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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091517
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240627BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20240627BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240627BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20240627BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240627BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/89
A61K8/31
A61K8/63
A61K8/37
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210555
(22)【出願日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2022205047
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】秋山 史成
(72)【発明者】
【氏名】古林 典之
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB332
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC712
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD112
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD212
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD662
4C083BB12
4C083CC02
4C083CC05
4C083CC07
4C083DD11
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
本発明は、ナイアシンアミドを3質量%以上含有する外用組成物において、肌負担の低減とコク感が両立され、さらに経時安定性にも優れたものを提供することである。
【解決手段】
次の成分(a)、(b)及び(c)を含有する外用組成物(ただし、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシルを含有するコンシーラーを除く)。
(a)ナイアシンアミド3質量%以上
(b)シリコーンエラストマー3質量%以上
(c)次のc1)~c4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の固形脂又は半固形脂
c1)炭化水素
c2)フィトステロールエステル
c3)トリグリセリド
c4)パルミチン酸セチル、ホホバエステル、シア脂、ミツロウ、及び(モリンガ油/水添モリンガ油)エステルズからなる群から選ばれる少なくとも1種
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)、(b)及び(c)を含有する外用組成物(ただし、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシルを含有するコンシーラーを除く)。
(a)ナイアシンアミド3質量%以上
(b)シリコーンエラストマー3質量%以上
(c)次のc1)~c4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の固形脂又は半固形脂
c1)炭化水素
c2)フィトステロールエステル
c3)トリグリセリド
c4)パルミチン酸セチル、ホホバエステル、シア脂、ミツロウ、及び(モリンガ油/水添モリンガ油)エステルズからなる群から選ばれる少なくとも1種
【請求項2】
c1)炭化水素が、キャンデリラロウ炭化水素、マイクロクリスタリンワックス、セレシン及びワセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
c2)フィトステロールエステルが、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、(ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)及びヒドロキシステアリン酸フィトステリルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の外用組成物。
【請求項4】
c3)トリグリセリドが、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル及びトリベヘニンからなる群より選ばれる請求項1に記載の外用組成物。
【請求項5】
(c)固形脂又は半固形脂が0.01~40質量%である請求項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項6】
(b)シリコーンエラストマーが、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、又は(ジメチコン/(PEG-10/15)クロスポリマー)である請求項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項7】
剤形が、クリーム、乳液、バーム、ゲル、パック、軟膏、又はスティックである請求項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
【請求項8】
化粧品、医薬部外品又は医薬品である請求項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイアシンアミド、シリコーンエラストマー、及び特定の固形脂又は半固形脂を含有する外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナイアシンアミドは、水溶性ビタミンであるビタミンB群の一種であり、ニコチン酸アミド、又はビタミンB3とも呼ばれている。医薬品、医薬部外品、化粧品、食品など、ナイアシンアミドを配合した製品は数多く上市されている(特許文献1)。特にナイアシンアミドの肌への効果として、肌荒れ改善、美白、血行促進、抗シワ等が知られている。近年では、ナイアシンアミドの美白や抗シワ等の効果を十分に発揮するために、高濃度でナイアシンアミドを配合した処方設計の試みが行われている。 例えば、特許文献2では、ナイアシンアミドを6%配合した油中水型ファンデーションが記載され、特許文献3には、ナイアシンアミドを4.5%配合したリップスティックが記載されている。
【0003】
シリコーンエラストマーは、シリコーンを低密度で三次元架橋させた高分子状の成分で、すべすべと滑らかでサラサラした軽い感触を付与し、肌表面に塗布すると、マットな質感や、キメや毛穴、シワなどの凹凸をぼかすソフトフォーカス効果を有する。また、塗布後の肌のべたつきやきしみ感の軽減、皮膚を柔軟化する効果があることが知られている。
また、シリコーンエラストマーは、その性質上、クリーム状の製剤に多く含有させると塗布時に滑りやすくなるが、上記効果の発揮のため、或いは快適な感触をもつ製剤化のため、適度な量を配合することや適切な成分と共に配合すること等の検討がなされている。
【0004】
一方、肌へクリーム等を塗布する際、伸展刺激によりメラニンの生成促進や線維芽細胞の構造変化が引き起こされ、シミやくすみ、シワの形成に影響を及ぼす可能性が知られている。非特許文献1では、伸展刺激により角化細胞のひずみが蓄積され、皮膚バリア機能の脆弱化を引き起こすことが報告されている。そのため、外用組成物の塗布時においては、肌への伸展刺激による過度な物理刺激を避けることが求められ、塗布時の肌負担を考慮した製剤設計が重要である。また、外用組成物においては商品性上、塗布感触の良い製剤が求められる。例えば塗布時にコク感の感じられる製剤は、心地のいい抵抗感となめらかな感触により、日々使い続ける上で感性価値の高いものになる。
【0005】
高濃度のナイアシンアミドを配合し、肌負担が軽減された製剤は、上記ナイアシンアミドの効果を十分に発揮することが期待でき、また、使い心地が良く安定な製剤設計は、感性価値が高いものとなる。しかしながら、抵抗感がなくサラサラした製剤は、肌負担は軽減されるものの、コク感は感じられにくい。一方で、コク感が感じられる製剤は、抵抗感による肌負担が生じる傾向にある。これらを両立した肌負担が軽減され、かつコク感が感じられる製剤は、安定性に課題を生じることがあり、このような製剤設計にあたっては油性成分(炭化水素、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、ワックス、エステル油等)、水性成分(糖、アミノ酸、ビタミン、ポリオール等)、界面活性剤、高分子成分(コラーゲン、ヒアルロン酸、カルボマー、エラストマー等)、粉体成分(酸化チタン、シリカ、マイカ等)等、種々の成分の配合の検討が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-63076
【特許文献2】特開2019-131538
【特許文献3】特表2002-536391
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】菊地 謙次, マスクや衣服の擦れによる皮膚の脆弱化~摩擦刺激と角化細胞の塑性変形~, 皮膚病診療 43巻2号, 2021年2月, pp.172-173.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ナイアシンアミドを3質量%以上含有する外用組成物において、肌負担の低減とコク感が両立され、さらに経時安定性にも優れたものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、ナイアシンアミドを3質量%以上含有する外用組成物において、シリコーンエラストマーを配合するとともに、特定の固形脂又は半固形脂を配合することにより、肌負担の低減とコク感が両立され、さらに経時安定性にも優れた外用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)次の成分(a)、(b)及び(c)を含有する外用組成物(ただし、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシルを含有するコンシーラーを除く)、
(a)ナイアシンアミド3質量%以上
(b)シリコーンエラストマー3質量%以上
(c)次のc1)~c4)からなる群から選ばれる少なくとも1種の固形脂又は半固形脂
c1)炭化水素
c2)フィトステロールエステル
c3)トリグリセリド
c4)パルミチン酸セチル、ホホバエステル、シア脂、ミツロウ、及び(モリンガ油/水添モリンガ油)エステルズからなる群から選ばれる少なくとも1種
(2)c1)炭化水素が、キャンデリラロウ炭化水素、マイクロクリスタリンワックス、セレシン及びワセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種である(1)に記載の外用組成物、
(3)c2)フィトステロールエステルが、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、(ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)及びヒドロキシステアリン酸フィトステリルからなる群より選ばれる少なくとも1種である(1)又は(2)に記載の外用組成物、
(4)c3)トリグリセリドが、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル及びトリベヘニンからなる群より選ばれる(1)~(3)のいずれかに記載の外用組成物、
(5)(c)固形脂又は半固形脂が0.01~40質量%である(1)~(4)のいずれかに記載の外用組成物、
(6)(b)シリコーンエラストマーが、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、又は(ジメチコン/(PEG-10/15)クロスポリマー)である(1)~(5)のいずれかに記載の外用組成物、
(7)剤形が、クリーム、乳液、バーム、ゲル、パック、軟膏、又はスティックである(1)~(6)のいずれかに記載の外用組成物、
(8)化粧品、医薬部外品又は医薬品である(1)~(7)のいずれかに記載の外用組成物、である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ナイアシンアミドを3質量%以上含有する外用組成物において、外用組成物塗布時の肌負担の低減とコク感のある使用感を両立した、経時安定性に優れるものを提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の外用組成物において用いる各成分は、通常化粧品、医薬部外品、又は医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。
【0013】
<(a)ナイアシンアミド>
本発明の外用組成物中における(a)ナイアシンアミドの含有量は、通常、3質量%以上であり、3~15質量%が好ましく、3~10質量%がより好ましく、3~6質量%がさらに好ましい。また(a)ナイアシンアミドの含有量は、4質量%以上であっても良く、5質量%以上であっても良く、4~15質量%、4~10質量%、4~6質量%、5~15質量%、5~10質量%、5~6質量%であって良い。ナイアシンアミド4%質量以上、又は5質量%以上含むと、より高い美白、抗シワ等の効果が期待できると考えられる。
【0014】
<(b)シリコーンエラストマー>
本発明の外用組成物中における(b)シリコーンエラストマーとしては、例えば、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーなどが挙げられるが、好ましくは、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/(PEG-10/15))クロスポリマーである。また、シリコーンエラストマーとして市販されている商品(例えば、KSG-15やKSG-16、KSG-210(信越化学工業株式会社)、DOWSIL BY29-129(ダウ・東レ株式会社))を使用してもよい。本発明において、(b)シリコーンエラストマーは、1種を単独で使用しても良く、または2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0015】
(b)シリコーンエラストマーを1種単独で使用する場合でも、2種以上を任意に組み合わせて使用する場合でも共に、本発明の外用組成物中における(b)シリコーンエラストマーの含有量は、通常、3質量%以上であり、3~30質量%が好ましく、3~25質量%がより好ましく、3~20質量%がさらに好ましい。
【0016】
また、(b)シリコーンエラストマーは、(a)ナイアシンアミド1質量部に対し、0.2~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部の範囲がより好ましい。(b)シリコーンエラストマーは、後述する(c)固形脂又は半固形脂1質量部に対し、0.1~3,000質量部であることが好ましく、0.1~1,000質量部であることがより好ましく、0.1~90質量部であることがさらに好ましく、0.2~20質量部の範囲が特に好ましい。
【0017】
<(c)固形脂又は半固形脂>
本発明の(c)固形脂又は半固形脂とは、25℃以上の融点を有する油性成分であり、好ましくは、25℃以上120℃以下であり、より好ましくは25℃以上110℃以下であり、さらに好ましくは25℃以上100℃以下である。
【0018】
本発明の(c)固形脂又は半固形脂とは、成分c1)として炭化水素、成分c2)としてフィトステロールエステル、成分c3)としてトリグリセリド、成分c4)としてパルミチン酸セチル、ホホバエステル、シア脂、ミツロウ、(モリンガ油/水添モリンガ油)エステルズが挙げられ、例えば、c1)炭化水素として、キャンデリラロウ炭化水素、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、ワセリンが挙げられ、c2)フィトステロールエステルとして、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ヒドロキシステアリン酸フィトステリルが挙げられ、c3)トリグリセリドとして、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリベヘニンが挙げられる。
【0019】
本発明において、好ましい(c)固形脂又は半固形脂は、肌負担の低さや使用感の観点から、キャンデリラロウ炭化水素、トリ (カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ホホバエステル、パルミチン酸セチル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、マイクロクリスタリンワックス、ミツロウであり、より好ましくは、キャンデリラロウ炭化水素、トリ (カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ホホバエステルである。
【0020】
本発明において、(c)固形脂又は半固形脂は、1種を単独で使用しても良く、または2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。(c)固形脂又は半固形脂を1種単独で使用する場合でも、2種以上を任意に組み合わせて使用する場合でも共に本発明の外用組成物中における(c)固形脂または半固形脂の含有量は、0.01~40質量%が好ましく、0.01~30質量%がより好ましく、0.01~20質量%がさらに好ましい。
【0021】
(c)固形脂又は半固形脂は、(a)ナイアシンアミド1質量部に対し0.0005~12質量部であることが好ましく、0.0005~8質量部の範囲がより好ましい。
【0022】
また、本発明の外用組成物は、さらに水を含有することができる。本発明の外用組成物中における水の含有量は、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましく、32質量%以下が特に好ましい。さらには、27質量%以下としてもよい。また、水は、(a)ナイアシンアミド1質量部に対し、24質量部以下であることが好ましく、15質量部以下の範囲がより好ましく、10質量以下が特に好ましい。
【0023】
本発明の外用組成物は、上記の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧品、医薬部外品、医薬品などに用いられる各種成分を適宜配合することができる。例えば、pH調整剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等)、香料、清涼化剤(メントール、ハッカ油、カンフル等)、抗炎症剤(サリチル酸、グリチルリチン酸又はその塩、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アラントイン等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール等)、防腐剤(パラベン類(メチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン等)、安息香酸又はその塩、フェノキシエタノール等)、保湿剤(ポリオール(グリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロプレングリコール等)、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン類似物質、アミノ酸(L-セリン、L-プロリン、L-ヒドロキシプロリン、グリシン等)、タウリン、ソルビトール、マルチトール、イノシトール等)、各種動植物(オウレン、オウバク、海藻、モモ、ボタン、ハマメリス、ボタンピ、カンゾウ、ローズマリー、セージ、プラセンタ等)の抽出物、ビタミン類(レチノール又はその誘導体、アスコルビン酸又はその誘導体、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン、リボフラビン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、イソプロピルガレート等)、液状油(各種植物油、各種動物油、エステル油、シリコーン油、炭化水素油類等)、界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、水添レシチン等)、代謝賦活剤、粘着剤、粉体成分(酸化チタン、マイカ、シリカ等)等が挙げられる。また、これら成分は、配合しなくても良い。
【0024】
これらの成分の添加量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、使用感等を考慮しながら適宜定めることができる。本発明の外用組成物は化粧品、医薬部外品、医薬品などの用途に使用できる。本発明の外用組成物は、スキンケア化粧料やメイクアップ化粧料、皮膚外用剤を含め、あらゆる用途の外用組成物に適用可能である。例えば、フェイスクリーム、フェイスミルク、アイケアクリーム、アイケアミルク、ハンドクリーム、ハンドミルク、ボディクリーム、ボディミルク、美容液、日焼け止め化粧料などのスキンケア化粧料に加え、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー、チーク、アイシャドウ(アイカラー)などのメイクアップ化粧料、さらに、軟膏などの皮膚外用剤に適用することができる。その用途は特に限定されるものではないが、スキンケア化粧料に適用することが好ましく、その中でも肌負担や使用感(コク感)の観点から、アイケアミルクやアイケアクリームに好適である。スキンケア化粧料の中でもクリームや乳液、バームの剤形に適用することが好ましい。本発明の外用組成物中には、任意に通常用いられる粉体成分を含有することもできるが、特に粉体成分(酸化チタン、マイカ、シリカ等)が20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下がより好ましく、さらに好ましくは5質量%以下であって、一実施態様としては、実質的に含まれなくても良い。また、本発明の外用組成物中に、顔料分散性に優れ、メイクアップ製品に利用されるステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシルを含まなくても良い。
【0025】
本発明の外用組成物は皮膚に適用できる剤形である限り、その形態は特に制限されない。具体的な剤形としては、クリーム、乳液、バーム、ゲル、軟膏、パック、又はスティック等が挙げられる。特に限定されるものではないが、コク感のある使用感を付与する観点から乳液やクリーム、バームが好ましい。本発明の外用組成物は、W/O型又はO/W型のエマルション製剤であってもよく、なかでも、コク感のある使用感を付与する観点からW/O型のエマルションがより好ましい。本発明の外用組成物はコク感が付与されたものであるが、コク感とは濃厚でリッチな使用感触として捉えられる。
【0026】
また、その使用方法は、手や指で塗布する方法、コットンで使用する方法、スティックなどに充填された製剤を容器から直接塗布する方法等が挙げられる。
【0027】
本発明の外用組成物は、剤形に応じて常法により製造することができる。
【実施例0028】
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記の例に限定されるものではない。
【0029】
(外用組成物の調製法)
以下の表1及び表2に示す処方に従い、まず(b)シリコーンエラストマー及び(c)固形脂又は半固形脂を含む油相を均一に加熱・溶解した。続いて、(a)ナイアシンアミドを含む水相を均一に加熱・溶解し、同じく加熱した油相に徐々に添加した。攪拌・乳化には、ホモジナイザー(ラボ・リューション/プライミクス株式会社 )を使用し、6,000rpmで20秒間攪拌を行った。その後、水冷にて室温まで冷却し、実施例1~26及び比較例1~4のW/O型のクリームを得た。
【0030】
(安定性の評価)
実施例1~26、比較例1~4の各クリームを40mL容量のガラスジャーに充てんし、40℃で1週間保管した。保管後のクリームに対して、評価者2名の目視にて分離と析出の有無を確認し、以下の判定基準に従って評価した。判定基準は◎、〇、×の3段階とした。なお、評価者2名の結果は一致しており、一致した結果を表に示している。
【0031】
(安定性の評価基準)
◎:分離及び析出がない
〇:わずかに分離又は析出がある
×:分離又は析出がある
(塗布時の肌負担の評価)
ウェアラブル接触力センサー(カトーテック株式会社)を使用して、製剤を塗布する際の肌への負担を測定、評価した。まず、利き手人差し指の先端に専用のセンサーを装着し、機器の取り扱い説明書に準じてキャリブレーションを行った。続いて、バイオスキン(株式会社ビューラックス、195mm×130mm)の表面に室温で保管していた各クリームを約0.5mlのせ、バイオスキンの約1/4の面積に対し、センサーを取り付けた指で均一に塗り広げた。塗り広げている最中の指腹の触圧(N)をセンサーで記録し、塗り広げ開始から終了までの触圧(N)の積算値(各ポイントの触圧の合計値)を、塗布時の肌負担とした。なお、触圧(N)の積算値が20,000以上となる場合、不快と感じる抵抗感があった。評価は訓練された評価者2名で行い、平均値を結果とした。
【0032】
(使用感の評価)
訓練された評価者2名により、各クリームを前腕に適量塗布し使用感試験を行い、「コク感」を評価した。「コク感」とは、のびがなめらかで、べたつかない程度の適度な重さを感じる度合いである。「コク感」は以下の基準で評価し、◎、〇を合格とした。なお、評価者2名の結果は一致しており、一致した結果を表に示している。
(使用感の評価基準)
◎:コク感がある
〇:わずかにコク感がある
×:コク感がない
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
結果から明らかなように、実施例1~26の各クリームはいずれも経時安定性、外用組成物塗布時の肌負担、及び使用感(コク感)共に良好な結果が得られた。つまり、実施例1~26の各クリームは、経時安定性、外用組成物塗布時の肌負担、及び使用感(コク感)すべてが良好で総合的にバランスの良いものであった。一方、比較例1~4は、塗布時の肌負担が大きい、又は経時安定性や使用感に劣るという結果であった。
【0036】
(処方例)
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、製剤塗布時の肌負担の低減とコク感のある使用感を両立した、経時安定性に優れるナイアシンアミドを高濃度で含有する外用組成物を提供することが可能になった。