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特開2024-91585無線電力システムにおいて大電力を供給するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091585
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】無線電力システムにおいて大電力を供給するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/23 20160101AFI20240627BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20240627BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240627BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240627BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20240627BHJP
【FI】
H02J50/23
H02J50/90
H02J50/80
H02J7/00 301D
H02J50/40
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023216337
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】63/435,046
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】513045518
【氏名又は名称】オッシア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハテム ゼイン
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB09
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】無線電力システムにおいて大電力を供給するための方法および装置を提供する。
【解決手段】本方法は無線電力システムによって実施される。無線電力システムは、無線電力送信器と無線電力受信器とを含む。本方法は、無線電力システムの無線電力送信器によって、無線電力システムの無線電力受信器から送信されたビーコン信号を受信することを含む。本方法は、無線電力送信器によって、ビーコン信号に基づいて無線電力受信器の各ポートの位相を加算することを含む。本方法は、無線電力送信器によって、位相の加算に基づいて大電力信号を生成することを含む。本方法は、無線電力送信器によって、大電力信号を無線電力受信器に送信することを含む。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
無線電力システムの無線電力送信器によって、無線電力システムの複数の無線電力受信器から送信された1つまたは複数のビーコン信号を受信することと、
前記無線電力送信器によって、複数の大電力信号を前記複数の無線電力受信器に送信することと、
前記無線電力送信器によって、前記1つまたは複数のビーコン信号に基づいて、前記複数の無線電力受信器のうちの第1の無線電力受信器が移動したかどうかを決定することと、
前記無線電力送信器によって、前記第1の無線電力受信器が移動したかどうかに基づいて、前記複数の大電力信号のうちの第1の大電力信号の電力を生成することと、
前記無線電力送信器によって、前記第1の大電力信号を前記無線電力受信器に送信することと、
を備える、方法。
【請求項2】
前記無線電力送信器は、前記第1の無線電力受信器と前記無線電力送信器との間の距離の増加に基づいて、前記第1の大電力信号の前記電力を上げる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無線電力送信器は、前記第1の無線電力受信器と前記無線電力送信器との間の距離の減少に基づいて、前記第1の大電力信号の前記電力を下げる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記無線電力は、前記複数の大電力信号を時分割方式で送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記無線電力は、前記複数の無線電力受信器の他の受信器よりも前記第1の無線電力受信器の1つに多くの電力を送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記無線電力は、前記第1の大電力信号を第1の持続時間に前記電力で送信する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記無線電力は、前記第1の大電力信号用の電力を前記第1の無線電力受信器に迂回させるために、前記複数の無線電力受信器の他の受信器からの時間を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記無線電力は、前記第1の大電力信号用の前記電力を前記第1の無線電力受信器に供給するために余剰時間を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記無線電力送信器は、前記第1の無線電力受信器が移動したかどうかを決定するために、前記1つまたは複数のビーコン信号によって、前記無線電力送信器と前記無線電力受信器との間の距離を決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
充電される機器は、前記無線電力受信器を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
無線電力システムの無線電力送信器であって、
前記無線電力システムの複数の無線電力受信器から送信された1つまたは複数のビーコン信号を受信し、
複数の大電力信号を前記複数の無線電力受信器に送信し、
前記1つまたは複数のビーコン信号に基づいて、前記複数の無線電力受信器のうちの第1の無線電力受信器が移動したかどうかを決定し、
前記第1の無線電力受信器が移動したかどうかに基づいて、前記複数の大電力信号のうちの第1の大電力信号の電力を生成し、
前記第1の大電力信号を前記無線電力受信器に送信する、
ように構成される、無線電力送信器。
【請求項12】
前記無線電力送信器は、前記第1の無線電力受信器と前記無線電力送信器との間の距離の増加に基づいて、前記第1の大電力信号の前記電力を上げる、請求項11に記載の無線電力送信器。
【請求項13】
前記無線電力送信器は、前記第1の無線電力受信器と前記無線電力送信器との間の距離の減少に基づいて、前記第1の大電力信号の前記電力を下げる、請求項11に記載の無線電力送信器。
【請求項14】
前記無線電力は、前記複数の大電力信号を時分割方式で送信する、請求項11に記載の無線電力送信器。
【請求項15】
前記無線電力は、前記複数の無線電力受信器の他の受信器よりも前記第1の無線電力受信器の1つに多くの電力を送信する、請求項11に記載の無線電力送信器。
【請求項16】
前記無線電力は、前記第1の大電力信号を第1の持続時間に前記電力で送信する、請求項11に記載の無線電力送信器。
【請求項17】
前記無線電力は、前記第1の大電力信号用の電力を前記第1の無線電力受信器に迂回させるために、前記複数の無線電力受信器の他の受信器からの時間を利用する、請求項11に記載の無線電力送信器。
【請求項18】
前記無線電力は、前記第1の大電力信号用の前記電力を前記第1の無線電力受信器に供給するために余剰時間を利用する、請求項11に記載の無線電力送信器。
【請求項19】
前記無線電力送信器は、前記第1の無線電力受信器が移動したかどうかを決定するために、前記1つまたは複数のビーコン信号によって、前記無線電力送信器と前記無線電力受信器との間の距離を決定する、請求項11に記載の無線電力送信器。
【請求項20】
充電される機器は、前記無線電力受信器を備える、請求項11に記載の無線電力送信器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電力送信システムおよびバッテリー充電器に関し、特に、電力を必要とする機器に電力を供給するためのマイクロ波送信による無線電力送信の方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2022年12月23日に出願された米国仮出願番号63/435046の優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
電磁エネルギーの潜在的な供給源はマイクロ波エネルギーである。しかしながら、マイクロ波伝送による効率的な電力供給に関連するいくつかの問題があり、この目的のために、専用の地上マイクロ波電力送信器の使用が妨げられている。
【0004】
例として、従来の無線電力は、電力受信器によるビーコン信号を利用して、電力受信器(例えば、充電対象機器、ビーコン機器、または被電力機器)を識別する。さらに、ビーコンは、電力送信器のアレイ全体の干渉パターンを取り込むために使用されることができる。これに関して、電力送信器は、電力受信器に戻る1つまたは複数の信号を発するために、アレイ上に設定された干渉パターンの位相の複素共役を決定することができる。または、複数の信号は、電力受信器に電力を供給するのに十分強力な「集束」電力とみなされることができる。
【0005】
ところが、大電力、長距離の用途では、長距離で集束電力を取り込むのに十分な開口数を確保するために、電力受信器のサイズを大きくする必要がある。さらに、集光された電力のビームは、長距離で大きく成長する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述の問題を解決する無線電力送信システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つまたは複数の実施形態によれば、方法は、無線電力システムによって実装されることができる。無線電力システムは、無線電力送信器と無線電力受信器とを含む。本方法は、無線電力システムの無線電力送信器によって、無線電力システムの複数の無線電力受信器から送信された1つまたは複数のビーコン信号を受信することを含む。本方法は、無線電力送信器によって、複数の大電力信号を複数の無線電力受信器に送信することを含む。本方法は、無線電力送信器によって、1つまたは複数のビーコン信号に基づいて、複数の無線電力受信器のうちの第1の無線電力受信器が移動したか否かを決定することを含む。本方法は、無線電力送信器によって、第1の無線電力受信器が移動したか否かに基づいて、複数の大電力信号のうちの第1の大電力信号の電力を生成することを含む。本方法は、無線電力送信器によって、第1の大電力信号を無線電力受信器に送信することを含む。
【0008】
1つまたは複数の実施形態によれば、無線電力システムの無線電力送信器が提供される。無線電力送信器は、無線電力システムの複数の無線電力受信器から送信された1つまたは複数のビーコン信号を受信する。無線電力送信器は、複数の大電力信号を複数の無線電力受信器に送信する。無線電力送信器は、1つまたは複数のビーコン信号に基づいて、複数の無線電力受信器のうちの第1の無線電力受信器が移動したか否かを決定する。無線電力送信器は、第1の無線電力受信器が移動したか否かに基づいて、複数の大電力信号のうちの第1の大電力信号の電力を生成する。無線電力送信器は、第1の大電力信号を無線電力受信器に送信する。
【0009】
1つまたは複数の実施形態によれば、本明細書における方法およびシステムのいずれかが、方法、システム、機器、および/または環境として実装されることができる。
【0010】
本発明のこれら、及び、他の特徴は、以下の明細書及び図面をさらに参照すれば、容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】1つ又は複数の実施形態による、無線電力通信システムの一実施形態の環境透視図である。
図2A】本発明による、無線電力送信システムにおけるマイクロ波送信器用のフェーズドアレイネットアンテナの透視図である。
図2B】本発明による、無線電力送信システムにおける電力送信ノードの概略図である。
図3A】本発明による、無線電力送信システムの第1の実施形態のブロック図である。
図3B】本発明による、無線電力送信システムの第2の実施形態のブロック図である。
図4】代替的な第1の実施形態の電力送信器のブロック図である。
図5】代替的な第2の実施形態の電力送信器のブロック図である。
図6】コントローラのブロック図である。
図7】第1の実施形態による代替的な受信器のブロック図である。
図8】第2の実施形態による代替的な受信器のブロック図である。
図9】受信器バッテリーシステムのブロック図である。
図10】バッテリーシステムの電力線図の一例である。
図11】第1の実施形態による代替的な受信器である。
図12】第2の実施形態による代替的な受信器である。
図13】1つまたは複数の実施形態による、無線電力システムにおいて大電力を提供するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図14】1つまたは複数の実施形態による、無線電力システムにおいて大電力を提供するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図15】1つまたは複数の実施形態による、無線電力システムにおいて大電力を提供するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図16】1つまたは複数の実施形態による、無線電力システムにおいて大電力を提供するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図17】1つまたは複数の実施形態による、大電力を供給するための例示的なシステムを示す図である。
【0012】
同様の符号は、添付の図面全体を通して一貫して対応する特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、一般に、電力送信システムおよびバッテリー充電器に関し、特に、電力を必要とする機器に電力を供給するためのマイクロ波送信による無線電力送信の方法およびシステムに関する。
【0014】
マイクロ波による無線電力送信のための方法およびシステムは、マイクロ波エネルギーを介して電子/電気機器に無線充電および/または一次電力を供給する。マイクロ波エネルギーは、1つまたは複数の適応位相マイクロ波アレイエミッタを有する電力送信器によって、ビーコン機器(例えば、電力受信器)からのビーコン信号を受信したことに応答して、ある場所に集束される。充電される電力受信器内のレクテナは、マイクロ波エネルギーを受信して整流し、バッテリーの充電および/または一次電力に使用する。
【0015】
1つまたは複数の実施形態によれば、無線電力システムが提供される。無線電力システムは、ビーコンを使用して電力放出を駆動すること、複数の受信器電力バランスを使用すること、1つまたは複数の電力受信器に送信する複数の電力送信器を使用すること、またはそれらの任意の組合せを使用することによって大電力送信を提供することによって、大電力、長距離アプリケーションに適合される。
【0016】
一例として、無線電力システムは、ビーコンを利用して、電力がどのように(例えば、電力送信器から電力受信器へ)供給されるかを反映することができる。すなわち、電力送信器と電力受信器との間の距離が短い場合(例えば、レイリー長2D^2/λ)、電力の焦点は、大きい電力受信器に対して非常に小さい場合がある。さらに、電力受信器は、アレイ(例えば、レクテナ)のすべてのアンテナポートに整流器を有することができるため、任意のアンテナポートへの最大電力は制限される。ひいては、小領域内の任意のアンテナポートにおける最大電力は、大電力送信の焦点が小領域に配信されたときに超過されることもできる。すなわち、余剰電力は、少数のアンテナをカバーする小さなフォーカスエリアによるもの、および/または、電力送信器と電力受信器との間の小さな距離によるものとすることができる。余剰電力は、電力受信器の電力受信器ポートに広がることができる。従って、無線電力システムは、本明細書に記載されるように、電力放出を駆動するためにビーコンを使用して大電力送信を提供することにより、大電力、長距離のアプリケーションに適合される。
【0017】
一例として、無線電力システムは、離れた場所にある複数の移動機器(例えば、ドローンまたは他の電力受信器)に電力を供給することができる。その際、無線電力システムは、すべての機器に十分な電力を送らなければならない。しかしながら、複数の移動機器のうちの1つの機器がさらに遠くへ移動する場合、その1つの機器により多くの電力を供給する必要があるという問題が生じる。従って、無線電力システムは、本明細書に述べられるように、複数の受信器電力バランスを使用して大電力送信を提供することにより、大電力、長距離のアプリケーションに適合される。
【0018】
一例として、無線電力システムは、複数の電力送信器を利用することができる。複数の電力送信器が単一の機器(または複数の機器)に電力を供給する場合、各電力送信器は、単一の機器の電力受信器からのビーコン(例えば、複数の機器からの複数のビーコン)を予期することができる。順番に、各電力送信器は、個別におよび/または異なる時間に電力を送信することができる。複数の電力送信器からの電力は、単一機器の電力受信器で加算され、電力受信器をオーバーパワーする。したがって、無線電力送信システムは、本明細書に述べられるように、1つまたは複数の電力受信器に送信する複数の電力送信器を介して大電力送信を提供することによって、大電力、長距離のアプリケーションに適合される。
【0019】
このように、無線電力システムの技術的効果、利点、および長所には、長距離で集束電力を取り込むことを可能にする電力受信器のサイズに関する懸念、および長距離にわたって集束電力のビームの成長に関する懸念を解決することが含まれる。
【0020】
図1に示されるように、本発明は、マイクロ波エネルギーを介して、電子/電気機器、例えば、機器102(例えば、ラップトップコンピュータ、モバイル機器、又はドローン)、又は他の機器と通信するためのシステム100を含む。システム100では、送信グリッド101(又は代替の送信グリッド)は、電源コードPを電源コンセントOに差し込むことにより、A.C.主電源から動作電力を得ることができる。マイクロ波送信周波数は、好ましくは、適切な波長を有する利用可能なFCC規制対象外周波数である。
【0021】
図1-3Bに示されるように、マイクロ波エネルギーは、1つ又は複数の適応位相マイクロ波アレイエミッタ204、即ち、アンテナ又は放射体に接続された電源300によって機器102上に集束される。1つ又は複数の実施形態によれば、適応位相マイクロ波アレイエミッタ204からのマイクロ波エネルギーは、機器上に集束され得る。図1及び3A-3Bに示されるように、好ましくは、機器102内の高効率レクテナ340(レクテナは、マイクロ波エネルギーを直流(D.C.)電気に直接変換する整流アンテナである)が、マイクロ波エネルギーを受信する。一実施形態では、無線電源100と機器102内の電力受信器330bとの間に、電力を伝送するために使用される周波数以外の周波数で通信チャネルが開設される。
【0022】
機器102は、通信チャネル110を通して、レクテナ340において受信されたビーム信号の強度を、電力受信器330bにおける通信デバイス360の送信器部からの信号を介して、システム100の電力送信器330aにおける通信デバイス320の受信器部に中継する。この情報は、システム100の制御ロジック310によって使用され、機器102によって報告されるように、最大マイクロ波エネルギービーム301がアレイ110によって放射されるまで、マイクロ波アレイエミッタノード204のパワーアップ、パワーダウン、及び送信位相の調整を行う。
【0023】
各エミッタ204は、所望の送信周波数の単一のソースに接続され、λ/2の倍数である特定の位相差で信号を送信することができる。λ/2の位相増分は例示的なものであり、他の位相増分、例えばλ/4、λ/8、λ/16、及び他の増分が可能である。好ましくは、電力は調整されないが、エミッタ204をオフにしたり、所望の位相にオンにしたりすることは可能である。
【0024】
図2A-2Bに最も明確に示されているように、垂直及び水平ケーブルは各アレイノード204で交差する。この構成はアレイ101に適用される。垂直ケーブル202内では、ワイヤ210は、ゼロ(0)λ相給電線である。ワイヤ212は1/2λ相給電線であり、ワイヤ209は垂直制御線である。同様に、水平ケーブル200内では、ワイヤ214がλ相給電線である。ワイヤ216は3/2λ相給電線であり、ワイヤ211は水平制御線である。制御線209及び211は、任意のノード204でどの位相がアクティブであるかを制御するために、コントローラ310に接続されることができる。単一アンテナ制御はチップ206上で行われることができ、実際のノード放射体又はアンテナ208はノード204の幾何学的中心を取り囲む円形要素として形成され得る。単一のコントローラ又は複数のコントローラのいずれかは、送信グリッドの1つ又は複数を制御し得ることが理解されるべきである。
【0025】
システム100の制御ロジック310の例示的なアルゴリズムは、以下であり得る。(1)電力受信器330が、通信チャネル110を使用して、近傍の任意の送信器330aにその存在を通知することができ、(2)電力送信器330aは、通信チャネル110を通して、その存在を通信し、そのアンテナ208又はノード204のうちの1つだけを使用して送信を開始してよく、(3)電力受信器330bは、通信チャネル110を通して微弱な信号を受信していることを確認してよく、(4)電力送信器330aは、ゼロのデフォルト位相で別のアンテナ208又はノード204のスイッチをオンにし、通信チャネル110を通して受信器330bに信号強度を尋ねてよく、(5)電力受信器330bは、受信した信号が前よりも高い、同じ、又は低いことを示す信号を送り返してもよく、(6)信号が前よりも低い、又は前と同じである場合、コントローラ310は、ノード204における位相を1/2λだけ増加させ、別の信号強度の送信を要求してもよく、(7)ステップ5及び6がすべての位相について繰り返され、(8)信号強度の増加が観察されない場合、その特定のノード204がオフに切り替えられ、別のノードがプロセスで使用され、ステップ4から繰り返され、(9)ステップ4-6が、すべてのエミッタノードが使用されるまで繰り返される。
【0026】
別の例では、ステップ(6)は、0、λ/2、及び5λ/4ラジアンを含む3相サイクルにわたって位相を増加させることを含み得る。このようにして、正弦曲線全体のおおよその形状が決定され得る。従って、ピーク電力の位相角が決定され得る。また、同調アンテナを加算する場合、次に加算されるアンテナの受信電力は、全受信電力に占める割合が小さい場合であり得る。従って、2番目のアンテナを追加すると電力が4倍増加するが、101番目のアンテナを追加すると電力が2%増加し、1001番目のアンテナを追加すると0.2%増加し得る。これは、試験されたアンテナからの実際の電力利得/損失を検出することが難しくなる可能性がある。そのため、試験サイクル中は数本のアンテナにしか電源を入れず、試験された各アンテナの位相は記憶され得る。アレイ全体の位相が決まったら、全要素のスイッチをオンにして電力が供給され得る。
【0027】
代替的に、送信された電力における全てのアンテナは、場合によっては、それらの位相を現在の値の近傍でわずかに移動させることによって再同調され、受信信号への影響を検出し得る。一方向に改善された場合(例えば、位相を進めたり遅らせたりした場合)、位相は、どちらにも改善が見られなくなるまで、サイクル/増加を続け得る。これは、大規模なアレイの受信電力レベルの変化を検出する能力に依存する。さもなければ、アレイ全体のスイッチを切り、ゼロから位相を再設定する必要があり得る。
【0028】
別の実施形態では、図2B及び図3Bに最も明確に示されているように、各アレイ要素又はノード204は、電力受信システム330b内の較正送信器460から較正信号を受信するように設定されることができる。各アレイ要素又はノード204は、そのノード204で検出された受信較正信号を、データ線303を介して制御ロジック310に送信することができる。その後、コントローラ310、コントローラ206のいずれか、又は両方のコントローラを組み合わせて、最適化された電力送信301を電力受信器330bに送り返すために、各アレイ要素又はノード204を、その要素の検出された位相が送信位相として設定し得る。実施形態100では、機器102と最初に通信することなく、アレイが特定の場所又は「ホットスポット」に電力を送信することを可能にするために、構成メモリ機器が制御ロジック310と動作可能に通信され得る。この機能は、機器102に通信チャネル110を確立するための予備電力がない場合に、機器102に電力送信301を送信する際に有用である。
【0029】
代替的に、別の実施形態は、例えば送受信器内の受信器と各送信器アンテナの双方向機能を利用するために、以下のように動作してもよい。コントローラは、電力受信器(即ち、充電される機器)からビーコン信号を受信するために、すべての送受信器を準備してよい。次に、充電される機器は、充電される機器と電力送信器との間のすべての開いたパスを横断するビーコン信号(例えば、クロックを同期させるためのアレイと電力受信器との間の無線通信を介して、フェーズドアレイの同じ周波数であり得る較正信号)を送信する。電力送信器での受信信号は、電力送信器の各アンテナに接続する受信器と送信器のアンテナ間のすべての開いたパスの合計と等価であり、各パスの合計は、すべての特定の電力送信器のアンテナで特定の電力レベルと位相に加算される。
【0030】
送信器アレイにおける各アンテナは、受信信号を内部信号と比較して受信位相を検出する。すべての送信器のアンテナにより受信位相が確定すると、各アンテナは受信位相の複素共役で、全電力で送り返す。
【0031】
加えて、上記のアレイのチューニングは、すべての可能なパスを考慮するため(例えば、アレイと受信器との間に直接開いたパスがあることや、受信器が環境内で滑らかで直線的な動きで移動することを仮定していない)、環境の構成が変化すると、受信器が移動したり、電力送信器アレイの物理的な構成が変更されたりすることと同じになり得る。そのため、アレイの頻繁な再チューニングが常に必要となり得る(例えば、1秒間に10回以上)。
【0032】
アンテナアレイの再チューニングは、受信器のビーコン信号を「リスン」するために送信されている電力を遮断する必要があるため、アレイに電力を供給するために使用できたであろう時間が失われ得る。従って、受信器での電力レベルが大きく変化しない場合、アレイは再チューニングの頻度を減らし、受信器への電力供給を最大化してもよい。受信器の電力が低下した場合、受信器の電力が再び安定するまで、アレイは更新の周波数を増加させてもよい。チューニングの頻度には、例えば最小で10tps(毎秒チューニング)~最大で500tpsといった特定の制限が設けられてもよい。
【0033】
代替的に、数(n)のアンテナの同調は、以下のように実行され得る。全てのn個のアンテナはオフにされ得る。次に、n個のアンテナのうちの1個がオンにされ、他のn個のアンテナの各々に対して同調するための基準としてオンにされたままにされる。その後、残りのn個のアンテナがそれぞれオンにされ、最適な位相が記録された後、オフにされる。このシーケンスをn番目のアンテナで実行すると、すべてのアンテナがそれぞれの最適位相でオンになる。
【0034】
移動する受信器を有する図1の実施形態に関して、全ての送信器アンテナは、例えば、それらの位相を現在の値の近傍でわずかに移動させ、受信信号への影響を検出することにより、再同調される必要があり得る。一方向に改善された場合、位相の循環/増加が、どちらにも改善が見られなくなるまで続けられる。これは、大規模なアレイの場合、受信電力レベルの変化を検出できるかどうかに左右され得る。さもなければ、アレイ全体のスイッチをオフにし、最初から位相を再設定する必要があり得る。
【0035】
例示的なアレイ101は、一辺が約1メートルの30×30のグリッドネットとすることができ、ワイヤの各交点は単一の送信アンテナ204を有する。好ましくは、アレイグリッド101は、可撓性/軟質材料で製作される。グリッド材料の柔軟性により、ユーザーは、例えば、平坦な2次元アレイによって生じるミラー焦点や、離散的な位相差を有する平坦で規則的に配置されたアレイで通常生じる盲点を最小化するために、マイクロ波アレイエミッタグリッド101を実質的に均一でない非平面的な態様、すなわち、広がっているが平坦でない態様で物理的に構成することが可能となる。
【0036】
本明細書で述べられる通信メカニズムは、送信器と受信器とが互いに通信状態にあるとき、および受信器に通信する電力がないときに(後方散乱の動作的性質により)動作することができる。
【0037】
送信器アンテナはまた、回路を単一のチップに含み、チップをワイヤでデイジーチェーン接続して、様々な形状及び設計で構成及び使用され得る「フェーズドワイヤ」の長いストリップを作成する形態もとり得る。「位相制御」チップのストリングを通して、何千ものアンテナと関連コントローラを持つ複雑なアレイを構築する場合、チップ間のワイヤは、チップを共通のコントローラに接続するデータパスとして機能し得る同時に、ワイヤは送受信アンテナ自体としても機能し得る。各チップは、アンテナとして機能する更なるワイヤを有してもよい。各アンテナにはアドレス(例えば、a、b、c、その他のアドレス)が与えられ、チップは各アンテナの位相を他のアンテナから独立して制御し得る。さらに、アレイのチューニングはアンテナの位置や配置とは無関係であるため、利用可能なスペースに応じて、あらゆる種類の配置でワイヤが構成され得る。
【0038】
アンテナチップコントローラは短いワイヤを介して接続されるため、ワイヤはいくつかの方法でアンテナとして利用され得る。例えば、ワイヤ自体を発振器や増幅器で駆動し、ワイヤの周囲にシールドを使用し、シールド自体を駆動してアンテナとして使用することで、通信ワイヤが多層アレイの信号を遮蔽するのを防ぐことができる。
【0039】
図4は、送信器の一実施形態のブロック図である。送信器は、制御ロジック410、位相シフタ420(Nカウント)、信号発生器/乗算器430、増幅器440(Nカウント)、及び(N)アンテナ450を含むアンテナコントローラ400であり得る。アンテナコントローラ400は、全てのアンテナコントローラを制御する単一のコントローラから、又は前のアンテナコントローラ400から、電力及びベース周波数制御信号、ならびに他のコマンド及び通信信号を共通バス上で受信する。電力信号は、例えば、送信器400の電力供給機(図示せず)により受信され、ベース周波数制御信号は、信号発生器/乗算器430によって受信され、通信信号及びコマンドは、制御ロジック410により受信され得る。前の各アンテナコントローラ400が電力及びベース周波数制御信号を提供する場合、これらの信号を運ぶバスは次のアンテナコントローラ400に続いてよい。制御ロジック410は、位相シフタ420を制御して、増幅器440の位相を調整させてもよい。信号発生器/乗算器は、バスからの信号を、例えば10MHzで受信し、無線送信のために、例えば2.4、5.8GHz、及び、その他の値に変換する。
【0040】
図5は、送信器の一実施形態のブロック図である。送信器は、制御ロジック510、位相シフタ520(Nカウント)、信号発生器/乗算器530、送受信器540(Nカウント)、(N)アンテナ550、及び位相コンパレータ560(Nカウント)を含むアンテナコントローラ500であり得る。送受信器540は、受信器から較正信号又はビーコン信号を受信し、位相コンパレータ560に信号を転送する。位相コンパレータ560は、それぞれの送受信器540の受信信号の位相を決定し、電力信号を送信する最適な位相角を決定する。この情報は制御ロジック510に提供され、制御ロジック510は位相シフタ520に送受信器の位相(例えば、受信ビーコン/較正信号の複素共役)を設定させ、その設定された位相で電力を送信させる。信号発生器/乗算器530は、アンテナコントローラ400の信号発生器/乗算器430と実質的に同様の機能を実行する。さらに、バス信号は、送信器400のものと同様であり、信号は、例えば、送信器500の対応するコンポーネントによって受信される。
【0041】
図6は、例えば図4及び図5のアンテナコントローラを制御するためのコントローラ600のブロック図である。コントローラ600は、制御ロジック610と、電源620と、アンテナ660に接続された通信ブロック630と、アンテナ670に接続されたベース信号クロック640と、バスコントローラ650と、を含む。制御ロジック610はバスコントローラ650を制御し、バスコントローラ650はM個のバスでM個のアンテナコントローラ(例えば、400と500)に信号を送出する。電源620は、バスコントローラ650に電力源を供給する。通信ブロック630は、それぞれのアンテナ660を介して受信器とデータを送受信する。ベース信号クロック640は、ベース信号を他のコントローラに送信し、また、同期のために受信器に送受信し得る。1つのコントローラ600を使用してすべての送信アンテナを制御してもよいし、複数のコントローラ600を使用して1つのコントローラ600がアンテナグループを制御してもよい。さらに、それぞれのアンテナを有する別個の通信ブロック及びベース信号クロックが示されているが、機能を1つのブロック(例えば、通信ブロック630)に組み込んでもよいことに留意されるべきである。
【0042】
図7は、受信器700のブロック図である。受信器700は、図1の実施形態に準ずることができる。受信器700は、制御ロジック710と、バッテリー720と、通信ブロック730及び関連アンテナ760と、電力メータ740と、整流器750及び関連アンテナ770と、を含む。制御ロジック710は、通信ブロック730からデータ搬送波周波数でデータ信号を送受信する。このデータ信号は、上述のサイドチャネルを介して送信される電力強度信号の形態であってもよい。整流器750は電力送信器から電力送信信号を受信し、この電力送信信号は電力メータ740を介して(妨害、阻害、不具合、破壊のために)バッテリー720に供給される。電力メータ740は受信電力信号強度を測定し、この測定値を制御ロジック710に提供する。また、制御ロジック710は、バッテリー720自体からバッテリー電力レベルを受信してもよい。
【0043】
受信器700は、例えば、コントローラ600がアンテナ670を介してベース周波数信号を送信することにより、コントローラ600と同期され得る。受信器700は、この信号を使用して、受信器がコントローラ600に送信するビーコン信号又は較正信号を同期させ得る。また、この手法は、複数のコントローラでも利用され得ることに留意されたい。即ち、複数の送信アレイを使用する場合、コントローラの1つから送信されるベース周波数信号を使用することにより、コントローラは互いに同期される場合がある。
【0044】
図8は、代替的な受信器800のブロック図である。受信器800は、図1の実施形態に準じて利用されることができる。受信器800は、制御ロジック810と、バッテリー820と、通信ブロック830及び関連アンテナ870と、電力メータ840と、整流器850と、ビーコン信号発生器860及び関連アンテナ880と、整流器850又はビーコン信号発生器860を関連アンテナ890に接続するスイッチ865と、を含む。整流器850は電力送信器から電力送信信号を受信し、この電力送信信号は電力メータ840を介してバッテリー820に供給される(妨害、阻害、不具合、破壊のため)。電力メータ840は受信電力信号強度を測定し、この測定値を制御ロジック810に提供する。制御ロジック810はまた、バッテリー820自体からバッテリー電力レベルを受信してもよい。また、制御ロジック810は、通信ブロック830を介して、データ搬送波周波数のデータ信号、例えば、クロック同期のためのベース信号クロックを送信/受信してもよい。ビーコン信号発生器860は、アンテナ880又は890のいずれかを使用してビーコン信号、又は較正信号を送信する。バッテリー820は充電され、受信器800に電力を供給するために示されているが、受信器は整流器850から直接電力を受け取ってもよい。これは、整流器850がバッテリー820に充電電流を供給することに加えて、又は充電を供給する代わりに行われ得る。また、複数のアンテナの使用は一つの実施例であり、構造は1つの共有アンテナに減らされてもよいことに留意されたい。
【0045】
送信器のアンテナ制御回路と受信器の電力及び制御回路は集積チップ(IC)として構築される場合があり、いくつかの主要な回路コンポーネントを共有することがあるため、2つのチップの機能性は単一のチップとして設計されることがあり、異なるパッケージング又は構成を選択することによって、チップは送信器又は受信器のいずれかとして機能し得る。即ち、特定の部分を有効又は無効にした同じチップが、送信アンテナコントローラ又は受信コントローラとして利用され得る。これにより、2つの異なるチップを製造し、テストするコストを削減することができ、また、チップの製造コストを節約することができる。
【0046】
上述したように、送信グリッドの形状は多くの種類を取り得る。従って、アンテナのパッキングは、送信電力信号の波長の約半分に近いものから、波長の数倍のものまであり得る。アレイをカーペットの下に平らに敷いたり、屋根裏の断熱材の上に垂らしたりできるように、2次元的な配置にすることもできる。例えば、複数の送信アンテナを含む複数の幅広ワイヤ(例えば、2次元アレイの細いストリップ)が採用されてもよい。これらの幅広ワイヤは床や壁の中に設置されてもよい。あるいは、送信グリッドはループアンテナの形でもよいし、他の形状でもよい。
【0047】
3次元の配列は、最も多くのアンテナを詰め込むことができ、オフィスの天井タイル、ドア、絵画、テレビなど、便利な形に組み込むことができる。また、グリッドアレイは、互いに後ろに積み重ねられたいくつかの層で形成されてよく、より高密度のアンテナを可能にする。この例では、アレイは、単一の前方ビームとその背後に最小限のミラービームを持つ「フェーズドボリューム」と同様の働きをする。ミラービームは、フェーズドボリュームの厚みが増すにつれて削減されてもよい。
【0048】
すなわち、無指向性アンテナを使用した完全に平坦なフェーズドアレイは、形成された波面の2つの「像」をアレイの平面の周りに対称的に形成し得る(例えば、アレイの反対側に自由空間又は同一の環境がある場合)。これは、電力供給(例えば、バックプレーンに向かう電力の50%)を減少させ、その結果、転送効率を低下させるという望ましくない結果をもたらす可能性がある。アレイアンテナを非平面状に配置すると、アンテナがアレイの対称面全体で異なる位相を持つことになり、信号が非対称で「ミラー化」されないため、3次元アレイ対称設計であっても、この対称波面を減少させ得る。
【0049】
アレイが特定の受信器用に位相同調されている場合、アレイ内のすべてのアンテナは、その特定の受信器に到達する信号を作成するために送信する特定の位相を有する。2つ又はそれ以上の受信器は、以下の手法の1つ又は組み合わせにより、電力受信器を構成することができる。
【0050】
ある手法では、異なる受信器間で電力配送のタイムシェアリングが利用され得る。これは、アレイにおけるアンテナを1つの受信器に同調させ、次の受信器に切り替えて、各受信器に等しい(又は等しくない)時間を与えることによって行うことができる。各受信器に対するアレイの同調は、メモリから行ってもよいし、第2の実施形態の手法と同様のプロセスを用いてアレイを再同調することによってもよい。
【0051】
別の手法では、すべてのアレイアンテナを位相変調して複数のパワースポットが生成され得る。各アンテナについて、受信信号は位相が受信角度であるベクトルであり、大きさは受信信号の電力レベルである。複数の受信器への返送信号を生成するために、送信の位相は受信ベクトルの和の角度として決定され得る。受信信号の大きさを利用し、通常の送信電力で各アンテナから送信する必要はないかもしれないが、マルチパス信号が考慮される場合に優れた性能を発揮する偏ったマルチフォーカス信号を生成するために、各受信器からのピーク受信信号電力が発見され、正規化されたスケールに対してベクトルをスケーリングすることによってベクトルの加算を偏らせてもよい(例えば、各受信器からのピーク電力は、ピーク電力に対して大きさ1.0とみなすことができる)。ベクトルの加算は、各アンテナが、より多くの電力を供給する受信器、又は複数の電力を受信する受信器に、より多くの電力を供給することを保証し得る。
【0052】
アンテナ共有も手法の1つである。アレイ全体を複数のサブアレイに分割することにより、各アレイの電力を特定の受信器に割り当ててもよい。この方法は、アレイが分割した場合において効率的な大きさになるときに有効となり得る。
【0053】
個々のアレイユニットは、指定された「マスター」ユニットからの連続信号を実現するために、共有された無線周波数を使用してベース信号クロックを同期させ、全ての「スレーブ」送信コントローラユニットが波形をコヒーレントに加算し得る。これは、個別のアレイを環境に分散させることを可能にし、ユーザーがビル、居住区、製造計画、オフィスなどの周囲に複数のアレイを柔軟に配置することを与える。これらのコントローラのセットアップの際、インストーラ/マネージャは、フェイルオーバーシーケンスとともにマスターユニットを指定することで、いくつものアレイが故障しても、異なるコントローラアレイを互いにリンクさせ得る。例えば、アレイは、原子クロックを使用して同期させることによって設定され得る。すなわち、別々のアレイユニットが電力送信に使用する単一の周波数を利用する場合、正確な原子クロック(例えば、1:1010以上の精度)を使用することにより、ベース周波数で同期することなく、別々のアレイユニットが動作し得る。この場合、位相は1秒の何分の1かになり、位相/信号の一貫性を保つことができる。
【0054】
別の電力送信器の手法では、送信器はサイド通信チャネルで通常の信号を送信し、全ての受信器にその存在を知らせ得る。近傍に他の送信器がある場合は、合意された周波数の1つを確実に使用するか、他の送信器の信号を監視して信号の衝突を回避する。これらの告知の頻度は、1分間に数回から1回未満までさまざまとすることができる。受信器は自分の存在を知らせる信号を発信し、送信器はどれが(妨害、阻害、不具合、破壊などの)行動に最も適しているか交渉し得る。一旦決定されると、受信器は1つの送信器に「ロック」する。これには、各送信器を論理的な(単一のコントローラ)機器として定義する必要がある場合がある。コントローラが、電力エンベロープが変化した(すなわち、受信器が同じ電力を必要としなくなった、又は作動に応答しなくなった)ことを検出した場合、コントローラは、送信電力および/または通信信号を供給し続け得る。
【0055】
別の電力送信手法では、電力送信器は、電力を供給したい任意の機器に電力を供給できるように設定されてもよく、電力を供給すべき機器と「ペアリング」されてもよい。ペアリングを行うことで、送信器の所有者から見て効率に影響を与える可能性のある、隣人同士が意図せずに電力を借りる問題を回避することができる。送信器が複数の受信器に直面した場合、優先順位付けのための階層を確立したい場合があり、例えば、最も必要な機器に最初に大電力送信器を与えるなどであり、1つ又は複数の事前定義された基準に基づいて確立されてよい。
【0056】
例えば、その基準のいくつかは、機器がその所有者にとって極めて重要であること(例えば、玩具ではなくドローン)、機器が通常送信器の近傍で一日中過ごすことがないこと(例えば、携帯電話と比較してルータ)、又は機器が差し迫った脅威を提供することが判明していること、を含み得る。このような機器は、他の機器よりも高い優先度が与えられ得る。代替的に、ユーザーがカスタマイズした優先順位が利用されてもよく、それによって、どの機器が最優先されるべきかをユーザーが決定し得る。
【0057】
上述した優先順位付けの優先順位の例は、送信器システムに(例えば、制御ロジックに)プレインストールされてもよく、アレイの設置者によって上書きされる能力を有し、システムが所有者/ユーザーの優先順位付けに基づいて配信されることを保証する。また、所有者又はユーザーは、アレイがどの機器にも電力を供給できるようにするかどうかを希望してもよく、特定の機器を最優先又は最低優先として登録することを希望してもよい。さらに、ユーザー又は所有者は、特定の機器が動いている場合でも大電力送信を維持するかどうかを決定することを望んでもよい。
【0058】
別のアレイ同調アルゴリズムの実施形態では、アレイが受信器の新しい位置に再同調する際に、電力送信を停止しなければならない。このような再同調動作が、電力受信器の高速移動のため、又は環境の構成の急激な変化のため、高い周波数で行われる場合、新しいビーコン信号を受信している間、アレイをオフにしておくために必要な時間は、電力供給効率を低下させる可能性がある。したがって、これに対抗するために、アレイ/受信器で複数の周波数が使用されてよい。ある周波数が同調されている間、別の周波数が電力送信を継続し、その後、すべての周波数が再同調されるまで後続の周波数が同調されるため、送信の停止ギャップが回避される。
【0059】
大規模なフェーズドアレイを設計する場合、要求される周波数をすべてのアンテナに送信することは、ケーブル(例えば、同軸)の数が多いために困難な場合がある。アンテナの数が1000以上になると、さらに困難となり得る。したがって、別の代替例では、高周波信号(>1GHz)をすべてのアンテナに送信する代わりに、低周波信号(~10MHz)をすべてのアンテナに送信し、すべてのアンテナはフェーズドロックループ(PLL)や位相シフタなどの周波数逓倍回路を有することになる。
【0060】
さらに、電子/電気機器に使用される使い捨てバッテリーまたは充電式バッテリーの代替として、電力受信とそれ自体の再充電が可能な標準フォーマットのバッテリー(例えば、AA、AAA、Cセル、Dセルなど)が望まれる場合がある。この場合、バッテリーは送信器アレイと通信するために必要なすべての回路を有し、バッテリーが電力を供給する機器を動かすために使用される充電/エネルギー容量を有する必要がある。
【0061】
機器は、コンポーネントを作動させるための電圧または電流、あるいはバッテリー交換の間の長時間動作を保証するためのバッテリー容量を必要とすることが多く、これは単一バッテリーの能力を超える。そのため、複数のバッテリーが直列または並列に使用されることが多い。しかしながら、単一の受信器バッテリーでは、バッテリーが必要な電圧を供給できるため、機器の動作に必要なバッテリーは1つだけでよく、バッテリーを交換する必要なく永続的に動作を維持するために大量のエネルギーを受信することができるため、エネルギー容量は無意味な問題となる。
【0062】
しかしながら、複数のバッテリーの代わりに単一のバッテリーを使用することは、装置のバッテリー格納領域の構成により、うまくいかない場合がある。従って、これを克服するために追加の技術を採用され得る。
【0063】
図9は、受信器バッテリーシステム900のブロック図である。システム900は、少なくとも1つの受信器バッテリー910を含み、任意の数のヌルバッテリー920を含むことができる。例示の目的で、1つの受信器バッテリー910と2つのヌルバッテリー920が示されているが、任意の数のヌルバッテリーが利用されてもよいことに留意されたい。電力受信器910は、電力キャパシター911、制御回路912、および電圧制御発振器913を含む。ヌルバッテリー920は誘導ロジック921を含む。
【0064】
従って、バッテリーシステム900は以下のように動作し得る。受信器有効バッテリー、(すなわち、910)を有するバッテリーは1つだけである。しかしながら、良好に動作するバッテリーと直列に配置された使用済みの通常のバッテリーは、時間の経過とともに抵抗が蓄積し、寿命使用量を超えると漏電するなどの問題が発生する可能性がある。
【0065】
あるいは、「ヌル」バッテリー(すなわち、920)は、受信器バッテリー910の「電力セレクタ」と組み合わせて使用されることもできる。一実施例におけるヌルバッテリー920は、正確なバッテリー寸法を有する機器であるが、そのアノードが短縮され、受信器バッテリー910の電圧が機器を補助なしに駆動させる。受信器バッテリー910は、制御回路またはスライダ912または他の選択機構を利用して、ユーザーが交換するバッテリーの数を選択できるようにする。その後、受信器バッテリー910は、ヌルバッテリー920を補償するために所望の電圧を出力する。
【0066】
別の手法では、インテリジェント受信器バッテリー910と同様にインテリジェントヌルバッテリー920が使用されることができる。受信器バッテリーは最初に、所望のフォーマットのバッテリー1個の電圧と、1kHz(または類似の他の周波数)の低電圧発振(使用されるヌルバッテリーの数を検出する間、<0.1V発振)を出力し、インテリジェントヌルバッテリー920は、誘導的にそれ自体に電力を供給するために1kHzを使用する。ヌルバッテリーは、抵抗、静電容量、または電力受信器が検出できるその他の手段によって電力線に影響を与える。インテリジェントヌルバッテリー920の効果の周波数は、統計的に加法的であるという特性を持つオンボードの準ランダム発生器(例えば、ロジック921)によって行われる。したがって、ライン上の準ランダム発生器のカウントを決定することができる。この1つの実施形態は、既知の間隔で動作する32ビットの線形フィードバックシフトレジスタを使用し、シフトされたビットが電力線上の効果「ブリップ」をトリガーするために使用されるようなものである。電源投入時のフィードバックシフトレジスタのシード番号は、すべてのヌルバッテリー920で異なるべきである。
【0067】
図10は、「ブリップ」1010を含む例示的なバッテリーシステム電力線1000を示す図である。電力受信器バッテリー910は電力線上のブリップ1010をカウントし、インテリジェントヌルバッテリー920の数を決定する。ブリップ1010は高周波パルスまたは容量変調器であり得る。ほとんどの電気/電子機器によってマスクされないブリップが選択され得る。このプロセスは、例えば、1ミリ秒未満の短い時間だけ実行される。その後、受信器バッテリー910は、電力を必要とする機器が異なる可能性のある次の電源投入まで、電圧検出を必要としない。電力受信器910によって生成される1kHzの「電力」周波数は停止し、ヌルバッテリー920は休止状態になり、電力が供給される機器に対して透過的になる。
【0068】
再び図10を参照すると、システム900の電力系統ライン上で2つのヌルバッテリー920の各々によってランダムブリップ1010が生成される。ブリップ1010は、受信器バッテリー910によるランダムブリップ発生器の数を決定するために使用される。ブリッピングを経時的にカウントし、単一のヌルバッテリー920からの予想数で割ることにより、直列に設置されたヌルバッテリー920の数が決定されることができる。ただし、並列バッテリー設置システムでは、並列電力線ごとに1つの受信器バッテリー910が要求される場合がある。
【0069】
機器が500MHzを超える高周波な電力を受信する場合、その場所は(入射)放射線のホットスポットになる可能性がある。そのため、機器が人の上にある場合、放射線のレベルがFCC規制を超えたり、医療/産業当局によって設定された許容可能な放射線のレベルを超えたりする可能性がある。余剰放射線の問題を回避するため、機器は加速度計や同等の機構などの動き検出機構を統合し得る。一旦機器が動いていることを検出すると、機器が操られていると見なされ、機器への電力送信を停止するか、受信電力を許容可能な割合まで下げるように、アレイへの信号がトリガーされる。機器が車、電車、飛行機などの移動環境で使用される場合、機器が利用可能な電力をすべて失いそうにならない限り、電力は断続的に、またはレベルを下げてしか送信されない可能性がある。
【0070】
図11は、上述のような動き検出を含む、第1の実施形態による代替的な受信器1110である。受信器1100は、制御ロジック1110、バッテリー1120、通信ブロック1130および関連アンテナ1160、電力計1140、整流器1150および関連アンテナ1170、ならびにモーションセンサー1180を含む。モーションセンサー1180を除き、残りのコンポーネントは受信器700の各コンポーネントと機能的に同様の動作をする。モーションセンサー1180は、上述したように動きを検出し、上述した手法に従って動作するように制御ロジック1110に信号を送る。
【0071】
図12は、上述したような動き検出を含む、第2の実施形態による代替的な受信器1200である。受信器1200は、制御ロジック1210、バッテリー1220、通信ブロック1230および関連アンテナ1270、電力計1240、整流器1250、ビーコン信号発生器1260および関連アンテナ1280、ならびに整流器1250またはビーコン信号発生器1260を関連アンテナ1290に接続するスイッチ1265を含む。モーションセンサー1295を除き、残りのコンポーネントは、受信器800のそれぞれのコンポーネントと機能的に同様に動作する。モーションセンサー1295は、上述したように動きを検出し、上述した手法に従って動作するように制御ロジック1210に信号を送る。
【0072】
携帯電話やメディアプレーヤなど、WiFi通信やBluetoothなどで使用される周波数で電力を受信するように設計された機器は、電力伝送周波数で電力を受信できるアンテナを既に有している可能性がある。従って、電力を受信するために追加のアンテナを有する代わりに、通信ハードウェアに必要な回路を追加する(例えば、整流、制御ロジックなどを追加する)ことにより、WiFi通信などに使用される同じ通信アンテナが電力受信のために使用されることができる。
【0073】
無線電力送信システムのいくつかの使用例としては、スーパーマーケットや消費者向け小売店が、商品の棚に値札を提供することが挙げられる。これらのタグの価格番号を管理することは、高価で時間のかかる作業となる。また、特価品やキャンペーンは、タグが毎日変更されることを意味する。
【0074】
今日の電子インク看板では、各タグを、価格/プロモーションを極めて効果的に表示する小型の電子機器で構成することが可能であり、電子インクは、静止画像を表示している間は電力を消費しない。しかしながら、表示する新しいデータを受信するためには電力が必要であり、電子インクの表示を変更するためにも電力が必要である。すべてのタグにワイヤを通すことは実現可能な解決策ではないし、各タグにバッテリーを入れることもできない。定期的な充電や交換が必要になるからである。無線電力送信器を利用することによって、天井や棚に設置された無線電力送信器アレイから数千のタグを動作可能な状態に維持することができる。タグが所望の目的地に到着すると、タグは有線または無線の初期電力で作動させ得る。
【0075】
別の例では、製造工場において、生産の同期、全体的な生産性、および製品の品質を維持するために、多数のセンサーとコントローラを利用している。無線電力通信を使用しているにもかかわらず、すべての機器に電力を運ぶワイヤを配線する必要があり、そのため、機器が故障しやすいコンポーネントに複数依存することになり、また、機器に電力ワイヤを引き込むための穴を設ける必要があるため、石油精製所のような可燃性の高い環境で使用するために、機器を設置前に密閉することができない。したがって、上述した無線電力受信器のいずれかを組み込むことにより、これらの機器に無線電力を供給することができる。
【0076】
無線電力システムは、動き検出にも利用され得る。電力送信システムがアクティブな場合、環境中の小さな外乱は、その変化が送電の見通し線上にない場合でも、送電効率を変化させる場合がある。このシステムは環境中の複数のパス(マルチパス)を活用するため、動体検知器として利用できる。環境に局在または分散しているアレイから受信した電力を測定することにより、受信した電力レベルに変化があれば、環境の電磁気的構成の変化の兆候となる。このような用途では、ワイヤが電力受信器に電力を供給できるが、アレイを調整する手段としてのみ機能するため、電力伝達レベルは非常に小さくなり得ることに留意されたい。環境の構成の変化が検出されると、セキュリティシステム/アラームにその変化が通知され得る。
【0077】
別の例では、内容物の温度を調節する個々の飲料容器や食品容器は、一定の電源が必要である。これらの容器の移動性が高い場合、電源の利用可能性を維持することが困難になる。無線電源を使用して電源の利用可能性を維持し、容器の温度を所望の温度に維持することができる。容器はまた、利用可能な電力を使用して、内容物の温度、液体のレベル、または内容物の重量を報告することができる。この例として、暑い日に冷たい飲み物や熱い飲み物が提供される場合、あるいは冷たい飲み物や熱い飲み物を飲むのが最適な場合、この機能があれば、飲み手は飲み物が周囲温度に達する前に飲み終える必要はなく、より長い時間飲み物を楽しむことができる。また、飲み物の残量が少なくなると、信号受信器を通じてホストに無線で通知され、飲み物がなくなる前に補充することができる。
【0078】
別の例では、電力受信器を使用して機器の電力使用量を監視できる場合、故障する前に故障した機器を検出することが可能である。例えば、火災報知器は、それらが使用する公称電力を消費していない場合、または機器の消費電力が急激に変化した場合に故障したと見なされる場合があり、これは通常、機器が故障しようとしているときに発生する。
【0079】
図13に目を向けると、1つまたは複数の実施形態による例示的な方法1300の流れ図が提供される。例示的な方法1300は、無線電力システムにおいて大電力を提供するためのものである。無線電力システムは、電力受信器(例えば、充電される機器)および電力送信器を含み得る。例示的な方法1300は、ブロック1310から始まり、複数のビーコン信号(例えば、複数のビーコン信号)が、順番に、または各アンテナから異なる直交コードを発することによって、各受信アンテナから送信される。複数のビーコン信号は、電力受信器から電力送信器に送信されることができる。
【0080】
ブロック1320において、無線電力システムは、送信器のアンテナにわたる位相セットを決定し、それにより、距離を決定することができる。位相セットは、現在の位相セットとみなされることができる。1つまたは複数の実施形態によって、無線電力システムは、電力送信器と電力受信器との間の位置を決定する。一例として、電力送信器は、複数のビーコン信号に基づいて、総位相セットを決定し、したがって、電力受信器からの位置を決定する。
【0081】
ブロック1330において、無線電力システムは、電力信号を送信する。電力送信器は、無線電力システムに代わって、位相セットに基づいて電力信号を送信することができる。この電力信号は、第1の電力信号または初期電力信号とみなされることができる。
【0082】
決定ダイヤモンド1340において、無線電力システムは、電力受信器が移動したか否かを決定する(例えば、充電される機器の移動を決定する)。1つまたは複数の実施形態によれば、電力送信器は、以前に決定/記憶された位相セットをブロック1330の現在の位相セットと比較する。N矢印で示されるように、電力受信器が移動していない場合(例えば、現在の位相セットが以前に決定/記憶された位相セットにほぼ等しい場合)、例示的な方法1300はブロック1330に戻り、電力送信器は決定された位相セットに基づいて、電力信号を送信し続ける。Y矢印で示されるように、電力受信器が移動した場合(例えば、現在の位置が以前に決定/記憶された位相セットに等しくない場合)、例示的な方法1300はブロック1350に進む。
【0083】
ブロック1350において、無線電力システムは電力信号を送信する。この電力信号は、第2または後続の電力信号とみなされることができる。第2または後続の電力信号は、第1または初期の電力信号とは異なる。1つまたは複数の実施形態によれば、電力送信器は、現在の位置(例えば、以前に決定/記憶された位置とは異なる)に基づいて、第2のまたは後続の電力信号を電力受信器に送信する。さらに、電力送信器は、電力受信器の移動に基づいて、第2または後続の初期電力信号に一致するように、第1または初期電力信号の電力を上げたり下げたりする。
【0084】
図14に目を向けると、1つまたは複数の実施形態による無線電力送信のための方法1400が描かれている。方法1400は、無線電力システムにおいて電力放出を駆動するためにビーコンを使用する動作の一例である。方法1400は、無線電力システムの電力送信器1401(例えば、無線電力送信器)と電力受信器1402(例えば、充電される機器)とにまたがって動作する。
【0085】
例示的な方法1400は、ブロック1410から始まり、無線電力システムは、1つまたは複数のビーコン1411を送信する。1つまたは複数の実施形態によれば、電力受信器1402はアンテナのアレイを含み、電力受信器1402はアレイの異なるアンテナから1つまたは複数のビーコン1411を送信する(例えば、1つまたは複数のビーコン1411の各ビーコンは電力受信器1402のポートに対応する)。
【0086】
ブロック1420において、無線電力システムは、1つまたは複数のビーコン1411を受信する。1つまたは複数の実施形態によれば、電力送信器1401は、1つまたは複数のビーコン1411を受信する。
【0087】
ブロック1430において、電力送信器1401は、電力受信器1402の各ポートについて位相を加算する。電力送信器1401は、各ポートの位相を独立に加算する。
【0088】
ブロック1440において、電力送信器1401は、大電力送信のための結果としてのビーコン位相を生成する。結果のビーコン位相は、電力受信器1402のアレイのすべてのアンテナを等しく対象とする。したがって、結果として生じるビーコン位相は、電力受信器1402の任意の特定のポート上の電力を超えないように、大電力送信の特定の焦点を低減する。
【0089】
ブロック1450において、電力送信器1401は、電力受信器1402からの1つまたは複数のビーコン1411のデルタを決定する。例えば、電力送信器1401は、同じ電力受信器1402からのビーコン1411が、電力送信器1401がその差異を分解できるほど異なっているかどうかを決定することができる。
【0090】
ブロック1455において、電力送信器1401は、電力受信器1402が近いかどうかを決定する(例えば、電力受信器1402と電力送信器1401との間の相対位置を決定する)ためにデルタを利用する。
【0091】
ブロック1460において、電力送信器1401は、電力送信器に対する電力受信器1402の相対位置に基づいて、大電力送信のための電力を変更する。例えば、電力送信器1401は、電力受信器1402が近いときには大電力送信のための電力を下げ、電力受信器1402が遠いときには大電力送信のための電力を上げる。
【0092】
ブロック1470において、電力送信器1401は、ブロック1440の結果のビーコン位相および/またはブロック1460の大電力送信のための電力に従って、大電力送信を生成する。
【0093】
ブロック1480において、電力送信器1401は電力信号1481を電力受信器1402に送信する。電力信号1481は、電力受信器1402の任意の特定のポート上の電力を超えない、低減された又は特定の焦点を有する大電力送信である。
【0094】
ブロック1490において、電力受信器1402は、電力送信器1401から電力信号1481を受信する。
【0095】
従って、無線電力システムは、低減されたまたは特定の焦点および/または電力信号1481(例えば、大電力送信)の電力を駆動するために、1つまたは複数のビーコン1411を使用して大電力送信を提供することによって、大電力、長距離アプリケーションに適合される。
【0096】
図15に目を向けると、1つまたは複数の実施形態による無線電力送信のための方法1500が描かれている。方法1500は、1つまたは複数の実施形態による無線電力システムにおける複数の受信器電力平衡動作の一例である。方法1500は、無線電力システムの電力送信器(例えば、無線電力送信器)と少なくとも1つの電力受信器1502(例えば、充電される機器)とにわたって動作する。少なくとも1つの電力受信器1502は、第1の電力受信器1502a、第2の電力受信器1502b、および第3の電力受信器1502cによって表される。
【0097】
例示的な方法1500は、無線電力システムが1つまたは複数のビーコン1511を送信するときに開始する。1つまたは複数の実施形態によれば、第1の電力受信器1502a、第2の電力受信器1502b、および第3の電力受信器1502cはそれぞれ、ビーコン1511a、1511b、および1511cを送信する。
【0098】
ブロック1510において、無線電力システムは、1つまたは複数のビーコン1511を受信する。1つまたは複数の実施形態によれば、電力送信器1501は、1つまたは複数のビーコン1511a、1511b、および1511cを受信する。
【0099】
ブロック1520において、無線電力システムは、遠距離にある複数の移動機器(例えば、ドローン)に電力を送信する。例えば、電力送信器1501は、電力1521a、電力1521b、および電力1521cを、それぞれ、第1の電力受信器1502a、第2の電力受信器1502b、および第3の電力受信器1502cに送信する。
【0100】
方法1525に目を向けると、図15に示されるように、第1の電力受信器1502aおよび第3の電力受信器1502cは静止したままであり、第2の電力受信器1502bは移動する。より詳細には、第2の電力受信器1502bは、電力送信器1501からさらに離れた距離まで移動することができる。従って、第2の電力受信器1502bはビーコン1531bを送信する。
【0101】
ブロック1530において、電力送信器1501はビーコン1531bを受信する。
【0102】
ブロック1535において、無線電力システムは、電力受信器1502a、1502b、および1502cのうちの1つが移動したかどうかを決定する(例えば、充電される機器の移動を決定する)。1つまたは複数の実施形態によれば、電力送信器1501は、ビーコン1511bと1531bとの間の距離差を導出することができる。電力受信器が移動していない(例えば、距離差がない)場合、方法1525は方法1500のブロック1520に戻り、電力送信器は電力信号1521bを送信し続ける。電力受信器1502bが移動した(例えば、ビーコン1531bがビーコン1511bよりも大きい距離を示す)場合、その電力受信器1502bに送出されるより多くの電力が必要とされるため、例示的な方法1500はブロック1540に進む。
【0103】
ブロック1540において、無線電力システムは、電力1541bを送信する。無線電力システムに代わって、電力送信器1501は、ビーコン1531bの距離に基づいて電力1541bを送信することができる(例えば、電力送信器1501の電力は、電力受信器1502bの移動に基づいている)。電力1541bは、電力1521bよりも大きくされることができる。
【0104】
方法1545に目を向けると、図15に示されるように、第1の電力受信器1502aおよび第2の電力受信器1502bは静止したままであり、第3の電力受信器1502cが移動する。より詳細には、第3の電力受信器1502cは、電力送信器1501に向かってより近い距離まで移動することができる。従って、第3の電力受信器1502cはビーコン1551cを送信する。
【0105】
ブロック1550において、電力送信器1501はビーコン1551cを受信する。
【0106】
ブロック1555において、無線電力システムは、電力受信器1502a、1502b、および1502cのうちの1つが移動したかどうかを決定する(例えば、充電される機器の移動を決定する)。1つまたは複数の実施形態によれば、電力送信器1501は、ビーコン1511cおよび1551c間の距離差を導出することができる。電力受信器が移動していない(例えば、距離差がない)場合、方法1545は方法1500のブロック1520に戻り、電力送信器は電力信号1521cを送信し続ける。電力受信器1502cが移動した(例えば、ビーコン1551cがビーコン1511cよりも大きい距離を示す)場合、その電力受信器1502cに送出される必要がある電力がより少ないので、例示的な方法1500はブロック1560に進む。
【0107】
ブロック1560において、無線電力システムは、電力1561cを送信する。無線電力システムに代わって、電力送信器1501は、ビーコン1551cの距離に基づいて電力1561cを送信することができる(例えば、電力送信器1501の電力は、電力受信器1502cの移動に基づいている)。電力1561cは、電力1521cよりも小さくされることができる。
【0108】
1つまたは複数の実施形態によれば、任意の電力1521/1541/1561は時分割方式で供給されることができる。1つまたは複数の実施形態によれば、他のデバイスよりも多くの電力が1つのデバイスに供給されることができる。
【0109】
1つまたは複数の実施形態によれば、任意の機器は、より長い電力持続時間(例えば、他の機器から時間を取るか、または利用可能な余分な時間を必要な機器に流用することができる)とすることができる、明確な持続時間(例えば、第1の持続時間)が与えられることができる。例えば、電力送信器1501は、電力1561cのための電力を電力受信器1502cに流用するために、他の受信器からの時間を利用することができる。例えば、電力送信器1501は、余剰時間を利用して電力1561cを電力受信器1502cに提供することができる。さらに、電力送信器1501は、電力1561cを電力受信器1502cに迂回させるために余剰時間を利用する。
【0110】
大電力(たとえ短時間であっても)は電力受信器の整流器を損傷する可能性があるため、機器を近づけるために電力を下げることができることに留意されたい。したがって、無線電力システムは、第3の電力受信器1502cの電力を決定するために1つまたは複数のビーコン1511/1531/1551を使用して第3の電力受信器1502cを提供することによって、大電力、長距離アプリケーションに適合される。
【0111】
図16に目を向けると、1つまたは複数の実施形態による無線電力送信のための方法1600が描かれている。方法1600は、1つまたは複数の実施形態による無線電力システムの1つまたは複数の電力受信器に送信する複数の電力送信器の動作例である。方法1600は、無線電力システムの複数の電力送信器および1つまたは複数の電力受信器によって動作する。
【0112】
例示的な方法1600は、無線電力システムが単一の機器(または複数の機器)に電力を供給するブロック1610から始まる。1つまたは複数の実施形態によれば、複数の電力送信器は、1つまたは複数の電力受信器に電力を供給する。
【0113】
ブロック1615において、無線電力システムは、1つまたは複数のビーコンを送信する。1つまたは複数の実施形態によれば、1つまたは複数の電力受信器は、それぞれ、1つまたは複数のビーコンを送信する(例えば、各送信器は、このため、電力受信器からのビーコンを予期することができる)。
【0114】
ブロック1620において、無線電力システムは、1つまたは複数のビーコンを受信する。1つまたは複数の実施形態によれば、複数の電力送信器が1つまたは複数のビーコンを受信する。
【0115】
ブロック1630において、複数の電力送信器は情報を共有する。1つまたは複数の実施形態によれば、複数の電力送信器は、無線ベースバンド周波数を介して情報を共有する。無線ベースバンド周波数は、通信、調整、および同期のために利用される。
【0116】
ブロック1640では、複数の電力送信器が電力転送周波数を同期させる。次に、方法1600は、ブロック1650および1660の一方または両方に進む。
【0117】
ブロック1650において、複数の電力送信器は、複数の電力送信器から電力受信器に放出する電力を決定する。複数の電力送信器は、同時に電力を放出するかどうかを決定する。なお、複数の電力送信器から電力受信器への電力が同時に放出される場合、電力受信器においてより大電力を達成することができる。電力受信器に入力される信号の一部は互いに打ち消し合う可能性があるため、異なる送信器の周波数は互いにわずかにオフセットし得る。
【0118】
ブロック1660において、複数の電力送信器は、異なる送信器からの電力信号が電力受信器において(互いに)コヒーレントであるか否かを決定する。異なる送信器からの電力信号が電力受信器において(互いに)コヒーレントである場合、電力受信器におけるより大電力が達成されることが可能であることに留意されたい。従って、無線電力システムは、複数の電力送信器が互いに同位相であることによって、より大きい電力を実現した。電力送信器の周波数は完全に同期させられることができるため、最大電力の供給には至らない。
【0119】
ブロック1680において、無線電力システムは電力を送信する。すなわち、無線電力システムに代わって、複数の電力送信器が、同期されたように電力受信器に電力を送信することができる。各送信器は、順番に、個別に、異なる時間に電力を送信することができることに留意されたい。
【0120】
ブロック1690において、無線電力システムは電力受信器で加算する。
【0121】
従って、無線電力送信システムは、複数の電力送信器を利用して大電力送信を提供することによって、大電力、長距離のアプリケーションに適応する。
【0122】
図17に目を向けると、1つまたは複数の実施形態による無線電力システム1700が示されている。無線電力システム1700は、例えば、その中の動作の任意の組み合わせが無線電力システム1700の電力送信器および電力受信器にわたって実行され得るように、方法1300、1400、1500/1525/1545、および1600の統合を示す。したがって、無線電力システム1700は、ビーコンを使用して電力放出を駆動する(例えば、方法1400)、複数の受信器電力バランスを使用する(例えば、方法1500/1525/1545)、1つまたは複数の電力受信器に送信する複数の電力送信器を使用する(例えば、方法1600)、またはそれらの任意の組合せを使用することによって、大電力送信を提供する(例えば、方法1300)ことにより、大電力、長距離のアプリケーションに適合される。無線電力システム1700の技術的効果、利点、および長所には、長距離で集束電力を取り込むことを可能にする電力受信器のサイズに関する懸念、および長距離にわたる集束電力のビームの成長に関する懸念を解決することを含む。
【0123】
1つまたは複数の実施形態によれば、無線電力において大電力を提供する方法が提供される。この方法は、無線電力送信器によって、充電される機器から複数のビーコン信号を受信することを含む。本方法は、無線電力送信器によって、複数のビーコン信号に基づいて、充電される機器に電力信号を送信することを含む。本方法は、充電される機器の動きに基づいて電力信号の電力を上げたり下げたりすることを含む。1つまたは複数の実施形態によれば、装置、機器、システム、または環境が、本方法を実装することができる。
【0124】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の範囲内のあらゆる実施形態を包含することを理解されたい。例えば、上記では5.8GHzの周波数を説明したが、100MHzを超える任意の周波数を電力伝送周波数に利用してもよい。
【0125】
標準サイズの充電式バッテリーや、特定の電子機器(携帯電話、PDAなど)で使用するためのカスタム充電式バッテリーなど、どのようなタイプの充電式バッテリーでも送電網から電荷を受け取るために利用できることにも留意すべきである。これらの充電式バッテリーは、現在あるバッテリーを置き換えるために利用されてよく、送信信号を受信し、バッテリーを再充電するために変換することを可能にする電力受信器の電子機器を含み得る。
【0126】
1つまたは複数の実施形態によれば、方法および装置が提供される。この方法および装置は、無線電力システムにおいてビーコンを暗号化するためのものであり、充電される機器から暗号化されたビーコン信号を受信する無線電力送信器を含む。無線電力送信器は、暗号化ビーコンに基づいて充電対象機器を認証し、認証に基づいて充電対象機器に電力信号を送信する。
【0127】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の範囲内のあらゆる実施形態を包含することを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【外国語明細書】