(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091583
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】無線電力システムにおけるビーコンを暗号化するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20240627BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240627BHJP
H04L 9/32 20060101ALI20240627BHJP
G06F 21/44 20130101ALI20240627BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/10
H04L9/32 200C
G06F21/44
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023216335
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】63/435,044
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】513045518
【氏名又は名称】オッシア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハテム ゼイン
(57)【要約】
【課題】電力を必要とする装置に電力を供給するためのマイクロ波伝送による無線電力伝送の方法およびシステムを提供する。
【解決手段】電力送信機に対する認証のために、電力受信機によって方法が実装される。本方法は、電力受信機によって、暗号化スキームからビーコンを選択するステップ(1320)を含むことができる。この電力受信機は、さらにビーコンを暗号化して、暗号化ビーコン信号を生成し、暗号化ビーコン信号を電力送信機に送信して、電力送信機に対する認証を引き起こすことができる(1330)。その結果、電力受信機は、認証後に電力送信機から電力を受け取ることができる(1340)。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力送信機に対する認証のために、電力受信機によって実装される方法であって、
前記電力受信機によって、暗号化スキームからビーコンを選択するステップと、
前記電力受信機によって、ビーコンを暗号化して、暗号化ビーコン信号を生成するステップと、
前記電力受信機によって、前記暗号化ビーコン信号を前記電力送信機に送信して、前記電力送信機に対する前記認証を引き起こすステップと、
認証後に、前記電力受信機によって、前記電力送信機から電力を受信するステップと
を備える、方法。
【請求項2】
前記暗号化スキームは、前記電力送信機および前記電力受信機の間において事前定義される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記暗号化スキームは、ゼロ知識証明である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ビーコンは、複数の一意的かつ相違するビーコンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記暗号化ビーコン信号は、公開鍵および秘密鍵のペアのうちの公開鍵によって暗号化された前記ビーコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電力は、前記暗号化ビーコン信号を送信したのと同じアンテナで受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記暗号化スキームは、前記暗号化ビーコン信号を送信する以前に合意された暗号化メカニズムである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ビーコンは、前記暗号化スキームにおける三つ以上の大きな素数のうちの少なくとも二つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記暗号化ビーコン信号は、データペイロードおよび前記ビーコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ビーコンは、スプーフィングを防止する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
電力受信機の認証のために、電力送信機によって実装される方法であって、
前記電力送信機によって、暗号化スキームに従って選択されたビーコンを含む、暗号化ビーコン信号を受信するステップと、
前記電力送信機によって、前記暗号化スキームに対する前記ビーコンを決定することにより、前記電力受信機の認証を実行するステップと、
認証後に、前記電力送信機によって、電力を前記電力受信機に送信するステップと
を備える、方法。
【請求項12】
前記暗号化スキームは、前記電力送信機および前記電力受信機の間において事前定義される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記暗号化スキームは、ゼロ知識証明である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ビーコンは、複数の一意的かつ相違するビーコンから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記暗号化ビーコン信号は、公開鍵および秘密鍵のペアのうちの公開鍵によって暗号化された前記ビーコンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記電力は、前記暗号化ビーコン信号を受信したのと同じアンテナで送信される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記暗号化スキームは、前記暗号化ビーコン信号を受信する以前に合意された暗号化メカニズムである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記ビーコンは、前記暗号化スキームにおける三つ以上の大きな素数のうちの少なくとも二つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記暗号化ビーコン信号は、データペイロードおよび前記ビーコンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記ビーコンは、スプーフィングを防止する、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電力伝送システムおよびバッテリー充電器に関し、特に、電力を必要とする機器に電力を供給するためのマイクロ波伝送による無線電力伝送のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本出願は、2022年12月23日に出願された米国仮出願第63/435,044号に対する優先権を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[背景]
電磁エネルギーの潜在的な供給源は、マイクロ波エネルギーである。しかしながら、マイクロ波伝送による電力の効率的な供給に関連付けられる幾つかの問題があり、これらの問題は、その目的のために専用の地上マイクロ波電力送信機の使用を妨げている、
【0004】
例えば、従来の無線電力供給は、ビーコン信号を利用して、電力供給される機器を識別する。ビーコンは、セキュリティおよび信頼性の問題を有している。例えば、ビーコンは、望まない機器によってスプーフィングを受ける可能性があり、そのため、未認証の機器を認証済みとして解釈することによって、意図した機器への電力供給を失わせることを可能にする。さらに、妨害技術は、電力を適切な対象から未認証の機器に転じるために使用することができる。
【0005】
したがって、上述する問題を解決する無線電力伝送システムが望まれている。
【発明の概要】
【0006】
一つまたは複数の実施形態によれば、電力送信機に対する認証のために、電力受信機によって方法を実施することができる。本方法は、電力受信機によって、暗号化スキームからビーコンを選択するステップを含むことができる。電力受信機は、ビーコンをさらに暗号化して、暗号化ビーコン信号を生成し、暗号化ビーコン信号を電力送信機に送信して、電力送信機に対する認証を引き起こすことができる。その結果、電力受信機は、認証後に電力送信機から電力を受信することができる。
【0007】
一つまたは複数の実施形態によれば、電力受信機の認証のために、電力送信機によって方法を実施することができる。本方法は、電力送信機によって、暗号化スキームに従って選択されるビーコンを含む、暗号化ビーコン信号を受信するステップを含むことができる。電力送信機は、ビーコンを暗号化スキームに決定することによって電力受信機の認証をさらに実行し、認証後に電力受信機に電力を送信することができる。
【0008】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、以下の明細書および図面をさらに検討することにより、容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一つまたは複数の実施形態による、無線電力通信システムの一実施形態を示す環境斜視図である。
【
図2A】一つまたは複数の実施形態による、無線電力通信システムにおけるマイクロ波送信機用のフェーズドアレイネットアンテナを示す斜視図である。
【
図2B】一つまたは複数の実施形態による、無線電力通信システムにおける電力送信ノードを示す模式図である。
【
図3A】本発明に係る無線電力伝送システムにおける第一の実施形態を示すブロック図である。
【
図3B】本発明に係る無線電力伝送システムにおける第二の実施形態を示すブロック図である。
【
図4】代替的な第一の実施形態の電力送信機を示すブロック図である。
【
図5】代替的な第二の実施形態の電力送信機を示すブロック図である。
【
図7】第一の実施形態による、代替的な受信機を示すブロック図である。
【
図8】第二の実施形態による、代替的な受信機を示すブロック図である。
【
図9】受信機のバッテリーシステムを示すブロック図である。
【
図10】バッテリーシステムの電力ライン図の一例である。
【
図11】第一の実施形態による、代替的な受信機を示す図である。
【
図12】第二の実施形態による、代替的な受信機を示す図である。
【
図13】無線電力システムにおけるビーコンを暗号化するための方法例を示すフロー図である。
【
図14】無線電力システムにおけるビーコンを暗号化するための方法例を示すフロー図である。
【0010】
同様の参照符号は、添付の図面全体に亘って一貫して対応する特徴を表記する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、一般に、電力伝送システムおよびバッテリー充電器に関し、特に、電力を必要とする機器に電力を供給するためのマイクロ波伝送による無線電力伝送のための方法およびシステムに関する。
【0012】
マイクロ波伝送による無線電力伝送のための方法およびシステムは、マイクロ波エネルギーを介して電子機器/電気機器に無線充電および/または一次電力を供給する。マイクロ波エネルギーは、一つまたは複数の適応位相調整型マイクロ波アレイエミッタを有する電力送信機によって、ビーコン機器(例えば、電力受信機など)からのビーコン信号の受信に応答して、ある位置に集束される。充電対象の電力受信機内のレクテナは、マイクロ波エネルギーを受信して整流し、それをバッテリーの充電および/または一次電力のために使用する。
【0013】
無線電力伝送のための方法およびシステムは、ビーコンをさらに暗号化することができる。例えば、無線電力システムにおける電力送信機は、電力受信機(例えば、充電対象の機器またはビーコン機器など)から暗号化ビーコン信号を受信する。電力送信機は、暗号化ビーコンに基づいて電力受信機を認証し、この認証に基づいて電力信号を電力受信機に送信する。
【0014】
一つまたは複数の実施形態によれば、電力送信機に対する認証のために、電力受信機によって方法を実装され得る。本方法は、電力受信機によって、暗号化スキームからビーコンを選択するステップを含むことができる。電力受信機は、ビーコンをさらに暗号化して、暗号化ビーコン信号を生成し、その暗号化ビーコン信号を電力送信機に送信して、電力送信機に対する認証を引き起こすことができる。その結果、電力受信機は、認証後に電力送信機から電力を受信することができる。
【0015】
一つまたは複数の実施形態によれば、電力受信機に対する認証のために、電力送信機によって方法を実装することができる。本方法は、電力送信機によって、暗号化スキームに従って選択されるビーコンを含む、暗号化ビーコン信号を受信するステップを含むことができる。電力送信機は、ビーコンを暗号化スキームに決定することによって、電力受信機の認証をさらに実行し、認証後に電力受信機に電力を送信することができる。
【0016】
一つまたは複数の実施形態によれば、電力送信機および電力受信機は、全てのビーコンコードが一意的かつ相違するとすることができるように、合意された暗号化メカニズム(例えば、製造、プロビジョニング、またはネゴシエーションなど)を有している。全てのビーコンコードが一意的かつ相違することの技術的効果および利点は、未認証の受信機が正当なビーコンを発信することを防止することである。暗号化メカニズムは、電力送信機および電力受信機の間でデータを伝送するためにも使用することができる。シーケンシャルコードが予測可能であるため、シーケンシャルコードは、通信チャネルにおいて信頼性が低いことから、暗号化メカニズムは、シーケンシャルコードによる問題を解決する。さらに、暗号化メカニズムは、全てのビーコンコードが一意的かつ相違するとすることができるため、パリティ訂正/エラー訂正、または全てのビーコンが検出されることになるという期待を必要とすることなく、問題を解決する。
【0017】
図1に示されるように、本発明は、マイクロ波エネルギーを介して電子機器/電気機器、例えば、機器102(例えば、ラップトップコンピュータ、モバイル機器、もしくはドローンなど)、または他の装置と通信するためのシステム100を含む。システム100では、電力送信グリッド101(または代替的な電力送信グリッド)は、電源コンセントOに差し込まれる電源コードPを介して、AC主電源から動作電力を得ることができる。マイクロ波伝送周波数は、好ましくは、適切な波長を有する利用可能なFCC規制対象外の周波数である。
【0018】
図1ないし3Bに示されるように、マイクロ波エネルギーは、一つまたは複数の適応位相調整型マイクロ波アレイエミッタ204、すなわちアンテナまたは放射体に接続された電源300によって機器102上に集束される。一つまたは複数の実施形態によれば、適応位相調整型マイクロ波アレイエミッタ204からのマイクロ波エネルギーは、機器上に集束され得る。
図1、ならびに3Aおよび3Bに示されるように、好ましくは、機器102内における高効率レクテナ340(レクテナは、マイクロ波エネルギーを直接的に直流(DC)電力に変換する整流アンテナである)が、マイクロ波エネルギーを受信する。一実施形態では、電力を伝達するために使用される周波数以外の周波数で、無線電源100と、機器102における電力受信機330bとの間に通信チャネルが開設される。
【0019】
機器102は、通信チャネル110を介してレクテナ340において受信されたビーム信号強度を、電力受信機330bにおける通信機器360の送信部からの信号を介して、システム100の電力送信機330aにおける通信機器320の受信部に中継する。この情報は、システム100の制御ロジック310によって使用され、機器102によって報告されるように、アレイ110によって最大のマイクロ波エネルギービーム301が放射されるまで、マイクロ波アレイエミッタノード204の電源投入、電源切断、および送信位相の調整を行う。
【0020】
各エミッタ204は、所望の送信周波数における単一のソースに接続され、λ/2の倍数である、特定の位相差を有する信号を送信することができる。λ/2の位相増分は、単なる例示であり、他の位相増分、例えば、λ/4、λ/8、λ/16、および他の増分も可能である。好ましくは、エミッタ204を所望の位相にオフまたはオンにすることができることを除いて、電力は調整されない。
【0021】
図2Aおよび2Bに最も明確に示されるように、垂直ケーブルおよび水平ケーブルは、各アレイノード204で交差する。この構成は、アレイ101に適用される。垂直ケーブル202内では、ワイヤ210は、ゼロ(0)λ位相フィードラインである。ワイヤ212は1/2λ位相フィードラインであり、ワイヤ209は垂直制御ラインである。同様に、水平ケーブル200内では、ワイヤ214はλ位相フィードラインである。ワイヤ216は、3/2λ位相フィードラインであり、ワイヤ211は水平制御ラインである。制御ライン209および211は、どの位相が任意所与のノード204上で有効となるかを制御するために、コントローラ310に接続することができる。単一のアンテナ制御は、チップ206上とすることができるが、実際のノード放射体またはアンテナ208は、ノード204の幾何学的中心を取り囲む円形素子として形成され得る。単一のコントローラまたは複数のコントローラの何れかが、電力送信グリッドのうちの一つまたは複数を制御し得ることは、理解されるべきである。
【0022】
システム100用の制御ロジック310の例示的なアルゴリズムは、次の通りとし得る。すなわち、(1)電力受信機330は、通信チャネル110を使用して、近傍にある任意の送信機330aにその存在を宣言することができる。(2)電力送信機330aは、通信チャネル110上でその存在を通信し、そのアンテナ208またはノード204のうちの一つのみを用いて送信を開始し得る。(3)電力受信機330bは、通信チャネル110上で微弱な信号を受信したことを確認し得る。(4)電力送信機330aは、デフォルトの位相がゼロである別のアンテナ208またはノード204をオンに切替え、通信チャネル110を介して受信機330bに信号強度を求め得る。(5)電力受信機330bは、受信された信号が以前よりも高い、同じ、または低いことを示す信号を送り返し得る。(6)信号が以前よりも低いか、または以前と同じである場合、コントローラ310は、ノード204における位相を1/2λ増加させ、別の信号強度の送信を要求し得る。(7)ステップ5および6は、全てのフェーズに対して繰り返される。(8)信号強度における増加が観察されなければ、その特定のノード204はオフに切り替えられ、ステップ4から繰り返して、別のノードがプロセスで使用される。(9)全てのエミッタ ノードが使用されるまで、ステップ4ないし6が繰り返される。
【0023】
別の例では、ステップ(6)は、0、1/2λ、および5λ/4ラジアンを含む3相サイクルに亘って、位相を増加させるステップを含み得る。このようにして、正弦曲線全体のおおよその形状が決定され得る。それに応じて、ピーク電力の位相角は決定され得る。また、同調されたアンテナを加算する場合、次に加算されるアンテナの受信電力は、総受信電力における僅かな割合に過ぎないことがある。そのため、2番目のアンテナを加算すると、電力が4倍に増加されることがあるが、101番目のアンテナを加算すると、電力が2%追加されることがあり、1001番目のアンテナを加算すると、総受信電力が0.2%追加されることがある。これにより、試験されたアンテナからの実際の電力利得/損失を検出することが困難になることがある。したがって、試験サイクル中に数本のアンテナのみに電源が投入され、試験された各アンテナに関する位相が記憶され得る。一旦、アレイ全体の位相が決定されると、全ての素子は、電力を供給するために、オンに切り替えられ得る。
【0024】
あるいは、送信された電力における全てのアンテナは、おそらく、それらの位相をそれらの現在値の周りでわずかに動かし、受信信号に対する影響を検出することによって、再同調され得る。それが一方向に改善する場合(例えば、位相を進めたり、または遅らせたりする場合)、位相は、どちらの側にも改善が見られなくなるまで、循環/増加を継続し得る。これは、大規模アレイに対する受信電力レベルにおける変化を検出する能力に依存することになり、そうでない場合は、アレイ全体は、オフに切り替え、位相を最初から再確立することが必要とされ得る。
【0025】
別の実施形態では、
図2Bおよび3Bに最も明確に示されるように、各アレイ素子またはノード204は、電力受信システム330bにおける較正送信機460から較正信号を受信するように設定することができる。各アレイ要素またはノード204は、そのノード204で検出された受信較正信号を、データライン303を介して制御ロジック310に送信することができる。その後、コントローラ310、コントローラ206の何れか、または両方のコントローラの組み合わせが、最適化された電力伝送301を電力受信機330bに送り返すために、各アレイ要素またはノード204をその素子用に検出された位相を送信位相として設定することができる。実施形態100では、構成記憶装置は、最初に機器102と通信する必要なく、アレイが特定の位置または「ホットスポット」に電力を送信することを可能にするために、コントローラロジック310と動作可能に通信し得る。この機能は、機器102が通信チャネル110を確立するための予備電力を有しない場合に、電力伝送301を機器102に送信する際に有用である。
【0026】
あるいは、別の実施形態は、受信機および全ての送信機アンテナ、例えば、送受信機における双方向機能を利用するために、以下のように動作し得る。コントローラは、全ての送受信機が電力受信機(すなわち、充電対象の機器)からビーコン信号を受信するように準備し得る。次いで、充電対象の機器は、充電対象の機器および電力送信機の間における全てのオープンパスを通過するビーコン信号(例えば、アレイおよび受信機の間で、それらのクロックを同期させるために無線通信を介して、フェーズドアレイの同じ周波数であり得る較正信号など)を送信する。電力送信機において受信された信号は、電力送信機における各アンテナに到達する受信機および送信機アンテナの間における全てのオープンパスの合計と等価であり、各パス合計は、特定の電力送信機アンテナ毎における特定の電力レベルおよび位相に加算される。
【0027】
送信機アレイの各アンテナは、受信信号を内部信号と比較して、受信位相を検出する。一旦、全ての送信機アンテナによって受信位相が確立されると、各アンテナは、そのフルパワーによって受信位相の複素共役で送信を返す。
【0028】
さらに、上記のアレイの同調は、全ての可能なパスを考慮するため、(例えば、アレイおよび受信機の間に直接開いたパスがあること、または受信機が環境内で滑らかで直線的なモーションで移動することは、想定されておらず)、環境の構成に対する何れかの変更は、受信機の移動または電力送信機アレイの物理構成の変更と同等であることがある。そのため、アレイの頻繁な再同調が、常に(例えば、毎秒10回以上)必要になることがある。
【0029】
アンテナアレイの再同調は、受信機のビーコン信号を「リッスン(listen)」するために送信される電力を遮断する必要があるため、アレイに電力を供給するために使用することができていたはずの時間が失われることがある。それに応じて、受信機への電力供給を最大化するために、受信機における電力レベルが大幅に変化しない場合、アレイは、再同調の頻度を低減させ得る。受信機における受信電力が低下する場合、アレイは、受信機の電力が再び安定するまで、更新の頻度を増加させ得る。同調の頻度に対する特定の制限は、例えば、最小10tps(1秒当たりの同調)から最大500tpsまでに設定され得る。
【0030】
あるいは、個数(n)のアンテナの同調は、以下のように実行されてもよい。全てのn個のアンテナが、オフに切り替えられ得る。次いで、n個のアンテナのうちの一つが、オンにされ、他のn個のアンテナの各々が同調するための基準として、オンのままになる。次いで、残りのn個のアンテナの各々がオンにされ、それらの最適位相が記録された後に、それらはオフにされる。このシーケンスがn番目のアンテナにおいて実行されると、全てのアンテナが、それぞれの最適位相でオンにされる。
【0031】
移動する受信機を有する
図1における実施形態に関して、全ての送信機アンテナは、例えば、それらの位相をそれらの現在値の周りでわずかに動かし、受信信号に対する影響を検出することによって、再同調される必要があることがある。それが一方向に改善する場合、どちらの側にも改善が無くなるまで、位相の循環/増加が継続される。これは、大規模アレイに対する受信電力レベルにおける変化を検出するための能力に依存し得て、そうでない場合、アレイ全体は、オフに切り替え、最初から位相を再確立することが必要とされ得る。
【0032】
例示的なアレイ101は、一辺が約1メートルの30×30グリッドネットとすることができ、ワイヤの各交点は、単一の送信アンテナ204を有する。好ましくは、アレイグリッド101は、可撓性材料/軟質材料で作られる。グリッド材料の柔軟性により、ユーザーは、例えば、平坦な二次元アレイによって引き起こされるミラー焦点、および離散的な位相差を有する平坦で規則的に配置されたアレイに通常発生する盲点を最小化するために、実質的に不均一かつ非同一平面的な態様、すなわち、広がっているが平坦ではない態様で、マイクロ波アレイエミッタグリッド101を物理的に構成することが可能になる。
【0033】
本明細書に説明される通信メカニズムは、送信機および受信機が相互に通信している場合、ならびに受信機が(後方散乱の動作特性に起因して)通信するための電力を有しない場合に動作することができる。
【0034】
送信機アンテナは、単一のチップに回路を含み、ワイヤを用いてチップをデイジーチェーンで接続して、種々の形状および設計に構成および使用され得る「フェーズドワイヤ(phased wires)」の長いストリップを作成する形態を取り得る。一連の「位相制御(phase control)」チップを通して、数千のアンテナ、および関連するコントローラを備える複雑なアレイを構築すると、チップ間のワイヤは、チップを共通のコントローラに接続するデータパスとして機能し得ると同時に、ワイヤは、送信アンテナ/受信アンテナ自体としても機能し得る。各チップは、アンテナとして機能するチップから、さらに多くのワイヤが出ていることがある。各アンテナは、アドレス(例えば、a、b、c、およびその他のアドレスなど)を与え得て、チップが各アンテナの位相を他のアンテナから独立して制御することを可能にする。さらに、アレイの同調がアンテナの位置および配置とは無関係であるため、ワイヤは、利用可能なスペースに応じて、あらゆる種類の配置に構成され得る。
【0035】
アンテナチップコントローラが短いワイヤを通して接続されるため、ワイヤは、幾つかの方法においてアンテナとして利用され得る。例えば、ワイヤ自体は、発振器および/または増幅器によって駆動することがあり、またはシールドは、シールド自体を駆動してアンテナとして使用することで、ワイヤの周囲にシールドを使用されることがあり、そのため、通信ワイヤが多層アレイにおける信号を遮断することを防止させ得る。
【0036】
図4は、送信機の一実施形態を示すブロック図である。送信機は、制御ロジック410、移相器420(N個)、信号発生器/乗算器430、増幅器440(N個)、および(N個の)アンテナ450を含む、アンテナコントローラ400であり得る。アンテナコントローラ400は、全てのアンテナコントローラを制御する単一のコントローラから、または以前のアンテナコントローラ400から、共通バス上で、電力信号および基本周波数制御信号、ならびに他のコマンドおよび通信信号を受信する。電力信号は、例えば、送信機400の電源(図示されない)によって受信され得て、一方、基本周波数制御信号は、信号発生器/乗算器430によって受信され得て、通信信号およびコマンドは、制御ロジック410によって受信され得る。以前の各アンテナコントローラ400が電力信号および基本周波数制御信号を提供する場合、これらの信号を伝送するバスは、次のアンテナコントローラ400に対して継続し得る。制御ロジック410は、移相器420を制御して、移相器420に増幅器440の位相を調整させ得る。信号発生器/乗算器は、例えば、10MHzでバスから信号を受信し、その信号を、例えば、2.4GHz、5.8GHz、および無線伝送用の他の値まで変換する。
【0037】
図5は、送信機の一実施形態を示すブロック図である。送信機は、制御ロジック510、移相器520(N個)、信号発生器/乗算器530、送受信機540(N個)、(N個の)アンテナ550、および位相比較器560(N個)を含む、アンテナコントローラ500であり得る。送受信機540は、受信機から較正信号またはビーコン信号を受信し、その信号を位相比較器560に転送する。位相比較器560は、それぞれの送受信機540の受信信号の位相を決定し、電力信号を送信するための最適な位相角を決定する。この情報は、制御ロジック510に提供され、その後、制御ロジック510は、移相器520に送受信機の位相を(例えば、受信されたビーコン信号/較正信号の複素共役で)設定させ、その設定された位相で電力を送信させる。信号発生器/乗算器530は、アンテナコントローラ400の信号発生器/乗算器430と実質的に同様の機能を実行する。さらに、バス信号は、送信機400におけるものと同様であり、その信号は、例えば、送信機500における対応コンポーネントによって受信される。
【0038】
図6は、例えば、
図4および5におけるアンテナコントローラを制御するためのコントローラ600を示すブロック図である。コントローラ600は、制御ロジック610、電源620、アンテナ660に接続される通信ブロック630、アンテナ670に接続される基本信号クロック640、およびバスコントローラ650を含む。制御ロジック610は、バスコントローラ650を制御し、バスコントローラ650は、M個のバス上で、M個のアンテナコントローラ(例えば、400および500など)に信号を送信する。電源620は、バスコントローラ650に電力源を提供する。通信ブロック630は、それぞれのアンテナ660を介して受信機からデータを送受信する。基本信号クロック640は、基本信号を他のコントローラに送信し、また同期のために受信機に送信/受信し得る。一つのコントローラ600は、全ての送信機アンテナを制御するために利用されてもよいし、または一つのコントローラ600がアンテナ群を制御する、幾つかのコントローラ600が使用されてもよい。さらに、それぞれのアンテナを有する別個の通信ブロックおよび基本信号クロックが図示されているが、その機能は、一つのブロック(例えば、通信ブロック630など)に組み込まれてもよいことは、留意されるべきである。
【0039】
図7は、受信機700を示すブロック図である。受信機700は、
図1における実施形態に従うことができる。受信機700は、制御ロジック710、バッテリー720、通信ブロック730および関連するアンテナ760、電力計740、ならびに整流器750および関連するアンテナ770を含む。制御ロジック710は、通信ブロック730からデータ搬送波周波数でデータ信号を送受信する。このデータ信号は、上述されるサイドチャネルを介して送信される電力強度信号の形態であり得る。整流器750は、電力送信機から電力送信信号を受信し、この電力送信信号は、(妨害、遮断、機能不全、または破壊のために)電力計740を介してバッテリー720に供給される。電力計740は、受信された電力信号強度を測定し、この測定値を制御ロジック710に提供する。また、制御ロジック710は、バッテリー720自体からバッテリー電力レベルを受信し得る。
【0040】
受信機700は、例えば、コントローラ600にアンテナ670を介して基本周波数信号を送信させることによって、コントローラ600と同期し得る。次いで、受信機700は、この信号を使用して、受信機がコントローラ600に送り返すビーコン信号または較正信号を同期させ得る。この手法は、複数のコントローラを用いても同様に利用され得ることにも留意されたい。すなわち、複数の送信アレイが利用される場合、コントローラは、コントローラのうちの一つから送信される基本周波数信号を利用することによって、相互に同期化され得る。
【0041】
図8は、代替的な受信機800を示すブロック図である。受信機800は、
図1における実施形態に従って利用することができる。受信機800は、制御ロジック810、バッテリー820、通信ブロック830および関連するアンテナ870、電力計840、整流器850、ビーコン信号発生器860および関連するアンテナ880、ならびに整流器850またはビーコン信号を関連するアンテナ890に接続するスイッチ865を含む。整流器850は、電力送信機から電力送信信号を受信し、この電力送信信号は、(妨害、遮断、機能不全、または破壊のために)電力計840を介してバッテリー820に供給される。電力計840は、受信された電力信号強度を測定し、この測定値を制御ロジック810に提供する。また、制御ロジック810は、バッテリー820自体からバッテリー電力レベルを受信し得る。また、制御ロジック810は、通信ブロック830を介して、データ搬送波周波数上のデータ信号、例えば、クロック同期のための基本信号クロックを送信/受信し得る。ビーコン信号発生器860は、アンテナ880または890の何れかを使用して、ビーコン信号または較正信号を送信する。バッテリー820は充電され、受信機800に電力を供給するように図示されているが、受信機は、整流器850から直接的にその電力を受け取り得ることに留意されたい。これは、整流器850がバッテリー820に充電電流を供給することに加えて、または充電を供給する代わりに行い得る。また、複数のアンテナの使用は、実装例の一例であり、その構造は、一つの共有アンテナに低減され得ることに留意されたい。
【0042】
送信機アンテナ制御回路、ならびに受信機の電力回路および制御回路は、集積チップ(IC)として構築されることがあり、幾つかの主要な回路コンポーネントを共有することがあるため、二つのチップの機能は、一つのチップとして設計され得て、異なるパッケージングまたは構成を選択することにより、チップは、送信機または受信機の何れかとして機能させ得る。すなわち、特定の部分を有効または無効にした同じチップは、送信アンテナコントローラまたは受信機コントローラとして利用され得る。これにより、二つの異なるチップの構築および試験に掛かるコストが削減されるだけでなく、チップの製造コストも、大幅に節約され得る。
【0043】
上述されるように、電力送信グリッドの形状は、多くの種類を採り得る。したがって、アンテナのパッキングは、送信電力信号の波長の約半分から波長の数倍まで、十分に近くなることがある。アレイをカーペットの下に平らに敷いたり、またはアレイを屋根裏の断熱材の上に垂らしたりすることが可能となるように、二次元的な配置を作成することもできる。例えば、複数の送信アンテナを含む、複数の幅の広いワイヤ(例えば、二次元アレイの狭いストリップなど)が使用され得る。これらの幅広のワイヤは、床に、または壁内に設置することができる。あるいは、電力送信グリッドは、ループアンテナの形状、または他の任意形状であってもよい。
【0044】
三次元配置は、最も多くのアンテナを詰め込み得て、例えば、オフィスの天井タイル、ドア、絵画、およびテレビなどの、便利な形状に組み込むことができるため、アレイを目に見えることなく目立たなくする。また、グリッドアレイは、相互に後ろに積み重ねられた幾つかの層で形成され得て、より高密度のアンテナを可能にする。この例では、アレイは、単一の前方ビームと、その背後に最小限のミラービームとを有する「フェーズドボリューム(phased volume)」と同様に動作する。フェーズドボリュームの厚みが増加するにつれて、ミラービームは低減され得る。
【0045】
すなわち、全方向性アンテナを使用する完全に平坦なフェーズドアレイは、(例えば、アレイの反対側に自由空間または同一の環境がある場合)アレイの平面の周りに対称的に形成された波面の二つの「イメージ(images)」を作成することがある。これは、電力供給を(例えば、バックプレーンに送られる電力の50%など)低減させ、そのため、転送効率を低下させるという望ましくない結果をもたらす可能性がある。アレイアンテナを非平面状に配置すると、アンテナがアレイの対称側で異なる位相を有しており、信号が非対称となって「ミラー化(mirrored)」されないため、その配置がたとえ三次元アレイ対称設計であっても、この対称波面を減少させ得る。
【0046】
アレイが特定の受信機用に位相調整される場合、アレイにおける全てのアンテナは、アンテナがその特定の受信機に到達する信号を作成するように送信する、特定の位相を有する。二つ以上の受信機は、以下の手法のうちの一つまたは組み合わせによって、電力を受信するように構成することができる。
【0047】
ある手法では、電力供給の時間共有が、異なる受信機間で利用され得る。これは、アレイにおけるアンテナを一つの受信機に同調させ、次いで、次の受信機に切り替えて、各受信機に均等な(または不均等な)時間量を与えることによって行うことができる。各受信機に対するアレイの同調は、メモリから行われてもよいし、または第二の実施形態の技術と同様のプロセスを使用して、アレイを再同調することによって行われてもよい。
【0048】
別の手法では、全てのアレイアンテナを位相変調させて、複数のパワースポットを形成することが利用され得る。各アンテナについて、受信信号は、その位相が受信角度であるベクトルであり、その大きさは受信信号の電力レベルである。複数の受信機への返送信号を作成するために、送信の位相は、受信ベクトルの和の角度であるものとして決定され得る。受信信号の大きさを利用し、通常の送信電力で各アンテナから送信する必要はなくてもよいが、マルチパス信号が考慮される場合により優れた性能を発揮する、バイアスの掛かったマルチフォーカス信号を作成するために、各受信機からのピーク受信信号電力が発見され得て、正規化されたスケールに対してベクトルをスケーリングすることによってベクトル加算がバイアスを掛けられ得る(例えば、各受信機からのピーク電力は、ピーク電力に対して大きさ1.0と見做され得る)。ベクトルの加算により、各アンテナは、それがより多くの電力を供給する受信機に、または、代替的にそれがより多くの電力を受信する受信機に、より多くの電力を提供することが保証され得る。
【0049】
アンテナの共有は、別の手法である。アレイ全体を複数のサブアレイに分割することにより、各サブアレイは、その電力を特定の受信機に供給し得る。このアプローチは、アレイが分割時に効率的であるほど大きい場合に、有益であり得る。
【0050】
別々のアレイを同時に使用することもでき、その場合、個々のアレイユニットは、指定された「マスター(master)」ユニットからの連続信号を実現するために、共有無線周波数を使用して、それらの基本信号クロックを同期させて、全ての「スレーブ(slave)」送信機コントローラユニットがそれらの波形をコヒーレントに加算することを可能にする。これは、個別のアレイが環境内に分散することを可能にし、ユーザーは、建物、居住区、製造計画、またはオフィスの周囲に複数のアレイを配置する際に、ユーザーに柔軟性を与える。これらのコントローラのセットアップ中に、インストーラー/マネージャーは、フェイルオーバー・シーケンスと共にマスターユニットを指定することによって、異なるコントローラアレイを相互にリンクさせ得て、これにより、どれだけ多くの数のアレイに障害が発生しても、システムは、利用可能なアレイを使用して、動作し続けるようになる。例えば、アレイは、原子クロックを使用して、それらを同期させることによって設定され得る。すなわち、別個のアレイユニットが電力伝送に使用する単一の周波数を利用する場合、別個のアレイユニットは、正確な原子クロック(例えば、1:10の10乗を超える精度など)を使用することによって、基本周波数で同期することなく動作し得る。この場合、別個のアレイユニットは、何分の一秒かの間、同位相となり、位相/信号のコヒーレンスを維持することを可能にする。
【0051】
別の電力伝送技術では、送信機は、全ての受信機に対してその存在をブロードキャストするサイド通信チャネルにおいて、通常の信号を送信し得る。近傍に他の送信機がある場合は、合意された周波数のうちの一つを使用するか、または他の送信機の信号を監視することによって信号の衝突を回避するかを保証する。これらのブロードキャスト・アナウンスは、1分間に数回から1回未満までの頻度において変動することができる。受信機は、その存在を知らせる信号を発信し、送信機は、どの受信機が(妨害、遮断、機能不全、破壊などのために)アクションに最も適しているかというネゴシエーションを行い得る。一旦決定されると、受信機は、一つの送信機に「ロック(lock)」する。これには、各送信機を論理的な(単一のコントローラ)機器として定義されることが必要になることがあり、この機器は、複数のリンクされた送信機によって構成される可能性がある。パワーエンベロープが変化していることを、コントローラが検出する(すなわち、受信機が同じ電力を必要としていない、またはアクションに応答していない)場合、コントローラは、電力伝送電力信号および/または通信信号の供給を継続し得る。
【0052】
別の電力伝送技術では、送信機は、送信機が必要とする何れかの機器に電力を供給するために開設されるように送信機をセットアップすることができ、または送信機が電力を供給するべき機器と「ペアリング(paired)」することができる。ペアリングは、隣接する機器が意図することなく相互に電力を借り合うという問題を回避し、これは、送信機の所有者の観点から効率に影響を与える可能性がある。送信機が複数の受信機に直面する場合、送信機は、例えば、最も必要な機器に最初に電力伝送を与えるなどの、優先順位付けのための階層を確立する必要があり得て、これは、一つまたは複数の事前定義された基準に基づいて確立することができる。
【0053】
例えば、基準の一部には、以下のことが含まれ得る。すなわち、機器がその所有者にとって極めて重要であること(例えば、玩具ではなくドローンなど)。機器が、通常、送信機の近傍で一日中存在することはないこと(例えば、携帯電話と比較されるルーターなど)。または、機器が、差し迫った脅威をもたらすことが判明されること。このような機器には、他の機器よりも高い優先順位が与えられ得る。あるいは、ユーザーによってカスタマイズされた優先順位が利用され得て、それにより、どの機器が最高の優先順位を取得するべきかをそのユーザーが決定する。
【0054】
上述される優先順位設定の例は、送信機システムに(例えば、制御ロジックに)プリインストールされることがあり、アレイのインストーラーによって無効にされる能力を備えて、システムが所有者/ユーザーの優先順位に従って供給していることを保証する。また、所有者またはユーザーは、アレイが任意の機器に電力を供給するように開設されることになるか否かを希望し得るか、または特定の機器を最高優先順位または最低優先順位として登録することを希望し得る。さらに、ユーザーまたは所有者は、特定の機器が移動している場合でも、その機器への電力伝送を維持するか否かを決定することを希望し得る。
【0055】
別のアレイ同調アルゴリズムの実施形態では、アレイが受信機の新しい位置に再同調する際に、電力伝送を停止する必要がある。受信機の高速移動、または環境構成における急速な変化に起因して、これらの再調整動作が高頻度で行われる場合、新しいビーコン信号を受信している間、アレイをオフにし続けるために必要とされる時間は、電力伝送効率を低下させる可能性がある。したがって、これに対抗するために、アレイ/受信機によって複数の周波数が使用され得る。一つの周波数が同調されている間、別の周波数は、電力の伝送を継続し得て、その後、全ての周波数が再同調されるまで後続の周波数が同調され、そのために、伝送中に停止された何れかのギャップを回避する。
【0056】
大規模フェーズドアレイを設計する場合、必要とされる周波数を全てのアンテナに送信する必要があることは、多数のケーブル(例えば、同軸ケーブルなど)に起因して、困難であることがある。アンテナの個数が1000超に到達すると、これは、さらに困難になり得る。そのため、別の代替方法では、高周波信号(>1GHz)を全てのアンテナに送信する代わりに、より低周波信号(~10MHz)が、全てのアンテナに送信され得て、全てのアンテナは、フェーズ・ロック・ループ(PLL)および移相器などの、周波数逓倍回路を有することになる。
【0057】
さらに、電子機器/電気機器に使用される使い捨て可能バッテリーまたは充電可能バッテリーの代替として、電力を受け取り、それ自体を再充電する能力を備える、標準フォーマットのバッテリー(例えば、AA、AAA、Cセル、Dセルなど)が希望されることがある。これは、バッテリーに、送信機アレイと通信するために必要とされる全ての回路を有することだけでなく、バッテリーが電力を供給する機器を動作させるために使用される充電容量/エネルギー容量を有することを必要とすることになる。
【0058】
この機器は、多くの場合、コンポーネントを作動するための電圧もしくは電流を必要としたり、またはバッテリー交換の間における長時間の動作を保証するために、バッテリー容量を必要としたりとするが、これは、単一のバッテリーの能力を超えている。そのため、多くの場合、複数のバッテリーが、直列または並列に使用される。ただし、単一の受信機バッテリーを用いると、バッテリーが必要な電圧を供給することができるため、機器の動作に必要とすることができるバッテリーは一つのみとなる。また、バッテリーが大量のエネルギーを受け取って、バッテリーを交換する必要なく、動作を永続的に維持することが可能になるため、エネルギー容量は、議論の余地のない問題になる。
【0059】
しかしながら、複数のバッテリーの代わりに単一のバッテリーを使用することは、機器のバッテリー格納領域の構成に起因して、機能しないことがある。したがって、これを克服するために、追加の手法が使用され得る。
【0060】
図9は、受信機バッテリーシステム900を示すブロック図である。システム900は、少なくとも一つの受信機バッテリー910を含み、任意数のヌル・バッテリー920を含み得る。例示の目的のために、一つの受信機バッテリー910および二つのヌル・バッテリー920が図示されているが、任意数のヌル・バッテリーが利用され得ることは、留意されるべきである。受信機バッテリー910は、電力コンデンサ911、制御回路912、および電圧制御発振器913を含む。ヌル・バッテリー920は、誘導ロジック921を含む。
【0061】
したがって、バッテリーシステム900は、以下のように動作し得る。すなわち、「受信機(receiver)」有効化バッテリー、(すなわち、910)を有するバッテリーが一つのみ提供される。しかしながら、正常に動作するバッテリーと直列に配置された使用済みの通常のバッテリーは、時間の経過とともにバッテリーの抵抗が増加していく可能性があり、バッテリーの寿命使用量を超えると、バッテリーは、発生する可能性がある他の問題の中でも、漏電する可能性がある。
【0062】
あるいは、「ヌル(null)」バッテリー(すなわち、920)は、受信機バッテリー910にある「パワーセレクタ(power selector)」と組み合わせて使用され得る。一実施例におけるヌル・バッテリー920は、正確なバッテリー寸法を有する機器であるが、それらのアノードが短縮されると、受信機バッテリー910の電圧が機器を補助なしに駆動させる。受信機バッテリー910は、制御回路もしくはスライダ912、または他の選択メカニズムを利用して、ユーザーが交換するバッテリーの個数を選択することを可能にする。その後、受信機バッテリー910は、ヌル・バッテリー920を補償するために所望の電圧を出力する。
【0063】
別の手法では、インテリジェント型受信機バッテリー910と同様にインテリジェント型ヌル・バッテリー920が使用され得る。受信機バッテリーは、最初に、所望のフォーマットの一つのバッテリーの電圧だけでなく、1KHz(または同様の他の周波数)の低電圧発振(使用されるヌル・バッテリーの個数を検出する間、0.1V未満の発振)を出力し、インテリジェント型ヌル・バッテリー920は、1KHzを使用して、それ自体に誘導的に電力を供給する。ここで、ヌル・バッテリーは、抵抗、静電容量、または受信機バッテリーが検出することができる他の手段によって、電力ラインに影響を与える。インテリジェント型ヌル・バッテリー920の効果の周波数は、オンボードの準ランダム発生器(例えば、ロジック921など)によって行われ、この準ランダム発生器は、統計的に加法的であるという特性を有する。そのため、ライン上の準ランダム発生器の個数を決定することができる。この一つの実施形態は、既知の間隔で動作する32ビットの線形フィードバック・シフトレジスタを使用するになり、これにより、シフトされたビットが、電力ライン上の効果「ブリップ(blips)」を誘発するために使用される。電源投入時のフィードバック・シフトレジスタのシード番号は、全てのヌル・バッテリー920で異なる必要があるため、それらが同時に動作することはない。
【0064】
図10は、「ブリップ(blips)」1010を含むバッテリーシステム電力ラインダイアグラム1000である。受信機バッテリー910は、電力ライン上のブリップ1010を計数し、インテリジェント型ヌル・バッテリー920の個数を決定する。ブリップ1010は、高周波パルス変調器または容量変調器とすることができる。ほとんどの電気機器/電子機器によってマスク化されないブリップが選択され得る。このプロセスは、例えば、1ミリ秒未満の短期間だけ実行される。その後、受信機バッテリー910は、異なる電力を必要とする異なる機器にあり得る次の電源投入まで、電圧検出を必要としない。受信機バッテリー910によって作成された1KHzの「電力(power)」周波数は停止し、ヌル・バッテリー920は休止状態になり、電力が供給される機器に対して透過的になる。
【0065】
改めて
図10を参照すると、システム900の電力系統ライン上で二つのヌル・バッテリー920の各々によって、ランダム・ブリップ1010が生成される。ブリップ1010は、受信機バッテリー910によるランダム・ブリップ発生器の個数を決定するために使用される。ブリップを経時的に計数し、単一のヌル・バッテリー920からの予想される数によって割ることにより、直列に設置されるヌル・バッテリー920の個数を決定することができる。ただし、並列バッテリー設置システムでは、各並列電源ラインについて、一つの受信機バッテリー910が必要とされることがある。
【0066】
機器が500MHzを超える高周波数で電力を受信している場合、その場所は、(入射)放射線のホットスポットになることがある。そのため、その機器が人の上にある場合、放射線のレベルが、FCC規制を超えたり、または医療当局/産業当局によって設定された許容可能な放射線のレベルを超えたりすることがある。過剰放射線の問題を回避するため、機器は、加速度計または同等のメカニズムなどの、モーション検出メカニズムを統合し得る。一旦、機器は、それ自体が移動していることを検出すると、その機器が手荒に扱われていると想定され得て、機器への電力伝送を停止するか、または受信電力を電力の許容可能な割合まで低下させるかの何れかを行うように、アレイへの信号を誘発することになる。自動車、電車、または飛行機などの、移動環境に機器が使用される場合、その機器が利用可能な電力を全て失いそうにならない限り、電力は、断続的にのみ送信されるか、または低減されたレベルでのみ送信されることがある。
【0067】
図11は、上述されるようなモーション検出を含む、第一の実施形態による代替的な受信機1110である。受信機1100は、制御ロジック1110、バッテリー1120、通信ブロック1130および関連するアンテナ1160、電力計1140、整流器1150および関連するアンテナ1170、ならびにモーションセンサー1180を含む。モーションセンサー1180を除いて、残りのコンポーネントは、受信機700の各コンポーネントと機能的に同様に動作する。モーションセンサー1180は、上述されるようにモーションを検出し、上述される手法に従って動作するように制御ロジック1110に信号を送る。
【0068】
図12は、上述されるようなモーション検出を含む、第二の実施形態による代替的な受信機1200である。受信機1200は、制御ロジック1210と、バッテリー1220と、通信ブロック1230および関連するアンテナ1270と、電力計1240と、整流器1250と、ビーコン信号発生器1260および関連するアンテナ1280と、整流器1250またはビーコン信号発生器1260を関連するアンテナ1290に接続するスイッチ1265とを含む。モーションセンサー1295を除いて、残りのコンポーネントは、受信機800の各コンポーネントと機能的に同様に動作する。モーションセンサー1295は、上述されるようにモーションを検出し、上述した手法に従って動作するように制御ロジック1210に信号を送る。
【0069】
WiFi通信またはBluetooth、および携帯電話またはメディアプレーヤのようなものによって使用される周波数で、電力を受信するように設計された機器は、電力伝送周波数で電力を受信することが可能であるアンテナを既に有していることがある。それに応じて、電力を受信するために追加のアンテナを有する代わりに、通信ハードウェアに必要とされる回路を追加する(例えば、整流、制御ロジック等を追加する)ことによって、WiFi通信などに使用されるのと同じ通信アンテナが、電力の受信に使用されることがある。
【0070】
無線電力伝送システムの幾つかの使用例には、スーパーマーケットおよび消費者向け小売店において、商品の棚に価格タグが貼られていることが含まれ得る。これらのタグの価格番号を管理することは、高価で時間を要する作業となる可能性がある。また、特別販売およびプロモーションは、タグが毎日変更されることになることを意味する。
【0071】
今日の電子インクサイネージでは、価格/プロモーションを極めて効果的に表示する小型の電子機器によって、各タグを構成させることが可能であり、電子インクは、静止画像を表示している間は電力を消費しない。しかしながら、表示するための新しいデータを受信するためには電力が必要とされ、電子インクの表示を変更するためにも電力が必要とされる。全てのタグにワイヤを通じさせることは、実現可能な解決策ではないし、また各タグにバッテリーを搭載することも実現可能ではない。全てのタグに定期的な充電または交換が必要になるためである。無線電力伝送を利用することにより、天井または棚に設置される無線電力送信機アレイから数千のタグを稼働状態に維持し、タグが移動される際だけでなく、定期的にタグに電力を供給することができる。一旦、タグが所望の目的地に到着すると、有線または無線の何れかの初期電力を用いて、タグは作動され得る。
【0072】
別の例では、製造工場では、生産の同期、全体的な生産性、および製造品の品質を維持するために、多数のセンサおよびコントローラが利用されている。無線通信を使用しているにも関わらず、依然として、全ての機器に電力を伝送するワイヤを伸ばすことが必要とされ、これは、機器を故障し易い一つまたは複数のコンポーネントに依存させることになり、機器は、機器に電力ワイヤをもたらすための穴を有する必要があるため、製油所のような可燃性の高い環境で使用するために、設置前に機器を密閉的に密封することができない。したがって、上述される無線電力受信機のうちの一つを組み込むことにより、これらの機器に無線電力が供給され得る。
【0073】
無線電力システムは、モーション検出にも利用され得る。電力伝送システムが有効である場合、環境内の小さな外乱は、その変化が伝送の見通し線上にない場合でも、伝達効率を変化させる可能性がある。このシステムは環境内における複数のパス(マルチパス)を活用するため、システムは、モーション検知器として使用することができる。環境に局在または分散されるアレイから受信される電力を測定することにより、受信される電力レベルの何れの変化も、環境の電磁気的構成の変化の指標であることになる。このような用途では、電力ワイヤは、受信機に電力を供給することができるが、アレイを同調する手段としてのみ機能するため、電力伝達レベルは非常に小さくすることができることに留意されたい。一旦、環境構成における変化が検出されると、セキュリティシステム/セキュリティアラームにその変化が通知され得る。
【0074】
別の例では、内容物の温度を調節する個々の飲料容器および食品容器は、一定の電源を有することが必要である。これらの容器の移動性が高い場合、電源の利用可能性を維持することが困難になる。無線電力は、電源の利用可能性を維持するために使用することができ、その結果、容器の温度を所望の温度に維持することができる。また、この容器は、利用可能な電力を使用して、内容物の温度、液体のレベル、または内容物の重量を報告することもできる。この例としては、暑い日に冷たい飲み物/熱い飲み物が提供される場合、または飲み物を冷たく/熱くして飲むことが飲み物の最良の飲み方である場合が挙げられ、この機能を用いると、飲み手は、飲み物が周囲温度に達する前にそれらを飲み終える必要がなく、むしろより長い時間、飲み物を楽しむことができる。また、飲み物が少なくなると、ホストは、信号受信機を通じて無線で通知を受けることができ、飲み物が無くなる前に適時に飲み物を補充することができる。
【0075】
別の例では、電力受信機を使用して、機器の電力使用量を監視することができる場合、故障に至る前に、故障機器を検出することが可能である。例えば、火災警報器は、それらが使用する公称電力を消費していない場合、または機器の消費電力が急激に変化する場合、故障しているものと見做され得る。後者の場合は、機器が故障し掛けている際に発生する。
【0076】
図13に取り掛かると、一つまたは複数の実施形態に従って、無線電力システムにおいてビーコンを暗号化するための方法の例1300を示すフロー図が描写されている。無線電力システムは、電力受信機(例えば、充電対象の機器またはビーコン機器など)および電力送信機を含み得る。
【0077】
方法の例1300は、ブロック1310から開始し、ここで、無線電力システムは、暗号化スキームを決定する。一つまたは複数の実施形態によれば、電力送信機および電力受信機は、暗号化スキームを決定する。この暗号化スキームは、認証のための複数の一意的かつ相違するビーコンを含む。
【0078】
ブロック1320では、無線電力システムは、暗号化ビーコン信号を送信する。一つまたは複数の実施形態によれば、電力受信機は、暗号化スキームから複数の一意的かつ相違するビーコンのうちの一つを選択し、その選択されたビーコンを暗号化ビーコン信号に暗号化し、暗号化ビーコン信号を送信する。電力受信機は、暗号化ビーコン信号を電力送信機に送信する。暗号化ビーコン信号は、選択済みのビーコンの伝送に対する付加的なレベルのセキュリティであることに留意されたい。
【0079】
ブロック1330では、無線電力システムは、暗号化ビーコン信号に基づいて電力受信機を認証する。一つまたは複数の実施形態によれば、電力送信機は、暗号化ビーコン信号を受信し、暗号化ビーコン信号を選択済みのビーコンに復号化し、暗号化スキームに従って選択済みのビーコンを認証する。
【0080】
ブロック1340では、無線電力システムは、電力を供給する(例えば、電力信号を送信する)。電力送信機は、無線電力システムに代わって、電力受信機が認証されると、電力信号を電力受信機に送信することができる。
【0081】
図14に取り掛かると、一つまたは複数の実施形態による、無線電力伝送のための方法1400が描写されている。方法1400は、一つまたは複数の実施形態に従って、無線電力システムにおいてビーコンを暗号化する例である。方法1400は、無線電力システムの電力送信機1401および電力受信機1402に亘って動作する。
【0082】
方法例1400は、ブロック1410から開始し、ここで、無線電力システムは、暗号化スキーム1411を決定する。一つまたは複数の実施形態によれば、電力送信機1401および電力受信機1402は、暗号化スキーム1411を個別に決定する。例えば、電力送信機1401および電力受信機1402は、例えば、製造時(例えば、電力送信機1401および電力受信機1402がファームウェアによって最初にプログラムされる際)に、合意された暗号化メカニズムによって暗号化スキーム1411を決定することができる。さらに、電力送信機1401および電力受信機1402は、例えば、使用前に電力送信機1401および電力受信機1402のプロビジョニングを行う際、または電力送信機1401および電力受信機1402が通信チャネル上でネゴシエーションを行っている際に、合意された暗号化メカニズムによって暗号化スキーム1411を決定することができる。
【0083】
一つまたは複数の実施形態によれば、暗号化スキーム1411は、ゼロ知識証明を含むことができる。これに関して、電力受信機1402における暗号化スキーム1411のビーコンは、電力送信機1401によって検証されるのに十分な情報の断片を含むが、電力送信機1401に格納された暗号化スキーム1411の全体を含まない。すなわち、ビーコンを構成する情報の断片は、電力受信機1402が認証済み機器であることを証明するのに十分なデータを電力受信機1402が有することを識別する。したがって、電力送信機1401および電力受信機1402は、全てのビーコンコードが一意的かつ相違するとすることができるように、事前に合意された暗号化メカニズムを有しており、未認証の受信機が正当なビーコンを発信することを防止する。一つまたは複数の実施形態によれば、暗号化方式1411は、三つ以上の大きな素数から選択されたライセンス鍵を含むことができる。すなわち、これらの三つ以上の大きな素数のうちの少なくとも二つを含む選択済みのビーコンは、電力受信機1402が認証済み機器であることを証明するのに十分である。
【0084】
一つまたは複数の実施形態によれば、暗号化方式1411は、電力送信機1401および電力受信機1402の間においてデータを伝送するためにも使用することができる。暗号化スキーム1411は、シーケンシャルコードが予測可能であるため、通信チャネルにおいてシーケンシャルコードが信頼可能ではないというシーケンシャルコードに対する問題を解決する。さらに、暗号化方式1411は、全てのビーコンコードが一意的かつ相違するとすることができるため、パリティ訂正/エラー訂正無し、または全てのビーコンが検出されることになるという期待無しに対する問題を解決する。
【0085】
ブロック1415では、電力受信機14155は、暗号化スキーム1411に従ってビーコンを選択する。一つまたは複数の実施形態によれば、ビーコンは、全てのビーコンコードが一意的で相違する複数のビーコンから選択することができる。全てのビーコンコードが一意的かつ相違することの技術的効果および利点は、未認証の受信機が正当なビーコンを発信することを防止することである。
【0086】
ブロック1418では、電力受信機1415は、選択済みのビーコンを暗号化ビーコン信号1419に暗号化する。例えば、選択済みのビーコンおよびそれを伴う任意のデータは、公開鍵・秘密鍵ペア符号化のうちの公開鍵を使用して暗号化され得る。ビーコンは、変化することができるパターンに暗号化することもできることに留意されたい。ビーコンは、スプーフィングを防ぐために暗号化される。暗号化ビーコン信号1419は、選択済みのビーコンの伝送に対する付加的なセキュリティレベルであることに留意されたい。
【0087】
ブロック1420では、電力受信機1402は、暗号化ビーコン信号1419を電力送信機1401に送信する。暗号化ビーコン信号1419は、ブロック1420において暗号化スキーム1411から選択されたビーコンと、電力受信機1402によって提供された任意の他のデータとを含む。
【0088】
ブロック1425では、電力送信機1401は、電力受信機1402から暗号化ビーコン信号1419を受信する。
【0089】
ブロック1428では、電力送信機1401は、選択済みのビーコンを選択されたビーコンに復号化する。例えば、選択済みのビーコンおよびそれを伴う任意のデータは、公開鍵・秘密鍵ペア符号化のうちの秘密鍵を使用して復号化することができる。
【0090】
ブロック1430では、電力送信機1401は、暗号化ビーコン信号1419から選択されたビーコンに基づいて、電力受信機1402を認証する。電力送信機1401は、暗号化スキーム1411を使用して、選択済みのビーコンを認証する。
【0091】
ブロッ1440では、電力送信機1401は、電力信号1441を電力受信機1402に送信する。電力送信機1401は、認証に基づいて(例えば、一旦、電力受信機1402が認証されると)、電力信号1441を電力受信機1402に送信する。電力信号1441は、暗号化ビーコン信号1419を受信したのと同じアンテナにおいて送信することができる。
【0092】
ブロック1445では、電力受信機1402は、電力送信機1401から電力信号1441を受信する。
【0093】
本発明は、上述される実施形態に限定されることはなく、以下の請求項の範囲内にある何れかの実施形態、およびあらゆる実施形態を包含することは、理解されるべきである。例えば、5.8GHzの周波数が上述されているが、100MHzを超える任意の周波数が、電力伝送周波数に利用され得る。
【0094】
また、電力送信グリッドから電荷を受け取るために、標準サイズの充電可能バッテリー、または特定の電子機器(すなわち、携帯電話、およびPDAなど)に使用するためのカスタム充電可能バッテリーを含む、任意種類の充電可能バッテリーが利用され得ることは、留意されるべきである。これらの再充電可能バッテリーは、既存のバッテリーを置き換えるために利用され得て、電力伝送信号を受信し、それを変換してバッテリーを再充電することを可能にすることになる、受信機の電子機器を含むことがある。
【0095】
一つまたは複数の実施形態によれば、方法および装置が提供される。本方法および本装置は、無線電力システムにおいてビーコンを暗号化するためのものであり、充電対象の機器から暗号化ビーコン信号を受信する無線電力送信機を含む。無線電力送信機は、暗号化ビーコンに基づいて充電対象の機器を認証し、その認証に基づいて充電対象の機器に電力信号を送信する。
【0096】
本発明は、上述される実施形態に限定されることはなく、以下の請求項の範囲内にある何れかの実施形態、およびあらゆる実施形態を包含することは、理解されるべきである。
【外国語明細書】