(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091531
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物及びその硬化膜
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240627BHJP
G03F 7/032 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211816
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2022-0181865
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】デュポン スペシャルティ マテリアルズ コリア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DUPONT SPECIALTY MATERIALS KOREA LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ ウン-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュン-キ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジュ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】コ ウィ-ジン
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AD06
2H225AE06P
2H225AE12P
2H225AE13P
2H225AN24P
2H225AN29P
2H225AN36P
2H225AN39P
2H225AN73P
2H225BA01P
2H225BA32P
2H225CA15
2H225CA22
2H225CA24
2H225CB06
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
【課題】 ネガ型感光性樹脂組成物及びその硬化膜を提供する。
【解決手段】 水酸基を有する高屈折率モノマーを含むネガ型感光性樹脂組成物は、パターンの実装に優れていると共に、硬化膜に調製された際に1.6以上の高屈折率を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネガ型感光性樹脂組成物であって:
(A)(a1)芳香族環を有する第1のモノマー由来の構造単位及び(a2)反応性側鎖を有する第2のモノマー由来の構造単位を含むコポリマー樹脂と;
(B)光重合性化合物と;
(C)光重合開始剤と;
(D)水酸基及び芳香族環を有するモノマーと
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記コポリマー樹脂(A)の前記第1のモノマーは、カルバゾール、フルオレン、ベンゼン、ナフタレン及びアントラセンからなる群から選択される少なくとも1つの芳香族環と、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合とを含む、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記コポリマー樹脂(A)中の前記第2のモノマーは:
(i)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせ;
(ii)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物;
(iii)脂肪族環を含有するエチレン性不飽和化合物;及び
(iv)(i)~(iii)以外のエチレン性不飽和化合物
からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記水酸基及び芳香族環を有するモノマー(D)は、以下の式1又は以下の式2により表される化合物:
【化1】
であり、上記式において、R
1~R
8は各々、独立して、水素、C
1~10アルキル、C
1~10アルコキシ又はハロゲンであり;Xは、フェニルで置換されているか若しくは無置換であるC
1~10アルキレン、C
1~10アルキルで置換されているか若しくは無置換であるC
3~15シクロアルキレン、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)
2-又は、-C(=O)-である、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記ネガ型感光性樹脂組成物の固形分重量を基準として、前記水酸基及び芳香族環を有するモノマー(D)を1重量%~30重量%の量で含む、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記ネガ型感光性樹脂組成物はさらに、エポキシ樹脂由来の化合物を含む、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記ネガ型感光性樹脂組成物はさらに、エポキシ化合物を含む、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記ネガ型感光性樹脂組成物はさらに、高光学濃度側鎖、反応性側鎖、極性プロトン性側鎖又はこれらの組み合わせを有する追加のホモポリマー又はコポリマー;及び、熱的又は光化学的に活性化される触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記ネガ型感光性樹脂組成物はさらに、架橋剤、熱酸発生剤、酸化防止剤、界面活性剤、表面レベリング剤、光酸発生剤、脱酸素剤、UV遮断薬及びヒンダードアミン光安定剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記ネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜が、1.6以上の高屈折率を有する、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項10に記載のネガ型感光性樹脂組成物から調製される硬化膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高屈折率パターン形成用のネガ型感光性樹脂組成物に関する。より具体的には、本発明は、液晶ディスプレイデバイス又は有機発光ディスプレイデバイスに適用される硬化膜又は有機絶縁膜を調製するための、優れた屈折率及びパターニング性を有するネガ型感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイデバイス、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)型の液晶ディスプレイ(LCD)デバイス又は有機発光ディスプレイ(OLED)デバイスにおいては、例えば、窒化ケイ素でできた無機保護膜が、TFT回路を保護する及び絶縁するための保護膜として使用されてきた。しかしながら、そのような無機保護膜は、その高い誘電率のために開口率を高めることが困難であるという問題を有するので、低い誘電率を有する有機絶縁膜に対する需要が増加し続けている。
【0003】
光又は電子ビームと化学的に反応して特定の溶媒へのその溶解性を変化させるポリマー化合物である、感光性樹脂が、一般に、そのような絶縁膜を調製するために使用される。感光性樹脂は、現像液への露光部分の溶解性に応じてポジ型及びネガ型へ分類される。ポジ型においては、露光部分は、現像液によって溶かされてパターンを形成する。ネガ型においては、露光部分は、現像液によって溶かされず、一方で非露光部分が溶かされてパターンを形成する。
【0004】
ポジ型は、屈折率を低下させる添加剤を殆ど含有していないので、ネガ型の屈折率よりも高い屈折率を実現できる。しかしながら、現状の技術では、ポジ型感光性樹脂の溶解性を確保することには難しい問題が存在する。これに対して、ネガ型は、光重合性モノマー又は添加剤の量を調整することにより、溶解度を調整できるが、従来の手法で溶解度を調整する場合、屈折率が低下する;したがって、ネガ型硬化膜の屈折率を高めるには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2010-0043259号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、硬化膜の屈折率を確保するために、感光性樹脂組成物に用いられるバインダ樹脂が共鳴構造を含むと共に鎖が長いことが有利であるが、この場合には、溶解度が低下してしまうという問題がある。
【0007】
このような問題はネガ系感光性樹脂組成物の成分を調整することによりある程度解決が可能であるが、一定のレベル以上の屈折率を達成するために組成物が設計されている場合、パターン形成が困難になることがあり、又は、パターンの周囲に残膜が形成されることがある。
【0008】
本発明者らによりなされたリサーチの結果、ネガ型感光性樹脂組成物に水酸基を含有する高屈折率モノマーを添加し、及び、他の成分を調整することで、屈折率を低下させることなく現像性を向上させ、パターン周辺の異物を防止し、及び、パターン形成を容易とすることが可能である。
【0009】
したがって、本発明は、硬化膜に調製された場合に高屈折率及び優れた溶解度を有するネガ型感光性樹脂組成物、並びに、これにより得られる硬化膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物であって、(A)(a1)芳香族環を有する第1のモノマー由来の構造単位及び(a2)反応性側鎖を有する第2のモノマー由来の構造単位を含むコポリマー樹脂と;(B)光重合性化合物と;(C)光重合開始剤と;(D)水酸基及び芳香族環を有するモノマーとを含むネガ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
加えて、本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物から形成される硬化膜を提供する。
【0012】
本発明によれば、水酸基を含有する高屈折率モノマーがネガ型感光性樹脂組成物に添加されているため、及び、他の成分が調節されているため、屈折率を低下させることなく現像性を向上し、パターン周辺の異物を防止し、及び、パターン形成を容易とすることが可能である。
【0013】
したがって、本発明に係るネガ型感光性樹脂組成物は、パターンの実装に優れていると共に、硬化膜に調製された際に1.6以上の高屈折率を有し、それ故、液晶ディスプレイデバイス、有機ELディスプレイデバイス等に用いられる硬化膜又は有機絶縁膜の調製に使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明がより詳細に説明される。
【0015】
本発明は、以下の記述に限定されない。むしろ、それは、本発明の趣旨が変更されない限り様々な形態に修正することができる。
【0016】
本明細書の全体にわたって、ある部分がある要素を「含む」と言われる場合、特に明記しない限り、他の要素が除外されるよりもむしろ、他の要素が含まれ得ると理解される。加えて、本明細書で用いられる成分の量、反応条件などに関する全ての数字及び表現は、特に明記しない限り、用語「約」で修飾されていると理解されるべきである。
【0017】
ネガ型感光性樹脂組成物
本発明に係るネガ型感光性樹脂組成物は、(A)コポリマー樹脂、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、及び、(D)高屈折率モノマーを含む。
【0018】
加えて、ネガ型感光性樹脂組成物はさらに、(E)エポキシ樹脂由来の化合物、(F)エポキシ化合物、(G)界面活性剤、及び/又は、(H)溶媒を含んでいてもよい。
【0019】
加えて、ネガ型感光性樹脂組成物はさらに、架橋剤、熱酸発生剤、酸化防止剤、表面レベリング剤、光酸発生剤、脱酸素剤、UV遮断薬及びヒンダードアミン光安定剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0020】
ネガ型感光性樹脂組成物はさらに、高光学濃度側鎖、反応性側鎖、極性プロトン性側鎖又はこれらの組み合わせを有する追加のホモポリマー又はコポリマー;及び、熱的又は光化学的に活性化される触媒からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0021】
本明細書では以下、感光性樹脂組成物の各成分が詳細に説明される。
【0022】
本明細書で使用するとき、「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指し、そして、「(メタ)アクリレート」という用語は、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を指す。
【0023】
下記のそれぞれの成分の重量平均分子量は、ポリスチレン標準を基準とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶離剤:テトラヒドロフラン)により測定される重量平均分子量を指す。典型的には、それは単位を伴わないが、g/モル又はDaの単位を有すると理解してもよい。
【0024】
(A)コポリマー樹脂
本発明に係る感光性樹脂組成物はコポリマー樹脂を含む。
【0025】
コポリマー樹脂は、現像ステップにおける現像性を達成するためのアルカリ可溶性樹脂であり、並びに、コーティング時に膜を形成する基材及び最終パターンを形成するための構造の役割をも果たす。
【0026】
コポリマー樹脂は、(a1)芳香族環を有する第1のモノマー由来の構造単位;及び、(a2)反応性側鎖を有する第2のモノマー由来の構造単位を含む。
【0027】
第1のモノマーは、1つ、2つ又はそれ以上の芳香族環を含有するモノマーであり得る。
【0028】
特に、第1のモノマーは、カルバゾール、フルオレン、ベンゼン、ナフタレン及びアントラセンからなる群から選択される少なくとも1つの芳香族環;及び、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含んでいてもよい。
【0029】
より具体的には、第1のモノマーは、N-ビニルカルバゾール、フルオレン(メタ)アクリレート、ビスフルオレン(メタ)ジアクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、プロポキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル及びp-ビニルベンジルメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であり得る。
【0030】
一実施形態において、第1のモノマーは、芳香族複素環と少なくとも1つの重合性官能基とを含んでいてもよい。特に、第1のモノマーは、芳香族複素環と、そのヘテロ原子に結合した少なくとも1つの重合性官能基とを含んでいてもよい。より具体的には、第1のモノマーは単環又は多環芳香族複素環を有し得、及び、芳香族複素環は、5~30員、5~20員又は5~12員のサイズを有し得る。加えて、芳香族複素環は、環の環員原子として、N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む。特定の例として、芳香族複素環は、ピリジン、カルバゾール、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール及びピリミジンからなる群から選択され得る。
【0031】
一実施形態において、第1のモノマーは、以下の式Aにより表され得る。
【化1】
【0032】
上記式において、R1は、ビニル基、エポキシ基、オキセタニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びスチレニル基からなる群から選択される少なくとも1つの重合性官能基を含み;Xpは、単結合又はB、N、O、P、Si若しくはSであり;R2は各々、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボン酸、エステル、アセタール、アミナル、エポキシ、オキセタニル、シアノ、C1~30アルキル、C2~30アルケニル、C2~30アルキニル、C3~30シクロアルキル、C6~60アリール、トリC1~30アルキルシリル、トリC6~30アリールシリル、ジC1~30アルキル-C6~30アリールシリル、C1~30アルキル-ジC6~30アリールシリル、C6~30アリールアミノ、又はジC6~30アリールアミノであり;並びに、q及びrは各々、独立して、0~4の整数である。
【0033】
式Aの化合物の特定の例としては、N-ビニルカルバゾール;N-アリルカルバゾール;N-グリシジル-カルバゾール;N-(メタ)アクリロイルカルバゾール;カルバゾイルエチル(メタ)アクリレート、カルバゾイルエトキシエチル(メタ)アクリレート、カルバゾイル(2-メチルエチル)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
コポリマー樹脂(A)は、反応性側鎖を有する第2のモノマー由来の構造単位を含む。
【0035】
第2のモノマーの反応性側鎖は、例えば、水酸基、カルボン酸基、エステル基、アセタール基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選択され得る。
【0036】
第2のモノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、メチル-2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)、N-シクロヘキシルマレイミド、メチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート、ジエチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート又はこれらの組み合わせであり得るが、これらには限定されない。
【0037】
一実施形態によれば、コポリマー樹脂(A)中の第2のモノマーは、(i)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせ;(ii)エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物;(iii)脂肪族環を含有するエチレン性不飽和化合物;及び、(iv)(i)~(iii)以外のエチレン性不飽和化合物からなる群から選択される少なくとも1種であり得る。
【0038】
エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組み合わせは、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を含有する重合性不飽和化合物である。これは、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸及び桂皮酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸及びメサコン酸などの不飽和ジカルボン酸及びその無水物;3以上の原子価を有する不飽和ポリカルボン酸及びその無水物;並びに、三価以上のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステルから選択される少なくとも1つであり得るが、これらには限定されない。現像性の観点から、上記のうち、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0039】
エポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル及び2-メチルアリルグリシジルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0040】
脂肪族環を含有するエチレン性不飽和化合物は、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0041】
加えて、上記に例示したもの以外のエチレン性不飽和化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル;N-ビニルピロリドン及びN-ビニルモルホリンなどのN-ビニル基を含有する第三級アミン;ビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテルなどの不飽和エーテル;N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド等からなる群から選択される少なくとも1種であり得る。
【0042】
構造単位(a1)の含量は、コポリマー樹脂(A)を構成する全ての構造単位を基準として、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、35モル%以上又は40モル%以上であり得、及び、90モル%以下、85モル%以下、80モル%以下、75モル%以下、70モル%以下、65モル%以下又は60モル%以下であり得る。特定の例として、構造単位(a1)の含量は、コポリマー樹脂(A)を構成する全ての構造単位を基準として、20モル%~80モル%であり得る。
【0043】
構造単位(a2)の含量は、コポリマー樹脂(A)を構成する全ての構造単位を基準として、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、25モル%以上、30モル%以上、35モル%以上又は40モル%以上であり得、及び、90モル%以下、85モル%以下、80モル%以下、75モル%以下、70モル%以下、65モル%以下又は60モル%以下であり得る。特定の例として、構造単位(a2)の含量は、コポリマー樹脂(A)を構成する全ての構造単位を基準として、20モル%~80モル%であり得る。
【0044】
加えて、コポリマー樹脂は、構造単位(a1)及び構造単位(a2)を1:4~4:1のモル比で含んでいてもよい。例えば、構造単位間のモル比(a1:a2)は、1:4~4:1、1:4~1:1、1:1~4:1、1:3~1:1、1:1~3:1、1:2~4:1、1:4~2:1、1:4~3:2又は2:3~4:1であり得る。
【0045】
構造単位(a1)の含量は、コポリマー樹脂(A)を構成する全ての構造単位を基準として、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上又は40重量%以上であり得、及び、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下又は60重量%以下であり得る。特定の例として、構造単位(a1)の含量は、コポリマー樹脂(A)を構成する全ての構造単位を基準として、20重量%~80重量%であり得る。
【0046】
構造単位(a2)の含量は、コポリマー樹脂(A)を構成する全ての構造単位を基準として、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上又は40重量%以上であり得、及び、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下又は60重量%以下であり得る。特定の例として、構造単位(a2)の含量は、コポリマー樹脂(A)を構成する全ての構造単位を基準として、20重量%~80重量%であり得る。
【0047】
加えて、コポリマー樹脂は、構造単位(a1)及び構造単位(a2)を1:4~4:1の重量比で含んでいてもよい。例えば、構造単位間の重量比(a1:a2)は、1:4~4:1、1:4~1:1、1:1~4:1、1:3~1:1、1:1~3:1、1:2~4:1、1:4~2:1、1:4~3:2又は2:3~4:1であり得る。
【0048】
加えて、構造単位(a1)及び構造単位(a2)の総含量は、コポリマー樹脂(A)を構成する全ての構造単位を基準として、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上又は90重量%以上であり得、及び、100重量%以下、100重量%未満、99重量%以下、95重量%以下又は93重量%以下であり得る。
【0049】
コポリマー樹脂(A)は、個々の構造単位を提供する化合物のそれぞれを配合し、分子量制御剤、重合開始剤、溶媒などを添加した後、そこに窒素を装入し、重合するために混合物をゆっくりと撹拌することにより調製することができる。
【0050】
分子量制御剤は、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなどのメルカプタン化合物、又はα-メチルスチレン二量体であってよいが、これは、特にそれらに限定されない。重合開始剤は、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;又はベンゾイルパーオキシド;ラウリルパーオキシド;t-ブチルパーオキシピバレート;又は1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどであってよいが、それらに限定されない。重合開始剤は、単独で又はそれらの2つ以上の組み合わせで使用してよい。加えて、溶媒は、コポリマー樹脂の調製に一般的に使用される任意の溶媒であり得る。それは、好ましくは、メチル3-メトキシプロピオネート又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)であり得る。
【0051】
重合反応中に反応条件をより穏やかに維持する一方で反応時間をより長く保つことによって未反応モノマーの残留量を低減させることが可能である。反応条件及び反応時間は、特に限定されない。例えば、反応温度は、従来の温度より低い温度、例えば室温~60℃又は室温~65℃に調節することができる。そのとき、反応時間は、十分な反応が行われるまで維持されるべきである。
【0052】
コポリマー樹脂が上述のプロセスによって調製される場合、コポリマー樹脂における未反応モノマーの残留量を非常にわずかなレベルまで低減させることが可能である。ここで、本明細書で用いる、用語コポリマー樹脂の未反応モノマー(又は残留モノマー)は、コポリマー樹脂(A)の構造単位を提供することを目的とするが、反応に関与しない(すなわち、コポリマーの鎖を形成しない)化合物(モノマー)を指す。具体的には、本発明の感光性樹脂組成物中に残留するコポリマー樹脂(A)の未反応モノマーの含量は、(固形分に基づく)コポリマー樹脂の100重量部を基準として、2重量部以下、好ましくは、1重量部以下であり得る。ここで、固形分という用語は、溶媒を除いて、組成物の成分を指してよい。
【0053】
コポリマー樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、5,000~20,000、具体的には8,000~13,000、より具体的には9,000~11,000であってよい。上述の範囲内においては、基板への接着性は優れており、物理的及び化学的特性は良好であり、粘度は適切である。
【0054】
コポリマー樹脂の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分重量を基準として、1~70重量%、特に、1~60重量%、より具体的には、10~50重量%であり得る。上記の含量の範囲内においては、硬化度はより優れており、高い屈折特性を維持するために有利である。
【0055】
(B)光重合性化合物
本発明で用いられる光重合性化合物は、光重合開始剤の作用によって重合可能である化合物である。具体的には、光重合性化合物は、二重結合を有する単官能性化合物又は多官能性化合物であり得る。より具体的には、この光重合性化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する単官能性エステル化合物又は多官能性エステル化合物であり得る。これは、耐薬品性の観点からは、少なくとも2つの官能基を有する多官能性化合物であってもよい。
【0056】
一実施形態として、光重合性化合物(B)が、少なくとも1つの高屈折率モノマーを含むことがある。高屈折率モノマーは、例えば芳香族モノマーであってよく、及び、例えば1つ、2つ、又はそれ以上の芳香族環を含有するモノマーであってよい。具体的には、高屈折率モノマーは、カルバゾール環、フルオレン環、ベンゼン環、及びアントラセン環からなる群から選択される少なくとも1つの芳香族環と、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合とを含んでもよい。より具体的には、高屈折率モノマーは、N-ビニルカルバゾール、フルオレン(メタ)アクリレート、ビスフルオレン(メタ)ジアクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、プロポキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、及びp-ビニルベンジルメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つであってよい。
【0057】
別の実施形態として、光重合性化合物(B)が、非芳香族モノマーを含むことがある。非芳香族モノマーは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとコハク酸とのモノエステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート-ヘキサメチレンジイソシアネート(ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物)、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、及びエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレートからなる群から選択される少なくとも1つであってよいが、それらに限定されない。加えて、これは、2つ以上のイソシアネート基を有し直鎖アルキレン基及び脂環式構造を有する化合物と、1つ又は複数のヒドロキシル基並びに3、4、若しくは5つのアクリロイルオキシ基及び/又はメタクリロイルオキシ基を分子内に有する化合物とを反応させることによって得られる多官能性ウレタンアクリレート化合物を含んでもよい。
【0058】
光重合性化合物(B)は、単独で又はそれらの2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0059】
例としては、光重合性化合物(B)は、芳香族モノマーと非芳香族モノマーを同時に含んでもよく、それらの重量比は、1:9~9:1、1:7~7:1、又は1:5~5:1であり得る。より具体的には、芳香族モノマーと非芳香族モノマーの重量比は、5:5~10:1又は6:4~8:2であり得る。
【0060】
市販されている光重合性化合物の例としては、以下のものが挙げられる:単官能性(メタ)アクリレート、例えば、Aronix M-101、M-111、及びM-114(東亞合成株式会社製)、KAYARAD TC-110S及びTC-120S(日本化薬株式会社製)、並びにV-158及びV-2311(大阪有機化学工業株式会社製);二官能性(メタ)アクリレート、例えば、Aronix M-210、M-240、及びM-6200(東亞合成株式会社製)、KAYARAD HDDA、HX-220、及びR-604(日本化薬株式会社製)、並びにV-260、V-312、及びV-335HP(大阪有機化学工業株式会社製);並びにトリ-及びそれより高級な(メタ)アクリレート、例えば、Aronix M-309、M-400、M-403、M-405、M-450、M-7100、M-8030、M-8060、及びTO-1382(東亞合成株式会社製)、KAYARAD TMPTA、DPHA、DPHA-40H、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、及びDPCA-120(日本化薬株式会社製)、並びにV-295、V-300、V-360、V-GPT、V-3PA、V-400、及びV-802(大阪有機化学工業株式会社製)。
【0061】
光重合性化合物(B)の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分重量を基準として、1~40重量%、特に、1~30重量%、より具体的には、1~20重量%であり得る。上記の含量の範囲内においては、硬化度はより優れており、現像性を維持するために有利である。
【0062】
(C)光重合開始剤
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含む。例えば、既知の光重合開始剤を使用することができる。
【0063】
具体的には、光重合開始剤は、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、多核キノン系化合物、チオキサントン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホネート系化合物、オキシム系化合物、カルバゾール系化合物、スルホニウムボレート系化合物、ケトン系化合物及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。具体的には、光重合開始剤は、オキシム系化合物、トリアジン系化合物、又はケトン系化合物からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。より具体的には、オキシム系化合物、トリアジン系化合物、及びケトン系化合物の組み合わせを使用できる。
【0064】
光重合開始剤のさらなる特定の例としては、1,2-キノンジアジド、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ジエチルチオキサントン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-p-メトキシフェニル-s-トリアジン、2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキソジアゾール、9-フェニルアクリジン、3-メチル-5-アミノ-((s-トリアジン-2-イル)アミノ)-3-フェニルクマリン、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾリルダイマー、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-オクタン-1,2-ジオン-2-(o-ベンゾイルオキシム)、o-ベンゾイル-4’-(ベンズメルカプト)ベンゾイル-ヘキシル-キトキシム、2,4,6-トリメチルフェニルカルボニル-ジフェニルホスホニルオキシド、ヘキサフルオロホスホロ-トリアルキルフェニルスルホニウム塩、2-メルカプトベンズイミダゾール、2,2’-ベンゾチアゾリルジスルフィド、(E)-2-(4-スチリルフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イルフェニル)-ブタン-1-オン、及び、これらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定はされない。
【0065】
好ましくは、オキシム系化合物が光重合開始剤として用いられ得る。
【0066】
一実施形態において、光重合開始剤(C)は、芳香族又は脂肪族環を含有するオキシムエステル系化合物であり得る。
【0067】
オキシムエステル系化合物中の芳香族環は、単環又は多環芳香族炭素環又は複素環であり得る。加えて、オキシムは、アルドオキシム又はケトオキシムであり得る。加えて、1つ、2つ、又は、それ以上のオキシム基が、オキシムエステル系化合物に存在していてもよい。
【0068】
一例によれば、光重合開始剤は複素環多ケトオキシムエステル系化合物であり得る。他の例によれば、光重合開始剤は、フルオレンオキシムエステル系化合物、フルオレンケトオキシムエステル系化合物又はカルバゾールケトオキシムエステル系化合物であり得る。
【0069】
光重合開始剤(C)の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分重量を基準として、1~20重量%、特に、1~15重量%、より具体的には、1~10重量%であり得る。上記の含量の範囲内においては、硬化度はより優れており、パターン形成が容易となり得る。
【0070】
(D)高屈折率モノマー
本発明に係る感光性樹脂組成物はさらに、水酸基を含有する高屈折率モノマーを含んでいてもよい。
【0071】
一実施形態によれば、高屈折率モノマーは、同時に水酸基及び芳香族環を有するモノマーである。
【0072】
すなわち、高屈折率モノマーは、水酸基を有する芳香族モノマーであり得、例えば、水酸基及び1つ、2つ又はそれ以上の芳香族環を含有していてもよい。
【0073】
特に、高屈折率モノマーは、カルバゾール環、フルオレン環、ベンゼン環及びアントラセン環からなる群から選択される少なくとも1つの芳香族環と、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合とを含んでいてもよい。
【0074】
より具体的には、高屈折率モノマーは、ナフトール系、ジフェニルスルフィド系、ジフェニルエーテル系、フルオレン系、カルバゾール系、ベンゼン系、アントラセン系又はピレン系化合物として少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含んでいてもよい。
【0075】
一実施形態において、水酸基及び芳香族環を有するモノマー(D)は、以下の式1又は以下の式2により表される化合物であり得る。
【化2】
【0076】
ここで、R1~R8は各々、独立して、水素、C1~10アルキル、C1~10アルコキシ又はハロゲンであり;Xは、フェニルで置換されているか若しくは無置換であるC1~10アルキレン、C1~10アルキルで置換されているか若しくは無置換であるC3~15シクロアルキレン、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、又は、-C(=O)-である。
【0077】
特に、R1~R8は各々、独立して、水素、メチル、クロロ又はブロモである。加えて、Xは、フェニルで置換されているか若しくは無置換である直鎖又は分岐-鎖C1~10アルキレン、より具体的には、メチレン、エタン-1,1-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、ブタン-2,2-ジイル、1-フェニルエタン-1,1-ジイル又はジフェニルメチレンであり得る。或いは、Xは、C1~10アルキルで置換されているか若しくは無置換であるシクロヘキサン-1,1-ジイル、-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-又は-C(=O)-であり得る。
【0078】
特定の例として、式1の化合物は、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン又はビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタンであり得る。
【0079】
高屈折率モノマー(D)は、波長589nmの条件下で計測した場合に、例えば1.65~1.7の屈折率を有し得る。
【0080】
ネガ型感光性樹脂組成物は、その固形分重量を基準として、1重量%~30重量%の量でモノマー(D)を含んでいてもよい。例えば、高屈折率モノマー(D)の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分重量を基準として、1~20重量%、特に、1~15重量%、より具体的には、1~10重量%であり得る。上記の含量の範囲内においては、現像性は残膜を伴うことなく促進され、これはパターン形成特性により役立ち得る。
【0081】
(E)エポキシ樹脂由来の化合物
本発明に係る感光性樹脂組成物はさらに、エポキシ樹脂由来の化合物を含んでいてもよい。エポキシ樹脂は、カルド系、キサンテン系、ノボラック系、ビフェニル系又はビスフェノール系主鎖を有し得る。
【0082】
一実施形態において、エポキシ樹脂は以下の式3により表されるカルド系主鎖構造を有し得る。
【化3】
【0083】
上記式において、Xは各々、独立して
【化4】
であり;L
1は各々、独立して、C
1~10アルキレン基、C
3~20シクロアルキレン基又はC
1~10アルキレンオキシ基であり;R
1~R
7は各々、独立して、H、C
1~10アルキル基、C
1~10アルコキシ基、C
2~10アルケニル基又はC
6~14アリール基であり;R
8は、H、メチル、エチル、CH
3CHCl-、CH
3CHOH-、CH
2=CHCH
2-又はフェニルであり;及び、nは0~10の整数である。
【0084】
C1~10アルキレン基の特定の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、t-ブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、t-ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、イソオクチレン、t-オクチレン、2-エチルヘキシレン、ノニレン、イソノニレン、デシレン、イソデシレン等が挙げられ得る。C3~20シクロアルキレン基の特定の例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、デカリニレン、アダマンチレン等が挙げられ得る。C1~10アルキレンオキシ基の特定の例としては、メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、ブチレンオキシ、sec-ブチレンオキシ、t-ブチレンオキシ、ペンチレンオキシ、ヘキシレンオキシ、ヘプチレンオキシ、オクチレンオキシ、2-エチル-ヘキシレンオキシ等が挙げられ得る。C1~10アルキル基の特定の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、t-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル等が挙げられ得る。C1~10アルコキシ基の特定の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブチルオキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、2-エチル-ヘキシルオキシ等が挙げられ得る。C2~10アルケニル基の特定の例としては、ビニル、アリル、ブテニル、プロペニル等が挙げられ得る。C6~14アリール基の特定の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等が挙げられ得る。
【0085】
特定の例として、カルド系主鎖構造を有するエポキシ樹脂は、以下の合成経路を介して調製され得る。
【化5】
【0086】
上記の反応スキームにおいて、Halはハロゲンであり;並びに、X、R1、R2及びL1は上記の式3に定義されているものと同じである。
【0087】
カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂由来の化合物は、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂と不飽和塩基酸とを反応させてエポキシ付加物を生成し、次いで、これにより得られたエポキシ付加物と多塩基性酸無水物とを反応させることにより入手し得、又は、これにより得られた生成物と単官能性若しくは多官能エポキシ化合物とをさらに反応させることにより入手し得る。アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸等などの当技術分野において公知であるいずれかの不飽和塩基酸を使用し得る。コハク酸無水物、無水マレイン酸、トリメリト酸無水物、ピロメリト酸無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物等などの当技術分野において公知であるいずれかの多塩基性酸無水物を使用し得る。グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールZグリシジルエーテル等などの当技術分野において公知であるいずれかの単官能性又は多官能性エポキシ化合物を使用し得る。
【0088】
加えて、カルド主鎖構造を有するエポキシ樹脂由来の化合物は、以下の合成経路で調製され得る。
【化6】
【0089】
上記の反応スキームにおいて、R9は各々、独立して、H、C1~10アルキル基、C1~10アルコキシ基、C2~10アルケニル基又はC6~14アリール基であり;R10及びR11は各々、独立して、飽和又は不飽和C6脂肪族又は芳香族環であり;nは1~10の整数であり;並びに、X、R1、R2及びL1は式3に定義されているものと同じである。
【0090】
上記のエポキシ樹脂由来の化合物は、基板への硬化材料の接着性、耐アルカリ性、加工性、強度等を向上し得る。さらに、微細な解像度のイメージが未硬化の部分が現像時に除去されることでパターンで形成され得る。
【0091】
ポリスチレンを基準としたゲルパーミエーションクロマトグラフィによる測定で、エポキシ樹脂由来の化合物の重量平均分子量(Mw)は、1,000~30,000、2,000~10,000又は3,000~7,000の範囲内であり得る。上記の分子量の範囲内においては、孔の解像度の変化と硬化膜の調製中におけるアンダーカットの軽減とに有利であり得る。
【0092】
エポキシ樹脂由来の化合物の含量は、残量中における溶媒を除いて、感光性樹脂組成物の固形分重量を基準として、1~50重量%、特に1~30重量%であり得る。上記の含量の範囲内においては、現像時のパターンプロファイルが好ましくなり得、及び、膜保持率、膜硬度及び耐薬品性などの特性がさらに向上し得る。
【0093】
(F)エポキシ化合物
本発明に係る感光性樹脂組成物はさらにエポキシ化合物を含んでいてもよい。
【0094】
エポキシ化合物は、樹脂の内部密度を高め、それにより、それから形成される硬化膜の耐薬品性を向上させ得る。
【0095】
エポキシ化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を含有する不飽和モノマーのホモ-オリゴマー又はヘテロ-オリゴマーであり得る。
【0096】
少なくとも1つのエポキシ基を含有する不飽和モノマーの例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、及び、これらの混合物が挙げられ得る。
【0097】
エポキシ化合物は、当技術分野において公知であるいずれかの方法により合成し得る。
【0098】
エポキシ化合物の市販されている製品の例としては、Miwon Corporationにより生産されているGHP03及びGHP21Pなどのエポキシオリゴマーが挙げられる。
【0099】
エポキシ化合物の重量平均分子量は、好ましくは100~30,000、より好ましくは、1,000~15,000であり得る。エポキシ化合物の重量平均分子量が100以上である場合、硬化膜はより優れた硬度を有し得る。また、エポキシ化合物の重量平均分子量が30,000以下である場合、硬化膜は均一な厚さを有し得、これは、上部におけるいずれかの段差の平坦化に好適である。
【0100】
エポキシ化合物(F)の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分重量を基準として、1~40重量%、特に、1~30重量%、より具体的には、1~20重量%であり得る。上記の含量の範囲内においては、硬化度はより優れており、現像性を維持するために有利である。
【0101】
(G)界面活性剤
本発明の感光性樹脂組成物は、必要ならば、その塗布性を向上させるために界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0102】
界面活性剤の種類は特に限定されないが、それの例としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、非イオン界面活性剤などが挙げられる。
【0103】
界面活性剤の具体例としては、フッ素及びケイ素系の界面活性剤、例えばDow Corning Toray Co.,Ltd.によって供給されるFZ-2122、BM CHEMIE Co.,Ltd.によって供給されるBM-1000及びBM-1100、大日本インキ化学工業株式会社によって供給されるMegapack F-142D、F-172、F-173、及びF-183、住友3M株式会社によって供給されるFlorad FC-135、FC-170C、FC-430、及びFC-431、旭硝子株式会社によって供給されるSufron S-112、S-113、S-131、S-141、S-145、S-382、SC-101、SC-102、SC-103、SC-104、SC-105、及びSC-106、Shinakida Kasei Co.,Ltd.によって供給されるEftop EF301、EF303、及びEF352、Toray Silicon Co.,Ltd.によって供給されるSH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428、DC-57、及びDC-190;非イオン界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどを含むポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどを含むポリオキシエチレンアリールエーテル、及びポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどを含むポリオキシエチレンジアルキルエステル;並びにオルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社によって製造される)、(メタ)アクリレート系コポリマーPolyflow No.57及び95(Kyoei Yuji Chemical Co.,Ltd.によって製造される)などを挙げることができる。それらは、単独で又はそれらの2つ以上の組み合わせで使用することができる。
【0104】
界面活性剤(G)の含量は、溶媒を除いて、本発明の感光性樹脂組成物の固形分重量を基準として、0.001~5重量%、特に、0.001~3重量%、より具体的には、0.001~2重量%であり得る。上記の含量の範囲内においては、硬化度はより優れており、高い屈折特性を維持するために有利である。
【0105】
(H)溶媒
本発明による感光性樹脂組成物は、上記の成分が溶媒と混合されている液体組成物として調製することができる。溶媒は、例えば、有機溶媒であり得る。
【0106】
本発明の溶媒は、それが上述の成分を溶解させることができ、且つ、化学的に安定である限り、特に限定されない。例えば、溶媒は、アルコール、エーテル、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート、芳香族炭化水素、ケトン、エステルなどであってよい。
【0107】
溶媒の特定の例としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、アセト酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、エチルヒドロキシアセテート、メチル2-ヒドロキシ-3-メチルブタノエート、メチル2-メトキシプロピオネート、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0108】
上述のうちで、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ケトンなどが好ましい。具体的には、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、メチル2-メトキシプロピオネート、γ-ブチロラクトン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどが好ましい。
【0109】
既に例示された溶媒は、単独で又はそれらの2つ以上の組み合わせで使用できる。
【0110】
例えば、上記に例示されている溶媒のいずれか1種を主溶媒として使用し得、及び、他のものを共溶媒として使用し得る。このような場合、共溶媒の含量は、全ての溶媒の重量を基準として、1重量%以上、3重量%以上又は5重量%以上であり得、及び、20重量%以下、15重量%以下又は10重量%以下であり得、特定の例としては、1重量%~10重量%であり得る。
【0111】
本発明による感光性樹脂組成物中の溶媒の量は、特に限定されない。例えば、溶媒は、固形分が感光性樹脂組成物の総重量を基準にして、10~90重量%、好ましくは15~80重量%、より好ましくは15~70重量%であるように用いることができる。固形分という用語は、溶媒を除いて、組成物の成分を指してよい。溶媒の含量が上記の含量範囲内である場合には、混和性の問題を伴うことなく適当に混合が可能である組成物の達成に有利である。
【0112】
他の添加剤
加えて、感光性樹脂組成物は、架橋剤、熱酸発生剤、酸化防止剤、表面レベリング剤、光酸発生剤、脱酸素剤、UV遮断薬、ヒンダードアミン光安定剤等を他の添加剤としてさらに含んでいてもよい。
【0113】
例えば、熱酸発生剤は特定の温度で酸を生成する化合物を指す。このような化合物は、酸生成部と、酸特性をブロックするブロック酸とから組成される。熱酸発生剤が特定の温度に達すると、酸生成部がブロック酸から分離して酸を生成し得る。熱酸発生剤はアミン、第四級アンモニウム、金属、共有結合等をブロック酸として含んでいてもよく、また、特定的には、アミン又は第四級アンモニウムを含んでいてもよい。加えて、酸生成部は、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、アンチモン酸塩等を含んでいてもよい。
【0114】
加えて、ネガ型感光性樹脂組成物はさらに、追加の添加剤として、高光学濃度側鎖、反応性側鎖、極性プロトン性側鎖又はこれらの組み合わせを有する追加のホモポリマー又はコポリマー;熱的又は光化学的に活性化される触媒;及び、少なくとも1種の追加の共溶媒からなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0115】
熱活性化触媒の例としては、San-Aid SI-45(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-47(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-60(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-60L(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-80L(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-80L(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-100(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-100L(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-110L(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-145(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-150(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-160(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-110L(三新化学工業株式会社)、San-Aid SI-180L(三新化学工業株式会社)、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、セレニウム塩、オキソニウム塩、アンモニウム塩、金属キレート、トリメチルピリジニウムp-トルエンスルホネート、CXC-1821(King Industries Specialty Chemicals)、CXC-2689(King Industries Specialty Chemicals)、CXC-2678(King Industries Specialty Chemicals)、CXC-1614(King Industries Specialty Chemicals)、CXC-1615(King Industries Specialty Chemicals)、CXC-1767(King Industries Specialty Chemicals)、CXC-2172(King Industries Specialty Chemicals)、及び、CXC-2179(King Industries Specialty Chemicals)が挙げられる。
【0116】
光化学的に活性化される触媒の例としては、Cyracure(商標)UVI-6970、Cyracure(商標)UVI-6974、Cyracure(商標)UVI-6990、Cyracure(商標)UVI-950、Irgacure(商標)250、Irgacure(商標)261、Irgacure(商標)264、SP-150、SP-151、SP-170、Optmer SP-171、CG-24-61、DAICAT II、UVAC1590、UVAC1591、CI-2064、CI-2638、CI-2624、CI-2481CI-2734、CI-2855、CI-2823、CI-2758、CIT-1682、PI-2074、FFC509、BBI-102、BBI-101、BBI-103、MPI-103、TPS-103、MDS-103、DTS-103、NAT-103、NDS-103、CD-1010、CD-1011、CD-1012、CPI-100P、CPI-101A、MIPHOTO TPA-517及びMIPHOTO BCF-530Dが挙げられる。
【0117】
他の添加剤の含量は、残量中における溶媒を除いて、感光性樹脂組成物の固形分重量を基準として、0.01~5重量%、特に、0.1~3重量%であり得る。
【0118】
組成物の特性及び使用
上述の成分を含む本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、一般的な方法で調製できる。
【0119】
本発明によるネガ型感光性樹脂組成物は、従来使用されている硬質モノマーよりも比較的に硬度が小さく、且つ溶解性を確保する観点から有利であるモノマーと、開始剤とを採用することにより、1.6以上の屈折率を有し、且つパターニング性に優れたネガ型硬化膜を提供することが可能である。
【0120】
具体的には、ネガ型感光性樹脂組成物は、パターン形成が可能なレベルである、300Å/s以上のアルカリ溶解速度(ADR)を有することができる。具体的には、400Å/s以上、700Å/s以上、1,000Å/s以上、1,300Å/s以上、1,500Å/s以上、2,000Å/s以上、3,000Å/s以上、4,000Å/s以上、5,000Å/s以上、又は6,000Å/s以上であることが優れている。より具体的な例としては、400Å/s~10,000Å/s、400Å/s~8,000Å/s、又は2,000Å/s~10,000Å/sであってよい。
【0121】
したがって、本発明によるネガ型感光性樹脂組成物は、液晶ディスプレイデバイス、有機ELディスプレイデバイスなどに使用される硬化膜又は有機絶縁膜を調製するのに使用できる。
【0122】
本発明は、硬化膜、具体的には、ネガ型感光性樹脂組成物から形成される有機絶縁膜を提供する。
【0123】
硬化膜は、当技術分野において既知の方法、例えば、感光性樹脂組成物を基板上にコートした後に、硬化する方法によって形成することができる。より具体的には、硬化ステップにおいて、基板上にコートした感光性樹脂組成物は、溶媒を除去するために、例えば、60℃~130℃の温度でのプリベークにかけられ;次に所望のパターンを有するフォトマスクを使用して露光させられ;コーティング層上にパターンを形成するために、現像液(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液)を使用して、現像処理してよい。その後、必要があれば、そのパターン形成したコーティング層に、例えば、150~300℃の温度で10分~5時間ポストベークを行い、所望の硬化膜を調製する。露光は、200~500nmの波長域において365nmの波長を基準として10mJ/cm2~100mJ/cm2の露光量で行うことができる。本発明のプロセスによれば、プロセスの観点から所望のパターンを容易に形成することが可能である。
【0124】
基板への感光性樹脂組成物のコーティングは、例えば、2~25μmの所望の厚さで、スピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などによって行うことができる。さらに、曝露(照射)のために使用される光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲン化金属ランプ、アルゴンガスレーザーなどを使用できる。必要に応じて、X線、電子線なども使用することができる。
【0125】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、耐熱性、透明性、誘電率、耐溶媒性、耐酸性、及び耐アルカリ性の観点から優れている硬化膜を形成することができる。
【0126】
特に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜は、1.6以上、具体的には1.6~1.8、1.6~1.75、又は1.6~1.7の高屈折率を有することができる。
【0127】
加えて、このように形成された本発明の硬化膜は、それが熱処理にかけられるか、又は溶媒、酸、塩基などに浸漬されるか、若しくはそれらと接触するときに、表面粗さがない優れた光透過率を有する。したがって、硬化膜は、液晶ディスプレイデバイス又は有機発光ディスプレイデバイスの薄膜トランジスタ(TFT)基板用の平坦化膜;有機発光ディスプレイデバイス用のバリアリブ;半導体デバイスの層間誘電体;光導波路のコア又はクラッド材などとして効果的に使用することができる。
【0128】
本発明はまた、硬化膜を含む電子部品を提供する。
【実施例0129】
本発明の形態
以降で、以下の実施例を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲は、これらの実施例のみに限定されない。
【0130】
以下の調製実施例において、重量平均分子量は、ポリスチレン標準を基準とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶離液:テトラヒドロフラン)によって測定される。
【0131】
調製例1:コポリマー樹脂A-1
冷却チューブ、撹拌機及びガスチューブを備える丸底フラスコAに、最終的に得られる100重量%のコポリマー樹脂を基準として、溶媒として6.1重量%のジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG)を仕込み、温度を徐々に80℃に昇温した。0.90重量%のラジカル重合開始剤(V-65)が9.01重量%のジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG)中に溶解した溶液を、温度を維持しながらゆっくりと滴下しした。
【0132】
ガスチューブ及び磁気撹拌機を備える丸底フラスコBに、38.91重量%のN-ビニルカルバゾール、16.74重量%のコハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)及び4.40重量%のグリシジルメタクリレート(GMA)を仕込み、続いて、溶解するために24.02重量%のジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG)を添加した。このようにして得た溶液をフラスコAにゆっくりと滴下した。滴下が完了したら、混合物を温度を維持しながらさらに1時間撹拌した。
【0133】
その結果、10,139の重量平均分子量(Mw)を有するコポリマー樹脂(25.09重量%の固形分含量)を得た。
【0134】
実施例1:感光性樹脂組成物の調製
固形分含量の重量を基準として、66.67重量%の調製例1のコポリマー樹脂(A-1)及び33.33重量%のエポキシ樹脂由来の化合物(E-1)から組成される100重量部のバインダ樹脂、27.78重量部の光重合性化合物(B-1)、8.53重量部の光重合開始剤(C-1)、14.21重量部の高屈折率モノマー(D-1)、並びに、0.28重量部の界面活性剤(G-1)を、溶媒中において3時間均質に混合して溶解した。主溶媒(H-1)及び共溶媒(H-2)を94.7:5.3の重量比で混合することにより得た溶媒を、溶媒として用いた。混合物を0.2μmの孔径を有するメンブランフィルタでろ過して、16.23重量%の固形分含量を有する液体感光性樹脂組成物を得た。
【0135】
実施例2及び3並びに比較例1及び2:感光性樹脂組成物の調製
成分及び含量を以下の表2及び3に示すとおり変更したことを除き、実施例1の手法を繰り返すことにより、各液体感光性樹脂組成物を調製した。
【0136】
各成分の詳細な情報を以下の表1にまとめる。
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
テスト実施例1:パターン形成
実施例及び比較例において調製した組成物を各々スピンコーティングによりガラス基板に塗布し、次いで、これを、105℃に維持したホットプレート上で90秒間プリベークして乾燥膜を形成した。10μm~100μmの範囲のサイズの正方形の孔のパターンを有するマスクを乾燥膜に密着させた。次いで、365nmの波長を基準として30mJ/cm2の露光量で一定の時間、200nm~450nmの波長を有する光を発するアライナー(モデル名:MA6)を用いて、この膜を露光した。露光した膜を、パドルノズルからの2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムの水性現像剤で、23℃で70秒間現像した。その後、膜を対流オーブン中において240℃で20分間加熱して、1.5~2.0μmの厚さを有する硬化膜を調製した。上記の手法で50μmのマスクサイズに形成した孔パターンについて、DOTパターンの臨界寸法(CD、単位:μm)が達成されたか否かを確認した。
【0141】
試験例2:屈折率
実施例及び比較例において調製した組成物をそれぞれスピンコーティングによってウェーハ上にコートした後、105℃に保持したホットプレート上で90秒間それをプリベークして、乾燥膜を形成した。その後、膜を対流式オーブンにおいて240℃で20分間加熱して、厚さ0.3~0.5μmを有する硬化膜を調製した。硬化膜の屈折率を22℃、波長550nmで、エリプソメトリー(M-2000D,J.A.Wollam)を用いて、測定した。
【0142】
テスト結果を以下の表4に示す。
【0143】
【0144】
テストの結果、本発明に係る実施例1~3のネガ型感光性樹脂組成物は、所望のパターン及び1.6以上の優れた屈折率を有していた。
【0145】
対照的に、比較例1及び2の感光性樹脂組成物は所望のパターンを有していなかった。