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特開2024-91569板状体から保護フィルムを剥がすための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091569
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】板状体から保護フィルムを剥がすための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/54 20060101AFI20240627BHJP
   B65H 41/00 20060101ALI20240627BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B65H29/54
B65H41/00 B
H01L21/68 N
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215589
(22)【出願日】2023-12-21
(31)【優先権主張番号】10 2022 134 515.7
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523481056
【氏名又は名称】アドバンスド エンジニアリング インダストリー オートメーション ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】モスラー ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】モスラー ティム
【テーマコード(参考)】
3F053
3F108
5F131
【Fターム(参考)】
3F053AA08
3F053AA15
3F053AA17
3F108JA02
5F131AA03
5F131AA12
5F131CA42
5F131EC34
5F131EC63
5F131EC64
5F131EC68
5F131EC77
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動剥離プロセスを改善するような方法で保護フィルムを剥がすための装置及び方法を提供する。
【解決手段】板状体(2)から少なくとも1つの保護フィルム(5、6)を剥がすための装置であって、少なくとも1つのローラ(8、9)を含む剥離装置(7)が、板状体(2)の縁部領域の保護フィルム(5、6)に圧力を加え、それにより保護フィルム(5、6)を剥離し、保護フィルム(5、6)は、少なくとも1つの接着テープを用いて板状体(2)から少なくとも部分的に持ち上げられ、回転運動する少なくとも1つのドラムによって巻き取られ、装置は、少なくとも1つの旋回接触アームと、その上に配置されるスタンプとを有しており、スタンプは接着テープを貼り付けるためのスタンプ面を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体(2)から少なくとも1つの保護フィルム(5、6)を剥がすための装置(1)であって、少なくとも1つのローラ(8、9)を含む剥離装置(7)が、前記板状体(2)の縁部領域の前記保護フィルム(5、6)に圧力を加え、それにより該保護フィルム(5、6)を剥離し、前記保護フィルム(5、6)は、少なくとも1つの接着テープ(22)を用いて前記板状体(2)から少なくとも部分的に持ち上げられ、回転運動する少なくとも1つのドラム(3)によって巻き取られ、
当該装置(1)は、少なくとも1つの旋回接触アーム(12)と、その上に配置されるスタンプ(14)とを有しており、該スタンプ(14)は前記接着テープ(22)を貼り付けるためのスタンプ面(15)を有する、
装置。
【請求項2】
前記接着テープ(22)は前記スタンプ面(15)の上に案内され、少なくとも部分的に保護フィルム(5、6)と接触できる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接着テープ(22)は、前記スタンプ面(15)の上の接着テープディスペンサから接着テープコレクタまで案内することができる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記接触アーム(12)は、そのスタンプ面(15)を有する前記スタンプ(14)が旋回可能に取り付けられる接触ヘッド(13)を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記接触アーム(12)は、前記ドラム(3)の領域に配置され、駆動手段によって前記板状体(2)に配置可能であり、前記板状体(2)から上昇させることができる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
当該装置(1)は、前記ドラム(3)の領域に配置された少なくとも1つのグリッパ(27)を含むクランプ装置(26)を有しており、前記グリッパは剥離した保護フィルム(5、6)を掴んで前記ドラム(3)に移送するためのものである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記クランプ装置(26)は、摺動ガイド(30)を含む被駆動シャフト(29)を有しており、該シャフト(29)は前記ドラム(3)を通って延びており、前記グリッパ(27)は、トグルレバーとして設計されており、前記シャフト(29)が回転運動しているときに開閉する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記剥離装置(7)は、回転軸線に対して傾斜した少なくとも1つの平滑ローラ(8、9)を有しており、該ローラ(8、9)は、長手方向に移動するときに前記保護フィルム
(5、6)に摩擦を生じさせる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
板状体(2)から少なくとも1つの保護フィルム(5、6)を剥がすための方法であって、剥離した前記保護フィルム(5、6)は少なくとも1つのドラム(3)によって受け取られ、当該方法は、
スタンプ面(15)を有するスタンプ(14)が旋回式に取り付けられた接触アーム(12)を前記板状体(2)の方向に下降させるステップと、
前記スタンプ面(15)が前記板状体(2)の表面と平行になるまで前記スタンプ(14)を旋回させ、前記スタンプ(14)を旋回させるときに接着テープ(22)を前記スタンプ面(15)に貼り付けるステップと、
前記スタンプ(14)を前記板状体(2)の前記保護フィルム(5、6)上に配置し、こうして前記接着テープ(22)を前記保護フィルム(5、6)と面接触させるステップと、
前記スタンプ(14)を旋回するステップと、
前記板状体(2)から所定の距離で接触アーム(12)を上昇させると、前記保護フィルム(5、6)は、前記接着テープ(22)に貼り付けられ、前記板状体(2)から持ち上げられるステップと、
前記剥離した保護フィルム(5、6)をクランプ装置(26)の少なくとも1つのグリッパ(27)で掴むステップと、
取り外した前記保護フィルム(5、6)を前記クランプ装置(26)から前記ドラム(3)に移送し、これにより前記板状体(2)から前記保護フィルム(5、6)を剥がすステップと、を含む、
方法。
【請求項10】
前記保護フィルム(5、6)は、前記板状体(2)の縁部領域において剥離装置(7)によって剥離され、該剥離装置(7)は、ある角度に設定した少なくとも1つの平滑ローラ(8、9)を有しており、接線方向の圧力、及び長手方向、すなわち、前記板状体(2)の前縁部と平行なローラ(8、9)の動きによって、前記保護フィルム(5、6)に摩擦を生じさせる、請求項9に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び請求項9の前文に記載の、板状体から保護フィルムを剥がすための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような保護フィルムは、例えばプリント回路基板(PCB)或いはガラス又はセラミック表面の製造に使用される。保護フィルムは、自己粘着フィルム、又は接着剤を使用しない静電気粘着フィルムとして設計される。ガラスを製造する場合に、このようなフィルムは、加工、保管、輸送中の傷又は汚染から保護する役割を果たす。
【0003】
PCBを製造する場合に、いわゆるカットシートラミネータを使用して、銅張りのPCB基板の両面に保護フィルムを用いてフォトポリマー層を全自動でラミネートすることはよく知られている。この場合に、トリミングしたフォトポリマー層は、縁部から間隔を空けた保護フィルムを用いて銅張りのPCB基板に貼り付けられる。フィルムは、縁部から0.5mm~15mmの間の距離にあることが好ましい。ただし、処理手順中に保護フィルムをPCBから取り外す必要がある。
【0004】
これまで、全自動システムでは保護フィルムを用いてフォトポリマー層をラミネートし、保護フィルムを取り外すこともできた。しかしながら、フィルムを取り外しても良い結果は得られなかった。特に、露光工程後のフォトポリマー層からの保護フィルムの剥離が問題となる。
【0005】
特許文献1は、保護フィルムを剥がすための装置及び方法を開示しており、保護フィルムが貼り付けられたPCBが剥離ユニットのローラニップに供給され、楔形の刀(sword)がPCBと保護フィルムの間に係合し、PCBから保護フィルムを剥離する。剥がされた保護フィルムは、回転運動するドラムによって運ばれ、刀の前に空気ノズルがあり、空気流が生成され、保護フィルムの剥がされた部分がドラムの外周に置く。
【0006】
剥離プロセスはクリーンルームで行われるため、発生する空気流は望ましくない乱流を引き起こすという悪影響を及ぼす。さらに、PET支持フィルムはABFに非常に強く接着しており、PET支持フィルムの高い剛性及び高温安定性により、特に縁部では殆どABFに溶け込んでおり、従って、空気流を用いて剥離するのが困難であるという問題がある。
【0007】
プロセッサ及びグラフィックスチップの製造には、多数のコンポーネントが必要である。重要なものは味の素ビルドアップフィルム(ABF)であり、これは実際の回路基板上にチップを配置するキャリアの絶縁フィルムとして使用される。キャリアはダイのコンタクトを外部に導き、それによってアドレス指定できるようにする。絶縁フィルム、特に味の素ビルドアップフィルムには、例えば均一な絶縁層、激しい温度変動下でも高い耐熱性、高い機械的安定性等、高い要求を満たす必要がある。
【0008】
このような味の素ビルドアップフィルム(ABF)を剥がすための装置及び方法は従来技術から既に知られており、このフィルムはPCB内層に対する真空ラミネート手順に従って剥がされ、室温まで冷却しなければならない。
【0009】
特許文献2には、保護フィルムの剥離方法が開示される。保護フィルムは、最初にローレット(knurling)ローラとして設計されたフィルム剥離装置で処理され、次に、前端(front
end)セクションの剥離テープに接続され、板状体から引き離される。
【0010】
特許文献3には、接着テープを使用して板状の要素からフィルムを取り外すフィルム除去装置が開示されており、接着テープは、接続装置を用いたホットプレス処理によって縁部セクションに接続され、次に、引張装置を使って斜め上方に剥がされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2014 011 721号公報
【特許文献2】韓国特許出願公開第1020150049100号公報
【特許文献3】欧州特許第1 128 415号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
既知の剥離方法は部分的にしかうまく機能せず、限られた範囲までしか自動化できない。
【0013】
従って、本発明は、自動剥離プロセスを改善するような方法で保護フィルムを剥がすための装置及び方法を開発するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、本発明は、請求項1及び請求項9に記載の技術的教示を特徴とする。
【0015】
本発明の重要な特徴は、接着テープを貼り付けるために、装置が少なくとも1つの旋回(swiveling)接触アームと、その上に配置されたスタンプとを有することであり、スタンプ(stamp:押付け機)はスタンプ面を有する。
【0016】
貼り付けられるという用語は、接着テープを保護フィルムに接触させ、接着テープを用いて板状体から保護フィルムを少なくとも部分的に持ち上げる又は外すために必要な全てのプロセスを指す。
【0017】
第1の好ましい実施形態では、保護フィルムを剥離するための装置は、少なくとも1つの旋回接触アームと、その上に旋回可能に取り付けられたスタンプとを有する。スタンプは、接着テープと保護フィルムとの間での面接触を行わせるために使用され、板状体からの保護フィルムの剥離を容易にする。駆動部を用いて、接触アームをスタンプと一緒に、規定の圧力で保護フィルムを含む板状体の表面に置き、そこから(保護フィルム)を離すことができる。
【0018】
接着テープは、片面又は両面に接着剤がコーティングされたストリップ状のキャリア材料を意味すると理解される。接着テープは、接着力、結合力、粘着性の点でそれぞれの保護フィルムに適合される。
【0019】
接着テープは第1の接着テープディスペンサ内に配置されており、制御した方法で送り出すことができる。接着テープディスペンサは、例えば、ロール又は接着テープローラ装置として設計される。標的を絞って制御する送出とは、接着テープが張力下に維持されるか、又は特定の速度で送出されることを意味すると理解される。旋回スタンプを使用して、所望の送出を制御及び調整する。
【0020】
接着テープは、好ましくは、第1の接着テープディスペンサ上に配置され、スタンプを介して接着テープコレクタに案内される。接着テープディスペンサ及び接着テープコレクタは両方ともローラとして具体化することができ、それによって、接着テープは第1のローラから繰り出され、再び第2のローラから巻き取られる。
【0021】
接触アームは、接触ヘッドを有することが好ましく、接触ヘッドは、最初に板状体の方向に下降され、板状体から一定の距離に保持される。次にスタンプは旋回して接触ヘッドから外され、スタンプから外れる旋回により接着テープに張力が発生し、それによって第1の接着テープディスペンサからさらに接着テープが送り出される。理想的には、スタンプのスタンプ面が接着テープで完全に覆われる。スタンプは、スタンプ面が板状体の表面と平行になる程度まで旋回させることが好ましい。次に、接着テープを含むスタンプ面が保護フィルム上に完全に載置されるまで、接触アームをさらに下降させる。ここで、接着テープが保護フィルムに貼り付けられる。
【0022】
次に、接着テープが保護フィルムに依然として接着した状態でスタンプを旋回させる。まず接触アームを規定した距離だけ上昇させることにより、板状体から保護フィルムが離される。次に、接着テープは接着テープコレクタによって巻き取られ、接着テープは、この目的のために接触ヘッドに設けられたローラを介して接着テープコレクタまで上方に引き離される。接着テープを上方に引き離すことにより、保護フィルムは、板状体から規定の方法で離される。好ましくは、同時に、接着テープディスペンサは、接着テープの更なる送出又は供給を阻止し、それによって、引張応力下で、接着テープは、上に旋回した(swiveled-up)スタンプのスタンプ面と再び面接触する。接触アームは、依然として規定した距離だけ板状体の上に位置する。保護フィルムは、少なくとも縁部領域において板状体から剥がされる。
【0023】
好ましい実施形態では、保護フィルムを剥離するための装置は、剥がされた保護フィルムを掴んでクランプするための少なくとも1つのグリッパを含むクランプ装置を有する。好ましくは、剥がされた保護フィルムがグリッパによって両側でクランプされるように、規定の高さに間隔を置いて対向する2つのグリッパが存在しており、各グリッパは板状体の縁部領域にある。
【0024】
クランプ装置は、少なくとも1つの(剥離)ドラムの領域に配置され、このドラムは、グリッパから剥がされた保護フィルムを受け取り、さらにその保護フィルムを板状体から剥がす。ドラムはクランプ装置のグリッパを使用して保護フィルムを摘み上げる。真空吸引によりドラムの領域を真空にし、剥がした保護フィルムをドラム表面に保持することも可能である。
【0025】
好ましい実施形態では、クランプ装置は、ドラムの両側に配置された離間した2つのグリッパを有する。グリッパは、剥離した保護フィルムを掴んで保持し、剥離した保護フィルムをドラムに渡す(release)ために使用される。グリッパはドラムの外側にある駆動部によって制御される。グリッパの駆動部は、例えば(作動)シリンダとして設計されており、その直線力を摺動ガイドに伝達し、それにより回転運動を発生させる。回転運動は、ドラムを通って延びるシャフトに伝達される。グリッパにはトグルレバー装置が付いており、シャフトが回転運動するとグリッパが開閉する。ドラムを通って延びる回転シャフトを含む本実施形態は、ドラム内又はドラムの領域内に可動構成要素を配置する必要がないという大きな利点を有する。シャフトの回転運動はドラムから離れた場所で発生させることができるため、ドラムの領域でのグリッパの運動に駆動ユニットは必要ない。
【0026】
本特許出願は、接触アーム及び旋回スタンプを使用して保護フィルムを剥離するための装置に関する保護を主張するだけでなく、接触アームと、保護フィルムを板状体の縁部領域で最初に離す剥離装置との組合せも保護を主張する。
【0027】
好ましい実施形態において、保護フィルムを剥離するための装置は、保護フィルムの縁部を板状体から機械的に離す(loosened:緩める)剥離装置を有する。剥離装置は、ローレット加工装置又はロール加工装置として設計されることが好ましく、ローラが板状体の縁部に押し付けられて転がされ、圧縮力が板状体に伝達される。これは、板状体の縁部領域で加圧成形が行われることにより、保護フィルムに「応力」が生じ、こうして縁部領域で保護フィルムが剥離されることを意味する。このようなフィルムの剥離は、その後、接触アームと接着テープを使用してその上に旋回式に取り付けられたスタンプとを用いて保護フィルムを摘み上げるのに有利である。
【0028】
剥離装置は、少なくとも1つの傾斜した平滑(smooth)ローラを有することが好ましい。ローラは、例えば移動軸線に対して約5~30°の角度で配置される。送り動作に対してある角度でローラを配置し、ローラに規定の圧力を加えることで、ローラが縁部領域に沿って板状体上を移動すると、この領域で保護フィルムが剥離される。
【0029】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つの保持装置が、剥離プロセス中に板状体を保持する。
【0030】
保護フィルムを剥がすための上述の装置に加えて、本特許出願は、板状体から保護フィルムを剥がすための方法の保護も主張する。
【0031】
好ましい実施形態では、板状体から保護フィルムを剥離するための方法は、
接触ヘッド及びその上に旋回式(swivel:スイベル式)に取り付けられたスタンプを含む接触アームを板状体の方向に下降させるステップと、
スタンプ面が板状体の表面と平行になるまで、接触ヘッドからスタンプを旋回させるステップであって、スタンプを旋回させたときに接着テープがスタンプ面に貼り付けられる、ステップと、
板状体の保護フィルム上にスタンプを配置し、こうして接着テープを保護フィルムと面接触させるステップと、
接触ヘッドにおいてスタンプを旋回するステップと、
板状体から接触アームを所定の距離に上昇させ、同時に保護フィルムを板状体から持ち上げるステップと、
接触ヘッドのローラを介して接着テープコレクタによって接着テープを引き込むステップと、
剥離した保護フィルムをクランプ装置の少なくとも1つのグリッパで掴むステップと、
剥離した保護フィルムをクランプ装置からドラムに移送し、板状体から更なる保護フィルムを剥がすステップと、を含む。
【0032】
さらに好ましい実施形態では、接着テープディスペンサ及び接着テープコレクタが制御される。例えば、板状体から保護フィルムを剥がす間に接着テープディスペンサをロックすることができ、それによって、接着テープコレクタが使用済みの接着テープを引き込む間に、更なる接着テープを追加することがなくなる。
【0033】
本発明の主題は、個々の請求項の主題からだけでなく、個々の請求項の相互の組合せからも生じる。
【0034】
要約を含む文書に開示した全ての情報及び特徴、特に図面に示される空間構成は、個別に又は組み合わせて従来技術と比較して新規である限り、本発明にとって必須であると主張される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
以下、一実施形態のみを示す図面を参照しながら、本発明についてより詳細に説明する。図面及びその説明は、本発明に不可欠な本発明の更なる特徴及び利点を明らかにする。
図1】剥離装置の概略図である。
図2】板状体を含む本発明による装置の斜視図である。
図3】接触アームが下降した状態の本発明による装置の概略側面図である。
図4】接触アーム及び旋回式スタンプ面が下降した状態の本発明による装置の概略側面図である。
図5】接触アームが上昇し、保護フィルムを引き離した状態の本発明による装置の概略側面図である。
図6】接触アーム及びクランプ装置の旋回式グリッパが上昇した状態の本発明による装置の概略側面図である。
図7】接触アーム及びクランプした保護フィルムが上昇した状態の本発明による装置の概略側面図である。
図8】保護フィルムがドラムに受け取られた状態の本発明による装置の概略側面図である。
図9】クランプ装置のシャフトの概略図である。
図10】クランプ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、保護フィルム5、6を剥離するための剥離装置7を示す。第1の保護フィルム5は板状体2の上部に位置しており、第2の保護フィルム6は板状体2の下部に位置する。板状体2は保持装置33によってクランプされる。
【0037】
以下では、本発明による保護フィルムを剥離するための装置を、上部保護フィルム5を剥離して受け取るドラム3のみで示しているが、本発明はこれに限定されるものではない。もちろん、少なくとも1つの更なる旋回接触アーム12及び少なくとも1つの更なるドラム3を板状体2の下部に配置することもでき、これらは下側の保護フィルム6を剥離して受け取る。
【0038】
剥離装置7は、ドラム3の領域に配置され、ローラ8が回転可能に配置される第1の可動アーム31と、第2のローラ9が回転可能に配置される反対側の第2の可動アーム32とから構成される。板状体2から保護フィルム5、6を剥離するために、板状体2は、2つのローラ8、9の間に配置される。板状体2を受け取るためのアーム31、32の上下運動により、2つのローラ8、9を離間させることができる。
【0039】
2枚の保護フィルム5、6の剥離プロセスは、板状体2の縁部領域のみで行うことが好ましい。その結果、板状体2は、剥離装置7に押し込まれ、2つのローラ8、9を保護フィルム5、6の縁部領域に配置することができるまで、保持装置33でクランプされる。
【0040】
保護フィルム5、6を板状体2から引き離す(release)ために、ローラ8、9は板状体2に配置され、規定の圧力(接触力)をz方向に加え、運動の方法はx方向である。
【0041】
2つのローラ8、9は平滑面を有する。2つのローラは、運動方向に対して直角にアーム31及び32に配置されており、それによって、この実施形態では長手方向のローリング(rolling)が起こる。
【0042】
しかしながら、2つのローラ8、9は傾斜していてもよい。これは、2つのローラ8、9が、接線方向の圧力と長手方向、すなわち板状体2の前縁部と平行な方向のローラ8、9の動きによって、ある角度に設定され、保護フィルム(5、6)に摩擦が生じることを意味する。この場合に、板状体2は、ローラ8、9との摩擦により長手方向の運動と回転運動を同時に起こし、その結果、保護フィルム5、6に応力が加わり、それにより縁部領域において板状体2から剥離される。
【0043】
図2は、板状体2から保護フィルム5、6を剥離するための本発明による装置1を示す。板状体2の送り動作は矢印10の方向に示される。装置1は、板状体2の保護フィルム5、6を受け取るための被駆動ドラム3を有する。ドラム3は、空気が吹き込まれる溝4を含むドラム表面を有する。これにより負圧が発生し、剥離した保護フィルムがドラム表面に付着する。ドラム3の領域には、接触ヘッド13を含む旋回接触アーム12がある。保持装置11はドラムの下流に位置しており、板状体2を固定する。
【0044】
図3は、本発明による装置1を側面図で示す。接触アーム12は、それ自体の駆動部を有しており、軸線18の周りに回転可能に取り付けられる。図3によれば、接触アーム12は、回転運動16によって板状体2の方向に旋回した。接触アーム12は、ロッドシステム19及びスタンプ(stamp:押付け機)14に機械的に結合される。ロッドシステム19も独自の駆動部を有する。
【0045】
接触アーム12は、その前端部にスタンプ14及びスタンプ面15を含む接触ヘッド13を有する。スタンプ14を含む接触ヘッドは、接着テープ22を板状体2の保護フィルム5、6に接触させるように機能し、接触アーム12に旋回式に取り付けられる。スタンプ14を含む接触ヘッド13の旋回運動は、駆動部に接続されるロッドシステム19を介して行われる。
【0046】
ロッドシステム19の運動により、スタンプ14が撓み(deflection)ローラ25の周りを旋回(回転)する。こうして、旋回運動により、スタンプ面15が板状体2の保護フィルム5、6の表面上に完全に、又は部分的にのみ載置される。例えば、部分的な載置とは、撓みローラ25の領域におけるスタンプ14と保護フィルム5、6との間の接触のみを意味すると理解される。
【0047】
接触アーム12の領域には、接着テープディスペンサの撓みローラ23があり、剥離プロセスのために新しい接着テープ22を提供する。接着テープ22は、撓みローラ23、25を介して接着テープディスペンサから、撓みローラ24を介してスタンプ面15から接着テープコレクタ(collector:回収機)に案内され、接着テープコレクタは使用済みの接着テープ22を回収する。接着テープディスペンサ及び接着テープコレクタはローラとして設計されており、ローラは、接着テープ22を繰り出し及び巻き直しする。
【0048】
図3によれば、スタンプ14は、スタンプ面15全体が上部保護フィルム5上に配置され、接着テープ22がスタンプ面15と保護フィルム5との間に配置される。
【0049】
板状体2は、剥離プロセス全体を通じて、(a cによって)縁部領域に保持される。この目的のために、保持装置11は、例えば、板状体を両側からクランプする対向する2つの押さえ装置を有する。
【0050】
図4から、ロッドシステム19が回転運動17によって動かされ、その結果、スタンプ面15を含むスタンプ14が立ち上がり、撓みローラ25の領域においてスタンプ14と接着テープ22及び保護フィルムとの接触のみが存在することが分かる。接着テープ22の一部は、撓みローラ25と接着テープコレクタ24との間に「自由に」垂れ下がっている。
【0051】
図5は、板状体2の表面から保護フィルム5を初めて剥離する様子を示す。まず、撓みローラ23をロックし、接着テープコレクタ24を回転させると、その結果、接着テープ22が引張力により上方に移動する、すなわち、板状体2の表面から保護フィルム5を引き離すと同時に、保護フィルム5を上方に引き上げる。次に、接触アーム12が矢印21の方向に上方に移動する。保護フィルム5は接着テープ22に接着しており、接触アーム12の動きによって上方に引っ張られ、板状体2からさらに剥離する。
【0052】
保護フィルム5が部分的に剥離されて板状体2から持ち上げられた後に、クランプ装置26のグリッパ27が矢印28の方向に外に旋回する。クランプ装置26によって、剥離した保護フィルム5が保持されてドラム3に移送される。
【0053】
図6は、グリッパ27が矢印28の方向にさらにせり出てスイング(swing out)する様子を示す。好ましくは、ドラム3の両側に1つのグリッパ27があり、それにより保護フィルム5が側縁領域に保持される。
【0054】
図7は、クランプ装置26による保護フィルム5の最終クランプ状態を示す。
【0055】
図8は、剥離した保護フィルム5のドラム3への移送を示す。ドラム3は、保護フィルム5を表面に保持する個別の溝4を有する。ドラム3を回転させることにより、板状体2がドラム3を通過して矢印10の方向に移動しながら、保護フィルム5が板状体2からさらに剥離される。
【0056】
板状体から保護フィルム5を剥がした後に、回転運動16に抗して接触アーム12を旋回させ、同時に接触アーム12の旋回運動と同期して接着テープコレクタにより接着テープ22を巻き取る。次に、保持装置11が開かれ、板状体2が解放される。
【0057】
クランプ装置26は、図9及び図10に詳細に示される。クランプ装置26は、ドラム3を通って延びる被動シャフト29から構成される。
【0058】
図9によれば、クランプ装置26は、シャフトの回転運動をトグルレバーの上下運動に変換する摺動ガイドを有する。トグルレバーはグリッパに接続されており、保護フィルム5、6をクランプする。
【0059】
図10に基づいて、シャフト29がドラム3を通って延び、クランプ装置26がドラム3の隣に横方向に配置されることが分かる。従って、グリッパ26は外部、すなわちドラム3の外側で作動される。
【符号の説明】
【0060】
1 装置
2 板状体
3 ドラム
4 出口
5 保護フィルム
6 保護フィルム
7 剥離装置
8 ローラ
9 ローラ
10 矢印の方向
11 保持装置
12 接触アーム
13 接触ヘッド
14 スタンプ
15 スタンプ面
16 回転運動
17 回転運動
18 (12(接触アーム)の)軸線
19 ロッドシステム
20 矢印の方向(下降)
21 矢印の方向(上昇)
22 接着テープ
23 テープディスペンサ撓みローラ
24 テープコレクタ撓みローラ
25 撓みローラ
26 クランプ装置
27 グリッパ
28 27(グリッパ)の矢印の方向
29 シャフト
30 摺動ガイド
31 アーム(上部)
32 アーム(下部)
33 保持装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体(2)から少なくとも1つの保護フィルム(5、6)を剥がすための装置(1)であって、少なくとも1つのローラ(8、9)を含む剥離装置(7)が、前記板状体(2)の縁部領域の前記保護フィルム(5、6)に圧力を加え、それにより該保護フィルム(5、6)を剥離し、前記保護フィルム(5、6)は、少なくとも1つの接着テープ(22)を用いて前記板状体(2)から少なくとも部分的に持ち上げられ、回転運動する少なくとも1つのドラム(3)によって巻き取られ、
当該装置(1)は、少なくとも1つの旋回接触アーム(12)と、その上に配置されるスタンプ(14)とを有しており、該スタンプ(14)は前記接着テープ(22)を貼り付けるためのスタンプ面(15)を有する、
装置。
【請求項2】
前記接着テープ(22)は前記スタンプ面(15)の上に案内され、少なくとも部分的に保護フィルム(5、6)と接触できる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接着テープ(22)は、前記スタンプ面(15)の上の接着テープディスペンサから接着テープコレクタまで案内することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記接触アーム(12)は、そのスタンプ面(15)を有する前記スタンプ(14)が旋回可能に取り付けられる接触ヘッド(13)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記接触アーム(12)は、前記ドラム(3)の領域に配置され、駆動手段によって前記板状体(2)に配置可能であり、前記板状体(2)から上昇させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
当該装置(1)は、前記ドラム(3)の領域に配置された少なくとも1つのグリッパ(27)を含むクランプ装置(26)を有しており、前記グリッパは剥離した保護フィルム(5、6)を掴んで前記ドラム(3)に移送するためのものである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記クランプ装置(26)は、摺動ガイド(30)を含む被駆動シャフト(29)を有しており、該シャフト(29)は前記ドラム(3)を通って延びており、前記グリッパ(27)は、トグルレバーとして設計されており、前記シャフト(29)が回転運動しているときに開閉する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記剥離装置(7)は、回転軸線に対して傾斜した少なくとも1つの平滑ローラ(8、9)を有しており、該ローラ(8、9)は、長手方向に移動するときに前記保護フィルム
(5、6)に摩擦を生じさせる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
板状体(2)から少なくとも1つの保護フィルム(5、6)を剥がすための方法であって、剥離した前記保護フィルム(5、6)は少なくとも1つのドラム(3)によって受け取られ、当該方法は、
スタンプ面(15)を有するスタンプ(14)が旋回式に取り付けられた接触アーム(12)を前記板状体(2)の方向に下降させるステップと、
前記スタンプ面(15)が前記板状体(2)の表面と平行になるまで前記スタンプ(14)を旋回させ、前記スタンプ(14)を旋回させるときに接着テープ(22)を前記スタンプ面(15)に貼り付けるステップと、
前記スタンプ(14)を前記板状体(2)の前記保護フィルム(5、6)上に配置し、こうして前記接着テープ(22)を前記保護フィルム(5、6)と面接触させるステップと、
前記スタンプ(14)を旋回するステップと、
前記板状体(2)から所定の距離で接触アーム(12)を上昇させると、前記保護フィルム(5、6)は、前記接着テープ(22)に貼り付けられ、前記板状体(2)から持ち上げられるステップと、
前記剥離した保護フィルム(5、6)をクランプ装置(26)の少なくとも1つのグリッパ(27)で掴むステップと、
取り外した前記保護フィルム(5、6)を前記クランプ装置(26)から前記ドラム(3)に移送し、これにより前記板状体(2)から前記保護フィルム(5、6)を剥がすステップと、を含む、
方法。
【請求項10】
前記保護フィルム(5、6)は、前記板状体(2)の縁部領域において剥離装置(7)によって剥離され、該剥離装置(7)は、ある角度に設定した少なくとも1つの平滑ローラ(8、9)を有しており、接線方向の圧力、及び長手方向、すなわち、前記板状体(2)の前縁部と平行なローラ(8、9)の動きによって、前記保護フィルム(5、6)に摩擦を生じさせる、請求項9に記載の方法。
【外国語明細書】