IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポステック アカデミー‐インダストリー ファウンデーションの特許一覧 ▶ エスエンテル株式会社の特許一覧

特開2024-91547マイクロニードルパッチ及びその製造方法
<>
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図1
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図2
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図3
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図4
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図5
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図6
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図7
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図8
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図9
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図10
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図11
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図12
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図13
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図14
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図15
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図16
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図17
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図18
  • 特開-マイクロニードルパッチ及びその製造方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091547
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】マイクロニードルパッチ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A61M37/00 530
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213812
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】10-2022-0183012
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0172370
(32)【優先日】2023-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】515312427
【氏名又は名称】ポステック・リサーチ・アンド・ビジネス・ディベロップメント・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
(71)【出願人】
【識別番号】523340487
【氏名又は名称】エスエンテル株式会社
【氏名又は名称原語表記】SNTEL Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】6F-654,87,Cheongam-ro,Nam-gu,Pohang-si, Gyeongsangbuk-do,37673 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110003638
【氏名又は名称】弁理士法人オフィス大江山
(72)【発明者】
【氏名】イム、グンベ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジュンホ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA72
4C267BB02
4C267BB24
4C267CC01
4C267GG01
4C267GG43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】出血と炎症を最小化したマイクロニードルパッチ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】マイクロニードルパッチは、侵襲部及び非侵襲部を含むベース100及びベースの侵襲部に位置するマイクロニードル200を含み、マイクロニードルの少なくとも一部には薬物がロードされ、非侵襲部には、マイクロニードルが位置していない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
侵襲部及び非侵襲部を含むベースと、
前記ベースの侵襲部に位置するマイクロニードルを含み、
前記マイクロニードルの少なくとも一部には薬物がロードされ、
前記非侵襲部には、前記マイクロニードルが位置していないマイクロニードルパッチ。
【請求項2】
前記ベースの中央に非侵襲部が位置し、
前記ベースの端に侵襲部が位置する、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項3】
前記侵襲部は、前記非侵襲部を取り囲んで位置する、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項4】
前記マイクロニードルは、第1の部分及び第2の部分を含み、
前記第2の部分にのみ薬物がロードされる、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項5】
前記マイクロニードルは、第1の部分及び第2の部分を含み、
前記第2の部分には、前記第1の部分よりも高い濃度の薬物がロードされる、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項6】
前記侵襲部には、複数のマイクロニードルが備えられ、
前記複数のマイクロニードルのそれぞれの薬物のローディング状態は、非侵襲部からの距離によって決定される、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項7】
前記ベースは、生分解性高分子を含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項8】
前記ベースは、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キトサン、コラーゲン、ポリビニルピロリドンのうち一つ以上を含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項9】
前記ベースと前記マイクロニードルの少なくとも一部は同一物質を含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項10】
前記マイクロニードルにロードされる薬物は、止血または鎮痛のうち少なくとも一つの効果を有する薬物を含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項11】
前記マイクロニードルにロードされる薬物は、トラネキサム酸、フィブリン、トロンビン、タンニン酸、キチン、リドカイン、サリチル酸、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク、ジクロフェナクジエチルアンモニウム、インドメタシン、抗ヒスタミンのうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項12】
前記マイクロニードルの高さは100μm乃至5000μmである、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項13】
前記マイクロニードルの半径は50μm乃至500μmである、請求項1に記載のマイクロニードルパッチ。
【請求項14】
溝が形成された侵襲部と溝が形成されていない非侵襲部とを含むモールドを用意するステップと、
前記モールドの上に高分子を塗布してマイクロニードル及びベースを含むマイクロニードルパッチを形成するステップと、を含み、
前記マイクロニードルパッチは、マイクロニードルが位置する侵襲部及びマイクロニードルが位置していない非侵襲部を含む、マイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項15】
前記製造されたマイクロニードルパッチの中央に非侵襲部が位置し、
前記マイクロニードルパッチの端に侵襲部が位置する、請求項14に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項16】
前記製造されたマイクロニードルパッチの非侵襲部を侵襲部が取り囲んで位置する、請求項14に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項17】
前記マイクロニードルパッチを形成するステップは、
前記モールドの溝に薬物を含む高分子を塗布してマイクロニードルの第2の部分を形成するステップと、
前記モールドの上に高分子を塗布してマイクロニードルの第1の部分及びベースを形成するステップと、を含む、請求項14に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項18】
溝が形成されたモールドを用意するステップと、
前記モールドの上に高分子を塗布し、マイクロニードルを含む侵襲部を有するベースを形成するステップと、
前記マイクロニードルの一部を除去して非侵襲部を形成するステップと、を含むマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項19】
前記製造されたマイクロニードルパッチの中央に非侵襲部が位置し、
前記マイクロニードルパッチの端に侵襲部が位置する、請求項18に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【請求項20】
前記マイクロニードルを含む侵襲部を有するベースを形成するステップは、
前記モールドの溝に薬物を含む高分子を塗布してマイクロニードルの第2の部分を形成するステップと、
前記モールドの上に高分子を塗布してマイクロニードルの第1の部分及びベースを形成するステップと、を含む、請求項18に記載のマイクロニードルパッチの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルパッチ及びその製造方法に関し、マイクロニードルが位置する侵襲部及びマイクロニードルが位置していない非侵襲部を含むマイクロニードルパッチ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の注射器を利用した薬物の注入は専門家の注射が必要であり、痛みを伴うなどの問題点があった。このような問題点を解決するために、マイクロニードルタイプの薬物注入システムが開発された。
【0003】
マイクロニードルは、皮膚障壁層である角質層を通過して皮膚内へ有効成分を伝達するシステムである。既存の注射器の効能とパッチの便宜性を結合した新たなシステムであって、最近のところ、多くの技術的な進歩を果たした。
【0004】
マイクロニードルは、皮膚の角質層を穿ち皮膚の表皮または真皮へ入り込んで数分乃至数時間にわたって皮膚にとどまって体液によって分解され、薬物を体内に吸収させてもよい。
【0005】
一般的に、マイクロニードル(microneedle)は、生体内の薬物、ワクチンなどの活性物質の伝達、体内分析物質の検出及び生検(biopsy)に用いられる。マイクロニードルを利用した薬学的または化学的活性成分の伝達は、血管またはリンパ管のような生体循環系ではなく、皮膚を介した活性物質の伝達を目的とする。従って、マイクロニードルは皮膚貫通が可能な程度で十分な物理的強度がなければならず、また痛みが少ないことが好ましい。
【0006】
マイクロニードルは尖った端部に薬物を搭載し、中央部は内部が空になった形態で構成されてもよい。マイクロニードルが患部に直接浸透する場合、出血と炎症を誘発する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の問題点を解決するための本発明の一目的は、出血と炎症を最小化したマイクロニードルパッチ及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するための、本発明の一実施形態によるマイクロニードルパッチは、侵襲部及び非侵襲部を含むベースと、前記ベースの侵襲部に位置するマイクロニードルを含み、前記マイクロニードルの少なくとも一部には薬物がロードされ、前記非侵襲部には、前記マイクロニードルが位置していない。
【0009】
一側面によれば、前記ベースの中央に非侵襲部が位置し、前記ベースの端に侵襲部が位置してもよい。
【0010】
一側面によれば、前記侵襲部は、前記非侵襲部を取り囲んで位置してもよい。
【0011】
一側面によれば、前記マイクロニードルは、第1の部分及び第2の部分を含み、前記第2の部分にのみ薬物がロードされてもよい。
【0012】
一側面によれば、前記マイクロニードルは、第1の部分及び第2の部分を含み、前記第2の部分には、前記第1の部分よりも高い濃度の薬物がロードされてもよい。
【0013】
一側面によれば、前記侵襲部には、複数のマイクロニードルが備えられ、前記複数のマイクロニードルのそれぞれの薬物のローディング状態は、非侵襲部からの距離によって決定されてもよい。
【0014】
一側面によれば、前記ベースは、生分解性高分子を含んでもよい。
【0015】
一側面によれば、前記ベースは、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キトサン、コラーゲン、ポリビニルピロリドンのうち一つ以上を含んでもよい。
【0016】
一側面によれば、前記ベースと前記マイクロニードルの少なくとも一部は同一物質を含んでもよい。
【0017】
一側面によれば、前記マイクロニードルにロードされる薬物は、止血または鎮痛のうち少なくとも一つの効果を有する薬物を含んでもよい。
【0018】
一側面によれば、前記マイクロニードルにロードされる薬物は、トラネキサム酸、フィブリン、トロンビン、タンニン酸、キチン、リドカイン、サリチル酸、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク、ジクロフェナクジエチルアンモニウム、インドメタシン、抗ヒスタミンのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0019】
一側面によれば、前記マイクロニードルの高さは100μm乃至5000μmであってもよい。
【0020】
一側面によれば、前記マイクロニードルの半径は50μm乃至500μmであってもよい。
【0021】
一実施形態によるマイクロニードルパッチの製造方法は、溝が形成された侵襲部と溝が形成されていない非侵襲部とを含むモールドを用意するステップと、前記モールドの上に高分子を塗布してマイクロニードル及びベースを含むマイクロニードルパッチを形成するステップと、を含み、前記マイクロニードルパッチは、マイクロニードルが位置する侵襲部及びマイクロニードルが位置していない非侵襲部を含んでもよい。
【0022】
一側面によれば、前記製造されたマイクロニードルパッチの中央に非侵襲部が位置し、前記マイクロニードルパッチの端に侵襲部が位置してもよい。
【0023】
一側面によれば、前記製造されたマイクロニードルパッチの非侵襲部を侵襲部が取り囲んで位置してもよい。
【0024】
一側面によれば、前記マイクロニードルパッチを形成するステップは、前記モールドの溝に薬物を含む高分子を塗布してマイクロニードルの第2の部分を形成するステップと、前記モールドの上に高分子を塗布してマイクロニードルの第1の部分及びベースを形成するステップと、を含んでもよい。
【0025】
他の一実施形態によるマイクロニードルパッチの製造方法は、溝が形成されたモールドを用意するステップと、前記モールドの上に高分子を塗布し、マイクロニードルを含む侵襲部を有するベースを形成するステップと、前記マイクロニードルの一部を除去して非侵襲部を形成するステップと、を含んでもよい。
【0026】
一側面によれば、前記製造されたマイクロニードルパッチの中央に非侵襲部が位置し、前記マイクロニードルパッチの端に侵襲部が位置してもよい。
【0027】
一側面によれば、前記マイクロニードルを含む侵襲部を有するベースを形成するステップは、前記モールドの溝に薬物を含む高分子を塗布してマイクロニードルの第2の部分を形成するステップと、前記モールドの上に高分子を塗布してマイクロニードルの第1の部分及びベースを形成するステップと、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0028】
開示されている技術は、次の効果を有してもよい。ただし、特定の実施形態が次の効果を全て含まなければならないか、次の効果のみを含まなければならないという意味ではないので、開示されている技術の権利範囲は、これによって制限されるものと理解されてはならない。
【0029】
前述の本発明の一実施形態によるマイクロニードルパッチは、マイクロニードルが位置する侵襲部及びマイクロニードルが位置していない非侵襲部を含むところ、患部で追加の出血を防止して炎症反応を最小化することができる。
【0030】
また、簡単且つ経済的な方法でマイクロニードルパッチを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本実施形態によるマイクロニードルパッチを示した図である。
図2】止血のために本実施形態によるマイクロニードルパッチを用いた構成を示した図である。
図3】一実施形態によるマイクロニードルパッチの断面A及び実際のイメージBを示した図である。
図4】一実施形態によるマイクロニードルパッチの製造方法を示した図である。
図5】他の実施形態によるマイクロニードルパッチの製造方法を示した図である。
図6】イオン水にロードされたTXA(Tranexamic acid、トラネキサム酸)の含量による沈殿を示した図である。
図7】本実施形態によって製造されたマイクロニードルパッチのイメージ及び実際の患部に適用したイメージを示した図である。
図8】マイクロニードルパッチに対して一つのマイクロニードルに加えられる力A、B及びパッチを付着する際に要求される力C、Dを示した図である。
図9】多様な物質に対してラットの肝臓の止血実験を行った結果である。
図10】多様な種類のパッチを肝臓の傷に付着した際の炎症部位を示し、これを定量的に示した図である。
図11】ヘパリン処理されたラットに対して、図9と同一の実験を行った結果である。
図12】マイクロニードルパッチの使用例示を示した図である。
図13】本実施形態によるマイクロニードルパッチの最大接着力を示した図である。
図14】本実施形態によるマイクロニードルパッチの薬物放出プロファイルを示した図である。
図15】ラットの皮膚の傷に対する本実施形態によるマイクロニードルパッチの止血性能を測定した図である。
図16】ラットの心臓の傷に対する本実施形態によるマイクロニードルパッチの止血性能を測定した図である。
図17】ラットの腎臓の傷に対する本実施形態によるマイクロニードルパッチの止血性能を測定した図である。
図18】侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)、ニードルを含まないパッチ(Patch)の炎症反応を比べた図である。
図19】侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)、ニードルを含まないパッチ(Patch)の炎症反応を比べた図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は多様な変更を加えてもよく、様々な実施形態を有してもよいところ、特定の実施形態を図面に例示して詳しく説明しようとする。
【0033】
しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0034】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに用いられてもよいが、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ用いられる。例えば、本発明の権利範囲から外れることなく、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されてもよく、類似に第2の構成要素も第1の構成要素と命名されてもよい。及び/またはという用語は、複数の関わった記載されている項目の組み合わせまたは複数の関わった記載されている項目のうちいずれかの項目を含む。
【0035】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」または「接続されて」いると言及されたときは、その他の構成要素に直接連結されているか、または接続されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在し得ると理解されなければならない。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」または「直接接続されて」いると言及されたときは、中間に他の構成要素が存在しないものとして理解されなければならない。
【0036】
本出願において用いた用語は単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上において明白に断らない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0037】
別に定義されない限り、技術的や科学的な用語を含んでここで用いられるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上において有する意味と一致する意味を有しているものと解釈されなければならず、本出願において明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0038】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態をより詳しく説明しようとする。本発明を説明するにあたり、全体的な理解を容易にするために、図面上の同一の構成要素に対しては同一の参照符号を用いて、同一の構成要素に対して重複した説明は省略する。
【0039】
図1は、本実施形態によるマイクロニードルパッチを示した図である。図1を参考にすると、本実施形態によるマイクロニードルパッチは、ベース100及びベース100に位置するマイクロニードル200を含む。一側面によれば、マイクロニードル200の少なくとも一部には薬物がロードされてもよい。
【0040】
ベース100は高分子物質を含んでもよい。一例として、ベース100はヒアルロン酸を含んでもよいが、これに制限されるものではない。ベース100は生分解性高分子を含んでもよく、具体的に、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キトサン、コラーゲン、ポリビニルピロリドンのうち一つ以上を含んでもよい。
【0041】
マイクロニードル200は、第1の部分210及び第2の部分220を含んでもよい。第1の部分210より第2の部分220がベース100から遠く離れて位置してもよい。一側面によれば、マイクロニードル200の第2の部分220は内部に薬物を含んでもよく、一例として、止血剤を含んでもよい。例えば、第2の部分220は、止血または鎮痛のうち少なくとも一つの効果を有する薬物を含んでもよい。一実施形態において、第2の部分220は、トラネキサム酸(Tranexamic acid)を含んでもよいが、これに制限されるものではない。具体的に、第2の部分220は、トラネキサム酸、フィブリン、トロンビン、タンニン酸、キチン、リドカイン、サリチル酸、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク、ジクロフェナクジエチルアンモニウム、インドメタシン、抗ヒスタミンなどの止血または鎮痛効果を有する薬物を含んでもよい。一側面によれば、マイクロニードルの第2の部分にのみ薬物がロードされてもよい。
【0042】
一側面によれば、ベース100及びマイクロニードル200の少なくとも一部は同一物質を含んでもよい。非限定的であるが、より具体的に、ベース100とマイクロニードル200の第1の部分210は互いに連結されており、同一の物質からなされてもよい。一例として、ベース100及びマイクロニードル200の第1の部分210はヒアルロン酸を含んでもよい。実施形態によって、マイクロニードルの第2の部分には、第1の部分より高い濃度の薬物がロードされてもよい。例えば、ベース100及びマイクロニードル200の第1の部分210は、低い濃度のトラネキサム酸を含んでもよい。マイクロニードル200の第2の部分220は、第1の部分210より高い濃度のトラネキサム酸を含むヒアルロン酸を含んでもよい。またはベース100及びマイクロニードル200の第1の部分210は、トラネキサム酸を含まなくてもよい。
【0043】
図1に示されているように、本実施形態によるマイクロニードルパッチは、マイクロニードル200が位置する侵襲部A及びマイクロニードルが位置していない非侵襲部Bを含む。本実施形態によるマイクロニードルパッチは出血が発生するか、外傷がひどい部位には非侵襲部Bを位置させて侵襲部Aを介して薬物を伝達してもよい。従って、出血が発生しているか、外傷がひどい部分にマイクロニードル200が侵襲しないところ、創傷部位で追加の出血を防止して炎症反応を最小化することができる。
【0044】
図1に示されているように、非侵襲部Bは、侵襲部Aによって取り囲まれて位置してもよい。すなわち、パッチの中央に非侵襲部Bが位置し、端に侵襲部Aが位置してもよい。従って、パッチを付着する際に患部に非侵襲部Bが位置し、患部の周りに侵襲部Aが位置して、患部周辺のマイクロニードルによって患部へ薬物が伝達されるようにしてもよい。ただし、侵襲部Aと非侵襲部Bの形状は多様であってもよく、図1に示された形状に制限されるものではない。図1に示されているように、パッチは円型であってもよいが、これに制限されるものではなく、パッチの形状は多様であってもよい。
【0045】
一方、一側面によれば、侵襲部には複数のマイクロニードルが備えられ、複数のマイクロニードルのそれぞれの薬物のローディング状態は、非侵襲部からの距離によって決定されてもよい。例えば、侵襲部に配置された複数のマイクロニードルの中で、非侵襲部(すなわち、患部)に近いマイクロニードルは薬物を含むものの、非侵襲部と遠いマイクロニードルは薬物を含まなくてもよい。すなわち、パッチを横軸としてみるとき、(真ん中)非侵襲部-薬物が含まれた侵襲部-(端)薬物が含まれていない侵襲部の順序で構成されてもよい。または、傷からの距離、すなわち、パッチの非侵襲部からの距離に応じて、侵襲部のマイクロニードルに含まれた薬物の濃度を調節してもよい。例えば、非侵襲部に近いマイクロニードルであればあるほどさらに高い濃度の薬物がロードされるように構成されてもよい。従って、より効率的に患部に対する止血または薬物伝達を行いながらも、マイクロニードルパッチ全体の強度の問題を改善することができる。
【0046】
図2は、止血のために、本実施形態によるマイクロニードルパッチを用いた構成を示した図である。図2のAには、出血が発生している肝臓が簡略に示されており、図2のB及びCに示されているように、本実施形態によるマイクロニードルパッチが付着されてもよい。上記において説明したように、本実施形態によるマイクロニードルパッチは、マイクロニードルが位置する侵襲部及び非侵襲部を含んでもよい。図2のB及びCに示されているように、出血が発生する患部には、マイクロニードルパッチの非侵襲部が位置してもよい。この場合、マイクロニードルパッチのマイクロニードルが患部を侵襲しないため、追加の出血を防止することができ、炎症の発生を防止することができる。
【0047】
図2のDは、患部にマイクロニードルが全領域に位置するマイクロニードルパッチを適用したイメージであり、図2のEは、患部に侵襲部及び非侵襲部を含むマイクロニードルパッチを適用したイメージである。図2のDを参考にすると、マイクロニードルが全領域に位置するマイクロニードルパッチの場合、出血が発生している患部にもマイクロニードルが位置するところ、患部を刺激する可能性があり、追加の出血を誘発することがある。しかしながら、図2のEを参考にすると、マイクロニードルが一部領域にのみ位置するマイクロニードルパッチは、患部にマイクロニードルが浸透しないところ、追加の出血を防止することができる。薬物はマイクロニードルが位置する侵襲部を介して患部へ伝達されて傷を止血または治療することができる。
【0048】
図3は、一実施形態によるマイクロニードルパッチの断面A及び実際のイメージBを示した図である。図3に示されているマイクロニードルパッチは、第2の部分にTXA(Tranexamic acid、トラネキサム酸)がロードされている。図3に示されているベース及びニードルは、生分解性高分子を含んでもよい。図3Bを通じて、マイクロニードルパッチのマイクロニードルにTXAがロードされたことが確認できる。
【0049】
図4は、一実施形態によるマイクロニードルパッチの製造方法を示した図である。図4を参考にすると、PDMSモールドを用意した後、高濃度のTXA(Tranexamic acid、トラネキサム酸)を含むヒアルロン酸溶液を塗布してもよい。これを通じて、薬物がロードされたマイクロニードルのチップ部分(図1に示されているマイクロニードル200の第2の部分220)を形成する。次に、低濃度のTXAを含むヒアルロン酸溶液を利用して図1に示されているマイクロニードル200の第2の部分220及びベース100を形成する。常温で乾燥した後、モールドからマイクロニードルパッチを分離する。図4に示されてはいないが、患部に対応する非侵襲部を形成するために、マイクロニードルを除去するステップをさらに含んでもよい。このとき、マイクロニードルの除去は物理的な方法で行われてもよい。このような方法により製造する場合、患部の形状に応じてマイクロニードルを適切に除去して用いてもよい。
【0050】
または、侵襲部と非侵襲部が区分されたモールドを利用して本実施形態によるマイクロニードルパッチを製造してもよい。図5は、他の実施形態によるマイクロニードルパッチの製造方法を示した図である。図5を参考にすると、UV硬化性高分子を利用してマスターモールドを製作する。このとき、マスターモールドはマイクロニードルが位置する侵襲部と、マイクロニードルが位置していない非侵襲部を含んでいる。次に、マスターモールドを利用してモールドを形成し、モールドに薬物を含むヒアルロン酸を塗布した後に分離する工程を通じて薬物がロードされたマイクロニードルパッチを製造してもよい。図5に示されているように、本実施形態による製造方法の場合、侵襲部と非侵襲部が区分されたモールドを利用してマイクロニードルパッチを製造するところ、図4の製造方法のようにマイクロニードルを除去するステップを含まなくてもよい。
【0051】
一実施形態において、図1のマイクロニードル200の第2の部分220にロードされた薬物の濃度は10mg/mL乃至30mg/mLであってもよい。これは、薬物の沈殿が起こることなく均一に分布できる濃度範囲である。図6は、イオン水にロードされたTXA(Tranexamic acid、トラネキサム酸)の含量による沈殿を示した図である。図6を参考にすると、TXAの濃度が10mg/mL乃至30mg/mLであるときは均一な固体層が形成されるが、濃度が40mg/mLを超える場合に沈殿が起こり、パッチ内のTXAに分布が不均一になることが確認できた。
【0052】
図1を参考にすると、マイクロニードル200の半径D1は50μm乃至500μmであってもよい。また、マイクロニードル200との間の距離H1は100μm乃至5000μmであってもよい。また、マイクロニードル200の高さD2は100μm乃至5000μmであってもよい。マイクロニードルのサイズが100μm未満であるときには皮膚角質層を十分に穿ち難く、5000μm以上であるときには高い縦横比によって構造的に不安定であるため、皮膚を透過することができずに折れる傾向がある。マイクロニードル200のチップ直径は5μm乃至50μmであってもよい。マイクロニードル200のチップ直径は、マイクロニードルの先端部で観察される半球形の構造を意味する。マイクロニードル200のチップ角度は、側面で観察したマイクロニードルの先端部の角度を意味するものであり、マイクロニードルの先端部が理想的な円錐構造であるときのように仮想の頂点を基準として測定した鋭角のサイズを意味する。マイクロニードルのチップ直径及びチップ角度は皮膚を透過するのに適切な水準の尖った程度で設計される。
【0053】
すなわち、本実施形態によるマイクロニードルパッチは、マイクロニードル200のサイズが微細であるため、侵襲を最小化することができる。
【0054】
図7は、本実施形態によって製造されたマイクロニードルパッチのイメージ及び実際の患部に適用したイメージを示した図である。図7のAを参考にすると、マイクロニードルパッチはヒアルロン酸を含み、マイクロニードルの一端にはTXA(Tranexamic acid、トラネキサム酸)がロードされている。図7のBは、実際に製造されたマイクロニードルパッチのイメージであり、メチレンブルーをロードしてTXAの存在を確認した。図7のBに示されているように、TXAがロードされた部分が青色と確認された。図7のCは、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが形成されたマイクロニードルパッチのイメージであり、図7のD及びEは、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチのイメージである。図7のFに示されているように、雄ラットの肝組織の一部を除去した後、本実施形態によって侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチを付着した。図7のGは、このようなマイクロニードルパッチが付着された肝組織の界面イメージである。図7のGに示されているように、患部(Non-invasive region)にはマイクロニードルが位置せずに、患部を取り囲んだ領域にのみマイクロニードル(MN)が位置することが確認できた。
【0055】
このようにマイクロニードルが一部の領域にのみ位置するマイクロニードルパッチは付着のために必要な力が少ないため、最小限の圧力で患部にパッチを付着することができる。
【0056】
図8は、マイクロニードルパッチに対して一つのマイクロニードルに加えられる力A、B及びパッチを付着する際に要求される力C、Dを示した図である。図8のA、Bを参考にすると、非侵襲領域が存在しないマイクロニードルパッチ(No non-invasive area)と非侵襲領域が存在するマイクロニードルパッチ(Small non-invasive area、Large non-invasive area)のそれぞれにおいて一つのマイクロニードルに加えられる力は類似していることが確認できた。
【0057】
一方、図8のC、Dを参考にすると、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)は、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)より少ない力でも付着されることが確認できた。すなわち、本実施形態によるマイクロニードルパッチは、付着のための圧力を減らすことができるところ、出血している傷口に対する圧力の影響を減少させることができる。
【0058】
図9は、多様な物質に対してラットの肝臓の止血実験を行った結果である。図9Aに示されているように、実験用ラットに肝臓創傷を誘導した。次の侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN)、ニードルを含まないパッチ(Patch)、スプレー(Spray)、静脈注射(IV)に対して出血量及び止血時間を測定し、これを図9Bに示した。図9Bを参考にすると、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN)が出血時間を最も減少させることが確認できた。これに対し、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN)は出血量が増えた。これを通じて、マイクロニードルパッチのマイクロニードルが患部に位置する場合、追加の出血を誘発し得ることが確認できた。
【0059】
図10は、多様な種類のパッチを肝臓の傷に付着したときの炎症部位を示し、これを定量的に示した図である。すなわち、図10のAは、ニードルを含まないパッチ(Patch)であり、これを肝臓の傷に付着したときの炎症部位を図10のBに示した。図10のCは、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)であり、これを肝臓の傷に付着したときの炎症部位を図10のDに示した。図10のEは、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)であり、これを肝臓の傷に付着したときの炎症部位を図10のFに示した。
【0060】
また、図10のB、D、Fの炎症領域を定量化し、これを図10のGに示した。図10を参考にすると、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)における炎症領域が最も広く、炎症領域の数値もまた最も高く示されることが確認できた。
【0061】
図10Fを参考にすると、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)の場合、マイクロニードルが位置していない部分では炎症領域が狭く示され、図10Gに示されているように、均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)に比べて炎症反応が弱く示されることが確認できる。また、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)の炎症領域の数値が最も低く示されることが確認できた。
【0062】
医療分野において患者に抗凝固剤であるヘパリンがしばしば投与される。そこで、ヘパリン処理されたラットの肝臓の傷に対して、図9と同一の方法にて止血実験を行い、これを図11に示した。図11のAは、ヘパリン処理されたラットを簡略に示した図であり、図11のBは、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN)、ニードルを含まないパッチ(Patch)、スプレー(Spray)、静脈注射(IV)に対して出血量及び止血時間を測定し、これを示した図である。図11Bの結果は、図9Bの結果と類似に示された。すなわち、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN)が出血時間を最も減少させることが確認できた。ただし、図11Bの場合、ヘパリンを注入して自己凝固機能が低下した状態であるところ、マイクロニードルパッチの付着によって出血量が多少増加することが明らかにされた。
【0063】
本実施形態によるマイクロニードルパッチは、使用環境に応じてマイクロニードルを適切に除去して用いてもよい。図12は、マイクロニードルパッチの使用例示を示した図である。図12Aを参考にすると、非対称的な患部を有する肝臓が示された。図12Bに示されているように、肝臓の上にマイクロニードルパッチを位置させた後、傷の形状を通じて非侵襲部が位置する領域を示す。次の図12C及び図12Dに示されているように、非侵襲部に位置するマイクロニードルを除去し、図12Eに示されているように、非対称的な患部にマイクロニードルパッチを付着してもよい。すなわち、本実施形態によるマイクロニードルパッチは、使用環境に応じてマイクロニードルを除去して用いてもよい。従って、多様な形状の患部に適用が可能である。
【0064】
図13は、本実施形態によるマイクロニードルパッチの最大接着力を示した図である。図13には、肝組織-肝組織との間の最大接着力(Liver interface)と肝組織-マイクロニードルパッチとの間の最大接着力(MN patch interface)が示された。図13を参考にすると、肝組織-肝組織との間の最大接着力(Liver interface)よりも肝組織-マイクロニードルパッチとの間の最大接着力(MN patch interface)がさらに高く示され、従って、本実施形態によるマイクロニードルパッチが肝組織と安定的に接着することが確認できた。
【0065】
図14は、本実施形態によるマイクロニードルパッチの薬物放出プロファイルを示した図である。図14の黒色線は、マイクロニードルが肝臓に付着された後、模倣体液(リン酸緩衝塩類溶液;Phosphate buffered saline)の中に露出されたときの薬物が溶けた量を時間に対して表記した図であり、赤色線は、マイクロニードルが肝臓に付着されていないまま模倣体液(リン酸緩衝塩類溶液;Phosphate buffered saline)の中に露出されたときに薬物が溶けた量を時間に対して表記した図である。すなわち、マイクロニードルパッチが組織に付着されたとき、組織の周りに体液が多い場合にも薬物が皮膚内部に一定水準吸収される傾向をみせる。図14を通じて、本実施形態によるマイクロニードルパッチが肝組織内に安定的に薬物を放出することが確認できた。
【0066】
このような本実施形態によるマイクロニードルパッチは多様な出血部位に対して優れた止血性能を有する。
【0067】
図15は、ラットの皮膚の傷に対する、本実施形態によるマイクロニードルパッチの止血性能を測定した図である。対照群(contrast)と比べて本実施形態によるマイクロニードルパッチ(P-MN)が優れた止血性能を有することが確認できた。
【0068】
図16は、ラットの心臓の傷に対する、本実施形態によるマイクロニードルパッチの止血性能を測定した図である。対照群(contrast)と比べて本実施形態によるマイクロニードルパッチ(P-MN)が優れた止血性能を有することが確認できた。
【0069】
図17は、ラットの腎臓の傷に対する、本実施形態によるマイクロニードルパッチの止血性能を測定した図である。対照群(contrast)と比べて本実施形態によるマイクロニードルパッチ(P-MN)が優れた止血性能を有することが確認できた。
【0070】
図18は、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)、ニードルを含まないパッチ(Patch)の炎症反応を比べた図である。図18Aは、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)、ニードルを含まないパッチ(Patch)をヘマトキシリン及びエオシンで染めたイメージであり、図18Bは、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)、ニードルを含まないパッチ(Patch)に対して単位面積あたりの好中球を定量化した図である。次に、図18Cは、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)、ニードルを含まないパッチ(Patch)に対して単位面積あたりの形質細胞を定量化した図である。図18を参考にすると、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)の単位面積あたりの好中球数が最も低く示されるところ、炎症反応が最も弱く起きたことが確認できた。
【0071】
図19は、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)、ニードルを含まないパッチ(Patch)の炎症反応を比べた図である。図19Aは、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)、ニードルを含まないパッチ(Patch)をCD3免疫組織化学的に染色したイメージであり、図19Bは、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)、侵襲部と非侵襲部が区分されずに均一にマイクロニードルが位置するマイクロニードルパッチ(MN patch)、ニードルを含まないパッチ(Patch)に対して単位面積あたりのTリンパ球の数を定量化した図である。
【0072】
図19を参考にすると、侵襲部と非侵襲部が区分されたマイクロニードルパッチ(P-MN patch)の単位面積あたりのTリンパ球の数が最も低く示されるところ、炎症反応が最も弱く起きたことが確認できた。
【0073】
以上のように、本実施形態によるマイクロニードルパッチは、マイクロニードルが位置する侵襲部とマイクロニードルが位置していない非侵襲部を含む。従って、患部にマイクロニードルが直接浸透しないながらも薬物を伝達することができ、追加の出血や炎症反応を最小化することができる。このようなマイクロニードルパッチは、侵襲部と非侵襲部を含むモールドを利用して製造されるか、または物理的にマイクロニードルを除去する方法により製造されてもよいところ、製造方法が簡単であり、多様な形状の患部に適用が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19