(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091522
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】マルチアンテナのリモート無線ヘッドと無線ユニット用のデジタル回路
(51)【国際特許分類】
H04B 1/38 20150101AFI20240627BHJP
H03H 17/00 20060101ALI20240627BHJP
H03H 17/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H04B1/38
H03H17/00 601B
H03H17/02 671C
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210843
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】111149325
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523471851
【氏名又は名称】繁晶科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】王 易凡
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011DA01
5K011JA01
5K011KA12
5K011KA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無線通信システムにおけるリモート無線ヘッドと無線ユニットの内部のデジタル回路を提供する。
【解決手段】無線ユニットのデジタル回路400において、少なくとも1つのプログラマブルデジタル回路410は、フロントホールインタフェース411を含み、その他のプログラマブルデジタル回路である固定デジタル回路420は、1つまたは複数の通信信号処理モジュール440a~440nを含む。各通信信号処理モジュールは、高速逆フーリエ変換(IFFT)、高速フーリエ変換(FFT)、物理ランダムアクセスチャネルの処理、自動利得制御、同相及び直交信号の圧縮及び解凍、アンテナ補正並びに直交周波数分割多重の位相補償のうちの少なくとも1つまたは複数の組み合わせを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のプログラマブルデジタル回路と、1つまたは複数の固定デジタル回路とを備え、そのうちの少なくとも1つのプログラマブルデジタル回路または固定デジタル回路はフロントホールインタフェースを含み、その他のプログラマブルデジタル回路及び/または固定デジタル回路は1つまたは複数の通信信号処理モジュールを含む無線ユニット用のデジタル回路。
【請求項2】
プログラマブルデジタル回路同士、固定デジタル回路同士、及びプログラマブルデジタル回路と固定デジタル回路との間は、JESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたはその他のインタフェースにより実現できる1つまたは複数のインタフェースを介して接続される請求項1に記載のデジタル回路。
【請求項3】
通信信号処理モジュールは、高速逆フーリエ変換(IFFT)、サイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)、ピーク抑圧(CFR)、デジタルプレディストーション(DPD)、デジタルアップコンバータ(DUC)、D/Aコンバータ(DAC)、A/Dコンバータ(ADC)、デジタルダウンコンバータ(DDC)、サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)、高速フーリエ変換(FFT)、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)の処理、自動利得制御(AGC)、直交周波数分割多重の位相補償(OFDM Phase Compensation)、アンテナ補正(Antenna Calibration)、及び同相と直交(I/Q)信号の圧縮(Compression)及び解凍(Decompression)のうち少なくとも一つ又は複数の組み合わせを含む請求項1に記載のデジタル回路。
【請求項4】
複数のプログラマブルデジタル回路を含み、そのうちの少なくとも1つのプログラマブルデジタル回路は、フロントホールインタフェースを含み、その他のプログラマブルデジタル回路は1つまたは複数の通信信号処理モジュールを含む無線ユニット用のデジタル回路。
【請求項5】
複数のプログラマブルデジタル回路同士は、JESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたはその他のインタフェースにより実現できる1つまたは複数のインタフェースを介して接続される請求項4に記載のデジタル回路。
【請求項6】
通信信号処理モジュールは、高速逆フーリエ変換(IFFT)、サイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)、ピーク抑圧(CFR)、デジタルプレディストーション(DPD)、デジタルアップコンバータ(DUC)、D/Aコンバータ(DAC)、A/Dコンバータ(ADC)、デジタルダウンコンバータ(DDC)、サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)、高速フーリエ変換(FFT)、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)の処理、自動利得制御(AGC)、直交周波数分割多重の位相補償(OFDM Phase Compensation)、アンテナ補正(Antenna Calibration)、及び同相と直交(I/Q)信号の圧縮(Compression)及び解凍(Decompression)のうちの少なくとも一つ又は複数の組み合わせを含む請求項4に記載のデジタル回路。
【請求項7】
複数の固定デジタル回路を含み、そのうちの少なくとも1つの固定デジタル回路は、フロントホールインタフェースモジュールを含み、その他の固定デジタル回路は、1つまたは複数の通信信号処理モジュールを含む無線ユニット用のデジタル回路。
【請求項8】
複数の固定デジタル回路同士は、JESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたは他のインタフェースにより実現できる1つまたは複数のインタフェースを介して接続される請求項7に記載のデジタル回路。
【請求項9】
通信信号処理モジュールは、高速逆フーリエ変換(IFFT)、サイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)、ピーク抑圧(CFR)、デジタルプレディストーション(DPD)、デジタルアップコンバータ(DUC)、D/Aコンバータ(DAC)、A/Dコンバータ(ADC)、デジタルダウンコンバータ(DDC)、サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)、高速フーリエ変換(FFT)、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)の処理、自動利得制御(AGC)、直交周波数分割多重の位相補償(OFDM Phase Compensation)、アンテナ補正(Antenna Calibration)、及び同相と直交(I/Q)信号の圧縮(Compression)及び解凍(Decompression)のうちの少なくとも一つ又は複数の組み合わせを含む請求項7に記載のデジタル回路。
【請求項10】
1つまたは複数のプログラマブルデジタル回路と、1つまたは複数の固定デジタル回路とを含み、そのうちの少なくとも1つのプログラマブルデジタル回路または固定デジタル回路は共通公衆無線インタフェース(CPRI)モジュールを含み、その他のプログラマブルデジタル回路及び/または固定デジタル回路は、1つまたは複数のA/Dコンバータ及びD/Aコンバータモジュールを含むリモート無線ヘッド用のデジタル回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおけるリモート無線ヘッドと無線ユニットの内部のデジタル回路に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の用途では、例えば、無線通信基地局(Base Station)または衛星通信(Satellite Communications)の地上局(Ground Station)システムなどには、フロントホールの無線(Radio Frequency、RF)アナログ信号処理及びデジタル信号処理のためのリモート無線ヘッド(Remote Radio Head、RRH)または無線ユニット(Radio Unit、RU)があるとともに、無線アナログ回路(RF Analog Circuit)及びデジタル回路(Digital Circuit)によりそれぞれその機能を実行する。従来の基地局または衛星通信の地上局は、1つの回路ごとのアンテナが1組の無線アナログ回路の枝路(RF Chain)に対応できるように、無線ヘッドまたは無線ユニットにおける無線アナログ回路部分が複数の無線(RF)コンポーネントと複数の無線集積回路(RF Integrated Circuit、RFIC)とを備えるか或いは一つの無線集積回路に整合するマルチアンテナ(Multiple Antenna)技術を使用することが多く、従来技術では、デジタル回路の部分にシングルチップ(Single Chip)アーキテクチャが用いられている。例えば、2015年12月10日に公告された世界知的所有権機関特許公報第WO2015188145A1号に開示されたリモート無線ヘッド用のデジタル回路はシングルチップアーキテクチャのシステム・オン・チップ(System ona Chip,SOC)であり、そのデジタル回路の実施例として集積回路(Integrated Circuit,IC)を使用する。
【0003】
従来技術はデジタル回路部分にシングルチップアーキテクチャを採用しているため、そのデジタル回路は、フィールド プログラマブル ゲート アレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、システム・オン・チップ(SOC)、マイクロコントローラ(Micro-Controller、MCU)、マイクロプロセッサ(Micro-Processor Unit、MPU)、デジタル・シグナル・プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、グラフィックス プロセッシング ユニット(Graphics Processing Unit、GPU)、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)などのプログラマブル(Programmable)デジタル回路、又は特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)などの固定デジタル回路を使用して実装する。しかし、シングルチップデジタル回路にプログラマブルデジタル回路を使用すると、修正と更新がプログラミングできる利点を有するが、例えば消費電力と演算速度などのその回路性能は特定用途向け集積回路よりも低下しやすい。逆に、シングルチップデジタル回路に固定デジタル回路が使用される場合、その回路アーキテクチャが固定されているため、将来修正と更新がプログラミングできる柔軟性が不足している。特に、基地局システムでの応用のように、通信事業者は一般には、基地局に10年以上の寿命などの長い寿命を要求するため、国際通信規格の更新に伴い、そのデジタル回路は修正または更新を必要とする可能性がある。
【0004】
一方、シングルチップデジタル回路は一体型アーキテクチャであるため、チップ内部のどこかに損傷があると、シングルチップ全体が正常に動作せず、システム全体が故障しやすくなる。また、修理が必要な場合は、シングルチップの内部の損傷箇所だけを交換することはできず、シングルチップ全体を交換する必要がある。
【0005】
また、シングルチップデジタル回路はすべてのデジタル演算機能を1つのチップに統合する必要があるため、その回路構造が複雑になり、必要な研究開発人員とコストも高く、一般的には少数の大手チップ設計会社のみ、シングルチップデジタル回路製品を提供する能力があるため、その回路コストは高くなりやすい。
【0006】
上記に基づいて、従来のシングルチップデジタル回路は、依然として柔軟性が不足し、寿命が短く、安定性が低く、メンテナンスが容易ではなく、コストが高いなどの欠点があり、なお改善する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
上記した従来技術の欠点を解決するために、本開示に係るデジタル回路はマルチチップ(Multi-Chip)アーキテクチャを採用し、プログラマブルデジタル回路及び/又は固定デジタル回路のマルチチップデジタル回路から構成される。リモート無線ヘッドと無線ユニットに必要なデジタル回路機能を適切に切断し、プログラマブルデジタル回路及び/又は固定デジタル回路のチップに分配することにより、そのマルチチップアーキテクチャが協働して必要な機能を果たすことができる。
【0008】
本開示の一態様は、1つまたは複数のプログラマブルデジタル回路と、1つまたは複数の固定デジタル回路とを備える無線ユニット用のデジタル回路を提供し、そのうちの少なくとも1つのプログラマブルデジタル回路または固定デジタル回路は、フロントホールインタフェース(Fronthaul Interface)モジュールを含み、その他のプログラマブルデジタル回路及び/または固定デジタル回路は1つまたは複数の通信信号処理モジュールを含む。各通信信号処理モジュールは、高速逆フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform、IFFT)、サイクリックプレフィックスの付加(Cyclic Prefix Addition、CP Addition)、ピーク抑圧(Crest Factor Reduction、CFR)、デジタルプレディストーション(Digital Pre-distortion,DPD)、デジタルアップコンバータ(Digital Up Converter、DUC)、D/Aコンバータ(Digital to Analog Converter、DAC)、A/Dコンバータ(Analog to Digital Converter、ADC)、デジタルダウンコンバータ(Digital Down Converter、DDC)、サイクリックプレフィックスの除去(Cyclic Prefix Removal、CP Removal)、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel、PRACH)の処理、自動利得制御(Automatic Gain Control、AGC)、同相及び直交(In-phase and Quadrature,I/Q)信号の圧縮(Compression)及び解凍(Decompression)、アンテナ補正(Antenna Calibration)、及び直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing,OFDM)の位相補償(Phase Compensation)のうちの少なくとも1つまたは複数の組み合わせを含む。
【0009】
本開示の別の態様は、複数のプログラマブルデジタル回路を備える無線ユニット用のデジタル回路を提供し、そのうちの少なくとも1つのプログラマブルデジタル回路はフロントホールインタフェースを含み、その他のプログラマブルデジタル回路は、1つまたは複数の通信信号処理モジュールを含む。各通信信号処理モジュールは、高速逆フーリエ変換(IFFT)、サイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)、ピーク抑圧(CFR)、デジタルプレディストーション(DPD)、デジタルアップコンバータ(DUC)、D/Aコンバータ(DAC)、A/Dコンバータ(ADC)、デジタルダウンコンバータ(DDC)、サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)、高速フーリエ変換(FFT)、物理ランダムアクセスチャネルの処理、自動利得制御、同相及び直交信号の圧縮及び解凍、アンテナ補正、及び直交周波数分割多重の位相補償のうちの少なくとも1つまたは複数の組み合わせを含む。
【0010】
本開示の別の態様は、複数の固定デジタル回路を備える無線ユニット用のデジタル回路を提供し、そのうちの少なくとも1つの固定デジタル回路は、フロントホールインタフェースを含み、他の固定デジタル回路は、1つまたは複数の通信信号処理モジュールを含む。各通信信号処理モジュールは、高速逆フーリエ変換(IFFT)、サイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)、ピーク抑圧(CFR)、デジタルプレディストーション(DPD)、デジタルアップコンバータ(DUC)、D/Aコンバータ(DAC)、A/Dコンバータ(ADC)、デジタルダウンコンバータ(DDC)、サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)、高速フーリエ変換(FFT)、物理ランダムアクセスチャネルの処理、自動利得制御、同相及び直交信号の圧縮及び解凍、アンテナ補正、及び直交周波数分割多重の位相補償のうちの少なくとも1つまたは複数の組み合わせを含む。
【0011】
本開示の別の態様は、1つまたは複数のプログラマブルデジタル回路、及び1つまたは複数の固定デジタル回路を備えるリモート無線ヘッド用のデジタル回路を提供し、そのうちの少なくとも1つのプログラマブルデジタル回路または固定デジタル回路は共通公衆無線インタフェース(Common Public Radio Interface、CPRI)モジュールを含み、他のプログラマブルデジタル回路及び/または固定デジタル回路は、1つまたは複数のA/Dコンバータ(ADC)及びD/Aコンバータ(DAC)モジュールを含む。
【0012】
上記によれば、本開示に係るリモート無線ヘッドと無線ユニットのデジタル回路は、修正と更新がプログラミングできる柔軟性を備えるとともに、固定デジタル回路の優れた回路性能、例えば低消費電力と高速な演算速度を兼ね備えている。また、マルチチップアーキテクチャを採用しているため、その安定性と寿命はシングルチップアーキテクチャより優れ、例えば、マルチアンテナアーキテクチャの無線ユニットの応用において、特にアンテナの本数が多い場合、一部のアンテナの枝路のデジタル回路チップに損害が発生した場合でも、性能に欠陥が生じる可能性があるが、システム全体が正常に動作することができ、寿命の延長が図れる。また、一部のチップが損害した場合も、損害したチップを交換するだけでよく、すべてのデジタル回路チップを交換する必要がないため、修理が容易である。また、マルチチップアーキテクチャにおける個別のチップは回路の複雑度が相対的に低いため、技術開発のバリアが低く、コア技術は少数の大手企業に掌握されにくくなり、回路全体のコストの低減を図る機会がある。また、本開示に係るデジタル回路は、大型多入力多出力アンテナ(Massive MIMO)の基地局などのアンテナの本数が多い無線通信システムに特に適している。大型多入力多出力アンテナの基地局は同じデータ伝送速度の条件下で、アンテナの本数の増加に伴い、送信電力(Transmit Power)を効果的に低減することができ、低減された送信電力はアンテナの本数に比例し、つまりアンテナの本数が多いほど必要な送信電力を多く低減することができるため、適切な設計により基地局に必要な電力消費(Power Consumption)を低減し、省エネ・減炭のグリーン技術効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の内容と実施例をより明確にわかりやすくするために、図面について以下のように説明する。
【
図1】リモート無線ヘッドを有する基地局の概略図を示す。
【
図2】無線ユニットを有する基地局の概略図を示す。
【
図3】無線ユニットを有する衛星通信地上局の概略図を示す。
【
図4】本開示の一実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
【
図5】本開示の別の実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
【
図6】本開示の別の実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
【
図7】本開示の別の実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
【
図8】本開示の別の実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
【
図9】本開示の別の実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
【
図10】本開示の一実施例に基づきリモート無線ヘッドのデジタル回路を示す概略図である。
【
図11】本開示の一実施例に基づき衛星通信地上局に適用される無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら実施例を詳細に説明するが、提供される実施例は、本明細書でカバーされる範囲を制限するために使用されるものではない。コンポーネントを新たに組合せした構造、均等な効果を有する装置は、本明細書でカバーされる範囲である。なお、図面は説明のみを目的としており、原寸法に従って作成されるものではない。理解を容易にするために、以下の説明における同一の要素には同一の符号を付して説明する。
【0015】
本明細書で使用される『プログラマブルデジタル回路』に関して定義される範囲は、プログラミング言語により修正または更新できる任意のデジタル回路である。例えば、フィールド プログラマブル ゲート アレイ(FPGA)、システム・オン・チップ(SOC)、マイクロコントローラ(MCU)、マイクロプロセッサ(MPU)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、グラフィックスプロセッシングユニット(Graphics Processing Unit、GPU)、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)の様々な組み合わせ、及びプログラミング言語により修正または更新できるその他のデジタル回路は、本明細書で定義されるプログラマブルデジタル回路の範囲内にある。
【0016】
本明細書で使用される『固定デジタル回路』に関して定義される範囲は、プログラミング言語により修正または更新できないデジタル回路である。例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びプログラミング言語で変更または更新できないその他のデジタル回路は、本明細書で定義される固定デジタル回路の範囲内にある。
【0017】
本明細書で使用される「双方向伝送」については、AがBに信号またはデータを双方向に伝送する場合、AがBに信号またはデータを伝送することができ、及び/またはBがAに信号またはデータを伝送することができることを意味する。
【0018】
本明細書で使用される『無線ユニット(Radio Unit,RU)』は、アンテナ、無線アナログ回路、及びデジタル回路を有する任意のシステムを含む広義の無線ユニットである。例えば、オープン無線アクセスネットワーク(Open Radio Access Network,O-RAN)により組成されたオープン無線ユニット(Open Radio Unit,O-RU)も、本明細書で定義される無線ユニットの範囲内にある。その他の組合せについて、例えばオープン無線ユニット(O-RU)+オープン分散ユニット(Open Distributed Unit、O-DU)などの組合せシステム、及び衛星通信地上局がアンテナ、無線アナログ回路、及びデジタル回路を有するシステムも、本明細書で定義される無線ユニットの範囲内にある。
【0019】
本明細書で使用される『分散ユニット(Distributed Unit,DU)』については、無線ユニットとインタフェースを介して接続され、物理層(Physical Layer,PHY)の関連演算に関するシステムを含むデジタル回路を有する広義の分散ユニットである。例えば、オープン無線アクセスネットワーク(O-RAN)により組成されたオープン分散ユニット(Open Distributed Unit,O-DU)も、本明細書で定義される分散ユニットの範囲内にある。その他の組合せについて、例えばオープン分散ユニット+オープンセントラルユニット(Open Central Unit、O-CU)などの組合せシステム、及び衛星通信地上局のバック・エンドに物理層の関連演算が含まれるシステムも、本文で定義される分散ユニットの範囲内にある。
【0020】
本明細書で使用される「フロントホールインタフェース」は、無線ユニットと分散ユニットとに接続可能な任意のインタフェースを含む広義のフロントホールインタフェースである。例えば、オープン無線アクセスネットワークにより組成されたフロントホールインタフェース(Fronthaul Interface)は、拡張共通公衆無線インタフェース(evolved Common Public Radio Interface,eCPRI)プロトコル(Protocol)を採用し、制御プレーン(Control Plane,C-Plane)、ユーザプレーン(User Plane,U-Plane)、同期プレーン(Synchronization Plane,S-Plane)、及び管理プレーン(Management Plane,M-Plane)を含み、本明細書で定義されるフロントホールインタフェースの範囲内に含まれる。衛星通信地上局は、フロントエンドの無線ユニットとバックエンドの分散ユニットのインタフェースに接続され、本明細書で定義されるフロントホールインタフェースの範囲内にある。
【0021】
図1を参照すると、
図1は、リモート無線ヘッドを使用する無線通信基地局の概略図を示す。
図1に示すように、無線通信基地局(Base Station)10は、アンテナ(Antenna)100a~100c、リモート無線ヘッド(RRH)110、支持フレーム120、ベースバンド・ユニット(Baseband Unit、BBU)130、ケーブル(Cable)11a~11c、及び共通公衆無線インタフェース(CPRI)12を含む。
【0022】
支持フレーム120は、主に支持の役割を果たし、上面にアンテナ100a~100cとリモート無線ヘッド110とが取り付けられている。アンテナ100a~100cは、無線電波信号を送受し、ケーブル11a~11cを介してアナログ高周波信号をリモート無線ヘッド110に双方向に伝送するために使用される。リモート無線ヘッド110は無線アナログ回路及びデジタル回路を含み、無線アナログ回路は主に無線アナログ信号の周波数のアップ/ダウン、フィルタリング(Filtering)、及び信号の増幅と減衰などのアナログ信号処理を実行し、デジタル回路の部分は本開示のコアであり、主にデジタル信号処理の演算を行うことであり、
図10のリモート無線ヘッドのデジタル回路の実施例の説明を参照することができる。リモート無線ヘッド110は、基地局に必要な機能として物理層(PHY)、メディアアクセス制御(Media Access Control、MAC)、無線リンク制御(Radio Link Control、RLC)、パケットデータ統合プロトコル(Packet Data Convergence Protocol、PDCP)、及び無線リソース制御(Radio Resource Control、RRC)などの機能を実行するベースバンドユニット130に対して、共通公衆無線インタフェース12を介してデジタルデータを双方向に伝送する。
【0023】
図2を参照すると、
図2は、無線ユニットを使用する無線通信基地局の概略図を示す。
図1のリモート無線ヘッドとは異なり、無線ユニット(RU)200a~200cはアンテナ、無線アナログ回路、及びデジタル回路を統合することで、リモート無線ヘッドのケーブルの損失を低減または回避することができる。また、無線ユニットはアンテナと高度で統合されているため、大型多入力多出力アンテナ(Massive MIMO)などのアンテナの本数の多いマルチアンテナアーキテクチャへの適用により適しているため、現代の第5世代(5 G)モバイル通信基地局では無線ユニットの無線通信基地局が多く使用されている。
図2に示すように、無線通信基地局20は、無線ユニット(RU)200a~200cと、支持フレーム220と、分散ユニット(DU)230と、フロントホールインタフェース21a~21cとを含む。
【0024】
支持フレーム220は、主に支持の役割を果たし、上面には、アンテナ、無線アナログ回路、及びデジタル回路を含む無線ユニット200a~200cが取り付けられている。アンテナは電波信号を送受し、無線アナログ回路は主に無線アナログ信号を含む周波数のアップ/ダウン、フィルタリング、信号の増幅と減衰などのアナログ信号処理を実行し、デジタル回路の部分は本開示のコアであり、主にデジタル信号処理の演算を行うことであり、
図4から
図9の無線ユニットのデジタル回路の実施例の説明を参照することができる。無線ユニット200a~200cは、基地局のために必要な高物理層(High Physical Layer、High-PHY)、メディアアクセス制御(Media Access Control、MAC)、及び無線リンク制御(Radio Link Control、RLC)などを含む機能を実行する前記分散ユニット230に対して、フロントホールインタフェース21a~21cを介してデジタルデータを双方向に伝送する。
【0025】
図3を参照すると、
図3は、無線ユニットを用いた衛星通信地上局(Ground Station)の概略図を示す。
図3に示すように、衛星通信地上局30は、無線ユニット(RU)300と、支持フレーム320と、分散ユニット(DU)310と、フロントホールインタフェース31とを含む。
【0026】
支持フレーム320は、主に支持の役割を果たし、上面にアンテナ、無線アナログ回路、及びデジタル回路を含む無線ユニット300が取り付けられている。アンテナは電波信号を送受し、無線アナログ回路は主に無線アナログ信号を含む周波数のアップ/ダウン、フィルタリング、信号の増幅と減衰などのアナログ信号処理を実行し、デジタル回路の部分は本開示のコアであり、主にデジタル信号処理の演算を行うことであり、
図11の衛星通信地上局の無線ユニットのデジタル回路の実施例の説明を参照することができる。無線ユニット300は、衛星通信地上局に必要な物理層(PHY)の関連演算を実行できる分散ユニット310に対して、フロントホールインタフェース31を介してデジタルデータを双方向に伝送する。
【0027】
図4を参照すると、
図4は、本開示の一実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
図4に示すように、無線ユニットのデジタル回路400は、プログラマブルデジタル回路410、固定デジタル回路420、アナログインタフェース40、デジタルインタフェース41、及びフロントホールインタフェース42を含む。
【0028】
プログラマブルデジタル回路410は、フロントホールインタフェースモジュール411を含み、フロントホールインタフェースモジュール411はフロントホールインタフェースの送受信機であり、フロントホールインタフェース42を介して無線ユニットのデータを分散ユニットに送信することができるとともに、分散ユニットからフロントホールインタフェース42を介して無線ユニットに送信されたデータを受信することができる。
【0029】
固定デジタル回路420は、ビームフォーミング(Beamforming)及び/またはプレコーディング(Precoding)モジュール421と、複数の送受信モジュール440a~440nとを含む。
【0030】
ビームフォーミング及び/またはプリコーディングモジュール421は、ビームフォーミング及び/またはプリコーディングの2つの部分を含み、ビームフォーミングは主にアップリンク(Uplink)とダウンリンク(Downlink)のビームフォーミング演算を行い、プリコーディングはダウンリンクの各アンテナに必要な送信の信号を算出するために用いられる。
【0031】
各送受信モジュール440a~440nは、送信と受信の2つの部分を含み、その送信部分が高速逆フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform、IFFT)422、サイクリックプレフィックスの付加(Cyclic Prefix Addition、CP Addition)423、ピーク抑圧(Crest Factor Reduction、CFR)424、デジタルプレディストーション(DPD)425、デジタルアップコンバータ(Digital Up Converter、DUC)426、及びD/Aコンバータ(Digital to Analog Converter,DAC)427を含む。まず周波数領域(Frequency Domain)信号は高速逆フーリエ変換422及びサイクリックプレフィクスの付加423により直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、OFDM)の変調演算が行なわれ、周波数領域信号が時間領域(Time Domain)信号に変換され、その後、ピーク抑圧424により信号の大きさが設定された動的範囲内に制限され、さらにアナログ回路におけるパワーアンプ(Power Amplifier)による非線形歪みが、デジタルプリディストーション425により補償される。最後に、デジタルアップコンバータ426により信号サンプリング周波数及び/又は周波数シフトが高められ、D/Aコンバータ427によりデジタル信号がアナログ信号に変換され、無線ユニット内の無線アナログ回路に送信される。
【0032】
各送受信モジュール440a~440nは、その受信部分がA/Dコンバータ(Analog to Digital Converter、ADC)431、デジタルダウンコンバータ(Digital Down Converter、DDC)430、サイクリックプレフィックスの除去(Cyclic Prefix Removal、CP Removal)429、及び高速フーリエ変換(Fourier Transform、FFT)428を含む。まず無線アナログ回路のようなアナログ信号は、A/Dコンバータ431によりデジタル信号に変換され、さらにデジタルダウンコンバータ430により信号サンプリング周波数の低減及び/または周波数シフトの処理が行なわれ、最後にサイクリックプレフィックスの除去429と高速フーリエ変換428により直交周波数分割多重の復調演算が行なわれ、時間領域信号が周波数領域信号に変換される。
【0033】
プログラマブルデジタル回路410及び/または固定デジタル回路420は、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)の処理、自動利得制御(AGC)、直交周波数分割多重の位相補償(OFDM Phase Compensation)、アンテナ補正(Antenna Calibration)、及び同相と直交(I/Q)信号の圧縮及び解凍のモジュールを含むこともできる。その中で物理ランダムアクセスチャネルの処理は主に物理ランダムアクセスチャネルに関連するフィルタリング(Filtering)処理を行い、自動利得制御は自動利得調整の機能を達成するために用いられ、直交周波数分割多重の位相補償、直交周波数分割多重の位相を補償する演算を提供し、アンテナ補正は送信側と受信側のアンテナと無線回路の利得を一致させることができ、同相と直交信号の圧縮及び解凍は、フロントホールインタフェースに必要な送受信データを減少させるために使用される。
図4の図示を簡単にするために、これらのモジュールが図示されていないが、これらのモジュールが
図4のデジタル回路に含まれてもよい。
【0034】
図4に示すように、プログラマブルデジタル回路410と固定デジタル回路420との間には、デジタルインタフェース41を介してデータが双方向に伝送され、ここで、デジタルインタフェース41は例えばJESD204(A/B/C)、低電圧差動信号(Low-Voltage Differential Signaling,LVDS)、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)などのインタフェースまたは他のインタフェースにより実現することができる。一方、アナログインタフェース40は、無線アナログ回路と固定デジタル回路420との間の双方向伝送インタフェースとするアナログ信号のインタフェースである。
【0035】
図5を参照すると、
図5は、本開示の一実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
図5に示すように、無線ユニットのデジタル回路500は、プログラマブルデジタル回路510、固定デジタル回路520、デジタルインタフェース50、デジタルインタフェース51、及びフロートホールインタフェース52を含む。
【0036】
プログラマブルデジタル回路510は、フロントホールインタフェースモジュール511を含み、フロントホールインタフェースモジュール511は、フロントホールインタフェースの送受信機であり、無線ユニットのデータをフロントホールインタフェース52を介して分散ユニットに送信することができるとともに、分散ユニットからフロントホールインタフェース52を介して無線ユニットに送信されたデータを受信することができる。
【0037】
固定デジタル回路520は、ビームフォーミング及び/またはプリコーディングモジュール521と、複数の送受信モジュール540a~540nとを含む。
【0038】
図4とは異なり、
図5の各送受信モジュール540a~540nは、送信と受信の2つの部分を含み、その中の送信の部分は高速逆フーリエ変換(IFFT)522、及びサイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)523だけを含み、他には、例えばピーク抑圧、デジタルプリディストーション、デジタルアップコンバータ、及びD/Aコンバータなどのデジタル回路は無線ユニットの無線アナログ回路に統合することができる。一方、受信の部分は、高速フーリエ変換(FFT)524、及びサイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)525だけを含み、他には例えばA/Dコンバータ、及びデジタルダウンコンバータなどのデジタル回路は無線ユニットの無線アナログ回路に統合することができる。
【0039】
プログラマブルデジタル回路510及び/又は固定デジタル回路520は、物理ランダムアクセスチャネルの処理、自動利得制御、直交周波数分割多重の位相補償、アンテナ補正、及び同相及び直交信号の圧縮及び解凍を含むこともできる。
図5の図示を簡単にするために、これらのモジュールが図示されていないが、これらのモジュールは
図5のデジタル回路に含まれてもよい。
【0040】
図5に示すように、プログラマブルデジタル回路510と固定デジタル回路520との間にはデジタルインタフェース51を介してデータが双方向に伝送され、固定デジタル回路520はデジタルインタフェース50を介して無線アナログ回路に統合されたデジタル回路にデータを双方向に伝送することができ、ここで、デジタルインタフェース51とデジタルインタフェース50は例えばJESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたは他のインタフェースにより実現することができる。
【0041】
図6を参照すると、
図6は、本開示の一実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
図6に示すように、無線ユニットのデジタル回路600は、プログラマブルデジタル回路610、固定デジタル回路620、固定デジタル回路630a~630n、デジタルインタフェース60a~60n、デジタルインタフェース61a~61n、デジタルインタフェース62、及びフロントホールインタフェース63を含む。
【0042】
プログラマブルデジタル回路610は、フロントホールインタフェースモジュール611を含み、前記フロントホールインタフェースモジュール611は、フロントホールインタフェースの送受信機であり、無線ユニットのデータをフロントホールインタフェース63を介して分散ユニットに送信することができるとともに、分散ユニットからフロントホールインタフェース63を介して無線ユニットに送信されたデータを受信することができる。
【0043】
固定デジタル回路620は、ビームフォーミング及び/またはプリコーディングモジュール621を含む。
【0044】
各固定デジタル回路630a~630nは、送信及び受信の2つの部分を含み、その中の送信の部分は、高速逆フーリエ変換(IFFT)631と、サイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)632とを含み、一方、受信の部分は、高速フーリエ変換(FFT)633と、サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)634とを含む。他には、例えばピーク抑圧、デジタルプリディストーション、デジタルアップコンバータ、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ、デジタルダウンコンバータなどのデジタル回路は無線ユニットの無線アナログ回路に統合することができる。
【0045】
プログラマブルデジタル回路610及び/または固定デジタル回路620及び/または固定デジタル回路630a~630nは、物理ランダムアクセスチャネルの処理、自動利得制御、直交周波数分割多重の位相補償、アンテナ補正、及び同相と直交信号の圧縮及び解凍のモジュールを含むこともできる。
図6の図示を簡単にするために、これらのモジュールが図示されていないが、これらのモジュールは
図6のデジタル回路に含まれてもよい。
【0046】
図6に示すように、プログラマブルデジタル回路610と固定デジタル回路620との間には、デジタルインタフェース62を介してデータが双方向に伝送され、固定デジタル回路620と固定デジタル回路630a~630nとの間にはデジタルインタフェース61a~61nを介してデータが双方向に伝送され、一方、固定デジタル回路630a~630nは、デジタルインタフェース60a~60nを介して無線アナログ回路に統合されたデジタル回路にデータを双方向に伝送する。ここで、デジタルインタフェース62、デジタルインタフェース61a~61n、及びデジタルインタフェース60a~60nは、JESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたは他のインタフェースにより実現することができる。
【0047】
図7を参照すると、
図7は、本開示の一実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
図7に示すように、無線ユニットのデジタル回路700は、固定デジタル回路710、固定デジタル回路720、デジタルインタフェース70、デジタルインタフェース71、及びフロントホールインタフェース72を含む。
【0048】
固定デジタル回路710は、フロントホールインタフェースモジュール711を含み、前記フロントホールインタフェースモジュール711は、フロントホールインタフェースの送受信機であり、フロントホールインタフェース72を介して無線ユニットのデータを分散ユニットに送信することができるとともに、分散ユニットからフロントホールインタフェース72を介して無線ユニットに送信されたデータを受信することができる。
【0049】
固定デジタル回路720は、ビームフォーミング及び/またはプリコーディングモジュール721と、複数の送受信モジュール740a~740nとを含む。
【0050】
図7の各送受信モジュール740a~740nは、送信と受信の2つの部分を含み、その中の送信の部分は高速逆フーリエ変換(IFFT)722と、サイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)723とを含み、一方、受信の部分は、高速フーリエ変換(FFT)724と、サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)725とを含む。他には、例えばピーク抑圧、デジタルプリディストーション、デジタルアップコンバータ、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ、デジタルダウンコンバータなどのデジタル回路は無線ユニットの無線アナログ回路に統合することができる。
【0051】
固定デジタル回路710及び/又は固定デジタル回路720は、物理ランダムアクセスチャネルの処理、自動利得制御、直交周波数分割多重の位相補償、アンテナ補正、及び同相及び直交信号の圧縮及び解凍を含むこともできる。
図7の図示を簡単にするために、これらのモジュールが図示されていないが、これらのモジュールは
図7のデジタル回路に含まれてもよい。
【0052】
図7に示すように、固定デジタル回路710と固定デジタル回路720との間には、デジタルインタフェース71を介してデータが双方向に伝送され、固定デジタル回路720は、デジタルインタフェース70を介してデータを無線周波アナログ回路に統合されたデジタル回路に双方向に伝送することができる。ここで、デジタルインタフェース70とデジタルインタフェース71は、JESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたは他のインタフェースにより実現することができる。
【0053】
図8を参照すると、
図8は、本開示の一実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
図8に示すように、無線ユニットのデジタル回路800は、プログラマブルデジタル回路810、プログラマブルデジタル回路820、デジタルインタフェース80、デジタルインタフェース81、及びフロントホールインタフェース82を含む。
【0054】
プログラマブルデジタル回路810は、フロントホールインタフェースモジュール811を含み、前記フロントホールインタフェースモジュール811は、フロントホールインタフェースの送受信機であり、無線ユニットのデータをフロントホールインタフェース82を介して分散ユニットに送信することができるとともに、分散ユニットからフロントホールインタフェース82を介して無線ユニットに送信されたデータを受信することができる。
【0055】
プログラマブルデジタル回路820は、ビームフォーミング及び/またはプリコーディングモジュール821と、複数の送受信モジュール840a~840nとを含む。
【0056】
図8の各送受信モジュール840a~840nは、送信と受信の2つの部分を含み、その中の送信の部分は高速逆フーリエ変換(IFFT)822、及びサイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)823とを含み、一方、受信の部分は、高速フーリエ変換(FFT)824と、サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)825とを含む。他には、例えばピーク抑圧、デジタルプリディストーション、デジタルアップコンバータ、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ、デジタルダウンコンバータなどのデジタル回路は無線ユニットの無線アナログ回路に統合することができる。
【0057】
プログラマブルデジタル回路810及び/又はプログラマブルデジタル回路820は、物理ランダムアクセスチャネルの処理、自動利得制御、直交周波数分割多重の位相補償、アンテナ補正、及び同相及び直交信号の圧縮及び解凍のモジュールを含むこともできる。
図8の図示を簡単にするために、これらのモジュールが図示されていないが、これらのモジュールは
図8のデジタル回路に含まれてもよい。
【0058】
図8に示すように、プログラマブルデジタル回路810とプログラマブルデジタル回路820との間には、デジタルインタフェース81を介してデータが双方向に伝送され、プログラマブルデジタル回路820はデジタルインタフェース80を介して無線アナログ回路に統合されたデジタル回路にデータを双方向に伝送し、ここで、デジタルインタフェース81とデジタルインタフェース80はJESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたはその他のインタフェースにより実現することができる。
【0059】
図9を参照すると、
図9は、本開示の一実施例に基づき無線ユニットのデジタル回路を示す概略図である。
図9に示すように、無線ユニットのデジタル回路900は、プログラマブルデジタル回路910、デジタルインタフェース90、及びフロートホールインタフェース91を含む。
図9は、プログラマブルデジタル回路910だけを含むが、例えばピーク抑圧、デジタルプリディストーション、デジタルアップコンバータ、D/Aコンバータ、A/Dコンバータ、デジタルダウンコンバータなどの他のデジタル回路が無線ユニットの無線アナログ回路チップに統合することができるため、本開示に係るマルチチップデジタル回路アーキテクチャの範囲内にも属し、
図9の図示を簡単にするために、無線アナログ回路に統合されたデジタル回路は図示されていない。
【0060】
プログラマブルデジタル回路910は、フロートホールインタフェースモジュール911、ビームフォーミング及び/またはプリコーディングモジュール912、及び複数の送受信モジュール913a~913nを含む。
【0061】
フロントホールインタフェースモジュール911は、フロントホールインタフェースの送受信機であり、フロントホールインタフェース91を介して無線ユニットのデータを分散ユニットに送信することができるとともに、分散ユニットからフロントホールインタフェース91を介して無線ユニットに送信されたデータを受信することができる。
【0062】
各送受信モジュール913a~913nは、送信と受信の2つの部分を含み、その中の送信の部分は高速逆フーリエ変換(IFFT)920と、サイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)921とを含み、一方、受信の部分は、高速フーリエ変換(FFT)922と、サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)923とを含む。
【0063】
プログラマブルデジタル回路910は、物理ランダムアクセスチャネルの処理、自動利得制御、直交周波数分割多重の位相補償、アンテナ補正、及び同相及び直交信号の圧縮及び解凍を含むこともできる。
図9の図示を簡単にするために、これらのモジュールが図示されていないが、これらのモジュールは
図9のデジタル回路に含まれてもよい。
【0064】
プログラマブルデジタル回路910は、デジタルインタフェース90を介して、無線アナログ回路に統合されたデジタル回路にデータを双方向に伝送し、ここで、デジタルインタフェース90はJESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたは他のインタフェースにより実現することができる。
【0065】
図10を参照すると、
図10は、本開示の1つの実施例に基づきリモート無線ヘッドのデジタル回路を示す概略図である。
図10に示すように、リモート無線ヘッドのデジタル回路1000は、プログラマブルデジタル回路1010、固定デジタル回路1020、アナログインタフェース103、デジタルインタフェース101、及び共通公衆無線インタフェース(CPRI)102を含む。
【0066】
プログラマブルデジタル回路1010は、共通公衆無線インタフェース(CPRI)モジュール1011を含み、共通公衆無線インタフェースモジュール1011は共通公衆無線インタフェースの送受信機であり、リモート無線ヘッドのデータを共通公衆無線インタフェース102を介してベースバンド・ユニットに送信することができるとともに、ベースバンド・ユニットから共通公衆無線インタフェース102を介してリモート無線ヘッドに送信されたデータを受信することができる。
【0067】
固定デジタル回路1020は、D/Aコンバータ及びA/Dコンバータモジュール1030a~1030nを含み、各D/Aコンバータ及びA/Dコンバータモジュール1030a~1030nは、D/Aコンバータ(DAC)1021及びA/Dコンバータ(ADC)1022を含む。
【0068】
図10に示すように、プログラマブルデジタル回路1010と固定デジタル回路1020との間には、デジタルインタフェース101を介してデータが双方向に伝送され、ここで、デジタルインタフェース101はJESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたは他のインタフェースにより実現することができる。アナログインタフェース103は、無線アナログ回路と固定デジタル回路1020との間の双方向伝送インタフェースとするアナログ信号のインタフェースである。
【0069】
図11を参照して、
図11は、本開示の1つの実施例に基づき、衛星通信地上局(Ground Station)や衛星上の衛星通信中継器(Repeater)などのシステムに適用できる衛星通信システムの無線ユニット数回路を示す概略図である。
図11に示すように、無線ユニットのデジタル回路1100は、プログラマブルデジタル回路1110、固定デジタル回路1120a~1120n、アナログインタフェース1130a~1130n、デジタルインタフェース1131a~1131n、及びフロントホールインタフェース1132を含む。
【0070】
プログラマブルデジタル回路1110は、フロートホールインタフェースモジュール1111及びビームフォーミングモジュール1112を含み、ここで、フロートホールインタフェースモジュール1111はフロートホールインタフェースの送受信機であり、無線ユニットのデータをフロートホールインタフェース1132を介して分散ユニットに送信することができるとともに、分散ユニットからフロートホールインタフェース1132を介して無線ユニットに送信されたデータを受信することができる。ビームフォーミングモジュール1112は、主に送受信のビームフォーミング演算を提供する。
【0071】
各固定デジタル回路1120a~1120nは、送信と受信の2つの部分を含み、その中の送信の部分はデジタルアップコンバータ(DUC)1121と、D/Aコンバータ(DAC)1122とを含み、一方、受信の部分は、デジタルダウンコンバータ(DDC)1123と、A/Dコンバータ(ADC)1124とを含む。また、固定デジタル回路1120a~1120nは、本開示の範囲に属する無線アナログ回路に統合することができる。
【0072】
図11に示すように、プログラマブルデジタル回路1110と固定デジタル回路1120a~1120nとの間には、デジタルインタフェース1131a~1131nを介してデータが双方向に伝送され、ここで、デジタルインタフェース1131a~1131nはJESD204(A/B/C)、低電圧差動信号、PCIeなどのインタフェースまたは他のインタフェースを介して実現することができ、アナログインタフェース1130a~1130nは無線アナログ回路と固定デジタル回路1120a~1120nとの間の双方向伝送インタフェースとするアナログ信号のインタフェースである。
【符号の説明】
【0073】
10:リモート無線ヘッドを用いた無線通信基地局
11a~11c:ケーブル
12、102:共通公衆無線インタフェース
100a~100c:アンテナ
110:リモート無線ヘッド
120、220、320:支持フレーム
130:ベースバンド・ユニット
20:無線ユニットを用いた無線通信基地局
21a~21c、31、42、52、63、72、82、91、1132:フロートホールインタフェース
200a~200c、300:無線ユニット
230、310:分散ユニット
30:無線ユニットを用いた衛星通信地上局
40、103、1130a~1130n:アナログインタフェース
41、50、51、60a~60n、61a~61n、62、70、71、80、81、90、101、1131a~1131n:デジタルインタフェース
400、500、600、700、800、900、1100:無線ユニットのデジタル回路
410、510、610、810、820、910、1010、1110:プログラマブルデジタル回路
411、511、611、711、811、911、1111:フロントホールインタフェースモジュール
420、520、620、630a~630n、710、720、1020、1120a~1120n:固定デジタル回路
421、521、621、721、821、912:ビームフォーミング及び/またはプリコーディングモジュール
422、522、631、722、822、920:高速逆フーリエ変換(IFFT)
423、523、632、723、823、921:サイクリックプレフィックスの付加(CP Addition)
424:ピーク抑圧(CFR)
425:デジタルプリディストーション(DPD)
426、1121:デジタルアップコンバータ(DUC)
427、1021、1122:D/Aコンバータ(DAC)
428、524、633、724、824、922:高速フーリエ変換(FFT)
429、525、634、725、825、923:サイクリックプレフィックスの除去(CP Removal)
430、1123:デジタルダウンコンバータ(DDC)
431、1022、1124:A/Dコンバータ(ADC)
440a~440n、540a~540n、740a~740n、840a~840n、913a~913n:送受信モジュール
1000:リモート無線ヘッドのデジタル回路
1011:共通公衆無線インタフェース(CPRI)モジュール
1030a~1030n:D/AコンバータとA/Dコンバータモジュール
1112:ビームフォーミングモジュール