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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091539
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】拘束型人工膝のための脱臼防止デバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20240627BHJP
A61B 17/56 20060101ALI20240627BHJP
【ＦＩ】
A61F2/38
A61B17/56
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】ＯＬ
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023212709
(22)【出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】63/434,580
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/450,879
(32)【優先日】2023-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502427840
【氏名又は名称】ジンマー，インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ティム ヨーコー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エー．バンディーペンボス
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ディー．バード
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア バーカー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド メドウズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ ブレイロック
(72)【発明者】
【氏名】ジョン リーディー
【テーマコード（参考）】
4C097
4C160
【Ｆターム（参考）】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD01
4C097DD10
4C097EE02
4C097SC08
4C097SC09
4C160LL28
4C160LL31
(57)【要約】
【課題】拘束型人工膝のための脱臼防止デバイスを提供する。
【解決手段】プロテーゼシステムが、大腿骨コンポーネントと、大腿骨コンポーネントと関節結合するように構成された脛骨支承コンポーネントと、ベースプレートと、複数のブッシングと、１つ又は複数のヒンジポストと、捕捉エレメントとを含んでよい。捕捉エレメントは、脛骨ベースプレートと連結するように構成することができ、１つ又は複数のヒンジポストの少なくとも一部が捕捉エレメントを通過するのを可能に構成された貫通孔を有することができる。脛骨ベースプレートに連結されると、捕捉エレメントは脛骨支承コンポーネント及びベースプレートからの大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、複数のブッシングのうちの少なくとも１つのブッシング又は１つ又は複数のヒンジポストのうちの１つのヒンジポストによって係合するように構成されている。
【選択図】図３
【解決手段】プロテーゼシステムが、大腿骨コンポーネントと、大腿骨コンポーネントと関節結合するように構成された脛骨支承コンポーネントと、ベースプレートと、複数のブッシングと、１つ又は複数のヒンジポストと、捕捉エレメントとを含んでよい。捕捉エレメントは、脛骨ベースプレートと連結するように構成することができ、１つ又は複数のヒンジポストの少なくとも一部が捕捉エレメントを通過するのを可能に構成された貫通孔を有することができる。脛骨ベースプレートに連結されると、捕捉エレメントは脛骨支承コンポーネント及びベースプレートからの大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、複数のブッシングのうちの少なくとも１つのブッシング又は１つ又は複数のヒンジポストのうちの１つのヒンジポストによって係合するように構成されている。
【選択図】図３
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拘束型膝のためのプロテーゼシステムであって、
大腿骨コンポーネントと、
前記大腿骨コンポーネントと関節結合するように構成された脛骨支承コンポーネントと、
ベースプレートであって、遠位面と、前記遠位面とは反対側に位置し、前記脛骨支承コンポーネントに面する近位面と、前記近位面と前記遠位面との間に延びる外縁と、前記遠位面から遠位方向に延びるキールとを有するベースプレートと、
それぞれ互いに異なる形態を有する複数のブッシングであって、各前記複数のブッシングは、前記ベースプレートの凹部内へ挿入するように構成されている、複数のブッシングと、
前記大腿骨コンポーネントと連結するように構成され、前記複数のブッシングの１つ又は複数によって受容されるように構成された１つ又は複数のヒンジポストと、
捕捉エレメントであって、前記ベースプレートと連結するように構成され、前記１つ又は複数のヒンジポストの少なくとも一部が前記捕捉エレメントを通過するのを可能にするように構成された貫通孔を有し、前記捕捉エレメントは、前記ベースプレートに連結されると、前記脛骨支承コンポーネント及び前記ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、前記複数のブッシングのうちの少なくとも１つのブッシング、又は、前記１つ又は複数のヒンジポストのうちの１つのヒンジポストによって係合されるように構成されている、捕捉エレメントと、
を含む、拘束型膝のためのプロテーゼシステム。
大腿骨コンポーネントと、
前記大腿骨コンポーネントと関節結合するように構成された脛骨支承コンポーネントと、
ベースプレートであって、遠位面と、前記遠位面とは反対側に位置し、前記脛骨支承コンポーネントに面する近位面と、前記近位面と前記遠位面との間に延びる外縁と、前記遠位面から遠位方向に延びるキールとを有するベースプレートと、
それぞれ互いに異なる形態を有する複数のブッシングであって、各前記複数のブッシングは、前記ベースプレートの凹部内へ挿入するように構成されている、複数のブッシングと、
前記大腿骨コンポーネントと連結するように構成され、前記複数のブッシングの１つ又は複数によって受容されるように構成された１つ又は複数のヒンジポストと、
捕捉エレメントであって、前記ベースプレートと連結するように構成され、前記１つ又は複数のヒンジポストの少なくとも一部が前記捕捉エレメントを通過するのを可能にするように構成された貫通孔を有し、前記捕捉エレメントは、前記ベースプレートに連結されると、前記脛骨支承コンポーネント及び前記ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、前記複数のブッシングのうちの少なくとも１つのブッシング、又は、前記１つ又は複数のヒンジポストのうちの１つのヒンジポストによって係合されるように構成されている、捕捉エレメントと、
を含む、拘束型膝のためのプロテーゼシステム。
【請求項2】
前記１つ又は複数のヒンジポストは、前記複数のブッシングのうちの少なくとも２つと連結するように構成された単一のヒンジポストを含む、請求項１に記載のプロテーゼシステム。
【請求項3】
前記１つ又は複数のヒンジポストは、それぞれが互いに異なる形態を有する少なくとも２つのヒンジポストを含む、請求項１に記載のプロテーゼシステム。
【請求項4】
前記捕捉エレメントと前記ベースプレートとの連結を排除し、かつ、前記複数のブッシングのうちの１つ及び前記１つ又は複数のヒンジポストのうちの１つを使用することによって、前記脛骨支承コンポーネント及び前記ベースプレートから前記大腿骨コンポーネントを完全に離開するように、前記大腿骨コンポーネント、前記脛骨支承コンポーネント、及び前記ベースプレートが構成されている、請求項１に記載のプロテーゼシステム。
【請求項5】
前記捕捉エレメントは、前記ベースプレートの前記凹部内に少なくとも部分的に受容されるように構成されたスナップ嵌めコンポーネント又はねじ山付きナットの一方を含み、前記捕捉エレメントは、選択的に前記ベースプレートに取り付け可能でありかつ前記ベースプレートから取り外し可能であるように構成されている、請求項１に記載のプロテーゼシステム。
【請求項6】
前記１つ又は複数のヒンジポストは、それぞれが選択的に前記大腿骨コンポーネントに取り付け可能でありかつ前記大腿骨コンポーネントから取り外し可能であるように構成されている、請求項１に記載のプロテーゼシステム。
【請求項7】
各前記複数のブッシングは、選択的に前記１つ又は複数のヒンジポストに取り付け可能、かつ、前記１つ又は複数のヒンジポストから取り外し可能に構成されている、請求項１に記載のプロテーゼシステム。
【請求項8】
前記複数のブッシングのうちの１つ又は複数は、選択的に前記捕捉エレメントに取り付け可能、かつ、前記捕捉エレメントから解離可能に構成されている、請求項１に記載のプロテーゼシステム。
【請求項9】
拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法であって、前記方法は、
第１のヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、
脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、
前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記第１のヒンジポストを前記凹部内へ挿入し、
前記第１のヒンジポストを前記第１のブッシングと共に前記凹部内部に受容し、
脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入し、
前記拘束型膝の軟組織が、前記脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かを確認するための判定を手術中に実施し、
前記軟組織が離開を制限するのに不十分である場合には、前記第１のブッシング及び前記凹部から前記脛骨支承コンポーネント及び前記第１のヒンジポストを取り外し、
前記大腿骨コンポーネントから前記第１のヒンジポストを分離し、
前記第１のヒンジポストとは異なる形態を有する第２のヒンジポストを前記大腿骨コンポーネントと連結し、
前記第１のブッシング、又は、前記第１のブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングの一方を、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内へ挿入し、
前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、
前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記第２のヒンジポストを前記凹部内へ前記捕捉エレメントを通して挿入し、
前記第２のヒンジポストを前記凹部内部の前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方と連結し、
前記脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入する、
ことを含む、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法。
第１のヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、
脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、
前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記第１のヒンジポストを前記凹部内へ挿入し、
前記第１のヒンジポストを前記第１のブッシングと共に前記凹部内部に受容し、
脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入し、
前記拘束型膝の軟組織が、前記脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かを確認するための判定を手術中に実施し、
前記軟組織が離開を制限するのに不十分である場合には、前記第１のブッシング及び前記凹部から前記脛骨支承コンポーネント及び前記第１のヒンジポストを取り外し、
前記大腿骨コンポーネントから前記第１のヒンジポストを分離し、
前記第１のヒンジポストとは異なる形態を有する第２のヒンジポストを前記大腿骨コンポーネントと連結し、
前記第１のブッシング、又は、前記第１のブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングの一方を、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内へ挿入し、
前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、
前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記第２のヒンジポストを前記凹部内へ前記捕捉エレメントを通して挿入し、
前記第２のヒンジポストを前記凹部内部の前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方と連結し、
前記脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入する、
ことを含む、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法。
【請求項10】
前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に前記捕捉エレメントを位置決めすることは、前記脛骨ベースプレートの１つ又は複数の保持機構と係合するように前記捕捉エレメントを偏向させることを含む、請求項９に記載の方法。
【請求項11】
前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に前記捕捉エレメントを位置決めすることは、前記脛骨ベースプレート内へ前記捕捉エレメントをねじ嵌めすることを含む、請求項９に記載の方法。
【請求項12】
前記第２のヒンジポストと前記凹部内部の前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方との連結は、前記捕捉エレメントに対する所望の位置に前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方を位置決めする、請求項９に記載の方法。
【請求項13】
前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、前記捕捉エレメントを前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方、又は、前記第２のヒンジポストのうちの少なくとも１つと係合させることをさらに含む、請求項９に記載の方法。
【請求項14】
前記第２のヒンジポストと前記凹部内部の前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方との連結は、前記捕捉エレメントと前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方との結合を解離する、請求項９に記載の方法。
【請求項15】
拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法であって、前記方法は、
ヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、
脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、
前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記ヒンジポストを前記凹部内へ挿入し、
前記ヒンジポストを前記第１のブッシングと共に前記凹部内部に受容し、
脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入し、
前記拘束型膝の軟組織が、前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かを確認するための判定を手術中に実施し、
前記軟組織が離開を制限するのに不十分である場合には、前記第１のブッシング及び前記凹部から前記脛骨支承コンポーネント及び前記ヒンジポストを取り外し、
前記第１のブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングを、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内へ挿入し、
前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、
前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記ヒンジポストを前記凹部内へ前記捕捉エレメントを通して挿入し、
前記ヒンジポストを前記凹部内部の前記第２のブッシングと連結し、
前記脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入する、
ことを含む、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法。
ヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、
脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、
前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記ヒンジポストを前記凹部内へ挿入し、
前記ヒンジポストを前記第１のブッシングと共に前記凹部内部に受容し、
脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入し、
前記拘束型膝の軟組織が、前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かを確認するための判定を手術中に実施し、
前記軟組織が離開を制限するのに不十分である場合には、前記第１のブッシング及び前記凹部から前記脛骨支承コンポーネント及び前記ヒンジポストを取り外し、
前記第１のブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングを、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内へ挿入し、
前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、
前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記ヒンジポストを前記凹部内へ前記捕捉エレメントを通して挿入し、
前記ヒンジポストを前記凹部内部の前記第２のブッシングと連結し、
前記脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入する、
ことを含む、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法。
【請求項16】
前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に前記捕捉エレメントを位置決めすることは、前記脛骨ベースプレートの１つ又は複数の保持機構と係合するように前記捕捉エレメントを偏向させることを含む、請求項１５に記載の方法。
【請求項17】
前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に前記捕捉エレメントを位置決めすることは、前記脛骨ベースプレート内へ前記捕捉エレメントをねじ嵌めすることを含む、請求項１５に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒンジポストと前記凹部内部の前記第２のブッシングとの連結は、前記捕捉エレメントに対する所望の位置に前記第２のブッシングを位置決めする、請求項１５に記載の方法。
【請求項19】
前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、前記捕捉エレメントを前記第２のブッシング又は前記ヒンジポストの少なくとも一方と係合させることをさらに含む、請求項１５に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒンジポストと前記凹部内部の前記第２のブッシングとの連結は、前記第２のブッシングと前記捕捉エレメントとの結合を選択的に解離する、請求項１５に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、２０２２年１２月２２日付けで出願された米国仮特許出願第６３／４３４，５８０号明細書の利益を主張し、また、２０２３年３月８日付けで出願された米国仮特許出願第６３／４５０，８７９号明細書の利益を主張する。ここに主張されたこれらの米国仮特許出願のそれぞれの優先権の利益、及びこれらの米国仮特許出願のそれぞれは、参照することによりその全体が本明細書中に援用される。
本出願は、２０２２年１２月２２日付けで出願された米国仮特許出願第６３／４３４，５８０号明細書の利益を主張し、また、２０２３年３月８日付けで出願された米国仮特許出願第６３／４５０，８７９号明細書の利益を主張する。ここに主張されたこれらの米国仮特許出願のそれぞれの優先権の利益、及びこれらの米国仮特許出願のそれぞれは、参照することによりその全体が本明細書中に援用される。
【0002】
本主題は、整形外科的プロテーゼに関し、より具体的には、拘束型膝関節構成術に使用される整形外科的プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科的な処置及びプロテーゼは、人体内の損傷した骨及び組織を修復かつ／又は置換するために広く利用されている。一般に、膝は大腿骨の遠位部分に位置する一対の顆によって構成されている。これらの顆の下面は、脛骨の対応形状を有する近位側の表面平坦域上に支承されている。大腿骨と脛骨とは靭帯、例えば後十字靱帯、外側側副靱帯、内側側副靱帯、及び前十字靱帯によって結合されている。これらの靭帯は、膝関節に安定性を提供する。
【0004】
人工膝関節は、拘束型又は非拘束型のものを考えることができる。このような議論のために、拘束型プロテーゼ膝システムは大腿骨プロテーゼと脛骨プロテーゼとを含む。これらのプロテーゼは、大腿骨プロテーゼと脛骨プロテーゼとの相対運動を制限するために、互いに機械的にリンクされるか又は拘束される。このような機械的リンケージのための一般的なメカニズムは、ヒンジ、バンド、又は他のリンケージ構造によって構成される。非拘束型人工膝システムは、機械的にリンクされていない大腿骨プロテーゼと脛骨プロテーゼとを含む。非拘束型の膝は、患者の現存の靭帯及び他の軟組織を利用して、関節の安定性を提供する。これを念頭に置いて、拘束型人工膝は、患者が靭帯を失っておりかつ／又は現存の靭帯が十分な支持及び安定性を膝に提供しない症例に、特に適用することができる。
【0005】
種々の拘束型膝のデザインが知られている。１つのこのようなデザインはヒンジポストを含む。このヒンジポスト形態は、脛骨ベースプレート内部に位置決めされており（そこから端部が突出している）、大腿骨コンポーネントに結合されている。１つのヒンジポスト形態は、例えば出願人が所有するＮｅｘＧｅｎ（登録商標）回転ヒンジ膝（Ｒｏｔａｔｉｎｇ Ｈｉｎｇｅ Ｋｎｅｅ）である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は大まかに言えば、改善された拘束型人工膝に関し、具体的にはヒンジポストを利用する拘束人工膝に関する。ヒンジポストを備えたいくつかの拘束型人工膝は、大腿骨コンポーネント（及びヒンジポスト）が、脛骨ベースプレート及び脛骨支承コンポーネントに対して概ね近位方向／遠位方向に自由に運動できるデザインを利用する。このような配置関係は、膝関節の離開（ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）を可能にする。しかしながら、ヒンジポストを備えた拘束型人工膝を受容する患者のある特定のセグメントが有する膝関節内の軟組織は、脛骨ベースプレート及び脛骨支承コンポーネントからの大腿骨コンポーネントの離開を防止し、次いで脱臼を防止するには不十分であり得ることを、本発明者らは認識した。脱臼は結果として患者に疼痛及び他の合併症をもたらし得る。
【0007】
こうして、不十分な軟組織を有する患者のこの特定のセグメントのために、脛骨ベースプレート及び脛骨支承コンポーネントからの大腿骨コンポーネントの離開は制限されるべきであると、本発明者らは認識した。離開を制限するために、拘束型人工膝のヒンジポスト及びブッシングと相互作用し得る捕捉エレメントのような種々の技術及び装置を、本発明者らは認識している。本明細書中に使用される「離開を制限する（ｌｉｍｉｔｉｎｇ ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）」、「離開を制限する（ｌｉｍｉｔ ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）」、「離開を制限する（ｌｉｍｉｔｓ ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）」、「制限付き離開（ｌｉｍｉｔｅｄ ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）」、又はこれに類する用語は、本発明中にさらに論じるような種々のプロテーゼ形態を含む。例えば、制限付き離開の一例によって、大腿骨コンポーネントは、脛骨ベースプレート及び脛骨支承コンポーネントに対してある程度の近位方向／遠位方向運動（例えば、数ミリメートルから数センチメートルまでの運動）ができる。しかしながら、このような程度の運動は最終的には限定／休止／停止させられて、大腿骨コンポーネントはさらなる近位方向／遠位方向運動、例えば結果として脛骨ベースプレート及び脛骨支承コンポーネントからの大腿骨コンポーネントの脱臼を招き得る近位方向／遠位方向運動ができなくなる。プロテーゼのためのこのような形態は、「完全に離開（ｆｕｌｌ ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）」し得るプロテーゼの形態と対比されるべきである。「完全に離開」し得るプロテーゼの場合、脛骨ベースプレート及び脛骨支承コンポーネントに対する大腿骨コンポーネントの近位方向／遠位方向運動は、プロテーゼのコンポーネントによって最終的に限定／休止／停止させられることはなく、不十分な軟組織が存在する場合には、膝関節が結果として脱臼するおそれがある。「離開を制限する（ｌｉｍｉｔｉｎｇ ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）」、「離開を制限する（ｌｉｍｉｔ ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）」、「離開を制限する（ｌｉｍｉｔｓ ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）」、「制限付き離開（ｌｉｍｉｔｅｄ ｄｉｓｔｒａｃｔｉｏｎ）」、又はこれに類する用語は、大腿骨コンポーネントの近位／遠位方向運動が、微動は別として実質的に完全に制限されているプロテーゼ形態を含む。「微動（ｍｉｃｒｏｍｏｔｉｏｎ）」という用語は、プロテーゼの構成要素間、例えばそれぞれ脛骨ベースプレートと捕捉エレメントとの間に、力が加えられると存在し得る小さな運動を意味する。このような小さな運動は、相互作用するコンポーネントの一方又は両方における材料が変形する結果として発生してよく、あるいは、例えば、これらのコンポーネント間の僅かな空間又はクリアランスから生じてもよい。微動は、コンポーネントのより大きな運動、例えば脛骨ベースプレート及び脛骨支承コンポーネントに対する大腿骨コンポーネントの近位／遠位方向運動とは区別される。
【0008】
離開を制限するように構成された第１のプロテーゼ組立体と、完全な離開を可能にするように構成された第２のプロテーゼ組立体との間で選択を行うことを可能にする装置、システム、及び方法を、本発明者らは認識した。第１のプロテーゼ組立体と第２のプロテーゼ組立体との間の変更、及びその反対の変更を容易にするために、コンポーネント数を減らすか又は最小限にするシステムを、本発明者らは認識した。
【0009】
本明細書中に提供される種々の実施例の付加的な特徴及び利点が論じられ、かつ／又は当業者に明らかになる。
【0010】
本明細書中に開示された器具、システム、及び方法をさらに例示するために、下記の非限定的な実施例が提供され、これらは以下に技術と称される。これらの実施例／技術はいかなる形でも組み合わせることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、拘束型膝のためのプロテーゼシステムであって、大腿骨コンポーネントと、前記大腿骨コンポーネントと関節結合するように構成された脛骨支承コンポーネントと、ベースプレートであって、遠位面と、前記遠位面とは反対側に位置し、前記脛骨支承コンポーネントに面する近位面と、前記近位面と前記遠位面との間に延びる外縁と、前記遠位面から遠位方向に延びるキールとを有するベースプレートと、それぞれ互いに異なる形態を有する複数のブッシングであって、前記複数のブッシングは、それぞれ前記ベースプレートの凹部内へ挿入するように構成されている複数のブッシングと、前記大腿骨コンポーネントと連結するように構成され、前記複数のブッシングの１つ又は複数によって受容されるように構成された１つ又は複数のヒンジポストと、捕捉エレメントであって、前記ベースプレートと連結するように構成され、前記１つ又は複数のヒンジポストの少なくとも一部が前記捕捉エレメントを通過するのを可能にするように構成された貫通孔を有し、前記ベースプレートに連結されると、前記捕捉エレメントは、前記脛骨支承コンポーネント及び前記ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、前記複数のブッシングのうちの少なくとも１つのブッシング、又は前記１つ又は複数のヒンジポストのうちの１つのヒンジポストによって係合するように構成されている、捕捉エレメントと、を含む、拘束型膝のためのプロテーゼシステムに関する。
【0012】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記１つ又は複数のヒンジポストが、前記複数のブッシングのうちの少なくとも２つと連結するように構成された単一のヒンジポストを含む、プロテーゼシステムに関する。
【0013】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記１つ又は複数のヒンジポストが、それぞれが互いに異なる形態を有する少なくとも２つのヒンジポストを含む、プロテーゼシステムに関する。
【0014】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記捕捉エレメントと前記ベースプレートとの連結を排除し、かつ、前記複数のブッシングのうちの１つ及び前記１つ又は複数のヒンジポストのうちの１つを使用することによって、前記脛骨支承コンポーネント及びベースプレートから前記大腿骨コンポーネントを完全に離開するように、前記大腿骨コンポーネント、前記脛骨支承コンポーネント、及び、前記ベースプレートが構成されている、プロテーゼシステムに関する。
【0015】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記捕捉エレメントが、前記ベースプレートの前記凹部内に少なくとも部分的に受容されるように構成されたスナップ嵌めコンポーネント又はねじ山付きナットの一方を含み、前記捕捉エレメントは、選択的に前記ベースプレートに取り付け可能でありかつ前記ベースプレートから取り外し可能であるように構成されている、プロテーゼシステムに関する。
【0016】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記１つ又は複数のヒンジポストのそれぞれが、選択的に前記大腿骨コンポーネントに取り付け可能でありかつ前記大腿骨コンポーネントから取り外し可能であるように構成されている、プロテーゼシステムに関する。
【0017】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記複数のブッシングが、選択的に前記１つ又は複数のヒンジポストに取り付け可能でありかつ前記１つ又は複数のヒンジポストから取り外し可能であるように構成されている、プロテーゼシステムに関する。
【0018】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法であって、前記方法は、第１のヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記第１のヒンジポストを前記凹部内へ挿入し、前記第１のブッシングを有する前記第１のヒンジポストを前記凹部内部に受容し、脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入し、前記拘束型膝の軟組織が、前記脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かを確認するための判定を手術中に実施し、前記軟組織が離開を制限するのに不十分である場合には、前記第１のブッシング及び前記凹部から前記脛骨支承コンポーネントと前記第１のヒンジポストとを取り外し、前記大腿骨コンポーネントから前記第１のヒンジポストを分離し、前記第１のヒンジポストとは異なる形態を有する第２のヒンジポストを前記大腿骨コンポーネントと連結し、前記第１のブッシング、又は前記第１のブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングの一方を、前記脛骨ベースプレートの凹部内へ挿入し、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記第２のヒンジポストを前記凹部内へ前記捕捉エレメントを通して挿入し、前記第２のヒンジポストを前記凹部内部の前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方と連結し、前記脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入する、ことを含む、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法に関する。
【0019】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に前記捕捉エレメントを位置決めすることは、前記脛骨ベースプレートの１つ又は複数の保持機構と係合するように前記捕捉エレメントを偏向させることを含む、方法に関する。
【0020】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に前記捕捉エレメントを位置決めすることは、前記脛骨ベースプレート内へ前記捕捉エレメントをねじ嵌めすることを含む、方法に関する。
【0021】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記第２のヒンジポストと、前記凹部内部の前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方との連結は、前記捕捉エレメントに対する所望の位置に前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方を位置決めする、方法に関する。
【0022】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、前記第１のブッシング若しくは前記第２のブッシングの一方、又は、前記第２のヒンジポストのうちの少なくとも１つと前記捕捉エレメントとを係合させることをさらに含む、方法に関する。
【0023】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法であって、前記方法は、ヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記ヒンジポストを前記凹部内へ挿入し、前記ヒンジポストを前記第１のブッシングと共に前記凹部内部に受容し、脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入し、前記拘束型膝の軟組織が、前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かを確認するための判定を手術中に実施し、前記軟組織が離開を制限するのに不十分である場合には、前記第１のブッシング及び前記凹部から前記脛骨支承コンポーネントと前記ヒンジポストとを取り外し、前記第１のブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングを、前記脛骨ベースプレートの凹部内へ挿入し、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、前記大腿骨コンポーネントに連結されたときに、前記ヒンジポストを前記凹部内へ前記捕捉エレメントを通して挿入し、前記ヒンジポストを前記凹部内部の前記第２のブッシングと連結し、前記脛骨支承コンポーネントを前記大腿骨コンポーネントと前記脛骨ベースプレートとの間に挿入する、ことを含む、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法に関する。
【0024】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に前記捕捉エレメントを位置決めすることは、前記脛骨ベースプレートの１つ又は複数の保持機構と係合するように前記捕捉エレメントを偏向させることを含む、方法に関する。
【0025】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に前記捕捉エレメントを位置決めすることは、前記脛骨ベースプレート内へ前記捕捉エレメントをねじ嵌めすることを含む、方法に関する。
【0026】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記ヒンジポストと、前記凹部内部の前記第２のブッシングとの連結は、前記捕捉エレメントに対する所望の位置に前記第２のブッシングを位置決めする、方法に関する。
【0027】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、前記捕捉エレメントを前記第２のブッシング又は前記ヒンジポストの少なくとも一方と係合させることをさらに含む、方法に関する。
【0028】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、拘束型膝用のプロテーゼ組立体のための第１形態と、拘束型膝用のプロテーゼ組立体のための第２形態との間で手術中に判断する方法であって、前記方法は、ヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、脛骨ベースプレートの凹部内へブッシングを挿入し、前記脛骨ベースプレートに脛骨支承コンポーネントを連結し、前記大腿骨コンポーネントを前記脛骨支承コンポーネント上に、前記ヒンジポストが前記凹部内部のブッシングによって少なくとも部分的に受容された状態で載置し、前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を制限するために捕捉エレメントを前記脛骨ベースプレートに連結すべきか否かを、手術中に患者の解剖学的特徴に基づいて判断する、ことを含む、方法に関する。
【0029】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記捕捉エレメントを脛骨ベースプレートに連結することは、前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、前記ブッシング又はヒンジポストの少なくとも１つによって係合されるように前記捕捉エレメントを位置決めすることをさらに含む、方法に関する。
【0030】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、捕捉エレメントを前記脛骨ベースプレートに連結すべきか否かを、患者の解剖学的特徴に基づいて判断することは、前記拘束型膝の軟組織が、前記脛骨支承コンポーネント及び前記脛骨ベースプレートからの前記大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かを確認するための判定を実施することを含む、方法に関する。
【0031】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記ブッシング及び前記脛骨ベースプレートから前記ヒンジポストを取り外し、前記ヒンジポストを前記大腿骨コンポーネントから切り離し、前記ヒンジポストとは異なる形態を有する第２のヒンジポストを前記大腿骨コンポーネントと連結し、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、前記第２のヒンジポストを前記脛骨ベースプレート内部の前記凹部内へ前記捕捉エレメントを通して挿入することをさらに含む、方法に関する。
【0032】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記第２のヒンジポストを前記脛骨ベースプレート内部の前記凹部内へ挿入することは、前記凹部内部の前記ブッシング、又は前記ブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングの一方に、前記ヒンジポストを連結することを含む、方法に関する。
【0033】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記ブッシング及び前記脛骨ベースプレートから前記ヒンジポストを取り外し、前記脛骨ベースプレートの前記凹部から前記ブッシングを取り外し、前記ブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングを前記凹部内へ挿入し、前記脛骨ベースプレートの前記凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、前記ヒンジポストを前記脛骨ベースプレート内部の前記凹部内へ前記捕捉エレメントを通して挿入し、、前記ヒンジポストを前記凹部内部の前記ブッシングと連結することをさらに含む、方法に関する。
【0034】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記ヒンジポストと前記凹部内部の前記第２のブッシングとの連結は、前記第２のブッシングと前記捕捉エレメントとの結合を選択的に解離する、方法に関する。
【0035】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記第２のヒンジポストを、前記凹部内部の前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方と連結することは、前記捕捉エレメントと、前記第１のブッシング又は前記第２のブッシングの一方との結合を解離する、方法に関する。
【0036】
いくつかの態様では、本明細書中に記載された技術は、前記複数のブッシングのうちの１つ又は複数が、選択的に前記捕捉エレメントに取り付け可能でありかつ前記捕捉エレメントから解離可能であるように構成されている、プロテーゼシステムに関する。
【0037】
必ずしも原寸に比例しない図面において、同様の符号は異なる図面において類似のコンポーネントを表し得る。異なる添字を有する同様の符号は、類似のコンポーネントの種々異なる事例を表し得る。図面は大まかに言えば、例えば、決して限定するものではないが、本明細書で論じられる種々の実施例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図3A】図３Ａは、本出願の一実施例に基づく、脛骨ベースプレート及び脛骨支承コンポーネントに対する大腿骨コンポーネントの近位／遠位方向運動によって離開した、図３の拘束型膝プロテーゼ組立体の斜視図を示す。
【図7】図７は、本出願の一実施例に基づく、脛骨ベースプレート及び／又は脛骨支承コンポーネントに対する大腿骨コンポーネントの離開を制限するように構成された捕捉エレメントを有する拘束型膝プロテーゼ組立体の第２実施例の断面図を示す。
【図9A-9B】図９Ａは、本出願の一実施例に基づく、脛骨ベースプレート及び／又は脛骨支承コンポーネントからの大腿骨コンポーネントの完全な離開を可能にするように構成されたシステム及び第３のプロテーゼ組立体を示し、図９Ｂは、本出願の一実施例に基づく、第３のプロテーゼ組立体と同じコンポーネントの多くを有するが、脛骨ベースプレート及び／又は脛骨支承コンポーネントからの大腿骨コンポーネントの離開を制限するための第２のブッシングと捕捉エレメントとを加えた第４のプロテーゼ組立体を有するシステムを示す。
【図10A-10B】図１０Ａは、本出願の一実施例に基づく、図９Ａのシステム及び第３のプロテーゼ組立体と共に使用される第１のピースと第２のピースとを含む第１のブッシングの実施例の斜視図を示し、図１０Ｂは、本出願の一実施例に基づく、図９Ｂのシステム及び第４のプロテーゼ組立体と共に使用される第２のブッシング及び捕捉エレメントの実施例の斜視図を示す。
【図12A-12B】図１２Ａは、脛骨ベースプレート及び／又は脛骨支承コンポーネントに対する大腿骨コンポーネントの完全な離開を可能にするために、図１１のシステムと共に使用され得るヒンジポストの実施例の図を示し、図１２Ｂは、脛骨ベースプレート及び／又は脛骨支承コンポーネントに対する大腿骨コンポーネントの制限付き離開を可能にするために、図１１のシステムと共に使用され得るヒンジポストの種々の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本出願は、数あるコンポーネントの中でも脛骨ベースプレート、捕捉エレメント、ブッシング、及びヒンジポストを含む、拘束型脛骨プロテーゼの組立体及びシステムに関する。本出願は、種々の特徴、技術、及び本明細書中で論じられる捕捉エレメントを含むコンポーネントを介して、脛骨ベースプレート及び／又は脛骨支承コンポーネントに対する大腿骨コンポーネントの離開を制限することに焦点を合わせる。離開の制限により、膝関節の脱臼、及びこれに相応する疼痛、不快さ、及び場合によっては生じる医学的介入の必要性を防止することができる。
【0040】
膝関節置換処置をより良く理解するために、骨と、膝関節内部で種々の暫定的及び永久的なプロテーゼの構成要素を配向するために構成され得る骨切断部との関係を理解することが有用であり得る。図１及び図２は、膝関節の構造及び配向のいくつかの特徴を示す。図１には、大腿骨１０４及び脛骨１０６を含む下肢１０２の正面図が、種々の下肢軸を説明するために示されている。大腿骨１０４は、その髄内管（ｉｎｔｒａｍｅｄｕｌｌａｒｙ ｃａｎａｌ）と概ね一致する解剖学的軸１０８を有している。大腿骨１０４はまた、大腿骨頭１１２の中心から膝関節１１４の中心へ延びる機能軸１１０、又は荷重軸を有している。これら２つの軸の間の角度１１６は、患者集団の中で変動するが、しかし概ね５から７度（これらの値を含む）のオーダーにある。大腿骨１０４と同様に、脛骨１０６も、その髄内管と概ね一致する解剖学的軸を有している。脛骨１０６の機能軸１１８は、膝関節１１４の中心から足関節領域１２０の中心へ延びており、その解剖学的軸と概ね共線的である。
【0041】
膝関節１１４が屈曲する際の中心となる接合線（ｊｏｉｎｔ ｌｉｎｅ）１２２は、内側大腿顆及び外側大腿顆１２４を通る線に対して、脛骨プラトー１２６に対してほぼ平行である。図１において、接合線１２２は、大腿骨１０４の機能軸１１０及び脛骨１０６の機能軸１１８に対して垂直であるとして示されてはいるが、内反角又は外反角を成して延びることができる。通常、部分的又は全体的な膝置換処置中には、大腿骨１０４の遠位端又は脛骨１０６の近位端の部分を、接合線１２２に対して平行に又はほぼ平行になるように、ひいては機能軸１１０及び１１８に対して垂直になるように、それぞれ符号１２８及び１３０で示されているように切除する。
【0042】
図２は、膝関節１１４及びその座標系をより接近して見た図である。この図において、内側／外側軸２０２は接合線１２２（図１参照）にほぼ相当し、近位／遠位軸２０４は機能軸１１０及び１１８（図１参照）にほぼ相当し、前部／後部軸２０６は他の２つの軸に対してほぼ垂直である。これらの軸のそれぞれに沿った位置は矢印によって示すことができる。これらの矢印は、挿入されたプロテーゼの構成要素の内側／外側方向２０８、前部／後部方向２１０、及び近位／遠位方向２１２の位置を表すことができる。これらの軸のそれぞれを中心とした回転も矢印によって示すことができる。近位／遠位軸２０４を中心とした回転は、大腿骨コンポーネントの外旋に解剖学的に相当し得るのに対して、前部／後部軸２０６を中心とした回転はコンポーネントの伸展平面傾斜に、内側／外側軸２０２を中心とした回転はコンポーネントの内反／外反角に相当することができる。構成された近位脛骨切断部１３０（図１参照）の位置に応じて、内反／外反角２１４、伸展平面角２１６、外旋２１８、又は関節伸展ギャップに影響を与えることができる。同様に、遠位大腿骨切断部１２８（図１参照）の位置も、接合線１２２の場所、伸展ギャップ、内反／外反角２１４、又は伸展平面角２１６に影響を与え得る。
【0043】
本明細書中に使用する「近位」及び「遠位」という用語には、一般に理解される解剖学的解釈が与えられるべきである。「近位」という用語は、概ね患者の胴へ向かう方向を意味し、「遠位」という用語は、近位とは反対の方向、すなわち患者の胴から離れる方向を意味する。言うまでもなく、「近位」及び「遠位」という用語を使用する場合、これはあたかも患者が膝関節を延ばした状態で立っているかのように解釈されるべきである。その意図は、「近位」及び「遠位」という用語を「前部」及び「後部」という用語から区別化することである。本明細書中に使用される「前部」及び「後部」という用語には、一般に理解される解剖学的解釈が与えられるべきである。したがって「後部」は、患者の後ろ側、例えば膝の後ろ側を意味する。同様に、「前部」は患者の前側、例えば膝の前側を意味する。したがって、「後部」は「前部」の反対方向を意味する。同様に、「外側（ｌａｔｅｒａｌ）」という用語は「内側（ｍｅｄｉａｌ）」の反対方向を意味する。「内側／外側方向」という用語は内側から外側への方向、又は外側から内側への方向を意味する。「近位／遠位」という用語は、近位から遠位への方向又は遠位から近位への方向を意味する。「前部／後部」という用語は前部から後部への方向又は後部から前部への方向を意味する。
【0044】
本明細書中に使用される脛骨ベースプレートの「外縁」は、上面図、例えば概ね横方向の解剖学的平面内で見たときの任意の外縁を意味する。あるいは、脛骨ベースプレートの外縁は、底面図、例えば概ね横方向の平面内で見たときの、脛骨の切除近位面と接触するように構成された遠位面を見たときの任意の外縁であってよい。
【0045】
図３は、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体３００を示す。プロテーゼ組立体３００は、脛骨ベースプレート３０２と、脛骨支承コンポーネント３０４（半月板コンポーネント、ポリ、関節コンポーネント又は支承体と呼ばれることもある）と、大腿骨コンポーネント３０６と、ヒンジポスト３０８とを含むことができる。
【0046】
脛骨支承コンポーネント３０４は、脛骨ベースプレート３０２の近位面３１０の上部に連結することができ、位置決めすることができる。脛骨支承コンポーネント３０４は、ポリマー材料、例えば超高分子量ポリエチレン（「ＵＨＭＷＰＥ」）などから構成することができる。脛骨支承コンポーネント３０４は、当業者には周知のように、膝関節の屈曲及び伸展を介して、大腿骨コンポーネント３０６と関節結合するように構成することができる。プロテーゼ組立体３００は、互いに機械的にリンクされた大腿骨コンポーネント３０６と脛骨ベースプレート３０２とを有している。これは、ヒンジポスト３０８と、図４においてさらに示され論じられる他のコンポーネントとによって達成される。ヒンジポスト３０８は大腿骨コンポーネント３０６に連結され、脛骨支承コンポーネント３０４の凹部３０９内部及び脛骨ベースプレート３０２の凹部３２２（図４参照）に受容されている。
【0047】
図３Ａは、膝関節の離開を示す。具体的には、大腿骨コンポーネント３０６は、（矢印Ａ１によって示されるように）脛骨支承コンポーネント３０４及び脛骨ベースプレート３０２から概ね近位／遠位方向に動かされる。図３に示すような形式で大腿骨コンポーネント３０６を脛骨支承コンポーネント３０４上に保持するには不十分な軟組織が膝関節内に残っているのであれば、膝関節の脱臼が生じることがある。大腿骨コンポーネント３０６と、脛骨支承コンポーネント３０４と、脛骨ベースプレート３０２との間の運動は、大腿骨コンポーネント３０６と脛骨支承コンポーネント３０４の関節面との間に所定の距離（ギャップ）を構成する。ヒンジポスト３０８は図３Ａの実施例において、脛骨ベースプレート３０２及び／又は脛骨支承コンポーネント３０４の凹部内部に少なくとも部分的に保持されたままなので、脛骨支承コンポーネント３０４及び脛骨ベースプレート３０２からの大腿骨コンポーネント３０６の離開は、概ね近位／遠位軸２０４に沿って、また図２に示された方向２１２に沿って生じる。しかしながら、ヒンジポスト３０８が凹部３０９及び３２２（図４参照）から解放されると（図４参照）、膝関節の脱臼が結果として生じるおそれがある。脱臼は痛みを伴うことがあり、また患者に他の合併症をもたらすこともある。
【0048】
図４は、プロテーゼ組立体３００、脛骨ベースプレート３０２、脛骨支承コンポーネント３０４、大腿骨コンポーネント３０６、及びヒンジポスト３０８の分解図を示しており、ヒンジ軸３１２、ポリボックス３１４、軸ブッシング３１６、シャックル３１８、及びブッシング３２０をさらに示す。
【0049】
ヒンジポスト３０８は、シャックル３１８、軸ブッシング３１６、及びヒンジ軸３１２を介して大腿骨コンポーネント３０６に結合される。シャックル３１８の遠位部分は脛骨支承コンポーネント３０４の凹部３０９内に受容され、この遠位部分はヒンジポスト３０８に螺合又は他の形式で結合される。ヒンジポスト３０８は、脛骨支承コンポーネント３０４の凹部３０９を通って遠位方向に延び、脛骨ベースプレート３０２の凹部３２２内に受容される。ヒンジポスト３０８を受容する脛骨ベースプレート３０２の凹部３２２は、脛骨ベースプレート３０２のキール３２４によって少なくとも部分的に構成することができる。ヒンジポスト３０８は、脛骨支承コンポーネント３０４及び／又は脛骨ベースプレート３０２に対して運動可能（例えば回転可能かつ／又は図３Ａに示されるように離開可能）であり得る。ヒンジポスト３０８は、ヒンジ軸３１２を介して大腿骨コンポーネント３０６に回転可能に結合することができる。こうして、大腿骨コンポーネント３０６と脛骨ベースプレート３０２とが機械的にリンクされるのに伴って、ヒンジポスト３０８の中心線を定義する長手方向軸線ＬＡは、膝関節のための回転／関節結合軸線ＡＲＡを定義することができる。
【0050】
組立時には、シャックル３１８はポリボックス３１４の互いに対向する壁の間に配置することができる。ヒンジ軸３１２上での組立時には、軸ブッシング３１６は加えて、シャックル３１８の近位部分に設けられた開口部内部に位置する。シャックル３１８及びヒンジポスト３０８は、適宜の材料、例えばチタン合金、コバルト－クロム合金などから構成することができ、これに対して、軸ブッシング３１６及びポリボックス３１４は、異なる材料、例えばプラスチック、例えばＵＨＭＷＰＥから構成することができる。軸ブッシング３１６は、シャックル３１８とヒンジ軸３１２との間の支承体として作用する。ポリボックス３１４は、大腿骨コンポーネント３０６とシャックル３１８との間の支承体として作用する。
【0051】
図４のプロテーゼ組立体３００が示す、コンポーネントのシステム３２６の場合、膝の離開は、プロテーゼ組立体３００の捕捉エレメント又は他の機構によって制限されない。このように、システム３２６は、組立時には完全に離開するように構成されたコンポーネントを提供する。したがって、前述のように、大腿骨コンポーネント３０６と脛骨ベースプレート３０２と脛骨支承コンポーネント３０４との間の離開を制限するためには、膝の軟組織に依存する。ブッシング３２０は、少なくとも脛骨ベースプレート３０２の凹部３２２内へ挿入されるように構成することができる。ブッシング３２０はまた、いくつかの実施例では脛骨支承コンポーネント３０４の凹部３０９（図３参照）内へ又は凹部３０９を通して挿入することができる。ブッシング３２０は、ヒンジポスト３０８の少なくとも一部を受容するように構成することができる。ブッシング３２０は、ヒンジポスト３０８と脛骨ベースプレート３０２との間の支承体として作用することができる。ヒンジポスト３０８は、図３Ａに描かれた離開中のように、ブッシング３２０に対して概ね近位／遠位方向に運動可能であり得る。
【0052】
図５は、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法４００を示すフローチャートである。この方法４００は、整形外科的コンポーネントのシステム（例えば、システム３２６、及び本明細書中でさらに論じられるような付加的なコンポーネント）を含むことができる。方法４００は、脛骨支承コンポーネント及び／又は脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの完全な離開のために、あるいは脛骨支承コンポーネント及び／又は脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの制限付き離開のために構成された拘束型プロテーゼ組立体を構成するためのコンポーネントのシステムを提供することができる（４０２）。図４は、脛骨支承コンポーネント及び／又は脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの完全な離開のために構成されたシステム３２６の実施例を示す。完全な離開のために構成されたシステム及びプロテーゼ組立体のさらなる実施例が、例えば、図９Ａに関連して示されている。図７及び図９Ｂは、脛骨支承コンポーネント及び／又は脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの制限付き離開のために構成された拘束型プロテーゼ組立体を構成するシステム及びプロテーゼ組立体を示す。
【0053】
方法４００は、完全関節離開が望ましいかどうかを判定する（４０４）ことを含む。この判定プロセスは、残存する靭帯の数及び状態を含む、膝関節内の軟組織の状態、機能、及び量を突き止めることを含み得る。判定プロセスは、膝関節を医師によって離開すること、膝関節の所定の範囲の運動を行うこと、膝関節内部の骨及び／又は軟組織の間のギャップを測定すること、例えば、図１及び図２に関連して論じられた関節伸展ギャップを測定すること、又はこれに類するものをも含み得る。これらの判定のうちのいくつか又は全ては、大腿骨コンポーネント、脛骨支承コンポーネント、脛骨ベースプレート、及び／又は他のコンポーネントの移植の前又は後に実施することができる。
【0054】
患者の解剖学的特徴に基づいて、膝関節が完全な離開中に大腿骨コンポーネントを脛骨ベースプレートに機械的にリンクした状態に維持するのに十分である（例えば膝関節の脱臼が生じる可能性が低い）と、医師が判定した場合には、方法４００は、大腿骨コンポーネントが脛骨支承コンポーネント及び／又は脛骨ベースプレートから完全に離開するのを可能にするように構成された、第１の拘束型プロテーゼ組立体を実装することができる（４０６）。あるいは、膝関節が完全な離開中に大腿骨コンポーネントを脛骨ベースプレートに機械的にリンクした状態に維持するには不十分である（例えば膝関節の脱臼が場合によっては生じ得る）と、医師が判定した場合には、方法４００は、大腿骨コンポーネントが脛骨支承コンポーネント及び／又は脛骨ベースプレートから制限付きで離開するのを可能にするように構成された、第２の拘束型プロテーゼ組立体を実装することができる（４０８）。
【0055】
図６は、医師によって用いられる選択肢であり得る、拘束型膝のためのプロテーゼ組立体を組立てる方法例５００を示す。方法５００は、ヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し（５０２）、脛骨ベースプレートの凹部内へブッシングを挿入し（５０４）、脛骨ベースプレートに脛骨支承コンポーネントを連結し（５０６）、大腿骨コンポーネントを脛骨支承コンポーネント上に、ヒンジポストが凹部内部のブッシングによって少なくとも部分的に受容された状態で載置し（５０８）、脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの離開を制限するために捕捉エレメントを脛骨ベースプレートに連結すべきか否かを、手術中に患者の解剖学的特徴に基づいて判断する（５１０）、ことを含むことができる。これらの種々のステップを実施するためのシステム及び構成部分の実施例が本明細書中で論じられる。前述のように、手術中の判定５１０は、残存する靭帯の数及び状態を含む、膝関節内の軟組織の状態、機能、及び量を突き止めることを含み得る。判定プロセスは、膝関節を医師によって離開すること、膝関節の所定の範囲の運動を行うこと、膝関節内部の骨及び／又は軟組織の間のギャップを測定すること、例えば図１及び図２に関連して論じられた関節伸展ギャップを測定すること、又はこれに類するものをも含み得る。これらの判定のうちのいくつか又は全ては、大腿骨コンポーネント、脛骨支承コンポーネント、脛骨ベースプレート、及び／又は他のコンポーネントの移植の前又は後に実施することができる。したがって、手術中の判定５１０は、拘束型膝の軟組織が、脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かの判定を実施することを含み得る。
【0056】
方法５００は、捕捉エレメントを脛骨ベースプレートに連結することを含み得る。このことにより、脛骨支承コンポーネント及びベースプレートからの大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、ブッシング又はヒンジポストの少なくとも１つによって係合されるように捕捉エレメントを位置決めすることができる。方法５００は、ブッシング及び脛骨ベースプレートからヒンジポストを取り外し、大腿骨コンポーネントからヒンジポストを分離し、このヒンジポストとは異なる形態を有する第２のヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、脛骨ベースプレートの凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、第２のヒンジポストを脛骨ベースプレート内部の凹部内へ捕捉エレメントを通して挿入する、ことをさらに含む。第２のヒンジポストを脛骨ベースプレート内部の凹部内へ挿入することは、凹部内部のブッシング、又はこのブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングの一方に、ヒンジポストを連結することを含み得る。
【0057】
１つの実施例によれば、方法５００は、第１のヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、大腿骨コンポーネントに連結されたときに、第１のヒンジポストを凹部内へ挿入し、第１のヒンジポストを第１のブッシングと共に凹部内部に受容し、脛骨支承コンポーネントを大腿骨コンポーネントと脛骨ベースプレートとの間に挿入し、拘束型膝の軟組織が、脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かを確認するための判定を手術中に実施し、軟組織が離開を制限するのに不十分である場合には、第１のブッシング及び凹部から脛骨支承コンポーネントと第１のヒンジポストとを取り外し、大腿骨コンポーネントから第１のヒンジポストを分離し、第１のヒンジポストとは異なる形態を有する第２のヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、第１のブッシング、又は第１のブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングの一方を、脛骨ベースプレートの凹部内へ挿入し、脛骨ベースプレートの凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、大腿骨コンポーネントに連結されたときに、第２のヒンジポストを凹部内へ捕捉エレメントを通して挿入し、第２のヒンジポストを凹部内部の第１のブッシング又は第２のブッシングの一方と連結し、脛骨支承コンポーネントを大腿骨コンポーネントと脛骨ベースプレートとの間に挿入する、ことを含み得る。
【0058】
注目すべきなのは、ヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、大腿骨コンポーネントに連結されたときに、第１のヒンジポストを凹部内へ挿入し、かつ／又は第１のヒンジポストを第１のブッシングと共に凹部内部に受容するステップの前又は後に、脛骨支承コンポーネントを大腿骨コンポーネントと脛骨ベースプレートとの間に挿入するステップを実施し得ることである。同様に、脛骨支承コンポーネントを大腿骨コンポーネントと脛骨ベースプレートとの間に挿入するステップは、大腿骨コンポーネントに連結されたときに、第２のヒンジポストを凹部内へ捕捉エレメントを通して挿入し、かつ／又は第２のヒンジポストを凹部内部の第１のブッシング又は第２のブッシングの一方と連結するステップの前又は後に行うこともできる。したがって、上述の方法は、記載のステップの順序に限定される必要はない。
【0059】
脛骨ベースプレートの凹部内部に捕捉エレメントを位置決めすることは、脛骨ベースプレートの１つ又は複数の保持機構と係合するように前記捕捉エレメントを偏向させることを含み得る。方法５００は、捕捉エレメントを前記ベースプレート内へねじ嵌めするか又はスナップ嵌めすることによって、脛骨ベースプレートの凹部内部に捕捉エレメントを位置決めすることを含み得る。第２のヒンジポストを凹部内部の第１のブッシング又は第２のブッシングの一方と連結することにより、捕捉エレメントに対する所望の位置に第１のブッシング又は第２のブッシングの一方を位置決めすることができる。方法５００は、脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、捕捉エレメントを第１のブッシング又は第２のブッシング又は前記第２のヒンジポストのうちの少なくとも１つと係合させることをさらに含む。
【0060】
別の実施例によれば、方法５００は、ヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、大腿骨コンポーネントに連結されたときに、ヒンジポストを凹部内へ挿入し、ヒンジポストを第１のブッシングと共に凹部内部に受容し、脛骨支承コンポーネントを大腿骨コンポーネントと脛骨ベースプレートとの間に挿入し、拘束型膝の軟組織が、脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの離開を十分に制限するか否かを確認するための判定を手術中に実施し、軟組織が離開を制限するのに不十分である場合には、第１のブッシング及び凹部から脛骨支承コンポーネントとヒンジポストとを取り外し、第１のブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングを、脛骨ベースプレートの凹部内へ挿入し、脛骨ベースプレートの凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、大腿骨コンポーネントに連結されたときに、ヒンジポストを凹部内へ捕捉エレメントを通して挿入し、ヒンジポストを凹部内部の第２のブッシングと連結し、脛骨支承コンポーネントを大腿骨コンポーネントと脛骨ベースプレートとの間に挿入する、ことを含み得る。
【0061】
前の実施例と同様に、ヒンジポストを大腿骨コンポーネントと連結し、脛骨ベースプレートの凹部内へ第１のブッシングを挿入し、大腿骨コンポーネントに連結されたときに、第１のヒンジポストを凹部内へ挿入し、かつ／又は第１のヒンジポストを第１のブッシングと共に凹部内部に受容するステップの前又は後に、脛骨支承コンポーネントを大腿骨コンポーネントと脛骨ベースプレートとの間に挿入するステップを実施することができる。同様に、脛骨支承コンポーネントを大腿骨コンポーネントと脛骨ベースプレートとの間に挿入するステップは、第１のブッシングとは異なる形態を有する第２のブッシングを、脛骨ベースプレートの凹部内へ挿入し、脛骨ベースプレートの凹部内部に捕捉エレメントを位置決めし、大腿骨コンポーネントに連結されたときに、ヒンジポストを凹部内へ捕捉エレメントを通して挿入し、かつ／又はヒンジポストを凹部内部の第２のブッシングと連結するステップの前又は後に、行うこともできる。したがって、上述の方法は、記載のステップの順序に限定される必要はない。
【0062】
脛骨ベースプレートの凹部内部に捕捉エレメントを位置決めすることは、脛骨ベースプレートの１つ又は複数の保持機構と係合するように捕捉エレメントを偏向させることを含み得る。ヒンジポストを凹部内部の第２のブッシングと連結することにより、捕捉エレメントに対する所望の位置に第２ブッシンを位置決めすることができる。方法は、脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの離開を制限するために、捕捉エレメントを第２のブッシング又はヒンジポストの少なくとも一方と係合させることを任意に含む。
【0063】
図７は、前述のプロテーゼ組立体３００と同様の構造を有するプロテーゼ組立体６００を示す断面図である。しかし、プロテーゼ組立体６００は異なっており、脛骨支承コンポーネント３０４及び脛骨ベースプレート３０２からの大腿骨コンポーネント３０６の離開を制限する捕捉エレメント６０１を含んでいる。少なくとも脛骨ベースプレート３０２は、本明細書中でさらに論じるように、捕捉エレメント６０１を受容し、かつ／又は捕捉エレメント６０１と連結するように構成することができる。
【0064】
図７の断面図は、脛骨ベースプレート３０２の遠位面３３０、並びに近位面３１０及び外縁３３２を示す。外縁３３２は、近位面３１０と遠位面３３０との間で脛骨ベースプレート３０２の周りに延びている。キール３２４は脛骨ベースプレート３０２の遠位面３３０から遠位方向へ延びている。キール３２４は、ヒンジポスト６０８とブッシング６２０とを受容する凹部３２２を少なくとも部分的に画定している。キール３２４は、脛骨ベースプレート３０２の残りと一体化（モノリシック）することが可能であり、又は、これに（例えば、ねじ山又は別の機械的結合メカニズムを介して）取り付けることもできる。キール３２４は、遠位方向へ延びるように構成することができ、脛骨ベースプレート３０２に固定をもたらすように、脛骨１０６（図１参照）の髄内管内に嵌るように成形することができる。
【0065】
遠位面３３０は、ペグ、増強材、又は当業者に知られた他のコンポーネントの結合のためのねじ山付き開口部のような機構を含むことができる。遠位面３３０（及び脛骨ベースプレートの他の機構、例えば、キール３２４）は、骨内方成長量を促進する多孔質材料、又は高度に多孔質の材料から構成することができる。高度に多孔質の生体材料は代用骨として、細胞・組織受容材料として有用である。高度に多孔質の生体材料のポロシティは３０％、５５％もの低さであってよく、又は７０％、８０％、８５％、又は９０％もの高さであってよい。高度に多孔質の材料の平均孔径は、例えば１００ミクロンから１０００ミクロンであり得る。しかしながら、高度に多孔質の生体材料の使用についてはすべての実施例において検討されない。例えば、高度に多孔質の生体材料の代わりとして、骨セメントのような材料を利用することもできる。
【0066】
このような多孔質又は高度に多孔質の材料の一例は、インディアナ州ＷａｒｓａｗのＺｉｍｍｅｒ Ｂｉｏｍｅｔ Ｉｎｃ．から一般に入手可能なＯｓｓｅｏＴｉ（登録商標）である。材料はチタン又はチタン合金を含むことができ、加えて他の材料を含むこともできる。このような材料（比較的多孔質でない又は無孔質の生体適合性材料を含む）は、積層造形処理、例えば、レーザー焼結又はこれに類するものを用いて製造することができる。ＯｓｓｅｏＴｉ（登録商標）は高度に生体適合性であり、高い耐食性を有しており、、人間の海綿骨の多孔質構造を模倣する、高度に相互接続された多孔質アーキテクチャを含む。これは骨インテグレーション及び内部成長を向上させ得る。多孔質又は高度に多孔質の材料は、比較的多孔質でない又は無孔質の生体適合性材料、例えばチタン、チタン合金、ステンレス鋼、又は当業者に知られた他の材料上に層状に重ねられるように、又はこのような生体適合性材料と共に／生体適合性材料上に構造化されるように製造することができる。
【0067】
このような多孔質又は高度に多孔質の材料の別の例は、インディアナ州ＷａｒｓａｗのＺｉｍｍｅｒ Ｂｉｏｍｅｔ Ｉｎｃ．から一般に入手可能なＴｒａｂｅｃｕｌａｒ Ｍｅｔａｌ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ （登録商標）を利用して製造される。このような材料は、網状化ガラス状炭素発泡体基体から構成されてよい。Ｋａｐｌａｎの米国特許第５，２８２，８６１号において詳細に開示された形式で化学蒸着（ＣＶＤ）法によって、この基体を生体適合性金属、例えばタンタルで浸潤させて被覆する。この開示内容全体は参照することにより本明細書中に明示的に援用される。タンタルに加えて、他の金属、例えばニオブ、又はタンタル及びニオブの相互の、又は他の金属との合金が使用されてもよい。多孔質タンタル構造は、具体的な用途に合わせて構造を選択的に適合させるために、種々の密度で構成されてよい。具体的には、上で援用した米国特許第５，２８２，８６１号において論じられているように、多孔質タンタルは、事実上任意の所期ポロシティ及び孔径となるように製作されてよく、ひいては外縁の生来の骨と調和させることにより、骨の内方成長及び石灰化のための改善されたマトリックスを提供することができる。
【0068】
一般的には、検討される多孔質材料構造は、間に開放空間を画定する多数の靭帯を含むことができ、各靭帯は概ね、金属薄膜によって覆われたコアを含む。靭帯間の開放空間は、デッドエンドを有しない連続チャネルのマトリックスを形成するので、多孔質タンタル構造を通る海綿骨の成長は阻害されない。多孔質又は高度に多孔質の材料は、最大７０％、８５％、又はこれを上回るボイド空間を含んでよい。したがって、多孔質又は高度に多孔質の材料は軽量の強い多孔質構造であり、このような構造は、組成がほぼ均一で一貫していて、生来の海綿骨の構造と極めて類似しており、これにより、患者の骨に脛骨ベースプレートを固定可能にするように、海綿骨がその内部へ成長し得るマトリックスを提供する。
【0069】
図７は、プロテーゼ組立体６００が、図４の実施例のヒンジポスト３０８及びブッシング３２０と比較して改変されたヒンジポスト６０８及びブッシング６２０を含み得ることを示す。ブッシング６２０は、ヒンジポスト６０８の少なくとも一部をその中に受容するように構成することができる。ヒンジポスト６０８は、係合機構６０７、例えば、ねじ山６０９を含むことができる。これらの係合機構６０７は、対応する係合機構６１１、例えば、ブッシング６２０のねじ山６１３と連結するように構成することができる。ヒンジポスト６０８とブッシング６２０とは、係合機構６０７，６１１を介して共に運動するように連結することができる。この形態は、共に運動するようには連結されていない図４の実施例のヒンジポスト３０８及びブッシング３２０の構成とは異なり得る。このように、ヒンジポスト３０８及びブッシング３２０は、ねじ山のような係合機構を含まない。ヒンジポスト３０８はブッシング３２０に対して運動可能であり得る。
【0070】
図７は、ヒンジポスト６０８を、シャックル３１８とその近位端で連結された状態で示す。この連結は、ヒンジポスト６０８とシャックル３１８との間の螺合部６１５を介して行うことができる。螺合部６１５は、ヒンジポスト６０８とシャックル３１８とが可逆的に連結され、互いに分離されるのを可能にして、ヒンジポストの形態の変更（例えば制限付き離開を容易にするための、例えばヒンジポスト３０８からヒンジポスト６０８への変更）を可能にする。シャックル３１８とヒンジポスト６０８とは、脛骨支承コンポーネント３０４の凹部３０９内へ延び、この凹部３０９によって受容することができる。ヒンジポスト６０８は、ヒンジポスト６０８の中央部分又は遠位部分に沿って配置された係合機構６０７（ここでは、ねじ山６０９）を有することができる。ねじ山６０９及びねじ山４１３はロープねじ山（ｒｏｐｅ ｔｈｒｅａｄｓ）、丸ねじ山（ｋｎｕｃｋｌｅ ｔｈｒｅａｄｓ）、ＡＣＭＥねじ山、又は当業者に知られた他のタイプのねじ山であり得る。いくつかの実施例では、ねじ山６０９は、僅かな干渉を構成するように、ピッチ又は別の幾何学的アスペクトがねじ山６１３とは僅かに異なり得る。この僅かな干渉は、捕捉エレメント４０１に対する凹部３２２内部の所望の位置へ、ブッシング６２０を引き付けることができる。捕捉エレメント６０１に対するブッシング６２０のためのこのような位置は、ブッシング６２０を捕捉エレメント６０１と係合させる前に、大腿骨コンポーネント３０６と脛骨支承コンポーネント３０４と脛骨ベースプレート３０２との間の所望の制限付き離開量を可能にすることができる。図７の実施例は、ブッシング６２０と捕捉エレメント６０１との係合が脛骨支承コンポーネント３０４及び脛骨ベースプレート３０２に対する大腿骨コンポーネント３０６の制限付き離開（運動）を休止／停止させると考えてはいるが、しかし同日付けで出願された「ＡＮＴＩ－ＬＵＸＡＴＩＯＮ ＤＥＶＩＣＥＳ ＦＯＲ Ａ ＣＯＮＳＴＲＡＩＮＥＤ ＰＲＯＳＴＨＥＴＩＣ ＫＮＥＥ（拘束型人工膝のための脱臼防止デバイス）」及び「ＡＮＴＩ－ＬＵＸＡＴＩＯＮ ＤＥＶＩＣＥＳ ＦＯＲ Ａ ＣＯＮＳＴＲＡＩＮＥＤ ＰＲＯＳＴＨＥＴＩＣ ＫＮＥＥ（拘束型人工膝のための脱臼防止デバイス）」と題する米国仮特許（参照することにより両方の内容全体が本明細書中に援用される）に記載された実施例は、係合機構（例えばバーブ、タブ、リブ、又は他のタイプの突起）が、ヒンジポストの一部であり、これらの係合機構が捕捉エレメント６０１と係合することにより、脛骨支承コンポーネント３０４及び脛骨ベースプレート３０２に対する大腿骨コンポーネント３０６の離開を休止／停止させると考える。したがって、脛骨支承コンポーネント３０４及び脛骨ベースプレート３０２からの大腿骨コンポーネント３０６の離開を制限するために、捕捉エレメント６０１はブッシング６２０及び／又はヒンジポスト６０８のうちの少なくとも一方によって係合させられる。
【0071】
図７において、捕捉エレメント６０１は、脛骨ベースプレート３０２の、例えばブッシング６２０よりも近位側に位置する凹部３２２内部に少なくとも部分的に位置決めすることができる。捕捉エレメント４０１は、ヒンジポスト６０８の少なくとも一部を受容するように構成された貫通孔（例えば、図８参照）を有することができる。実際に、貫通孔を備えた捕捉エレメント６０１は、ヒンジポスト６０８が捕捉エレメントを通過して遠位方向へ延びることにより、図７に示されているようにブッシング６２０と係合し連結するのを可能にするように構成することができる。捕捉エレメント６０１は、凹部３２２内部に少なくとも部分的に位置決めされて脛骨ベースプレート３０２と連結されると、ヒンジポスト６０８の運動を停止／限定し得るコンポーネントを含むことができる。
【0072】
図７は、捕捉エレメント６０１をリング状に成形することができ、脛骨ベースプレート３０２の溝６１７内に受容し得ることを示す。捕捉エレメント６０１が脛骨支承コンポーネント３０４よりも遠位側に位置するように、溝６１７及び捕捉エレメント６０１は、脛骨ベースプレート３０２の近位面３１０よりも遠位側に配置することができる。溝６１７は凹部３２２と連通することができ、凹部３２２から外方に向かって延びることができる。捕捉エレメント６０１の少なくとも一部は凹部３２２内へ延びることができ、ヒンジポスト６０８と境界面を構成することができる。凹部３２２内に位置決めされた捕捉エレメント６０１のこの部分は、前述のような制限付き離開中に、ブッシング６２０によって係合させることができる。
【0073】
図８は、脛骨ベースプレート３０２の上面図を示しており、ひいては近位面３１０及び外縁３３２を示す。近位面３１０及び外縁３３２は、内側／外側中心線に対して特定の非対称性を有することができる。この形状は、大部分の膝置換候補のための脛骨被覆範囲を最大化するように設計されている。非対称形状により、脛骨ベースプレートの内側区画は、脛骨ベースプレート３０２の外側区画よりも比較的広くなる。皮質骨の被覆範囲が最大化されることにより、脛骨ベースプレート３０２の優れた支持を容易にする。脛骨の皮質骨と海綿骨とが大面積で接触することによって、脛骨に対する脛骨ベースプレート３０２の確実な、永続的な固定が容易になる。
【0074】
図８は、離開を制限するために脛骨ベースプレート３０２と組立てられるプロセス中（凹部３２２内への挿入によるものを含む）の捕捉エレメント６０１を示す。加えて、前述の（図９Ａでさらに論じられる）実施例と同様の完全な離開を容易にするために、捕捉エレメント６０１を取り外すこともできる（又は最初から挿入しなくてもよい）。ヒンジポスト６０８、シャックル、大腿骨コンポーネント、及びブッシング６２０は、明確にするために、図８には示されていない。組立プロセスは、凹部３２２及び溝６１７（図７参照）に隣接して凹部３２２及び溝６１７と連通するレセプタクル６１９内へ捕捉エレメント６０１を挿入することを含む。このプロセスは、レセプタクル６１９から凹部３２２へ（例えば、図７の位置へ、溝６１７内へ完全に）、捕捉エレメント６０１を概ね内側方向又は外側方向に（矢印Ａ２によって示されるように）動かすことを含む。ひとたび凹部３２２内に完全に挿入されると、捕捉エレメント６０１はヒンジポストを受容することができ、前述のようにヒンジポスト及び／又はブッシングとの相互作用によって、離開を制限することができる。図８に示されたプロセスは逆転させることができ（例えば、捕捉エレメント６０１は反対方向に凹部３２２からレセプタクル６１９内へ動かすことができる）、次いで制限付き離開が望ましくない場合には捕捉エレメント６０１を取り外すことができる。
【0075】
図８は加えて、捕捉エレメント６０１の貫通孔６２１を示す。貫通孔６２１は、ヒンジポスト６０８（図７参照）の少なくとも一部が、貫通孔を通って凹部３２２の残りの中に、ブッシング６２０（図７参照）へ達するのを可能にするように構成されている。
【0076】
図９Ａは、前述のプロテーゼ組立体３００及び６００と同様の構造を有するプロテーゼ組立体７００の断面図を示す。プロテーゼ組立体７００の大腿骨コンポーネント（図示省略）は、脛骨支承コンポーネント３０４及び／又は脛骨ベースプレート３０２から完全に離開することができる。プロテーゼ組立体７００は前のプロテーゼ組立体とは異なっており、図４及び図７の実施例と比較して改変されたヒンジポスト７０８及びブッシング７２０を含む。
【0077】
ブッシング７２０は、第１のピース７２１と第２のピース７２２とを含むことができる。ヒンジポスト７０８に連結された第１のピース７２１は、大腿骨コンポーネントとヒンジポスト７０８との解離とともに、第２のピース７２２に対して運動可能である。実際には、第１のピース７２１は、第２のピース７２２に対して伸縮式に運動する（第２のピース７２２内部の、第２のピース７２２に沿った運動を含む）ように構成されている。このようにして、プロテーゼ組立体７００は、脛骨支承コンポーネント３０４及び／又は脛骨ベースプレート３０２からの大腿骨コンポーネントの完全解離のために構成される。
【0078】
ブッシング７２０の第１のピース７２１は、ヒンジポスト７０８のより小さな直径の遠位部分７０２を少なくとも受容するように構成することができる。ヒンジポスト７０８は係合機構７０７、例えば、ねじ山７０９を含むことができる。これらの係合機構７０７は、対応する係合機構７１１、例えばブッシング７２０のねじ山７１３と連結するように構成することができる。このように、ブッシング７２０の第１のピース７２１とヒンジポスト７０８とは、ねじ山の係合により互いに連結することができる。
【0079】
ブッシング７２０の第２のピース７２２は、外径にねじ山７０３を含むことができる。この外径は、脛骨ベースプレート３０２の凹部３２２に沿った対応するねじ山７０５と連結するように構成されている。第２のピース７２２は、図９Ａに示した位置に螺合されると、凹部３２２内部に少なくとも部分的に捕捉される。ヒンジポスト７０８は、ヒンジポスト６０８のものと同様の構造を有することができるが、しかし、図７の実施例のような中央部分ではなく、より小さな直径の遠位部分７０２と、このより小さな直径の遠位部分７０２に沿ったねじ山７０９とを有することができる。
【0080】
図９Ｂは、前述のプロテーゼ組立体７００の構造と極めて類似するプロテーゼ組立体８００の断面図を示す。しかしながら、図９Ａのプロテーゼ組立体７００は、図９Ｂのプロテーゼ組立体８００に対して改変されている。改変には、脛骨ベースプレート３０２からのブッシング７２０（図９Ａの第１のピース７２１と第２のピース７２２とを含む）の取り外しと、第２のブッシング８２０及び捕捉エレメント８０１の付加とを含む。注目すべきなのは、プロテーゼ組立体８００が、図７のプロテーゼ組立体７００に利用されたものと同じヒンジポスト７０８を利用することである。したがって、完全な離開のために構成されたプロテーゼ組立体７００から、制限付き離開のために構成されたプロテーゼ組立体８００へ、又はその逆に変換するときに、ヒンジポスト７０８をシャックル３１８（及び大腿骨コンポーネント）から分離する必要はない。このようなものとして、図９Ａ及び図９Ｂに示されたシステム８２６のために利用されるコンポーネント数を最小限に抑えることができる。
【0081】
図９Ｂのプロテーゼ組立体８００は、脛骨支承コンポーネント３０４及び／又は脛骨ベースプレート３０２からの大腿骨コンポーネントの制限付き離開のために構成されている。具体的には、図９Ｂは第２のブッシング８２０と捕捉エレメント８０１との間のギャップＧを示す。ギャップＧのサイズは、脛骨支承コンポーネント３０４及び脛骨ベースプレート３０２からの大腿骨コンポーネント（図示省略）の離開量を決定づけることができる。第２のブッシング８２０がヒンジポスト７０８と共に近位方向に動くと、第２のブッシング８２０と捕捉エレメント８０１とが接触することにより、離開を制限（停止）することができる。凹部３２２内部の第２のブッシング８２０の位置は、ブッシング８２０とヒンジポスト７０８との間のねじ山係合によって、（例えば、ねじ山のピッチ又は他のジオメトリの小さな差を介して）調節することができる。捕捉エレメント８０１に対するブッシング８２０の（ギャップＧを構成する）このような位置は、大腿骨コンポーネントのために許される制限付き離開量を決定づけることができる。
【0082】
図９Ａのブッシング７２０を取り外すと、図９Ｂの捕捉エレメント８０１と第２のブッシング８２０とを、脛骨ベースプレート３０２の凹部３２２内へ挿入することができる。捕捉エレメント８０１は、脛骨ベースプレート３０２の凹部３２２に沿った対応するねじ山７０５と連結するように構成されたねじ山８０３を含み得る。したがって、捕捉エレメント８０１の外径に沿ったねじ山８０３は、前述のブッシング７２０のねじ山７０３に、ピッチ及び他のジオメトリが類似し得る。捕捉エレメント８０１は、図９Ｂに示された位置へ螺合されると、凹部３２２内部に少なくとも部分的に捕捉される。
【0083】
第２のブッシング８２０は、捕捉エレメント８０１の挿入前に、凹部３２２内へ挿入することができる。第２のブッシング８２０は、前述の第１のピース７２１（図９Ａ参照）と類似する形式で、ヒンジポスト７０８と連結することができる。具体的には、ヒンジポスト７０８のより小さな直径の遠位部分７０２は、係合機構７０７、例えば、ねじ山７０９を有することができる。これらの係合機構７０７は、対応する係合機構８１１、第２のブッシング８２０の例えば、ねじ山８１３と連結するように構成することができる。したがって、第２のブッシング８２０とヒンジポスト７０８とは、ねじ山の係合によって互いに連結することができる。
【0084】
ブッシング７２０及び第２のブッシング８２０は、所望されるのが完全な離開であるか、又は制限付き離開であるかに応じて、凹部３２２内へ挿入可能であり、かつ凹部３２２から取り外し可能である。
【0085】
図１０Ａは、第１のピース７２１と第２のピース７２２とを含むシステム８２６のためのブッシング７２０の斜視図を示す。明確にするために、第１のピース７２１は第２のピース７２２から僅かに離隔されている。しかしながら、このような間隔はいくつかの実施例において生じても生じなくてもよい（例えば、図９Ａの実施例では、間隔は生じず、コンポーネントは互いに接触している）。
【0086】
システム８２６は、ブッシング７２０から図１０Ｂの第２のブッシング８２０及び捕捉エレメント８０１へ変更することができる。システム８２６のすべての他のコンポーネントは維持することができ、実際に、ほとんどが図９Ａ及び図９Ｂに示されたように組み立てられたままであり得る。このような変更は、図１０Ａの形態から図１０Ｂの形態への方向、又は図１０Ｂの形態から図１０Ａの形態への方向のいずれかで生じ得る。
【0087】
図１０Ｂは、（制限付き離開の前の）第２のブッシング８２０からの捕捉エレメント８０１の相対的な間隔を示す。第２のブッシング８２０は、その外径８２５に沿って回転防止機構８２４を含むことができる。回転防止機構８２４は、例えば、ローブ８２８として示されている。回転防止機構８２４は、第２のブッシング８２０の回転運動に対する停止を提供する。しかしながら、他のタイプの回転防止機構、例えば、ねじ山、突起、タブ、プロング（ｐｒｏｎｇ）、バーブ、リブなども考えられる。回転防止機構８２４は、ここに示され論じられるブッシュのデザイン（図４のブッシング３２０を含む）のいずれかと共に使用することができ、したがって第２のブッシング８２０に限定されない。
【0088】
図１１は、システム８２６の１つの別の実施態様を示す。図１０Ａ及び図１０Ｂは、ブッシング７２０が第２のブッシング８２０と交換又は変更されるシステム８２６を示す。対照的に、図１１は、所望されるのが完全な離開であるか、又は制限付き離開であるかに応じて、ヒンジポストを第２のヒンジポストと交換又は変更し得るシステム９２６を示す。注目されるべきなのは、システム９２６の場合には、ヒンジポストの交換に伴って、単一のブッシングを交換する必要なしに、これを利用し得ることである。他の実施例では、完全な離開のために構成されたプロテーゼ組立体、及び制限付き離開のために構成されたプロテーゼ組立体からの変更に伴って、ヒンジポスト及び支承体の両方を変更し得ることが考えられる。
【0089】
図１１は、大腿骨コンポーネント３０６を有するシステム９２６を、ヒンジポスト３０８がシャックル３１８から選択的に分離された状態で示す。次いで、医師又は他の担当者によって、シャックル３１８に連結されるように、所望のヒンジポスト、例えばヒンジポスト３０８又は別の実施例（ヒンジポスト６０８を含む図１２Ｂのいくつかの実施例、などを参照）を選択することができる。
【0090】
図１２Ａ及び図１２Ｂに示されたシステム９２６の場合、システム９２６のための所望のヒンジポストを選択することができるが、しかし、使用される支承体は、ヒンジポスト３０８（図１２Ａ参照）と共に、又は図１２Ｂの制限付き離開のための他のヒンジポスト・デザインと共に保持され使用されてよい。図１２Ａは、図３、図３Ａ及び図４に関して前述したように脛骨支承コンポーネント及び／又は脛骨ベースプレートから大腿骨コンポーネントを完全に離開するように構成された、ヒンジポスト３０８のようなヒンジポストの実施例を示す。図１２Ａのデザインは純粋に一例にすぎず、図９Ａ及び図９Ｂのデザインを含む他のデザインも考えられる。脛骨支承コンポーネント及び／又は脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネントの制限付き離開が望まれる場合には、図１２Ｂのシステム９２６は、利用し得る種々の他のヒンジポスト・デザインを含む。いくつかの実施例では、これらのヒンジポスト・デザインは、図１２Ａのヒンジポスト３０８と同じ支承体を利用することができる。しかしながら、他の事例では、ヒンジポスト設計の１つ又は複数が、異なる支承体構造を利用することもできる。これらのヒンジポストの１つ、例えばヒンジポスト６０８、ヒンジポスト９０８、又はヒンジポスト１００８、又は別のデザインを選択することができる。適宜の捕捉エレメント、例えば本明細書中に記載された捕捉エレメント、又は図１２Ｂのヒンジポストに関して参照することにより前に援用された、「ＡＮＴＩ－ＬＵＸＡＴＩＯＮ ＤＥＶＩＣＥＳ ＦＯＲ Ａ ＣＯＮＳＴＲＡＩＮＥＤ ＰＲＯＳＴＨＥＴＩＣ ＫＮＥＥ（拘束型人工膝のための脱臼防止デバイス）」及び「ＡＮＴＩ－ＬＵＸＡＴＩＯＮ ＤＥＶＩＣＥＳ ＦＯＲ Ａ ＣＯＮＳＴＲＡＩＮＥＤ ＰＲＯＳＴＨＥＴＩＣ ＫＮＥＥ（拘束型人工膝のための脱臼防止デバイス）」と題する米国仮特許に記載された捕捉エレメントも、脛骨ベースプレートとの連結のために選択される。図１２Ｂのヒンジポストは、これが選択されると、シャックル３１８（図１１参照）に連結することができ、前述のように脛骨支承コンポーネントの凹部内へ挿入することにより、捕捉エレメントと共に利用されると制限付き離開を提供することができる。
【0091】
図１３は、別の実施例に基づくヒンジポスト１１０８を示す斜視図である。ヒンジポスト１１０８は後部のねじ山１１０９Ｐと、遠位側のねじ山１１０９Ｄとを含むことができる。ヒンジポスト１１０８はこれに加えて近位端の駆動機構１１０２と、ねじ山のない中間部分１１０４とを含むことができる。ねじ山１１０９Ｐ及び／又は１１０９Ｄは、ロープねじ山、丸ねじ山、ＡＣＭＥねじ山、又は当業者に知られた他のタイプのねじ山であり得る。中間部分１１０４は後部のねじ山１１０９Ｐと遠位側のねじ山１１０９Ｄとの間に位置決めすることができる。中間部分１１０４及び／又は他の部分は、例えば僅かにテーパにすることができる。
【0092】
図１４は、捕捉エレメント１２０１とブッシング１２２０とを、膝関節の制限付き離開の前の相対的な間隔を有する状態で示す斜視図である。ブッシング１２２０は、例えば、ヒンジポスト１１０８のねじ山１１０９Ｄ（図１３参照）と係合するように構成されたねじ山１２１１を含む。ブッシング１２２０は加えて２つの回転防止機構１２２４Ａ及び１２２４Ｂを含む。捕捉エレメント１２０１は、雄ねじ山１２０３と、貫通孔１２２１と、駆動機構１２２３と、２つの回転防止機構１２２５Ａ及び１２２５Ｂとを含むことができる。捕捉エレメント１２０１は、貫通孔１２２１と共に、外径に沿って雄ねじ山１２０３を有することができる。貫通孔１２２１は、前述のように駆動機構１２２３を含むことができる。
【0093】
２つの回転防止機構１２２４Ａ及び１２２４Ｂは、対応する２つの回転防止機構１２２５Ａ及び１２２５Ｂと係合するように構成することができる。このような係合は、大腿骨コンポーネント、ヒンジポスト１１０８（図１３参照）、及びブッシング１２２０の離開中及び／又は回転中に発生し得る。回転防止機構１２２４Ａ及び１２２４Ｂは、近位方向に延びるプロング又は他の機構であってよい。プロング又は他の機構は、ヒンジポスト１１０８（図１３参照）及びブッシング１２２０の制限付き離開中に、適宜に成形された凹部１２０２Ａ及び１２０２Ｂ内へ挿入することができる。この制限付き離開は、図１４に示された間隔よりも、ブッシング１２２０を捕捉エレメント１２０１に相対的に接近させることができる。２つの回転防止機構１２２５Ａ及び１２２５Ｂの間に、適宜に成形された凹部１２０２Ａ及び１２０２Ｂを構成することができる。同様に、２つの回転防止機構１２２５Ａ及び１２２５Ｂは、ヒンジポスト１１０８（図１３参照）及びブッシング１２２０の制限付き離開中に、ブッシング１２２０の適宜に成形された凹部１２０４Ａ及び１２０４Ｂ内へ挿入することができる。ヒンジポスト１１０８（図１３参照）、ブッシング１２２０、及び大腿骨コンポーネント（図示省略）の所望の制限付き回転（例えば、３０度以下）を可能にするように、凹部１２０２Ａ及び１２０２Ｂを回転防止機構１２２４Ａ及び１２２４Ｂに対して成形し、サイズ設定することができ、凹部１２０４Ａ及び１２０４Ｂを回転防止機構１２２５Ａ及び１２２５Ｂに対して成形しサイズ設定することができる。このような回転は、回転防止機構１２２４Ａ，１２２４Ｂ，１２２５Ａ及び／又は１２２５Ｂのうちの２つ以上の間の係合によって停止させることができる。
【0094】
捕捉エレメント１２０１とブッシング１２２０との間隔は、前述のギャップＧを含むことができる。ギャップＧのサイズは、脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネント（図示省略）の近位方向の離開量を決定づける。加えて、大腿骨コンポーネントの回転を制限するために、回転防止機構１２２４Ａ，１２２４Ｂ，１２２５Ａ及び１２２５Ｂの間に回転ギャップを提供することができる。ブッシング１２２０がヒンジポスト１１０８（図１３参照）と共に近位方向に動く、かつ／又は回転運動すると、ブッシング１２２０と捕捉エレメント１２０１とが接触することにより、離開を制限（停止）することができる。
【0095】
図１５は、完全な離開を可能にするブッシング１３２０（観察者の左側に示されている）から、本出願の実施例に基づく制限付き離開を提供するブッシング１２２０及び捕捉エレメント１２０１（観察者の右側に示されている）へ、拘束型人工膝を切り換えるプロセスを示す。方法１３００は、ステップ１３０２でヒンジポスト１１０８をブッシング１３２０から、脛骨ベースプレート７０２から取り除くことを含み得る。方法１３００は、ステップ１３０４において、脛骨ベースプレート７０２からの膝関節の完全な離開のために構成されたブッシング１３２０を取り除く。ブッシング１２２０及び捕捉エレメント１２０１は、ステップ１３０６において脛骨ベースプレート７０２内へ挿入される。次いでステップ１３０８において、ヒンジポスト１１０８をシャックル３１８に連結し、ブッシング１２２０及び捕捉エレメント１２０１と連結する脛骨ベースプレート７０２内へ再挿入して戻すことにより、本明細書中で論じた膝関節の制限付き離開を提供する。
【0096】
図１６は、膝関節の制限付き離開の前の相対的な間隔を有する捕捉エレメント１４０１とブッシング１４２０とを斜視図で示す。ブッシング１４２０は、例えば、ヒンジポスト１１０８のねじ山１１０９Ｄ（図１３参照）と係合するように構成されたねじ山１４１１を含む。ブッシング１４２０は、前述の図１４及び図１５のブッシング１２２０の形式で構成することができる。ブッシング１４２０は、単一の回転防止機構１４２４が利用される点で異なり得る。捕捉エレメント１４０１は単一の回転防止機構１４２５を含むことができる。
【0097】
回転防止機構１４２４は、対応する回転防止機構１４２５と係合するように構成することができる。回転防止機構１４２４は、近位方向に延びるプロング又は他の機構であってよい。プロング又は他の機構は、ヒンジポスト１１０８（図１３参照）及びブッシング１４２０の制限付き離開中に、捕捉エレメント１４０１の適宜に成形された凹部１４０２内へ挿入することができる。この制限付き離開は、図１６に示された間隔よりも、ブッシング１４２０を捕捉エレメント１４０１に相対的に接近させることができる。適宜に成形された凹部１４０２は、回転防止機構１４２４と対向することができ、回転防止機構１４２５の対向する縁部によって部分的に構成することができる。同様に、回転防止機構１４２５は、ヒンジポスト１１０８（図１３参照）及びブッシング１４２０の制限付き離開中に、ブッシング１４２０の適宜に成形された凹部１４０４内へ挿入することができる。ヒンジポスト１１０８（図１３参照）、ブッシング１２２０、及び大腿骨コンポーネント（図示省略）の所望の制限付き回転（例えば、３０度以下）を可能にするように、凹部１４０２を回転防止機構１４２４に対して成形しサイズ設定することができ、凹部１４０４を回転防止機構１４２５に対して成形しサイズ設定することができる。回転防止機構１４２４を回転防止機構１４２５と係合させることにより、回転を停止させ、ひいては膝関節の制限付き離開を提供することができる。
【0098】
図１７は、捕捉エレメント１４０１とブッシング１４２０との間隔が、前述のギャップＧを含み得ることを示す。ギャップＧのサイズは、脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネント（図示せず）の近位方向の離開量を決定づける。加えて、大腿骨コンポーネントの回転を制限するために、回転防止機構１４２４及び１４２５の間に回転ギャップ（図１６参照）を提供することができる。ブッシング１４２０がヒンジポスト１１０８と共に近位方向に動く、かつ／又は回転運動すると、ブッシング１４２０と捕捉エレメント１４０１とが接触することにより、離開を制限（停止）することができる。
【0099】
図１８は、捕捉エレメント１５０１とブッシング１５２０とを、膝関節の制限付き離開の前の相対的な間隔を有する状態で示す。ブッシング１５２０及び捕捉エレメント１５０１は、図１６の実施例と極めて類似した形式で構成されている。回転防止機構１５２４のサイズは、図１６の実施例よりも小さくなるように改変されているのに対して、回転防止機構１５２５は拡大されている。回転防止機構１５２４及び１５２５は、膝関節の離開及び／又は回転を所望のように制御するために適宜にサイズ設定することができる。
【0100】
図１９は、完全な離開を可能にするブッシング１３２０（観察者の左側に示されている）から、本出願の実施例に基づく制限付き離開を提供するブッシング１５２０及び捕捉エレメント１５０１（観察者の右側に示されている）へ、拘束型人工膝を切り換えるプロセスを示す。方法１６００は、ステップ１６０２でヒンジポスト１１０８をブッシング１５２０から、脛骨ベースプレート７０２から取り除くことを含み得る。方法１６００は、ステップ１６０４において、脛骨ベースプレート７０２からの膝関節の完全な離開のために構成されたブッシング１５２０を取り除く。ブッシング１５２０及び捕捉エレメント１５０１は、ステップ１６０６において脛骨ベースプレート７０２内へ挿入される。次いでステップ１６０８において、ヒンジポスト１１０８をシャックル３１８に連結し、ブッシング１５２０及び捕捉エレメント１５０１と連結する脛骨ベースプレート７０２内へ再挿入して戻すことにより、本明細書中で論じた膝関節の制限付き離開を提供する。
【0101】
図２０は、別の実施例に基づくヒンジポスト１７０８の斜視図を示す。ヒンジポスト１７０８は後部のねじ山１７０９Ｐと、遠位側のねじ山１７０９Ｄとを含むことができる。ヒンジポスト１７０８はこれに加えて、第１直径部分１７０４Ａと、より小さな第２直径部分１７０４Ｂとを有する、ねじ山のない中間部分１７０４を含むことができる。ねじ山１７０９Ｐ及び／又は１７０９Ｄは、ロープねじ山、丸ねじ山、ＡＣＭＥねじ山、又は当業者に知られた他のタイプのねじ山であり得る。中間部分１７０４は後部のねじ山１７０９Ｐと遠位側のねじ山１７０９Ｄとの間に位置決めすることができる。中間部分１７０４及び／又は他の部分は、例えば僅かにテーパにすることができる。ヒンジポスト１７０８の遠位端部１７０１はねじ山を有していなくてよく、この遠位端部１７０１は、捕捉エレメント（後続の図面参照）を通過し、この捕捉エレメントを、図２２に示すような脛骨ベースプレートの凹部の遠位端から離隔させるように構成することができる。
【0102】
図２１Ａから図２１Ｃは捕捉エレメント１８０１の別の実施例を示す。この捕捉エレメントは、ブッシング１８２０として作用し得る近位捕捉エレメント１８０１Ｐと、遠位エレメント１８０１Ｄとの両方を組み合わせる。捕捉エレメント１８０１は、近位捕捉エレメント１８０１Ｐを遠位エレメント１８０１Ｄから区別する（間隔を置く）ためのスコアリング、ギャップ、又は他の機構を含む単一のコンポーネントとして最初は存在するが、、近位捕捉エレメント１８０１Ｐを遠位エレメント１８０１Ｄと連結する中間結合エレメント１８２５を有することもできる。図２１Ａから図２１Ｃは、捕捉エレメント１８０１を、先ずヒンジポスト（例えばヒンジポスト１７０８）と、次いで脛骨ベースプレートとねじ山係合する前の状態で示す。図２１Ａ及び図２１Ｂでは、捕捉エレメント１８０１は、近位捕捉エレメント１８０１Ｐと遠位エレメント１８０１Ｄとの間に、中間結合エレメント１８２５によって提供される脆弱な又は分離可能な結合を有する単一コンポーネントである。
【0103】
図２１Ｃの断面図に示すように、遠位エレメント１８０１Ｄ、ブッシング１８２０は、例えばヒンジポスト１７０８のねじ山１７０９Ｄ（図２０参照）と係合するように構成された雌ねじ山１８１１を有している。近位捕捉エレメント１８０１Ｐは、雄ねじ山１８０３と、（遠位捕捉エレメント１８０１Ｄと共有される）貫通孔１８２１と、駆動機構１８２３とを有している。貫通孔１８２１は、前述の形式で構成された駆動機構１８２３を含むことができる。
【0104】
図２２は、捕捉エレメント１８０１を、近位捕捉エレメント１８０１Ｐが遠位エレメント１８０１Ｄから分離された状態で示す。この分離プロセスは、捕捉エレメント１８０１が脛骨ベースプレートの凹部内へ部分的に着座させられ、次いでヒンジポスト１７０８を遠位エレメント１８０１Ｄ内へねじ嵌めすることによって係合させられる（例えば遠位側のねじ山１７０９Ｄ（図２０参照）が雌ねじ山１８１１（図２１Ｃ参照）と係合する）と、発生する。このような螺合は、近位捕捉エレメント１８０１Ｐを遠位エレメント１８０１Ｄから分離するように作用する（図２１Ａ及び２１Ｂの中間結合エレメント１８２５を解離／破断／切断する）。ヒンジポスト１７０８に螺合された遠位エレメント１８０１Ｄは、遠位方向へ、脛骨ベースプレートの凹部内へさらに運ばれ、本明細書中に前述したものと同様のブッシング１８２０として作用する。近位捕捉エレメント１８０１Ｐとブッシング１８２０とは、図２２に示された相対的な間隔を置いて終わることができ、膝関節のある程度制限された離開を可能にする。
【0105】
このような制限付き離開は、図２２に示された間隔よりも、ブッシング１８２０を近位捕捉エレメント１８０１Ｐに相対的に接近させることができる。ヒンジポスト１７０８（図２０参照）、ブッシング１８２０、及び大腿骨コンポーネント（図示省略）の所望の制限付き離開を可能にするように、凹部１８０２を成形しサイズ設定することができる。
【0106】
図２３は、近位捕捉エレメント１８０１Ｐとブッシング１８２０との間隔が、前述のギャップＧを含み得ることを示す。ギャップＧのサイズは、脛骨支承コンポーネント及び脛骨ベースプレートからの大腿骨コンポーネント（図示省略）の近位方向の離開量を決定づける。ブッシング１８２０がヒンジポスト１１０８と共に近位方向に動くと、ブッシング１８２０と近位捕捉エレメント１８０１Ｐとが接触することにより、離開を制限（停止）することができる。
【0107】
補注
上記の詳細な説明は、添付の図面の参照を含む。これらの図面は詳細な説明の一部を構成する。図面は、本発明を実施し得る具体的な実施態様を実例として示す。これらの実施態様は本明細書中では「実施例」とも称される。このような実施例は図示又は記述されたものに加えられる要素を含み得る。しかしながら、本発明者はまた、図示又は記述された要素だけが提供される実施例をも考える。さらに、本発明者はまた、図示又は記述された特定の実施例（又はその１つ又は複数のアスペクト）に関して、又は他の実施例（又はこれらの１つ又は複数のアスペクト）に関して、図示され記述された要素（又はこれらの１つ又は複数のアスペクト）の組み合わせ又は置換を用いた実施例をも考える。
上記の詳細な説明は、添付の図面の参照を含む。これらの図面は詳細な説明の一部を構成する。図面は、本発明を実施し得る具体的な実施態様を実例として示す。これらの実施態様は本明細書中では「実施例」とも称される。このような実施例は図示又は記述されたものに加えられる要素を含み得る。しかしながら、本発明者はまた、図示又は記述された要素だけが提供される実施例をも考える。さらに、本発明者はまた、図示又は記述された特定の実施例（又はその１つ又は複数のアスペクト）に関して、又は他の実施例（又はこれらの１つ又は複数のアスペクト）に関して、図示され記述された要素（又はこれらの１つ又は複数のアスペクト）の組み合わせ又は置換を用いた実施例をも考える。
【0108】
本文献では、「概ね（ｇｅｎｅｒａｌｌｙ）」、「ほぼ（ｓｕｂｓｔａｎｔｉａｌｌｙ）」、「約（ａｂｏｕｔ）」という用語は、提供された値の１５パーセント（±）以内を意味する。「ａ」又は「ａｎ」という用語は、特許文献において共通するように、「少なくとも１つ（ａｔ ｌｅａｓｔ ｏｎｅ）」又は「１つ又は複数（ｏｎｅ ｏｒ ｍｏｒｅ）」といういかなる他の例又は利用からも独立して、１つ又は１つよりも多い（ｏｎｅ ｏｒ ｍｏｒｅ ｔｈａｎ ｏｎｅ）ことを含むために使用される。本文献では、「又は」という用語は、非排他的ｏｒを意味し、これにより特に断りのない限り、「Ａ又はＢ」が「ＡであるがＢではない」、「ＢであるがＡではない」、そして「ＡでありかつＢである」を含むように使用される。本文献では「含む（ｉｎｃｌｕｄｉｎｇ）」及び「そこには（ｉｎ ｗｈｉｃｈ）」という用語は、「含む（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」及び「そこにおいて（ｗｈｅｒｅｉｎ）」というそれぞれの用語と同等のプレイン・イングリッシュとして使用される。また、下記請求項において、「含む（ｉｎｃｌｕｄｉｎｇ）」及び「含む（ｃｏｍｐｒｉｓｉｎｇ）」という用語はオープンエンドであり、すなわち請求項におけるこのような用語の後に挙げられたものに加えられる要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスが、その請求項の範囲に含まれるとまだ見なされる。さらに、下記請求項において、「第１」、「第２」、及び「第３」などという用語は、単に標識として使用されるにすぎず、これらの対象物に数値的要件を課すものではない。
【0109】
上記記述内容は、例示的なものであって、限定的ではないものと意図される。例えば、上記実施例（又はこれらの１つ又は複数の態様）は、相互の組み合わせにおいて用いることができる。上記記述を概観すれば、例えば当業者によって他の実施例を用いることができる。要約書は、読者が技術開示内容の性質を迅速に確認するのを可能にするために、米国特許法第１．７２（ｂ）条を遵守するように提供されている。これは、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するためには使用されないという理解のもとに提出される。また、上記詳細な説明において、種々の特徴をまとめることにより、開示内容を簡素化することができる。このことは、請求項以外で開示された特徴がいずれの請求項にも必須であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、開示された特定の実施例のすべての特徴にあるわけではない。したがって、下記請求項はここでは実施例又は実施態様として詳細な説明に組み込まれる。各請求項はそれ自体別個の実施例として存在し、またこのような実施例は種々の組み合わせ又は置換において、互いに組み合わせることができる。本発明の範囲は、添付の請求項を、このような請求項に与えられた同等のものの全範囲と併せて参照することによって見極められるべきである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A-9B】
【図10A-10B】
【図11】
【図12A-12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図21C】
【図22】
【図23】
【外国語明細書】