146と完全に係合している場合、スリーブ140の上部表面170を、トレイプレート144の下部表面182より下方に来るように構成することができる。実施例において、底部壁178A及び179Aは、スリーブ140がステム146と完全に係合している場合、平坦な端部194A及び平坦な端部194Bの下方に来ることができる。
【0044】
図9A、
図9B、
図9C、及び
図9Dは、ステム146に沿った様々な位置におけるセグメント化キール142とスロット付きスリーブ140の間の係合を示す、脛骨トレイ114上に組立てられたスロット付きスリーブ140の横断面図である。
【0045】
図9Aは、翼部148A及び148Bの近位部分188A及び近位部分188B及び遠位部分186A及び遠位部分186Bに沿った
図8の断面9A-9Aで切り取られた図である。後方壁174及び前方壁176を、ステム146と係合解除することができる。さらに、後方壁174及び前方壁176をトレイプレート144の下部表面182から離隔することができる。スリーブ140とトレイプレート144の間の係合解除によって、スリーブ140からトレイプレート144に対し応力が印加されるのを回避することができる。
【0046】
図9Bは、ステム146及びスリーブ140が係合されていない翼部148A及び148Bの遠位部分186A及び遠位部分186Bに沿った
図8の断面9B-9Bにおいて切り取られた図である。後方壁174及び前方壁176は、ステム146から係合解除された状態にとどまることができる。スリーブ140からのステム146の離隔は、レッジ175及びレッジ177によって提供することができる。このような離隔は、スリーブ140の内部表面172とステム146の外部表面147の間のモールステーパがインタロックできるようにするための走路を提供する。すなわち、外部表面147及び内部表面172のテーパ状表面が、トレイプレート144の下部表面182まで全体に前進させた場合、モールステーパが完全に係合する能力が妨げられる得ると考えられる。例えば、機械加工用工具200(
図6A参照)は、トレイプレート144の下部表面182まで全体に前進する必要がない。このような離隔は、機械加工用工具200の前進を防ぐため、近位部分188A及び188Bによって提供され得る。
【0047】
図9Cは、ステム146及びスリーブ140が係合している翼部148A及び148Bの遠位部分186A及び遠位部分186Bに沿った
図8の断面9C-9Cにおいて切り取られた図である。後方壁174及び前方壁176はステム146と係合され得る。ステム146とスリーブ140の係合は、レッジ175及びレッジ177の下方又は遠位に提供することができる。したがって、前方壁176にあるスリーブ140の最前方部分を、モールステーパなどのテーパ状連結を用いてステム146と係合させることができる。同様にして、後方壁174にあるスリーブ140の最後方部分は、モールステーパなどのテーパ状連結を用いて、ステム146と係合可能である。
図9Cに示されているモールステーパ表面は、翼部148A及び148Bと同じ軸方向空間内部に延在し、機械加工用工具200が翼部148A及び148Bまでしか前進せず機械加工用工具200がスロット190A及び190Bに入らなかった場合に提供されると考えられる力を超える追加の結合力を提供することができる。
【0048】
図9Dは、スリーブ140が360度の周囲に沿ってステムと係合されている、ステム146及びスリーブ140に沿った
図8の断面9D-9Dで切り取られた図である。スリーブ140の本体160は、ステム146と係合され得る。ステム146とスリーブ140の係合は、モールステーパなどのテーパ状連結を用いてステム146の360度全周にわたり提供可能である。したがって、スリーブ140は、締結具を使用せずに、ステム146としっかり係合可能である。ローブ162A及び162Bは、本体160から半径方向外向きに延在してスロット190A及び190Bを被覆することができる。
【0049】
図10は、翼部付きスリーブ250と組立てられた
図6A及び
図6Bの脛骨トレイ114の底部後面斜視図である。
図11は、セグメント化キール142の翼部148A及び148B内のそれぞれスロット190A及びスロット190Bを埋めるように構成された翼部252A及び翼部252Bを示す、
図10の翼部付きスリーブ250の上部正面斜視図である。翼部付きスリーブ250は、円筒形本体254を含み、この本体から翼部252A及び252Bが延在している。内側通路256は、円筒形本体254を通って延在できる。
図10及び
図11は同時に論述される。
【0050】
円筒形本体254は、スリーブ140の本体160と類似の形で構成可能であるが、ローブ162A及び162Bが翼部252A及び252Bに置換されている。翼部252A及び252Bは、スロット190A及び190Bと同じ又は類似した形状を有することができる。翼部252A及び252Bは、スロット190A及び190B内への翼部252A及び252Bの挿入を容易にするためにスロット190A及び190Bよりもわずかに小さくし得る。翼部252A及び252Bは、翼部148A及び148Bと同じ又は同等の厚みを有することができる。実施例において、翼部252A及び252Bは、円筒形本体254に沿って延在して骨内への挿入を容易にして安定性を提供するために、勾配付き遠位表面258A及び258Bを含むことができる。例えば、遠位表面258A及び258Bは、切断表面を提供できる。翼部252A及び252Bは、スロット190A及び190B内部での据付けを容易にするため、円筒形本体254の最近位表面と同じ高さまで延在できる。実施例において、円筒形本体254は、スロット190A及び190Bを伴う翼部252A及び252Bの配向を容易にするため、ステム146に対し同期し得る。例えば、ステム146の外部表面147は、内側通路256上のフランジ又はスロットと整列できるスロット又はフランジを含むことができる。
【0051】
翼部252A及び252Bは、脛骨トレイ114に対し追加の回転防止能力を提供することができ、例えば、脛骨トレイ114が切除された脛骨の骨物質内で回転するのを防止する。追加の実施例においては、円筒形本体254の厚みを増大させることができ、翼部252A及び252Bのサイズを減少させることができ、あるいは翼部252A及び252Bを省略することができる。したがって、円筒形本体254の追加された厚みは、骨物質内部の追加の固着を提供することができる。同様にして、追加の実施例において、翼部252A及び252Bは、骨物質との係合を容易にするため他の形状又は厚みを有することができ、あるいは、翼部252A及び252Bを翼部148A及び148Bからオフセットさせることができる。
【0052】
本明細書中で論述されているように、セグメント化キール及び関連するスロット付きスリーブは、1)一体型キールを提供することによって外科手術中に行なわれる組立て工程の数を削減し、2)別個のキール付属品を無くすことによって外科手術中に使用される可能性のある付属品コンポーネントの数を削減し、かつ、3)モールステーパのために使用されるものなどのテーパ状表面を形成するための機械加工用工具を収容できるセグメント又はスロットを有するキール翼部を提供することによって、キール付き又は翼部付きステムに対するスリーブの結合を容易にすることができる。
【実施例0053】
実施例1は、脛骨インプラントであって、近位表面及び遠位表面を含むトレイプレートと、遠位表面から延在するステムと、遠位表面から延在するセグメント化キールであって、ステムの近傍に第1のノッチを有する第1の翼部を含むセグメント化キールと、セグメント化キールと軸方向に整列した第1の軸方向位置においてステムに沿って延在する第1のテーパとを含む脛骨トレイコンポーネント、を備える脛骨インプラントである。
【0054】
実施例2において、実施例1の主題は、任意に、第1のノッチがステムに隣接していることを含む。
【0055】
実施例3において、実施例1から実施例2の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、第1の翼部が、第1のノッチにおける遠位表面からの第1の高さと、第1のノッチから離れた遠位表面からの第2の高さとを有しており、第2の高さは第1の高さよりも大きいことを含む。
【0056】
実施例4において、実施例1から実施例3の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、第1の翼部から離隔した遠位表面から延在する第2の翼部を含む。
【0057】
実施例5において、実施例1から実施例4の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、第1のテーパが第1のノッチ内に延在することを含む。
【0058】
実施例6において、実施例1から実施例5の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、第1のテーパが、第1のノッチ内の第1の翼部の一部分によってトレイプレートの遠位表面から離隔されていることを含む。
【0059】
実施例7において、実施例1から実施例6の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、第1のテーパがモールステーパを備えることを含む。
【0060】
実施例8において、実施例5から実施例7の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、ステムが、ステムの遠位先端部において第2の軸方向位置に第2のテーパを含み、第2のテーパはステムの括れ部分を備えることを含む。
【0061】
実施例9において、実施例1から実施例8の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、ステムに結合可能なスリーブを含み、スリーブは、第1の翼部を収容するための第1のスロットを含む。
【0062】
実施例10において、実施例9の主題は、任意に、第1の翼部が第1のノッチ内に嵌合し、スリーブの近位表面がトレイプレートの遠位表面に近接できることを含む。
【0063】
実施例11において、実施例9から実施例10の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、スリーブは、さらに、第1のスロットにおいてスリーブの外部表面から突出する第1のローブを備えることを含む。
【0064】
実施例12において、実施例11の主題は、任意に、第1のローブ内に延在し、第1のスロットの延長部分を形成するチャネルをさらに含む。
【0065】
実施例13において、実施例9から実施例12の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、スリーブは、トレイプレートの遠位表面から離隔した第1のノッチ内に嵌合するように構成されていることを含む。
【0066】
実施例14において、実施例1から実施例13の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、ステムに結合可能なスリーブをさらに含み、スリーブは第1のノッチ内に収容されるように構成された第1のスリーブ翼部を含む。
【0067】
実施例15は、プロテーゼインプラントのステム用スリーブであって、環状本体と、環状本体を通って延在する内側通路であって、モールステーパを含む内側通路と、環状本体内に延在し、内側通路及びモールステーパと交差する第1のスロットとを含むスリーブである。
【0068】
実施例16において、実施例15の主題は、任意に、環状本体は、第1のスロットと整列した環状本体の外部表面から延在する第1のローブを含み、第1のローブは、第1のスロットから延在する第1のチャネルを備えることを含む。
【0069】
実施例17において、実施例16の主題は、任意に、環状本体内に延在し、内側通路及びモールステーパと交差する第2のスロットと、第2のスロットと整列した環状本体の外部表面から延在する第2のローブと、第2のスロットから延在する第2のチャネルと;を含む。
【0070】
実施例18において、実施例15から実施例17の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、内側通路は、環状本体の近位表面からモールステーパの間隔を空ける第1のレッジを備えることを含む。
【0071】
実施例19は、プロテーゼインプラントであって、関節接合用コンポーネント、関節接合用コンポーネントから延在するステム、及び、ステムから延在する第1のセグメント化キール翼部を含むプロテーゼコンポーネントと、環状本体、ステムを収容するように構成された環状本体を通って延在する内側通路、及び、環状本体内に延在し、内側通路と交差する第1のスロットであって、第1のセグメント化キール翼部と整列するように構成されている第1のスロットを含むスロット付きスリーブと、を含むプロテーゼインプラントである。
【0072】
実施例20において、実施例19の主題は、任意に、第1のスロットは、第1のセグメント化キール翼部内へ延在する第1のノッチよりも半径方向に長いことを含む。
【0073】
実施例21において、実施例19から実施例20の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、内側通路がステム上に完全に据え付けられた場合に、スロット付きスリーブの近位表面は、関節接合用コンポーネントから離隔されていることを含む。
【0074】
実施例22において、実施例19から実施例21の何れか1つ又は複数のものの主題は、任意に、ステム及び内側通路は、軸方向重複部分を有するモールステーパを用いて第1のセグメント化キール翼部と嵌合するように構成されていることを含む。
【0075】
実施例23は、ステム付きプロテーゼコンポーネントを製造する方法であって、金属材料からステム付きプロテーゼコンポーネントを製造することと、ステム付きプロテーゼコンポーネントから延在するステムの周りに機械加工用工具を位置決めすることと、ステムから延在するキール翼部内のノッチ内へ機械加工用工具を前進させることと、ノッチ内の機械加工用工具を用いてステム上にモールステーパを形成すること、を含む方法である。
【0076】
実施例24において、実施例23の主題は、機械加工用工具は、キール翼部の最遠位端部を通過して近位方向へ前進させられることを含む。
【0077】
これらの非限定的な実施例は、独立したものであり得る。あるいは、他の実施例のうちの1つ又は複数との様々な置換又は組合せの形で組合わせることができる。
【0078】
附記
以上の詳細な説明は、この詳細な説明の一部を成す添付図面に対する参照を含む。図面は、例示として、本発明を実践できる具体的実施形態を示している。これらの実施形態は、本明細書において「実施例」とも呼ばれている。このような実施例は、図示又は説明された要素に加えて他の要素を含むことができる。しかしながら、当該発明者らは同様に、図示又は説明された要素のみが具備されている実施例も企図している。さらに、当該発明者らは、特定の実施例(又はその1つ又は複数の態様)に関して、あるいは本明細書中に図示又は説明されている他の実施例(又はその1つ又は複数の態様)に関しての何れかについて、図示又は説明されたもの(又はその1つ又は複数の態様)の任意の組合せ又は置換を用いた実施例をも企図している。
【0079】
本明細書と参照によって組込まれた任意の文書との間に用法上の矛盾が存在する場合、本明細書中の用法が支配する。
【0080】
本明細書において、「a」又は「an」なる用語は、特許文書において一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」の何れかの他の事例又は用法とは無関係に、1つ又は2つ以上を内含するように使用される。本明細書中では、別段の標示の無いかぎり、「or(又は)」なる用語は、非排他的orを意味するように使用されるか、あるいは「A or B(A又はB)」が「A but B(BではなくA)」、「B but not A(AではなくB)」、及び「A and B(A及びB)」を含むように使用される。本明細書において、「including(...を含む)」及び「in which」なる用語は、それぞれ「comprising(...を含む)」及び「wherein」なる用語のプレイン・イングリッシュ等価物として使用される。同様に、以下のクレームにおいて、「including」及び「comprising」なる用語は、オープンエンドである、すなわち、クレーム中でこのような用語の後に列挙されている要素に加えて他の要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、調合物又はプロセスがなおもそのクレームの範囲内に入るものとみなされる。その上、以下のクレームにおいて、「first(第1の)」「second(第2の)」及び「third(第3の)」なる用語は、単なるラベルとして使用されているにすぎず、その目的語について数値的要件を課すように意図されていない。
【0081】
以上の説明は、限定的であることを意図したものではなく、例示を意図したものである。例えば、上述の実施例(又はその1つ又は複数の態様)は互いに組合せて使用されてよい。例えば上述の説明を精査した上で当業者であれば他の実施例を使用することも可能である。要約書は、技術的開示の内容を読者が迅速に確認できるようにするため、37C.F.R.§1.72(b)に準拠して提供されている。要約書は、それがクレームの範囲又は意味を解釈又は限定するのに使用されることはないとの了解の上で提出されるものである。同様に、以上の詳細な説明においては、開示を簡素化するために、様々な特徴がまとめられている場合がある。これは、請求されていない開示対象の特徴が何れかのクレームにとって不可欠であることを意図しているものとして解釈されるべきではない。むしろ、発明の主題は、特定の開示された実施形態の全てよりも少ない特徴の中に存在し得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書により実施例又は実施形態として詳細な説明の中に組込まれており、各請求項が別個の実施形態として自立し、このような実施形態は様々な組合せ又は順列において互いに組合せ可能であることが企図されている。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に権利を有する等価物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲を参照して決定されなければならない。