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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091524
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201K
H01G4/30 513
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211121
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0183415
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】劉 元熙
(72)【発明者】
【氏名】宋 永訓
(72)【発明者】
【氏名】金 賢佑
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AD02
5E001AE02
5E001AE03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC33
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082JJ03
5E082JJ12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性に優れ、本体に加えられる応力(stress)を緩和させる構造を有する積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、略立方体の本体と、本体上に配置される外部電極と、本体内に誘電体層及び誘電体層と第1方向に交互に配置された内部電極を含む単位電極部UEを2つ以上含む。2つ以上の単位電極部UE1、UE2は、第1方向に一列に配置され、単位電極部の第1及び第3方向の断面において、単位電極部内で第1方向の上部UP及び下部LPに配置された内部電極の幅は、第1方向の中央部CPに配置された内部電極の幅よりも小さく、単位電極部内で第1方向の上部に配置された内部電極の端を連結した線をUL、第1方向の中央部に配置された内部電極の端を連結した線をCL、第1方向の下部に配置された内部電極の端を連結した線をLLとするとき、CLとULがなす鋭角及びCLとLLがなす鋭角は20度~70度である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置された内部電極を含む単位電極部を2つ以上含み、
前記第1方向に向かい合う第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面、前記第1~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記2つ以上の単位電極部は、前記第1方向に一列に配置され、
前記単位電極部の第1及び第3方向の断面において、
前記単位電極部内で第1方向の上部及び下部に配置された内部電極の幅は、第1方向の中央部に配置された内部電極の幅よりも小さく、
前記単位電極部内で第1方向の上部に配置された内部電極の端を連結した線をUL、第1方向の中央部に配置された内部電極の端を連結した線をCL、第1方向の下部に配置された内部電極の端を連結した線をLLとするとき、CLとULがなす鋭角及びCLとLLがなす鋭角は20度~70度である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記ULは、前記第3方向となす鋭角が20度~70度である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記単位電極部内で第1方向の上部に配置された内部電極の幅は、第1方向の上部に向かうほど小さくなり、
前記単位電極部内で第1方向の下部に配置された内部電極の幅は、第1方向の下部に向かうほど小さくなる、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記単位電極部内で第1方向の中央部に配置された内部電極の幅は同一である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記単位電極部内で第1方向の中央部の第1方向の大きさは、第1方向の上部の第1方向の大きさよりも大きく、第1方向の下部の第1方向の大きさよりも大きい、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記本体は、隣接した単位電極部の間に配置された中間層を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記中間層の平均厚さは前記誘電体層の平均厚さの3倍以上である、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記本体は、前記2つ以上の単位電極部を含む容量形成部、隣接した単位電極部の間に配置された中間層、前記容量形成部の第1方向の上部に配置される上部カバー部、及び前記容量形成部の第1方向の下部に配置される下部カバー部を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記上部カバー部の平均厚さをtc1、前記下部カバー部の平均厚さをtc2とするとき、0.9≦tc1/tc2≦1.1を満たす、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記上部カバー部の平均厚さをtc1、前記下部カバー部の平均厚さをtc2、前記中間層の平均厚さをtc3とするとき、0.1*(tc1+tc2)/2≦tc3≦(tc1+tc2)/2を満たす、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記誘電体層の平均厚さをtd、前記上部カバー部の平均厚さをtc1、前記下部カバー部の平均厚さをtc2、前記中間層の平均厚さをtc3とするとき、
td<tc3、tc3≦tc1、及びtc3≦tc2を満たす、請求項8に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記本体の第3方向の中央部において第1方向の大きさをT1、前記本体の第3方向の一端における第1方向の大きさをT2、前記本体の第3方向の他端における第1方向の大きさをT3とするとき、[1-2*T1/(T2+T3)]*100は3.8未満である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の大きさの変動係数は0.52未満である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
誘電体層、及び前記誘電体層と第1方向に交互に配置された内部電極を含む単位電極部を2つ以上含み、
前記第1方向に向かい合う第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面、前記第1~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記2つ以上の単位電極部は、前記第1方向に一列に配置され、
前記単位電極部の第1及び第3方向の断面において、前記単位電極部に含まれた内部電極の幅方向の一端を連結した線、幅方向の他端を連結した線、第1方向の最上部に配置された内部電極及び第1方向の最下部に配置された内部電極がなす形態は八角形状である、積層型電子部品。
【請求項15】
前記単位電極部の第1及び第3方向の断面において、
前記単位電極部内で第1方向の上部に配置された内部電極の幅は、第1方向の上部に向かうほど小さくなり、第1方向の下部に配置された内部電極の幅は、第1方向の下部に向かうほど小さくなり、第1方向の中央部に配置された内部電極の幅は同一である、請求項14に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記本体は、前記2つ以上の単位電極部を含む容量形成部、隣接した単位電極部間に配置された中間層、前記容量形成部の第1方向の上部に配置される上部カバー部、及び前記容量形成部の第1方向の下部に配置される下部カバー部を含み、
前記誘電体層の平均厚さをtd、上部カバー部の平均厚さをtc1、下部カバー部の平均厚さをtc2、前記中間層の平均厚さをtc3とするとき、
td<tc3、tc3≦tc1、及びtc3≦tc2を満たす、請求項15に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができ、コンピュータ、モバイル機器など、各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。また、自動車用電装部品などに対する適用が増加するにつれて様々な環境における高信頼性が求められている。
【0004】
積層セラミックキャパシタで電荷を充電する面積を提供する内部電極は、一般的に同じパターン形状が重なり合って垂直に積層された構造を有している。
【0005】
積層セラミックキャパシタのW-T(幅-厚さ)の断面を基準としてみると、内部電極と誘電体層が交互に配置された容量形成部とカバー部及びサイドマージン部が互いに当接する三重点が比較的脆弱であってクラックなどの問題点が発生することがある。
【0006】
特に、焼結過程中に内部電極の厚さ方向に先ず焼結収縮が起こるようになり、本体の幅方向の中央部が凹状(concave)になる現象が発生することがあり、容量形成部とカバー部及びサイドマージン部が互いに当接する三重点付近に焼結による応力(stress)が集中されてクラックなどが発生する可能性がある。
【0007】
したがって、容量形成部とカバー部及びサイドマージン部の焼結収縮挙動を制御してクラック、デラミネーションなどの発生を抑制し、焼結による応力(stress)を緩和することができる構造を有する積層セラミックキャパシタに対する開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の様々な目的の一つは、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0009】
本発明の様々な目的の一つは、本体に加えられる応力(stress)を緩和することができる構造を有する積層型電子部品を提供することである。
【0010】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置された内部電極を含む単位電極部を2つ以上含み、上記第1方向に向かい合う第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記2つ以上の単位電極部は、上記第1方向に一列に配置され、上記単位電極部の第1及び第3方向の断面において、上記単位電極部内で第1方向の上部及び下部に配置された内部電極の幅は、第1方向の中央部に配置された内部電極の幅よりも小さく、上記単位電極部内で第1方向の上部に配置された内部電極の端を連結した線をUL、第1方向の中央部に配置された内部電極の端を連結した線をCL、第1方向の下部に配置された内部電極の端を連結した線をLLとするとき、CLとULがなす鋭角及びCLとLLがなす鋭角は20度~70度であることができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置された内部電極を含む単位電極部を2つ以上含み、上記第1方向に向かい合う第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記2つ以上の単位電極部は、上記第1方向に一列に配置され、上記単位電極部の第1及び第3方向の断面において、上記単位電極部に含まれた内部電極の幅方向の一端を連結した線、幅方向の他端を連結した線、第1方向の最上部に配置された内部電極及び第1方向の最下部に配置された内部電極がなす形態は八角形状であることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の様々な効果の一つとして、単位電極部に含まれた内部電極の形態を制御し、2つ以上の単位電極部を第1方向に一列に配列することによって積層型電子部品の信頼性を向上させることである。
【0014】
本発明の様々な効果の一つとして、単位電極部に含まれた内部電極の形態を制御し、2つ以上の単位電極部を第1方向に一列に配列することによって本体に加えられる応力を抑制することができる。
【0015】
本発明の様々な効果の一つとして、本体の幅方向の中央部が凹状(concave)になる現象を抑制することができる。
【0016】
本発明の様々な効果の一つとして、クラック及びデラミネーションの発生を抑制することができる。
【0017】
本発明の様々な効果の一つとして、誘電体結晶粒の大きさを均一に制御することができる。
【0018】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
図2図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図3図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図4図3のK領域を拡大した図面である。
図5】本発明の変形例による積層型電子部品の第1及び第3方向の断面を概略的に示したものである。
図6】比較例1の第1及び第3方向の断面を概略的に示したものである。
図7】比較例2の第1及び第3方向の断面を概略的に示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0021】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0022】
図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(T)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0023】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、図2は、図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図3は、図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示したものであり、図4は、図3のK領域を拡大した図面である。
【0024】
以下、図1図4を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100について詳細に説明する。
【0025】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置された内部電極121、122を含む単位電極部UE1、UE2を2つ以上含み、上記第1方向に向かい合う第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面5、6を含む本体110と、上記本体上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記2つ以上の単位電極部UE1、UE2は、上記第1方向に一列に配置され、上記単位電極部の第1及び第3方向の断面において、上記単位電極部の第1方向の上部UP及び下部LPに配置された内部電極の幅が第1方向の中央部CPに配置された内部電極の幅よりも小さく、第1方向の上部UPに配置された内部電極の端を連結した線をUL、第1方向の中央部CPに配置された内部電極の端を連結した線をCL、第1方向の下部LPに配置された内部電極の端を連結した線をLLとするとき、CLとULがなす鋭角及びCLとLLがなす鋭角は20度~70度であることができる。
【0026】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタで電荷を充電する面積を提供する内部電極は、一般的に同一パターン形状が重なり合って垂直に積層された構造を有していた。上記一般的な積層セラミックキャパシタの第1及び第3方向の断面を基準としてみると、内部電極と誘電体層が交互に配置された容量形成部とカバー部及びサイドマージン部が互いに当接する三重点が比較的脆弱であってクラックなどの問題点が発生することがある。特に、焼結過程中に内部電極の厚さ方向に先ず焼結収縮が起こるようになり、幅方向の中央部が凹状(concave)になる現象が発生することがあり、容量形成部とカバー部及びサイドマージン部が互いに当接する三重点付近に焼結による応力(stress)が集中されてクラックなどが発生する可能性がある。
【0027】
一方、本発明の一実施形態によると、単位電極部UE1、UE2に含まれた内部電極121、122の形態を制御し、2つ以上の単位電極部UE1、UE2を積層方向(第1方向)に一列に配列することによって、本体に加えられる応力を緩和することができ、クラック、デラミネーションなどの発生を抑制することができる。本体に加えられる応力としては、焼結時の内部電極と誘電体層との収縮挙動差異によって発生する応力、電圧印加時に発生する応力、外部要因によって加えられる応力などがある。
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100に含まれる各構成について説明する。
【0029】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではなく、実質的に六面体状を有することができる。
【0030】
本体110は、第1方向に向かい合う第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に向かい合う第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に向かい合う第5及び第6面5、6を有することができる。
【0031】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。誘電体層の積層数は特に制限する必要はなく、積層型電子部品のサイズを考慮して決定することができる。例えば、誘電体層を400層以上積層して本体を形成することができる。
【0032】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤及びバインダーを含むセラミックスラリーを製造し、上記スラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを設けた後、上記セラミックグリーンシートを焼成することで形成することができる。セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されないが、例えば、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(BaTiO)系粉末を用いることができる。より具体的な例を挙げると、セラミック粉末は、BaTiO、(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)及びBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)のうち一つ以上であることができる。
【0033】
誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はないが、例えば10μm以下であることができる。また、誘電体層111の平均厚さtdは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。
【0034】
但し、誘電体層111の平均厚さtdが内部電極121、122の平均厚さteより小さい場合に本発明による効果がより顕著になることができる。
【0035】
一般的に、誘電体層111の平均厚さtdが内部電極121、122の平均厚さteよりも小さい場合、焼結工程時に内部電極121、122がまず厚さ方向に焼結されて内部電極と誘電体層間の応力不均一が大きくなるにつれて、焼結による応力(stress)が増加することがある。一方、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の場合、単位電極部UE1、UE2に含まれた内部電極121、122の形態を制御し、2つ以上の単位電極部UE1、UE2を積層方向(第1方向)に一列に配列することによって焼結による応力(stress)を抑制することができるため、誘電体層111の平均厚さtdが内部電極121、122の平均厚さteより小さい場合にも、積層型電子部品の信頼性を向上させることができる。
【0036】
したがって、一実施形態において、誘電体層111の少なくとも1つの平均厚さtdは、隣接した内部電極121、122の平均厚さteよりも小さいことができ、この場合、本発明による応力(stress)の抑制効果がより顕著になることができる。
【0037】
ここで、誘電体層111の平均厚さtdは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の第1方向の大きさを意味する。誘電体層111の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの誘電体層111の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、後述する容量形成部UEで指定されることができる。また、隣接した内部電極121、122の平均厚さteは、上記厚さを測定した誘電体層111と接する1つの内部電極121、122の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0038】
本体110は、2つ以上の単位電極部UE1、UE2を含むことができる。例えば、図3に示したように、本体110は、第1単位電極部UE1及び第2単位電極部UE2を含むことができる。
【0039】
単位電極部UE1、UE2は、誘電体層111、及び上記誘電体層と第1方向に交互に配置された内部電極121、122を含むことができる。このとき、複数の単位電極部UE1、UE2が配置された領域を合わせてキャパシタの容量形成に寄与する容量形成部UEと言える。
【0040】
2つ以上の単位電極部UE1、UE2は、第1方向に一列に配置されることができる。本体110が1つの単位電極部のみを含む場合には、本発明による応力緩和効果が不十分であるおそれがある。本発明の一実施形態によると、2つ以上の単位電極部UE1、UE2は、第1方向に一列に配置されることによって、本体110の中央部で発生する応力も抑制し、クラック及びデラミネーションの発生をより効果的に抑制することができる。また、本体110の幅方向の中央部が凹状(concave)になる現象を抑制することができ、誘電体結晶粒の大きさを均一に制御することができる。
【0041】
一方、図3では、本体110が2つの単位電極部UE1、UE2を含むことを示しているが、これに制限されるものではない。本発明の変形例に係る積層型電子部品の第1及び第3方向の断面を概略的に示した図5を参照すると、本体110は、第1単位電極部UE1、第2単位電極部UE2及び第3単位電極部UE3を含むことができ、3つの単位電極部UE1、UE2、UE3が容量形成部UEを構成することができる。さらに、本体110は、4つ以上の単位電極部を含むこともできる。
【0042】
図3を参照すると、単位電極部UE1、UE2の第1及び第3方向の断面において、単位電極部内で第1方向の上部UP及び下部LPに配置された内部電極の幅は第1方向の中央部CPに配置された内部電極の幅より小さいことができる。これにより、単位電極部UE1、UE2の角部分に応力が集中されることを抑制し、応力緩和効果を確保することができる。ここで、内部電極121、122の幅とは、内部電極121、122の第3方向の大きさを意味することができる。
【0043】
一実施形態において、単位電極部内で第1方向の上部UPに配置された内部電極121、122の幅は、第1方向の上部に向かうほど小さくなり、単位電極部内で第1方向の下部LPに配置された内部電極121、122の幅は、第1方向の下部に向かうほど小さくなることができる。
【0044】
また、単位電極部内で第1方向の中央部CPに配置された内部電極121、122の幅は実質的に同じであることができる。ここで、内部電極121、122の幅が実質的に同一であるとは、内部電極121、122が一定の幅を有する内部電極パターンを印刷して形成されたことを意味することができ、製造誤差などを考慮すると内部電極の幅の差異が10%以下であることを意味することができる。
【0045】
一実施形態において、単位電極部内で第1方向の中央部CPの第1方向の大きさは、第1方向の上部UPの第1方向の大きさよりも大きく、第1方向の下部LPの第1方向の大きさよりも大きいことができる。単位電極部内で第1方向の中央部CPの第1方向の大きさが小さい場合、積層型電子部品の単位体積当たりの容量が低下することができる。
【0046】
これに制限されるものではないが、より好ましい一例として、単位電極部UE1、UE2の第1方向の大きさに対する第1方向の中央部CPの第1方向の大きさは、0.4以上0.8以下であることができる。単位電極部の第1方向の大きさに対する第1方向の中央部CPの第1方向の大きさが0.4未満の場合には単位体積当たりの容量が低下することがあり、0.8超過の場合には、応力緩和効果が不十分であるおそれがある。
【0047】
一実施形態において、単位電極部UE1、UE2の第1及び第3方向の断面において、単位電極部UE1、UE2は八角形状であることができる。すなわち、1つの単位電極部UE1、UE2に含まれた内部電極121、122の幅方向の一端を連結した線、幅方向の他端を連結した線、第1方向の最上部に配置された内部電極121、122及び第1方向の最下部に配置された内部電極121、122がなす形態は八角形状であることができる。
【0048】
図4を参照すると、単位電極部内で第1方向の上部UPに配置された内部電極121、122の端を連結した線をUL、第1方向の中央部CPに配置された内部電極121、122の端を連結した線をCL、第1方向の下部LPに配置された内部電極121、122の端を連結した線をLLとするとき、CLとULがなす鋭角θ1及びCLとLLがなす鋭角は、20度~70度であることができる。CLとULがなす鋭角θ1が20度未満または70度超過である場合には、応力緩和効果が不十分であるおそれがある。CLとLLがなす鋭角が20度未満または70度超過である場合にも、応力緩和効果が不十分であるおそれがある。
【0049】
また、単位電極部内で第1方向の上部UPに配置された内部電極121、122の端を連結した線ULは、第3方向となす鋭角θ1’が20度~70度であることができる。
【0050】
一実施形態において、本体110は、隣接した単位電極部UE1、UE2の間に配置された中間層140を含むことができる。図3に示したように、第1単位電極部UE1と第2単位電極部UE2との間に中間層140が配置されることができる。また、単位電極部が3つ以上の場合に、中間層140は複数個配置されることができ、図5のように、第1単位電極部UE1と第2単位電極部UE2との間及び第2単位電極部UE2と第3単位電極部UE3との間に中間層140’が配置されることができる。
【0051】
中間層140は、絶縁破壊電圧(Breakdown Voltage、BDV)を高めて耐電圧特性を向上させることができ、本体110の強度を向上させることができる。また、中間層140が隣接した単位電極部UE1、UE2の間に配置されることによって、本発明による応力緩和効果がより顕著になることができる。
【0052】
中間層140は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、中間層140はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0053】
中間層140は、セラミックグリーンシートを1つ以上積層して焼成することで形成されることができる。すなわち、中間層140は、内部電極用導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを積層する過程に、内部電極用導電性ペーストが塗布されていないセラミックグリーンシートを1つ以上積層する過程を挿入することで隣接した単位電極部UE1、UE2の間に配置される中間層140を形成することができる。
【0054】
より具体的には、1つ以上のセラミックグリーンシートを積層して下部カバー部113を積層し、内部電極用導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを複数個積層して第2単位電極部UE2を積層した後、セラミックグリーンシートを1つ以上積層して中間層140を積層することができる。この後、内部電極用導電性ペーストが塗布されたセラミックグリーンシートを複数個積層して第1単位電極部UE1を積層し、セラミックグリーンシートを積層して上部カバー部112を積層して、積層体を設けることができる。
【0055】
一実施形態において、本体110は、2つ以上の単位電極部を含む容量形成部UE、隣接した単位電極部の間に配置された中間層140、上記容量形成部UEの第1方向の上部に配置される上部カバー部112、及び上記容量形成部の第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0056】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部UEの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0057】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0058】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0059】
一実施形態において、上部カバー部112の平均厚さをtc1、下部カバー部113の平均厚さをtc2とするとき、0.9≦tc1/tc2≦1.1を満たすことができる。上部カバー部112と下部カバー部113との間の厚さ差異が大きいほど、本体に加えられる応力がいずれの一方に集中することがあるため、0.9≦tc1/tc2≦1.1を満たす場合、本発明の応力緩和効果がより顕著になることができる。
【0060】
また、上部カバー部112の平均厚さをtc1、下部カバー部113の平均厚さをtc2、中間層140の平均厚さをtc3とするとき、0.1*(tc1+tc2)/2≦tc3≦(tc1+tc2)/2を満たすことができる。すなわち、中間層140の平均厚さtc3は、tc1及びtc2の平均値以下であり、tc1及びtc2の平均値の0.1倍以上であることができる。上記条件を満たすことで、積層型電子部品の容量が過度に低下されずに、本体に加えられる応力を効果的に緩和することができる。
【0061】
一実施形態において、誘電体層111の平均厚さをtd、上部カバー部112の平均厚さをtc1、下部カバー部113の平均厚さをtc2、中間層140の平均厚さをtc3とするとき、td<tc3、tc3≦tc1及びtc3≦tc2を満たすことができる。上記条件を満たすことで積層型電子部品の容量が過度に低下されずに、本体に加えられる応力を効果的に緩和することができる。
【0062】
一方、上部カバー部112の平均厚さtc1及び下部カバー部113の平均厚さtc2の具体的な数値は特に限定する必要はないが、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、tc1及びtc2はそれぞれ15μm以下であることができる。
【0063】
なお、中間層140の平均厚さtc3の具体的な数値は特に限定しない。例えば、中間層140の平均厚さは、誘電体層の平均厚さtdの3倍以上であることができるが、これに制限されるものではない。
【0064】
中間層140、上部及び下部カバー部112、113の平均厚さは、第1方向の大きさを意味することができ、第3方向に等間隔の5つの地点で測定した第1方向の大きさを平均した値であることができる。一方、中間層140が複数個配置される場合、複数個の中間層140のそれぞれの平均厚さを意味することができる。
【0065】
また、上記容量形成部UEの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。
【0066】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1マージン部114と第6面6に配置された第2マージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0067】
マージン部114、115は、図3に示したように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面(cross-section)で第1及び第2内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0068】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0069】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することで形成されたものであることができる。
【0070】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部UEの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0071】
一方、マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均幅は15μm以下であることができる。
【0072】
マージン部114、115の平均幅は、内部電極が第5面と離隔した領域の第3方向の平均大きさ及び内部電極が第6面と離隔した領域の第3方向の平均大きさを意味することができ、容量形成部UEの側面で等間隔の5つの地点で測定したマージン部114、115の第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0073】
したがって、一実施形態において、内部電極121、122が第5及び第6面と離隔した領域の第3方向の平均大きさはそれぞれ15μm以下であることができる。
【0074】
一実施形態において、本体の第3方向の中央部で第1方向の大きさをT1、本体の第3方向の一端における第1方向の大きさをT2、本体の第3方向の他端における第1方向の大きさをT3というとき、[1-2*T1/(T2+T3)]*100は3.8未満であることができる。より好ましくは、[1-2*T1/(T2+T3)]*100は2.3以下であることができる。
【0075】
焼結過程中に内部電極の厚さ方向にまず焼結収縮が起こり、本体の幅方向の中央部が凹状(concave)になる現象が発生することがある。本発明によると、単位電極部UE1、UE2に含まれた内部電極121、122の形態を制御し、2つ以上の単位電極部UE1、UE2を第1方向に一列に配列することで内部電極、カバー部及びマージン部の間の焼結収縮マッチングを改善して本体の幅方向の中央部が凹状(concave)になる現象を抑制することができる。これによって、[1-2*T1/(T2+T3)]*100は3.8未満を満たすことができる。
【0076】
一方、[1-2*T1/(T2+T3)]*100の下限は特に限定しないが、0以上であることが好ましい。
【0077】
T1、T2、T3は、本体110の第2方向の中央部で第1及び第3方向に切断した断面を光学顕微鏡などで観察して測定したものであることができる。T2は、上記第1及び第3方向に切断した断面において本体の第5面の第1方向の大きさであることができ、T3は、本体の第6面の第1方向の大きさであることができる。
【0078】
一実施形態において、誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の大きさの変動係数(CV、Coefficient of Variation)は、0.52未満であることができる。より好ましくは、誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の大きさの変動係数(CV、Coefficient of Variation)は、0.46以下であることができる。
【0079】
誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の大きさの変動係数(CV、Coefficient of Variation)は、本体の第2方向の中央で切断した第1及び第3方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて2万倍以上の倍率で観察したイメージから測定したものであることができる。
【0080】
具体的には、単位電極部内の第1方向の中央部CPに配置された誘電体層に含まれた誘電体結晶粒のうち250個を選別して誘電体結晶粒の大きさを測定した後、上記250個の誘電体結晶粒の大きさの平均値(GS)及び標準偏差(σGS)を求めた後、σGS/GSを誘電体結晶粒の大きさの変動係数とすることができる。ここで、標準偏差(σGS)は、上記250個の誘電体結晶粒の各大きさからGSを引いた後に二乗し、この値の平均値を計算することで分散を求めた後、上記分散値を二乗根とすることで計算することができる。
【0081】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4でそれぞれ露出することができる。
【0082】
第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0083】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4で一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3で一定距離離隔して形成されることができる。また、第1及び第2内部電極121、122は、本体110の第5及び第6面と離隔して配置されることができる。
【0084】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、In、Sn、Al、Ti及びこれらの合金のうち一つ以上であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0085】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に所定の厚さで導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することで形成されることができる。
【0086】
内部電極用導電性ペーストの塗布方法はスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0087】
一方、単位電極部内の位置別の内部電極の幅を制御するために、セラミックグリーンシート上に印刷する内部電極パターンの幅を調節することができる。すなわち、単位電極部内で第1方向の中央部CPに配置された内部電極121、122を形成する内部電極パターンは、その幅を同一にして印刷することができる。単位電極部内で第1方向の上部UP及び下部LPに配置された内部電極121、122は、内部電極パターンの幅を徐々に小さく印刷した複数枚のセラミックグリーンシートを用いて形成することができる。
【0088】
内部電極の平均厚さteは特に限定する必要はない。このとき、内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の第1方向の大きさを意味することができる。但し、上述のように、一実施形態において、誘電体層111の少なくとも1つの平均厚さtdは、隣接した内部電極121、122の平均厚さteよりも小さいことができ、この場合、本発明による応力(stress)抑制効果がより顕著になることができる。
【0089】
ここで、内部電極の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、1つの内部電極121、122の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は容量形成部UEで指定されることができる。
【0090】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。
【0091】
外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0092】
図1を参照すると、外部電極131、132は、サイドマージン部114、115の第2方向の両端面を覆うように配置されることができる。
【0093】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形態などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0094】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気導電性を有するものであれば、如何なる物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0095】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に形成されためっき層131b、132bを含むことができる。
【0096】
電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であるか、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0097】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次形成された形態であることができる。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであることができる。
【0098】
電極層131a、132aに含まれる導電性金属として、電気導電性に優れた材料を用いることができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びこれらの合金のうち一つ以上であることができる。
【0099】
めっき層131b、132bは、実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0100】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bは、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層が順次形成された形態であることができる。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0101】
(実施例)
発明例として、図3のように、第1単位電極部UE1及び第2単位電極部UE2が含まれたサンプルを用意した。比較例1として、図6のように、従来の一般的な容量形成部UE''を有するサンプルを用意した。比較例2として、図7のように、2つの単位電極部UE1'''、UE2'''を含んで容量形成部UE'''を構成するが、単位電極部UE1'''、UE2'''の内の上部、中央部及び下部に配置された内部電極の幅が同じサンプルを用意した。
【0102】
発明例、比較例1及び比較例2に対する凹状(Concave)率、クラック発生率及び誘電体結晶粒の大きさを測定し、下記表1に記載した。
【0103】
凹状(Concave)率は[1-2*T1/(T2+T3)]*100で計算し、発明例、比較例1及び比較例2のそれぞれ20個のサンプルで測定した平均値及びその標準偏差を記載した。具体的には、各サンプルの第2方向の中央部で第1及び第3方向に切断した断面を光学顕微鏡を用いて観察し、各サンプルの第3方向の中央部で第1方向の大きさT1、第3方向の一端における第1方向の大きさT2、第3方向の他端における第1方向の大きさT3を測定して[1-2*T1/(T2+T3)]*100を求めた後、その値の平均値及び標準偏差を計算した。
【0104】
クラック発生率は、発明例、比較例1及び比較例2のそれぞれ300個のサンプルを各サンプルの第2方向の中央部で第1及び第3方向に切断した断面を光学顕微鏡を用いて観察し、クラックが発生したかを目視で観察してクラックが発生したサンプルの個数を記載した。
【0105】
誘電体結晶粒の大きさは、発明例、比較例1及び比較例2のそれぞれ1つのサンプルを用いて測定し、サンプルの第2方向の中央部で第1及び第3方向に切断した断面を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて2万倍率で観察したイメージから測定した。発明例及び比較例2は、第1単位電極部UE1、UE1'''内の第1方向の中央部に配置された誘電体層に含まれた誘電体結晶粒のうち250個を選別して誘電体結晶粒の大きさを測定し、比較例1は、容量形成部UE''内の第1方向の中央部に配置された誘電体層に含まれた誘電体結晶粒のうち250個を選別して誘電体結晶粒の大きさを測定した。
【0106】
【表1】
【0107】
上記表1を参照すると、発明例の凹状(Concave)率が比較例1及び比較例2に比べて減少したことが確認でき、特にクラック発生率の場合、発明例は300個のサンプルのうちクラックが発生したサンプルが1つも存在しなかった。
【0108】
誘電体結晶粒の大きさの場合、発明例の誘電体結晶粒の大きさの平均値が最も低く、標準偏差及び変動係数の値も最も低くて、比較例1及び比較例2に比べて均一な大きさの誘電体結晶粒を有することが確認できる。
【0109】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定する。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【0110】
また、本開示で用いられた「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態において説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明として理解することができる。
【0111】
本開示で用いられた用語は、単に一実施形態を説明するために用いられたものであり、本開示を限定する意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0112】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
140 中間層
UE1、UE2、UE3 単位電極部
UE 容量形成部
131、132 外部電極
131a、132a 電極層
131b、132b めっき層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7