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特開2024-91553電気外科用ジェネレータを動作させるための動作方法および電気外科用ジェネレータ
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  • 特開-電気外科用ジェネレータを動作させるための動作方法および電気外科用ジェネレータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091553
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電気外科用ジェネレータを動作させるための動作方法および電気外科用ジェネレータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/10 20060101AFI20240627BHJP
   A61B 90/94 20160101ALI20240627BHJP
【FI】
A61B18/10
A61B90/94
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214150
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】63/434,997
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516236908
【氏名又は名称】オリンパス・ヴィンター・ウント・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン シュトップ
(72)【発明者】
【氏名】アンネ クヴィック
(72)【発明者】
【氏名】イェンス クリューガー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK23
4C160MM32
(57)【要約】
【課題】電気外科用ジェネレータの複数のモジュールのうちの新たに設置されたモジュールの制御を可能にすること。
【解決手段】動作方法100は、電気外科用ジェネレータの初期化プロセスにおいて、識別情報が、モジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるか、または利用可能にされ(101)、ライセンス情報が、モジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるか、または利用可能にされ(102)、モジュールの各々が、利用可能であるかまたは利用可能にされた識別情報およびライセンス情報のいずれかをモジュールのうちの少なくとも1つの他方に提供し(103)、モジュールのうちの少なくとも1つが、識別情報とライセンス情報とのリンクを生成し(104)、生成されたリンクを他のモジュールの各々に提供し(105)、モジュールの各々が、生成されたリンクを記憶する(106)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用器具に電力を供給するように構成された電気外科用ジェネレータを動作させるための動作方法であって、
前記電気外科用ジェネレータは、シリアル番号によって識別可能であり、少なくとも2つのモジュールを備え、前記少なくとも2つのモジュールの各々は、ライセンスキーによって少なくとも部分的に指定される動作モードに応じた機能を有し、
前記動作方法は、前記電気外科用ジェネレータの初期化プロセスにおいて、
前記シリアル番号を示す識別情報が、前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるか、または利用可能にされ、
前記ライセンスキーを示すライセンス情報が、前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるか、または利用可能にされ、
前記少なくとも2つのモジュールの各々が、利用可能であるかまたは利用可能にされた前記識別情報および前記ライセンス情報のいずれかを、前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つの他方に提供し、
前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つが、前記識別情報と前記ライセンス情報とのリンクを生成し、
前記生成された前記リンクを前記少なくとも2つのモジュールのうちの他のモジュールの各々に提供し、
前記少なくとも2つのモジュールの各々が、前記生成された前記リンクを記憶する、動作方法。
【請求項2】
前記識別情報または前記ライセンス情報を利用可能にすることは、前記電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して前記識別情報または前記ライセンス情報を取得することを含む、請求項1に記載の動作方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能な前記識別情報から、チェック識別情報を決定すること、前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能な前記ライセンス情報からチェックライセンス情報を決定すること、および前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つに記憶された前記リンクから前記識別情報と前記ライセンス情報とのチェックリンクを決定することと、
前記チェック識別情報および前記チェックライセンス情報に応じて、前記チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることと、
前記チェックリンクが有効であるかどうかを前記チェックすることの結果が肯定である場合、前記チェックリンクを有効な前記リンクとして前記少なくとも2つのモジュールの各々に提供し、前記有効な前記リンクを前記少なくとも2つのモジュールの各々に記憶することと
をさらに含む、請求項1に記載の動作方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つに記憶された前記リンクから前記識別情報と前記ライセンス情報とのチェックリンクを決定することは、
前記リンクが前記少なくとも2つのモジュールのうちの2つ以上に記憶されているかどうかをチェックすることと、
前記リンクが前記少なくとも2つのモジュールのうちの2つ以上に記憶されているかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記記憶された前記リンクを前記チェックリンクとして決定すること、および前記リンクが前記少なくとも2つのモジュールのうちの2つ以上に記憶されているかどうかを前記チェックすることの結果が肯定である場合、前記記憶された前記リンクから、多数決に基づいて前記チェックリンクを決定することと
をさらに含む、請求項3に記載の動作方法。
【請求項5】
前記チェックリンクが有効であるかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記動作方法は、
前記少なくとも2つのモジュールのうちの2つ以上において、マッチング識別情報およびマッチングライセンス情報が利用可能であるかどうかをチェックすることと、
前記マッチング識別情報および前記マッチングライセンス情報が利用可能であるかどうかを前記チェックすることの結果が肯定である場合、対応する前記識別情報と対応する前記ライセンス情報との前記リンクを生成し、前記生成された前記リンクを有効な前記リンクとして前記少なくとも2つのモジュールの各々に提供することと
をさらに含む、請求項3に記載の動作方法。
【請求項6】
前記チェックリンクが有効であるかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記動作方法は、
前記チェック識別情報が前記識別情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいて前記チェックリンクが生成され、および前記チェックライセンス情報が前記ライセンス情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいて前記チェックリンクが生成されることと、
前記チェック識別情報が前記識別情報とマッチングしないと決定され、それに基づいて前記チェックリンクが生成され、前記チェックライセンス情報が前記ライセンス情報とマッチングすると決定され、それに基づいて前記チェックリンクが生成される場合、前記識別情報および/または前記少なくとも2つのモジュールにとって利用可能なもしくは前記少なくとも2つのモジュールに記憶された前記識別情報と前記ライセンス情報との前記リンクに基づいて、確認された前記識別情報が取得され得るかどうかをチェックすること、前記確認された前記識別情報が取得され得るかどうかを前記チェックすることの結果が肯定である場合、前記確認された前記識別情報を第2のチェック識別情報として決定すること、ならびに前記確認された前記識別情報が取得され得るかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して第2のチェック識別情報を取得することと、
前記第2のチェック識別情報と前記チェックライセンス情報とのチェックリンクを生成し、前記チェックリンクを有効な前記リンクとして前記少なくとも2つのモジュールの各々に提供し、前記有効な前記リンクを前記少なくとも2つのモジュールの各々に記憶することと
をさらに含む、請求項3に記載の動作方法。
【請求項7】
前記チェックリンクが有効であるかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記動作方法は、
前記チェック識別情報が前記識別情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいて前記チェックリンクが生成され、および前記チェックライセンス情報が前記ライセンス情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいて前記チェックリンクが生成されることと、
前記チェックライセンス情報が前記ライセンス情報とマッチングしないと決定され、それに基づいて前記チェックリンクが生成され、前記チェック識別情報が前記識別情報とマッチングすると決定され、それに基づいて前記チェックリンクが生成される場合、前記ライセンス情報および/または前記少なくとも2つのモジュールにとって利用可能なもしくは前記少なくとも2つのモジュールに記憶された前記識別情報と前記ライセンス情報との前記リンクに基づいて、確認された前記ライセンス情報が取得され得るかどうかをチェックすること、前記確認された前記ライセンス情報が取得され得るかどうかを前記チェックすることの結果が肯定である場合、前記確認された前記ライセンス情報を第2のチェックライセンス情報として決定すること、ならびに前記確認された前記ライセンス情報が取得され得るかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して第2のチェックライセンス情報を取得することと、
前記第2のチェックライセンス情報と前記チェック識別情報とのチェックリンクを生成し、前記チェックリンクを有効な前記リンクとして前記少なくとも2つのモジュールの各々に提供し、前記有効な前記リンクを前記少なくとも2つのモジュールの各々に記憶することと
をさらに含む、請求項3に記載の動作方法。
【請求項8】
前記チェックリンクが有効であるかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記動作方法は、
前記チェック識別情報が前記識別情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいて前記チェックリンクが生成され、前記チェックライセンス情報が前記ライセンス情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいて前記チェックリンクが生成されることと、
前記チェック識別情報が前記識別情報とマッチングするかどうか、および前記チェックライセンス情報が前記ライセンス情報とマッチングするかどうかを前記決定することの結果が否定である場合、前記識別情報、前記ライセンス情報および/または前記少なくとも2つのモジュールにとって利用可能なもしくは前記少なくとも2つのモジュールに記憶された前記識別情報と前記ライセンス情報との前記リンクに基づいて、確認された前記識別情報および確認された前記ライセンス情報が取得され得るかどうかをチェックすること、前記確認された前記識別情報および確認された前記ライセンス情報が取得され得るかどうかを前記チェックすることの結果が肯定である場合、前記確認された前記識別情報を第2のチェック識別情報として決定し、前記確認された前記ライセンス情報を第2のチェックライセンス情報として決定すること、ならびに前記確認された前記識別情報および確認された前記ライセンス情報が取得され得るかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して前記第2のチェック識別情報および前記第2のチェックライセンス情報を取得することと、
前記第2のチェック識別情報と前記第2のチェックライセンス情報とのチェックリンクを生成し、前記チェックリンクを有効な前記リンクとして前記少なくとも2つのモジュールの各々に提供し、前記有効な前記リンクを前記少なくとも2つのモジュールの各々に記憶することと
をさらに含む、請求項3に記載の動作方法。
【請求項9】
前記電気外科用ジェネレータの前記少なくとも2つのモジュールのうちの1つが、前記識別情報を記憶することによってまたは前記電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して前記識別情報を取得することによって利用可能な前記識別情報を有するマスタモジュールとして設計され、前記マスタモジュールにおいて利用可能な前記識別情報が、前記少なくとも2つのモジュールのうちの他のモジュールの各々に提供され、および/または、チェック識別情報が、前記マスタモジュールにおいて利用可能な前記識別情報から決定される、請求項1に記載の動作方法。
【請求項10】
前記ライセンス情報が、前記マスタモジュールにおいて、記憶された情報として利用可能であるか、または前記ライセンス情報が、前記他のモジュールのうちの少なくとも1つから前記ライセンス情報を取得することによってもしくは前記電気外科用ジェネレータの前記ユーザインターフェースを介して前記ライセンス情報を取得することによって、前記マスタモジュールにおいて利用可能にされ、前記マスタモジュールにおいて利用可能な前記識別情報がチェック識別情報として決定され、前記マスタモジュールにおいて利用可能なまたは利用可能にされた前記ライセンス情報が、チェックライセンス情報として決定され、前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つに記憶された前記リンクからの前記識別情報と前記ライセンス情報とのチェックリンクが、前記マスタモジュールにおいて、前記マスタモジュールにおいて利用可能な前記識別情報と前記マスタモジュールにおいて利用可能な前記ライセンス情報とのマスタリンクを生成し、前記マスタリンクを前記チェックリンクとして決定することによって決定される、請求項9に記載の動作方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つのモジュールのいずれかにおいて、前記識別情報または前記識別情報と前記ライセンス情報との前記リンクが利用可能であるかどうかをチェックすることと、
前記マスタモジュールにおいて利用可能な前記識別情報を、前記識別情報が利用可能でない前記モジュールの各々に提供すること、および前記マスタモジュールにおいて生成された前記チェックリンクを、前記識別情報と前記ライセンス情報との前記リンクが利用可能でない前記モジュールの各々に提供すること、ならびに、前記識別情報が前記マスタモジュールにおいて利用可能でない場合、前記電気外科用ジェネレータの前記ユーザインターフェースを介して前記識別情報を取得することと
をさらに含む、請求項10に記載の動作方法。
【請求項12】
前記マスタモジュールにおいて、前記他のモジュールに記憶された前記識別情報と前記ライセンス情報との前記リンクを受信することと、
前記マスタモジュールにおいて利用可能な前記識別情報および前記ライセンス情報に応じて、前記受信された前記リンクが有効であるかどうかをチェックすることと、
前記受信された前記リンクが有効であるかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記電気外科用ジェネレータの前記ユーザインターフェースを介して前記ライセンス情報を取得することによって、前記マスタモジュールにおいて前記ライセンス情報を利用可能にすることと
をさらに含む、請求項11に記載の動作方法。
【請求項13】
前記少なくとも2つのモジュールの各々が、利用可能な前記識別情報および前記ライセンス情報を有するように構成され、
前記電気外科用ジェネレータの前記ユーザインターフェースを介して前記識別情報および/または前記ライセンス情報を取得すること、あるいは、前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つから前記識別情報および/または前記ライセンス情報を取得すること、ならびに、前記取得された前記識別情報および/または前記ライセンス情報を、前記識別情報および/または前記ライセンス情報が利用可能でない前記モジュールのいずれかに提供することと、
前記少なくとも2つのモジュールの各々において、それぞれの前記モジュールにおいて利用可能な前記識別情報と前記ライセンス情報との前記リンクを生成し、前記生成された前記リンクを記憶することと
をさらに含む、請求項9に記載の動作方法。
【請求項14】
前記識別情報を前記取得することが、前記マスタモジュールにおいて利用可能な前記識別情報を、前記少なくとも2つのモジュールの各々に提供することを含み、前記動作方法は、
前記少なくとも2つのモジュールの各々において、前記提供された前記識別情報とそれぞれの前記モジュールにおいて利用可能な前記ライセンス情報とに応じて、それぞれの前記モジュールにおける前記識別情報と前記ライセンス情報との前記記憶された前記リンクが有効であるかどうかを決定すること
をさらに含む、請求項13に記載の動作方法。
【請求項15】
前記識別情報が前記少なくとも2つのモジュールの各々において利用可能であり、前記動作方法は、
前記少なくとも2つのモジュールの各々において利用可能な前記識別情報がマッチングしているかどうかをチェックすること、および、前記利用可能な前記識別情報がマッチングしているかどうかを前記チェックすることの結果が否定である場合、前記電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して前記識別情報を取得することと、
前記ライセンス情報が前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるかどうかをチェックすること、ならびに、前記ライセンス情報が前記少なくとも2つのモジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるかどうかを前記チェックすることの結果が肯定である場合、前記識別情報と前記ライセンス情報との前記リンクを生成し、前記生成された前記リンクを前記少なくとも2つのモジュールに提供し、前記生成された前記リンクを前記少なくとも2つのモジュールの各々に記憶することと
をさらに含む、請求項1に記載の動作方法。
【請求項16】
電気外科用器具に電力を供給するように構成され、シリアル番号によって識別可能であり、プロセッサと、通信インターフェースと、少なくとも2つのモジュールとを備える、電気外科用ジェネレータであって、前記少なくとも2つのモジュールの各々が、ライセンスキーによって少なくとも部分的に指定される動作モードに応じた機能を有し、前記ライセンスキーを示すライセンス情報と前記シリアル番号を示す識別情報との少なくともリンクを記憶するためのデータストレージと、通信インターフェースとを備え、前記電気外科用ジェネレータがコンピュータ可読媒体をさらに備え、前記コンピュータ可読媒体が、前記プロセッサによって実行されたとき、請求項1に記載の動作方法が実施されることを引き起こす命令を記憶している、電気外科用ジェネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気外科用ジェネレータを動作させるための動作方法および電気外科用ジェネレータに関する。
【背景技術】
【0002】
電気外科手術または高周波外科手術では、人体内の組織に高周波交流電流を印加し、特に、組織を加熱することによって組織を切断するかまたは切り取り、熱切除によって組織を除去するために、電気メスなどの電気外科用器具が使用される。これの1つの利点は、罹患した血管を閉じることによって、切断と同時に出血を止めることができ、電気外科用器具が、凝固など、他の用途のために使用され得ることである。電気外科用ジェネレータは、電気外科用器具に電力を供給するために使用され、電気外科用器具に高周波交流電圧を与えるように設計され、したがって、それらは医療機器である。そのような電気外科用ジェネレータは、互いに独立した機能を提供する個々のモジュール、例えば、電気外科用器具に電力を供給するのに寄与するモジュール、電気外科用器具と、特にアルゴンを供給するガス供給モジュールとの接続のためのソケットモジュールを有するモジュラー設計のものであり得る。
【0003】
電気外科用ジェネレータのモジュールは、必要に応じて、独立して交換され、取り換えられ得る。しかしながら、電気外科用ジェネレータが、そのモジュールの各々が固有のパラメータ内でのみ動作することを必要とするカスタマイズされた機能範囲を備え、前記電気外科用ジェネレータのモジュールが交換されるべきである場合、新たに設置されたモジュールは、それが電気外科用ジェネレータのカスタマイズされた機能範囲に従って動作するための固有のパラメータに関する必要な情報を有さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7730529号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0046416号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102019103445号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、上述の問題の背景に対して、電気外科用ジェネレータの複数のモジュールのうちの新たに設置されたモジュールの制御を可能にする、電気外科用ジェネレータを動作させるための動作方法、および電気外科用ジェネレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による解決策は、独立請求項の特徴内にある。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明によれば、電気外科用器具に電力を供給するように構成された電気外科用ジェネレータを動作させるための動作方法が開示され、電気外科用ジェネレータは、シリアル番号によって識別可能であり、少なくとも2つのモジュールを備え、モジュールの各々は、ライセンスキーによって少なくとも部分的に指定される動作モードに応じた機能を有し、前記動作方法は、電気外科用ジェネレータの初期化プロセスにおいて、シリアル番号を示す識別情報が、モジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるか、または利用可能にされ、ライセンスキーを示すライセンス情報が、モジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるか、または利用可能にされ、モジュールの各々が利用可能であるかまたは利用可能にされた識別情報およびライセンス情報のいずれかをモジュールのうちの少なくとも1つの他方に提供し、モジュールのうちの少なくとも1つが、識別情報とライセンス情報とのリンクを生成し、生成されたリンクを他のモジュールの各々に提供し、モジュールの各々が、生成されたリンクを記憶する。
【0008】
本発明は、同様に、電気外科用器具に電力を供給するように構成され、シリアル番号によって識別可能であり、プロセッサと、通信インターフェースと、少なくとも2つのモジュールとを備える、電気外科用ジェネレータを対象とし、モジュールの各々が、ライセンスキーによって少なくとも部分的に指定される動作モードに応じた機能を有し、ライセンスキーを示すライセンス情報とシリアル番号を示す識別情報との少なくともリンクを記憶するためのデータストレージと、通信インターフェースとを備え、電気外科用ジェネレータがコンピュータ可読媒体をさらに備え、コンピュータ可読媒体が、プロセッサによって実行されたとき、本発明による方法が実施されることを引き起こす命令を記憶している。
【0009】
電気外科用ジェネレータは、例えば固有の使用シナリオまたはユーザ固有機能に応じて、少なくとも2つのモジュールを備える。電気外科用ジェネレータは、例えば、動作中にDC回路に給電する電源モジュールと、DC回路によって給電され、電気外科用器具への接続のために出力モジュールに印加される高周波AC電圧を生成するインバータモジュールとを含み得る。典型的な電気外科用器具は、電気ナイフおよび電気メスを含む。
【0010】
本発明は、電気外科用ジェネレータのモジュールに、それらが提供する機能のカスタマイズされた範囲に関する情報を提供するために、電気外科用ジェネレータの既存のモジュラー設計を利用する、電気外科用ジェネレータを動作させるための有益な動作方法を提供する。動作方法は、電気外科用ジェネレータのブートプロセス、例えば電気外科用ジェネレータのモジュールの取り換え後の第1のブートプロセスの間、またはその一部として、実施され得る。動作方法は、典型的には電気外科用ジェネレータのいくつかのモジュールが利用可能な情報を有し、この情報がモジュールが設置される電気外科用ジェネレータの識別を示すか、またはこの情報がそれぞれの電気外科用ジェネレータのモジュールを対象とする機能のカスタマイズされた範囲を示すという事実を利用する。電気外科用ジェネレータのモジュールについて、好ましくは電気外科用ジェネレータのモジュールの各々についての機能のカスタマイズされた範囲は、電気外科用ジェネレータの識別に例示的にリンクされたライセンスキーによって定義される動作モードによって特徴付けられ得る。動作方法は、新たに設置されたモジュールが、電気外科用ジェネレータの他のモジュールにおいてすでに利用可能であり、新たに設置されたモジュールの機能の範囲をも定義するために使用され得る情報に関与することを可能にする。そのような情報がモジュールにおいて利用可能でない場合、例えば対応するユーザ入力を考慮して、対応する情報が利用可能にされ得る。
【0011】
このようにして、電気外科用ジェネレータに新たに設置されたモジュールは、それが特定の機能範囲に従って動作されることを可能にする動作モードに応じた機能を提供され得る。これは、許容可能な動作パラメータの、時間のかかる個々の、さらには手動の調整を低減して達成され得、モジュールを備える電気外科用ジェネレータを動作させるために必要とされる労力が、実質的に低減され得る。
【0012】
以下では、本発明の文脈内で使用されるいくつかの表現が最初に説明される。
【0013】
少なくとも2つのモジュールの各々は、動作モード、例えば、電気外科用ジェネレータのそれぞれのモジュールの複数の事前決定された動作モードのうちの動作モードに応じた機能で動作するように構成される。動作モードは、電気外科用ジェネレータに設置されたモジュールの各々について機能の範囲を定義する。動作モードは、ライセンスキーによって少なくとも部分的に指定され、したがって、特定のモジュールの固有の機能に関連付けられ得る。例えば、複数の動作モード、例えば、ライセンスキーによって指定可能な動作モードの各々について、それぞれの動作モードの表現がモジュールのデータストレージに記憶され得る。
【0014】
動作モードは、それに従ってモジュールを動作させることができる動作パラメータ、例えば動作パラメータ範囲に従って、モジュールの機能を指定し得る。例示的な動作パラメータは、例えばモジュールの個々の能力に応じて、モジュールによって提供されることになる電力、電圧、電流または周波数を含む。動作パラメータは、測定変数によって特徴付けられ得る。
【0015】
モジュールは、識別情報、ライセンス情報、ならびに識別情報とライセンス情報とのリンクを提供するか、またはそれを提供されるように構成され、これらは、したがって、モジュールによって送信または受信され得る。この目的のために、モジュールは、少なくとも1つの無線および/または有線通信インターフェースを備える。また、電気外科用ジェネレータは、例えば個々のモジュールとして、またはモジュールの一部として構成され得る少なくとも1つの無線および/または有線通信インターフェースを含む。通信インターフェースによって、例えば、送信および/または受信は、無線および/または有線通信リンクを介して行われ得る。通信リンクは、識別情報、ライセンス情報、または識別情報とライセンス情報とのリンクの表現を含むデータがそれを介して送信および受信され得る通信技法によるチャネルとして理解されるべきである。通信リンクは、少なくとも部分的にセキュアにされた通信リンクであり得る。例示的な通信リンクは、例えば、ローカルエリアネットワークとしてまたはバスシステム(例えば、CANバスまたはUSB)として当業者に知られている無線チャネル(例えば、RFID、NFC、Bluetooth(登録商標)またはWLANという頭字語で、当業者に知られている)、モバイルデータリンク(例えば、GSM、UMTSまたはLTEという頭字語で、当業者に知られている)または有線通信リンクである。通信リンクは、それに沿って少なくとも部分的に動作する1つまたは複数のノード、例えばルータを備え得る。
【0016】
モジュール、および任意選択的に電気外科用ジェネレータも、少なくとも識別情報とライセンス情報とのリンクを記憶するためのデータストレージを備える。識別情報および/またはライセンス情報も、モジュールのデータストレージに記憶され得る。モジュールのデータストレージは、可搬式であるか、またはモジュール内に統合され得る。
【0017】
識別情報は、電気外科用ジェネレータがそれによって識別され得るシリアル番号を示す。シリアル番号は、電気外科用ジェネレータの固有の、好ましくは一意の識別を表す。シリアル番号が固有のタイプの電気外科用ジェネレータを表すことも考えられる。シリアル番号は、例えば、さらに、電気外科用ジェネレータの指定された使用場所をも表し得る。例示的に、シリアル番号は、電気外科用ジェネレータの一意の識別子によって示され得る。
【0018】
ライセンスキーは、シリアル番号、特に識別情報が示すシリアル番号にリンクされ得る。例えば、2つの異なるライセンスキーは、異なる動作モードを指定し得るか、または、対応する、例えばマッチングする動作モードを指定するが、異なるシリアル番号にリンクされ得る。ライセンス情報は、ライセンスキーによって指定される動作モードによって特徴付けられ得る、モジュールを対象とする機能のカスタマイズされた範囲を示し得る。ライセンスキーは、電気外科用ジェネレータの識別を示すシリアル番号にリンクされる。
【0019】
したがって、それぞれのシリアル番号を示す識別情報と、それぞれのライセンスキーを示すライセンス情報とが、リンクにおいて組み合わせられ得る。そのようなリンクを生成するために、識別情報とライセンス情報とが、例えば、リンクされた情報において組み合わせられ得る。特に、識別情報とライセンス情報とは、それぞれの識別情報およびライセンス情報がリンクされた情報から決定され得るように、リンクされた情報において組み合わせられ得る。この目的のために、モジュールは好適なプロセッサを有し得る。例えば、リンクは、識別情報およびライセンス情報が提供されたモジュールのうちの少なくとも1つによって生成される。
【0020】
識別情報、ライセンス情報または識別情報とライセンス情報とのリンクなど、情報の利用可能性の下では、例えば、モジュールのデータストレージからの、または例えば電気外科用ジェネレータとは別個に配置され得るクラウドデータストレージからの、それぞれの情報の取出し可能性が理解されるべきである。
【0021】
初期化プロセスは、例えば、電気外科用ジェネレータの設置後の初期始動の範囲内のプロセスとして理解されるべきである。
【0022】
電気外科用ジェネレータのモジュールにおいて識別情報またはライセンス情報を利用可能にすることは、電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介してそれぞれの情報を取得することを含み得る。取得することは、例えば、ユーザインターフェースにおいてユーザ入力をキャプチャすることによって達成され得る。ユーザインターフェースは、電気外科用ジェネレータにおいて統合されるか、または電気外科用ジェネレータの外部にあり得る。ユーザインターフェースの例は、ボタン、キーパッド、キーボード、マウス、ディスプレイユニット(例えば、ディスプレイ)、マイクロフォン、タッチセンサ式ディスプレイユニット(例えば、タッチスクリーンおよび/またはタッチディスプレイ)、スピーカ、カメラ、および/またはタッチセンサ式表面(例えば、タッチパッド)を含む。ユーザインターフェースは、例えば、モジュールとしてまたはモジュールの一部として構成され得る。
【0023】
例えば、電気外科用ジェネレータは、例えばユーザダイアログの一部として、ユーザ入力のためのプロンプトを、ユーザインターフェースによってユーザに提供し、例えば提示する。識別情報を利用可能にする例示的なケースでは、シリアル番号を示すためのプロンプトが提供される。ライセンス情報を利用可能にする別の例示的なケースでは、ライセンスキーを示すためのプロンプトが提供される。プロンプトに反応して、電気外科用ジェネレータは、次いで、値の指示および/または1つまたは複数の選択肢(例えば、多肢選択プロンプト)からの選択を含み得るユーザ入力をキャプチャし得る。それぞれの情報は、次いで、キャプチャされたユーザ入力に応じて識別情報および/またはライセンス情報を決定することによって取得され得る。
【0024】
また、モジュールにおいて情報を利用可能にすることは、例えば、モジュールの通信インターフェースによって、任意選択的に電気外科用ジェネレータの通信インターフェースをも使用して、行われ得る。例えば、電気外科用ジェネレータの通信インターフェースによって電気外科用ジェネレータとは別個のユーザインターフェースにおいてキャプチャされた対応する情報を受信し、それぞれの情報をモジュールの通信インターフェースを介してモジュールに提供することによって、情報がモジュールにとって利用可能にされることが考えられる。
【0025】
一実施形態によれば、本動作方法は、モジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能な識別情報から、チェック識別情報を決定すること、モジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能なライセンス情報からチェックライセンス情報を決定すること、およびモジュールのうちの少なくとも1つに記憶されたリンクから識別情報とライセンス情報とのチェックリンクを決定することと、チェック識別情報およびチェックライセンス情報に応じて、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることと、当該チェックすることの結果が肯定である場合、チェックリンクを有効なリンクとしてモジュールの各々に提供すること、および有効なリンクをモジュールの各々に記憶することとをさらに含む。
【0026】
このようにして、電気外科用ジェネレータのモジュールのうちの1つに記憶されたリンクが有効であるとチェックされた場合、それが電気外科用ジェネレータのすべてのモジュールにおいて利用可能にされることが達成され得る。
【0027】
チェック識別情報、チェックライセンス情報およびチェックリンクの決定は、例えば、モジュールにおいて利用可能な識別情報、ライセンス情報および記憶されたリンクからの任意の選択に基づいて、または事前定義された選択基準に基づいて行われ得る。例えば、チェック識別情報、チェックライセンス情報およびチェックリンクは、可能な場合、異なるモジュールから発生した識別情報、ライセンス情報、および記憶されたリンクから決定されることが考えられ、または、可能な場合、電気外科用ジェネレータの1つの単一のモジュールから、例えばマスタモジュールからの情報およびリンクを考慮することが好ましい。
【0028】
識別情報とライセンス情報とのチェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることは、チェック識別情報およびチェックライセンス情報に応じて行われることになる。チェックリンクの有効性をチェックするために、チェックライセンス情報とチェック識別情報とが、チェックリンクの識別情報およびライセンス情報とマッチングするかどうかがチェックされる。すなわち、チェックライセンス情報によって示されたライセンスキーおよびチェック識別情報によって示されたシリアル番号が、チェックリンクにおいてリンクされる識別情報およびライセンス情報によって示されるものに対応するかどうかがチェックされる。これが当てはまる場合、チェックリンクは有効であると見なされ、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることの結果は肯定である。チェックリンクは有効でないと見なされる場合、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることの結果は否定である。マッチングによって、マッチングについてチェックされた情報が、事前決定されたルールに従って互いに対応し、好ましくは同じ、特に同一であることが理解されるべきである。
【0029】
チェックリンクの有効性のチェックのために、それぞれのチェック情報は、1つまたは複数のモジュールから、例えばモジュールの通信インターフェース、および任意選択的に電気外科用ジェネレータの通信インターフェースをも使用して、サーバまたはスマートフォンなどの別個のエンティティに送信されることも考えられる。モジュールは、次いで、送信に反応して、特にチェック識別情報およびチェックライセンス情報が送信された別個のエンティティから、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることの結果が決定され得る結果情報を受信することができる。
【0030】
対応するチェックおよび決定機能を提供するために、ライセンスキーが固有のシリアル番号について有効であるかどうかを事前決定する決定および/または選択ルールが指定され得る。事前決定された決定および/または選択ルールは、例示的に、例えば識別情報および/または識別情報の組合せにライセンス情報を割り当てる1つまたは複数のテーブルの形態である。例えば、そのようなテーブルの1つまたは複数の表現は、モジュールのうちの1つまたは複数に記憶される。また、モジュールは、適切なプログラム命令によって、例えばモジュールの通信インターフェースおよび任意選択的に電気外科用ジェネレータの通信インターフェースをも使用して、例えば、別個のエンティティに、または電気外科用ジェネレータの別のモジュールに記憶された、利用可能な決定および/または選択ルールにアクセスすることができることも考えられる。
【0031】
チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることの結果が否定である場合、チェック識別情報およびチェックライセンス情報に応じて、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックするステップが繰り返され得、別のチェックリンク、例えば別のモジュールにおいて利用可能なチェックリンクが決定される。繰り返しは、電気外科用ジェネレータのすべてのモジュールにおいて利用可能なチェックリンクがチェックされるまで実施され得る。
【0032】
これは、利用可能な場合、さらに、例えば、電気外科用ジェネレータのモジュールに存在するすべてのリンクが有効性についてチェックされることを保証することを可能にする。
【0033】
さらに、モジュールのうちの少なくとも1つに記憶されたリンクから識別情報とライセンス情報とのチェックリンクを決定することは、リンクがモジュールのうちの2つ以上に記憶されているかどうかをチェックすることと、当該チェックすることの結果が肯定である場合、記憶されたリンクから、多数決に基づいてチェックリンクを決定することと、当該チェックすることの結果が否定である場合、記憶されたリンクをチェックリンクとして決定することとを含み得る。
【0034】
これは、チェックリンクと見なされるべきであるリンクのための追加の検証ステップを追加することを可能にする。異なるモジュールに記憶されたリンクが類似するべきでない場合、そのような記憶されたリンクが、モジュールの最も大きな部分に存在するチェックリンクとして考慮されることが保証され得る。この状況は、例えば、新たに設置されたモジュールが別の電気外科用ジェネレータから引き継がれ、したがって、モジュールが設置される電気外科用ジェネレータのシリアル番号を示さない識別情報に基づくリンクが記憶され得る場合に起こり得る。この場合、そのようなリンクのみが、大部分のモジュール、すなわち、電気外科用ジェネレータにおいて変化しないままだったモジュール上に存在するチェックリンクとして決定される。多数決で過半数に達することができない場合、記憶されたリンクのうちの1つがチェックリンクとしてランダムに決定され得る。例えば、利用可能な識別情報を有する唯一のモジュールとしてマスタモジュールを備える、工場から生まれる新しい電気外科用ジェネレータの場合であり得る、電気外科用ジェネレータの1つのモジュールのみにリンクが記憶される場合、この単一のリンクは有効性チェックのために考慮される。
【0035】
任意選択的に、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることの結果が否定である場合、動作方法は、モジュールのうちの2つ以上において、好ましくは大多数において、マッチング識別情報およびマッチングライセンス情報が利用可能であるかどうかをチェックすることと、当該チェックすることの結果が肯定である場合、マッチング識別情報とマッチングライセンス情報とのリンクを生成し、生成されたリンクを有効なリンクとしてモジュールの各々に提供することとをさらに含み得る。
【0036】
チェックリンクが無効としてチェックされたが、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることがそれに基づくマッチング識別情報およびマッチングライセンス情報が複数のモジュール上で利用可能である場合、それぞれのマッチング情報のこの多様な利用可能性が、識別情報およびライセンス情報が有効である十分な確率で結論を出すために使用され得、その結果、同じく十分な確率で有効であるリンクが生成される。
【0037】
例示的に、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることの結果が否定である場合、動作方法は、チェック識別情報が識別情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいてチェックリンクが生成され、およびチェックライセンス情報がライセンス情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいてチェックリンクが生成されることと、チェック識別情報が識別情報とマッチングしないと決定され、それに基づいてチェックリンクが生成され、チェックライセンス情報がライセンス情報とマッチングすると決定され、それに基づいてチェックリンクが生成される場合、識別情報および/またはモジュールにとって利用可能なもしくはモジュールに記憶された識別情報とライセンス情報とのリンクに基づいて、確認された識別情報が決定され得るかどうかをチェックすること、当該チェックすることの結果が肯定である場合、確認された識別情報を第2のチェック識別情報として決定すること、ならびに当該チェックすることの結果が否定である場合、電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して第2のチェック識別情報を取得することと、第2のチェック識別情報とチェックライセンス情報とのチェックリンクを生成し、チェックリンクを有効なリンクとしてモジュールの各々に提供し、有効なリンクをモジュールの各々に記憶することとをさらに含む。例示的に、これらのステップは、例えば電気外科用ジェネレータのモジュールの各々において、有効なリンクが決定され得ない場合にのみ実施される。
【0038】
電気外科用ジェネレータのモジュールの2つ以上において、好ましくは大部分において利用可能なそれぞれの情報が、マッチングシリアル番号またはライセンスキーを示す場合、情報は、確認されたと見なされるものとする。
【0039】
追加または代替として、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることの結果が否定である場合、動作方法は、チェック識別情報が識別情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいてチェックリンクが生成され、およびチェックライセンス情報がライセンス情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいてチェックリンクが生成されることと、チェックライセンス情報がライセンス情報とマッチングしないと決定され、それに基づいてチェックリンクが生成され、チェック識別情報が識別情報とマッチングすると決定され、それに基づいてチェックリンクが生成される場合、ライセンス情報および/またはモジュールにとって利用可能なもしくはモジュールに記憶された識別情報とライセンス情報とのリンクに基づいて、確認されたライセンス情報が取得され得るかどうかをチェックすること、当該チェックすることの結果が肯定である場合、確認されたライセンス情報を第2のチェックライセンス情報として決定すること、ならびに当該チェックすることの結果が否定である場合、電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して第2のチェックライセンス情報を取得することと、第2のチェックライセンス情報とチェック識別情報とのチェックリンクを生成し、チェックリンクを有効なリンクとしてモジュールの各々に提供し、有効なリンクをモジュールの各々に記憶することとを含み得る。例示的に、これらのステップは、例えば電気外科用ジェネレータのモジュールの各々において、有効なリンクが決定され得ない場合にのみ実施される。
【0040】
さらに、追加または代替として、チェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることの結果が否定である場合、動作方法は、チェック識別情報が識別情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいてチェックリンクが生成され、チェックライセンス情報がライセンス情報とマッチングするかどうかを決定し、それに基づいてチェックリンクが生成されることと、当該決定することの両方のステップの結果が否定である場合、識別情報、ライセンス情報および/またはモジュールにとって利用可能なもしくはモジュールに記憶された識別情報とライセンス情報とのリンクに基づいて、確認された識別情報および確認されたライセンス情報が取得され得るかどうかをチェックすること、当該チェックすることの結果が肯定である場合、確認された識別情報を第2のチェック識別情報として決定し、確認されたライセンス情報を第2のチェックライセンス情報として決定すること、ならびに当該チェックすることの結果が否定である場合、電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して第2のチェック識別情報および第2のチェックライセンス情報を取得することと、第2のチェック識別情報と第2のチェックライセンス情報とのチェックリンクを生成し、チェックリンクを有効なリンクとしてモジュールの各々に提供し、有効なリンクをモジュールの各々に記憶することとを含み得る。例示的に、これらのステップは、例えば電気外科用ジェネレータのモジュールの各々において、有効なリンクが決定され得ない場合にのみ実施される。
【0041】
チェックリンクの有効性をチェックすることが、マッチングしないシリアル番号および/またはマッチングしないライセンスキーのために否定である場合、第2のチェック識別情報および/または第2のチェックライセンス情報は、それぞれのチェック情報が決定されたモジュール以外のモジュールにおいて利用可能な確認された識別情報および/またはライセンス情報から取得可能であり得る。代替的に、第2のチェック識別情報および/または第2のチェックライセンス情報は、ジェネレータのユーザインターフェースへの対応する入力を介して取得され得る。これらのシナリオは、例えば、電気外科用ジェネレータに新たに設置されたモジュールの識別情報および/またはライセンス情報がチェック情報として決定されたときに起こり得、モジュールにおいて利用可能な識別情報は、それが設置される電気外科用ジェネレータを識別するシリアル番号を示さないが、例えば、異なる電気外科用ジェネレータを識別するシリアル番号を示し、および/または、モジュールにおいて利用可能なライセンス情報は、そのシリアル番号に従ってジェネレータの識別にリンクされないライセンスキーを示す。
【0042】
したがって、否定の有効性チェックの場合でも、それにもかかわらず電気外科用ジェネレータのモジュールのために利用可能であり得る正しい情報に頼ることが可能であり、それに基づいて有効なリンクが生成され、すべてのモジュールにとって利用可能にされ得る。
【0043】
一実施形態によれば、電気外科用ジェネレータのモジュールのうちの1つは、識別情報を記憶することによってまたは電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して識別情報を取得することによって利用可能な識別情報を有するように構成されたマスタモジュールとして設計され、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報は、他のモジュールの各々に提供され、および/または、チェック識別情報は、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報から決定される。
【0044】
任意選択的に、マスタモジュールは、電気外科用ジェネレータの他のモジュールのうちの少なくとも1つにそれを提供するために、少なくとも利用可能な識別情報を有するように構成される。そのような提供は、初期化プロセスの一部として行われ得る。追加または代替として、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報は、識別情報とライセンス情報とのチェックリンクの有効性チェックにおいてチェック識別情報であると決定される。
【0045】
そのようなマスタモジュールとして設計されたモジュールを備える電気外科用ジェネレータの構成は、識別情報が提供され、例えば集中的に管理されることを可能にし、その結果、一般に、識別情報は、他のモジュールにおいて、個別にかつ別個に利用可能であること、例えば記憶されることを必要とされない。他のモジュールは、次に、あまり精巧でない構造を有し得、例えば、それらのデータストレージは、識別情報が記憶される必要がないため、あまり複雑でないように設計され得る。
【0046】
追加として、ライセンス情報は、マスタモジュールにおいて、好ましくは記憶された情報として利用可能であるか、またはライセンス情報が、他のモジュールのうちの少なくとも1つからライセンス情報を取得することによってもしくは電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介してライセンス情報を取得することによって、マスタモジュールにおいて利用可能にされ、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報がチェック識別情報として決定され、マスタモジュールにおいて利用可能なまたは利用可能にされたライセンス情報が、チェックライセンス情報として決定され、モジュールのうちの少なくとも1つに記憶されたリンクからの識別情報とライセンス情報とのチェックリンクが、マスタモジュールにおいて、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報とマスタモジュールにおいて利用可能なライセンス情報とのマスタリンクを生成し、マスタリンクをチェックリンクとして決定することによって決定される。
【0047】
この実施形態では、ライセンス情報はまた、マスタモジュールにおいて利用可能であり得、その結果、識別情報とライセンス情報とのマスタリンクは、マスタモジュールにおいて利用可能な情報に基づいて直接生成され得る。マスタリンクは、それに応じて、チェック識別情報およびチェックライセンス情報に基づいて生成されるので、有効であるとチェックされ、他のモジュールに提供され、そこに記憶される。
【0048】
任意選択的に、動作方法は、モジュールのいずれかにおいて、識別情報または識別情報とライセンス情報とのリンクが利用可能であるかどうかをチェックすることと、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報を、識別情報が利用可能でないモジュールの各々に提供すること、およびマスタモジュールにおいて生成されたチェックリンクを、識別情報とライセンス情報とのリンクが利用可能でないモジュールの各々に提供すること、ならびに、好ましくは、識別情報がマスタモジュールにおいて利用可能でない場合、電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して識別情報を取得することとをさらに含み得る。
【0049】
これは、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報を、識別情報が利用可能でないモジュールに分配することを可能にし、その結果、例えば、マスタモジュールの識別情報は、例えばリンクを生成するためにそこで使用されるように、使用されるかまたはそこに記憶され得る。このシナリオは、例えば工場から生まれ得、したがって利用可能な識別情報を有しないことがある新しいモジュールが、電気外科用ジェネレータに設置されるときに起こり得る。マスタモジュール自体が、利用可能な識別情報を有しないそのような新たに設置されたモジュールである場合、識別情報はユーザ入力によって取得され得る。
【0050】
さらに、動作方法は、マスタモジュールにおいて、他のモジュールに記憶された識別情報とライセンス情報とのリンクのいずれかを受信することと、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報およびライセンス情報に応じて、受信されたリンクが有効であるかどうかをチェックすることと、当該チェックすることのいずれかの結果が否定である場合、電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介してライセンス情報を取得することによって、マスタモジュールにおいてライセンス情報を利用可能にすることとをさらに含み得る。
【0051】
このシナリオは、特に、マスタモジュールが他のモジュールから正しいライセンス情報を受信し、マスタモジュールにおいて利用可能な情報に基づいてそれらの有効性をチェックし得るという点で、電気外科用ジェネレータへのマスタモジュールの新しい設置を考慮する。当該チェックの結果が否定である場合、正しいライセンス情報は、ユーザ入力を介して取得され得る。この実施形態では、他のモジュールは、識別情報とライセンス情報とのリンクを生成するために構成される必要はなく、これは、それらのモジュールのあまり複雑でない設計を可能にする。
【0052】
一実施形態では、モジュールの各々が、利用可能な識別情報およびライセンス情報を有するように構成され、動作方法は、電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して識別情報および/またはライセンス情報を取得すること、あるいは、モジュールのうちの少なくとも1つから識別情報および/またはライセンス情報を取得すること、ならびに、取得された識別情報および/またはライセンス情報を、それぞれの情報が利用可能でないモジュールのいずれかに提供することと、モジュールの各々において、それぞれのモジュールにおいて利用可能な識別情報とライセンス情報とのリンクを生成し、生成されたリンクを記憶することとをさらに含む。
【0053】
このようにして、モジュールの対応する構成で、各モジュールが、識別情報およびライセンス情報を提供され、したがって、識別情報とライセンス情報とのリンクを生成することができることが保証され得る。これは、非集中型の情報利用可能性を有するモジュラー電気外科用ジェネレータを実装することを可能にする。
【0054】
さらに、識別情報を取得することは、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報を、モジュールの各々に提供することを含み得、動作方法は、モジュールの各々において、提供された識別情報とそれぞれのモジュールにおいて利用可能なライセンス情報とに応じて、それぞれのモジュールにおける識別情報とライセンス情報との記憶されたリンクが有効であるかどうかを決定することをさらに含み得る。
【0055】
そのような方法ステップを実施することによって、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報に基づいて、モジュールの各々において、記憶されたリンクを検証することが可能である。言い換えれば、モジュールの各々において利用可能なライセンス情報は、有効性についてチェックされる。固有のモジュールについて、当該チェックすることの結果が否定である場合、確認されたライセンス情報が、電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して、または他のモジュールのうちの少なくとも1つから取得され得、当該チェックすることが繰り返され得る。固有のモジュールについて、当該チェックすることの結果が肯定である場合、記憶されたリンクは、有効なリンクと見なされ得る。
【0056】
例示的に、識別情報がモジュールの各々において利用可能であり得、動作方法は、モジュールの各々において利用可能な識別情報がマッチングしているかどうかをチェックすること、および、当該チェックすることの結果が否定である場合、電気外科用ジェネレータのユーザインターフェースを介して識別情報を取得することと、ライセンス情報がモジュールのうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるかどうかをチェックすること、ならびに、当該チェックすることの結果が肯定である場合、識別情報とライセンス情報とのリンクを生成し、生成されたリンクをモジュールの各々に提供し、生成されたリンクをモジュールの各々に記憶することとをさらに含み得る。
【0057】
そのような実施形態では、非集中型の構造が実装され得、この構造において、識別情報は、各モジュールにおいて利用可能であり、例えば、この識別情報とライセンス情報とのリンクと共に記憶され、ライセンス情報は、電気外科用ジェネレータのモジュールのいずれかによって、例えば、一時的にのみ、例えば詳細には有効性チェック中に設置され得る取り換え可能ライセンスキー記憶モジュールなど、ライセンス情報を提供するように特に構成されたモジュールによって、提供され得る。
【0058】
一実施形態によれば、動作方法は、モジュールの各々において、有効なリンクのライセンス情報が示すライセンスキーによって少なくとも部分的に指定される動作モードに応じた機能を提供することをさらに含む。
【0059】
このようにして、リンクが有効であるとチェックされた場合にモジュールが適切に動作され得ることが保証され得る。代替または追加として、有効性をチェックすることの結果が否定である場合、モジュールは、例えばモジュールのまたは電気外科用ジェネレータの好適なユーザインターフェースによって、対応する信号の出力をもたらし得る。信号が、電気外科用ジェネレータのおよび/またはモジュールの通信インターフェースによって送信されることも考えられる。そのような信号によって、ユーザは、例えばユーザインターフェースを介してまたは送信された信号を受信するように構成されたデバイスを介して、有効なリンクがモジュールにおいて利用可能でないことを通知され得る。
【0060】
本発明はまた、コンピュータプログラムがプロセッサ上で実行されたとき、プロセッサに、本発明による方法を実行および/または制御させるためのプログラム命令を含むコンピュータプログラムを含む。
【0061】
本発明によるコンピュータプログラムは、例えば、コンピュータ可読データキャリアに記憶される。
【0062】
このセクションにおける本発明の提示は、単に例であり、非限定的なものであることを理解されたい。
【0063】
本発明は、添付の図面と併せて例として以下により詳細に説明され、有利な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】一実施形態による電気外科用ジェネレータの概略機能図である。
図2】一実施形態による方法の概略フロー図である。
図3】一実施形態による方法の一部分の概略フロー図である。
図4】一実施形態による方法の一部分の概略フロー図である。
図5】一実施形態による方法の一部分の概略フロー図である。
図6】一実施形態による方法の一部分の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、電気外科用器具11に電力を供給するための電気外科用ジェネレータ10の概略機能図を示す。電気外科用器具11は、例として、電気メスである。電気外科用ジェネレータ10は、ライセンスキーによって定義される動作モードに応じた機能で動作するように構成された2つのモジュール20、20’を備える。電気外科用ジェネレータ10は、電気外科用ジェネレータ10の識別を表す一意のシリアル番号12を含む。電気外科用ジェネレータ10は、したがって、シリアル番号12によって識別可能である。シリアル番号12は、電気外科用ジェネレータ10のケース上にタグの形態で設けられる。
【0066】
電気外科用ジェネレータ10は、プロセッサ21と、通信インターフェース22と、データキャリア23と、ユーザインターフェース25とを含む。モジュール20、20’の各々は、データストレージ24、24’を備え、通信インターフェース26、26’によって、例えば、他のモジュール20、20’と、また電気外科用ジェネレータ10の通信インターフェース22と、通信リンクを介して通信するように設計される。電気外科用ジェネレータ10は、モジュール20、20’と、電気外科用ジェネレータ10と通信するようにも構成され得るさらなるモジュールを備え得る。データストレージ24、24’に、ライセンスキーを示すライセンス情報と、シリアル番号12を示す識別情報とのリンクが記憶される。電気外科用ジェネレータ10およびモジュール20、20’の機能ユニット(プロセッサ、通信インターフェース、データストレージ、データキャリア)の設計は、当業者の知識の範囲内であるため、以下でより詳細に説明されない。例えば、データストレージ24、24’およびデータキャリア23の設計において、一般的に使用されるメモリタイプ(RAM、ROM、EEPROM)を頼ることは、当業者には容易に熟知されている。当該データキャリア23は、本発明に係るコンピュータ可読媒体に相当する。
【0067】
図2は、上記で説明されたように電気外科用ジェネレータ10を動作させるための、一実施形態による動作方法100の概略フロー図を示す。電気外科用ジェネレータ10は、シリアル番号12によって識別可能であり、少なくとも2つのモジュール20、20’を備え、モジュール20、20’の各々は、ライセンスキーによって少なくとも部分的に指定される動作モードに応じた機能を有する。動作方法100は、電気外科用ジェネレータ10の設置後の初期始動内の初期化プロセスにおいて実行される。
【0068】
ステップ101において、電気外科用ジェネレータ10などの電気外科用ジェネレータが識別され得る、シリアル番号12を示す識別情報が、モジュール20、20’のうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるか、または利用可能にされる。ステップ102において、ライセンスキーを示すライセンス情報が、モジュール20、20’のうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるか、または利用可能にされる。ライセンス情報は、電気外科用ジェネレータ10のモジュール20、20’の各々を対象とする機能のカスタマイズされた範囲を示し、この機能は、電気外科用ジェネレータ10のモジュール20、20’の機能がそれに従って提供される動作モードを指定するライセンスキーなど、ライセンスキーによって指定される動作モードによって特徴付けられる。
【0069】
識別情報および/またはライセンス情報は、モジュール20、20’のデータストレージ24、24’に記憶され得るか、または、電気外科用ジェネレータ10のユーザインターフェース25を介してそれぞれの情報を取得することによってモジュール20、20’において利用可能にされ得る。識別情報を取得するために、タッチセンサ式ディスプレイとして構成されているユーザインターフェース25は、シリアル番号を示すユーザ入力についてユーザをプロンプトする。ユーザインターフェース25は、プロンプトに反応して行われたユーザ入力をキャプチャし、したがって、キャプチャされたユーザ入力に応じて決定される識別情報は、シリアル番号を示す。対応して、ライセンス情報を取得するために、ユーザインターフェース25は、ライセンスキーを示すユーザ入力についてユーザをプロンプトする。ユーザインターフェース25は、プロンプトに反応して行われたユーザ入力をキャプチャし、したがって、キャプチャされたユーザ入力に応じて決定されるライセンス情報は、電気外科用ジェネレータ10のモジュール20、20’の機能がそれに従って提供される動作モードを指定するライセンスキーを示す。
【0070】
モジュール20、20’の各々は、ステップ103において、ステップ101および102におけるそれにとって利用可能であるかまたは利用可能にされた識別情報およびライセンス情報のいずれかを、モジュール20、20’のうちの少なくとも1つの他方に提供する。したがって、モジュール20、20’は、識別情報およびライセンス情報を送信および受信するように構成され、その目的のために、モジュール20、20’は、少なくとも1つの無線および/または有線通信インターフェース26、26’を備える。
【0071】
ステップ104において、識別情報およびライセンス情報が提供されたモジュール20、20’のうちの少なくとも1つが、識別情報とライセンス情報とのリンクを生成する。
【0072】
生成されたリンクが、次いで、生成されたリンクをそれぞれ送信および受信するためのモジュールの通信インターフェース26、26’を使用することによって、ステップ105において他のモジュール20、20’の各々に提供される。ステップ105においてモジュール20、20’の各々に提供された生成されたリンクが、次いで、ステップ106において、それらのそれぞれのデータストレージ24、24’においてモジュール20、20’の各々に記憶される。
【0073】
さらに、提示された実施形態では、記憶されたリンクの有効性チェックが提供される。そのような有効性チェックは、ステップ101~106による初期化プロセスの後にモジュール20、20’の交換が行われ、電気外科用ジェネレータ10のモジュール20、20’に記憶されたリンクがマッチングしないか、または全く存在しないことがある場合、特に有利である。
【0074】
この目的のために、ステップ111において、モジュール20、20’のうちの少なくとも1つにおいて利用可能な識別情報からチェック識別情報が決定され、ステップ112において、モジュール20、20’のうちの少なくとも1つにおいて利用可能なライセンス情報からチェックライセンス情報が決定され、ステップ113において、モジュール20、20’のうちの少なくとも1つに記憶されたリンクから識別情報とライセンス情報とのチェックリンクが決定される。
【0075】
チェックリンクは、ステップ121において、リンクがモジュール20、20’のうちの2つ以上に記憶されているかどうかをチェックすることによって、ステップ113において決定される。これが当てはまらない場合、ステップ122において、この1つの記憶されたリンクがチェックリンクとして決定される。これが当てはまり、リンクが少なくとも2つのモジュール20、20’に記憶されている場合、ステップ123において、多数決に基づいてチェックリンクが決定される。多数決で過半数に達することができない場合、記憶されたリンクのうちの1つがチェックリンクとしてランダムに決定される。
【0076】
ステップ114において、ステップ111において決定されたチェック識別情報およびステップ112において決定されたチェックライセンス情報に応じて、ステップ113において決定されたチェックリンクが有効であるかどうかをチェックすることが実施される。チェックするステップ114の結果が肯定である場合、チェックリンクが、ステップ115において、有効なリンクとしてモジュール20、20’の各々に提供され、次いで、有効なリンクが、モジュール20、20’の各々に記憶される。
【0077】
チェックリンクが有効であるかどうかをチェックするステップ114の結果が否定である場合、ステップ131において、マッチングシリアル番号を示すマッチング識別情報およびマッチングライセンスキーを示すマッチングライセンス情報がモジュール20、20’の大部分において利用可能であるかどうかが、さらにチェックされる。
【0078】
これが当てはまる場合、すなわち、チェックするステップ131の結果が肯定である場合、ステップ132において、対応する識別情報と対応するライセンス情報とのリンクが生成され、有効なリンクとしてモジュール20、20’の各々に提供される。
【0079】
チェックリンクが有効であるかどうかをチェックするステップ114の結果が否定である場合、動作方法100はまた、図3の動作方法100の一部分の例示的な概略フロー図によって示されるように、方法部分Aを含み得る。方法部分Aは、ステップ114において無効であるとチェックされるべきリンクについての異なるシナリオを考慮して、識別情報とライセンス情報との有効なリンクを達成するための追加または代替の方法ステップを説明する。方法部分Aにおいて考慮される例示的なシナリオは、チェック識別情報によって、およびチェックリンクにおいてライセンス情報にリンクされた識別情報によって示されるシリアル番号の欠落したマッチと、チェックライセンス情報によって、およびチェックリンクにおいて識別情報にリンクされたライセンス情報によって示されるライセンスキーの欠落したマッチと、シリアル番号とライセンスキーの両方の欠落したマッチとを考慮に入れる。
【0080】
したがって、ステップ141において、ステップ111において決定されたチェック識別情報が識別情報とマッチングするかどうかが決定され、それに基づいて、ステップ113において決定されたチェックリンクが生成される。また、ステップ141において、ステップ112において決定されたチェックライセンス情報がライセンス情報とマッチングするかどうかが決定され、それに基づいて、ステップ113において決定されたチェックリンクが生成される。
【0081】
示されたシリアル番号のみがマッチングせず、示されたライセンスキーがマッチングする場合、ステップ142において、識別情報および/またはモジュール20、20’にとって利用可能なもしくはモジュール20、20’に記憶された識別情報とライセンス情報とのリンクに基づいて、確認された識別情報が取得され得るかどうかがチェックされる。電気外科用ジェネレータ10のモジュール20、20’の大部分において利用可能なそれぞれの情報が、それぞれ、マッチングシリアル番号およびライセンスキーを示す場合、情報は、確認されたと見なされる。
【0082】
チェックするステップ142の結果が肯定である場合、ステップ143において、確認された識別情報が第2のチェック識別情報として決定される。チェックするステップ142の否定的結果の場合、ステップ144において、電気外科用ジェネレータ10のユーザインターフェース25を介して第2のチェック識別情報が取得される。
【0083】
ステップ145において、決定または取得された第2のチェック識別情報とチェックライセンス情報とのチェックリンクが生成され、有効なリンクとしてモジュール20、20’の各々に提供され、モジュール20、20’の各々に記憶される。
【0084】
ステップ141~145における識別情報に関するチェックリンクの検証と同様に、ステップ151~155の主題であるように、ライセンス情報に関するチェックリンクの検証が、代替または追加として実施され得る。
【0085】
ステップ141と同様に、ステップ151において、チェック識別情報が識別情報とマッチングするかどうかが決定され、それに基づいてチェックリンクが生成され、チェックライセンス情報がライセンス情報とマッチングするかどうかが決定され、それに基づいてチェックリンクが生成される。ステップ142とは逆に、チェックライセンス情報がライセンス情報とマッチングしないと決定され、それに基づいてチェックリンクが生成され、チェック識別情報が識別情報とマッチングすると決定され、それに基づいてチェックリンクが生成される場合、ステップ152において、ライセンス情報および/またはモジュール20、20’にとって利用可能なもしくはモジュール20、20’に記憶された識別情報とライセンス情報とのリンクに基づいて、確認されたライセンス情報が取得され得るかどうかがチェックされる。チェックするステップ152の結果が肯定である場合、ステップ153において、確認されたライセンス情報が第2のチェックライセンス情報として決定される。チェックするステップ152の否定的結果の場合、ステップ154において、電気外科用ジェネレータ10のユーザインターフェース25を介して第2のチェックライセンス情報が取得される。ステップ155において、決定または取得された第2のチェックライセンス情報とチェック識別情報とのチェックリンクが生成され、有効なリンクとしてモジュール20、20’の各々に提供され、モジュール20、20’の各々に記憶される。
【0086】
チェックリンクが有効であるかどうかをチェックするステップ114の結果が否定である場合、同じく、ステップ161において、および再びステップ141および151と同様に、チェック識別情報が識別情報とマッチングするかどうかが決定され得、それに基づいてチェックリンクが生成され、また、チェックライセンス情報がライセンス情報とマッチングするかどうかが決定され得、それに基づいてチェックリンクが生成される。決定するステップ161の結果が否定である、すなわち、それぞれの情報によって示されたシリアル番号もライセンスキーもマッチングしない場合、ステップ162において、識別情報、ライセンス情報および/またはモジュール20、20’にとって利用可能なもしくはモジュール20、20’に記憶された識別情報とライセンス情報とのリンクに基づいて、確認された識別情報および確認されたライセンス情報が取得され得るかどうかがチェックされる。チェックするステップ162の結果が肯定である場合、ステップ163において、確認された識別情報が第2のチェック識別情報として決定され、確認されたライセンス情報が第2のチェックライセンス情報として決定される。チェックするステップ162の結果が否定である場合、ステップ164において、電気外科用ジェネレータ10のユーザインターフェース25を介して第2のチェック識別情報および第2のチェックライセンス情報が取得される。ステップ165において、第2のチェック識別情報と第2のチェックライセンス情報とのチェックリンクが生成され、有効なリンクとしてモジュール20、20’の各々に提供され、モジュール20、20’の各々に記憶される。
【0087】
説明された実施形態の動作方法100はまた、図4の動作方法100の一部分の例示的な概略フロー図によって示されるように、方法部分Bを含む。方法部分Bは、記憶された情報として利用可能な識別情報およびライセンス情報を有するマスタモジュールとして設計されるべきモジュール20、20’のうちの1つを考慮した追加または代替の方法ステップを説明する。
【0088】
このシナリオでは、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報は、ステップ103において他のモジュール20、20’の各々に提供される。この識別情報はまた、ステップ111において、チェック識別情報として決定され、マスタモジュールにおいて利用可能なライセンス情報が、ステップ112において、チェックライセンス情報として決定される。チェックリンクは、マスタモジュールにおいて、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報とマスタモジュールにおいて利用可能なライセンス情報とのマスタリンクを生成し、マスタリンクをチェックリンクとして決定することによって、ステップ113において決定される。したがって、このチェックリンクは、ステップ114において有効であるとチェックされ、ステップ115において、モジュールの各々において、有効なリンクとして提供および記憶される。
【0089】
ステップ171において、マスタモジュールを含むモジュール20、20’のいずれかにおいて、識別情報または識別情報とライセンス情報とのリンクが利用可能であるかどうかがチェックされる。識別情報が利用可能でないモジュール20、20’がある場合、ステップ172において、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報が、これらのモジュール20、20’に提供される。さらに、識別情報とライセンス情報とのリンクが利用可能でないモジュール20、20’がある場合、ステップ173において、マスタモジュールにおいて生成されたチェックリンクが、モジュール20、20’の各々に提供される。例えば工場からの新しいマスタモジュールの設置のために識別情報が利用可能でないマスタモジュールである場合、識別情報は、ユーザインターフェース25を介して取得され得る。
【0090】
さらに、例えば、新しいマスタモジュールが現場で電気外科用ジェネレータ10に設置されるシナリオでは、ステップ174において、他のモジュール20、20’に記憶された識別情報とライセンス情報とのリンクのいずれかが、マスタモジュールにおいて受信される。次いで、ステップ175において、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報およびライセンス情報に応じて、受信されたリンクが有効であるかどうかがチェックされる。チェックするステップ175のいずれかの結果が否定である場合、ステップ176において、電気外科用ジェネレータ10のユーザインターフェース25を介してライセンス情報が取得され、それに応じてマスタモジュールにとって利用可能にされる。
【0091】
モジュール20、20’の各々が、例えばデータストレージ24、24’に記憶された利用可能な識別情報およびライセンス情報を有するように構成される実施形態では、動作方法100は、図5の動作方法100の一部分の例示的な概略フロー図に示されるように、方法部分Cを含み得る。
【0092】
識別情報および/またはライセンス情報が、ステップ181において電気外科用ジェネレータ10のユーザインターフェース25を介して、またはステップ182においてモジュール20、20’のうちの少なくとも1つから、取得される。ステップ183において、取得された識別および/またはライセンス情報は、それぞれの情報が利用可能でないモジュール20、20’のいずれかに提供される。ステップ184において、モジュール20、20’の各々において、それぞれのモジュール20、20’において利用可能な識別情報とライセンス情報とのリンクが生成され、データストレージ24、24’に記憶される。
【0093】
さらに、ステップ181および182の取得することは、マスタモジュールにおいて利用可能な識別情報を、モジュール20、20’の各々に提供するステップ191を含む。次いで、また、ステップ192において、モジュール20、20’の各々において、提供された識別情報とそれぞれのモジュール20、20’において利用可能なライセンス情報とに応じて、それぞれのモジュールに記憶された識別情報とライセンス情報とのリンクが有効であるかどうかが決定される。
【0094】
識別情報がモジュール20、20’の各々において利用可能である、例えば記憶される実施形態では、動作方法100は、図6の動作方法100の一部分の例示的な概略フロー図に示されるように、方法部分Dを含む。
【0095】
ステップ201において、モジュール20、20’の各々において利用可能な識別情報がマッチングしているかどうかがチェックされる。チェックするステップ201の結果が否定である場合、ステップ202において、電気外科用ジェネレータ10のユーザインターフェース25を介して識別情報が取得される。さらに、ステップ203において、ライセンス情報がモジュール20、20’のうちの少なくとも1つにおいて利用可能であるかどうかがチェックされる。チェックするステップ203の肯定的結果の場合、ステップ204において識別情報とライセンス情報とのリンクが生成され、モジュール20、20’の各々に提供され、データストレージ24、24’に記憶される。
【0096】
これは、事前決定されたライセンスキーによって指定された、モジュラー設計の電気外科用ジェネレータ10の効率的な動作を可能にする。ライセンスキーに従ってモジュール20、20’の機能を提供するために、この識別情報とライセンス情報とのリンクに加えて、識別情報自体がモジュール20、20’の各々に存在する。リンクがそれによって生成されたライセンスキーの検証のために、ライセンス情報の利用可能性は、例えば、詳細にはライセンス情報を提供するために構成され得る1つのモジュールについてのみ必要とされる。
【0097】
本明細書で説明された本発明の実施形態、ならびにそれに関して各場合において示された任意選択の特徴および特性はまた、互いにすべての組合せで開示されると理解されるものとする。特に、実施形態によって包含される特徴の説明はまた、そうではないと明示的に述べられない限り、本明細書では、その特徴が実施形態に不可欠または必須であることを意味すると理解されるものではない。
【符号の説明】
【0098】
10 電気外科用ジェネレータ
11 電気外科用器具
12 シリアル番号
20,20’ モジュール
21 プロセッサ
22 通信インターフェース
23 データキャリア
24,24’ データストレージ
25 ユーザインターフェース
26,26’ 通信インターフェース
100 動作方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6