(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091555
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム、混合比率設定プログラムおよび混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20240627BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20240627BHJP
B29B 7/72 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B29C45/76
B29B9/06
B29B7/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214220
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2022205712
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 悠司
(72)【発明者】
【氏名】小柳 昴平
(72)【発明者】
【氏名】野村 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】堀内 俊輔
【テーマコード(参考)】
4F201
4F206
【Fターム(参考)】
4F201AR20
4F201BA01
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC13
4F201BD04
4F201BK02
4F201BK74
4F201BK75
4F201BL08
4F206AA50
4F206AB25
4F206AC01
4F206AM23
4F206AR20
4F206JA07
4F206JF01
4F206JF51
4F206JL09
4F206JM01
4F206JN01
(57)【要約】
【課題】所望の特性を有する混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を効率的に設計することができる混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム、混合比率設定プログラムおよび混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、コンピュータに、互いに繊維長分布が異なる2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Ai(1≦i≦n)の混合比率Xi(ΣXi=1.0)を説明変数、該繊維強化熱可塑性樹脂組成物を含む混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性値を目的変数とする学習用データを用いて機械学習を実行することにより学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成ステップ、を実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
互いに繊維長分布が異なる2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Ai(1≦i≦n)の混合比率Xi(ΣXi=1.0)を説明変数、該繊維強化熱可塑性樹脂組成物を含む混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性値を目的変数とする学習用データを用いて機械学習を実行することにより学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成ステップ、
を実行させる混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項2】
前記特性値は、ISO規格ISO1133-1:2011によって規定されるメルトフローレート、混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を射出成形して得られる試験片の、ISO527-1,2:2012によって規定される引張特性、ISO178:2010によって規定される曲げ特性、および、ISO179:2010によって規定される衝撃特性から選択されるいずれかである、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項3】
前記学習済みモデル生成ステップは、線形回帰モデルを用いて前記機械学習を実行する、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項4】
前記線形回帰モデルは、Lasso回帰モデル、Ridge回帰モデルまたはElastic Net回帰モデルである、
請求項3に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項5】
前記特性値が、耐ヒートサイクル性である、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項6】
前記学習済みモデル生成ステップは、勾配ブースティング木またはランダムフォレストを用いて前記機械学習を実行する、
請求項5に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項7】
前記説明変数として、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または前記混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の比重であって、ISO規格ISO1183:2019によって規定される比重をさらに含む、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項8】
前記説明変数として、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または前記混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の灰分率であって、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または前記混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を550℃で3時間焼成して得られる残渣の重量を、焼成前の重量で除して得られる灰分率をさらに含む、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項9】
前記説明変数として、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または前記混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物に含まれる繊維状充填材の重量平均繊維長または数平均繊維長のうちの少なくとも一つをさらに含む、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項10】
前記説明変数として、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Aiを特定する名称をさらに含む、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項11】
前記2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物のうちの少なくとも一つは、製造工程によって発生する工程端材、および/または、製品として使用後に回収された成形品を粉砕して得られた粒状物である、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項12】
前記2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物のうちの少なくとも一つは、熱可塑性樹脂中に、長手方向を揃えて束ねられた複数の繊維状充填材からなる繊維束を含有する長繊維強化熱可塑性樹脂組成物である、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項13】
前記2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の各粒状物は、同種の熱可塑性樹脂によって形成されている、
請求項1に記載の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
互いに繊維長分布が異なる2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Ai(1≦i≦n)の混合比率Xi(ΣXi=1.0)を説明変数、該繊維強化熱可塑性樹脂組成物を含む混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性値を目的変数とする機械学習によって生成された学習済みモデルに対して、2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率の候補である複数の混合比率候補をそれぞれ入力する入力ステップと、
前記学習済みモデルが出力する複数の特性値のうち、所定の条件に適合する特性値を与える混合比率候補を最適な混合比率として設定する設定ステップと、
を実行させる混合比率設定プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の混合比率設定プログラムによって設定された前記最適な混合比率で前記2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物を混合する、
混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム、混合比率設定プログラムおよび混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジニアリングプラスチックは、耐熱性、難燃性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性および機械的強度や寸法安定性などに優れた樹脂組成物である。さらに、樹脂組成物にガラス繊維や炭素繊維などの繊維状充填材や、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等の無機充填材を配合することにより、機械的強度や寸法安定性を向上させることができることが知られている。例えば、特許文献1、2には、長さが互いに異なる繊維や各種添加剤を配合した混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-179738号公報
【特許文献2】特開平11-166054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、長さが異なる繊維の混合比率や、繊維長の分布によって、作製される混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性が異なる。求められる特性を有する混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を得るため、特性が分かっている既製の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物のほか、様々な混合パターンによる混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性を予測することが求められていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、所望の特性を有する混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を効率的に設計することができる混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラム、混合比率設定プログラムおよび混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、コンピュータに、互いに繊維長分布が異なる2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Ai(1≦i≦n)の混合比率Xi(ΣXi=1.0)を説明変数、該繊維強化熱可塑性樹脂組成物を含む混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性値を目的変数とする学習用データを用いて機械学習を実行することにより学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成ステップ、を実行させる。
【0007】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記特性値は、ISO規格ISO1133-1:2011によって規定されるメルトフローレート、前記混合繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる試験片のISO527-1,2:2012によって規定される引張特性、ISO178:2010によって規定される曲げ特性、および、ISO179:2010によって規定される衝撃特性から選択されるいずれかである。
【0008】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記学習済みモデル生成ステップは、線形回帰モデルを用いて前記機械学習を実行する。
【0009】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記線形回帰モデルは、Lasso回帰モデル、Ridge回帰モデルまたはElastic Net回帰モデルである。
【0010】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記特性値が、耐ヒートサイクル性である。
【0011】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記学習済みモデル生成ステップは、勾配ブースティング木またはランダムフォレストを用いて前記機械学習を実行する。
【0012】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記説明変数として、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または前記混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の比重であって、ISO規格ISO1183:2019によって規定される比重をさらに含む。
【0013】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記説明変数として、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または前記混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の灰分率であって、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または前記混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を550℃で3時間焼成して得られる残渣の重量を、焼成前の重量で除して得られる灰分率をさらに含む。
【0014】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記説明変数として、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または前記混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物に含まれる繊維状充填材の重量平均繊維長または数平均繊維長のうちの少なくとも一つをさらに含む。
【0015】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記説明変数として、前記繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Aiを特定する名称をさらに含む。
【0016】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物のうちの少なくとも一つは、製造工程によって発生する工程端材、および/または、製品として使用後に回収された成形品を粉砕して得られた粒状物である。
【0017】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物のうちの少なくとも一つは、熱可塑性樹脂中に、長手方向を揃えて束ねられた複数の繊維状充填材からなる繊維束を含有する長繊維強化熱可塑性樹脂組成物である。
【0018】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物特性予測モデル生成プログラムは、上記発明において、前記2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の各粒状物は、同種の熱可塑性樹脂によって形成されている。
【0019】
また、本発明に係る混合比率設定プログラムは、コンピュータに、互いに繊維長分布が異なる2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Ai(1≦i≦n)の混合比率Xi(ΣXi=1.0)を説明変数、該繊維強化熱可塑性樹脂組成物を含む混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性値を目的変数とする機械学習によって生成された学習済みモデルに対して、2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率の候補である複数の混合比率候補をそれぞれ入力する入力ステップと、前記学習済みモデルが出力する複数の特性値のうち、所定の条件に適合する特性値を与える混合比率候補を最適な混合比率として設定する設定ステップと、を実行させる。
【0020】
また、本発明に係る混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、上記発明に係る混合比率設定プログラムによって設定された前記最適な混合比率で前記2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物を混合する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、所望の特性を有する混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を効率的に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る混合比率設定システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係る混合比率設定システムが備える学習装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、互いに異なる繊維長の繊維強化熱可塑性樹脂組成物について説明するための図(その1)である。
【
図4】
図4は、互いに異なる繊維長の繊維強化熱可塑性樹脂組成物について説明するための図(その2)である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態1に係る混合比率設定システムが備える混合比率設定装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態1に係る混合比率設定システムが備える混合比率設定装置が行う予測処理の流れを説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態1に係る学習装置が行う学習処理の概要を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態1に係る混合比率設定装置が行う混合比率設定処理の概要を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態2に係る学習装置が行う学習処理の概要を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態3に係る混合比率設定装置が行う混合比率設定処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る混合比率設定システムの実施形態を、図面に基づいて、詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0024】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る混合比率設定システムの概略構成を示す図である。混合比率設定システム1は、学習用データを作成し、該作成した学習用データを用いて学習した学習済みモデルを生成する学習装置2と、学習装置2が生成した学習済みモデルを用いて、ユーザが所望する特性値を与える混合比率を設定する混合比率設定装置3と、混合比率設定装置3の設定結果を含む情報を表示する表示装置4と、入力装置5とを備える。混合比率設定システム1によって、樹脂中に複数の繊維状充填材を含む混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物において混合される、2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率が設定される。
【0025】
各繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、互いに繊維長(または繊維長分布)が異なる繊維状充填材をそれぞれ含む。繊維状充填材としては、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、異形断面ガラスファイバー、ガラスカットファイバー、扁平ガラス繊維、高弾性ガラス繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維、ロックウール、PAN(Polyacrylonitrile)系やピッチ系等の炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、炭酸カルシウムウィスカー、ワラステナイトウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、セラミック繊維、ジルコニア繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維等が挙げられ、同一の種類の繊維状充填材をそれぞれ含む場合もあれば、互いに異なる種類の繊維状充填材を含む場合もある。繊維状充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維が好ましく、特にガラス繊維が好ましい。また、これら繊維をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物等のカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得るという観点で好ましく、中でもエポキシ基を含む収束剤で処理することが好ましい。混合比率設定装置3では、例えば繊維長が互いに異なる複数のガラス繊維を含む繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率が設定される。
【0026】
また、繊維強化熱可塑性樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂とは、加熱と冷却による溶融と固化が可逆的な樹脂であり、具体例として、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ナイロン6や、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、芳香族系ナイロン等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシルジメチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等の熱可塑性エラストマー、およびそれらの共重合体、ならびにこれらのうち複数の樹脂からなるポリマーアロイが代表例として挙げられる。
【0027】
本実施の形態における混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、繊維状充填材以外の添加剤を配合して用いてもよい。繊維状充填材以外の添加剤としては、例えば非繊維状の無機充填材等が挙げられる。
【0028】
非繊維状の無機充填材としては、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、ハイドロタルサイト等の珪酸塩、酸化珪素、ガラス粉、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、シリカ(破砕状・球状)、石英、ガラスビーズ、ガラスフレーク、破砕状・不定形状ガラス、ガラスマイクロバルーン、二硫化モリブデン、酸化アルミニウム(破砕状)や、透光性アルミナ(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、酸化チタン(破砕状)、酸化亜鉛(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)等の酸化物、炭酸カルシウムや、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、水酸化カルシウムや、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭化珪素、カーボンブラックおよびシリカ、黒鉛、窒化アルミニウム、透光性窒化アルミニウム(繊維状・板状・鱗片状・粒状・不定形状・破砕品)、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物等が挙げられる。ここで、金属種(金属粉、金属フレーク、金属リボン)の具体例としては、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫等が例示できる。また、その他の無機充填材としてカーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、フラーレン、グラフェン等が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら無機充填材を2種類以上併用することも可能である。なかでも炭酸カルシウム、カーボンブラック、黒鉛が好ましい。
【0029】
その他の添加剤としては、例えば、シラン化合物(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシランや、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシランや、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルエチルジメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルエチルジエトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリクロロシラン等のイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランや、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物、および、γ-ヒドロキシプロピルトリメトキシシランや、γ-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物等)や、酸化防止剤および耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、リン系、ホスファイト系、アミン系、硫黄系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、ステアラート、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p-オキシ安息香酸オクチル、N-ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、または、これらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、熱安定剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムなどの滑剤、ビスフェノールA型などのビスフェノールエポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の強度向上材、紫外線防止剤や、着色剤、難燃剤および発泡剤等の通常の添加剤が挙げられる。
【0030】
また、特性値は、例えば機械物性値である。ここで、機械物性値は、例えば、ISO規格ISO1133-1:2011によって規定されるメルトフローレート、ISO527-1:2012またはISO527-2:2012によって規定される混合繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる試験片の引張特性、ISO178:2010によって規定される混合繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる試験片の曲げ特性、および、ISO179:2010によって規定される混合繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる試験片の衝撃特性から選択されるいずれかである。
なお、特性値は、上述したメルトフローレート等のほか、ウェルド強度、荷重たわみ温度、線膨張係数、成形収縮率、スパイラル流動長、離形性、水圧破壊強度、耐ヒートサイクル性等が挙げられる。また、特性値は、機械物性値以外の値、例えば、色相の値等であってもよい。上記のうち、特に有益な特性値として、耐ヒートサイクル性が挙げられる。耐ヒートサイクル性とは、熱可塑性樹脂を金属ブロックにインサート成形して得たインサート成形品を、高温条件(例えば、130℃×1時間)で処理後、低温条件(例えば、-40℃×1時間)で処理することを1回として、インサート成形品にクラックが認められるまでの処理数によって求められる特性であり、厳しい温度変化への耐性が求められる自動車用途において重要な特性値である。
【0031】
続いて、学習装置2の構成について
図2を参照して説明する。学習装置2は、混合比率設定装置3と電気的に接続されている。学習装置2は、学習用データを選択的に抽出して、抽出した学習用データを用いた学習によって学習済みモデルを生成して出力する。
【0032】
図2は、本発明の実施形態1に係る混合比率設定システムが備える学習装置の構成を示すブロック図である。学習装置2は、抽出部21、学習部22、制御部23および記憶部24を有する。
【0033】
抽出部21は、記憶部24に記憶されているデータから、混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物に含まれる繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率である混合比率と、当該混合比率での混合によって製造される混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性値とが対応付いているデータを抽出する。すなわち、抽出されるデータは、特性値が分かっている既知の混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物のデータであって、当該混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物が含む繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率が対応付いたデータである。この際、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の情報としては、繊維状充填材の繊維長を含む。繊維長は、最長値、最短値、中間値、最頻値のいずれか一つを含む。なお、抽出部21は、入力装置5を介して入力された条件にしたがってデータを抽出してもよい。
抽出部21が抽出したデータセットは、混合比率を説明変数、特性値を目的変数とする学習用データとして用いられる。
ここで、混合比率は、過去に蓄積された、混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物中の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の組成比を重量比で表したデータである。
【0034】
図3および
図4は、互いに異なる繊維長の繊維強化熱可塑性樹脂組成物について説明するための図である。混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の製造において、繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、例えば、複数の繊維状充填材を含む熱可塑性樹脂からなる粒状物が用いられる。具体的には、例えば、
図3に示す三つの繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物(粒状物FP
R、FP
VおよびFP
L)が挙げられる。
【0035】
各繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物は、熱可塑性樹脂中に、複数の繊維状充填材を含有する熱可塑性樹脂組成物である。この際、各繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、混合するという観点で、同種の熱可塑性樹脂によって形成されることが好ましい。ここでいう同種とは、樹脂の繰り返し単位が同じであることをいい、公知の分光分析法や、元素分析法や、熱分析法によって同定を行うことが有効である。また、相溶する熱可塑性樹脂の組み合わせも同種の熱可塑性樹脂である。相溶する、とは異なる熱可塑性樹脂をポリマーブレンドした場合に単一相を形成することを意味し、公知の相構造観察等によって同定を行うことが有効である。
【0036】
粒状物FPRは、例えば、射出成形機による射出成形工程や、溶融混練機による押出工程、および成形品の粉砕工程などの折損工程を経て繊維状充填材が折損して繊維長が短くなった、所謂リサイクル材である。リサイクル材は、製造工程によって発生する工程端材、および/または、混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の成形品を製品として市場で使用後に回収された成形品や、試験等によって作製され、試験実施後の成形品を粉砕して得られた粒状物である。工程端材は、例えば、スプルーやランナーである。
【0037】
粒状物FPVは、例えば、粒状物FPRに対し、上述した折損工程が施される前の、折損が生じていない繊維状充填材を含むバージン材である。
【0038】
粒状物FPLは、繊維の長さやその分布が、バージン材に含まれる繊維状充填材よりも長い長繊維材である。粒状物FPLは、例えば、長手方向を揃えて束ねられた複数の繊維状充填材からなる繊維束を含む。
【0039】
繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物FPR、FPVおよびFPLは、それぞれ異なる繊維長分布を有する。具体的には、粒状物FPRは、相対的に短い繊維長分布DRを有する。一方、粒状物FPLは、相対的に長い繊維長分布DLを有する。粒状物FPVは、粒状物FPRおよびFPLの繊維長分布の間に位置する繊維長分布DVを有する。これらの粒状物FPR、FPVおよびFPLを混合する比率を変えることによって、混合後の繊維長分布が変化する。例えば、粒状物FPRおよびFPVを1:1で混合した場合(粒状物FPLの比率はゼロ)、粒状物FPRおよびFPVの各繊維長分布の中間に位置する繊維長分布DVRとなる。また、粒状物FPR、FPVおよびFPLを所定の比率で混合した場合、粒状物FPVの繊維長分布と同等の長さにピークを有する繊維長分布DMに調整することができる。
【0040】
また、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物の情報として、繊維状充填材の繊維長のほか、繊維状充填材の種類、繊維径、繊維長分布の値、成形条件を数値化した値等をさらに含んでもよい。繊維長は、公知である数平均繊維長、重量平均繊維長などとして扱ってもよい。繊維長分布としては、繊維長の分散、偏差の値や、繊維状充填材の繊維長が何らかの統計分布に従う場合は、その分布を表すパラメータを用いてもよい。さらに、繊維長毎に分けた各区分に属する度数分布として扱ってもよい。
【0041】
学習部22は、互いに繊維長分布が異なる2種類以上の繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Ai(1≦i≦n、Nは2以上の自然数)の混合比率Xi(1≦i≦n、ΣXi=1.0)を説明変数、該繊維強化熱可塑性樹脂組成物を含む混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性値を目的変数とする学習用データを用いて機械学習を実行することにより学習済みモデルを生成する。
【0042】
また、説明変数として、混合比率に加え、比重や灰分率を含むようにしてもよいし、重量平均繊維長または数平均繊維長のうちの少なくとも一つを含むようにしてもよいし、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Aiを特定する名称を含むようにしてもよいし、これらを組み合わせて含むようにしてもよい。
比重は、繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の比重であって、ISO規格ISO1183:2019によって規定される比重をさらに含む。
灰分率は、繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物の灰分率であり、繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を550℃で3時間焼成して得られる残渣の重量を、焼成前の重量で除して得られる。
重量平均繊維長および数平均繊維長は、繊維強化熱可塑性樹脂組成物および/または混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物に含まれる繊維状充填材の重量平均繊維長または数平均繊維長である。
繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Aiを特定する名称は、カテゴリ変数であるため、機械学習に採用される学習方法に応じて、適宜、ダミー変数に変換するOne Hot Encodingにより数値化することが好ましい。
比重、灰分率、繊維長は、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の特性に与える影響が大きいほか、物性値の取得が容易であり、品質保証値として利用されているため、説明変数に適している。繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Aiを特定する名称は、学習済みモデルに粒状物Aiのロット毎の特性差を反映することが可能となるため、本モデルを工業利用する観点で説明変数に適している。
【0043】
また、混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を構成する繊維強化熱可塑性樹脂組成物以外の原料や、その配合条件等を説明変数としてさらに含んでもよい。この場合、例えば、樹脂比率や添加剤比率をさらに含む。
【0044】
学習部22が行う学習は、公知の学習方法を採用することができる。学習に採用される統計モデルとしては、例えば、線形回帰モデル、一般加法モデル、ランダムフォレスト、ルールフィット回帰、勾配ブースティング木、エクストラツリー、サポートベクトル回帰、ガウス過程回帰、k最近傍法による回帰、カーネルリッジ回帰、ニューラルネットワーク等が挙げられる。線形回帰モデルとしては、Lasso回帰モデル、Ridge回帰モデル、Elastic Net回帰モデルが挙げられる。
【0045】
学習部22が行う学習に採用される統計モデルの評価指標としては、例えば、MAE(Mean Absolute Error)や、RMSE(Root Mean Squared Error)等の公知の方法を用いて算出することができる。統計モデルは、モデルの解釈性に優れる観点で、線形回帰モデルが好ましく、Lasso回帰モデル、Ridge回帰モデル、Elastic Net回帰モデルは、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の情報量(種類等)が増えた際の過学習を抑制できるためより好ましい。本発明では、解釈性に優れる線形回帰モデルの精度を向上するために、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Ai(1≦i≦n)の混合比率Xi(ΣXi=1.0)を説明変数に選定した。この設計により、説明変数の加成性が成立しやすくなり、モデルの精度と解釈性の向上を図ることができる。さらに、混合比率Xi=1.0(すなわち、単一の繊維強化熱可塑性樹脂組成物)の特性値を取得して、内挿の予測とすることでモデルの精度を向上することができる。
また、特性値が耐ヒートサイクル性の場合、該特性は各種機械特性や線膨張係数等の複数の特性値の影響を受ける特性なため、線形回帰系の学習方法では挙動を捉えることが難しく、勾配ブースティング木、ランダムフォレストを用いることが好ましい。
【0046】
このほか、例えば、学習部22が正則化を用いた学習によって学習済みモデルを生成する場合、学習部22は、学習済みモデルのハイパーパラメータの候補値を複数与え、与えられたハイパーパラメータの候補値のそれぞれに対して学習を実行し、一つの目的変数(機械物性値)について、一つの学習済みモデルを生成し、記憶部24に格納する。その後、学習部22は、各候補値によって学習して得たモデルに対し、学習用データを用いて、交差検証またはホールドアウト検証による予測誤差を算出し、最小の予測誤差を与える学習済みモデルを選択する。なお、ここでいうハイパーパラメータは、学習部22が学習を行うためにあらかじめ設定しておくパラメータであり、例えば正則化の係数などを含む。また、ニューラルネットワークを用いた学習済みモデルの場合のハイパーパラメータには、ニューラルネットワークの層の数なども含まれる。
【0047】
制御部23は、学習装置2の動作を統括して制御する。
【0048】
記憶部24は、学習装置2を動作させるための各種プログラム、および学習装置2の動作に必要な各種パラメータ等を含むデータを記憶する。各種プログラムには、学習用データを用いて学習して学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成プログラムも含まれる。各種パラメータには、ハイパーパラメータや、学習部22が学習することによって取得したパラメータ等が含まれる。また、記憶部24は、学習用データを構成するためのデータ(例えば、上述した混合比率や機械物性値)を記憶する。
【0049】
記憶部24は、各種プログラム等があらかじめインストールしたROM(Read Only Memory)、および各処理の演算パラメータやデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いて構成される。
【0050】
各種プログラムは、HDD、フラッシュメモリ、CD-ROM、DVD-ROM、Blu-ray(登録商標)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。ここでいう通信ネットワークは、例えば既存の公衆回線網、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等を用いて構成されるものであり、有線、無線を問わない。
【0051】
以上の機能構成を有する学習装置2は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の1または複数のハードウェアを用いて構成されるコンピュータである。
【0052】
続いて、混合比率設定装置3について、
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、混合比率設定装置の構成を示すブロック図である。混合比率設定装置3は、学習装置2および表示装置4と電気的に接続されている。混合比率設定装置3は、設定部31、制御部32および記憶部33を有する。
【0053】
混合比率設定装置3は、設定候補となる混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物における繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率と、学習装置2から取得した学習済みモデルとを用いて、条件に適した機械物性値(予測値)を有する混合比率を設定する。
【0054】
図6は、混合比率設定装置が行う予測処理の流れを説明するための図である。設定部31は、学習装置2から学習済みモデル100を取得する。設定部31は、この学習済みモデル100を用いて、混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物が含む繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率IPから、機械物性値の予測値OPをそれぞれ出力する。各混合比率IP(混合比率1~N)は、混合繊維強化樹脂組成物における繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率候補である。ここでの混合比率1~Nは、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率が互いに異なっている。予測値OPは、混合比率1~Nから生成される特性値(予測値)1~Nである。設定部31は、設定入力された機械物性値に適した予測値を抽出し、該抽出した混合比率候補を混合比率に設定する。なお、この際に設定する混合比率は、予測値が条件を満たす複数の混合比率のうち最も好適な一つの混合比率であってもよいし、予測値が条件を満たす複数の混合比率であってもよい。
【0055】
最適な予測値の抽出は、目的とする特性値(予測値)が、最も好ましい値になった状態となることであり、本実施の形態において、例えば強度の場合は最大化であり、線膨張係数の場合は最小化することと同義である。好ましい範囲がある場合には、その範囲内に機械物性値(予測値)が収まることである。このときの目的変数に対する予測値が最も好ましい値を示す混合比率が最適混合比率である。
【0056】
最適な混合比率を得る具体的な探索方法としては、各繊維強化熱可塑性樹脂組成物の取り得る範囲から混合比率の候補を網羅的に算出し、学習済みモデルおよび各混合比率候補から目的とする各特性値の予測値を算出し、予測結果から各特性値の予測値が目標域を満たす混合比率を選定するグリッドサーチ法、または、予め探索回数の上限を決めてランダムに混合比率候補を算出し、予測値が最大化/最小化される混合比率を得るランダムサーチ法が挙げられる。また、学習済みモデルの生成に採用された統計モデルが予測値の誤差や分布を同時に算出できる場合には、予測値の予測誤差が考慮された、予測値平均±予測誤差で表される信頼区間を対象にして蓄積データの極値付近を選択する「活用」と、データ点が少ない空間を選択する「探索」を繰り返すベイズ最適化法を探索方法として用いることができる。
【0057】
制御部32は、混合比率設定装置3の動作を統括して制御する。制御部32は、設定部31の算出結果(設定結果)を表示装置4に表示させる表示制御部321を有する。表示制御部321は、設定結果に加えて、原料や、該原料および予測される特性値等の情報を表示装置4に表示させてもよい。
【0058】
記憶部33は、混合比率設定装置3を動作させるための各種プログラム、および混合比率設定装置3の動作に必要な各種パラメータ等を含むデータを記憶する。各種プログラムには、学習済みモデルを用いて実行される混合比率設定プログラムも含まれる。また、記憶部33は、混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を構成する繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率の候補(以下、単に混合比率候補ともいう)を記憶する。この混合比率候補は、学習装置2と同期をとって更新してもよい。記憶部33は、各種プログラム等があらかじめインストールされたROM、および各処理の演算パラメータやデータ等を記憶するRAM、HDD、SSD等を用いて構成される。
【0059】
各種プログラムは、HDD、フラッシュメモリ、CD-ROM、DVD-ROM、Blu-ray(登録商標)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。また、混合比率設定装置3が、通信ネットワークを介して各種プログラムを取得することも可能である。ここでいう通信ネットワークは、例えば既存の公衆回線網、LAN、WAN等を用いて構成されるものであり、有線、無線を問わない。
【0060】
以上の機能構成を有する混合比率設定装置3は、CPU、GPU、ASIC、FPGA等の1または複数のハードウェアを用いて構成されるコンピュータである。
【0061】
表示装置4は、液晶や有機EL(Electro Luminescence)などからなるディスプレイであり、混合比率設定装置3と電気的に接続されている。表示装置4は、表示制御部321の制御のもとで混合比率設定装置3から出力される表示用データを取得して表示する。なお、表示装置4がスピーカ等の音声出力機能を有してもよい。
【0062】
入力装置5は、混合比率を設定する処理に関する設定機械物性値等の情報を含む各種情報の入力を受け付け、受け付けた情報を学習装置2および混合比率設定装置3に出力する。入力装置5は、キーボード、マウス、マイク、タッチパネル等のユーザインタフェースを用いて構成される。
【0063】
次に、学習装置2が行う学習処理の流れについて、
図7を参照して説明する。
図7は、本発明の実施形態1に係る学習装置が行う学習処理の概要を示すフローチャートである。まず、学習装置2は、記憶部24を参照して、学習に用いるデータセットを抽出する(ステップS11)。ここでは、抽出部21が、各繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率と、混合比率に対応付いた機械物性値とを組とするデータセットを抽出する。このデータセットは、学習済みモデル生成のための学習用データに相当する。
【0064】
一般的に、データセットにおける1つの説明変数中の値の分布に関しては、偏りが少ない方が好ましい。例えば、説明変数に各繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率を用いた場合、出現頻度の低い繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率は多くの学習用データで0になるが、このような変数の割合が高くなると精度の高い学習済みモデルを得ることが難しくなる。学習用データで使用される頻度が小さく、1つのデータにおいて混合比率が0となる割合が高い場合には、説明変数に、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の粒状物Aiを特定する名称(例えば上述したダミー変数)を加えることも有効である。
【0065】
学習部22は、ステップS11において生成された学習用データを用いて機械学習を実行することによって学習済みモデルを生成する(ステップS12)。
【0066】
その後、混合比率設定装置3において、設定対象の機械物性値に適した混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物における繊維強化熱可塑性樹脂組成物の最適な混合比率を設定する。
図8は、本発明の実施形態1に係る混合比率設定装置が行う混合比率設定処理の概要を示すフローチャートである。設定部31は、学習装置2から学習済みモデルを取得し、記憶部33を参照して混合比率候補を学習済みモデルに入力する(ステップS21)。各混合比率候補が学習済みモデルに入力されると、それぞれについて予測される特性値(予測値)が出力される(
図6参照)。
【0067】
設定部31は、各混合比率候補の予測値から、最適な予測値を選択する(ステップS22)。本実施の形態において、設定部31は、設定されている条件を満たす、最適となる予測値を選択する。なお、設定されている条件(ここでは所望の機械物性値)のうち、最適な一つの予測値が選択されるものして説明するが、設定条件を満たす予測値が複数存在する場合、設定条件を満たすすべての予測値を選択してもよいし、設定条件を満たす予測値の上位数個を選択してもよい。
【0068】
その後、設定部31は、選択された予測値に対応する混合比率候補を、最適な混合比率に設定する(ステップS23)。
【0069】
表示制御部321は、設定部31から設定結果を取得すると、この設定結果を表示装置4に出力し、該表示装置4に設定結果を表示させる表示制御を行う。表示装置4は、設定対象の特性値を示すことが予測される最適な繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率を表示する。
この際、表示装置4や、特性値を入力する入力装置5が、混合比率設定装置3とは異なる場所や施設(外部施設)に設置されている場合、混合比率設定装置3からネットワーク等を介して最適な混合比率に関する情報が表示装置4に送信される。この際、外部施設への情報は、当該外部施設のユーザが満たす条件に応じて提供内容が設定される。
【0070】
以上説明した実施形態1では、混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物における繊維強化熱可塑性樹脂組成物の混合比率の各候補に対してそれぞれ予測される特性値を、学習済みモデルを用いて生成し、最適な予測値となる混合比率候補を混合比率に設定する。本実施形態1によれば、研究開発担当者が試行錯誤することなく、所望の特性を有する混合繊維強化熱可塑性樹脂組成物を効率的に設計することができる。
【0071】
また、本実施形態1では、リサイクル材(粒状物FPR)、バージン材(粒状物FPV)および長繊維材(粒状物FPL)を用いて特性値を予測するため、リサイクル材およびバージン材のみを用いて特性値を予測する場合と比して、得られる混合比率のバリエーションが多くなる。これにより、様々な機械物性値に対応した混合比率を得ることができる。
【0072】
(実施形態2)
次に、本実施形態2について、説明する。実施形態2では、上述した学習済みモデルの生成処理(
図7参照)が異なる。なお、学習済みモデルの生成以外の処理は、実施形態1と同じである。実施形態2では、互いに異なる複数の統計モデルを用いて検証用の学習済みモデルを生成し、検証用の学習済みモデルにおける予測値の予測精度が最も良好な統計モデルを抽出し、抽出した統計モデルを用いて学習済みモデルを生成する。
【0073】
本実施形態2において、検証用の学習済みモデルの精度を評価するための指標(以下、精度評価指標という)として、5分割交差検定における5つの訓練サブセットを用いてそれぞれ生成された検証用の学習済みモデルと、各検証用の学習済みモデルにおいて未学習の検証サブセットを用いて計算した5つの決定係数の平均値を用いる。
【0074】
ここで、交差検定とは、学習済みモデルの未学習データに対する予測性能、つまり汎化性能を評価する手法である。5分割交差検定の場合、訓練データセットを5つのサブセットに分割する。そのうち4つのサブセットを学習用データとして検証用の学習済みモデルを生成し、1つを未学習の検証サブセットとして、生成した検証用の学習済みモデルの精度検証に用いる。これを5つのサブセットのうち異なるサブセットを検証サブセットとして5回繰り返すことで、未学習データに対する汎化性能を評価する。
【0075】
本実施形態2では、検証用の学習済みモデルの精度を評価する精度評価指標として、検証用の学習済みモデルi(i=1~5)の決定係数Ri
2の平均値Rbarを用いる。
Rbar=ΣiRi
2/5・・・(1)
ここで、決定係数Ri
2は下式(2)で定義される。また、Σiはiに関する和を意味する。
Ri
2=1-Σj(yj-fi(xj))2/Σj(yj-ybar)2・・・(2)
上式(2)において、yjは検証サブセットにおける特性値の実測値(j=1~n。nは検証サブセットにおける実測値の数)、fi(xi)はyjと組をなす未学習の混合比率xjを学習済みモデルiに入力したときに出力される特性値(予測値)、ybarは実測値yiの平均値である。また、Σjはjに関する和を意味する。
【0076】
図7は、本発明の実施形態2に係る学習装置が行う学習処理の概要を示すフローチャートである。
【0077】
まず、学習装置2は、ステップS11、S12と同様にして、抽出部21が学習に用いるデータセットを抽出する(ステップS31)。
【0078】
学習部22は、複数の統計モデルを用いて、サブセットに対して検証用の学習済みモデルを生成する(ステップS32)。学習部22は、例えば上述した複数の統計モデルから選択される互いに異なる複数の統計モデルを用いて、検証用の学習済みモデルを生成する。この際に選択される統計モデルは、学習済みモデルを構築することができるすべての統計モデルを選択してもよいし、予め設定された複数の統計モデルを選択してもよいし、ユーザによって指定された統計モデルを選択してもよい。
【0079】
学習部22は、ステップS32で生成した検証用の学習済みモデルに対して決定係数を算出し、精度評価指標として複数の決定係数の平均値(ここでは5つの検証用の学習済みモデルの決定係数Ri
2の平均値Rbar)を算出する(ステップS33)。
【0080】
学習部22は、精度評価指標が最も良好な検証用の学習済みモデルを生成する際に用いた統計モデルを選択する(ステップS34)。具体的には、学習部22は、決定係数の平均値Rbarを算出し、その平均値Rbarが所定の条件を満たす検証用の学習済みモデルを与える統計モデルを選択する。例えば、所定の条件として、平均値Rbarが0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.9以上であることがさらに好ましい。この閾値の値は予め設定されて記憶部24に格納されている。学習部22は、この閾値の条件を満たす検証用の学習済みモデルを与える統計モデルを選択する。なお、閾値の条件を満たす平均値Rbarが複数ある場合には、そのうち最大値を取る統計モデルを選択すればよい。これにより、予測に適した統計モデルによる学習済みモデルが選択される。なお、決定係数の平均値に替えて、決定係数そのものや、決定係数の最頻値等を用いるようにしてもよい。
また、学習部22が、精度評価指標が所定の条件を満たす統計モデルを抽出し、表示装置4に抽出結果を表示させることによって、ユーザに所望の条件に適合する統計モデルを選択させるようにしてもよい。
【0081】
その後、学習部22は、選択された統計モデルを用いて、ステップS31で抽出したデータセットに対して機械学習を実行することによって学習済みモデルを生成する(ステップS35)。学習部22は、例えば、
図5に示すステップS12と同様にして、学習済みモデルを生成する。
【0082】
本実施形態2によれば、複数の統計モデルによって生成された学習済みモデルのうち、予測精度が高い学習済みモデルが選択され、この学習済みモデルに基づいて混合比率が設定されるため、所望の特性値を有する混合比率を一層正確に得ることができる。
【0083】
なお、学習用データの分割時に、外挿領域付近のデータを優先的に割り振った外挿データ用サブセットと残りの学習用サブセットとに分割し、さらに学習用サブセット内で5分割交差検定を行い、学習済みモデルの精度評価指標として、外挿データ用サブセットに対して計算した決定係数を用いてもよい。これにより、外挿領域の予測に有効な学習済みモデルを優先して選択することが可能になる。
【0084】
(実施形態3)
次に、本実施形態3について、説明する。実施形態3では、上述した学習済みモデルの生成処理(
図7参照)、および混合比率設定処理(
図8参照)が異なる。なお、混合比率設定システムの構成は、実施の形態1と同じである。実施形態3では、異なる複数の機械物性値を出力する複数の学習済みモデルが生成した各特性値に対し、入力される条件に適した混合比率が設定される。
【0085】
学習部22は、目的変数とする特性値が互いに異なる複数の学習済みモデルを生成する。学習部22は、目的変数のそれぞれについて、
図7に示す学習処理、または
図9に示す学習処理を個別に実行して、各目的変数の学習済みモデルを生成する。この際、学習用データは、各目的変数の学習において共通であることが好ましい。すなわち、各特性値が対応付いた共通の混合比率を説明変数として学習した学習済みモデルを生成することが好ましい。
【0086】
混合比率設定装置3では、学習装置2が生成した学習済みモデルを用いて、混合比率を設定する。
図10は、本発明の実施形態の実施形態3に係る混合比率設定装置が行う混合比率設定処理の概要を示すフローチャートである。
【0087】
設定部31は、学習部22が生成した各学習済みモデルに、共通の混合比率候補を入力して、各特性値(予測値)を生成する(ステップS41)。この際、各目的変数の予測値は、同じ混合比率候補が関連付いた組として生成される。
【0088】
その後、設定部31は、各特性値が設定条件に適合する予測値の組み合わせを選択する(ステップS42)。設定部31は、例えば、各特性値に対して、各予測値が最適となる組み合わせを選択する。
ここで、最適な予測値の組み合わせの選択は、個別の混合繊維強化樹脂組成物に求められる特性の組み合わせに左右されるが、一般的に特性同士がトレードオフの関係にある場合には、パレート最適となる組み合せとなる予測値を選択する。
【0089】
設定部31は、選択された予測値の組み合わせに対応する混合比率候補を、最適な混合比率に設定する(ステップS43)。
【0090】
本実施形態3によれば、複数の特性値について所望の物性を満たす混合比率を取得する場合であっても、各特性値を目的変数とする学習済みモデルの予測結果から、適切な混合比率を取得することができる。
【0091】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、混合比率設定装置が学習部の機能を備えてもよい。この場合、混合比率設定装置は、設定対象の目的変数を生成することに加え、学習済みモデルを逐次更新する。
【符号の説明】
【0092】
1 混合比率設定システム
2 学習装置
3 混合比率設定装置
4 表示装置
5 入力装置
21 抽出部
22 学習部
23、32 制御部
24、33 記憶部
321 表示制御部